(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】円偏光を利用した着用型ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240628BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/66 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579612
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2022009163
(87)【国際公開番号】W WO2023277495
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0086162
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0098861
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0011869
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514164982
【氏名又は名称】イ, ムン キ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イ, ムン キ
【テーマコード(参考)】
2H199
5C058
【Fターム(参考)】
2H199CA43
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA62
2H199CA65
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA69
2H199CA70
5C058AA18
5C058BA35
(57)【要約】
本発明は、透明であり、体積が小さく、視野角が広い着用型ディスプレイに係わるものであり、反射型円偏光フィルムを使用し、2回光線を反射させることにより、凹面ハーフミラーの曲率半径が大きいことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用型ディスプレイにおいて
目の前、または目の周辺に位置し、視線方向に光を放出するディスプレイと、
特定円偏光は通過させ、残り円偏光は、円偏光を維持させながら反射する円偏光維持反射手段と、
前記円偏光維持反射手段を通過したディスプレイの光を、さらに円偏光維持反射手段側に反射させるが、反射される過程において、円偏光回転方向を反転させる円偏光反転反射手段と、を含むことを特徴とする円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項2】
前記円偏光反転反射手段の形状は、偏平な平面であるか、あるいは目の方に凹状曲面であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項3】
前記円偏光反転反射手段は、鏡、ハーフミラー、反射型ホログラム、またはディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に反射させる二色性フィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項4】
前記円偏光維持反射手段は、反射型先便光フィルムと1/4波長位相遅延フィルムとを含むか、あるいはコレステリック液晶フィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項5】
前記円偏光反転反射手段の目の側には、凸レンズ、その反対側には、凹レンズが含まれ、2枚のレンズの焦点距離の絶対値は、同じであるか、あるいはほぼ同じであることを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項6】
前記ディスプレイは、目の周辺に設けられる不透明ディスプレイまたは透明ディスプレイであり、
前記透明ディスプレイの目の側面には、前記透明ディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に遮断する光遮断手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項7】
前記光遮断手段は、特定波長の光を反射させる二色性反射フィルタ、または特定波長の光を吸収するカラーフィルタであることを特徴とする請求項6に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項8】
前記透明ディスプレイは、多数の重なった透明ディスプレイであることを特徴とする請求項6に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項9】
前記ディスプレイは、目の前に設けられるセミ透明ディスプレイであり、
前記セミ透明ディスプレイの目の側面には、前記セミ透明ディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に遮断する光遮断手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項10】
前記光遮断手段は、特定波長の光を反射させる二色性反射フィルタ、または特定波長の光を吸収するカラーフィルタであることを特徴とする請求項9に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項11】
前記光遮断手段は、セミ透明ディスプレイの各ピクセルごとに設けられ、自体が設けられたピクセルが放出する光を選択的に反射する二色性フィルタであるか、あるいは
選択的に吸収するカラーフィルタであることを特徴とする請求項10に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項12】
前記各ピクセルは、三原色のうち一色の光を放出し、光遮断手段は、三原色のうち一色の光を選択的に反射させる二色性フィルタであるか、あるいは
選択的に吸収するカラーフィルタであることを特徴とする請求項11に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項13】
前記ディスプレイは、目の周辺に設けられるディスプレイであり、
目の前には、前記ディスプレイから目に斜めに入射される光を、目の正面から入射されるように屈折させる屈折手段が含まれたことを特徴とする請求項1に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項14】
前記屈折手段は、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に屈折させる透過型ホログラムであることを特徴とする請求項13に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項15】
前記屈折手段は、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に屈折させるプリズムシート領域と、
それ以外の波長の光は、そのまま通過させる非プリズムシート領域と、を含むことを特徴とする請求項13に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【請求項16】
前記プリズムシート領域は、光を屈折させるプリズムと、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ通過させる二色性反射フィルタまたは吸収型カラーフィルタと、を含み、
前記非プリズムシート領域は、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ遮断する二色性反射フィルタ、または吸収型カラーフィルタを含むことを特徴とする請求項15に記載の円偏光を利用した着用型ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角が広い着用型ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、拡張現実映像またはバーチャルリアリティ映像を出力することができる着用型ディスプレイに関する技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、本発明者の以前発明である特許登録番号10-2044628号(鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ)の装置のレンズ部分が体積を多く占める問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の問題を解決するために、前述の文書における装置のセミ(semi)透明ディスプレイと凹面ハーフミラーとの間に、反射型円偏光フィルムを追加し、セミ透明ディスプレイにおいて、凹面ハーフミラーに向けて放出された光が、凹面ハーフミラーと反射型円偏光フィルムとの間を2回往復した後、目に達するようにすることにより、凹面ハーフミラーの曲率半径を増大させ、凹面ハーフミラーと反射型円偏光フィルムとの距離を短くし、装置の体積を低減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、セミ透明ディスプレイを使用せずに、その代わりに透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイを使用することができる。なお、透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイを使用する場合には、透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイは、目の下側に設けることもできる。その場合、製造し難いセミ透明ディスプレイの代わりに、製造しやすい透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイを利用し、本発明の装置を廉価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施例1
本発明は、本発明者の以前発明である特許登録番号10-2044628号(鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ)の装置のレンズ部分が、体積を多く占める問題を解決することを目的とする。
【0008】
以前の発明である特許登録番号10-2044628号の請求項6は、以下の通りである。
【0009】
めがね型ディスプレイにおいて、
目の前に位置し、視線方向だけに光を放出するセミ(semi)透明ディスプレイと、
前記セミ透明ディスプレイから視線方向に放出された光を、目に方に反射させる光学モジュールと、を含むが、
前記セミ透明ディスプレイの各ピクセルは、三原色のうち一色の光を放出し、前記ピクセルの目の側面には、前記三原色のうち一色の光を光学モジュール側に反射させる二色性反射コーティング、または前記三原色のうち一色の光を吸収するカラー吸収コーティングを含むことを特徴とする鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ。
【0010】
【0011】
セミ透明ディスプレイDSから放出された光は、凹面ハーフミラーHMで反射された後、目EBに達する。そのような装置は、凹面ハーフミラーが凸状に突き出るという問題がある。すなわち、凹面ハーフミラーHMが、既存めがねレンズに比べ、はるかに凸状に突き出て、見栄えがせず、体積を多く占めるという問題がある。そのような問題を解決するために、本発明の装置は、
図2のような構成を有する装置を提供する。
【0012】
図2において、ディスプレイDSは、目の前、または目の周辺に設けられる。ディスプレイDSがセミ透明ディスプレイであるならば、
図3のように目の前に設けられうる。該セミ透明ディスプレイは、視線方向に光を放出し、目の側には、光が遮断される透明ディスプレイであり、前記引用発明(登録番号10-2044628)の明細書に詳細な説明がある。
【0013】
ディスプレイDSが、透明または不透明な一般ディスプレイであるならば、
図2のように、目の周辺(例えば、目の下側、上側または横側)に設けられうる。該ディスプレイと、目の前とには、反射型円偏光フィルムCP(これを本発明においては、円偏光維持反射手段とする)が設けられる。そして、その前には、凹面ハーフミラーHM(これを、本発明においては、円偏光反転反射手段とする)が設けられる。該円偏光維持反射手段は、入射される光の円偏光を維持させながら反射させる装置を意味する。そのような円偏光維持反射手段は、反射型線偏光フィルムの上に、1/4波長位相遅延フィルムを付着させて構成されうる。また、反射型コレステリック液晶フィルムによっても構成される。
【0014】
円偏光反転反射手段は、入射される円偏光の回転方向を変えて反射させる装置を意味する。そのような円偏光反転反射手段は、鏡、ハーフミラー、反射型ホログラム、二色性鏡などによって構成されうる。本発明において鏡は、フィルム状またはフィルタ状でもある。
【0015】
図2のように、ディスプレイが目周辺(下側)に設けられた場合、反射型円偏光フィルムCPは、ディスプレイの前にだけ設けられ、目のすぐ前には、設けられないのである。
図3のように、ディスプレイが目の前に設けられた場合、反射型円偏光フィルムCPは、ディスプレイ前(すなわち、目の前)に設けられうる。
【0016】
図2のように、そのようなディスプレイDSの一地点T1において、凹面ハーフミラーHMに向けて光が放出されれば、その光のうち第1円偏光C1(例えば、右折円偏光)だけ反射型円偏光フィルムを通過し、凹面ハーフミラーHMに向かう。該第1円偏光C1は、凹面ハーフミラーの一点T2で反射されながら、円偏光回転方向が変わり、第2円偏光C2(例えば、左折円偏光)になる。該第2円偏光C2は、反射型円偏光CPの一点T3で反射される。このとき、円偏光の回転方向は、維持される。T3で反射された第2円偏光C3は、凹面ハーフミラーの一点T4で反射されながら、円偏光回転方向が変わり、第1円偏光C4になる。該第1円偏光C4は、反射型円偏光フィルムCPを通過して目に達する。
【0017】
そのように、ディスプレイから放出された光が、反射型円偏光フィルムCPと凹面ハーフミラーHMとの間を2回往復するので、凹面ハーフミラーの曲率半径を大きくすることができる。
【0018】
凹面ハーフミラーは、全ての波長の光を、一部は反射させ、一部は通過させるが、ディスプレイの光が2回反射する過程において、光損失が多く生じる。すなわち、目に達するディスプレイの光の量が少なく、映像が暗く見えもする。そのような問題は、凹面ハーフミラーを、ディスプレイから放出される光の特定波長だけ選択的に、いずれもまたはほぼ大部分反射させる二色性反射コーティングを施した透明曲面(二色性の鏡またはフィルム)で代替して解決することができる。例えば、ディスプレイから放出される三原色の特定波長の光だけ反射させ、残り波長の光は通過させる二色性反射コーティングを施した凹状曲面を使用することが望ましい。
【0019】
そのような凹状曲面HMは、
図3のように、ディスプレイのある一点T0から放出された光線L1,L2を2回反射させるが、その反射された光線が目に達する地点においては、その光線は、ほとんど平行な状態になり、人の目で容易に焦点を合わせることができるほどの曲率半径を有さなければならない。
【0020】
凹面ハーフミラーの代わりに、凹面鏡のように光を収束させることができる反射型ホログラムを使用し、反射面を構成することもできる。その場合、該反射面は、凹状ではないのである。
【0021】
凹面ハーフミラーの代わりに、偏平なハーフミラー、または偏平な二色性鏡PHMを使用することもできる。その場合、
図4のように、偏平なハーフミラー、または偏平な二色性鏡PHMの、目EBに向かう面には、凸レンズLPを追加し、その反対側には、凹レンズLMを追加することが望ましい。その場合、追加される凸レンズと凹レンズは、焦点距離の絶対値が、互いに同じであるか、あるいはほば同じであるように選択することが望ましい。そのように、2枚のレンズの焦点距離の絶対値が同じであるならば、2枚のレンズの収束機能と発散機能とが相殺され、2枚のレンズが存在しないように、2枚のレンズを介して外部風景を見ることができる。また、そのようなレンズは、体積を少なく占めるように、フレネルレンズ、メタレンズ、回折レンズまたはホログラムレンズなどを使用することが望ましい。そのようなレンズを、本発明においては、収束手段と言う。そのような収束手段は、円偏光反転反射手段と一体型に構成されるか、あるいは円偏光反転反射手段に含まれるものでもある。
【0022】
図5のように、二色性鏡PHMは、目の方に凹状でもあり、その両側に、同様に、目の方に凹状の凸レンズLPと凹レンズLMとが付着されうる。
【0023】
反射型円偏光フィルムCPは、
図6のように、目の方に凹状曲面にもなる。そのように、反射型円偏光フィルムCPが曲面であるならば、凹面ハーフミラーHMの曲率半径をさらに大きくすることができ(すなわち、さらに平らにすることができ)、装置が占める体積をさらに低減させることができる。
【0024】
実施例2
図2の装置において、ディスプレイDSを、
図7のように、透明ディスプレイTDSで構成することもできる。そのように、透明ディスプレイを使用すれば、映像を出力しないときは、ディスプレイが透明であるので、前方を隠さないという長所がある。しかしながら、該透明ディスプレイに映像を出力すれば、該透明ディスプレイの裏(目に向かう面)から目の方に放出された光が目に達すれば、目が眩しくなるという問題がある。そのような眩しさを防止するために、光遮断手段BKを、透明ディスプレイと目との間に設けることが望ましい。該光遮断手段は、例えば、大きく見て、反射型と吸収型とに分類されうる。該反射型は、特定波長の光を反射させ、残り波長の光は通過させる二色性鏡(または、二色性フィルタ)でもあり、該吸収型は、特定波長の光を通過させ、残り波長の光は吸収するカラーフィルタでもある。また、該吸収型は、液晶シャッタなどにもなる。
【0025】
光遮断手段として使用されうる二色性鏡(本発明において、二色性鏡、二色性フィルタ及び二色性コーティングは、同一意味に使用される)は、透明ディスプレイから放出される特定波長の光だけ選択的に反射させ、残り波長の光は通過させる鏡またはフィルムである。例えば、該透明ディスプレイが、狭い波長範囲の三原色の光を放出する場合、該二色性鏡は、その狭い範囲の波長の三原色だけ選択的に反射させ、残り波長の光は通過させることが望ましい。その場合、外部風景の光には、広い範囲の波長の光が含まれており、ほとんどの外部風景の光は、そのような二色性鏡を通過して目に達することができる。すなわち、該二色性鏡を使用すれば、透明ディスプレイの眩しさを防止することができ、該透明ディスプレイを介し、外部風景を見ることもできる。
【0026】
光遮断手段として使用されうる吸収型カラーフィルタは、透明ディスプレイから放出される波長の光だけ選択的に吸収し、残り波長の光は通過させるフィルタでもある。
【0027】
そのような二色性鏡とカラーフィルタとを重ねて設け、ディスプレイの光をさらに確実に遮断することもできる。
【0028】
光遮断手段が液晶シャッタである場合、ディスプレイに映像を出力する間には、液晶シャッタは、光を遮断し、ディスプレイに映像を出力しない間には、液晶シャッタは、光を通過させることが望ましい。該液晶シャッタは、シャッタめがね式3Dディスプレイを見るときに着用するシャッタめがねレンズとして知られている技術である。該ディスプレイが映像を出力する状態と、出力しない状態とを迅速に往復すれば、シャッタも、それに同期化された状態でもって迅速に開閉され、外部事物を眩しさなしに見ることができる。
【0029】
実施例3
図7の透明ディスプレイTDSを、
図8のように、複数(D1,D2,D3,D4)が重なるように設け、深み感ある映像を出力することもできる。ここで、深み感ある映像というのは、目と映像との距離が多様である映像を意味する。
図8には、透明ディスプレイが4個(D1,D2,D3,D4)表示されているが、実際においては、それよりさらに多くてもよく、あるいは少なくてもよい。
【0030】
そのように、複数層の透明ディスプレイでもって映像を出力すれば、深み感ある映像を見ることができ、既存の1つのディスプレイだけ含むスマートめがねや、仮想現実用ヘッドマウントディスプレイ(head mount display)における、目の収束角度と、目の焦点距離とが不一致となる問題(これを、vergence-accommodation conflictと言う)を解決することができる。
【0031】
実施例4
前述の実施例1の
図2において、もしディスプレイDSが不透明ディスプレイであるならば、ディスプレイが視野を遮ることがないように、目の下側EBに設けることが望ましい。その場合、目でもってディスプレイ映像を見ようとするならば、視線を下方へ向けなければならない。視線が正面に向くときにも、ディスプレイが目に見えるようにするためには、
図2のように、凹面ハーフミラーHMと反射型円偏光鏡CPとの角度Aを増大させなければならない。しかしながら、そのように、角度が増大されれば、凹面ハーフミラーが突き出るという問題がある。本実施例は、
図9のように、凹面ハーフミラーが突き出ることがなく、正面を見るとき、ディスプレイを見ることができるようにする構成に係わるものである。
【0032】
図9において、目EBのすぐ前には、第1透過型ホログラムH1が設けられており、目の下側のディスプレイDS前には、第2透過型ホログラムH2が設けられている。第2透過型ホログラムH2は、省略されうる。そのような透過型ホログラムは、ディスプレイから放出される特定波長の光は屈折させ、残り波長の光は直進させて通過させる。第1透過型ホログラムH1は、ディスプレイから放出された光が、凹面ハーフミラーHMで反射された後、目の下側から目の方に斜めに入射される光を、水平線方向に入射されるように屈折させる。ここで、光が目の方に斜めに入射されるというのは、
図9において、角度AN1が0より大きいという意味である。そのような第1透過型ホログラムH1を介し、正面HD(すなわち、水平線方向)を見れば、ディスプレイ映像を見ることができる。もしそのような第1透過型ホログラムH1がなければ、視線を下側に向けてこそ、ディスプレイ映像を見ることができ、映像の視野角が非常に狭められるという不都合がある。
【0033】
第2透過型ホログラムH2は、水平線方向に放出されたディスプレイの光を、上側(目の側)に屈折させる。該ディスプレイは、普通、正面から放出される光が最も多く、横に放出される光は、少ない。それにより、もし第2透過型ホログラムH2がなければ、少ない量の光だけ目に達し、映像が暗くなるという問題がある。
【0034】
実施例5
本実施例は、前記実施例4の透過型ホログラムを、2チャネルプリズムシート2PSで代替した構成に係わるものである。2チャネルプリズムシート2PSは、変形されたプリズムシートに、二色性フィルタやカラーフィルタを付着させて構成されうる。プリズムシートPSは、
図10のように、多数の水平線状の微細なプリズムが、垂直方向に平面に配列された形態に入射される光を屈折させる役割を行う。2チャネルプリズムシート2PSは、
図11のように、そのようなプリズムシートの奇数番目または偶数番目の微細なプリズムを除去して(すなわち、変形させて)作製されうる。微細なプリズムが除去された偏平な領域(これを、非プリズムシート領域NPSRと言う)を通過する光は、まさしく、透明ガラス板を通過するように、屈折されずにそのまま直進して通過する。微細なプリズムが残っている領域(これを、プリズムシート領域PSRと言う)を通過する光は、微細プリズムによって屈折される。
【0035】
図12のように、それぞれのプリズムシート領域に、多数のさらに微細なプリズムが含まれるものでもある。
【0036】
そのようなプリズムシート領域PSRに、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ通過させ、残り波長の光は反射させる二色性フィルタを付着させ、非プリズムシート領域NPSRには、それと反対に、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ反射させ、残り波長の光は通過させる二色性フィルタを設けることができる。そのように、該二色性フィルタが含まれた変形されたプリズムシート(これを、本発明においては、2チャネルプリズムシート2PSと言う)を、
図9の第1透過型ホログラムH1の代わりに設けた
図13のような装置を着用すれば、正面に、ディスプレイ映像と外部風景とが同時に見える。
図9の第2透過型ホログラムH2も、2チャネルプリズムシートで代替されうる。
【0037】
それと類似して、二色性フィルタの代わりに吸収型カラーフィルタを使用することもできる。すなわち、プリズムシート領域PSRに、ディスプレイから放出される特定波長の光だけ通過させ、残り波長の光は吸収するカラーフィルタを付着させ、非プリズムシート領域NPSRには、それと反対に、ディスプレイから放出される特定波長の光を吸収し、残り波長の光は通過させるカラーフィルタを設けることができる。例えば、ディスプレイから、青色光が放出されるならば、プリズムシート領域PSRには、青色光だけ通過させ、残り波長の光は吸収する青色フィルタを付着させ、非プリズムシート領域NPSRには、それと反対に、青色光を吸収し、残り波長の光は通過させる黄色フィルタを設けることができる。
【国際調査報告】