(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】自己調節式可変ピッチプロペラ
(51)【国際特許分類】
B63H 3/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B63H3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579551
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022067711
(87)【国際公開番号】W WO2023275040
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483452
【氏名又は名称】サブマースト テクノロジーズ ペーペー1 アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エミル ボング
(72)【発明者】
【氏名】ヨン エングゴード
(72)【発明者】
【氏名】マティアス アンデション
(57)【要約】
プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線Cを有する中心ハブ2と、前記中心ハブから半径方向に延びている複数のブレード50、50’とを備える、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ1。ハブ2は、回転駆動軸Sを受け入れるように配置された中心穴3を有する。各ブレード50、50’は、ハブ2に回動可能に固定されおり、かつ、ハブ2からそれぞれのブレード50、50’を通って半径方向に延びているそれぞれのブレード回動軸線Pを中心として回動可能である。各ブレード50,50’は、前縁51,51’と、後縁52,52’と、高圧側領域を有する高圧側54.54’と、吸込側領域を有する吸込側53,53’とを有する。複数のブレード50は、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに自由に伝達するように、機械的に相互接続されている。吸込側53、53’の領域及び高圧側54、54’の領域の50%超がそれぞれのブレード50、50’の後縁52、52’と回動軸線Pの間に配置されているように、各ブレード50、50’の回動軸線Pが配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)であって、
前記船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)は、前記プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線(C)を有する中心ハブ(2)と、前記中心ハブ(2)から半径方向に延びている複数のブレード(50、50’)とを備え、
前記中心ハブ(2)は、回転駆動軸(S)を受け入れるように配置された中心穴(3)を有し、各ブレード(50,50’)は、前記中心ハブ(2)に回動可能に固定されており、かつ、前記中心ハブ(2)から前記各ブレード(50,50’)を通して半径方向に延びている各ブレード回動軸線(P)を中心として回動可能であり、前記各ブレード(50,50’)は、前縁(51,51’)と、後縁(52,52’)と、高圧側領域を有する高圧側(54,54’)と、吸込側領域を有する吸込側(53,53’)とを有し、
前記複数のブレード(50)は、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに自由に伝達するように機械的に相互接続されており、
前記吸込側(53、53’)の領域及び前記高圧側(54、54’)の領域の50%超が、それぞれの前記ブレード(50、50’)の前記後縁(52、52’)と前記回動軸線(P)の間に配置されているように、各ブレード(50、50’)の回動軸線(P)が配置されている、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)。
【請求項2】
前記吸込側(53,53’)の領域の92%以下及び前記高圧側(54,54’)の領域の96%以下が、各ブレード(50,50’)の前記後縁(52,52’)と回動軸線(P)との間に配置されている、請求項1に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項3】
各ブレード(50、50’)が、最小回動角度と最大回動角度との間で前記回動軸線(P)を中心に限定的に回動可能である、請求項1又は2に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項4】
各ブレード(50、50’)は、前記最小回動角度が18cm(7インチ)のピッチに対応し、前記最大回動角度が69cm(27インチ)のピッチに対応するように形成されている、請求項3に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項5】
各ブレード(50、50’)が、それぞれのブレード根元部(60)に固定されているか又は一体に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項6】
前記ブレード(50、50’)がギヤ装置(70)によって機械的に相互接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項7】
前記ギヤ装置(70)が、各ブレード根元部(60)に配置された第1ギヤ歯(62、63)と、少なくとも1つの相互接続部材(71、72)に配置された第2ギヤ歯(71a、72a)とを備える、請求項6に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの相互接続部材は環状部材(71)を備え、前記環状部材(71)の前記第2ギヤ歯(71a)は、全ての前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(62)と噛み合っている、請求項7に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの相互接続部材は、複数のはめ歯歯車(72)を備え、各はめ歯歯車(72)の第2ギヤ歯(72a)が、相互に隣接する2つの前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(63)と噛み合っている、請求項7又は8に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項10】
前記中心ハブ(2)は、排気ガスの輸送のために軸線方向に延びている排気通路(6)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項11】
前記排気通路(6)が環状であり、前記中心ハブ(2)の前記中心穴(3)の周囲に同心円状に配置されている、請求項8に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項12】
前記中心ハブ(2)が、前記中心ハブ(2)に固定されかつ前記排気通路(6)内に配置された排気タービン(8)を備える、請求項10又は11に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項13】
前記中心ハブ(2)が、
前記中心穴(3)を有する中心スリーブ(4)と、
前記中心スリーブ(4)と同心円状にかつその外側に配置されている周辺スリーブ(5)であって、それによって、前記中心スリーブ(4)と前記周辺スリーブ(5)との間に前記排気通路(6)を形成する、周辺スリーブ(5)とを備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項14】
前記周辺スリーブ(5)が、排気タービン(8)のそれぞれのタービンブレード(7a~7d)を形成する螺旋状に配置された複数のスポーク(14a、24a、34a、44a~44d)によって、前記中心スリーブ(4)に接続されている、請求項13に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項15】
前記中心ハブ(2)が、前記プロペラの軸線方向に順々に相互に固定される少なくとも2つのセグメント(10、20、30、40)を備え、
前記ブレード(50)が、前記中心ハブ内に形成された2つのセグメント(20、30)間の接合部にそれぞれの凹部(25a、35a)で前記中心ハブに固定されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項16】
前記ブレード(50)の数は、2~8の間、好ましくは3~5の間である、請求項1~15のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶用プロペラの分野に関し、特に、可変で自己調節式のピッチを有する上記プロペラに関する。プロペラは、エンジン又はモータなどの船内又は船外の動力装置を有する船舶の推進に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
船舶の推進のための従来の船舶用プロペラは、通常、固定ピッチを有する。このような固定ピッチのプロペラの欠点は、選択されたピッチが、限定された回転数及び速度に対してのみ最適となり得ることである。供給される電力の最適な使用のために、ピッチは、始動時及び低速推進時には低くすべきであり、一方、加速時には、最高速度では高ピッチに増加すべきである。それゆえ、固定ピッチのプロペラを使用することによって、加速度、最高速度及びエネルギ消費に関して妥協を必然的にもたらす。
【0003】
したがって、可変ピッチの船舶用プロペラを提供することが提案されている。1つの一般的な設計ラインによれば、ピッチは、速度、回転数、負荷、供給電力などの現行の状況に応答して能動的に制御することができる。しかし、そのような能動的に制御される可変ピッチプロペラは、比較的複雑な構造である必要があり、ピッチを変更するための複雑な手段と、現在の状況を決定するための手段と、所定の状況に応じてピッチ変更手段を作動させるためのシステムとを必要とする。
【0004】
別の一般的な設計ラインによれば、自動的に自己調節式のピッチを有するプロペラを提供することが提案されている。特許文献1(米国特許第3,308,889号明細書)は、上記の自動調節式可変ピッチプロペラを開示している。この特許文献に開示されているプロペラは、ハブと、軸上でハブに軸線方向に軸支されている複数のブレードとを備えており、これらのブレードは、各ブレードの回転がそのピッチ角を変化させることを可能にするように、ハブに対して半径方向の平面内にそれぞれが配置されている。公知のプロペラは、ブレードに付勢トルクを加えてブレードを最大ピッチ角に向かう方向に付勢する弾性手段を更に備えている。弾性手段は、ブレードにかかる流体圧負荷に応答し、ばねユニットによって互いに対して移動可能でありかつ互いに対して付勢される、第1カム及び第2カムを備えている。
【0005】
また、特許文献2(米国特許第4304524号明細書)は、半径方向軸線の周りを自由に回動するためにハブ上に取り付けられた螺旋状ブレードを備える別の可変ピッチプロペラを開示している。各ブレードの回動軸線は、水を介したプロペラの軸線方向運動の方向に対してブレードの後ろに配置されており、また、プロペラの回転方向におけるブレードの質量中心の前に配置されており、流体力がない状態でプロペラを回転させると、遠心効果により、ブレードがヘリコイドのピッチと実質的に等しいピッチを採用するように配置されている。このような回動軸線の配置は、ブレードのすくい、特定のスキューバック形状、ピッチ比及びアスペクト比などの様々な要求と組み合わせて、遠心力及び流体力が組み合わさって作用して、回転速度及び軸線方向速度の範囲に亘って実質的に最適な推力を生成する位置をブレードに採用させると言われている。
【0006】
特許文献3(米国特許第2246539号明細書)は、更なる可変ピッチプロペラを開示している。このプロペラは、ハブと、ハブに取り付けられた複数のブレードとを備え、これらブレードは、それぞれの半径方向軸線を中心に回動することができるようになっている。これらブレードは、ねじり軸に機械的に接続されており、このねじり軸は、ブレードの第1方向への回転時に、そのエネルギを蓄積し、それによって、作用された推力の低下時に、ブレードを反対に回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3308889号明細書
【特許文献2】米国特許第4304524号明細書
【特許文献3】米国特許第2246539号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改良した船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラを提供することである。
【0009】
別の目的は、使用時に、とりわけ、より速い加速、より高い最高速度、より低いエネルギ消費、スリップの減少及び操縦性の向上に関して高性能を提供する、プロペラを提供することである。
【0010】
更なる目的は、使用時に信頼性がありかつ比較的長い耐用年数を可能にする、プロペラを提供することである。
【0011】
更に別の目的は、補修及び修理を容易にする、プロペラを提供することである。
【0012】
更に別の目的は、比較的簡単な構造でありかつ比較的少ない数の構成要素を備える、プロペラを提供することである。
【0013】
更に、比較的低コストで製造することができるプロペラを提供することが目的である。
【0014】
一般に、請求項において使用される全ての用語は、本明細書において別途明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「要素、装置、構成要素、手段、ステップ等(a/an/the element, apparatus, component, means, step, etc.)」に関する全ての参照は、特に明記されていない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例を参照するものとして率直に解釈されるべきである。ここに開示する任意の方法のステップは、明示的に述べられていない限り、開示する正確な順序で実行する必要はない。
【0015】
「ピッチ(pitch)」という用語は、滑りを許容しない固体媒体を通して、プロペラが1周するであろう直線距離を記述するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、第1態様によれば、添付の請求項1によって規定される、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラを提供する。プロペラは、プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線を備えた中心ハブと、ハブから半径方向に延びている複数のブレードとを備える。ハブは、回転駆動軸を受け入れるように配置された中心穴を有する。各ブレードは、ハブに回動可能に固定され、それぞれのブレードを介してハブから半径方向に延びているそれぞれのブレード回動軸線を中心に回動可能である。各ブレードは、前縁、後縁、高圧側領域を有する高圧側と、吸込側領域を有する吸込側とを有する。これらブレードは、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに自由に伝達するように機械的に相互接続されている。吸込側領域の50%超及び高圧側領域の50%超がそれぞれのブレードの後縁と回動軸線との間に配置されているように、各ブレードの回動軸線が配置されている。
【0017】
「回動運動を自由に伝達する(to freely transfer pivotal movement)」という用語は、ブレードが、特定の方向に又は特定の回転位置に向かってブレードを回転させようとする、いかなるエネルギ蓄積手段、弾性手段、又は、付勢手段を伴わずに、機械的に相互接続されていることを意味するものと理解されるべきである。このように、ブレードは直接的に相互に接続されており、一方のブレードの回転は、相互のブレードに直接的に伝達され、その結果、それは純粋に流体力学的な力であり、場合によってはプロペラの回転によって生じる遠心効果であり、ブレードに作用して、ブレードが対応するピッチに作用する自己調節式の角度位置を瞬間的に適合させる。
【0018】
自己調節式可変ピッチプロペラにおいて、ブレードの圧力側及び吸込側に作用する流体力は、各ブレードを反対方向に回動させるようとする。吸込側に作用する力はピッチを増加させようとするのに対し、加圧側に作用する力はピッチを減少させようとする。作用力は、回転数及びプロペラの水中の軸線方向速度を変化させると大きく変化する。さらに、、プロペラの回転軸線からの半径方向距離に沿った、ブレードの曲率やブレード領域の分布などの、ブレードの三次元幾何学的形状は、ピッチの増減に寄与する力の間のバランスに大きく影響する。本開示によるプロペラは、ブレードを通って延びている回動軸線に関するブレードの高圧側領域及び吸込側領域の分布が、広い範囲のプロペラ回転数、水を通る軸線方向速度及び負荷にわたってピッチの有利な自己調節を達成するために非常に重要であるという認識に基づいている。具体的には、各ブレードの吸込側の領域の半分超と高圧側の領域の半分超が、それぞれの回動軸線のプロペラの回転方向の下流に配置されているように、ブレードを通る回動軸線が配置されているときに、ピッチの最適な自己調節が広い範囲にわたって達成されることが分かっている。言い換えると、吸込側領域の半分超が、ブレードを通して延びている回動軸線とブレードの後縁との間に配置されている。
【0019】
このような配置により、船舶が静止状態から最高速度まで加速するときに、ブレードが各回転数に対して有利かつ少なくとも最適ピッチに近い状態に自動的になることを達成することが可能であることが証明された。ブレードは、回動運動をブレード同士の間で自由に伝達するように機械的に相互接続されているので、流体力学的な力は、流体力の影響を受けて又はそれに抗してブレードを回転させようとする付勢手段なしに、ブレードに自由に作用する。これにより、操縦性の向上と最高速度の高速化と同時に、船舶の加速度を高め、エネルギ消費量を低減することができる。したがって、プロペラは、船舶の全体的な性能を高め、同時に、その使用の環境影響を低減し得る。また、これらの有利な効果を達成するための比較的単純な基準は、プロペラが比較的少ない数の構成部品で実現され得るように、様々なプロペラタイプ及び設計で容易に実施され得る。これにより、プロペラの信頼性と耐用年数を高め、低コストでの簡単な製造が容易となる。プロペラは、更に、補修及び修理が容易になるように、容易に組立及び分解ができるように容易に設計することができる。
【0020】
前記第1態様の一実施形態によれば、吸込側領域の92%以下及び高圧側領域の96%以下が、それぞれのブレードの後縁と回動軸線との間に配置されている。
【0021】
各ブレードは、最小回動角度と最大回動角度との間で、回動軸線を中心に限定的に回動しうる。
【0022】
各ブレードは、最小回動角度が18cm(7インチ)のピッチに対応し、最大回動軸線が69cm(27インチ)のピッチに対応するように形成されうる。
【0023】
各ブレードは、それぞれのブレード根元部に固定されるか又は一体に形成されうる。
【0024】
ブレードは、ギヤ装置によって機械的に相互接続されうる。
【0025】
次に、ギヤ装置は、各ブレード根元部に配置された第1ギヤ歯と、少なくとも1つの相互接続部材に配置された第2ギヤ歯とを備えうる。
【0026】
少なくとも1つの相互接続部材は環状部材を備えることができ、環状部材の第2ギヤ歯は、全てのブレード根元部の第1ギヤ歯と噛み合うことができる。
【0027】
少なくとも1つの相互接続部材は、複数のはめ歯歯車を備えることができ、各はめ歯歯車の第2ギヤ歯は、互いに隣接する2つのブレード根元部の第1ギヤ歯と噛み合い得る。
【0028】
中心ハブは、排気ガスの輸送のために軸線方向に延びている排気通路を有しうる。
【0029】
排気通路は、環状とすることができ、中心ハブの中心穴の周囲に同心円状に配置されうる。
【0030】
中心ハブは、中心ハブに固定されかつ排気通路内に配置されている、排気タービンを備えうる。
【0031】
中心ハブは、中心穴を有する中心スリーブと、この中心スリーブと同心円状にかつこの外側に配置されている周辺スリーブであって、これにより、中心スリーブと周辺スリーブとの間に排気通路が形成されている、周辺スリーブとを備えうる。
【0032】
周辺スリーブは、排気タービンのそれぞれのタービンブレードを形成する螺旋状に配置された複数のスポークによって、中心スリーブに接続することができる。
【0033】
中心ハブは、プロペラの軸線方向に順々に相互に固定される少なくとも2つのセグメントを備え、複数のブレードは、2つのセグメント間の接合部においてハブに形成されたそれぞれの凹部でハブに固定される。
【0034】
ブレードの数は、2枚~8枚の間、好ましくは3枚~5枚の間とすることができる。
【0035】
本開示は、第2態様によれば、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラであって、このプロペラは、プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線を有する中心ハブと、前記中心ハブから半径方向に延びている複数のブレードとを備え、前記中心ハブは、回転駆動軸を受け入れるように配置された中心穴を有し、各ブレードは、前記中心ハブに回動可能に固定されており、かつ、前記中心ハブから半径方向に延びているそれぞれのブレード回動軸線を中心に回動可能であり、前記複数のブレードは、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに伝達するように機械的に相互接続されており、前記中心ハブは、排気ガスの輸送のために軸線方向に延びている排気通路を有する、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラを提供する。
【0036】
第2態様のプロペラの一実施形態によると、排出通路は、環状であり、かつ、中心ハブの中心穴の周囲に同心円状に配置されている。
【0037】
中心ハブは、ハブに固定されかつ排気通路内に配置されている、排気タービンを備えうる。
【0038】
中心ハブは、中心穴を有する中心スリーブと、この中心スリーブと同心円状にかつこの外側に配置されている周辺スリーブであって、これにより、中心スリーブと周辺スリーブとの間に排気通路が形成されている、周辺スリーブとを備えうる。
【0039】
周辺スリーブは、排気タービンのそれぞれのタービンブレードを形成する螺旋状に配置された複数のスポークによって、中心スリーブに接続することができる。
【0040】
本開示は、第3態様によれば、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラであって、プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線を有する中心ハブと、前記中心ハブから半径方向に延びている複数のブレードとを備え、前記中心ハブは、回転駆動軸を受け入れるように配置された中心穴を有し、各ブレードは、前記中心ハブに回動可能に固定され、前記中心ハブから半径方向に延びているそれぞれのブレード回動軸線を中心に回動可能であり、複数のブレードは、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに伝達するように機械的に相互接続されており、前記中心ハブは、前記プロペラの軸線方向に順々に相互に固定される少なくとも2つのセグメントを備え、前記複数のブレードは、2つのセグメント間の接合部において前記中心ハブに形成されたそれぞれの凹部で前記中心ハブに固定される、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラを提供する。
【0041】
第1態様、第2態様及び第3態様に係る自己調節式可変ピッチプロペラの更なる目的及び利点は、実施形態を例示した以下の記載及び添付の特許請求の範囲から明らかである。
【0042】
ここで、一例として、添付図面を参照しながら、態様及び実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、一実施形態による自己調節式可変ピッチプロペラの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すプロペラの一部を取り外した状態の斜視分解図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すプロペラのいくつかの内部構成要素を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示したプロペラの他の構成要素を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態によるプロペラに含まれ得るブレードの吸込側を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態によるプロペラに含まれ得るブレードの高圧側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照して、本開示の態様をより完全に説明する。
【0045】
しかし、これらの態様は、多くの異なる形態で具体化され得、限定として解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように、また、発明の全ての態様の技術的範囲を当業者に完全に伝えるために、例として提供される。同様の参照番号は、明細書の記載の全体を通して同様の要素を指す。
【0046】
図1~
図6に示す自己調節式可変ピッチプロペラ1は、船内又は船外の燃焼エンジンの形態の動力装置を有する、船舶又はボートにおける船舶使用を意図している。プロペラは、ハブ10と、ハブ10の周縁部の周りに均等に分布されている4つのブレード50とを備えている。しかしながら、代替的に、図示しない実施形態では、プロペラは、別の数の複数のブレードを備えうる。典型的には、プロペラは、2~8枚、好ましくは3~5枚のブレードを備えうる。ハブ10は、エンジンの出力軸S(
図5)に固定されるように配置されており、プロペラ1の回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線Cを有する。船舶の前進駆動中、プロペラ1は、
図1に見られるように、時計回りの回転方向Rに中心線Cを中心に回転する。
【0047】
各ブレード50は、ブレード根元部60に固定されており、ハブ10から軸線方向中心線Cに対して半径方向に延び、各ブレード50が、ブレード50及びブレード根元部60を通して中心線Cに対して半径方向に延びているそれぞれの回動軸線P(
図2)を中心に回動可能であるように、各ブレード50がハブに回動可能に固定されている。ブレード50は、本質的に相互に同一であり、1つのブレード50についての以下の説明は、4つのブレード50全てに均等に適用される。各ブレード50は、前縁51及び後縁52を有する。前縁51は、船舶の前進駆動中の回転方向Rに面している。各ブレード50は、さらに、吸込側領域を有する吸込側53と、高圧側領域を有する高圧側54とを有し、両方とも前縁51と後縁52との間に延びている。前進駆動中、吸込側53は、船舶の前進運動に対して高圧側54のほぼ前方に配置されている。ブレード50は、吸込側53が凸状であり、高圧側54が凹状であるような形態で、三次元の二重湾曲形状(double curved geometry)を有する。これにより、吸込側53の領域が高圧側54の領域よりも大きくなる。図示の例では、ブレード50とブレード根元部が一片の構成要素として一体的に形成されている。しかし、ブレードとブレード根元部は、固定して接続される異なる構成要素として形成することもできる。
【0048】
各ブレードは、ブレード50の半径方向外側端部に配置されているブレード先端56に配置されている、ブレードレット55又はボルテックスレデューサを更に備えている。ブレードレット55は、ブレード先端56の縁部から吸込側53に向かって突出し、ブレード先端にわたって吸込側から高圧側54への水流を低減し、ブレード先端56におけるキャビテーションを低減する、突出部又はビードとして形成されている。ブレードレット55の長さは、好ましくは、ブレード50の半径方向全長の約5%~15%である。ブレード50は、後縁52に配置されかつブレード先端56から内方にハブ10に向かってほぼ半分だけ延びている、ブレードディフューザ57又は分離遅延器をさらに備える。ブレードディフューザ57は、後縁に隣接する領域のブレードの一部分を備え、この部分は、吸込側53に向かって曲げられ又は湾曲されている。プロペラの回転方向Rにおけるブレードディフューザの長さは、ブレードディフューザにおける前縁51と後縁52との間の距離の約10%~15%である。ブレードディフューザ57は、プロペラが受ける水の抵抗を低減らし、それによって、効率を高め、燃料消費を低減する。ブレードは、さらに、ブレードの半径方向内側半分に配置された貫通開口58を有する。貫通開口58の領域は、吸込側53の領域の半径方向内側半分の約30%を構成する。この貫通開口58によって、能動的な吸引側領域及び高圧側領域が、ブレードの周縁部分に向かって半径方向外側に移動することになる。この部分はブレードの半径方向内側部分よりも高い回転速度を有するので、貫通開口58によって効率を高め、特に加速及び始動トルクを増大させる。
【0049】
ここで、主に
図4及び
図5を参照してハブ2を更に詳細に説明する。
図4はハブ2の分解図であり、
図5は、一部の外側の部品が取り外された、組み立てられたハブ2を示す。ハブ2は、中心線Cの軸線方向に順々に配置されている4つの軸線方向セグメント10、20、30、40を備えている。これらのセグメントは、前側セグメント10と、第1中間セグメント20と、第2中間セクション30と、後側セグメント40とを備えている。これらセグメントは、
図4に示すように、軸線方向に延びている締め付けねじとボットによって互いに固定して接続されている。それぞれの部分は、中心スプライン付き穴部分12、32、42を有する、管状の内側スリーブ部分11、21、31、41を備えている。これら内側スリーブ部分は、ハブ2の中心スリーブ4を共に形成し、穴部分は、エンジンの回転駆動軸Sを受け入れる、ハブ2の中心スプライン付き穴3を共に形成する。
【0050】
各セグメント10、20、30、40は、さらに、外側スリーブ部分13、23、33、43を備え、これら外側スリーブ部分は、それぞれの内側スリーブ部分11、21、31、41と同心円状にかつその外側に配置されており、ハブ2の周辺スリーブ5を共に形成する。この手段により、周辺スリーブ5と中心スリーブ4との間に環状空間が形成され、この空間は、ハブ2を通って軸線方向に延びている排気通路6を構成している。プロペラ1がエンジンの出力軸S上に固定されると、前側セグメント10によって前端が形成されている排気通路6の前端は、エンジンの排気出口と連通し、エンジンからの排気ガスがハブ2の排気通路6を通過するようになる。
【0051】
各セグメント10、20、30、40において、内側スリーブ部分11、21、31、41は、スポーク部材14a、24a、34a、44a~44dによってそれぞれ外側スリーブ部分13、23、33、43に接続されている。図示の例では、各セグメント10、20、30、40は、後側セグメント40の4つの螺旋状のスポーク部材44a~44dによって、
図5に最良に例示されているような4つの螺旋状のスポーク部材を備えている。各スポーク部材は、タービンブレード7a~7dの軸線方向セクションを形成し、これらセグメントが組み立てられたとき、4つのタービンブレード7a~7dが排気通路内に形成されているようになっている。
図5において、これは、タービンブレード7aを共に形成するスポーク部材14a、24a、34a、44aによって最もよく表される。このように、4つのタービンブレード7a~7dは、タービン8の一部を共に形成する。プロペラ1が回転すると、タービン8は、排気ガスがエンジンを離れるための抵抗を著しく減少させ、それによって、エンジンの効率を高め、加速を高め、燃料消費を低減する。
【0052】
ハブ2は、
図4及び
図6に最もよく見られるギヤ装置60をさらに備える。これらの図では、ブレード根元部60のみが示されるように、可視性を高めるためにブレードが取り外されている。また、
図6には、4つのブレード根元部のうちの1つのみが示されている。ブレード根元部60は、ハブ2の外側スリーブ5に軸支されている。この目的のために、第1中間セクション20及び第2中間セクション30は、それぞれ、それぞれの外側スリーブ部分23、33を通して配置されかつ対25a~35a及び対25b~35bで互いに向かい合う、4つの半円形開口25a~25b、35a~35bを示す。各ブレード根元部60は、筒状部分を有し、その筒状部分の直径は、半円形開口の各対25a~35a、25b~35bによって画定される筒状開口の直径に対応し、その結果、ブレード根元部60及びブレード50は、ハブ2に対して回動軸線P(
図2)を中心に回動し得る。各ブレード根元部60は、半径方向に突出した、対向する2つの停止部材61を備え、各停止部材は、外側スリーブ部分23、33に形成された対応するそれぞれの凹部26にクリアランスを持って受け入れられる。この手段により、ブレード50及びブレード根元部60の両方の回動方向における回動運動は、クリアランスによって規定される最大回動角度に制限される。好ましくは、このクリアランスは、最小ピッチ18cm(7インチ)と最大ピッチ69cm(27インチ)との間でブレード50の回動運動を可能にするように選択されるべきである。図示の例では、これは、約36°の最大回動角度に対応する。
【0053】
ギヤ装置は、複数のブレード50の回動運動を同期させるためにブレード根元部60を機械的に相互接続するように配置された、複数の相互接続部材71、72を備える。図示の例では、ギヤ装置は異なるタイプの2つの相互接続部材71、72を備えている。
【0054】
第1タイプの相互接続部材は、4つのブレード根元部60の全ての停止部材61上に配置された第1ギヤ歯62と噛み合う第2ギヤ歯71aを各々が有する2つの環状部材71を備える(
図6には1つのみが示されている)。
【0055】
第2タイプの相互接続部材は、ブレード根元部60に配置された二次側の第1ギヤ歯63と噛み合う二次側の第2ギヤ歯72aを備えた、4つのベベルはめ歯歯車72を備える。各はめ歯歯車72の二次側の第2ギヤ歯72は、隣り合う又は隣接する2つのブレード根元部の二次側の第1ギヤ歯63と噛み合う。
【0056】
第1タイプの相互接続部材71及び第2タイプの相互接続部材72の両方が、全てのブレードが全ての瞬間で同じピッチをとるように、4つのブレード60の全てが相互接続されかつ同期されることを保証する。ギヤ装置60全体又は第1タイプの相互接続部材71又は第2タイプの相互接続部材72はいずれも、ブレードを特定の方向又は特定の回転位置に向けて回転させようとするいかなる付勢手段も備えていないことに留意されたい。図示の例では、プロペラには、第1タイプの相互接続部材及び第2タイプの相互接続部材の両方が設けられている。しかしながら、多くの場合、プロペラに第1タイプ又は第2タイプの相互接続部材のいずれかを設けることで十分である。第1タイプの相互接続部材が使用される場合には、ギヤ装置は、上記の相互接続部材71を1つだけ備えうる。しかし、対称性の理由から、また、非対称荷重によって生じるブレード根元部と相互接続部材のスキューを回避するために、2つの上記の相互接続部材71を配置することが好ましい場合がある。相互接続部材のタイプ及び数は、とりわけ、エンジンの動力出力と、プロペラ及びハブの寸法と、プロペラによって推進される船舶のタイプとに応じて選択することができる。
【0057】
図7及び
図8に最も良く示すように、ブレードの吸込側領域及び高圧側領域は、ブレードの回動軸線Pに対して特定の態様で配置されている。
図7は、第2実施形態に係る(ブレード根元部のない)例示的なブレード50’を示す、
図2の図に対応する側面図である。
図7はブレード50’の高圧側を示す。
図8は、
図7に示すプロペラ50’の吸込側を示すプロペラの正面からの平面図である。
図7及び
図8の両方において、プロペラ中心線Cの方向は、参照の目的で概略的に示されている。
【0058】
図1~
図3に示した例のように、ブレードは、前縁51’と、後縁52’と、ブレード先端56’とを備える。
図7に示される高圧側54’と
図8に示す吸込側53’は、共に、前縁51’と、後縁52’と、ブレード先端56’と、中心線Cに近接して配置された図示しないブレード根元部との間に延びている。ブレード50’は、
図1~
図6を参照して上述したように、回動軸線Pを中心に回動可能である。高圧側54’及び吸込側53’の両方の表面は、吸込側領域が高圧側領域より幾分大きくなるように二重湾曲している。回動軸線Pは、ブレード50’を通して延び、ブレード50’の後縁部分、すなわち、回動軸線Pと後縁52’との間に配置されているように、大部分、すなわち、吸込側領域53’及び高圧側領域54’の両方の50%超が配置されている。図示の例では、吸込側領域の約54,8%及び高圧側領域の57,5%が回動軸線Pと後縁52’との間に配置されている。吸込側領域の半分超かつ92%まで及び高圧側領域の半分超かつ96%までが回動軸線Pと後縁52’との間に配置されていれば、それが特に有利であることが証明されている。
【0059】
このような回動軸線及び後縁に関連する吸込側及び高圧側の領域の配置によって、ブレードは、プロペラの全回転数間隔にわたって任意の又は少なくとも有利なピッチに自動的になり、水を通る船舶の速度と、プロペラに加えられるトルクと、プロペラの直径が変化する大きな間隔とに関わらず、ピッチの有利な自動調節が行われることが分かっている。このような有利な自動ピッチ調節を達成することにより、船舶の加速度の増加と、より高い最高速度と、より低いエネルギ消費と、より良い操縦性の形態におけるいくつかの利点が得られる。本願明細書に開示されるプロペラの設計により、これらの利点は、少ない数の構成要素のみを備える、プロペラの比較的簡単な構造に、簡単な方法で容易に達成される。また、ハブの軸線方向に位置合わせした複数のセグメントを備える、設計及び特にモジュール構造は、プロペラの容易な組立及び分解を可能にし、それによって、ブレードなどの損傷した構成要素を容易に交換することができる。
【0060】
本開示の態様は、主に、いくつかの実施形態及びそれらの例を参照して上述された。しかし、当業者であれば容易に理解できるように、上記開示されたもの以外の他の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲内で等しく可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
本開示の態様は、主に、いくつかの実施形態及びそれらの例を参照して上述された。しかし、当業者であれば容易に理解できるように、上記開示されたもの以外の他の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲内で等しく可能である。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)であって、
前記船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)は、前記プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線(C)を有する中心ハブ(2)と、前記中心ハブ(2)から半径方向に延びている複数のブレード(50、50’)とを備え、
前記中心ハブ(2)は、回転駆動軸(S)を受け入れるように配置された中心穴(3)を有し、各ブレード(50,50’)は、前記中心ハブ(2)に回動可能に固定されており、かつ、前記中心ハブ(2)から前記各ブレード(50,50’)を通して半径方向に延びている各ブレード回動軸線(P)を中心として回動可能であり、前記各ブレード(50,50’)は、前縁(51,51’)と、後縁(52,52’)と、高圧側領域を有する高圧側(54,54’)と、吸込側領域を有する吸込側(53,53’)とを有し、
前記複数のブレード(50)は、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに自由に伝達するように機械的に相互接続されており、
前記吸込側(53、53’)の領域及び前記高圧側(54、54’)の領域の50%超が、それぞれの前記ブレード(50、50’)の前記後縁(52、52’)と前記回動軸線(P)の間に配置されているように、各ブレード(50、50’)の回動軸線(P)が配置されている、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)である。
第2の態様は、
前記吸込側(53,53’)の領域の92%以下及び前記高圧側(54,54’)の領域の96%以下が、各ブレード(50,50’)の前記後縁(52,52’)と回動軸線(P)との間に配置されている、第1の態様における自己調節式可変ピッチプロペラである。
第3の態様は、
各ブレード(50、50’)が、最小回動角度と最大回動角度との間で前記回動軸線(P)を中心に限定的に回動可能である、第1の態様又は第2の態様における自己調節式可変ピッチプロペラである。
第4の態様は、
各ブレード(50、50’)は、前記最小回動角度が18cm(7インチ)のピッチに対応し、前記最大回動角度が69cm(27インチ)のピッチに対応するように形成されている、第3の態様における自己調節式可変ピッチプロペラである。
第5の態様は、
各ブレード(50、50’)が、それぞれのブレード根元部(60)に固定されているか又は一体に形成されている、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
第6の態様は、
前記ブレード(50、50’)がギヤ装置(70)によって機械的に相互接続される、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
第7の態様は、
前記ギヤ装置(70)が、各ブレード根元部(60)に配置された第1ギヤ歯(62、63)と、少なくとも1つの相互接続部材(71、72)に配置された第2ギヤ歯(71a、72a)とを備える、第6の態様における可変ピッチプロペラである。
第8の態様は、
前記少なくとも1つの相互接続部材は環状部材(71)を備え、前記環状部材(71)の前記第2ギヤ歯(71a)は、全ての前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(62)と噛み合っている、第7の態様における可変ピッチプロペラである。
第9の態様は、
前記少なくとも1つの相互接続部材は、複数のはめ歯歯車(72)を備え、各はめ歯歯車(72)の第2ギヤ歯(72a)が、相互に隣接する2つの前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(63)と噛み合っている、第7の態様又は第8の態様における可変ピッチプロペラである。
第10の態様は、
前記中心ハブ(2)は、排気ガスの輸送のために軸線方向に延びている排気通路(6)を有する、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
第11の態様は、
前記排気通路(6)が環状であり、前記中心ハブ(2)の前記中心穴(3)の周囲に同心円状に配置されている、第8の態様における可変ピッチプロペラである。
第12の態様は、
前記中心ハブ(2)が、前記中心ハブ(2)に固定されかつ前記排気通路(6)内に配置された排気タービン(8)を備える、第10の態様又は第11の態様における可変ピッチプロペラである。
第13の態様は、
前記中心ハブ(2)が、
前記中心穴(3)を有する中心スリーブ(4)と、
前記中心スリーブ(4)と同心円状にかつその外側に配置されている周辺スリーブ(5)であって、それによって、前記中心スリーブ(4)と前記周辺スリーブ(5)との間に前記排気通路(6)を形成する、周辺スリーブ(5)とを備える、第10の態様~第12の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
第14の態様は、
前記周辺スリーブ(5)が、前記排気タービン(8)のそれぞれのタービンブレード(7a~7d)を形成する螺旋状に配置された複数のスポーク(14a、24a、34a、44a~44d)によって、前記中心スリーブ(4)に接続されている、第13の態様における可変ピッチプロペラである。
第15の態様は、
前記中心ハブ(2)が、前記プロペラの軸線方向に順々に相互に固定される少なくとも2つのセグメント(10、20、30、40)を備え、
前記ブレード(50)が、前記中心ハブ内に形成された2つのセグメント(20、30)間の接合部にそれぞれの凹部(25a、35a)で前記中心ハブに固定されている、第1の態様~第14の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
第16の態様は、
前記ブレード(50)の数は、2~8の間、好ましくは3~5の間である、第1の態様~第15の態様のいずれか1つにおける可変ピッチプロペラである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)であって、
前記船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)は、前記プロペラの回転軸線を規定する軸線方向プロペラ中心線(C)を有する中心ハブ(2)と、前記中心ハブ(2)から半径方向に延びている複数のブレード(50、50’)とを備え、
前記中心ハブ(2)は、回転駆動軸(S)を受け入れるように配置された中心穴(3)を有し、各ブレード(50,50’)は、前記中心ハブ(2)に回動可能に固定されており、かつ、前記中心ハブ(2)から前記各ブレード(50,50’)を通して半径方向に延びている各ブレード回動軸線(P)を中心として回動可能であり、前記各ブレード(50,50’)は、前縁(51,51’)と、後縁(52,52’)と、高圧側領域を有する高圧側(54,54’)と、吸込側領域を有する吸込側(53,53’)とを有し、
前記複数のブレード(50)は、各ブレードの回動運動を他の全てのブレードに自由に伝達するように機械的に相互接続されており、
前記吸込側(53、53’)の領域及び前記高圧側(54、54’)の領域の50%超が、それぞれの前記ブレード(50、50’)の前記後縁(52、52’)と前記回動軸線(P)の間に配置されているように、各ブレード(50、50’)の回動軸線(P)が配置されている、船舶用の自己調節式可変ピッチプロペラ(1)。
【請求項2】
前記吸込側(53,53’)の領域の92%以下及び前記高圧側(54,54’)の領域の96%以下が、各ブレード(50,50’)の前記後縁(52,52’)と回動軸線(P)との間に配置されている、請求項1に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項3】
各ブレード(50、50’)が、最小回動角度と最大回動角度との間で前記回動軸線(P)を中心に限定的に回動可能である、請求項1又は2に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項4】
各ブレード(50、50’)は、前記最小回動角度が18cm(7インチ)のピッチに対応し、前記最大回動角度が69cm(27インチ)のピッチに対応するように形成されている、請求項3に記載の自己調節式可変ピッチプロペラ。
【請求項5】
各ブレード(50、50’)が、それぞれのブレード根元部(60)に固定されているか又は一体に形成されている、請求項
1に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項6】
前記ブレード(50、50’)がギヤ装置(70)によって機械的に相互接続される、請求項
1に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項7】
前記ギヤ装置(70)が、各ブレード根元部(60)に配置された第1ギヤ歯(62、63)と、少なくとも1つの相互接続部材(71、72)に配置された第2ギヤ歯(71a、72a)とを備える、請求項6に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの相互接続部材は環状部材(71)を備え、前記環状部材(71)の前記第2ギヤ歯(71a)は、全ての前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(62)と噛み合っている、請求項7に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの相互接続部材は、複数のはめ歯歯車(72)を備え、各はめ歯歯車(72)の第2ギヤ歯(72a)が、相互に隣接する2つの前記ブレード根元部(60)の前記第1ギヤ歯(63)と噛み合っている、請求項7又は8に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項10】
前記中心ハブ(2)は、排気ガスの輸送のために軸線方向に延びている排気通路(6)を有する、請求項
1に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項11】
前記排気通路(6)が環状であり、前記中心ハブ(2)の前記中心穴(3)の周囲に同心円状に配置されている、請求項
10に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項12】
前記中心ハブ(2)が、前記中心ハブ(2)に固定されかつ前記排気通路(6)内に配置された排気タービン(8)を備える、請求項10又は11に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項13】
前記中心ハブ(2)が、
前記中心穴(3)を有する中心スリーブ(4)と、
前記中心スリーブ(4)と同心円状にかつその外側に配置されている周辺スリーブ(5)であって、それによって、前記中心スリーブ(4)と前記周辺スリーブ(5)との間に前記排気通路(6)を形成する、周辺スリーブ(5)とを備える、請求項1
0に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項14】
前記周辺スリーブ(5)が、排気タービン(8)のそれぞれのタービンブレード(7a~7d)を形成する螺旋状に配置された複数のスポーク(14a、24a、34a、44a~44d)によって、前記中心スリーブ(4)に接続されている、請求項13に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項15】
前記中心ハブ(2)が、前記プロペラの軸線方向に順々に相互に固定される少なくとも2つのセグメント(10、20、30、40)を備え、
前記ブレード(50)が、前記中心ハブ内に形成された2つのセグメント(20、30)間の接合部にそれぞれの凹部(25a、35a)で前記中心ハブに固定されている、請求項
1に記載の可変ピッチプロペラ。
【請求項16】
前記ブレード(50)の数は、2~8の間、好ましくは3~5の間である、請求項
1に記載の可変ピッチプロペラ。
【国際調査報告】