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特表2024-524338腫瘍治療場(TTFIELD)を送達し、インピーダンスを測定するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】腫瘍治療場(TTFIELD)を送達し、インピーダンスを測定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240628BHJP
   A61B 5/0531 20210101ALI20240628BHJP
【FI】
A61N1/40
A61B5/0531
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579802
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2022055955
(87)【国際公開番号】W WO2023275718
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,763
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウリ・ウェインバーグ
(72)【発明者】
【氏名】スタス・オブチョフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリヤ・クプレニク
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・シャピロ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュトトランド
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・キリロフ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053LL20
4C127AA07
4C127BB05
(57)【要約】
腫瘍治療場(TTField)は、関与する電極要素の状態および/または配置された電極要素下の対象者の皮膚状態を決定することによって、改善された安全性および有効性で対象者の身体に送達されることが可能である。これは、電極要素の対またはグループにAC信号を印加し、対応するインピーダンス測定を行うことによって達成され得る。いくつかの実施形態において、インピーダンス測定値は、電極要素状態および/または皮膚状態を示す。これらの決定された状態は、例えば、皮膚の回復を可能にするため、または関与する電極要素が適切に機能することを保証するために、TTField治療を調整または一時停止するために使用されることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の第1の側に配置された少なくとも4つの第1の電極要素と、前記身体の第2の側に配置された少なくとも4つの第2の電極要素との間に交流電流を印加するための装置であって、前記装置が、
第1の極性と第2の極性とを有するAC出力信号を生成するAC信号発生器と、
それぞれの制御信号の状態に応じて前記第1の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号の前記第1の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第1のスイッチと、
それぞれの制御信号の状態に応じて前記第2の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号の前記第2の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第2のスイッチと、
それぞれの制御信号の状態に応じて前記第1の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号の第2の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも1つの第3のスイッチと
第1のモードにおいて、コントローラが、前記第1のスイッチの大部分に、対応する第1の電極要素に前記AC出力信号の前記第1の極性を印加させ、前記第2のスイッチの大部分に、対応する第2の電極要素に前記AC出力信号の前記第2の極性を印加させる制御信号を発行し、
第2のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記少なくとも1つの第3のスイッチが少なくとも1つのそれぞれの第1の電極要素に前記AC出力信号の前記第2の極性を印加する間に、前記第1のスイッチに、それぞれの第1の電極要素に前記AC出力信号の前記第1の極性を順番に順次印加させ、(b)前記第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、
前記複数の第1のスイッチと、前記複数の第2のスイッチと、前記少なくとも1つの第3のスイッチとを制御するように構成されたコントローラと
を備える、装置。
【請求項2】
前記第2のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記少なくとも1つの第3のスイッチがそれぞれの単一の第1の電極要素に前記AC出力信号の前記第2の極性を印加する間に、前記第1のスイッチに、それぞれの単一の第1の電極要素に前記AC出力信号の前記第1の極性を順番に順次印加させ、(b)前記第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの第4のスイッチをさらに備え、その各々が、それぞれの制御信号の状態に応じて、前記第2の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号の前記第1の極性を選択的に印加するように構成され、
前記コントローラが、
第3のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記少なくとも1つの第4のスイッチが少なくとも1つのそれぞれの第2の電極要素に前記AC出力信号の前記第1の極性を印加する間に、前記第2のスイッチに、それぞれの第2の電極要素に前記AC出力信号の前記第2の極性を順番に順次印加させ、(b)前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、
前記複数の第1のスイッチと、前記複数の第2のスイッチと、前記少なくとも1つの第4のスイッチとを制御するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第3のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記少なくとも1つの第4のスイッチがそれぞれの単一の第2の電極要素に前記AC出力信号の前記第1の極性を印加する間に、前記第2のスイッチに、それぞれの単一の第2の電極要素に前記AC出力信号の前記第2の極性を順番に順次印加させ、(b)前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のモードにおいて、前記受信されたインピーダンス測定値に基づいて、前記コントローラが、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数における電流の低減を引き起こす制御信号を発行するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
身体の第1の側に配置された少なくとも4つの第1の電極要素と、前記身体の第2の側に配置された少なくとも4つの第2の電極要素との間に交流電流を印加するための装置であって、前記装置が、
AC出力信号を生成するAC信号発生器と、
それぞれの制御信号の状態に応じて前記第1の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第1のスイッチと、
それぞれの制御信号の状態に応じて前記第2の電極要素のそれぞれ1つに前記AC出力信号を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第2のスイッチと
第1のモードにおいて、コントローラが、前記第1のスイッチの大部分に、対応する第1の電極要素に前記AC出力信号を印加させ、前記第2のスイッチの大部分に、対応する第2の電極要素に前記AC出力信号を印加させる制御信号を発行し、
第2のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記第2のスイッチに、対応する第2の電極要素に前記AC出力信号を印加させ、(b)前記第1のスイッチのうちの異なるスイッチまたはサブセットに、対応する第1の電極要素に前記AC出力信号を順次印加させ、(c)前記第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行し、
前記第1のモードにおいて、前記AC出力信号が、100kHzと500kHzとの間の周波数を有し、前記第2のモードにおいて、前記AC出力信号は、20kHz未満の周波数を有するように、
前記複数の第1のスイッチと前記複数の第2のスイッチとを制御するように構成されたコントローラと
を備える、装置。
【請求項7】
前記第2のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記第2のスイッチに、対応する第2の電極要素に前記AC出力信号を印加させ、(b)前記第1のスイッチの各々に、対応する個々の第1の電極要素に前記AC出力信号を順番に順次印加させ、(c)個々の第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラが、第3のモードにおいて、前記コントローラが、(a)前記第1のスイッチに、対応する第1の電極要素に前記AC出力信号を印加させ、(b)前記第2のスイッチの各々に、対応する個々の第2の電極要素に前記AC出力信号を順番に順次印加させ、(c)個々の第2の電極要素および前記第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、前記複数の第1のスイッチと前記複数の第2のスイッチとを制御するようにさらに構成された、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のモードにおいて、前記受信されたインピーダンス測定値に基づいて、前記コントローラが、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数における電流の低減を引き起こす制御信号を発行するように構成された、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する方法であって、前記方法が、
電極要素の各々が前記身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように、前記対象者の身体に少なくとも4つの電極要素を配置するステップと、
前記電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、
前記電極要素の異なるサブセット間に前記AC信号を順次印加している間に、前記印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、
前記測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、
前記比較に基づいて前記皮膚の領域の状態を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記AC信号の第1の極性がそれぞれの単一の電極要素に順番に順次印加され、同時に前記AC信号の第2の極性がそれぞれの異なる単一の電極要素に印加され、前記電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを、皮膚のそれぞれの領域について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たす場合、前記少なくとも4つの電極要素の大部分が、前記対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
電極要素の完全性を検出する方法であって、前記方法が、
電極要素の各々が身体のそれぞれの領域に結合されるように、少なくとも4つの前記電極要素を前記身体上に配置するステップと、
前記電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、
前記電極要素の前記異なるサブセット間に前記AC信号を順次印加している間に、前記印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、
前記測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記AC信号の第1の極性がそれぞれの単一の電極要素に順番に順次印加され、同時に前記AC信号の第2の極性がそれぞれの異なる単一の電極要素に印加され、前記電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たす場合、前記電極要素が、前記身体を通る電場を誘導するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たさない場合、通知を生成するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する方法であって、前記方法が、
前記対象者の身体の第1の側の前記皮膚の領域に少なくとも4つの第1の電極要素を配置し、前記対象者の身体の第2の側に少なくとも4つの第2の電極要素を配置するステップと、
前記第1の電極要素および前記第2の電極要素の異なるサブセットにAC信号を順次印加するステップであって、各サブセットが、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数と前記第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを備え、前記AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、ステップと、
各サブセットに前記AC信号を順次印加している間に、前記印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、
前記測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記対象者の身体の前記皮膚の領域の状態を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記AC信号が各個々の第1の電極要素に順番に順次印加され、前記AC信号が各個々の第1の電極要素に順番に順次印加されている間に、前記AC信号が第2の電極要素に印加され、個々の第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応する前記インピーダンス測定値が順次受信される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記AC信号を順次印加するステップが、
前記AC信号が第2の電極要素に印加されている間に、各個々の第1の電極要素に前記AC信号を順次印加するステップであって、個々の第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応する前記インピーダンス測定値が順次受信される、ステップをさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の電極要素および第2の電極要素が、前記AC信号が順次印加されているときに前記対象者の身体を通る交流電場を誘導するように容量結合および配置される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを、皮膚のそれぞれの領域について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たす場合、前記少なくとも4つの電極要素の大部分が、前記対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
電極要素の完全性を検出する方法であって、前記方法が、
身体の第1の側に少なくとも4つの第1の電極要素を配置し、前記身体の第2の側に少なくとも4つの第2の電極要素を配置するステップと、
前記第1の電極要素および第2の電極要素の異なるサブセットにAC信号を順次印加するステップであって、各サブセットが、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数と前記第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを備え、前記AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、ステップと、
各サブセットに前記AC信号を順次印加している間に、前記印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、
前記測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記AC信号が各個々の第1の電極要素に順番に順次印加され、前記AC信号が各個々の第1の電極要素に順番に順次印加されている間に、前記AC信号が第2の電極要素に印加され、個々の第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応する前記インピーダンス測定値が順次受信される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記AC信号を順次印加するステップが、
前記AC信号が第2の電極要素に印加されている間に、各個々の第1の電極要素に前記AC信号を順次印加するステップであって、個々の第1の電極要素および前記第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応する前記インピーダンス測定値が順次受信される、ステップをさらに含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の電極要素および第2の電極要素が、前記AC信号が順次印加されているときに前記身体を通る交流電場を誘導するように容量結合および配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たす場合、前記身体を通って電場が誘導されるように、前記第1の電極の大部分および前記第2の電極の大部分にAC信号を印加するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たさない場合、通知を生成するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
電極要素の完全性を検出する方法であって、前記方法が、
電極要素の各々が身体のそれぞれの領域に結合されるように、少なくとも2つの前記電極要素を前記身体上に配置するステップと、
前記電極要素間にAC信号を印加するステップと、
前記電極要素間に前記AC信号を印加している間に、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、
前記測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、前記電極要素の状態を決定するステップであって、条件が少なくとも1つの基準を満たす場合、前記電極要素が前記身体を通る電場を誘導するために使用される、ステップと
を含む、方法。
【請求項35】
電極要素の完全性を検出する方法であって、前記方法が、
身体の第1の側に少なくとも2つの第1の電極要素を配置し、前記身体の第2の側に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、
(a)前記第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)前記第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第1のAC信号を印加するステップであって、前記第1のAC信号が20kHz未満の周波数を有する、ステップと、
前記第1のAC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、
前記測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、前記第1の電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップと、
前記電極要素の前記状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、前記身体を通って電場が誘導されるように、(a)前記第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)前記第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第2のAC信号を印加するステップであって、前記第2のAC信号が50kHzよりも高い周波数を有する、ステップと
を含む、方法。
【請求項36】
前記第2のAC信号が、少なくとも72時間印加される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する方法であって、前記方法が、
前記皮膚の領域に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、
前記電極要素間にAC信号を印加するステップと、
前記電極要素間に前記AC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、
前記測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、前記皮膚の領域の状態を決定するステップであって、前記皮膚の領域の前記状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、前記電極要素が、前記対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される、ステップと
を含む、方法。
【請求項38】
対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する方法であって、前記方法が、
前記対象者の身体の第1の側の前記皮膚の領域に少なくとも2つの第1の電極要素を配置し、前記対象者の身体の第2の側に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、
(a)前記第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)前記第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第1のAC信号を印加するステップであって、前記第1のAC信号が20kHz未満の周波数を有する、ステップと、
前記第1のAC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、
前記測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、前記皮膚の領域の状態を決定するステップと、
前記皮膚の領域の前記状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、前記対象者の身体を通って電場が誘導されるように、前記第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)前記第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第2のAC信号を印加するステップであって、前記第2のAC信号が50kHzよりも高い周波数を有する、ステップと
を含む、方法。
【請求項39】
前記第2のAC信号が、少なくとも72時間印加される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象者の身体へのトランスデューサアレイの配置に関する不適当なセットアップを検出する方法であって、前記方法が、
電極要素の各々が前記身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように、前記身体に少なくとも4つの電極要素を配置するステップと、
前記電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、
前記電極要素の前記異なるサブセット間に前記AC信号を順次印加している間、前記印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、
前記測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、
前記比較に基づいて、トランスデューサアレイの配置に関する不適当なセットアップを決定するステップと
を含む、方法。
【請求項41】
前記AC信号の第1の極性がそれぞれの単一の電極要素に順番に順次印加され、同時に前記AC信号の第2の極性がそれぞれの異なる単一の電極要素に印加され、前記電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記比較するステップが、前記測定されたインピーダンスを、健康な皮膚のそれぞれの領域上の欠陥のない電極について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記測定されたインピーダンスが前記基準を満たす場合、前記少なくとも4つの電極要素の大部分を、前記対象者の身体を通る電場を誘導するために使用するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2021年6月30日に出願された米国仮出願第63/216,763号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
TTField療法は、腫瘍を治療するための実証済みの手法である。図1は、TTFieldを送達するための従来技術のOptune(登録商標)システムの概略図である。TTFieldは、(例えば、神経膠芽腫を有する人について図2A図2Dに示すように)腫瘍に近接して患者の皮膚上に配置された4つのトランスデューサアレイ21~24を介して患者に送達される。トランスデューサアレイ21~24は、2対に配置され、各トランスデューサアレイは、マルチワイヤケーブルを介してAC信号発生器20に接続される。AC信号発生器は、(a)第1の時間期間中に一方の対のアレイ21、22を介してAC電流を送り、腫瘍を介して第1の方向を有する電場を誘導し、次いで(b)第2の時間期間中に他方の対のアレイ23、24を介してAC電流を送り、腫瘍を介して第2の方向を有する電場を誘導し、次いでステップ(a)および(b)を治療の期間中繰り返す。
【0003】
各トランスデューサアレイ21~24は、フレックス回路を介して相互接続された容量結合電極要素Eのセット(例えば、各々が直径約2cmの9つの電極要素のセット)として構成される。各電極要素は、誘電体層(例えば、高誘電率を有するセラミック材料の層)がその上に配置された導電性基板を含む。各電極要素は、導電性医療用ゲルの層と粘着テープとの間に挟まれている。アレイを患者に配置するとき、医療用ゲルは、患者の皮膚の輪郭に適合し、デバイスと身体の良好な電気的接触を保証する。粘着テープは、患者が日常活動を行う際に、アレイ全体を患者の所定の位置に保持する。トランスデューサアレイは、長期のTTField療法(例えば、少なくとも1か月にわたって1日あたり15時間)を提供するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国出願第17/129,088号明細書
【特許文献2】米国特許第2018/0050200号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、身体の第1の側に配置された少なくとも4つの第1の電極要素と、身体の第2の側に配置された少なくとも4つの第2の電極要素との間に交流電流を印加するための第1の装置を対象とする。第1の装置は、第1の極性と第2の極性とを有するAC出力信号を生成するAC信号発生器と、それぞれの制御信号の状態に応じて第1の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号の第1の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第1のスイッチと、それぞれの制御信号の状態に応じて第2の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号の第2の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第2のスイッチと、それぞれの制御信号の状態に応じて第1の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号の第2の極性を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも1つの第3のスイッチとを備える。
【0006】
第1の装置は、第1のモードにおいて、コントローラが、第1のスイッチの大部分に、対応する第1の電極要素にAC出力信号の第1の極性を印加させ、第2のスイッチの大部分に、対応する第2の電極要素にAC出力信号の第2の極性を印加させる制御信号を発行し、第2のモードにおいて、コントローラが、(a)少なくとも1つの第3のスイッチが少なくとも1つのそれぞれの第1の電極要素にAC出力信号の第2の極性を印加する間に、第1のスイッチに、それぞれの第1の電極要素にAC出力信号の第1の極性を順番に順次印加させ、(b)第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、複数の第1のスイッチと、複数の第2のスイッチと、少なくとも1つの第3のスイッチとを制御するように構成されたコントローラも備える。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第2のモードにおいて、コントローラは、(a)少なくとも1つの第3のスイッチがそれぞれの単一の第1の電極要素にAC出力信号の第2の極性を印加する間に、第1のスイッチに、それぞれの単一の第1の電極要素にAC出力信号の第1の極性を順番に順次印加させ、(b)第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1の装置は、少なくとも1つの第4のスイッチをさらに備え、その各々は、それぞれの制御信号の状態に応じて、第2の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号の第1の極性を選択的に印加するように構成される。コントローラは、第3のモードにおいて、コントローラが、(a)少なくとも1つの第4のスイッチが少なくとも1つのそれぞれの第2の電極要素にAC出力信号の第1の極性を印加する間に、第2のスイッチに、それぞれの第2の電極要素にAC出力信号の第2の極性を順番に順次印加させ、(b)第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、複数の第1のスイッチと、複数の第2のスイッチと、少なくとも1つの第4のスイッチとを制御するように構成される。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第3のモードにおいて、コントローラは、(a)少なくとも1つの第4のスイッチがそれぞれの単一の第2の電極要素にAC出力信号の第1の極性を印加する間に、第2のスイッチに、それぞれの単一の第2の電極要素にAC出力信号の第2の極性を順番に順次印加させ、(b)第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1のモードにおいて、受信されたインピーダンス測定値に基づいて、コントローラは、第1の電極要素のうちの1つまたは複数における電流の低減を引き起こす制御信号を発行するように構成される。
【0011】
本発明の別の態様は、身体の第1の側に配置された少なくとも4つの第1の電極要素と、身体の第2の側に配置された少なくとも4つの第2の電極要素との間に交流電流を印加するための第2の装置を対象とする。第2の装置は、AC出力信号を生成するAC信号発生器と、それぞれの制御信号の状態に応じて第1の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第1のスイッチと、それぞれの制御信号の状態に応じて第2の電極要素のそれぞれ1つにAC出力信号を選択的に印加するように各々が構成された少なくとも4つの第2のスイッチとを備える。
【0012】
第2の装置は、第1のモードにおいて、コントローラが、第1のスイッチの大部分に、対応する第1の電極要素にAC出力信号を印加させ、第2のスイッチの大部分に、対応する第2の電極要素にAC出力信号を印加させる制御信号を発行し、第2のモードにおいて、コントローラが、(a)第2のスイッチに、対応する第2の電極要素にAC出力信号を印加させ、(b)第1のスイッチのうちの異なるスイッチまたはサブセットに、対応する第1の電極要素にAC出力信号を順次印加させ、(c)第1の電極要素および第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、複数の第1のスイッチと複数の第2のスイッチとを制御するように構成されたコントローラも備える。第1のモードにおいて、AC出力信号は、100kHzと500kHzとの間の周波数を有し、第2のモードにおいて、AC出力信号は、20kHz未満の周波数を有する。
【0013】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第2のモードにおいて、コントローラは、(a)第2のスイッチに、対応する第2の電極要素にAC出力信号を印加させ、(b)第1のスイッチの各々に、対応する個々の第1の電極要素にAC出力信号を順番に順次印加させ、(c)個々の第1の電極要素および第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行する。
【0014】
第2の装置のいくつかの実施形態において、コントローラは、第3のモードにおいて、コントローラが、(a)第1のスイッチに、対応する第1の電極要素にAC出力信号を印加させ、(b)第2のスイッチの各々に、対応する個々の第2の電極要素にAC出力信号を順番に順次印加させ、(c)個々の第2の電極要素および第1の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値を順次受信する制御信号を発行するように、複数の第1のスイッチと複数の第2のスイッチとを制御するようにさらに構成される。
【0015】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1のモードにおいて、受信されたインピーダンス測定値に基づいて、コントローラは、第1の電極要素のうちの1つまたは複数における電流の低減を引き起こす制御信号を発行するように構成される。
【0016】
本発明の別の態様は、対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する第1の方法を対象とする。第1の方法は、電極要素の各々が身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように、対象者の身体に少なくとも4つの電極要素を配置するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加している間に、印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、比較に基づいて皮膚の領域の状態を決定するステップとを含む。
【0017】
第1の方法のいくつかの例において、AC信号の第1の極性がそれぞれの単一の電極要素に順番に順次印加され、同時にAC信号の第2の極性がそれぞれの異なる単一の電極要素に印加され、電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される。
【0018】
第1の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む。第1の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを、皮膚のそれぞれの領域について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む。
【0019】
第1の方法のいくつかの例において、測定されたインピーダンスが基準を満たす場合、少なくとも4つの電極要素の大部分が、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される。第1の方法のいくつかの例において、AC信号は、20kHz未満の周波数を有する。
【0020】
本発明の別の態様は、電極要素の完全性を検出する第2の方法を対象とする。第2の方法は、電極要素の各々が身体のそれぞれの領域に結合されるように、少なくとも4つの電極要素を身体上に配置するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加している間に、印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、比較に基づいて、電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップとを含む。
【0021】
第2の方法のいくつかの例において、AC信号の第1の極性がそれぞれの単一の電極要素に順番に順次印加され、同時にAC信号の第2の極性がそれぞれの異なる単一の電極要素に印加され、電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される。
【0022】
第2の方法のいくつかの例において、測定されたインピーダンスが基準を満たす場合、電極要素が、身体を通る電場を誘導するために使用される。
【0023】
第2の方法のいくつかの例は、測定されたインピーダンスが基準を満たさない場合、通知を生成するステップをさらに含む。第2の方法のいくつかの例において、AC信号は、20kHz未満の周波数を有する。
【0024】
本発明の別の態様は、対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する第3の方法を対象とする。第3の方法は、対象者の身体の第1の側の皮膚の領域に少なくとも4つの第1の電極要素を配置し、対象者の身体の第2の側に少なくとも4つの第2の電極要素を配置するステップと、第1の電極要素および第2の電極要素の異なるサブセットにAC信号を順次印加するステップであって、各サブセットが、第1の電極要素のうちの1つまたは複数と第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを備え、AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、ステップと、各サブセットにAC信号を順次印加している間に、印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、比較に基づいて、対象者の身体の皮膚の領域の状態を決定するステップとを含む。
【0025】
第3の方法のいくつかの例において、AC信号を順次印加するステップは、AC信号が第2の電極要素に印加されている間に、各個々の第1の電極要素にAC信号を順次印加するステップをさらに含み、個々の第1の電極要素および第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される。
【0026】
第3の方法のいくつかの例において、第1の電極要素および第2の電極要素は、AC信号が順次印加されているときに対象者の身体を通る交流電場を誘導するように容量結合および配置される。
【0027】
第3の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む。第1の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを、皮膚のそれぞれの領域について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む。
【0028】
第3の方法のいくつかの例において、測定されたインピーダンスが基準を満たす場合、少なくとも4つの電極要素の大部分が、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される。
【0029】
本発明の別の態様は、電極要素の完全性を検出する第4の方法を対象とする。第4の方法は、身体の第1の側に少なくとも4つの第1の電極要素を配置し、身体の第2の側に少なくとも4つの第2の電極要素を配置するステップと、第1の電極要素および第2の電極要素の異なるサブセットにAC信号を順次印加するステップであって、各サブセットが、第1の電極要素のうちの1つまたは複数と第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを備え、AC信号が、20kHz未満の周波数を有する、ステップと、各サブセットにAC信号を順次印加している間に、印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、比較に基づいて、第1の電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップとを含む。
【0030】
第4の方法のいくつかの例において、AC信号を順次印加するステップは、AC信号が第2の電極要素に印加されている間に、各個々の第1の電極要素にAC信号を順次印加するステップをさらに含み、個々の第1の電極要素および第2の電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される。
【0031】
第4の方法のいくつかの例において、第1の電極要素および第2の電極要素は、AC信号が順次印加されているときに身体を通る交流電場を誘導するように容量結合および配置される。
【0032】
第4の方法のいくつかの例は、測定されたインピーダンスが基準を満たす場合、身体を通って電場が誘導されるように、第1の電極要素の大部分および第2の電極要素の大部分にAC信号を印加するステップをさらに含む。
【0033】
第4の方法のいくつかの例は、測定されたインピーダンスが基準を満たさない場合、通知を生成するステップをさらに含む。
【0034】
本発明の別の態様は、電極要素の完全性を検出する第5の方法を対象とする。第5の方法は、電極要素の各々が身体のそれぞれの領域に結合されるように、少なくとも2つの電極要素を身体上に配置するステップと、電極要素間にAC信号を印加するステップと、電極要素間にAC信号を印加している間に、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、電極要素の状態を決定するステップであって、条件が少なくとも1つの基準を満たす場合、電極要素が身体を通る電場を誘導するために使用される、ステップとを含む。
【0035】
本発明の別の態様は、電極要素の完全性を検出する第6の方法を対象とする。身体の第1の側に少なくとも2つの第1の電極要素を配置し、身体の第2の側に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、(a)第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第1のAC信号を印加するステップであって、第1のAC信号が20kHz未満の周波数を有する、ステップと、第1のAC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、第1の電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態を決定するステップと、電極要素の状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、身体を通って電場が誘導されるように、(a)第1の電極要素のうちの少なくとも1つと(b)第2の電極要素のうちの少なくとも1つとの間に第2のAC信号を印加するステップであって、第2のAC信号が50kHzよりも高い周波数を有する、ステップとを含む。
【0036】
本発明の別の態様は、対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する第7の方法を対象とする。第7の方法は、皮膚の領域に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、電極要素間にAC信号を印加するステップと、電極要素間にAC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、皮膚の領域の状態を決定するステップであって、皮膚の領域の状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、電極要素が、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される、ステップとを含む。
【0037】
本発明の別の態様は、対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出する第8の方法を対象とする。第8の方法は、対象者の身体の第1の側の皮膚の領域に少なくとも2つの第1の電極要素を配置し、対象者の身体の第2の側に少なくとも2つの電極要素を配置するステップと、(a)第1の電極要素の少なくとも1つと(b)第2の電極要素の少なくとも1つとの間に第1のAC信号を印加するステップであって、第1のAC信号が20kHz未満の周波数を有する、ステップと、第1のAC信号を印加している間、少なくとも1つのインピーダンスを測定するステップと、測定された少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、皮膚の領域の状態を決定するステップと、皮膚の領域の状態が少なくとも1つの基準を満たす場合、対象者の身体を通して電場が誘導されるように、第1の電極要素の少なくとも1つと(b)第2の電極要素の少なくとも1つとの間に第2のAC信号を印加するステップであって、第2のAC信号が50kHzよりも高い周波数を有する、ステップとを含む。
【0038】
本発明の別の態様は、対象者の身体へのトランスデューサアレイの配置に関する不適当なセットアップを検出する第9の方法を対象とする。第9の方法は、電極要素の各々が身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように、対象者の身体に少なくとも4つの電極要素を配置するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加するステップと、電極要素の異なるサブセット間にAC信号を順次印加している間、印加されたAC信号に対するインピーダンスを測定するステップと、測定されたインピーダンスを基準と比較するステップと、比較に基づいて、トランスデューサアレイの配置に関する不適当なセットアップを決定するステップとを含む。
【0039】
第9の方法のいくつかの例において、それぞれの異なる単一の電極要素にAC信号の第2の極性が印加されている間、それぞれの単一の電極要素にAC信号の第1の極性が順番に順次印加され、電極要素のそれぞれの組合せに対応するインピーダンス測定値が順次受信される。
【0040】
第9の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを定数と比較するステップを含む。第9の方法のいくつかの例において、比較するステップは、測定されたインピーダンスを、健康な皮膚のそれぞれの領域上の欠陥のない電極について以前に測定されたインピーダンスと比較するステップを含む。
【0041】
第9の方法のいくつかの例において、測定されたインピーダンスが基準を満たす場合、少なくとも4つの電極要素の大部分が、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される。第1の方法のいくつかの例において、AC信号は、20kHz未満の周波数を有する。
【0042】
第6および第8の方法のいくつかの例において、第2のAC信号は、少なくとも72時間印加される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】TTFieldを送達するための従来技術のOptune(登録商標)システムの概略図である。
図2A】脳腫瘍を治療するための人の頭部上のトランスデューサアレイの配置を示す図である。
図2B】脳腫瘍を治療するための人の頭部上のトランスデューサアレイの配置を示す図である。
図2C】脳腫瘍を治療するための人の頭部上のトランスデューサアレイの配置を示す図である。
図2D】脳腫瘍を治療するための人の頭部上のトランスデューサアレイの配置を示す図である。
図3】個々の電極要素ごとに個々の導体を提供するトランスデューサアレイの第1の実施形態を示す図である。
図4A】対象者にTTFieldを印加するために図3のトランスデューサアレイの4つのコピーを各々が使用する3つの実施形態のブロック図である。
図4B】対象者にTTFieldを印加するために図3のトランスデューサアレイの4つのコピーを各々が使用する3つの実施形態のブロック図である。
図4C】対象者にTTFieldを印加するために図3のトランスデューサアレイの4つのコピーを各々が使用する3つの実施形態のブロック図である。
図5】対象者の身体の片側に配置された電極要素を使用して対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出するための一例のフローチャートである。
図6】身体の片側に配置された電極要素を使用して電極要素の完全性を検出するための一例のフローチャートである。
図7】対象者の身体の両側に配置された電極要素を使用して対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出するための一例のフローチャートである。
図8】身体の両側に配置された電極要素を使用して電極要素の完全性を検出するための一例のフローチャートである。
図9】単一のスイッチまたはスイッチのバンク内のスイッチを実装するのに適した回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
様々な実施形態について、添付図面を参照して以下に詳細に説明し、添付図面において、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0045】
上記で説明した図1の手法は、腫瘍にTTFieldを送達するのに非常に有効であるが、4つのトランスデューサアレイ21~24内の電極要素の各々と人の身体との間の良好な電気的接触が維持されない場合、治療の有効性は、低下する。これは、例えば、電極要素のうちの1つまたは複数が電極要素の誘電体層における欠陥などの欠陥を有する場合、または電極要素の下のハイドロゲルが乾燥した場合に発生する可能性がある。
【0046】
本明細書で説明する実施形態は、TTField治療を改善するために、患者の身体との良好な電気的接触が維持されることが可能であるように、トランスデューサアレイの電極要素の状態を検出する能力を有利に提供する。
【0047】
治療の変動の別の原因は、人の身体、および長期治療に対するその耐性である。例えば、トランスデューサアレイは、TTFieldで腫瘍を標的にするために、人の身体上に配置されるが、トランスデューサアレイの下の人の皮膚は、治療の結果として変化(例えば、発疹、炎症など)を経験する可能性があり、または他の要因が、治療に対する人の耐性(例えば、基礎的な皮膚状態)に影響を与える可能性がある。
【0048】
本明細書で説明する実施形態は、人の身体の皮膚の状態を検出し、必要であれば、患者が治療によりよく耐えられるように、治療特性を調整する能力を有利に提供する。
【0049】
いくつかの実施形態は、TTFieldを送達するために使用される同じ電極を使用してインピーダンス測定値を受信することによって、トランスデューサアレイの電極状態および/または患者の皮膚状態を検出する。実施形態は、複数のインピーダンス測定値を受信するために、電極要素の対またはグループにAC信号を順次印加することができる。これらのインピーダンス測定値は、関与する電極要素の状態および/または関与する電極要素の下にある患者の皮膚の状態を示すことができる。
【0050】
実施形態は、少なくとも2つの動作モードを有する単一のシステムを含むことができ、a)第1のモードにおいて、システムは、患者の身体にTTField治療を送達し、b)第2のモードにおいて、システムは、関与する電極要素の状態および/または患者の皮膚の状態を示すインピーダンス値を測定する。同じトランスデューサアレイ構成は、コントローラによって発行された制御信号に基づいて両方の動作モードを実装することができる。例示的な実装形態において、少なくとも2つのトランスデューサアレイが、患者の身体の異なる側に配置される。第1のモード(例えば、TTField治療モード)において、患者に標的TTField治療を送達するために、配置されたトランスデューサアレイにAC信号が印加される。しかしながら、TTField治療の投与は、配置されたアレイの下の皮膚の状態および/またはアレイの個々の電極要素の状態などの特定の状態を決定することによって改善され得る。第2のモードにおいて、少なくとも1つの配置されたトランスデューサアレイの電極は、皮膚状態および/または電極状態を示すインピーダンス値を測定するために使用される。TTField治療の投与(すなわち第1の動作モード)は、第2のモードにおいて検出された状態に基づいて結果を最適化するように調整されることが可能である。例えば、以前に使用されたトランスデューサアレイからの電極の完全性を保証するために、また一般に、TTField治療のために良好な電気的接触が維持されていることを保証するために、新しいトランスデューサアレイの使用の前に、電極の完全性が決定されることが可能である。追加的または代替的に、皮膚状態は、患者の身体がTTField治療の長期適用に耐性があることを保証するため、および/または患者の皮膚の健康を保証するために治療の特性を変更するために決定されることが可能である。検出された状態に基づいて、トランスデューサアレイの位置、関与する電極、AC信号特性、および他の特性などの治療特性が、治療を最適化するために調整されることが可能である。いくつかの例において、電極状態および/または皮膚状態により、例えば患者の健康と安全を守るために、TTField治療の一時停止が要求されることがある。
【0051】
実施形態は、様々な技法を使用してインピーダンス値を測定することができる。例えば、第1の技法において、第1および第2の電極が(例えば、対象者の身体によって)直接結合されるように、第1の極性の少なくとも1つの第1の電極が、第2の極性の少なくとも1つの第2の電極に近接して配置される。次いで、配置された第1の電極と第2の電極との間にAC信号が印加され、インピーダンスが測定される。第2の技法において、第1および第2の電極が容量結合されるように、対象者の身体の第1の側に第1の極性の少なくとも1つの第1の電極が配置され、対象者の身体の第2の側に第2の極性の少なくとも1つの第2の電極が配置される。次いで、配置された第1の電極と第2の電極との間にAC信号が印加され、インピーダンスが測定される。
【0052】
第1の技法または第2の技法を使用してインピーダンスを測定するいくつかの実施形態は、トランスデューサアレイの各々における複数の電極要素の各々について個々の導体を有する。トランスデューサアレイ21~24の各々における電極要素Eのすべてが並列に配線される従来技術の構成とは異なり、電極要素ごとの個々の導体は、アレイのうちのいずれか1つにおける任意の所与の個々の電極要素について電流をオンおよびオフに独立して切り替えることを可能にする。例えば、第1の技法または第2の技法のいずれにおいても、実施形態は、電極要素の異なる対またはグループ間にAC信号を順次印加することができ、これは、個々の電極要素への電流のオンおよびオフを独立して切り替える能力によって達成されることが可能である。
【0053】
図3は、個々の電極要素52ごとに個々の導体を提供するトランスデューサアレイ50の第1の実施形態を示す。図4に関連して以下で説明するように、好ましくは、人の頭部(または他の身体部分)にTTField治療を投与するために、トランスデューサアレイ50の4つのコピーが使用される。
【0054】
各トランスデューサアレイ50は、図3の実施形態では参照を容易にするためにE1~E9とラベル付けされている複数の電極要素52を含む。これらの電極要素52の各々は、その上に誘電体層が堆積された導電性基板(例えば、円形の金属基板)を有する。いくつかの実施形態において、これらの電極要素52の各々は、Optune(登録商標)システムにおいて使用される従来技術の電極要素と同様の円盤状の容量結合電極要素(例えば、2cmの直径を有する)であり、誘電体層は、高誘電率を有するセラミック材料の薄い層を備える。しかしながら、Optune(登録商標)システムおよび図1(すべての要素が並列に配線される)とは異なり、この図3の実施形態では、個々の導体は、電極要素52の各々から導体57まで延びる。これらの導体は、「ワイヤルーティング」ブロック55(個々の導体を単一のケーブル56にまとめる)のすぐ上で1~9の番号が付けられている。いくつかの実施形態において、電極要素52へのそれぞれの電気的接続は、フレックス回路上の1つもしくは複数のトレースおよび/または1つもしくは複数の導電性ワイヤを備える。いくつかの実施形態において、誘電体層は、高誘電率(例えば、10を超える、好ましくは30を超える誘電率)を有するポリマを備える。
【0055】
図3に示す実施形態において、容量結合電極要素52のすべては、支持構造59によって所定に位置に保持される。支持構造は、電極要素52の誘電体層が対象者の身体に面し、対象者の身体と接触して配置されることが可能であるように、電極要素を対象者の身体に対して保持するように構成される。オプションで、この支持構造は、可撓性裏打ち59(例えば、発泡材料の層)を備え得る。好ましくは、トランスデューサアレイ50が対象者の身体に対して配置されるとき、電極要素52の誘電体層と対象者の身体との間に、ハイドロゲルまたは導電性接着剤の層が配置される。支持構造59の構築は、限定はしないが自己接着性の布、発泡体、またはプラスチックシートを含む、関連技術の当業者には明らかな様々な従来の手法のいずれかを使用して実装され得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、各トランスデューサアレイ50は、それぞれの電極要素52の温度を感知するために複数のサーミスタ54も含む。これは、例えば、各電極要素52の中心に穴またはウエルを組み込み、この穴またはウエル内にサーミスタ54を配置することによって達成され得る。サーミスタを組み込む適切なハードウェアおよび手順の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2020年12月21日に出願された米国出願第17/129,088号に記載されており、サーミスタから温度読み取り値を取得するために使用され得る適切なハードウェアおよび手順は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第2018/0050200号に記載されている。
【0057】
各トランスデューサアレイ50は、トランスデューサアレイ50の内外に電気信号を送るために使用されるコネクタ57も有する。コネクタ57は、複数の第1のピンと第2のピンとを有する。図示の実施形態において、第1のピンの数は、電極要素52の数と同じであり、第1のピンの各々は、それらの電極要素52のそれぞれ1つに対応する。また、図示の実施形態において、温度測定を行うために設けられた、Cのラベルが付けられた単一の第2のピンも存在する。本明細書で使用される場合、「ピン」という用語は、コネクタ57の雄ピンまたは雌ピンのいずれかを指す場合があることに留意されたい。
【0058】
各トランスデューサアレイ50は、複数の第1の導体も有し、これらの第1の導体の数は、電極要素52の数に依存する。9つの電極要素52を含む図3に示す実施形態において、これらの導体には、1~9のラベルが付けられている。これらの第1の導体の各々は、(a)コネクタ57における第1のピンのそれぞれ1つと(b)電極要素52(E1~E9)のそれぞれ1つの導電性基板との間の導電経路を提供する。これらの第1の導体の各々は、オプションでワイヤの複数のセグメントおよび/またはフレックス回路上の複数のトレースを使用して実装され得ることに留意されたい。
【0059】
コネクタ57は、個々の電極要素52の各々に対応する個々の第1のピンを有し、第1のピンの各々と電極要素52のそれぞれ1つとの間に導電経路が存在するので、コネクタ57と嵌合するシステムは、コネクタ57におけるそれぞれの第1のピンに信号を個別に印加するかまたは印加しないかによって、電極要素52の各々を選択的に個別に通電するか、または通電しないことができる。実施形態は、患者の身体を通る電場を誘導するために、患者の身体の異なる側に配置されたトランスデューサアレイ50を使用する。例えば、第1の動作モードにおいて、トランスデューサアレイは、(例えば、100kHzと500kHzとの間の目標周波数を使用して)TTField治療を送達することができる。第2の動作モードにおいて、トランスデューサアレイは、より低い周波数(例えば、20kHz未満)を使用して患者の身体を通る電場を誘導することができ、a)トランスデューサアレイの電極要素の状態および/またはb)患者の皮膚の状態を検出するために、インピーダンス測定が行われることが可能である。
【0060】
図4Aは、a)対象者にTTFieldを印加するため、およびb)インピーダンス測定を行うために、(図3に関連して上記で説明した)トランスデューサアレイ50の4つのコピーを使用するシステムのブロック図である。図4Aにおいて、これらの4つのコピーは、50A、50P、50L、および50Rのラベルが付けられており、ここで、A、P、L、およびRは、それぞれ、前部、後部、左、および右を表す。図4Aの下部は、AC電圧発生器35と「CADボックス」30とを別個のブロックとして示し、後者は、コントローラ34と、スイッチ1Lおよび1Rのバンクとを含む。いくつかの実施形態において、それら2つのブロック35、30内の構成要素は、2つの別個のハウジングに物理的に分割され得る。しかし、代替実施形態において、それら2つのブロック35、30内の構成要素は、単一のハウジングに結合される。
【0061】
明確にするために、図4Aでは左チャネルおよび右チャネルが示されている。しかし、残りのチャネル(すなわち、前部チャネルおよび後部チャネル)は、それぞれ、左チャネルおよび右チャネルと同じように動作する。追加的に、図4Aにおけるトランスデューサアレイ50の各々は、明確にするために4つの電極要素52のみを有して示されている。しかし、実際のシステムは、トランスデューサアレイ50の各々において実際に使用される電極要素52の数に応じて、より多くの数(例えば、9と30との間)の電極要素を有し、より多くの数の特定の他の構成要素(例えば、スイッチ、導体など)を有することが予想される。
【0062】
図4Aのシステムは、電極要素52の対間またはグループ間に印加されるAC信号に対するインピーダンスを測定することができる。例えば、コントローラ34は、電極要素の1つまた複数に順番に通電するようにスイッチバンク1L(双方向アナログスイッチを使用して実装され得る)内の電子制御スイッチを制御することによって、トランスデューサアレイ50Lの電極要素52のいずれかにAC信号を印加することができる。同様に、コントローラ34は、電極要素の1つまたは複数に順番に通電するようにスイッチバンク1R内の電子制御スイッチを制御することによって、トランスデューサアレイ50Rの電極要素52のいずれかにAC信号を印加することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ34は、スイッチバンク1Lおよび1Rを電子的に制御する制御信号を発行することなどによって、対象者の身体の両側に配置された電極要素52の対またはグループにAC信号を印加することができる。スイッチの対応するバンク(図示せず)が、他のチャネル50A、50Pにも設けられ、同様の手法がそれらのチャネルでも同様に使用される。
【0063】
図4Aのシステムの実施形態は、複数の動作モードを実装し、a)第1の動作モードにおいて、対象者の身体の第1の側(例えば、右または前部)に配置された電極の大部分にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第2の側(例えば、左または後部)に配置された電極の大部分にAC信号の第2の極性が印加され、b)第2の動作モードにおいて、対象者の身体の第1の側(例えば、右または前部)に配置された少なくとも1つの電極にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第2の側(例えば、左または後部)に配置された少なくとも1つの電極にAC信号の第2の極性が印加される。第1の動作モードにおいて、電極要素は、(例えば、100kHzと500kHzとの間の目標周波数を使用して)TTField治療を送達することができ、一方、第2の動作モードにおいて、電極要素は、インピーダンス測定が行われることが可能であるように、より低い周波数(例えば、20kHz未満)を使用して患者の身体を通る電場を誘導することができる。インピーダンス測定値は、a)トランスデューサアレイの電極要素の状態および/またはb)患者の皮膚の状態を検出するために使用される。TTField治療(すなわち第1の動作モード)の投与は、検出された状態を考慮して結果を最適化するように調整されることが可能である。
【0064】
第1の動作モード(例えば、TTField治療モード)と第2の動作モード(例えば、インピーダンス測定モード)の両方において、対象者の身体の第1の側に配置された電極と第2の側に配置された電極との間に電場が誘導されることが可能であるが、第1のモードにおいて、AC信号は、100kHzと500kHzとの間の周波数範囲を有し(例えば、TTFieldが投与される)、第2のモードにおいて、AC信号は、20kHz未満の周波数を有する。第1の動作モードの周波数範囲は、対象者の身体内にTTFieldを誘導し、一方、第2の動作モードの周波数は、インピーダンスが効果的に測定されることが可能であるように選択される。第2の動作モードに、より低い周波数を使用することは、回路の任意の抵抗性部分のインピーダンスを増加させることなく、回路の容量性部分のインピーダンスを増加させるので、電極要素の完全性および/または皮膚状態の測定の品質を改善する。したがって、バックグラウンドノイズ(すなわち、抵抗素子からの寄与)から所望の信号(すなわち、容量素子からの寄与)を引き上げる。
【0065】
いくつかの実施形態において、第2の動作モード中、コントローラ34は、左および右の電極要素52の異なる対間および/または異なるグループ間にAC信号を順次印加するようにスイッチバンク1Lおよび1Rの状態を変化させる制御信号を発行することができる。
【0066】
トランスデューサアレイ50Lおよび50R内の電極要素の各々に対応するインピーダンス測定値を取得するための1つの手法は、以下の通りであり、(a)バンク1L内のすべてのスイッチを閉じ、バンク1R内のスイッチ1のみを閉じ、1つのインピーダンス測定を行い、(b)バンク1L内のすべてのスイッチを閉じたままにし、バンク1R内のスイッチ1を開き、バンク1R内のスイッチ2を閉じ、次いで、別のインピーダンス測定を行い、(c)トランスデューサアレイ50R内の電極要素の各々についてインピーダンス測定値が取得されるまで、バンク1R内のスイッチの各々を個別にステップ実行することによってこのプロセスを継続し、(d)バンク1R内のすべてのスイッチを閉じ、バンク1L内のスイッチ1のみを閉じ、1つのインピーダンス測定を行い、(e)バンク1R内のすべてのスイッチを閉じられたままにし、バンク1L内のスイッチ1を開き、バンク1L内のスイッチ2を閉じ、次いで別のインピーダンス測定を行い、(f)トランスデューサアレイ50L内の電極要素の各々についてインピーダンス測定値が取得されるまで、バンク1L内のスイッチの各々を個別にステップ実行することによってこのプロセスを継続する。各個別のインピーダンス測定(スイッチ設定の任意の所与のセットに対する)は、例えば、AC電圧発生器35の出力電圧(事前に既知であるか、または毎回測定されることが可能である)を、スイッチ設定の特定のセットについて(任意の従来の手法を使用して)リアルタイムで測定されるAC電圧発生器35が送達している電流で除算することによって行われ得る。
【0067】
図4Bのシステムの実施形態は、同じ電極要素を使用してTTField治療動作モードとインピーダンス測定動作モードとを実装することができ、ここで、インピーダンス測定モードにおいて、患者の身体の単一の側に配置された単一のトランスデューサアレイ50を使用してインピーダンス測定が行われる。トランスデューサアレイ50は、a)第1の動作モード(例えば、TTField治療モード)において、電場を誘導し、TTField治療を送達し、b)第2の動作モード(例えば、インピーダンス測定モード)において、単一のトランスデューサアレイ上の2つ以上の局所電極間の電流に対するインピーダンスを測定するために使用される。例えば、第2の動作モードにおいて、単一のトランスデューサアレイ50上の2つ以上の局所電極間にAC信号が印加されることが可能であり、インピーダンス測定が行われることが可能である。インピーダンス測定値は、a)トランスデューサアレイの電極要素の状態、および/またはb)患者の皮膚の状態を示すことができる。
【0068】
図4Bは、図4Aのシステムと同様の方法で、対象者にTTFieldを印加し、電極要素52の対またはグループ間に印加されるAC信号に対するインピーダンスを測定することができるが、図4Bのシステムは、スイッチ2Lとスイッチ2Rとを追加で含む。いくつかの実施形態において、スイッチ2Lおよび/またはスイッチ2Rは、対象者の身体の片側における電極要素の対間またはグループ間にAC信号が印加されるように、コントローラ34によって制御されることが可能である。例えば、一般に、図4Aのシステムは、対象者の身体の第1の側(例えば、右または前部)に配置された電極要素にAC信号の第1の極性を印加し、対象者身体の第2の側(例えば、左または後部)に配置された電極要素にAC信号の第2の極性を印加する。このシステム構成は、対象者の身体を通る電場を誘導することができる。
【0069】
図4Bのシステムは、スイッチバンク1Lと、少なくとも1つのスイッチ2Lとを含み、スイッチ1Lは、1つもしくは複数の左側電極要素52にAC信号の第1の極性を印加することができ、一方、スイッチ2Lは、少なくとも1つの左側電極要素52にAC信号の第2の極性を印加することができる。トランスデューサアレイ50Lは、左側電極要素52が対象者の身体によって結合されるように配置されるので、スイッチバンク1Lおよびスイッチ2Lの状態がAC信号の第1の極性と第2の極性の両方を左側電極要素52に印加させるとき、左側電極要素52の対間またはグループ間に直流電流が流れる。
【0070】
図4Bのシステムの実施形態は、複数の動作モードを実装し、a)第1の動作モード(TTField治療モードである)において、対象者の身体の第1の側(例えば、右または前部)に配置された電極の大部分にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第2の側(例えば、左または後部)に配置された電極の大部分にAC信号の第2の極性が印加される。第2の動作モード(インピーダンス測定モードである)において、対象者の身体の第1の側に配置された少なくとも1つの電極要素にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第1の側(すなわち、同じ側)に配置された少なくとも1つの電極要素にAC信号の第2の極性が印加される。
【0071】
図4Bの図示の実施形態において、左電極要素52のE3は、この電極要素が、スイッチバンクL1からの1つのスイッチ(AC信号の第1の極性を印加するために使用される)およびスイッチ2L(AC信号の第2の極性を印加するために使用される)の2つのスイッチに対応するので、切替え可能な極性を有する。例えば、第1の動作モードにおいて、印加されたAC信号の第1の極性が(すなわち、スイッチバンク1Lからの閉じられたスイッチを介して)E3に印加されることが可能であり、一方、第2の動作モードにおいて、印加されたAC信号の第2の極性が(すなわち、閉じられたスイッチ2Lを介して)E3に印加されることが可能である。
【0072】
第2の動作モード中の、図4Bに示す左電極要素52のE1、E2、E3、およびE4について考察する。AC信号の第2の極性がE3に印加される(すなわち、スイッチ2Lが閉じられる)と、AC信号の第1の極性は、E1、E2、またはE4のうちの1つに印加されることが可能であり、電極要素の対間で対象者の皮膚を介して電流が流れることができる。代替的には、AC信号の第2の極性がE3に印加されると、AC信号の第1の極性は、E1、E2、またはE4のうちの2つ以上に印加されることが可能であり、電極要素のグループ間に電流が流れることができる。いくつかの実施形態において、コントローラ34は、左電極要素52の異なる対間および/または異なるグループ間にAC信号を順次印加するようにスイッチバンク1Lおよび/またはスイッチ2Lの状態を変化させる制御信号を発行することができる。
【0073】
例えば、電極の対にAC信号を順次印加することは、第1の対E3およびE1、第2の対E3およびE2、ならびに第3の対E3およびE4を含むことができる。別の例において、電極のグループにAC信号を順次印加することは、第1のグループE1、E2、およびE3、第2のグループE2、E3、およびE4、ならびに第3のグループE1、E3、およびE4を含むことができる。これらの例の両方において、E3は、図4Bにおいて切替え可能な極性の電極素子として示されているので、E3は、対間またはグループ間で一貫した存在である。他の実施形態は、複数の切替え可能な極性の電極要素、および/またはより多くの可能な電極の対もしくはグループを達成することができるより多数の電極要素を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、インピーダンスは、電極の対またはグループへのAC信号の各順次印加中に測定される。例えば、電極要素の第1の対にAC信号が印加されることが可能であり、印加中にインピーダンスが測定されることが可能であり、測定に続いて、AC信号は、停止されることが可能であり、コントローラ34からの制御信号がスイッチバンク1Lおよびスイッチ2Lの状態を変化させることができ、次いで、状態の変化に続いて、電極の第2の対にAC信号が印加されることが可能であり、インピーダンスが測定されることが可能である、などである。
【0075】
図示の実施形態は、所与の電極要素52に逆極性をルーティングする1つのスイッチのみを描いているが、スイッチ2Lは、2つ、3つ、またはそれよりも多くの左電極要素52が切替え可能な極性を有するように、2つ、3つ、またはそれよりも多くのスイッチを含むことができる。スイッチ2Rおよび右電極要素52は、スイッチ2Lおよび左電極要素52と同様の方法で動作することができる。対応するスイッチおよびスイッチのバンク(図示せず)が、他のチャネル50A、50Pにも設けられ、同様の手法がそれらのチャネルでも同様に使用される。
【0076】
図4Bの実施形態におけるトランスデューサアレイ50L内の電極要素の各々に対応するインピーダンス測定値を取得するための1つの手法は、(a)スイッチ2L(例えば、切替え可能な極性の電極要素E3に対応する)を閉じ、バンク1L内のスイッチ1のみを閉じ、インピーダンス測定を行い、(b)スイッチ2Lを閉じられたままにし、バンク1L内のスイッチ1を開き、バンク1L内のスイッチ2を閉じ、次いで別のインピーダンス測定を行い、(c)トランスデューサアレイ50L内の電極要素(電極要素E3を除く)の各々についてインピーダンス測定値が取得されるまで、バンク1L内のスイッチ(スイッチ3を除く)の各々を個別にステップ実行することによってこのプロセスを継続する。トランスデューサアレイ50R内の電極要素の各々に対応するインピーダンス測定値を取得するために、同様の手法が使用されることが可能である。各々の個別のインピーダンス測定(スイッチ設定の任意の所与のセットに対する)は、例えば、図4Aの実施形態について上記で説明したように行われ得る。アレイ50L、50R内の個々の要素の各々についてインピーダンス測定値が取得された後、それらのインピーダンス測定値は、例えば、それらの同じアレイ50L、50Rを使用して適用されるTTField治療を修正するために使用され得る。
【0077】
図4Cのシステムの実施形態は、図4Bのシステムと同様に治療動作モードとインピーダンス測定モードとを実装することができるが、インピーダンス測定は、(切替え可能な極性の電極要素ではなく)逆極性の電極要素を使用して行われる。トランスデューサアレイ50は、a)第1の動作モードにおいて、アレイの電極要素の大部分を使用して電場を誘導し、TTField治療を送達し、b)第2の動作モードにおいて、単一のトランスデューサアレイ上の2つ以上の局所電極間の電流に対するインピーダンスを測定するために使用され、ここで、2つの電極のうちの少なくとも1つは、第2の動作モード専用の逆極性電極である。例えば、トランスデューサアレイ50は、印加されたAC信号が、アレイの電極要素の大部分に第1の極性を印加し、アレイの電極要素の少なくとも1つ(すなわち、第2の動作モード専用の逆極性電極要素)に第2の極性を印加するように配線されることが可能である。これらの実施形態において、第2のモード専用の電極要素は、a)第1のモードにおいてTTField治療を送達するときに要素が「オフ」にされ、b)第2のモードにおいて局所インピーダンス測定を行うときに要素が選択的に「オン」にされるように、第2の極性を選択的に印加される。例えば、第2のモードにおいて、専用電極要素と少なくとも1つの他の電極要素(両方とも単一のトランスデューサアレイ50上)との間にAC信号が印加され、インピーダンス測定が行われることが可能である。インピーダンス測定値は、a)トランスデューサアレイの電極要素の状態および/またはb)患者の皮膚の状態を示すことができる。
【0078】
図4Cのシステムは、図4Bのシステムと同様の方法で、対象者にTTFieldを印加し、電極要素52の対またはグループ間に印加されるAC信号に対するインピーダンスを測定することができるが、図4Cのシステムにおけるスイッチバンク1Lおよび1Rは、電極要素52へのより少ない接続を有する。図4Bにおいて、対象者の身体の所与の側に配置された少なくとも1つの電極要素は、電極要素がスイッチバンク1Lからの1つのスイッチとスイッチ2Lの両方に対応するので、切替え可能な極性を有する。図4Cにおいて、切替え可能な極性を有する電極要素ではなく、トランスデューサ50は、AC信号の第1の極性を印加することができるいくつかの電極要素と、AC信号の逆極性に接続されることが可能な少なくとも1つの電極要素とを含む。
【0079】
図4Cに示す実施形態において、トランスデューサ50Lは、左電極要素52のE1、E2、E3、およびE4を含み、ここで、E1、E2、およびE4は、スイッチバンク1Lを介してAC発生器35に接続され、E3は、スイッチ2Lを介してAC発生器35に接続される。コントローラ34によって発行された制御信号に基づいて、(スイッチバンク1Lを介して)E1、E2、および/またはE4にAC信号の第1の極性が印加されることが可能であり、(スイッチ2Lを介して)E3にAC信号の第2の極性が印加されることが可能である。図4Bに示す実施形態において、左電極要素52のE3は、切替え可能な極性を有し、一方、図4Cに示す実施形態において、左電極要素52のE3は、他の左電極要素52に対して逆極性を有する(しかし、切替え可能な極性ではない)。切替え可能な極性の電極要素E3が、電極要素E1、E2、およびE4と同様の方法で電場を誘導することによってTTField治療を送達することができる図4Bのシステムとは異なり、図4Cのシステムでは、電極要素E3は、切替え可能な極性を持たず、したがって、電極要素E1、E2、およびE4と同様の方法で電場を誘導することによってTTField治療を送達することができない。
【0080】
図4Cのシステムの実施形態は、複数の動作モードを実装し、a)第1の動作モード(例えば、TTField治療モード)において、対象者の身体の第1の側(例えば、右または前部)に配置された電極の大部分にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第2の側(例えば、左または後部)に配置された電極の大部分にAC信号の第2の極性が印加され、b)第2の動作モード(例えば、インピーダンス測定モード)において、対象者の身体の第1の側に配置された少なくとも1つの電極要素にAC信号の第1の極性が印加され、対象者の身体の第1の側に配置された少なくとも1つの電極要素にAC信号の第2の極性が印加される。第1の動作モードにおいて、対象者の身体の第1の側に配置された電極要素と第2の側に配置された電極要素との間にTTFieldが誘導されることが可能である。第2の動作モードにおいて、対象者の身体の同じ側に配置された電極要素の対間またはグループ間に電流が流れることができる。
【0081】
第2の動作モード中の、図4Cに示す左電極要素52のE1、E2、E3、およびE4について考察する。AC信号の第2の極性がE3に印加される(すなわち、スイッチ2Lが閉じられる)と、AC信号の第1の極性は、E1、E2、またはE4のうちの1つに印加されることが可能であり、電極要素の対間に電流が流れることができる。代替的には、AC信号の第2の極性がE3に印加されると、AC信号の第1の極性は、E1、E2、またはE4のうちの2つ以上に印加されることが可能であり、電極要素のグループ間に電流が流れることができる。いくつかの実施形態において、コントローラ34は、左電極要素52の異なる対間および/または異なるグループ間にAC信号を順次印加するようにスイッチバンク1Lおよび/またはスイッチ2Lの状態を変化させる制御信号を発行することができる。
【0082】
例えば、電極の対にAC信号を順次印加することは、第1の対E3およびE1、第2の対E3およびE2、ならびに第3の対E3およびE4を含むことができる。別の例において、電極のグループにAC信号を順次印加することは、第1のグループE1、E2、およびE3、第2のグループE2、E3、およびE4、ならびに第3のグループE1、E3、およびE4を含むことができる。これらの例の両方において、E3は、図4Cにおいて逆極性電極素子として示されているので、E3は、対間またはグループ間で一貫した存在である。他の実施形態は、複数の逆極性電極要素、および/またはAC信号が順次印加されることが可能なより多くの可能な電極要素の対もしくはグループを結果として生じるより多数の全体的な電極要素を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、インピーダンスは、電極の対またはグループへのAC信号の各順次印加中に測定される。例えば、電極要素の第1の対にAC信号が印加されることが可能であり、印加中にインピーダンスが測定されることが可能であり、測定に続いて、AC信号は、停止されることが可能であり、コントローラ34からの制御信号がスイッチバンク1Lおよびスイッチ2Lの状態を変化させることができ、次いで、状態の変化に続いて、電極の第2の対にAC信号が印加されることが可能であり、インピーダンスが測定されることが可能である、などである。
【0084】
図4Cの実施形態におけるトランスデューサアレイ50L内の電極要素の各々に対応するインピーダンス測定値を取得するための1つの手法は、(a)スイッチ2Lを閉じ、バンク1L内のスイッチ1のみを閉じ、インピーダンス測定を行い、(b)スイッチ2Lを閉じられたままにし、バンク1L内のスイッチ1を開き、バンク1L内のスイッチ2を閉じ、次いで別のインピーダンス測定を行い、(c)トランスデューサアレイ50L内の電極要素の各々についてインピーダンス測定値が取得されるまで、バンク1L内のスイッチの各々を個別にステップ実行することによってこのプロセスを継続する。トランスデューサアレイ50R内の電極要素の各々に対応するインピーダンス測定値を取得するために、同様の手法が使用されることが可能である。各々の個別のインピーダンス測定(スイッチ設定の任意の所与のセットに対する)は、例えば、図4Aの実施形態について上記で説明したように行われ得る。アレイ50L、50R内の個々の要素の各々についてインピーダンス測定値が取得された後、それらのインピーダンス測定値は、例えば、それらの同じアレイ50L、50Rを使用して適用されるTTField治療を修正するために使用され得る。
【0085】
図4Cの実施形態は、1つのスイッチ2Lのみを描いているが、スイッチ2Lは、2つ、3つ、またはそれよりも多くの左電極要素52が逆極性を有するように、2つ、3つ、またはそれよりも多くのスイッチを含むことができる。スイッチ2Rおよび右電極要素52は、スイッチ2Lおよび左電極要素52と同様の方法で動作することができる。対応するスイッチおよびスイッチのバンク(図示せず)が、他のチャネル50A、50Pにも設けられ、同様の手法がそれらのチャネルでも同様に使用される。
【0086】
図5は、対象者の身体の片側に配置された電極要素を使用して対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出するための一例のフローチャートである。例えば、図3のトランスデューサおよび図4Bまたは図4Cのシステムは、図5のフローチャートを実装するために使用されることが可能である。
【0087】
ステップ502において、身体の側に電極要素が配置される。例えば、電極要素の各々が身体の同じ側の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように、少なくとも4つの電極要素が対象者の身体上に配置されることが可能である。いくつかの実施形態において、電極要素は、アレイ(例えば、図3のトランスデューサアレイ50)の一部である。
【0088】
ステップ504において、電極要素の対またはグループを選択する制御信号が発行される。例えば、コントローラ(例えば、図4Bおよび図4Cのコントローラ34)は、AC信号発生器から電極要素の選択された対またはグループへの導電経路が形成されるようにスイッチ(例えば、図4Bおよび図4Cのスイッチバンク1Lおよびスイッチ2L)を構成するための制御信号を発行することができる。
【0089】
ステップ506において、電極要素の選択された対またはグループにAC信号が印加される。印加されたAC信号は、電極要素の選択された対間または選択されたグループ間に電流を流す。ステップ508において、選択された対またはグループへのAC信号の印加中、AC信号に対するインピーダンスが測定され、記憶される。
【0090】
ステップ510において、さらなる測定が必要とされるかどうかが判定される。例えば、電極要素の対のセットからのすべての対がインピーダンス測定を行われたかどうか、電極要素のグループのセットからのすべてのグループがインピーダンス測定を行われたかどうか、電極要素の任意の追加の対もしくはグループが測定に適格であるかどうか、しきい値数のインピーダンス測定が行われたかどうか、または任意の他の適切な基準が判定され得る。さらなる測定が必要とされる場合、フローチャートは、ループに沿ってステップ512に進む。さらなる測定が必要とされない場合、フローチャートは、ループを出て、ステップ514に進む。
【0091】
ステップ512において、電極要素の新しい対またはグループを選択する制御信号が発行される。例えば、電極要素の対またはグループのセットは、セット内の各グループまたは対がインピーダンス測定のために選択されるまで、図5のフローチャートのループによって横断されることが可能である。ステップ512から、フローチャートは、ステップ506および508にループバックし、そこで、AC信号は、電極要素の新しい対またはグループに印加され、この印加中、インピーダンス測定が行われ、記憶される。
【0092】
図5のフローチャートは、ステップ510においてさらなる測定が必要とされなくなるまで、ステップ506、508、510、および512を通ってループする。このループ遮断条件が達成されると、フローチャートは、ステップ514に進み、そこで、記憶されたインピーダンスがインピーダンス基準と比較される。例えば、インピーダンス基準は、値の範囲またはしきい値であることが可能であり、記憶されたインピーダンス値は、このしきい値または範囲と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、インピーダンス基準は、複数の対象者について経時的に測定された履歴値、または個々の対象者について経時的に測定された履歴値などの、以前に記憶されたインピーダンス値を含むことができる。例えば、これらの履歴値に基づいて測定基準が計算されることが可能である。測定および記憶されたインピーダンス値は、これらの履歴値、または履歴値に基づいて計算された測定基準と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、比較することは、測定されたインピーダンスを定数と比較することを含む。
【0093】
ステップ516において、比較に基づいて皮膚の領域の状態が決定される。例えば、記憶されたインピーダンス値が基準の許容範囲内にある場合、または基準のしきい値を満たす場合、皮膚の領域は、第1の状態にあり、記憶されたインピーダンス値が基準の許容範囲外にある場合、または基準のしきい値を満たさない(例えば、基準を上回るかまたは下回る)場合、皮膚の領域は、第2の状態にあると決定されることが可能である。別の実施形態において、記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタ以下である場合、皮膚の領域は、第1の状態にあり、記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタを超える場合、皮膚の領域は、第2の状態にあると決定されることが可能である。これらの例において、第1の状態は、一般に健康な皮膚を示すことができ、第2の状態は、損傷した皮膚を示すことができる。
【0094】
オプションで、皮膚の領域の状態が基準を満たす場合、方法は、ステップ518で継続することができ、そこで、電極要素は、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される。例えば、インピーダンスの比較が、皮膚の領域が第1の状態にあることを示す場合、基準は、満たされ、(例えば、対象者にTTFieldを投与するために)対象者の身体を通る電場を誘導するために、電極要素に第2のAC信号(例えば、100kHzと500kHzとの間の周波数を有する)が印加される。
【0095】
いくつかの実施形態において、皮膚の領域の決定された状態に基づいて、TTFieldの印加は、調整されることが可能である。例えば、損傷した皮膚に配置された任意の所与の電極要素における電流は、TTFieldを印加するときに低減されることが可能であり、またはTTField治療は、損傷した皮膚が治癒することができるように、一定期間一時停止されることが可能である。TTField治療の他の適切な特性は、皮膚の領域の決定された状態に基づいて調整されることが可能である。
【0096】
図6は、身体の片側に配置された電極要素を使用して電極要素の完全性を検出するための一例のフローチャートである。例えば、図3のトランスデューサおよび図4Bまたは図4Cのシステムは、図6のフローチャートを実装するために使用されることが可能である。
【0097】
ステップ602において、身体の側に電極要素が配置される。例えば、少なくとも4つの電極要素が身体上に配置されることが可能である。いくつかの実施形態において、電極要素は、アレイ(例えば、図3のトランスデューサアレイ50)の一部である。
【0098】
ステップ604において、電極要素の対またはグループを選択する制御信号が発行される。例えば、コントローラ(例えば、図4Bおよび図4Cのコントローラ34)は、AC信号発生器から電極要素の選択された対またはグループへの導電経路が形成されるようにスイッチ(例えば、図4Bおよび図4Cのスイッチバンク1Lおよびスイッチ2L)を構成するための制御信号を発行する。
【0099】
ステップ606において、電極要素の選択された対またはグループにAC信号が印加される。印加されたAC信号は、電極要素の選択された対間または選択されたグループ間に電流を流す。ステップ608において、選択された対またはグループへのAC信号の印加中、AC信号に対するインピーダンスが測定され、記憶される。
【0100】
ステップ610において、さらなる測定が必要とされるかどうかが判定される。例えば、電極要素の対のセットからのすべての対がインピーダンス測定を行われたかどうか、電極要素のグループのセットからのすべてのグループがインピーダンス測定を行われたかどうか、電極要素の任意の追加の対もしくはグループが測定に適格であるかどうか、しきい値数のインピーダンス測定が行われたかどうか、または任意の他の適切な基準が判定され得る。さらなる測定が必要とされる場合、フローチャートは、ループに沿ってステップ612に進む。さらなる測定が必要とされない場合、フローチャートは、ループを出て、ステップ614に進む。
【0101】
ステップ612において、電極要素の新しい対またはグループを選択する制御信号が発行される。例えば、電極要素の対またはグループのセットは、セット内の各グループまたは対がインピーダンス測定のために選択されるまで、図6のフローチャートのループによって横断されることが可能である。ステップ612から、フローチャートは、ステップ606および608にループバックし、そこで、AC信号は、電極要素の新しい対またはグループに印加され、この印加中、インピーダンス測定が行われ、記憶される。
【0102】
図6のフローチャートは、ステップ610においてさらなる測定が必要とされなくなるまで、ステップ606、608、610、および612を通ってループする。このループ遮断条件が達成されると、フローチャートは、ステップ614に進み、そこで、記憶されたインピーダンスとインピーダンス基準との比較に基づいて、電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態が決定される。例えば、インピーダンス基準は、値の範囲またはしきい値であることが可能であり、記憶されたインピーダンス値は、このしきい値または範囲と比較されることが可能である。記憶されたインピーダンス値は、測定が行われたときに選択された(例えば、オンに切り替えられた)個々の電極要素に関連付けられることが可能である。これらの個々の電極要素の状態は、それらの関連付けられたインピーダンス値をインピーダンス基準と比較することによって決定されることが可能である。いくつかの実施形態において、インピーダンスは、値の範囲もしくはしきい値、以前に記憶されたインピーダンス値(例えば、複数の電極要素について経時的に測定された履歴値、または個々の電極要素について経時的に測定された履歴値)、またはこれらの履歴値に基づいて計算された測定基準と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、比較することは、測定されたインピーダンスを定数と比較することを含む。
【0103】
ステップ616において、比較に基づいて電極要素の領域の状態が決定される。例えば、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値がインピーダンス基準の許容範囲内にある場合、またはインピーダンス基準のしきい値を満たす場合、所与の電極要素は、第1の状態にあり、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値がインピーダンス基準の許容範囲外にある場合、またはインピーダンス基準のしきい値を満たさない(例えば、基準を上回るかまたは下回る)場合、所与の電極要素は、第2の状態にあると決定されることが可能である。別の実施形態において、所与の電極に関連付けられた記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタ以下である場合、所与の電極要素は、第1の状態にあり、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値を超える場合、所与の電極要素は、第2の状態にあると決定されることが可能である。
【0104】
これらの例において、第1の状態は、所与の電極要素の動作可能な状態を示すことができ、一方、第2の状態は、所与の電極要素の欠陥のある状態を示すことができる。オプションで、1つまたは複数の電極要素の状態が基準を満たす場合、方法は、ステップ618で継続することができ、そこで、電極要素は、身体を通る電場を誘導するために使用される。例えば、インピーダンスの比較が、1つまたは複数の電極要素が第1の状態にあることを示す場合、基準は、満たされ、(例えば、身体にTTFieldを投与するために)身体を通る電場を誘導するために、電極要素に第2のAC信号(例えば、100kHzと500kHzとの間の周波数を有する)が印加される。電極要素の決定された状態に基づいて、TTFieldの印加は、調整されることが可能である。例えば、1つまたは複数の電極要素は、これらの電極要素がTTFieldの印加に関与しないように、オフに切り替えられることが可能である。TTField治療の他の適切な特性は、電極要素の決定された状態に基づいて調整されることが可能である。
【0105】
図7は、対象者の身体の両側に配置された電極要素を使用して対象者の身体の皮膚の領域の状態を検出するための一例のフローチャートである。例えば、図3のトランスデューサおよび図4Aのシステムは、図7のフローチャートを実装するために使用されることが可能である。
【0106】
ステップ702において、身体の両側に電極要素が配置される。例えば、対象者の身体の第1の側に少なくとも4つの第1の電極要素が配置され、対象者の身体の第2の側に少なくとも4つの第2の電極要素が配置される。第1の電極要素は、第1の電極要素の各々が身体上の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように配置される。いくつかの実施形態において、第1の電極要素は、アレイ(例えば、図3のトランスデューサアレイ50)の一部である。いくつかの実施形態において、第2の電極要素も、アレイの一部である。
【0107】
ステップ704において、第1および第2の電極要素のサブセットを選択する制御信号が発行される。例えば、コントローラ(例えば、図4Aのコントローラ34)は、AC信号発生器から電極要素の選択された対またはグループへの導電経路が形成されるようにスイッチ(例えば、図4Aのスイッチバンク1Lおよび1R)を構成するための制御信号を発行する。実施形態において、サブセットは、第1の電極要素のうちの1つまたは複数と、第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを含む。
【0108】
ステップ706において、電極要素の選択されたサブセットに低周波AC信号が印加される。例えば、AC信号は、20kHz未満の周波数を有することができる。印加されたAC信号は、電極要素の選択されたサブセットを含む第1の電極要素および第2の電極要素によって、対象者の身体を通して電場を誘導させる。ステップ708において、選択されたサブセットへのAC信号の印加中、インピーダンスが測定され、記憶される。
【0109】
ステップ710において、さらなる測定が必要とされるかどうかが判定される。例えば、電極要素のサブセット(例えば、対)のセットからのすべてのサブセット(対)がインピーダンス測定を行われたかどうか、第1の電極要素および第2の電極要素の任意の追加のサブセットが測定に適格であるかどうか、しきい値数のインピーダンス測定が行われたかどうか、または任意の他の適切な基準が判定され得る。さらなる測定が必要とされる場合、フローチャートは、ループに沿ってステップ712に進む。さらなる測定が必要とされない場合、フローチャートは、ループを出て、ステップ714に進む。
【0110】
ステップ712において、電極要素の新しいサブセットを選択する制御信号が発行される。例えば、各々が少なくとも1つの第1の電極要素と少なくとも1つの第2の電極要素とを含む電極要素サブセットのセットは、セット内の各サブセットがインピーダンス測定のために選択されるまで、図7のフローチャートのループによって横断されることが可能である。ステップ712から、フローチャートは、ステップ706および708にループバックし、そこで、AC信号は、電極要素の新しいサブセットに印加され、この印加中、インピーダンス測定が行われ、記憶される。
【0111】
図7のフローチャートは、ステップ710においてさらなる測定が必要とされなくなるまで、ステップ706、708、710、および712を通ってループする。このループ遮断条件が達成されると、フローチャートは、ステップ714に進み、そこで、記憶されたインピーダンスとインピーダンス基準との比較に基づいて、皮膚の領域の状態が決定される。例えば、インピーダンス基準は、値の範囲またはしきい値であることが可能であり、記憶されたインピーダンス値は、このしきい値または範囲と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、インピーダンス基準は、複数の対象者について経時的に測定された履歴値、または個々の対象者について経時的に測定された履歴値などの、以前に記憶されたインピーダンス値を含むことができる。例えば、これらの履歴値に基づいて測定基準が計算されることが可能である。測定および記憶されたインピーダンス値は、これらの履歴値、または履歴値に基づいて計算された測定基準と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、比較することは、測定されたインピーダンスを定数と比較することを含む。
【0112】
ステップ716において、比較に基づいて皮膚の領域の状態が決定される。例えば、記憶されたインピーダンス値が基準の許容範囲内にある場合、または基準のしきい値を満たす場合、皮膚の領域は、第1の状態にあり、記憶されたインピーダンス値が基準の許容範囲外にある場合、または基準のしきい値を満たさない(例えば、基準を上回るかまたは下回る)場合、皮膚の領域は、第2の状態にあると決定されることが可能である。別の実施形態において、記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタ以下である場合、皮膚の領域は、第1の状態にあり、記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値を超える場合、皮膚の領域は、第2の状態にあると決定されることが可能である。
【0113】
これらの例において、第1の状態は、一般に健康な皮膚を示すことができ、第2の状態は、損傷した皮膚を示すことができる。オプションで、皮膚の領域の状態が基準を満たす場合、方法は、ステップ718で継続することができ、そこで、第1の電極要素の大部分が、対象者の身体を通る電場を誘導するために使用される。例えば、インピーダンスの比較が、皮膚の領域が第1の状態にあることを示す場合、基準は、満たされ、(例えば、対象者にTTFieldを投与するために)対象者の身体を通る電場を誘導するために、第1の電極要素の大部分および第2の電極要素の大部分に第2のAC信号が印加される。例えば、第2のAC信号は、100kHzと500kHzとの間の周波数を有することができる。
【0114】
皮膚の領域の決定された状態に基づいて、TTFieldの印加は、調整されることが可能である。例えば、損傷した皮膚に配置された任意の所与の電極要素における電流は、TTFieldを印加するときに低減されることが可能であり、またはTTField治療は、損傷した皮膚が治癒することができるように、一定期間一時停止されることが可能である。TTField治療の他の適切な特性は、皮膚の領域の決定された状態に基づいて調整されることが可能である。
【0115】
図8は、身体の両側に配置された電極要素を使用して電極要素の完全性を検出するための一例のフローチャートである。例えば、図3のトランスデューサの2つまたは4つのコピーおよび図4Aのシステムは、図8のフローチャートを実装するために使用されることが可能である。
【0116】
ステップ802において、身体の両側に電極要素が配置される。例えば、少なくとも4つの第1の電極要素が身体の第1の側に配置されることが可能であり、少なくとも4つの第2の電極要素が身体の第2の側に配置されることが可能である。第1の電極要素は、第1の電極要素の各々が身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように配置される。同様に、第2の電極要素は、第2の電極要素の各々が身体の皮膚のそれぞれの領域に結合されるように配置される。いくつかの実施形態において、第1の電極要素は、アレイ(例えば、図3のトランスデューサアレイ50)の一部であり、いくつかの実施形態において、第2の電極要素も、アレイの一部である。
【0117】
ステップ804において、第1および第2の電極要素のサブセットを選択する制御信号が発行される。例えば、コントローラ(例えば、図4Aのコントローラ34)は、AC信号発生器から電極要素の選択された対またはグループへの導電経路が形成されるようにスイッチ(例えば、図4Aのスイッチバンク1Lおよび1R)を構成するための制御信号を発行する。実施形態において、サブセットは、第1の電極要素のうちの1つまたは複数と、第2の電極要素のうちの1つまたは複数とを含む。
【0118】
ステップ806において、電極要素の選択されたサブセット(例えば、対)に低周波AC信号が印加される。例えば、AC信号は、20kHz未満の周波数を有することができる。印加されたAC信号は、電極要素の選択されたサブセットを含む第1の電極要素および第2の電極要素によって身体を通して電場を誘導させる。ステップ808において、選択されたサブセット(対)へのAC信号の印加中、インピーダンスが測定され、記憶される。
【0119】
ステップ810において、さらなる測定が必要とされるかどうかが判定される。例えば、電極要素のサブセットのセットからのすべてのサブセットがインピーダンス測定を行われたかどうか、第1の電極要素および第2の電極要素の任意の追加のサブセットが測定に適格であるかどうか、しきい値数のインピーダンス測定が行われたかどうか、または任意の他の適切な基準が判定され得る。さらなる測定が必要とされる場合、フローチャートは、ループに沿ってステップ812に進む。さらなる測定が必要とされない場合、フローチャートは、ループを出て、ステップ814に進む。
【0120】
ステップ812において、電極要素の新しいサブセットを選択する制御信号が発行される。例えば、各々が少なくとも1つの第1の電極要素と少なくとも1つの第2の電極要素とを含む電極要素サブセットのセットは、セット内の各サブセットがインピーダンス測定のために選択されるまで、図8のフローチャートのループによって横断されることが可能である。ステップ812から、フローチャートは、ステップ806および808にループバックし、そこで、AC信号は、電極要素の新しいサブセットに印加され、この印加中、インピーダンス測定が行われ、記憶される。
【0121】
図8のフローチャートは、ステップ810においてさらなる測定が必要とされなくなるまで、ステップ806、808、810、および812を通ってループする。このループ遮断条件が達成されると、フローチャートは、ステップ814に進み、そこで、記憶されたインピーダンスとインピーダンス基準との比較に基づいて、電極要素のうちの1つまたは複数の電極要素の状態が決定される。例えば、インピーダンス基準は、値の範囲またはしきい値であることが可能であり、記憶されたインピーダンス値は、このしきい値または範囲と比較されることが可能である。記憶されたインピーダンス値は、測定が行われたときに選択された(例えば、オンに切り替えられた)個々の電極要素に関連付けられることが可能である。これらの個々の電極要素の状態は、それらの関連付けられたインピーダンス値をインピーダンス基準と比較することによって決定されることが可能である。いくつかの実施形態において、インピーダンスは、以前に記憶されたインピーダンス値(例えば、複数の電極要素について経時的に測定された履歴値、または個々の電極要素について経時的に測定された履歴値)、またはこれらの履歴値に基づいて計算された測定基準と比較されることが可能である。いくつかの実施形態において、比較することは、測定されたインピーダンスを定数と比較することを含む。
【0122】
ステップ816において、比較に基づいて電極要素の領域の状態が決定される。例えば、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値がインピーダンス基準の許容範囲内にある場合、またはインピーダンス基準のしきい値を満たす場合、所与の電極要素は、第1の状態にあり、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値がインピーダンス基準の許容範囲外にある場合、またはインピーダンス基準のしきい値を満たさない(例えば、基準を上回るかまたは下回る)場合、所与の電極要素は、第2の状態にあると決定されることが可能である。別の実施形態において、所与の電極に関連付けられた記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタ以下である場合、所与の電極要素は、第1の状態にあり、所与の電極要素に関連付けられた記憶されたインピーダンス値と履歴インピーダンス値または履歴インピーダンス値に基づく測定基準との間のデルタがしきい値デルタを超える場合、所与の電極要素は、第2の状態にあると決定されることが可能である。
【0123】
これらの例において、第1の状態は、所与の電極要素の動作可能な状態を示すことができ、一方、第2の状態は、所与の電極要素の欠陥のある状態を示すことができる。オプションで、1つまたは複数の電極要素の状態が基準を満たす場合、方法は、ステップ818で継続することができ、そこで、電極要素の大部分が、身体を通る電場を誘導するために使用される。例えば、インピーダンスの比較が、1つまたは複数の電極要素(例えば、電極要素の大部分)が第1の状態にあることを示す場合、基準は、満たされ、(例えば、身体にTTFieldを投与するために)身体を通る電場を誘導するために、第1の電極要素の大部分および第2の電極要素の大部分に第2のAC信号が印加される。例えば、第2のAC信号は、100kHzと500kHzとの間の周波数を有する。
【0124】
電極要素の決定された状態に基づいて、TTFieldの印加は、調整されることが可能である。例えば、1つまたは複数の電極要素は、これらの電極要素がTTFieldの印加に関与しないように、オフに切り替えられることが可能である。TTField治療の他の適切な特性は、電極要素の決定された状態に基づいて調整されることが可能である。
【0125】
いくつかの実施形態において、決定された電極状態および/または決定された皮膚の領域の状態に基づいて、コントローラ34は、TTFieldを使用する治療中に、対応する電極要素52(E1~E4)の各々への電流(AC電圧発生器35に由来する)をオンまたはオフにするようにバンク1L内のスイッチを制御する。例えば、電極要素52の4つすべてについて電流をオンのままにするために、バンク1L内のスイッチの4つすべてが閉じられる必要がある。電極要素E1に到達する電流を遮断するために、バンク1L内のスイッチ1が開かれる必要があり、電極要素E2に到達する電流を遮断するために、バンク1L内のスイッチ2が開かれる必要がある、などである。
【0126】
電極状態に基づいて個々の電極要素を通ってルーティングされる電流を制御することは、人の身体に結合される平均電流の減少を低減または排除するために使用されることが可能である。これは、次に、腫瘍における電場の強度の低下を有利に低減または排除することができる。例えば、コントローラ34は、残りの電極要素を通過する電流に影響を与えることなく、TTField治療中、個々の電極要素に対する電流をオンおよびオフに交互に切り替えるようにプログラムされることが可能である。いくつかの実施形態において、コントローラ34は、TTField治療中、単一の電極要素を通る電流の減少を補償するために、残りの電極要素を通る電流を増加させるように構成され得る。
【0127】
欠陥のある電極を含むすべてのインピーダンス測定値は、同様にインピーダンス基準のしきい値の外側にあるものとして登録され、アレイを再配置することが、許容できないインピーダンス測定値を修正しないので、欠陥のある電極(電極要素の誘電体層における欠陥、または電極要素の下のハイドロゲルが乾燥した場合など)によるトランスデューサアレイに関する不適当なセットアップを、皮膚の欠陥に対して区別することができる。一方、皮膚は、すべての場所において欠陥があるわけではなく、または少なくとも不定に欠陥があるので、皮膚の欠陥によるトランスデューサアレイに関する不適当なセットアップは、特にアレイが異なる位置に再配置された場合、ばらつきを示す可能性が高くなる。
【0128】
図9は、上記で説明した図4A図4Cの実施形態におけるスイッチの各々、ならびに前部チャネルおよび後部チャネル(図示せず)のための対応するスイッチまたはスイッチバンクを実装するのに適した回路の概略図である。回路は、直列に配線された2つの電界効果トランジスタ66、67を含み、どちらの方向にも電流を流すことができる構成である。この回路に適したFETの一例は、BSC320N20NSEである。(図9に描かれているダイオードは、本質的にFET66、67自体の中に含まれることに留意されたい。)2つのFET66、67の直列結合は、上記で説明したコントローラ34のデジタル出力のうちの1つから到着する制御入力の状態に応じて、電気の流れを導通または遮断する。直列結合が導通しているとき、電流は、共有導体とそれぞれの電極要素52との間に流れることができる。一方、FET66、67の直列結合が導通していないとき、電流は、共有導体とそれぞれの電極要素52との間に流れない。
【0129】
上記で説明した実施形態において、支持構造59は、電極要素52の誘電体層が対象者の身体に面し、対象者の身体と接触して配置されることが可能であるように、電極要素52を対象者の身体に対して保持するように構成される。しかし、代替実施形態において、各電極要素の誘電体層は、省略され、その場合、支持構造59は、対象者の身体に対して電極要素52を保持するので、電極要素52の導電性表面は、対象者の身体に面し、対象者の身体と接触して配置されることが可能である。オプションで、これらの実施形態において、トランスデューサアレイ50が対象者の身体に対して配置されるとき、電極要素52の導電性表面と対象者の身体との間に、ハイドロゲルまたは導電性接着剤の層が配置され得る。
【0130】
特許請求の範囲を含む、本開示の任意の見出しの下でまたは任意の部分において例示する実施形態は、本明細書で別段に指示しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本開示の同じもしくは任意の他の見出しまたは他の部分の下で例示した実施形態と組み合わされ得る。
【0131】
本発明は、特定の実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲において定義されるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、説明されている実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明されている実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲およびその均等物の文言によって定義される全範囲を有することが意図される。
【符号の説明】
【0132】
20 AC信号発生器
21 トランスデューサアレイ、アレイ
22 トランスデューサアレイ、アレイ
23 トランスデューサアレイ、アレイ
24 トランスデューサアレイ、アレイ
30 「CADボックス」
34 コントローラ
35 AC電圧発生器、AC発生器
50 トランスデューサアレイ、トランスデューサ
50L トランスデューサアレイ、アレイ、トランスデューサ
50R トランスデューサアレイ、アレイ
52 電極要素、左電極要素、右電極要素
54 サーミスタ
55 「ワイヤルーティング」ブロック
56 ケーブル
57 導体、コネクタ
59 支持構造、可撓性裏打ち
66 電界効果トランジスタ、FET
67 電界効果トランジスタ、FET
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】