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特表2024-524314全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20240628BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240628BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240628BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20240628BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20240628BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240628BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/131
H01M4/40
H01M10/0562
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579595
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2022012237
(87)【国際公開番号】W WO2023022492
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107946
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507107394
【氏名又は名称】アイユーシーエフ-エイチワイユー(インダストリー-ユニバーシティー コーオペレイション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティー)
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ボ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】シ・ウン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ウォン・キム
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM12
5H029DJ08
5H029DJ09
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050DA09
5H050DA10
5H050DA13
5H050EA10
5H050EA24
5H050HA01
5H050HA02
(57)【要約】
本発明は、正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー(Perfluorinated ionomer)、固体電解質、及び導電性カーボン、を含む全固体電池用正極、及びこれを含む全固体電池に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質、
リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー(perfluorinated ionomer)、
固体電解質、及び
導電性カーボン、を含む、全固体電池用正極。
【請求項2】
前記フッ素系アイオノマーは下記化学式1で表される、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【化1】
Aは、それぞれ独立的に置換または非置換のC1~C30のアルキレン基であり、置換または非置換のC1~C30のハロアルキレン基、置換または非置換のC1~C30のヒドロキシアルキレン基であり、n、mはそれぞれ1~100の整数である。
【請求項3】
前記化学式1において、
前記Aは-(CF-CF-であり、pは1~15の整数である、請求項2に記載の全固体電池用正極。
【請求項4】
前記正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー、固体電解質、及び導電性カーボンを混合して製造し、溶媒を使用せず混合して製造されることを含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項5】
前記正極活物質は、LiCoO、Li(NiCoMnz)O[x+y+z=1]、Li(NiCoAlz)O[x+y+z=1]、及びLiFePOのうちいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項6】
前記固体電解質は、ハライド系(halide)固体電解質または硫化物系(sulfide)固体電解質を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項7】
前記硫化物系固体電解質は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のいずれか一つ以上を含み、
前記ハライド系固体電解質は、LiYCl、LiInCl、及びLiZrClのうちいずれか一つ以上を含む、請求項6に記載の全固体電池用正極。
【請求項8】
前記導電性カーボンは、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon fiber、VGCF)、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、スーパーピー(Super P)、スーパーシー(Super C)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)、コーク(coke)、ガラス状炭素(glassy carbon)、及び活性炭素(activated carbon)のうちいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項9】
前記正極活物質60重量%~90重量%、固体電解質5重量%~35重量%、導電性カーボン0.1重量%~10重量%、フッ素系アイオノマー0.1重量%~10重量%を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項10】
前記フッ素系アイオノマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む共重合体であり、
前記フッ素系アイオノマーを0.1重量%~5重量%で含む、請求項9に記載の全固体電池用正極。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の全固体電池用正極、
負極、及び
前記正極と負極の間に介在する固体電解質層、を含む全固体電池。
【請求項12】
前記固体電解質層は、前記全固体電池用正極中に含まれる固体電解質と同一の物質からなる、請求項11に記載の全固体電池。
【請求項13】
前記固体電解質と前記固体電解質層は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含む、請求項11に記載の全固体電池。
【請求項14】
前記負極は、リチウム金属及びインジウム-リチウム合金のうちいずれか一つ以上を含む、請求項11に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月17日付の韓国特許出願第10-2021-0107946号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池に関する。より具体的には、工程が単純化され電気化学特性及びサイクル特性が向上した全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池に関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、MP3プレイヤー、タブレットPCのような携帯用モバイル電子機器の発展により、電気エネルギーを貯蔵できる二次電池に対する需要が爆発的に増加している。特に、電気自動車、中大型エネルギー貯蔵システム、及び高エネルギー密度が要求される携帯機器の登場により、リチウム二次電池に対する需要が増加している実情である。このようなリチウム二次電池に対する需要の増加とともに、リチウム二次電池に使用される正極の特性を向上させるための多様な研究開発が進められている。
【0004】
一方、既存のリチウム二次電池は、液体状態の非水系有機電解質を使用しており、これは発火と爆発の危険性を有している。実際にこれを適用した製品の爆発事故が持続的に発生しているので、このような問題点を解決するのが至急な実情である。
【0005】
全固体電池は、このような有機電解質を固体電解質に代えたもので、電極及び電解質等の電池の構成要素が全て固体からなる電池であり、収容している固体電解質自体の高い安全性に起因して、発火及び爆発の危険性を基本的に解決することが可能である。
【0006】
一方、大部分の固体電解質は、液体電解質に比べて低いイオン伝導度を有するので、実際の適用時に電池容量が低く、常温でのサイクル特性が液体電解質に比べて低い性能を示して問題となる。
【0007】
すなわち、固体電解質を用いることにより、電池の安全性を確保することはできるが、サイクル特性が低下して問題となり、これを解決するための様々な研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国登録特許第5,523,179号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願が解決しようとする一つの技術的課題は、溶媒を使用せずに正極を製造することにより、工程が単純化され生産性が向上した全固体電池用正極、及びこれを含む全固体電池を提供することにある。
【0010】
本出願が解決しようとする他の技術的課題は、新規のバインダを用いることにより、正極活物質間に優れた結着性を有し電気化学的特性及びサイクル特性が向上した全固体電池用正極、及びこれを含む全固体電池を提供することにある。
【0011】
本出願が解決しようとする技術的課題は、上述のものに制限されない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の技術的課題を解決する本発明は、全固体用正極及びこれを含む全固体電池を提供する。
【0013】
一実施例において、本発明は、正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー(perfluorinated ionomer)、固体電解質、及び導電性カーボン、を含む全固体電池用正極を含む。
【0014】
一実施例において、前記フッ素系アイオノマーは、下記化学式1で表されることができる。
【0015】
【化1】
【0016】
Aは、それぞれ独立的に置換または非置換のC1~C30のアルキレン基であり、置換または非置換のC1~C30のハロアルキレン基、置換または非置換のC1~C30のヒドロキシアルキレン基であり、n、mはそれぞれ1~100の整数である。
【0017】
一実施例において、前記化学式1において、前記Aは-(CF-CF-でありpは1~15の整数であり得る。
【0018】
一実施例において、本発明による前記正極は、前記正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー、固体電解質、及び導電性カーボンを混合して製造され、溶媒を使用せず混合して製造されることができる。
【0019】
一実施例において、前記正極活物質は、LiCoO、Li(NiCoMn)O[x+y+z=1]、Li(NiCoAl)O[x+y+z=1]、及びLiFePOのうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0020】
一実施例において、前記固体電解質は、ハライド系(halide)固体電解質または硫化物系(sulfide)固体電解質を含むことができる。
【0021】
一実施例において、前記硫化物系固体電解質は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含み、前記ハライド系固体電解質は、LiYCl、LiInCl、及びLiZrClのうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0022】
一実施例において、前記導電性カーボンは、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon fiber、VGCF)、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、スーパーピー(Super P)、スーパーシー(Super C)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)、コーク(coke)、ガラス状炭素(glassy carbon)、及び活性炭素(activated carbon)のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0023】
一実施例において、本発明による前記正極は、前記正極活物質60重量%~95重量%、固体電解質5重量%~40重量%、導電性カーボン0.1重量%~10重量%、フッ素系アイオノマー0.1重量%~10重量%を含むことができる。
【0024】
一実施例において、前記フッ素系アイオノマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む共重合体であり、前記フッ素系アイオノマーは0.1重量%~5重量%であることを含むことができる。
【0025】
本発明の他の側面によれば、本発明の実施例は、上述の全固体電池用正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在する固体電解質層、を含む全固体電池を含む。
【0026】
一実施例において、前記固体電解質層は、前記全固体電池用正極中に含まれる固体電解質と同一の物質からなることができる。
【0027】
一実施例において、前記固体電解質と前記固体電解質層は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0028】
一実施例において、前記負極は、リチウム金属及びインジウム-リチウム合金のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上詳察したような本発明によれば、本発明の正極を製造するのに新規のフッ素系アイオノマーを用いることにより、溶媒を使用せずとも正極活物質間に高い結着力を有する全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池を含むことができる。
【0030】
また、本発明による全固体電池用正極及びこれを含む全固体電池は、固体電解質を用いるにもかかわらず、液体電解質と類似のイオン伝導度を有するように備えられることにより、電池容量及びサイクル特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施例及び比較例による正極活物質、固体電解質、導電性カーボン、及びバインダを用いて無溶媒工程で全固体電池用正極を製造する方法を概略的に示した図である。
図2】本発明の実施例及び比較例に含まれるバインダを示した構造式である。
図3】本発明の実施例及び比較例による複合正極を用いて製造された全固体電池の模式図である。
図4】本発明の比較例1(a)、比較例2(b)、及び実施例1(c)による各サイクルでの充放電曲線を比較したグラフである。
図5】本発明の比較例1(a)、比較例2(b)、及び実施例1(c)によるサイクル特性と効率を示したグラフである。
図6】本発明の比較例1、比較例2、及び実施例1のレート別特性を示したグラフである。
図7】本発明の実施例1(a)、実施例2(b)及び実施例3(c)のサイクル特性を示した結果である。
図8】実施例1(a)、実施例4(b)、実施例5(c)、及び実施例6(d)のサイクル特性を示した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。しかし、本発明の技術的思想は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されることもできる。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底し完全となり得るよう、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために提供されるものである。
【0033】
本明細書で、ある構成要素が他の構成要素上にあると言及される場合に、それは他の構成要素上に直接形成されることができるか、またはそれらの間に第3の構成要素が介在することもできるということを意味する。また、図面において、膜及び領域の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0034】
また、本明細書の多様な実施例で、第1、第2、第3等の用語が様々な構成要素を記述するために使用されているが、これらの構成要素が、このような用語によって限定されてはならない。これらの用語は、単にある構成要素を他の構成要素と区別するために使用されただけである。したがって、ある実施例に第1構成要素と言及されたものが、他の実施例では第2構成要素と言及されることもある。ここに説明され例示される各実施例は、その相補的な実施例も含む。また、本明細書で「及び/または」は、前後に羅列した構成要素のうち少なくとも一つを含む意味で使用されている。
【0035】
明細書において単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を排除するものと理解されてはならない。
【0036】
また、下記で本発明を説明するにおいて、関連する公知機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明は省略するものである。
【0037】
また、本出願明細書で「mol%」は、正極活物質または正極活物質前駆体において、ナトリウムと酸素を除いた残りの金属の合計を100%と仮定した場合、正極活物質または正極活物質前駆体に含まれた任意の金属の含量を示す意味と解釈される。
【0038】
本発明の一実施例は、正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー(perfluorinated ionomer)、固体電解質、及び導電性カーボン、を含む全固体電池用正極を含むことができる。
【0039】
前記全固体電池用正極は溶媒を用いず、正極活物質、フッ素系アイオノマー、固体電解質、及び導電性カーボンを物理的に混合し、製造されることができ、前記フッ素系アイオノマーによって前記正極活物質、固体電解質、及び導電性カーボンは、均一に混合された状態で互いに結着されることができる。
【0040】
通常、全固体電池用正極は、正極活物質、バインダ、固体電解質、及び導電性カーボン等の固体粉末を均一に混合するために溶媒を用い、溶媒上で分散させてスラリー形態に製造した後、正極に製造される。一方、このように溶媒を用いてキャスティングする方式では、正極を製造する場合、前記溶媒は固体電解質、例えば硫化物系固体電解質と反応して前記固体電解質の結晶性を破壊し、これによってイオン伝導度を低下させるという問題がある。また、溶媒を用いる場合、前記溶媒に溶けることができる高分子バインダのみを使用しなければならないという、バインダの種類の選択に対する制限が生じる。
【0041】
一方、本実施例によるフッ素系アイオノマーは、新規の高分子バインダの一種であって、溶媒を使用せずともドライミキシング(dry mixing)する過程で前記フッ素系アイオノマーがフレキシブルな特性を備えるため、前記正極活物質、固体電解質、導電性カーボンと容易に混合して互いに結着させることができる。また、前記フッ素系アイオノマーは、リチウム置換スルホン酸塩を含むことにより、リチウムイオンの伝導度をより向上させて高い容量を示すことができる。
【0042】
全固体電池用正極は、リチウムイオンの充電/放電によって収縮、及び膨張が繰り返して行われるが、本実施例によるフッ素系アイオノマーは、フレキシブルな特性を備えることにより、収縮及び膨張が繰り返される場合にも、前記フッ素系アイオノマーによって互いに結着された正極活物質間の接触を容易に維持させるため、寿命特性を向上させることができる。
【0043】
具体的には、前記フッ素系アイオノマーは、下記化学式1で表されることができる。
【0044】
【化2】
【0045】
ここで、Aは、それぞれ独立的に置換または非置換のC1~C30のアルキレン基であり、置換または非置換のC1~C30のハロアルキレン基、置換または非置換のC1~C30のヒドロキシアルキレン基であり、n、mはそれぞれ1~100の整数である。例えば、前記化学式1のフッ素系アイオノマーは、ランダム共重合体であり得る。
【0046】
より具体的には、前記化学式1において、前記Aは-(CF-CF-であり、pは1~15の整数であることを含むことができる。
【0047】
例えば、前記フッ素系アイオノマーは、下記化学式2で表されるポリテトラフルオロエチレン系共重合体高分子で、リチウムイオンを含むことができ、具体的には、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(3-オキサ-4-ペンタンスルホン酸)リチウム塩(poly(tetrafluoroethylene-co-perfluoro(3-oxa-4-pentenesulfonicacid))lithium salt)であり得る。
【0048】
【化3】
【0049】
ここで、nは1~100の整数であり、mは1~20の整数であり得、具体的には、前記nはmの5倍の整数であり得る。より具体的には、nは5でmは1であるランダム共重合体であり得る。
【0050】
前記正極活物質は、ニッケルNi、コバルトCo、マンガンMn、及びアルミニウムAlのうち少なくともいずれか一つ以上を含む複合金属水酸化物をリチウム化合物と焼成して製造されることができる。例えば、前記正極活物質は、層状構造(layered structure)であり得、50%以上の高含量のニッケルを含んで、高い容量を示すことができる。
【0051】
前記正極活物質は、LiCoO、Li(NiCoMn)O[x+y+z=1]、Li(NiCoAlz)O[x+y+z=1]、及びLiFePOのうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0052】
本実施例による全固体電池用正極は、固体電解質を含むことができるが、前記固体電解質は、ハライド系(halide)固体電解質または硫化物系(sulfide)固体電解質を含むことができる。例えば、前記硫化物系固体電解質は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含むことができる。また、前記ハライド系固体電解質は、LiYCl、LiInCl、及びLiZrClのうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0053】
前記固体電解質は、正極活物質と混合してイオンの移動性をより向上させることができる。具体的には、前記固体電解質は硫化物系固体電解質であり得る。
【0054】
前記導電性カーボンは、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon fiber、VGCF)、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、スーパーピー(Super P)、スーパーシー(Super C)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)、コーク(coke)、ガラス状炭素(glassy carbon)、及び活性炭素(activated carbon)のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0055】
本発明の一実施例において、本発明による前記正極は、前記正極活物質60重量%~95重量%、固体電解質5重量%~40重量%、導電性カーボン0.1重量%~10重量%、フッ素系アイオノマー0.1重量%~10重量%を含むことができる。
【0056】
具体的には、前記フッ素系アイオノマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む共重合体であり、前記フッ素系アイオノマーは0.1重量%~5重量%であることを含むことができる。より具体的には、前記フッ素系アイオノマーは0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上または1.0重量%以上であるか、5.0重量%以下、4.9重量%以下、4.8重量%以下、4.7重量%以下、4.6重量%以下、4.5重量%以下、4.4重量%以下、4.3重量%以下、4.2重量%以下、4.1重量%以下、4.0重量%以下、3.9重量%以下、3.8重量%以下、3.7重量%以下、3.6重量%以下、3.5重量%以下、3.4重量%以下、3.3重量%以下、3.2重量%以下、3.1重量%以下または3.0重量%以下であり得る。前記フッ素系アイオノマーの含量が0.1重量%未満であれば、含まれる量が少な過ぎて正極活物質を十分に結着させることができず問題となり、5重量%を超過すると正極内で電子及びイオン伝導特性が落ちるか、あるいは正極活物質の含量を不要に減少させて容量を低下させることがあり得る。
【0057】
本発明の他の側面によれば、本発明の実施例は、上述の全固体電池用正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在する固体電解質層、を含む全固体電池を含む。
【0058】
前記固体電解質層は、前記全固体電池用正極中に含まれる固体電解質と同一の物質からなることができる。前記全固体電池用正極中に含まれる固体電解質と前記固体電解質層を同一の物質で備えることにより、リチウムイオンの移動性を向上させ、全体的に全固体電池の構造を安定化させ、生産効率を向上させることができる。
【0059】
前記固体電解質と前記固体電解質層は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含む硫化物系固体電解質であり得る。
【0060】
本実施例による全固体電池用正極は、溶媒を使用せず前記フッ素系アイオノマーによって無溶媒で製造されるため、前記全固体電池用正極中に残存する溶媒が前記硫化物系固体電解質と反応して固体電解質の結晶性が低下することを防ぐことができる。前記負極は、リチウム金属及びインジウム-リチウム合金のいずれか一つ以上からなることができる。
【0061】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。しかし、下記実施例は本発明の好ましい一実施例であるだけで、本発明の権利範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0062】
1.全固体電池用正極の製造
図1は、本発明の実施例及び比較例による正極活物質、固体電解質、導電性カーボン、及びバインダを用いて無溶媒工程で全固体電池用正極を製造する方法を概略的に示した図である。図2は、本発明の実施例及び比較例に含まれるバインダを示した構造式である。図2で、aは実施例1~実施例6によるポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダであり(ここで、n=5、m=1である)、bは比較例1によるニトリルブタジエンゴムバインダであり(ここで、n=3、m=1である)、cは比較例2によるポリテトラフルオロエチレンバインダである。図3は、本発明の実施例及び比較例による複合正極を用いて製造された全固体電池の模式図である。
【0063】
実施例1
ニッケル含量70%、コバルト含量15%、マンガン含量15%であるLiNi0.7Co0.15Mn0.15(以下NCM)の正極活物質を、硫化物系固体電解質であるLiPSClと常温で混合した。続いて、正極活物質と固体電解質の混合物に導電材(VGCF、Sigma Aldrich社)とバインダであるポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダ(図2のa参照)を添加した後、10分間ドライミキシングを行って複合正極を製造した。正極活物質、硫化物系固体電解質、導電材、及びバインダは、下記表1のような重量比で混合した。製造された複合正極を430Mpaの圧力で加圧処理した後、図3のように負極として負極集電体(copper)、リチウム-インジウム合金(Lithium:Honjo社、Indium:Nilaco社)、LiPSCl(100mg)の固体電解質層、複合正極、正極集電体(aluminum)を順に積層して全固体電池を製造した。ここで、複合正極のローディングレベルは下記表1に示した。
【0064】
実施例2
実施例1と同一に複合正極を製造するが、全固体電池を製造するとき、複合正極のローディングレベルを下記表1のように実施例1より低く製造した。
【0065】
実施例3
実施例1と同一に複合正極を製造するが、全固体電池を製造するとき、複合正極のローディングレベルを下記表1のように実施例1より高く製造した。
【0066】
実施例4
実施例1でポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダの含量を表1のように下げ、固体電解質の含量を上げることを除いて同一に複合正極を製造した。製造された複合正極を用いて実施例1と同一のローディングレベルで全固体電池を製造した。
【0067】
実施例5
実施例1でポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダの含量を表1のように上げ、固体電解質の含量を下げることを除いて同一に複合正極を製造した。製造された複合正極を用いて実施例1と同一のローディングレベルで全固体電池を製造した。
【0068】
実施例6
実施例1でポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダの含量を表1のように上げ、固体電解質の含量を下げることを除いて同一に複合正極を製造した。製造された複合正極を用いて実施例1と同一のローディングレベルで全固体電池を製造した。
【0069】
比較例1
キシレン溶媒(Sigma Aldrich社)に、ニッケル含量70%、コバルト含量15%、マンガン含量15%であるLiNi0.7Co0.15Mn0.15(以下NCM)の正極活物質と、硫化物系固体電解質であるLiPSClを添加した後、常温で混合した。続いて、キシレン溶媒、正極活物質と固体電解質の混合物に導電材(Super-P)とバインダであるニトリルブタジエンゴムバインダ(Poly(acrylonitrile-co-butadiene)、Sigma Aldrich社)、図2のb参照)を添加した後、常温で10分間ドライミキシングを行って複合正極を製造した。正極活物質、硫化物系固体電解質、導電材、及びバインダは、下記表1のような重量比で混合した。図3のように負極としてリチウム金属(Honjo社)、LiPSCl(100mg)の固体電解質層、及び製造された複合正極を順に積層した。続いて、100℃の温度のオーブンで12時間乾燥させて複合正極中に含まれた溶媒を除去して全固体電池を製造した。ここで、複合正極のローディングレベルは下記表1に示した。比較例1に別途で記載されていない方法及び製品については、実施例1と同一にして製造した。
【0070】
比較例2
実施例1で、バインダとしてポリテトラフルオロエチレンバインダ(polytetrafluoroethylene、Sigma Aldrich社、図2のc参照)を用いることを除いて同一に複合正極を製造した。製造された複合正極を用いて実施例1と同一のローディングレベルで全固体電池を製造した。
【0071】
【表1】
【0072】
2.電気化学的性能の評価
イオン伝導度の評価
比較例1、2及び実施例1による固体電解質とバインダの混合物を製造した後、100mgの混合物を300MPaで加圧してペレットを製造した。製造されたペレットの両方にSUS電極をつけ常温でインピーダンス分析機(ZIVE MP1、ウォンテック社)でイオン伝導度を測定した。表2は、本発明の比較例1、2と実施例1の複合正極による固体電解質、及びバインダの種類及び組成と、それぞれのイオン伝導度を比較した表である。比較例1、比較例2と実施例1では、バインダの種類のみが異なり、複合正極を構成するバインダ及び固体電解質の含量を固体電解質:バインダ=25:2重量比と同一に含む。バインダを含まない場合、LiPSCl固体電解質自体のイオン伝導度は1.67mS cm-1であり、比較例1、2と実施例1のように高分子バインダが含まれる場合、イオン伝導度が1.67mS cm-1より低く示されることが確認できる。
【0073】
比較例1に適用されるニトリルブタジエンゴムバインダを含んだとき、0.71mS cm-1、比較例2に適用されるポリテトラフルオロエチレンバインダを含んだ時1.31mS cm-1、実施例1に適用されるポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダを含んだ時1.45mS cm-1と示された。すなわち、実施例1のようにリチウムイオンを含むポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダを使用する場合、既存のバインダ使用に比べさらに高いイオン伝導度を示すことが確認できる。
【0074】
【表2】
【0075】
容量及びサイクル特性の評価
30℃で、0.5C(1.153mA)で4.3V充電及び3.0V(vs Li/Li)放電で充放電サイクルを行い、各サイクルで電圧及び容量を測定した。
【0076】
図4は、本発明の比較例1a、比較例2b及び実施例1cによる各サイクルでの充放電曲線を比較したグラフである。比較例1、比較例2及び実施例1では、他の条件を同一にし、各バインダの種類のみを異ならせて、1サイクル、10サイクル、20サイクル、50サイクル、及び100サイクルでそれぞれの容量を確認した。
【0077】
ニトリルブタジエンゴムバインダが適用された比較例1は、比較例2及び実施例1に比べて初期容量が低く示され、サイクルが進行する過程で容量が低下し、過電圧が増加する現象が現れた。ポリテトラフルオロエチレンバインダが適用された比較例2は、無溶媒工程を適用して比較例1に比べて固体電解質の損傷が減少して初期容量は増加したが、サイクルが進行する過程で容量低下、及び過電圧増加現象を示した。ポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダが適用された実施例1は、比較例1及び比較例2に比べて高い初期容量を示し、サイクルが進行する過程でも過電圧の増加がほとんどなく、容量減少もほとんど現れずに維持されることが確認できる。実施例1及び比較例1は、無溶媒工程によって複合正極を製造することにより、溶媒による固体電解質または電解質膜の結晶損傷が発生せず高い初期容量を示すことが確認できる。実施例1の場合には、ポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダを複合正極に適用した場合で、比較例1及び比較例2に比べて優れたサイクル特性を示すことが確認できる。実施例1は、充放電が進行するに伴って発生する正極の可逆的な収縮及び膨張にも、正極活物質間の結着力が優れて維持されてリチウムイオンの移動が効率的に行われるためと判断される。
【0078】
図5は、本発明の比較例1a、比較例2b及び実施例1cによるサイクル特性と効率を示したグラフである。30℃で0.5C(1.153 mA)で4.3V充電及び3.0V(vs Li/Li+)放電で充放電サイクルを行った。
【0079】
比較例1と比較例2を比較すると、比較例1に比べて比較例2が優れた放電容量とサイクル特性を示すことが確認できる。これは、比較例2の場合には無溶媒工程によって複合正極を製造したが、比較例1は溶媒を用いて湿式工程で複合正極を製造しており、これによって放電容量及びサイクル特性に影響を及ぼすことが確認できる。具体的には、製造過程で複合正極中に含まれた溶媒は固体電解質と反応し得るため、これにより比較例1では極性が十分に小さいキシレン溶媒を適用し、高分子バインダもまた極性が小さい素材を適用した。これによって、高いローディングの正極を適用した比較例1では、低い放電容量及びサイクル特性が示されたのである。
【0080】
比較例2及び実施例1を比較すると、両方とも溶媒を使用せず複合正極を製造した場合で、実施例1が比較例2に比べて優れたサイクル特性を示すことが確認できる。これは実施例1のポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダは、正極活物質、導電材、及び固体電解質を効果的に結着させ、これはサイクルが行われる過程でも維持され、ポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダ中に含まれたリチウムイオンによりリチウムイオンの移動性を向上させるためと判断される。
【0081】
すなわち、無溶媒乾式工程が可能なバインダを用いて複合正極を製造する場合、放電容量及びサイクル特性が向上し、特に実施例1のようにポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダを用いる場合、優れたサイクル特性が維持されることが確認できる。
【0082】
図6は、本発明の比較例1、比較例2及び実施例1のレート別特性を示したグラフである。それぞれ0.1C、0.2C、0.5C、1.0C、及び2.0Cで5回ずつ充放電を行い、続いて0.1Cでまた5回充放電を行った。
【0083】
比較例1の場合は、充放電の電流密度を増加させるに伴い容量が減少することが確認でき、1.0C以上の高レートでは容量発現がほとんど行われないことが確認できる。比較例2の場合は、1.0Cでも比較例1に比べて優れた容量を示すことが確認できるが、2.0Cの高レート条件では放電容量が大きく低下することが確認できる。実施例1は、比較例1及び比較例2に比べて優れたレート別特性を示すことが確認でき、2.0Cの高レートでも容量低下がほとんど発生せず優れた特性を示した。すなわち、実施例1の場合には、全固体電池で高レート/高速充放電でも適用が可能で、出力特性を向上させることが確認できる。
【0084】
図7は、本発明の実施例1a、実施例2b、及び実施例3cのサイクル特性を示した結果である。実施例1、2及び3では、ポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダを2重量%の同一の量で適用するが、正極のローディングレベルのみを22.4mg/cm(実施例1)、11.2mg/cm(実施例2)、及び30.0mg/cm(実施例3)と異ならせた結果である。実施例1a、実施例2b及び実施例3cを比較すると、ローディングレベルを増加させても放電容量及びサイクル特性が優れて維持されることが確認できる。
【0085】
図8は、実施例1a、実施例4b、実施例5c、及び実施例6dのサイクル特性を示した結果である。実施例1、4、5及び6は、複合正極のローディングレベルは22.4mg/cmと同一にし、同一のポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダをそれぞれの含量を異ならせて添加した結果である。実施例4bはポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダが0.1重量%である場合で、バインダの含量が実施例1(2重量%)に比べて低く、サイクルを行う過程で過電圧が増加し容量が減少することが確認できる。実施例5c及び実施例6dは、ポリテトラフルオロエチレン系共重合体アイオノマーバインダがそれぞれ5重量%、10重量%で実施例4よりはサイクル特性が優れているが、実施例1に比べては相対的にサイクル特性が低下することが確認できた。すなわち、実施例1のような複合正極システムでは、バインダの含量が2重量%であるとき最も優れていることが確認できる。
【0086】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明が、その技術的思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施され得るということを理解できるであろう。ゆえに、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されねばならない。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質、
リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー(perfluorinated ionomer)、
固体電解質、及び
導電性カーボン、を含む、全固体電池用正極。
【請求項2】
前記フッ素系アイオノマーは下記化学式1で表される、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【化1】
Aは、それぞれ独立的に置換または非置換のC1~C30のアルキレン基であり、置換または非置換のC1~C30のハロアルキレン基、置換または非置換のC1~C30のヒドロキシアルキレン基であり、n、mはそれぞれ1~100の整数である。
【請求項3】
前記化学式1において、
前記Aは-(CF-CF-であり、pは1~15の整数である、請求項2に記載の全固体電池用正極。
【請求項4】
前記正極活物質、リチウム置換スルホン酸塩を含むフッ素系アイオノマー、固体電解質、及び導電性カーボンを含む乾式混合物である、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項5】
前記正極活物質は、LiCoO、Li(NiCoMnz)O[x+y+z=1]、Li(NiCoAlz)O[x+y+z=1]、及びLiFePOのうちいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項6】
前記固体電解質は、ハライド系(halide)固体電解質または硫化物系(sulfide)固体電解質を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項7】
前記硫化物系固体電解質は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のいずれか一つ以上を含み、
前記ハライド系固体電解質は、LiYCl、LiInCl、及びLiZrClのうちいずれか一つ以上を含む、請求項6に記載の全固体電池用正極。
【請求項8】
前記導電性カーボンは、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon fiber、VGCF)、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、スーパーピー(Super P)、スーパーシー(Super C)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)、コーク(coke)、ガラス状炭素(glassy carbon)、及び活性炭素(activated carbon)のうちいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項9】
前記正極活物質60重量%~90重量%、固体電解質5重量%~35重量%、導電性カーボン0.1重量%~10重量%、フッ素系アイオノマー0.1重量%~10重量%を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項10】
前記フッ素系アイオノマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む共重合体であり、
前記フッ素系アイオノマーを0.1重量%~5重量%で含む、請求項9に記載の全固体電池用正極。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の全固体電池用正極、
負極、及び
前記正極と負極の間に介在する固体電解質層、を含む全固体電池。
【請求項12】
前記固体電解質層は、前記全固体電池用正極中に含まれる固体電解質と同一の物質からなる、請求項11に記載の全固体電池。
【請求項13】
前記固体電解質と前記固体電解質層は、LiPSCl、Li10GeP12、LiPS、及びLi11のうちいずれか一つ以上を含む、請求項11に記載の全固体電池。
【請求項14】
前記負極は、リチウム金属及びインジウム-リチウム合金のうちいずれか一つ以上を含む、請求項11に記載の全固体電池。
【国際調査報告】