(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】水溶性活性成分が高度に浸透した野菜又は果実を生産する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20240628BHJP
【FI】
A23L19/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579550
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2021007783
(87)【国際公開番号】W WO2022270644
(87)【国際公開日】2022-12-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483496
【氏名又は名称】オ イン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】オ イン ホ
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LC07
4B016LE03
4B016LG05
4B016LK01
4B016LK02
4B016LK11
4B016LP13
(57)【要約】
本発明は野菜及び果実を処理する方法に関し、圧力を用いて野菜及び果実に水溶性の活性成分を浸透させて、高濃度の特定の活性成分が野菜及び果実の基質内部に一様に含まれるようにする。本発明は野菜又は果実の糖含量を少なくとも18Brixに改良することを可能にするという効果を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分が富化された野菜又は果実を生産する方法であって、
果実又は野菜をヘタにおいて水溶性の活性成分が溶解した溶液に完全に浸した後、
圧力チャンバーにおいて気密のユニットに入れ、蓋を閉じ、内部の空気圧を1.2~1.8atmに加圧し、
10~15分維持して、溶媒中の活性成分を、茎部分を介して果実又は野菜中に染み込ませることを特徴とする、方法。
【請求項2】
圧力を維持した後、20分間、圧力を1.3atm~1.5atmの間隔で、0.5~1秒の間隔で増大させる及び低下させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水溶性の活性成分が糖類、塩、スクラロース、ステビオシド、サポニン、ミネラル又はビタミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
茎をもつ野菜又は果実がトマト又はパプリカであり、水溶性の活性成分がステビオシド及びスクラロースが3~4:1の質量比で混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い圧力を使用して、処理される物体の皮の熱及び現象を最小限にし、水溶性の活性成分がその物体の果肉・葉肉(flesh)に一様に分布することができるように物体に浸透させることにより、水溶性の活性成分を高度に含有する野菜及び果実を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
栽培及び収穫後の野菜及び果実の熟成の後でさえ、糖含量は消費者により期待される高い含量に達しないので市場性を増大するには限界がある。
特に、トマトは多量のクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アミノ酸、ルテイン、タンパク質、糖類、灰分、カルシウム、鉄、リン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、食物繊維、等を含有しており、リコピン及びベータ-カロチンのような抗酸化物質に富んでいる。トマトの赤い色は「カロチノイド」と呼ばれる物質、殊に「リコピン」に起因している。赤いトマトは7~12mg%のリコピンを含有している。
リコピンは男性の前立腺がん、女性の乳がん、及び消化系のがんの予防に有効である。リコピンはアルコールが分解されるときに生成する毒性物質の排出にある役割を果たすので、アルコールを飲む前にトマトジュースを飲むか又は飲酒の際に付け合わせとしてトマトを食べるのは良いことである。トマトは、カルシウムが失われるのを防ぎ骨粗鬆症又は老年性認知症の予防に役立つビタミンKが豊富である。更に、トマトに含まれるビタミンCは皮膚に弾力を与え、ちりめんじわを防ぎ、且つメラニン色素の形成を抑え、これは黒皮症の予防に有効である。加えて、トマトに含まれるカリウムは、体内の塩分を身体から排出することによって、韓国人の塩分の濃い食習慣により起きる高血圧を予防する助けになる。
またトマトはダイエットとして完璧である。トマト1個(200g)のカロリーはたった35kcalであり、水分と食物繊維が豊富であるので満腹感を与える。従って、食事の前にトマトを1個食べれば、食べ物の量を減らすことができ、また消化の助けにもなり、代謝を促す。従って、肥満の患者及び糖尿病患者に適している。脂っぽい食べ物を食べるとき、トマトを加えると消化を促し、胃の負担を軽減し、酸性の食べ物を中和する。またペクチン(食物繊維)も豊富であり、これは便秘の予防に役立つ。一方、トマトジュースは少なめの有機酸を含有し、刺激が少なく、優れた栄養価を有し、消化が良好であるので患者の飲み物として好ましい。
【0003】
しかしながら、トマトのもつ健康に有益な成分と比較して、好き嫌いが分かれている。これは、トマトの糖含量は高くないので、果実の甘さに取って代わることができないからである。従来のトマト品種を改良することにより糖含量を改良する努力がなされて来ているが糖含量の改良には限界がある。
更に、過去において、果実及び野菜の糖含量又は塩分濃度を増大するために浸漬を用いたが、糖又は塩が溶けた溶液で農産物を浸漬すると、農産物の原型は浸透によるプロトプラストの分離のために変形する。糖又は塩分濃度を増大することにより生の状態で流通させることにも限界があった。
果実及び野菜の糖含量を増大する技術として、圧力差を使用する科学技術が韓国特許登録第10-1492889号に開示されている。加圧と減圧を繰返して行いながら逆浸透法で農産物を処理することにより糖含量を増大する方法が開示されている。これは、加圧と減圧を繰返し行いながら溶液を噴霧すると農産物の表面に吸着した溶液が逆浸透法により農産物に吸収されるという原理である。これが起こると霧が水滴として集まり、重力により流下するので丸い農産物に吸着されるはずの溶液の霧は底部だけに留まるが、これはより下の層に流下した溶液を吸着するという致命的な不利益を有する。これは染み込まなければならないものの、実用化するのは困難であるという限界がある。
【0004】
更に、繰返し加圧及び減圧して細胞壁を開き、溶液が少しずつ農産物の内部に吸着されるようにする原理の先行技術によると、加圧及び減圧を繰返す処理時間が30分を超えるので、水分に弱く、肉質が劣っている。柔らかい農産物の保存可能期間がかなり低下するという不利益がある。また、加圧及び減圧を繰返す原理はチャンバー内部の気圧を加圧により一定のレベルに上げ、その圧力を維持し、次いで空気を再び排出しつつ圧力を低下することである。加圧及び減圧を繰返すサイクルは一定ではない。溶液の吸収のレベルが一定ではないという不利益がある。
本発明は、高い水含量のためにいくらか柔らかい野菜又は果実の場合でも最初の形態を乱すことなく所定の活性成分を染み込ませることができる方法を見出そうと努力した結果完成された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は特定の活性成分を短時間内に果実及び野菜に浸透させることにより処理する方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、更に振動を適用することにより活性成分が対象の果実及び野菜に均一に分布するように確保することである。
本発明の目的は、柔らかい果肉・葉肉をもつ果実又は野菜の果肉・葉肉の特定の活性成分を均一に増強するための処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明は、溶媒中の活性成分が茎(stem)部分を通って果実又は野菜内に染み込むことを特徴とする、活性成分が富化された野菜又は果実を生産する方法であって、
果実又は野菜をヘタ
において水溶性の活性成分が溶けた溶液に完全に浸した後、
加圧されたチャンバーにおいて気密のユニットに入れ、
蓋を閉じて密封し、
内部の空気圧を1.2~1.8atmに加圧し、10~15分維持する
ことを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、染み込んだ活性成分が標的の果実又は野菜内に均一に分布するように振動を20分間適用することを更に含み得る。
より具体的には、染み込む物質を物体、果実又は野菜中に均一に分布させるために、加圧を1.4atmでおおよそ15分維持して果実又は野菜のヘタを介して活性成分を染み込ませた後、0.5~1秒の間隔で圧力を1.3atm~1.5atmで増大させる及び低下させる工程を20分間繰返して溶液中に波を発生させ、その波の力により物体内に振動を起こすことによって、物体内部の浸潤物を物体内部の基質に拡散させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従って、様々な有用な成分が富化された果実及び野菜を最初の形態を変化させることなく製造することにより、様々な野菜及び果実に対する需要に対応して農産物の多様性及び農産物の増大する消費に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】圧力及び加圧時間を変えることによりチェリートマトの外観の変化を観察した結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
果実又は野菜をヘタにおいて水溶性の活性成分が溶けた溶液に完全に浸した後、加圧されたチャンバー内の気密のユニットに入れ、蓋を閉じて密封し、内部の空気圧を1.2~1.8atmに加圧し、10~15分保つ。こうして、溶媒中の活性成分が茎部分を通って果実又は野菜中に染み込むことを特徴とする、活性成分が富化された野菜又は果実を生産する方法が提供される。
更に、圧力を保った後、圧力を1.3atm~1.5atmの範囲で0.5~1秒の間隔で増大させる及び低下させる工程を20分繰返す。より具体的には、1.3atmに下げ、0.5秒保ち、次いで1.5atmに上げ、0.5秒保つサイクルを20分繰返して物体が浸されている溶液中に波を誘発する。
本発明において、糖類、塩、スクラロース、ステビオシド、サポニン、ミネラル又はビタミンを含む様々な物質が水溶性の活性成分として使用され得る。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、茎のある野菜又は果実はトマト又はパプリカであり、水溶性の活性成分としては、ステビオシドをスクラロースと小量、又は3~4:1の質量比で混合するのが最も好ましい。
本発明において、溶液中の成分が野菜又は果実に吸着される原理は、圧力チャンバーで加圧された溶液が、浸された野菜又は果実の細胞壁圧力が最も弱い部分である茎を通して溶液を押し込むことであり、この現象は浸漬と似ている。これは、溶液中の活性成分が野菜又は果実の内部に高濃度で染み込むという原理である。浸透した糖類のような活性成分はその後の振動を起こす工程を通して野菜又は果実に含まれる水分により拡散する結果活性成分が果実全体にわたって均一に含まれるようになると理解される。
従って、溶液中の溶質をヘタ部分に押し込むことができる圧力を1.2~1.8atmで加圧し、10~30分保つことにより、追加の水分、即ち溶媒の吸収を防ぎ、活性成分、即ち溶質の吸収のみを誘発する。或いは、活性成分を最大限に浸透させつつ野菜の元の形状を維持する条件である。チャンバー内の圧力及び時間は、茎部分に染み込んだ活性成分が果実又は野菜の基質内部に一様に拡散することができるように標的の野菜又は果実の種類及び溶質の種類に従って異なって決定し得る。
【0011】
チャンバー圧力は外部の気圧が1atmである場合を基準とする。チャンバー圧力は外部の気圧より0.2~0.8atm高く設定するのが最も好ましい。それより高い圧力をかける場合、野菜又は果実の皮のひび割れが生じる。
本発明に従って、トマトの場合、活性成分の染み込みは、トマトの茎と果実をつなぐ木部及び師管の間の結合部である茎の維管束が最も弱い部分である部分で起こったことが確かめられた。
本発明の加圧装置は、チャンバー、中身を収容するためのチャンバー容器、チャンバー容器の中身がチャンバーに押し込まれ、蓋が閉じられるとき空気の流入及び流出を制御する密封ユニット、コンプレッサーを通してチャンバーに空気を注入するための空気入口、終わった後に空気を排出する空気出口、チャンバー内部の空気圧を表示する圧力計、並びに空気をチャンバー内に注入する装置としてのコンプレッサーを含む。
トマトを材料として使用する場合、従来の育種によって糖含量を約8brix以上に増大するのは困難であるという限界があったが、本発明の好ましい実施形態によると糖含量を18brix以上に改良することが可能である。
【0012】
また、溶質としての砂糖は肥満を起こす可能性があるので、糖含量を改良する物質としてステビオシドを溶質として使用すると、ステビオシドの特徴である甘味を有するが身体に吸収されないため、肥満又は糖尿病の心配をすることなく摂取することができる。ステビオシドは砂糖より約200倍甘いが身体の糖の吸収を増大しないので、糖含量は18Brixと測定されないが、砂糖を使用したときの18Brixと同じ甘さを生じることができる。
しかしながら、ステビオシドのみで甘さを得ると最後には苦味を感じる可能性があると報告されているので、本発明においては、最も好ましくは、ステビオシド及びスクラロースを3~4:1の質量比で混合して最適な甘さを得る。
本発明を以下の実施例により記載するが、本発明の範囲は実施例に限定されない。
【実施例】
【0013】
(実施例1)
高い糖含量のジュジュベチェリートマト(jujube cherry tomato)の調製
20gのジュジュベチェリートマト20片を1000mlの精製水中の3gのステビオシド及び1gのスクラロースの溶液に完全に浸した後、浸したトマトをチャンバーに入れ、内部の圧力を1.4atmに加圧した。圧力を20分維持した後、1.3atmに下げ、0.5秒保ち、次いで1.5atmに上げ、0.5秒維持するというサイクルを20分繰返して振動させ、その後空気を排出し、浸したトマトをチャンバーから取り出した。調製したジュジュベチェリートマトの糖含量を検査した結果、平均18Brixに相当する甘味を生成したことが確かめられた。
(実施例2)
高い糖含量のパプリカの調製
15gのパプリカ6片を1000mlの精製水中の3gのステビオシド及び1gのスクラロースの溶液に完全に浸した後、浸したパプリカをチャンバーに入れ、内部の圧力を1.8atmに加圧し、圧力を10分維持し、その後空気を除去した。水気を切り、浸したパプリカをチャンバーから取り出した。調製したパプリカの糖含量を検査した結果、20brixに相当する甘さと等しかった。
【0014】
(実験例1)
圧力及び時間によるトマト外観の変化
実施例1と同じ方法で1atm、1.4atm、及び2atmで加圧し、同じ圧力(1.4atm)で5分、15分、及び20分加圧した後のチェリートマトの外観を観察した結果 しかしながら、実施例1と同じ方法で圧力をかけた後、トマト外観を観察した結果を比較した結果は
図1と同じであった。
各々のトマトの糖含量を検査した結果を下記表1及び2に示す:
【表1】
【0015】
【表2】
その結果、1.4atmで15分加圧したとき、外観又は糖含量に関して、外観には殆ど変化がなく、消費者が最も甘いと感じる約18brixの甘さを感じることができる。むしろ、苦い味を生じるので、最も理想的な時間はおおよそ15分である。
(実験例2)
本発明のトマトの官能評価
3つの項目に基づいて、慣用方法で分布させたジュジュベチェリートマト(対照群)並びに実施例1によるチェリートマト(実験群)の香り、味、及び全体の好みを10人の20代及び30代の男性及び女性並びに15人の40代以上の人々で評価した。ポイントスケールを用いて示され(1:非常に悪い、2:悪い、3:並、4:良好、5:非常に良好)、結果は各々の評価項目の平均合計を示した(表3)。
【0016】
【0017】
(実験例3)
活性成分がトマトに注入される経路の確認
茎以外をプラスチックラップで包んだトマト(実験群)及び茎のみをシリコーンで被覆して外部との接触をブロックすることにより処理したトマト(対照群)を3gのステビオシドで処理し、スクラロース1gを1000mlの精製水に溶かした溶液に完全に浸し、実施例1と同じ条件で処理し、次いで糖含量を測定した。結果を下記表に示す。
【表4】
【0018】
実験の目的は、活性成分がトマトに吸着される部分が表皮部分ではなく、果実(トマト)の栄養及び水分の通路が茎部分につなげられたヘタ部分であることを示すことである。圧力の差を使用して活性成分が吸着される部分が果実の気孔であるという先の特許の仮説を確認することはできない。
本発明に従って、各種の有用な成分が富化した果実及び野菜を、最初の形態を変化させることなく製造することができ、これにより様々な野菜及び果実の需要に対応して農産物の多様性及び増大する農産物の消費に寄与することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分が富化された野菜又は果実を生産する方法であって、
前記野菜
又は果実のヘタ
を、水溶性の活性成分が溶解した溶液に完全に浸した後、
圧力チャンバー
内の気密のユニットに入れ、蓋を閉じ、内部の空気圧を1.2~1.8atmに加圧し、
10~15分維持して、
前記溶液中の活性成分を、茎部分を介して
野菜
又は果実中に染み込ませることを特徴とする、方法。
【請求項2】
圧力を維持した後、20分間、圧力を1.3atm~1.5atmの間隔で、0.5~1秒の間隔で増大させる及び低下させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性の活性成分が
、糖類、塩、スクラロース、ステビオシド、サポニン、ミネラル又はビタミンである、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記野菜又は果実がトマト又はパプリカであり、
前記水溶性の活性成分が
、3~4:1の質量比
のステビオシドとスクラロースとの混合
物である、請求項1
~3のいずれかに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
実験の目的は、活性成分がトマトに吸着される部分が表皮部分ではなく、果実(トマト)の栄養及び水分の通路が茎部分につなげられたヘタ部分であることを示すことである。圧力の差を使用して活性成分が吸着される部分が果実の気孔であるという先の特許の仮説を確認することはできない。
本発明に従って、各種の有用な成分が富化した果実及び野菜を、最初の形態を変化させることなく製造することができ、これにより様々な野菜及び果実の需要に対応して農産物の多様性及び増大する農産物の消費に寄与することができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕活性成分が富化された野菜又は果実を生産する方法であって、
果実又は野菜をヘタにおいて水溶性の活性成分が溶解した溶液に完全に浸した後、
圧力チャンバーにおいて気密のユニットに入れ、蓋を閉じ、内部の空気圧を1.2~1.8atmに加圧し、
10~15分維持して、溶媒中の活性成分を、茎部分を介して果実又は野菜中に染み込ませることを特徴とする、方法。
〔2〕圧力を維持した後、20分間、圧力を1.3atm~1.5atmの間隔で、0.5~1秒の間隔で増大させる及び低下させる工程を更に含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕水溶性の活性成分が糖類、塩、スクラロース、ステビオシド、サポニン、ミネラル又はビタミンである、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕茎をもつ野菜又は果実がトマト又はパプリカであり、水溶性の活性成分がステビオシド及びスクラロースが3~4:1の質量比で混合されることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
【国際調査報告】