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特表2024-524300日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生産するプロセス及び結果として生じる製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生産するプロセス及び結果として生じる製品
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/137 20060101AFI20240628BHJP
   A23C 9/123 20060101ALI20240628BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20240628BHJP
   A23C 19/076 20060101ALI20240628BHJP
   A23C 9/133 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A23C9/137
A23C9/123
A23L29/231
A23L29/238
A23L29/256
A23L29/269
A23L29/262
A23L29/281
A23C19/076
A23C9/133
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579521
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022067678
(87)【国際公開番号】W WO2023275017
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182509.6
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505310426
【氏名又は名称】フリースランドカンピーナ ネーデルランド ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノッシュ、ベルトルト
(57)【要約】
本発明は、製品の総重量に基づいて、6~24重量%のタンパクの総量を含む日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関し;ミセルカゼインの総量が、タンパクの総量に基づいて、15~40w/w%の範囲であり、且つ微粒子化されたホエータンパクの総量が、タンパクの総量に基づいて、25~75w/w%であり;0.3~4重量%の、デンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤をさらに含み、総脂肪含有量は、0.05~15重量%である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日持ちの良い高タンパク発酵乳製品であって、
前記製品の総重量に基づいて、6~24重量%の総量タンパクであって、
タンパクの総量に基づいて、15~40w/w%の範囲内の総量ミセルカゼイン、及び
タンパクの総量に基づいて、25~75w/w%、好ましくは35~65w/w%の範囲内の微粒子化された総量ホエータンパク
を有する総量タンパクと、
0.3~4重量%の、デンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤と
を含み、
総脂肪含有量は、0.05~15重量%となる、
高タンパク発酵乳製品。
【請求項2】
前記タンパクの総量は、前記製品の総重量に基づいて、少なくとも8重量%、好ましくは8.1~24重量%である、請求項1又は2に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項3】
前記発酵乳製品は、ヨーグルト若しくはヨーグルトタイプの製品、スキール若しくはスキールタイプの製品、フレッシュチーズ若しくはフレッシュチーズタイプの製品、レブネ、ギリシアヨーグルト、ケフィール、又はクワルクである、請求項1に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項4】
デンプン及び低エステルアミド化ペクチンの組合せ、又はデンプン及びゼラチンの組合せが、安定剤として用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項5】
乾燥状態にある場合、前記微粒子化されたホエータンパクは、平均直径が0.1~3ミクロンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項6】
穀物、ナッツ、種子、果物部分、果物ピューレ、果物ジュース、ジュース濃縮液、香味剤、着色剤、甘味料、乳化剤、及び酸性度調整剤からなる群から選択される1つ以上の添加物をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項7】
粘度が500~15.000mPa.s、好ましくは1.500mPa.s~15.000mPa.sである、請求項1~6のいずれか一項に記載の高タンパク発酵乳製品。
【請求項8】
日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を調製する方法であって、
(a)微粒子化されたホエータンパク、並びにデンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤を含む乳ベースを均質化して、均質化乳ベースを生じさせる工程と;
(b)前記均質化乳ベースを85~98℃、好ましくは91~96℃の温度での、3~8分、好ましくは4~6分の保持時間の熱処理に供する工程と;
(c)均質化且つ熱処理された前記乳ベースを、乳酸菌のスターター培養菌を用いて発酵させて、発酵乳製品を生じさせる工程と;
(d)前記発酵乳製品を、75~82℃の温度でのサーミゼーション工程に供して、低温加熱された乳製品を生じさせる工程と;
(e)前記低温加熱された乳製品を冷却工程に供して、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生じさせる工程と
を含む、方法。
【請求項9】
工程(c)と工程(d)間に、穀物、ナッツ、種子、果物部分、果物ピューレ、果物ジュース、ジュース濃縮液、香味剤、着色剤、甘味料、乳化剤、及び酸性度調整剤からなる群から選択される1つ以上の添加物が、前記発酵乳製品に加えられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
スムーズ化工程が、工程(c)と工程(d)間に実行される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、好ましくは缶、カートン、又はプラスチックボックスであるパッケージの無菌的充填を介してパッケージされる、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
栄養を必要とする人に栄養を提供するのに用いられる、請求項2~7のいずれか一項に記載の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品。
【請求項13】
前記人は、50歳以上の成人、疾患状態にある人、疾患状態から回復している人、栄養失調である人、スポーツマン、又は50歳以上の行動的な成人である、請求項12に記載の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品の生産プロセス、及びそのようなプロセスによって獲得可能な日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性乳製品、例えば(アンビエント)ヨーグルト及びクワルクは、良好な栄養を提供する。というのも、ビタミン及びミネラルが豊富であり、且つ高品質のタンパクを提供するからである。近年、より健康な、より高タンパクな食事に全般的な関心がある傾向があるので、現在、高タンパク乳製品が流行している。さらに、食事においてより高用量の品質の良いタンパクを必要とする人々、例えば、50歳以上の成人、又は疾病に苦しむ人々、外科手術若しくは抗癌治療から快方に向かっている人々、栄養失調の人々、脆弱な高齢者、及び筋減少症を患う人々のために、高タンパク乳製品が開発されている。さらに、そのような製品は、アスリートに有益且つ有用であり得る。高タンパク乳製品は、筋肉保存、そして結果として健康なエージングを支持する。さらに、とりわけ固定化及び入院の間、外科手術の前、そして回復の間からその後、筋力低下を防止する。
【0003】
アンビエント製品は、消費者が望むときはいつでも楽しむことができるので、働き詰めの人々に便利であるという利点がある。しかしながら、日持ちの良い酸性製品を得るのに必要とされる低温殺菌は、典型的に、製品の質感が不所望となり、且つ/又は妙な味のする製品をもたらす。より詳細には、そのような製品の熱処理は、とりわけ酸性化/発酵の後に殺菌されるならば、タンパクの沈殿、及び不所望のザラザラの質感の原因となる。この作用は、タンパクレベルが高いほど顕著である。
【0004】
したがって、味覚及び口あたりが良好な、そして輸送及び保存のために冷却される必要のない酸性高タンパク乳製品が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる目的は、そのような味覚及び口あたりが良好な、安定した日持ちの良い高タンパクアンビエント乳製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的は:
(a)微粒子化されたホエータンパク、並びにデンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤を含む乳ベースを均質化して、均質化乳ベースを生じさせる工程と;
(b)均質化乳ベースを85~98℃、好ましくは90~97℃、最も好ましくは91~96℃の温度での、3~8分、好ましくは4~6分、最も好ましくは5分の保持時間の熱処理に供する工程と;
(c)均質化且つ熱処理された乳ベースを、乳酸菌のスターター培養菌を用いて発酵させて、発酵乳製品を生じさせる工程と;
(d)発酵乳製品を、75~82℃の温度でのサーミゼーション(thermisation)工程に供して、低温加熱(thermised)された乳製品を生じさせる工程と;
(e)低温加熱された乳製品を冷却工程に供して、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生じさせる工程と
を含むプロセスに従って、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生成することによって満たされ得ることが見出された。
【0007】
このプロセスを実行することによって、味覚が良好な、特に口あたりが良好な日持ちの良い高タンパク発酵乳製品が得られる。
【0008】
前記日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、
-前記製品の総重量に基づいて、6~24重量%の総量タンパク、うち、
〇タンパクの総量に基づいて、15~40w/w%の範囲内の総量ミセルカゼイン、及び
〇タンパクの総量に基づいて、25~75w/w%、好ましくは35~65w/w%の微粒子化された総量ホエータンパク、
-製品の総重量に基づいて、0.3~4重量%の、デンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤
を含み、
-総脂肪含有量は、製品の総重量に基づいて、0.1~15重量%となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
したがって、第1の態様において、本発明は、
-製品の総重量に基づいて、6~24重量%の総量タンパク、うち、
〇タンパクの総量に基づいて、15~40w/w%の範囲内の総量ミセルカゼイン、及び
〇タンパクの総量に基づいて、25~75w/w%、好ましくは35~65w/w%の微粒子化された総量ホエータンパク、
-製品の総重量に基づいて、0.3~4重量%の、デンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤
を含む日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関し、
-総脂肪含有量は、製品の総重量に基づいて、0.1~15重量%となる。
【0010】
国際公開第2015/059248号パンフレットは、可溶性のホエータンパクの含有量が低く、且つタンパクの含有量が高い新タイプの変性ホエータンパク組成物、これを生産する方法、及び高タンパク変性ホエータンパク組成物、特に高タンパク酸性乳製品を含有する製品、並びにそれらの追加的な使用に関する。
【0011】
国際公開第2015/059245号パンフレットは、可溶性のアルファ-ラクトアルブミンの含有量が低い新タイプの高タンパク変性ホエータンパク組成物、及びこれを生産する方法に関する。さらに、高タンパク変性ホエータンパク組成物を含有する製品、特に高タンパク酸性乳製品、及びその追加的な使用に関する。
【0012】
しかしながら、これらの文献は、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関するものではない。
【0013】
CN111248271号明細書は、ヨーグルトを調製するのに用いることができる組成物に関し、これは、生乳、甘味物質、ホエータンパク粉末、加工デンプン、及び高エステルペクチン、ジェランガム、乳化剤、及びスターターを含む。組成物中の各構成要素の割合は、以下の通りである:生乳80%以上、甘味物質70‰~95‰、ホエータンパク粉末37‰~50‰、耐酸性高エステルペクチン4‰~6‰、加工デンプン10‰以下、ジェランガム0.1‰~0.4‰、乳化剤0.5‰~2.0‰、スターター50DCU~100DCU/‰;ホエータンパク粉末は、低粘度且つ熱安定WPC80である。しかしながら、そのような組成物は、粉末状の、砂質の口あたりを有する製品を生じさせる。
【0014】
本発明に従って用いられるタンパク及び安定剤の特定の組合せ及び量は、驚くべきことに、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品の良好な感覚の特性(口あたり及び味覚)をもたらすことが見出された。
【0015】
用語「日持ちの良い食品」は、一般に、それ自体の成分によって、若しくは特別な処理によって、又は双方によって、保存でき、そしておそらく周囲条件にて、すなわち冷蔵されないで、長期間(例えば、2週以上、時折数ヵ月)保存され得る製品を指す。これはまた、本発明に従う日持ちの良い乳製品について真である。より詳細には、本発明に従う日持ちの良い乳製品は、少なくとも、20℃にて保存される場合の貯蔵寿命が2週である。
【0016】
本発明に従う製品の粘稠性は、飲用に適した液体からフレッシュチーズ様の質感の間で変化し得る。好ましくは、製品は、スプーンで掬える製品である。
【0017】
本明細書の全体を通して用いられる用語「微粒子化されたホエータンパク」は、微粒子化工程、すなわち、ホエータンパクが最初に変性されて、熱処理によって凝集され(すなわち、ひとまとめにされ)てから、結果として生じる凝集体が、機械プロセシングを介してより小さな粒子に分けられる処理に供された全てのホエータンパクを意味すると定められる。「微粒子化されたホエータンパク」は、多くの場合、「変性ホエータンパク」とも称される。変性ホエータンパクは、別の風味、及び元々のホエータンパクと異なる外観を有する。
【0018】
微粒子化されたホエータンパク(MWP)のプロセス及び使用は双方とも、Singer et al.,1988(欧州特許第0250623号明細書)によって特許付与された。Singer et al.は、WPC50分散系が、酸性pH(pH3.5~5.0)にて、特注のきさげ面熱交換器内で乳化剤と共に加熱されて、0.1~3μmのサイズ範囲の可溶性球形ホエータンパク粒子が生じるプロセスを開示した。
【0019】
また、国際公開第2006/024395号パンフレットは、例えば、ホエー濃縮物を(きさげ熱交換器内で)熱処理してから、(ホモジナイザー内で)機械プロセシングに供する微粒子化プロセスを開示する。
【0020】
そのような微粒子化されたホエータンパクは、以前にチーズ及びヨーグルト等の乳製品に用いられてきた。米国特許第5,096,731号明細書は、例えば、通常ヨーグルト内に見出される脂肪及び/又は油の全て又は一部の代用として役立つ微粒子化されたタンパクにより調製されたヨーグルトに関する。微粒子化されたタンパクは、実質的に、乾燥状態にある場合に平均直径が0.5~2ミクロンである変性タンパクの非凝集粒子を含む。
【0021】
本発明に従う日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、好ましくは、ヨーグルト、スキール、フレッシュチーズ、ギリシアヨーグルト、クワルク、レブネ、及びケフィールである。なお、一部の国々において、用語「ヨーグルト」、「スキール」、及び/又は「フレッシュチーズ」は、特定の要件により製品に確保されている。例えば、一部の国々において、地方規則に従って、日持ちの良い製品をヨーグルトと表示することが許容されず、ヨーグルトは、生きている培養菌の存在を必要とする。それゆえに、本発明の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品はまた、ヨーグルトタイプ製品、スキールタイプ製品、又はフレッシュチーズタイプ製品等であり得る。
【0022】
製品の総脂肪含有量は、製品の総重量に基づいて、0.05~15重量%となる。日持ちの良い高タンパク発酵乳製品中の脂肪は、用いられる乳ベースから完全に由来し得るが、追加の脂肪(動物性脂肪、植物性脂肪、又はそれらの組合せ)も同様に用いられ得る。脂肪は、好ましくは、乳脂肪(dairy fat)である。一実施形態において、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、0.5~10重量%の脂肪を含むヨーグルトである。
【0023】
本発明に従う日持ちの良い高タンパク発酵乳製品中のタンパクの総量は、前記製品の総重量に基づいて、少なくとも6重量%且つ多くとも24重量%である。タンパクの15~40wt%、好ましくは18~35wt%がミセルカゼインであるが、タンパクの25~75wt%、好ましくは35~65wt%が、微粒子化されたホエータンパクである(タンパクの総重量に基づく重量パーセンテージ)。本発明の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品中の他のタンパク、例えば、カゼインカルシウム及びホエータンパクは、好ましくは、乳ベース中に天然に存在するタンパクに由来してもよいし、乳ベースに加えられてもよい(例えばWPC80)。
【0024】
別の実施形態において、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品中のタンパクの総量は、少なくとも8重量%である。好ましくは、前記製品中のタンパクの総量は、前記製品の総重量に基づいて、8.1~24重量%、最も好ましくは8.5~20重量%である。好ましくは、タンパクの18~35wt%、より好ましくは19~32wt%がミセルカゼインであるが、好ましくは、タンパクの35~65wt%が、微粒子化されたホエータンパクである(タンパクの総重量に基づく重量パーセンテージ)。
【0025】
本発明の製品に用いるのに適した微粒子化されたホエータンパクは、人消費用の食物及び飲料に用いられるのに適していることが知られている全てのタイプの微粒子化されたホエータンパクである。本発明に従って用いられる微粒子化されたホエータンパクは、典型的に平均粒度が小さく、そして典型的に表面反応性が低いので、クリーミーさ、滑らかさが増して、粒の粗さが最小限に保たれるか、又は阻止すらされる。より詳細には、本発明に従う製品及びプロセスに用いられる微粒子化されたホエータンパクは好ましくは、実質的に、乾燥状態にある場合に平均直径が0.1~3ミクロンである、好ましくは乾燥状態にある場合に平均直径が0.5~2ミクロンである変性タンパクの非凝集粒子を含む微粒子化されたタンパクである。本発明に従う使用に適した微粒子化されたホエータンパクの好ましい供給元は、Arla(Nutrilac(登録商標))及びFonterra(SureProtein(商標))である。
【0026】
本発明の別の実施形態において、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品はさらに、穀物、ナッツ、種子、果物部分、果物ピューレ、果物ジュース、ジュース濃縮液、香味剤、着色剤、甘味料、乳化剤、及び酸性度調整剤からなる群から選択される1つ以上の添加物を含む。乳化剤の使用は、とりわけ、脱脂粉乳に基づく製品の場合には、有利である。好ましい乳化剤は、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド(E471)である。
【0027】
先に述べたように、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、好ましくは、スプーンで掬える製品である。用語「スプーンで掬える製品」は、本発明に従う製品が、半固体形態を有し、且つ掬い上げて直接消費することができる製品であることを意味する。より詳細には、前記製品は好ましくは、少なくとも500mPa.s、好ましくは少なくとも1.500mPa.sの粘度、そして好ましくは多くとも15.000mPa.s、より好ましくは多くとも12.500mPa.sの粘度を有することを意味する。本発明に従う製品の粘度は、Anton Paar rheometerを10℃にて用いて判定される。4つのブレードシャープエッジベーン(ST24.8-V/40)及びカップホルダー(CC27/D)を、測定システムとして用いた。加えて、TEZ-150Pを測定セルとして用い、そしてPeltier要素を10℃にセットした。流動学的分析は、製品がセットされた後に、そして24時間後に実行される。最終粘度は、60s後にmPa.sで表される51s-1の固定剪断率での粘度である。このように測定された粘度が500mPa.s~15.000mPa.s、好ましくは1.500mPa.s~15.000mPa.s、最も好ましくは1.500mPa.s.~12.500mPa.sであるならば、製品はスプーンで掬える製品として認可を受ける。
【0028】
先に述べたように、本発明に従えば、2つ以上の安定剤が、0.3~4重量%(製品の総重量に基づく)の量で用いられ、前記安定剤は、デンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態において、2つ以上の安定剤が、0.3~4重量%(製品の総重量に基づく)の量で用いられ、安定剤の1つがデンプンであり、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1つ以上の安定剤と組み合わされる。
【0029】
本発明に従う日持ちの良い高タンパク発酵乳製品において、安定剤は、好ましくは、デンプン及び低エステルアミド化ペクチンの組合せ、又はデンプン及びゼラチンの組合せである。安定剤のそのような組合せが用いられる場合、結果は、口あたりが一層向上した:砂状も水を含んだ口あたりもなく、滑らかである製品となることが見出された。
【0030】
ペクチンは、全ての植物の構成要素である。これは、ほとんどの一次細胞壁内に存在し、且つ陸生植物の非木質部分において特に豊富である複合セットの多糖からなる。ペクチンは、中層の主要な構成要素であり、そこでは細胞を結び付けるのを助力するが、主要な細胞壁においても見出される。ペクチンの量、構造、及び化学組成は、植物間で、さらには経時的に植物内で、そして植物の種々の部分において、異なる。しかしながら、その主要構成要素は、ガラクトースに由来する糖酸、ガラクツロン酸である。自然界では、ガラクツロン酸のカルボキシル基のおよそ80パーセントが、メタノールでエステル化されている。この割合は、ペクチン抽出中に、多かれ少なかれ低下する。ペクチンは、高メトキシペクチン対低メトキシペクチン(短いHM-ペクチン対LM-ペクチン)と分類され、全ガラクツロン酸の大体半分がエステル化されている。非エステル化ガラクツロン酸単位は、遊離酸(カルボキシル基)、又はナトリウム、カリウム、若しくはカルシウムとの塩であり得る。アミド化ペクチンは、ペクチンの修飾型である。ここで、ガラクツロン酸の一部が、アンモニアによりカルボン酸アミドに変換される。
【0031】
本明細書の全体を通して用いられる用語「低エステルアミド化ペクチン」は、以下を有するあらゆるペクチンを意味する:
-40%未満、好ましくは35%未満、最も好ましくは20~30%のエステル化の程度;
-50%以上の遊離酸の程度;及び
-少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは20~30%のアミド化の程度
(ペクチン内に存在するカルボキシル基の総数に基づく)。
【0032】
最も好ましいのは、エステル化の程度が25%、アミド化の程度が25%、そして遊離酸の程度が50%である低エステルアミド化ペクチンである。
【0033】
デンプンは、ポリマーと呼ばれる、グリコシド結合によって結合された多数のグルコース単位からなるポリマー炭水化物である。この多糖は、ほとんどの緑色植物によってエネルギー蓄積として産生される。本発明に従って好ましくは用いられるデンプンは、加工デンプン、例えばアセチル化アジピン酸架橋デンプン(E1422)又はヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(E1442)である。クリーンラベルデンプン(すなわちEナンバーのないデンプン)を同様に用いることができる。適切なデンプンの例として、在来デンプン;例えば熱水分処理を介した、物理的に加工されたデンプン;及び酵素処理されたデンプンが挙げられる。
【0034】
ゼラチンは、動物、例えば家畜化されたウシ、ニワトリ、ブタ、及び魚の皮膚、骨、及び結合組織から抽出されるコラーゲンの部分的加水分解によって生成されるペプチド及びタンパクの混合物である。乳製品に用いられるのに適していることが当業者によって知られているゼラチンのあらゆるタイプを、本発明に従う組成物に用いることができる。好ましい実施形態において、食用のゼラチン240 Bloomが用いられる。これは、ブタの皮膚及びウシの骨の主に内側にあるコラーゲンに由来する半透明無色の風味のない物質である。
【0035】
本発明に従う2つ以上の安定剤は、0.3~4重量%の総量で用いられる。デンプンが安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.2~3.0、より好ましくは0.8~1.6重量%の量で、最も好ましくは1.2重量%の量で用いられる。ゼラチンが安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.1~2.5、より好ましくは0.15~1.0重量%の量で、最も好ましくは0.3重量%の量で用いられる。低エステルアミド化ペクチンが安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.05~1.0、より好ましくは0.1~0.8重量%の量で、最も好ましくは0.15重量%の量で用いられる。ジェランガムが安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.4重量%の量で、最も好ましくは0.03重量%の量で用いられる。カルボキシメチルセルロースが安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.01~1.0、より好ましくは0.05~0.8重量%の量で、最も好ましくは0.1重量%の量で用いられる。寒天が安定剤の1つとして用いられる場合、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、0.01~1.0、より好ましくは0.05~0.8重量%の量で、最も好ましくは0.2重量%の量で用いられる。
【0036】
好ましくは、デンプン及びゼラチンの組合せが用いられるならば、デンプンは、ゼラチンの量の2~10、好ましくは3~8、最も好ましくは約5倍の量で用いられる。好ましくは、デンプン及び低エステルアミド化ペクチンの組合せが用いられるならば、デンプンは、低エステルアミド化ペクチンの量の2~16、好ましくは7~13、最も好ましくは約10倍の量で用いられる。
【0037】
本発明はさらに、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を調製する方法に関し、
(a)微粒子化されたホエータンパク、並びにデンプン、ゼラチン、低エステルアミド化ペクチン、グアー、ジェランガム、寒天、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される2つ以上の安定剤を含む乳ベースを均質化して、均質化乳ベースを生じさせる工程と;
(b)均質化乳ベースを85~98℃、好ましくは91~96℃の温度での、3~8分、好ましくは4~6分、最も好ましくは5分の保持時間の熱処理に供する工程と;
(c)均質化且つ熱処理された乳ベースを、乳酸菌のスターター培養菌を用いて発酵させて、発酵乳製品を生じさせる工程と;
(d)発酵乳製品を、75~82℃の温度でのサーミゼーション工程に供して、低温加熱された乳製品を生じさせる工程と;
(e)低温加熱された乳製品を冷却工程に供して、
日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生じさせる工程と
を含む。
【0038】
工程(a)に用いられる乳ベースは、従来通りヨーグルト又はクワルク等の製品を調製するのに用いられる、あらゆる種類の牛乳であり得る。例えば、生の牛乳、殺菌若しくは低温殺菌された牛乳であり得、又はリコンバインド乳ベースであり得る。リコンバインド乳ベースは、例えば、水中に溶解する脱脂粉乳である。
【0039】
工程(a)に用いられる乳ベースは、0.05~15重量%、より好ましくは0.1~12重量%、最も好ましくは0.5~10重量%の脂肪を含む。この乳ベースに、微粒子化されたホエータンパクが適切な量で加えられる。より詳細には、タンパクは、乳ベースが、乳ベースの総重量に基づいて、6~24重量%のタンパクの総量を含み、ミセルカゼインの総量が、タンパクの総量に基づいて、15~40重量%、好ましくは18~37重量%となり、且つ微粒子化されたホエータンパクの総量が、タンパクの総量に基づいて、25~75重量%、好ましくは35~65重量%の範囲となるような量で加えられる。しかしながら、好ましくは、タンパクは、乳ベースが、製品の総重量に基づいて、少なくとも8重量%且つ多くとも24重量%、より好ましくは8.1~22重量%、最も好ましくは8.5~20重量%のタンパクの総量を含む一方、ミセルカゼインの総量が、タンパクの総量に基づいて、15~40重量%、好ましくは18~37重量%の範囲となり、且つ微粒子化されたホエータンパクの総量が、タンパクの総量に基づいて、25~75重量%、好ましくは35~65重量%の範囲となるような量で、乳ベースに加えられる。
【0040】
均質化工程(a)は、不所望である乳ベースのクリーミングを最小にするか、又は防止すらするために実行される。この均質化工程は、従来の技術を用いて行うことができる。しかしながら、好ましくは、均質化工程は、少なくとも120バール、好ましくは120~250バール、最も好ましくは170~190バールの圧力にて実行される。
【0041】
熱処理(工程(b))は、乳ベース中のホエータンパクの少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは100%を変性させるために、そして乳ベース中に存在する酵素及び細菌、とりわけ病原体を可能な限り不活化するために実行される。この工程は、85~98℃、好ましくは91~96℃、最も好ましくは95℃の温度にて、3~8分、好ましくは4~6分、最も好ましくは5分の保持時間を用いて実行され、乳のホエータンパクを少なくとも>95%~100%変性させることが推奨される。
【0042】
工程(c)において、均質化熱処理乳ベースは、乳酸菌の適切なスターター培養菌を用いる発酵工程に、従来の量で供される。ヨーグルト、ヨーグルトタイプ、スキール、スキールタイプ、フレッシュチーズ、フレッシュチーズタイプ、ギリシアヨーグルト、レブネ、ケフィール、又は他の発酵乳製品を製造するのに伝統的に用いられるあらゆるスターター培養菌が用いられ得る。スターター培養菌は、乳酸菌の混合物又は単一の株のいずれかでもある。乳酸細菌種を含む商業スターター培養菌が、好ましくは、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、及び連鎖球菌(Streptococcus)属からなる群から選択される。
【0043】
当業者であれば理解するように、使用される必要があるスターター培養菌及び温度は、生成されることとなる製品のタイプに依存する。日持ちの良い高タンパク発酵乳製品がヨーグルト又はヨーグルトタイプ製品である場合に、St.サーモフィルス(St.thermophilus)及びLb.ブルガリカス(Lb.bulgaricus)が典型的に用いられる。用いることができる他の乳酸菌は、例えば、Lb.アシドフィルス(Lb.acidophilus)又はビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifibacterium bifidum)である。
【0044】
工程(d)において、発酵乳製品は、サーミゼーション工程に供され、これは75~82℃、好ましくは77~80℃の温度にて、好ましくは少なくとも15秒、より好ましくは少なくとも30秒、好ましくは多くとも300秒、より好ましくは多くとも250秒の保持時間で実行される。類似した処理に用いられる従来の装置が、この処理に用いられ得る。サーミゼーション工程は好ましくは、穏やかに実行される、すなわち、熱交換器内での製品と熱媒体間の温度差ΔTは、可能な限り低い。
【0045】
工程(e)において、低温加熱された乳製品は、冷却工程に供される。前記冷却工程は、当該技術分野において知られている技術を用いて実行することができる。
【0046】
本発明に従うプロセスは、日持ちの良い高タンパク発酵乳製品を生じさせる。先に述べたように、用語「日持ちの良い」は、20℃の温度にて製品が少なくとも2週間貯蔵安定していることを意味する。本発明に従う製品は典型的に、20℃にて保存される場合に貯蔵寿命が少なくとも3週である。
【0047】
発酵工程(c)とサーミゼーション工程(d)間の工程において、発酵乳製品に加えられる穀物、ナッツ、種子、果物部分、果物ピューレ、果物ジュース、ジュース濃縮液、香味剤、着色剤、甘味料、乳化剤、及び酸性度調整剤からなる群から選択される1つ以上の添加物を加えることが可能である。また、そのような添加物は、無菌的にであるが、本プロセスの工程(e)において得られる日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に加えることができる。そのような添加物が用いられるならば、好ましくは、発酵乳製品の総重量に基づいて、4.5~15重量%の総量で用いられる。
【0048】
香味剤、着色剤、甘味料、及び/又は酸性度調整剤が用いられる場合に、均質化工程(a)に供される乳ベースにそのような添加物を既に加えておくことが可能である。
【0049】
本発明に従う一実施形態において、スムーズ化(smoothening)工程は、上記のプロセスの工程(c)と工程(d)間に実行される。工程(c)において得られる発酵乳製品は、より大きなゲル粒子(すなわち、粒子サイズが>10μmの粒子)を含み得る。そのような粒子は、最終生成物において砂質の口あたりを引き起こす虞がある。このスムーズ化工程は、存在し得るより大きなあらゆるゲル粒子がより小さくされるか、又は破壊すらされることとなるので、均質なヨーグルト質量が得られて、最終生成物の口あたりが向上する利点を有する。このスムーズ化工程は、当業者に知られている従来の技術を用いて実行することができる。1つ以上の添加物が加えられることになっているならば、前記添加物は好ましくは、前記スムーズ化工程後に加えられる。
【0050】
本発明に従う別の実施形態において、本発明に従う日持ちの良い高タンパク発酵乳製品は、好ましくはパッケージの無菌的充填を介して、パッケージされる。前記パッケージは好ましくは、缶、カートン、又はプラスチックボックスである。
【0051】
本発明の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品、とりわけ、タンパクの総量が少なくとも8重量%且つ多くとも24重量%、好ましくは8.1~22重量%、最も好ましくは8.5~20重量%である製品は、多くの利益を有する。例えば、そのような製品は、筋タンパク合成、筋肉作り、成長、維持、筋肉量の保存、強度、及び機能を支持するのを助力する。したがって、とりわけ、例えば、アスリートにおいて、またライフスタイルが行動的な高齢者において、身体能力を増大させることが、行動的なライフスタイルに用いられるのに適している。さらに、製品は、(とりわけ、老化に起因する)除脂肪体重の衰退、筋肉低下、サルコペニア、虚弱、筋肉消耗及び結合衰退、骨折、固定化、入院、外科手術、並びに疾患の予防、軽減、及び/又は(食事の)管理に用いられるのに特に適している。また、本発明に従う製品が、血中グルコース管理(血糖制御)を支持するのを助力するので、グリコース(glycose)/インスリン代謝が乱され、且つ/又は(前)糖尿病の人々に、そして超過体重又は肥満の人々に用いられるのにも特に適している。ゆえに、別の態様において、本発明は、人に栄養を提供するのに用いられる、製品の総重量に基づいてタンパクの総量が少なくとも8重量%且つ多くとも22重量%、好ましくは8.1~22重量%、最も好ましくは8.5~20重量%である、本発明の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関する。好ましくは、人に栄養を提供するのに用いられるそのような日持ちの良い高タンパク発酵乳製品に関し、前記人は、50歳以上の成人、疾患状態にある人、疾患状態から回復している人、栄養失調である人、スポーツマン、又は50歳以上の行動的な成人である。
【0052】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
【実施例
【0053】
実施例1
以下の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品サンプルを調製した(製品1~4)。
【0054】
製品1を、以下の成分から調製した:
牛乳(部分脱脂、1.5%脂肪)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
ゼラチン(240 Bloom)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0055】
製品2を、以下から調製した:
牛乳(部分脱脂、1.5%脂肪)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
低エステルアミド化ペクチン(Grinsted,IFF/DuPont)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0056】
製品3を、以下から調製した:

脱脂粉乳(FrieslandCampina)
無水乳脂肪(AMF,FrieslandCampina)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
ゼラチン(240 Bloom)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0057】
製品4を、以下から調製した:

脱脂粉乳(FrieslandCampina)
無水乳脂肪(AMF,FrieslandCampina)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
低エステルアミド化ペクチン(Grinsted,IFF/DuPont)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0058】
表1は、製品1~4の正確な組成を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
乳ベース成分を一斉に、100重量%まで加える。表1はさらに、総脂肪含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、総タンパク含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、及び用いたスターター培養菌に言及する。なお、総量タンパクはさらに、MWPとして、WPCとして、そしてカゼイン塩として加えられるタンパクであり、牛乳又は脱脂粉乳に由来するタンパクを含む。
【0062】
製品1~4の調製:
乾燥成分を最初に前もって混合することによって、全ての製品を製造した。乾燥プレミックスを液体部分(製品1及び2については牛乳、又は製品3及び4については水であった)中に混合して、各乳ベースを生じさせた。次に、全ての乳ベースについて、以下の工程を実行した。
【0063】
液体乳ベースを55℃に加熱して、180バールにて均質化した。その後、均質化乳ベースを95℃にて5分間熱処理して、最後に、42℃の発酵温度(好熱発酵)に冷却した。このように得られた均質化熱処理乳ベースを、乳酸菌のスターター培養菌と混合し、そして植菌混合液を、4.4のpHに達するまで発酵温度にてインキュベートした。発酵乳製品を、製品を撹拌してゲルを分解し、且つゲル粒子を破壊することによるスムーズ化工程に供して、均質な混合物を生じさせた。続いて、スムーズ化した発酵乳製品を、42℃から20℃に冷却して、76℃、10秒間のサーミゼーション工程に続く20℃への冷却工程に供した。最後に、結果として生じた高タンパク発酵乳製品を、プラスチックカップ内に無菌的に充填した。
【0064】
貯蔵感覚試験
日持ちの良い高タンパク発酵乳製品1~4を、様々な保存条件での感覚評価に供した。4℃及び20℃での貯蔵寿命中の感覚監視は、高タンパク含有量に関係なく、良好な品質を示した。これは、通常のタンパク含有量(2~4%)の日持ちの良いヨーグルトと等しかった。より詳細には、全4つの製品の質感はクリーム状であり、口あたりは滑らかであった。安定剤としてゼラチンを含む製品は、その感じの良い口あたりのために、特に好ましい。4つの製品は全て、味覚に関して十分にスコア化された。砂状は観察されなかった。粘度は、通常の日持ちの良いヨーグルトと等しかった。
【0065】
実施例2及び比較例A
本発明に従う製品5を、様々な種類の安定剤を用いる比較製品Aと比較した。より詳細には、これらの製品の組成は、以下の通りであった。
【0066】
製品Aを、以下から調製した(正確な組成について、表2参照):
牛乳(部分脱脂)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Arla Nutrilac(登録商標))
デンプン(E1442)
高エステルペクチン(High-esther Pectin)(GENU(登録商標)ペクチン,CP Kelco)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0067】
製品5を、以下から調製した(正確な組成について、表2参照):
牛乳
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Arla Nutrilac(登録商標))
デンプン(E1442)
低エステルアミド化ペクチン(Grinsted,IFF/DuPont)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0068】
【表3】
【0069】
乳ベース成分を一斉に、100重量%まで加える。表1はさらに、総脂肪含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、総タンパク含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、及び用いたスターター培養菌に言及する。なお、総量タンパクはさらに、MWPとして、WPCとして、そしてカゼイン塩として加えられるタンパクであり、新鮮な牛乳に由来するタンパクを含む。
【0070】
製品5及び製品Aの調製:
製品5及び製品Aを、製品1~4について詳細に説明されるのと同じ手順に従って調製した。製品5は、製品Aよりも口あたりが非常に滑らかであり、且つ粘度が高い(製品5は、製品Aよりも粘度が約50%高い)ことが見出された。製品は双方とも、滑らかな、均質な構造を有するが、製品Aの口あたりは、明らかに粉末状、砂質である。本発明者の結論は、アミド化低エステルペクチンによる安定化が、より効率的であるということである。というのも、サンプルAとの比較において、製品5でのより低い投与量にて非常に高い粘度をもたらしたからである。驚くべきことに、製品5の口あたりは、より高い粘度ですらかなり滑らかであることが見出された。
【0071】
比較例B:
この実験のために、製品を、10%の総タンパク含有量の発明と比較可能にする。ここでは、微粒子化されたホエータンパクを、撹拌ヨーグルトの安定化に用いられる通常の乳製品タンパク、すなわちカゼインナトリウム(Excellion(商標)EM 7カゼインカルシウム,FrieslandCampina)及びWPC80(FrieslandCampina製)と交換している。実験は、高度に粘性であり(ほぼ切断可能であり、通常のヨーグルトプロセシング装置によりもはやプロセス可能でない)、そして粉末状且つ砂質の口あたりを有する製品Bを生じさせる。粘度は、スプーンで掬えるヨーグルトについてなお許容可能な最大値よりもかなり高い(15.000mPa.sよりもずっと高い)。
【0072】
比較例C:
この実験のために、本発明と比較可能な、10%の総タンパク含有量の、デンプンのみを安定剤として用いる製品を生成する。実験は、より薄く、且つより少ないゼリー質感を示す製品を生じる。また、サンプルは、かなり顕著な粉状の、砂質の口あたりを示す。
【0073】
実施例3
以下の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品サンプルを調製した(製品6及び7、正確な組成について、表3参照)。
【0074】
製品6を、以下の成分から調製した:
牛乳(部分脱脂、1.5%脂肪)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
ゼラチン(240 Bloom)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0075】
製品7を、以下から調製した:
牛乳(部分脱脂、1.5%脂肪)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
ゼラチン(240 Bloom)
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0076】
【表4】
【0077】
乳ベース成分を一斉に、100重量%まで加える。表3はさらに、総脂肪含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、総タンパク含有量(wt%、乳ベースの総重量に基づく)、及び用いたスターター培養菌に言及する。なお、総量タンパクはさらに、MWPとして、WPCとして、そしてカゼイン塩として加えられるタンパクであり、牛乳に由来するタンパクを含む。
【0078】
製品6及び7の調製:
乾燥成分を最初に前もって混合することによって、双方の製品を製造した。乾燥プレミックスを液体部分(すなわち、牛乳)中に混合して、各乳ベースを生じさせた。次に、以下の工程を実行した。
【0079】
液体乳ベースを55℃に加熱して、180バールにて均質化した。その後、均質化乳ベースを95℃にて5分間熱処理して、最後に、42℃の発酵温度(好熱発酵)に冷却した。このように得られた均質化熱処理乳ベースを、乳酸菌のスターター培養菌と混合し、そして植菌混合液を、4.4のpHに達するまで発酵温度にてインキュベートした。発酵乳製品を、製品を撹拌してゲルを分解し、且つゲル粒子を破壊することによるスムーズ化工程に供して、均質な混合物を生じさせた。続いて、スムーズ化した発酵乳製品を、42℃から20℃に冷却して、76℃、10秒間のサーミゼーション工程に続く20℃への冷却工程に供した。最後に、結果として生じた高タンパク発酵乳製品を、プラスチックカップ内に無菌的に充填した。
【0080】
貯蔵感覚試験
製品6及び7を、様々な保存条件での感覚評価に供した。4℃及び20℃での貯蔵寿命中の感覚監視は、高タンパク含有量に関係なく、良好な品質を示した。これは、通常のタンパク含有量(2~4%)の日持ちの良いヨーグルトと等しかった。より詳細には、双方の製品の質感は、良好であった。双方の製品は、味覚に関して許容可能とスコア化された。砂状は観察されなかったが、タンパクの味覚が顕著であった。製品6の粘度は、通常の日持ちの良いヨーグルトと比較して、僅かに高かった。製品7の粘度は、通常のクワルクと匹敵した。果物ピューレと混合した場合に、双方の製品は、味覚に関して十分にスコア化された。
【0081】
実施例8
以下の日持ちの良い高タンパク発酵乳製品サンプルを、以下の成分から調製した(製品8)(表4参照):
牛乳(部分脱脂、1.5%脂肪)
カゼイン塩(Excellion(商標)カゼインカルシウム,FrieslandCampina)
WPC(Progel 800,FrieslandCampina)
微粒子化されたWPC(Fonterra SureProtein(商標))
デンプン(E1442)
寒天
スターター培養菌(乳酸菌)。
【0082】
【表5】
【0083】
製品8の調製:
製品8を、製品6及び7と同様に調製した。
【0084】
貯蔵感覚試験
日持ちの良い高タンパク発酵乳製品8を、様々な保存条件での感覚評価に供した。4℃及び20℃での貯蔵寿命中の感覚監視は、良好な品質を示した。これは、通常のタンパク含有量(2~4%)の日持ちの良いヨーグルトと等しかった。より詳細には、製品の質感は良好であった。さらに、製品は、味覚に関して許容可能とスコア化された。
【国際調査報告】