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特表2024-524353処置前に化学療法に対する癌応答を予測するための、定量的超音波パラメータ画像上の腫瘍内領域を特徴づけるためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】処置前に化学療法に対する癌応答を予測するための、定量的超音波パラメータ画像上の腫瘍内領域を特徴づけるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B8/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580360
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CA2022051020
(87)【国際公開番号】W WO2022266774
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/215,353
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514125101
【氏名又は名称】サニーブルック リサーチ インスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】523485858
【氏名又は名称】サデギ-ナイニ,アリ
【氏名又は名称原語表記】SADEGHI-NAINI, Ali
(71)【出願人】
【識別番号】523485869
【氏名又は名称】タレガマル,ハミドレザ
【氏名又は名称原語表記】TALEGHAMAR, Hamidreza
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】サデギ-ナイニ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】タレガマル,ハミドレザ
(72)【発明者】
【氏名】チャルノータ,グレゴリー・ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD08
4C601DD18
4C601EE09
4C601JB34
4C601JB48
4C601JC05
4C601JC06
4C601JC37
(57)【要約】
超音波装置を使用して、超音波高周波データおよびBモード画像を、腫瘍対象から獲得/生成するステップと、それぞれのBモード画像中の、腫瘍を含む関心領域を特定するステップと、ROI全体にわたるBモード画像に関連するそれぞれのRFフレームの分析によって定量的超音波(QUS)パラメータマップを生成して、対応するQUSパラメータを導出するステップと、分類(クラスタリング)アルゴリズムをQUSパラメータマップに適用することによって、QUSパラメータマップ上の明確な腫瘍内領域を特定するステップと、QUSパラメータマップのそれぞれ上の腫瘍内領域からフィーチャを抽出して、腫瘍を特徴づけるステップと、応答予測のための最適QUSバイオマーカーを決定するステップと、最適QUSバイオマーカーを使用して、分類アルゴリズムを応答予測のために訓練するステップと、最適QUSバイオマーカーを訓練した分類アルゴリズムと共に使用して、腫瘍対象を、NACに対する応答者または非応答者へと分類するステップとを含む、ネオアジュバント化学療法に対する腫瘍応答を予測するための、コンピュータで実行する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波装置を使用して、超音波高周波(RF)データ、または超音波RFデータおよびBモード画像を、腫瘍対象から、ネオアジュバント化学療法(NAC)の前に獲得するステップと、
前記獲得ステップで獲得されていない場合は、前記獲得されたRFデータを使用して前記Bモード画像を生成するステップと、
前記Bモード画像のそれぞれ中の、腫瘍を含む関心領域(ROI)を特定するステップと、
定量的超音波(QUS)スペクトル分析、または前記ROI全体にわたるBモード画像に関連するそれぞれのRFフレームのエンベロープ統計学の分析によって、少なくとも1つの定量的超音波(QUS)パラメータマップを生成して、対応するQUSパラメータを導出するステップであって、それぞれの前記QUSパラメータマップが、それぞれの前記QUSパラメータに基づくステップと、
分類(クラスタリング)アルゴリズムを前記少なくとも1つのQUSパラメータマップに適用することによって、前記少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の明確な腫瘍内領域を特定するステップと、
前記ROI内の前記少なくとも1つのQUSパラメータマップのそれぞれ上の前記腫瘍内領域からフィーチャを抽出して、前記腫瘍を特徴づけるステップと、
応答予測のための最適QUSバイオマーカーを決定するステップと、
前記最適QUSバイオマーカーを使用して、分類アルゴリズムを応答予測のために訓練するステップと、
前記最適QUSバイオマーカーを前記訓練した分類アルゴリズムと併せて使用して、前記腫瘍対象を、前記NACに対する応答者または非応答者へと分類するステップであって、前記訓練した分類アルゴリズムが応答予測モデルを含むステップと
を含む、ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するための、コンピュータで実行する方法。
【請求項2】
前記腫瘍が、乳癌、前立腺癌、肝癌、または甲状腺癌を含む癌に関連している、請求項1に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項3】
前記腫瘍が局所進行性乳癌を含む、請求項1または請求項2に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項4】
前記Bモード画像に関連する前記RFフレームのそれぞれについて、前記少なくとも1つのQUSパラメータマップを生成する前記ステップが、Bモード画像のそれぞれの各画像平面について少なくとも1つのQUSパラメータマップを生成するステップを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのQUSパラメータが、ミッドバンドフィット(MBF)、スペクトル傾斜(SS)、スペクトル0MHz妨害(SI)、有効散乱直径(ESD)、有効音響集中(EAC)、ならびにホモダインKおよびナカガミ分布パラメータを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項6】
前記ROIが腫瘍核および腫瘍境界を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項7】
前記腫瘍境界が、前記腫瘍核の周りに5mmの厚さを含む、請求項6に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項8】
前記ROI内の前記少なくとも1つのQUSパラメータマップのそれぞれ上の前記腫瘍内領域から前記フィーチャを抽出して、前記腫瘍を特徴づける前記ステップが、前記フィーチャを抽出して、前記腫瘍内領域および前記腫瘍境界を特徴づける前記ステップを含む、請求項6または請求項7に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項9】
前記フィーチャを前記ROI内の前記腫瘍内領域から抽出する前記ステップが、前記フィーチャを、前記ESD、EAC、MBF、SI、SS、ならびにホモダインKおよびナカガミ分布パラメータの前記QUSパラメータマップ中の前記腫瘍内領域および前記腫瘍境界から抽出するステップを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項10】
前記抽出したフィーチャが、前記腫瘍核内の前記QUSパラメータマップのそれぞれの平均値および信号対雑音比(SNR)、前記腫瘍境界内の前記QUSパラメータマップのそれぞれの平均値およびSNR、それぞれの区分化した領域内の前記QUSパラメータマップのそれぞれの平均値およびSNR、前記QUSパラメータマップのそれぞれ中のそれぞれの2つの区分化した領域の平均値間の相違、前記腫瘍核内のそれぞれの区分化した領域の割合エリア、前記腫瘍境界対前記核の相対的エリアを含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項11】
前記フィーチャを、すべての画像平面について抽出し、続いて、前記腫瘍の全体積にわたって平均をとる、請求項1から10のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項12】
前記応答予測のための前記最適QUSバイオマーカーを決定する前記ステップが、前記応答予測に寄与しないフィーチャを排除し、前記応答予測のための最適QUSフィーチャセットを得るために、複数ステップのフィーチャ選択プロセスを使用して前記フィーチャを分析するステップであって、前記最適QUSバイオマーカーが前記最適QUSフィーチャセットを含むステップを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項13】
前記複数ステップのフィーチャ選択プロセスが、
最小冗長性最大関連性(mRMR)方法を使用して前記フィーチャを縮小されたフィーチャセットへとランク付けおよび縮小するステップと、
逐次前方選択(SFS)、逐次後方選択、または最小絶対値縮小選択演算子(LASSO)を含むフィーチャ選択方法を使用して、前記縮小されたフィーチャセットから前記応答予測のための前記最適QUSフィーチャセットを選択するステップと
を含む、請求項12に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項14】
前記抽出したフィーチャが56個のフィーチャを含み、前記縮小されたフィーチャセットが21個のフィーチャを含む、請求項13に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項15】
前記最適QUSフィーチャセットが、前記腫瘍内領域の第1のもの内の前記MBFパラメータマップの平均値(
【数1】
)、前記腫瘍境界内の前記ESDパラメータマップのSNR(
【数2】
)、前記腫瘍内領域の前記第1のもの内の前記SIパラメータマップのSNR(
【数3】
)、ならびに前記腫瘍内領域の前記第1のものおよび前記腫瘍内領域の第3のもの内の前記EACパラメータマップの平均値間の相違(
【数4】
)を含む4つのフィーチャを含む、請求項12から14のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのQUSパラメータマップを生成する前記ステップが、前記ROIから獲得した前記超音波RFデータの正規化したパワースペクトルを計算し、前記超音波RFデータの前記正規化したパワースペクトルのQUSスペクトル分析またはRFシグナルエンベロープ統計学の分析によって、前記少なくとも1つのQUSパラメータを導出するステップを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項17】
前記腫瘍内領域を、前記少なくとも1つのQUSパラメータマップ上で、ピクセルレベルで特定する、請求項1から16のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の前記明確な腫瘍内領域を特定する前記ステップが、前記明確な腫瘍内領域の最適数を決定するステップを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項19】
前記明確な腫瘍内領域の前記最適数を、
様々な数の領域について腫瘍内の区分化を行うステップと、
ベイズ情報量基準(BIC)、カリンスキー-ハラバス(Calinski-Harabasz)指数、またはデイビーズ-ボールディン(Davies-Bouldin)指数を含むクラスタリング品質測定法を推定するステップと、
適切なクラスタリング品質測定法に関連する領域の最小数を、前記少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の前記明確な腫瘍内領域の前記最適数として特定するステップと
によって決定する、請求項18に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項20】
前記クラスタリング品質測定法が前記BICを含み、前記適切なクラスタリング品質測定法が低いBICを含む、請求項19に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の前記明確な腫瘍内領域の最適数が3である、請求項18から20のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項22】
前記分類アルゴリズムが、教師あり、教師なし、または強化機械学習アルゴリズムである、請求項1から21のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項23】
前記応答者および前記非応答者の分類を、臨床的および/または病理学的グラウンドトゥルース分類基準によって決定する、請求項1から22のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項24】
前記臨床的および/または病理学的グラウンドトゥルース分類基準が、
病理学的完全応答(pCR)対非pCR、または
固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)および組織病理学的基準に基づく改変応答(MR)グレード付けシステム(腫瘍サイズの30%未満の縮小を示すMRは前記非応答者を含み、腫瘍サイズの30%以上の縮小または低い残存腫瘍細胞充実性を示すMRは前記応答者を含む)
を含む、請求項23に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項25】
前記分類(クラスタリング)アルゴリズムが、K平均、ガウス混合モデル(GMM)、隠れマルコフランダム場(HMRF)期待値最大化(EM)アルゴリズム、または空間的な束縛を有するクラスタリングアルゴリズム、続いてコンセンサスクラスタリングアルゴリズムを含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項26】
前記分類アルゴリズムが、適応的ブースティングを用いた決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシーン(SVM)、人工神経回路網、またはK最近傍(K-NN)アルゴリズムを含む、請求項1から25のいずれか1項に記載の、コンピュータで実行する方法。
【請求項27】
前記分類アルゴリズムが、前記適応的ブースティングを用いた決定木を含む、請求項26に記載の、コンピュータで実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般に、治療応答を予測するためのシステムおよび方法、より詳細には、抗癌治療に対する腫瘍応答を予測するための、定量的超音波パラメータ画像上の腫瘍内領域を特徴づけるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
定量的超音波(QUS)技法は、根底にある組織から後方散乱された高周波(RF)シグナルの周波数依存性を検査して、組織の物理特性を定量するパラメータを抽出し、組織の微細構造を特徴づけるために使用することができる。そのようなQUSパラメータとしては、それだけには限定されないが、ミッドバンドフィット(MBF)、スペクトル傾斜(SS)、スペクトル0MHz妨害(SI)、有効散乱直径(ESD)、および有効音響集中(EAC)が挙げられ、これらを使用してパラメータマップを導出することができる。治療応答予測のために明確な腫瘍内領域を定量するためにQUSパラメータマップを適用した以前の研究は存在しない。
【発明の概要】
【0003】
本発明者らは、処置の開始前にネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するために、LABC腫瘍内領域を特徴づけることにおける、QUSスペクトル複数パラメータイメージングの有効性を調査した。181人の処置前のLABC患者から獲得した超音波データを使用して、QUSスペクトルパラメータ画像を生成した。データセットを訓練組(70%)および独立試験組(30%)へとランダムに分配した。隠れマルコフランダム場(HMRF)期待値最大化(EM)アルゴリズムを適用して、QUS複数パラメータ画像上の明確な腫瘍内領域を同定した[43]。いくつかのフィーチャを、腫瘍核および境界内の様々なパラメータマップ上の区分化した領域から抽出して、それぞれの腫瘍を特徴づけた。複数ステップのフィーチャのランク付けおよび選択プロセスを使用してフィーチャを分析して、応答予測のために、4つのフィーチャからなる最適QUSバイオマーカーを構築した。比較のために、区分化していない腫瘍核および境界から抽出したフィーチャも分析し、治療応答を予測するために適用した。適応的ブースティング(AdaBoost)を用いた決定木モデルを、処置前に患者を応答者および非応答者へと分類するために適応した。標準の臨床的および病理学的基準を使用した、その手術後に同定したNACに対する患者応答を、予測モデルの性能を評価するためのグラウンドトゥルースとして使用した。結果により、開発したバイオマーカーを用いたモデルが、独立試験組の患者のNAC応答をそれぞれ87%および85%の感度および特異度で予測することができることが示された。しかし、区分化していない腫瘍核および腫瘍境界から抽出した辛うじての(barely)フィーチャを使用したモデルは、NAC応答をより低い性能および76.4%までの精度で予測した。カプラン-マイヤー生存分析により、最適QUSバイオマーカーを使用して応答者として予測された患者が、非応答者として予測された者と比較して、統計的に有意により良好な生存を実証したことが示された。
【0004】
本明細書中に開示した対象の一態様では、ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するための、コンピュータで実行する方法が提供される。本方法は、超音波装置を使用して、超音波高周波(RF)データ、または超音波RFデータおよびBモード画像を、腫瘍対象から、NACの前に獲得するステップと、獲得ステップで獲得されていない場合は、獲得されたRFデータを使用してBモード画像を生成するステップと、Bモード画像のそれぞれ中の、腫瘍を含む関心領域(ROI)を特定するステップと、QUSスペクトル分析、またはROI全体にわたるBモード画像に関連するそれぞれのRFフレームのエンベロープ統計学の分析によって、少なくとも1つの定量的超音波(QUS)パラメータマップを生成して、対応するQUSパラメータを導出するステップであって、少なくとも1つのQUSパラメータマップのそれぞれが、それぞれのQUSパラメータに基づくステップと、分類(クラスタリング)アルゴリズム、たとえば、K平均、ガウス混合モデル(GMM)、隠れマルコフランダム場(HMRF)期待値最大化(EM)アルゴリズム、または空間的な束縛を有するクラスタリングアルゴリズム、続いてコンセンサスクラスタリングアルゴリズムを、少なくとも1つのQUSパラメータマップに適用することによって、少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の明確な腫瘍内領域を特定するステップと、ROI内の少なくとも1つのQUSパラメータマップのそれぞれ上の腫瘍内領域からフィーチャを抽出して、腫瘍を特徴づけるステップと、応答予測のための最適QUSバイオマーカーを決定するステップと、最適QUSバイオマーカーを使用して、分類アルゴリズム、たとえば、適応的ブースティングを用いた決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシーン(SVM)、人工神経回路網、K最近傍(K-NN)を、応答予測のために訓練するステップと、最適QUSバイオマーカーを訓練した分類アルゴリズムと併せて使用して、腫瘍対象を、NACに対する応答者または非応答者へと分類するステップであって、訓練した分類アルゴリズムが応答予測モデルを含むステップとを含む。
【0005】
以下に、様々な態様を例のみとして、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】NACに対する代表的な応答者および非応答者から獲得したESDのパラメータオーバーレイを用いた超音波Bモード画像を示す図であり、腫瘍核を白い破線で輪郭を示す。
図1B】NACに対する代表的な応答者および非応答者から獲得したEACのパラメータオーバーレイを用いた超音波Bモード画像を示す図であり、腫瘍核を白い破線で輪郭を示す。
図1C】NACに対する代表的な応答者および非応答者から獲得したMBFのパラメータオーバーレイを用いた超音波Bモード画像を示す図であり、腫瘍核を白い破線で輪郭を示す。
図1D】NACに対する代表的な応答者および非応答者から獲得したSIのパラメータオーバーレイを用いた超音波Bモード画像を示す図であり、腫瘍核を白い破線で輪郭を示す。
図1E】HMRF-EMアルゴリズムを使用して区分化した、腫瘍境界エリアによって囲まれる明確な腫瘍内領域を示す図である。
図2】代表的な応答性および非応答性患者から獲得した乳房切除術検体の、低(上部)および高(下部)拡大率での全載組織病理学的画像を示す図であり、スケールバーは、低および高拡大率画像中でそれぞれ2mmおよび200μmを表す。
図3】訓練組中の応答者および非応答者について、
【数1】
を含むフィーチャのボックスプロットを示す図である。
図4】処置後に臨床的および組織病理学的基準に基づいて、および処置前に開発した予測モデルを使用して最適QUSバイオマーカーを用いて同定した、訓練組(A)および独立試験組(B)中における応答性および非応答性患者の10年間無再発生存曲線を示す図である。
図5】本明細書中に記載した対象に従ったコンピュータで実行する方法の一例を示す流れ図である。
図6】本明細書中に記載した対象に従ったコンピュータで実行する方法の別の例を示す流れ図である。
図7】本明細書中に記載した対象に従ったシステムの一例を示す模式図である。
図8】本明細書中に記載した対象に従った計算装置の一例を示す模式図である。
図9】本明細書中に記載した対象に従った超音波装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
乳癌は、女性における最も頻繁な悪性腫瘍であり、癌関連死の主要な原因である[1]、[2]。2018年には、2百万件を超える新規乳癌症例が診断され、60万人を超える人がそれにより死亡した[3]。乳癌患者の20%までは、しばしば5cmよりも大きいサイズの腫瘍として現れ、場合によっては所属リンパ節、皮膚、および/または胸壁の関与を有する、局所進行性乳癌(LABC)と診断される[4]、[5]。LABC患者は、再発および転移のリスクが高い。LABC患者の標準の処置としては、ネオアジュバント化学療法(NAC)、続いて手術、ならびに必要な場合はアジュバント照射および/またはホルモン療法の組合せが挙げられる[4]、[6]。NACに対する応答は、患者生存と高い相関を実証している[6]~[8]。しかし、LABC患者の40%まではNACに応答せず、完全な病理学的応答は患者の10~30%のみに限定される[4]、[5]、[9]~[12]。NACに対する応答を評価するための現在の方法は、ルーティン的身体検査または解剖学的イメージングにおける腫瘍サイズの変化に基づく。しかし、腫瘍サイズの変化は、治療が検出可能となるまでに数週間から数カ月を要する場合があり、一部の事例では、NACに対する病理学的応答にもかかわらず明白でない[13]。手術後組織病理学は、NACに対する腫瘍の病理学的応答を決定するための標準の手法である[7]、[8]、[14]、[15]。しかし、その時点では、NACを調節する、または救済処置へと切り替えるウィンドウは既に閉じている。処置の開始の前またはその後の早期にNACに対するLABCの応答を予測することで、無効な処置をより有効なものに変更することを容易にすることができる。LABC患者のための個人化した処置戦略が、ネオアジュバント治療に対する応答率、ならびに患者の全生存および生活の質を改善させると予想される。
【0008】
最近、遺伝学的手法が処置に対する癌応答の予測について調査されている[16]。具体的には、循環腫瘍DNAの分析が、治療に対する乳癌応答の評価において有望であることが示された[17]、[18]。そのような方法は、重大な科学的な見識を提供する一方で、これらは浸潤性であり、比較的高価であり、循環腫瘍DNAの定量および遺伝子シーケンシングのために時間のかかる分析を要する。NACに対する乳癌応答をモニタリングおよび評価するために、陽電子放射断層撮影(PET)および磁気共鳴画像法(MRI)を含む機能的イメージング技法を調査し、処置開始後の数週間以内に有望であることが示された[19]~[21]。しかし、これらのモダリティはしばしば高価であり、走査時間が長く、処置に対して応答した腫瘍の機能的変化を検出するために造影剤の注入を必要とする。より高い利用可能性、より低いコスト、および腫瘍応答を予測するための画像造影の内在性供給源を有するイメージングモダリティを適応することで、開発した方法をルーティン的臨床診療において採用することが容易となるであろう。
【0009】
超音波は、外来性の造影剤の注入を必要としない、高い空間分解能を有し、イメージング時間が短く、比較的安価かつ持ち運び可能なイメージングモダリティである。定量的超音波(QUS)技法は、根底にある組織から後方散乱された高周波(RF)シグナルの周波数依存性を検査して、組織の物理特性を定量するパラメータを抽出し、組織の微細構造を特徴づけるために使用することができる[22]。具体的には、ミッドバンドフィット(MBF)、スペクトル傾斜(SS)、スペクトル0MHz妨害(SI)、有効散乱直径(ESD)、有効音響集中(EAC)、ならびにホモダインKおよびナカガミ分布パラメータを含む、RFシグナルの正規化したパワースペクトルの分析またはRFシグナルエンベロープ統計学の分析から導かれたQUSパラメータの有効性が、前立腺癌および乳癌、眼内腫瘍、ならびに心血管病を含む様々な異常を検出および特徴づけることにおいて実証されている[23]~[28]。
【0010】
いくつかの以前の研究が、処置の開始後のQUSスペクトルパラメータの変化を、腫瘍細胞死を検出するため[29]、および化学療法に対する乳癌応答をモニタリングするため[30]~[32]に使用できることを実証している。また、QUS平均値パラメータと比較して、QUSスペクトルパラメータマップのテクスチャ特徴における変更が、化学療法に応答した組織学的腫瘍細胞死とより高い相関を有しており[33]、処置を開始した早くも1週間後にNACに対するLABC腫瘍応答を予測するために使用できることも実証されている[34]、[35]。QUSパラメータマップのテクスチャ測定は、腫瘍内の局所的音響的特性間の空間的な関係性を定量し、処置開始後のその初期変更は、応答関連性の腫瘍内不均質性の変化を特徴づけることができる[35]。Sannachiらは、QUSスペクトルの組合せ、ならびに腫瘍のテクスチャパラメータおよび分子学的フィーチャが、LABC腫瘍応答を高い感度および特異度で予測できることを示した[36]。最近の研究では、Tadayyonらが、腫瘍核および境界から導かれたQUSパラメータの組合せが、処置を開始する前にNACに対するLABC腫瘍の応答性を特徴づけるために適用できることを実証している[37]。具体的には、彼らの研究は、腫瘍の攻撃性を特徴づけることおよび処置前に標準の化学療法に対するその応答の尤度を予測することにおける、腫瘍核および境界内の空間的不均質性の重要性を強調した。
【0011】
明確な腫瘍内領域のイメージングに基づく特徴づけは、悪性腫瘍を特徴づけること、およびその治療結果を予測することにおいて、有効であることが示されている[38]、[39]。イメージングで明白となる腫瘍内領域は、異種癌細胞のクラスター、石灰化病巣、低酸素または壊死性/アポトーシスエリア、ならびに異なる灌流および代謝活性を有する領域を含む、示差的な腫瘍生物学および微細構造に結び付けることができる[27]、[35]、[40]、[41]。Byraらによる研究は、ホモダインK分布パラメータのQUSマップを使用して同定した腫瘍内領域のフィーチャを使用して、良性および悪性の乳房病変を識別できることを実証した[39]。Wuらによる別の研究は、化学療法に対する乳房腫瘍の病理学的応答を予測することにおける、MRI上で腫瘍内領域を特徴づけることの潜在性を示した[42]。様々な診断的および予後的応用における組織特徴づけのためのその実証された潜在性にもかかわらず、QUSパラメータイメージングを、治療応答予測のために明確な腫瘍内領域を定量することに適用した以前の研究は存在しない。
【0012】
本発明者らは、初めて、処置の開始前に化学療法に対する乳房腫瘍応答を予測するために腫瘍内領域を特徴づけることにおける、教師なし分類アルゴリズムと併せた定量的超音波(QUS)複数パラメータイメージングの有効性を調査した。乳房腫瘍のQUS複数パラメータ画像を、局所進行性乳癌と診断された181人の患者から獲得した超音波高周波(RF)データを使用して生成し、ネオアジュバント化学療法、続いて手術を計画した。隠れマルコフランダム場(HMRF)期待値最大化(EM)アルゴリズムを適用して、QUS複数パラメータ画像上の明確な腫瘍内領域を同定した。いくつかのフィーチャを、区分化した腫瘍内領域および腫瘍境界から、様々なパラメータ画像に対して抽出した。複数ステップのフィーチャ選択手順を適用して、応答予測のために、4つのフィーチャからなるQUSバイオマーカーを構築した。独立試験組に対する評価の結果により、開発したバイオマーカーを、適応的ブースティング(AdaBoost)を用いた決定木モデルを分類子として合わせることで、処置前の患者の処置応答を85.4%の精度および0.89の受信者動作特徴曲線(ROC)下エリア(AUC)で予測できることが示された。比較すると、腫瘍核全体(腫瘍内領域を考慮しない)、ならびに腫瘍核全体および腫瘍境界から導かれたフィーチャからなるバイオマーカーは、それぞれ74.5%および76.4%の精度ならびに0.79および0.76のAUCで患者の処置応答を予測できる。長期生存分析により、開発したモデルによって応答者として予測された患者が、非応答者よりも有意に良好な生存を有していたことが示された。同様の発見が、処置後に標準の臨床的および病理学的基準に基づいて同定した2つの応答コホートについて観察された。本発明者らによって得られた結果は、乳癌において、処置の開始前に化学療法に対するその応答性を特徴づけるために明確な腫瘍内領域を特定することにおける、教師なし学習方法と一体にしたQUS複数パラメータイメージングの潜在性を実証している。
【0013】
図5を参照して、ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するための、コンピュータで実行する方法100の一例を提供する。方法100は、超音波装置を使用して、超音波高周波(RF)データ、または超音波RFデータおよびBモード画像を、腫瘍対象から、NACの前に獲得するステップ110と、前記獲得ステップ110で獲得されていない場合は、獲得されたRFデータを使用してBモード画像を生成するステップ112と、Bモード画像のそれぞれ中の、腫瘍(それだけには限定されないが、乳房(局所進行性乳癌もしくはLABCを含む)、前立腺、肝臓、または甲状腺癌を含む任意の種類の癌に関連する腫瘍を含み得る)を含む関心領域(ROI)を特定するステップ120と、QUSスペクトル分析、またはROI全体にわたるBモード画像に関連する(すなわち、Bモード画像のそれぞれの画像平面に関連する)それぞれのRFフレームのエンベロープ統計学の分析によって、少なくとも1つの定量的超音波(QUS)パラメータマップを生成して、対応するQUSパラメータを導出するステップ130であって、それぞれのQUSパラメータマップが、それぞれのQUSパラメータに基づくステップと、分類(クラスタリング)アルゴリズム、たとえば、K平均、ガウス混合モデル(GMM)、隠れマルコフランダム場(HMRF)期待値最大化(EM)アルゴリズム、または空間的な束縛を有するクラスタリングアルゴリズム、続いてコンセンサスクラスタリングアルゴリズムを、少なくとも1つのQUSパラメータマップに適用することによって、少なくとも1つのQUSパラメータマップ上の明確な腫瘍内領域を特定するステップ140と、ROI内の少なくとも1つのQUSパラメータマップのそれぞれ上の腫瘍内領域からフィーチャを抽出して、腫瘍を特徴づける(たとえば、ESD、EAC、MBF、SI、SS、ならびにホモダインKおよびナカガミ分布パラメータのQUSパラメータマップ中などの腫瘍内領域および腫瘍境界を特徴づけるステップ150と、応答予測のための最適QUSバイオマーカーを決定するステップ160(たとえば、応答予測に寄与しないフィーチャを排除し、応答予測のための最適QUSフィーチャセットを得るために、複数ステップのフィーチャ選択プロセス182を使用してフィーチャを分析するステップ180により、最適QUSバイオマーカーは最適QUSフィーチャセットを含む)と、最適QUSバイオマーカーを使用して、分類アルゴリズムを応答予測のために訓練するステップ162と、最適QUSバイオマーカーを、適応的ブースティング(AdaBoost)を用いた決定木モデル、ランダムフォレスト、サポートベクターマシーン(SVM)、人工神経回路網、またはK最近傍(K-NN)アルゴリズム)を含めた訓練した分類アルゴリズム/応答予測モデル(機械学習アルゴリズムなど(たとえば、教師あり、教師なし、または強化機械学習アルゴリズム)と併せて使用して、腫瘍対象を、NACに対する応答者または非応答者へと分類するステップ170であって、応答者および非応答者の分類を、たとえば、必ずしもそれだけに限定されないが、病理学的完全応答(pCR)対非pCR、または固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)および組織病理学的基準に基づく改変応答(MR)グレード付けシステム(腫瘍サイズの30%未満の縮小を示すMRは非応答者を含み、腫瘍サイズの30%以上の縮小または低い残存腫瘍細胞充実性を示すMRは応答者を含む)を含む、臨床的および/または病理学的グラウンドトゥルース分類基準によって決定するステップとを含み得る。
【0014】
図6を参照して、複数ステップのフィーチャ選択プロセス182は、たとえば、最小冗長性最大関連性(mRMR)方法を使用してフィーチャを縮小されたフィーチャセットへとランク付けおよび縮小するステップ184と、たとえば、逐次前方選択(SFS)、逐次後方選択、または最小絶対値縮小選択演算子(LASSO)を含むフィーチャ選択方法を使用して、縮小されたフィーチャセットから応答予測のための最適QUSフィーチャセットを選択するステップ186とを含み得る。
【0015】
方法100、182を、ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するために適用する、本明細書中に記載した対象の適用の一例を以下に記載する。
【0016】
1.材料および方法
1.1.研究プロトコル
本発明者らの研究は、サニーブルック保健科学センター(Sunnybrook Health Sciences Centre)(商標)(SHSC)、カナダ、Torontoの施設研究倫理委員会の認可に従って実施した。研究は、18~85歳のLABCと診断され、NAC、続いて手術が計画されたすべての女性に開かれていた。これに従って、181人の適格患者を、書面のインフォームドコンセントを得た後に研究に採用した。癌診断を確認するため、ならびに腫瘍グレードおよび組織学的亜類型を決定するために、すべての患者で核針生検を行った。また、それぞれの患者について、初期腫瘍サイズを決定するために処置前の乳房の磁気共鳴(MR)画像も獲得した。超音波データは、患者からNACの開始直前に獲得した。超音波走査は、患者を仰臥位に横たわらせ、その腕をその頭部より上にして行った。患者をその処置の10年後まで追跡し、その臨床データを無再発生存分析について記録した。研究のために、患者の約30%(n=53人)をランダムに選択し、分離して盲目の独立試験組を形成し、残りの患者(n=128人)を訓練組とみなした。
【0017】
1.2.臨床的および病理学的応答の評価
すべての患者は、そのネオアジュバント化学療法を完了した後に残存腫瘍サイズを評価するために乳房手術を受け、手術の直前に乳房のMRI走査を得た。外科的検体をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色し、可能な時に全載5”×7”病理学的スライド上で調製し、共焦点スキャナ(TISSUEscope(商標)、Huron Technologies(商標)、カナダ、オンタリオ州Waterloo)を使用してこれをデジタル処理した。すべての病理学試料は、研究結果に盲目に保たれた有資格の病理学者によって検査した。患者は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)[44]および組織病理学的基準[37][45]に基づく改変応答(MR)グレード付けシステムを使用して、応答者および非応答者の2つの群へと分類した。MRスコアは以下のように定義した。MR1:腫瘍サイズの縮小なし、MR2:腫瘍サイズの30%までの縮小、MR3:腫瘍サイズの30%~90%の縮小または非常に低い残存腫瘍細胞充実性の組織病理学的な決定、MR4:腫瘍の90%を超える縮小、MR5:明白な腫瘍なしかつ腫瘍の部位からの切片中に同定可能な悪性細胞なし、しばしばマクロファージを含有する血管弾性線維間質のみが残る、それでもやはり、非浸潤性乳管癌は存在し得る。1~2(腫瘍サイズの30%未満の縮小)および3~5(腫瘍サイズの30%以上の縮小または非常に低い残存腫瘍細胞充実性を有する)のMRスコアを有する患者を、それぞれ非応答者および応答者として決定した。これに従って、138および43人の患者がそれぞれ応答者および非応答者として決定された。
【0018】
1.3.超音波データの獲得
超音波データは、約6MHzの中心周波数で作動し、3~8MHzの-6dB帯域幅範囲を有する、L14-5/60トランスデューサーを利用した、RFを可能にしたSonix RP(商標)(Ultrasonix(商標)、カナダ、Vancouver)システムを使用して得た。それぞれの乳房腫瘍について、超音波RFデータおよびBモード画像を、乳房を横切る4~7個の画像平面で、およそ1cm間隔で獲得した。専門の臨床家が超音波走査のための乳房領域を選択し、患者の身体検査を介して獲得走査平面を決定した。横方向および軸方向に沿った画像サイズはそれぞれ6cmおよび4~6cmであった。焦点深度は、個々の患者の状況に応じて腫瘍の中心に設定した。RFデータは、40MHzのサンプリング周波数を用いて獲得し、16ビットの解像度を用いてデジタル処理した。
【0019】
1.4.パラメータマップの生成
QUSパラメータ画像を生成するために、腫瘍核の輪郭を専門家が、関連するBモード画像を使用してそれぞれの走査平面上に手動で描いたが、そのような手動操作は、この代わりに、適切なデジタル画像処理システム上で用いる人工知能および/または機械学習アルゴリズムによってデジタルで、かつ自動で達成し得る。さらに、腫瘍境界輪郭を、核の周りに5mmの厚さで自動的に生成した(ただし、およそ1mm~およそ10mmの幅、または腫瘍核直径のおよそ5%~およそ200%の境界などの、様々な境界寸法が可能である)。パラメータマップを、関心領域(腫瘍核および境界)全体にわたるスライディングウィンドウ分析を使用して、2mm×2mmのサイズのウィンドウならびに横方向および軸方向の両方に95%の重複を用いて、腫瘍のすべてのイメージング平面について生成した。
【0020】
QUSスペクトル分析を行って、MBF、SS、SI、ESD、EACパラメータを導いた[26]、[27]。分析ウィンドウ内のすべての走査線についてハニングでゲーティングしたRFデータのフーリエ変換を使用し、その後、平均をとって、パワースペクトルを計算した。基準ファントム技法を使用して、平均パワースペクトルを正規化してシステム伝達関数およびトランスデューサービーム形成の効果を除去した[46]、[47]。基準ファントムは、ゼラチン中で微視的油滴の均一背景に包埋した5~30μmの直径のガラスビーズから構成されていた(医学物理学部(Medical Physics Department)、ウィスコンシン大学、米国)。基準ファントムの減衰係数および音速パラメータは、それぞれ0.576dB/MHz.cmおよび1488m/秒であった。腫瘍の減衰係数推定(ACE)を、スペクトル差方法を使用して計算し[46]、点減衰補償方法を使用した、正規化したパワースペクトルの減衰補正に使用した。二層(介在組織および腫瘍)の減衰補正を、全減衰推定を使用して行った[46]。乳房の超音波断層撮影測定に基づいて、介在乳房組織について1dB/MHz.cmの減衰係数を仮定した[48]。トランスデューサーの-6dB帯域幅内の直線回帰分析を使用して、MBF、SS、およびSIパラメータを推定した[26]、[49]、[50]。ESDおよびEACパラメータは、球状ガウス形状因子モデルを推定した後方散乱係数に当て嵌めることによって導いた[51]、[52]。
【0021】
1.5.腫瘍内領域の区分化
HMRF-EMアルゴリズムならびにESD、EAC、MBF、およびSIの腫瘍核パラメータマップを異なるデータチャネルとして使用して、QUSパラメータ画像上で腫瘍内領域をピクセルレベルで同定した(以下にさらに記載)。腫瘍内の明確な領域の最適数を、訓練組の試料にわたるエルボー法を使用して決定した[53]。具体的には、様々な数の領域について腫瘍内区分化を行い、ベイズ情報量基準(BIC)をクラスタリング品質測定法として推定した(ただし、クラスタリング品質測定法は、BIC、カリンスキー-ハラバス(Calinski-Harabasz)指数、またはデイビーズ-ボールディン(Davies-Bouldin)指数を含み得る)。続いて、適切なクラスタリング品質測定法に関連する領域の最小数(本例では、低いBIC(BICのプロット中のエルボー点対様々な数の領域))を同定した。この方法を使用して、QUSパラメータマップ上の明確な腫瘍内領域の最適数は、3個の領域として決定された。
【0022】
改変HMRFモデルを、腫瘍内領域の区分化のためのEMアルゴリズムを使用して訓練した[43]。HMRF-EMは、元はコンピュータビジョンの応用に提案された、教師なし分類方法である[54]。本方法は、複数チャネルカラー画像[43]、および医学的イメージングデータ[43]、[55]の区分化に適応することができる。本研究では、本発明者らは、異なるQUSパラメータマップを異なるデータのチャネル(フィーチャ)として適用して、腫瘍内の明確な領域を区分化した。それぞれのピクセルi(i=1、...、N)について、フィーチャセットを
【数2】
として定義することができる。目的は、パラメータマップ組X=(x、x、...x)内のすべての腫瘍核ピクセルについて、最大事後確率(MAP)推定でラベルY=(y、y、...、y)[式中、y={1、2、3}である]を推論することである。言い換えれば、推定されたラベルYは、
=argmax{P(X|Y,θ)P(Y)}......(1)
を満たすべきである[式中、以前の確率P(Y)はギブス分布であり、θは多変量ガウス分布パラメータを表す]。以下の方程式、すなわち、
【数3】
を同時尤度確率に使用する[式中、P(x|y、θ)は、パラメータθxi=(μ、Σ)を有する多変量ガウス分布であり、μは平均であり、Σは分布の精度行列である]。改変HMRF-EMアルゴリズムを使用して方程式(1)を解いた。初期パラメータおよびラベルを推定するために、K平均アルゴリズムをパラメータマップに対して適用した。その後、以下のステップを反復して行った。
1.ステップtで尤度分布P(x|y,θ)を計算する。
2.現在のパラメータ組θを使用して、MAP推定アルゴリズムによってラベルを推定する[43]。
3.ベイズ規則を利用して、すべてのl∈{1、2、3}およびすべてのピクセルxに関する後方分布P(l|x)を計算する。
4.計算した後方分布を用いて、更新されたパラメータ組θt+1を計算する。
【0023】
本発明者らは、反復を全訓練組に対して15回または収束するまで行い、MAP推定アルゴリズム中の内部ループを10回または収束するまで繰り返した。続いて、推定したガウス分布パラメータ(θ)をMAP推定アルゴリズムと共に使用して、試験組のパラメータマップ中のピクセルのラベルを決定した。区分化した領域は、訓練組のMBFパラメータマップ中の平均値に基づいて、最高(第1領域)から最低(第3領域)の値まで付番した。
【0024】
1.6.フィーチャの抽出およびバイオマーカーの発見
合計56個のフィーチャを、ESD、EAC、MBF、およびSIのQUSパラメータマップ中の区分化した腫瘍内領域および腫瘍境界から抽出した。抽出したフィーチャは、腫瘍核内のそれぞれのパラメータマップの平均値および信号対雑音比(SNR)(統計的およびテクスチャフィーチャ(textural features)も含み得る)(4×2個のフィーチャ)、腫瘍境界内のそれぞれのパラメータマップの平均値およびSNR(統計的およびテクスチャフィーチャも含み得る)(4×2個のフィーチャ)、それぞれの区分化した領域内のそれぞれのパラメータマップの平均値およびSNR(統計的およびテクスチャフィーチャも含み得る)(4×3×2個のフィーチャ)、それぞれのパラメータマップ中のそれぞれの2つの区分化した領域の平均値間の相違(統計的およびテクスチャフィーチャも含み得る)(4×3個のフィーチャ)、腫瘍核内のそれぞれの区分化した領域の割合エリア(3個のフィーチャ)、ならびに腫瘍境界対核の相対的エリアを含んでいた。それぞれの領域のSNRは、領域の平均ピクセル値対ピクセル値の標準偏差の比を、空間的な不均質性の測度として計算することによって獲得した[56]。フィーチャを、それぞれの腫瘍に関連するすべての2Dイメージング平面について計算し、続いて、全腫瘍体積にわたって平均をとった。
【0025】
複数ステップのフィーチャの縮小/選択プロセスを適用して、予測モデルに寄与しない冗長および無関係なフィーチャを排除して、頑強な応答予測のための最適QUSフィーチャセットを得た。第1のステップでは、最小冗長性最大関連性(mRMR)方法を使用して、フィーチャをランク付けし、21個のフィーチャまで縮小した[55]。次のステップでは、逐次前方選択(SFS)方法を使用して、最終的なフィーチャを縮小されたフィーチャセットから選択した。訓練組に対する5倍交差妥当性確認した精度をSFS方法における基準として使用し、AdaBoost決定木モデルを分類子として用いた[59]。SFS方法により、4つのフィーチャが、応答予測モデルを訓練するために適用した最適QUSフィーチャセット(バイオマーカー)として選択された。抽出したフィーチャが上述したもの以外を含むかどうか(たとえば、これらがたとえば統計的およびテクスチャフィーチャも含む場合)、縮小されたフィーチャセットおよび最適フィーチャを選択するために使用した方法/パラメータ(たとえば、mRMRおよびSFS(逐次後方選択または最小絶対値縮小選択演算子(LASSO)など)以外の方法を使用する場合)、ならびに場合によっては適用した訓練データに応じて、抽出したフィーチャの数は56以外であってよく、縮小されたフィーチャセット中のフィーチャの数は21以外であってよく、最適フィーチャの数は4以外であってよいことを理解されたい。
【0026】
比較のために、いかなる腫瘍内領域および腫瘍境界も考慮せずに腫瘍核全体から抽出したフィーチャを使用して、2つの他の実験を実施した。具体的には、腫瘍核内のそれぞれのパラメータマップの平均値およびSNRを含む8個のフィーチャ(4×2個のフィーチャ)、ならびに腫瘍核(4×2個のフィーチャ)および腫瘍境界(4×2個のフィーチャ)内のそれぞれのパラメータマップの平均値およびSNRからなる16個のフィーチャを、それぞれこれらの実験において適用した。どちらの事例でも、上述のものと同様のSFS方法を使用して最良のフィーチャセットを選択した。最良のフィーチャセットはどちらの実験でも4つのフィーチャを含んでおり、以下に記載のように応答予測について別々に適用した。
【0027】
1.7.応答予測およびリスク評価
データセットの不均衡の問題に取り組むために、合成少数派オーバーサンプリング技法(SMOTE)を使用して、訓練組の少数派クラスを多数派クラスのサイズに対してオーバーサンプリングした[57]。それぞれの実験においてAdaBoost決定木モデルを応答予測のために適応した。それぞれのモデルをオーバーサンプリングした訓練組に対して訓練した後、精度、感度、特異度、および受信者動作特徴曲線(ROC)下エリア(AUC)を使用して、その性能を独立試験組に対して評価した。
【0028】
生存分析を行って、何年もの後に決定された、異なる無再発生存を有するLABC患者コホートを識別することにおいて、開発したQUSバイオマーカーの処置前の有効性を評価した。カプラン-マイヤー生存曲線を、処置前のモデルの予測に基づいて、ならびに処置後に臨床的および組織病理学的基準に基づいて同定した応答者および非応答者について生成した。log順位検定を使用して、2つの患者コホート(応答者対非応答者)の生存曲線間の統計的に有意な差異を評価した。
【0029】
2.結果
参加した患者の臨床的および組織病理学的特徴を表1に提供する。
【0030】
【表1】
【0031】
患者の平均年齢は50.6歳であった。患者は5.2cmの平均初期腫瘍サイズを有しており、その処置の終わりに、平均残存腫瘍サイズは2.5cmであった。組織学の観点から、腫瘍の90.3%が浸潤性腺管癌、3.4%が浸潤性小葉癌、および6.3%が浸潤性化生性癌と診断された。さらに、患者の10.6%がグレード1腫瘍、38.8%がグレード2腫瘍、および50.6%がグレード3腫瘍と診断された。処置の終わりに、臨床的および組織病理学的基準に従って、患者の76.2%が応答者として、および23.8%が非応答者として同定された。
【0032】
図1は、それぞれ代表的な応答性および非応答性患者から獲得した超音波Bモード画像上に重ねた、ESD、EAC、MBF、およびSIのQUSパラメータマップを実証する。HMRF-EMアルゴリズムを使用して同定した明確な腫瘍内領域を図1Eに示す。応答性および非応答性患者から得られたQUSパラメータマップは、ピクセル値の平均および空間的分布に関して異なっていた。考慮すべき相違が、サイズ、ならびに応答者および非応答者から獲得したQUSパラメータマップ上の腫瘍内の区分化した領域のピクセル値の平均、分布、および相違で観察された。図2は、代表的な応答性および非応答性患者から得た外科的検体のH&E染色した組織病理学的画像を示す。組織学的画像は、非応答性患者の乳房切除術検体において大きな残存腫瘍を示す一方で、応答性患者から獲得した画像は、化学療法の効果を用いた腫瘍床エリアを実証し、残存腫瘍はない。画像はまた、腫瘍(床)エリア内の相当な不均質性も示す。
【0033】
複数ステップのフィーチャ選択プロセスは、第1の区分化した領域内のMBFパラメータマップの平均値(
【数4】
)、腫瘍境界内のESDパラメータマップのSNR(
【数5】
)、第1の領域内のSIパラメータマップのSNR(
【数6】
)、ならびに第1および第3の領域内のEACパラメータマップの平均値間の相違(
【数7】
)を含む、56個のフィーチャのうち4つのフィーチャを有するNAC応答予測のためのQUSバイオマーカーをもたらした。第1および第3の領域は、MBFパラメータマップ中の最高および最低の平均値に関連する。図3は、訓練組中の応答者および非応答者について選択されたフィーチャのボックスプロットを実証する。様々な相違レベルを、応答者および非応答者間の選択されたフィーチャで観察することができる一方で、これらのフィーチャの組合せは、処置前に応答群間をより良好に識別すると予想される。
【0034】
同様のフィーチャ選択方法を区分化していない腫瘍核から導かれた8個のフィーチャに対して適用することで、腫瘍核内のMBFおよびSIパラメータマップの平均値(
【数8】
)、ならびにEACおよびSIパラメータマップのSNR(
【数9】
)を含む4つのフィーチャがもたらされた。区分化していない腫瘍核および腫瘍境界から導かれた16個のフィーチャの場合、最良のフィーチャセットは、腫瘍核内のMBFおよびSIパラメータマップの平均値(
【数10】
)、腫瘍核内のEACパラメータマップのSNR(
【数11】
)、ならびに腫瘍境界内のSIパラメータマップのSNR(
【数12】
)からなっていた。
【0035】
表2は、様々な実験で得られた最良のフィーチャセットを使用した、訓練および独立試験組に対する応答予測の結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】
応答予測において区分化していない腫瘍核から抽出されたもののうち、選択されたフィーチャを適用することで、独立試験組に対して74.5%の精度、66.6%の感度、および77.5%の特異度がもたらされた。腫瘍境界から導かれたフィーチャを組み入れることで、特異度が80%まで、および精度が76.4%まで増加した。区分化した腫瘍内領域および腫瘍境界から導かれたフィーチャからなるQUSバイオマーカーを適用することで、訓練および試験組に対しても応答予測モデルの最良の性能がもたらされ、独立試験組に対してそれぞれ85.4%、86.6%、85.4%、および0.89の精度、感度、特異度、およびAUCであった。
【0038】
図4は、最適QUSバイオマーカーを使用した処置前の予測に基づいて、ならびに処置後に臨床的および病理学的基準を使用して同定した応答性および非応答性患者における、10年間無再発生存曲線を実証する。訓練および試験組の両方における組織病理学的応答コホートの生存曲線間で、統計的に有意な相違(p値<0.05)が観察され、応答者は、非応答者よりも有意に高い生存率を実証した。同様の傾向が処置前に予測した応答コホートの生存曲線においても観察され、訓練および試験組の両方における2つのコホートの長期生存間に統計的に有意な相違があった。
【0039】
3.考察
本発明者らは、処置前に獲得したQUS複数パラメータ画像上の明確な腫瘍内領域の特徴を使用した、NACに対する乳癌応答を予測するための新規方法を調査した。改変HMRF-EMアルゴリズムを適用して、LABC患者から獲得したQUSパラメータ画像上の腫瘍内領域を区分化した。いくつかのフィーチャを区分化したQUS複数パラメータ画像から導いて、同定した腫瘍内領域および腫瘍境界を特徴づけた。4つのフィーチャからなるハイブリッドQUSバイオマーカーを、NAC応答予測のための複数ステップのフィーチャ選択プロセスを通じて構築した。結果は、AdaBoost決定木モデルと併せた開発したQUSバイオマーカーが、NACに対するLABC患者の応答を、処置開始前に、85.4%の精度および0.89のAUCで予測することができることを示した。比較して、QUSパラメータ画像上の全腫瘍核および腫瘍境界から抽出した最良のフィーチャを適用することで、76.4%の精度および0.76のAUCがもたらされた。得られた結果は、QUS複数パラメータ画像上で同定された明確な腫瘍内領域の特徴を使用することで、乳癌における治療応答予測の精度を改善させることができることを示す。無再発生存分析を用いて、長期的処置成績に関して患者を識別することにおける、開発した予測モデルの性能を評価した。処置前の予測に基づいて同定した応答者および非応答者について得られた10年間無再発生存曲線は、処置後に臨床的および組織病理学的基準を使用して同定した2つの応答群について生成したその対応物に非常に類似していた。両方法に基づいて同定した応答者および非応答者の生存間で統計的に有意な相違が観察された。
【0040】
いくつかの最近の研究が、化学療法に対する乳癌の応答を予測およびモニタリングするための、QUSスペクトルおよびテクスチャパラメータの潜在性を実証している[34]~[37]。これらの研究では、そのデータセットが比較的小さなサイズであるため、患者一人抜き交差検証手法を使用して、治療応答評価のためのQUSパラメータの有効性を評価した。交差検証手法は、限定的なデータが利用可能である場合に分類モデルを評価するために一般的に使用される一方で、これらは、過剰当て嵌めが原因で、モデルの性能を過大評価する場合がある。本発明者らは、腫瘍内領域の特性を定量することによって、応答予測のためのQUS複数パラメータ画像を分析するための新しい方法を導入した。開発したQUSバイオマーカーを、バイオマーカーの発見および予測モデルの訓練中に盲目に保った独立試験組に対して評価した。本発明者らによって得られた結果は、独立データに対して厳格に評価した新しい頑強なフィーチャに基づいた、治療応答評価のためのQUSパラメータの有効性を示す。
【0041】
結果により、ESD、EAC、MBF、およびSIのQUSパラメータマップ上で同定した腫瘍内領域および腫瘍境界の特徴を、処置の開始前に化学療法に対する腫瘍応答(LABCを含む乳房腫瘍のものを含む)を予測するために使用できることが示された。これらのパラメータマップは、そのサイズ、密度、分布、およびインピーダンスミスマッチを含む、根底にある音響的散乱体の特性を定量することによって、腫瘍微細構造に関する相補的情報を提供する[22]、[23]、[26]。これらの複数パラメータマップ上の明確な領域を区分化することは、腫瘍内不均質性の有効な特徴づけを潜在的に容易にする。腫瘍内の空間的な不均質性は、抗癌治療および臨床成績に対するその応答性/耐性において重大な役割を実証した[38]。
【0042】
複数ステップのフィーチャ選択プロセスを通じて開発した最適QUSバイオマーカーは、
【数13】
を含む4つのフィーチャからなる。4つのパラメータ画像すべてが開発したバイオマーカーに寄与したため、選択されたフィーチャは、4つのQUSパラメータマップが化学療法に対する乳房腫瘍を含む腫瘍の応答性に関する相補的情報を提供することを暗示する。さらに、フィーチャ選択アルゴリズムは、明確な腫瘍内領域から導かれたフィーチャを腫瘍核全体から導かれたフィーチャよりも優先するため、明確な腫瘍内領域から導かれたフィーチャは、治療応答に関して腫瘍をより良好に特徴づけ得る。バイオマーカー中の第2のフィーチャ(
【数14】
)は、腫瘍境界内の有効散乱体直径(dimeter)におけるシグナル品質(均質性)の測度である。
【0043】
結論として、本発明者らは、乳房腫瘍(たとえばLABC)を含む腫瘍中の腫瘍内領域を、化学療法の応答予測のために、QUS複数パラメータマップ上で有効に区分化することができることを実証した。本方法を使用して開発したQUSバイオマーカーは、NACに対する腫瘍(乳房腫瘍を含む)応答を高い感度および特異度で予測し、有意差のある長期的結果を伴って患者を2つのコホートへと分類することができる。長期生存に対して実証された相関を伴って、処置前に化学療法に対する癌応答を予測することは、癌患者において高精度医療の採用を容易にし得る。
【0044】
図7を参照して、本明細書中に記載の方法のうちの任意のものを、適切な処理能力(画像処理および生成ステップ(QUSスペクトル分析およびQUS複数パラメータマップまたは画像生成ステップなど)を含む、機械学習およびデータ獲得ならびに処理ステップを含む、本明細書中に記載の方法100、182のステップを実行するための、汎用および特殊目的(グラフィックスなど)の処理に関するものを含む)を有する、特別に設計および構成された、1つまたは複数の計算装置210(サーバ210を備え得る)を備えるシステム200によって実行し得る。システム200は、組織の超音波高周波(RF)データおよびBモードまたは2D画像を獲得および/または生成するための、1つまたは複数の超音波装置230をさらに備え得る。計算装置210および超音波装置230は、直接、またはネットワーク220上で本明細書中に記載のネットワーク型および通信プロトコルのうちの任意のものを介して間接的に通信し得る。
【0045】
ネットワーク220は、システム200の通信構成要素間の直接連結、または、それだけには限定されないが、イーサネット(商標)、ブルートゥース(商標)、WiFi(商標)、NFC(近距離無線通信)、赤外線、WiMAX(商標)(固定もしくはモバイル)、RFID(無線認識)、CoAP(制約アプリケーションプロトコル(Constrained Application Protocol))、MQTT(メッセージ待ち行列遠隔測定伝達(Message Queue Telemetry Transport))、それだけには限定されないが、GSM、GPRS、EDGE、CDMA、UMTS、LTE、LTE-A、IMSなどの5Gまでのプロトコルを含む任意の適切なセルラー通信プロトコル、ならびに、任意のプロプライエタリプロトコルを含む、本明細書中に記載の方法、システム、および装置に適切な任意の他の有線もしくは無線通信プロトコルおよび媒体による通信を含む、間接的なものを備え得る。ネットワーク220は、それだけには限定されないが、有線または無線PAN(パーソナルエリアネットワーク)、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(広域ネットワーク)、MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)、メッシュまたはアドホックネットワーク、VPN(仮想プライベートネットワーク)、インターネット、および任意の適切なネットワーク構成またはトポロジー(たとえば、メッシュ、トークンリング、ツリー、スターなど)の任意の他の適切なネットワーク型を含む、本明細書中に記載の方法、システム、および装置に適切な種類の、単一ネットワークまたは複数の相互接続したネットワークを備え得る。図7には示されていないが、システム200は、使用する通信および/またはネットワーク型を達成するために必要な任意の構成要素をさらに備えていてよく、また、ネットワークセキュリティ増加のための構成要素、たとえば、アクセスポイント、ルータ、およびファイアーウォールも備え得る。
【0046】
図8を参照して、計算装置210は、メモリ222、通信モジュール232、ディスプレイ240、1つまたは複数の入力装置250、ならびに、メモリ222、通信モジュール232、ディスプレイ240、および入力装置250と連結された少なくとも1つのプロセッサ260を備え得る。通信モジュール232は、計算装置210が、ネットワーク220などの有線または無線通信ネットワークを介して、1つまたは複数の超音波装置230などのシステム200の1つまたは複数の他の構成要素と通信することを可能にする。
【0047】
図9を参照して、超音波装置230は、メモリ270、通信モジュール280、ディスプレイ290、1つまたは複数の入力装置300(キーボード300およびトランスデューサープローブ300を備える)、トランスデューサーパルスコントロール310、ならびに、メモリ270、通信モジュール280、ディスプレイ290、入力装置300、およびトランスデューサーパルスコントロール310と連結させた少なくとも1つのプロセッサ320を備え得る。通信モジュール280は、超音波装置230が、ネットワーク220などの有線または無線通信ネットワークを介して、1つまたは複数の計算装置210などのシステム200の1つまたは複数の他の構成要素と通信することを可能にする。
【0048】
本明細書中で使用する用語「メモリ」またはその任意の変形とは、メモリ222、270を指し得る。任意のそのようなメモリは、プロセッサ260、320を備える本明細書中に記載の任意のプロセッサによって、本明細書中に記載の任意の方法、ステップ、またはプロセスを実行するための、コンピュータプログラム、指示セット、コード、ソフトウェア、および/またはデータなどのコンピュータで実行可能な指示を備えるまたは記憶する有形かつ非一過性コンピュータ読取可能媒体(すなわち、一過性の伝播シグナル自体だけを備えない媒体)を備え得る。本明細書中で使用する用語「プロセッサ(processor)」、「複数のプロセッサ(processors)」または「プロセッサ(複数可)(processor(s))」とは、本明細書中に記載の方法ステップを実施するために適切な、プロセッサ260、320の任意の組合せを指し得る。メモリは、任意の種類のローカルおよび/または遠隔のハードディスクまたはハードドライブ、ROM(読み出し専用メモリ)および/またはRAM(ランダムアクセスメモリ)、バッファ、キャッシュ、フラッシュメモリ、光メモリ(たとえばCDおよびDVD)、ならびに情報をそれ中またはそれ上に任意の期間の間記憶させ得る、任意の他の形態の揮発性または不揮発性記憶媒体のうちの1つまたは複数を備え得る。そのようなコンピュータで実行可能な指示は、計算装置210および/または超音波装置230のプロセッサによって実行された際、プロセッサ260、320が、ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する腫瘍応答を予測するための方法などの、本明細書中に記載の方法のうちの任意のものを行うことを引き起こす。
【0049】
前述の説明は、明確性および理解の目的のためにある程度詳細に説明したが、当業者は、本開示に精通した後は、添付の特許請求の範囲の真の範囲から逸脱せずに、形態および詳細の様々な変化を行うことができることを理解されよう。したがって、本出願は、上記に記載した方法または構成の正確な構成要素または詳細に限定されない。プロセス自体に必要または特有である程度以外は、図面を含む本開示中に記載した方法またはプロセスのステップまたは段階の特定の順序を意図または暗示せず、プロセスまたは方法のステップの順序は、記載した方法の目的、効果、または趣旨を変化させずに、変化させ得るおよび/または逐次もしくは並行にし得る。
【0050】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】