(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】折り畳み可能要素を備えた局所アブレーションデバイス、ならびにそのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240628BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B18/14
A61N1/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579777
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022035524
(87)【国際公開番号】W WO2023278577
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサン、ラジュ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ13
4C053JJ23
4C053JJ40
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK39
4C160MM38
(57)【要約】
心内膜カテーテルは、外側シャフトルーメンを有する外側シャフトと、外側シャフトルーメン内に摺動可能に配置された内側シャフトと、複数の可撓性のスプラインを備えるスプラインアセンブリであって、複数のスプラインの各々は、外側シャフトの遠位端に取り付けられたスプライン近位端、内側シャフトの遠位端に取り付けられた反対側のスプライン遠位端、および電極を有し、複数のスプラインは、集合的にスプラインアセンブリの内部空間を画定する、スプラインアセンブリと、スプラインアセンブリの内部空間内に配置された折り畳み可能な膜であって、複数のスプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられた外縁部分を有する、折り畳み可能な膜とを備える。折り畳み可能な膜は、電気絶縁材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心内膜カテーテルであって、
近位端および反対側の遠位端、および前記近位端および前記遠位端を通って延在する外側シャフトルーメンを有する外側シャフトと、
前記外側シャフトルーメン内に摺動可能に配置された内側シャフトであって、近位部分および反対側の遠位端を有し、前記外側シャフトの前記遠位端を越えて延びるサイズを有している、内側シャフトと、
複数の可撓性のスプラインを備えるスプラインアセンブリであって、前記複数のスプラインの各々は、前記外側シャフトの前記遠位端に取り付けられたスプライン近位端、前記内側シャフトの前記遠位端に取り付けられた反対側のスプライン遠位端、および複数の電極を有し、前記複数のスプラインは、前記スプラインアセンブリの内部空間を集合的に画定する、スプラインアセンブリと、
前記スプラインアセンブリの前記内部空間内に配置された折り畳み可能な膜であって、前記複数のスプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられた外縁部分を有する、折り畳み可能な膜と
を備える、心内膜カテーテル。
【請求項2】
前記折り畳み可能な膜は、電気絶縁材料で形成されている、請求項1に記載の心内膜カテーテル。
【請求項3】
前記スプラインアセンブリは、前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間の相対的な軸方向移動を引き起こすことによって、展開されていない構成と展開された構成との間で移行することができる、請求項2に記載の心内膜カテーテル。
【請求項4】
前記スプラインアセンブリは、展開されていない構成において最小直径を有し、完全に展開された構成において最大直径を有する、請求項3に記載の心内膜カテーテル。
【請求項5】
各スプライン上の前記複数の電極は、近位スプライン電極および遠位スプライン電極を含み、前記複数のスプラインの近位スプライン電極は、近位スプライン電極セットを集合的に画定し、前記複数のスプラインの遠位スプライン電極は、遠位スプライン電極セットを集合的に画定する、請求項4に記載の心内膜カテーテル。
【請求項6】
前記折り畳み可能な膜の前記外縁部分は、完全に展開された構成における前記スプラインアセンブリの前記最大直径に対応するその長手方向位置において、1つまたは複数のスプラインに取り付けられている、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項7】
前記折り畳み可能な膜の前記外縁部分は、前記1つまたは複数のスプラインの各々に配置された前記近位スプライン電極と前記遠位スプライン電極との間の長手方向位置において、1つまたは複数のスプラインに取り付けられている、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項8】
前記複数のスプラインの各々は、前記スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに湾曲形状を有し、前記折り畳み可能な膜は、前記1つまたは複数のスプラインに、その最大曲率点において取り付けられ、前記最大曲率点は、各スプラインの近位端よりも各スプラインの遠位端の近くに位置している、請求項7に記載の心内膜カテーテル。
【請求項9】
前記折り畳み可能な膜は、前記スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに円形形状をとる、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項10】
前記折り畳み可能な膜の前記外縁部分は、1つまたは複数のスプラインへの前記折り畳み可能な膜の取り付け点に対応する位置に複数の弓状のノッチを有している、請求項9に記載の心内膜カテーテル。
【請求項11】
前記折り畳み可能な膜の前記外縁部分は、前記スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに複数の凹部分を有している、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項12】
前記折り畳み可能な膜は、複数の折り目を含み、前記複数の折り目のうちのそれぞれ1つは、前記スプラインアセンブリの隣接するスプラインの間に位置している、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項13】
前記折り畳み可能な膜は、開口を含み、前記内側シャフトは、前記開口を通って延在している、請求項5に記載の心内膜カテーテル。
【請求項14】
前記内側シャフトは、ハブを含み、前記折り畳み可能な膜の前記開口の内縁は、前記ハブに取り付けられている、請求項13に記載の心内膜カテーテル。
【請求項15】
前記スプラインアセンブリが展開された構成と展開されていない構成との間で移行する際に、前記折り畳み可能な膜の折り畳みおよび展開を容易にするように構成された、前記折り畳み可能な膜に結合された複数の放射状の支柱をさらに備える、請求項14に記載の心内膜カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される実施形態は、概して、治療電気エネルギー送達のためのシステム、デバイス、および方法に関し、より詳細には、局所アブレーションデバイスを使用して不可逆的エレクトロポレーションによって組織を切除するためのパルス電界の印加のためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧パルスの印加を使用するパルス電界アブレーションは、心臓組織ならびに他の標的生体構造の迅速かつ効果的なアブレーションに適していることが実証されている。パルス電界エネルギー送達は、細胞膜の破壊を駆動し、細胞死をもたらすことができる局所的に高い電界を生成する高電圧の短いパルスを利用し、このプロセスは不可逆的エレクトロポレーションとも呼ばれる。例えば、心臓の場合、心内膜局所アブレーションカテーテルを使用して、不可逆的エレクトロポレーションを介してパルス電界アブレーションを心臓組織に送達することができる。
【0003】
比較的導電性の高い流体媒体(例えば、血液など)が存在する場合、パルス電界アブレーションの高電圧パルスは、アブレーションデバイスの電極間に電流を流すことができ、正味電流のかなりの割合が、組織ではなく流体媒体を流れる。この結果、例えば、より厚い組織(例えば、心室組織)においてより深い損傷(lesion)を生成するなどのいくつかの用途に対して最適ではない損傷特性がもたらされ得る。したがって、組織における深い損傷の生成を改善することができるアブレーションデバイス設計を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
例1では、心内膜カテーテルは、外側シャフトと、内側シャフトと、スプラインアセンブリと、折り畳み可能な膜とを備えている。外側シャフトは、近位端および反対側の遠位端、ならびに近位端および遠位端を通って延在する外側シャフトルーメンを有している。内側シャフトは、外側シャフトルーメン内に摺動可能に配置され、内側シャフトは、近位部分および反対側の遠位端を有し、内側シャフトは、外側シャフトの遠位端を越えて延在するサイズを有している。スプラインアセンブリは、複数の可撓性のスプラインを備え、複数のスプラインの各々は、外側シャフトの遠位端に取り付けられたスプライン近位端、内側シャフトの遠位端に取り付けられた反対側のスプライン遠位端、および複数の電極を有し、複数のスプラインは、スプラインアセンブリの内部空間を集合的に画定する。折り畳み可能な膜は、スプラインアセンブリの内部空間内に配置され、折り畳み可能な膜は、複数のスプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられた外縁部分を有している。
【0005】
例2では、例1の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜は、電気絶縁材料で形成されている。
例3では、例2の心内膜カテーテルにおいて、スプラインアセンブリは、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向移動を引き起こすことによって、展開されていない構成と展開された構成との間で移行することができる。
【0006】
例4では、例3の心内膜カテーテルにおいて、スプラインアセンブリは、展開されていない構成において最小直径を有し、完全に展開された構成において最大直径を有している。
【0007】
例5では、例4の心内膜カテーテルにおいて、各スプライン上の複数の電極は、近位スプライン電極および遠位スプライン電極を含み、複数のスプラインの近位スプライン電極は、近位スプライン電極セットを集合的に画定し、複数のスプラインの遠位スプライン電極は、遠位スプライン電極セットを集合的に画定する。
【0008】
例6では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜の外縁部分は、完全に展開された構成におけるスプラインアセンブリの最大直径に対応するその長手方向位置において、1つまたは複数のスプラインに取り付けられている。
【0009】
例7では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜の外縁部分は、1つまたは複数のスプラインの各々に配置された近位スプライン電極と遠位スプライン電極との間の長手方向位置において、1つまたは複数のスプラインに取り付けられている。
【0010】
例8では、例7の心内膜カテーテルにおいて、複数のスプラインの各々は、スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに湾曲形状を有し、折り畳み可能な膜は、1つまたは複数のスプラインに、その最大曲率点において取り付けられ、前記最大曲率点は、各スプラインの近位端よりも各スプラインの遠位端の近くに位置している。
【0011】
例9では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜は、スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに円形形状をとる。
例10では、例9の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜の外縁部分は、1つまたは複数のスプラインへの折り畳み可能な膜の取り付け点に対応する位置に複数の弓状のノッチを有している。
【0012】
例11では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜の外縁部分は、スプラインアセンブリが展開された構成にあるときに複数の凹部分を有している。
例12では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜は、複数の折り目を含み、複数の折り目のうちのそれぞれ1つは、スプラインアセンブリの隣接するスプラインの間に位置している。
【0013】
例13では、例5の心内膜カテーテルにおいて、折り畳み可能な膜は、開口を含み、内側シャフトは、開口を通って延在している。
例14では、例13の心内膜カテーテルにおいて、内側シャフトは、ハブを含み、折り畳み可能な膜の開口の内縁は、ハブに取り付けられている。
【0014】
例15では、例14の心内膜カテーテルは、スプラインアセンブリが展開された構成と展開されていない構成との間で移行する際に、折り畳み可能な膜の折り畳みおよび展開を容易にするように構成された、折り畳み可能な膜に結合された複数の放射状の支柱をさらに備えている。
【0015】
例16では、心臓組織の局所パルス電界アブレーションのためのシステムは、心内膜カテーテルおよび信号生成器を備えている。心内膜カテーテルは、外側シャフトと、内側シャフトと、スプラインアセンブリと、折り畳み可能な膜とを備えている。外側シャフトは、近位端および反対側の遠位端、ならびに近位端および遠位端を通って延在する外側シャフトルーメンを有している。内側シャフトは、外側シャフトルーメン内に摺動可能に配置され、内側シャフトは、近位部分および反対側の遠位端を有し、内側シャフトは、外側シャフトの遠位端を越えて延在するサイズを有している。スプラインアセンブリは、複数の可撓性のスプラインを備え、複数のスプラインの各々は、外側シャフトの遠位端に取り付けられたスプライン近位端、内側シャフトの遠位端に取り付けられた反対側のスプライン遠位端、および複数の電極を有し、複数のスプラインは、スプラインアセンブリの内部空間を集合的に画定する。折り畳み可能な膜は、スプラインアセンブリの内部空間内に配置され、折り畳み可能な膜は、複数のスプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられた外縁部分を有している。信号生成器は、パルス波形を生成するとともに、パルス波形を複数の電極に送達するように構成されている。
【0016】
例17では、例16のシステムにおいて、各スプライン上の複数の電極は、近位スプライン電極および遠位スプライン電極を含み、複数のスプラインの近位スプライン電極は、近位スプライン電極セットを集合的に画定し、複数のスプラインの遠位スプライン電極は、遠位スプライン電極セットを集合的に画定する。
【0017】
例18では、例16のシステムにおいて、折り畳み可能な膜の外縁部分は、完全に展開された構成におけるスプラインアセンブリの最大直径に対応するその長手方向位置において、1つまたは複数のスプラインに取り付けられている。
【0018】
例19では、心内膜カテーテルは、外側シャフトと、内側シャフトと、拡張可能かつ収縮可能なスプラインアセンブリと、折畳み可能な膜とを備えている。外側シャフトは、外側シャフト遠位端を有し、内側シャフトは、外側シャフト内に配置されるとともに、内側シャフト遠位端を含む。拡張可能かつ収縮可能なスプラインアセンブリは、複数のスプラインを含み、複数のスプラインの各々は、外側シャフト遠位端および内側シャフト遠位端に接続され、各スプラインは、近位電極および遠位電極を含む複数の電極をさらに含む。折り畳み可能な膜は、その上に配置された近位電極と遠位電極との間の取付け位置において、複数のスプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられたポリマー材料を含む。
【0019】
例20では、例19の心内膜カテーテルにおいて、取り付け位置は、完全に展開された構成におけるスプラインアセンブリの最大直径に対応している。
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態による、展開されていない構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態による、アブレーションデバイスの膜の概略的な正面図である。
【
図3A】
図3Aおよび
図3Bは、実施形態による、展開された構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図3B】
図3Aおよび
図3Bは、実施形態による、展開された構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態による、アブレーションデバイスの膜の概略的な正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態による、アブレーションデバイスの膜の概略的な正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態による、展開されていない構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態による、展開された構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態による、展開されていない構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態による、展開された構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態による、組織壁に当接するとともに損傷を生成する、展開された構成におけるアブレーションデバイスの概略的な斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態による、アブレーションシステムの概略図である。
【
図12】
図12は、実施形態による、組織アブレーションのための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な修正形態および代替形態に従うが、特定の実施形態が、例として図面に示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替を包含することが意図される。
【0022】
アブレーションのために組織(例えば、心臓組織)に送達され得るパルス電界を生成するための、局所アブレーションデバイスならびに関連システムおよび方法が、本明細書に説明される。アブレーションのためのパルス電界のそのような送達は、本明細書では、パルス電界アブレーションまたはPFA(pulsed field ablation)と称されることもある。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される局所アブレーションデバイスは、心房または心室心臓組織における心不整脈を治療するために使用されることができる。
【0023】
パルス電界エネルギー送達は、細胞膜の破壊を駆動し、細胞死をもたらすことができる局所的に高い電界を生成する高電圧の短いパルスを利用し、このプロセスは不可逆的エレクトロポレーションとも呼ばれる。PFAの送達のために構成された心内膜局所カテーテルの例は、(1)米国特許第10,130,423号として発行された「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」と題された2018年1月18日出願の米国特許出願第15/874,721号、(2)国際特許出願公開WO2019/143960として公開された「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」と題された2019年1月18日出願の国際特許出願PCT/US19/14226、および(3)国際特許出願公開WO2020/206328として公開された「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」と題された2020年4月3日出願の国際特許出願PCT/US20/26682に記載されたものなどの、展開可能なスプラインを備えたマルチ電極バスケット構造を含み、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、信号生成器を使用して、パルス電界アブレーションのための波形を生成することができる。信号生成器は、本明細書に説明されるアブレーションデバイスに結合されてよく、そのようなデバイスとともに使用するのに適した波形を生成することができる。そのようなパルス波形は、不可逆的エレクトロポレーションに関連する電界閾値を低減させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性のうちの1つまたは複数を強化するように設計することができ、したがって、送達される総エネルギーを低減(例えば、最小化)しながら、より効果的な焼灼巣(ablative lesion)をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電圧パルス波形は、階層的であってよく、入れ子構造を有していてもよい。例えば、パルス波形は、関連付けられたタイムスケールを有するパルスの階層的グルーピングを含んでいてよい。複数のレベルの階層を含む好適なパルス波形の例は、2016年10月19日に出願された「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題された国際出願PCT/US2016/057664、および2019年5月7日に出願された「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題された国際出願PCT/US2019/031135に開示されており、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
パルス電界アブレーションの心内膜臨床用途では、組織の局所領域が切除される局所損傷を生成することが望ましい場合がある。いくつかの例では、そのような損傷は貫壁性であってもよく、例えば、損傷は組織壁の深さ全体にわたって延在する。より厚い心臓組織では、例えば、左心室において一般的であるように、組織厚は、有意に厚く、例えば、約8mm~約10mm、またはそれ以上であり得る。したがって、心室頻拍(VT)などの心室性不整脈の治療などの用途では、より深い損傷を形成できることが望ましい場合がある。本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法は、より深い損傷の生成のために、パルス電界アブレーションを組織に送達するように構成されることができる。
【0026】
システム
本開示は、心臓組織に深い損傷を生成するためのパルス電界アブレーション送達のための装置およびデバイスの実施形態、ならびに関連する使用方法を説明する。いくつかの実施形態では、デバイスは、外側シャフトおよび内側シャフトを含むカテーテルであってよい。内側シャフトは、外側シャフトの遠位端を越えて並進する(例えば、延びる)ように構成されていてよい。デバイスは、外側シャフトの遠位端と内側シャフトの遠位端との間に結合された(例えば、取り付けられた)複数のスプラインを備えるスプラインアセンブリを含んでいてよい。例えば、各スプラインの近位端は、外側シャフトの遠位端に取り付けられていてよく、各スプラインの遠位端は、内側シャフトの遠位端に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、各スプラインの長さは、内側シャフトの遠位端が外側シャフトの遠位端を越えて延在する最大距離よりも長くすることができる。したがって、スプラインは、バスケット状の形状を集合的に形成することができる。いくつかの実施形態では、内側シャフトは、ハンドルを介して外側シャフトに対して並進させられる(例えば、引き込まれる)ことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、デバイスは、展開されていない構成と展開された構成との間の複数の半展開(例えば、部分的な展開)構成を含む、展開されていない構成と展開された構成との間で遷移するように構成されていてよい。例えば、展開されていない構成では、内側シャフトは、スプラインによって形成されたバスケット状の形状が最小直径または断面を有するように、外側シャフトの遠位端を越えて延ばされていてよい。内側シャフトが引き込まれる(retracted)と、スプラインは、(例えば、座屈または外向きの動きを介して)より大きな断面(例えば、展開されていない構成よりも大きな最大直径を有するより大きな断面)を有するバスケット状の構造へと展開することができる。いくつかの実施形態では、未展開から完全な展開までの展開の範囲が一般に利用可能であり、バスケット状の形状は、デバイスが完全に展開されたときにその最も広い断面を達成する。
【0028】
いくつかの実施形態では、各スプラインは、複数の電極を含んでいてよく、1つまたは複数の遠位電極のセットおよび2つ以上の近位電極のセットは、遠位電極のセットの近位に位置している。パルス電界アブレーション波形のアブレーション送達のために、遠位電極の種々のサブセットは、第1の電気的極性とされる一方、近位電極の種々のサブセットは、第1の電気的極性と反対の第2の電気的極性とされてよい。印加される波形は、単相(例えば、単一の相対極性)または二相(例えば、交互の相対極性)のいずれかであり得る。パルス電界アブレーションのための例示的な波形は、国際出願PCT/US2016/057664およびPCT/US2019/031135に説明されており、その各々は、参照により上記に組み込まれる。
【0029】
いくつかの実施形態では、絶縁材料を含む膜は、概して、スプラインの中間または中心部分に配置されていてよい。スプラインのうちの1つまたは複数への膜の取り付けを容易にするために、膜は、スプラインのうちの1つまたは複数に取り付けられるように構成された、膜の外縁に沿った1つまたは複数の凹部(例えば、切り欠き)を画定することができる。いくつかの実施形態では、膜の内側部分は、内側シャフトを受け入れるように構成された開口(例えば、穴)を画定することができる。いくつかの実施形態では、膜は、スプラインのうちの1つまたは複数の遠位電極のセットと近位電極のセットとの間において、1つまたは複数スプラインに結合されていてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、膜の片側表面積は、展開されていない構成においてスプラインによって形成される断面積よりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、展開されていない構成において、膜は、隣接するスプラインの間で膜を自然に折り畳むことができる、1つまたは複数のエッジ(例えば、折り線)を画定することができる。バスケットが拡張されている展開された構成では、膜は、開かれていてよく(例えば、折り畳まれていない)、スプラインの間で比較的ピンと張されたまたは平坦な構成をとる。いくつかの実施形態では、膜は、展開された構成においてスプラインによって形成される最大断面積の約50%以上の表面積を有していてよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、内側シャフトは、膜の展開を容易にするために膜の開口のエッジに結合するように構成されたハブ(例えば、突出部、停止部、ガイド、レール、締結具)を含んでいてよい。例えば、ハブは、膜に構造的支持を提供するために、概して内側シャフトに固定されていてよく、または所定の許容範囲(例えば、内側シャフトに沿ったストップまたはナブによって制限または境界付けられる)にわたる並進が可能にされていてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、スプライン電極の遠位セットとスプライン電極の近位セットとの間に配置される絶縁体を含む膜は、遠位電極に対して遠位の電界強度が増加するように、デバイスによって生成される電界線の方向を変えるように構成されていてよく、それによって、膜がない場合に生成されるであろう損傷よりも相対的に深い損傷を生成する。膜は、展開されていない構成から完全に展開された構成、およびそれらの間の任意の部分的に展開された構成まで、より深い損傷を容易にするように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるような膜を有するデバイスは、膜を有しないデバイスよりも約20%以上深い深さを有する損傷を生成することができる。
【0033】
概して、本明細書に説明されるシステムおよびデバイスは、心臓の左心房の組織を切除するように構成された1つまたは複数のカテーテルを含む。
図11は、電圧パルス波形を送達するように構成されたアブレーションシステム(1100)を示す。システム(1100)は、信号生成器(1122)と、プロセッサ(1124)と、メモリ(1126)と、任意選択で心臓刺激装置(1128)とを含む装置(1120)を含んでいてよい。装置(1120)は、アブレーションデバイス(1110)および任意選択で電子デバイス(1130)に結合されていてよい。
【0034】
信号生成器(1122)は、例えば、肺静脈口または他の心臓位置などの組織の不可逆的なエレクトロポレーションのためのパルス波形を生成するように構成されていてよい。例えば、信号生成器(1122)は、電圧パルス波形生成器であってよく、パルス波形をアブレーションデバイス(1110)に送達することができる。プロセッサ(1124)は、メモリ(1126)から受信されたデータを組み込んで、信号生成器(1122)によって生成されたパルス波形のパラメータ(例えば、振幅、幅、デューティサイクルなど)を決定することができる。メモリ(1126)は、パルス波形生成、マッピング、感知、および/または心臓ペーシング同期など、システム(1100)に関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を信号生成器(1122)に実行させる命令をさらに格納していてよい。例えば、メモリ(1126)は、それぞれ、パルス波形生成および/または心臓ペーシングのためのパルス波形および/または心臓ペーシングデータを格納するように構成されていてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1110)は、本明細書でより詳細に説明されるパルス波形を受信および/または送達するように構成されたカテーテルを含んでいてよい。例えば、アブレーションデバイス(1110)は、心臓の心内膜空間に導入され、1つまたは複数の電極(1112)および膜(1113)を組織の近傍に位置付けるように配置され、次いで、パルス波形を送達して組織を切除することができる。アブレーションデバイス(1110)は、1つまたは複数の電極(1112)を含んでいてよく、いくつかの実施形態では、独立してアドレス指定可能な電極の少なくとも1つのセットを含んでいてよい。各電極は、その対応する絶縁体の絶縁破壊なしに少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された、絶縁された電気リード線を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、各電気リード線上の絶縁体は、絶縁破壊することなく、その厚さにわたって約200V~約2500Vの電位差を維持することができる。例えば、電極(1112)は、例えば、1つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、2つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセット、2つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、1つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセット、3つのアノードおよび1つのカソードを含むサブセット、3つのアノードおよび2つのカソードを含むサブセット、および/または同様のものなどの、1つまたは複数のアノード-カソードサブセットにグループ化されていてもよい。いくつかの実施形態では、膜(1113)は、電極(1112)のスプラインに結合され、アブレーションデバイス(1110)によって生成される電界を成形および/または方向づけるように構成されていてよい。
【0036】
任意選択で、1つまたは複数の電子デバイス(1130)を装置(1120)に結合して、システム(1100)に追加の機能を提供することができる。例えば、電子デバイス(1130)は、感知、マッピング、位置特定、保護、ペーシングなどのうちの1つまたは複数を行うように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、電子デバイス(1130)は、センサ、マッピングカテーテル、保護デバイス、およびペーシングデバイスのうちの1つまたは複数を含んでいてよい。例えば、電子デバイス(1130)は、患者(図示せず)に適切に結合され、心臓刺激のために装置(1120)の心臓刺激装置(1128)によって生成された心臓ペーシング信号を受信するように構成されたペーシングデバイスであってよい。ペーシング信号の指示(indication)は、心臓刺激装置(1128)によって信号生成器(1122)に送信され得る。ペーシング信号に基づいて、アブレーション電圧パルス波形は、プロセッサ(1124)によって選択され、計算され、および/または他の方法で特定され、信号生成器(1122)によって生成され得る。いくつかの実施形態では、信号生成器(1122)は、ペーシング信号の指示と同期して(例えば、共通不応ウィンドウ内で)パルス波形を生成するように構成されていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、共通不応ウィンドウは、心室ペーシング信号の実質的に直後(または非常に小さい遅延の後)に開始し、その後、約250ms以下の持続時間にわたって持続してもよい。そのような実施形態では、パルス波形全体が、この持続時間内に送達されてよい。代替の実施形態では、アブレーション波形は、ペーシング信号なしで送達されてもよく、例えば、非同期的に送達されてもよい。
【0037】
プロセッサ(1124)は、命令またはコードのセットを起動および/または実行するように構成された任意の適切な処理デバイスであってよい。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または同様のものであってよい。プロセッサは、システムおよび/またはそれに関連付けられたネットワーク(図示せず)に関連付けられたアプリケーションプロセスおよび/または他のモジュール、プロセスおよび/または機能を起動および/または実行するように構成されていてよい。基礎となるデバイス技術は、様々なコンポーネントタイプ、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合ロジック(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン-共役ポリマーおよび金属-共役ポリマー-金属構造)、混合アナログおよびデジタル、および/または同様のもので提供されてよい。
【0038】
メモリ(1126)は、データベース(図示せず)を含んでいてよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フラッシュメモリなどであってよい。メモリ(1126)は、プロセッサ(1124)に、パルス波形生成、マッピング、位置特定、および/または心臓ペーシングなど、システム(1100)に関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行させる命令を格納することができる。
【0039】
システム(1100)は、例えば、各々が任意のタイプのネットワークであり得る1つまたは複数のネットワークを介して、他のデバイス(図示せず)と通信し得る。無線ネットワークは、任意の種類のケーブルによって接続されていない任意のタイプのデジタルネットワークを指し得る。しかしながら、無線ネットワークは、インターネット、他のキャリア音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、およびパーソナルネットワークとインターフェースするために有線ネットワークに接続することができる。有線ネットワークは、通常、銅ツイストペア、同軸ケーブル、または光ファイバケーブルで伝送される。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、および仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む多くの異なるタイプの有線ネットワークが存在する。以下、ネットワークは、統合されたネットワーキングおよび情報アクセスソリューションを提供するために、典型的にはインターネットを介して相互接続される、結合された無線、有線、パブリック、およびプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0040】
図1は、バスケット状の形状を有する複数のスプラインと、一組の折り目を画定する折り畳み可能な膜とを含む、展開されていない構成におけるデバイス(100)(例えば、心内膜カテーテル、アブレーションデバイス)の概略的な斜視図である。デバイス(100)は、例えば、
図11に関して説明されたアブレーションデバイス(1100)などのアブレーションデバイスであってよい。いくつかの実施形態では、カテーテル(100)は、内側ルーメンを画定する外側シャフト(101)と、その中に配置される内側シャフト(103)とを有していてよい。内側シャフト(103)は、外側シャフト(101)の遠位端(131)を越えて延びるように構成されていてよい。複数のスプライン(105,119)は、それらの近位端において、外側シャフト(101)の遠位端(131)の内面に取り付けられていてよい。複数のスプライン(105,119)の遠位端は、デバイス先端(122)および内側シャフト(103)の遠位端に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、各スプライン(105,119)の長さは、内側シャフト(103)の遠位端が外側シャフト(101)の遠位端を越えて延在することができる最大距離よりも長くてよい。したがって、複数のスプラインは、バスケット状の構造を集合的に形成することができる。いくつかの実施形態では、内側シャフト(103)は、外側シャフト(101)に対して並進させられて(例えば、引き込まれて、延ばされて)よく、または外側シャフト(101)は、ハンドル機構(図示せず)を介して内側シャフト(103)に対して並進させられてよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数のスプラインの各スプラインは、遠位電極のセットと近位電極のセットとを有している。例えば、スプライン(105)は、遠位電極(107)および2つの近位電極(109)を有していてよい。いくつかの実施形態では、折り畳み可能な膜(111)(例えば、展開可能な膜)などの可撓性要素が、スプラインのうちの1つまたは複数に、その周縁(例えば、外縁)に沿って取り付けられていてよい。例えば、膜(111)は、それぞれ位置(135,137)でスプライン(105,119)に取り付けられていてよい。膜(111)の内側部分は、内側シャフト(103)が受け入れられる(例えば、通過する)開口を画定していてよい。任意選択で、内側シャフトは、
図1に示されるように、膜の内側部分(140)が取り付けられ得るハブ(117)を備えていてよい。ハブ(117)は、例えば、Pebaxまたはシリコーンなどのポリマー材料から作製することができ、膜(111)は、例えば、ポリウレタン、Pebax、シリコーンなどのポリマー材料を含んでいてよい。展開されていない構成では、膜(111)は、隣接するスプラインの間に位置する折り目(113)を有していてよく、ここで膜(111)がスプライン(105,119)に対して内側に折り畳まれる。いくつかの実施形態では、膜(111)は、それに沿って膜(111)が折り畳まれる線を画定するように構成されたパターンまたは切り込みを有していてよい。
【0042】
図1に示される展開されていない構成では、スプラインによって形成されるバスケット構造が最小直径または断面を有するように、内側シャフト(103)は、外側シャフト(101)の遠位端(131)を越えて完全に延ばされている。いくつかの実施形態では、スプライン上の電極は、ステンレス鋼、金、白金-イリジウム合金などの種々の生体適合性導電体のうちの任意のものから作製されていてよい。いくつかの実施形態では、電極の長さは、約0.5mm~約7mmの範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む。所与のスプライン上の隣接する近位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の近位電極が存在する場合)、または所与のスプライン上の隣接する遠位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の遠位電極が存在する場合)は、約0.5mm~約5mmの範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、スプラインの弧の長さは、約8mm~約55mmの範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、各スプラインの平均直径は、約0.5mm~約3mmの範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む。実施形態では、スプラインの断面は、ほぼ楕円形または長円形であってよく、またはスプライン断面は、円形であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスのスプラインの数は、約3~約16個のスプラインの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、カテーテルの外側シャフト(101)の外径は、約5Fまたは5フレンチ(または5/3mm)~約18F(または6mm)の範囲であってよい。
【0044】
図2は、本明細書に記載される心内膜カテーテルデバイスの膜(200)の概略図である。膜(200)は、本明細書に記載される他の膜と構造的および/または機能的に類似していてよく、そのような膜を参照して記載されるようなシステムおよび/またはデバイスとともに使用することができる。例えば、膜(200)は、本明細書に説明されるようなアブレーションデバイスのうちの任意のものとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、膜(201)は、外縁(212)(例えば、周縁)と、円形孔(例えば、開口)を画定する内側部分(202)とを有していてよい。
図2に示すように、外縁(212)は、弓状のディボット、ノッチ、または凹部(205,206,207,208)を有するほぼ円形であってよい。各ディボットは、デバイスのスプラインへの取り付けのための取り付けエッジとして構成されていてよく、隣接するディボットは、バスケットの隣接するスプラインに取り付けられる。他の実施形態では、隣接するディボットは、バスケットの隣接しないスプラインに取り付けられてもよい。各ディボットは、スプラインに接着または熱接合されていてよい。いくつかの実施形態では、内側部分(202)は、カテーテルの内側シャフト(図示せず)を受け入れることができる開口を画定する。いくつかの実施形態では、内側シャフトは、ハブ(
図1のハブ(117)など)に取り付けられていてもよく、膜の内側部分(202)は、ハブに(例えば、接着剤または熱接合によって)取り付けられていてもよい。いくつかの実施形態では、内側部分(202)の開口の平均直径は、約1mm~約8mmの範囲であってよく、任意の部分範囲およびその間の値を含み、一方、ディボットまたはノッチは、約1mm~約3mmの範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む平均直径を有していてよい。いくつかの実施形態では、外縁の平均直径は、約6mm~約25mmの範囲であってよく、任意の部分範囲およびその間の値を含む。
【0045】
図3Aは、展開された(例えば、折り畳まれていない)膜(310)を備えたマルチスプラインバスケットを含む、展開された構成における心内膜カテーテルデバイス(300)の概略図である。心内膜カテーテルデバイス(300)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(100,1110))と構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。
図3Aは、外側シャフト(303)および内側シャフト(321)を示す。内側シャフト(321)は、完全に引き込まれた構成または完全に展開された構成であってよい。この完全に展開された構成では、(305)および(307)などのスプラインは、各スプラインの中間部分(例えば、中点)が、展開されていない構成と比較して内側シャフト(321)から遠くに位置するように曲げられていてよい。例えば、遠位電極(319)および近位電極(315,317)は、スプライン(305)上に配置されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、膜(310)は、内側シャフト(321)上のハブ(312)に取り付けられていてよい。追加的または代替的に、膜(310)の内側部分は、内側シャフト(321)が受け入れられる開口であってよい。いくつかの実施形態では、膜の外縁は、本明細書に説明されるように、スプラインの各々に取り付けられていてよい。したがって、完全に展開された構成では、スプラインが外向きに屈曲するにつれて、膜(310)は、平坦または平面(例えば、ディスク状の)形状に伸ばされてよい。いくつかの実施形態では、膜は、完全に展開された構成におけるバスケットの最大直径またはその近傍にあるスプライン上の長手方向位置においてスプラインに取り付けられていてよく、(319)などのスプライン電極の遠位セットは、膜(310)の遠位側にあり、(315,317)などのスプライン電極の近位セットは、膜(310)の近位側にある。いくつかの実施形態では、膜は、最大直径の位置からd1またはd2の±約30%だけずれたスプライン上の位置でスプラインに取り付けられていてよく、ここでd1およびd2は
図3Bに示されている。例えば、膜は、最大直径の位置よりも最大でd1の約30%だけスプラインの遠位端に近い位置でスプラインに取り付けられていてよい。代替的に、膜は、最大直径の位置よりも最大でd2の約30%だけスプラインの近位端に近い位置でスプラインに取り付けられていてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、バスケットの最大直径の長手方向位置は、外側シャフトの遠位端よりも内側シャフトの遠位端に近くてよい。
図3Bは、折り畳まれていない膜を備えたマルチスプラインバスケットを含む、展開された構成における心内膜カテーテルデバイス(300)の概略図である。膜(350)は、バスケットの最大直径と一致するスプラインの長手方向位置においてスプライン(356)に取り付けることができる。膜(350)からバスケット(352)の遠位端およびバスケット(354)の近位端までのそれぞれの距離d1およびd2は、
図3Bに示されている。いくつかの実施形態では、距離d1は、距離d2より小さくてよい。例えば、近位電極のセットは、スプライン(356)の最大曲率点(ここに膜が取り付けられる)がバスケットの遠位端のより近くに位置するように配置されていてよい。いくつかの実施形態では、比d1/d2は、約0.1~約0.9の範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む。
【0048】
図4は、折り畳み可能な膜を備えたマルチスプラインバスケットを含む心内膜カテーテルデバイスの膜(400)の概略的な正面図である。膜(400)は、本明細書に記載される他の膜と構造的および/または機能的に類似していてよく、そのような膜を参照して記載されるようなシステムおよび/またはデバイスとともに使用することができる。例えば、膜(400)は、本明細書に説明されるようなアブレーションデバイスのうちの任意のものとともに使用することができる。
図4において、膜(400)は、比較的長い凹状部分(410,412,414,416)を有する外縁を有し、隣接する比較的長い凹状部分の間に比較的短い弓状ディボットまたはノッチ(402,404,406,408)を有する。いくつかの実施形態では、膜の比較的長い部分は、少なくともその一部に沿って凹状である。追加的または代替的に、部分(410,412,414,416)は、直線であってもよく、および/または膜の展開(例えば、折り畳み)を容易にするために、一組の切り込みおよび/または一組の折り目を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の部分(410,412,414,416)は、凹状である一方で、他の部分(410,412,414,416)は、直線であるか、または異なる形状もしくは曲率を有していてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、膜は、内側部分(420)(例えば、開口、中心孔)を有している。各ディボットは、アブレーションデバイスのスプラインへの取り付けのための取り付けエッジとして構成されていてよく、隣接するディボットは、アブレーションデバイスの隣接するスプラインに取り付けられている。いくつかの実施形態では、各ディボットまたはノッチは、スプラインに接着または熱接合されていてよい。いくつかの実施形態では、内側部分(420)は、カテーテルの内側シャフトを受け入れることができる開口を画定する。追加的または代替的に、内側シャフトは、ハブに結合されていてよく、膜の内側部分(420)は、ハブに(接着剤または熱接合によって)取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、中心孔または内側部分の平均直径は、約1mm~約8mmの間の範囲であってよく、任意の部分範囲およびその間の値を含み、一方、ディボットまたはノッチは、約1mm~約3mmの間の範囲であってよく、その間の任意の部分範囲および値を含む平均直径を有していてよい。
【0050】
図5は、膜(500)の外縁(例えば、周縁)および内側部分または開口(515)に沿った凹部を有する、アブレーションデバイスの膜(500)の概略的な正面図である。膜(500)は、本明細書に記載される他の膜(例えば、膜(400))と構造的および/または機能的に類似していてよく、そのような膜を参照して記載されるようなシステムおよび/またはデバイスとともに使用することができる。例えば、膜(500)は、本明細書に説明されるようなアブレーションデバイスのうちの任意のものとともに使用することができる。外縁は、点Aに対応する第1の端部(502)および点Bに対応する第2の端部(506)を有する少なくとも1つの比較的長い凹状縁部分(520)を有している。2つの点(509)および(511)が、AからBへの経路に沿ってマークされている。直線(517)がAからBに引かれ、この線(517)の少なくとも一部が膜(500)の外縁の外側にあるという特性を有しており、したがって、外縁の少なくとも一部(520)は凹状である。
【0051】
いくつかの実施形態では、膜の外縁は、隣接するスプラインの間に取り付けられたセクションに1つまたは複数の凹部またはより長い凹部を有している。そのような実施形態では、展開されていない構成にある膜は、スプラインの間で半径方向外向きに延在する部分なしに、自然に内側に折り畳まれ得る。これは、例えば、シースなどの送達デバイスを通したカテーテルデバイスの円滑な通過を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、膜の外縁の比較的長い凹状部分は、約5mm~約50mmの範囲であり、その間の任意の部分範囲および値を含む平均曲率半径を有する弓形であってよい。
【0052】
図6は、折り目を有する膜およびマルチスプラインバスケットを含む、展開されていない構成の心内膜カテーテルデバイス(600)の概略図を提供する。心内膜カテーテルデバイス(600)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(700,1110))と構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、内側ルーメンを備えた外側シャフト(602)と、外側シャフトの遠位端(603)を越えて延在する内側シャフト(621)とを含む。複数のスプライン(605,607)は、それらの近位端において外側シャフトの遠位端(603)の内側に取り付けられていてよく、それらの遠位端は、デバイス先端(630)において内側シャフト(621)の遠位端に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、各スプラインの長さは、内側シャフト(621)の遠位端が外側シャフト(602)の遠位端を越えて延在する最大距離よりも長くてよい。したがって、スプラインは、バスケット構造を集合的に形成することができる。いくつかの実施形態では、内側シャフト(621)は、外側シャフト(602)に対して並進させられて(例えば、引き込まれて、延ばされて)よく、または外側シャフト(602)は、ハンドル機構(図示せず)を介して内側シャフト(621)に対して並進させられてよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、各スプラインは、遠位電極のセットおよび近位電極のセットを有していてよい。例えば、スプライン(605)は、遠位電極(614)および2つの近位電極(610,612)を有している。いくつかの実施形態では、折り畳み可能な絶縁膜(617)が、その外縁においてスプラインに取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、膜(617)の内側部分は、内側シャフト(621)を受け入れることができる開口を有していてよい。いくつかの実施形態では、内側シャフトは、
図6に示されるように、膜(617)の内側部分が取り付けられ得るハブ(619)を有していてよい。いくつかの実施形態では、ハブ(619)は、例えば、Pebaxまたはシリコーンなどのポリマー材料から作製することができ、絶縁膜(617)は、ポリウレタン、Pebax、シリコーンなどのポリマー材料から作製することができる。展開されていない構成では、膜(617)は、隣接するスプラインの間に位置する折り目(625)を有していてよく、ここで膜がスプラインに対して内側に折り畳まれる。
【0054】
図6に示される展開されていない構成では、スプラインによって形成されるバスケット構造が最小直径または断面を有するように、内側シャフト(621)は、外側シャフト(602)の遠位端(603)を越えて完全に延ばされていてよい。いくつかの実施形態では、スプライン上の電極は、ステンレス鋼、金、白金-イリジウム合金などの任意の生体適合性導電体から作製されていてよい。いくつかの実施形態では、電極の長さは、約0.5mm~約7mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、所与のスプライン上の隣接する近位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の近位電極が存在する場合)、または所与のスプライン上の隣接する遠位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の遠位電極が存在する場合)は、約0.5mm~約5mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、各スプラインの弧の長さは、約8mm~約55mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、各スプラインの平均直径は、約0.5mm~約3mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、各スプラインの断面は、ほぼ楕円形または長円形であってよく、またはスプライン断面は、円形であってもよい。いくつかの実施形態では、バスケットを構成するスプラインの数は、約3~約16個のスプラインの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、カテーテルの外側シャフト(602)の外径は、約5F(または5/3mm)~約18F(または6mm)の範囲であってよく、その間の全ての部分範囲および値を含む。
【0056】
図7は、展開された構成における心内膜カテーテルデバイス(700)(例えば、
図6のバスケット)を概略的に示す。心内膜カテーテルデバイス(700)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(600,1110))と構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。例えば、デバイス(700)は、外縁凹部を有する折り畳まれていない膜(721)を備えたマルチスプラインバスケットを含む。いくつかの実施形態では、デバイス(700)は、完全に引き込まれたまたは完全に展開された構成において、外側シャフト(703)および内側シャフト(723)を含む。完全に展開された構成では、スプライン(705,707)は、各スプラインの中間部分が、展開されていない構成と比較して内側シャフト(723)から遠くに位置するように曲げられていてよい(例えば、外向きに曲がる)。いくつかの実施形態では、各スプラインは、遠位電極のセットおよび近位電極のセットを有していてよい。例えば、遠位電極(717)および近位電極(709,711)は、スプライン(705)上に配置されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、膜(721)は、内側シャフト(723)上のハブ(714)に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、膜(721)の内側部分は、内側シャフト(723)を受け入れることができる開口を画定していてよい。いくつかの実施形態では、膜(721)の外縁は、本明細書に説明されるように、スプラインの各々に取り付けられていてよい。したがって、完全に展開された構成では、スプラインが外向きに屈曲するにつれて、膜(721)は、伸長され(例えば、ピンと張られ)、平坦化または平面形状を形成することができる。いくつかの実施形態では、膜は、バスケットの最大直径またはその近傍にあるスプライン上の長手方向位置においてスプラインに取り付けられていてよく、スプライン電極の遠位セット(717)は、膜(721)の遠位側にあり、スプライン電極の近位セット(709,711)は、膜(721)の近位側にある。本明細書に記載されるように、バスケットの最大直径の長手方向位置は、外側シャフトの遠位端よりも内側シャフトの遠位端に近くてよい。
【0058】
図8は、支持支柱を有する折り畳み可能な膜に結合されたマルチスプラインバスケットを備えた展開されていない構成の心内膜カテーテルデバイス(800)の概略図を提供する。心内膜カテーテルデバイス(800)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイスと構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。例えば、カテーテルは、内側ルーメンを備えた外側シャフト(803)と、外側シャフト(803)の遠位端(804)を越えて延在する内側シャフト(830)とを有していてよい。複数のスプライン(805,807)は、それらの近位端において外側シャフト(803)の遠位端(804)の内側に取り付けられていてよく、それらの遠位端は、デバイス先端において内側シャフト(830)の遠位端に取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、各スプラインの長さは、内側シャフト(830)の遠位端が外側シャフトの遠位端を越えて延在する最大距離よりも長くてよい。したがって、スプラインは、バスケット構造を集合的に形成することができる。いくつかの実施形態では、内側シャフト(830)は、外側シャフト(803)に対して並進させられて(例えば、引き込まれて、延ばされて)よく、または外側シャフト(803)は、ハンドル機構(図示せず)を介して内側シャフト(830)に対して並進させられてよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、各スプラインは、遠位電極のセットおよび近位電極のセットを有していてよい。例えば、スプライン(807)は、遠位電極(809)および2つの近位電極(810,811)を有している。いくつかの実施形態では、折り畳み可能な絶縁膜(813)が、膜(813)の周縁に沿ってスプラインに取り付けられている。いくつかの実施形態では、膜の内側部分は、内側シャフト(830)が通過する開口を有していてよい。いくつかの実施形態では、内側シャフトは、
図8に示されるように、膜(813)の内側部分が取り付けられるハブ(825)を有していてよい。いくつかの実施形態では、ハブ(825)は、例えば、Pebaxまたはシリコーンなどのポリマー材料から作製することができ、絶縁膜(813)は、例えば、ポリウレタン、Pebax、シリコーンなどのポリマー材料から作製することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、展開されていない構成において、膜(813)は、隣接するスプラインの間に位置する折り目(815)を有していてよく、ここで膜がスプラインに対して内側に折り畳まれる。いくつかの実施形態では、膜は、スプラインへの膜の取り付け点につながる方向に沿って、膜(813)の内側部分から外縁まで少なくとも部分的に延びる放射状の支柱の形態の1つまたは複数の構造支持体(820,822)(例えば、支柱)を含んでいてよい。支柱(820,822)は、例えば、ナイロンまたはケブラー(登録商標)などのポリマー材料から作製されていてよく、膜(813)自体に接着または接合されていてよい。いくつかの実施形態では、支柱は、膜(813)に追加の構造的支持を加えることができ、バスケットが展開されていないときおよび展開されているときに、それぞれ膜(813)の折り畳みおよび展開を容易にすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図8に示されるような展開されていない構成において、スプラインによって形成されるバスケット構造が最小直径または断面を有するように、内側シャフトは、外側シャフトの遠位端(804)を越えて完全に延ばされていてよい。いくつかの実施形態では、スプライン上の電極は、ステンレス鋼、金、白金-イリジウム合金などの生体適合性導電体のうちの任意のものから作製されていてよい。いくつかの実施形態では、電極の長さは、約0.5mm~約7mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、所与のスプライン上の隣接する近位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の近位電極が存在する場合)、または所与のスプライン上の隣接する遠位電極の最も近いエッジの間の間隔(所与のスプライン上に複数の遠位電極が存在する場合)は、約0.5mm~約5mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、各スプラインの弧の長さは、約8mm~約55mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、各スプラインの平均直径は、約0.5mm~約3mmの範囲であってよく、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの実施形態では、各スプラインの断面は、ほぼ楕円形または長円形であってよく、またはスプライン断面は、円形であってもよい。いくつかの実施形態では、バスケットを構成するスプラインの数は、約3~約16個のスプラインの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、カテーテルの外側シャフト(803)の外径は、約5F(または5/3mm)~約18F(または6mm)の範囲であってよい。
【0063】
図9は、
図8に示されるデバイスと同様の外縁凹部および支持支柱を有する折り畳まれていない膜(914)を備えたマルチスプラインバスケットを含む、展開された構成の心内膜カテーテルデバイス(900)の概略図である。心内膜カテーテルデバイス(900)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイスと構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。例えば、デバイス(900)は、完全に引き込まれた構成において、外側シャフト(902)と、内側シャフト(925)とを含む。完全に展開された構成では、スプライン(904,906)は、各スプラインの中間部分が、展開されていない構成と比較して内側シャフト(925)から遠くに位置することができるように曲げられている(例えば、外向きに曲がる)。いくつかの実施形態では、各スプラインは、遠位電極のセットおよび近位電極のセットを有していてよい。例えば、遠位電極(911)および近位電極(907,909)は、スプライン(906)上に配置されていてよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、膜(914)は、内側シャフト(925)上のハブ(916)に取り付けられていてよい。追加的または代替的に、膜(914)の内側部分は、内側シャフト(925)を受け入れることができる開口を画定していてよい。いくつかの実施形態では、膜の外縁は、本明細書に説明されるように、スプラインの各々に取り付けられていてよい。したがって、完全に展開された構成では、スプラインが外向きに屈曲するにつれて、膜(914)は、平坦化または平面形状に伸長され得る。いくつかの実施形態では、膜は、バスケットの最大直径またはその近傍にあるスプライン上の長手方向位置においてスプラインに取り付けられていてよく、スプライン電極の遠位セット(911)は、膜(914)の遠位側にあり、スプライン電極の近位セット(907,909)は、膜(914)の近位側にある。
【0065】
いくつかの実施形態では、外縁凹部を有する膜(914)は、スプラインへの膜の取り付け点につながる方向に沿って、膜(914)の内側部分から外縁まで少なくとも部分的に延びる放射状の支柱などの構造支持体(920,922)を有していてよい。いくつかの実施形態では、支柱は、例えば、ナイロンまたはケブラーなどのポリマー材料から作製されていてよく、膜自体に接着または接合されていてよい。いくつかの実施形態では、支柱は、膜に追加の構造的支持を加えることができ、バスケットが展開されていないときおよび展開されているときに、それぞれ膜の折り畳みおよび展開を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、バスケットの最大直径の長手方向位置は、外側シャフトの遠位端よりも内側シャフトの遠位端に近くてよい。
【0066】
図10は、組織壁に当接するデバイス(1000)の展開された遠位部分を有する展開されたデバイス(1000)の概略斜視図であり、アブレーション送達の際に組織壁に生成される損傷を損傷深度とともに描写している。デバイス(1000)は、本明細書に説明される他のアブレーションデバイスと構造的および/または機能的に類似する構成要素を含むことができ、そのようなデバイスに関して説明されるようなシステムにおいて使用することができる。例えば、デバイス(1000)は、本明細書に説明されるような外縁凹部を有する折り畳まれていない膜(1012)を備えた、展開されたマルチスプラインバスケットを含む。カテーテルデバイス(1000)は、外側シャフト(1002)と、内側シャフト(1022)と、複数のスプライン(1030,1032)とを有している。完全に展開された構成では、スプライン(1030,1032)は、各スプラインの中間部分が、展開されていない構成と比較して内側シャフト(1022)から遠くに位置するように曲げられている(例えば、外向きに曲がる)。いくつかの実施形態では、各スプラインは、遠位電極のセットおよび近位電極のセットを有していてよい。例えば、遠位電極(1005)および近位電極(1007,1009)は、スプライン(906)上に配置されている。
【0067】
いくつかの実施形態では、膜(1012)は、内側シャフト(1022)上のハブに取り付けられていてよい。追加的または代替的に、膜の内側部分は、内側シャフト(1022)を受け入れることができる開口を画定する。いくつかの実施形態では、膜の外縁は、本明細書に説明されるように、スプラインの各々に取り付けられていてよい。したがって、完全に展開された構成では、スプラインが外向きに屈曲するにつれて、膜(1012)は、平坦化または平面形状に伸長され得る。いくつかの実施形態では、膜は、バスケットの最大直径またはその近傍にあるスプライン上の長手方向位置においてスプラインに取り付けられていてよく、スプライン電極の遠位セット(1005)は、膜(1012)の遠位側にあり、スプライン電極の近位セット(1007,1009)は、膜(1012)の近位側にある。
【0068】
いくつかの実施形態では、スプラインは、血液プール(1035)内に展開され、第1の側で組織壁(1015)に係合し、組織壁(1015)の第2の側(1031)は、固形組織(例えば、心臓組織)を備えている。いくつかの実施形態では、組織損傷を生成するために、所定の電圧振幅(例えば、数百ボルトから約15kV以上の範囲であり、その間の全ての部分範囲および値を含む)を有する好適な波形(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際出願PCT/US2016/057664およびPCT/US2019/031135に記載されるようなデバイスとの使用に適したパルス電界焼灼巣を効率的に生成するための波形)が、反対の電気極性を有する対にされたスプライン電極のサブセットに印加されてよく、境界面(1019)によって表される損傷境界を有する損傷ボリューム(1023)を生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるデバイスのうちの任意のものが、心室組織などのより厚い心臓組織を切除するために十分に深い深さ(1023)を有する組織損傷を生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるような膜を有するデバイスは、膜を有しないデバイスよりも約20%以上深い深さを有する損傷を生成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、パルス電界アブレーションによって生成される焼灼巣は、部分的または完全に展開されることを含む、様々な展開された構成で送達され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスの1つまたは複数の部分は、撓むことが可能であり、撓み制御機構(例えば、操縦ノブ、プランジャ/ロッカ、レバー)を介して、様々な心臓の解剖学的位置にアクセスするように操縦またはナビゲートされることができる。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスは、目的の解剖学的領域への一次アクセスを提供するシースなどの送達デバイスを介して挿入され、カテーテル自体の撓みは、所望の標的解剖学的部位へのアクセスのための微細な制御および操作のための二次アクセスを提供する。いくつかの変形例では、デバイスの電極のうちの1つまたは複数は、アブレーションエネルギーを送達しないとき、診断用心臓電位図信号を記録するように構成されていてよく、それによって、同一デバイスを使用して、アブレーションの前および後の電位図情報について局所部位を評価することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるカテーテルデバイスは、電磁追跡または位置特定システム(例えば、電子デバイス(1130))とともに使用するための電磁追跡センサを組み込んでいてよい。カテーテルがそのようなシステムまたは電気解剖学的マッピングシステムに接続されると、心臓解剖学的構造内のその三次元位置を示すディスプレイ上でカテーテルを視覚化することができる。カテーテル電極からの電位図記録は、診断用の参考とすることができる電気解剖学的マップの生成にも役立つ。そのようなデバイスの適切な例は、「Methods, systems, and apparatuses for tracking ablation devices and generating lesion lines」と題され、国際特許出願公開WO2021/108312として公開された国際特許出願PCT/US20/61809に説明されており、その内容は、参照によってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0071】
方法
本明細書に説明されるシステムおよびデバイスを使用して、1つまたは複数の心腔内またはその近傍で組織アブレーションを行う方法も、本明細書に説明される。概して、1つまたは複数のカテーテルは、脈管構造を通して低侵襲な方法で標的位置まで前進させることができる。例えば、アブレーションデバイスは、ガイドワイヤを介して脈管構造を通して、かつ撓み可能なシースを通して前進させられてもよい。シースは、撓むように構成され、脈管構造および1つまたは複数の所定の標的(例えば、肺静脈口または他の心房もしくは心室位置)を通して、局所アブレーションカテーテルを誘導することを支援してもよい。拡張器は、ガイドワイヤを介して前進させられるとともに、使用中および/または使用前の経中隔開口の形成および拡張のために構成されていてよい。本明細書に記載される方法は、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(1110)または本明細書に記載される任意の他のアブレーションデバイス)を心臓の領域の近くにまたはそれと接触して導入および配置することを含む。いくつかの実施形態では、心臓刺激装置(例えば、心臓刺激装置(1128))が、ペーシング信号を心臓に送達するために使用されてよく、または測定デバイスが、心臓活動を測定するために使用されてもよい。パルス波形は、組織を切除するために、アブレーションデバイスの1つまたは複数の電極によって送達され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションエネルギーは、心臓ペーシングと同期して送達されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される電圧パルス波形は、心臓の洞調律を乱さないように、心周期の不応期中に印加され得る。
【0072】
図12は、組織アブレーションプロセスの一実施形態のための方法(1200)である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される電圧パルス波形は、心臓の洞調律を乱さないように、心周期の不応期中に印加され得る。方法(1200)は、(1202)において、心臓の心内膜空間へのデバイス(例えば、アブレーションデバイス(1110)または本明細書に説明される任意の他のアブレーションデバイス)の導入を含む。例えば、デバイスは、撓むことが可能なシースなどの送達デバイスを通して挿入され、目的の解剖学的領域にナビゲートされてよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの電極は、心臓の心内膜表面の近くに、またはそれに隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、デバイスの1つまたは複数の部分は、デバイスの遠位部分の位置および配置を微調整するように撓むことができる。(1204)において、アブレーションデバイスを、例えば、本明細書の例示的な実施形態に関して説明されるように、展開することができる。例えば、パルス電界アブレーション波形がカテーテル電極を使用して組織に印加される前に、デバイスは、組織に並置されるように展開されてよい。
【0073】
(1206)において、パルス波形を生成することができる。遠位電極および近位電極それぞれのサブセットの様々な双極対配置が、アブレーション送達および損傷生成のために実施され得る。例えば、電圧パルス波形は、不応時間ウィンドウにおいて印加されてよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、ペーシング信号の指示に対して時間オフセットを伴って生成されてもよい。例えば、不応時間ウィンドウの開始は、時間オフセットによってペーシング信号からオフセットされていてよい。電圧パルス波形は、対応する共通の不応時間ウィンドウにわたる一連の心拍にわたって印加されてもよい。代替の実施形態では、アブレーションパルス波形は、ペーシング信号なしで、例えば、非同期的に送達されてもよい。(1208)において、生成されたパルス波形を組織に送達することができる。いくつかの実施形態では、パルス波形は、アブレーションデバイスのスプラインのセットのうちの1つまたは複数のスプラインを介して、患者の心臓の組織に送達されてもよい。他の実施形態では、本明細書に説明されるような電圧パルス波形が、アブレーションのために、アノード-カソードサブセットなどの電極サブセットに選択的に送達されてもよい。例えば、電極群の第1の電極および第2の電極は、反対の極性を有するように構成されていてよい。これらのステップは、アブレーションのための所望の数の組織部位に対して繰り返されてよい。例えば、第1の標的位置への損傷送達の完了後、デバイスは、第2の位置でのアブレーション送達のために、(カテーテルまたはシースの撓みのうちの1つまたは複数を使用して)第2の解剖学的位置にナビゲートされてもよい。デバイスの展開は、必要に応じて調整され得る。いくつかの実施形態では、局所組織壁に対するカテーテルバスケットの向きが、心内膜表面における局所表面法線に対して45度以下である場合、より完全な展開により、比較的深い損傷を生成することができる。アブレーション送達のプロセスは、切除された組織の連続的なラインの生成を含め、複数の標的部位に対して繰り返すことができる。
【0074】
本明細書に開示される装置および方法は、パルス電界アブレーション波形を用いた深い心臓損傷の効率的な生成を提供することができる。特定のデバイスの実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、他のデバイスの実施形態も、当業者によって決定され、本明細書に提供される開示に従って、都合よく実装され得ることは明らかである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、スプラインの数、電極の数など、または種々の局所アブレーションデバイスなどの変更および変形を構築および展開することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「約」および/または「およそ」という用語は、数値および/または範囲と併せて使用される場合、一般に、列挙された数値および/または範囲に近い数値および/または範囲を指す。いくつかの例では、「約」および「およそ」という用語は、記載された値の±10%以内を意味し得る。例えば、いくつかの例では、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90~110)を意味し得る。「約」および「およそ」という用語は、互換的に使用され得る。
【0076】
本明細書で使用されるように、構成要素(例えば、電極)の「セット」および/または「サブセット」という用語は、概して、それらの構成要素のうちの単一の1つまたはそれらの構成要素のうちの複数を指す。
【0077】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実行するための命令またはコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれ得る)を有するコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、一時的伝搬信号自体(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上で情報を搬送する伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムと呼ばれることもある)は、特定の1つまたは複数の目的のために設計および構築されたものであってよい。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープなどの磁気ストレージ媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスなどの光ストレージ媒体、光ディスクなどの光磁気ストレージ媒体、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、読取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのような、プログラムコードを格納および実行するように特に構成されたハードウェアデバイスを含むが、これらに限定されない。本明細書で説明される他の実施形態は、例えば、本明細書で開示される命令および/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0078】
本明細書で説明されるシステム、デバイス、および/または方法は、(ハードウェア上で実行される)ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでいてよい。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、および/または他のオブジェクト指向、手続き型、または他のプログラミング言語および開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表され得る。コンピュータコードの例は、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、およびインタープリタを使用してコンピュータによって実行される高レベル命令を含むファイルを含むが、これらに限定されない。コンピュータコードのさらなる例は、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードを含むが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正および追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は、特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、および記載された特徴の全てを含まない実施形態をも含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内に入るすべてのそのような代替、修正、および変形を、そのすべての均等物とともに包含することが意図される。
【国際調査報告】