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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】関節運動制御装置および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240628BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61M25/092 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579549
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022072919
(87)【国際公開番号】W WO2023278938
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,005
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワイルダー、エバン
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、ショーン
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161HH33
4C161HH34
4C161HH36
4C267AA01
4C267BB52
4C267CC07
4C267EE01
4C267EE03
(57)【要約】
医療装置(10)は、作動装置(52、54)を含むハンドル(20)と、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシャフト(30)と、ハンドルに回転可能に連結されたカム(70)であって、第1のセクション(84)および第2のセクション(86)を含み、第1のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離が、第2のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離とは異なる、カムと、カムからシャフトの遠位端まで延在する作動ワイヤ(100a、100b)とを含む。作動装置の回転がカムを回転させ、作動ワイヤを第1のセクションおよび第2のセクションの周りに巻き付かせてシャフトの遠位端を偏向させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動装置を含むハンドルと、
前記ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシャフトと、
前記ハンドルに回転可能に連結されたカムであって、第1のセクションおよび第2のセクションを含み、前記第1のセクションの半径方向外側の面と前記カムの中心との間の距離が、前記第2のセクションの半径方向外側の面と前記カムの前記中心との間の距離とは異なる、カムと、
前記カムから前記シャフトの遠位端まで延在する作動ワイヤであって、前記作動装置の回転が前記カムを回転させ、前記作動ワイヤを前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの周りに巻き付かせて前記シャフトの前記遠位端を偏向させる、作動ワイヤとを備える、医療装置。
【請求項2】
前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは、前記作動ワイヤのための移動経路を画定し、前記第1のセクションは、第1の曲率半径を有し、前記第2のセクションは、第2の曲率半径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のセクションの前記半径方向外側の面は、前記第1の曲率半径を有する第1の曲線を画定し、前記第1の曲率半径は、前記第1の曲線の第1の端から前記第1の曲線の第2の端まで均一であり、前記第2のセクションの前記半径方向外側の面は、前記第2の曲率半径を有する第2の曲線を画定し、前記第2の曲率半径の大きさは、前記第2の曲線の第1の端から前記第2の曲線の第2の端に向かって減少する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記カムは、前記第2のセクションから延在する第3のセクションを含み、前記第1のセクション、前記第2のセクション、および前記第3のセクションは、連続した経路を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第3のセクションは、直線状の半径方向外側の面を含み、前記カムの前記中心と前記直線状の半径方向外側の面との間の距離は、前記第3のセクションの全体に沿って異なる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のセクションの前記半径方向外側の面と前記カムの前記中心との間の距離は、前記第3のセクションの前記半径方向外側の面の少なくとも一部と前記カムの前記中心との間の距離よりも大きい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第3のセクションから延在する第4のセクションをさらに含み、前記第4のセクションの半径方向外側の面と前記カムの前記中心との間の距離と、前記第1のセクションの前記半径方向外側の面と前記カムの前記中心との間の距離とが等しい、請求項4または5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは、第1の経路を形成し、第2の経路が、前記第1の経路の平面に平行な平面内で前記カム上に形成され、前記第2の経路は、第1の半径を有する第1の部分および第2の半径を有する第2の部分を含み、前記第1の半径と前記第2の半径とは等しくない、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の経路および前記第2の経路は、前記第1の経路と前記第2の経路との間の、前記第1の経路および前記第2の経路に平行であり、前記カムを二等分する平面に関して鏡像ではない、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記カムの時計回り方向への回転により、前記作動ワイヤが前記第1の経路上に巻き付けられ、前記カムの反時計回り方向への回転により、第2の作動ワイヤが前記第2の経路上に巻き付けられる、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
0度から180度までの角度による前記作動装置の回転は、180度から360度までの前記作動装置の回転よりも、前記シャフトの前記長手方向軸線に対してより小さい角度で前記シャフトの一部を偏向させるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記カムは、凹部を含み、前記作動ワイヤの近位部分の直径は、前記作動ワイヤの遠位端の直径よりも大きく、前記作動ワイヤの前記近位部分は、前記凹部によって受容されるように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記作動装置が前記カムにキー止めされ、前記作動機構の移動が前記カムを移動させるように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記カムと同じ軸線を中心に回転可能なロック機構をさらに備え、前記ロック機構は、第1の位置から第2の位置に移動するように構成され、前記カムは、前記ロック機構が前記第1の位置にあるときに回転することができ、前記カムは、前記ロック機構が前記第2の位置にあるときに回転することができない、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
第2の作動装置と、
前記第2の作動装置にキー止めされた第2のカムであって、第1の半径および第2の半径を有する経路を含み、前記第1の半径および前記第2の半径は異なる、第2のカムとをさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、医療装置および関連する使用方法に関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のアクチュエータを使用して、内視鏡および/または内視鏡とは独立した、もしくは内視鏡と関連付けられた医療器具の関節運動を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
スコープは、体内の標的部位にアクセスするために使用され得、1つ以上の医療ツールは、スコープの1つ以上のルーメンを通して前進させられ得、スコープおよび/または医療ツールは、標的部位へのアクセスを獲得し、診断し、または治療するために関節運動され得る。ハンドルは、作動ワイヤに連結され得る1つ以上の関節運動機構(例えば、ノブなど)を含み得る。ユーザによる関節運動機構の作動は、スコープおよび/または医療ツールの一部の関節運動を引き起こし得る。これらの内視鏡システムの欠点としては、例えば、関節運動機構が回転されて関節運動部材を最大屈曲させるときに、ユーザが感じる増加した張力が挙げられる。例えば、関節運動機構が回転させられると、関節運動部材に連結された作動ワイヤが、関節運動機構および/または関節運動機構に取り付けられた部材(例えば、カム)の周りに巻き付き、ユーザが感じる張力を増加させる。この増加した張力は、手を疲労させる場合があり、これは、治療を行う際に困難を生じさせ得る。さらに、従来の関節運動機構の設計は、関節運動機構が回転されるにつれて、スコープおよび/または医療ツールの関節運動応答を変化させる場合がある。これは、スコープの長手方向軸線に対する関節運動継手の角度が増加するにつれて、関節運動継手の応答性を減少させ得る。本開示は、当技術分野におけるこれらの課題または他の課題の1つ以上を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、特定の課題を解決する能力ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、医療装置は、作動装置を含むハンドルと、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシャフトと、ハンドルに回転可能に連結されたカムであって、第1のセクションおよび第2のセクションを含み、第1のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離が、第2のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離とは異なる、カムと、カムからシャフトの遠位端まで延在する作動ワイヤであって、作動装置の回転がカムを回転させ、作動ワイヤを第1のセクションおよび第2のセクションの周りに巻き付かせてシャフトの遠位端を偏向させる、作動ワイヤとを含む。
【0004】
第1のセクションおよび第2のセクションは、作動ワイヤのための移動経路を画定してもよく、第1のセクションは、第1の曲率半径を有してもよく、第2のセクションは、第2の曲率半径を有してもよい。
【0005】
第1のセクションの半径方向外側の面は、第1の曲率半径を有する第1の曲線を画定してもよく、第1の曲率半径は、第1の曲線の第1の端から第1の曲線の第2の端まで均一であってもよく、第2のセクションの半径方向外側の面は、第2の曲率半径を有する第2の曲線を画定してもよく、第2の曲率半径の大きさは、第2の曲線の第1の端から第2の曲線の第2の端に向かって減少してもよい。
【0006】
カムは、第2のセクションから延在する第3のセクションを含んでもよく、第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションは、連続した経路を形成してもよい。
【0007】
第3のセクションは、直線状の半径方向外側の面を含んでもよく、カムの中心と直線状の半径方向外側の面との間の距離は、第3のセクションの全体に沿って異なってもよい。
第2のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離は、第3のセクションの半径方向外側の面の少なくとも一部とカムの中心との間の距離よりも大きくてもよい。
【0008】
第4のセクションは、第3のセクションから延在してもよく、第4のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離と、第1のセクションの半径方向外側の面とカムの中心との間の距離とは、等しくてもよい。
【0009】
第1のセクションおよび第2のセクションは、第1の経路を形成してもよく、第2の経路は、第1の経路の平面に平行な平面内でカム上に形成されてもよく、第2の経路は、第1の半径を有する第1の部分および第2の半径を有する第2の部分を含んでもよく、第1の半径と第2の半径とは等しくなくてもよい。
【0010】
第1の経路および第2の経路は、第1の経路と第2の経路との間の、第1経路および第2経路に平行であり、カムを二等分する平面に関して鏡像でなくてもよい。
カムの時計回り方向への回転により、作動ワイヤが第1の経路上に巻き付けられ得、カムの反時計回り方向への回転により、第2の作動ワイヤが第2の経路上に巻き付けられ得る。
【0011】
0度から180度までの角度による作動装置の回転は、180度から360度までの作動装置の回転よりも、シャフトの長手方向軸線に対してより小さい角度でシャフトの一部を偏向させるように構成され得る。
【0012】
カムは、凹部を含んでもよく、作動ワイヤの近位部分の直径は、作動ワイヤの遠位端の直径より大きくてもよく、作動ワイヤの近位部分は、凹部によって受容されるように構成されてもよい。
【0013】
作動装置は、カムにキー止めされてもよく、作動機構の移動は、カムを移動させるように構成されてもよい。
ロック機構は、カムと同じ軸線を中心に回転可能であってもよく、ロック機構は、第1の位置から第2の位置に移動するように構成されてもよく、カムは、ロック機構が第1の位置にあるときに回転できてもよく、カムは、ロック機構が第2の位置にあるときに回転できなくてもよい。
【0014】
装置は、第2の作動装置と、第2の作動装置にキー止めされた第2のカムとをさらに含んでもよく、第2のカムは、第1の半径および第2の半径を有する経路を含んでもよく、第1の半径と第2の半径とは異なってもよい。
【0015】
別の態様によれば、医療装置は、作動装置を含むハンドルと、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシャフトと、ハンドルに回転可能に連結されたカムとを含んでもよく、カムは、作動ワイヤの移動経路を画定する第1のセクションおよび第2のセクションを含み、第1のセクションの半径方向外側の面は、第1の曲率半径を有し、第2のセクションの半径方向外側の面は、第1の曲率半径とは異なる第2の曲率半径を有し、作動装置の作動により、作動ワイヤが第1および第2のセクションの半径方向外側の面の周りに巻き付かされて、シャフトを屈曲させる。
【0016】
経路は、第2のセクションから延在する第3のセクションをさらに含んでもよく、第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションは、連続した経路を形成してもよい。
【0017】
カムはさらに、第1の経路に平行な第2の経路を含んでもよく、第1の経路と第2の経路とは、カムの中心軸線を中心として回転オフセットされてもよい。
別の態様によれば、方法は、開口部を介して体内に挿入装置のシャフトを挿入するステップと、挿入装置の遠位端が標的部位に隣接するように挿入装置を前進させるステップと、回転軸線を中心として第1の方向に第1の制御機構を回転させるステップと、回転に基づいてシャフトをシャフトの長手方向軸線に平行な位置から偏向させるステップとを含み、第1の制御機構が第1の方向に回転するにつれて、第1の制御機構に対するトルクが徐々に減少される。
【0018】
第1の方向への第1の制御機構の継続的な回転は、第1の制御機構に対するトルクを増加させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の趣旨を説明する役割を果たす。
図1】一実施形態による医療システムの概略図である。
図2】一実施形態による図1の内視鏡システムのハンドルの概略図である。
図3】一実施形態による図1の内視鏡システムのカム部材の概略図端部である。
図4】一実施形態による図3のカム部材の側面図である。
図5】一実施形態による図4の線5-5に沿ったカム部材の断面図である。
図6】一実施形態による図4の線6-6に沿ったカム部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、標的部位にアクセスするための、例えば、内視鏡の遠位端において異なる方向および/または異なる角度から標的部位にアクセスするための例示的な医療システムおよび医療ツールを参照して説明される。これは、改善された医療ツール機能性を提供し、および/または医療専門家が、医療処置を行うために標的部位への改善されたアクセスを得るのを支援し得る。しかしながら、任意の特定の装置および/または任意の特定の処置への言及は、便宜のためにのみ提供され、本開示を限定することを意図しないことに留意されたい。当業者は、開示される装置および適用方法の基礎をなす概念が、任意の好適な装置または処置、医療または他のものにおいて利用され得ることを認識するであろう。本開示は、以下の説明および添付の図面を参照して理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。
【0021】
説明を容易にするために、開示される装置および/またはそれらの構成要素の部分は、近位部分および遠位部分と称される。「近位」という用語は、装置のユーザにより近い部分を指すことが意図され、「遠位」という用語は、本明細書では、ユーザからより離れた部分を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位に」延在するとは、構成要素が遠位方向に延在することを示し、「近位に」延在するとは、構成要素が近位方向に延在することを示す。さらに、本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、述べられたまたは暗示された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。さらに、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状および近似的な形状を指す。
【0022】
図1を参照すると、一実施形態による医療システム10が示されている。医療システム10は、ハンドル20と、ハンドル20の遠位端から延在するシャフト30(例えば、カテーテル、シースなど)と、シャフト30の遠位端における遠位先端40とを含んでもよい。ハンドル20は、シャフト30の近位端から延在し、遠位先端40内の1つ以上の開口部(図示せず)で終端し得る1つ以上のルーメン(図示せず)に流体接続され得る複数のポート60、62、64を含んでもよい。医療ツールは、1つ以上のポート60、62、64を通して導入されてもよく、標的組織に対して1つ以上の治療を行うために、シャフト30および/または遠位先端40における開口部(図示せず)から露出されてもよい。代替的または追加的に、吸引および/または流体源を1つ以上のポート60、62、64に取り付けて、吸引によって組織または他の物体を除去し、かつ/または標的部位に流体を導入してもよい。代替的または追加的に、1つ以上のポート60、62、64は、アンビリカス(umbilicus)(図示せず)を介してディスプレイまたは制御デバイスに取り付けられてもよい。アンビリカスは、遠位先端40に提供される撮像装置および/または照明装置(図示せず)のワイヤに接続し得る、1つ以上のワイヤを含んでもよい。制御信号および/または電力を撮像装置または照明装置に供給して、その動作を制御することができる。
【0023】
ハンドル20はさらに、軸線Aによってハンドル20に枢動可能に連結され得る、作動装置52、54(例えば、ノブ)を含んでもよい。ロック機構56はまた、軸線Aに沿ってハンドル20に回転可能に連結されてもよく、第1の位置から第2の位置まで軸線Aを中心に回転し得る。第1の位置において、ロック機構56は、作動装置52、54の回転を防止し得る。ロック機構56が第2の位置にあるとき、作動装置52、54は軸線Aを中心に自由に回転することができる。作動装置52、54の各々がロック機構56を含むように、1つより多くのロック機構56がハンドル20に連結されてもよいことが理解されるであろう。ロック機構56は、作動装置(例えば、図2に示される作動装置52、54)の回転を防止するための任意の既知のロック機構であってもよく、回転可能なレバー、ねじり装置などを含んでもよい。
【0024】
図2を参照すると、作動装置52、54は軸線Aに沿って整列されている。カム70は、作動装置52、54の各々にキー止めされてもよく、すなわち、各作動装置52、54は、対応するカム70に結合する(理解を容易にするために、単一のカム70が図2に示されている)。カム70は、ハンドル20のハウジング20a内に配置され得る。本明細書で説明されるように、第1の作動ワイヤ100aおよび第2の作動ワイヤ100bは、カム70に取り付けられ得る。第1および第2の作動ワイヤ100a、100bは、ハンドル20を通ってシャフト30の中へ遠位に延在し、その遠位端において、シャフト30および/または遠位先端40の1つ以上の位置、例えば、関節運動継手に連結されてもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、作動装置52、54のうちの1つの軸線Aを中心とした、例えば、時計回りまたは反時計回り方向への回転は、カム70を同じ方向に回転させ得る。カム70が回転されると、第1の作動ワイヤ100a(例えば、カム70が時計回り方向に回転されるとき)または第2の作動ワイヤ100b(例えば、カム70が反時計回り方向に回転されるとき)のどちらかのたるみが巻き取られ得、カム70の周りに巻き付き始め得、これによって、遠位先端40および/またはシャフト30の一部が長手方向軸線Bに対して屈曲させられ得る。
【0025】
一例によれば、各作動装置52、54は、シャフトを介してカム70に結合されてもよい。例えば、第1のシャフト(図示せず)が作動装置52を第1のカム70に連結してもよく、第2のシャフト(図示せず)が作動装置54を第2のカム70に連結してもよい。本明細書で説明するように、カム70および作動装置52、54は、回転軸線を共有し得る。いくつかの例では、第1のシャフトおよび第2のシャフトの一方または両方は、第1のシャフトまたは第2のシャフトの一方がそれぞれのシャフトのルーメン内に配置され得るように、ルーメンを含んでもよい。換言すれば、第1のシャフトが第2のシャフトを取り囲んでいてもよく、または第2のシャフトが第1のシャフトを取り囲んでいてもよい。このようにして、第1のシャフトおよび第2のシャフトは同軸であり得る。これにより、作動装置52、54およびそれぞれのカム70も同軸にすることができる。
【0026】
カム70は、図3および図4に示すように、第1の側70aおよび第2の側70bを含み得る。第1の作動ワイヤ100a(図2)は、その最近位端にフェルール(図示せず)を含んでもよい。フェルールは、第1の作動ワイヤ100aの遠位部分の直径より大きい直径を有してもよい。フェルールは、第1の側70aの外面に形成されたスロット80(例えば、凹部または開口部)(図5)内に据え付けられてもよい。スロット80内にフェルールを据え付けることにより、カム70に対して第1の作動ワイヤ100aが固定され得る。第1の作動ワイヤ100aの一部は、凹部82(図5)によって受容されて、第1の作動ワイヤ100aがスロット80から凹部82内に延在し、カム70の外周の全部または一部の周りに巻き付くことを可能にし得る。カム70の第2の側70bも同様の構成を有し得る。例えば、スロット80’は、カム70の第2の側70bの外面に形成されてもよく、第2の作動ワイヤ100bのフェルール(図示せず)は、スロット80’内に受容されてもよい。フェルールは、第2の作動ワイヤ100bの遠位部分の直径より大きい直径を有してもよい。第2の作動ワイヤ100bの一部は、凹部82’(図6)によって受容されて、第2の作動ワイヤ100bがスロット80’から延在し、第1の作動ワイヤ100aの方向と反対方向にカム70の外周の全部または一部の周りに巻き付くことを可能にし得る。
【0027】
引き続き図3および図4を参照すると、第1のワイヤ経路76は、カム70の第1の側70aのより近くに形成されてもよく、第2のワイヤ経路78は、カム70の第2の側70bのより近くに形成されてもよい。例えば、壁72aは、第1の側70a上のカム70の最外面を画定してもよく、壁72bは、第2の側70b上のカム70の最外面を画定してもよく、壁72cは、第1のワイヤ経路76と第2のワイヤ経路78との間に形成されてもよい。一例によれば、第1のワイヤ経路76は、周方向スロットであってもよく、壁72aと72cとの間に形成されてもよく、または壁72aおよび72cによって画定されてもよく、壁72aおよび72cの各々は、第1のワイヤ経路76の最外面よりもさらに半径方向に延在してもよい。第2のワイヤ経路78もまた、周方向スロットであってもよく、壁72bと72cとの間に形成されてもよく、または壁72bおよび72cによって画定されてもよく、壁72bおよび72cの各々は、第2のワイヤ経路78の最外面よりもさらに半径方向に延在する。
【0028】
図4の線5-5に沿った第1の側70aの断面が図5に示されている。第1のワイヤ経路76は、第1のセクション84、第2のセクション86、第3のセクション88、および第4のセクション90などの1つ以上のセクションを含んでもよい。第1のセクション84は、凹部82から第2のセクション86まで延在する曲線状の半径方向最外面を含んでもよい。第2のセクション86は、第1のセクション84から第3のセクション88まで延在する曲線状の半径方向最外面を含んでもよい。第3の表面88は、第2のセクション86から延在し、第2のセクション86とは反対側の端で終端する直線状の半径方向最外面を含んでもよい。第4のセクション90は、第3のセクション88から延在し凹部82で終端する曲線状の半径方向最外面を含んでもよい。他の実施形態では、第1のセクション84、第2のセクション86、第3のセクション88、および第4のセクション90の各々は、曲線部分および/または直線部分を含み得る。第1のワイヤ経路76は、例えば、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ、またはそれを上回るセクションなど、4つ未満のセクションを含んでもよく、または4つを上回るセクションを含んでもよく、これらのセクションの形状は、曲線状および/または直線状であってもよい。第1のセクション84、第2のセクション86、第3のセクション88、および第4のセクション90は、第1のワイヤ経路76に沿って単一の連続した経路を形成し得ることが理解されるであろう。代替的に、第1のワイヤ経路76に沿った開口部または切れ目が、本明細書に説明されるように、作動ワイヤが第1の経路76上に巻き付いたり第1の経路76から巻き出されたりする能力を損なうことなく、材料を減少させるために形成されてもよい。セクション84、86、88、または90のいずれかは、複数の直線状セクションから形成されてもよく、これらの直線状セクションは、ほぼ円形の表面を形成し得ることもまた理解される。
【0029】
より詳細に説明されるように、カム70の中心Cから、第1のセクション84、第2のセクション86、第3のセクション88、および第4のセクション90の各々の半径方向最外面に沿った各点までの距離は、一定であってもよく、または変動してもよい。例えば、カム70の中心Cと、第1のセクション84、第2のセクション86、第3のセクション88、および/または第4のセクション90のうちの1つ以上の上の点との間の距離は、各セクションの1つ以上の部分にわたって変化してもよい。例えば、図5に示されるように、第2のセクション86の表面と中心Cとの間の距離は、第1のセクション84から第3のセクション88に向かって減少し得る。
【0030】
一例によれば、第1のセクション84は、凹部82からカム70の外周の周りに約50パーセント延在し得る。中心Cと第1のセクション84の半径方向最外面に沿った点との間の距離は、第1のセクション84の全体に沿って一定であってもよい。この一定の距離は、カム70に連結された作動機構が回転して作動ワイヤ(例えば、作動ワイヤ100a)を第1のセクション84上に巻き付けるときに、ユーザが感じるトルクを増加させ得る。この一定の距離は、作動ワイヤが第2のセクション86および第3のセクション88上に巻かれるときと比較して、関節運動継手の制御の増加を提供し得る。例えば、本明細書で説明されるように、関節運動ワイヤが第1のセクション84に巻き付いたり第1のセクション84から巻き出されたりするときのカム70のわずかな回転は、関節運動ワイヤが第2のセクション86または第3のセクション88に巻き付いたり第2のセクション86または第3のセクション88から巻き出されたりするときのカム70の同じ量の回転よりも、関節運動継手の改善された操縦制御を提供し得る。いくつかの例では、第1のセクション84の半径方向最外面に沿った点とカム70の中心Cとの間の距離は、従来のカム装置よりも大きくてもよく、これによって、低回転角度での作動継手の操縦制御が改善され得る。セクション84、86、88、および90の各々の表面と中心Cとの間の距離は、約0.254cm~約1.27cm(約0.100インチ~約0.500インチ)であってもよい。第1のセクション84の角距離(例えば、カム70の周りの周方向距離)は、約90°~約150°であってもよく、第2のセクション86の角距離は、約70°~約130°であってもよく、第3のセクション88の角距離は、約10°~約70°であってもよく、第4のセクション90の角距離は、約50°~約110°であってもよい。
【0031】
引き続き図5を参照すると、第2のセクション86は曲線状であってもよい。第2のセクション86の半径方向最外面に沿った点とカム70の中心Cとの間の距離は、第1のセクション84の端から第3のセクション88の開始部に向かって減少してもよい。この減少する距離により、ユーザが対応する作動装置52、54を回転させるときに、ユーザが感じる張力の量が減少し得る。上述したように、関節運動継手の応答性もまた、この減少した距離に基づいて減少し得る。
【0032】
第3のセクション88は、第3のセクション88と中心Cとの間の距離が、第2のセクション86と第3のセクション88との交点から第3のセクション88の中央に向かって減少し、次いで第3のセクション88の中央から第3のセクション88の端に向かって増加し得るように、直線状の半径方向最外面を含んでもよい。中心Cと第1のセクション84との間の距離に対してこの減少した距離により、カム70および関連付けられた作動機構が図2の軸線Aを中心として回転させられるときにユーザが感じる張力の量が減少し得る。第4のセクション90は、曲線状の半径方向最外面を含んでもよい。いくつかの例では、第4のセクション90に沿った全ての点からの距離は、カム70の中心Cから第1のセクション84に沿った点と同じ距離であってもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、カム70の回転は、作動ワイヤが第4のセクション90に巻き付かないように終了され得る。他の実施形態では、作動ワイヤは、第4のセクション90に巻き付けられる。上述したように、作動ワイヤが第3のセクション88に沿って配置されているときの関節運動継手の応答性は、作動ワイヤが第1のセクション84に巻き付いたり第1のセクション84から巻き出されたりするときの関節運動継手の応答性に対して減少され得る。例えば、第1のセクション82は、カム70の外周のほぼ半分(例えば、180度)に延在してもよい。この場合、0度から180度までのカム70の回転は、カム70が180度から360度の間で回転されるときよりも、長手方向軸線Aに対してより小さい角度でシャフト30を偏向させ得る。
【0033】
図4の線6-6に沿った第2の側70bの断面が図6に示されている。第2の側70bの第2のワイヤ経路78は、第1のワイヤ経路76と同様のセクション、例えば、一定の半径を有する曲線を含み得る第1のセクション84’、減少する半径を有する曲線を含み得る第2のセクション86’、直線であり得る第3のセクション88’、および第1のセクション84’の曲線の半径と同じまたは異なる半径を有する曲線を含み得る第4のセクション90’を含み得る。しかしながら、第1セクション84’、第2セクション86’、第3セクション88’、および第4セクション90’は、これらの配向に限定されず、第1ワイヤ経路76と同様に、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ、またはそれより多くのセクションを含んでもよいことが理解されるであろう。また、第1ワイヤ経路76のセクションとカム70の中心Cとの間の距離と、第2ワイヤ経路78のセクションとカム70の中心Cとの間の距離とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78は、図5および図6に示されるように、同じ数のセクションを含んでもよく、または異なる数のセクションを有してもよい。第1のセクション84’、第2のセクション86’、第3のセクション88’、および第4のセクション90’は、第2のワイヤ経路78に沿って単一の連続した経路を形成し得ることが理解されるであろう。代替的に、第2のワイヤ経路78に沿った開口部または切れ目は、本明細書に説明されるように、作動ワイヤが第1の経路76上に巻き付いたり第1の経路76から巻き出されたりする能力を損なうことなく、材料を減少させるために形成されてもよい。セクション84’、86’、88’、または90’のいずれかは、複数の直線状セクションから形成されてもよく、これらの直線状セクションは、ほぼ円形の表面を形成し得ることもまた理解される。
【0034】
図4に示されるように、カム70の第1の側70aおよび第2の側70bは、互いに平行であってもよく、互いに対して反転されてもよい。言い換えれば、第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78は、第1のワイヤ経路76と第2のワイヤ経路78との間の、第1のワイヤ経路76と第2のワイヤ経路78とに平行な平面に関して鏡像でなくてもよい。第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78は、図4に示されるように、約20度オフセットされていてもよい。この場合、カム70は、シャフト30および/または遠位先端40の右/左方向への偏向を制御することができる。第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78のオフセットにより、一方のワイヤ経路、例えば、第1のワイヤ経路76に連結された作動ワイヤが弛緩状態にありながら、他方のワイヤ経路、例えば、第2のワイヤ経路78に連結された作動ワイヤが引張状態にあることが可能となり得る。第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78のオフセットにより、カム70の機械加工が可能となり得、および/または作動ワイヤが使用中に1つの経路から別の経路に移動することが防止され得る。別の例では、第1のワイヤ経路76および第2のワイヤ経路78は、互いから半径方向にオフセットされない。一例によれば、第1のワイヤ経路76は、カム70の周りに第1の方向、例えば時計回り方向に延在してもよく、一方、第2のワイヤ経路78は、カム70の周りに反対方向、例えば反時計回り方向に延在してもよい。第1の方向(例えば、時計回り方向)へのカム70の回転により、第1の作動ワイヤが第1のワイヤ経路76に巻き付けられ得、かつ/または第2の作動ワイヤが第2のワイヤ経路78から巻き出され得る。第1の方向と反対の第2の方向(例えば、反時計回り方向)へのカム70の回転により、第1の作動ワイヤが第1のワイヤ経路76から巻き出され得、かつ/または第2の作動ワイヤが第2のワイヤ経路78に巻き付けられ得る。
【0035】
医療システム10の操作方法が説明され得る。医療システム10は、開口部(例えば、切開)を介して、または自然開口部を介して、体内に挿入され得る。遠位先端40は、シャフト30を遠位方向に押すことによって、標的部位まで前進させられ得る。シャフト30が遠位に押されると、1つ以上の蛇行経路を医療システム10が進み得る。ユーザは、作動装置52を時計回りまたは反時計回り方向に回転させることができ、これによって、遠位先端40が第1の平面内で、例えば、長手方向軸線Bに対して上下に偏向され得、作動装置54が時計回りまたは反時計回り方向に回転され得、これによって、遠位先端40が第2の平面内で、例えば、長手方向軸線Bに対して左右に偏向され得る。作動装置52、54が回転させられると、関節運動機構(例えば、ワイヤ)は、作動装置52、54が回される方向に、対応するカム70によって巻き取られ得る。例えば、カム70にキー止めされ、または連結された作動装置を回転させることにより、作動ワイヤ100aが巻き取られ始め、第1のセクション84に巻き付く。ユーザは、この段階でシャフト30および/または遠位先端40の関節運動に対する改善された制御を有し得るが、ユーザが感じるトルクは、関節運動ワイヤ100aが第1のセクション84上に巻き付き続けるにつれて増加し得る。
【0036】
作動装置52の継続的な回転により、作動ワイヤ100aを第2のセクション86に巻き付かせてもよい。作動ワイヤ100aが第2のセクション86に巻き付けられると、シャフト30および/または遠位先端40の作動に対する制御が減少し得るが、ユーザが感じるトルクも減少し得る。作動装置52の継続的な回転により、作動ワイヤ100aを第3のセクション88に巻き付かせてもよい。作動ワイヤ100aが第3のセクション88に巻き付けられると、シャフト30および/または遠位先端40の作動に対する制御が増加し得るが、ユーザが感じるトルクも増加し得る。作動装置52および/または作動装置54は、処置中に時計回りおよび/または反時計回りの両方に複数回回転されてもよいことが理解されるであろう。したがって、ユーザが感じるトルクならびにシャフト30および/または遠位先端40に対する制御は、それぞれのカム70上の作動ワイヤの位置に基づいて、回転中に変化し続け得る。
【0037】
実施形態は、シャフト30および/または遠位先端40を偏向させるためにハンドル20に取り付けられた作動機構に関連して説明されているが、医療システム10とともに、または医療システム10とは別個に使用される任意の医療装置が、本明細書に説明されるカム70を含んでもよく、カム70は、医療装置の一部を偏向させるために使用されてもよく、作動装置の回転と関連付けられるトルクを減少させるために使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0038】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置に様々な修正および変形が行われ得ることが当業者には明らかであろう。例えば、ユーザが感じるトルクの変動、シャフトおよび/または遠位端の制御の変化、ならびに作動機構の数は、所望の医学的治療に基づいて修正されてもよい。本開示の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】