(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】飲料およびパーソナルケア用途のためのフレーバーナノエマルジョン
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240628BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240628BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20240628BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A23L27/00 101Z
A23L2/00 B
A23L2/56
C12G3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579849
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022064969
(87)【国際公開番号】W WO2023274654
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/102609
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チウ-ミン マ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンハオ リー
【テーマコード(参考)】
4B047
4B115
4B117
【Fターム(参考)】
4B047LB02
4B047LB09
4B047LE03
4B047LF07
4B047LG08
4B047LG12
4B047LP03
4B115MA03
4B117LC03
4B117LC09
4B117LC15
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK16
4B117LL01
(57)【要約】
本発明は、フレーバーナノエマルジョンであって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む界面活性剤系と、フレーバーオイルを含む非極性相と、極性相とを含む、フレーバーナノエマルジョンに関する。本発明は、さらに、本発明によるフレーバーナノエマルジョンを含むフレーバー入り飲料に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む界面活性剤系と、
- フレーバーオイルを含む非極性相と、
- 極性相と
を含む、フレーバーナノエマルジョン。
【請求項2】
前記界面活性剤系が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)とからなる、請求項1記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項3】
前記ナノエマルジョン中の油滴の強度加重平均流体力学径(Z平均値)が、50~150nm、好ましくは70~120nmである、請求項1または2記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル対前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)の質量比が、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10である、請求項1から3までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項5】
前記ナノエマルジョンが、前記ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~20重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは4~9重量%の量で前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項6】
前記ナノエマルジョンが、前記ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~10重量%、好ましくは1~6重量%の量で前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項7】
前記ナノエマルジョンが、前記ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~30重量%、好ましくは17~25重量%、より好ましくは20重量%の量で前記フレーバーオイルを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項8】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)が8未満のHLB値を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項9】
前記極性相が、水および/または1種以上の極性非水性溶剤を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項10】
前記ナノエマルジョンが、前記ナノエマルジョンの総重量を基準として50~80重量%、好ましくは65~70重量%、より好ましくは68重量%の量で水を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項11】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択され、好ましくは、前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエートおよび/またはポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノステアレートである、請求項1から10までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項12】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが2~10のグリセリン単位の重合度を有する、かつ/またはポリグリセリンエステル中の脂肪酸が12~18の炭素数を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョン。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のフレーバーナノエマルジョンを含むフレーバー入り飲料。
【請求項14】
前記飲料が酸性飲料および/またはアルコール飲料である、請求項13記載のフレーバー入り飲料。
【請求項15】
前記飲料が4未満、好ましくは3未満のpH値を有し、より好ましくは、前記飲料が2.8のpH値を有する、請求項14記載の酸性飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月28日に出願された国際特許出願第PCT/CN2021/102609号および2021年7月30日に出願された欧州特許出願第21188644.5号に基づく優先権の利益を主張し、これらの出願の内容は全て参照により本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本発明は、フレーバーナノエマルジョンであって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む界面活性剤系と、フレーバーオイルを含む非極性相と、極性相とを含む、フレーバーナノエマルジョンに関する。本発明は、さらに、本発明によるフレーバーナノエマルジョンを含むフレーバー入り飲料に関する。
【0003】
発明の背景
飲料用途では、フレーバー組成物が所望される。
【0004】
フレーバー組成物は、極性相と、油相と、界面活性剤系とを含むエマルジョンの形態であることが多い。水相は、典型的には、水および/または1種以上の極性共溶剤と更なる成分とを含む。油相は、典型的には水相内に分散され、それにより水中油型エマルジョンを形成する。分散された油相は、典型的にはフレーバーオイルを含み、任意選択的には更なる親油性成分も含む。
【0005】
そのようなフレーバーエマルジョンは、様々な要件を満たさなければならない。まず、それらは、濃縮形態と希釈形態、すなわち飲料品またはパーソナルケア製品との両方において、広範囲の温度および保管条件にわたって一定の安定性を示す必要がある。さらに、フレーバー組成物は、希釈後、すなわち飲料において外観が透明である必要がある。
【0006】
さらに、汎用性の高い適用性のために、フレーバーエマルジョンは、酸性のpHレベルを示す飲料およびアルコール飲料中でも安定である必要がある。しかしながら、多くの既知のフレーバーエマルジョンは、例えば使用される界面活性剤系が酸性条件下でまたはエタノールの存在下で安定でないと考えられるため、酸性飲料および/またはアルコール飲料中でほとんど安定ではない。
【0007】
飲料用途で有用であるためには、フレーバーエマルジョンは、安定性または外観に関していかなる欠点も示さずに、十分に多量のフレーバーオイルを保持できる必要もある。飲料にフレーバーを効果的に付与するためには、フレーバーエマルジョン中に一定の割合のフレーバーオイルが必要とされる。
【0008】
フレーバーエマルジョンは、マイクロエマルジョンの形態またはナノエマルジョンの形態であってよい。マイクロエマルジョンを生成するために必要なエネルギー入力は少なく、ナノエマルジョンと比較して、マイクロエマルジョンでは、より多くのオイル保持が可能であることが多いものの、フレーバーマイクロエマルジョンの主な欠点は、マイクロエマルジョンが典型的には組成の変化の影響を非常に受けやすいこと、すなわちフレーバーマイクロエマルジョンに一体化されるフレーバーオイルの個々のタイプごとにマイクロエマルジョンの配合を調整する必要があることが多いことである。このことは面倒であるのみならず、工業スケールでの製造にとって大きな課題でもある。したがって、フレーバーエマルジョンの配合が、使用される個々のフレーバーオイルにあまり依存しないか、さらには全く依存しないフレーバーエマルジョンが所望され、これは工業スケールでの製造に特に有用であるはずである。
【0009】
さらに、マイクロエマルジョンでは、大量の水溶性および親水性の界面活性剤が必要とされることが多く、そのため、そのようなマイクロエマルジョンを利用する飲料製造中に泡立ちの問題が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、上述した利点を得るための解決手段、および公知のフレーバーエマルジョンに関連する上述した欠点を克服するための解決手段を提供する。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、フレーバーナノエマルジョンであって、
- ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む界面活性剤系と、
- フレーバーオイルを含む非極性相と、
- 極性相と
を含む、フレーバーナノエマルジョンに関する。
【0012】
エマルジョンは、異なる極性(疎水性対親水性)のため混和しない2つの液体の混合物である。エマルジョンでは、ある液体(分散相または内相)が別の液体(外相または連続相)に分散している。したがって、非極性相が極性相内に分散していてもよいし、極性相が非極性相内に分散していてもよい。
【0013】
特定の実施形態では、非極性相が極性相内に分散される。別の特定の実施形態では、極性相が非極性相内に分散される。好ましくは、非極性相が極性相内に分散される。
【0014】
3つの異なる相を有する、水中油中水型(WOW)エマルジョンおよびその逆の油中水中油型(OWO)エマルジョンなどのダブルエマルジョンが知られている。WOW型に関しては、3つの異なる相は、連続極性相に取り囲まれた非極性相中に分散された極性相の液滴からなる。そのようなエマルジョンは、本開示では想定されていない。したがって、本開示のエマルジョンはダブルエマルジョンではない。すなわち、本開示のエマルジョンは、水中油中水型(WOW)エマルジョンでも油中水中油型(OWO)エマルジョンでもない。一実施形態では、非極性相が極性相内に分散されており、非極性相は極性相を含まない。別の実施形態では、極性相が非極性相内に分散されており、極性相は非極性相を含まない。典型的には、非極性相が極性相内に分散されており、非極性相は極性相を含まない。
【0015】
本発明によれば、エマルジョンはナノエマルジョンである。マイクロエマルジョンとは対照的に、ナノエマルジョンは、通常、大きな液滴を小さな液滴へと砕く高圧均質化などの高エネルギー入力によって調製される。
【0016】
特定の実施形態では、ナノエマルジョン中の油滴の強度加重平均流体力学径(Z平均値)は、50~150nm、好ましくは70~120nmである。液滴のサイズは、例えばZetasizer nano ZS(Malvern Instruments Limited, Worcs, UK)を用いて測定することができる。
【0017】
本発明によるフレーバーナノエマルジョンは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む界面活性剤系を含む。
【0018】
特定の実施形態では、界面活性剤系は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)とからなる。
【0019】
界面活性剤系は、少なくとも一定期間安定なナノエマルジョンを得るために必要である。界面活性剤(乳化剤)は両親媒性の特性を示し、これは、これらが疎水性部位と親水性部位との両方を含むことを意味する。これらの構造特性に基づいて、界面活性剤は表面活性を有するため、極性相と非極性相との間の界面張力を低下させ、その結果、エマルジョンを安定させることができる。
【0020】
本発明による組成物は、特に界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む。
【0021】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、典型的には、エチレンオキシドとソルビタン脂肪酸エステルとの反応によって得られる非イオン性界面活性剤である。
【0022】
特定の実施形態では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される。好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエートおよび/またはポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノステアレートである。
【0023】
特定の実施形態では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、10~20、好ましくは13~17のHLB(親水性-親油性バランス)値を有する。
【0024】
特定の実施形態では、ナノエマルジョンは、ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~20重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは4~9重量%の量でポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む。
【0025】
本発明によれば、界面活性剤系は、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)をさらに含む。
【0026】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、2~10のグリセリン単位の重合度を有する。好ましくは、重合度は3~6である。
【0027】
特定の実施形態では、ポリグリセリンエステル中の脂肪酸は、12~18の炭素数を有する。好ましくは、炭素数は16~18であり、より好ましくは、炭素数は18である。
【0028】
特定の実施形態では、ポリグリセリンエステル中の脂肪酸は飽和脂肪酸である。好ましくは、飽和脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される。より好ましくは、脂肪酸はステアリン酸である。
【0029】
特定の実施形態では、ポリグリセリンエステル中の脂肪酸は不飽和脂肪酸である。好ましくは、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸からなる群から選択される。より好ましくは、不飽和脂肪酸はオレイン酸である。
【0030】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)は、モノステアリン酸トリグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、およびモノオレイン酸テトラグリセリル、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0031】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)は、3~10、好ましくは4~8のHLB値を有し、より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)は、4.5~7.5のHLB値を有する。
【0032】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)は8未満のHLB値を有する。
【0033】
特定の実施形態では、ナノエマルジョンは、ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~10重量%、好ましくは1~6重量%の量でポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を含む。
【0034】
特定の実施形態では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル対ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)の質量比は、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10である。
【0035】
本発明によるナノエマルジョンは、フレーバーオイルを含む非極性相をさらに含む。
【0036】
「非極性相」とは、本発明によるナノエマルジョン中の疎水性化合物の合計量であると理解されるべきである。
【0037】
特定の実施形態では、非極性相は、油溶性医薬成分、油溶性栄養補助食品成分(例えば油溶性ビタミン)、油溶性着色剤、油溶性抗菌成分、油溶性消泡剤、口当たり調節剤、味覚調節剤、およびそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の他の有効成分をさらに含み得る。有用な味覚調節剤としては、酸マスキング剤、ビールホップ、清涼化剤、辛味物質、甘味増強剤、塩味増強剤、唾液分泌誘発物質、温感またはヒリヒリ感を引き起こす物質、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。例示的な口当たり調節剤は、ココナッツオイル、砂糖を含むまたは含まないココナッツミルク、バニリン、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせである。清涼化化合物は、2-(4-エチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミド、WS-23(2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド)、FEMA3804;WS-3(N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド)、FEMA3455;WS-5[エチル3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート]、FEMA4309;WS-12(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、FEMA4681;WS-27(N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド)、FEMA4557;N-シクロプロピル-5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド、FEMA4693、WS-116(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド)、N-(1,1-ジメチル-2)-ヒドロキシエチル)2,2-ジエチルブタンアミド、FEMA4603、メントキシエタノール、FEMA4154、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、FEMA4496;N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)-3-p-メンタンカルボキサミド、FEMA4549;N-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロピル-2,3-ジメチルブタンアミド、FEMA4602および(N-(4-(カルバモイルメチル)フェニル)-メンチルカルボキサミド、FEMA4684;(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド(WS-12)、FEMA4681;(2S,5R)-N-[4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル]-p-メンタンカルボキサミド、FEMA4684;およびN-シクロプロピル-5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキサンカルボンカルボキサミド、FEMA4693;2-[(2-p-メントキシ)エトキシ]エタノール、FEMA4718;(2,6-ジエチル-5-イソプロピル-2-メチルテトラヒドロピラン、FEMA4680);トランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノール、FEMA4724;2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド、FEMA4809;メントングリセリンケタール、FEMA3807;メントングリセリンケタール、FEMA3748;(-)-メントキシプロパン-1,2-ジオール;3-(1-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、FEMA3849;イソプレゴール;(+)-シス&(-)-トランスp-メンタン-3,8-ジオール(比率約62:38)、FEMA4053;2,3-ジヒドロキシ-p-メンタン;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノングリセリンケタール;メンチルピロリドンカルボキシレート;(1R,3R,4S)-3-メンチル-3,6-ジオキサヘプタノエート;(1R,2S,5R)-3-メンチルメトキシアセテート;(1R,2S,5R)-3-メンチル3,6,9-トリオキサデカノエート;(1R,2S,5R)-3-メンチル3.6,9-トリオキサデカノエート;(1R,2S,5R)-3-メンチル(2-ヒドロキシエトキシ)アセテート;(1R,2S,5R)-メンチル11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデカノエート;Cubebol、FEMA4497;N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド、FEMA4496;2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル4-(ジメチルアミノ)-4-オキソブタノエート、FEMA4230;N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド、FEMA4496;N-(2-ピリジン-2-イルエチル)p-;メンタンカルボキサミド、FEMA4549、乳酸メンチル、FEMA3748;6-イソプロピル-3,9-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-2-オン、FEMA4285;N-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-3-p-メンタンカルボキサミド;N-(1-イソプロピル-1,2-ジメチルプロピル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド;N-(R)-2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル-(1R,2S,5R)-p-メンタン-3-カルボキサミド;2,2,5,6,6-ペンタメチル-2,3,6,6a-テトラヒドロペンタレン-3a(1H)-オールと5-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3,4,4-トリメチルシクロペント-2-エン-1-オンとの混合物;(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、FEMA4549;(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-4-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド;N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド、FEMA4496;(1S,2S,5R)-N-(4-(シアノメチル)フェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド;1/7-イソプロピル-4/5-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン誘導体;4-メトキシ-N-フェニル-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]ベンズアミド;4-メトキシ-N-フェニル-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]ベンゼンスルホンアミド;4-クロロ-N-フェニル-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]ベンゼンスルホンアミド;4-シアノ-N-フェニル-N-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]ベンゼンスルホンアミド;4-((ベンズヒドリルアミノ)メチル)-2-メトキシフェノール;4-((ビス(4-メトキシフェニル)-メチルアミノ)-メチル)-2-メトキシフェノール;4-((1,2-ジフェニルエチルアミノ)メチル)-2-メトキシフェノール;4-((ベンズヒドリルオキシ)メチル)-2-メトキシフェノール、4-((9H-フルオレン-9-イルアミノ)メチル)-2-メトキシフェノール;4-((ベンズヒドリルアミノ)メチル)-2-エトキシフェノール;1-(4-メトキシフェニル)-2-(1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ビニル4-メトキシベンゾエート;2-(1-イソプロピル-6-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1-(4-メトキシフェニル)ビニル4-メトキシベンゾエート;(Z)-2-(1-イソプロピル-5-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1-(4-メトキシ-フェニル)ビニル-4-メトキシベンゾエート;3-アルキル-p-メタン-3-オール誘導体;フェンチル、D-ボルニル、L-ボルニル、エキソ-ノルボルニル、2-メチルイソボミル、2-エチルフェンチル、2-メチルボルニル、cis-ピナン-2-イル、ベルバニル、およびイソボミルの誘導体;メンチルオキサメート誘導体;メンチル3-オキソカルボン酸エステル;N-α-(メンタンカルボニル)アミノ酸アミド;p-メンタンカルボキサミドおよびWS-23類似体;(-)-(1R,2R,4S)-ジヒドロウンベルロール;p-メンタンアルキルオキシアミド;シクロヘキサン誘導体;ブトン誘導体;3-メントキシ-1-プロパノールと1-メントキシ-2-プロパノールとの混合物;1-[2-ヒドロキシフェニル]-4-[2-ニトロフェニル-]-1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-2-オン;4-メチル-3-(1-ピロリジニル)-2[5H]-フラノン;ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0038】
特定の実施形態では、非極性相は、ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~30重量%、好ましくは17~25重量%の量でナノエマルジョン中に存在する。
【0039】
特定の実施形態では、非極性相はフレーバーオイルからなる。
【0040】
特定の実施形態では、ナノエマルジョンは、ナノエマルジョンの総重量を基準として0.5~30重量%、好ましくは17~25重量%の量でフレーバーオイルを含み、より好ましくは、フレーバーオイルは、20重量%の量でナノエマルジョン中に存在する。
【0041】
「フレーバーオイル」とは、本明細書では、フレーバー付与成分、またはフレーバー付与成分と、フレーバー付与配合物の製造に現在使用されている溶剤または助剤との混合物、すなわち、その官能特性、特にそのフレーバーおよび/または味を付与、改善、または変更するために組成物に添加されることが意図されている成分の特定の混合物を意味する。味覚調節剤も前記定義に包含される。フレーバー付与成分は当業者に周知であり、それらの性質は、本明細書でより詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合においても網羅的ではなく、熟練したフレーバリストはその一般常識に基づいて、ならびに使用目的または用途および実現が所望される官能効果に従って選択することができる。これらのフレーバー付与成分の多くは、S. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより最近のバージョン、またはFenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC PressもしくはM.B. Jacobs, can Nostrand Co., Inc.によるSynthetic Food Adjuncts, 1947などの同様の性質の他の著作物のような参照テキストの中に列挙されている。溶剤および助剤、またはフレーバー付与配合物の調製のための現在の用途も、当該技術分野で周知である。
【0042】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは、リモネン、オレンジオイル、レモンオイル、グレープフルーツオイル、ライムオイル、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0043】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはリモネンを含む。好ましくは、フレーバーオイルはリモネンからなる。
【0044】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはオレンジオイルを含む。好ましくは、フレーバーオイルはオレンジオイルからなる。
【0045】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはレモンオイルを含む。好ましくは、フレーバーオイルはレモンオイルからなる。
【0046】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはグレープフルーツオイルを含む。好ましくは、フレーバーオイルはグレープフルーツオイルからなる。
【0047】
特定の実施形態では、フレーバーオイルはライムオイルを含む。好ましくは、フレーバーオイルはライムオイルからなる。
【0048】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは、レモンオイル、グレープフルーツオイル、およびライムオイルを含む。好ましくは、フレーバーオイルは、レモンオイル、グレープフルーツオイル、およびライムオイルからなる。
【0049】
本発明によるナノエマルジョンは、極性相をさらに含む。
【0050】
「極性相」とは、本発明によるナノエマルジョン中の親水性化合物の合計量であると理解されるべきである。
【0051】
特定の実施形態では、極性相は、ナノエマルジョンの総重量を基準として50~80重量%の量でナノエマルジョン中に存在する。好ましくは、極性相は、ナノエマルジョンの総重量を基準として65~70重量%の量で、より好ましくは68重量%の量でナノエマルジョン中に存在する。
【0052】
特定の実施形態では、極性相は水を含む。好ましくは、極性相中の水の量は、極性相の総重量を基準として60~100重量%である。
【0053】
別の特定の実施形態では、極性相中の水の量は、好ましくは極性相の総重量を基準として80重量%より多い。好ましくは、極性相は水からなる。
【0054】
特定の実施形態では、ナノエマルジョン中の水の量は、ナノエマルジョンの総重量を基準として50~80重量%、好ましくは65~70重量%であり、より好ましくは、ナノエマルジョン中の水の量は68重量%である。
【0055】
特定の実施形態では、極性相は極性非水性溶剤を含む。
【0056】
「極性非水性溶剤」とは、水ではない極性(親水性)溶剤であると理解されるべきである。
【0057】
特定の実施形態では、非水性溶剤は、食品グレードの溶剤であり、特に食品組成物に適した、特にフレーバー成分との組み合わせに適した非水性溶剤である。
【0058】
特定の実施形態では、極性相は、グリセリン、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3-プロパンジオール、ブタノール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、トリアセチン、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される非水性溶剤を含む。好ましくは、極性非水性溶剤はグリセリンまたはプロピレングリコールであり、より好ましくは、極性非水性溶剤はプロピレングリコールである。
【0059】
特定の実施形態では、極性相は、水と、グリセリン、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3-プロパンジオール、ブタノール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、トリアセチン、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される非水性溶剤とを含む。好ましくは、極性相は水とプロピレングリコールとを含む。
【0060】
特定の実施形態では、極性相は、水と、グリセリン、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3-プロパンジオール、ブタノール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、トリアセチン、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される非水性溶剤とからなる。好ましくは、極性相は水とプロピレングリコールとからなる。
【0061】
特定の実施形態では、極性非水性溶剤は、極性相の総重量を基準として5~80重量%、好ましくは20~60重量%、より好ましくは25~56重量%の量で極性相中に存在する。
【0062】
特定の実施形態では、極性非水性溶剤は、ナノエマルジョンの総重量を基準として1~60重量%、好ましくは5~38重量%、より好ましくは10~25重量%の量でナノエマルジョン中に存在する。
【0063】
特定の実施形態では、極性相は、水と1種以上の極性非水性溶剤とを含む。
【0064】
特定の実施形態では、ナノエマルジョンは外観が透明である、すなわち透明な組成物である。10未満のNTU値を有する組成物は、透明な外観を有すると見なされる。
【0065】
特定の実施形態では、本発明によるナノエマルジョンは、ナノエマルジョンの成分をブレンドし、高速ホモジナイザーを使用して混合物を予備乳化し、高圧ホモジナイザーを使用して混合物を均質化することによって得られる。
【0066】
好ましくは、予備乳化ステップは、1000rpm~25000rpm、より好ましくは8000rpm~12000rpm、さらにより好ましくは10000rpmで行われる。好ましくは、予備乳化ステップは、2~7分間、より好ましくは5分間行われる。
【0067】
好ましくは、高圧均質化ステップは、2段階高圧ホモジナイザーを使用して450/50barで行われる。
【0068】
本発明は、さらに、本発明によるナノエマルジョンを調製する方法であって、
- ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)とを含む界面活性剤系の存在下で、フレーバーオイルを含む非極性相と極性相とを混合するステップ
を含む、方法に関する。
【0069】
特定の実施形態では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、極性相と非極性相との混合が行われる前に、極性相に添加される。好ましくは、極性相は水からなる。好ましくは、極性相は、非極性相と混合される前に、20~25℃(室温)の温度でポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとブレンドされる。
【0070】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、極性相と非極性相との混合が行われる前に、非極性相に添加される。好ましくは、非極性相はフレーバーオイルからなる。好ましくは、非極性相は、極性相と混合される前に、20~25℃(室温)の温度でポリグリセリン脂肪酸エステルとブレンドされる。
【0071】
特定の実施形態では、非極性相と極性相との混合は、高速ホモジナイザーを1000rpm~25000rpm、好ましくは8000rpm~12000rpm、さらにより好ましくは10000rpmで使用することによって行われる。好ましくは、高速均質化は、1~10分間、好ましくは5分間行われる。好ましくは、高速ホモジナイザーとしてIKA, T25 Digital Ultra Turrax(登録商標), Germanyが使用される。
【0072】
特定の実施形態では、上述した高速均質化の後に、高圧均質化ステップが行われる。好ましくは、高圧均質化は、2段階高圧ホモジナイザーを使用して50/450barで行われる。好ましくは、高圧均質化は連続して3回行われる。好ましくは、使用される高圧ホモジナイザーは、SPXFLOW, APV-1000 lab homogenizer, USである。
【0073】
本発明は、さらに、
- 本発明によるナノエマルジョンを飲料に添加するステップ
を含む、フレーバー入り飲料を調製するための方法に関する。
【0074】
本発明は、さらに、フレーバー入り飲料を調製するための本発明によるナノエマルジョンの使用に関する。
【0075】
「フレーバー入り飲料」という用語には、フレーバー入りソーダ、クリームソーダ、粉末のソフトドリンク、ならびにファウンテンシロップやコーディアルなどの濃縮液;コーヒーおよびコーヒーベースの飲料、コーヒー代用品、ならびにシリアルベースの飲料;ドライミックス製品やすぐに飲めるお茶(ハーブおよびティーリーフベース)などのお茶;果物および野菜のジュース、果汁フレーバー入り飲料、果汁飲料、ネクター、濃縮液、パンチ、および「エード」;炭酸水と非炭酸水の両方の甘味付けされたおよびフレーバー入りの水;スポーツ/エネルギー/健康飲料;ビールおよびモルト飲料、サイダー、ならびにワイン(非炭酸、スパークリング、酒精強化ワイン、およびワインクーラー)などの、アルコール飲料ならびにアルコールフリーおよびその他の低アルコール製品;加熱(インフュージョン、低温殺菌、超高温、オーム加熱、または商業用無菌消毒)および高温充填包装で処理されたその他の飲料;ならびに濾過または他の保存技術により製造された低温充填製品が含まれる。
【0076】
本発明のナノエマルジョンがフレーバー入り飲料の調製に使用される場合、組成物に含まれる化合物は、ヒトの摂取に適するように選択する必要がある。例えば、上述した極性非水性溶剤は、ヒトの摂取に適するように選択する必要がある。したがって、ブチレングリコールおよびヘキシレングリコールは、フレーバー入り飲料の調製に使用される本発明によるナノエマルジョン中に存在すべきではない。
【0077】
本発明によるナノエマルジョンは、パーソナルケア製品の調製にも使用することができる。
【0078】
パーソナルケア製品は、典型的には、洗浄、美化、魅力の増進、または外観の変化を目的として人体に適用される。パーソナルケア製品は、例えば歯磨き粉またはマウスウォッシュである。
【0079】
特定の実施形態では、本発明のナノエマルジョンは、マウスウォッシュの調製に使用される。マウスウォッシュまたはマウスリンスは、悪臭、虫歯、う歯、歯肉の疾患、歯肉炎、および歯周病の原因となる微生物を抑制するまたは殺すことにより、口腔または口腔表面を清浄にし、リフレッシュするために開発された液体口腔ケア製剤である。
【0080】
本発明は、本発明によるナノエマルジョンを含むフレーバー入り飲料にも関する。
【0081】
特定の実施形態では、フレーバー入り飲料は、フレーバー入り飲料の総重量を基準として0.001~5重量%、好ましくは0.005~0.2重量%、より好ましくは0.001~0.1重量%の量で本発明によるナノエマルジョンを含む。
【0082】
特定の実施形態では、フレーバー入り飲料はアルコール飲料またはノンアルコール飲料である。好ましくは、飲料はアルコール飲料である。好ましくは、アルコール飲料は、1~15重量%、より好ましくは3~12重量%の量でエタノールを含む。
【0083】
特定の実施形態では、フレーバー入り飲料は、10未満の濁度(NTU)を示す。好ましくは、濁度(NTU)は0.2~8、より好ましくは0.3~6.5である。
【0084】
NTU値は、組成物の濁度を表す「比濁計濁度単位」を指し、米国環境保護庁が指定する濁度計によって測定される。好ましくは、濁度は、ポータブル濁度計(Hanna instruments, Woonsocket, RI, HI93703)によって測定される。一般に、NTU値が15を超える飲料またはパーソナルケア製品は、曇っており透明ではないと見なすことができる。対照的に、NTUが10未満の飲料は、透明な外観を有すると見なされる。
【0085】
特定の実施形態では、フレーバー入り飲料は酸性のpH値を示す。好ましくは、飲料は2~6、より好ましくは2.5~4.0のpH値を示し、さらにより好ましくは、飲料のpH値は2.8である。
【0086】
特定の実施形態では、フレーバー入り飲料は、4未満、好ましくは3未満のpH値を示し、より好ましくは、飲料のpH値は2.8である。
【0087】
本発明のナノエマルジョンは、酸性条件下で十分な安定性を示すことから、低いpH値を示す飲料中に存在することもできる。
【0088】
特定の実施形態では、フレーバーオイルは、飲料の総重量を基準として0.001~0.5重量%、好ましくは0.005~0.02重量%の量で飲料中に存在する。
【0089】
特定の実施形態では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、飲料の総重量を基準として0.001~0.5重量%、好ましくは0.002~0.01重量%の量で飲料中に存在する。
【0090】
特定の実施形態では、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)は、飲料の総重量を基準として0.0005~0.5重量%、好ましくは0.0007~0.004重量%の量で飲料中に存在する。
【0091】
特定の実施形態では、水は、飲料の総重量を基準として50~98重量%の量で飲料中に存在する。酸性飲料の場合、水は、好ましくは、飲料の総重量を基準として85~95重量%の量で酸性飲料中に存在する。アルコール飲料の場合、水は、好ましくは、飲料の総重量を基準として50~60重量%の量でアルコール飲料中に存在する。
【0092】
特定の実施形態では、砂糖は、飲料の総重量を基準として2~40重量%、好ましくは6~27重量%の量で飲料中に存在する。
【0093】
特定の実施形態では、クエン酸は、飲料の総重量を基準として0.1~3重量%、好ましくは0.3~1.5重量%の量で飲料中に存在する。
【0094】
特定の実施形態では、ビタミンCは、飲料の総重量を基準として0.005~1重量%、好ましくは0.005~0.01重量%の量で飲料中に存在する。
【0095】
特定の実施形態では、クエン酸三ナトリウム二水和物は、飲料の総重量を基準として0.1~0.6重量%の量で飲料中に存在する。
【0096】
特定の実施形態では、安息香酸ナトリウムは、飲料の総重量を基準として0.01~0.1重量%の量で飲料中に存在する。
【実施例】
【0097】
実施例1
[1.フレーバーナノエマルジョンの調製]
サンプル1~26(表1)によるフレーバーナノエマルジョンを以下の通りに調製した:
極性相は、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート(Glycosperse(登録商標) O-20 K, Lonza)を水と混合することによって調製した。非極性相は、20~25℃の温度でリモネンを様々なポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)とブレンドすることによって調製した。PGEは、それぞれモノステアリン酸トリグリセリル(Polyaldo(登録商標) TGMS; Lonza Group Ltd.)、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル(SY-Glyster PS-5S; Sakamoto Yakuhin kogyo Co., Ltd.)、トリステアリン酸ヘキサグリセリル(SY-Glyster TS-5S; Sakamoto Yakuhin kogyo Co., Ltd.)、およびモノオレイン酸テトラグリセリル(SY-Glyster MO-3S;Sakamoto Yakuhin kogyo Co., Ltd.)であった。
【0098】
非極性相を極性相と混合した後、混合物を高速ホモジナイザー(IKA, T25 Digital Ultra Turrax(登録商標), Germany)を使用して10,000rpmで5分間予備乳化した。その後、得られたプレエマルジョンを2段階高圧ホモジナイザー(SPXFLOW, APV-1000 lab homogenizer, US)を使用して、50/450barで均質化した。高圧処理を3回繰り返した。液滴サイズは、Zetasizer nano ZS(Malvern Instruments Limited, Worcs, UK)によって測定した。
【0099】
【0100】
[2.サンプル1~26によるフレーバーナノエマルジョンを使用した飲料の調製]
飲料A~Zは、それぞれサンプル1~26のフレーバーナノエマルジョン(FNE)を、下の表2に従って飲料ベースに添加することによって調製した。飲料は2.8のpH値を示した。飲料の濁度は、ポータブル濁度計(Hanna instruments, HI93703, US)によって測定し、比濁計濁度単位(NTU)で報告した。飲料A~Zの濁度値を下の表3に示す。
【0101】
【0102】
【0103】
10未満のNTU値によって示されるように、酸性飲料A~Zは、外観が透明(半透明)であった。
【0104】
実施例2
[1.フレーバーナノエマルジョンの調製]
フレーバーナノエマルジョン27~29を、実施例1の項目1に記載した通りに調製した。唯一の違いは、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエートの代わりにポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノステアレートを使用したことである。フレーバーナノエマルジョン27~29の組成を下の表4に示す。
【0105】
【0106】
[2.サンプル27~29によるフレーバーナノエマルジョンを使用した飲料の調製]
飲料AA、AB、およびACは、それぞれサンプル27~29のフレーバーナノエマルジョン(FNE)を下の表5に従って飲料ベースに添加することによって調製した。飲料は2.8のpH値を示した。飲料の濁度は、ポータブル濁度計(Hanna instruments, HI93703, US)によって測定し、比濁計濁度単位(NTU)で報告した。飲料AA、AB、およびACの濁度値を下の表6に示す。
【0107】
【0108】
【0109】
10未満のNTU値によって示されるように、酸性飲料AA、AB、およびACは外観が透明(半透明)であった。
【0110】
実施例3(比較例)
フレーバーナノエマルジョンC1~C3を、実施例1の項目1に記載した通りに調製した。ただし、実施例3では、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエートを唯一の界面活性剤として使用した。すなわち、ナノエマルジョン中にPGEは存在しなかった。フレーバーナノエマルジョンC1~C3の組成を下の表7に示す。
【0111】
【0112】
フレーバーナノエマルジョンC1~C3の製造後に相分離が直ちに起こったことが観察された。したがって、ナノエマルジョンC1~C3は安定ではなかった。
【0113】
実施例4
[1.フレーバーナノエマルジョンの調製]
異なる種類のフレーバーオイルを含むフレーバーナノエマルジョン30~34を、実施例1の項目1に記載の通りに調製した。フレーバーナノエマルジョン30~34の組成を下の表8に示す。
【0114】
【0115】
[2.サンプル31~33によるフレーバーナノエマルジョンを使用した飲料の調製]
飲料AD、AE、およびAFは、それぞれサンプル31~33(FNE31~33)のフレーバーナノエマルジョンを、下の表9に従って飲料ベースに添加することによって調製した。飲料は2.8のpH値を示した。飲料の濁度は、ポータブル濁度計(Hanna instruments, HI93703, US)によって測定し、比濁計濁度単位(NTU)で報告した。
【0116】
【0117】
10未満のNTU値によって示されるように、酸性飲料AD、AE、およびAFは外観が透明(半透明)であった。
【0118】
飲料AG、AH、およびAIは、それぞれサンプル31~33のフレーバーナノエマルジョン(FNE)を、下の表10に従ってアルコール飲料ベースに添加することによって調製した。最終的なアルコール飲料の濁度値も下の表10に示す。
【0119】
【0120】
10未満のNTU値によって示されるように、アルコール飲料AG、AH、およびAIも外観が透明(半透明)であった。
【0121】
上記事項を考慮すると、酸性飲料およびアルコール飲料に簡単に添加することができるナノエマルジョン形態の汎用性の高いフレーバーエマルジョンが得られた一方で、試験したフレーバーオイル(レモンオイル、グレープフルーツオイル、およびライムオイル)に配合を合わせる必要がなかった。この結果は、配合物に含まれる個々のフレーバーオイルに依存しない、汎用性の高い配合が見出されたことを示唆している。
【0122】
実施例5
フレーバーナノエマルジョンを含む飲料の起泡性および泡の安定性を、動的泡分析装置(DFA100, Kruss, Germany)を使用して測定した。
【0123】
飲料AJ~AMは、それぞれフレーバーナノエマルジョン(FNE)11、12、13、および15を使用して調製した(表1を参照)。飲料AJ~AMの組成を下の表11に示す。
【0124】
【0125】
起泡性は、室温でスパージング法を使用して測定した。空気流量は0.3/Lに設定し、スパージング時間は15秒であった。最大の泡の高さと泡の持続時間を記録した。フレーバーナノエマルジョンを含まない飲料ベース(pH2.8)を対照として使用した。飲料AJ~AMの起泡性および泡の安定性に関する結果を下の表12に示す。
【0126】
【0127】
表12に示されているように、フレーバーナノエマルジョンを含む飲料の起泡性および泡の安定性は、フレーバーを含まない飲料ベース(対照)の起泡性および泡の安定性と同様であった。したがって、試験された濃度でのフレーバーナノエマルジョンの添加では、飲料に泡立ちの問題は生じなかった。
【0128】
実施例6
極性相は、ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート(Glycosperse(登録商標) O-20 K, Lonza)を、水および非水性溶剤としてのプロピレングリコール(サンプル34)またはグリセリン(サンプル35)と混合することによって調製される。非極性相は、リモネンとモノステアリン酸トリグリセリル(Polyaldo(登録商標) TGMS; Lonza Group Ltd.)を20~25℃の温度でブレンドすることによって調製される。非極性相が極性相と混合された後、高速ホモジナイザー(IKA, T25 Digital Ultra Turrax(登録商標), Germany)を10,000rpmで5分間使用することによって混合物が予備乳化される。その後、得られたプレエマルジョンは、2段階高圧ホモジナイザー(SPXFLOW, APV-1000 lab homogenizer, US)を使用して50/450barで均質化される。高圧処理は3回繰り返される。フレーバーナノエマルジョン34および35の組成を下の表13に示す。
【0129】
【0130】
実施例7
フレーバーナノエマルジョンの保存安定性を加速条件で試験し、ZetaSizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd., UK)を使用して液滴サイズを測定した。選択的フレーバーナノエマルジョンの結果を表14に示す。
【0131】
【0132】
表14に示すように、フレーバーナノエマルジョンは保存中に非常に安定であった。
【国際調査報告】