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特表2024-524327アクリレート二重結合を有する非イオン性親水化ポリウレタン分散体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】アクリレート二重結合を有する非イオン性親水化ポリウレタン分散体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240628BHJP
   C08G 18/78 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/12 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/148 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/188 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/332 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/364 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/418 20060101ALI20240628BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C08G18/00 C
C08G18/78
C08G18/67 010
C08G18/32
C08G18/28 015
C08G18/48
C08G18/12
D06M13/148
D06M13/17
D06M13/188
D06M13/224
D06M13/332
D06M13/364
D06M13/418
D06M13/513
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579697
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022067544
(87)【国際公開番号】W WO2023274944
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183026.0
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デル,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ルーデヴィッヒ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ギッペリッヒ,インゴ
【テーマコード(参考)】
4J034
4L033
【Fターム(参考)】
4J034BA06
4J034BA08
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA13
4J034CA15
4J034CA16
4J034CA17
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB07
4J034CB08
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CD04
4J034CE03
4J034DA01
4J034DB01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG03
4J034DG08
4J034DG09
4J034FA02
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034GA51
4J034GA54
4J034GA55
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA04
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB16
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC33
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA21
4J034JA30
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC08
4J034KC16
4J034KC17
4J034KC23
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4J034KD02
4J034KD12
4J034KE02
4J034LA23
4J034MA17
4J034MA18
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QC03
4J034QC05
4J034RA05
4J034RA07
4J034RA09
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC12
4L033BA12
4L033BA14
4L033BA16
4L033BA21
4L033BA45
4L033BA48
4L033BA59
4L033BA75
4L033CA48
4L033CA59
(57)【要約】
本発明は、a)少なくとも2.2の平均イソシアネート官能価を有する少なくとも1つのポリイソシアネートであって、そのうちの少なくとも1つのポリイソシアネートが、好ましくは、ウレタン、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネートである、少なくとも1つのポリイソシアネート、b)アクリロイル基を含有する少なくとも1つのモノヒドロキシ官能性化合物、c)非イオン性親水化基を含有し、少なくとも1つのさらなるイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの成分、およびd)少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミンからなる反応生成物を少なくとも含み、反応生成物がイオノゲン基もイオン性親水化基も有さない、水性UV硬化性分散体に関する。本発明はまた、分散体の調製方法、ガラス繊維サイジング剤の調製のための分散体の使用、少なくとも前記タイプの分散体を含有するガラス繊維サイジング剤、前記タイプの分散体を使用して得られるサイジング剤を備えたガラス繊維、ガラス繊維強化プラスチックの調製方法、および対応するガラス繊維強化プラスチックに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性UV硬化性分散体であって、
a)少なくとも2.2の平均イソシアネート官能価を有する少なくとも1つのポリイソシアネートであって、そのうちの少なくとも1つのポリイソシアネートが、好ましくは、ウレタン、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネートである、少なくとも1つのポリイソシアネート、
b)アクリロイル基を含有する少なくとも1つのモノヒドロキシ官能性化合物、
c)非イオン性親水化基を含有し、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの成分、
d)少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミンであって、好ましくは<400g/molの分子量を有する少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミン、
から形成される反応生成物を少なくとも含み、前記反応生成物が、イオノゲン基もイオン性親水化基も有さないことを特徴とする、分散体。
【請求項2】
前記反応生成物が、以下の成分:
a)35重量%~75重量%、特に好ましくは40重量%~75重量%、非常に特に好ましくは45重量%~65重量%の成分a)、
b)10重量%~50重量%、特に好ましくは12重量%~35重量%、非常に特に好ましくは14重量%~32重量%の成分b)、
c)5重量%~40重量%、特に好ましくは7重量%~30重量%、非常に特に好ましくは15重量%~25重量%の成分c)、および
d)0.1重量%~25重量%、特に好ましくは0.1重量%~9重量%、非常に特に好ましくは0.1重量%~5重量%の成分d)
(ここで、a)からd)までのパーセンテージはそれぞれの場合において合計で100重量%になる)
の反応から得られるか、または得ることができることを特徴とする、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
ポリイソシアネート成分a)が、少なくとも40重量%の程度の、室温で液体であり、イソシアヌレート、ビウレット、ウレトジオン、カルボジイミドおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造単位を有する、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするオリゴマーポリイソシアネート、および60重量%以下の程度のイソホロンジイソシアネート、H-2,4-またはH-2,6-トリリデンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4-または2,6-トリリデンジイソシアネートまたはそれらのトリメチロールプロパン、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールまたはネオペンチルグリコールとの反応生成物からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の分散体。
【請求項4】
ポリイソシアネート成分a)が、少なくとも70重量%の程度の、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとし、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネート、および30重量%以下の程度のイソホロンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4-または2,6-トリリデンジイソシアネートからなることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の分散体。
【請求項5】
0.5重量%~40重量%の成分e)を含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の分散体。
【請求項6】
500~1100g/molの分子量を有する少なくとも1つのモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルを、成分c)として使用することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の分散体。
【請求項7】
成分d)が、鎖伸長度が100~200%となるような量で使用されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の分散体。
【請求項8】
50mgKOH/gポリマー未満、好ましくは20mgKOH/gポリマー未満、特に好ましくは10mgKOH/gポリマー未満、特に好ましくは5mgKOH/gポリマー未満の酸価(EN ISO 660(2009年版)による測定)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の分散体。
【請求項9】
成分d)が、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン(水和物)、ヘキサメチレン-1,6-ジアミン、ジエチレントリアミンおよび/またはポリマージオール、特にポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、およびポリエステルアクリレートからなる群から選択され、ここで、ポリマージオールが、好ましくは、ポリスチレン標準を用いた較正により、20℃で、溶離剤としてのN,N-ジメチルアセトアミド中、DIN EN ISO 13885-2:2021に従って、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定された、700~2200g/molの範囲の数平均分子量を有し、および成分d)が、特に好ましくは、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン(水和物)、ヘキサメチレン-1,6-ジアミンおよび/またはジエチレントリアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の分散体。
【請求項10】
イソシアネート官能性プレポリマーA)が、成分a)、b)およびc)を、1つまたは複数の反応工程において、過剰の成分a)で、反応させ、次いで成分d)の添加による鎖伸長工程を行い、次いでレポリマーA)を形成するための水の添加または水性レシーバー容器へのプレポリマーA)の移送による分散工程を行うことにより得られることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の分散体の製造方法。
【請求項11】
イソシアネート官能性プレポリマーA)が、成分b)およびc)を、1つまたは複数の反応工程において、過剰の成分a)と反応させ、次いでレポリマーA)を形成するための水の添加または水性レシーバー容器へのプレポリマーA)の移送による分散工程を行い、次いで成分d)の添加による鎖伸長工程を行うことにより得られることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の分散体の製造方法。
【請求項12】
ガラス繊維サイジングを製造するための、請求項1~9のいずれかに記載の分散体の使用。
【請求項13】
請求項1~9のいずれかに記載の分散体を少なくとも含むガラス繊維サイジング。
【請求項14】
請求項1~9のいずれかに記載の分散体を用いて得られるサイジングを備えたガラス繊維。
【請求項15】
ガラス繊維強化プラスチックの製造方法であって、少なくとも以下の工程:
(A)請求項13に記載のガラス繊維サイジングをガラス繊維に適用して、サイジング処理されたガラス繊維を得る工程、
(B)サイジング処理されたガラス繊維をプラスチックマトリックスに導入する工程、および
(C)ガラス繊維強化プラスチックを得るために、ガラス繊維サイジングのアクリレート基を、プラスチックマトリックスの基と少なくとも部分的に化学的に反応させて、共有結合の形成を伴う工程
を含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載のガラス繊維または請求項13に記載のガラス繊維サイジングでサイジング処理されたガラス繊維を含む、ガラス繊維強化プラスチック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)少なくとも2.2の平均イソシアネート官能価を有する少なくとも1つのポリイソシアネートであって、そのうちの少なくとも1つのポリイソシアネートが、好ましくは、ウレタン、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネートである、少なくとも1つのポリイソシアネート、b)アクリロイル基を含有する少なくとも1つのモノヒドロキシ官能性化合物、c)非イオン性親水化基を含有し、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの成分、およびd)少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミンから形成される反応生成物を少なくとも含む水性UV硬化性分散体であって、反応生成物が、イオノゲン基もイオン性親水化基も有さない水性UV硬化性分散体、その製造方法、ガラス繊維サイジングを製造するための分散体の使用、この種の少なくとも1つの分散体を含むガラス繊維サイジング、この種の分散体を用いて得られるサイジングを備えたガラス繊維、ガラス繊維強化プラスチックの製造方法、および対応するガラス繊維強化プラスチックに関する。
【背景技術】
【0002】
官能化ポリイソシアネートをベースとする水性コーティング剤は、それ自体当業者に公知である。それらは、例えば、1成分コーティング剤に組み合わされ、ガラス繊維、例えばガラス繊維強化プラスチックのコーティングに使用される。ガラス繊維に適用した後、まず水が除去される。得られた膜、いわゆるサイジングは、潜在的に存在するポリイソシアネートの反応によって架橋されている。次いで、サイジング中に存在するポリイソシアネートの反応によるさらなる架橋は、ガラス繊維がプラスチック中に組み込まれるときに起こる。
【0003】
EP 1 516 012 B1は、少なくとも1つの水分散性または水溶性ブロックトポリイソシアネート(A)、フリーラジカルによって重合可能な基を含有する少なくとも1つのポリウレタン(B)、およびフリーラジカル重合を開始することができる開始剤(C)を含むガラス繊維サイジング組成物を開示している。
【0004】
DE 10 2009 008 949 A1には、構造成分として、少なくとも1つのイソシアネート反応性基およびフリーラジカルによって共重合可能な少なくとも1つの基を有する1つまたは複数のオリゴマーまたはポリマー化合物、場合によりヒドロキシ官能基および少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する1つまたは複数のモノマー化合物、ポリエステルポリオール、場合によりさらなるポリオール、ポリウレタン分散体に分散作用を有する、少なくとも1つのイソシアネート反応性基および付加的にイオン性基またはイオン性基を形成することができる基または非イオン性基およびイオン性基の組み合わせまたはイオン性基を形成することができる基を有する1つまたは複数の化合物、および有機ポリイソシアネートを含む、水性ポリウレタン分散体をベースとする放射線硬化性コーティング系が記載されている。
【0005】
従来技術から知られているアクリレート官能性コーティング剤は、ガラス繊維サイジングのための典型的な配合物を改善することができる相溶性を示し、これは、例えば、加工時間の著しい短縮をもたらす。ガラス繊維サイジングにおける官能性シランの使用に関する問題は、典型的なガラス繊維サイジングにおいて、他の成分の複雑な加水分解および縮合プロセスが、官能性シランと組み合わせて、しばしば、不安定な系をもたらす(中間)生成物を生じることである。(反応性)アクリレート基を有するガラス繊維のための高相溶性コーティング剤は、先行技術に記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1516012号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009008949号明細書
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、特にガラス繊維サイジングとしての使用のための、純粋に非イオン的に親水化された、アクリレート基を含有する官能化されたポリイソシアネート、およびその製造方法を提供することであった。本発明のさらなる目的は、十分に高い貯蔵安定性を有する対応するポリイソシアネートの水性分散体を提供することである。
【0008】
本発明によれば、これらの目的は、以下の
a)少なくとも2.2の平均イソシアネート官能価を有する少なくとも1つのポリイソシアネートであって、そのうちの少なくとも1つのポリイソシアネートが、好ましくは、ウレタン、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネートである、少なくとも1つのポリイソシアネート、
b)アクリロイル基を含有する少なくとも1つのモノヒドロキシ官能性化合物、
c)非イオン性親水化基を含有し、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの成分、
d)少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミンであって、好ましくは<400g/molの分子量を有する少なくとも1つのジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミン
から形成される反応生成物を少なくとも含む水性UV硬化性分散体であって、反応生成物が、イオノゲン基もイオン性親水化基も有さない水性UV硬化性分散体によって達成される。
【0009】
したがって、本発明の分散体は、高エネルギー放射線によって、または過酸化物硬化剤もしくはアゾ系硬化剤などのフリーラジカル開始剤の添加によって重合可能なアクリレート基を含有し、もはや遊離イソシアネート基を含有しない官能化ポリイソシアネートを含む。
【0010】
本発明のUV硬化性分散体中に存在する反応生成物は、以下の成分:
35重量%~75重量%、特に好ましくは40重量%~75重量%、非常に特に好ましくは45重量%~65重量%、の成分a)、
10重量%~50重量%、特に好ましくは12重量%~35重量%、非常に特に好ましくは14重量%~32重量%、の成分b)、
5重量%~40重量%、特に好ましくは7重量%~30重量%、非常に特に好ましくは15重量%~25重量%、の成分c)、および
0.1重量%~25重量%、特に好ましくは0.1重量%~9重量%、非常に特に好ましくは0.1重量%~5重量%、の成分d)
(ここで、a)からd)までのパーセンテージはそれぞれの場合において合計で100重量%になる)
の反応から得られるか、または得ることができる。
【0011】
本発明の分散体は、助剤および添加剤、例えば、電子ビームもしくはUV線などの高エネルギー放射線、またはフリーラジカル反応による硬化を可能にするか、または促進する助剤および添加剤を含んでもよい。好ましい実施形態において、分散体は、フェノール、立体障害アミンおよび/またはチアジンを含む群からの、早期硬化に対する安定剤を含む。
【0012】
本発明の分散体は一般に、50mgKOH/gポリマー未満、好ましくは20mgKOH/gポリマー未満、特に好ましくは10mgKOH/gポリマー未満、および特に好ましくは5mgKOH/gポリマー未満の酸価を有する。酸価は、検査される試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を示す(EN ISO 660(2009年版)に準拠した測定)。中和された酸、すなわち対応する塩は、当然のことながら、ゼロであるか、または減少している酸価を有する。ここで本発明において重要なのは、対応する遊離酸の酸価である。
【0013】
本発明の分散体は一般に、-50~+50mV、好ましくは-15~+15mV、特に好ましくは-2~+10mVのゼータ電位を有する。ゼータ電位は、23℃で、「ZetaSizer 3000HSA」(Malvern Instruments、Herrenberg、Germany)中、脱塩水で希釈した試料を測定することによって決定される。
【0014】
本発明の分散体のウレタン基含有量(MWウレタン基=59g/mol)は、それぞれの場合において、固形分に基づき、一般に3重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%である。
【0015】
好ましくはウレタン、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネートと同様に、本発明に好適なポリイソシアネートa)は、少なくとも二官能性のポリイソシアネート、例えば、シクロヘキサン1,4-、1,3-、および/または1,2-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-メチル-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、H-2,4-および/またはH-2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’-ジイソシアナトジフェニルメタン、メタ-および/またはパラ-キシリレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6-ジイソシアナトトルエン、イソプロペニルジメチルトリレンジイソシアネート、α,α,α,’α,’-テトラメチル-m-および/またはα,α,α,’α,’-テトラメチル-p-キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、およびこれらのジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの混合物およびそれらのモノ-およびジメチル-置換誘導体および/または高官能性反応生成物、ウレタン、ビウレット、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはウレトジオン構造単位を有する前記の少なくとも二官能性のポリイソシアネートのホモログ、オリゴマーおよび/またはポリマーである。ステアリルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネートなどの単官能性イソシアネート、または3-イソシアナトプロピルトリアルコキシシランなどの他のイソシアネートの、一定割合を使用することも可能である。
【0016】
ポリイソシアネート成分a)の平均イソシアネート官能価は、好ましくは2.2~6、特に好ましくは2.4~5、非常に特に好ましくは2.6~4.5である。
【0017】
ポリイソシアネート成分a)は、好ましくは23℃で25000mPa・s未満、特に好ましくは23℃で15000mPa・s未満の粘度を有する。
【0018】
ポリイソシアネート成分a)は、好ましくは、少なくとも40重量%の程度の、液状であり、イソシアヌレート、ビウレット、ウレトジオン、カルボジイミド、アロファネートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造単位を有する、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするオリゴマーポリイソシアネート、および60重量%以下の程度のイソホロンジイソシアネート、H-2,4-またはH-2,6-トリリデンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4-または2,6-トリリデンジイソシアネートまたはそれらとトリメチロールプロパン、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールまたはネオペンチルグリコールとの反応生成物からなる。
【0019】
ポリイソシアネート成分a)は、特に好ましくは、少なくとも70重量%の程度のヘキサメチレンジイソシアネートをベースとし、ビウレット、イミノオキサジアジンジオン、アロファネートおよび/またはイソシアヌレート構造単位を有するオリゴマーポリイソシアネート、および30重量%以下の程度のイソホロンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4-または2,6-トリリデンジイソシアネートからなる。
【0020】
成分b)として好適なものは、モノヒドロキシ官能性アクリロイル基を有する化合物、例えばヒドロキシエチルアクリレート、2-/3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2-/3-/4-ヒドロキシエチルアクリレート、2-/3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-/3-/4-ヒドロキシブチルアクリレート、前記ヒドロキシアクリレートのエトキシル化および/またはプロポキシル化生成物、トリメチロールプロパン、グリセロールおよび/またはペンタエリスリトールまたはそれらのエトキシル化および/またはそのプロポキシル化生成物の2または3当量のアクリル酸との反応生成物、前記ヒドロキシアクリレートのカプロラクトンとの反応生成物、Cardura(登録商標)E10(モノエポキシド、Hexion Specialty Chemicals、オランダ)などのモノエポキシドのアクリル酸との反応生成物およびモノヒドロキシ官能性アクリロイル基を有する前記化合物の混合物である。
【0021】
本発明によれば、成分b)としてヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートおよび/またはヒドロキシブチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0022】
本発明の分散体は、非イオン性親水化基を含有し、少なくとも1つのさらなるイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの成分c)をさらに含む。本発明により存在する成分c)は、好ましくは1個または2個、好ましくは1個のイソシアネート反応性基、および好ましくはポリアルキレンオキシドをベースとする、非イオン性親水化構造単位を有する。
【0023】
非イオン性親水化成分c)として好適なものは、例えば、少なくとも1つのヒドロキシ基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30重量%~100重量%の割合のエチレンオキシドから誘導される単位を含有する。有用な化合物としては、1~3の官能価を有する直鎖状構造のポリエーテルが挙げられるが、一般式(I)の化合物も挙げられる。
【0024】
【化1】
【0025】
〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子を有し、酸素および/または窒素原子によって中断されていてもよい、二価の脂肪族、脂環式または芳香族基であり、および
は、アルコキシ末端ポリエチレンオキシド基である〕
非イオン性親水化化合物は、例えば、好適な出発分子のアルコキシル化によってそれ自体公知の方法で得ることができるような、1分子当たり5~70エチレンオキシド単位の統計平均を有する一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールでもある(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry]、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim 31~38頁を参照されたい)。
【0026】
好適な出発分子の例は、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレインアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、芳香族脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール、第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、ならびに複素環式第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾールである。好ましい出発分子は、飽和モノアルコールである。出発分子としてジエチレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0027】
アルコキシル化反応に好適なアルキレンオキシドは、特にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において、任意の順序で、または混合物中で使用することができる。
【0028】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、純粋なポリエチレンオキシドポリエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかであり、アルキレンオキシド単位は、少なくとも30mol%の程度、好ましくは少なくとも50mol%の程度のエチレンオキシド単位からなる。
【0029】
特に好ましい非イオン性化合物c)は、少なくとも75mol%のエチレンオキシド単位、特に好ましくは100mol%のエチレンオキシド単位を含有し、ポリスチレン標準で較正した後、23℃で、溶離剤としてのDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってDIN EN ISO 13885-2:2021に従って決定した、350~2500g/molの範囲の、特に好ましくは500~1100g/molの範囲の数平均分子量を有するモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0030】
本発明の分散体中に存在する反応生成物は、イオノゲン基、すなわち、潜在的なイオン性基も、イオン性親水化基も有さない。好ましくは、本発明の分散体中に存在する反応生成物は、イオノゲン基もイオン性親水化基も下記の化合物も有さない。特に好ましくは、本発明の分散体中に存在する反応生成物は、イオン性親水化基を有さず、すなわち、以下の単位は、好ましくはa)~d)の反応において使用されない:
モノ-およびジヒドロキシカルボン酸、モノ-およびジアミノカルボン酸、モノ-およびジヒドロキシスルホン酸、モノ-およびジアミノスルホン酸およびモノ-およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ-およびジアミノホスホン酸およびそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N-(2-アミノエチル)アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピル-または-ブチルスルホン酸、プロピレン-1,2-またはプロピレン-1,3-ジアミンエチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIおよびアクリル酸(EP-A 0 916 647、実施例1)の付加生成物およびそのアルカリ金属および/またはアンモニウム塩;2-ブテン-1,4-ジオールへの亜硫酸水素ナトリウムの付加物、ポリエーテルスルホネート、2-ブテンジオールおよびNaHSOのプロポキシル化付加物、例えばDE-A 2 446 440(5-9頁、式I-III)に記載されているもの、N-メチルジエタノールアミン、カルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有する化合物、特に、イオン基または潜在的なイオン基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有する化合物、例えば、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩、またはエチレンジアミンもしくはイソホロンジアミンなどのジアミンおよびアクリル酸(EP-A 0 916 647、実施例1)の付加生成物、またはジメチロールプロピオン酸の付加生成物。
【0031】
本発明に関連して、「イオノゲン基もイオン性親水化基もない」とは、概して、本発明の分散体中に存在する反応生成物に基づいて、少なくともポリウレタンポリマー100g当たり100ミリ当量未満、好ましくは25ミリ当量未満、特に好ましくは1ミリ当量未満、および非常に特に好ましくはポリマー100g当たり1ミリ当量未満が存在することを意味する。
【0032】
成分d)は、ジオール、トリオール、ジアミンおよび/またはトリアミンであり、その目的は、鎖を伸長させること、または分子量を増加させることである。アミノ基とイソシアネート基の間の鎖伸長反応は、ポリウレタンポリアクリレート分散体中の尿素構造単位の形成をもたらす。場合により、ただ1つのアミノ基を有するヒドロキシアミンまたはモノアミンの一定の割合を使用することも可能であり、次いで、これらは連鎖停止剤として作用する。
【0033】
成分d)の例は、エチレンジアミン、プロピレン-1,3-ジアミン、ヘキサメチレン-1,6-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ヒドラジン(水和物)、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドであり、これらは、例えば、Jeffamine(登録商標)の名称で入手可能であり(Huntsman Corp.Europe,Belgiumから)、アルコキシシラン基を含有するモノまたはジアミン、ジエチレントリアミン、モノアミン、例えば、ブチルアミンまたはジエチルアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、およびヒドロキシアミン、例えば、ジエタノールアミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン、およびビスヒドロキシエチルエチレンジアミンである。好ましくは、直鎖脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン、ヒドラジン(水和物)またはヘキサメチレン-1,6-ジアミンおよび場合により脂肪族トリアミン、例えばジエチレントリアミンである。
【0034】
成分d)が本発明に従って使用される場合、鎖伸長度が30~200%、好ましくは50~150%、特に好ましくは70~110%となるような量で使用される。
【0035】
鎖伸長度は、成分a)、b)、およびc)を反応させることによって得られるプレポリマーA)中のイソシアネート基の当量に対する、成分d)中のアミノ基の当量の割合として定義される。この定義による100%の鎖伸長度は、成分d)中のアミノ基の当量の量が、プレポリマーA)中のイソシアネート基の当量の量に正確に対応する場合に得られる。
【0036】
使用され得るジオールおよびトリオールの例は、低分子量アルコール、例えば、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコールおよび/またはトリメチロールプロパン、エトキシル化および/またはプロポキシル化ジオールおよび/またはトリオール、例えばジエチレングリコールまたはトリメチロールプロパンをベースとするもの、700~2200g/molの範囲の数平均分子量を有するポリカーボネートジオール、400~2000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、400~2000の範囲の数平均分子量Mnを有し、不飽和脂肪酸を含有するアルキド樹脂、および/または不飽和基を含有するオリゴマー、および/またはヒドロキシ官能性および/またはイソシアネート非反応性液体ポリマー、例えば400~2000の範囲の数平均分子量Mnを有するエポキシ(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートである。ヒドロキシル基を介したポリマーへの部分的または完全な組み込みが可能である。数平均分子量は、それぞれ、ポリスチレン標準を用いた較正後に、23℃で、溶離剤としのDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、DIN EN ISO 13885-2:2021に従って、決定される/決定された。
【0037】
オリゴエステルは、カルボン酸、例えばアジピン酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー脂肪酸、大豆油脂肪酸、安息香酸および/またはグルタル酸の、アルコール、例えばネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、TCDジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールおよび/またはペンタエリスリトールとのエステル化によって得られる。アジピン酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸および/または無水ヘキサヒドロフタル酸を、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロールおよび/またはトリメチロールプロパンと使用することが好ましい。イソフタル酸および無水フタル酸を、場合によりアジピン酸およびネオペンチルグリコールと組み合わせて、場合によりトリメチロールプロパンと組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0038】
好ましい実施形態において、低分子量ジオール、例えばブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび/またはポリマージオール、例えばポリカーボネートジオールまたはポリエステルジオール、またはエポキシアクリレート、エステルアクリレートおよび/またはポリエステルアクリレートが、成分d)として使用される。
【0039】
さらに好ましい実施形態において、240~500mgKOH/g(DIN EN ISO 4629-2:2016に従って決定される)、好ましくは300~500mgKOH/g物質の水酸基価(OH価)、および200~400g/molの範囲、好ましくは250~390g/molの範囲の数平均分子量Mwを有するオリゴエステルが、成分d)として使用される。数平均分子量は、それぞれ、ポリスチレン標準を用いた較正後に、23℃で、溶離剤としのDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、DIN EN ISO 13885-2:2021に従って、決定される/決定された。
【0040】
好ましい実施形態において、成分d)は、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン(水和物)、ヘキサメチレン-1、6-ジアミン、ジエチレントリアミンおよび/またはポリマージオール、特にポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、およびポリエステルアクリレートからなる群より選択され、ここで、ポリマージオールは、ポリスチレン標準を用いた較正後に、23℃で、溶離剤としのDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、DIN EN ISO 13885-2:2021に従って決定して、700~2200g/molの範囲の数平均分子量を有することが好ましく、成分d)は、特に好ましくは、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン(水和物)、ヘキサメチレン-1、6-ジアミンおよび/またはジエチレントリアミンからなる群より選択される。
【0041】
本発明の分散体は、他の水性分散体との混合物として使用することもできる。これらは、不飽和基も含有する分散体、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリマーおよび/またはポリアクリレートをベースとする不飽和、重合性基を含有する分散体であってもよい。
【0042】
例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリマーまたはポリアクリレートをベースとし、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基またはイソシアネート基などの官能基を含有する分散体を混合することも可能である。例えば、2つの異なる機構を介して硬化可能な二重硬化系を製造することができる。
【0043】
本発明はまた、本発明のUV硬化性ポリイソシアネート系分散体およびアミノ樹脂をベースとする架橋剤および/またはポリイソシアネートおよび/またはブロックされたポリイソシアネートを含むコーティング剤を提供する。
【0044】
好適なアミノ架橋樹脂は、例えば、メラミンまたは尿素をベースとするものである。好適なポリイソシアネートは、例えば、a)の記載の下で言及されるものである。ポリイソシアネートに原則的に好適な親水化剤、例えばポリエーテルをベースとするものは、c)の記載に言及されている。好適なブロッキング剤の例は、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、アセトキシム、ブタノンオキシム、カプロラクタム、フェノール、ジエチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルピラゾール、トリアゾール、ジメチルトリアゾール、エチルアセトアセテート、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、tert-ブチルベンジルアミン、エチルシクロペンタノンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアミンおよび/またはtert-ブチルイソプロピルアミンである。
【0045】
官能基を有さない、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリビニルエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、塩素化ゴム、ポリカーボネート、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリマーまたはポリアクリレートをベースとする分散体を混合することも可能である。
【0046】
また、本発明の分散体との組み合わせに好適なのは、反応性希釈剤として知られているもの、不飽和基を有する低粘度化合物、例えば、ヘキサンジオールビスアクリレート、トリメチロールプロパントリスアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートまたはビスフェノールA系ジエポキシドビスアクリレートであり得る。本発明はまた、本発明のUV硬化性ポリイソシアネート系分散体および1つまたは複数のさらなる分散体を含む結合剤の組み合わせを提供する。
【0047】
本発明の分散体は、不飽和基を含有する水不溶性または水分散性オリゴマーまたはポリマーとの混合物として使用することもでき、ここで、不飽和基を含有する水不溶性または水分散性オリゴマーまたはポリマーは、分散前に本発明の分散体に添加され、それによって本発明の分散体はこれらの物質のためのポリマー乳化剤として働く。好ましい混合物は、本発明の分散体および不飽和基を含有する水不溶性または水分散性のオリゴマーまたはポリマーを含む結合剤の組み合わせである。
【0048】
本発明はまた、本発明の分散体の製造方法であって、イソシアネート官能性プレポリマーA)が、成分b)およびc)を、1つまたは複数の反応工程において、過剰の成分a)と反応させ、次いで、プレポリマーA)を形成するための水の添加または水性レシーバー容器へのプレポリマーA)の移送による分散工程を行い、次いで、成分d)の添加による鎖伸長工程を行うことにより得られる方法を提供する。
【0049】
本発明はまた、本発明の分散体の製造方法であって、イソシアネート官能性プレポリマーA)が、成分a)、b)およびc)を、1つまたは複数の反応工程において、過剰の成分a)で、反応させ、次いで、成分d)の添加による鎖伸長工程を行い、次いで、プレポリマーA)を形成するための水の添加または水性レシーバー容器へのプレポリマーA)の移送による分散工程を行うことにより得られる方法を提供する。
【0050】
本発明の分散体は、一般に25重量%~65重量%、好ましくは35重量%~60重量%の固形分(不揮発分)を有する。
【0051】
本発明の方法において、有機溶媒および/または触媒をプレポリマーA)の製造に使用することができる。プレポリマーA)または本発明の分散体を製造するための好適な触媒は原則として、ヒドロキシル基とイソシアネート基の反応を触媒する全てのものであり、例えば、第三級アミン、スズ化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物および/またはビスマス化合物、好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、スズジオクトエートまたはジブチルスズジラウレートである。亜鉛、チタンおよびモリブデンの塩も好適である。好適な量は例えば、0.002重量%~1重量%、好ましくは0.01重量%~0.1重量%である。反応は、触媒を使用せずに実施することもできる。
【0052】
本発明の分散体は、一般に20~150℃、好ましくは25~75℃で製造される。
【0053】
本発明の方法において、成分d)は、水および/または有機溶媒で希釈して存在してもよい。次いで、場合により使用される溶媒を蒸留によって除去することができる。溶媒を使用しない製造が可能であるが、有機溶媒中での製造が好ましい。
【0054】
本発明の分散体は一般に、5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満の有機溶媒を含有する。
【0055】
3重量%~50重量%のアセトン(アセトン溶液の不揮発性画分)、特に好ましくは5重量%~25重量%のアセトン中での製造、その後の、分散体の製造後または分散工程中における溶媒の蒸留除去が好ましい。
【0056】
好適な溶媒は原則として、反応成分と反応しない全ての溶媒または溶媒混合物であり、例えば、N-ブチルピロリドン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メトキシプロピル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、キシレン、トルエン、溶媒ナフサ、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、およびアセトンである。次いで、これらの溶媒のいくつかを、蒸留によって完全にまたは部分的に除去することができる。本発明の分散体が製造された後、さらなる溶媒、例えばブチルジグリコール、メトキシプロパノールまたはブチルグリコールなどのヒドロキシ官能性溶媒を添加することも可能である。
【0057】
本発明の分散体は、ガラス繊維サイジングを製造するために使用することができる。
【0058】
したがって、本発明は、ガラス繊維サイジングを製造するための本発明の分散体の使用にも関する。
【0059】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの分散体を含むガラス繊維サイジングに関する。
【0060】
本発明はまた、本発明の分散体を用いて得られるサイジングを備えたガラス繊維に関する。
【0061】
ガラス繊維サイジングは一般に、本発明の分散体、任意に少なくとも1の結合剤、ならびに任意に助剤および添加剤を含む。
【0062】
水性サイジング組成物を製造するために、存在する成分は、好ましくは任意の順序で次々に、または同時に混合される。
【0063】
好ましくは本発明の水性ガラス繊維サイジングは、さらなる結合剤、例えば、ポリウレタン分散体、ポリアクリレート分散体、ポリウレタン-ポリアクリレートハイブリッド分散体、ポリビニルエーテルまたはポリビニルエステル分散体、ポリスチレンまたはポリアクリロニトリル分散体(他のブロックされたポリイソシアネートおよびアミノ架橋樹脂、例えばメラミン樹脂との組み合わせを含む)を任意に含んでもよい。好ましい実施形態では、本発明の分散体以外の他の結合剤は、使用されない。
【0064】
本発明のガラス繊維サイジングは、通例の助剤および添加剤、例えば消泡剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、触媒、皮張り防止剤、沈降防止剤、酸化防止剤、可塑剤、反応性希釈剤、乳化剤、殺生物剤、接着促進剤、例えば公知の低分子量または高分子量シランをベースにしたもの、潤滑剤、湿潤剤、帯電防止剤である。
【0065】
使用される接着促進剤は、例えば公知のシラン接着促進剤、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシランまたはトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランまたは3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランである。本発明のガラス繊維サイジング中の、シラン接着促進剤の濃度は、いずれの場合もサイジング全体に基づいて、好ましくは0.05重量%~2重量%、特に好ましくは0.15重量%~0.85重量%である。
【0066】
本発明のガラス繊維サイジングは、1つまたは複数の非イオン性および/またはイオン性潤滑剤を含むことができ、これは、例えば、以下の物質群から選択することができる:脂肪アルコールまたは脂肪アミンのポリアルキレングリコールエーテル、ポリアルキレングリコールエーテルおよび12~18個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセロールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび/またはアルキレンアミンの12~18個の炭素原子を有する高級脂肪酸アミド、第四級窒素化合物、例えばエトキシル化イミダゾリニウム塩、鉱油、およびワックス。1つまたは複数の潤滑剤は、好ましくは、ガラス繊維サイジング全体に基づいて、0.05重量%~1.5重量%の合計濃度で使用される。
【0067】
本発明のガラス繊維サイジングは、1つまたは複数の帯電防止剤、例えば、塩化リチウム、塩化アンモニウム、Cr(III)塩、有機チタン化合物、アリールアルキルスルフェートまたはスルホネート、アリールポリグリコールエーテルスルホネートまたは第四級窒素化合物を含んでもよい。帯電防止剤は、好ましくは、ガラス繊維サイジング全体に基づいて、0.01重量%~0.8重量%の濃度で使用される。
【0068】
さらに、本発明のガラス繊維サイジングは、例えば、K.L.Loewenstein「The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibres」、Elsevier Scientific Publishing Corp.、Amsterdam、London、New York、1983に記載されているような、従来技術から公知のさらなる助剤および添加剤をさらに任意に含んでもよい。
【0069】
本発明のガラス繊維サイジングは、それ自体公知の方法によって製造することができる。例えば、好適な混合容器に、必要とされる全水の約半分と、結合剤、硬化剤を添加し、次いで、潤滑剤および他の慣用の助剤を、使用される場合、撹拌しながら添加する。次いで、pHを好ましくは5~7に調整し、製造業者(例えば、UCC、New York)の指示に従って製造された、接着促進剤の加水分解物、例えば、トリアルコキシシランの加水分解物を添加する。例えば15分の、さらなる撹拌時間の後、サイジングは、使用の準備ができており、必要であれば、pHをさらに5~7に調整する。
【0070】
ガラス繊維サイジングは、任意の所望の方法によって、例えば、スプレーまたはローラーアプリケーターなどの適切な装置を使用して、ガラス繊維に適用され得る。
【0071】
好適なガラス繊維は、ガラス繊維製造に使用される既知のタイプのガラス、例えばタイプE、A、C、およびSガラス、ならびにガラス繊維製造業者からそれ自体知られている他の製品の両方である。好ましいのは、タイプEガラス繊維であり、これは、アルカリが存在せず、引張強度が高く、プラスチックの強化用の弾性率が高いため、連続ガラス繊維の製造に使用される。
【0072】
ガラス繊維の製造方法、サイジング処理、および再処理の方法は公知であり、例えば、K.L.Loewenstein「The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibres」、Elsevier Scientific Publishing Corp.、Amsterdam、London、New York、1983に記載されている。
【0073】
ガラス繊維サイジングは通常、紡糸口金から高速で延伸されたガラスフィラメントに、固化した直後、すなわち巻き取る前に、適用される。しかしながら、紡糸工程後に浸漬浴中で繊維をサイジング処理することも可能である。サイジング処理されたガラス繊維は例えば、切断されたガラスに加工されてもよく、これは、湿式または乾式のいずれかで行われてもよい。サイジングの割合は、サイジング処理されたガラス繊維に基づいて、好ましくは0.1重量%~5.0重量%、特に好ましくは0.1重量%~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.3重量%~1.5重量%である。
【0074】
1つの変形例では、サイジング処理されたガラス繊維が、いくつかの段階で乾燥される:最初に、存在する水および任意の溶媒が熱、対流、熱放射および/または除湿空気によってサイジングから除去される。次いで、これに続いてUV照射による硬化が行われる。従来技術の照射装置が使用される。高圧または中圧水銀ランプが好ましく、これは、場合によりガリウムまたは鉄などの元素でドープされていてもよい。複数の照射装置を次々に、隣り合わせに、または任意の所望の三次元配置で組み合わせることも有用であり得る。また、30~200℃で、高温でUV照射を実施することも好都合であり得る。
【0075】
別の変形例では、サイジング処理されたガラス繊維が、本質的に物理的乾燥を受ける:存在する水および任意の溶媒が熱、対流、熱放射および/または除湿空気によってサイジングから除去され、その結果、存在するアクリレート基はこの段階ではほとんど反応せず、アクリレート基として残る。この変形例が好ましい。
【0076】
次いで、サイジング処理されたガラス繊維をマトリックスポリマーに組み込むことができる。多数の熱可塑性樹脂または熱硬化性ポリマーをマトリックスポリマーとして使用することができる。好適な熱可塑性ポリマーの例は:ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリマー、例えばスチレン/アクリロニトリルコポリマー、ABS、ポリメタクリレートまたはポリオキシメチレン、芳香族および/または脂肪族ポリアミド、例えばポリアミド6またはポリアミド6,6、重縮合物、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリアリールエステル、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルまたはポリエーテルケトンまたはポリウレタンなどの重付加物である。熱硬化性ポリマーとしては、例えば:エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、アクリレート官能性樹脂、メタクリレート官能性樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアヌレート、エポキシ/イソシアヌレート組み合わせ樹脂、フラン樹脂、シアヌレート樹脂、およびビスマレイミド樹脂が挙げられる。ポリマーマトリックスへの組み込みは、当業者に公知の一般的な慣用の方法(例えば、押出)に従って行うことができる。好ましい変形例では、未硬化マトリックス単位が、二重結合を有する基、例えば、アリル基、ビニル基、アクリレート基、オレフィン基またはメタクリレート基を含有する。次いで、これらは、好ましくは、例えば、UV光、電子ビーム、熱、フリーラジカル開始剤、または言及された方法の組み合わせによって開始される、硬化を受ける。硬化は、当業者に公知の一般的な方法に従って行うことができる。
【0077】
本発明はまた、ガラス繊維強化プラスチックを製造する方法であって、少なくとも以下の工程:
(A)サイジング処理されたガラス繊維を得るために、本発明のガラス繊維サイジングをガラス繊維に適用する工程、
(B)サイジング処理されたガラス繊維をプラスチックマトリックスに導入する工程、および
(C)ガラス繊維強化プラスチックを得るために、ガラス繊維サイジングのアクリレート基を、プラスチックマトリックスの基と少なくとも部分的に化学的に反応させて、共有結合の形成を伴う工程
を含む方法に関する。
【0078】
好適なプラスチックは、すでに上述されている。温度、圧力、好適な装置などのプロセスパラメータは、それ自体当業者に知られている。
【0079】
本発明は、実施例によって説明される。
【実施例
【0080】
使用化学物質:
Desmodur(登録商標)Ultra N 3300 ヘキサメチレンジイソシアネートをベースにするイソシアヌレート、Covestro Deutschland AG、Leverkusen、DE
他の化学物質は特に明記しない限り、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Taufkirchen、Germany)から入手した。
【0081】
別段の記載がない限り、全てのパーセンテージは、重量パーセント(重量%)である。
【0082】
別段の記載がない限り、全ての分析測定は、23℃の温度で実施した。
【0083】
報告された粘度は、Anton Paar Germany GmbH、Ostfildern、Germanyからの回転粘度計を用いて、DIN 53019-2008に従い、23℃で回転粘度計により決定した。
【0084】
NCO含有量は、特に明記しない限り、DIN-EN ISO 11909-2007に従って、容積測定により決定した。
【0085】
報告された粒径は、脱塩水で試料を希釈した後、レーザー相関分光法(装置:Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)によって決定した。
【0086】
固形分は、秤量した試料を120℃に加熱することにより決定した。一定の重量で、固形分を、試料を再計量することによって計算した。
【0087】
遊離NCO基のモニタリングは、赤外分光法(2260cm-1のバンド)によって行った。
【0088】
保存試験として、分散体250mlを室温、40℃で保存した。試料を、沈殿物の形成について視覚的にモニターした。沈殿物を有する試料は、不安定であると判断された。
【0089】
本出願において言及される全ての分子量またはモル質量は、特に明記しない限り、ポリスチレン標準を使用して較正して、23℃で、溶離剤としてDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)中、DIN EN ISO 13885-2:2021に従い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により定義される。
【0090】
OH価(水酸基値)は、DIN EN ISO 4629-2:2016に従って決定/定義される。
【0091】
発明例
標準撹拌装置に、135gのアセトン中の、344gのDesmodur Ultra N 3300、0.2gの塩化スズ(II)、0.03gのフェノチアジン、および0.59gのブチルヒドロキシトルエンを入れ、50℃に加熱した。次いで、161gの2-ヒドロキシエチルアクリレートを溶液にゆっくりと添加し、混合物を沸騰アセトン中で3時間反応させた。次いで、750g/molの数平均モル質量を有する128.3gのメトキシポリエチレングリコールおよび7.0gのブタン-1,4-ジオールを加え、イソシアネート基がIR分光法によってもはや検出できなくなるまで沸騰させながら混合物を撹拌した。次いで、783gの脱イオン水を激しく撹拌しながら添加し、アセトンを減圧下で、40℃で留去した。
【0092】
得られた分散体は以下の特性を有していた:
固形分:約44重量%
pH:約3.4
粘度:約108mPa・s
平均粒径(LCS):88nm
分散体は、室温および40℃で、いずれの場合も少なくとも4週間の保存に対して安定であった。この間、相分離は生じなかった。
【0093】
ガラス繊維サイジングの例示的な配合物
一般的なガラス繊維サイジングにおける基本的な適合性を調べるために、以下の表に従って例示的な配合物を製造し、室温で12日間保存した。
【0094】
例示的な配合物:
【0095】
【表1】
【0096】
観察:粘度の変化および相分離は、室温で12日間にわたって観察されなかった。
【国際調査報告】