(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】サーモグラフィー画像素子
(51)【国際特許分類】
B41M 5/36 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B41M5/36 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579545
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022034174
(87)【国際公開番号】W WO2022271595
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520495803
【氏名又は名称】インターナショナル イメージング マテリアルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL IMAGING MATERIALS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】520495825
【氏名又は名称】ハリソン, ダニエル, ジュード
【氏名又は名称原語表記】HARRISON, Daniel, Jude
(71)【出願人】
【識別番号】523483371
【氏名又は名称】エスクラ, ジェニファー リン
【氏名又は名称原語表記】ESKRA, Jennifer Lynn
(71)【出願人】
【識別番号】523129930
【氏名又は名称】プジビロ, ジョン リチャード
【氏名又は名称原語表記】PRZYBYLO, John Richard
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン, ダニエル ジュード
(72)【発明者】
【氏名】エスクラ, ジェニファー リン
(72)【発明者】
【氏名】プジビロ, ジョン リチャード
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111HA07
2H111HA23
2H111HA35
(57)【要約】
サーモグラフィー素材アセンブリは、着色料と可撓性素材とを含む。このアセンブリは感熱層をも含み、感熱層はエラストマーバインダーと、複数のボイドとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性素材と、
着色層と、
感熱層とを備え、
前記着色層は、前記可撓性素材と前記感熱層との間にあり、
前記感熱層は、エラストマーおよびボイドから構成され、
前記感熱層は、そこに加えられる熱および圧力に応じて透明化可能である、サーモグラフィー素材。
【請求項2】
印刷されていない素材のL*輝度は、50より大きい、請求項1に記載のサーモグラフィー素材。
【請求項3】
熱印刷された素材のL*輝度は、50未満である、請求項1または2に記載のサーモグラフィー素材。
【請求項4】
印刷されていない素材と熱印刷された素材との間のL*輝度の差は、20より大きい、請求項1~3のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項5】
エラストマーは、35℃未満のガラス転移温度を有する、請求項1~4のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項6】
感熱層は、0.9g/cc未満の密度を有する、請求項1~5のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項7】
着色層は、顔料から構成される、請求項1~6のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項8】
前記感熱層の厚さは、1mm未満である、請求項1~7のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項9】
ボイドの平均直径は、250マイクロメートル未満である、請求項1~8のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項10】
前記感熱層は、界面活性剤から構成される、請求項1~9のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項11】
界面活性剤は、ステアリン酸アンモニウムである、請求項10に記載のサーモグラフィー素材。
【請求項12】
前記素材は、熱溶媒から構成される、請求項1~11のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項13】
前記素材は、さらに第2の感熱層を含む、請求項1~12のいずれかに記載のサーモグラフィー素材。
【請求項14】
前記第2の感熱層は、熱溶媒からなる、請求項13に記載のサーモグラフィー素材。
【請求項15】
前記熱溶媒のLog Pは、前記エラストマーのLog Pの5単位(unit)以内である、請求項12に記載のサーモグラフィー素材。
【請求項16】
(a)着色層を可撓性素材上にオーバーコートすることと、
(b)第1の感熱層を着色層上にオーバーコートすることとを備え、第1の感熱層は、エラストマーおよびボイドで構成され、第1の感熱層は、そこに加えられる熱および圧力に応じて透明化可能になる、サーモグラフィー素材を作製する方法。
【請求項17】
(c)第1の感熱層上に感熱性発泡体層をオーバーコートすることと、
(d)感熱性発泡体層上に第2の感熱層をオーバーコートすることとをさらに備えた、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(c)第1の感熱層上に感熱性発泡体層をオーバーコートすることと、
(d)接着剤層を使用して、感熱性発泡体層上に2番目の感熱層を固定することとをさらに備えた、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(e)2番目の感熱層に対してバリアフィルムを固定することと、
(f)バリアフィルム上に耐熱トップコートをオーバーコートすることとをさらに備えた、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
印刷されていない素材のL*輝度は、50より大きいである、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
熱印刷された素材のL*輝度は、50未満である、請求項16~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
印刷されていない素材と熱印刷された素材との間のL*輝度の差は、20より大きい、請求項16~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
エラストマーは、35℃未満のガラス転移温度を有する、請求項16~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
第1の感熱層は、0.9g/cc未満の密度を有する、請求項16~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
着色層は、顔料からなる、請求項16~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
第1の感熱層の厚さは、1mm未満である、請求項16~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
ボイドの平均直径は、250マイクロメートル未満である、請求項16~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
感熱層は、界面活性剤により構成される、請求項16~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
界面活性剤は、ステアリン酸アンモニウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項30】
素材は、熱溶媒により構成される、請求項16~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
熱溶媒のLog Pは、エラストマーのLog Pの5単位(unit)以内である、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
優先権情報
【0002】
本願は、2021年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/213,818号からの米国特許法119条(e)に基づく優先権を主張する。2021年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/213,818号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
背景
【0004】
ダイレクトサーマルイメージングは、可変情報の印刷に広く使用されている。たとえば、このイメージング方法は、領収書、配送先住所ラベル、バーコード、航空会社の搭乗券などの印刷に一般的に使用される。ダイレクトサーマルイメージングまたは印刷は、感熱素材の特定の領域に熱を向けることによって実現され、加熱された領域の色に変化が生じる。感熱素材の画像通り(Image-wise)の加熱は、たとえばゼブラ社が提供するプリンターなどのサーマルプリンターを使用して達成される。
【0005】
このようなプリンターは、個別にアドレス指定可能な加熱素子の線形アレイで構成されるサーマルプリントヘッドを含んでおり、通常、プリントヘッドの直線センチメートルあたり60~236個のそのような加熱素子を含んでいる。サーマルプリントヘッドは、感熱素材と密接に接触して配置される。素材がプリントヘッドの下を移動すると、個々の加熱要素が画像通りのパターンで加熱され、感熱素材を横切る1つの完全なラインで印刷および画像形成する。一般的な印刷速度は、2.5センチメートル/秒から30センチメートル/秒の範囲である。
【0006】
ダイレクトサーマルイメージング素材は、ロイコ染料、現像薬、および増感剤を含む感熱層でコーティングされている。ロイコ染料は、pHの変化に応じて色が変化するラクトンベースの分子である。ロイコ染料は、印刷されていない感熱層では無色である。現像剤はルイス酸であり、増感剤は熱溶媒である。画像通りに加熱すると増感剤が溶解し、次にルイス酸現像薬が可溶化するとなり、感熱層のpHが低下し、ロイコ染料が無色状態から有色状態に変化する。
【0007】
ダイレクトサーマルイメージングは、高速かつ効率的なデジタル印刷方法として広く受け入れられている。しかしながら、ロイコ染料ベースのダイレクトサーマル素材には、日光への曝露による退色に対する印刷画像の安定性という重大な弱点がある。
【0008】
たとえば、米国特許第6,034,704号は、熱的に活性化された素材が、色褪せることが期待できる画像を生成することを開示している。感熱性の素材に印刷されたラベル、ファクシミリ、およびレシートは、暗い環境で保管しないとすぐに色あせてしまいる。多くのラベル貼り付け用途では、屋外での使用のために素材に可変の情報を印刷する必要があり、その結果、日光への曝露によって誘発される退色に対する良好な耐性が必要となる。米国特許第6,034,704号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
米国特許第8,536,087号は、可撓性素材上にコーティングされた着色料層によって構成された非ロイコ染料ベースのサーモグラフィー素材アセンブリを開示しており、サーモグラフィー素材アセンブリは着色料層を覆う感熱層によってさらに構成されており、感熱層は、バインダー、多数の中空の球体有機顔料、および熱溶媒によって構成される。中空球体の有機顔料は、その形態によって可視光を散乱させる能力があるため、白色である。米国特許第8,536,087号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
米国特許第8,536,087号は、ロイコ染料ベースのサーモグラフィー素材が太陽光の下で退色する傾向は、着色料層中に退色耐性のある顔料を使用することによって克服できることを教示している。‘087特許で採用されている不透明化層は着色料層を覆い、このサーモグラフィーイメージング素材に白に近い背景色を提供する。サーマルプリンターからの画像通りの熱により、感熱層が不透明から透明に変化し、印刷された下にある着色料層が現れる。この不透明度シフトは、感熱印刷プロセス中に感熱層に含まれる中空球体の有機顔料が崩壊することによって達成され、熱溶媒の融解によって促進される。しかし、中空球体の有機顔料は圧力を加えることで透明化することもある。このような望ましくない透明化は、サーモグラフィー画像素材に傷がついたりぶつけられたりしたときに発生する可能性があり、素材の耐久性を著しく損なう。
【0011】
米国特許第4,427,836号には、マイクロボイドによる構成された多段階のコア-シースポリマー分散液が記載されている。これらの中空の球状ポリマー粒子は、従来の無機顔料の補足または代替として、水性コーティング溶液中の不透明剤として特定の利点を有する。しかし、これらのポリマー粒子は溶媒耐性が低く、その使用はほぼもっぱら水性システムに限定されている。米国特許第4,427,836号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
ローム・アンド・ハース社の中空の有機顔料に関するマーケティング資料では、コーティング組成物中で中空球体の有機顔料と同様の溶解度パラメーターを持つ溶媒および可塑剤の使用を避けるよう警告している。このような溶媒は、層形成中に顔料のポリマーシェルを軟化させ、球体の崩壊を引き起こし得る。
【0013】
米国特許第8,054,323号および米国特許第10,427,440号には、着色層を覆う不透明ポリマー層により構成されたサーモグラフィー素材が開示されている。不透明なポリマー層に熱および圧力を加えるとそれは透明になり、その下にある着色層が現れる。米国特許第8,054,323号および米国特許第10,427,440号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
米国特許第8,054,323号に開示されているスチレンアクリルコポリマーなどの不透明ポリマーは、熱および圧力により透明化可能となる。しかし、サーマルプリンターでそのように利用できる熱および圧力は非常に限られている。着色層上で高い不透明度と被覆力を達成するには、不透明ポリマーを厚く堆積する必要があり、そのように厚く堆積したものをサーマルプリンターで層明化するのは困難である。
【0015】
米国特許第8,054,323号は、不透明度を改善するために、不透明ポリマー層に二酸化チタン顔料などの乳白剤を添加することを開示している。実際、そのような乳白剤の添加により、不透明ポリマー層の不透明度が大幅に改善される。しかし、このような顔料はサーマルプリンターの熱および圧力では透明化可能ではなく、層の透明化能力を大幅に低下させる。このような透明化は、人間や機械が読み取り可能なテキストやバーコードを堅牢に印刷するために必要な、色のコントラストの有用な変化を引き起こすために必要である。
【0016】
米国特許出願公開第2008/0254397号は、不透明なミクロボイド化された二軸延伸自己支持性ポリマーフィルムを透明化するプロセスを開示している。米国特許出願公開第2008/0254397号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
透明化プロセスは、画像通りの熱の適用を利用し、必要に応じて圧力を加える。ミクロボイド化されたフィルムは、米国特許出願公開第2008/0254397号に開示されているように、良好な不透明度および被覆力を提供し、サーモグラフィー画像形成能力を有する。
【0018】
ポリプロピレンなどの低融点ポリオレフィン樹脂をベースにしたミクロボイド化ポリマーフィルムは、圧力をかけると容易に透明になるため、引掻き傷や衝撃による損傷に対する耐性が劣る。ポリエチレンテレフタレートなどの高融点樹脂から調製されたミクロボイド化フィルムは、引掻き傷や衝撃による損傷に対してより耐性があるが、透明化するには大量の熱エネルギーと圧力を適用する必要がある。
【0019】
米国特許出願公開第2008/0254397号は、そのような透明化に影響を与えるための加熱されたはんだごての使用を開示している。このような量の熱エネルギーと圧力をサーマルプリンターで達成するのは困難であり、したがって、人間および機械が読み取り可能なテキストおよびバーコードの堅牢な印刷に必要な色のコントラストの有用な変化を引き起こすために必要な、高融点のミクロボイド化されたポリマーの透明化は達成されそうにない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、太陽光への曝露によって誘発される退色に対する良好な耐性、傷や衝撃による圧力に誘発された透明化に対する良好な耐性、サーマルプリンターでの画像形成に対する良好なサーモグラフィー感度、ならびに高度な白さおよび輝度を提供するサーモグラフィー素材アセンブリを提供することが望ましい。
【0021】
エラストマーは、伸張や圧縮などの優れた機械的回復応力を有することでよく知られている。以下の説明では、ゴムおよびエラストマーとは、周囲温度(Ambient Temperature)よりも低いガラス転移温度と高い破断伸び率を持つポリマー、コポリマー、および/または高分子を指す。対照的に、熱可塑性ポリマー、コポリマー、および/または高分子は、周囲温度より高いガラス転移温度および/または融点を持つ材料であり、通常、破断伸び率が低くなる。本発明の目的のために、エラストマーという用語は、周囲温度未満のガラス転移温度を有し、少なくとも約100%の破断伸びを有する、天然ゴムおよび合成ゴムを含むすべてのポリマーおよびコポリマーを表す。エラストマーはまた、ガラス転移温度が周囲温度より低く、破断点伸びが少なくとも約100%となるように可塑化されたすべての熱可塑性ポリマーをも含む。
【0022】
エラストマーは、伸長または圧縮応力にさらされた後でも元のサイズおよび形状に本質的に回復できる弾性特性を備えている。しかし、ほとんどのエラストマーはそれ自体ではあまり不透明ではない。エラストマーにガスの泡またはボイドを充填すると、圧縮からすぐに回復する柔らかいスポンジ状の素材、つまり発泡ゴムが作成されることが当業者に知られている。エラストマー内のガスの泡またはボイドの部分が増加すると、不透明度および白色度も増加する。
【0023】
Physical Review A、44(12)、R7902-R7906に掲載された、D. Durianらによるシェービングクリームなどの泡の物理的特性に関する科学的研究で、著者らは、薄い発泡体を通過する光の透過量が、泡内の泡のサイズに比例することを発見した。泡の層を透過するする光の量は、その不透明度の尺度になる。この研究から、気泡の平均サイズが小さいほど、不透明度が高くなることが推測できる。さらに、泡内の気泡の濃度が高いほど、不透明度は高くなる。
【0024】
熱可塑性ポリマーに気泡を充填すると、柔らかくて不透明な泡、つまり、ポリスチレン泡も生成される。しかし、そのような泡は圧縮応力から回復するのに必要な弾性を欠いており、引っ掻いたりぶつけたりすると永久に変形してしまう。
【0025】
以下の開示において、ボイドという用語は、固体物質内に形成される可能性のあるすべての気泡、穴、小胞、空洞、膨れ、間隙、亀裂などを表す。
【0026】
着色料および可撓性素材から構成されるサーモグラフィー素材アセンブリを提供することがさらに望まれ、サーモグラフィー素材アセンブリはさらに感熱層から構成され、感熱層は熱および圧力を加えると透明になる不透明な素材である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な説明
【0028】
以下の図面は、様々な実施の形態を説明することのみを目的としており、限定として解釈されるべきではない。
【
図2】延長印刷作業の過程における画質に関するサーモグラフィー素材の性能を評価するために利用できる2つの感熱印刷画像の概略図である。
【
図3】延長印刷作業の過程における画質に関するサーモグラフィー素材の性能を評価するために利用できる2つの感熱印刷画像の概略図である。
【
図4】サーモグラフィー素材を準備するためのフローチャートである。
【
図5】サーモグラフィー素材を準備するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
【0030】
一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同一または同等の要素を示すために同様の参照符号が全体にわたって使用されている。また、図面は正確な縮尺で描かれていない可能性があり、特徴および概念を適切に示すことができるように、特定の領域が意図的に不均衡に描かれている可能性があることにも留意されたい。
【0031】
一実施の形態では、人間および機械が読み取り可能な画像が、サーマルプリンターを用いて素材を直接加熱することによって印刷でき、屋内と屋外の両方の用途に適した十分な画像耐久性を備えるように、感熱材料、特に十分な視覚コントラストを発現できる直接熱画像形成素材が利用される。
【0032】
一実施の形態では、ボイド化エラストマーが本発明の感熱画像形成要素に使用される。
【0033】
別の実施の形態では、熱溶媒およびボイド化エラストマーが本発明の感熱画像形成要素に使用される。
【0034】
一実施の形態では、感熱材料、特に直接熱画像形成素材が提供され、この感熱材料は、サーマルプリントヘッドを用いた素材の直接加熱によって人間および機械が読み取り可能な画像を印刷できるように、十分な視覚コントラストを発現させることができ、屋内および屋外での用途に適した、画像の退色に対する十分な耐性を備えている。
【0035】
一実施の形態では、サーモグラフィー素材のサーマル印刷は、白色不透明層が透明になり、その下にある高い彩度の層が露出するように、熱および圧力を使用して視覚的なコントラストを生成し、素材の感熱層の光散乱能力を変化させる。
【0036】
この実施の形態のサーモグラフィー材料は、レシート、チケット、ラベル、タグ、バーコードなどの様々なデジタル感熱印刷用途に適した可撓性素材に適用される感熱層により構成されることが好ましい。感熱層は、ボイド化されたエラストマー、ホワイトナー、界面活性剤、増粘剤、バインダー、および任意選択で熱溶媒および/または着色料から構成される。
【0037】
熱溶媒は、ボイド化されたエラストマーと同様の好ましい溶解特性を有する固体物質である。サーマル印刷プロセスから導かれた熱および圧力が感熱層に加えられると、感熱層の不透明度が低下し、下にある着色層が透けて見えるようになる。
【0038】
一実施の形態では、感熱印刷プロセスから感熱層に伝えられる熱および圧力により、熱溶媒が溶融し、それが次に感熱層の不透明度の減少を促進するのに役立ち、下にある着色層が透けて表示されるにようにする。
【0039】
この実施の形態は、光退色しやすいロイコ染料ベースのサーモグラフィー化学物質に依存しない。さらに、この実施の形態は、光にさらされると背景濃度が増加する傾向がある鉄ベースのサーモグラフィー化学物質に依存しない。この実施の形態は、下地となる素材または感熱層の一部として、従来の着色顔料を利用することができる。
【0040】
多くの着色顔料は、当業者にとって、光、特に太陽光への曝露による退色に耐性があることが知られている。この固有の利点により、屋外用途に適したダイレクトサーマル印刷可能な素材を準備できるようになる。
【0041】
この実施の形態では、ボイド化されたエラストマーにより構成された白色不透明の感熱層が、着色素材上にコーティングされてもよい。サーマルプリントヘッドからの熱および圧力により、白色の不透明な感熱層が十分に透明になり、その下にある着色素材が現れ、人間および機械が読み取り可能な画像を読み取ることができるように、素材の加熱部分と非加熱部分との間に十分な視覚的なコントラストが現れる。
【0042】
一実施の形態では、白色不透明の感熱層は、着色素材上にコーティングされたボイド化されたエラストマーおよび熱溶媒から構成される。サーマルプリントヘッドからの熱および圧力により、白色の不透明な感熱層が十分に透明になり、その下にある着色素材が現れ、人間および機械が読み取り可能な画像を読み取ることができるように、素材の加熱部分と非加熱部分との間に十分な視覚的なコントラストが現れる。
【0043】
別の実施の形態では、ボイド化されたエラストマー層および熱溶媒層により構成された白色不透明な感熱層が着色素材上にコーティングされ、そのような層の両方がサーモグラフィー素材の不透明度および輝度に寄与する。サーマルプリントヘッドからの熱および圧力により、白色不透明な感熱層が十分に透明になり、その下にある着色素材が現れ、素材の加熱部分と非加熱部分との間に、人間および機械が読み取り可能な画像を読み取ることができるように、十分な視覚的なコントラストが現れる。
【0044】
別の実施の形態では、感熱層は、光を吸収できる顔料をさらに含んでもよい。このような感熱層は、最初に可撓性素材に適用されたときは不透明で、色の彩度が低い。しかし、サーマルプリントヘッドで加熱すると、そのような層はより透明になり、着色顔料が層に彩度を与えることができる。このような顔料化された感熱層は、人間および機械が読み取り可能な画像を読み取ることができるように、素材の加熱部分と非加熱部分との間に十分な視覚的コントラストを発生させる。
【0045】
一実施の形態では、可撓性素材は、顔料化された感熱層で最初にコーティングされ、次に顔料化された層は白色の不透明な感熱層でオーバーコートされる。この実施の形態では、サーマルプリントヘッドからの熱がすべての層を透明化し、その下にある顔料層の彩度を高めることができる。下にある顔料化された感熱層は、最初は彩度が低いため、背景濃度が低く輝度が高い感熱素材を生成するには、より薄い白色不透明の感熱オーバーコートが必要である。背景色の彩度が低い感熱素材は、サーマルプリントヘッドからの熱を選択的に加えることにより、高い彩度のマークを現像することができ、視覚的なコントラストが高いという利点があり、人間や機械が読み取り可能な用途に非常に適している。
【0046】
図1は、以下に説明するプロセスに従って製造されたサーモグラフィー素材10を示す概略図である。
【0047】
以下の説明で使用される用語「素材」は、感熱性組成物の1つ以上の層でコーティングされた可撓性の材料または支持体を指す。限定ではなく例示として、米国特許第7,182,532号、第6,694,885号、第7,507,453号、および第5,665,670号に記載されている1つ以上の素材を使用することができる。米国特許第7,182,532号、第6,694,885号、第7,507,453号、および第5,665,670号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
図1に示す実施の形態では、素材101は、紙などのセルロース系材料の少なくとも約80重量パーセントを含むか、または紙などのセルロース系材料から実質的になることが好ましい。
【0049】
紙が素材101として使用される場合、紙は、好ましくは、1平方メートル当たり少なくとも約45から約200グラムの単位面積当たりの重量を有する。一実施の形態では、紙の坪量は1平方メートル当たり約45から約65グラムである。
【0050】
一実施の形態では、素材101は、漂白針葉樹および広葉樹繊維から作られた1平方メートル当たり90グラムの坪量の紙である。この実施の形態の一の局面では、この紙の表面はデンプンでサイズ加工されている。
【0051】
一実施の形態では、素材101は、約1~約150シェフィールド単位、より好ましくは約1~約50シェフィールド単位のシェフィールド平滑度を有する。シェフィールド平滑度を決定する手段は、たとえば米国特許第5,451,559号、第5,271,990号、第5,716,900号、第6,332,953号、および第5,985,424号によってよく知られている。米国特許第5,451,559号、第5,271,990号、第5,716,900号、第6,332,953号、および第5,985,424号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
一実施の形態では、素材101は、天然紙と合成紙の層状複合材料から構成されてもよい。したがって、一例として、Pixelle Specialty Solutions Companyによって販売されている1つ以上の紙を使用することもでき、Unitherm紙を使用することもできる。
【0053】
このような紙は、好ましくは針葉樹と広葉樹のクラフト、再生紙、充填剤、および添加剤の混合物であり、かつ酸性のpHを有するセルロース完成紙料から製造される。セルロース完成紙料にサイズ剤を添加すると、耐吸水性が向上する。紙は従来の製紙機で製造されてもよい。
【0054】
紙素材の坪量は、約30ポンド/3000平方フィートから約55ポンド/3000平方フィートの範囲であり得る。ウェブが形成された後、第1の側または表側は、機械でグレージングされるか、ヤンキーシリンダーで拘束乾燥される。紙の表側は、任意のコーティング技術またはブレードコーターなどの装置を使用した従来の方式で、エナメルコーティングなどの印刷受容コーティングでコーティングされてもよい。紙は、1つ以上の顔料、1つ以上のバインダー、および塩でコーティングされていてもよい。顔料は、コーティングに滑らかな表面を提供するために選択される。好ましい顔料は、粘土、マガディアイト、およびそれらの混合物である。マガディアイトは板状の合成ナノ顔料である。コーティングバインダーはデンプンであってもよい。
【0055】
この実施の形態の別の局面では、素材101は、任意で、粘土または炭酸カルシウムで処理された合成紙から構成される。これらの合成紙は当業者によく知られている。
【0056】
たとえば、Hop Industries Corporationによって販売されている合成紙であるHOP 5.9マイクロメートルの合成紙またはDLIグレードの「HOP-SYN合成紙」のうち1つ以上を使用することができ、DLIグレードの「HOP-SYN合成紙」は、粘土改質ポリプロピレンであり、粘土、炭酸カルシウム、ポリプロピレン樹脂の混合物から製造された、カレンダー加工されたプラスチックシートである。
【0057】
さらに、Oji-Yuka Syntehtic paper Co.,からの「Yupo合成紙」として入手可能な合成紙、Arjobexから入手可能な「Polyart合成紙」、またはNeenah paper Corporationが販売する「Kimdura合成紙」のうち1つ以上のもの(配向ポリプロピレンおよびポリエチレンベースの合成紙)を使用することもできる。これらの合成紙および他の合成紙はよく知られており、米国特許第5,474,966号、第6,086,987号、第7,858,161号、および第5,108,834号、ならびに米国特許出願公開第2003/0089450号に開示されている。米国特許第5,474,966号、第6,086,987号、第7,858,161号、および第5,108,834号、ならびに米国特許出願公開第2003/0089450号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
一実施の形態では、素材101は、少なくとも80重量パーセントのポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリエチレン-コプロピレンなどの合成ポリマー材料であってもよい。
【0059】
一実施の形態では、素材101は、少なくとも約90重量パーセントのポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリブチレン、ポリビニル塩化物、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびそれらの混合物を含む。
【0060】
素材101は、好ましくは約25マイクロメートルから約250マイクロメートルの厚さ106を有する。支持体の厚さは、素材101全体にわたって約15パーセントを超えて変化しないことが好ましい。
【0061】
一実施の形態では、素材101は、1センチメートル当たり30ダインを超える表面エネルギーを有する。米国特許第5,121,636号、第6,225,409号、第6,221,444号、第6,075,965号、第6,007,918号、および5,777,014号は、表面エネルギーおよびそれを測定するための手段を開示している。米国特許第5,121,636号、第6,225,409号、第6,221,444号、第6,075,965号、第6,007,918号、および5,777,014号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
一実施の形態では、素材101は、1センチメートル当たり約40ダインを超える表面エネルギーを有する。
【0063】
一実施の形態では、素材101は、少なくとも80重量パーセントのポリエチレン、ポリビニル塩化物ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ナイロン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルロースニトリエート、ポリ乳酸などの合成高分子樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性プラスチックから構成されるそのような合成素材101は、均一な厚さと高い表面平滑性のフィルムを形成するために押出成形され、二軸延伸されてもよい。熱可塑性プラスチックからなる多層素材101は、複合フィルム素材が調製されるように一緒に共押出されてもよい。このような多層素材は、コアからスキンまで組成が異なっていてもよい。一実施の形態では、多層素材101のコアはミクロボイド化されているが、表面スキンにはボイド化されていない。
【0064】
米国特許第5,604,078号には、様々なミクロボイド化された素材が記載されている。米国特許第5,604,078号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
米国特許第5,604,078号に開示されているように、マイクロボイド化された複合包装フィルムは、コアおよび着色層の共押出しとその後の二軸延伸によって都合よく製造され、それによってコア層に含まれるボイド開始材料の周囲に、ボイドが形成される。このような複合フィルムは、例えば米国特許第4,377,616号に開示されている。
【0066】
複合フィルムのコアは、フィルムの全厚の15~95%、好ましくは全厚の30~85%であるべきである。したがって、ボイドのないスキンはフィルムの5~85%、好ましくは厚さの15~70%であるべきである。複合フィルムの密度(比重)は0.2~1.0g/cm3、好ましくは0.3~0.7g/cm3であるべきである。コアの厚さが30%未満になるか、または比重が0.7g/cm3を超えて増加すると、複合フィルムは有用な圧縮性および断熱特性を失い始める。コアの厚さが85%を超えて増加するか、または比重が0.3g/cm3未満になると、複合フィルムは引張強度の低下により製造可能でなくなり、物理的損傷を受けやすくなる。
【0067】
複合フィルムの全体の厚さは、20~150μm、好ましくは30~70μmの範囲とすることができる。30μm未満では、マイクロボイド化されたフィルムは、支持体に固有の非平面性を最小限に抑えるのに十分な厚さでない可能性があり、製造がより困難になる。厚さが70μmを超えると、印刷の均一性や熱効率の改善はほとんど見られないため、追加の材料のコストをさらに増加させる正当性はほとんどない。
【0068】
米国特許第4,377,616号は、「ボイド」にはガスが含まれている可能性が高いが、ボイドとは固体および液体物質が添加されていないことを意味することを開示している。所望の形状およびサイズのボイドを生成するために、完成した包装フィルムコアに残るボイド開始粒子は、直径0.1~10μmであるべきであり、好ましくは円形であるべきである。ボイドのサイズは、縦方向および横方向の配向度にも依存する。理想的には、ボイドは、対向しエッジが接触する2つの凹面ディスクによって画定される形状をとる。言い換えれば、ボイドはレンズ状または両凸の形状を持つ傾向がある。ボイドは、2つの主要な寸法がフィルムの縦方向と横方向に揃うように配向されている。Z方向の軸は、主要ではない寸法であり、おおよそボイド形成粒子の横断直径のサイズである。ボイドは一般的に、独立気泡である傾向があり、したがって、気体または液体が通過できる、空隙のあるコアの一方の側からもう一方の側へ開いた経路は事実上存在しない。米国特許第4,377,616号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
再び
図1を参照して、別の実施の形態では、そのような素材101は、溶媒から滑らかなドラム上に堆積され、乾燥されてもよい。
【0070】
一実施の形態では、素材101は、セルロース、セルロース誘導体、ポリ乳酸などの再生可能材料から構成される。
【0071】
本発明に使用可能な素材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、変性ポリフェニレンエーテルフィルム、およびポリアセタールフィルムなどのポリエステルフィルム、およびこのタイプの記録メディアのサポートに一般的に使用されるその他の各種プラスチックフィルムが好ましい。
【0072】
好ましい実施の形態では、素材101は、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルロース硝酸塩、およびポリ乳酸などの合成高分子樹脂から本質的になるか、または少なくとも80重量パーセントのこれらの合成高分子樹脂を含む。
【0073】
一実施の形態では、コーティングされていない素材101は、1センチメートル当たり35ダインを超える表面エネルギーと、約10から約150シェフィールド単位の平滑度とを有する。
【0074】
再び
図1を参照すると、一実施の形態では、素材101は、好ましくは樹脂により構成された着色層201でコーティングされ、この着色層201に隣接する紙である。紙は、1平方メートル当たり10~40グラムのコート重量で樹脂によって押出コーティングされてもよい。この実施の形態では、樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびそれらの混合物などのポリオレフィンを含む。樹脂は、約200℃から約300℃の温度での押出成形手段でコーティングされてもよい。樹脂の押出コーティングは、米国特許第5,104,722号、第4,481,352号、第4,389,445号、第5,093,306号、および第5,895,542号に開示されているようによく知られている。米国特許第5,104,722号、第4,481,352号、第4,389,445号、第5,093,306号、および第5,895,542号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
一実施の形態では、素材101は白色である。別の実施の形態では、素材101は着色されており、着色料から構成される。着色料という用語は、本明細書の他の場所で定義される。
【0076】
再び
図1を参照すると、一実施の形態では、素材101は、着色層201でオーバーコートされてもよい。着色層201は、1つ以上の着色剤202およびバインダー203から構成される。着色剤202は層に色を与え、染料および/または顔料で構成される。バインダー203は、着色料を素材101に結合し、ポリマー、樹脂、ワックスなどから構成される。一例として、そのようなバインダー203は、米国特許第4,521,494号に記載されているようなものであってもよい。米国特許第4,521,494号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
一実施の形態では、着色層201は、1センチメートル当たり30ダインを超える表面エネルギーを有していてもよい。
【0078】
一実施の形態では、着色層201は、素材101上にコーティングされると、1センチメートルあたり少なくとも35ダインの表面エネルギーを持つ滑らかな表面を提供する材料を含んでいてもよい。着色層201は、任意選択で、表面エネルギーを1センチメートルあたり少なくとも40ダインまで上昇させるために、火炎、プラズマ、またはコロナによって処理されてもよい。
【0079】
一実施の形態では、および着色層コーティング201は、実質的に滑らかであってもよい。一の局面では、コーティングされた素材は、約1~約150シェフィールド単位、より好ましくは約1~約50シェフィールド単位のシェフィールド平滑度を有する。
【0080】
再び
図1を参照すると、
図1に示される実施の形態では、着色層201は、素材101をコーティングする際に所望の表面エネルギーおよび平滑性を生み出す任意の組成物とすることができる。硬化または未硬化のポリウレタン、ポリビニルクロリド、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリ尿素、および/またはそれらの組み合わせを利用することができる。
【0081】
一実施の形態では、再び
図1を参照すると、着色層201はボイドから構成されてもよい。
【0082】
着色層201は、着色層201中の着色剤202およびバインダー203の乾燥重量に基づいて、約5~約95パーセントの濃度で1つまたは複数の熱可塑性バインダー材料203を含んでいてもよい。一実施の形態では、バインダー203は、約66~約95パーセントの濃度で存在する。別の実施の形態では、着色層201は、約75~約90重量パーセントのバインダー203を含む。
【0083】
当業者に知られている、または米国特許第6,127,316号、第6,124,239号、第6,114,088号、第6,113,725号、第6,083,610号、第6,031,556号、第6,031,021号、第6,013,409号、第6,008,157号、および第5,985,076号に開示されているポリマーバインダー203のうち任意のものが用いられてもよい。
【0084】
米国特許第6,127,316号、第6,124,239号、第6,114,088号、第6,113,725号、第6,083,610号、第6,031,556号、第6,031,021号、第6,013,409号、第6,008,157号、および第5,985,076号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
1つ以上のカルボキシル基、ヒドロキシル基、塩化物基、カルボン酸基、ウレタン基、アミド基、アミン基、尿素、エポキシ樹脂、それらの混合物などのような多数の極性部分を有するバインダー203を使用してもよい。このクラス内のいくつかの適切なバインダーには、ポリエステル樹脂、ビスフェノール-Aポリエステル、ポリビニルクロリド、テレフタル酸から作られたコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ビニルクロリド/ビニルアセテート樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ウレタンホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、それらの混合物などが含まれる。
【0086】
一実施の形態では、バインダー203は、2つ以上の合成樹脂の混合物を含んでもよい。約40~約60重量パーセントのポリメチルメタクリレートおよび約40~約60重量パーセントのビニル塩化物/ビニル酢酸樹脂を含む混合物を使用することができる。この実施の形態では、これらの材料は集合的にバインダーを構成する。
【0087】
一実施の形態では、およびバインダー203は、10~30パーセントのポリブチルメタクリレートおよび50~80パーセントのポリメチルメタクリレートを含む、ポリブチルメタクリレートおよびポリメチルメタクリレートを含んでもよい。一実施の形態では、このバインダーは、セルロースアセテートプロピオネート、エチレンビニルアセテート、ビニルクロリド/ビニルアセテート、ウレタンなどを含む。
【0088】
再び
図1を参照すると、任意の着色層201は着色剤202を含んでもよい。着色剤202は、1つ以上の色素または顔料を含んでもよい。
【0089】
一実施の形態では、1つ以上のそのような着色料は、有機または無機であり得る光安定性顔料である。HerbstとHungerは、著書「工業有機顔料」の中で、着色料を染料または顔料として分類している。顔料は、それらが組み込まれる媒体に実質的に不溶性の、無機または有機の、有色、白色または黒色の物質として定義される。ほとんどの無機顔料は太陽光への曝露による退色に対して安定しているが、それらの色は多くの場合鈍く、多くの色相を作り出すことができない。一方、有機顔料は多数の色相を作り出すことができるが、退色に対する耐性はその化学構造と結晶形に大きく依存する。
【0090】
一実施の形態では、着色剤202は、カーボンブラックだけでなく、様々な有機および無機の顔料である。このような有機および無機顔料の例には、アゾ顔料(モノアゾイエローおよびオレンジ、ジスアゾ、ベータナフトール、ナフトールASレッド、アゾレーキ、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、金属錯体アゾ、イソインドリノン、イソインドリンなど)、多環式顔料(キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、およびチオインジゴなど)、アントラキノン顔料(アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンサントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、およびキノフタロンなど)、フタロシアニン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、ニグロシン顔料、チタンホワイト、炭酸カルシウム、および硫酸バリウムが含まれる。このような顔料は、インク層の色を調整するために染料と組み合わせて使用されてもよい。インク層中の着色剤の含有量は、好ましくは約1パーセント~約50パーセント、より好ましくは約5パーセント~約33パーセントである。
【0091】
着色剤202は、着色層201のバインダー203に溶解した可溶性染料の形態をとってもよい。好ましくは、着色剤202は、着色層201のバインダー203に分散された顔料から構成される。加えて、分散剤、レオロジー調整剤、消泡剤、界面活性剤、湿潤剤などの当業者に知られている任意の添加剤も、必要に応じて含まれてもよい。
【0092】
一実施の形態では、着色層201を調製するために使用されるコーティング流体は、界面活性剤から構成される。界面活性剤(Surfactants)は、ウェブスターの第3国際辞典(全版)で「界面活性剤(surface active agents)」として定義されている。コーティング組成物における界面活性剤の使用は、米国特許第4,370,412号に開示されている。米国特許第4,370,412号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
界面活性剤は、液体の表面張力、2つの液体間の界面張力、または液体と固体との間の界面張力を下げる化合物である。界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および分散剤として使用される。界面活性剤は通常、両親媒性の有機化合物であり、両親媒性とは、疎水性基(尾部)と親水性基(頭部)との両方を含むことを意味する。したがって、界面活性剤分子は、水不溶成分(油溶性成分)と水溶性成分との両方を含んでいる。
【0094】
界面活性剤は、液体と気体との界面で吸着して水の表面張力を低下させる。加えて、液体-液体界面で吸着することにより、油と水との間の界面張力を低下させる。界面活性剤は、多くの場合、陰イオン、カチオン性、非イオン性、および双性イオン性(二重電荷)という4つの主要なグループに分類される。
【0095】
一実施の形態では、着色層201は消泡剤から構成されてもよい。被覆層における消泡剤の使用は、米国特許第6,331,585号に開示されている。米国特許第6,331,585号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
消泡剤の作用は、ウェブスターの第3国際辞典(全訳)で「泡を除去する」と定義されている。したがって、消泡剤(deformer)または消泡剤(anti-forming agent)は、工業用プロセス液体における泡の形成を減少させ、妨げる化学添加剤である。
【0097】
一般に、消泡剤は発泡媒体に不溶であり、界面活性特性を持っている。消泡剤の重要な特徴は、低い粘度と、泡状の表面に急速に広がる機能である。消泡剤は気-液表面に対して親和性があり、そこで泡を不安定にし、気泡の破裂および表面泡の破壊を引き起こす。消泡剤はまた、取り込まれた気泡が凝集してより大きな気泡を形成するのを助け、その結果、バルク液体の表面をより速く上昇させることができる。消泡剤には、油ベース、粉末、水ベース、シリコーンベース、およびアルキルポリアクリレートなど、いくつかの異なるタイプがある。
【0098】
消泡剤はよく知られており、米国特許第7,910,633号に開示されている。米国特許第7,910,633号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
一実施の形態では、着色層201は、顔料ベースの着色剤202の分散を促進するために分散剤をも含むことができる。分散剤は、米国特許第4,522,654号などの分散プロセスにおいて、顔料凝集体をそれらの主な粒子に分離するのに役立つ界面活性化合物である。米国特許第4,522,654号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
一実施の形態では、着色料202は、Naphthol Yellow S、Hansa Yellow 5G、Hansa Yellow 3G、Hansa Yellow G、Hansa Yellow GR、Hansa Yellow A、Hansa Yellow RN、Hansa Yellow R、Benzidine Yellow、Benzidine Yellow G、Benzidine Yellow GR、Permanent Yellow NCG、およびQuinoline Yellow Lake、Permanent Red 4R、Brilliant Fast Scarlet、Brilliant Carmine BS、Permanent Carmine FB、Lithol Red、Permanent Red F5R、Brilliant Carmine 6B、Pigment Scarlet 3B、Rhodamine Lake B、Rhodamine Lake Y、およびArizalin Lake、Victoria Blue Lake、金属不使用のPhthalocyanine Blue、Phthalocyanine Blue、およびFast Sky Blue、およびRhodamine、Victoria Blue、およびカーボンブラックなどの染料などの透明有機顔料のうち1つ以上により構成されていてもよい。これらの着色剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用することができる。
【0101】
本明細書において使用される場合、「透明な顔料」という用語は、着色層201のバインダー203に分散された場合に透明な着色インクを与える顔料を指す。
【0102】
一実施の形態では、着色剤202は、1つ以上の無機顔料を含んでもよい。したがって、たとえば、青色の着色料は、コバルト、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、亜鉛などの酸化物を含むことができる。したがって、たとえば黄色の着色料は、鉛、アンチモン、亜鉛、チタン、バナジウム、金などのうち1つ以上の酸化物を含むことができる。したがって、たとえば赤色の着色料は、クロム、鉄(2価状態)、亜鉛、金、カドミウム、セレン、または銅のうちの1つ以上の酸化物を含むことができる。したがって、たとえば黒色の着色料は、銅、クロム、コバルト、鉄(プラス2価)、ニッケル、マンガンなどの金属の酸化物を含むことができる。さらに、一般に、カルシウム、カドミウム、亜鉛、アルミニウム、シリコンなどの酸化物により構成された着色料が使用されてもよい。
【0103】
好適な顔料および着色料は、当業者によってよく知られており、米国特許第6,120,637号、第6,108,456号、第6,106,910号、第6,103,389号、第6,083,872号、第6,077,594号、第6,075,927号、第6,057,028号、第6,040,269号、第6,040,267号、第6,031,021号、第6,004,718号、および第5,977,263号によって開示されている。米国特許第6,120,637号、第6,108,456号、第6,106,910号、第6,103,389号、第6,083,872号、第6,077,594号、第6,075,927号、第6,057,028号、第6,040,269号、第6,040,267号、第6,031,021号、第6,004,718号、および第5,977,263号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
着色層201は、好ましくは、約0.01マイクロメートルから約25マイクロメートルまでの厚さ206を有する。
【0105】
一実施の形態では、着色層201は、約0.1マイクロメートルから約10マイクロメートルの厚さ206を有する。
【0106】
別の実施の形態では、着色層201は、約0.5マイクロメートルから約5マイクロメートルの厚さ206を有する。
【0107】
再び
図1を参照すると、示されている実施の形態では、感熱層301は熱溶媒303と任意のバインダー302とから構成されている。感熱層301は不透明であり、光の一部がその層を直接通過するのを遮断する。素材10の着色層201上にコーティングされた場合に、感熱層301は、サーモグラフィー素材10の輝度を増加させる。
【0108】
一実施の形態では、感熱層301は、1つ以上の熱溶媒303から構成されている。当業者に知られている熱溶媒のいくつかが本明細書に記載されている。他の多くの従来技術の熱溶媒も使用されてもよいことを理解されたい。
【0109】
ウェブスターの第3国際辞典(全版)では、溶媒を「1つ以上の他の物質を溶解または分散できる、または1つ以上の他の物質の溶解または分散に使用される物質」と定義している。熱溶媒は熱により活性が高まる化合物で、感熱層のさまざまな成分の溶媒として作用し、高温での感熱層および不透明層の透明化を促進する。
【0110】
一実施の形態では、着色層201上に感熱層301が直接コーティングされる。
【0111】
別の実施の形態では、感熱層501は、感熱性発泡体層401上に直接コーティングされる。
【0112】
別の実施の形態では、感熱層301が着色層201上にコーティングされ、感熱性発泡体層401が層301上にオーバーコートされ、感熱層501が層401上にコーティングされる。
【0113】
別の実施の形態では、感熱層501は、サーモグラフィー素材906のバリアフィルム602上にコーティングされ、感熱性発泡体層401上に積層される。
【0114】
別の実施の形態では、感熱層501がバリアフィルム602上にコーティングされ、接着層1101が感熱層501に塗布され、耐熱トップコート701がバリアフィルム602の上面604上にコーティングされて、サーモグラフィーバリアフィルム906を形成し、次に、感熱素材806の感熱性発泡体層401上に積層されて、サーモグラフィー素材10を形成する。
【0115】
感熱印刷プロセス内のサーモグラフィー素材10に熱および圧力を加えると、熱溶媒303が溶融し、感熱層301および/または501が透明化される。加えて、層301および/または501からの溶融熱溶媒303は、不透明な感熱性発泡体層401の透明化を促進する。層401を透明化するためのこの機能は、熱溶媒303の溶解特性が、不透明な感熱性発泡体層401に使用されているエラストマーの溶解特性と類似している場合に増大する。
【0116】
感熱層301および501は、水中に懸濁された熱溶媒303の粒子を含む分散液からコーティングされる。熱溶媒分散液のコーティングおよび乾燥の後、感熱層301が形成される。感熱層301は不透明であり、着色層201を覆い隠している。感熱層501は不透明で、感熱発泡体層401を覆っている。層301、401、および501が着色層201を覆い隠している程度は、着色層201の上に層をコーティングした後のサーモグラフィー素材10の輝度(L*)の増加によって測定できる。
【0117】
輝度(L*)は、素材の光反射率の測定値である。L*の測定は、国際照明輝度委員会によってL*a*b*色空間(CIELABとも呼ばれる)で特定される。CIELABは、物品の3次元色空間を、明るい(白)から暗い(黒)までのL*輝度座標、赤から緑までのa*色度座標、および黄色から青までのb*色度座標で定義する。L*値は2°の視野角で測定され、その値は最も暗い値0(黒)から最も明るい値100(白)までである。
【0118】
熱溶媒を含む不透明な感熱層は、着色層201でコーティングされた素材101の輝度を、15未満のL*から70より大きいL*まで増加させる。このような感熱層は、サーマルプリンターによって供給される熱および圧力を用いて透明化可能となり、印刷領域の輝度を15未満のL*に低下させ、人間および機械が読み取り可能な情報に良好な印刷コントラストを提供する。しかし、感熱層は粒子状で連続膜を形成しないため、傷耐久性が劣る。好ましい実施の形態では、感熱層301および501は、不透明な感熱性のボイド化されたエラストマー層と組み合わせて使用され、その組み合わせにより、サーモグラフィー素材10に高い輝度、良好な感熱印刷感度(容易に透明化される)、および良好な耐久性(耐傷性、打痕性、色褪せ性)が提供される。
【0119】
熱溶媒の例は、米国特許第5,320,929号に開示されている。米国特許第5,320,929号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
熱溶媒は、米国特許第5,436,108号、第5,328,799号、第6,596,470号、および第6,790,569号に開示されているように、光サーモグラフィー画像形成要素に広く使用されている。米国特許第5,436,108号、第5,328,799号、第6,596,470号、および第6,790,569号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
米国特許第5,436,109号は、写真サーモグラフィー画像形成システムにおける熱溶媒の使用を開示している。
【0122】
アルキルおよびアリルアミドは、米国特許第4,770,981号において「熱溶媒」として開示されており、様々なベンズアミドが米国特許第4,983,502号において「熱溶媒」として開示されている。米国特許第4,770,981号および第4,983,502号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
ポリグリコール、ポリエチレン酸化物の誘導体、ミツロウ、モノステアリン、およびアセトアミド、エチルカルバメート、尿素、メチルスルホンアミド、極性物質などの-SO2-または-CO-基を有する高誘電率化合物が、米国特許第3,667,959号に記載されており、4-ヒドロキシブタン酸のラクトン、アニス酸メチル、および関連化合物が、そのようなシステムにおける熱溶媒として開示されている。米国特許第3,667,959号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
これらのシステムにおける熱溶媒の役割は明らかではないが、そのような熱溶媒が熱現像時の反応物質の拡散を促進すると考えられている。米国特許第4,584,267号は、熱現像可能な感光性材料における「熱定着器」として同様の成分(アニス酸メチルなど)を使用することを開示している。米国特許第4,584,267号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
熱溶媒303は、サーマルイメージングプリンタで達成できる温度および圧力条件で感熱発泡体の崩壊を促進することもできる。一部の感熱性発泡体層401は熱溶媒303の助けなしで潰れて透明化できるが、他のものは熱溶媒303の存在なしでは感熱印刷プロセス内で完全に潰れない。
【0126】
サーマルプリンターが感熱層で達成できる温度は高くてもよいが(200~400℃)、層内のそのような温度の存続時間は比較的短い(1ミリ秒未満)。サーマルプリンターのプリントヘッドとプラテンローラーとの間に見られる極端な条件であっても、通常、多くのボイド化されたエラストマーが十分に緩和して崩壊し、含まれているガスを放出するのに必要な十分な熱、圧力、および時間は無い。特定の熱溶媒は、加熱の時間スケールでサーマルプリンターによって供給される熱および圧力と積極的に相互作用して、発泡体層401内のボイド化されたエラストマーの崩壊を促進することができ、特に、システムに1つ以上の適切な熱溶媒を使用すると、そのような崩壊に必要なエネルギーが低下し、その結果、透明化される。
【0127】
感熱層301に組み込まれる熱溶媒303は、非熱画像領域における層の不透明度を維持するために、層内のエラストマー402との結合または層内のエラストマー402への溶解が防止されることが好ましい。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、出願人は、感熱発泡体の早期崩壊により層401の透明性が増加し、感熱画像形成層としての層の機能を打ち負かすであろうと信じている。
【0128】
多くの方法で、エラストマーバインダー402から熱溶媒303を分離することができる。熱溶媒303は、感熱層401に隣接する層に薬剤をコーティングすることによって感熱性発泡体層401から物理的に分離することができ、または代替的および付加的に、感熱層内に熱溶媒を固体の結晶性粒子として分散させることもできる。熱溶媒303はまた、カプセル化されて感熱層401内に分散されてもよく、この場合、カプセルは熱印刷プロセス中に壊れるか破砕されて熱溶媒を放出し、感熱層401の崩壊および透明化を促進する。
【0129】
固体分散熱溶媒の粒子サイズは、好ましくは5マイクロメートル未満、より好ましくは1マイクロメートル未満、最も好ましくは0.4マイクロメートル未満である。
【0130】
固体熱溶媒303は、非晶質、結晶質、または半結晶質のいずれであってもよい。結晶質または半結晶質の薬剤303の場合、融点は、好ましくは200℃未満、より好ましくは150℃未満、最も好ましくは100℃未満である。極性ワックスは熱溶媒303として機能する。
【0131】
一実施の形態では、熱溶媒は、好ましくはボイド化されたエラストマーと同様の溶解特性を有する。ヒルデブランド溶解度パラメーターは、米国特許第7,465,343号に記載されている。米国特許第7,465,343号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
Prasad特許で議論されているヒルデブランドの溶解度パラメーターは、Billmeyerの「Textbook of Polymer Science」、第2版、Wiley-Interscience、ニューヨーク、1962年でも議論されている。そのようなテキストで開示されているように、ヒルデブランドの溶解度パラメーターは、材料の凝集エネルギー密度(エネルギー/単位容積)の平方根である。したがって、溶解度パラメーターは、カロリー/立方センチメートルの平方根、またはSI単位のジュール/立方メートルである。SI単位では、パスカルは1ジュール/立方メートルとして定義される。したがって、この明細書では、溶解度パラメーターの単位はメガパスカルの平方根またはMPa1/2と参照される。
【0133】
溶解度パラメーターは、多くの科学論文や書籍で説明されている。たとえば、高分子学会編「ポリマーデータハンドブック基礎編」(培風館発行)には、溶媒ごとの溶解度パラメーターの表が掲載されており、本発明に適した熱安定化溶媒の選択について判断が可能である。溶解度パラメーターを考慮した他の参考文献には、Ind. Chem. Prod. Res. Dev. 8,Mar. 1969, p.2-11, Chemical Reviews, 75(1975), p.731-753,およびEncyclopedia of Chemical Technology, 2nd Edition, Supplement Volume (1971), p.889-910.が含まれる。
【0134】
適切な熱溶媒303は、高温条件下で、溶解、膨潤、可塑化、または感熱性発泡体と混合する。熱溶媒303は固体状態にあるため、まずサーマルプリンターから供給される熱で溶融または液化してから、拡散、毛細管現象、流れなどによって感熱性の発泡体と直接接触する必要がある。
【0135】
米国特許第7,041,369号によれば、相溶性のある材料の溶解度パラメーターの差は約10MPa1/2未満である。米国特許第7,041,369号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、本発明者らは、熱溶媒の溶解度パラメーターが材料の約10MPa1/2以内である場合、熱溶媒303が感熱性発泡体層401の熱誘起崩壊を促進すると考えている。ポリスチレンの溶解度パラメーターは、Polymer Handbook, 3rd Edition, John Wiley & Sons, NY 1989, pp. VII 554-555に報告されており、15.6~21MPa1/2の範囲である。
【0137】
溶解度の別の適切な尺度は、Log Pである。米国特許出願公開第2015/0112425号は、化合物の相対溶解度特性の尺度としてLog Pを使用することを開示している。オクタノール-水分配係数(P)は、1-オクタノールとH2Oとの混合物における化合物の分配比である。Log Pは分配係数10を底とする対数である。Log P値が約1より大きい化合物は、親油性であると考えられる(H2O対1-オクタノールより溶解度が高い)。さまざまなコンピュータ化されたプロトコルを使用して、Log P値の計算による推定を実行できる。米国特許出願公開第2015/0112425号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、本発明者らは、熱溶媒のLog Pがエラストマー402のLog Pの約10単位以内、好ましくはエラストマーの6単位以内、最も好ましくはエラストマーの3単位以内であれば、熱溶媒303は、エラストマー402により構成される感熱性発泡体層401の熱誘起崩壊を促進すると信じている。
【0139】
さらに、本発明において有用な熱溶媒は、米国特許第3,347,675号に記載されているポリグリコール、米国特許第3,667,959号に記載されている化合物、たとえばジメチル尿素、ジエチル尿素、およびフェニル尿素などの尿素誘導体、たとえばアセトアミド、ベンズアミド、およびp-トルアミドなどのアミド誘導体、たとえばベンゼンスルホンアミドおよびα-トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド誘導体、およびたとえば1,2-シクロヘキサンジオールおよびペンタエリスリトールなどの多価アルコールなどの極性有機化合物が含まれる。米国特許第3,347,675号および第3,667,959号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
固体可塑剤は、米国特許第7,651,747号に開示されている。米国特許第7,651,747号は、固体可塑剤が当技術分野で知られており、フタレート化合物、テレフタレート化合物、イソフタレート化合物、ベンゾエート化合物、高分子アジペート化合物、またはそれらの混合物を含んでいてもよいことを開示している。これらに限定されないが、固体可塑剤の例には、スクロースベンゾエート、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ジシクロヘキシルフタレート、ベンジル2-ナフチルエーテル、ジメチルテレフタレート、2-クロロプロピオアニリド、4-ベンジルジフェニル、ジベンジルシュウ酸、m-テルフェニル、フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジアクチル、イソフタル酸クミルフェニル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、ジ安息香酸エチレングリコール、トリメチロールエタントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、オクタ酢酸スクロース、トリシクロヘキシルシトレート、N-シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、o,p-トルエンスルホンアミド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ブチル-p-トルエンスルホンアミド、n-獣脂-4-トルエンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂、1,2-ジ-(3-メチルフェノキシ)エタン、またはそれらの混合物が含まれる。固体可塑剤12は、約0.5μm未満など、約5μm未満の平均粒子サイズを有していてもよい。米国特許第7,651,747号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
一実施の形態では、固体可塑剤は、"スクロースベンゾエート、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ジシクロヘキシルフタレート、ベンジル2-ナフチルエーテル、ジメチルテレフタレート、2-クロロプロピオアニリド、4-ベンジルジフェニル、ジベンジルシュウ酸、m-テルフェニル、フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、o,p-トルエンスルホンアミド、N-シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、1,2-ジ-(3-メチルフェノキシ)エタン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0142】
米国特許第5,436,109号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
熱溶媒303は、米国特許第5,888,283号に記載されている増感剤などの固体材料であってもよい。米国特許第5,888,283号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第5,888,283号は、インク組成物に使用するのに適した増感剤には、ジフェノキシエタン、p-ベンジルビフェニルなどのアリールまたはアルキル置換ビフェニル、トルイジドフェニルヒドロキシナフトエート、およびテレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸ジベンジル、およびジベンジルシュウ酸のような芳香族ジエステルが含まれることを開示している。これらの材料は単独で使用することもできるし、ワックスや脂肪酸と組み合わせて使用することもできる。
【0144】
使用する増感剤は、p-ベンジルビフェニルである。増感剤は、好ましくは、およそ華氏80度から華氏85度(摂氏27度から29度)の間の軟化点と、およそ華氏140度から華氏150度(摂氏60度から65度)の融点とを有する。(ダイレクトサーマルプリンターのプリントヘッドなどによって)増感剤がその融点まで加熱されると、増感剤は溶けて、隣接する着色現像薬および発色剤粒子の融点を下げ、それらを溶解させ、反応させ、希望の色を形成させる。
【0145】
米国特許第5,883,043号に開示されている1つ以上の増粘剤を使用することができる。米国特許第5,883,043号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
一実施の形態では、使用される熱溶媒は、シュウ酸ジベンジル、カルナバワックス、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタンなどを含む。
【0147】
再び
図1を参照すると、感熱層301は、好ましくは5~約90重量パーセントの熱溶媒303、より好ましくは約50~約95パーセントのそのような溶媒を含む。この実施の形態の一局面では、そのような熱溶媒の濃度は約75~約100重量パーセントである。
【0148】
図1およびそこに記載された実施の形態を再び参照すると、サーモグラフィー素材10は、感熱性発泡体層401で構成されている。ウェブスターの第3新国際辞典(全抜粋)では、感熱性を「1つ以上の方法で熱に敏感な素材に関係する、または素材であること」と定義している。
【0149】
図1およびそこに記載された実施の形態を再び参照すると、感熱性発泡体層401はボイド化されたエラストマーから構成される。当業者は、ボイドにより構成されたエラストマーのコーティングを生成するための様々な手段を知っている。
【0150】
たとえば、米国特許第6,402,865号には、層構造中に穴またはボイドを形成するための発泡剤の使用が記載されている。溶解した発泡剤を含むポリマーにおける層状形態の発達プロセスは、たとえば米国特許第4,473,665号、第5,223,545号、および第5,670,102号の微小セルラー発泡体化プロセスに似ている。米国特許第4,473,665号、第5,223,545号、および第5,670,102号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
たとえば米国特許第6,958,860号、第5,494,735号、第6,596,451号、第5,462,788号、第5,935,904号、および第7,762,188号のように、ボイド403は、層401内に不適合な粒子を組み込み、次いでその層を配向または延伸することによって層内に作成されてもよい。米国特許第6,958,860号、第5,494,735号、第6,596,451号、第5,462,788号、第5,935,904号、および第7,762,188号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
ボイド403は、発泡粒子を組み込むことによって層401内に作成することもできる。米国特許第5,834,526号は、様々な包装材料における発泡粒子の使用を開示している。封入された揮発性液体発泡剤を有する熱可塑性中空発泡粒子は、米国特許第3,615,972号に記載されている。米国特許第5,834,526号および第3,615,972号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0153】
発泡剤は、脂肪族炭化水素、クロロフルオロカーボン、またはテトラアルキルシランとして記載される。粒子は、モノマーおよび発泡剤を含む油相を水相と混合し、激しく撹拌することによって調製される。過フッ素化発泡剤の使用またはそのような発泡剤のカプセル化を改善する方法は記載されていない。
【0154】
ボイド403はまた、本明細書の他の場所で説明される中空球体の有機顔料を追加することによって、感熱性発泡体層401に組み込まれてもよい。
【0155】
再び
図1を参照すると、エラストマーバインダー402を機械的に泡立てて発泡体を作成し、発泡体をサーモグラフィー素材10上にコーティングすることによって、ボイドが感熱性発泡体層401に組み込まれてもよい。米国特許第8,476,330号は、微細気泡のポリウレタン発泡体を開示しており、微細気泡のポリウレタン発泡体は、ポリシロキサン/ポリオキシアルキレン(AB)n型およびポリシロキサン-ポリオキシアルキレンのペンダントタイプの界面活性剤の相乗的組み合わせによって付与された低密度を有するポリウレタン発泡体形成組成物を発泡させることによって得られる。製造された発泡体は、密度が低下するため重量が軽くなることに起因して、コスト効率が高くなる可能性がある。このプロセスは、たとえば水/イソシアネート反応または補助発泡剤による化学発泡補助の有無にかかわらず使用することができる。米国特許第8,476,330号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
感熱性発泡体層401は、好ましくは、約1μmから約1000μmの厚さ406を有する。
【0157】
一実施の形態では、感熱性発泡体層401は、約10μmから約500μmの厚さ406を有する。
【0158】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401は、約25μmから約250μmの厚さ406を有する。
【0159】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401はボイドを含む。この実施の形態の一局面では、そのようなボイドは、1μmから約500μmの平均直径を有する。
【0160】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401はボイドを含む。この実施の形態の一局面では、そのようなボイドは、5μmから約300μmの平均直径を有する。
【0161】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401はボイドを含む。この実施の形態の一局面では、そのようなボイドは、10μmから約200μmの平均直径を有する。
【0162】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401はボイドを含む。この実施の形態の一局面では、そのようなボイドは、20μmから約100μmの平均直径を有する。
【0163】
別の実施の形態では、感熱性発泡体層401は、0.05~0.9g/cc、より好ましくは0.05~0.5g/cc、最も好ましくは0.5~0.25g/ccの密度を有する。
【0164】
特定の感熱性発泡体層401は、着色素材上にコーティングされた場合に高い輝度を生み出すことができる。加えて、そのような発泡体層は、加熱の時間スケールでサーマルプリンターによって供給される熱および圧力と積極的に相互作用して、発泡体層401の崩壊および透明化を促進する。特に、1つ以上のボイド化されたエラストマーを使用することで、画像をプリントする感熱印刷プロセスにおいて優れた透明化を十分に実現できることが発見された。この画像は、サーモグラフィー素材が損傷する可能性がある光への曝露による損傷、傷や衝撃、その他の機械的ストレスによるダメ-ジに対して、良好な耐性を持つ人間および機械が読み取り可能なコードに関して、十分なコントラストを持つ。
【0165】
感熱層とそのイメージングに使用される感熱印刷プロセスは、当業者にとってよく知られている。米国特許第7,671,878号はサーマルプリンターを開示しており、このサーマルプリンターは、両面に形成された感熱層を有する両面感熱紙と、一方の面に形成された感熱層を有する片面感熱紙とを含む感熱紙の一つを給送する給送機構と、搬送機構により搬送される感熱紙の第1の面に接触して設けられ、感熱紙の第1の面に画像を印刷する第1のサーマルヘッドと、搬送機構により搬送される感熱紙の第2の面に接触して設けられ、感熱紙の第2の面に画像を印刷する第2のサーマルヘッドとを備える。米国特許第7,671,878号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0166】
一実施の形態では、2つの異なる感熱層であって、1つはグレーから黒、もう1つは白から透明になる感熱層が使用されることが好ましい。出願人はこれらの個々の感熱素子のそれぞれの特定の好ましい実施の形態を開示するが、他の「従来技術」の個々の感熱素子も使用されてもよいことを理解されたい。
【0167】
図1および
図1に示される実施の形態を再び参照すると、感熱性発泡体層401が着色層201上にコーティングされている。薄い可撓性素材に適用される場合、このような組成物は、レシート、チケット、ラベル、タグ、バーコードなどの様々なデジタル感熱印刷の用途を有している。
【0168】
感熱性発泡体層401により、次の利点を持つ素材の直接の熱画像形成が可能になる。(1)ロイコ染料やフェノール化合物が不要である。(2)高価な銀ベースの化学薬品が不要である。(3)制御が難しいブラッシングラッカーが不要である。(4)層は水からコーティングされてもよく、高価な溶媒コーティング媒介物が不要となる。(5)光安定性の着色染料または顔料が使用されてもよく、ほぼ無限のイメージカラーを提供する。(6)素材の熱画像形成はデジタルサーマルプリンターで実現される。(7)画像は優れた耐久性を持ち、色あせや傷などに対し耐久性がある。
【0169】
一実施の形態では、感熱発泡体層401は、エラストマーバインダー402、任意選択の熱溶媒303、ポリマー粒子404、任意選択の着色剤202、およびボイド403で構成される。
【0170】
感熱性発泡体層401は、水からコーティングされることが好ましいが、そのような感熱層は他の溶媒からコーティングされてもよいし、あるいは、コーティングされた場合およびコーティングの条件下で液相となる100パーセント固体のシステムであってもよい。
【0171】
一実施の形態では、水性組成物は、コーティングおよび乾燥の際に、多くの成分が分離したままであり緊密に混合されないように調製される。一実施の形態では、感熱性発泡体層401は、分散液、エマルション、ポリマー格子、およびコロイド、ボイド、界面活性剤、発泡体安定剤、ガスなどから構成される。
【0172】
一実施の形態では、感熱性発泡体層401は、エラストマーバインダー402で構成されており、エラストマーバインダー402には、分散液、エマルション、ポリマー格子、コロイドおよび粒子、中空の微細ポリマー顔料、ボイド、界面活性剤、発泡体安定剤、およびガスが含まれ、サーモグラフィー素材10の隣接する層に結合されている。
【0173】
感熱性発泡体層401は、好ましくは1~1000マイクロメートル、より好ましくは25~500マイクロメートル、最も好ましくは50~250マイクロメートルの被覆厚さ406を有する。
【0174】
米国特許第5,162,289号には、中空の微細ポリマー顔料が記載されている。中空のプラスチック顔料粒子を含むプラスチック顔料粒子は、それ自体、コーティング組成物の成分として製紙業界ではよく知られている。米国特許第5,162,289号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
固体プラスチック顔料は、1976年発行のTappi Monograph No. 38の第6章の「Paper Coating Pigments,」と題された主題を形成しており、1976年にJohn Wiley &Sonsから出版されJames P. Caseyに編集された「Pulp &Paper--Chemistry &Chemical Technology」の2073ページおよび2074ページのサブセクションの主題でもある。プラスチック顔料および/または紙コーティングにおけるそれらの使用に関する特許の例は、英国特許第1229503号、第1468398号、および第1488554号である。中空プラスチック顔料および紙コーティングにおけるそれらの使用は、英国特許第1270632号および第1389122号に開示されており、1984年のTappi Coating ConferenceにおけるC. P. Hemenway、J. J. Latimer、およびJ. E. Youngによる「Hollow-Sphere Polymer Pigment in Paper Coating」というタイトルの論文、および1989年5月版の「Pulp &Paper,」中の「Hollow-Sphere Pigment Improves Gloss, Printability of Paper」というタイトルの論文に開示されている。同様の中空のプラスチック顔料も、商標「Ropaque」で販売されている製品に関連して、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyが発行する製品情報資料の対象となっている。
【0176】
米国特許第8,536,087号は、感熱層から構成されるサーモグラフィー素材を開示しており、感熱層はバインダー、種々の中空球体の有機顔料、および熱溶媒から構成される。しかしながら、米国特許第8,536,087号は、エラストマーベースのバインダーの使用を教示しておらず、ボイド化されたエラストマーまたはゴム発泡体の使用も教示していない。米国特許第8,536,087号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
ボイド化されたエラストマー発泡体は、サーモグラフィー画像形成要素のバインダーとして機能し、着色素材上に適用された場合に高い不透明度および輝度を提供し、感熱印刷プロセスで透明化することができ、印刷される人間および機械が読み取り可能なコードに必要な視覚的なコントラストを生成する。加えて、このようなボイド化されたエラストマーバインダーは、圧縮による引掻き傷や打痕から回復する弾性特性を有しており、これにより、それらが含まれるサーモグラフィー素材10の機械的耐久性が向上する。
【0178】
米国特許第7,435,783号は、ボイド化されたラテックス粒子が、米国特許第4,427,836号、第4,468,498号、第4,594,363号、第4,880,842号、第5,494,971号、第5,521,253号、第5,157,084号、および第5,360,827号に記載されたものを含むいくつかの既知の方法のいずれかによって製造できることを開示している。米国特許第7,435,783号、第4,427,836号、第4,468,498号、第4,594,363号、第4,880,842号、第5,494,971号、第5,521,253号、第5,157,084号、および第5,360,827号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0179】
ボイド化されたラテックス粒子は、上記の参考文献に記載されているように、コアシェルエマルションポリマーのコアを膨潤させることによって調製される。米国特許第5,360,827号に記載されているようないくつかのプロセスでは、シェルの重合の後期段階で、膨潤を達成するためにポリマーのコアの中への塩基の拡散を促進するためにモノマーが添加される。米国特許第5,360,827号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
感熱性発泡体層401は、任意に着色剤202を含んでもよい。好ましい着色料は、任意の着色料層201で説明される着色剤202などの、染料または顔料である。加えて、着色剤202は、層の不透明度に大きな影響を与えることなく、層に着色効果を追加する蛍光増白剤または蛍光染料、または顔料であってもよい。
【0181】
したがって、たとえば、光安定性染料、透明な顔料分散液などを層に添加して、層が透明化された後に着色効果を与えることができる。このような色素または顔料は、下にある着色層に対する光フィルターとして機能する可能性がある。代替的にまたは追加的に、蛍光増白剤を感熱層501に添加して、未画像領域の見かけの白色度を改善することができる。
【0182】
感熱性発泡体層401は、エラストマーバインダー402から構成され、バインダーは、好ましくは感熱層の質量の少なくとも95パーセントを構成し、一実施の形態では、感熱層の質量の33~90パーセントを構成する。
【0183】
バインダー402は、好ましくは水溶性、水分散性、または水乳化性であるエラストマーから構成されてもよい。感熱性発泡体層401で使用可能なエラストマーには、たとえばポリウレタン、天然ゴムおよび合成ゴム、ポリビニルアセテートコポリマー、ポリスチレン-コ-ブタジエンのコポリマーなどのビニル樹脂、ポリブチルアクリレート-コ-アクリル酸、ポリメチルメタクリレート-コ-ブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリアセタール樹脂、水分散性アクリル樹脂など、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物、エポキシ樹脂など、シリコーン樹脂など、様々なコポリマー、およびそれらの混合物が含まれる。
【0184】
一実施の形態では、エラストマーバインダー402は、固形分25~75%、より好ましくは固形分40~70%、最も好ましくは固形分50~65%の濃度で水中に分散または乳化される。
【0185】
一実施の形態では、エラストマーバインダー402は、35℃未満、より好ましくは30℃未満のTgを有し、最も好ましくは0℃未満のTgを有する。
【0186】
米国特許第RE45747E1号は、発泡体化された組成物の製造に有用なアクリルおよび他のエラストマーを広範囲に開示している。米国特許第RE45747E1号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
米国特許第9,878,471号には、圧縮応力から良好に回復する発泡体層を製造するためのポリウレタン分散液の使用が記載されている。米国特許第9,878,471号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0188】
一実施の形態では、バインダーは、アイオノマー架橋樹脂を含む。一実施の形態では、バインダーは、自己架橋アクリル樹脂を含む。
【0189】
一実施の形態では、バインダーは、架橋樹脂を含む。この場合、ヒドロキシル基やアミン基などのいくつかの反応性基を有する樹脂が、ポリイソシアネート、グリオキサール、エポキシ、アルデヒド、シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アジリジン、オキサゾリンなどの架橋剤と組み合わせて使用される。米国特許出願公開第2019/0300728A号は、ポリウレタン発泡体の機械的特性を高めるためのポリイソシアネート架橋剤の使用が記載されている。米国特許出願公開第2019/0300728A号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
再び
図1を参照すると、感熱性発泡体層401中のエラストマー402は、界面活性剤で構成されてもよい。発泡体安定剤とも呼ばれる界面活性剤は、エラストマー溶液または分散液の表面張力を下げるために使用され、機械的に泡立て(whipped)たり泡立て(frothed)たりしてボイドを流体に組み込み発泡体を生成できるようにする。米国特許第8,476,330号には、ポリウレタン発泡体の生成のためのシリコーンベース界面活性剤の使用が記載されている。米国特許第8,476,330号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
安定した発泡体化を実現するために、原料として界面活性剤が使用されている。1つ以上の界面活性剤を組み合わせて使用して、ボイドで構成される発泡体化されたエラストマーを生成してもよい。エラストマー分散液の量を100重量%(すなわち、100重量部)とした場合に、界面活性剤の配合量は、2重量%~60重量%(すなわち、2重量部~60重量部)が好ましく、特に好ましくは1重量%~35重量%(すなわち、1重量部~35重量部)である。この量の界面活性剤を添加すると、適切な発泡体化が確保され、微細なセル構造を形成することができる。また、界面活性剤を適量添加することにより、発泡体の強度と密度が適切な値となる。
【0192】
米国特許第10,087,277号には、陰イオン発泡体安定剤および界面活性剤を使用したポリウレタン発泡体の製造が記載されている。ウレタンエマルションと陰イオン発泡体安定剤を使用することで、微細なセルを増加することができ、ポリウレタン発泡体の密度を下げることができる(つまり、柔軟性を高めることができる)。陰イオン発泡体安定剤の例には、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ヒマシ油カリウム石鹸、ヤシ油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、オレイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ヤシ油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが含まれ、その中でもステアリン酸アンモニウムおよびアルキルスルホコハク酸ナトリウムが特に好ましい。また、陰イオン発泡体安定剤としてステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムを併用することが好ましい。米国特許第10,087,277号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
米国特許出願公開第2016/0235880A1号には、ポリウレタン発泡体の安定剤としてのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック-コポリマー界面活性剤の使用が記載されている。米国特許出願公開第2016/0235880A1号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
再び
図1を参照すると、感熱性発泡体層401は、多数の粒子404から構成されている。粒子404は、平均粒子サイズが5μm未満であり、より好ましくは1μm未満である有機またはポリマーの粒子であってもよい。
【0195】
粒子404は、最小限のマスキングを提供しながら感熱印刷中の層の輝度および/または透明性を改善する機能を持つ感熱性発泡体層401に添加される。層401をマスクする粒子は、熱画像形成後に光を散乱させることによってその透明度を低下させる。たとえば、屈折率2.49の二酸化チタンなどの粒子は、高いマスキングを生成するため、感熱性発泡体層401での使用には適していない。層401に含まれるエラストマーとの屈折率の差が小さい粒子が好ましい。
【0196】
アクリルおよびスチレンポリマーなどの典型的なエラストマーは、1.45~1.55の範囲の屈折率を有している。有機ポリマー粒子は、エラストマー402と同じ範囲の屈折率を有するだろう。加えて、粘土(Al2Si2O5(OH)4)や微斜層(KAISi3O8)などの多くの無機粒子は、1.47~1.55の範囲の屈折率を有しており、感熱性発泡体層401中の粒子404としての使用に適していてもよい。
【0197】
一実施の形態では、粒子404は、1.0と2.0との間の屈折率を有する。別の実施の形態では、粒子404は、1.25と1.75との間の屈折率を有する。さらに別の実施の形態では、粒子404は、1.35と1.65との間の屈折率を有する。
【0198】
再び
図1を参照すると、感熱性発泡体層401はボイド403で構成されている。
【0199】
再び
図1を参照すると、任意の接着剤層1101は、熱および/または圧力で活性化可能な材料から構成され、フィルムと素材とを積層する過程で、サーモグラフィーバリアフィルム906の感熱素材806への接着剤結合を促進する。圧力および熱に敏感な接着剤は当業者によく知られている。
【0200】
米国特許第4,668,730号は、感圧積層接着剤を開示している。米国特許第4,668,730号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。アクリルコロイドに基づくそのような接着剤が好ましい。米国特許第4,668,730号は、優れたレオロジー特性を特徴とする、-60℃~0℃のTgを有するコーティング可能なラテックス接着剤を、追加の増粘剤を使用することなくコロイド安定化ラテックスから調製できることを開示しており、コロイド安定化ラテックスは、65~90重量%のアクリル酸エステルのラテックスポリマー固体、または10~35重量%のポリマーコロイドのラテックス固体で重合されたメタクリル酸エステルモノマーを含み、ポリマーコロイドは、-40℃~0℃のTgを有し、2,000~10,000の数平均分子重量を有する。
【0201】
熱活性化可能な接着剤は、好ましくは、サーモグラフィーバリアフィルム906を感熱素材806に積層するために使用される。米国特許第9,181,462号は、熱活性可能な接着剤を開示しており、この接着剤は、Tgを超えて加熱されると粘着性で感圧性の接着剤になり、サーモグラフィーバリアフィルム906を感熱素材806に接着結合するために使用されてもよい。米国特許第9,181,462号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0202】
米国特許第9,181,462号は、赤外線放射への曝露によって活性化可能であり、赤外線または加熱によって活性化されると感圧性接着剤特性を示す水性接着剤組成物の例示的な実施の形態を開示する。この接着剤組成物は、(i)25℃を超えるガラス転移温度Tgおよび15,000ダルトンから100,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量を示すエマルションベースコポリマーと、(ii)40度より高い融点を示すそのようなコポリマーのための固体可塑剤と、(iii)高軟化点粘着付与剤とを含んでいる。
【0203】
再び
図1を参照すると、サーモグラフィー素材10は、好ましくはバリア層601から構成される。
【0204】
バリア層601は、必要に応じて、感熱性発泡体層401および/または501上の連続コーティングとして塗布される。
【0205】
代替的および追加的に、バリア層601は、任意選択で、任意選択の感熱層501および耐熱トップコート701でコーティングされてサーモグラフィーバリアフィルム906を形成し得る自立型フィルムバリアフィルム602から構成されており、その後、サーモグラフィー素材10を形成するために、サーモグラフィーバリアフィルム906は中間感熱素材806の上に積層されてもよい。
【0206】
バリア層601は、下層の感熱層301、401、および/または501を、そのような層の不透明度を低減する可能性のある薬品による攻撃から保護する機能を発揮する。バリア層601は、水ベースのコーティング組成物であることが好ましい。さらに、一実施の形態では、バリア層601は、感熱性発泡体層401および/または501と耐熱トップコート701との間の明確な層分離を維持することを助ける。
【0207】
バインダー203、302、402、または502など、本明細書の他の場所に記載されているバインダーが、層601で使用されてもよい。
【0208】
バリア層601は、コーティング後に架橋される、すなわち可溶化するになることが好ましく、その結果、周囲温度で水または有機溶媒と接触したときに、そのような溶媒に実質的に不溶性となることが好ましい。この実施の形態の一局面では、感熱性発泡体層401も架橋される。したがって、この実施の形態では、画像化されたサーモグラフィー素材は水に実質的に不溶性であり、したがって、水による攻撃に対して耐性がある。素材は光退色に対しても耐性を有する。
【0209】
一実施の形態では、バリア層601は、一立方センチメートルあたり0.9グラム、好ましくは1グラムを超える密度を有する。別の実施の形態では、そのようなバリア層の密度は、1立方センチメートルあたり1.1グラムより大きい。
【0210】
一実施の形態では、バリア層601は、ポリビニルアルコールから構成されることが好ましい。好ましい実施の形態では、バリア層601は、架橋ポリビニルアルコールから構成される。
【0211】
一実施の形態では、バリア層601は、塩素含有ポリマーから構成されることが好ましい。
【0212】
バリア層601は、1平方メートルあたり少なくとも約0.1グラムから10グラム、好ましくは約0.2グラムから5グラムのコーティング重量606を有する。一実施の形態では、コーティング重量は、1平方メートルあたり0.5グラムから2グラムである。
【0213】
一実施の形態では、バリア層601は、サーモグラフィー素材10の最上面800と接触する可能性のある物質による攻撃から層を保護するために、感熱性の発泡体層401および/または感熱層501の上にフラッドコーティングされており、この物質は、溶媒、可塑剤、油、インク、コーティング溶液、指紋油、ワニス、接着剤などを含む(ただしこれらに限定されない)。後で明らかになるように、バリア層とサーモグラフィー層との組み合わせにより、色あせ、水、有機溶媒、可塑剤、油、接着剤などに対する保護などの特性の独自の組み合わせが提供される。
【0214】
バリア層601は、水からコーティングされることが好ましい。一実施の形態では、水性組成物は、コーティングおよび乾燥の際に、組成物の多くが分離されたままであり、緊密に混合されないように調製される。一実施の形態では、バリア層601は、バインダー、合体剤、架橋剤などの分散液から構成される。
【0215】
一実施の形態では、バリア層601は、連続位相架橋したバインダーから構成される。
【0216】
一実施の形態では、バリア層601は、感熱層401または501に積層される押出成形されたまたはキャストポリマーベースのバリアフィルム602である。透明な薄いポリマーフィルムまたはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが一般的に入手可能であり、感熱素材10は水やその他の化学薬品に対する優れた耐性を持つ。
【0217】
バリア層601は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにより構成されることが好ましい。PETフィルムは、寸法安定性および熱安定性に優れ、厚み均一性が高く、サーモグラフィー素材10の耐水性および耐薬品性を兼ね備えている。
【0218】
好ましくは、バリア層601の厚さ606は、25マイクロメートル未満、より好ましくは12マイクロメートル未満、最も好ましくは6マイクロメートル未満である。
【0219】
再び
図1を参照すると、サーモグラフィー素材10は、任意選択で、耐熱トップコート701から構成される。トップコート701は、サーモグラフィー素材の最上層であり、サーマルプリンターでサーモグラフィー素材が画像形成される場合にサーマルプリントヘッドと直接接触する。サーマルプリントヘッドは、個別の加熱素子の線形アレイで構成されている。これらの加熱要素は、印刷される画像に応じて通電されるため、200℃から約400℃の範囲の温度に達してもよい。サーモグラフィー素材10がサーマルプリントヘッドの下を通過すると、プリントヘッドの通電された発熱体と接触するため、トップコート701が順に加熱される。当業者は、本明細書に記載されるバインダーの多くがそのような温度で軟化して、熱い印刷要素に粘着または接着する傾向があることを理解するであろう。
【0220】
耐熱性のあるトップコートは、付着したり停止したりすることなく、通電されたサーマルプリントヘッドの下を自由に通過できる。耐熱トップコート701は、サーマルプリントヘッドに付着しにくいことが好ましく、プリントヘッドの温度に関係なく、サーモグラフィー素材10が最小限の摩擦でプリントヘッドの下を通過できるようにする必要がある。耐熱トップコート701は、プリントヘッドからサーモグラフィー素材10への熱の流れを妨げるため、サーマルプリントヘッド上でこすったり蓄積したりしないことが好ましい。
【0221】
一実施の形態では、20℃から約300℃まで耐熱トップコートの摩擦係数は50パーセントを超えて増加しない。
【0222】
耐熱トップコート701は、耐熱性バインダー702と、任意選択で1つ以上の研磨剤粒子703と、1つ以上の潤滑剤704とから構成される。本明細書の他の場所に開示されている1つ以上のバインダーが使用されてもよい。加えて、米国特許第6,410,479号はバインダーを開示している。米国特許第6,410,479号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
耐熱トップコート701に対するバインダー702は、摂氏150度以上の温度で固着を引き起こさない任意の組成物であってよい。バインダー203または302など、本明細書の他の場所に記載されているバインダーを使用することができる。別の実施の形態では、バインダー702は少なくとも摂氏50度のTgを有する。さらに別の実施の形態では、バインダー702は少なくとも70℃のガラス転移温度を有する。
【0224】
一実施の形態では、バインダー702は、架橋ポリビニルアルコールである。架橋ポリビニルアルコールベースのトップコーティングバインダーは、米国特許第6,410,479号に記載されている。米国特許第6,410,479号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
好ましくは、耐熱トップコート701はポリビニルアルコールから構成される。耐熱トップコート701に使用されるポリビニルアルコールは、完全けん化、部分けん化、またはカルボキシル、アミド、スルホン酸、もしくはブチルアルデヒドなどで変性されることが好ましい。
【0226】
一実施の形態では、耐熱トップコート701は、その耐熱性およびサーマルプリントヘッドに付着しない能力をさらに改善するために、架橋バインダーから構成されることが好ましい。ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアセタールなどのヒドロキシル含有バインダーは、好ましくはグリオキサールまたはグリオキサールなどのジアルデヒド、ジグリシジル系などのエポキシ類、グリセリンジグリシジルエーテルなどのジメチロール尿素、イソシアネート、酸化ホウ素、アジラジン、オキサゾリン類などと架橋されてもよい。
【0227】
耐熱トップコート701は、下にある感熱層301、401、および501を可塑剤、油、溶媒などによる攻撃から保護することが好ましい。
【0228】
耐熱トップコート701は、好ましくは潤滑剤704で構成される。潤滑剤704は、特に高温において、サーマルプリントヘッドに対するトップコート701の摩擦を低減する。潤滑剤704は、ステアリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ポリエチレン、カルナバ、および微結晶などのワックス、シリコーン化合物、リン酸エステルなどの高級脂肪酸の金属塩から構成されてもよい。
【0229】
耐熱トップコート701は、1つ以上の研磨剤粒子703から構成されることが好ましい。研磨剤粒子703は、サーマルプリントヘッド上に蓄積する可能性のあるあらゆる物質を除去するのに役立つ。好ましくは、そのような研磨剤粒子は、1μm未満、より好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは0.1μm未満の平均粒子サイズを持つ無機粒子から構成される。
【0230】
研磨剤粒子703は、200℃、より好ましくは300℃、最も好ましくは400℃を超える融点を有することが好ましい。
【0231】
研磨剤粒子703は、シリカ、アルミナ、チタニア、タルク、粘土などから構成されることが好ましい。
【0232】
研磨剤粒子703は、サーマルプリントヘッドの最も外側のグレーズのモース硬度よりも低いモース硬度を有することが好ましい。一実施の形態では、研磨剤粒子は、7未満のモース硬度を有する。別の実施の形態では、研磨剤粒子703は、5未満のモース硬度を有する。
【0233】
耐熱トップコート701は、紫外線(UV)硬化付加ポリマー樹脂からなることが好ましい。米国特許第6,566,752号は、感熱記録材料におけるUV硬化保護コーティングの使用を開示している。米国特許第6,566,752号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0234】
米国特許第4,886,744号には、適切なUV硬化保護オーバーコートが記載されている。ほとんどのフリーラジカル開始重合は、UV範囲で反応する光開始剤を使用することで適切に硬化できる。これらのUVオーバーコートには、UV吸収剤および光安定剤などの添加剤が含まれている。
【0235】
UV硬化コーティングの採用により、素早い乾燥が可能である。米国特許第4,886,774号は、不飽和オリゴマーとしてのアクリル化芳香族ウレタンオリゴマーと、メタクリレートオリゴマーとしてのテトラヒドロフラールメタクリレートと、架橋モノマーとしてのトリメチロールプロパントリアクリレートとの反応生成物を含むコーティングの使用を開示している。米国特許第4,886,774号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0236】
米国特許第5,158,924号には、保護コーティングに適した紫外線硬化樹脂が記載されており、紫外線硬化樹脂には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オルガノシロキサン樹脂、ポリ機能アクリレート樹脂、メラミン樹脂、高軟化点を有する熱可塑性プラスチック樹脂であって、フッ素系プラスチック、シリコーン樹脂、およびポリカーボネート樹脂などの熱可塑性プラスチック樹脂が含まれる。ウレタンアクリレート系UV硬化樹脂の具体例としては、Dainippon Ink & Chemicals Incorporated製のUNIDIC C7-157が挙げられる。米国特許第5,158,924号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
耐熱トップコート701は、任意選択でバリア層601上に適用される。耐熱トップコート701は、感熱層401上に塗布されてもよい。
【0238】
耐熱トップコート701は、1平方メートルあたり約0.05から約10.0グラム、より好ましくは1平方メートルあたり約0.1から約5グラムのコーティング重量706を有することが好ましく、一実施の形態では、そのようなコーティング重量は1平方メートル当たり0.5から2.0グラムである。
【0239】
再び
図1を参照すると、耐熱トップコート701は、サーマルプリンターのプリントヘッドの下を通過する際の損傷からサーモグラフィー素材10を保護する。また、耐熱トップコート701は、摩擦が温度に比較的依存しない、プリントヘッドの下でのサーモグラフィー素材のスムーズな搬送を可能にする低摩擦表面800も提供しなければならない。
【0240】
耐熱トップコートは、サーモグラフィー素材の印刷による破片の過度の蓄積からサーマルプリントヘッドを保護する必要があり、これは、プリントヘッドと素材との間の熱の流れを妨げることができる。
【0241】
一実施の形態では、サーモグラフィー素材からサーマルプリントヘッド上に堆積した破片は、アルコールを染み込ませた布でこすることによって容易に除去されてもよい。
【0242】
耐熱トップコートの研磨特性は、サーマルプリントヘッドに蓄積した破片を除去するのに十分大きく、かつプリントヘッドの磨耗を最小限に抑えるのに十分低いものである必要がある。
【0243】
一実施の形態では、画質に顕著に低下させることなく、所与のサーマルプリントヘッド上で100,000インチのサーモグラフィー素材が印刷されてもよい。
【0244】
別の実施の形態では、画質を顕著に低下させることなく、所与のサーマルプリントヘッド上で100万インチのサーモグラフィー素材が印刷されてもよい。
【0245】
さらに別の実施の形態では、画質を顕著に低下させることなく、所与のサーマルプリントヘッド上で500万インチのサーモグラフィー素材が印刷されてもよい。
【0246】
耐熱トップコート701は水でコーティングされることが好ましい。一実施の形態では、水性組成物は、コーティングおよび乾燥の際に、成分の多くが分離されたままであり、緊密に混合されないように調製される。
【0247】
米国特許第6,410,479号は、サーモグラフィートップコーティングのためのいくつかの好ましいバインダーを開示している。200℃以上の高温でもスティッキングを起こさず、感熱性や光沢性を損なわない任意の組成物を使用可能である。具体的には、完全にけん化されたポリビニルアルコール、部分けん化されたポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどの200~約2500程度の重合度の各種ポリビニルアルコールが挙げられ、たとえばカルボキシル変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、またはブチル(ブチルアルデヒド)変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体であって、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびアセチルセルロースなどのセルロース誘導体、(メタ)アクリル酸エステル樹脂であって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸エステル樹脂、酢酸スチレンおよび/または酢酸ビニルの共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸の共重合体、コロイダルシリカ複合体アクリル酸エステルの共重合体、コロイダルシリカ複合体スチレン/アクリル酸エステルの共重合体が挙げられる。
【0248】
米国特許第6,410,479号は、サーモグラフィートップコートに使用するためのいくつかの架橋剤を開示している。具体的には、グリオキサールまたはポリアルデヒドなどのジアルデヒド系、ポリエチルアミンなどのポリアミン系、エポキシ系、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジグリシジル系、グリセリンジグリシジルエーテルなどのジメチロール尿素、さらに、過硫酸アンモニウム、塩化鉄、および塩化マグネシウムなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。3次元架橋型グリオキサール架橋剤に比べて、2次元架橋型グリオキサールは光沢性を劣化させないため、優れた光沢面の作製に有用である。その理由は明らかではないが、3次元的に架橋される場合に微小なスケールでの光散乱が生じると考えられる。200℃以上の温度でも固着を生じない定着組成物となるように、架橋剤の添加量は任意に調整することができ、たとえば水溶性高分子物質1部に対して0.05~0.3部添加することができる。米国特許第6,410,479号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0249】
米国特許第6,410,479号は、サーモグラフィートップコートに使用するためのいくつかの好ましい潤滑剤を開示している。本発明の光沢層または中間層中の滑り剤は、サーマルヘッドとの親和性を向上させることを目的とする。滑り剤としては、従来の感熱記録媒体に一般に使用されている滑り剤が使用できる。具体例としては、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸の金属塩、およびワックスであって、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびアクリル系ワックスなどのワックスが挙げられる。特に、サーマルヘッドとの適合性を考慮すると、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムが好ましく使用される。
【0250】
米国特許第7,182,532号は、薄いPETフィルムに適用される耐熱性バックコーティングを開示している。好ましくは、そのようなバックコートフィルムは、バリア層601と耐熱トップコート701との組み合わせとしてサーモグラフィー素材10に積層されてもよい。米国特許第7,182,532号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0251】
米国特許第7,182,532号は、スリップ剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子などの添加剤を、コーティング液を調製するために適切な溶媒とともに含有するバインダー樹脂に、溶解または分散させることによってバックコーティングを形成してもよいことを開示している。次いで、従来のコーティングデバイス(グラビアコーターまたはワイヤーバーなど)を用いてコーティング液をコーティングし、その後、コーティングが乾燥されてもよい。
【0252】
バックコーティングに使用可能なバインダー樹脂としては、たとえば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースなどのセルロース系樹脂が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルピロリドンなどのビニル樹脂が使用されてもよい。また、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル-コ-スチレン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂が使用されてもよい。また、ポリエステル樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが使用されてもよい。
【0253】
一実施の形態では、バインダーは、架橋した樹脂を含む。この場合、たとえばヒドロキシル基などのいくつかの反応性基を有する樹脂が、ポリイソシアネートなどの架橋剤と組み合わせて使用される。
【0254】
一実施の形態では、耐熱トップコート701が調製され、1平方メートル当たり0.05グラムの被覆重量で塗布される。このバックコートは、好ましくは、日本の東京のDainichiseikaによりSP-2200(登録商標)として販売されているポリジメチルシロキサンーウレタンコポリマーである。
【0255】
耐熱層701は、1平方メートルあたり約0.01から約2グラムの被覆重量で塗布されてもよく、一実施の形態では約0.02から約0.4グラム/平方メートルの範囲が好ましく、1平方メートルあたり約0.5から約1.5グラムの範囲が好ましい。
【0256】
サーモグラフィック素材10は、当業者に周知のサーマルプリンターを用いて画像形成されてもよい。米国特許第6,124,944号、第6,118,467号、第6,116,709号、第6,103,389号、第6,102,534号、第6,084,623号、第6,083,872号、第6,082,912号、および第6,078,346号に開示されている1つ以上のダイレクトサーマルプリンターが使用されてもよい。米国特許第6,124,944号、第6,118,467号、第6,116,709号、第6,103,389号、第6,102,534号、第6,084,623号、第6,083,872号、第6,082,912号、および第6,078,346号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0257】
デジタル熱転写プリンターは、既に市販されている。Zebra 140xiIIIとして特定されるプリンターや、Zebra Corporationが販売する他のさまざまなサーマルプリンターが使用されてもよい。
【0258】
図2および
図3は、延長印刷作業の過程にわたる画像品質についてサーモグラフィー素材の性能を評価するために利用できる2つの感熱印刷画像の概略図である。サーモグラフィー素材は、印刷を繰り返すと、プリントヘッド上に蓄積物が堆積したり、プリントヘッドが過度に磨耗したりすることにより、サーマルプリントヘッドに損傷を与える可能性があることが当業者には知られている。このような損傷により、プリントヘッドとサーモグラフィー素材との間の熱の流れが妨げられ、極端な場合にはプリントヘッドの1つ以上の加熱要素が完全に損傷する可能性がある。
【0259】
図3の画像61は、画像品質に対する繰り返し印刷の影響を評価するために、長いサーモグラフィー素材上に繰り返し印刷されてもよい。
図3に示す印刷方向に平行な印刷線67および69および印刷テキスト68は、高温条件下での延長印刷をシミュレートする一方、非印刷領域は低温下での印刷をシミュレートする。
【0260】
このような拡張印刷テストの前後に、
図2の画像60は印刷されて、画質への影響が評価されてもよい。画像60は、印刷方向に平行な印刷ライン62および64、ならびに印刷テキスト63で構成され、印刷ライン67および69、ならびに印刷テキスト68と同じ位置でプリントヘッドに対して位置合わせされている。画像61の繰り返し印刷が印刷されたサーモグラフィー素材の画像品質に影響を与える場合には、初期画質プリント60と最終画質プリント60との間に変化が観察されるはずである。特に、サーモグラフィープリントの画質の劣化がある場合には、
図2に示す画像60において、長方形65の均一性が線62および64に対して平行な縞によって低下し、印刷方向に垂直な7本の線66の連続性が損なわれる。
【0261】
図4を参照すると、サーモグラフィー素材10を準備するために使用されるプロセス1000が記載されている。
図4および
図4に示されている実施の形態で説明されているように、ステップ1001で、最初に可撓性素材101を選択することにより、サーモグラフィー素材10が準備される。可撓性素材101は、その上にサーモグラフィー素材10の様々な層が適用されるベースである。
【0262】
可撓性素材は、様々な紙やフィルムを含む、本明細書の他の場所に記載されている平らで可撓性のある支持体のいずれであってもよい。ステップ1001は、素材101の表面エネルギーを増大させて、素材101上へ被覆される層の濡れおよび接着をより促進するために、コロナ放電、火炎、イオン化、または他の同様の処理による素材101の処理を含んでもよい。
【0263】
再び
図4を参照すると、ステップ1002において、流体205が準備される。この着色流体205は、着色層201に関して本明細書の他の場所で説明される様々な化合物から構成され、流体コーティング媒介物215とともに着色剤202およびバインダー203を含んでいてもよい。
【0264】
流体コーティング媒介物215は、水または溶媒などの液体から構成されていてもよい。代替的に、流体コーティング媒介物215は、その融点またはガラス転移温度以上に加熱されると流体になるワックスまたは樹脂から構成されてもよい。着色層201の成分は、流体コーティング媒介物215に混合されてもよい。着色層201の成分のいくつかは、流体コーティング媒介物215に可溶性であってもよい。そのような可溶性成分は、流体コーティング媒介物215に溶解され、そのような溶解は加熱により促進されてもよい。
【0265】
一実施の形態では、可溶性成分の溶解を促進するために、流体コーティング媒介物215は、その沸点よりも低い温度まで加熱される。
【0266】
粒子状物質などのいくつかの成分は、流体コーティング媒介物215に粉砕されて、粒子分散液を形成してもよい。当業者であれば、粉砕方法には、3本ロール粉砕、粉砕、ボール粉砕、磨砕、超音波処理、均質化、小媒体粉砕などが含まれるが、これらに限定されないことを理解するであろう。このような粉砕後、着色層201の粒子成分は、約50nmから約10μmの平均粒子サイズを有するはずである。
【0267】
流体コーティング媒介物215内の加熱された分散液または溶液は、着色層201の他の成分と混合する前に冷却されることが好ましい。
【0268】
一実施の形態では、流体205の発泡の制御のために、脱発泡添加剤が着色流体205に添加される。
【0269】
一実施の形態では、素材101上への着色流体205の濡れを改善するために、界面活性剤または湿潤添加剤が着色流体205に添加される。
【0270】
着色層201のすべての成分が流体コーティング媒介物215に混合または粉砕されたら、それらを合わせて均一に分散するまで混合して着色流体205を形成する。
【0271】
再び
図4を参照すると、プロセス1000のステップ1003で、着色流体205は可撓性素材101に塗布される。ステップ1003では、スロットダイ、輪転グラビアコーティング、フレキソコーティング、ロールコーティング、押し出しコーティング、リソグラフコーティング、カーテンコーティングなどの、当業者に知られている一般的に使用されるコーティングプロセスのいずれかが使用されてもよい。加えて、着色流体205を素材101に適用するために、インクジェット印刷、フレキソ印刷、活版印刷、グラビア印刷、スタンプ印刷、パッド印刷を含む様々な印刷方法を使用することができるが、これらに限定されない。
【0272】
一実施の形態では、着色流体205は可撓性素材101上に印刷されて、テキスト、グラフィックス、コードなどから構成される画像化された着色層201を形成する。
【0273】
別の実施の形態では、いくつかの異なる着色流体205が可撓性素材101の異なる領域上に印刷されて、多色の着色層201を形成する。
【0274】
着色流体205を調製するために使用される流体コーティング媒介物215が液体である場合、着色流体205を素材101に適用するプロセス1003は、着色流体205を素材101に塗布した後で、素材101から流体コーティング媒介物215を除去する乾燥ステップを含むことになる。粘着性や粘着性がなくなり、ロール状に巻いて素材101の裏側にブロッキングや付着を防ぐことができるように、着色層201は十分に乾燥される必要がある。好ましくは、プロセス1003の塗布および乾燥の後で、着色層201には、適用後の流体コーティング媒介物215の約10%未満が含まれていることが好ましい。
【0275】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1003における乾燥機の温度は摂氏100度を超えない。
【0276】
着色流体205を調製するために使用される流体コーティング媒介物215がワックスまたは樹脂である場合、着色流体205を素材101に塗布するプロセス1003は、これらの材料の溶融温度またはTg温度よりも高い温度まで着色流体を加熱することになる。通常、そのような温度は、摂氏約50度から200度の間になる。プロセス1003は、着色流体205が素材101に塗布された後、流体コーティング媒介物215をその融点またはTg温度未満まで冷却する冷却ステップを含む。
【0277】
着色層201は、粘着性や粘着性がなくなり、ロール状に巻いて素材101の裏側へのブロッキングまたは付着を防ぐことができるように、十分に冷却し固化する必要がある。着色層201は、プロセス1003の適用および冷却後に、約30~約95重量パーセントのワックスまたは樹脂流体コーティング媒介物215を含んでいてもよい。
【0278】
ステップ1003で着色流体205を塗布して、様々な厚さ206の着色層201を形成してもよい。着色層乾燥厚さ206は、約0.1μmから約25μmの厚さを有することが好ましい。
【0279】
再び
図4を参照すると、任意の感熱性流体305がステップ1004で生成される。この感熱性流体305は、感熱層301について本明細書の他の場所に記載されている様々な化合物から構成され、流体コーティング媒介物315とともに熱溶媒303およびバインダー302を含んでいてもよい。流体コーティング媒介物315は、水または溶媒などの液体から構成されていてもよい。好ましい実施の形態では、流体コーティング媒介物315は水である。流体コーティング媒介物が溶媒の場合、熱溶媒303を分散または溶解できる溶媒でなければならない。流体コーティング媒介物315には感熱層301の成分が混入していてもよい。感熱層301の成分いくつかは、流体コーティング媒介物315に可溶であってもよい。そのような可溶成分は、流体コーティング媒介物315に溶解し、そのような溶解は加熱により促進されてもよい。
【0280】
一実施の形態では、流体コーティング媒介物315は、可溶性成分の分解を促進するために、その沸点よりも低い温度に加熱される。
【0281】
粒子状物質などのいくつかの成分は、本明細書の他の箇所で説明されているように、流体コーティング媒介物315に粉砕されて粒子分散液を形成してもよい。
【0282】
流体コーティング媒介物315内の加熱された分散液または溶液は、感熱層301の他の成分と混合する前に冷却されることが好ましい。
【0283】
一実施の形態では、熱溶媒303の媒介物315への分散を支援するために、分散剤が流体コーティング媒介物315に追加される。
【0284】
一実施の形態では、流体305の粘度を増加させるために、増粘剤が感熱性流体305に添加される。
【0285】
一実施の形態では、着色層201上への着色流体305の濡れを改善するために、界面活性剤または湿潤添加剤が感熱性流体305に添加される。
【0286】
感熱層301のすべての成分が流体コーティング媒介物315に混合または粉砕されると、均一に分散して感熱性流体305を形成するまで、それらは一緒に組み合わされて混合される。
【0287】
再び
図3を参照すると、任意選択のステップ1005は、感熱性流体305を着色層201に塗布し、次に着色層201を可撓性素材101に塗布する。塗布ステップ1005は、スロットダイ、輪転グラビアコーティング、フレキソコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、リソグラフィックコーティング、カーテンコーティングなどの当業者に知られている一般に使用されるコーティングプロセスのいずれかを使用することができる。加えて、感熱性流体305を素材101に塗布するために、インクジェット印刷、フレキソ印刷、活版印刷、グラビア印刷、スタンプ印刷、パッド印刷などを含む様々な印刷方法を使用してもよいが、これらに限定されない。
【0288】
一実施の形態では、感熱性流体305は着色層201上に印刷されて、テキスト、グラフィックス、コードなどから構成される画像化された感熱性流体305を形成する。
【0289】
別の実施の形態では、いくつかの異なる感熱性流体305が着色層201の異なる領域上に印刷されて、多色の感熱層301を形成する。
【0290】
感熱性流体305を調製するために使用される流体コーティング媒介物315が液体である場合、感熱性流体305を着色層201に塗布するステップ1005は、感熱層301を着色層201に塗布した後で、感熱層301から流体コーティング媒介物815を除去する乾燥ステップを含むことになる。
【0291】
一実施の形態では、感熱層301は、もはや粘着性または粘着性がなく、ロールに巻いて素材101の裏側へのブロッキングまたは付着を防ぐことができるように、十分な程度に乾燥していなければならない。好ましくは、プロセス1005の塗布および乾燥後に、感熱層アプリケーション301に含まれている流体コーティング媒介物315は10%未満である必要がある。
【0292】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1005における乾燥機の温度は摂氏100度を超えない。
【0293】
感熱性流体305は、ステップ1005で塗布されて、様々な厚さ306の感熱層301を形成することができる。感熱層301は、好ましくは1平方メートル当たり0.5から20グラム、より好ましくは1平方メートル当たり1から10グラムのコーティング重量306を有する。
【0294】
再び
図4を参照すると、感熱性発泡体405がステップ1006で生成される。この感熱性発泡体405は、感熱性発泡体層401について本明細書の他の場所で説明される様々な化合物から構成され、この感熱性発泡体405は、流体インク媒介物415に溶解された界面活性剤および発泡体安定剤とともに、エラストマーバインダー402、熱溶媒303、粒子404、および任意選択の着色剤202を含んでいてもよい。一実施の形態では、流体コーティング媒介物415は水または溶媒のような液体であってもよい。一実施の形態では、流体コーティング媒介物415は水です。感熱性発泡体層401の成分は、流体コーティング媒介物415に混合されてもよい。感熱性発泡体層401の成分のいくつか、流体コーティング媒介物415に可溶性であってもよい。そのような可溶性成分は、流体コーティング媒介物415に溶解される。
【0295】
粒子状物質などのいくつかの成分を流体コーティング媒介物415中に粉砕して、本明細書の他の箇所で説明するような粒子分散液を形成してもよい。
【0296】
一実施の形態では、粒子404は、流体コーティング媒介物415に添加され、感熱性発泡体層401の他の成分を添加する前に混合される。
【0297】
感熱性発泡体層401のすべての成分が流体コーティング媒介物415に混合または粉砕されたら、それらを機械的に泡立てて、空気または別のガスを充填したボイド403を含む発泡体とし、感熱性発泡体405を形成する。
【0298】
再び
図4を参照すると、ステップ1007は、感熱性発泡体405を着色層201に直接塗布するか、存在する場合には感熱層301上に塗布する。発泡体コーティング塗布ステップ1006は、スロットダイ、ブレードコーティング、押し出しコーティングなどの当業者に知られている一般に使用される任意のコーティングプロセスを使用してもよい。
【0299】
感熱性発泡体405を調製するために使用される流体コーティング媒介物415が液体である場合、着色層201または感熱層301(存在する場合)のいずれかに感熱性発泡体を塗布するステップ1007は、乾燥ステップを含み、乾燥ステップは、塗布した後に感熱発泡体層401から流体コーティング媒介物415を除去する。好ましくは、プロセス1007の塗布および乾燥の後、感熱層301が含む流体コーティング媒介物415は約10%未満であるべきである。
【0300】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1007における乾燥機の温度は摂氏150度を超えない。
【0301】
一実施の形態では、感熱性発泡体405は、架橋剤から構成され、架橋剤を活性化してエラストマーバインダー402と反応させるための追加の乾燥時間を必要とする。
【0302】
感熱性流体305は、ステップ1007で適用されて、様々な厚さ406の感熱性発泡体層401を形成してもよい。感熱性発泡体層401は、好ましくは25μm~1000μm、より好ましくは100μm~500μmの厚さ406を有する。
【0303】
再び
図1を参照すると、素材101、着色層201、任意の感熱層301、および感熱性発泡体層401は、中間感熱素材806を構成し、中間感熱素材806は、任意選択の感熱層501、バリアフィルム602、および耐熱トップコート701、または任意選択の感熱層501、バリア層602、および耐熱トップコート701の積層体で被覆されてもよく、このプロセスは、本明細書の他の場所で説明される。
【0304】
再び
図4を参照すると、任意選択の感熱性流体505がステップ1008で生成される。この感熱性流体505は、感熱層501について本明細書の他の場所で説明される様々な化合物から構成され、流体コーティング媒介物515とともに熱溶媒303、バインダー502を含んでいてもよい。流体コーティング媒介物515は、水または感熱層などの液体から構成されてもよい。好ましい実施の形態では、流体コーティング媒介物515は水である。流体コーティング媒介物が溶媒である場合、それは熱溶媒303を分散または溶解できる溶媒でなければならない。
【0305】
感熱層501の成分は、流体コーティング媒介物515に混合されてもよい。感熱層501の成分のいくつかは、流体コーティング媒介物515に可溶であってもよい。そのような可溶成分は、流体コーティング媒介物515に溶解され、このような溶解は、加熱によって促進されてもよい。
【0306】
一実施の形態では、流体コーティング媒介物515は、可溶性成分の溶解を促進するために、その沸点よりも低い温度に加熱される。
【0307】
粒子状物質などのいくつかの成分は、本明細書の他の箇所で説明されているように、流体コーティング媒介物515に粉砕されて粒子分散液を形成してもよい。
【0308】
流体コーティング媒介物515中の加熱された分散液または溶液は、感熱層501の他の成分と混合する前に冷却されることが好ましい。
【0309】
一実施の形態では、熱溶媒503の媒介物515への分散を支援するために、分散剤が流体コーティング媒介物515に追加される。
【0310】
一実施の形態では、流体505の粘度を増加させるために、増粘剤が感熱性流体505に添加される。
【0311】
一実施の形態では、感熱性発泡体層401上への流体の湿潤性を向上させるために、界面活性剤または湿潤添加剤が感熱性流体505に添加される。
【0312】
感熱層501のすべての成分が流体コーティング媒介物515に混合または粉砕されると、それらは一緒に結合し、均一に分散して感熱性流体505を形成するまで混合される。
【0313】
再び
図4を参照すると、任意選択のステップ1009は、感熱性流体505を感熱性発泡体層401に塗布する。塗布ステップ1009は、スロットダイ、輪転グラビアコーティング、フレキソコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、リソグラフコーティング、カーテンコーティングなどの当業者によく知られた一般に使用される任意のコーティングプロセスを使用してもよい。加えて、感熱性流体505を感熱性発泡体層401に塗布するために、インクジェット印刷、フレキソ印刷、活版印刷、グラビア印刷、スタンプ印刷、パッド印刷を含む、これらに限定されない様々な印刷方法を用いることができる。
【0314】
一実施の形態では、感熱性流体505を感熱性発泡体層401上に印刷し、テキスト、グラフィック、コードなどを含む画像形成された感熱性流体505を形成する。
【0315】
別の実施の形態では、いくつかの異なる感熱性流体505が、感熱性発泡体層401の異なる領域上に印刷されて、多色の感熱層501を形成する。
【0316】
感熱性流体505を調製するために使用される流体コーティング媒介物515が液体である場合、感熱性流体505を感熱性発泡体層401に塗布するステップ1009は、感熱層501を感熱発泡体層401に塗布した後で、流体コーティング媒介物515を感熱層501から除去する乾燥ステップを含むことになる。
【0317】
一実施の形態では、感熱層501は、もはや粘着性または粘着性がなく、ロールに巻いて素材101の裏側にブロッキングまたは付着するのを防ぐことができるように、十分なほど乾燥していなければならない。好ましくは、プロセス1009の塗布および乾燥の後で、感熱層501が含む流体コーティング媒介物515は10%未満であるべきである。
【0318】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1009における乾燥機の温度は摂氏100度を超えない。
【0319】
感熱性流体505は、ステップ1009で塗布されて、様々な厚さ506の感熱層501を形成してもよい。感熱層501は、好ましくは1平方メートルあたり0.5~20グラム、より好ましくは1平方メートルあたり1~10グラムのコーティング重量506を有する。
【0320】
再び
図4を参照すると、ステップ1010は、バリア流体605を調製する。このバリア流体605は、バリア層601に関して本明細書の他の箇所に記載されている様々な化合物から構成され、流体コーティング媒介物615とともにバインダーを含んでいてもよい。流体コーティング媒介物615は、水または溶媒などの液体から構成されてもよい。好ましい実施の形態では、流体コーティング媒介物615は水である。バリア層601の成分は、流体コーティング媒介物615に混合されてもよい。
【0321】
バリア層601の成分のいくつかは、流体コーティング媒介物615に対して可溶性であってもよい。そのような可溶性成分は流体コーティング媒介物615に溶解し、そのような溶解は、加熱により促進されてもよい。
【0322】
一実施の形態では、流体コーティング媒介物615は、可溶性成分の溶解を促進するために、その沸点よりも低い温度に加熱される。
【0323】
代替的に、本明細書の他の箇所で説明するように、粒子状物質などのいくつかの成分は、流体コーティング媒介物615中に粉砕され、粒子分散液が形成されてもよい。
【0324】
流体コーティング媒介物615中の加熱された分散液または溶液は、バリア層601の他の成分と混合する前に冷却されることが好ましい。
【0325】
一実施の形態では、感熱性発泡体層401または感熱層501のいずれかに対するバリア流体605の濡れを改善するために、界面活性剤または湿潤添加剤がバリア流体605に添加される。
【0326】
バリア層601のすべての成分が流体コーティング媒介物615に混合または粉砕されると、それらは一緒に結合され、均一に分散されてバリア流体605を形成するまで混合される。
【0327】
再び
図4を参照すると、ステップ1011は、感熱性発泡体層401または感熱層501(存在する場合)にバリア流体605を塗布する。塗布ステップ1011は、スロットダイ、輪転グラビアコーティング、フレキソコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、リソグラフィックコーティング、カーテンコーティングなどの当業者に知られている一般的に使用される任意のコーティングプロセスが使用されてもよい。加えて、感熱性発泡体層401または感熱層501にバリア流体605を塗布するために、インクジェット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、スタンプ印刷、パッド印刷などの様々な印刷方法が使用されてもよい。
【0328】
バリア流体605を調製するために使用される流体コーティング媒介物615が液体である場合、バリア流体605を感熱性発泡体層401または感熱層501に塗布するステップ1011は、バリア層601を感熱発泡体層401または感熱層501に塗布した後で、流体コーティング媒介物615をバリア層601から除去する乾燥ステップを含むことになる。
【0329】
一実施の形態では、バリア層601は、もはや粘着性または粘着性がなく、ロールに巻いて素材101の裏側にブロッキングまたは付着するのを防ぐことができるように、十分なほど乾燥していなければならない。好ましくは、プロセス1011の塗布および乾燥後に、バリア層601に含まれる流体コーティング媒介物615は、10%未満である必要がある。
【0330】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1007における乾燥機の温度は摂氏100度を超えない。
【0331】
ステップ1011でバリア流体605を塗布して、様々な厚さ606のバリア層601を形成してもよい。バリア層600は、好ましくは、1平方メートルあたり約0.1グラム~10グラムのコーティング重量606を有する。
【0332】
再び
図4を参照すると、ステップ1012は、トップコーティング流体705を調製する。このコーティング流体705は、耐熱性バインダーと、耐熱トップコート701について本明細書の他の場所に記載される様々な化合物とから構成され、耐熱トップコート701は、流体コーティング媒介物715とともに、耐熱性バインダー702と、任意選択の1つ以上の研磨粒子703と、1つ以上の潤滑剤704とにより構成される。流体コーティング媒介物715は、水または溶媒などの液体から構成されてもよい。
【0333】
一実施の形態では、流体コーティング媒介物715は水である。
【0334】
耐熱トップコート701の成分のいくつかは、流体コーティング媒介物715に可溶であってもよい。このような可溶成分は流体コーティング媒介物715に溶解し、そのような溶解は加熱により促進されてもよい。
【0335】
一実施の形態では、流体コーティング媒介物715は、可溶性成分の溶液の分解を促進するために、その沸点よりも低い温度に加熱される。
【0336】
代替的に、本明細書の他の箇所で説明するように、粒子状物質などのいくつかの成分を流体コーティング媒介物715内に粉砕して、粒子分散液を形成してもよい。
【0337】
流体コーティング媒介物715中の加熱された分散液または溶液は、好ましくは、耐熱トップコート701の他の成分と混合する前に冷却される。
【0338】
一実施の形態では、流体705の発泡の制御のために、脱発泡添加剤がトップコート流体705に添加される。
【0339】
一実施の形態では、バリア層601上へのトップコート流体705の濡れを改善するために、界面活性剤または湿潤添加剤がトップコート流体705に添加される。
【0340】
耐熱トップコート701のすべての成分が流体コーティング媒介物715に混合または粉砕されると、それらは一緒に結合され、均一に分散してトップコート流体705を形成するまで混合される。
【0341】
再び
図4を参照すると、ステップ1013は、トップコート流体705をバリア層601に塗布し、次いで感熱層501(存在する場合)または感熱発泡体層401にバリア層601を塗布し、次いで感熱層301(存在する場合)または着色層201に感熱発泡体層401を塗布し、着色層201を可撓性素材101に塗布する。塗布プロセス1012は、スロットダイ、輪転グラビアコーティング、フレキソコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、リソグラフコーティング、カーテンコーティングなどの当業者に知られている一般的に使用される任意のコーティングプロセスのいずれかを使用してもよい。加えて、トップコート流体705をバリア層601に塗布するために、インクジェット印刷、フレキソ印刷、活版印刷、グラビア印刷、スタンプ印刷、パッド印刷などを含むが、これらに限定されない様々な印刷方法を使用することができる。
【0342】
トップコート流体705を調製するために使用される流体コーティング媒介物715が液体である場合、トップコート流体705をバリア層601に塗布するステップ1013は、耐熱トップコート701をバリア層601に塗布した後、耐熱トップコート701から流体コーティング媒介物715を除去するための乾燥ステップを含むことになる。耐熱トップコート701は、粘着性や粘着性がなくなり、ロール状に巻いて素材101の裏面へのブロッキングや付着を防ぐことができるように、十分に乾燥していなければならない。好ましくは、耐熱トップコート701は、プロセス1013の塗布および乾燥後に、耐熱トップコート701に含まれる流体コーティング媒介物715が約10%未満である必要がある。
【0343】
一実施の形態では、プロセス1000のステップ1013における乾燥機の温度は摂氏150度を超えない。
【0344】
トップコート流体705は、プロセス1013で塗布されて、様々な厚さ706の耐熱トップコート701を形成してもよい。耐熱トップコート701は、好ましくは、1平方メートルあたり少なくとも約0.05グラムから10グラムのコーティング重量706を有する。
【0345】
サーモグラフィー素材アセンブリ10は、各層を積み重ねることによって準備され、可撓性基板101上に、塗布ステップ1003で着色流体205を使用して着色層201が形成され、任意選択で塗布ステップ1005において感熱性流体305を使用して感熱層301が形成され、任意選択で塗布ステップ1007において感熱性発泡体405を用いて感熱性発泡体層401が形成され、任意選択で塗布ステップ1009において感熱性流体505を用いて感熱層501が形成され、塗布ステップ1011においてバリア流体605を用いてバリア層601が形成され、最後に塗布ステップ1013においてトップコート流体705を用いて耐熱トップコート701を形成する。
【0346】
再び
図4を参照すると、プロセス1014においてサーモグラフィー素材10が熱アニールされてもよい。このようなアニールは、サーモグラフィー素材10の様々な層を強化するのに役立ち、層間接着力を改善し、サーモグラフィーパフォーマンスを改善してもよい。このようなアニーリングは、摂氏約60度未満の温度で、少なくとも1分から約96時間行うことが好ましい。
【0347】
図5を参照すると、プロセス2000は、サーモグラフィー素材10を調製するプロセスを説明する。
図5および
図5に示される実施の形態では、プロセス2000は、サーモグラフィーバリアフィルム906を製造するために使用される。調製され最適にアニールされると、サーモグラフィーバリアフィルム906は、中間感熱素材806に積層されて、サーモグラフィー素材10を作成する。
【0348】
中間感熱素材806は、
図4に示すプロセス1000のステップ1001~1007を利用して調製される。中間感熱素材806は、素材101、着色層201、任意選択の感熱層301、および感熱性発泡体層401を含む。中間感熱素材806は、バリア層601や耐熱トップコート701を持たない中間構造であり、それ自体はサーマルプリンターでは印刷できない可能性がある。
【0349】
図5および
図5に示されるプロセス2000を再び参照すると、任意の感熱性流体505がステップ2008で準備され、ステップ2009で自立型バリアフィルム602の底面603に塗布される。任意の感熱性流体505を調製し、流体505をバリアフィルム602の底面603に塗布するプロセスは、プロセス1000のステップ1004および1005で説明したプロセスと本質的に同じである。
【0350】
一実施の形態では、バリアフィルム602は、厚さが4.5μmの範囲の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0351】
図5およびそこに示されるプロセス2000を再び参照すると、任意の接着剤1101がステップ2010で準備され、ステップS011において、存在する場合には感熱層501に、またはバリアフィルム602に接着剤1101が塗布される。
【0352】
図5および
図5に示されるプロセス2000を再び参照すると、耐熱トップコート701がステップ2012で調製され、ステップ2013においてバリアフィルム602の上面604に耐熱トップコート701が塗布される。耐熱トップコート流体705を準備し、流体705をバリアフィルム602の表面604に塗布するプロセスは、プロセス1000のステップ1012および1013で説明したプロセスと本質的に同じである。
【0353】
再び
図5を参照すると、任意選択の感熱層501、任意選択の接着剤層1101、および耐熱トップコート701でコーティングされたサーモグラフィーバリアフィルム906は、プロセス2014で熱的にアニーリングされてもよい。そのようなアニーリングは、サーモグラフィーバリアフィルム906の様々な層を強化するのに役立ち、層間接着力およびサーモグラフィー性能を向上させる。このようなアニーリングは、好ましくは、摂氏約60度未満の温度で、少なくとも1分から約96時間行うことが好ましい。
【0354】
再び
図5を参照すると、ステップ2015において、サーモグラフィーバリアフィルム906および中間感熱素材806が、熱および/または圧力を使用して一緒に積層されて、サーモグラフィー素材10を形成する。ステップ2015では、サーモグラフィーバリアフィルム603の表面、または存在する場合には任意選択の感熱層501、または存在する場合には任意選択の接着剤層1101が、中間感熱素材806の感熱性発泡体層401に積層されてサーモグラフィー素材10を形成する。
【0355】
2つの素材を一緒に積層する方法は、当業者によく知られており、たとえば、保護層の積層方法を記載した米国特許第4,069,081号を参照されたい。このような積層プロセスでは、2つの可撓性素材が、2つの素材の幅全体に均一で制御された圧力を加えることができる一組のニップローラー内で、2つの可塑性素材が緊密に接触される。ニップローラーは、2つの素材を接着結合するのを助けるために加熱されてもよい。
【0356】
代替的に、素材は、積層ニップを通過するときに加えられる圧力のみによって密接に接触するように一緒に結合された結果として、それぞれに接着力を発現してもよい。いずれの場合でも、ニップローラーは、素材の間から空気を実質的に除去して、滑らかで均一に積層された複合素材を提供することができる。米国特許第4,069,081号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0357】
一実施の形態では、サーモグラフィーバリアフィルム906および中間感熱素材806は、加圧されたニップローラーなどで互いに密接に接触するように加圧された場合に、互いに接着結合するだろう。代替的および追加的に、サーモグラフィーバリアフィルム906および中間感熱素材806は、加熱および加圧されたニップローラー内などで互いに密接に接触するように加熱および加圧された場合に、互いに接着結合する。
【0358】
一実施の形態では、サーモグラフィーバリアフィルム906および/または中間感熱素材806は、積層プロセス2015において、2つの素材間の結合を促進にするために、接着剤1101でコーティングされてもよい。
【0359】
一実施の形態では、サーモグラフィーバリアフィルム906および中間感熱素材806は、サーマルプリンター内で一緒に積層されてもよい。プリンターでは、サーマルプリントヘッドから均一に加えられる熱と、サーマルプリントヘッドを素材とニップローラーの両方に押し付けることによって生成される圧力とにより、プロセス2000の積層ステップ2015を促進してサーモグラフィー素材10を作成することができる。
【0360】
再び
図5を参照すると、サーモグラフィー素材10は、プロセスステップ2016で熱的にアニールされてもよい。そのようなアニールは、サーモグラフィーバリアフィルム906の様々な層を強化するのに役立ち、層間接着およびサーモグラフィー性能を改善する。このようなアニーリングは、摂氏約60度未満の温度で、少なくとも1分から約96時間行うことが好ましい。
【0361】
以下の実施例は本発明を限定するものではない。特に指定しない限り、全ての温度は摂氏であり、全ての部は重量による。
【0362】
実施例1
【0363】
この実施例は、サーモグラフィー素材(10)の調製を示す。始めに、ベースポリプロピレン可撓性素材(バージニア州チェサピークのYupo Synthetic Papersによって部品番号「YUPO Original FPG080」として販売)(106)、着色(黒)層(206)、および感熱性発泡体層(401)を用いて、感熱素材(806)が調整される。次に、耐熱トップコート層(706)でコーティングされた自立ポリエチレンテレフタレートバリアフィルム(602)を用いて、感熱性バリアフィルム(906)も調製される。最後に、感熱性バリアフィルム(906)の底面(603)が、感熱素材(806)の感熱性発泡体層(401)に積層される。サーマルプリンターで画像形成する場合、サーモグラフィー素材(10)は、サーマルプリンターによる熱および圧力に曝露されない領域および曝露された領域のそれぞれに、高L*輝度および低L*輝度の視覚的に対照的な着色(白と黒)画像を生成する。
【0364】
この実施例では、黒色顔料化された加工ニトロセルロースグラビアカラーインクをポリプロピレン素材に塗布し、溶媒を55℃で5秒間乾燥させた結果、残ったインクの被覆率が1平方メートル当たり1.07グラムとなった。ベース素材およびコーティングされた黒色層のL*は、PIAS-II Personal Image Analysis System(マサチューセッツ州ビレリカのQuality Engineering Associates(QEA)インクにより販売)を使用して測定した。ベース素材のL*は93.8と測定された。黒色層のL*は8.8と測定された。
【0365】
以下の組成を有する不透明感熱性発泡体層(401)を調製した。水中の40パーセントの陰イオン脂肪族ポリエステル-ポリウレタンポリマー分散剤360g(Impranil DLHとして知られ、ドイツ、レバークーゼンのCovestro AG,によって販売されている)を小さな混合容器に加えた。これに、35パーセントのステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液(ジョージア州シーダータウンのGEO Specialty Chemicals,Inc.の製品コード1400P)40gを加え、流体が均一になるまで撹拌した。
【0366】
樹脂分散液と界面活性剤との上記混合物を、自動実験室用発泡体発生器(ドイツ、シュトゥールのHansa Industrie-Mixer GmbH & Co.KG,によって販売されたPICO-IMX XL)のテンパリング製品タンクに追加した。流入製品密度と流出製品密度は、それぞれ1リットルあたり1032グラムと65グラムに設定された。流入する液体の流量は1時間当たり1.2リットルに設定され、ミキサーのヘッド速度は950RPMに設定された。ユニットの背圧は約4.2barに手動で制御された。これらの設定の下で、発泡体は、上述の組成物を使用して、1立方センチメートルあたり約0.075グラムの密度で生成された。
【0367】
次に、黒色のグラビアインクで予めコーティングされたポリプロピレンフィルムの着色層側に発泡体を塗布した。モーターおよびアプリケーターホルダー(フロリダ州ポンパノビーチのPaul N. Gardner CompanyのDP-8301モデル)を持つドローダウンプレート上にフィルムを置いた。厚さ0.3mmに設定された調整可能なフィルムアプリケーター(これもPaul N. Gardner CompanyのMicron II film applicator)を、コーティングされたフィルムの上に置いた。アプリケーターの空洞に発泡体を加え、毎秒5センチメートルの速度で引き下げた。この発泡体でコーティングされた素材を60℃のオーブンに5分間入れて、感熱素材(806)を得た。
【0368】
トップコート流体を以下のように調製し、PETバリア層に塗布した。容器の中に、30.37部の2-ブタノン、18.87部のシクロヘキサノン、20.77部のシリコーン-ポリウレタンコポリマーの25パーセント溶液(日本、東京のDainichiseika Color & Chemicals Mfg. Co, Ltd.の「Dia-Allomer」という商標で販売されている)、および3.79部のポリイソシアネートの50パーセント溶液(またDianichiseika Color & Chemicals Mfg. Co, Ltd.によって販売されるCrossnate D-70Aとして知られる)を加え、均一な流体が得られるまで混合した。次いで、グラビアコーティング法を使用して、厚さ4.5μのポリエチレンテレフタレートフィルム(ロードアイランド州ノースキングスタウンの東レプラスチックスアメリカ社が販売する「Lumirror」ブランド)上にこの流体を塗布し、55℃で5秒間乾燥させ、溶媒を蒸発させ、フィルム(602)の片面(604)上に厚さ0.2μm未満の架橋シリコーン-ポリウレタンコポリマートップコート層を残し、サーモグラフィーバリアフィルム(906)を形成した。
【0369】
この実施例では、2つの部分を手で一緒に押し付けることによって、サーモグラフィーバリアフィルム(906)を感熱素材(806)に積層し、その結果、PETフィルム(603)の非コーティング側が感熱性発泡体層(401)と接触し、サーモグラフィー素材(10)が生じる。
【0370】
次に、Zebra 140 Xi III thermal printer(イリノイ州リンカンシャー、Zebra Technologies)を使用して、毎秒5センチメートルでこのサーモグラフィー素材に画像を形成し、感熱層を透明化し、サーモグラフィー素材(10)の印刷部分に黒色着色層が見えるのに十分なエネルギーで、画像を形成した。印刷の画像形成された(暗い)部分と画像形成されていない(背景の白い)部分のL*の測定を行った。画像化領域のL*は17.8であり、非画像化領域のL*は63.9であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は46.1となった。
【0371】
加えて、構造の画像化されていない部分は、「爪の傷」をシミュレートしてシステム化するように設計された引掻きテストを受けた。このテストでは、重量538グラム、直径約1mmの針を、サーモグラフィー素材の画像のない(白い)部分の表面を正弦波パターンで引きずった。この模擬引掻き試験で良好な結果を示したサンプルでは、針が素材と接触した箇所で色の変化が無い。パフォーマンスの悪いサンプルでは、針の重さと摩擦により感熱層が透明になり、黒い着色層が見えるようになる。次に、サンプルを1~5のスケールで主観的に評価し、1を最悪(針が接触した部分が黒)、5を最高(変化が見られない)とした。この実施例ではサーモグラフィー素材にグレード5が与えられた。
【0372】
実施例2
【0373】
感熱素材は、同じ組成物を使用し、実施例1で調製したものと同様の方法で調製した。
【0374】
サーモグラフィーバリアフィルムは、以下の方法を使用して、熱溶媒粒子の感熱層(501)を前記フィルム上にコーティングすることによって調製した。1,2-ビス-(3-メチル-フェノキシ)エタン粒子(日本、東京のSanko Co., Ltd.によって「KS-232」として販売)の市販の分散液を水で希釈し、リバースグラビアコーティング法を用いてポリエチレンテレフタレートバリアフィルム(602)の底面(603)に塗布した。フィルム上に感熱層をコーティングし、70℃のオーブンで10秒間乾燥した。乾燥後の感熱層は、1平方メートルあたり1.7グラムの被覆重量を有していた。バリアフィルムの上面(604)上に、実施例1に記載したものと同様の方法で、シリコーン-ポリウレタンコポリマートップコート層をコーティングした。
【0375】
次に、この実施例のサーモグラフィーバリアフィルムを、実施例1に記載したものと同様の方法で、感熱素材に積層した。
【0376】
次に、このサーモグラフィー素材に実施例1と同様の方法で画像形成した。プリントの画像化(暗い)部分および非画像化(白の背景)部分のL*の測定を行った。画像化領域のL*は14.8であり、非画像化領域のL*は80.9であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は66.1となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0377】
実施例3
【0378】
実施例3は、サーモグラフィーバリアフィルム上の熱溶媒層の乾燥コーティング重量が1平方メートルあたり2.6グラムであったことを除いて、実施例2と同様の方法で実施した。
【0379】
このサーモグラフィー素材を実施例1と同様の方法で画像化した。印刷物の画像化(暗い)部分および非画像化(白色の背景)部分のL*の測定を行った。画像化領域のL*は14.1であり、非画像化領域のL*は81.2であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は67.1となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けした。
【0380】
実施例4
【0381】
実施例4は、サーモグラフィーバリアフィルム上の熱溶媒層の乾燥コーティング重量が1平方メートル当たり4.3グラムであったことを除いて、実施例2と同様の方法で実施した。
【0382】
次に、このサーモグラフィー素材を実施例1と同様の方法で画像化した。プリントの画像化(暗い)部分と非画像化(白色の背景)部分のL*の測定を行った。画像化領域のL*は13.8であり、非画像化領域のL*は84.8であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は71.0となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0383】
実施例5
【0384】
この実施例は、感熱性発泡体層を含まないサーモグラフィー素材の調製を示す。実施例1で使用したものと同様のベースポリプロピレンフィルムおよび着色(黒色)層により構成される素材を調製した。この比較例では、実施例4のサーモグラフィーバリアフィルムを使用した。
【0385】
サーモグラフィーバリアフィルム、ベースポリプロピレンフィルム、および着色(黒色)層を実施例1と同様の方法で積層し、サーモグラフィー素材10を得た。
【0386】
次に、このサーモグラフィー素材を実施例1と同じ方法で画像化した。プリントの画像化(暗い)部分および非画像化(白色の背景)部分のL*の測定を行った。画像化領域のL*は11.8であり、非画像化領域のL*は77.4であり、画像化領域と非画像化領域との間のL*は65.6となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0387】
実施例6
【0388】
この実施例は、熱溶媒分散液が感熱性発泡体層に添加され、発泡体安定剤が含まれ、発泡体がバッチ方式のプロセスで生成されたことを除いて、実施例1のものと同様のサーモグラフィー素材の調製を示す。
【0389】
感熱性発泡体層を調製した。30.90gのImpranil DLUポリウレタン分散液を小さな混合容器に加えた。これに、4.07グラムのステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液、2.03gの陰イオンスルホコハク酸塩発泡体安定剤(ウィスコンシン州オルブライトのSolvay USA Inc.からの「Aerosol 22 Surfactant」)、および16.5gのKS-232熱溶媒分散液を加え、流体が均一になるまで撹拌した。
【0390】
感熱性発泡体は、以下の方法を使用して製造した。キッチンエイドプロフェッショナル5プラスシリーズスタンドミキサー(ミシガン州ベントンハーバーのKitchenAid, Benton Harbor,)からの5クォートのステンレス鋼ミキシングボウルに、上記の流体組成物を添加した。次にボウルをキッチンエイドミキサーの上に置き、12ワイヤー泡立て器アタッチメントを取り付けた。次に、得られる発泡体の密度が1立方センチメートル当たり0.075~0.11グラムの間になるまで、流体を最高設定で泡立てた。
【0391】
次に、得られた発泡体を、実施例1に記載の方法を用いて黒色でコーティングされたポリプロピレン素材上に0.3mmの厚さで被覆し、この実施例の感熱素材を形成した。
【0392】
サーモグラフィーバリアフィルムを実施例1と同様の方法で調製した。このサーモグラフィーバリアフィルムを、実施例1に記載の方法を使用して、感熱素材(この実施例の806)に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材(10)を、実施例1に記載した方法と同様の方法で画像化した。画像化後、画像化領域のL*は11.9と測定され、非画像化領域のL*は66.2であり、その結果、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は54.3となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻き性レベル4を有するように主観的に等級付けされた。
【0393】
実施例7
【0394】
この実施例は、感熱性発泡体層中のポリエステル-ポリウレタン分散液をポリエーテル-ポリウレタン分散液に置き換えることを除いて、実施例4のものと同様のサーモグラフィー素材の調製を示す。
【0395】
以下の組成を有する感熱性発泡体層を調製した。60パーセントの脂肪族ポリカーボネート-エステル-ポリエーテルポリウレタン水性ポリマー分散液(ドイツ、レバークーゼンのCovestro AG,によって販売されたImpranil DLUとして知られる)90部を、小さな混合容器に加えた。これに、ステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液10部に添加し、流体が均一になるまで撹拌した。次に、実施例1に記載したようにこの組成物を発泡させ、実施例1に概説したプロセスを使用して黒色の可撓性素材に0.3mmの厚さで塗布して、この実施例の感熱素材を形成した。
【0396】
実施例1に記載の方法を用いて、実施例4のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。実施例1に記載したのと同様の方法で得られたサーモグラフィー素材を画像形成した。画像形成後、画像化領域のL*は17.0と測定され、非画像化領域のL*は89.0と測定され、その結果、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は72.0となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0397】
図6の表1および
図6に含まれる実施例を参照すると、ポリウレタンベースのサーモグラフィー素材の性能が熱溶媒の相乗効果とともに実証されている。実施例1は、ポリウレタンベースの感熱性発泡体層を含み、熱溶媒を含まない。この感熱素材の輝度は63.9と低く、感熱印刷感度もまた、印刷後の濃度がわずか17.8と低く、耐擦傷性は5と優れている。
【0398】
実施例2~4は、サーモグラフィー素材に熱溶媒からなる感熱層を追加した場合の効果を示している。感熱層のコーティング量が増加するにつれて、輝度L*が増加し、熱印刷感度が増加し、引掻きは良好なままである。
【0399】
実施例5は、熱溶媒のみにより構成される感熱層の効果を示す。この場合、輝度は実施例2~4ほど高くないが、感熱印刷感度と耐擦傷性は優れている。しかしながら、実施例5のような感熱層だけで構成されるサーモグラフィー素材は、印刷領域全体にわたる不均一な濃度や時間の経過による熱溶媒の再結晶化による不安定な濃度など、さまざまな熱印刷アーチファクトが発生しやすい。
【0400】
実施例6は、発泡体化された感熱層に熱溶媒を追加した効果を示している。この場合、実施例1と比較して、若干の輝度の増加が観察される。熱印刷感度の大幅な増加が観察され、耐引掻性が若干減少している。
【0401】
実施例7は、実施例の発泡体化された感熱層中の異なるポリウレタンバインダーの使用を示している。両方とも熱溶媒ベースの感熱層を含む実施例4と実施例7とを比較すると、実施例7は若干高い輝度と若干低い感熱印刷感度を有する。
【0402】
実施例8
【0403】
実施例8は、脂肪族ポリエステル-ポリウレタンの代わりにアクリルエマルションを使用し、発泡体安定剤を含ませ、バッチ単位のプロセスで発泡体を作製する以外、実施例1と同様の方法で実施した。
【0404】
以下の組成を有する感熱性発泡体層を調製した。40パーセントのヒートシール可能なアクリルエマルション(Joncryl HPB 4020として知られ、ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェンのBASF SEによって販売されている)62.6gを、小さな混合容器に加えた。これに、ステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液8.3g、および陰イオンスルホコハク酸塩発泡体安定剤4.1gを加え、流体が均一になるまで撹拌した。この流体組成物を、実施例6に記載の方法を使用して、1立方センチメートル当たり約0.075グラムの密度まで発泡体化した。
【0405】
実施例1で概説した方法を使用して、混合物を0.3mmの厚さでコーティングし、感熱素材を生じた。実施例1のサーモグラフィーバリアフィルム(906)を使用して、感熱素材をラミネートし、実施例1と同様に試験した。画像形成後、画像形成領域のL*は6.7と測定され、非画像形成領域のL*は72.8であり、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は66.1となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐スクラッチ性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0406】
実施例9
【0407】
実施例9は、実施例4のサーモグラフィーバリアフィルムを使用したことを除いて、実施例8と同様の方法で調製した。
【0408】
実施例8で調製したものと同様の方法で感熱素材を調製した。次に、実施例1に記載したものと同様の方法で、実施例4のサーモグラフィーバリアフィルムを感熱素材に積層し、その結果、サーモグラフィー素材10が得られた。
【0409】
次に、このサーモグラフィー素材(10)を実施例1と同じ方法で画像化した。印刷の画像化(暗い)部分と非画像化(白色の背景)部分とのL*の測定を行った。画像形成領域のL*は12.2であり、非画像形成領域のL*は83.9であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は71.7となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0410】
実施例10
【0411】
この実施例は、発泡体化されておらず、ボイドを含まない感熱層から構成されたサーモグラフィー素材の調製を示している。実施例1と同様に、黒色の着色層をフレキシブルなポリプロピレン素材上にコーティングし、得られた輝度L*は8.8であった。
【0412】
以下の組成を有する非ボイド化されたエラストマー層を調製した。Joncryl HBP 4020アクリルエマルジョン20gを、小さな混合容器に加えた。これに、10グラムの水を加え、流体が均一になるまで撹拌した。#10Mayerコーティングロッドを使用して、液体を黒色の着色層の上にコーティングし、室温の送風空気を使用して層から水を5分間乾燥させた。得られたボイドのない層は、1平方メートル当たり5.8グラムの乾燥コーティング重量を有し、コントロール感熱素材を形成した。
【0413】
次に、実施例1で概説したのと同じ方法を使用して、実施例4のサーモグラフィーバリアフィルムを、非ボイド化されたエラストマー層(806)でコーティングされた黒色着色ポリプロピレン素材に積層し、その結果、コントロールサーモグラフィー素材を得た。
【0414】
次に、このコントロールサーモグラフィー素材を実施例1と同じ方法で画像化した。プリントの画像化(暗い)部分と非画像化(白色の背景)部分とのL*の測定を行った。画像形成領域のL*は8.2であり、非画像形成領域のL*は75.9であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は67.7となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0415】
実施例11
【0416】
実施例11は、製造された発泡体が0.4mmの厚さでコーティングされたことを除いて、実施例8と同様の方法で実施された。
【0417】
この実施例のサーモグラフィー素材を実施例1と同様に撮像し試験した。画像形成後、画像形成領域のL*は8.8と測定され、非画像形成領域のL*は77.1であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は68.3となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0418】
実施例12
【0419】
実施例12は、製造された発泡体を0.5mmの厚さでコーティングしたことを除いて、実施例8と同様の方法で実施した。
【0420】
この実施例のサーモグラフィー素材を実施例1と同様に画像形成し試験した。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は12.8であり、非画像形成領域のL*の測定値は82.2であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は69.4となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0421】
実施例13
【0422】
実施例13は、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムを使用したことを除いて、実施例10と同様の方法で実施した。
【0423】
この実施例のサーモグラフィー素材を実施例1と同様にして画像形成した。画像形成後、画像形成領域のL*は6.4であり、非画像形成領域のL*は8.0であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は1.6となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察したが、画像形成領域と非画像形成領域との間に目に見える色の違いがなかったため、結果を効果的に等級付けることができなかった。
【0424】
図7の表2およびそこに含まれる実施例を参照すると、アクリル発泡体感熱層が示されている。実施例8~13のアクリルベースのサーモグラフィー素材は、実施例1~7のポリウレタン素材と比較して耐引掻性が劣っている。実施例8、11および12は熱溶媒の無い発泡体化感熱層を含み、湿潤状態の発泡体の厚さは0.3~0.5mmである。これらの素材の輝度は、湿潤状態の発泡体の厚さが増加するにつれて増加するが、これらの実施例では全体的に低く、一方で感熱印刷感度は高い。実施例9における熱溶媒ベースの感熱層の添加は、感熱印刷感度の減少および耐引掻性の増加を伴う輝度の増加を示す。実施例9で使用したKS232熱溶媒の溶解特性は、HPB4020アクリルエラストマーにとって最適ではないかも知れない。
【0425】
ボイド化されていない感熱層を持つ実施例10および13は、発泡体化エラストマー感熱層を有する実施例8、11、および12と比較して輝度の違いを示す。実施例13の輝度は非常に低く、非ボイド化されたエラストマーの被覆力が非常に低いため、実質的に黒色の外観を有する。実施例10では、実施例13と同じボイド化されていない感熱層を使用しているが、熱溶媒ベースの感熱層が含まれている。実施例10は、熱溶媒ベースの感熱層が素材の全体的な輝度に与える影響を示している。
【0426】
実施例14
【0427】
この実施例は、ベース紙(Pixelle Specialty Solutions, Spring Glove, ペンシルバニアによって「Unitherm LB」として販売される)(106)、着色(黒)層、感熱発泡体層を含み、感熱素材806を形成するサーモグラフィー素材の調製を示す。サーモグラフィーバリアフィルムは、可撓性PETバリアフィルムおよび耐熱トップコート層を含むように調製された。
【0428】
実施例1の着色層を同様の方法で紙素材および溶媒に塗布し、得られたインクの被覆率が1平方メートルあたり1.75グラムとなるように乾燥させた。ベース紙素材のL*は92.2であり、黒色着色層のL*は9.5であった。
【0429】
感熱性発泡体層を調製した。83.5gのImpranil DLUを小さな混合容器に加えた。これに、11グラムのステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液および5.5gの陰イオンスルホコハク酸塩発泡体安定剤を加え、流体が均一になるまで撹拌した。
【0430】
この混合物を、実施例6に記載の方法を使用して1立方センチメートルあたり0.075グラムの密度まで発泡体化した。次に、実施例1と同様の方法で、得られた発泡体を黒色で被覆された紙素材上に0.3mmの厚さでコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。実施例1に記載の方法を用いて、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。実施例1と同様の方法で、得られたこの実施例のサーモグラフィー素材(10)に画像形成を行った。
【0431】
画像形成後、画像形成領域のL*は40.9と測定され、非画像形成領域のL*は84.8と測定され、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は43.9となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻き性レベル4を有するように主観的に等級付けされた。
【0432】
実施例15
【0433】
この実施例は、熱溶媒分散液を感熱性発泡体層に添加したことを除き、実施例14のものと同様のサーモグラフィー素材の調製を示す。
【0434】
熱溶媒粒子の分散液を、以下の方法を使用して調製した。69グラムのアクリル樹脂分散液(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェンのBASF SEによって販売される「Joncryl HPG 296」)を少量の混合容器に添加した。これらに、55グラムの水および20グラムのイソプロピルアルコールを加え、混合物が均一になるまで撹拌した。この混合物を分散装置(ドイツ、シュタウフェンのIKA-Werke GmbH&CO.KG製のUltra-Turrax T 25 basic model)のヘッドの下に置いた。分散ヘッドを低速で回転させながら、100グラムのグリセロールトリベンゾエート(ミズーリ州セントルイスのMilliporeSigmaから入手可能)を混合物にゆっくりと加えた。すべての粉末が組み込まれたら、実験室用サイズのビーズミル(イリノイ州グレイスレイクのEngineered Mills, Inc.製のModel M100 Mini Mill)の生成物入口漏斗に混合物を入れ、熱溶媒の粒子サイズ分布(カリフォルニア州アーバインのHoriba Instruments Incorporated製Partica LA-950などのレーザー散乱粒子サイズ分布分析装置を使用して測定)は、4マイクロメートル未満であるD50を有するように測定された。
【0435】
感熱性発泡体層を調製した。30.90gのImpranil DLUポリウレタン分散液を小さな混合容器に加えた。これに、ステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液4.07g、陰イオンスルホコハク酸発泡体安定剤2.03g、および上記組成のグリセロールトリベンゾエート分散液16.5gを加え、流体が均一になるまで撹拌した。
【0436】
この流体組成物を、実施例6に記載の方法を使用して1立方センチメートルあたり約0.075グラムの密度まで発泡体化した。次に、実施例14で調製したように、得られた発泡体を0.3mmの厚さで紙素材の黒色着色層上に、実施例1に記載した方法でコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0437】
実施例1に記載の方法を用いて、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。得られたこの実施例のサーモグラフィー素材に、実施例1と同様の方法で画像形成を行った。画像形成後の、画像形成領域のL*測定値は27.4、非画像形成領域のL*測定値は79.5であり、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は52.1となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル2を有するように主観的に等級付けされた。
【0438】
実施例16
【0439】
実施例16は、3,4-ジメトキシ安息香酸メチルを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0440】
グリセロールトリベンゾエート粒子を3,4-ジメトキシ安息香酸メチル(オレゴン州ポートランドのTCI Americaから利用可能)で置き換え、ポリビニルアルコール(テキサス州ダラスのSekisui Specialty Chemicals America, LLCによって販売されている「Selvol 15-103 SLTN」として知られている)の15%固体水性溶液80gを、分散樹脂として使用し、1グラムのステアリン酸アンモニウム分散液が含まれ、数グラムの水のみが添加され、イソプロピルアルコールが省略された以外、実施例15と同様の方法で熱溶媒粒子分散液を調製した。粒子サイズの分布が84マイクロメートルのD50を有するように測定されるように、粒子を粉砕した。
【0441】
実施例15と同様の方法で感熱性発泡体層を調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。得られたサーモグラフィー素材に実施例1と同様の方法で画像形成した。
【0442】
画像形成後、画像形成領域のL*は54.9と測定され、非画像形成領域のL*は87.7と測定され、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は32.8となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0443】
実施例17
【0444】
実施例17は、ジフェニルスルホキシドを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0445】
熱溶媒粒子分散液を、グリセロールトリベンゾエート粒子を50gのジフェニルスルホキシド(オレゴン州ポートランドのTCI Americaから入手可能)で置き換え、100gのSelvol 15-103を分散剤樹脂として使用し、1gのステアリン酸アンモニウム分散液を使用し、25グラムの水のみを添加し、イソプロピルアルコールを省略したことを除いて、実施例15と同様の方法で熱溶媒粒子を調製した。粒子は、粒子サイズ分布が35マイクロメートル未満のD50を有するように測定されたように粉砕された。
【0446】
実施例15と同様の方法で感熱性発泡体層を調製した。実施例1に記載の方法を用いて、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材に実施例1と同様にして画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は75.3、非画像形成領域のL*の測定値は90.8であり、画像形成領域と非画像形成域との間のΔL*は15.5となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0447】
実施例18
【0448】
実施例10は、2-ベンゾイル安息香酸メチルを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0449】
熱溶媒粒子分散液を、グリセロールトリベンゾエート粒子を2-ベンゾイル安息香酸メチル(ミズーリ州セントルイスのMilliporeSigmaから入手可能)で置き換えたことを除いて、実施例15と同様の方法で調製した。75gの分散剤樹脂を使用し、73gの水および21gのイソプロピルアルコールを添加した。粒子は、粒子サイズ分布が3マイクロメートル未満のD50を有するように測定されたように粉砕された。
【0450】
感熱性発泡体層を実施例15と同様の方法で調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材に実施例1と同様の方法で画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は41.6、非画像形成領域のL*の測定値は86.2であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は44.6となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0451】
実施例19
【0452】
実施例19は、ビス[(4-メチルフェニル)メチル]シュウ酸塩を含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0453】
グリセロールトリベンゾエート粒子をビス[(4-メチルフェニル)メチル]シュウ酸塩(「台湾、台北のUFC Corporationによる「Mosathermos 298」)で置き換え、75gのSelvol 15-103を分散剤樹脂として使用し、1.5gのステアリン酸アンモニウム分散液および75グラムの水を添加し、イソプロピルアルコールを省略した以外、実施例15と同様の方法で熱溶媒粒子分散液を準備した。粒子サイズ分布が0.2マイクロメートル未満のD50を有するように測定されるように、粒子は粉砕された。
【0454】
実施例15と同様の方法で感熱性発泡体層を調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材に、実施例1と同様にして画像形成を行った。
【0455】
画像形成後、画像形成領域のL*は10.8と測定され、非画像形成領域のL*は76.4と測定され、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は65.6となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル2を有するように主観的に等級付けされた。
【0456】
実施例20
【0457】
シュウ酸ジベンジルを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施例20を実施した。
【0458】
グリセロールトリベンゾエート粒子をシュウ酸ジベンジル(ミズーリ州セントルイスのMilliporeSigmaから入手可能)で置き換え、75gの分散剤樹脂を使用したことを除いて、熱溶媒粒子分散液を実施例15と同様の方法で調製した。粒子サイズ分布が0.25マイクロメートル未満のD50を有するように測定されるように、粒子は粉砕された。
【0459】
感熱性発泡体層を実施例15と同様の方法で調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材に実施例1と同様にして画像形成した。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は17.8であり、非画像形成領域のL*の測定値は84.0であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は66.2となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0460】
実施例21
【0461】
シュウ酸ビス(4-クロロベンジル)を含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例21は実施例15と同様の方法で実施した。
【0462】
熱溶媒粒子分散液を、グリセロールトリベンゾエート粒子をシュウ酸ビス(4-クロロベンジル)(台湾、台北、UFC Corporationによる「Mosathermos 339」として販売)に置き換え、75グラムの分散剤樹脂を使用し、65グラムの水を加えたことを除いて、実施例15と同様の方法で調製した。粒子サイズ分布が0.2マイクロメートル未満のD50を有するように測定されるように、粒子が粉砕された。
【0463】
感熱性発泡体層を実施例15と同様の方法で調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材に実施例1と同様にして画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は28.6であり、非画像形成領域のL*の測定値は86.0であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は57.4となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0464】
実施例22
【0465】
実施例22は、1,2-ジフェノキシエタンを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0466】
グリセロールトリベンゾエート分散液を市販の1,2-ジフェノキシエタン分散液(日本、東京のSanko Co., Ltd.による「KS-235」として販売)に置き換えたことを除いて、感熱性発泡体層を実施例15と同様の方法で調製した。この流体組成物を、実施例6に記載の方法を使用して1立方センチメートル当たり約0.075グラムの密度まで発泡体化した。次に、実施例1に記載の方法を使用して、実施例14で調製した紙素材の黒色着色層上に0.3mmの厚さで得られた発泡体をコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0467】
実施例1に記載の方法を用いて、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。実施例1で説明したのと同じ方法で、この実施例の得られたサーモグラフィー素材に画像形成を行った。
【0468】
画像形成後、画像形成領域のL*は7.8と測定され、非画像形成領域のL*は83.2と測定され、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は75.4となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0469】
実施例23
【0470】
実施例22は、1,2-ビス-(3-メチル-フェノキシ)エタンを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0471】
グリセロールトリベンゾエート分散液を市販の1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン分散液(日本、東京のSanko Co., Ltd.による「KS-232」として販売)に置き換えた以外は、実施例15と同様の方法で感熱性発泡体層を調製した。実施例6に記載の方法を使用して、この流体組成物を1立方センチメートルあたり約0.075gの密度に発泡体化した。次に、実施例1に記載の方法を使用して、実施例14で調製した紙素材の黒色着色層上に得られた発泡体を0.3mmの厚さでコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0472】
実施例1に記載の方法を用いて、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。実施例1と同様の方法で、この実施例の得られたサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は7.9であり、非画像形成領域のL*の測定値は85.7であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は77.8となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻き性レベル4を有するように主観的に等級付けされた。
【0473】
実施例24
【0474】
実施例24は、ネオペンチルグリコールジベンゾエートを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0475】
グリセロールトリベンゾエート粒子をネオペンチルグリコールジベンゾエート(ドイツ、ケルン、Lanxess AGにより「Uniplex 512」として販売)で置き換えたことを除いて、実施例15と同様の方法で熱溶媒粒子分散液を調製した。75gの分散剤樹脂を使用し、65gの水および5.6gのポリアクリレートベースの非会合性増粘剤(オハイオ州、ウエストレイクのBorchers Americas, Inc.からの「Borchi Gel A LA」)を追加した。粒子サイズ分布が2マイクロメートル未満のD50を有するように測定されるように、粒子が粉砕された。
【0476】
感熱性発泡体層を実施例15と同様の方法で調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例の得られたサーモグラフィー素材を実施例1と同様の方法で画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は25.1、非画像形成領域のL*の測定値は81.8であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は56.7となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻き性レベル1を有するように主観的に等級付けされた。
【0477】
実施例25
【0478】
実施例25は、ベンジル2-ナフチルエーテルを含有する熱溶媒分散液を使用したことを除いて、実施例15と同様の方法で実施した。
【0479】
熱溶媒粒子分散液を、グリセロールトリベンゾエート粒子をベンジル2-ナフチルエーテル(オレゴン州ポートランドのTCI Americaから入手可能)で置き換えたことを除いて、実施例15と同様の方法で調製した。粒子サイズ分布が20マイクロメートル未満のD50を有すると測定されるように、粒子は粉砕された。
【0480】
実施例15と同様の方法で感熱性発泡体層を調製した。実施例1に記載の方法を使用して、実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。この実施例のサーモグラフィー素材に実施例1と同様にして画像形成を行った。
【0481】
画像形成後、画像形成領域のL*は27.9と測定され、非画像形成領域のL*は86と測定され、その結果、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は58.1となった。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3を有するように主観的に等級付けされた。
【0482】
図8の表3およびそこに含まれる実施例を参照すると、Log Pとして表される熱溶媒溶解度特性の効果は、発泡体化ポリウレタン感熱層で実証される。実施例14は、熱溶媒を添加しない発泡体化DLUポリウレタン感熱層の輝度、感熱印刷感度、および耐擦傷性を示す。実施例15~25は、1.52~5.2のLog Pの範囲の様々な熱溶媒を発泡体化されたDLU感熱層に追加する効果を実証する。DLUポリウレタンのLog Pは直接的にはわからないが、およそ3~5の範囲にあると推測できる。これらの実施例は、10未満のいくつかの黒L*値および80を超える輝度L*値を持つ熱印刷感度の市場改善を示しており、優れた印刷コントラストを提供する。実施例14と比較すると、実施例23を除くこれらすべての実施例は、若干低い耐引掻性を示す。特定の理論に束縛されるつもりはないが、DPSやUniplex 512などの特定の熱溶媒は、印刷されていない状態でこれらの実施例の発泡体化されたエラストマーに部分的に溶解し、可塑化効果を引き起こして、発泡体化された感熱層の耐傷性を低下させる可塑化効果を起こすのかも知れない。
【0483】
実施例26
【0484】
実施例26は、感熱性発泡体層中のポリエーテル-ポリウレタン分散液をポリエステル-ポリウレタン分散液に置き換えた点を除き、実施例14と同様の方法で実施した。
【0485】
実施例1と同じ組成の感熱性発泡体層を、実施例6で概説した方法を使用して調製した。次に、実施例1で概説した方法を使用して、この実施例のベース着色層上にこの発泡体をコーティングし、感熱素材を形成した。
【0486】
サーモグラフィーバリアフィルムを実施例1と同様の方法で調製した。実施例1に記載の方法を使用して、このサーモグラフィーバリアフィルムをこの実施例の感熱素材に積層した。実施例1に記載したのと同様の方法で、この実施例の得られたサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は14.6であり、非画像形成領域のL*の測定値は58.4であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は43.8となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0487】
実施例27
【0488】
実施例27は、ビス[(4-メチルフェニル)メチル]シュウ酸塩熱溶媒粒子の感熱層を含むサーモグラフィーバリアフィルムを調製したことを除いて、実施例26と同様の方法で実施した。
【0489】
この実施例のサーモグラフィー素材を実施例1と同様にして撮像した。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は12.6であり、非撮像領域のL*は80.0であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は67.4となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル5を有するように主観的に等級付けされた。
【0490】
実施例28
【0491】
実施例28は、感熱性発泡体層の組成物が高Tgアクリルエマルションを含んでいた点を除いて、実施例27と同様の方法で実施した。
【0492】
感熱性発泡体層を調製した。60部のImpranil DLHポリウレタン分散液を小さな混合容器に加えた。10部のステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液、および30部の高Tgアクリルエマルション(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェンのBASF SEによって販売される「Joncryl 633」)をこれに添加し、流体が均一になるまで撹拌した。実施例1に記載の方法を使用して、この混合物を1立方センチメートルあたり0.075グラムの密度まで発泡体化した。次に、実施例1に記載の方法を使用して、得られた発泡体を黒色コート紙素材上に0.3mmの厚さでコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0493】
実施例1と同様の方法で、この実施例のサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は7.6であり、非画像形成領域のL*の測定値は87.3であり、画像化領域と非画像化領域との間のΔL*は79.7となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベルが4.5であると主観的に等級付けされた。
【0494】
実施例29
【0495】
感熱性発泡体層の組成物が高Tgアクリルエマルションのレベルを増加させたことを除いて、実施例29は、実施例27と同様の方法で実施した。
【0496】
感熱性発泡体層を調製した。45部のImpranil DLHポリウレタン分散液を小さな混合容器に加えた。10部のステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液および45部の高TgアクリルエマルションJoncryl 633をこれに添加し、流体が均一になるまで撹拌した。実施例1に記載の方法を使用して、この混合物を1立方メートルあたり0.075グラムの密度まで発泡体化した。次に、実施例1に記載の方法を使用して、得られた発泡体を黒色コート紙素材上に0.3mmの厚さでコーティングし、この実施例の感熱素材(806)を形成した。
【0497】
実施例1と同様の方法で、この実施例のサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は10.7であり、非画像形成領域のL*の測定値は89.4であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は78.7となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3.5を有するように主観的に等級付けされた。
【0498】
実施例30
【0499】
感熱性発泡体層の組成物が高Tgアクリルエマルションのレベルを増加させたことを除いて、実施例30は、実施例27と同様の方法で実施した。
【0500】
感熱性発泡体層を調製した。30部のImpranil DHLポリウレタン分散液を小さな混合容器に加えた。10部のステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液および60部の高TgアクリルエマルションJoncryl 633をこれに添加し、流体が均一になるまで撹拌した。実施例1に記載の方法を使用して、1立方センチメートルあたり0.075グラムの密度までこの混合物を発泡体化した。次に、実施例1に記載の方法を使用して、黒色コート紙素材上に0.3mmの厚さで得られた発泡体をコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0501】
実施例1と同様の方法で、この実施例のサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は13.6であり、非画像形成領域のL*の測定値は90.4であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は76.8となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル3.5を有するように主観的に等級付けされた。
【0502】
実施例31
【0503】
感熱性発泡体層がJoncryl 633から構成されたことを除いて、実施例31は、実施例27と同様の方法で実施された。
【0504】
感熱性発泡体層を調製した。83.5部の高TgアクリルエマルションJoncryl 633を小さな混合容器に加えた。これに、11部のステアリン酸アンモニウム界面活性剤分散液および5.5部の陰イオンスルホコハク酸塩発泡体安定剤を加え、流体が均一になるまで撹拌した。この混合物を、実施例6に記載の方法を使用して、0.075グラム/立方センチメートルの密度まで発泡体化した。次いで、得られた発泡体を、実施例1に記載の方法を使用して、黒色コート紙素材上に0.3mmの厚さでコーティングし、この実施例の感熱素材を形成した。
【0505】
実施例1と同様の方法で、この実施例のサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は44.9であり、非画像形成領域のL*の測定値は92.8であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は47.9となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル2を有するように主観的に等級付けされた。
【0506】
実施例32
【0507】
実施例1のサーモグラフィーバリアフィルムを使用したことを除いて、実施例32は、実施例31と同様の方法で実施した。
【0508】
実施例1と同様の方法で、この実施例のサーモグラフィー素材に画像形成を行った。画像形成後、画像形成領域のL*の測定値は23.5であり、非画像形成領域のL*の測定値は87.7であり、画像形成領域と非画像形成領域との間のΔL*は64.2となる。引掻き試験を受けた後、サンプルを観察し、耐引掻性レベル2を有するように主観的に等級付けされた。
【0509】
図9の表4およびそこに含まれる実施例を参照すると、発泡体化感熱層に対するT
gの影響が実証されている。実施例26および27は、熱溶媒ベースの感熱層がある場合とない場合との、DLHポリウレタンエラストマーベースの発泡体化感熱層のパフォーマンスを示す。DLHポリウレタンエラストマーのT
gは、約-37℃である。実施例27は、実施例26に比べて輝度L*および感熱印刷感度黒度L*が改善されていることを示している。両方の実施例は優れた耐引掻性を有する。
【0510】
再び表4を参照すると、実施例31および32は、熱溶媒ベースの感熱層を含む場合と含まない場合との、熱可塑性スチレンアクリルコポリマーであるJoncryl 633の発泡体化感熱層の性能を示す。Joncryl 633熱可塑性樹脂のTgは104℃である。どちらの実施例も高輝度L*を有している。実施例32は、実施例31に比べて感熱印刷感度黒度L*が改善されていることを示している。しかしながら、両方の実施例は耐引掻性が非常に低い。
【0511】
再び表4を参照すると、実施例28~30は、熱可塑性のJoncryl 633とDLHエラストマーとのブレンドの効果を示す。Joncryl 633の配合量が増えると、輝度L*が増加するが、耐傷性は低下する。
【0512】
サーモグラフィー素材は、可撓性素材と、着色層と、感熱層とを含む。着色層は可撓性素材と感熱層との間にある。感熱層はエラストマーとボイドで構成される。感熱層は、加えられる熱および圧力に反応して透明化可能になる。
【0513】
印刷されていない素材のL*輝度は50より大きくてもよい。熱印刷された素材のL*輝度は50未満であってもよい。印刷されていない素材と熱印刷された素材との間のL*輝度の差は、20より大きくてもよい。エラストマーのガラス転移温度は35℃未満であってもよい。感熱層は、1ccあたり0.9g未満の密度を有していてもよい。着色層は顔料により構成されてもよい。感熱層の厚さは1mm未満であってもよい。ボイドの平均直径は、250マイクロメートル未満であってもよい。感熱層は界面活性剤により構成されていてもよい。界面活性剤はステアリン酸アンモニウムであってもよい。素材は熱溶媒で構成されてもよい。素材は、第2の感熱層をさらに含んでもよい。第2の感熱層は熱溶媒で構成されてもよい。熱溶媒のLog Pは、エラストマーのLog Pの5単位以内であってもよい。
【0514】
サーモグラフィー素材を作製するプロセスは、(a)可撓性素材上に着色層をオーバーコートすることと、(b)第1の感熱層を着色層上にオーバーコートすることとを備え、第1の感熱層は、エラストマーおよびボイドで構成され、第1の感熱層は、そこに加えられる熱および圧力に応じて透明化可能になる。
【0515】
そのプロセスは、(c)第1の感熱層上に感熱性発泡体層をオーバーコートすることと、(d)接着層を使用して、感熱性発泡体層上に第2の感熱層をオーバーコートすることとをさらに備えてもよい。そのプロセスは、(c)第1の感熱層上に感熱性発泡体層をオーバーコートすることと、(d)接着剤層を使用して感熱性発泡体層上に第2の感熱層を硬化することとをさらに備えてもよい。このプロセスは、(e)第2の感熱層に対してバリア膜を固定することと、(f)バリア膜上に耐熱トップコートをオーバーコートすることとをさらに備えてもよい。印刷されていない素材のL*輝度は50を超えてもよい。熱印刷された素材のL*輝度は50未満であってもよい。印刷されていない素材と熱印刷された素材とのL*輝度の差は20を超えてもよい。エラストマーのガラス転移温度は35℃未満であってもよい。感熱層は、1ccあたり0.9g未満であってもよい。着色層は顔料により構成されていてもよい。感熱層の厚さは1mm未満であってもよい。ボイドの平均粒径は250マイクロメートル未満であってもよい。感熱層は界面活性剤で構成されてもよい。界面活性剤はステアリン酸アンモニウムであってもよい。素材は熱溶媒で構成されていてもよい。熱溶媒のLog Pは、エラストマーのLog Pの5単位以内であってもよい。
【0516】
上で開示した実施の形態のバリエーションおよび他の特徴および機能の変形、またはそれらの代替物は、必要に応じて他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わせることができることが理解されるであろう。また、現在予見されていない、または予期されていないさまざまな代替案、修正、変更、または改善が、当業者によってその後行われてもよく、これらも上記の説明に包含されることが意図される。
【国際調査報告】