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特表2024-524359(パー)フルオロポリエーテル鎖を含むコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】(パー)フルオロポリエーテル鎖を含むコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20240628BHJP
   C10M 107/38 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 65/337 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 259/08 20060101ALI20240628BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20240628BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
C08F293/00
C10M107/38
C08G65/337
C08F259/08
C10N40:02
C10N30:02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580388
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067112
(87)【国際公開番号】W WO2023274823
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183256.3
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デ パット, ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ロティエルゾ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】グアルダ, ピエール アントニオ
【テーマコード(参考)】
4H104
4J005
4J026
【Fターム(参考)】
4H104EB05
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB20
4H104LA01
4H104LA04
4H104PA01
4J005AA09
4J005BD00
4J005BD04
4J026AA26
4J026AB19
4J026BA09
4J026BA17
4J026DB32
4J026DB36
4J026GA01
4J026GA02
4J026HA09
4J026HA23
4J026HA38
4J026HA43
4J026HA46
(57)【要約】
本特許出願は、潤滑剤として有用であり、且つ増加した粘度によって特徴付けられる、(パー)フルオロポリエーテル鎖を含むブロックコポリマーに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2の(パー)フルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含むブロックコポリマー[コポリマー(P)]であって、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(I):
【化1】
(式中、
nは、0又は1~3の整数であり、
~Rは、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
11~R15は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、0又は1~250の整数であり、
u^は、0又は1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり、
B^は、式:
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基である)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従う第1のブロック[ブロック(1)]、及び
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)]- (IV)
(式中、
n*は、0又は1~10の整数であり、
Lは、0又は1~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、上記で定義された式(II)の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択され、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
に従う第2のブロック[ブロック(2)]
を介して互いに結合され、但し、
- 前記コポリマー(P)において、
-- (n+n*+v^)の合計は、1~15、好ましくは1~11、より好ましくは1~9であり、
-- (L+L^)の合計は、1~500、好ましくは2~500、より好ましくは2~300であり、
-- 前記ブロック(1)及び前記ブロック(2)は、統計的に分布しており、
- 前記式(I)において、
-- R~Rの少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であり、
- 前記式(III)及び前記式(IV)において、
-- 繰り返し単位は、統計的に分布しており、
- 前記式(III)において、
-- aが1である場合、v^及びL^の少なくとも1つは、0と異なり、及び
- 前記式(IV)において、
-- n*及びLの少なくとも1つは、0と異なることを条件とする、ブロックコポリマー[コポリマー(P)]。
【請求項2】
- 前記第1及び第2のPFPE鎖の前記第1の鎖末端並びに式(III)の前記Tは、互いに等しいか又は異なり、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、及び/又は
- 前記第1及び第2のPFPE鎖、前記A^並びに前記C^は、互いに等しいか又は異なり、及び/又は
- 前記第1のPFPE鎖は、シグマ結合又は-CF-、-CFCF-若しくは-O-から選択される基-(C)-を介して前記ブロック(1)に結合されており、及び/又は
- 前記ブロック(2)は、シグマ結合又は-CF-、-CFCF-若しくは-O-から選択される基-(C)-を介して前記第2のPFPE鎖に結合されており、及び/又は
- 前記PFPE鎖のそれぞれは、繰り返し単位R°を含む、好ましくはこれらからなる部分的又は完全にフッ素化された鎖[鎖(R)]であり、前記繰り返し単位は、
(i)-CFXO-(式中、Xは、F又はCFである)、
(ii)-CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか又は異なるXは、F又はCFであり、但し、Xの少なくとも1つは、-Fであることを条件とする)、
(iii)-CFCFCWO-(式中、互いに等しいか又は異なるWのそれぞれは、F、Cl、Hである)、
(iv)-CFCFCFCFO-、
(v)-(CF-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、及びZは、一般式-O-R(f-a)-Tの基であり、R(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、Xのそれぞれが独立してF又はCFである-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中で選択され、及びTは、C~Cパーフルオロアルキル基である)
からなる群から独立して選択される、請求項1に記載のコポリマー(P)。
【請求項3】
式(II)において、
- tは、0であるか、又は
- tは、1であり、及びR10は、以下の式:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、d*、e、e*、f及びf*のそれぞれは、独立して、0又は1であり、及び
CFは、任意選択的に1つ以上の酸素原子によって中断されている、1~12、好ましくは1~8つの炭素原子を含むパーフルオロアルキル鎖のいずれかである)、
(R10-ii)-O-(CO)-(CF-(CO)-O-
(式中、h=jであり、及びh+jは、2~6であり、且つiは、2~6である)
の1つに従う、請求項1又は2に記載のコポリマー(P)。
【請求項4】
式(II)において、
- zは、1に等しく、及びR10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価の過フッ素化アルキル鎖であり、及び/又は
- 置換基R11及びR12の一方は、式(III)の基であり、及び他方の置換基は、フッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくはフッ素原子又は1つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から選択され、及び/又は
- 置換基R13~R15の1つは、式(III)の基であり、及び他の2つの置換基は、フッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくはフッ素原子又は1つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から独立して選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項5】
- 式(III)において、-(E^)L^-は、以下の式:
-(CR100^101^CR102^103^l^-(CR110^111^CR112^113^m^
(式中、
l^及びm^は、それぞれ独立して、1~250、より好ましくは2~250の整数であり、それにより、L+mの合計は、2~250であり、
100^、R101^、R110^及びR111^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^、R103^、R112^及びR113^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成するか、又は
110^及びR111^の一方並びにR112^及びR113^の一方は、フッ素原子であり、且つR110^及びR111^の他方並びにR112^及びR113^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成し、
但し、-(CR100^101^CR102^103^l^-及び-(CR110^111^CR112^113^m^-は、互いに異なり、且つ統計的に分布していることを条件とする)
に従い、及び/又は
- 式(IV)において、-(E)-は、以下の式:
-(CR100101CR102103-(CR110111CR112113
(式中、
l、m、R100、R101、R110、R111、R102、R103、R112及びR113のそれぞれは、それぞれl^、m^、R100^、R101^、R110^、R111^、R102^、R103^、R112^及びR113^について上記で定義された意味を有する)
に従う、請求項1~4のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項6】
更なる化学反応を受けることができる任意の部分、例えば不飽和部分を含むペンダント基を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項7】
それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2のPFPE鎖を含むブロックコポリマー[(P-1)]であり、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)]- (IV)
(式中、
n*は、1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、更により好ましくは1の整数であり、
Lは、0又は1~250、より好ましくは2~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
11~R15は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、1~250、好ましくは2~250の整数であり、
u^は、1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり
B^は、式
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基であり、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従うブロック
を介して互いに結合され、但し、
- 前記コポリマー(P-1)において、
-- (n*+v^)の合計は、1~15であり、
-- (L+L^)の合計は、2~500、好ましくは3~300、より好ましくは4~250であり、及び
-- 式(III)及び(IV)の繰り返し単位は、統計的に分布しており、及び
- 前記式(IV)において、
-- R1^~R4^の少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であることを条件とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項8】
それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2のPFPE鎖を含むブロックコポリマー[(P-2)]であり、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(I):
【化2】
(式中、
nは、1~3の整数であり、
~Rは、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
11~R15は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、1~250、好ましくは2~250の整数であり、
u^は、0又は1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり、
B^は、式
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式
-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基である)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従う第1のブロック[ブロック(1)]、及び
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)L*]- (IV)
(式中、
n*は、0又は1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、更により好ましくは0若しくは1の整数であり、
L*は、0又は1~250、より好ましくは2~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、上記で定義された式(II)の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択され、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
に従う第2のブロック[ブロック(2)]
を介して互いに結合され、但し、
- 前記コポリマー(P-2)において、
-- (n+n*+v)の合計は、1~15、好ましくは1~11、より好ましくは1~9であり、
-- (L^+L*)の合計は、1~500、好ましくは2~500、より好ましくは2~300であり、及び
-- 前記ブロック(1)及び前記ブロック(2)は、統計的に分布しており、及び
- 前記式(I)において、
-- R~Rの少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であり、及び
- 前記式(III)及び前記式(IV)において、繰り返し単位は、統計的に分布しており、
- 前記式(III)において、
-- aが1である場合、v^及びL^の少なくとも1つは、0と異なり、及び
- 前記式(IV)において、n*及びL*の少なくとも1つは、0と異なる、請求項1~7のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の2つ以上のコポリマー(P)を含む混合物[混合物(P)]。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリマー(P)を製造するプロセス[プロセス(P)]であって、UV照射の存在下又は加熱下において、
- 過酸化基を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]と、
- 式(X-p):
【化3】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物と、
- 少なくとも1種の化合物[化合物(O)]であって、
(i)2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化4】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される少なくとも1つの化合物[化合物(O)]と
を接触させる少なくとも1つの工程を含み、但し、式(X-p)の前記化合物の量は、前記PFPEパーオキシの量の5重量%未満であることを条件とする、プロセス[プロセス(P)]。
【請求項11】
前記PFPEパーオキシは、2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマーであり、前記鎖末端のそれぞれは、任意選択的に1つ以上の塩素原子又はフッ化アシル、フルオロホルメート及びケトンから選択される官能性末端基を含有する、1~3つの炭素原子を有する(パー)フッ素化アルキル鎖を含み、前記鎖末端は、前記(パー)フルオロポリエーテル鎖の反対側に結合されており、前記(パー)フルオロポリエーテル鎖は、上記で定義された式(Rf-i)~(Rf-v)からなる群から独立して選択され、且つPFPEパーオキシの100g中の活性酸素のグラム(Mw=16)として定義される、0.1~4、好ましくは0.1~3.5の過酸化物含有量(PO)を有する繰り返し単位を含む、好ましくはこれらからなる、請求項10に記載のプロセス(P)。
【請求項12】
式(X-p)の前記少なくとも1つの化合物は、以下の式:
CF=CF(R10CF=CF
(式中、
tは、0又は1であり、
10は、以下の式:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、d*、e、e*、f及びf*のそれぞれは、独立して、0又は1であり、及び
CFは、任意選択的に1つ以上の酸素原子によって中断されている、1~12、好ましくは1~8つの炭素原子を含むパーフルオロアルキル鎖のいずれかである)、
(R10-ii)-O-(CO)-(CF-(CO)-O-
(式中、h=jであり、及びh+jは、2~6であり、且つiは、2~6である)
の1つに従う)
に従う、請求項10又は11に記載のプロセス(P)。
【請求項13】
前記化合物(O)の2つが使用される、請求項10~12のいずれか一項に記載のプロセス(P)。
【請求項14】
- 第1の化合物(O)は、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)など、2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィンを含む、好ましくはこれからなる群において選択され、及び
- 第2の化合物(O)は、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化5】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択され、定義(i)におけるPAVE及びMOVEが特に好ましい、請求項13に記載のプロセス(P)。
【請求項15】
請求項7に記載のポリマー(P-1)を製造するプロセス[プロセス(P1)]であって、
a*)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、
- 式(X-p):
【化6】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/又はそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物、及び
- 少なくとも1つの化合物[化合物(O)]であって、
(i)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)など、2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィン、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化7】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される少なくとも1つの化合物[化合物(O)]
と接触させる工程であって、式(X-p)の前記化合物の量は、前記PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程、
b*)前記PFPEパーオキシ、式(X-p)の前記化合物及び前記少なくとも1つの化合物(O)をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程、
c*)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P1)を得る工程
を含むプロセス[プロセス(P1)]。
【請求項16】
請求項8に記載のコポリマー(P-2)を製造するプロセス[プロセス(P2-a)]であって、
a’)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、上記で定義された少なくとも1つの化合物(O)と接触させる工程と、
b’)前記PFPEパーオキシ及び前記化合物(O)をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程と、
c’)前記UV照射又は加熱を停止する工程と、
d’)反応混合物を、式(X-p):
【化8】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物と接触させる工程であって、式(X-p)の前記化合物の量は、前記PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程と、
e’)UV照射又は加熱の存在下で前記反応を進行させる工程と、
f’)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P2)を得る工程と
を含むプロセス[プロセス(P2-a)]。
【請求項17】
請求項8に記載のコポリマー(P-2)を製造するプロセス[プロセス(P2-b)]であって、
a’’)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、式(X-p):
【化9】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物と接触させる工程であって、式(X-p)の前記化合物の量は、前記PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程と、
b’’)前記PFPEパーオキシ及び式(X-p)の前記化合物をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程と、
c’’)前記UV照射又は加熱を停止する工程と、
d’’)工程c’’)で得られた反応混合物を、上記で定義された少なくとも1つの化合物(O)と接触させる工程と、
e’’)UV照射又は加熱の存在下で前記反応を進行させる工程と、
f’’)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P2)を得る工程と
を含むプロセス[プロセス(P2-b)]。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリマー(P)又は請求項9に記載の混合物(P)と、部分フッ素化、完全フッ素化及び水素化基油を含む群において選択される少なくとも1つの基油であって、但し、前記コポリマー(P)と溶液を形成することができることを条件とする、少なくとも1つの基油と、任意選択的に、増粘剤、防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のためのものを含む耐摩耗剤、分散剤、トレーサー、染料、タルク及び無機充填剤から選択される少なくとも1つの添加剤とを含む組成物[組成物(CL)]。
【請求項19】
少なくとも1つの物品の少なくとも1つの表面を潤滑する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリマー(P)、又は請求項9に記載の混合物(P)、又は請求項18に記載の組成物(CL)を前記少なくとも1つの表面と接触させることを含む方法。
【請求項20】
前記物品は、電気水中ポンプ及び同様のものなどの石油及びガス用途で使用するためのポンプ、蒸気タービン及びガスタービンなどの回転機械、電気コネクタ、ファンクラッチ又は冷却ファンのベアリング又は大型トラックの自動クラッチ、より具体的には前記クラッチのベアリングから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
装置における振動及び/又は衝撃に対抗する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリマー(P)、又は請求項9に記載の混合物(P)、又は請求項18に記載の組成物(CL)を含むダンパー装置を含む機器を提供することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、欧州特許出願公開第21183256.3号明細書として欧州で2021年7月1日に出願された優先権を主張し、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、増加した粘度によって特徴付けられる、(パー)フルオロポリエーテル鎖を含むコポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
潤滑は、機械を適切な動作状態に維持する重要な要素である。ベアリング、ピン、シャフト、ギア及びジョイントなどの機械要素は、摩擦の低減、汚染の防止、摩耗の低減及び熱の放散のために、それらの可動面間に適切な潤滑を必要とする。不適切な潤滑は、構成要素の早期摩耗及び構成要素又はシステムの故障につながる可能性がある。
【0004】
(パー)フルオロポリエーテルポリマー(以下では「PFPEポリマー」と呼ばれる)は、基油又はいくつかの潤滑用途における添加剤として長い間知られてきた。
【0005】
PFPEポリマーのいくつかの合成が当技術分野で開示されている。不特定の過フッ素化ポリエーテル混合物の第1の合成は、油状生成物がヘキサフルオロプロペンの光オリゴマー化の過程で得られた、1953年に報告された。それ以来、多数の異なる過フッ素化ポリエーテルが合成され、文献に記載されてきた。
【0006】
米国特許第4500739号明細書(Montedison名義)は、過酸化PFPEと、とりわけパーフルオロブタジエン(フルオロオレフィンのグループII)との反応を開示している。実施例4は、反応がヘキサメチレンジアミンの存在下で更に進行できるように、高分子鎖に沿ってペンダント型不飽和基をもたらす、大過剰の過フッ素化ビスオレフィンとのパーフルオロブタジエンの反応を開示している。
【0007】
米国特許第8,258,090B2号明細書(Solvay Solexis S.p.A.名義)は、式:
(I)T-O-[A-B]z-[A’-B’]z’-A-T
(式中、
T及びT’は、C1-3パーフルオロアルキル又はC1-6アルキルであり、
A及びAは、パーフルオロポリエーテル鎖であり、
Bは、以下の式:
(Ia)-[(CR-CR-(CR-CRj’]-
(式中、
jは、1~5であり、j’は、0~4であり、j+j’の合計は、2~5であり、
~Rは、ハロゲン、H、C1-6(パー)ハロアルキル、C1-6アルキル、C1-6オキシ(パー)フルオロアルキルである)
の2つの異なるオレフィンから誘導され、その少なくとも1つは、ラジカル経路によって単独重合可能であり、
zは、2以上であり、z’は、整数であり、zとz’との合計は、式(I)のポリマーの数平均分子量が500~500000の範囲であるようなものであり、
B’は、(Ia)であるが、R1~R8の少なくとも1つは、Bと異なる意味を有する)
のフッ素化潤滑剤を開示している。この特許は、分岐のない直鎖骨格を特徴とするブロックコポリマーを開示している。実際には、B内では分岐が得られず、特に(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む。
【0008】
PFPEポリマー単位を使用して得られるポリマーは、当技術分野で開示されている。架橋フルオロエラストマーもその中のものである。この点に関して、S.P.Krukovsky et al.-J of Fluorine Chemistry 96(1999)31-33は、UV照射及び加熱下において、鎖中にパーオキシド基を含むパーフルオロアルキレンオキシドをパーフルオロジビニルエーテルと共重合させて、エラストマーと呼ばれる架橋ポリマーを得ることを開示した。この文献は、反応物の量を開示しておらず、潤滑剤のための使用に適したポリマーの製造方法にも言及していない。
【発明の概要】
【0009】
近年の研究開発は、単官能性及び/又は二官能性(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーに焦点を当てているが、本出願人は、潤滑剤として使用できる中性のPFPEポリマーを提供する必要性が依然として存在すると認識した。
【0010】
本出願人は、低いガラス転移温度(Tg)を維持し、依然として室温で液体状態を維持しながら、粘度の増加(25℃において0.1rad/sでの複素粘度によって測定)によって特徴付けられる新しい中性PFPEポリマーを提供する問題に直面した。
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、数平均分子量の増加による増加した粘度によって特徴付けられる中性分岐(パー)フルオロポリエーテルポリマーが、工業規模で実施しやすいプロセスによって提供され得ることを見出した。
【0012】
有利には、このプロセスは、低いガラス転移温度及び良好な粘度指数(ASTM D2270)を維持しながら、高い熱安定性を有する中性(パー)フルオロポリエーテルポリマーを製造することを可能にし、それにより、このようなポリマーは、例えば、幅広い範囲の動作温度又は高い発熱を必要とする用途を含む、過酷な環境における潤滑剤として特に有用である。
【0013】
第1の態様では、本発明は、それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2の(パー)フルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含むブロックコポリマー[コポリマー(P)]に関し、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(I):
【化1】
(式中、
nは、0又は1~3の整数であり、
~Rは、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
1115は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、0又は1~250の整数であり、
u^は、0又は1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり、
B^は、式:
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基である)
の基である)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従う第1のブロック[ブロック(1)]、及び
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)]- (IV)
(式中、
n*は、0又は1~10の整数であり、
Lは、0又は1~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、上記で定義された式(II)の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択され、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
に従う第2のブロック[ブロック(2)]
を介して互いに結合され、但し、
前記コポリマー(P)において、
-- (n+n*+v^)の合計は、1~15、好ましくは1~11、より好ましくは1~9であり、
-- (L+L^)の合計は、1~500、好ましくは2~500、より好ましくは2~300であり、
-- 前記ブロック(1)及び前記ブロック(2)は、統計的に分布しており、
前記式(I)において、
-- R~Rの少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であり、
前記式(III)及び前記式(IV)において、
-- 繰り返し単位は、統計的に分布しており、
前記式(III)において、
-- aが1である場合、v^及びL^の少なくとも1つは、0と異なり、及び
前記式(IV)において、
-- n*及びLの少なくとも1つは、0と異なることを条件とする。
【0014】
第2の態様では、本発明は、上記で定義されたコポリマー(P)を製造するプロセス[プロセス(P)]に関する。
【0015】
有利には、本発明によるコポリマー(P)は、UV照射の存在下又は加熱下において、
- 過酸化基を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]と、
- 式(X-p):
【化2】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は任意選択的に及び好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
と、
- 少なくとも1つの化合物[化合物(O)]であって、
(i)2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化3】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロ-アルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される少なくとも1つの化合物[化合物(O)]と
を接触させることを含むプロセス[プロセス(P)]を介して調製され、但し、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量の5重量%未満であることを条件とする。
【0016】
本発明によるプロセスにおいて、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量よりも少なくなるように適切に選択されることが重要である。
【0017】
有利には、このような量を選択することにより、85%を超える、より好ましくは90%を超える、更により好ましくは95%を超える式(III)の化合物の不飽和部分が、出発となるPFPEパーオキシの少なくとも1つのパーオキシ基と反応し、ペンダント基(「官能基」とも呼ばれる)としての不飽和部分を含まない分岐ブロックコポリマー(P)が得られる。
【0018】
コポリマー(P)は、有利には、更なる化学反応を起こすことができる任意の部分を含むペンダント基を含まない。特に、コポリマー(P)は、ペンダント基としての不飽和部分を含まない。
【0019】
第3の態様では、本発明は、上記のプロセス(P)を介して得られるコポリマー(P)に関する。
【0020】
精製工程は、前記プロセス(P)の最後に実施され得るが、本発明によるコポリマー(P)が混合物としてプロセス(P)の最後に得られることは、当業者に明らかであろう。
【0021】
従って、更なる態様では、本発明は、上記で定義された2つ以上のコポリマー(P)を含む混合物[混合物(P)]に関する。
【0022】
混合物(P)が上記のプロセス(P)を介して得られることは、当業者に明らかであろう。
【0023】
有利には、前記混合物(P)は、1つ以上の精製工程(「分別」工程とも呼ばれる)に供され、これにより異なる粘度を特徴とする別個のコポリマー(P)を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本説明の及び以下の特許請求の範囲の目的のために、
- 例えば「ポリマー(P)」等のような表現における、式を特定する記号又は数字の周りの括弧の使用は、本文の残りから記号又は数字をよりよく区別するという単なる目的を有し、そのため、前記括弧は、省略することもでき、
- 頭字語「PFPE」は、「(パー)フルオロポリエーテル」を表し、名詞として用いられる場合、文脈に依存して、単数形又は複数形のいずれかを意味することを意図し、
- 用語「(パー)フルオロポリエーテル」は、完全又は部分的にフッ素化されたポリエーテルを示すことを意図される。
【0025】
コポリマー(P)
有利には、前記コポリマー(P)は、0.1rad/sにおいて25℃で測定される、10Pa・s~2000Pa・sの複素粘度を特徴とする。
【0026】
前記第1及び第2のPFPE鎖の前記第1の鎖末端がコポリマー(P)の2つの鎖末端に対応することは、当業者に理解されるであろう。
【0027】
好ましくは、前記第1及び第2のPFPE鎖の前記第1の鎖末端は、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化直鎖アルキル基を含む。
【0028】
好ましくは、前記過フッ素化アルキル基は、互いに同じである。
【0029】
好ましくは、前記第1及び第2のPFPE鎖の前記第1の鎖末端及び式(III)の前記Tは、互いに等しいか又は異なり、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基である。
【0030】
好ましくは、前記第1及び第2のPFPE鎖、前記A^並びに前記C^は、互いに等しいか又は異なる。
【0031】
好ましくは、コポリマー(P)において、前記第1のPFPE鎖は、シグマ結合又は-CF-、-CFCF-又は-O-から選択される基-(C)-を介して前記ブロック(1)に結合されている。
【0032】
好ましくは、コポリマー(P)において、前記ブロック(2)は、シグマ結合又は-CF-、-CFCF-又は-O-から選択される基-(C)-を介して前記第2のPFPE鎖に結合されている。
【0033】
好ましくは、前記ブロック(1)と前記ブロック(2)との両方が存在する場合、それらは、シグマ結合を介して結合されている。
【0034】
好ましくは、前記コポリマー(P)において、前記PFPE鎖のそれぞれは、繰り返し単位R°を含む、好ましくはこれらからなる部分的又は完全にフッ素化された鎖[鎖(R)]であり、前記繰り返し単位は、以下からなる群から独立して選択される:
(i)-CFXO-(式中、Xは、F又はCFである)、
(ii)-CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか又は異なるXは、F又はCFであり、但し、Xの少なくとも1つは、-Fであることを条件とする)、
(iii)-CFCFCWO-(式中、互いに等しいか又は異なるWのそれぞれは、F、Cl、Hである)、
(iv)-CFCFCFCFO-、
(v)-(CF-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、及びZは、一般式-O-R(f-a)-Tの基であり、R(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、Xのそれぞれが独立してF又はCFである-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中で選択され、及びTは、C~Cパーフルオロアルキル基である)。
【0035】
好ましくは、鎖(R)は、以下の式:
(R-I)-[(CFXO)g1(CFXCFXO)g2(CFCFCFO)g3(CFCFCFCFO)g4]-
(式中、
- Xは、-F及び-CFから独立して選択され、
- 互いに及び出現ごとに等しいか又は異なるX、Xは、独立して、-F、-CFであり、但し、Xの少なくとも1つは、-Fであることを条件とし、
- 互いに等しいか又は異なるg1、g2、g3及びg4は、独立して、0以上の整数であり、それにより、g1+g2+g3+g4は、2~300、好ましくは2~100の範囲であり、g1、g2、g3及びg4の少なくとも2つが0と異なる場合、異なる繰り返し単位は、鎖に沿って概して統計的に分布している)
に従う。
【0036】
より好ましくは、鎖(R)は、式:
(R-IIA)-[(CFCFO)a1(CFO)a2]-
(式中、
- a1及びa2は、独立して、0以上の整数であり、それにより、数平均分子量は、400~10,000、好ましくは400~5,000であり、a1及びa2の両方は、好ましくは、0と異なり、比a1/a2は、好ましくは、0.1~10に含まれる)、
(R-IIB)-[(CFCFO)b1(CFO)b2(CF(CF)O)b3(CFCF(CF)O)b4]-
(式中、b1、b2、b3、b4は、独立して、0以上の整数であり、それにより、数平均分子量は、400~10,000、好ましくは400~5,000であり、好ましくは、b1は、0であり、b2、b3、b4は、0超であり、比b4/(b2+b3)は、1以上である)、
(R-IIC)-[(CFCFO)c1(CFO)c2(CF(CFcwCFO)c3]-
(式中、
cw=1又は2であり、
c1、c2及びc3は、独立して、0以上の整数であるように選択され、それにより、数平均分子量は、400~10,000、好ましくは400~5,000であり、好ましくは、c1、c2及びc3は、全て0超であり、比c3/(c1+c2)は、概して、0.2より小さい)
の鎖から選択される。
【0037】
更により好ましくは、鎖(R)は、本明細書で以下の式(R-III):
(R-III)-[(CFCFO)a1(CFO)a2]-
(式中、
- a1及びa2は、0超の整数であり、それにより、数平均分子量は、400~10,000、好ましくは400~5,000であり、比a1/a2は、概して、0.1~10、より好ましくは0.2~5に含まれる)
に従う。
【0038】
好ましくは、式(I)において、置換基R~Rの少なくとも1つは、式(II)の基であり、及び他の置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくはフッ素原子又は1つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から選択される。
【0039】
一実施形態によれば、式(II)において、tは、0である。
【0040】
別の実施形態によれば、式(II)において、tは、1であり、及び
10は、以下の式の1つに従う:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、d*、e、e*、f及びf*のそれぞれは、独立して、0又は1であり、及び
CFは、任意選択的に1つ以上の酸素原子によって中断されている、1~12、好ましくは1~8つの炭素原子を含むパーフルオロアルキル鎖のいずれかである)、
(R10-ii)-O-(CO)-(CF-(CO)-O-
(式中、h=jであり、及びh+jは、2~6であり、且つiは、2~6である)。
【0041】
この実施形態によれば、好ましくは、R10は、式:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、f、d*及びf*は、0であり、
e及びe*は、1であり、及び
CFは、1~10、好ましくは1~8つの炭素原子を含む直鎖パーフルオロアルキル鎖である)
に従う。
【0042】
好ましくは、式(II)において、zは、1に等しく、及びR10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価の過フッ素化アルキル鎖である。
【0043】
好ましくは、式(II)において、置換基R11及びR12の一方は、式(III)の基であり、及び他方の置換基は、フッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくはフッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から選択される。好ましい実施形態によれば、置換基R11及びR12の一方は、式(III)の基であり、及び他方の置換基は、フッ素原子である。
【0044】
好ましくは、式(II)において、置換基R13~R15の1つは、式(III)の基であり、及び他の2つの置換基は、フッ素原子又は1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくはフッ素原子又は1つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から独立して選択される。より好ましくは、前記2つの置換基は、同じであり、且つフッ素原子である。
【0045】
好ましくは、式(III)において、v^は、1~3、より好ましくは1の整数である。
【0046】
好ましくは、式(III)において、L^は、1~250、より好ましくは2~250の整数である。
【0047】
好ましくは、式(III)において、-(E^)L^-は、以下の式に従う:
-(CR100^101^CR102^103^l^-(CR110^111^CR112^113^m^
(式中、
l^及びm^は、それぞれ独立して、1~250、より好ましくは2~250の整数であり、それにより、L+mの合計は、2~250であり、
100^、R101^、R110^及びR111^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^、R103^、R112^及びR113^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CF2OR201の基であり、
201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成するか、又は
110^及びR111^の一方並びにR112^及びR113^の一方は、フッ素原子であり、且つR110^及びR111^の他方並びにR112^及びR113^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成し、
但し、-(CR100^101^CR102^103^l^-及び-(CR110^111^CR112^113^m^-は、互いに異なり、且つ統計的に分布していることを条件とする)。
【0048】
好ましくは、式(IV)において、n*は、1~10、より好ましくは1~5、更により好ましくは1~3、なおもより好ましくは1の整数である。
【0049】
好ましくは、式(IV)において、Lは、2~250の整数である。
【0050】
好ましくは、式(IV)において、-(E)-は、以下の式に従う:
-(CR100101CR102103-(CR110111CR112113
(式中、
l及びmは、それぞれ独立して、1~250、より好ましくは2~250の整数であり、それにより、L+mの合計は、2~250であり、
100、R101、R110及びR111は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102、R103、R112及びR113は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CF2OR201の基であり、
201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100及びR101の一方並びにR102及びR103の一方は、フッ素原子であり、且つR100及びR101の他方並びにR102及びR103の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成するか、又は
110及びR111の一方並びにR112及びR113の一方は、フッ素原子であり、且つR110及びR111の他方並びにR112及びR113の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成し、
但し、-(CR100101CR102103-及び(CR110111CR112113-は、互いに異なり、且つ統計的に分布していることを条件とする)。
【0051】
好ましくは、式(IV)において、lは、1~250の整数である。
【0052】
第1の好ましい実施形態によれば、本発明によるコポリマー(P)(以下では「コポリマー(P-1)」と呼ばれる)は、それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2のPFPE鎖を含むブロックコポリマーであり、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)]- (IV)
(式中、
n*は、1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、更により好ましくは1の整数であり、
Lは、0又は1~250、より好ましくは2~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
11~R15は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、1~250、好ましくは2~250の整数であり、
u^は、1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり
B^は、式
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基であり、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従うブロックを介して互いに結合され、但し、
- 前記コポリマー(P-1)において、
-- (n*+v^)の合計は、1~15であり、
-- (L+L^)の合計は、2~500、好ましくは3~300、より好ましくは4~250であり、及び
- 式(III)及び(IV)の繰り返し単位は、統計的に分布しており、及び
- 前記式(IV)において、
-- R1^~R4^の少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であることを条件とする。
【0053】
好ましい第2の実施形態によれば、本発明によるコポリマー(P)(以下では「コポリマー(P-2)」と呼ばれる)は、それぞれ2つの鎖末端を有する第1及び第2のPFPE鎖を含むブロックコポリマーであり、前記第1及び第2のPFPE鎖の第1の鎖末端は、過フッ素化アルキル基を含み、且つ前記第1及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、
- 式(I):
【化4】
(式中、
nは、1~3の整数であり、
~Rは、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、式(II):
(II)-(R10[C(R11)(R12)-C(R13)(R14)(R15)]
(式中、
10は、酸素原子又は任意選択的に少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、1~24の炭素原子を含む二価/三価/四価の過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1であり、
zは、1~3の整数であり、
11~R15は、それぞれ独立して、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
の基及び式(III):
-[(A^)a^-(B^)v^-(E^)L^u^-(C^)-T (III)
(式中、
a^は、0又は1であり、
v^は、0又は1~3の整数であり、
L^は、1~250、好ましくは2~250の整数であり、
u^は、0又は1~50の整数であり、
A^は、PFPE鎖であり、
B^は、式
-[C(R1^)(R2^)-C(R3^)(R4^)]-
(式中、R1^~R4^は、それぞれ独立して、R~Rのそれぞれについて上記で定義された意味を有する)
の基であり、
E^は、式
-(CR100^101^CR102^103^)-
(式中、
100^及びR101^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102^及びR103^は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100^及びR101^の一方並びにR102^及びR103^の一方は、フッ素原子であり、且つR100^及びR101^の他方並びにR102^及びR103^の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成する)
の基であり、
C^は、PFPE鎖であり、及び
Tは、過フッ素化アルキル基である)
の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される)
に従う第1のブロック[ブロック(1)]、及び
- 式(IV):
-[(CR1*2*CR3*4*n*-(E)L*]- (IV)
(式中、
n*は、0又は1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、更により好ましくは0若しくは1の整数であり、
L*は、0又は1~250、より好ましくは2~250の整数であり、
1*~R4*のそれぞれは、フッ素原子、1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐過フッ素化アルキル基、上記で定義された式(II)の基を含む、好ましくはこれらからなる群において選択され、
Eは、上記でE^について提供された同じ意味を有する)
に従う第2のブロック[ブロック(2)]
を介して互いに結合され、但し、
前記コポリマー(P-2)において、
-- (n+n*+v)の合計は、1~15、好ましくは1~11、より好ましくは1~9であり、
-- (L^+L*)の合計は、1~500、好ましくは2~500、より好ましくは3~300であり、及び
-- 前記ブロック(1)及び前記ブロック(2)は、統計的に分布しており、
前記式(I)において、
-- R~Rの少なくとも1つは、式(II)の基であり、
-- R11又はR12の1つ及びR13~R15の1つは、式(III)の基であり、及び
前記式(III)及び前記式(IV)において、繰り返し単位は、統計的に分布しており、
前記式(III)において、
-- aが1である場合、v^及びL^の少なくとも1つは、0と異なり、及び
前記式(IV)において、
-- n*及びL*の少なくとも1つは、0と異なることを条件とする。
【0054】
好ましくは、前記コポリマー(P-1)及び前記コポリマー(P-2)において、前記(E)及び(E^)のそれぞれは、式:
-(CR100101CR102103-(CR110111CR112113
(式中、
L及びmは、それぞれ独立して、1~250、より好ましくは2~250の整数であり、それにより、L+mの合計は、2~250であり、
100、R101、R110及びR111は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子から独立して選択され、及び
102、R103、R112及びR113は、ハロゲン原子、より好ましくはフッ素又は塩素原子、1~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖、-OR200から独立して選択され、R200は、1~6つの炭素原子を含む直鎖若しくは分岐過フッ素化鎖又は式-CFOR201の基であり、R201は、任意選択的に1つ以上の酸素エーテル原子によって中断されている、1~6つの炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であるか、又は
100及びR101の一方並びにR102及びR103の一方は、フッ素原子であり、且つR100及びR101の他方並びにR102及びR103の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成するか、又は
110及びR111の一方並びにR112及びR113の一方は、フッ素原子であり、且つR110及びR111の他方並びにR112及びR113の他方は、ともに、酸素原子などのヘテロ原子を任意選択的に含む、4~6員環を有する過ハロゲン化環を形成し、
但し、-(CR100101CR102103-及び(CR110111CR112113-は、互いに異なり、且つ統計的に分布していることを条件とする)
の基である。
【0055】
本発明によるコポリマー(P)は、容易にスケールアップできるプロセスを介して有利に調製され得る。
【0056】
好ましくは、本発明のプロセス(P)において、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量の3重量%未満、更により好ましくは1重量%未満である。
【0057】
好ましくは、前記PFPEパーオキシは、2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマーであり、前記鎖末端のそれぞれは、任意選択的に1つ以上の塩素原子又はフッ化アシル、フルオロホルメート及びケトンから選択される官能性末端基を含有する、1~3つの炭素原子を有する(パー)フッ素化アルキル鎖を含み、前記鎖末端は、前記(パー)フルオロポリエーテル鎖の反対側に結合されており、前記(パー)フルオロポリエーテル鎖は、上記で定義された式(Rf-i)~(Rf-v)からなる群から独立して選択され、且つPFPEパーオキシの100g中の活性酸素のグラム(Mw=16)として定義される、0.1~4、好ましくは0.1~3.5の過酸化物含有量(PO)を有する繰り返し単位を含む、好ましくはこれらからなる。
【0058】
PFPEパーオキシは、そのまま使用することができるか、又は例えば化学還元、若しくはUV処理、若しくは熱処理などによりパーオキシド結合の部分還元に供され得る。
【0059】
好ましくは、式(X-p)の前記化合物において、tが1である場合、1、2、3又は4つの不飽和部分は、R10に属する同じ又は異なる原子、好ましくは炭素原子に結合されている。
【0060】
好ましくは、式(X-p)の前記少なくとも1つの化合物は、以下の式に従う:
CF=CF(R10CF=CF
(式中、tは、0又は1であり、
10は、以下の式の1つに従う:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、d*、e、e*、f及びf*のそれぞれは、独立して、0又は1であり、及び
CFは、任意選択的に1つ以上の酸素原子によって中断されている、1~12、好ましくは1~8つの炭素原子を含むパーフルオロアルキル鎖のいずれかである)、
(R10-ii)-O-(CO)-(CF-(CO)-O-
(式中、h=jであり、及びh+jは、2~6であり、且つiは、2~6である))。
【0061】
好ましくは、式(X-p)の前記化合物は、以下を含む、より好ましくは以下からなる群から選択される:
CF=CFCF=CF
CF=CFOCF=CF
CF=CFCFOCFCF=CF
CF=CFO-(CFCF=CF
CF=CFCFO(CFOCF-CF=CF
CF=CFCFCF=CF
CF=CF(CFCF=CF
CF=CF(CFCF=CF
CF=CF(CFCF=CF
CF=CFOCFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CF(CFOCF=CF
CF=CF(CFOCF=CF
CF=CF(CFOCF=CF
CF=CFCFO(CFOCFO-CF=CF
CF=CFCFO(CFOCFO-CF=CF
CF=CFCFO(CFOCFOCF=CF
CF=CFCFO(CFOCFCF=CF
CF=CFO-CFO-(CFO-CFO-CF=CF
CF=CFO-CFO-(CFO-CFO-CF=CF
CF=CFO-CFO-(CFO-CFO-CF=CF
CF=CFO-(CFO)-CF=CF
CF=CFO-(CFCFO)-CF=CF
CF=CFO-(CFCFO)-CFOCF=CF
CF=CFO(CO)-(CF-(CO)-OCF=CF
(式中、h及びjは、同じであり、及び
それらの合計は、2~6であり、及びiは、2~6である)。
【0062】
特に好ましい実施形態によれば、式(X-p)の前記少なくとも1つの化合物は、以下の式に従う:
CF=CF(R10CF=CF
(式中、tは、1であり、及び
10は、以下の式に従う:
(R10-i)-(CF(O)(CFO)CF(O)e*(CFd*(CF2O)f*
(式中、
d、f、d*及びf*は、0であり、
e及びe*は、1であり、及び
CFは、1~10、好ましくは1~8つの炭素原子を含む直鎖パーフルオロアルキル鎖である))。
【0063】
好ましい実施形態によれば、本発明のプロセス(P)は、前記PFPEパーオキシ及び式(X-p)の前記化合物を前記化合物(O)の少なくとも2つと接触させて実施される。
【0064】
好ましくは、第1の化合物(O)は、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)など、2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィンを含む、好ましくはこれからなる群において選択される。TFE及びHFPが特に好ましい。
【0065】
好ましくは、第2の化合物(O)は、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化5】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソールを含む、好ましくはこれらからなる群において選択される。定義(i)におけるPAVE及びMOVEが特に好ましい。
【0066】
第1の実施形態によれば、上記で定義されたコポリマー(P1)を製造する前記プロセス[プロセス(P1)]であり、前記プロセス(P1)は、
a*)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、
- 式(X-p):
【化6】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は任意選択的に及び好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物、及び
- 少なくとも1つの化合物[化合物(O)]であって、
(i)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)など、2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィン、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C-~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化7】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される少なくとも1つの化合物[化合物(O)]
と接触させる工程であって、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程、
b*)前記PFPEパーオキシ、式(X-p)の前記化合物及び前記少なくとも1つの化合物(O)をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程、
c*)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P1)を得る工程
を含む。
【0067】
好ましくは、前記工程(a*)は、前記少なくとも1つのPFPEパーオキシを式(X-p)の少なくとも1つの化合物及び前記化合物(O)の2つと接触させる工程を含む。
【0068】
好ましくは、第1の化合物(O)は、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)など、2~8つの炭素原子を含む完全にハロゲン化されたオレフィンを含む、好ましくはこれからなる群において選択される。TFE及びHFPが特に好ましい。
【0069】
好ましくは、第2の化合物(O)は、
(ii)CF=CFOR
(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、好ましくは-CF、-C、-C(以下では「PAVE」とも呼ばれる)、カテナリー酸素原子を含む基C~C12[(パー)フルオロ]-オキシアルキル、好ましくはパーフルオロ-2-プロポキシプロピル基(以下では「パーフルオロ-オキシ-アルキル-ビニルエーテル」とも呼ばれる)、基-CFORf2(以下では「パーフルオロ-メトキシ-ビニルエーテル」又は「MOVE」とも呼ばれる)であり、Rf2は、少なくとも1つのカテナリー酸素原子を含むC~Cパーフルオロ-アルキル、C~C環状パーフルオロ-アルキル及びC~Cパーフルオロ-オキシ-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、Rf2は、-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)又は-CF(MOVE3)である)、
(iii)式:
【化8】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、フッ素原子及び任意選択的に1つ以上の酸素原子を含む、特に-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどのC~Cパーフルオロアルキル基からなる群から独立して選択される)
を有するパーフルオロジオキソール
を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される。定義(i)におけるPAVE及びMOVEが特に好ましい。
【0070】
工程(a*)及び工程(b*)は、フッ素化溶媒の存在下で実施され得る。好ましくは、前記フッ素化溶媒は、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロポリエーテルを含む群において選択される。
【0071】
好ましくは、工程(b*)は、UV照射の存在下で2~60時間の時間にわたって実施される。
【0072】
好ましくは、工程(b*)は、-60℃~+60℃、より好ましくは-20℃~+40℃、更により好ましくは0℃~30℃の温度でUV照射の存在下において実施される。
【0073】
代替形態として、工程(b*)は、熱処理下において、好ましくは100℃~250℃の温度で加熱することによって実施され得る。
【0074】
工程(b*)の最後に得られるポリマーは、0.05未満、好ましくは0.001未満の過酸化物含有量(PO)を有することが当業者に明らかであろう。
【0075】
好ましくは、前記工程(c*)は、無水窒素流の存在下においてフッ素で処理することによって実施される。
【0076】
好ましくは、前記工程(c*)は、UV照射の存在下又は加熱下で実施される。代わりに、前記工程(c*)は、化学支援フッ素化として実施され得る。
【0077】
好ましくは、前記プロセス(P1)は、工程(c*)後、溶媒を除去する工程(d*)及び/又は分別の工程(e*)を含む。
【0078】
溶媒を除去する前記工程(d*)は、蒸発、例えば真空下での蒸留によって実行することができる。
【0079】
分別の前記工程(e*)は、分別工程が沈殿分別によって行われる場合、溶媒として超臨界CO、ヘキサフルオロキシレン又はハイドロフルオロカーボン及びこれらの混合物を使用する溶媒抽出によって実施され得る。超臨界COが好ましい。
【0080】
上で説明したように、精製工程を実施することができるが、プロセス(P1)の最後に、本発明によるコポリマー(P)が、それぞれ異なる粘度及び/又は分子量及び/又は置換基を特徴とする、2つ以上のコポリマー(P)を含む混合物の形態で得られることは、当業者に明らかであろう。
【0081】
第2の実施形態によれば、コポリマー(P2)を製造するプロセス[プロセス(P2-a)]は、
a’)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、上記で定義された少なくとも1つの化合物(O)と接触させる工程と、
b’)前記PFPEパーオキシ及び前記化合物(O)をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程と、
c’)前記UV照射又は加熱を停止する工程と、
d’)反応混合物を、式(X-p):
【化9】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物と接触させる工程であって、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程と、
e’)UV照射又は加熱の存在下で反応を進行させる工程と、
f’)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P2)を得る工程と
を含む。
【0082】
好ましくは、前記工程(a’)は、前記少なくとも1つのPFPEパーオキシを少なくとも2つの化合物(O)と接触させる工程を含む。
【0083】
有利には、第1の化合物(O)及び第2の化合物(O)は、上記の定義に従う。
【0084】
代わりに、コポリマー(P2)を製造するプロセス[プロセス(P2-b)]は、
a’’)少なくとも1つの過酸化(パー)フルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]を、式(X-p):
【化10】
(式中、
21~R23及びR31~R33のそれぞれは、独立して、フッ素原子、1~3つの炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、
10は、酸素原子又は好ましくは少なくとも1つの酸素原子によって中断された及び/若しくはそれを含む、2~18の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖であり、
tは、0又は1、好ましくは1であり、
z*及びz**のそれぞれは、独立して、1又は2である)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物と接触させる工程であって、式(X-p)の化合物の量は、PFPEパーオキシの量の5重量%未満である、工程と、
b’’)前記PFPEパーオキシ及び前記式(X-p)の化合物をUV照射又は加熱の存在下で反応させる工程と、
c’’)前記UV照射又は加熱を停止する工程と、
d’’)工程c’’)で得られた反応混合物を、上記で定義された少なくとも1つの化合物(O)と接触させる工程と、
e’’)UV照射又は加熱の存在下で反応を進行させる工程と、
f’’)フッ素化し、それにより前記コポリマー(P2)を得る工程と
を含む。
【0085】
好ましくは、前記工程(d’’)は、工程(c’’)で得られた反応混合物を少なくとも2つの化合物(O)と接触させる工程を含む。
【0086】
有利には、第1の化合物(O)及び第2の化合物(O)は、上記の定義に従う。
【0087】
工程(a’)~(c’)及び工程(a’’)~(c’’)は、フッ素化溶媒の存在下で実施することができる。
【0088】
好ましくは、前記フッ素化溶媒は、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロポリエーテルを含む群において選択される。
【0089】
好ましくは、工程(b’)及び工程(b’’)は、それぞれ独立して、UV照射の存在下で2~60時間の時間にわたって実施される。
【0090】
好ましくは、工程(b’)及び工程(b’’)は、それぞれ独立して、UV照射の存在下において、-60℃~+60℃、より好ましくは-20℃~+40℃、更により好ましくは0℃~30℃の温度で実施される。
【0091】
代わりに、工程(b’)及び工程(b’’)は、それぞれ独立して、熱処理下において、好ましくは100℃~250℃の温度で加熱することによって実施される。
【0092】
工程(c’)又は工程(c’’)の最後に得られるポリマーは、0.05未満、好ましくは0.001未満の過酸化物含有量(PO)を有することが当業者に明らかであろう。
【0093】
好ましくは、前記工程(f’)及び工程(f’’)は、それぞれ無水窒素流の存在下においてフッ素で処理することによって実施される。
【0094】
好ましくは、前記工程(f’)及び工程(f’’)は、それぞれUV照射の存在下又は加熱下で実施される。代わりに、工程(f’)及び工程(f’’)は、それぞれ化学支援フッ素化として実施される。
【0095】
好ましくは、前記プロセス(P2-a)及び前記プロセス(P2-b)は、それぞれ工程(f’)及び(f’’)後、溶媒を除去する工程(g’)及び工程(g’’)並びに/又は分別の工程(h’)及び工程(h’’)を含む。
【0096】
溶媒を除去する前記工程(g’)又は(g’’)は、蒸発、例えば真空下での蒸留によって実行することができる。
【0097】
分別の前記工程(h’)又は(h’’)は、分別工程が沈殿分別によって実施される場合、溶媒として超臨界CO、ヘキサフルオロキシレン又はハイドロフルオロカーボン及びこれらの混合物を使用する溶媒抽出によって実施され得る。超臨界COが好ましい。
【0098】
上で説明したように、精製工程を実施することができるが、混合物(P)として、プロセス(P)、プロセス(P1)、プロセス(P2-a)及びプロセス(P2-b)工程(c)の最後に又はプロセス(P)の工程(d)の最後に、本発明によるコポリマー(P)は、それぞれ異なる粘度、及び/又は分子量、及び/又は置換基を特徴とする、2つ以上のコポリマー(P)を含む混合物の形態で得られることが当業者に明らかであろう。
【0099】
コポリマー(P)は、潤滑剤として、特に例えば広範囲の作業温度に曝されるなど、過酷な環境での用途に有利に使用される。
【0100】
コポリマー(P)又は混合物(P)は、そのままで又は潤滑分野の当業者に公知の添加剤と混合して使用することができ、それにより、組成物[組成物(CL)]が得られる。
【0101】
例えば、組成物(CL)は、基油として他の適切な潤滑剤を含むことができ、このような基油は、部分フッ素化、完全フッ素化及び水素化基油を含む群において選択され、但し、前記基油は、コポリマー(P)と溶液を形成することができることを条件とする。
【0102】
完全フッ素化潤滑油基油の非限定的な例は、欧州特許出願公開第2100909A号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.p.A.)の化合物(1)~(8)として特定されるものである。
【0103】
例えば、適切な添加剤は、増粘剤、防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のためのものを含む耐摩耗剤、分散剤、トレーサー、染料、タルク及び無機充填剤から選択される。
【0104】
増粘剤の例は、タルク、シリカ、窒化ホウ素、ポリ尿素、アルカリ又はアルカリ土類金属テレフタレート、カルシウム及びリチウム石鹸並びにそれらの複合体及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)であり、それらの中でもPTFEが好ましい。
【0105】
分散剤の例は、例えば、界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、より好ましくは(パー)フルオロポリエーテル界面活性剤及び(パー)フルオロアルキル界面活性剤である。
【0106】
用途に応じて、溶媒も使用することができる。
【0107】
溶媒の例は、Galden(登録商標)PFPE、Novec(登録商標)HFEなどのフッ素化又は部分フッ素化溶媒及びフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコール、メチルエチルケトンなどのケトン、イソプロピルアルコールなどのアルコール、酢酸ブチルなどのエステル、ハイドロフルオロカーボンなどの他の有機溶媒である。
【0108】
従って、更なる態様では、本発明は、少なくとも1つの物品の少なくとも1つの表面を潤滑する方法に関し、前記方法は、前記コポリマー(P)又は前記混合物(P)を前記少なくとも1つの表面と接触させることを含む。
【0109】
本発明によるコポリマー(P)、混合物(P)又は組成物(CL)の潤滑特性の恩恵を受けることができる物品は、特に限定されない。
【0110】
前記物品は、少なくとも1つの金属表面を含むことが好ましい。
【0111】
前記物品の例は、電気水中ポンプなどの石油及びガス用途で使用されるポンプ、蒸気タービン及びガスタービンなどの回転機械、電気コネクタ、ファンクラッチ若しくは冷却ファンのベアリング又は大型トラックの自動クラッチ、より具体的には前記クラッチのベアリングである。
【0112】
本発明によるコポリマー(P)、混合物(P)又は組成物(CL)は、ダンパー装置におけるダンパー流体として有利に使用することができる。
【0113】
従って、更なる態様では、本発明は、装置における振動及び/又は衝撃に対抗する方法に関し、前記方法は、上記で定義された、少なくとも1つのコポリマー(P)、混合物(P)又は組成物(CL)を含むダンパー装置を含む機器を提供することを含む。
【0114】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が、ある用語を不明確とし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0115】
ここで、本発明が以下の実施例に関連して説明され、その目的は、例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0116】
材料

T-O-(CFCFO)(CFO)-(O)-T’
数平均分子量(M)=48600g/モル、
m/n=1.0及びPO=1.65%
T、T’=-CF(83%)、-C(=O)F6%)、-CFC(=O)F(11%)
を有する過酸化パーフルオロポリエーテル油は、Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.から入手した。
【0117】
テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)及びGalden(登録商標)HT200は、Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.から入手した。
【0118】
パーフルオロ(ビスビニルエーテル)(PBVE)は、Anles Ltd.から入手した。
【0119】
ヘキサフルオロベンゼンは、Sigma Aldrichから入手した。
【0120】
方法
19F-NMR分光法:
フッ素原子核に作用するVarian Mercury 200MHz分光計を用いて、以下の実施例で報告されるPFPEオイルの構造、数平均分子量及び組成を得た。19F-NMRスペクトルは、内部標準としてCFClを使用して純粋な試料に関して得た。ヘキサフルオロベンゼンも溶媒として使用した。
【0121】
過酸化物含有量(PO)の決定:
過酸化物含有量(PO)は、ポリマー100gあたりの過酸化酸素のグラムとして表される。過酸化物含有量の分析は、白金電極を備えたメトラーDL40装置を使用したヨウ素滴定によって実行された。PO決定の検出限界は、0.0002%であった。
【0122】
複素粘度の決定:
複素粘度は、ISO 6271 part 10に従い、平行プレート形状(直径25mm)のMCR502 Anton-Paarレオメーターを使用した周波数掃引試験で測定された。
【0123】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):
分析は、溶離剤としてHFE7100を使用し、Waters 410屈折計検出器を備えた混合CCDカラムを用いて実施した。
【0124】
実施例1 - コポリマー(1)の合成
反応は、石英シリンダー内に封入された高圧水銀ランプ(HANAU TQ150)、マグネチックスターラー、熱電対及びコンデンサーを備えた1000mLの円筒形光化学ガラス反応器を使用して実施した。
【0125】
200.0gの出発となる過酸化パーフルオロポリエーテル油を1499gのGalden(登録商標)HT200と一緒に光化学反応器に入れ、十分に撹拌して均一な混合物を得た。次いで、反応混合物を氷/水浴で約10℃まで冷却した。
【0126】
2つのフッ素化オレフィン、PMVE及びTFEをそれぞれ2.20Nl/時及び1.60Nl/時の速度で反応器に導入した。流れが始まった後、UVランプのスイッチを入れた。4時間後、UVランプのスイッチを切り、1.31gのPBVEを反応器に加えた。激しく撹拌し、窒素下でUVランプのスイッチを再び入れた。
【0127】
51時間の照射後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を第2のガラス反応器に移し、UV照射の存在下において、1.0Nl/時のフッ素ガスを用いて40℃で合計24時間フッ素化した。19F-NMR分析により、生成物の完全なフッ素化並びに鎖末端に-CFCOF及び-COF末端が存在しないことを確認した。
【0128】
得られた溶液を、溶媒を除去するために、マグネチックスターラーを備えた丸底フラスコにおいて240℃で4時間蒸留した。
【0129】
蒸留は、最初に大気圧で、次いで溶媒が完全に除去されるまで減圧下(0.1ミリバール)で行った。
【0130】
透明な粘性油の形態のコポリマー(1)203.4gが残留物として得られ、これをヨウ素滴定によって分析して、過酸化物単位が完全に除去されたことを確認した。
【0131】
19F-NMR分析により、残留過酸化物が存在しないことと、TFE及びPMVEがそれぞれ10.2重量%及び10.1重量%の濃度で取り込まれたこととを確認した。
【0132】
コポリマー(1)は、m/n=0.96及び鎖末端T、T’=-CFを有した。
【0133】
実施例2 - コポリマー(2)の合成
この実施例では、実施例1と同じ光化学機器及び過酸化パーフルオロポリエーテル前駆体を用いた。
【0134】
200.8gの出発となる過酸化パーフルオロポリエーテル油を1494gのGalden HT200及び1.35gのPBVEと一緒に光化学反応器に入れ、十分に撹拌して均一な混合物を得た。
【0135】
次いで、反応混合物を氷/水浴を用いて約10℃まで冷却した。2つのフッ素化オレフィン、PMVE及びTFEをそれぞれ2.20Nl/時及び1.60Nl/時の速度で反応器に導入した。オレフィンの流れが始まった直後にUVランプのスイッチを入れた。4時間後、オレフィンの流れを中断し、反応をUV照射下で51時間継続した。
【0136】
ランプのスイッチを切り、反応混合物を第2のガラス反応器に移し、UV照射の存在下において、1.0Nl/時のフッ素ガスを用いて40℃で合計24時間フッ素化した。
【0137】
19F-NMR分析により、生成物の完全なフッ素化並びに鎖末端に-COF、-CFCOF末端が存在しないことを確認した。
【0138】
得られた溶液を、溶媒を除去するために、マグネチックスターラーを備えた丸底フラスコにおいて240℃で4時間蒸留した。蒸留は、最初に大気圧で、次いで溶媒が完全に除去されるまで減圧下(0.1ミリバール)で行った。
【0139】
透明な粘性油の形態のコポリマー(2)205.8gが残留物として得られ、これをヨウ素滴定によって分析して、過酸化物単位が完全に除去されたことを確認した。
【0140】
19F-NMR分析により、残留過酸化物が存在しないことと、TFE及びPMVEがそれぞれ8.8重量%及び11.8重量%の濃度で取り込まれたこととを確認した。
【0141】
コポリマー(2)は、m/n=0.99、T、T’=-CFを有した。
【0142】
実施例3C - PBVEを使用しない比較ポリマー(C-1^)の合成
この比較例では、実施例1と同じ光化学機器及び過酸化パーフルオロポリエーテル前駆体を用いた。
【0143】
200.4gの出発となる過酸化パーフルオロポリエーテル油を1502gのGalden(登録商標)HT200と一緒に光化学反応器に入れ、十分に撹拌して均一な混合物を得た。
【0144】
反応は、実施例2に記載したように進行した。次いで、反応混合物を氷/水浴を用いて約10℃まで冷却した。2つのフッ素化オレフィン、PMVE及びTFEをそれぞれ2.20Nl/時及び1.60Nl/時の速度で反応器に導入した。オレフィンの流れが始まった直後にUVランプのスイッチを入れた。4時間後、オレフィンの流れを中断し、反応をUV照射下で51時間継続した。
【0145】
19F-NMR分析により、生成物の完全なフッ素化並びに鎖末端に-CFCOF及び-COF末端が存在しないことを確認した。
【0146】
蒸留も実施例2に記載されているように実施した。
【0147】
透明な粘性油の形態の比較ポリマー(C-1^)206.3gが残留物として得られ、これをヨウ素滴定によって分析して、過酸化物単位が完全に除去されたことを確認した。
【0148】
19F-NMR分析により、残留過酸化物が存在しないことを確認した。比較コポリマー(C-1^)は、m/n=1.0及びT、T’=-CFを有した。
【0149】
【表1】
【0150】
本発明によるコポリマー(1)及び(2)の増加した分子量分布及び複素粘度により、比較ポリマー(C-1^)に対して鎖が伸長したことを確認した。
【国際調査報告】