(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】物体の複合走査のための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240628BHJP
【FI】
G01N23/046
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580359
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022056038
(87)【国際公開番号】W WO2023275772
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021000017234
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523486006
【氏名又は名称】ジラルドーニ エス.ピー.エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレット、ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA14
2G001JA08
2G001SA14
(57)【要約】
物体の複合走査のための装置であって、ドアによって閉じることができる前壁に開口部(21)を備えたブース(2)を備え、このブースは、ブース自体からの放射線の誤った出射を防止するように鉛で内部がライニングされ、前記ブースの2つの内部側壁の一方(22)に、反対壁(23)の方向に放射線の少なくとも1つのビームを投射する少なくとも1つのX線源(31)があり、反対壁(23)に前記ビームの受光装置(32)が配置されている。ブースの基部には、スキャン対象の物体の支持平面(4)がある。X線放射源が配置されている同じ壁上には、支持平面(4)上に置かれた物体の表面走査(5)のためのツールがある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の複合走査のための装置であって、ドアによって閉じることができる前壁に開口部(21)を備えたブース(2)を備え、前記ブース(2)は、ブース自体からの放射線の偶発的な出射を防止するために鉛が内張りされており、前記ブース(2)の2つの内部側壁の一方の壁(22)には少なくとも1つのX線源(31)があり、少なくとも1つのX線源(31)は、少なくとも1つの放射線のビームを反対の壁(23)の方向に投影し、反対の壁(23)には前記ビームの受光装置(32)が配置され、前記ブース(2)の基部には対象物の走査のための支持平面(4)があり、前記X線源(31)が配置された同じ壁上に、前記支持平面(4)に置かれた前記対象物の表面走査ツール(5)があることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記表面走査ツール(5)は、レーザ走査装置または構造化光スキャナである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記X線源(31)は移動装置を備え、移動装置は第1の垂直軸(Y1)に沿って前記X線源(31)を持ち上げることができ、前記X線源自体を作り、放射されたビームを、前記壁(22)に実質的に平行な第1の水平軸(X1)の周りに回転させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記受光装置(32)は移動装置を備え、移動装置は受光領域(33)が第2の軸(Y2)に沿って垂直に移動すること、および前記壁(22)に実質的に平行な第2の軸(X2)に沿って水平に移動することを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記支持平面(4)は回転テーブル(41)を備え、回転テーブル(41)は第3の垂直軸(Y3)を中心に回転可能で、平行移動器(42)は回転テーブル(41)を第3の水平軸(X3)及び前記第3の水平軸(X3)に直交する第4の水平軸(X4)に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記表面走査ツール(5)はマニピュレータを備え、マニピュレータは前記装置を第4の垂直軸(Y4)に沿って垂直に移動させることができ、かつ前記ソース自体を前記壁(22)と実質的に平行な第5の水平軸(X5)の周りで回転させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記回転は、前記ソースによって放射される光線の傾斜を水平に対して-45°から+45°の間に有利に構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
電子処理ユニットを備え、電子処理ユニットは前記受光装置(32)からX線走査画像と、前記表面走査ツール(5)から前記対象物の輪郭を画定する前記対象物表面の画像と、を受信し、2つの情報を組み合わせることによって、電子処理ユニットは前記対象物の再構成を行う、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の複合走査のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、製品の品質を確保するプログラムの探索に向けた取り組みが増えている。このような状況において、デジタルX線撮影法は、リアルタイムで放射線画像を取得できるようにすることで、大量の対象物の品質管理において最高レベルの生産性を達成することを可能にする、その理想的な用途を見いだしている。また、直接的かつ即時的な画像により、製品の品質およびコスト、廃棄物の削減および全生産サイクルの経済性に関して明白で関連する利点を有する生産プロセスの最適化のために有用なタイムリーな情報を得ることができる。
【0003】
特に、X線装置は、製品内部の構造に欠陥があるかどうか、あるいは内部に汚染物質が存在するかどうかをチェックするために使用されることが知られている。また、ラジオジェニックチューブは、溶接部の工業的チェックや、それ以外では検査できない応力を受けている金属部分の破壊の探索にも使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断層容積の再構成中に、表面を特定する閾値を調整することは可能であるが、それらを分析すべき対象物の全ての複雑な形状に適合させることは困難である。また、その全ての重要な部分の最適な入射を達成し、存在する欠陥の空間的な見解を得るために、対象物を適切かつ連続的に配向させることが可能である。
【0005】
このタイプのX線装置は、基本的に、ブースを備え、その片側にはアクセスゲートを有し、装置内部のビューを得るために有利には透明である特殊なスライド式又はヒンジ式ドアによってアクセスゲートを閉じることができる。前記ブースの基部上に、分析すべき対象物が位置決めされる回転テーブルが設けられている。回転テーブルでは、すべての角度から見ることができるように、対象物を少なくとも360°回転させることができる。
【0006】
装置の側壁上に移動手段を備える放射線源が配置される。移動手段は所定の高さでビームを位置決めし、垂直面に対して(-45°+45°)、最大-90°+90°の角度で対象物の方向にビームを向けることができる。また、移動手段にはカンチレバー機構が設けられており、この機構は、放射線源を対象物に向かって、特に水平に、放射線源自体が存在するブースの壁の反対側の方向に移動させることができる。
【0007】
放射線源を提示するものと反対側のこの壁上には、X線ビームの受光手段があり、この受光手段は、反対側の壁内で線源から投射されたビームを受光するのに実質的に適切な位置にそれを位置決めする平行移動器を備えている。
【0008】
このような装置は、同じ出願人によって市販され、BOOTH XE-Lと名付けられている。
【0009】
出願人は、これらの装置が、対象物自体の表面輪郭の画定はあまり正確ではないが、特にその内部部分において、対象物を詳細な方法でかつオリジナルに忠実に再構成することができることを見出した。
【0010】
表面走査ツール(例えば、レーザ又は構造化光スキャナ)は、検出された物体の表面を画定するために、非常に高速で数十万点の位置を測定することができるツールである。
【0011】
得られるものは、通常、点群と呼ばれる非常に密な点の集合であり、点群は特殊なソフトウェアでその後処理することができ、対象物の寸法を画定し、その3Dグラフィック表示を与え、ベクトル図面で、検出されたものの測定特性を正確に記述する。
【0012】
そのため、レーザスキャナ(物体の表面)とX線源(物体の内部部分)で行う検出の組み合わせと、それに続く画像と受信データの処理により、X線だけで行う再構成よりも有効な物体の3D再構成が得られる。
【0013】
特許KR101480968B1には、X線CT及びレーザ表面走査を用いる検査装置及び検査方法が記載されており、より具体的には、X線走査部、レーザ走査部及び放射線遮蔽部を備える検査装置が記載されている。装置によっては、物体の内部や表面のより効果的な検査が期待できる。さらに、放射線遮蔽部は、X線によるレーザ検出部の誤動作を防止するため、より正確な検査結果を得ることができる。
【0014】
本出願人は、同じ出願人の装置XE-ELにおいて、X線放射源を提示するブースの内壁は、また、X線によって実行される物体の走査を統合するレーザスキャナタイプの機器片のような表面走査ツールを挿入するためにも使用できることに着目した。この種の装置は、何かにぶつかるまで直線的に飛ぶ光線を放射する。ぶつかるものが見つかると、バウンスして放射源自体に戻る。
【0015】
処理によって(ツールの種類-飛行時間または位相差に応じて)、ヒットポイントのx、y、z 座標(エミッタに関する)をリアルタイムで知ることができる。このタイプの装置は、X線放射源とは異なる位置に受光装置を配置する必要がないので、ブースの単一の内壁に十分に配置される。
【0016】
そこで、本発明は、上記欠点を解消した請求項1の特徴を有する、対象物の複合走査のための装置を実現することを目的とする。
【0017】
本発明の更なる特徴は、従属請求項により示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の特徴および利点は、添付の概略図を参照して、以下の説明からさらに明白になるであろう。説明は例示的かつ限定的ではないものとして理解されるべきである。
【
図1】ブースのアクセスゲートが閉じた状態の本発明による装置の正面図である。
【
図2】アクセスゲートを有する前壁がない、本発明による装置の正面図である。
【
図4】
図3のものとは対照的な、装置の内部側壁の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図を参照すると、本発明による装置は、ドア、例えばスライド式ドアによって閉じることができる開口部21を前壁に備えたブース2を備える。ブース内には鉛が内張りされており、ブースが作動状態にあり、X線スキャンが行われたときに誤って放射線が照射されることを防止するために放射線を防止している。ブースの内側の2つの側壁のうち一方の22上には少なくとも1つのX線源31があり、X線源31は少なくとも1つの放射線のビームを反対側の壁23の方向に投影する。壁23には受光装置32が配置されている。このX線源には移動装置が設けられており、移動装置は第一の垂直軸Y1に沿ってX線源を持ち上げることができ、X線源自体を作ることができ、従って、放射された光線も、壁22に実質的に平行な第一の水平軸X1の周りを回転することができる。
【0020】
この回転により、X線源によって放射されるX線の傾斜を水平に対して有利には-60°から+60°の間で可能にすることができる。
【0021】
受光装置32はまた、移動装置を備え、移動装置は、受光領域33が第2の軸Y2に沿って垂直に移動すること、および壁22に実質的に平行な第2の軸X2に沿って水平に移動することを可能にする。
【0022】
ブースの基部には、スキャン対象のための支持平面4がある。この平面は回転テーブル41を備え、回転テーブル41は第3の垂直軸Y3を中心に回転可能である。さらに、この平面は平行移動器42を備え、平行移動器42は回転テーブルを第3の水平軸X3及び第4の水平軸X4(第3のX3に直交する)に沿って移動させることができ、対象物をすべての必要な角度からX線に曝す。実際、2つの移動デバイス(X線源および受光装置)および支持平面は、7軸マニピュレータとなる。
【0023】
本発明の一態様によれば、X線源が配置された同じ壁22上に、テーブル41上に置かれた対象物の表面走査のためのツール5がある。
【0024】
このツールは、レーザ装置または構造化光スキャナであり得る。
【0025】
そのようなツールはマニピュレータ51を備え、マニピュレータ51は前記ツールの線源を第四の垂直軸Y4に沿って移動させることができ、壁22に実質的に平行な第五の水平軸X5の周りに線源を回転させることができる。この回転は線源によって放射される光線の傾斜を水平に対して、有利に-45°と+45°の間で可能にし、テーブル41上に置かれた物体を上から下、および下から上へスウィープすることができる。
【0026】
必要に応じて、マニピュレータは線源を90°回転させ放射される光線がテーブル41上に置かれた対象物を、左から右、および右から左にスウィープすることができる。
【0027】
装置の電子処理ユニットは、受光装置からのX線走査画像と、表面走査ツールによって提供された対象物の表面の画像とを受取る。この画像は、オブジェクトの輪郭を画定する。2つの情報を組み合わせることにより、シアX線走査よりも、物体のより良い再構成を達成することができる。シアX線走査では、かなり複雑な物体に対しては、輪郭の定義が不正確になる可能性があるが、物体自体の内部は非常に良く画定されている。
【0028】
X線放射源と同じ壁上の表面走査ツールの位置決めは、表面走査ツールがX線放射源から影響を受ける原因となる。
【国際調査報告】