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特表2024-524331スプロケット歯に挿入されたローラアセンブリを有するスプロケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】スプロケット歯に挿入されたローラアセンブリを有するスプロケット
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/12 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B62D55/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579726
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022035045
(87)【国際公開番号】W WO2023283068
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】17/368,048
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラト、マイケル スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ルイス シー.
(72)【発明者】
【氏名】アキンルア、テミトペ オー.
(57)【要約】
本発明は、スプロケット歯に挿入されたローラアセンブリを有するスプロケットを提供する。履帯式機械のスプロケット(100)と共に使用するためのスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)は、第1ブッシング接触面(206、306)、第2ブッシング接触面(206a、306a)、第1ブッシング接触面(206、306)と第2ブッシング接触面(206a、306a)との間に円周方向に延びる上面(208、308)を有する歯(204、304)を含む、第1円周スプロケットセグメント(202、302)を含む。第1ブッシング接触面(206、306)はキャビティ(210、310)を画定し、ローラ(212)はキャビティ(210、310)内に配置され、第1ブッシング接触面(206、306)から突出して延びる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履帯式機械(10)のスプロケット(100)と共に使用するためのスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)であって、前記スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)は、半径方向(R)、円周方向(C)および軸方向(A)を画定し、前記スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)は、
第1ブッシング接触面(206、306)、第2ブッシング接触面(206a、306a)、前記第1ブッシング接触面(206、306)と前記第2ブッシング接触面(206a、306a)との間に円周方向に延びる上面(208、308)を有する少なくとも1つの歯(204、304)を含む少なくとも1つの第1円周スプロケットセグメント(202、302)を含み、
前記第1ブッシング接触面(206、306)は、中央キャビティ(210、310)と、前記中央キャビティ(210、310)を軸方向に貫通するスリット(214、314)とを画定する、スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項2】
前記スリット(214、314)は、スリット軸方向寸法(216、316)を画定し、前記中央キャビティ(210、310)はスリット軸方向寸法(216、316)よりも小さい中央キャビティ軸方向寸法(218、318)を画定し、前記中央キャビティ内に配置されたローラーをさらに含む、請求項1に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項3】
前記中央キャビティ(210、310)は、前記中央キャビティ半径方向寸法(220)を画定し、前記スリット(214、314)は、前記中央キャビティ半径方向寸法(220)よりも小さいスリット半径方向寸法(222)を画定する、請求項2に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項4】
前記スリット(214、314)は、前記中央キャビティ(210、310)に対して半径方向および軸方向の中央にある、請求項3に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項5】
前記上面(208、308)は、前記中央キャビティ(210、310)まで半径方向に延びる上部キャビティ(224、324)を画定し、前記上部キャビティ(224、324)は、前記中央キャビティ(210、310)およびスリット(214、314)と連通している、請求項4に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項6】
前記上部キャビティ(224)は、前記スリット軸方向寸法(216)以上の上部キャビティ軸方向幅(226)を画定する、請求項5に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200)。
【請求項7】
前記中央キャビティ(210、310)、前記スリット(214、314)および前記上部キャビティ(224、324)内に配置されたバネ付きローラサブアセンブリ(400)をさらに含み、前記バネ付きローラサブアセンブリ(400)は、ローラー(212)、ヨーク(402)および圧縮バネ(404)を含む、請求項5に記載のスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【請求項8】
前記ローラ(212)は、前記中央キャビティ半径方向寸法(220)よりも小さい直径(D212)を画定し、前記ヨーク(402、502)は、前記中央キャビティ軸方向寸法(218、318)よりも大きいヨーク軸方向幅(W402、W502)を画定し、前記上部キャビティ(224、324)と前記中央キャビティ(210、310)との交点によって形成される張り出し部(228)と係合し、前記ヨーク(402、502)は、前記圧縮バネ(404)によって囲まれた後方に延びるボス(406)を含む、請求項7に記載のスプロケットアセンブリ(200、300)。
【請求項9】
前記上部キャビティ(224、324)を覆うキャップ(230)をさらに含み、前記ローラ(212)は前記第1ブッシング接触面(206、306)に対して突出している、請求項8に記載のスプロケットアセンブリ(200、300)。
【請求項10】
履帯式機械のスプロケット(100)と共に使用するためのスプロケットセグメントアセンブリ(200、300)であって、前記スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)は、半径方向(R)、円周方向(C)および軸方向(A)を画定し、前記スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)は、
第1ブッシング接触面(206、306)、第2ブッシング接触面(206a、306a)、前記第1ブッシング接触面(206、306)と前記第2ブッシング接触面(206a、306a)との間に円周方向に延びる上面(208、308)を有する少なくとも1つの歯(204、304)を含む少なくとも1つの第1円周スプロケットセグメント(202、302)と、
前記第1ブッシング接触面(206、306)を越えて延びるローラ(212)と、を含む、スプロケットセグメントアセンブリ(200、300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、磨耗に耐えるように設計されたトラックアイドラ、トラックローラ、スプロケット等の回転トラックガイドコンポーネントに関する。より具体的には、本開示は、トラック(例えば、トラックブッシング)とスプロケットとの間の摩耗量を低減するためのローラアセンブリを含むトラックガイドコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
履帯式機械は通常、機械の推進中に地面と係合する機械の両側に履帯チェーンを使用する。複数の個別リンクは、ブッシングおよびピン配列を介して枢動可能に結合されてトラックチェーンを形成する。機械エンジンによって駆動されるスプロケットは、ブッシングと係合し、チェーンを1つまたは複数のアイドラプーリの周りに並進させる。チェーンが並進すると、接続されたリンクは、結合されたトラックシューなどを介して機械の下の地面と係合し、地面上で機械を推進する。トラックチェーンは、内側リンクと外側リンクが交互になったストレートリンクチェーンにすることも、すべてのリンクが同様であるオフセットリンクチェーンにすることもできる。どちらのタイプのトラックチェーンでも、時間の経過とともに要素、特に機械を推進するためにスプロケットと継続的に係合しているブッシュが摩耗する。
【0003】
ドイツ特許番号DE 4443590 C2は、スプロケットの歯の間の谷に配置された複数のバネ付きインサートを開示している。これらのバネ付きインサートは、トラックチェーンがスプロケットに噛み合うときに発生する騒音を低減するように設計されている。
【0004】
従って、スプロケットが嵌合する履帯チェーンのブッシュに生じる磨耗量を低減するのに役立つ装置を備えたスプロケットが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、履帯式機械のスプロケットと使用するためのスプロケットセグメントアセンブリを提供することができる。スプロケットセグメントアセンブリは、半径方向、円周方向、および軸方向を画定してもよい。スプロケットセグメントアセンブリは、第1ブッシング接触面、第2ブッシング接触面、第1ブッシング接触面と第2ブッシング接触面との間に円周方向に延びる上面を有する少なくとも1つの歯を含む少なくとも1つの第1円周スプロケットセグメントを含んでもよい。ローラーは第1ブッシング接触面から突出して配置されてもよい。
【0006】
別の態様では、トラックアセンブリと共に使用するためのスプロケットが提供される。スプロケットは、半径方向、円周方向および軸方向を画定してもよい。スプロケットは、第1ブッシング接触面、第2ブッシング接触面、第1ブッシング接触面と第2ブッシング接触面との間に円周方向に延びる上面を有する少なくとも1つの歯を含む少なくとも1つの第1円周スプロケットセグメントを含んでもよい。第1ブッシング接触面は、上面から半径方向に延びる第1キャビティと、第1ブッシング接触面から第1キャビティまで延びる第2キャビティとを画定してもよい。
【0007】
また、ローラー、ヨークおよび圧縮バネを含むことができるバネ付きローラサブアセンブリスプロケットまたはスプロケットセグメントアセンブリも提供され得る。ヨークは2つのアームを含んでいてもよく、ローラーはヨークに回転可能に取り付けられた2つのアームの両端面を含む円筒形本体を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な機械の斜視図であり、例示的な機械の拡大断面が履帯チェーンアセンブリのスプロケットとブッシュとの係合を示している。スプロケットは、その周囲にトラックチェーンアセンブリのブッシングと係合する複数のバネ付きローラーを含む。
図2図1のスプロケットの一部を拡大した図であり、スプロケットの歯の側面に配置されたバネ付きローラーをより明確に示している。
図3図2のスプロケットの斜視図であり、歯の側面のキャビティ内に配置されたバネ付きローラーを示している。
図4図3のスプロケットアセンブリの線4-4に沿って切り取られた断面図であり、バネ付きローラー、そのヨーク、およびバネが配置された内腔を示している。
図5図4のスプロケットから取り外されたバネ付きローラー、ヨークおよび圧縮バネの斜視図である。スナップまたは戻り止めを使用して、ローラーをヨークに回転可能に取り付ける。
図6】本開示の別の実施形態による、ローラーをヨークに取り付けるための軸部材を受け入れる延長スロットを有する別のスプロケットの斜視図である。
図7図6で使用されるバネ付きローラー、ヨーク、軸部材、圧縮バネの斜視図である。キャップスクリューの形態の軸部材が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的および説明的なものにすぎず、請求項に係る特徴を限定するものではない。本明細書で使用されるように、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「備える(including)」、またはその他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない、またはプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素も含むことができるように、非排他的包含をキャップすることを意図している。本開示では、相対的な用語、例えば「約」、「実質的に」、および「およそ」は、値の±10%の可能な変化を表すために使用される。
【0010】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を図面に示す。可能な限り、図面において、同一の参照番号を使用して同一または類似の部品を示す。場合によっては、参照番号は本明細書で表され、図面は参照番号の後に文字、例えば100a、100b、または100’、100’’などのプライムが続くことを示す。参照番号の直後に英文字またはプライムを使用することは、幾何学的形状が対称平面鏡像を囲む場合によく見られるように、これらのフィーチャが同様の形状および同様の機能を有することを示すことが理解されるべきである。本明細書における説明を容易にするために、文字およびプライムは多くの場合本明細書に含まれないが、本明細書内で論じられる類似または同一の機能または幾何学的形状を有する特徴の重複を示すために図面に示される場合がある。
【0011】
図1は、本開示によるトラックアセンブリ12を有する機械10を示す。機械10は、履帯式トラクター、あるいは鉱業、建設、農業、運送業、あるいは当技術分野で知られている他の産業で何らかの種類の作業を行う任意の移動機械、例えばブルドーザー、掘削機、ローダー、バックホー、モーターグレーダー、またはその他の土木機械などの産業でであってよい。一態様では、機械10は、中型トラックタイプのトラクターであってもよい。しかしながら、他の態様では、機械10は、小型トラックタイプのトラクターや大型トラックタイプのトラクターなどであってもよい。トラックリンクアセンブリまたはトラックチェーンアセンブリとも呼ばれるトラックアセンブリ12は、機械10の車台アセンブリ14に結合され、機械エンジンまたは他の動力源(図示せず)によって少なくとも1つの駆動ギアまたはスプロケット100を介して駆動されてもよい。機械10の各側に個別のトラックアセンブリ12が結合されてもよく、各トラックアセンブリ12は個別の環状リングを形成する。複数のトラックシュー18は、地面との係合を助けるために、トラックアセンブリ12の外面に結合されてもよい。
【0012】
トラックアセンブリ12は、類似した構造を有する複数のリンクサブアセンブリを含むチェーンであってもよく、各リンクサブアセンブリは一対のリンクを含んでもよい。一対のリンクは、リンク22と、リンク22と間隔をおいて対向する平行な一対のリンク(側面図である図1の拡大部分には示されていない)とを含んでもよい。リンク22およびそれぞれの対をなすリンクは、直線リンクまたはオフセットリンクであってもよく、各リンクは、それぞれの反対端に穴(例えば、第1端部穴および第2端部穴)を含む。
【0013】
連続したリンクサブアセンブリは、ピン16およびブッシング20を介して結合されてもよい。例えば、第1リンクサブアセンブリを後続の第2リンクサブアセンブリに結合するために、ピン16を第1リンクサブアセンブリのリンクの第1端部穴に固定して収容し、ブッシング20を第2リンクアセンブリのリンクの第2端部穴に固定して収容してもよい。したがって、ピン16およびブッシング20は、2つのリンクサブアセンブリ24を共に結合してトラックアセンブリ12の一部を形成する。
【0014】
各ピン16は、実質的に円筒形のロッドであってもよく、ブッシング20を介して滑り嵌めされるようなサイズであってもよい。各ブッシング20は、ほぼ円筒形であってもよく、円筒形のチャネルがボアとしてブッシング20を通って長手方向に延びている。ボアおよびピンは一定の直径を有してもよいが、必ずしもそうではない。
【0015】
スプロケットとブッシュの間の相互作用により、摩耗や必要なメンテナンスが発生し、機械のダウンタイムが発生することがよくある。このようなブッシングの摩耗の問題を解決するには、スプロケット自体にローラーを配置することができる。これにより、ブッシングとスプロケットとの間に生じる滑り摩耗を解消することができる。このソリューションもシンプルでコスト効率が高い場合がある。
【0016】
図1および図2を参照すると、スプロケット100は、多くの場合、ハブ104に取り付けられた複数のスプロケットセグメント102を有するアセンブリであることが理解される。しかしながら、スプロケットは実質的に単一の材料片などで作製され得ることが想定される。本開示の様々な態様は、ハブに取り付けることができる図2に示されたスプロケットセグメントアセンブリのようなスプロケットセグメントアセンブリを含んでもよい。
【0017】
図2に示すように、スプロケットセグメントアセンブリ200は、半径方向R、円周方向C、および軸方向A(図1も参照)を画定してもよい。スプロケットセグメントアセンブリ200は、1つの円周スプロケットセグメント202(ハブと一体の単一セグメントであってもよく、ハブに固定された複数のセグメントなどであってもよい。)を含んでもよい。円周スプロケットセグメント202は、第1ブッシング接触面206、第2ブッシング接触面206a、第1ブッシング接触面206と第2ブッシング接触面206aとの間に周方向に延びる上面208とを有する少なくとも1つの歯204を含む。第1ブッシング接触面206(場合によっては206a)は、中央キャビティ210を画定してもよく、ローラー212は中央キャビティ210内に配置され、第1ブッシング接触面206から(例えば、越えてまたは超えて)突出してもよい。ローラーは、トラックのブッシングに転がり接触し、滑り摩耗の量を低減することができる。
【0018】
図3および図6を参照すると、スプロケットセグメントアセンブリ200、300およびそれぞれのセグメント202、302の様々な形態を見ることができる。第1ブッシング接触面206、306は、中央キャビティ210、310と、中央キャビティ210を軸方向に貫通するスリット214とを画定してもよい。スリット214、314は、スリット軸方向寸法216、316を画定してもよく、中央キャビティ210、310は、スリット軸方向寸法216、316よりも小さい中央キャビティ軸方向寸法218、318を画定してもよい。図6では、スリット314は、歯を完全に通って延びている。これは図3の場合には当てはまらない。
【0019】
図3に示すように、中央キャビティ210は中央キャビティ半径方向寸法220を画定し、スリット214は中央キャビティ半径方向寸法220よりも小さいスリット半径方向寸法222を画定する。さらに、スリットは、中央キャビティに対して半径方向および軸方向の中央にある。図6の設計についても同様の記載が可能である。このようなキャビティの構造配置は、「+」または「t」の形の構造を形成することができる。
【0020】
ここで、図4に示すように、上面208は、中央キャビティ210まで半径方向に延びる上部キャビティ224を画定し、上部キャビティは中央キャビティおよびスリットと連通している。常にそうであるとは限らない。また、上部キャビティ224は、スリット軸方向寸法216以上の上部キャビティ軸方向幅226を画定する。これは図6の場合には当てはまらない。
【0021】
加えて、バネ付きローラサブアセンブリ400は、中央キャビティ210、スリット214、および上部キャビティ214内に配置されてもよい。バネ付きローラサブアセンブリ400は、ローラー212、ヨーク402および圧縮バネ404を含んでもよい。図6の設計についても同様の記載が可能である。
【0022】
ローラー212は、中央キャビティ半径方向寸法よりも小さい直径D212を画定してもよく、ヨーク402、502は、中央キャビティ軸方向寸法218よりも大きいヨーク軸方向幅W402、W502を画定してもよく、上部キャビティ224と中央キャビティ210との交点によって形成される張り出し部228と係合する。ヨーク402は、圧縮バネ404に囲まれた後方に延びるボス406をさらに含んでもよい。ボス406の外径は、圧縮バネ404の内径よりも僅かに大きくてもよく、組立時等にヨークへのバネの取付保持を容易にする。キャップ230は、破片や汚れなどの侵入を防ぐのに役立つように、組み立て後に上部キャビティ224を覆う、および/または上部キャビティ224内に挿入されてもよい。図6の設計についても同様の記載が可能である。図4および図6において、ローラー212は、第1ブッシング接触面206、306に対して突出していてもよい。第2ブッシング接触面206a、306aおよびそのバネ付きローラサブアセンブリ400についても同様の記載が可能である。
【0023】
次に、図3および図6から、代替コンポーネントとして、または前述のコンポーネントを形成するために提供されることができる第1円周スプロケットセグメント202、302について説明する。セグメント202、302は、第1ブッシング接触面206、306、第2ブッシング接触面206a、306a、第1ブッシング接触面206、306と第2ブッシング接触面206a、306aとの間に円周方向に延びる上面208、308を有する少なくとも1つの歯304を含んでもよい。本明細書で前述したように、第1ブッシング接触面206、306は、上面208、308から半径方向に延びる第1キャビティ(例えば、上部キャビティ224、324)と、第1ブッシング接触面206、306から第1キャビティまで延びる第2キャビティ(例えば、スリット214、314または中央キャビティ210、310)とを画定してもよい。
【0024】
第1キャビティ(例えば、上部キャビティ224、324)は、第1ブッシング接触面206、306と上面208、308との交点234、334から離れて、前側エッジ236を形成することができる(図4を参照して、図6の設計に存在すると理解される)。第2キャビティ(例えば、中央キャビティ210、310)は、第1ブッシング接触面206、306と上面208、308との交点234、334から離れて、上部張り出し部238を形成することもできる(図4を参照して、図6の設計に存在すると理解される)。しかし、図6に示すように、これは、コーナー部材333にバネ付きローラサブアセンブリ500を収容する必要なキャビティを設けることができるように完全なノッチ332が形成される場合には当てはまらない可能性がある。使用される場合、コーナー部材は、スプロケットセグメントがハブなどに固定されるのと同様の方法でスプロケットセグメントに固定されてもよい。他の形式の固定または取り付けも可能である。
【0025】
図4に示すように、第1キャビティの前側エッジ236は、第2キャビティ(例えば、中央キャビティ210)を超えて軸方向および半径方向に延び、第1キャビティは、後側エッジ240をも画定する。図6の設計についても同様の記載が可能であるが、必ずしもそうではないことが理解されるべきである。
【0026】
第2キャビティはまた、第1キャビティの後側エッジ240まで延びる底部張り出し部242を画定する。加えて、第1ブッシング接触面306は、第3キャビティ(例えば、スリット214、図2も参照)を画定し、第3キャビティは、第2キャビティを越えて軸方向に延び、第1所定距離217だけ半径方向に延び、第2キャビティは、第1所定距離217よりも大きい第2所定距離(例えば、中央キャビティ半径寸法220)だけ半径方向に延びている。同様に、図6を参照して同様の記載を行うことができるが、スリット314が歯を貫通して完全に延び、ねじ付きキャップスクリューへのアクセスを可能にすることを除いて、ねじ付きキャップスクリューは、バネ付きローラサブアセンブリ500の軸部材508を形成することができる。
【0027】
図3および図6において、第1ブッシング接触面206、306および第2ブッシング接触面206a、306aは、いずれも平面状(またはほぼ平面状)である。これらの表面には、弓形などの他の構成も可能である。
【0028】
次に、図5および図7に示すように、現場でスプロケットの交換キットまたは改造キットとして提供され得るバネ付きローラサブアセンブリ400、500をより詳細に説明する。
【0029】
バネ付きローラサブアセンブリ400、500は、ローラー212、ヨーク402、502および圧縮バネ404を含んでもよい。ヨーク402、502は、2つのアーム410、510を含んでもよく、ローラー212は、2つのアーム410、510に回転可能に取り付けられた2つの端面213(例えば、平面端面であってもよい)を含む円筒形本体を含んでもよい。円筒形本は、トラックリンクアセンブリのブッシングとの線接触(または実際には変形による小さな長方形の接触面)を提供し、応力および摩耗の低減に寄与することができる。しかしながら、球形などを含む他の構成も本開示の範囲内であるとみなされる。
【0030】
回転可能な取り付けは、ローラー212を貫通して(中心穴を貫通して)ヨーク410、510の2つのアームと係合する軸部材408、508を用いて達成することができる。図5において、ヨーク408の2つのアーム410は、軸部材408を受けるように構成されたスナップ412を含む。図7において、ヨーク502の2つのアーム510は軸受穴512を含み、軸部材508は軸受穴を貫通している。軸部材またはローラーのアームへの他の取り付け形態は、戻り止め、割りピンによって所定の位置に保持されるローラピンなどを含む他の設計で想定される。
【0031】
図4図5および図7において、圧縮バネ404は、種々の方法でヨーク402、502に取り付けられてもよい。図に示すように、ヨークの後部は、ばねの内径よりわずかに大きい外径を含むボス406を含み、締り嵌めを提供することができる。接着、接着剤、溶接、インサート成形、熱かしめ、超音波溶接などの他の取り付け形式も可能である。この取り付けにより、本明細書で後により詳細に説明するように、挿入中にバネを失う危険性が軽減されるため、スプロケットのセグメントへのサブアセンブリ400、500の組み立てが容易になる。
【0032】
一般に、本明細書に記載された任意のコンポーネントは、鉄、鋼、鋳鉄、ねずみ鋳鉄、白鉄などを含むが、これらに限定されない任意の適切な材料で製造されてもよい。また、本明細書に記載された任意のコンポーネントは、熱処理、高周波焼入れ、浸炭、コーティング等を施してもよい。
【0033】
また、ヨークは、弾性を有するが強靭な熱可塑性プラスチック製であってもよい。これにより、組み立て中に軸を所定の位置にスナップしやすくなる。
【0034】
バネは、商業的に購入されたものであってもよいし、バネワイヤー等でカスタマイズされたものであってもよい。必要なバネ定数は、ほとんどの運転条件下でローラーがトラックチェーンアセンブリのブッシングと確実に接触するのに十分な大きさであるが、圧縮バネが組立中に適切な量だけ圧縮されるのに十分なほど低くてもよいことは、本明細書の後でより詳細に説明することになる。
【0035】
一般に、スプロケットセグメントの部分は、任意の適切な形状、サイズ、および/または表面テクスチャを有してもよい。たとえば、スプロケットセグメントは、小さな円弧、大きな円弧、完全な360回転などとして構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本明細書に記載の任意の実施形態による、スプロケットセグメント、スプロケットセグメントアセンブリ、バネ付きローラサブアセンブリ、および/またはこれらのアセンブリまたはサブアセンブリのコンポーネントは、現場またはOEM(相手先商標製品製造業者)環境において、代替部品として提供され得る。
【0037】
特にローラーとスプロケットセグメントは摩耗する可能性があるため、交換可能に設計されている。したがって、締結などを採用してもよい。
【0038】
このため、図3図7を参照して、組み立て方法600について説明する。まず、圧縮バネを圧縮し(図4のステップ602を参照)、ヨークおよび圧縮物を上部キャビティ内に挿入する(図4のステップ604を参照)。この挿入は、図4に示すように、ヨークと圧縮バネが前部キャビティまたは中央キャビティに位置合わせされるまで続きる。挿入中に圧縮バネが弛緩すると、ヨークと圧縮バネを所定の位置に保持するのに十分な摩擦が生じる。前述したように、圧縮バネはヨークに取り付けられ、この挿入ステップを簡略化するサブアセンブリを形成することができる。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない可能性がある。
【0039】
次に、図3において、ローラーと軸は、それぞれ中央キャビティとスリットに押し込まれ、それにより、ローラーと軸がヨークに接近すると、ローラーと軸の移動が案内される(ステップ606)。最後に、図5に示すように、軸をヨークのアームに挟み込む(ステップ608)。
【0040】
あるいは、ローラーは、ヨークに接触するかまたはほぼ接触するまで、中央キャビティ内に挿入されてもよい(図6のステップ606aを参照)。その後、軸部材をヨークのアームの穴とローラーの中心穴とに位置合わせして、それらを貫通させてもよい(図7のステップ608aを参照)。このステップの間、軸部材は、図6の延長スリットを通って軸方向にスライドすることが理解されるべきである。
【0041】
本明細書で前述したように、キャップを上部キャビティに挿入してもよい(図1のステップ610)。これは、ヨークと圧縮バネを上部キャビティに挿入した後いつでも行うことができるが、組み立てプロセス中にヨークと圧縮バネを微調整できるようにするために最後に行うこともできる。
【0042】
本明細書で使用されるように、冠詞「1つ(a)」および「一(an)」は、1つまたは複数の項目を含むことが意図されており、「1つまたは複数の」と交換して使用することができる。1つの項目のみを使用することが意図されている場合は、用語「1つの」または類似の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」などの用語は、無制限の用語であることを意図しているさらに、「に基づいて」という語句は、明示的に別段の記載がない限り、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図している。
【0043】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の記載がない限り、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することを単に意図しており、個別の値のそれぞれは、あたかも本明細書に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。
【0044】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で説明された装置および組み立て方法の実施形態に様々な修正および変更を加えることができる。本明細書に開示された様々な実施形態の仕様および実践を考慮することによって、本開示の他の実施形態は当業者にとって明らかである。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構成および機能を有してもよく、いずれかの方法のある特定のステップは、省略されてもよく、既に具体的に言及されたものとは異なる順序で実行されてもよく、場合によっては同時にまたはサブステップで実行されてもよい。さらに、さらなる実施形態を提供するために、様々な実施形態の特定の態様または特徴に対する変更または修正を行って、さらなる実施形態および特徴を作成することができ、様々な実施形態の特徴および態様を、他の実施形態の他の特徴または態様に追加または置換することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】