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特表2024-524311切除腔用の非導電電場ガイド、ならびにそれを使用するシステムおよび方法
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  • 特表-切除腔用の非導電電場ガイド、ならびにそれを使用するシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】切除腔用の非導電電場ガイド、ならびにそれを使用するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240628BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579580
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022056119
(87)【国際公開番号】W WO2023275822
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,970
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モシェ・ギラディ
(72)【発明者】
【氏名】リラチ・アヴィグドル
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・ナヴェー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB26
4C053BB34
4C053LL05
4C053LL07
(57)【要約】
切除腔の周りの腫瘍細胞を治療するための方法は、標的領域に隣接する切除腔内に非導電材料を配置するステップを含む。少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間の電場が、標的領域を通過するように、少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極が腫瘍切除腔に対して配置される。少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に腫瘍治療電場を発生させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極と、
前記少なくとも1つの第1の電極および前記少なくとも1つの第2の電極の各々と電気的に通信する信号発生器であって、前記少なくとも1つの第1の電極と前記少なくとも1つの第2の電極との間に電場を発生させるように構成された信号発生器と、
前記少なくとも1つの第1の電極と前記少なくとも1つの第2の電極との間に配置された非導電材料であって、電場を誘導するように流体で充填されるように構成された内部通路を画定する、非導電材料と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記非導電材料は、内部体積を画定する中空体と、前記中空体の前記内部体積内に延びる少なくとも第1の開口部および第2の開口部とを備え、前記内部通路は、少なくとも一部が、前記第1の開口部、前記第2の開口部、および前記内部体積によって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の電極および前記少なくとも1つの第2の電極の各々は、それぞれの電極アレイ上に配列された複数の電極を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記非導電材料は、3Dプリント構築物であり、前記3Dプリント構築物は、ヒドロゲルまたはポリイミドの一方を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記非導電材料は、スキャフォールドを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
前記スキャフォールドは、天然ポリマーを含み、前記天然ポリマーは、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、ゼラチン、アガロース、またはコラーゲンのうちの1つまたは複数を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スキャフォールドは、合成ポリマーを含み、前記合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはそれらの組合せを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記スキャフォールドは、粘弾性エレクトロスパンナノファイバーシルクフィブロイン(ESF)を含む生体脱細胞化ヒト羊膜(AM)を含む3次元(3D)2層スキャフォールドである、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記非導電材料は、バイオシートを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項10】
前記バイオシートは、シリコンシートである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記非導電材料は、化学療法剤を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項12】
前記非導電材料は、抗菌剤を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項13】
前記非導電材料は、オイルを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の開口部および前記第2の開口部は、前記中空体の両側に配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項15】
前記信号発生器と通信するコンピューティングデバイスをさらに備える、請求項1または2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,970号の出願日の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、切除によって腫瘍の全部または一部を除去し、それによって、切除腔を残すことによって治療することができる。その際、腫瘍細胞のすべてが摘出されるとは限らないことが多い。たとえば、膠芽細胞腫などの脳腫瘍の場合、腫瘍の大部分を除去することができるが、腫瘍の一部(指状の根)が正常細胞と組み合わさることがある。したがって、実質的な量の正常細胞を除去または破壊することなく周辺腫瘍細胞を切除することはできず、このことは望ましくない場合がある。
【0003】
したがって、腫瘍の大部分を切除した後、二次治療プロセスによって切除腔の周囲の(たとえば、腫瘍周辺領域内の)残りの細胞を治療することができる。1つのそのような治療には腫瘍治療電場(TTFields)が含まれる。しかし、腫瘍の大部分を切除すると、導電性の高い流体が腔に再び充填される。したがって、TTFieldsの実質的な部分が腔内の流体中を直接通過し、それによって、腔の周囲の腫瘍細胞を治療する際にTTFieldsの効果が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,715,203号
【特許文献2】米国特許出願公開第15/840,191号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】American Chemical Society.「A DNA-based nanogel for targeted chemotherapy.」ScienceDaily. ScienceDaily、2020年11月18日 www.sciencedaily.com/releases/2020/11/201118141731.htm
【非特許文献2】Niu, Kaiら「Polypeptide nanogels with different functional cores promote chemotherapy of lung carcinoma.」Frontiers in pharmacology 10 (2019): 37
【非特許文献3】Sahu, Prashantら「Nanogels: a new dawn in antimicrobial chemotherapy.」Antimicrobial Nanoarchitectonics. Elsevier, 2017. 101~137頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、様々な態様における、標的領域に隣接する切除腔内に非導電材料を配置するステップを含む方法について説明する。少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間の電場が、標的領域を通過するように、少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極を腫瘍切除腔に対して配置することができる。少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に腫瘍治療電場を発生させることができる。
【0007】
別の態様では、システムは、少なくとも1つの第1の電極と、少なくとも1つの第2の電極と、少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配置された非導電材料とを備えることができる。信号発生器は、少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極の各々と電気的に通信することができる。信号発生器は、少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に電場を発生させるように構成することができる。
【0008】
別の態様では、非導電生体適合材料を切除腔に受け入れるように構成することができる。非導電材料は、電場を誘導するように流体で充填されるように構成された内部通路を画定することができる。
【0009】
本発明のさらなる利点は、一部が以下の説明に記載され、一部が説明から明らかになるか、または本発明を実施することによって認識されよう。本発明の利点は、特に添付の特許請求の範囲において指摘される要素および組合せによって実現され達成されよう。上記の概括的な説明と以下の詳細な説明の両方が例示的で説明的なものに過ぎず、請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態のこれらの特徴および他の特徴は、添付の図面が参照される詳細な説明においてより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】患者上に配置された、本明細書において開示される治療システムの概略図である。
図2】本明細書において開示される腫瘍、切除腔、および非導電材料の概略図である。
図3A】本明細書において開示される、電極/トランスデューサ間および非導電材料の周りを伝わる電気力線の概略図である。
図3B】非導電材料の周りの電気力線を示すモデルである。
図4】本明細書において開示される例示的な非導電材料の概略図である。
図5】非導電材料が配設されている脳内の電場分布のモデルである。
図6】非導電材料が配設されていない脳内の電場分布のモデルである。
図7】本明細書において開示される治療システムの概略図である。
図8】本明細書において開示される電場発生器と通信するコンピューティングデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付の図面を参照しながら以下により本発明についてより詳しく説明する。図面には本発明のいくつかの実装形態が示されているが、すべての実施形態が示されているわけではない。実際、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、適用される法的要件を本開示が満たすように提供される。同じ番号は、本明細書全体にわたって同じ要素を指す。説明される特定の方法および手順は変形され得るので、本発明がそのような方法および手順に限定されないことを理解されたい。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみについて説明することを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0013】
上記の説明および関連する図面において提示される教示の利益を有する、本発明が関係する技術分野の当業者には、本明細書に記載された本発明の多数の修正形態および他の実施形態が企図されよう。したがって、本発明が、開示される特定の実施形態に限定されず、修正形態および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されるが、これらの用語は、汎用的で説明的な意味でのみ使用され、限定のためには使用されない。
【0014】
本明細書では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り複数の指示対象を含む。たとえば、「an electrode(電極)」という用語を使用した場合には、そのような電極の1つまたは複数を指すことがあり、他の場合も同様である。
【0015】
本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、別段の明確な指示がない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0016】
本明細書では、「任意選択的な」または「任意選択的に」という用語は、その後に説明する事象または状況が生じる場合もまたは生じない場合もあることを意味し、説明が、前記事象または状況が生じる事例および前記事象または状況が生じない事例を含むことを意味する。
【0017】
本明細書では、「のうちの少なくとも1つ」という用語は、「のうちの1つまたは複数」と同義であることが意図される。たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、およびそれらの各々の組合せを明示的に含む。
【0018】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表されるとき、別の態様は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用することによって近似値として表されるとき、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。各範囲の端点が他の端点に対して、かつ他の端点とは無関係に有意であることがさらに理解されよう。任意選択的に、いくつかの態様では、先行詞「約」を使用することによって値が近似されるとき、具体的に明示された値を最大15%、最大10%、最大5%、または最大1%(上回るかまたは下回る)範囲内の値をそれらの態様の範囲内に含めることができると考えられる。同様に、さらなる態様では、「およそ」、「実質的に」、および「概ね」を使用することによって値が近似されるとき、具体的に明示された値の最大15%、最大10%、最大5%、または最大1%の(具体的に明示された値を最大15%、最大10%、最大5%、または最大1%上回るかまたは下回る)範囲内の値をそれらの態様の範囲内に含めることができると考えられる。
【0019】
別段の指示がある場合を除いて、本明細書において使用される「または」という語は、特定のリストの任意の1つの要素を意味することがあり、他の任意選択的な態様では、そのリストの要素の任意の組合せを含むことがある。
【0020】
特に明記しない限り、本明細書に記載されたどの方法についても、その方法のステップが特定の順序で実行される必要があると解釈すべきであることを意図するものではないことを理解されたい。したがって、方法クレームが実際にはその方法の各ステップによって従うべき順序を記載しておらず、また、各ステップが特定の順序に限定されることが、特許請求の範囲または説明において他の方法で明示されていない場合、いかなる点においても順序が推測されることは意図されない。このことは、ステップまたは動作フローの構成に関する論理事項、文法的な構成または句読法から導出される明白な意味、および明細書に記載された態様の数またはタイプを含む、解釈についてのあらゆるあり得る非明示的な基礎事項に当てはまる。
【0021】
以下の説明では、理解を完全にするために特定の詳細について述べる。それにもかかわらず、当業者には、これらの特定の詳細を使用せずに装置、システム、装置を使用する関連する方法を実施し使用することができることが理解されよう。実際、装置、システム、および関連する方法は、例示された装置、システム、および関連する方法を修正することによって実施することができ、従来産業界において使用されている任意の他の装置および技法とともに使用することができる。
【0022】
図7は、本明細書において開示される電気療法的治療用の例示的な装置10を示す。一般に、装置は、携帯バッテリまたは電源作動デバイスであってもよく、本明細書において開示されるように刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイまたは電極)によって体内で交流電場を発生させる。装置10は、電場発生器12と1つまたは複数の刺激ゾーン(この例示的な構成ではトランスデューサアレイ14として示されている)とを備えてもよい。装置10は、電場発生器12を介して腫瘍治療電場(TTFields)(たとえば、150kHz)を発生させ、刺激ゾーン(たとえば、1つまたは複数のトランスデューサアレイ14または電極)を通して身体のある領域にTTFieldsを給送するように構成されてもよい。電場発生器12は、バッテリおよび/または電源によって電力供給されてもよい。
【0023】
図7に示すように、各トランスデューサアレイ14は、複数の電極またはトランスデューサ15を備えることができる。本明細書では、別段の指示がない限り、電極に関して説明される特徴は、トランスデューサにも適用可能であり、トランスデューサに関して説明される特徴は、電極にも適用可能である。したがって、電極およびトランスデューサという用語は、本明細書では交換可能に使用される。例示的な態様では、トランスデューサ15は、AC信号を対象の身体内に容量結合することができる。さらなる態様では、トランスデューサ15は、少なくとも1つの金属(たとえば、鋼、金、および/または銅)の層などの導電材料の層を備えることができる。追加的にまたは代替的に、トランスデューサ15は、導電接着剤(たとえば、ヒドロゲル)の1つまたは複数の層を備えることができると考えられる。例示的なトランスデューサ15は、誘電材料をさらに備えることができる。任意選択的に、トランスデューサ15は、参照によって本明細書に組み込まれる特許文献1に記載されたようなセラミックディスクを備えることができる。追加または代替態様では、トランスデューサ15は、ポリマー絶縁層および/または他の絶縁材料を備えることができると考えられる。
【0024】
電場発生器12は、信号発生器18と通信するプロセッサ16を備えてもよい。電場発生器12は、プロセッサ16および信号発生器18の性能を制御するように構成された制御ソフトウェア20を備えてもよい。
【0025】
信号発生器18は、波形またはパルス列の形をした1つまたは複数の電気信号を生成してもよい。信号発生器18は、約50KHz~約1MHz(好ましくは約50KHz~約500KHzまたは約100KHz~約300KHz)の範囲の周波数の交流電圧波形(たとえば、TTFields)を生成するように構成されてもよい。電圧は、治療される組織内の電場強度が一般に、約0.1V/cm~約10V/cmの範囲になるような電圧である。
【0026】
電場発生器12の1つまたは複数の出力24は、1つまたは複数の導電リード線22に結合されてもよく、導電リード線22は、その一端において信号発生器18に取り付けられる。導電リード線22の両端は、電気信号(たとえば、波形)によって作動させられる1つまたは複数の刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイ14)に接続される。導電リード線22は、可撓性を有する金属シールドを含む標準的な絶縁導体を備えてもよく、導電リード線22によって発生する電場の拡散を防止するように接地されてもよい。1つまたは複数の出力24を順次作動させてもよい。信号発生器18の出力パラメータは、たとえば、電場の強度、波の周波数(たとえば、治療周波数)、および1つまたは複数の刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイ14)の最大許容温度を含んでもよい。出力パラメータは、制御ソフトウェア20によってプロセッサ106とともに設定されかつ/または決定されてもよい。制御ソフトウェア20は、所望の(たとえば、最適な)治療周波数を決定した後、プロセッサ16に制御信号を信号発生器18に送らせてもよく、この制御信号は、信号発生器18に所望の治療周波数を1つまたは複数の刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイ14)に出力させる。同様に、プロセッサ16は、それぞれのトランスデューサアレイにおける温度を測定するように構成されたサーミスタ(たとえば、温度計または熱電対)と通信することができ、温度しきい値に達すると、制御ソフトウェア20は、プロセッサ16に、信号発生器18によって提供される電気信号の周波数および/または強度を低減させることができると考えられる。さらなる態様では、プロセッサ16は、装置10によって発生する電場の強度を測定するように構成されたセンサと通信することができ、制御ソフトウェア20は、プロセッサ16に、電気信号の周波数および/または強度を増減させて電場強度の所望の増減を実現することができると考えられる。
【0027】
1つまたは複数の刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイ14)は、治療を集中させるように標的体積において所望の構成、方向、および強度の電場を発生させるように様々な形状および位置に構成されてもよい。任意選択的に、1つまたは複数の刺激ゾーン(たとえば、トランスデューサアレイ14)は、関心体積(たとえば、標的領域)を通して2つの垂直電場方向に給送するように構成されてもよい。
【0028】
図1および図2を参照すると、標的領域50は、切除腔52に隣接する(任意選択的に、切除腔52を囲む)領域とすることができる。すなわち、(たとえば、切除手術または他の外科処置において)腫瘍の少なくとも一部を切除して切除腔52を形成することができる。非導電材料54を切除腔52内に配置することができる。本明細書では、「非導電材料」という用語は、導電性を有さず、電場を誘導しない材料を指す。任意選択的に、切除が実施される手術の間に非導電材料54を切除腔52に移植することができる。さらなる態様では、(切除が実施される手術とは別の、切除が実施される手術の後に行われる)以後の手術において非導電材料54を移植することができる。さらなる態様では、非導電材料54を、切除腔52に注入するか、または切除腔52への到達を可能にするポートもしくはステントを通して導入することができる。少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間の電場が標的領域50を通過するように少なくとも1つの第1の電極15aおよび少なくとも1つの第2の電極15bを切除腔52に対して配置することができる。たとえば、図3Aに示すように、いくつかの任意選択的な態様では、第1の電極15aおよび第2の電極15bをその間に切除腔52が位置するように配置することができる。電場発生器12を使用して、少なくとも1つの第1の電極15aと少なくとも1つの第2の電極15bとの間に腫瘍治療電場56を発生させることができる。図3Aおよび図3Bを参照すると、非導電材料54によって、電場56に切除腔を避けさせるか(切除腔を通過するのを回避する)、概ね避けさせるか、または少なくとも部分的に避けさせることができる。さらに、非導電材料54は、一般に導電流体(たとえば、脳脊髄液(CSF))で充填された体積を変位させ、それによって、従来、非導電材料が存在しないときに電場に利用可能な低抵抗経路をなくすことができる。したがって、非導電材料54を使用すると、標的領域50を通過する腫瘍治療電場の濃度を高めることができ、それによって、治療の効能が向上する。たとえば、図5および図6のモデルに示すように、非導電材料54は、非導電材料を囲む電場の濃度を高めることができ、この電場は、図6における黒い円を囲む領域に対して図5における黒い円を囲むより明るい領域によって示される。
【0029】
様々な態様では、非導電材料54は生体適合性を有することができる。いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54は、スキャフォールド、ヒドロゲル、フィルム、もしくは3次元(3D)プリント構造物を含むか、またはスキャフォールド、ヒドロゲル、フィルム、もしくは3次元(3D)プリント構造物として具体化することができる。
【0030】
非導電材料54が3Dプリント構築物である態様では、非導電材料は、ヒドロゲルまたはポリイミドの一方を含むことができる。
【0031】
非導電材料54がスキャフォールドである態様では、スキャフォールドは、任意選択的にナノファイバースキャフォールドまたはハイブリッドスキャフォールドとすることができる。いくつかの態様で、スキャフォールドは、任意選択的に天然ポリマーを含むことができる。たとえば、スキャフォールドは、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、ゼラチン、アガロース、コラーゲン、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含むことができる。さらなる態様では、スキャフォールドは合成ポリマーを含むことができる。たとえば、スキャフォールドは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼンポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0032】
いくつかの態様では、スキャフォールドは、3次元(3D)2層スキャフォールドとすることができる。前記3次元(3D)2層スキャフォールドは、任意選択的に、粘弾性エレクトロスパンナノファイバーシルクフィブロイン(ESF)を有する生体脱細胞化ヒト羊膜(AM)を含むことができる。
【0033】
いくつかの態様では、非導電材料は、バイオシート(たとえば、任意選択的に、シリコーンバイオシート)を含む。バイオシートは、任意選択的に、切除腔を画定する表面の少なくとも一部を覆う薄い構造とすることができる。したがって、いくつかの任意選択的な態様では、バイオシートは内部体積を画定しかつ/または囲むことができる。任意選択的に、バイオシートの内部体積は、身体からの流体を受け入れ、その流体で充填することができる。任意選択的に、バイオシートはメッシュを含むことができる。いくつかの任意選択的な態様では、バイオシートは、移植された後に凝固することができる。使用時には、バイオシートが凝固する前に、バイオシートの形状を切除腔の少なくとも一部の形状に一致させるかまたは切除腔の少なくとも一部の形状を補完するように選択的に調整することができると考えられる。
【0034】
いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料は、標的領域50に放出されるように構成された化学療法剤を備えることができる。たとえば、化学療法剤は、たとえば、パクリタキセル(I)、ドセタキセル(II)、カバジタキセル(III)などのタキサン、および任意の他のタキサンまたはタキサン誘導体を含むことができ、これらの非限定的な例には、タキソールB(セファロマンニン)、タキソールC、タキソールD、タキソールE、タキソールF、タキソールG、タキサジエン、バッカチンIII、10-デアセチルバッカチン、タキシチニンA、ブレビフォリオール、およびタキススピンDがあり、また、タキサンの薬学的に許容される塩を含む。さらなる態様では、非導電材料はナノゲルを含むことができる。ナノゲルは、低速の放出向けに構成された1つまたは複数の化学療法剤を有することができる。たとえば、DNAナノゲルは、バイオマーカーFEN1が認識し切断することができる構造を含むことができる。化学療法を行うためのいくつかの例示的なナノゲルは、非特許文献1に提示されており、この論文は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。化学療法を行うためのさらなる例示的なナノゲルは、非特許文献2に提示されており、この論文は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料は、抗菌剤を含むことができる。このようにして、非導電材料は、感染を抑制する追加の目的を果たすことができる。例示的な抗菌剤には、たとえば、限定なしに、マクロライド、クリンダマイシン、およびドキシサイクリンが含まれる。いくつかの任意選択的な態様では、たとえば、非特許文献3に記載されたように、ナノゲルを使用して1つまたは複数の抗菌剤を給送することができる。この論文は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
任意選択的に、非導電材料は、分解して身体によって吸収される(すなわち、生体吸収性である)ように構成することができる。さらなる態様では、非導電材料は、分解しないように構成することができる。任意選択的に、非導電材料54は、一時インサートとして働くように治療後に除去することができる。たとえば、非導電材料による所望の量(たとえば、持続時間)の治療の後にステントまたはポートを非導電材料54に到達させて非導電材料を除去するのを可能にすることができる。この例では、ステントまたはポートが、患者の身体の一部における開口部(たとえば、患者の頭蓋内に形成された穴、または患者の胴部(たとえば、腹部もしくは背中)に形成されたアクセスポート)を通って延びるかまたはこの開口部と流体連通することができると考えられる。さらなる態様では、非導電材料を無期限に(または非導電材料が身体によって吸収されるようなときまで)患者内に残すことができる。
【0037】
いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54はオイルを含むことができる。したがって、いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54は、切除腔52の少なくとも一部を充填し、切除腔52の少なくとも一部の形状に適合する流体とすることができる。本明細書においてさらに説明するように、さらなる任意選択的な態様では、非導電材料54は、剛性を有する材料と流体材料の両方を構成することができる。
【0038】
したがって、いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54は、明確な構造および幾何学的形状を有することができる。たとえば、任意選択的に、非導電材料は、切除腔の幾何学的形状を補完するように形作ることができる。任意選択的に、非導電材料は球形とすることができる。さらなる態様では、非導電材料は、楕円形、円筒形、多面体、不規則形状、または不定形とすることができる。さらなる態様では、患者の、切除腔の解剖学的構造および幾何学的形状に応じて他の形状が企図される。任意選択的に、非導電材料54は、切除腔を囲む物質を支持して切除腔が崩れるのを抑制することができる。さらなる態様では、非導電材料は、切除腔の形状に適合するように構成された構造を有することができる。さらなる態様では、非導電材料54は、明確な構造を有する部分と、切除腔の形状に適合するように構成された流体の両方を含むことができる。
【0039】
標的領域50および切除腔52のサイズ、形状、および位置に応じて、いくつかの(すべてではない)状況では、完全な電場障壁を形成する非導電材料54は、標的領域全体にわたって電場の準最適分布をもたらすことができる。したがって、図4も参照すると、いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54は、生体適合材料を含む非導電体55として具体化することができる。非導電体55は、電場が通過する少なくとも1つの経路を画定することができる。たとえば、いくつかの態様では、非導電体55は、中空であり、外面57と内部体積58とを画定することができる(たとえば、厚さが1mm未満、約1mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、5mm以下であるか、または5mmを超える厚さを有するシェル)。非導電体55は、外面57と内部体積58との間に(または場合によっては外面57と内部体積58と流体連通する)複数の開口部60をさらに備えることができる。これらの態様では、非導電体55が、任意選択的に非導電体の両側に配置することができる複数の開口部60のうちの少なくとも2つの開口部の間に内部通路62を画定するように、内部体積58を流体(たとえば、CSF)で充填することができると考えられる。前記内部通路62は、電場を誘導することができる。さらに、内部通路62は、電場を切除腔内に収束させかつ集中させ、また、標的領域全体にわたって有効な電場強度を維持することができる。したがって、図4に示すように、電場56の一部70は、非導電体55の一方の側で開口部に入り、非導電体の他方の側(任意選択的に、反対側)で開口部を通って出ることができる。たとえば、第1の複数の開口部(たとえば、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の開口部)を非導電体55の第1の側に配置することができ、第2の複数の開口部(たとえば、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の開口部)を非導電体の第2の側(任意選択的に、反対側)に配置することができると考えられる。任意選択的に、第1の複数の開口部における開口部の数は、第2の複数の開口部における開口部の数と等しくすることができる。さらなる態様では、非導電体55の各側が、内部体積58と流体連通する単一の開口部60を有することができると考えられる。さらなる任意選択的な態様では、非導電体の第1の側の開口部の総面積を非導電体の第2の側の開口部の総面積に等しくするか、または実質的に等しくすることができると考えられる。上記では単一の内部通路62として説明したが、非導電体55は、たとえば、限定なしに、各対の開口部が、非導電体の両側に配置される、開口部のそれぞれの対の間を延びる少なくとも第1および第2の内部通路などの複数の内部通路を画定することができると考えられる。
【0040】
いくつかの態様では、複数の開口部60を非導電体55全体にわたって均等に分散させた状態で配置することができる。さらなる態様では、任意選択的に非導電体55の両端に配設された領域(たとえば、クラスタ)に複数の開口部60を集中させることができる。開口部60は、スキャフォールド、3Dプリント構築物、またはバイオシートに形成することができる。任意選択的に、開口部60は、丸形(たとえば、円形または楕円形)、矩形の長穴、または任意の適切な形状とすることができる。任意選択的に、各開口部は、少なくとも1mm、少なくとも2mm、2mm~5mm、少なくとも5mm、または5mm未満の面積を有することができる。非導電体55は、2つの開口部60、少なくとも2つの開口部、少なくとも4つの開口部、少なくとも6つの開口部、少なくとも10個の開口部、または10個未満の開口部を有することができる。任意選択的に、開口部60は集合的に、非導電体55の外側表面積の少なくとも5%または少なくとも10%または20%以下または10%~20%の面積を有することができる。さらなる態様では、内部通路62は、非導電体55を貫通する1つまたは複数のボアまたは電気通信を可能にする任意の他の構造によって画定することができる。
【0041】
さらなる任意選択的な態様では、非導電体55は、非導電体55を貫通し、流体で充填することのできる、1つまたは複数の経路を画定することができる。たとえば、非導電体55は、流体で充填することができる連続気泡発泡体を含むことができる。したがって、そのような非導電体55は、電場の一部が非導電体55を通過するのを抑制し、それによって、電場の一部を非導電体の外周に沿って送ることができる。
【0042】
切除腔は、任意選択的に、患者の脳内に存在することができる。さらなる態様では、切除腔は、患者の肝臓内に存在することができる。さらなる態様では、切除腔は、患者の肺内に存在することができる。さらなる態様では、切除腔が患者の身体の任意の部位(たとえば、任意の選択された臓器内)に存在することができると考えられる。
【0043】
図8を参照すると、いくつかの例示的な態様では、コンピューティングデバイス100を使用して、開示された非導電材料54の使用に関連して最適な治療計画を決定することができる。これらの態様では、コンピューティングデバイス100は、プロセッサ110とメモリ120とを備えることができ、メモリ120は、プロセッサによって実行されたときに、コンピューティングデバイスに最適な治療計画の1つまたは複数の特徴を決定させるプロセッサ実行可能命令を記憶する。例示的なコンピューティングデバイスには、たとえば、限定なしに、パーソナルコンピュータ、コンピューティングステーション(たとえば、ワークステーション)、ポータブルコンピュータ(たとえば、ラップトップ、携帯電話、タブレットデバイス)、スマートデバイス(たとえば、スマートフォン、スマートウォッチ、アクティビティトラッカー、スマートアパレル、スマートアクセサリ)、セキュリティおよび/またはモニタリングデバイス、サーバ、ルータ、ネットワークコンピュータ、ピアデバイス、エッジデバイスまたは他の共通ネットワークノードなどが含まれる。例示的な態様では、コンピューティングデバイス100のプロセッサ110は、コンピューティングデバイス100が電場発生器12を直接操作して最適な治療計画を実現することができるように電場発生器12のプロセッサ16に(たとえば、有線接続またはワイヤレス接続を介して)通信可能に結合することができる。これらの態様では、コンピューティングデバイス100および電場発生器12は、そのような通信を可能にするように構成されたそれぞれの送信機、受信機、トランシーバ、および/またはケーブルを備えると考えられる。代替的に、他の態様では、電場発生器12のプロセッサ16は、開示されたコンピューティングデバイス100の方式で最適な治療計画を決定するように構成することができる。
【0044】
例示的な態様では、コンピューティングデバイス100は、トランスデューサ配置のための最適な位置、最適な電場強度、治療持続時間、または電場方向変更およびそのタイミングのうちの1つまたは複数を提供するように構成することができる。コンピューティングデバイス100は、切除腔52を含む患者の少なくとも一部の幾何学的形状を受信することができる。たとえば、コンピューティングデバイス100は、患者の医用画像を受信することができる。さらなる態様では、コンピューティングデバイス100は、患者のコンピュータによって生成されたモデルを受信することができる。いくつかの任意選択的な態様では、非導電材料54の幾何学的形状をコンピューティングデバイスに提供することができる。コンピューティングデバイス100は、非導電材料54を回避する電場の経路に少なくとも部分的に基づいて治療計画を最適化するようにトランスデューサ間の電場をモデル化するように構成することができる。コンピューティングデバイス100は、トランスデューサの配置ならびに/または非導電材料の幾何学的形状および/もしくは患者の幾何学的形状(たとえば、切除腔の幾何学的形状)に少なくとも部分的に基づいて電場をモデル化するようにさらに構成することができる。コンピューティングデバイス100は、装置のオペレータが、最適な治療計画を決定しかつ/または実行するために使用できる情報(たとえば、上述のパラメータのうちの1つまたは複数)を入力するのを可能にするように構成されたユーザインターフェース(たとえば、限定なしに、ディスプレイおよび/またはユーザ入力デバイス)を任意選択的に備えることができると考えられる。治療計画を提供するためのコンピューティングデバイスおよびプラットフォームのさらなる詳細は、2017年12月12日に出願された特許文献2において開示されている。特許文献2は、あらゆる目的のために参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
例示的な態様
説明した製品、システム、および方法、ならびにそれらの変形形態に鑑みて、以下に、本発明のいくつかの態様についてより詳細に説明する。しかし、これらの詳細に記載された態様は、本明細書に記載された異なる教示もしくはより一般的な教示を含む任意の異なる請求項に対する何らかの限定的な効果を有するものと解釈すべきではなく、または「特定の」態様が、本明細書において文字通りに使用される文言の固有の意味以外の何らかの点である程度限定されると解釈すべきではない。
【0046】
態様1:
標的領域に隣接する切除腔内に非導電材料を配置するステップと、
少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間の電場が、標的領域を通過するように、少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極を腫瘍切除腔内に対して配置するステップと、
少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に腫瘍治療電場を発生させるステップと、
を含む、方法。
【0047】
態様2:少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極の各々は、それぞれの電極アレイに配置された複数の電極を備える、態様1に記載の方法。
【0048】
態様3:非導電材料は、スキャフォールド、ヒドロゲル、フィルム、または3Dプリント構築物のうちの少なくとも1つを含む、態様1または2に記載の方法。
【0049】
態様4:非導電材料は、3Dプリント構築物であり、3Dプリント構築物は、ヒドロゲルまたはポリイミドの一方を含む、態様3に記載の方法。
【0050】
態様5:非導電材料は、スキャフォールドを含む、態様3に記載の方法。
【0051】
態様6:スキャフォールドは、ナノファイバースキャフォールドまたはハイブリッドスキャフォールドの一方である、態様5に記載の方法。
【0052】
態様7:スキャフォールドは、天然ポリマーを含む、態様5または6に記載の方法。
【0053】
態様8:天然ポリマーは、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、ゼラチン、アガロース、またはコラーゲンのうちの1つまたは複数を含む、態様7に記載の方法。
【0054】
態様9:スキャフォールドは、合成ポリマーを含む、態様5または6に記載の方法。
【0055】
態様10:合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはそれらの組合せを含む、態様9に記載の方法。
【0056】
態様11:スキャフォールドは、粘弾性エレクトロスパンナノファイバーシルクフィブロイン(ESF)を含む生体脱細胞化ヒト羊膜(AM)を含む3次元(3D)2層スキャフォールドである、態様3に記載の方法。
【0057】
態様12:非導電材料は、バイオシートを含む、態様1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
態様13:バイオシートは、シリコンシートである、態様12に記載の方法。
【0059】
態様14:非導電材料は、化学療法剤を含む、態様1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
態様15:非導電材料は、抗菌剤を含む、態様1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
態様16:非導電材料は、オイルを含む、態様1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
態様17:非導電材料は、電場を誘導するように流体で充填されるように構成された内部通路を画定する、態様1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
態様18:非導電材料は、内部体積を画定する中空体と、中空体の内部体積内に延びる少なくとも第1の開口部および第2の開口部とを備え、内部通路は、少なくとも一部が、第1の開口部、第2の開口部、および内部体積によって画定される、態様17に記載の方法。
【0064】
態様19:非導電材料を切除腔内に配置する前に、腫瘍の少なくとも一部を切除して切除腔を形成するステップをさらに含む、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
態様20:切除腔は、脳内に存在する、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
態様21:切除腔は、肝臓内に存在する、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
態様22:切除腔は、肺内に存在する、態様1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
態様23:
非導電材料が通過することのできる切除腔からのポートを設けるステップと、
少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に腫瘍治療電場を発生させた後に、非導電材料をポートを通過させて切除腔から除去するステップと、
をさらに含む、態様1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
態様24:非導電材料をポートを通過させて切除腔内に配置するステップをさらに含む、態様23に記載の方法。
【0070】
態様25:
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極と、
少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極の各々と電気的に通信する信号発生器であって、少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に電場を発生させるように構成された信号発生器と、
少なくとも1つの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配置された非導電材料と、
を備える、システム。
【0071】
態様26:非導電材料は、電場を誘導するように流体で充填されるように構成された内部通路を画定する、態様25に記載のシステム。
【0072】
態様27:非導電材料は、内部体積を画定する中空体と、中空体の内部体積内に延びる少なくとも第1の開口部および第2の開口部とを備え、内部通路は、少なくとも一部が、第1の開口部、第2の開口部、および内部体積によって画定される、態様26に記載のシステム。
【0073】
態様28:少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極の各々は、それぞれの電極アレイ上に配列された複数の電極を備える、態様25から27のいずれか1つに記載のシステム。
【0074】
態様29:非導電材料は、スキャフォールド、ヒドロゲル、フィルム、または3Dプリント構築物のうちの少なくとも1つを含む、態様25から28のいずれか1つに記載のシステム。
【0075】
態様30:非導電材料は、3Dプリント構築物であり、3Dプリント構築物は、ヒドロゲルまたはポリイミドの一方を含む、態様29に記載のシステム。
【0076】
態様31:非導電材料は、スキャフォールドを含む、態様29に記載のシステム。
【0077】
態様32:スキャフォールドは、ナノファイバースキャフォールドまたはハイブリッドスキャフォールドの一方である、態様31に記載のシステム。
【0078】
態様33:スキャフォールドは、天然ポリマーを含む、態様31または32に記載のシステム。
【0079】
態様34:天然ポリマーは、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、ゼラチン、アガロース、またはコラーゲンのうちの1つまたは複数を含む、態様33に記載のシステム。
【0080】
態様35:スキャフォールドは、合成ポリマーを含む、態様31または32に記載のシステム。
【0081】
態様36:合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはそれらの組合せを含む、態様35に記載のシステム。
【0082】
態様37:スキャフォールドは、粘弾性エレクトロスパンナノファイバーシルクフィブロイン(ESF)を含む生体脱細胞化ヒト羊膜(AM)を含む3次元(3D)2層スキャフォールドである、態様29に記載のシステム。
【0083】
態様38:非導電材料は、バイオシートを含む、態様25から37のいずれか1つに記載のシステム。
【0084】
態様39:バイオシートは、シリコンシートである、態様38に記載のシステム。
【0085】
態様40:非導電材料は、化学療法剤を含む、態様25から39のいずれか1つに記載のシステム。
【0086】
態様41:非導電材料は、抗菌剤を含む、態様25から40のいずれか1つに記載のシステム。
【0087】
態様42:非導電材料は、オイルを含む、態様25から41のいずれか1つに記載のシステム。
【0088】
態様43:第1の開口部および第2の開口部は、中空体の両側に配置される、態様27から42のいずれか1つに記載のシステム。
【0089】
態様44:信号発生器と通信するコンピューティングデバイスをさらに備える、態様25から43のいずれか1つに記載のシステム。
【0090】
態様45:生体適合材料を含む非導電体であって、切除腔に受け入れるように構成され、電場を誘導するように流体で充填されるように構成された内部通路を画定する、非導電体を備える、装置。
【0091】
態様46:非導電体は、中空であり、内部体積と、非導電体の内部体積内に延びる少なくとも第1の開口部および第2の開口部とを画定し、内部通路は、少なくとも一部が、第1の開口部、第2の開口部、および内部体積によって画定される、態様45に記載の装置。
【0092】
上記の発明については、理解を明確にすることを目的として例示および例としてある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更および修正が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 装置
12 電場発生器
14 トランスデューサアレイ
15 トランスデューサ
15a 第1の電極
15b 第2の電極
16 プロセッサ
18 信号発生器
20 制御ソフトウェア
22 導電リード線
24 出力
50 標的領域
52 切除腔
54 非導電材料
55 非導電体
56 腫瘍治療電場、電場
57 外面
58 内部体積
60 開口部
62 内部通路
70 電場の一部
100 コンピューティングデバイス
110 プロセッサ
120 メモリ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】