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特表2024-524297過熱防止を備えたエアロゾル発生装置
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  • 特表-過熱防止を備えたエアロゾル発生装置 図1
  • 特表-過熱防止を備えたエアロゾル発生装置 図2A
  • 特表-過熱防止を備えたエアロゾル発生装置 図2B
  • 特表-過熱防止を備えたエアロゾル発生装置 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】過熱防止を備えたエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20240628BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240628BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579511
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022066956
(87)【国際公開番号】W WO2023274798
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182415.6
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】セレダ アレクサンドラ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC06
4B162AC18
(57)【要約】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。エアロゾル発生装置は多孔性ウィッキング要素を備える。エアロゾル発生装置は、多孔性高分子材料層をさらに備える。多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の表面上に配設される。多孔性高分子材料層は、200℃~300℃の融点を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
多孔性ウィッキング要素と、
多孔性高分子材料層と、を備え、
前記多孔性高分子材料層が前記多孔性ウィッキング要素の表面上に配設され、前記多孔性高分子材料層が200℃~300℃の融点を有する、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記多孔性ウィッキング要素が、多孔性セラミックウィッキング要素として構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記多孔性高分子材料層が、前記多孔性ウィッキング要素の表面上に被覆として提供される、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記多孔性高分子材料層が、前記多孔性ウィッキング要素の近位表面上に提供される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記エアロゾル発生装置が、マウスピースをさらに備え、また前記多孔性高分子材料層が、前記マウスピースに面する前記多孔性ウィッキング要素の前記表面上に提供される、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記多孔性ウィッキング要素が、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有する、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記多孔性ウィッキング要素が、平均で40μm~80μm、好ましくは50μm~70μm、より好ましくはおおよそ60μmの空孔サイズを有する、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記多孔性高分子材料層が、225℃~275℃、より好ましくはおおよそ250℃の融点を有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記多孔性高分子材料層が、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記多孔性高分子材料層が、平均で20μm~60μm、好ましくは30μm~50μm、より好ましくはおおよそ40μmの空孔サイズを有する、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記多孔性高分子材料層が、メタ-フェニレンイソフタルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アラミドなどのポリアミド、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、およびポリエチレンナフタレートのうちの一つで作製され、かつ30%のガラス繊維を有するポリエチレンで作製されることが特に好ましい、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記エアロゾル発生装置が、気流チャネルをさらに備え、かつ前記多孔性ウィッキング要素が、前記気流チャネル内に配設され、これにより前記空気が前記多孔性ウィッキング要素を通して流れる、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記多孔性高分子材料層の前記温度が275℃を超える時、最も好ましくは前記多孔性高分子材料層の前記温度が250℃を超える時、前記多孔性高分子材料層が溶融するように構成される、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記多孔性高分子材料層が、前記多孔性高分子材料層が溶融する時、前記多孔性高分子材料層がその上に配設される前記多孔性ウィッキング要素の前記表面の前記細孔をシールし、それによって前記多孔性ウィッキング要素のこの表面を通る気流を防止するように構成される、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記多孔性高分子材料層が、前記多孔性高分子材料層が溶融する時、前記多孔性ウィッキング要素の前記表面全体の前記細孔をシールし、それによって前記多孔性ウィッキング要素を通る気流を防止するように構成される、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを生成するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素が揮発する温度へとエアロゾル形成基体を加熱してもよい。エアロゾル形成基体は、液体形態で提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバ内で揮発されてもよい。発熱体を備える加熱組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバ内に、または加熱チャンバの周りに配設されてもよい。
【0003】
発熱体は、抵抗発熱体として構成されてもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体を液体貯蔵部から発熱体に向かって吸い出すために構成されたウィッキング要素に隣接して配設されてもよい。液体貯蔵部が枯渇している場合、それ以上のエアロゾル形成基体は発熱体に向かって吸い出されない。もはや芯内に液体基体が存在しない時、それにもかかわらず発熱体が動作する場合、過熱が問題となる場合がある。ウィッキング材料の過熱は、望ましくないベイパーの放出につながる場合がある。
【0004】
過熱防止を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。過熱に起因する望ましくないベイパーの放出が防止される、エアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。改善された安全性を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。機械的な過熱防止を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。自動的な過熱防止を有するエアロゾル発生装置用の加熱組立品を有することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は多孔性ウィッキング要素を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、多孔性高分子材料層をさらに備えてもよい。多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の表面上に配設されてもよい。多孔性高分子材料層は、200℃~300℃の融点を有してもよい。
【0006】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は多孔性ウィッキング要素を備える。エアロゾル発生装置は、多孔性高分子材料層をさらに備える。多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の表面上に配設される。多孔性高分子材料層は、200℃~300℃の融点を有する。
【0007】
本発明によるエアロゾル発生装置を提供することによって、望ましくないエアロゾル構成要素の吸入が防止される場合がある。
【0008】
エアロゾル発生装置は、加熱非燃焼式装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置の動作温度は、おおよそ200℃~250℃であってもよい。動作中、液体エアロゾル形成基体は、多孔性ウィッキング要素によって液体貯蔵部分から発熱体に向かって吸い出されてもよい。発熱体は模範的に、多孔性ウィッキング要素を包囲する加熱コイルとして提供されてもよい。動作中、発熱体は、おおよそ200℃~250℃の温度へと加熱されてもよい。発熱体は抵抗発熱体であってもよい。
【0009】
液体エアロゾル形成基体は、多孔性ウィッキング要素が液体エアロゾル形成基体で飽和していることに起因して、発熱体の隣の多孔性ウィッキング要素において気化されてもよい。気化したエアロゾル形成基体は、気流中に混入され、そしてその後冷却されてもよく、これによりエアロゾルを形成することができる。エアロゾルは、ユーザーによって吸入される吸入可能なエアロゾルであってもよい。エアロゾルは、マウスピースを介してエアロゾル形成装置の外へと流れる場合がある。
【0010】
液体基体部分内の液体エアロゾル形成基体が枯渇した場合、もはや多孔性ウィッキング要素によって発熱体に向かって液体エアロゾル形成基体を吸い出すことはできない。結果として、発熱体は、乾燥した多孔性ウィッキング要素を加熱する場合がある。乾燥した多孔性ウィッキング要素を加熱することは望ましくない場合がある。乾燥した多孔性ウィッキング要素の加熱は、多孔性ウィッキング要素の過熱をもたらす場合がある。特に、乾燥した多孔性ウィッキング要素を加熱することによって、望ましくない構成要素が作り出される可能性がある。望ましくない構成要素はその後、気流内に混入され、そしてユーザーによって吸入される場合がある。望ましくない構成要素のこの吸入は望ましくない。
【0011】
望ましくない構成要素のこの潜在的な吸入は、本発明によって防止される。より詳細には、多孔性ウィッキング要素の表面上に配置された多孔性高分子材料層は、多孔性高分子材料層の溶融後、多孔性高分子材料層を通る気流を防止する。多孔性高分子材料層の融点は、多孔性高分子材料層の温度が過度に高くなる場合に高分子材料が溶融するように選ばれる。この融点は、多孔性ウィッキング要素の潜在的な過熱の問題に対応するように選ばれる。言い換えれば、液体エアロゾル形成基体の供給の欠如に起因して多孔性ウィッキング要素が乾燥する場合、多孔性高分子材料層が溶融し、そして多孔性ウィッキング要素の表面をシールして、多孔性ウィッキング要素を通る気流を防止する。
【0012】
多孔性ウィッキング要素は、多孔性セラミックウィッキング要素として構成されてもよい。
【0013】
多孔性セラミックウィッキング要素の多孔性の性質に起因して、多孔性ウィッキング要素を通る気流が可能になる場合がある。
【0014】
多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の表面上に被覆として提供されてもよい。
【0015】
多孔性高分子材料層を被覆として提供することは、通常の動作中に多孔性ウィッキング要素からの液体エアロゾル形成基体の気化に悪影響を及ぼさないように、多孔性ウィッキング要素の表面上に薄い層を作り出す。
【0016】
多孔性高分子材料層は、発熱体と多孔性ウィッキング要素との間に配設されてもよい。
【0017】
多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の近位表面上に提供されてもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」、「近位」および「遠位」という用語は、使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0019】
多孔性ウィッキング要素の近位表面は、多孔性ウィッキング要素の近位端にあってもよい。多孔性ウィッキング要素の近位端は、多孔性ウィッキング要素の下流端にあってもよい。
【0020】
多孔性高分子材料層が、差し迫った過熱の状況で溶融する場合、溶融する多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の近位表面をシールして、多孔性ウィッキング要素の近位表面を通る気流を防止する。
【0021】
エアロゾル発生装置は、マウスピースをさらに備えてもよい。多孔性高分子材料層は、マウスピースに面する多孔性ウィッキング要素の表面上に提供されてもよい。
【0022】
マウスピースに面する多孔性ウィッキング要素の表面は、多孔性ウィッキング要素の近位表面であってもよい。差し迫った過熱の状況での多孔性高分子材料層の溶融は、気流がマウスピースに到達するのを防止してもよく、そしてそれによって過熱の状況におけるエアロゾルの望ましくない構成成分の吸入を防止してもよい。
【0023】
多孔性ウィッキング要素は、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有してもよい。
【0024】
多孔性ウィッキング要素のこの空隙率は、多孔性ウィッキング要素を通る気流を可能にする。
【0025】
多孔性ウィッキング要素は、平均で40μm~80μm、好ましくは50μm~70μm、より好ましくはおおよそ60μmの空孔サイズを有してもよい。
【0026】
多孔性ウィッキング要素のこの空孔サイズは、多孔性ウィッキング要素を通る気流を可能にする。
【0027】
多孔性高分子材料層は、225℃~275℃、より好ましくはおおよそ250℃の融点を有してもよい。
【0028】
多孔性高分子材料層のこの融点は、多孔性ウィッキング要素の差し迫った過熱の状況の場合に、多孔性高分子材料層の溶融につながるように選ばれてもよい。
【0029】
多孔性高分子材料層は、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有してもよい。
【0030】
多孔性高分子材料層のこの空隙率は、通常の動作中に多孔性高分子材料層を通る気流を可能にする。言い換えれば、多孔性ウィッキング要素の過熱の状況が差し迫っておらず、また多孔性ウィッキング要素に液体エアロゾル形成基体が十分に提供される場合、空気は多孔性ウィッキング要素を通るだけでなく、多孔性ウィッキング要素の表面上に配設された多孔性高分子材料層も通して流れることができる。結果として、多孔性ウィッキング要素において気化されたエアロゾル形成基体は、多孔性ウィッキング要素を通して、および多孔性高分子材料層を通して進んで、その後吸入可能なエアロゾルを形成することができる。
【0031】
多孔性高分子材料層は、平均で20μm~60μm、好ましくは30μm~50μm、より好ましくはおおよそ40μmの空孔サイズを有してもよい。
【0032】
多孔性高分子材料層のこの空孔サイズは、多孔性高分子材料層を通る気流を可能にした。
【0033】
多孔性高分子材料層は、メタ-フェニレンイソフタルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アラミドなどのポリアミド、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、およびポリエチレンナフタレートのうちの一つで作製されてもよく、かつ30%のガラス繊維を有するポリエチレンで作製されることが特に好ましい。
【0034】
多孔性高分子材料層の特に好ましい実施形態は、264℃の融点を有するポリトリメチレンテレフタレート、255℃の融点を有する30%ガラス繊維を含むポリエチレン、および321℃の融点を有するポリアクリロニトリルである。
【0035】
多孔性ウィッキング要素は、1000℃を超える融点を有することが好ましい。
【0036】
エアロゾル発生装置は、気流チャネルをさらに備えてもよい。多孔性ウィッキング要素は、空気が多孔性ウィッキング要素を通して流れるように、気流チャネル内に配設されてもよい。
【0037】
多孔性ウィッキング要素は、気流チャネルに及んでもよい。多孔性ウィッキング要素は、空気が多孔性ウィッキング要素を通してのみ進むことができるように、気流チャネル内に配設されてもよい。言い換えれば、多孔性ウィッキング要素は、気流チャネル内に配設されてもよく、これにより空気は多孔性ウィッキング要素の周囲を進むことはできない。別の方法として、多孔性ウィッキング要素は、空気が多孔性ウィッキング要素を通してだけでなく、多孔性ウィッキング要素の周囲も進むことができるように、気流チャネル内に配設されてもよい。多孔性ウィッキング要素の周囲を進む空気は、多孔性ウィッキング要素を通して進む空気と、多孔性ウィッキング要素の下流で混合されてもよい。多孔性ウィッキング要素を通して進む空気は、気化した液体エアロゾル形成基体を搬送してもよく、また多孔性ウィッキング要素の周囲を進む空気と混合されてもよい。気化した液体エアロゾル形成基体を含む空気と、気化した基体を含まない空気との混合は、多孔性ウィッキング要素の下流でのエアロゾルの形成につながる場合がある。
【0038】
気流チャネルは、多孔性ウィッキング要素の上流で、エアロゾル発生装置の空気吸込み口と流体接続されてもよい。空気吸込み口は、周囲空気の装置の中への気流を可能にするように配設されてもよい。気流チャネルは、多孔性ウィッキング要素の下流で、エアロゾル発生装置の空気出口と流体接続されてもよい。空気出口は、マウスピース内に定置されてもよい。マウスピースは、空気出口であってもよい。
【0039】
多孔性ウィッキング材料は、長方形の形状を有してもよい。
【0040】
発熱体は、気流チャネル内に配設されてもよい。発熱体は、多孔性ウィッキング要素を少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。発熱体は、多孔性ウィッキング要素の下流に配設されてもよい。
【0041】
多孔性高分子材料層の温度が275℃を超える時、最も好ましくは多孔性高分子材料層の温度が250℃を超える時、多孔性高分子材料層が溶融するように構成されてもよい。
【0042】
多孔性高分子材料層の溶融のために、溶融後は、多孔性高分子材料層を通る気流は防止される場合がある。多孔性高分子材料層の溶融作用は、多孔性高分子材料層がもはや多孔性でなくなることにつながる場合がある。言い換えれば、多孔性高分子材料層の溶融作用は、多孔性高分子材料層の細孔を閉じる場合があり、これによりいかなる細孔も有しない高分子材料層が多孔性高分子材料層の溶融作用の結果としてもたらされる。
【0043】
多孔性高分子材料層は、多孔性高分子材料層が溶融する時、多孔性高分子材料層がその上に配設される多孔性ウィッキング要素の表面の細孔をシールし、それによって多孔性ウィッキング要素のこの表面を通る気流を防止するように構成されてもよい。
【0044】
多孔性ウィッキング要素の表面の細孔のシール作用は、多孔性ウィッキング要素の表面の細孔の中へと流れる溶融する多孔性高分子材料層によって達成されてもよい。追加的に、または別の方法として、多孔性ウィッキング要素の表面の細孔のシール作用は、多孔性高分子材料層の溶融中に閉じられる多孔性高分子材料層の細孔によって達成されてもよい。
【0045】
多孔性高分子材料層は、多孔性高分子材料層が溶融する時、多孔性ウィッキング要素の表面全体の細孔をシールし、それによって多孔性ウィッキング要素を通る気流を防止するように構成されてもよい。
【0046】
多孔性高分子材料層は、多孔性高分子材料層が溶融する時、多孔性ウィッキング要素の二つ以上の表面の細孔をシールし、それによって多孔性ウィッキング要素を通る気流を防止するように構成されてもよい。
【0047】
多孔性ウィッキング要素の二つ以上の表面または多孔性ウィッキング要素の表面全体のシールは、多孔性ウィッキング要素の二つ以上の表面上に配設される多孔性高分子材料層によって達成されてもよい。過熱の状況の前に多孔性高分子材料層によって覆われている各表面は、多孔性高分子材料層の溶融作用に起因して過熱の状況においてシールされることが好ましい。過熱の状況の間に多孔性ウィッキング要素の表面全体をシールすることが望ましい場合、多孔性ウィッキング要素の表面全体は、過熱の状況の前に多孔性高分子材料層によって覆われることが好ましい。代替として、過熱の状況の間に多孔性ウィッキング要素の中への横方向の気流、または多孔性ウィッキング要素の外への横方向の気流を防止するために、多孔性ウィッキング要素の近位表面だけでなく近位発熱体の側面も覆うことが望ましい場合がある。結果として、多孔性高分子材料層は、多孔性ウィッキング要素の近位表面上だけでなく、多孔性ウィッキング要素の側面上にも提供されてもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接的に吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ホルダーであってもよい。装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ハウジングと、電気回路と、電源と、加熱チャンバと、発熱体と、を備えてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる一つ以上の揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0050】
エアロゾル形成基体は、液体形態で提供されてもよい。液体エアロゾル形成基体は、添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、ニコチンを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%、例えば約2%、のニコチン濃度を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の液体貯蔵部分内に含まれてもよく、その場合、エアロゾル発生物品はカートリッジとして表示されてもよい。
【0051】
エアロゾル発生装置は、アトマイザーを備えてもよい。液体エアロゾル形成基体を霧化して、ユーザーがその後吸い込むことができるエアロゾルを形成するために、アトマイザーが提供される。アトマイザーは発熱体を備えてもよく、その場合、アトマイザーは気化器として示される。一般的にアトマイザーは、液体エアロゾル形成基体を霧化することができる任意の装置として構成されてもよい。アトマイザーは、発熱体、多孔性ウィッキング要素、および多孔性高分子材料層を特に備えてもよい。
【0052】
多孔性ウィッキング要素は、繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。多孔性ウィッキング要素は、毛細管の束を備えることが好ましい。例えば、多孔性ウィッキング要素は、複数の繊維または糸またはその他の微細チューブを備えてもよい。繊維または糸は概して、液体をヒーターへと運ぶように整列されてもよい。別の方法として、多孔性ウィッキング要素は、海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。多孔性ウィッキング要素の構造は複数の小さい穴または管を形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。多孔性ウィッキング要素は、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系または黒鉛系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、エチレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。セラミックは、多孔性ウィッキング要素のために特に好ましい材料である。多孔性ウィッキング要素は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管および空隙率を有してもよい。液体は、粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧が挙げられるがこれに限定されない、毛細管作用によって液体が多孔性ウィッキング要素を通して搬送されることを可能にする、物理的特性を有する。多孔性ウィッキング要素は、エアロゾル形成基体を発熱体へと運ぶように構成されてもよい。多孔性ウィッキング要素は、発熱体内の隙間の中へと延びてもよい。
【0053】
液体貯蔵部分は、任意の適切な形状およびサイズであってもよい。例えば、液体貯蔵部分は、実質的に円筒状であってもよい。液体貯蔵部分の断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形、または長方形であってもよい。
【0054】
液体貯蔵部分は、ハウジングを備えてもよい。ハウジングは、基部と、基部から延びる一つ以上の側壁とを備えてもよい。基部および一つ以上の側壁は、一体的に形成されてもよい。基部および一つ以上の側壁は、相互に取り付けられている、または固定されている別個の要素であってもよい。ハウジングは、剛直なハウジングであってもよい。本明細書で使用される場合、「剛直なハウジング」という用語は、自己支持型のハウジングを意味するために使用される。液体貯蔵部分の剛直なハウジングは、エアロゾル発生手段に対して機械的な支持を提供する場合がある。液体貯蔵部分は一つ以上の可撓性の壁を備えてもよい。可撓性の壁は、液体貯蔵部分内に貯蔵された液体エアロゾル形成基体の容積に適合するように構成されてもよい。液体貯蔵部分のハウジングは、任意の適切な材料を含んでもよい。液体貯蔵部分は、実質的に流体不透過性の材料を含んでもよい。液体貯蔵部分のハウジングは、透明または半透明の部分を備えてもよく、これにより液体貯蔵部分内に貯蔵された液体エアロゾル形成基体は、ハウジングを通してユーザーに見えてもよい。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に貯蔵されたエアロゾル形成基体が周囲空気から保護されるように構成されてもよい。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に貯蔵されたエアロゾル形成基体が光から保護されるように構成されてもよい。これは、基体の劣化のリスクを低減する場合があり、また高いレベルの衛生状態を維持する場合がある。
【0055】
液体貯蔵部分は、実質的にシールされてもよい。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に貯蔵されている液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分からエアロゾル発生装置へと流れるための一つ以上の出口を備えてもよい。液体貯蔵部分は一つ以上の半開放入口を備えてもよい。これは、周囲空気が液体貯蔵部分へと入ることを可能にする場合がある。一つ以上の半開放入口は、周囲空気が液体貯蔵部分の中へと入ることを可能にするように透過性があり、かつ液体貯蔵部分の内側の空気および液体が液体貯蔵部分から出るのを実質的に防止するように不透過性である、半透過性の膜または一方向弁であってもよい。一つ以上の半開放入口は、特定の条件下で空気が液体貯蔵部分の中へと通ることを可能にする場合がある。液体貯蔵部分は、エアロゾル発生装置の主本体内に恒久的に配設されてもよい。液体貯蔵部分は、再充填可能であってもよい。別の方法として、液体貯蔵部分は、交換可能な液体貯蔵部分として構成されてもよい。液体貯蔵部分は、交換可能なカートリッジの一部であってもよく、または交換可能なカートリッジとして構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、カートリッジを受容するように構成されてもよい。当初のカートリッジが消費された時、新しいカートリッジがエアロゾル発生装置に取り付けられてもよい。
【0056】
多孔性ウィッキング要素は、液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を吸い出すように、液体貯蔵部分と流体連通することが好ましい。多孔性ウィッキング要素は、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から発熱体へと吸い出すように構成されることが好ましい。
【0057】
エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。電気回路は、マイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサは、コントローラの一部であってもよい。電気回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体へと連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0058】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば、電源はおおよそ6分間の期間、または6分の倍数の期間の間、エアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0059】
エアロゾル発生装置のハウジングの壁には、少なくとも一つの空気吸込み口が提供されてもよい。空気吸込み口は、半開放入口であってもよい。半開放入口は、装置の中へなどの一方向では空気または流体の流れを許容するが、反対方向では、空気または流体の流れを少なくとも制限し、好ましくは禁止する入口であってもよい。半開放入口は、周囲空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にすることが好ましい。空気または液体は、半開放入口を通してエアロゾル発生装置から出るのを阻止されてもよい。半開放入口は、例えば、半透過性の膜であってもよく、空気については一方向でのみ透過性であるが、反対方向では気密かつ液密である。半開放入口はまた、例えば、一方向弁であってもよい。半開放入口は、例えば、エアロゾル発生装置の最小限の押圧、または弁もしくは膜を通過する空気の堆積といった特定の条件が満たされる場合にのみ、空気が入口を通過するのを可能にすることが好ましい。
【0060】
本開示のいずれかの態様では、発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、および銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料では、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0061】
発熱体は、多孔性ウィッキング要素を少なくとも部分的に包囲して配設される抵抗加熱コイルとして構成されることが好ましい。別の方法として、発熱体は模範的に、毛細管ヒーター、メッシュヒーター、または金属プレートヒーターであってもよい。発熱体は、例えば固体またはメッシュの表面を有するフラットヒーターを含んでもよい。発熱体は、フィラメントの配設を含んでもよい。発熱体は、多孔性高分子材料層の近位表面と直接接触した状態で配設されてもよい。
【0062】
下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0063】
実施例A: エアロゾル発生装置であって、
多孔性ウィッキング要素と、
多孔性高分子材料層と、を備え、
多孔性高分子材料層が多孔性ウィッキング要素の表面上に配設され、多孔性高分子材料層が200℃~300℃の融点を有する、エアロゾル発生装置。
【0064】
実施例B: 多孔性ウィッキング要素が、多孔性セラミックウィッキング要素として構成される、実施例Aによるエアロゾル発生装置。
【0065】
実施例C: 多孔性高分子材料層が、多孔性ウィッキング要素の表面上に被覆として提供される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0066】
実施例D: 多孔性高分子材料層が、多孔性ウィッキング要素の近位表面上に提供される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0067】
実施例E: エアロゾル発生装置が、マウスピースをさらに備え、また多孔性高分子材料層が、マウスピースに面する多孔性ウィッキング要素の表面上に提供される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0068】
実施例F: 多孔性ウィッキング要素が、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0069】
実施例G: 多孔性ウィッキング要素が、平均で40μm~80μm、好ましくは50μm~70μm、より好ましくはおおよそ60μmの空孔サイズを有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0070】
実施例H: 多孔性高分子材料層が、225℃~275℃、より好ましくはおおよそ250℃の融点を有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0071】
実施例I: 多孔性高分子材料層が、25%~75%、好ましくは30%~60%、より好ましくはおおよそ55%の空隙率を有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0072】
実施例J: 多孔性高分子材料層が、平均で20μm~60μm、好ましくは30μm~50μm、より好ましくはおおよそ40μmの空孔サイズを有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0073】
実施例K: 多孔性高分子材料層が、メタ-フェニレンイソフタルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アラミドなどのポリアミド、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、およびポリエチレンナフタレートのうちの一つで作製され、かつ30%のガラス繊維を有するポリエチレンで作製されることが特に好ましい、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0074】
実施例L: エアロゾル発生装置が、気流チャネルをさらに備え、かつ多孔性ウィッキング要素が、気流チャネル内に配設され、これにより空気が多孔性ウィッキング要素を通して流れる、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0075】
実施例M: 多孔性高分子材料層の温度が275℃を超える時、最も好ましくは多孔性高分子材料層の温度が250℃を超える時、多孔性高分子材料層が溶融するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0076】
実施例N: 多孔性高分子材料層が、多孔性高分子材料層が溶融する時、多孔性高分子材料層がその上に配設される多孔性ウィッキング要素の表面の細孔をシールし、それによって多孔性ウィッキング要素のこの表面を通る気流を防止するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0077】
実施例O: 多孔性高分子材料層が溶融する時に、多孔性ウィッキング要素の表面全体の細孔をシールし、それによって多孔性ウィッキング要素を通る気流を防止するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0078】
一つの実施形態に関して記述される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0079】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生装置の、分解された状態にある断面図を示す。
図2図2A図2Cは、エアロゾル発生装置の多孔性ウィッキング要素および多孔性高分子材料層のより詳細な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、エアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10は、主本体12を備える。主本体12は、電源(図示せず)および制御回路(図示せず)を備える。
【0082】
図1は、アトマイザー14をさらに示す。アトマイザー14は、多孔性ウィッキング要素16および多孔性高分子材料層18を備える。アトマイザー14は、発熱体(図示せず)をさらに備える。多孔性ウィッキング要素16および多孔性高分子材料層18は、下記で図2を参照しながらより詳細に記述される。
【0083】
図1は、カートリッジ20をさらに示す。カートリッジ20は、液体貯蔵部分22を備える。液体貯蔵部分内22に、液体エアロゾル形成基体が貯蔵される。液体エアロゾル形成基体は、多孔性ウィッキング要素16によって、アトマイザー14の発熱体に向かって吸い出される。発熱体は、多孔性ウィッキング要素16および多孔性高分子材料層18の周りに巻かれた抵抗コイルとして、または別の方法として、多孔性高分子材料層18に隣接したメッシュヒーターなどのフラットヒーターとして構成されてもよい。さらなる代替として、発熱体は、多孔性ウィッキング要素16内に埋め込まれた、または多孔性ウィッキング要素16の上へと印刷された導電性フィラメントとして提供されてもよい。
【0084】
カートリッジ20は、マウスピース24をさらに備える。エアロゾル発生装置10によって発生したエアロゾルは、ユーザーによって吸入されるように、カートリッジ20のマウスピース24を介してエアロゾル発生装置10を離れてもよい。
【0085】
マウスピース24の上流に、図1は気流チャネル26を示す。気流チャネル26は、アトマイザー14をマウスピース24と流体接続する。アトマイザー14は、気流チャネル26内に配設される。空気はアトマイザー14を通して気流チャネル26の中へと流れ、そしてさらにマウスピース24を通して装置の外へと流れる。
【0086】
図1は、分解された状態にあるエアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10が組み立てられた時、アトマイザー14はカートリッジ20と主本体12との間に挟まれる。空気は、エアロゾル発生装置10の空気吸込み口(図示せず)を介してアトマイザー14へと流れる。図1に示すように、アトマイザー14は、アトマイザー14に向かって引き出される空気がアトマイザー14を通して流れるように、気流チャネル26内に配設される。アトマイザー14を離れた後、空気は気流チャネル26を通るその経路を継続し、そして吸入可能なエアロゾルが形成される。吸入可能なエアロゾルは最終的に、マウスピース24を通して装置を離れる。
【0087】
図2は、多孔性ウィッキング要素16および多孔性高分子材料層18を示す。図2Aでは、多孔性ウィッキング要素16が示されている。多孔性ウィッキング要素16の近位表面28は、多孔性高分子材料層18によって覆われている。図2Aは、側面図である。図2Aと同じ構成を図2Bで見ることができる。しかしながら、図2Bは上面図である。図2Bで見ることができるように、多孔性ウィッキング要素16の近位表面28は、多孔性高分子材料層18によって覆われている。図2Bでも見られるように、多孔性高分子材料層18は多孔性であり、これにより空気は、多孔性高分子材料層18を通して進むことができる。多孔性ウィッキング要素16も多孔性であるため、空気は多孔性ウィッキング要素16だけでなく、多孔性高分子材料層18も完全に通して進むことができる。多孔性高分子材料層18は、図1に示すように、エアロゾル発生装置10のマウスピース24に面している。
【0088】
多孔性高分子材料層18は、差し迫った過熱の問題の場合に、多孔性ウィッキング要素16の近位表面28をシールする機能を有する。液体貯蔵部分22内の液体エアロゾル形成基体が枯渇した時、多孔性ウィッキング要素16はもはや液体エアロゾル形成基体を吸い出すことができない。次いで、多孔性ウィッキング要素16が乾燥するので、発熱体は多孔性ウィッキング要素16内の液体エアロゾル形成基体をもはや気化させない。この場合、多孔性ウィッキング要素16の温度は上昇する場合があり、そして望ましくない構成成分が放出される場合がある。次いで、これらの望ましくない構成成分は、多孔性ウィッキング要素16を通して引き出される空気とともに多孔性ウィッキング要素16を通して引き出される場合がある。このプロセスを防止するために、多孔性高分子材料層18は、おおよそ250℃の融点を有する。この融点は、多孔性ウィッキング要素16はエアロゾル形成基体を乾燥するが、発熱体が多孔性ウィッキング要素16の加熱を保持する時には、多孔性高分子材料層18の溶融につながる。結果として、図2Cに示すように、多孔性高分子材料層18は、多孔性ウィッキング要素16の細孔を溶融し、かつ閉鎖する。これは、多孔性ウィッキング要素16の近位表面28がシールされるので、もはや多孔性ウィッキング要素16を通して空気を引き込まれることができないことにつながる。
【0089】
多孔性ウィッキング要素16の近位表面28上にのみ配置される多孔性高分子材料層18の代替として、多孔性ウィッキング要素16の表面のうちのいずれかは、望まれる場合、多孔性高分子材料層18で被覆されてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
【国際調査報告】