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特表2024-524334核酸増幅のための酵素製剤および反応混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】核酸増幅のための酵素製剤および反応混合物
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/10 20060101AFI20240628BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240628BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20240628BHJP
【FI】
C12N9/10 ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579757
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022035456
(87)【国際公開番号】W WO2023278529
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,560
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャボー, ビンセント ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フィリポウスキー, マーク イー.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR07
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
少なくとも1つのポリメラーゼと、α-シクロデキストリンと、ポリソルベート20とを含む製剤および反応混合物が開示される。開示される製剤および反応混合物を調製するための関連方法、ならびに核酸増幅のための関連キットおよび方法も開示される。製剤および反応混合物は、例えば、核酸増幅反応に対する試料抽出洗浄剤の阻害効果を緩和するのに有用である。製剤は、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤であり得る。この製剤は凍結保護剤を更に含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリメラーゼ製剤であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、水性ポリメラーゼ製剤。
【請求項2】
前記α-シクロデキストリン濃度が、約16mg/mL~約30mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、または約10mg/mL~約15mg/mLである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記α-シクロデキストリン濃度が、約20mg/mL、約17.5mg/mL、または約12.5mg/mLである、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記ポリソルベート20の濃度が、約0.003%~約0.03%(v/v)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記ポリソルベート20濃度が、約0.0042%(v/v)、約0.0035%(v/v)、約0.0026%(v/v)または約0.02%(v/v)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
請求項5a。前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、請求項1~5aのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
凍結保護剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記凍結保護剤が、トレハロースである、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記トレハロースが、約0.2M~約0.4Mの濃度で存在する、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記トレハロースが、約0.26Mまたは約0.3Mの濃度で存在する、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)請求項7~10のいずれか一項に記載の水性製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を凍結乾燥して、前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を形成することと
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法によって調製された、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【請求項13】
請求項7~10のいずれか一項に記載の水性製剤への再構成を可能にする、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【請求項14】
水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)請求項12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと
を含む、方法。
【請求項15】
キットであって、
請求項12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含有する第1の密封容器を含む、キット。
【請求項16】
希釈剤を含有する第2の密封容器を更に含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
増幅反応混合物であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、増幅反応混合物。
【請求項18】
前記α-シクロデキストリン濃度が、約8mg/mL~約15mg/mLである、請求項17に記載の反応混合物。
【請求項19】
前記α-シクロデキストリン濃度が、約10mg/mLである、請求項17に記載の反応混合物。
【請求項20】
前記ポリソルベート20濃度が、約0.0015%~約0.015%(v/v)である、請求項17~19のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項21】
前記ポリソルベート20濃度が、約0.002%(v/v)、約0.0021%(v/v)、または約0.01%(v/v)である、請求項17~19のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、請求項17~21のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項23】
凍結保護剤を更に含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項24】
前記凍結保護剤が、トレハロースである、請求項23に記載の反応混合物。
【請求項25】
前記トレハロースが、約0.1M~約0.29Mの濃度で存在する、請求項24に記載の反応混合物。
【請求項26】
前記トレハロースが、約0.15Mの濃度で存在する、請求項25に記載の反応混合物。
【請求項27】
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、請求項17~26のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項28】
標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを更に含む、請求項17~27のいずれか一項に記載の反応混合物。
【請求項29】
前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーを更に含む、請求項28に記載の反応混合物。
【請求項30】
前記標的核酸を更に含む、請求項28または29に記載の反応混合物。
【請求項31】
少なくとも1つの洗浄剤を更に含む、請求項30に記載の反応混合物。
【請求項32】
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、請求項31に記載の反応混合物。
【請求項33】
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと
を含む、方法。
【請求項34】
前記水性製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
工程(b)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合することを更に含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)請求項12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと、
(c)前記再構成製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと、
を含む、方法。
【請求項37】
前記再構成製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(c)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合する工程を更に含む、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、請求項35または38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約40%を構成する、請求項35および38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
増幅反応を行うための方法であって、
(a)標的核酸を含有する試料を提供することと、
(b)前記試料を、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
α-シクロデキストリンと、
ポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸と、
少なくとも1つの補因子と、
前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーと、を含む水性混合物と接触させることであって、
前記試料を前記水性混合物と接触させることにより、前記α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、前記ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在する反応混合物を提供することと、
(c)前記反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、前記標的核酸が、前記試料中に存在する場合、前記標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用されることと
を含む、方法。
【請求項43】
前記1またはそれを超えるアンプリコンを検出することを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記検出する工程が、前記in vitro核酸増幅反応物を、前記1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと接触させることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記検出する工程が、リアルタイムで行われる、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月1日に出願された米国仮出願第63/217,560号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年6月8日に作成された当該ASCIIコピーは、「GPR_7910 PC_20220608_Seq_Listing_ST 25」と名付けられ、サイズは4,974バイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
核酸増幅法は、例えばin vitro検出アッセイを含む多くのバイオサイエンス用途で広く使用されている。生物学的試料からの標的核酸を増幅するための方法は、典型的には、抽出された試料中に、ポリメラーゼ酵素に対して阻害性であることが多い1またはそれを超える残留洗浄剤を残す試料抽出工程(複数可)を用いる。このような残留洗浄剤の阻害効果は、ポリメラーゼ酵素および増幅反応混合物の製剤に課題を与える。
【発明の概要】
【0004】
要旨
一態様では、本発明は、水性ポリメラーゼ製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤は、一般に、少なくとも1つのポリメラーゼと、約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤と、を含む。特定の変形例では、製剤は、凍結保護剤を更に含む。特に適切な凍結保護剤はトレハロースであり、トレハロースは、例えば約0.2M~約0.4Mの濃度で存在し得る。
【0005】
別の態様では、本発明は、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法を提供する。この方法は、一般に、(a)上記の水性製剤を提供することと、(b)水性製剤を凍結乾燥して凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を形成することと、を含む。別の態様では、本発明は、前述の方法によって調製された凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、上記の水性製剤への再構成を可能にする凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法を提供する。この方法は、一般に、(a)上記の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して再構成製剤を提供することと、を含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、上記の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含有する第1の密封容器を有するキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、希釈剤を含有する第2の密封容器を更に含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、増幅反応混合物を提供する。反応混合物は、一般に、少なくとも1つのポリメラーゼと、約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤と、を含む。いくつかの変形例では、反応混合物は、核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む。他の相互に排他的でない実施形態では、反応混合物は、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマー、および/または標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーを含む。更に他の相互に排他的でない実施形態では、反応混合物は、増幅される標的核酸および/または例えばアニオン性洗浄剤等の少なくとも1つの洗浄剤を更に含む。特に好適なアニオン性洗浄剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびラウリル硫酸リチウム(LLS)が挙げられる。
【0010】
別の態様では、本発明は、増幅反応混合物を調製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、一般に、(a)上記の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)水性製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと、を含み、いくつかのそのような変形例では、本方法は、工程(b)で生成された混合物を、標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合することを更に含む。他の実施形態では、本方法は、一般に、(a)上記の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して再構成製剤を提供することと、(c)標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と再構成製剤を混合することを含み、いくつかのそのような変形例では、本方法は、工程(c)で生成された混合物を、標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合する工程を更に含む。試料とのさらなる混合物を含む上記のいくつかの実施形態では、試料は、例えばアニオン性洗浄剤等の少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である。特に好適なアニオン性洗浄剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびラウリル硫酸リチウム(LLS)が挙げられる。試料とのさらなる混合物を含む上記の他の相互に排他的でない実施形態では、標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料は、反応混合物の少なくとも約20%または少なくとも約40%を構成する。
【0011】
別の態様では、本発明は、増幅反応を行うための方法を提供する。本方法は、一般に、(a)標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料を提供することと、(b)試料を、少なくとも1つのポリメラーゼと、α-シクロデキストリンと、ポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤と、核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸と、少なくとも1つの補因子と、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーと、を含む水性混合物と接触させることであって、試料を水性混合物と接触させることにより、α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在する反応混合物を提供することと、(c)反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、標的核酸が、試料中に存在する場合、標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用されることと、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1またはそれを超えるアンプリコンを検出すること(例えば、1またはそれを超えるアンプリコンをリアルタイムで検出すること)を更に含み、いくつかのそのような変形例では、検出する工程は、in vitroで、核酸増幅反応物を、1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、試料は、例えばアニオン性洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS))等の少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である。その他では、試料は、工程(b)として生成された反応混合物の少なくとも約20%または少なくとも約40%を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これらの態様の代表的な実施形態を以下に更に説明する。
【0013】
実施形態
実施形態1.水性ポリメラーゼ製剤であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、水性ポリメラーゼ製剤。
【0014】
実施形態2.前記α-シクロデキストリン濃度が、約16mg/mL~約30mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、または約10mg/mL~約15mg/mLである、実施形態1に記載の製剤。
【0015】
実施形態3.前記α-シクロデキストリン濃度が、約20mg/mL、約17.5mg/mL、または約12.5mg/mLである、実施形態1に記載の製剤。
【0016】
実施形態4.前記ポリソルベート20の濃度が、約0.003%~約0.03%(v/v)である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の製剤。
【0017】
実施形態5.ポリソルベート20濃度が、約0.0042%(v/v)、約0.0035%(v/v)、約0.0026%(v/v)または約0.02%(v/v)である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の製剤。
【0018】
実施形態6.前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の製剤。
【0019】
実施形態7.前記製剤が、少なくとも2つDNAポリメラーゼを含み、第1のDNAポリメラーゼが逆転写酵素であり、第2のDNAポリメラーゼがDNA依存性DNAポリメラーゼである、実施形態6に記載の製剤。
【0020】
実施形態8.前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)変異型逆転写酵素である、実施形態7に記載の製剤。
【0021】
実施形態9.前記少なくとも1つの緩衝剤が、Trisである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の製剤。
【0022】
実施形態10.前記Tris緩衝剤が、約10mM~約100mMの濃度で存在する、実施形態9に記載の製剤。
【0023】
実施形態11.核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の製剤。
【0024】
実施形態12.EDTAを更に含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の製剤。
【0025】
実施形態13.前記EDTAが、約0.05mM~約0.5mMの濃度で存在する、実施形態12に記載の製剤。
【0026】
実施形態14.前記EDTAが、約0.16mMまたは約0.14mMの濃度で存在する、実施形態12に記載の製剤。
【0027】
実施形態15.凍結保護剤を更に含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の製剤。
【0028】
実施形態16.前記凍結保護剤が、トレハロースである、実施形態15に記載の製剤。
【0029】
実施形態17.前記トレハロースが、約0.2M~約0.35Mまたは約0.2M~約0.4Mの濃度で存在する、実施形態16に記載の製剤。
【0030】
実施形態18.前記トレハロースが、約0.26Mまたは約0.3Mの濃度で存在する、実施形態17に記載の製剤。
【0031】
実施形態19.凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)実施形態15~18のいずれか1つに記載の水性製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を凍結乾燥して、前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を形成することと
を含む、方法。
【0032】
実施形態20.実施形態19の方法によって調製された、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【0033】
実施形態21.実施形態15~18のいずか1つに記載の水性製剤への再構成を可能にする、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【0034】
実施形態22.水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)実施形態20または21に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと
を含む、方法。
【0035】
実施形態23.キットであって、
実施形態20または21に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含有する、第1の密封容器を含む、キット。
【0036】
実施形態24.希釈剤を含有する第2の密封容器を更に含む、実施形態23に記載のキット。
【0037】
実施形態25.増幅反応混合物であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、増幅反応混合物。
【0038】
実施形態26.前記α-シクロデキストリン濃度が、約8mg/mL~約15mg/mLである、実施形態25に記載の反応混合物。
【0039】
実施形態27.前記α-シクロデキストリン濃度が、約10mg/mLである、実施形態25に記載の反応混合物。
【0040】
実施形態28.前記ポリソルベート20濃度が、約0.0015%~約0.015%(v/v)である、実施形態25~27のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0041】
実施形態29.前記ポリソルベート20の濃度が、約0.002%(v/v)、約0.0021%(v/v)、または約0.01%(v/v)である、実施形態25~27のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0042】
実施形態30.前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、実施形態25~29のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0043】
実施形態31.前記反応混合物が、少なくとも2つDNAポリメラーゼを含み、第1のDNAポリメラーゼが逆転写酵素であり、第2のDNAポリメラーゼがDNA依存性DNAポリメラーゼである、実施形態30に記載の反応混合物。
【0044】
実施形態32.前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)変異型逆転写酵素である、実施形態31に記載の反応混合物。
【0045】
実施形態33.前記少なくとも1つの緩衝剤が、Trisである、実施形態25~32のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0046】
実施形態34.前記Tris緩衝剤が、約5mM~約50mMの濃度で存在する、実施形態33に記載の反応混合物。
【0047】
実施形態35.核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、実施形態25~34のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0048】
実施形態36.EDTAを更に含む、実施形態25~35のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0049】
実施形態37.前記EDTAが、約0.025mM~約0.25mMの濃度で存在する、実施形態36に記載の反応混合物。
【0050】
実施形態38.前記EDTAが、約0.08mMの濃度で存在する、実施形態36に記載の反応混合物。
【0051】
実施形態39.凍結保護剤を更に含む、実施形態25~38のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0052】
実施形態40.前記凍結保護剤がトレハロースである、実施形態39に記載の反応混合物。
【0053】
実施形態41.前記トレハロースが、約0.1M~約0.2Mの濃度で存在する、実施形態40に記載の反応混合物。
【0054】
実施形態42.前記トレハロースが、約0.15Mの濃度で存在する、実施形態41に記載の反応混合物。
【0055】
実施形態43.標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを更に含む、実施形態25~42のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0056】
実施形態44.標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを含む、実施形態43に記載の反応混合物。
【0057】
実施形態45.前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーを更に含む、実施形態43または44に記載の反応混合物。
【0058】
実施形態46.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、化学発光標識または蛍光標識を含む、実施形態45に記載の反応混合物。
【0059】
実施形態47.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、蛍光標識および非蛍光クエンチャーを含む、実施形態45に記載の反応混合物。
【0060】
実施形態48.少なくとも1つの補因子をさらに含む、実施形態25~47のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0061】
実施形態49.前記少なくとも1つの補因子が、約1mM~約5mMの濃度の塩化マグネシウムである、実施形態48に記載の反応混合物。
【0062】
実施形態50.前記標的核酸を更に含む、実施形態43~49のいずれか1つに記載の反応混合物。
【0063】
実施形態51.前記標的核酸が、RNAである、実施形態50に記載の反応混合物。
【0064】
実施形態52.少なくとも1つの洗浄剤を更に含む、実施形態50または51に記載の反応混合物。
【0065】
実施形態53.前記少なくとも1つの洗浄剤が、アニオン性洗浄剤である、実施形態52に記載の反応混合物。
【0066】
実施形態54.前記アニオン性洗浄剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、実施形態53に記載の反応混合物。
【0067】
実施形態55.増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)実施形態1~18のいずれか1つに記載の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと
を含む、方法。
【0068】
実施形態56.前記第2の製剤が、前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを含む、実施形態55に記載の方法。
【0069】
実施形態57.前記水性製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、実施形態55または56に記載の方法。
【0070】
実施形態58.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、化学発光標識または蛍光標識を含む、実施形態57に記載の方法。
【0071】
実施形態59.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、蛍光標識および非蛍光クエンチャーを含む、実施形態57に記載の方法。
【0072】
実施形態60.前記水性製剤を、少なくとも1つの補因子と混合することを更に含む、実施形態55~59のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態61.前記少なくとも1つの補因子が、塩化マグネシウムである、実施形態60に記載の方法。
【0074】
実施形態62.前記塩化マグネシウムを、約1mM~約5mMの最終濃度に混合する、実施形態61に記載の方法。
【0075】
実施形態63.工程(b)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合する工程を更に含む、実施形態55~62のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態64.増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)実施形態20または21に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと、
(c)前記再構成製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと、
を含む、方法。
【0077】
実施形態65.前記第2の製剤が、前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを含む、実施形態64に記載の方法。
【0078】
実施形態66.前記再構成製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、実施形態64または65に記載の方法。
【0079】
実施形態67.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、化学発光標識または蛍光標識を含む、実施形態66に記載の方法。
【0080】
実施形態68.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、蛍光標識および非蛍光クエンチャーを含む、実施形態66に記載の方法。
【0081】
実施形態69.前記再構成製剤を、少なくとも1つの補因子と混合することを更に含む、実施形態64~68のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態70.前記少なくとも1つの補因子が、塩化マグネシウムである、実施形態69に記載の方法。
【0083】
実施形態71.前記塩化マグネシウムを、約1mM~約5mMの最終濃度に混合する、実施形態70に記載の方法。
【0084】
実施形態72.工程(c)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合する工程を更に含む、実施形態64~71のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態73.前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、実施形態63~72に記載の方法。
【0086】
実施形態74.前記少なくとも1つの洗浄剤が、アニオン性洗浄剤である、実施形態73に記載の方法。
【0087】
実施形態75.前記アニオン性洗浄剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、実施形態74に記載の方法。
【0088】
実施形態76.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約20%を構成する、実施形態63および72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態77.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約40%を構成する、実施形態76に記載の方法。
【0090】
実施形態78.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約40%~約50%を構成する、実施形態77に記載の方法。
【0091】
実施形態79.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の約42.9%を構成する、実施形態78に記載の方法。
【0092】
実施形態80.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約50%~約70%を構成する、実施形態77に記載の方法。
【0093】
実施形態81.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の約62.5%を構成する、実施形態80に記載の方法。
【0094】
実施形態82.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約20%~約33%を構成する、実施形態76に記載の方法。
【0095】
実施形態83.増幅反応を行うための方法であって、
(a)標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料を提供することと、
(b)前記試料を、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
α-シクロデキストリンと、
ポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸と、
少なくとも1つの補因子と、
前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーと、を含む水性混合物と接触させることであって、
前記試料を前記水性混合物と接触させることにより、前記α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、前記ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在することと、
(c)前記反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、前記標的核酸が、前記試料中に存在する場合、前記標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用されることと
を含む、方法。
【0096】
実施形態84.前記α-シクロデキストリンが、前記反応混合物中に約8mg/mL~約15mg/mLの濃度で存在する、実施形態83に記載の方法。
【0097】
実施形態85.前記α-シクロデキストリンが、前記反応混合物中に約10mg/mLの濃度で存在する、実施形態83に記載の方法。
【0098】
実施形態86.前記ポリソルベート20が、前記反応混合物中に約0.0015%~約0.015%(v/v)の濃度で存在する、実施形態83~85のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態87.前記ポリソルベート20が、約0.002%(v/v)、約0.0021%(v/v)、または約0.01%(v/v)の濃度で反応混合物中に存在する、実施形態83~85のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態88.前記水性混合物が、前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを含む、実施形態83~87のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態89.前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、実施形態83~88のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態90.前記水性混合物が、少なくとも2つDNAポリメラーゼを含み、第1のDNAポリメラーゼが逆転写酵素であり、第2のDNAポリメラーゼがDNA依存性DNAポリメラーゼである、実施形態89に記載の方法。
【0103】
実施形態91.前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)変異型逆転写酵素である、実施形態90に記載の方法。
【0104】
実施形態92.前記少なくとも1つの緩衝剤が、Trisである、実施形態83~91のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態93.前記Tris緩衝剤が、前記反応混合物中に約5mM~約50mMの濃度で存在する、実施形態92に記載の方法。
【0106】
実施形態94.前記水性混合物が、EDTAを更に含む、実施形態83~93のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態95.前記EDTAが、前記反応混合物中に約0.025mM~約0.25mMの濃度で存在する、実施形態94に記載の方法。
【0108】
実施形態96.前記EDTAが、前記反応混合物中に約0.08mMの濃度で存在する、実施形態94に記載の方法。
【0109】
実施形態97.前記水性混合物が、凍結保護剤を更に含む、実施形態83~96のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態98.前記凍結保護剤が、トレハロースである、実施形態97に記載の方法。
【0111】
実施形態99.前記トレハロースが、前記反応混合物中に約0.1M~約0.2Mの濃度で存在する、実施形態98に記載の方法。
【0112】
実施形態100.前記トレハロースが、前記反応混合物中に約0.15Mの濃度で存在する、実施形態99に記載の方法。
【0113】
実施形態101.前記1またはそれを超えるアンプリコンを検出することを更に含む、実施形態83~100のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態102.前記検出する工程が、前記in vitro核酸増幅反応物を、前記1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと接触させることを含む、実施形態101に記載の方法。
【0115】
実施形態103.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、化学発光標識または蛍光標識を含む、実施形態102に記載の方法。
【0116】
実施形態104.前記少なくとも1つの検出プローブオリゴマーが、蛍光標識および非蛍光クエンチャーを含む、実施形態102に記載の方法。
【0117】
実施形態105.前記検出する工程が、リアルタイムで行われる、実施形態101~104のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態106.前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、実施形態83~105のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態107.前記少なくとも1つの洗浄剤が、アニオン性洗浄剤である、実施形態106に記載の方法。
【0120】
実施形態108.前記アニオン性洗浄剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、実施形態107に記載の方法。
【0121】
実施形態109.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約20%を構成する、実施形態83~108のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態110.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約40%を構成する、実施形態109に記載の方法。
【0123】
実施形態111.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約40%~約50%を構成する、実施形態110に記載の方法。
【0124】
実施形態112.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の約42.9%を構成する、実施形態111に記載の方法。
【0125】
実施形態113.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約50%~約70%を構成する、実施形態110に記載の方法。
【0126】
実施形態114.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の約62.5%を構成する、実施形態113に記載の方法。
【0127】
実施形態115.前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる前記試料が、前記反応混合物の約20%~約33%を構成する、実施形態109に記載の方法。
【0128】
実施形態116.前記α-シクロデキストリン濃度が、約17.5mg/mLであり、
前記ポリソルベート20濃度が、約0.0035%(v/v)である、実施形態1に記載の製剤。
【0129】
実施形態117.前記α-シクロデキストリン濃度が、約10mg/mLであり、
前記ポリソルベート20濃度が、約0.002%(v/v)である、実施形態25に記載の反応混合物。
【0130】
実施形態118.前記α-シクロデキストリン濃度が、約10mg/mLであり、
前記ポリソルベート20濃度が、約0.002%(v/v)である、実施形態83に記載の方法。
【0131】
本発明のこれらおよび他の態様は、本発明の以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0132】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、記載される方法および組成物に関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語および語句は、特に指定されない限り、それらに帰する意味を有する。
【0133】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という用語は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0134】
「試料」は、標的核酸を含有し得る任意の検体を含む。試料は、生きているまたは死んだヒトに由来する任意の組織または材料を含む「生物学的試料」を含む。生物学的試料は、組織または細胞構造を物理的または機械的に破壊するように処置され、したがって、分析用に生物学的試料を調製するために使用される酵素、緩衝液、塩、洗浄剤等を更に含有し得る溶液中に細胞内成分を放出し得る。また、試料は、1またはそれを超える成分が濃縮または精製された試料等の処置された試料を含み得る。処置される試料には、例えば、試料を濾過装置の上もしくは中に通過させることによって、または遠心分離後に、または培地、マトリックスもしくは支持体への付着によって得られるものが含まれる。
【0135】
「洗浄剤」は、乳化によって疎水性物質(例えば、脂質)を水に分散させることができ、その後の分析のために生物学的試料を溶解または可溶化するために使用することができる物質を指す。洗浄剤は、イオン性または非イオン性であり得る。
【0136】
本明細書で使用される場合、「凍結保護剤」という用語は、凍結乾燥およびその後の貯蔵時のタンパク質または他の物質の化学的および/または物理的不安定性を防止または低減する分子を指す。例示的な凍結保護剤としては、スクロースまたはトレハロース等の糖;グルタミン酸ナトリウム、ヒスチジン等のアミノ酸;ベタイン等のメチルアミン;硫酸マグネシウム等のリオトロピック塩;3価以上の糖アルコール等のポリオール、例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等;プルロニクス;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、トレハロースまたはスクロース等の非還元糖である。本明細書に記載のα-シクロデキストリンおよびポリソルベート20を含む水性製剤または反応混合物の文脈で使用される場合、「凍結保護剤」という用語は、α-シクロデキストリン以外の分子を指すが、α-シクロデキストリンは依然として二次凍結保護剤として作用し得る。
【0137】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」という用語は、ヌクレオチド(その類縁体を含む)の核酸鎖への重合を触媒することができる任意の酵素を意味する。典型的には、そのようなヌクレオチド重合は、鋳型依存的様式で起こる。そのようなポリメラーゼとしては、例えば、天然に存在するポリメラーゼならびにその任意のサブユニットおよび切断型、突然変異体ポリメラーゼ、バリアントポリメラーゼ、組換え、融合または他の操作されたポリメラーゼ、化学修飾ポリメラーゼ、合成分子または集合体、ならびにそのような重合を触媒する能力を保持するその任意の類縁体、ホモログ、誘導体または断片が挙げられ得る。必要に応じて、ポリメラーゼは、1またはそれを超えるアミノ酸の他のアミノ酸による置換、ポリメラーゼからの1またはそれを超えるアミノ酸の挿入もしくは欠失、または異なる種もしくはファミリーのポリメラーゼからの2またはそれを超える部分の連結を含む2またはそれを超えるポリメラーゼの部分の連結を含む、1またはそれを超える突然変異を含む突然変異体ポリメラーゼであり得る。例示的なポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼまたは逆転写酵素が挙げられる。他の変形例では、ポリメラーゼはRNAポリメラーゼである。
【0138】
「補因子」という用語は、ポリメラーゼ酵素活性に必要な二価カチオンまたはその塩を指す。ポリメラーゼと共に使用するのに適した補因子は、当技術分野で一般的に公知であり、例えば、マグネシウム(Mg2+)およびマンガン(Mn2+)が挙げられる。ポリメラーゼ反応混合物に使用するための典型的な二価カチオン塩としては、塩化物塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化マンガン)が挙げられる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」は、リン酸基、5炭素糖、および窒素塩基(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)からなる核酸のサブユニットである。RNAに見られる5炭素糖はリボースである。DNAにおいて、5炭素糖は2’-デオキシリボースである。
【0140】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、共に連結されてバイオポリマーを形成するヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類縁体を含む多量体化合物を指す。バイオポリマーには、従来のRNA、従来のDNA、混合RNA-DNA、およびそれらのバージョンを含有するヌクレオチド類縁体が含まれる。核酸「骨格」は、1またはそれを超える糖-ホスホジエステル結合、ペプチド-核酸結合(「ペプチド核酸」またはPNA)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、またはそれらの組み合わせを含む、様々な結合から構成され得る。核酸の糖部分は、リボース、デオキシリボース、または置換を有する類似の化合物、例えば、リボースの2’位にメトキシ、フルオロまたはハロゲン化物基を有する類縁体(本明細書では、「2’-O-Me」もしくは「2’-メトキシ」または2’-フルオロもしくは「2’-ハロゲン化物」とも呼ばれる)であり得る。窒素塩基は、従来の塩基、アデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)、チミン(T)、およびシトシン(C)、ならびにそれらの類縁体(例えば、イノシン、5メチル2’デオキシキソシトシン(「5-Me-dC」または「5MeC」)、およびイソグアニン)であり得る。核酸は、骨格が、ポリマーの位置(複数可)に対して窒素塩基を含まない1またはそれを超える「脱塩基」残基を含み得る。
【0141】
「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴ」は、下限約5ntおよび上限約900ntを有するサイズ範囲のものを含む、一般に1,000ヌクレオチド(nt)未満の核酸を指す。オリゴヌクレオチドという用語は、試薬に対するいかなる特定の機能も示さず、むしろ、本明細書に記載される全てのそのような試薬を網羅するために一般的に使用される。オリゴマーは、官能名(例えば、捕捉プローブ、検出プローブ、プライマーまたはプロモータープライマー)によって言及され得るが、当業者は、そのような用語がオリゴマーを指すことを理解するであろう。
【0142】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」は、増幅される標的配列を含む核酸である。標的核酸は、DNAまたはRNAであってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよい。標的核酸は、増幅されない可能性がある、標的配列以外の他の配列を含み得る。
【0143】
本明細書で使用される場合、「標的配列」または「標的核酸配列」という用語は、増幅および/または検出される標的核酸の特定のヌクレオチド配列を指す。「標的配列」は、増幅プロセス(例えば、PCR、TMA)中にオリゴヌクレオチド(例えば、プライミングオリゴヌクレオチドおよび/またはプロモーターオリゴヌクレオチド)が複合体形成する複合体形成配列を含む。文脈がそうでないことを明確に示さない限り、標的核酸が元々一本鎖である場合、「標的配列」という用語はまた、標的核酸中に存在する「標的配列」に相補的な配列を指し、標的核酸が元々二本鎖である場合、「標的配列」という用語はセンス(+)鎖とアンチセンス(-)鎖の両方を指す。
【0144】
「核酸増幅」は、標的核酸配列の複数のコピーを生成する任意の周知のイin vitro手順を指す。そのような手順の例としては、転写関連方法、例えば転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)等(例えば、米国特許第5,399,491号、第5,554,516号、第5,437,990号、第5,130,238号、第4,868,105号、および第5,124,246号)、レプリカーゼ媒介増幅(例えば、米国特許第4,786,600号明)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、欧州特許第0320308号)、および鎖置換増幅(SDA)(例えば、米国特許第5,422,252号)が挙げられる。
【0145】
「アンプリコン」または「増幅産物」とは、核酸増幅反応で生成され、標的核酸に由来する核酸分子を意味する。アンプリコンまたは増幅産物は、標的核酸と同じまたは反対のセンスであり得る標的核酸配列を含有する。
【0146】
「増幅オリゴヌクレオチド」または「増幅オリゴマー」は、標的核酸にハイブリダイズし、例えばプライマーとして働く核酸増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドである。増幅オリゴマーは、核酸増幅反応の一部として重合によって伸長される3’末端を有することができる。増幅オリゴマーは、代替的に、重合によって伸長されないが、核酸増幅を促進する成分、例えば増幅オリゴマーの標的特異的配列に5’結合されたプロモーター配列を提供する3’末端を有することができる。このような増幅オリゴマーは、プロモーター提供体と呼ばれる。重合によって伸長可能な3’標的特異的配列と5’プロモーター配列の両方を提供する増幅オリゴマーは、プロモータープライマーと呼ばれる。増幅オリゴマーは、タグ、(言及される)プロモーター、またはプライマーもしくは標的オリゴヌクレオチドを操作もしくは増幅するために使用されるもしくは有用な他の配列等の5’非標的特異的配列を含むように必要に応じて修飾されてもよい。
【0147】
「検出プローブオリゴマー」、「検出プローブ」または「プローブ」は、標的核酸の検出のために、核酸ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、増幅産物を含む標的配列に特異的にハイブリダイズするオリゴマーを指す。検出は、直接的(すなわち、標的に直接ハイブリダイズしたプローブ)または間接的(すなわち、プローブを標的に連結する中間構造にハイブリダイズしたプローブ)のいずれかであり得る。プローブの標的特異的配列は、一般に、プローブが特異的にハイブリダイズするより大きな配列内の特異的配列を指す。検出プローブは、標的特異的配列(複数可)および非標的特異的配列(複数可)を含み得る。そのような非標的特異的配列は、検出および/または増幅を容易にするために使用することができるヘアピン構造等の所望の二次または三次構造を与える配列を含むことができる。
【0148】
「標識」または「検出可能な標識」は、検出されるかまたは検出可能なシグナルをもたらすプローブに直接的または間接的に結合された部分または化合物を指す。直接結合は、共有結合または非共有結合相互作用(例えば、水素結合、疎水性またはイオン性相互作用、およびキレートまたは配位錯体の形成)を使用してもよく、一方、間接結合は、架橋部分またはリンカー(例えば、検出可能なシグナルを増幅する抗体または追加のオリゴヌクレオチド(複数可)を介して)を使用してもよい。任意の検出可能な部分、例えば、放射性核種、ビオチンまたはアビジン等のリガンド、酵素、酵素基質、反応基、検出可能な色を付与する色素または粒子(例えば、ラテックスまたは金属ビーズ)等の発色団、発光化合物(例えば、アクリジニウムエステル(「AE」)化合物等の生物発光、リン光、または化学発光化合物)、および蛍光化合物(すなわち、フルオロフォア)を使用することができる。フルオロフォアは、フルオロフォアに近接しているときに光を吸収してバックグラウンド蛍光を減少させるクエンチャー分子と組み合わせて使用され得る。検出可能に標識されたプローブとしては、例えば、加水分解(例えば、TaqMan(商標))プローブ、AE標識プローブ、分子トーチおよび分子ビーコンが挙げられる。
【0149】
「構成される」という用語は、参照されるオリゴヌクレオチド標的ハイブリダイズ配列のポリヌクレオチド配列構成の実際の配置を表す。例えば、標的配列から特定のアンプリコンを生成するように構成された増幅オリゴマーは、標的配列にハイブリダイズし、アンプリコンを生成するための増幅反応に使用することができるポリヌクレオチド配列を有する。また、一例として、標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成されたオリゴヌクレオチドは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で参照配列に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を有する。
【0150】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、本明細書に記載の例示的または適切な濃度を変更または達成するのに適した溶液を指す。
【0151】
「容器」という用語は、例えば貯蔵(例えば、ホルダ、レセプタクル、容器等)のために、物体または液体を中に配置または含有することができるものを指す。
【0152】
本明細書における数値範囲(例えば、「XからY」または「XからY」)への言及は、範囲を定義する終点および範囲内に入る全ての値を含む。
【0153】
文脈から明らかでない限り、値が「約」Xまたは「およそ」Xとして表される場合、Xの記載値は±10%まで正確であると理解される。
【0154】
説明
本発明は、α-シクロデキストリンとポリソルベート20との組み合わせを含む水性ポリメラーゼ製剤および反応混合物(そのような製剤および反応混合物を調製および使用するための関連方法を含む)を提供する。製剤および反応混合物は、一部には、α-シクロデキストリンおよびポリソルベート20が、試料抽出緩衝液(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)等の洗浄剤)でしばしば使用される洗浄剤の存在下で観察されるポリメラーゼ活性の阻害の緩和において相乗効果を提供するという驚くべき観察に基づく。特定の態様では、ポリメラーゼ阻害に対するこの緩和効果は、例えば、増幅および検出アッセイにおける感度の増加、ならびに増幅反応混合物に使用される残留洗浄剤(複数可)を含有する抽出試料のより大きな割合を可能にする等の利点を提供する。他の態様では、本発明は、(例えば、一次凍結保護剤の濃度を増加させると、凍結乾燥生成物の再構成が不完全になる状況において)第2の凍結保護剤として作用するα-シクロデキストリンに起因して、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を安定化するのに役立つ。
【0155】
特定の実施形態では、ポリメラーゼ製剤は水性製剤である。そのような製剤は、例えば、予備凍結乾燥製剤または凍結乾燥形態から再構成された製剤であり得る。いくつかの変形例では、製剤は、少なくとも1つのポリメラーゼと、約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤と、を含む、水性ポリメラーゼ製剤として提供される。いくつかの実施形態では、α-シクロデキストリンは、約10mg/mL~約35mg/mL、約10mg/mL~約30mg/mL、約10mg/mL~約25mg/mL、約10mg/mL~約20mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約12mg/mL~約40mg/mL、約12mg/mL~約35mg/mL、約12mg/mL~約30mg/mL、約12mg/mL~約25mg/mL、約12mg/mL~約20mg/mL、約12mg/mL~約15mg/mL、約16mg/mL~約40mg/mL、約16mg/mL~約35mg/mL、約16mg/mL~約30mg/mL、約16mg/mL~約25mg/mL、または約15mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、より具体的な変形例では、α-シクロデキストリンは、約20mg/mL、約17.5mg/mLまたは約12.5mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、約0.002%~約0.05%(v/v)、約0.002%~約0.04%(v/v)、約0.002%~約0.03%(v/v)、約0.003%~約0.05%(v/v)、約0.003%~約0.04%(v/v)、または約0.003%~約0.03%(v/v)の濃度で存在し、より具体的な変形例では、ポリソルベート20は、約0.0042%(v/v)、約0.0035%(v/v)、約0.0026%(v/v)、または約0.02%(v/v)の濃度で存在する。
【0156】
本発明に従って使用するのに適したポリメラーゼには、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、RNAポリメラーゼ、および2種類以上のポリメラーゼ活性を有する酵素が含まれ、酵素は熱不安定性または熱安定性であり得る。2またはそれを超える酵素の混合物を使用することもできる。例示的なポリメラーゼには、DNA依存性DNAポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼI(「Pol I」)、Pol I、T4、T7のクレノウ断片、Sequenase(登録商標)T7、Sequenase(登録商標)バージョン2.0 T7、Tub、Taq、Tth、Pfx、Pfu、Tsp、Tfl、Tliおよびパイロコッカス属種(Pyrococcus sp.)GB-D DNAポリメラーゼ;RNAポリメラーゼ、例えば大腸菌(E.coli)、SP6、T3およびT7 RNAポリメラーゼ;ならびに逆転写酵素、例えばトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、RNAse H-MMLV(SuperScript(登録商標))、SuperScript(登録商標)II、ThermoScript(登録商標)、HIV-1およびRAV2逆転写酵素が挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、例えば逆転写酵素(例えば、MMLV変異型逆転写酵素)およびDNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)等の少なくとも2つのDNAポリメラーゼを含む。
【0157】
緩衝剤は、典型的には、増幅アッセイにおけるポリメラーゼの使用に適したpHを維持するのに十分な濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約6.0~約9.0、約6.5~約8.5、約6.5~約8.0、または約6.5~約7.5の範囲のpHを維持するのに十分な濃度で存在する。適切な緩衝剤としては、Tris(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸))、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩およびヒスチジンが挙げられる。特定の実施形態では、Tris緩衝剤は、約10mM~約100mMまたは約20mM~約100mMの濃度で存在する。本発明による製剤のための緩衝液の他の適切な濃度は、当業者によって容易に決定され得る。
【0158】
上記のようなポリメラーゼ製剤は、1またはそれを超える追加の成分を更に含み得る。例えば、製剤は、核酸増幅(例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;ならびに/またはATP、CTP、GTPおよびUTP)および/またはキレート剤を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含有し得る。適切なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)が含まれる。キレート剤としてEDTAを含むいくつかの実施形態では、EDTAは、約0.05mM~約0.5mMの濃度で(例えば、約0.16mMまたは約0.14mMの濃度で)存在する。
【0159】
特定の変形例では、製剤(凍結乾燥に適したもの、凍結乾燥形態から再構成されたもの、または本明細書に記載の水性製剤に再構成するための凍結乾燥製剤等)は、凍結保護剤を含有し得る。例示的な凍結保護剤としては、非還元糖、例えばスクロース、ラフィノースまたはトレハロース;グリセロール;およびアミノ酸、例えばグリシン、アルギニンまたはメチオニン等が挙げられる。凍結乾燥時の担体分子の許容できない量の分解および/または凝集を防止するための適切な濃度の選択を含む凍結保護剤の使用は、当技術分野で一般的に周知である。特に適切な凍結保護剤はトレハロースであり、これは、例えば、約0.2M~約0.35Mまたは約0.2M~約0.4Mの濃度で水性製剤中に存在し得る。凍結保護剤としてトレハロースを含むいくつかの変形例では、トレハロースは約0.26Mまたは約0.3Mの濃度で存在する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリメラーゼ製剤は、増幅反応混合物の調製のためのバルク生成物として使用され得る1またはそれを超えるポリメラーゼの濃縮調製物である。
【0161】
典型的な変形例では、製剤は長期間にわたって安定である。例えば、製剤は、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、または少なくとも約6ヶ月間安定であり得る。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約14ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約24ヶ月間、または少なくとも約30ヶ月間安定である。
【0162】
本明細書に記載されるポリメラーゼ製剤は、約-80℃~約40℃、約-20℃~約25℃、約0℃~約25℃、約0℃~約15℃、約0℃~約10℃、または約2℃~約8℃の温度で保存され得る。様々な実施形態では、製剤は、約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃または10℃で保存され得る。一般に、製剤は安定であり、これらの範囲で活性を保持する。いくつかの変形例では、製剤は、約-80℃~約25℃または約4℃~約25℃で安定である。より特定の変形例では、液体製剤は、約-80℃~約-20℃、約-80℃~約4℃、または約-80℃~約25℃の温度で安定である。他の特定の変形例では、凍結乾燥製剤は、約4℃~約25℃または約4℃~約40℃の温度で安定である。上記の温度の中間の範囲、例えば約2℃~約18℃もまた、本発明の一部であることが意図される。例えば、上に列挙された値のいずれかの組み合わせを上限および/または下限として使用する値の範囲が含まれることが意図される。
【0163】
特定の実施形態では、長期保存のために、本明細書に記載の水性製剤を、例えばバイアル、アンプルまたは他の容器に分注し、当技術分野で公知の手順に従って凍結乾燥してもよい。凍結乾燥生成物は、典型的には、粉末またはケーキとなる。次いで、容器を密封し、いくつかのそのような変形例では、シールは、後でシールを通って容器内に希釈剤を注入することを可能にする。水性製剤からそのような凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法、ならびにそのような方法によって調製された凍結乾燥製剤は、本発明の追加の態様である。更に別の態様では、本発明は、本明細書に記載の水性遠赤色色素プローブ製剤への再構成を可能にする安定化凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供する。
【0164】
本明細書に記載の凍結乾燥製剤から水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法も本発明に包含される。そのような方法は、一般に、(a)本明細書に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を適切な希釈剤に溶解して再構成製剤を提供することと、を含む。適切な希釈剤は、当業者によって容易に選択され得、例えば、水または緩衝剤(例えば、Tris)を含有する水溶液を含み得る。
【0165】
本発明の特定の態様では、本明細書に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含む容器は、1またはそれを超える他の成分、例えば希釈剤を含有する第2の容器を有するキットで提供される。ポリメラーゼ製剤は、様々な異なる実施形態で包装されてもよく、当業者は、本発明が多くの異なるキット構成を包含することを理解するであろう。例えば、キットは、標的領域を増幅するための1またはそれを超える増幅オリゴマーを含有する容器を更に含んでもよく、必要に応じて、増幅される標的領域を検出するための1またはそれを超える検出プローブを有してもよい。キットは、in vitro増幅を行うのに適した他の試薬、例えば緩衝液、塩溶液および/または適切なヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP、UTP)を含有し得る。特定の実施形態では、キットは、本発明による方法を実施するための説明書のセットを更に含み、説明書は、キットまたはその構成要素の添付文書および/または包装に関連付けられ得る。
【0166】
他の態様では、本発明は、増幅反応混合物を提供する。そのような反応混合物は、例えば、濃縮されたバルク生成物として本明細書に記載の水性製剤を使用して調製され得る。本開示の反応混合物は、典型的には、少なくとも1つのポリメラーゼと、約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤と、を含む。いくつかの実施形態では、α-シクロデキストリンは、約5mg/mL~約17.5mg/mL、約5mg/mL~約15mg/mL、約5mg/mL~約12.5mg/mL、約8mg/mL~約20mg/mL、約8mg/mL~約17.5mg/mL、約8mg/mL~約15mg/mL、または約8mg/mL~約12.5mg/mLの濃度で存在し、より具体的な変形例では、α-シクロデキストリンが約10mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、約0.001%~約0.02%(v/v)、約0.001%~約0.015%(v/v)、約0.0015%~約0.025%(v/v)、約0.0015%~約0.02%(v/v)、または約0.0015%~約0.015%(v/v)の濃度で存在し、より具体的な変形例では、ポリソルベート20は、約0.002%(v/v)、約0.0021%(v/v)、または約0.01%(v/v)の濃度で存在する。
【0167】
反応混合物に使用するのに適したポリメラーゼには、上記のポリメラーゼ製剤に適したものが含まれる。例えば、反応混合物は、少なくとも2つのDNAポリメラーゼ、例えば逆転写酵素(例えば、MMLV変異型逆転写酵素)およびDNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)を含み得る。
【0168】
緩衝剤は、典型的には、増幅アッセイにおけるポリメラーゼの使用に適したpHを維持するのに十分な濃度で反応混合物中に存在する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約6.0~約9.0、約6.5~約8.5、約6.5~約8.0、または約6.5~約7.5の範囲のpHを維持するのに十分な濃度で存在する。適切な緩衝剤には、上記のようなポリメラーゼ製剤に適した緩衝剤が含まれる。特定の実施形態では、Tris緩衝剤は、約5mM~約50mMまたは約10mM~約50mMの濃度で存在する。本発明による反応混合物のための緩衝液の他の適切な濃度は、当業者によって容易に決定され得る。
【0169】
特定の実施形態では、増幅反応混合物は、凍結保護剤を含有し得る(例えば、増幅反応混合物が、凍結乾燥形態から再構成された水性ポリメラーゼ製剤を使用して調製される場合等)。いくつかのこのような実施形態では、凍結保護剤はトレハロースであり、トレハロースは、例えば、約0.1M~約0.2Mの濃度で反応混合物中に存在し得る。トレハロースを含む反応混合物のいくつかの変形例では、トレハロースは約0.15Mの濃度で存在する。
【0170】
上記の反応混合物は、増幅アッセイを行うための1またはそれを超える追加の成分を更に含み得る。例えば、反応混合物は、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを更に含有し得る。いくつかのこのような実施形態では、反応混合物は、増幅アッセイの複数サイクルで標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマー(例えば、第1の増幅オリゴマーおよび第2の増幅オリゴマー)を含有する。他の相互に排他的でない変形例では、反応混合物は、増幅される標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーを含む。増幅反応混合物に使用するための検出プローブオリゴマーは、典型的には、例えば化学発光化合物またはフルオロフォア等の検出可能な標識を含む。特定の実施形態では、反応混合物中の少なくとも2つの増幅オリゴマーおよび少なくとも1つの検出プローブオリゴマーは、標的領域を増幅し、例えばリアルタイムPCRアッセイまたはリアルタイム転写媒介増幅(TMA)アッセイ等でリアルタイムで増幅産物を検出するように構成される。リアルタイム検出のための特に適切な検出プローブオリゴマーには、蛍光標識および非蛍光クエンチャー(例えば、加水分解プローブ、分子トーチ、または分子ビーコン)を含むオリゴマーが含まれる。
【0171】
他の相互に排他的でない実施形態では、反応混合物は、ヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;ならびに/またはATP、CTP、GTPおよびUTP)、キレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)、無機塩(例えば、KCl)、および補因子から選択される1またはそれを超える追加の適切な増幅アッセイ成分を含む。いくつかの変形例では、キレート剤はEDTAであり、例えば、約0.025mM~約0.25mM(例えば、約0.08mMの濃度で)の濃度で存在してもよい。特に適切な補因子は塩化マグネシウムであり、これは例えば約1mM~約5mMの濃度で存在し得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、上記のような反応混合物は、標的核酸または標的核酸を含有すると疑われる試料を更に含む。例えば、少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む上記のような反応混合物は、少なくとも1つの増幅オリゴマーによって標的化される標的核酸、または標的核酸を含有すると疑われる試料を更に含有し得る。標的核酸は、目的の任意の標的核酸であってもよく、RNAまたはDNAであってもよい。特定の実施形態では、標的核酸は、ウイルス、細菌、原虫、真菌、またはヒトもしくは動物の疾患の原因となる他の微生物等の病原体に由来する。
【0173】
いくつかの実施形態では、上記の反応混合物は、少なくとも1つの洗浄剤を更に含む。例えば、反応混合物は、標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料から反応混合物に導入される少なくとも1つの洗浄剤を含有してもよく、試料は、試料抽出に使用される1またはそれを超える残留洗浄剤を含有する。特定の変形例では、洗浄剤は、例えばドデシル硫酸塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウムまたはドデシル硫酸リチウム(本明細書ではラウリル硫酸リチウムとも呼ばれる))またはN-ラウロイルサルコシン等のアニオン性洗浄剤である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの洗浄剤を含有する試料は、体積で反応混合物の少なくとも約20%または少なくとも約40%を構成する。より具体的な変形例では、少なくとも1つの洗浄剤を含有する試料は、体積で反応混合物の約40%~約50%、約50%~約70%、約20%~約33%、約42.9%、または約62.5%を構成する。
【0174】
他の態様では、本発明は、増幅反応混合物を調製する方法を提供する。特定の実施形態では、反応混合物を調製する方法は、(a)記の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)水性ポリメラーゼ製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマー(例えば、少なくとも2つの増幅オリゴマー)を含有する第2の製剤と混合することと、を含む。他の実施形態では、反応混合物を調製する方法は、(a)上記の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して再構成製剤を提供することと、(c)再構成製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマー(例えば、少なくとも2つの増幅オリゴマー)を含む第2の製剤と混合することと、を含む。適したポリメラーゼとしては、上記のポリメラーゼ製剤または反応混合物に適したものが挙げられる。特定の変形例では、上記の方法は、水性または再構成製剤を1またはそれを超える追加の増幅アッセイ成分と混合することを更に含む。そのような追加の成分(複数可)は、第2の製剤内に含有されてもよく、または水性もしくは再構成ポリメラーゼ製剤と混合された1もしくはそれを超える別個の製剤に含有されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような1またはそれを超える追加の成分は、(i)標的領域(例えば、化学発光標識もしくは蛍光標識等の標識を含むか、または蛍光標識および非蛍光クエンチャーを含むプローブ)内に含有される配列決定された標的に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマー、(ii)ヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;ならびに/またはATP、CTP、GTPおよびUTP)、(iii)少なくとも1つのキレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)、ならびに/または(iv)少なくとも1つの補因子(例えば、塩化マグネシウム)を含む。いくつかの実施形態では、水性または再構成ポリメラーゼ製剤は、本明細書に記載のヌクレオチド三リン酸および/またはキレート剤を更に含む製剤であり、水性または再構成製剤と混合された1またはそれを超える追加の成分は、(i)標的領域内に含有される配列決定された標的に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマー、および/または(ii)少なくとも1つの補因子を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、反応混合物を調製するための方法は、標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と、水性もしくは再構成製剤、または水性もしくは再構成製剤を含む上記の混合物を混合することを更に含む。いくつかのこのような実施形態では、試料は、生物学的試料を1またはそれを超える洗浄剤で処理することに由来する抽出試料であり、それにより、抽出試料は残留成分として1またはそれを超える洗浄剤を含有する。残留洗浄剤は、例えばドデシル硫酸塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウムまたはドデシル硫酸リチウム)またはN-ラウロイルサルコシン等のアニオン性洗浄剤であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出された試料は、体積で反応混合物の少なくとも約20%または少なくとも約40%(例えば、体積で反応混合物の約40%~約50%、約50%~約70%、約20%~約33%、約42.9%、または約62.5%)を構成する。
【0176】
上記のように反応混合物を調製するための方法の特定の実施形態では、混合物成分の最終アッセイ濃度は、増幅反応混合物について本明細書で前述した濃度を含み得る。例えば、α-シクロデキストリンを約5mg/mL~約20mg/mLの濃度まで混合してもよく、ポリソルベート20を、約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度まで混合してもよく、Trisを、存在する場合、約5mM~約50mMの濃度まで混合してもよく、EDTAを、存在する場合、約0.025mM~約0.25mMの濃度まで混合してもよく、トレハロースを、存在する場合、約0.1M~約0.2Mの濃度に混合してもよく、および/または塩化マグネシウムを、存在する場合、約1mM~約5mMの濃度まで混合してもよい。
【0177】
他の態様では、本発明は、増幅反応を行うための方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、(a)標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料を提供することと、(b)試料を、少なくとも1つのポリメラーゼと、α-シクロデキストリンと、ポリソルベート20と、少なくとも1つの緩衝剤(例えば、Tris)と、核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP;ならびに/またはATP、CTP、GTPおよびUTP)と、少なくとも1つの補因子(例えば、塩化マグネシウム)と、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマー(例えば、少なくとも2つの増幅オリゴマー)と、を含む水性混合物と接触させることと、を含み、試料を水性混合物と接触させることにより、α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在する反応混合物を提供する、試料を水性混合物と接触させることと、(c)反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、標的核酸が、試料中に存在する場合、標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用される、反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を行うことと、を含む。適したポリメラーゼとしては、上記のポリメラーゼ製剤または反応混合物に適したものが挙げられる。特定の変形例では、上記のような方法は、試料を、1またはそれを超える追加のアッセイ成分、例えば、1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマー、および/または(iii)少なくとも1つのキレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)と接触させることを更に含む。ポリメラーゼを含む水性混合物は、例えばトレハロース等の凍結保護剤(例えば、水性製剤が再構成される凍結乾燥製剤に使用される)を更に含有し得る。混合物成分の最終増幅アッセイ濃度は、増幅反応混合物について本明細書で前述した濃度を含み得る。標的核酸の標的領域の増幅は、例えば、いくつか例を挙げると、転写関連増幅(例えば、転写媒介増幅(TMA)または核酸配列に基づく増幅(NASBA))、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、レプリカーゼ媒介増幅、およびリガーゼ連鎖反応(LCR)を含む様々な既知の核酸増幅反応を使用して達成することができる。
【0178】
上記のように増幅反応を行うための方法のいくつかの実施形態では、試料は、生物学的試料を1またはそれを超える洗浄剤で処理することに由来する抽出試料であり、それにより、抽出試料は、残留成分として1またはそれを超える洗浄剤を含有する。残留洗浄剤は、例えばドデシル硫酸塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウムまたはドデシル硫酸リチウム)またはN-ラウロイルサルコシン等のアニオン性洗浄剤であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出された試料は、体積で反応混合物の少なくとも約20%または少なくとも約40%(例えば、体積で反応混合物の約40%~約50%、約50%~約70%、約20%~約33%、約42.9%、または約62.5%)を構成する。
【0179】
特定の実施形態では、上記のような増幅反応を行うための方法は、増幅前の試料中の他の成分から標的核酸を精製する工程を更に含む。そのような精製は、試料に含有される生物を他の試料成分から分離および/もしくは濃縮する方法、または非核酸試料成分、例えばタンパク質、炭水化物、塩、脂質等を除去もしくは分解する方法を含み得る。特定の実施形態では、標的核酸は、特異的または非特異的に捕捉され、他の試料成分から分離される。標的捕捉は、典型的には、ハイブリダイズ条件下で標的核酸の標的配列にハイブリダイズする1またはそれを超える捕捉プローブオリゴマーを含有する溶液相混合物中で起こる。捕捉プローブテールを含む実施形態の場合、標的:捕捉-プローブ複合体は、捕捉プローブテールが固定化プローブにハイブリダイズするハイブリダイゼーション条件を使用することによって捕捉される。特定の実施形態は、粒子状固体支持体、例えば常磁性ビーズを使用する。選択的および非特異的標的捕捉方法は、例えば、米国特許第6,110,678号および国際特許出願公開第2008/016988号(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)にも記載されている。いくつかの実施形態では、精製工程(例えば、特異的または非特異的な標的捕捉を含む精製工程)は、例えばアニオン性洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸リチウム)等の1またはそれを超える洗浄剤を利用する。
【0180】
上記のような標的核酸を増幅するための方法は、1またはそれを超えるアンプリコンを検出することを更に含み得る。検出工程は、例えば、増幅産物を標識検出プローブとハイブリダイズさせ、標識プローブから生じるシグナル(いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション後にプローブから放出された標識を含む)を検出すること等によって、増幅された標的配列に特異的に関連するシグナルを検出するための様々な公知の技術のいずれかを使用して行われ得る。いくつかの実施形態では、標識プローブは、第1の標識と相互作用するクエンチャーまたは他の部分等の第2の部分を含む。検出は、増幅反応の完了後に行ってもよく、標的領域の増幅と同時に、例えばリアルタイムで行ってもよい。リアルタイム検出を使用する特定の変形例では、検出プローブは、例えば、分子ビーコン、分子トーチ、またはプローブが増幅産物(例えば、蛍光標識と消光部分の両方を含む二重標識ヘアピンプローブ)に結合したときに検出されるレポーター部分で標識されたハイブリダイゼーションスイッチプローブ等のヘアピンプローブであり得る。リアルタイム検出のための他の実施形態では、検出プローブは、例えば、フルオロフォアと消光部分(例えば、TaqManプローブ)の両方で標識されたオリゴマー等の線状オリゴマーである。そのようなプローブは、標的ハイブリダイズ配列および非標的ハイブリダイズ配列を含み得る。そのようなプローブの様々な形態が以前に記載されている(例えば、米国特許第5,210,015号、同第5,487,972号;同第5,118,801号;5,312,728号;同第5,925,517号;同第6,150,097号;同第6,849,412号;同第6,835,542号;同第6,534,274号;および同第6,361,945号;ならびに米国特許出願公開20060068417号A1および同第20060194240号A1を参照;それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。
【実施例
【0181】
以下の実施例は、特定の開示された実施形態を説明するために提供され、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0182】
実施例1
洗浄剤を含有する試料で試験するために、いくつかのPCR反応混合物を調製した。0.46U/μLのDNAポリメラーゼ、0.5U/μLの逆転写酵素、0.2U/μLのRNase阻害剤、それぞれ0.25mMのdNTP、0.05mMのdUTP、81mMおよび5.1mMのKClおよびMgClを含む無機塩、0.1mMのEDTA、ならびにインフルエンザA標的核酸の増幅および検出のためのいくつかのプライマーおよびプローブ(配列番号8~14、0.64μM~1.29μM)を含有するように初期マスターミックスを調製した。1.0U/μLのDNAポリメラーゼ、3.2U/μLの逆転写酵素、0.53mMのdNTP、1.06mMのdUTP、173mMおよび10.93mMのKClおよびMgClを含む無機塩、0.21mMのEDTA、ならびに同じ標的核酸の増幅および検出のためのいくつかのプライマーおよびプローブ(配列番号8~14、0.64μM~1.29μM)を含有するように第2のマスターミックスを調製した。初期マスターミックスを条件(A)~(F)に分け、条件(B)および(D)は、0.025%(v/v)のポリソルベート20を更に含有し、条件(B)、(C)および(F)は12.5mg/mLのα-シクロデキストリンを更に含有し、条件(C)は0.13%(v/v)のポリソルベート20を更に含有し、条件(E)は50mg/mLのα-シクロデキストリンを更に含有した。
【0183】
試料は、8.3コピー/mLのインフルエンザA in vitro transcript標的核酸(配列番号7)を、適切な培地、例えば、Micro Test M4培地(Remel Inc.カタログ番号R12500)、Micro Test M5ウイルス輸送培地(Remel,Inc.カタログ番号R12515)、Micro Test M6ウイルス輸送培地(Remel,Inc.カタログ番号R12530)、Micro Test M4RTウイルス輸送培地(Remel,Inc.カタログ番号R 12505)またはCopan Universal輸送培地(Copan Diagnostics,Inc.、カタログ番号330C)にスパイクすることによって調製した。標的核酸は、配列番号7のRNA転写物であった。360μLの調製された試料を、100μgのポリT(配列番号2)被覆磁性微粒子および20ピコモルの標的捕捉オリゴマー(配列番号1)を含有する緩衝試薬中、936μLの最終反応体積で別々にインキュベートして、標的核酸を磁性固体支持体に結合させた。磁場の印加によって磁性微粒子および結合核酸を溶液から分離し、[捕捉標的]:[捕捉プローブ]:[磁性微粒子]の組み合わせから上清を除去した。次いで、磁性微粒子を洗浄緩衝液に再懸濁した。再懸濁した微粒子をもう1回の分離、上清除去、および洗浄緩衝液中での再懸濁に供した。2回目の洗浄緩衝液の分離および除去後、微粒子を50uLの溶出緩衝液(保存剤を含む水中5mM Tris)中でインキュベートした。磁場の印加により磁性粒子を分離し、核酸を含有する溶出液を回収した。溶出液を別々の容器に分割し、溶出液部分の一方に30%(v/v)の洗浄緩衝液を更にスパイクして、100mg/mLのドデシル硫酸ナトリウムを含有する溶出液を生成して、上流の試料処理工程からの洗浄緩衝液のキャリーオーバをシミュレートした。洗浄緩衝液中に存在する洗浄剤は、核酸増幅反応を阻害または減少させることが知られている。
【0184】
上記マスターミックス条件(A)~(F)のそれぞれをマルチウェルプレートのウェルに添加し、洗浄緩衝液をスパイクした溶出液のアリコートおよび洗浄緩衝液を含まない溶出液(20μLマスターミックス、10μL溶出液、30μL総反応体積)と合わせた。各条件は、19の複製で調製した条件(E)を除いて、20の複製で調製した。リアルタイム増幅および検出反応を条件ごとに20(19)の複製について設定し、反応を熱サイクル機器(Panther Fusion Instrument、Hologic,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して行った。結果を以下の表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0185】
これらのデータは、α-シクロデキストリンおよびポリソルベート20の反応混合物への添加が、洗浄緩衝液洗浄剤が核酸増幅反応に及ぼすマイナスの効果/阻害効果を緩和したことを示す。これらのデータはまた、これらの2つの試薬の組み合わせが、α-シクロデキストリン単独またはポリソルベート20単独のいずれかを使用して観察された緩和効果と比較して、洗浄緩衝液誘導阻害に対して相乗的な緩和効果を有したことを示す。
【0186】
実施例2
PCRマスター混合物を実質的に実施例1に記載のように調製し、第2のマスター混合物と呼んだ。このマスター混合物において、プライマーおよびプローブは配列番号4~6であり、マスター混合物は更に0.4Mトレハロースを含有していた。マスター混合物を別々の条件に分離し、条件(G1)は更に26.7mg/mLのα-シクロデキストリンおよび0.0057%(v/v)ポリソルベート20を含有し、条件(G2)は更に28.0mg/mLのα-シクロデキストリンおよび0.0063%(v/v)ポリソルベート20を含有し、条件(G3)は更に25.4mg/mLのα-シクロデキストリンおよび0.0051%(v/v)ポリソルベート20を含有し、(G4)はさらなる添加剤を含有しなかった。
【0187】
季節性コロナウイルス型OC43(Zeptometrixカタログ番号0810024CF)を全血試料マトリックスまたは試料輸送培地(STM)にスパイクして、各試料タイプにおいて0.125 TCID50/mLの最終ウイルス力価を得た。400uLの全血マトリックスまたはSTMマトリックスを、100μgのポリT(配列番号2)被覆磁性微粒子および20ピコモルの標的捕捉オリゴマー(配列番号3)を含有する緩衝試薬中、976μLの最終反応体積で別々にインキュベートして、標的核酸を磁性固体支持体に結合させた。磁性微粒子と結合した核酸とを実施例1において概説したように分離し、標的核酸を含む溶出液を回収した。次いで、溶出液を2等分し、1部に、溶出液を30%(v/v)の洗浄緩衝液で更にスパイクして、100mg/mLのドデシル硫酸ナトリウムを含有する溶出液を生成し、上流の試料処理工程からの洗浄緩衝液のキャリーオーバをシミュレートした。洗浄緩衝液中に存在する洗浄剤は、核酸増幅反応を阻害または減少させることが知られている。
【0188】
上記マスターミックス条件(G1)~(G4)の各々をマルチウェルプレートのウェルに添加し、洗浄緩衝液スパイク溶出液のアリコートまたは洗浄緩衝液スパイクを受けなかった溶出液のアリコート((G4)条件が、20μLマスターミックス、5μL溶出液、25μL総体積である以外は、15μLマスターミックス、25μL溶出液、40μL総反応体積、)と組み合わせた。非スパイク溶出液を含む条件(G1)を20の複製で調製したことを除いて、各条件を24の複製で調製した。RT-PCT反応を、熱サイクル機器(Panther Fusion Instrument、Hologic,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して行った。条件(G4)は、15μLマスターミックスおよび25μL溶出液を使用して調製した場合よりも5.3倍少ない標的核酸を有するように調製される。したがって、同一の反応条件下で、(G4)は、代替反応条件(理論的に2.4のCt)を用いて調製した場合よりも高いCtを有する。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0189】
これらのデータは、条件(G4)と比較して、条件(G1)、(G2)および(G3)についてより低いCt値およびより高いRFU値を示す。条件(G4)aに対して比較すると、これらのデータは、-5.1、-5.3、および-4.7のCt改善を示し、条件(G1)a、(G2)a、および(G3)aに対してそれぞれ+112%、+127%、および+102%のRFU改善を示す。(G4)bと比較して、これらのデータは、-3.2、-3.4、および-3.0のCt改善を示し、条件(G1)b、(G2)b、および(G3)bについてそれぞれ+61%、+72%、および+56%のRFU改善を示す。(G4)cと比較して、これらのデータは、-5.5、-5.5、および-6.4のCt改善を示し、条件(G1)c、(G2)c、および(G3)cについてそれぞれ+72%、+35%、および+67%のRFU改善を示す。(G4)dと比較して、これらのデータは、-3.2、-4.1、および-3.2のCt改善を示し、条件(G1)d、(G2)d、および(G3)dについてそれぞれ+57%、+44%、および+46%のRFU改善を示す。これらの結果は、阻害物質を含有し、様々な濃度のα-シクロデキストリンおよびポリソルベート20で処置した試料を、そのような処置を行わない阻害物質を含有する試料と比較した場合、Ctの実質的な改善を示す。
【0190】
実施例3
季節性コロナウイルス型OC43(Zeptometrixカタログ番号0810024CF)をいくつかの血漿および血清試料にスパイクして、1.15mLの総試料体積で70 TCID50/mLの最終OC43ウイルス力価を得た。次いで、スパイクした試料を、10%(v/v)ラウリル硫酸リチウムを含む試薬と合わせた。この試薬の他の成分には、緩衝液、塩、配列番号2でコーティングされた磁性粒子、配列番号1、および標的捕捉オリゴマー(配列番号3)が含まれた。各試料をオービタルシェーカー(約200rpm、1分)で混合した。次いで、試料を43℃の水浴中で4分間、次いで63℃で29分間、次いで43℃で15分間インキュベートした。磁場の印加により磁性粒子を分離し、核酸を含有する溶出液を回収した。それぞれが配列番号4、5および6、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素dNTP、無機塩、BSAおよびRNase阻害剤を含有する2つの逆転写PCR反応混合物を調製した。RT-PCR反応混合物の一方は、12.5mg/mLのポリソルベート20および0.0026%(v/v)のα-シクロデキストリンを更に含有していた。20μLのRT-PCR反応混合物を各試料タイプからの5μLの溶出液と合わせて、以下の4つの条件を調製した:(A)ポリソルベート20およびα-シクロデキストリンを含有するRT-PCR反応混合物を含む血漿試料溶出液、(B)RT-PCR反応混合物を含む血漿試料溶出液-ニート(neat)、(C)ポリソルベート20およびα-シクロデキストリンを含有するRT-PCR反応混合物を含む血清試料溶出液、ならびに(D)RT-PCR反応混合物を含む血清試料溶出液-ニート。RT-PCR反応を9~11の複製で調製し(表3参照)、内部対照をスパイクした。RT-PCR反応を行い、データを表3に示す。
【表3】
【0191】
表3のデータは、残留LLSの存在下で、試料が、LLSの影響を緩和する試薬を含有する反応物について生成されたものよりも高いCt、低いRFUおよびより高い試料間変動性を有するRT-PCR結果を生成したことを示す。これは、α-シクロデキストリンおよびポリソルベート20の添加がRNAの検出に1log超(添加剤ありでは4Ct超低い)有意に役立ったことを示す。
【0192】
実施例4
α-シクロデキストリンおよびポリソルベート20を含有する一連の水性混合物を調製した。この一連の混合物を、一定濃度のポリソルベート20を用いて設定し、いくつかの濃度のα-シクロデキストリンと組み合わせたか、または一定濃度のα-シクロデキストリンを用いて、いくつかの異なる濃度のポリソルベート20と組み合わせた(表4)。混合物1~7中の各組み合わせは、核酸増幅反応混合物中の洗浄剤の阻害効果を緩和するのに有効であった。各水性混合物を氷上で1時間保持し、次いで混合物を遠心分離して沈殿剤(precipitant)が存在するかどうかを評価した。氷上での1時間のインキュベーション後、混合物1~6中に様々なレベルの沈殿物が見られた。
【表4】
【0193】
様々な濃度のα-シクロデキストリンおよびポリソルベート20を含有するように、いくつかの乾燥RT-PCR反応混合物を調製した。RT-PCRマスター混合物を、1.0U/μLのDNAポリメラーゼ、3.2U/μLの逆転写酵素、0.4Mトレハロース、0.53mMのdNTP、1.06mMのdUTP、0.21mMのEDTA、1.6μMの各配列番号4および5、ならびに1.07μMの配列番号6を含有するように調製した。次いで、このマスターミックスを別々の条件に分け、条件(1)は16mg/mLのα-シクロデキストリンおよび0.0034%(v/v)ポリソルベート20を含有し、条件(2)は20mg/mLのα-シクロデキストリンおよび0.02%(v/v)ポリソルベート20を含有し、条件(3)はα-シクロデキストリンもポリソルベート20も含有しなかった。次いで、これらの条件のそれぞれを、条件ごとにいくつかの反応ウェルに24μLでアリコートし、アリコートを凍結乾燥技術を使用して乾燥させて、単回単位用量凍結乾燥ペレットを形成した。
【0194】
季節性コロナウイルス型OC43(Zeptometrixカタログ番号0810024CF)を全血試料マトリックス、血漿試料マトリックス、血清試料マトリックス、または試料輸送培地(STM)にスパイクして、各試料タイプにおいて14.2 TCID50/mLの最終ウイルス力価を得た。400μLの全血マトリックス、または200μLの血漿もしくは血清マトリックス、または360μLのSTMマトリックスを、100μgのポリT(配列番号2)被覆磁性微粒子および20ピコモルの標的捕捉オリゴマー(配列番号3)を含有する緩衝試薬中、936μLの最終反応体積で別々にインキュベートして、標的核酸を磁性固体支持体に結合させた。磁性微粒子と結合した核酸とを実施例1において概説したように分離し、標的核酸を含む溶出液を回収した。次いで、溶出液を2等分し、1部に、溶出液を30%(v/v)の洗浄緩衝液で更にスパイクして、100mg/mLのドデシル硫酸ナトリウムを含有する溶出液を生成し、上流の試料処理工程からの洗浄緩衝液のキャリーオーバをシミュレートした。
【0195】
条件(1)~(3)の凍結乾燥ペレットを、それぞれKClおよびMgClを含有するHEPES緩衝液25μLで再水和し、再水和した反応混合物15μLを条件(1)および(2)の溶出液25μLと合わせ、再水和した反応混合物(3)20μLを5μLの溶出液と(いずれも複製6で)合わせた。RT-PCT反応は、熱サイクル機器を使用して行った。結果を表5に示す。
【表5】
【0196】
これらのデータは、α-シクロデキストリンとポリソルベート20との組み合わせを含有する反応について、これらの添加剤を含まない同等の反応と比較して、より低いCt値およびより高いRFU値を示す。
【0197】
実施例5
0.65U/μLのDNAポリメラーゼ、それぞれ0.35mMのdNTP、0.7mMのdUTP、81および5.1mMのKClおよびMgClを含む無機塩、0.26Mのトレハロース、0.14mMのエチレンジアミン四酢酸、17.5mg/mLのα-シクロデキストリン、および0.0035%のポリソルベート20からなる増幅試薬混合物を調製した。試薬混合物は、BKウイルス(BKV)に特異的なプライマーおよびプローブ(配列番号15~17;表6を参照)またはエプスタイン・バーウイルス(EBV)検出に特異的なプライマーおよびプローブ(配列番号18~20;表6を参照)のいずれかを含有していた。
【0198】
試料は、血液輸送培地に1:4の比で希釈されたヒト全血、尿輸送培地に1:2の比で希釈されたヒト尿、または希釈されていないヒト血漿からなった。これらの試料の各々400μLを、270μgのポリT(配列番号2;5’-(T)14-3’)被覆磁性微粒子および220ピコモルの標的捕捉オリゴマー(配列番号1;5’-(K)18(T)3(A)30-3’)を含有する976μLの最終反応体積で別々にインキュベートして、標的核酸を磁性固体支持体に結合させた。磁場の印加によって磁性微粒子および結合核酸を溶液から分離し、[捕捉標的]:[捕捉プローブ]:[磁性微粒子]の組み合わせから上清を除去した。次いで、磁性微粒子を洗浄緩衝液に再懸濁した。再懸濁した微粒子をもう1回の分離、上清除去、および洗浄緩衝液中での再懸濁に供した。2回目の洗浄緩衝液の分離および除去後、微粒子を50μLの溶出緩衝液(保存剤を含む水中5mM Tris)中でインキュベートした。磁場の印加により磁性粒子を分離し、核酸を含有する溶出液を回収した。
【0199】
上記のマスターミックス条件のそれぞれをマルチウェルプレート(20μLマスターミックス、15μL溶出液、35μL総反応体積)のウェル内で合わせた。抽出された試料についてリアルタイム増幅および検出反応を設定し、熱サイクル機器(Panther Fusion Instrument、Hologic,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して反応を行った。
【0200】
EBV検出の直線性を、血液輸送培地で希釈したヒト全血については2.45logIU/mL~9.86logIU/mLの範囲にわたって、および希釈していないヒト血漿については1.98logIU/mL~9.26logIU/mLの範囲にわたって評価した。BKV検出の直線性を、尿輸送培地で希釈したヒト尿については2.11log IU/mL~9.38log IU/mLの範囲にわたって、および未希釈ヒト血漿については1.80log IU/mL~9.08log IU/mLの範囲にわたって評価した。直線性は、全ての条件について試験した範囲にわたって実証された。
【表6-1】

【表6-2】
【0201】
以上から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
2024524334000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリメラーゼ製剤であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、水性ポリメラーゼ製剤。
【請求項2】
凍結保護剤を更に含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)請求項に記載の水性製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を凍結乾燥して、前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を形成することとを含む、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法によって調製された、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【請求項5】
請求項に記載の水性製剤への再構成を可能にする、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
【請求項6】
水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)請求項またはに記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと
を含む、方法。
【請求項7】
キットであって、
請求項またはに記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含有する第1の密封容器を含む、キット。
【請求項8】
増幅反応混合物であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、増幅反応混合物。
【請求項9】
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)請求項1に記載の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと
を含む、方法。
【請求項10】
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)請求項またはに記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと、
(c)前記再構成製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと、
(d)工程(c)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合することであって、前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料であることと
を含む、方法。
【請求項11】
前記再構成製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が前記反応混合物の少なくとも約40%を構成する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
増幅反応を行うための方法であって、
(a)標的核酸を含有する試料を提供することであって、前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料であることと、
(b)前記試料を、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
α-シクロデキストリンと、
ポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸と、
少なくとも1つの補因子と、
前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーと、を含む水性混合物と接触させることであって、
前記試料を前記水性混合物と接触させることにより、前記α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、前記ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在する反応混合物を提供することと、
(c)前記反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、前記標的核酸が、前記試料中に存在する場合、前記標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用されることと
を含む、方法。
【請求項15】
前記1またはそれを超えるアンプリコンを検出することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出する工程が、前記in vitro核酸増幅反応物を、前記1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと接触させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記検出する工程が、リアルタイムで行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記水性混合物が、凍結保護剤を更に含み、前記水性混合物が、凍結乾燥製剤から再構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記標的核酸を含有する試料が、工程(b)で生成された前記反応混合物の少なくとも約40%を構成する、請求項14に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0201
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0201】
以上から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
水性ポリメラーゼ製剤であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約10mg/mL~約40mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.002%~約0.05%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、水性ポリメラーゼ製剤。
(項目2)
前記α-シクロデキストリン濃度が、約16mg/mL~約30mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、または約10mg/mL~約15mg/mLである、項目1に記載の製剤。
(項目3)
前記α-シクロデキストリン濃度が、約20mg/mL、約17.5mg/mL、または約12.5mg/mLである、項目1に記載の製剤。
(項目4)
前記ポリソルベート20の濃度が、約0.003%~約0.03%(v/v)である、項目1~3のいずれか一項に記載の製剤。
(項目5)
前記ポリソルベート20濃度が、約0.0042%(v/v)、約0.0035%(v/v)、約0.0026%(v/v)または約0.02%(v/v)である、項目1~3のいずれか一項に記載の製剤。
(項目5)
項目5a。前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、項目1~5のいずれか一項に記載の製剤。
(項目6)
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、項目1~5aのいずれか一項に記載の製剤。
(項目7)
凍結保護剤を更に含む、項目1~6のいずれか一項に記載の製剤。
(項目8)
前記凍結保護剤が、トレハロースである、項目7に記載の製剤。
(項目9)
前記トレハロースが、約0.2M~約0.4Mの濃度で存在する、項目8に記載の製剤。
(項目10)
前記トレハロースが、約0.26Mまたは約0.3Mの濃度で存在する、項目9に記載の製剤。
(項目11)
凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)項目7~10のいずれか一項に記載の水性製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を凍結乾燥して、前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を形成することとを含む、方法。
(項目12)
項目11に記載の方法によって調製された、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
(項目13)
項目7~10のいずれか一項に記載の水性製剤への再構成を可能にする、凍結乾燥ポリメラーゼ製剤。
(項目14)
水性ポリメラーゼ製剤を調製する方法であって、
(a)項目12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと
を含む、方法。
(項目15)
キットであって、
項目12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を含有する第1の密封容器を含む、キット。
(項目16)
希釈剤を含有する第2の密封容器を更に含む、項目15に記載のキット。
(項目17)
増幅反応混合物であって、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
約5mg/mL~約20mg/mLの濃度のα-シクロデキストリンと、
約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度のポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
を含む、増幅反応混合物。
(項目18)
前記α-シクロデキストリン濃度が、約8mg/mL~約15mg/mLである、項目17に記載の反応混合物。
(項目19)
前記α-シクロデキストリン濃度が、約10mg/mLである、項目17に記載の反応混合物。
(項目20)
前記ポリソルベート20濃度が、約0.0015%~約0.015%(v/v)である、項目17~19のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目21)
前記ポリソルベート20濃度が、約0.002%(v/v)、約0.0021%(v/v)、または約0.01%(v/v)である、項目17~19のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目22)
前記少なくとも1つのポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、項目17~21のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目23)
凍結保護剤を更に含む、項目17~22のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目24)
前記凍結保護剤が、トレハロースである、項目23に記載の反応混合物。
(項目25)
前記トレハロースが、約0.1M~約0.29Mの濃度で存在する、項目24に記載の反応混合物。
(項目26)
前記トレハロースが、約0.15Mの濃度で存在する、項目25に記載の反応混合物。
(項目27)
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸を更に含む、項目17~26のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目28)
標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも2つの増幅オリゴマーを更に含む、項目17~27のいずれか一項に記載の反応混合物。
(項目29)
前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーを更に含む、項目28に記載の反応混合物。
(項目30)
前記標的核酸を更に含む、項目28または29に記載の反応混合物。
(項目31)
少なくとも1つの洗浄剤を更に含む、項目30に記載の反応混合物。
(項目32)
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、項目31に記載の反応混合物。
(項目33)
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)項目1~10のいずれか一項に記載の水性ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記水性製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと
を含む、方法。
(項目34)
前記水性製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
工程(b)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合することを更に含む、項目33または34に記載の方法。
(項目36)
増幅反応混合物を調製する方法であって、
(a)項目12または13に記載の凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を提供することと、
(b)前記凍結乾燥ポリメラーゼ製剤を希釈剤に溶解して、再構成製剤を提供することと、
(c)前記再構成製剤を、標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーを含む第2の製剤と混合することと、
を含む、方法。
(項目37)
前記再構成製剤を、前記標的領域内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと混合することを更に含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
工程(c)で生成された前記混合物を、前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料と混合する工程を更に含む、項目36または37に記載の方法。
(項目39)
前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、項目35または38に記載の方法。
(項目40)
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記標的核酸を含有するまたは含有すると疑われる試料が反応混合物の少なくとも約40%を構成する、項目35および38~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
増幅反応を行うための方法であって、
(a)標的核酸を含有する試料を提供することと、
(b)前記試料を、
少なくとも1つのポリメラーゼと、
α-シクロデキストリンと、
ポリソルベート20と、
少なくとも1つの緩衝剤と、
核酸増幅を行うのに適したヌクレオチド三リン酸と、
少なくとも1つの補因子と、
前記標的核酸の標的領域を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅オリゴマーと、を含む水性混合物と接触させることであって、
前記試料を前記水性混合物と接触させることにより、前記α-シクロデキストリンが約5mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し、前記ポリソルベート20が約0.001%~約0.025%(v/v)の濃度で存在する反応混合物を提供することと、
(c)前記反応混合物を使用してin vitro核酸増幅反応を実施することであって、前記標的核酸が、前記試料中に存在する場合、前記標的領域に対応する1またはそれを超えるアンプリコンを生成するための鋳型として使用されることと
を含む、方法。
(項目43)
前記1またはそれを超えるアンプリコンを検出することを更に含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記検出する工程が、前記in vitro核酸増幅反応物を、前記1またはそれを超えるアンプリコン内に含有される標的配列に特異的にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つの検出プローブオリゴマーと接触させることを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記検出する工程が、リアルタイムで行われる、項目43または44に記載の方法。
(項目46)
前記試料が、少なくとも1つの洗浄剤を含有する抽出試料である、項目42~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記少なくとも1つの洗浄剤がアニオン性洗浄剤であり、必要に応じて、前記アニオン性洗浄剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはラウリル硫酸リチウム(LLS)である、項目46に記載の方法。
【国際調査報告】