(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】コリオリ流量計の非理想的流体測定及び関連方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580424
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022033530
(87)【国際公開番号】W WO2023278145
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パッテン, アンドリュー ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バトラー, マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ, ポール ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035JA02
(57)【要約】
流量計(5)を動作させる方法及び装置が提供される。プロセス流体が流量計(5) に入れられる。流体の温度が測定される。流体の密度が測定される。流体の音速(VoS)が計算される。質量流量誤差が計算され、流体の補正質量流量が計算される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計に流体を流すステップ、
前記流体の未補正の質量流量を測定するステップ、
前記流体の温度を測定するステップ、
前記流体の密度を測定するステップ、
前記流体の音速(VoS)を計算するステップ、
質量流量誤差を計算するステップ
及び
前記流体の補正質量流量を計算するステップ
を含む、流量計を動作させる方法。
【請求項2】
前記流体が非理想的な流体を含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項3】
前記流体がエチレンからなる、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項4】
前記流体がエチレンを含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項5】
前記流体がエタンからなる、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項6】
前記流体がエタンを含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項7】
前記流体が二酸化炭素からなる、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項8】
前記流体が二酸化炭素を含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項9】
前記流体が、フロン、六フッ化硫黄、および六フッ化ウランのうちの1つを含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項10】
前記流量計がコリオリ質量流量計を含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項11】
前記流量計が前記流体の温度を計算する、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項12】
前記流量計が前記流体の密度を計算する、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項13】
前記流体のVoSを計算するステップが、前記温度および前記密度を使用することを含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項14】
前記流体の前記VoSを計算するステップが、VoS表を使用して前記温度および前記密度を相互参照および補間することを含む、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項15】
前記VoS表が外挿されたVoS値を含む、請求項14に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項16】
前記質量流量誤差を計算するステップでは、質量流量誤差が以下の式で計算される、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【数8】
ここで、
C=メータ定数(例えば、1/2)、
f=メータ動作周波数、hz、
d=メータ管直径、m、
a=前記流体の音速(すなわち、VoS)、m/s
である。
【請求項17】
前記補正質量流量が、前記質量流量を使用して計算される、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項18】
前記補正質量流量が、次の通りに計算される、請求項1に記載の流量計を動作させる方法。
【数9】
【請求項19】
プロセス流体を受け取るように構成された流量計(5)用のメータ電子機器(20)であって、前記流量計(5)の流量計アセンブリと通信し振動応答を受け取るように構成されたインターフェース(201)と、前記インターフェース(201)に結合された処理システム(203)とを備え、前記処理システム(203)が、
前記流量計(5)内の前記プロセス流体の温度(224)を測定し、
前記流量計(5)内の前記プロセス流体の密度(225)を測定し、
流量計(5)内の前記プロセス流体の音速(VoS)(244)を計算し、
質量流量誤差を計算し、
前記流量計(5)内の前記プロセス流体の補正質量流量を計算する
ように構成された質量流量補正ルーチン(215)を備える、メータ電子機器(20)。
【請求項20】
前記流体が非理想的な流体を含む、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項21】
前記流体がエチレンからなる、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項22】
前記流体がエチレンを含む、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項23】
前記流体がエタンからなる、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項24】
前記流体がエタンを含む、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項25】
前記流体が二酸化炭素からなる、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項26】
前記流体が二酸化炭素を含む、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項27】
前記流体が、フロン、六フッ化硫黄、および六フッ化ウランのうちの1つを含む、請求項19に記載の流量計を動作させる方法。
【請求項28】
前記流量計がコリオリ質量流量計を含む、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項29】
前記流量計(5)が前記流体の温度を計算する、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項30】
前記流量計(5)が前記流体の密度を計算する、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項31】
前記流体の前記VoSの計算が、前記温度および前記密度を使用することを含む、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項32】
前記流体の前記VoSの計算が、VoS表を使用して前記温度および前記密度を相互参照および補間することを含む、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項33】
前記VoS表が、外挿されたVoS値を含む、請求項32に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項34】
質量流量誤差が以下の式で計算される、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【数10】
ここで、
C=メータ定数(例えば、1/2)、
f=メータ動作周波数、hz、
d=メータ管直径、m、
a=前記流体の音速(すなわち、VoS)、m/s
である。
【請求項35】
前記補正質量流量が、前記質量流量を使用して計算される、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項36】
前記補正質量流量が、次の通りに計算される、請求項19に記載のメータ電子機器(20)。
【数11】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流量計装置及び方法に関し、より詳細には、従来の手段による測定が困難な、エチレン、二酸化炭素、エタン及び他の流体並びに流体混合物を測定するための流量計装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計及び振動濃度計などの振動導管センサは、通常、流動材料を含む振動導管の動きを検出することによって動作する。質量流量、密度などの導管内の材料に関連する特性は、導管に関連する運動トランスデューサから受信した測定信号を処理することによって決定することができる。振動材料が充填されたシステムの振動モードは、一般に、収容導管及びその中に含まれる材料との、結合された質量、剛性、及び減衰特性によって影響を受ける。
【0003】
典型的なコリオリ質量流量計は、パイプラインまたは他の輸送システム内でインライン接続され、システム内で材料、例えば、流体、スラリー、エマルジョンなどを運ぶ1つまたは複数の導管(流管とも呼ばれる)を含む。各導管は、例えば単純曲げ、ねじり、半径方向、及び結合のモードを含む、一組の固有振動モードを有するものと見なすことができる。典型的なコリオリ質量流量測定のアプリケーションでは、材料が導管を流れるときに導管が1つ又は複数の振動モードで励起され、導管に沿って間隔が設けられた複数の点でこの導管の動きが測定される。
【0004】
励起は、典型的には、導管を周期的に振動させるドライバ、例えばボイスコイル型アクチュエータのような電気機械装置によって提供される。質量流量は、トランスデューサ位置での動きの時間遅延又は位相差を測定することによって決定することができる。二つ以上のこのようなトランスデューサ(またはピックオフセンサ)は、典型的には、流れ導管の振動応答を測定するために使用され、典型的には、ドライバの上流及び下流の位置に配置される。計器はピックオフセンサから信号を受信し、この振動を処理して質量流量測定値を導出する。
【0005】
流量計は、さまざまな流体流に対する質量流量測定の実行に使用することができる。コリオリ流量計を使用できる可能性のある一つの分野は、エチレンを含むプロセスである。
【0006】
エチレンは、多くのプラスチック製造プロセスで最も一般的な原料である。エチレンをある場所から別の場所に(例えば、生産者から使用者に)移送するとき、エチレンは、しばしばその臨界相条件において高圧でポンプ移送される。臨界相エチレンは、気体エチレンよりもはるかに高い密度を有するので、そのポンピングコストは比較的低い(高電圧送電が良い類似例である)。エチレンを測定する場合には、質量流量測定が好ましい単位である。
【0007】
残念ながら、臨界相エチレンは、理想的な気体としての挙動はせず、正確な測定を困難にする特性を示す。特に、その密度及び音速(VoS)特性は、温度及び/または圧力の比較的小さな変化に対して大きな変化を示す。これは、コリオリに基づくメータを含む全ての技術に対して、流量測定を非常に困難にする。
【0008】
臨界相エチレンは、多くの場合、50バール以上の圧力で移送される。通常、温度はおおよそ室温、20℃程度であるが、パイプラインは地下にあることが多いため、地盤条件によって温度は変動する可能性がある。臨界範囲では、圧力及び/または温度の変化によって密度は劇的に変化する。例えば、圧力の1psiの変化は、2kg/m3の密度変化を引き起こす。これは、同じ圧力変化に対して密度が0.1kg/m3未満で変化する理想的な気体と比較される。
【0009】
密度の変化に加えて、VoS変化の大きさも圧力変化に敏感である。1psiの圧力変化が5m/sのVoS変化を引き起こす一方、理想気体では圧力が変化してもVoSは全く変化しない。これは、コリオリ質量流量計に問題を引き起こす可能性がある。流量計の一例では、1psiのエチレン圧力変化が5m/sのVoS変化を引き起こすことがあり、これは続いて測定値の0.03%の変化を引き起こす。これは、100psiの通常のパイプライン圧力変動の場合、この例示の流量計が許容できない3%の誤差を示すことを意味する。我々の仕様は0.35%であり、一般的な測定要件である0.5%よりも優れている。したがって、エチレンが臨界相領域で操作される場合、大きな流量誤差が発生する可能性があることは明らかである。
【0010】
コリオリ流量計及びコリオリ流量計を動作させる方法が提供され、ここで密度測定値による音速の補正が提供される。これは、広範囲のエチレン動作条件にわたって、より正確な流量測定をもたらす。
【発明の概要】
【0011】
一実施形態に係る流量計を動作させる方法が提供される。この方法は、流量計を通って流体を流すステップと、流体の未補正の質量流量、温度、及び密度を測定するステップとを含む。流体の音速(VoS)が計算される。質量流量誤差が計算される。流体の補正質量流量が計算される。
【0012】
一実施形態に係る、プロセス流体を受け取るように構成された流量計用のメータ電子機器が提供される。メータ電子機器は、流量計の流量計アセンブリと通信し振動応答を受信するように構成されたインターフェースを備える。処理システムは、インターフェースに結合され、流量計内のプロセス流体の温度を測定し、流量計内のプロセス流体の密度を測定し、流量計内のプロセス流体の音速を計算し、質量流量誤差を計算し、流量計内のプロセス流体の補正質量流量を計算するように構成された質量流量補正ルーチンを含む。
【0013】
[発明の態様]
一態様らよれば、流量計を通って流体を流すステップと、流体の未補正の質量流量、温度、及び密度を測定するステップとを含む、流量計を動作させる方法が提供される。流体の音速(VoS)が計算される。質量流量誤差が計算される。流体の補正質量流量が計算される。
【0014】
好ましくは、前記流体は非理想的な流体を含む。
【0015】
好ましくは、前記流体はエチレンからなる。
【0016】
好ましくは、前記流体はエチレンを含む。
【0017】
好ましくは、前記流体はエタンからなる。
【0018】
好ましくは、前記流体はエタンを含む。
【0019】
好ましくは、前記流体は二酸化炭素からなる。
【0020】
好ましくは、前記流体は二酸化炭素を含む。
【0021】
好ましくは、前記流体は、フロン、六フッ化硫黄、および六フッ化ウランのうちの1つを含む。
【0022】
好ましくは、前記流量計はコリオリ質量流量計を含む。
【0023】
好ましくは、前記流量計は前記流体の温度を計算する。
【0024】
好ましくは、前記流量計は前記流体の密度を計算する。
【0025】
好ましくは、前記流体のVoSを計算するステップは、前記温度および前記密度を使用することを含む。
【0026】
好ましくは、前記流体の前記VoSを計算するステップは、VoS表を使用して前記温度および前記密度を相互参照および補間することを含む。
【0027】
好ましくは、前記VoS表は外挿されたVoS値を含む。
【0028】
好ましくは、前記質量流量誤差を計算するステップでは、質量流量誤差が以下の式で計算される。
【数1】
ここで、
C=メータ定数(例えば、1/2)、
f=メータ動作周波数、hz、
d=メータ管直径、m、
a=前記流体の音速(すなわち、VoS)、m/s
である。
【0029】
好ましくは、前記補正質量流量は、前記質量流量を使用して計算される。
【0030】
好ましくは、前記補正質量流量は、次の通りに計算される。
【数2】
【0031】
一態様によれば、プロセス流体を受け取るように構成された流量計用のメータ電子機器が提供される。メータ電子機器は、流量計の流量計アセンブリと通信し振動応答を受信するように構成されたインターフェースを備える。処理システムは、インターフェースに結合され、流量計内のプロセス流体の温度を測定し、流量計内のプロセス流体の密度を測定し、流量計内のプロセス流体の音速を計算し、質量流量誤差を計算し、流量計内のプロセス流体の補正質量流量を計算するように構成された質量流量補正ルーチンを含む。
【0032】
好ましくは、前記流体は非理想的な流体を含む。
【0033】
好ましくは、前記流体はエチレンからなる。
【0034】
好ましくは、前記流体はエチレンを含む。
【0035】
好ましくは、前記流体はエタンからなる。
【0036】
好ましくは、前記流体はエタンを含む。
【0037】
好ましくは、前記流体は二酸化炭素からなる。
【0038】
好ましくは、前記流体は二酸化炭素を含む。
【0039】
好ましくは、前記流体は、フロン、六フッ化硫黄、および六フッ化ウランのうちの1つを含む。
【0040】
好ましくは、前記流量計はコリオリ質量流量計を含む。
【0041】
好ましくは、前記流量計は前記流体の温度を計算する。
【0042】
好ましくは、前記流量計は前記流体の密度を計算する。
【0043】
好ましくは、前記流体の前記VoSの計算は、前記温度および前記密度を使用することを含む。
【0044】
好ましくは、前記流体の前記VoSの計算は、VoS表を使用して前記温度および前記密度を相互参照および補間することを含む。
【0045】
好ましくは、前記VoS表は、外挿されたVoS値を含む。
【0046】
好ましくは、質量流量誤差が以下の式で計算される。
【数3】
ここで、
C=メータ定数(例えば、1/2)、
f=メータ動作周波数、hz、
d=メータ管直径、m、
a=前記流体の音速(すなわち、VoS)、m/s
である。
【0047】
好ましくは、前記補正質量流量が、前記質量流量を使用して計算される。
【0048】
好ましくは、前記補正質量流量は、次の通りに計算される。
【数4】
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、センサアセンブリ及びメータ電子機器を備える流量計を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るメータ電子機器のブロック図を示す。
【
図3】
図3は、エチレンVoS-圧力を示すグラフである。
【
図4】
図4は、エチレンVoS-密度を示すグラフである。
【
図5A】
図5Aは、密度及び温度に基づくエチレンVoSを示す表である。
【
図5B】
図5Bは、密度及び温度に基づくエチレンVoSを示す表であり、その中にいくつかの値が外挿されている。
【
図6】
図6は、質量流量補正の方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、密度及び温度に基づくエタンVoSを示す表である。
【
図8】
図8は、密度及び温度に基づく二酸化炭素VoSを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1-8及び以下の説明は、本発明の最良の形態をどのように作製し、使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解するであろう。当業者であれば、以下で説明される特徴を様々な方法で組み合わせて、本発明の複数の変形を形成できることが理解できるであろう。その結果、本発明は特定の例に限定されず、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
【0051】
図1は、一実施形態に係る流量計5を示す。流量計5は、センサアセンブリ10及びメータ電子機器20を備える。メータ電子機器20は、リード線100を介してセンサアセンブリ10に接続され、密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度の測定値、または他の測定値もしくは情報のうちの一つまたは複数を、通信パス26を通して提供するように構成される。流量計5は、コリオリ質量流量計または他の振動流量計を含んでいてもよい。流量計5は、ドライバの数、ピックオフセンサ、流量導管、または振動の動作モードにかかわらず、任意の様式の流量計5を備えることができることが、当業者には明らかであろう。
【0052】
センサアセンブリ10は、一対のフランジ101及び101’、マニホールド102及び102’、ドライバ104、ピックオフセンサ105及び105’、並びに流れ導管103A及び103Bを含む。ドライバ104並びにピックオフセンサ105及び105’は、流れ導管103A及び103Bに接続される。
【0053】
フランジ101及び101'は、マニホールド102及び102'に取り付けられる。マニホールド102及び102'は、いくつかの実施形態では、スペーサ106の両端に取り付けることができる。スペーサ106は、マニホールド102と102'との間の間隔を維持する。センサアセンブリ10が、測定対象のプロセス流体を運ぶパイプライン(図示せず)に挿入されると、プロセス流体はフランジ101を通ってセンサアセンブリ10に入り、入口マニホールド102を通過し、そこでプロセス流体の全量が流れ導管103A及び103Bに入るように導かれ、流れ導管103A及び103Bを通って出口マニホールド102’に戻り、そこでフランジ101’を通ってセンサアセンブリ10を出る。
【0054】
プロセス流体は液体を含んでいてもよい。プロセス流体は気体を含んでいてもよい。プロセス流体は、例えば、限定するものではないが、混入気体及び/または混入固体を含む液体などの、多相流体を含んでいてもよい。流れ導管103A及び103Bは、それぞれ曲げ軸W-W及びW’-W’の周りに実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及び弾性率を有するように選択され、入口マニホールド102及び出口マニホールド102’に適切に取り付けられる。流れ導管103A及び103Bは、マニホールド102及び102'から本質的に平行に外側に延びる。
【0055】
流れ導管103A及び103Bは、それぞれの曲げ軸W及びW’の周りで反対方向に、いわゆる流量計5の第1の位相外れ曲げモードで、ドライバ104によって駆動される。ドライバ104は、流れ導管103Aに取り付けられた磁石及び流れ導管103Bに取り付けられた対向コイルなど、多くの周知の構成のうちの一つを備えることができる。交流が対向コイルに流されて、両方の導管が振動する。適切な駆動信号が、メータ電子機器20によってリード線110を介してドライバ104に印加される。他のドライバデバイスも考えることができ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0056】
メータ電子機器20は、それぞれリード線111及び111’上のセンサ信号を受け取る。メータ電子機器20はリード線110上に駆動信号を生成し、これによりドライバ104に流れ導管103A、103Bを振動させる。他のセンサデバイスも考えることができ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0057】
メータ電子機器20は、特に、流量を計算するために、ピックオフセンサ105及び105’からの左右の速度信号を処理する。通信パス26は、メータ電子機器20がオペレータまたは他の電子システムとインターフェースすることを可能にする入力手段及び出力手段を提供する。
図1の説明は、流量計の動作の例としてのみ提供されるものであり、本発明の教示を限定することを意図するものではない。実施形態として、一つまたは複数のドライバ及びピックオフを有する単一管及び複数管流量計が考えられる。
【0058】
一実施形態に係るメータ電子機器20は、流れ導管103A及び103Bを振動させるように構成される。振動は、ドライバ104によって行われる。メータ電子機器20はさらに、ピックオフセンサ105及び105’から結果として生じる振動信号を受信する。振動信号は、流れ導管103A及び103Bの振動応答を含む。メータ電子機器20は振動応答を処理し、応答周波数及び/又は位相差を決定する。メータ電子機器20は、振動応答を処理し、プロセス流体の質量流量及び/または密度を含む一つまたは複数の流量測定値を決定する。他の振動応答特性及び/または流れ測定が考えられ、これらは、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内である。
【0059】
一実施形態では、流れ導管103A及び103Bは、図に示されるように、実質的にオメガ形の流れ導管を備える。これに替えて、他の実施形態では、流量計は、実質的に直線の流れ導管、U字形導管、デルタ形導管などを備えていてもよい。追加の流量計の形状及び/または構成を使用することができ、これらは、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内である。
【0060】
図2は、一実施形態に係る流量計5のメータ電子機器20のブロック図である。動作中流量計5は、質量流量、体積流量、個々の流量成分の質量及び体積流量、並びに例えば体積流量及び質量流量の両方を含む総流量の、測定値又は平均値のうちの一つ以上を含む、出力可能な様々な測定値を提供する。
【0061】
流量計5は振動応答を生成する。振動応答は、メータ電子機器20によって受信され、処理されて、一つ以上の流体測定値を生成する。この値は、モニター、記録、保存、合計、及び/または出力することができる。
【0062】
メータ電子機器20は、インターフェース201と、インターフェース201と通信する処理システム203と、処理システム203と通信する記憶システム204とを含む。これらの構成要素は別個のブロックとして示されているが、メータ電子機器20は、統合された及び/又は別個の構成要素の、様々な組み合せで構成されうることを理解されたい。
【0063】
インターフェース201は、流量計5のセンサアセンブリ10と通信するように構成される。インターフェース201は、リード線100(
図1参照)に接続し、例えば、ドライバ104、ピックオフセンサ105及び105’、並びに温度センサ(図示せず)と信号を交換するように構成することができる。インターフェース201は、通信パス26を通して、外部装置等と通信するようにさらに構成されてもよい。
【0064】
処理システム203は、任意の方式の処理システムを含むことができる。処理システム203は、流量計5を動作させるために、記憶されたルーチンを読み出して実行するように構成される。記憶システム204は、流量計ルーチン205、質量加重密度/粘度ルーチン209、質量加重温度ルーチン211、音速ルーチン213、及び質量流量補正ルーチン215を含むルーチンを、記憶することができる。他の測定/処理ルーチンが考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に入る。記憶システム204は、測定値、受信値、作業値、及び他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、
【数5】
密度(ρ)225、粘性(μ)223、温度(T)224、駆動ゲイン306、駆動ゲイン閾値303、音速244、圧力248、及び当技術分野で既知の他の任意の変数を記憶する。
【0065】
流量計ルーチン205は、流体定量化値及び流量測定値を生成及び記憶することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、又は合計値もしくは累積値を含むことができる。例えば、流量計ルーチン205は、質量流量測定値を生成し、これらを、例えば記憶システム204の質量流量221の記憶器に記憶することができる。流量計ルーチン205は、例えば、密度225の測定値を生成し、これらを密度225の記憶器に記憶することができる。質量流量221及び密度225の値は、前述のように、及び当技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量及び他の測定値は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、または時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態、例えば、液体のみの流体状態、あるいは、液体及び混入気体を含む流体状態が検出される時間ブロックに対応するように、選択することができる。加えて、他の質量流量及び関連する定量化が考えられ、これらは、説明及び特許請求の範囲内に含まれる。
【0066】
前述のように、エチレンは、特に臨界圧力及び/または温度に近い動作時に、動作条件の小さな差に基づいて、密度及びVoSが大きな変化を受けるため、測定するのが特に困難な流体である。一実施形態では、質量流量補正ルーチン215は、エチレンの状態方程式を使用することによって、正確な流量計の測定を容易にする補正手段を提供する。エチレンの温度及び圧力はこの実施形態のために必要であり、本明細書に開示される方法論は、流量補正を提供する。
【0067】
図3を参照すると、エチレンのVoS-圧力挙動は、非常に非線形であり、特徴付けが困難であることが明らかであろう。
【0068】
一実施形態によると、種々の温度におけるVoSと密度との関係は、流量補正を行うために利用される。
図4を参照すると、種々の温度におけるVoSと密度との関係が図示されている。この関係は、運転条件(約15~50℃及び約1~150バール)の90%超についてかなり予測可能であることが明らかであろう。このような関係は、容易に曲線にフィッティングすることができることが理解できる。
図3に示されるデータとは異なり、大きな勾配がないことが、モデリング(または曲線フィッティング)をはるかに容易にしている。さらに、密度及び温度が独立変数として使用されるので、これは追加の装置及び外部圧力測定の必要性がない。
【0069】
流体特性を計算するために、NIST「Refprop」データベースからデータが取得された。これが、
図5Aの表に示されている。一実施形態では、流体特性を計算するための表は、
図5Bによって示されるように、その中に外挿された値を有していてもよい。
【0070】
一実施形態において、質量流量の補正は、式(1)及び式(2)に基づいており、メータ電子機器20の質量流量補正ルーチン215によって実行される。
【数6】
ここで、
C=メータ定数(例えば、1/2)、
f=メータ動周波数、hz、
d=メータ管径、m、
a=流体の音速(すなわち、VoS)、m/s
である。
一実施形態では、質量流量誤差は、次いで、測定質量流量を補正するために使用することができる。
【数7】
【0071】
図6は、エチレンを含むコリオリ質量流量計を用いて質量流量誤差を補正する方法を示す。ステップ600において、エチレンの密度が流量計によって測定される。エチレンの温度もまた測定される。一実施形態では、動作周波数を測定することもできる。
【0072】
ステップ602において、測定された温度及び密度を使用してVoSが計算される。一実施形態では、VoSは、
図5に示される表または同様の表を使用して計算される。一実施形態では、VoSは、
図5に示される表からまたは同様の表からの内挿によって、計算される。
【0073】
ステップ604において、質量流量誤差が計算される。一実施形態では、質量流量誤差は、VoSを使用して計算される。一実施形態では、質量流量誤差は、式(1)を使用して計算される。
【0074】
ステップ606では、補正質量流量が計算される。一実施形態では、補正質量流量は、式(2)を使用して計算される。
【0075】
誤差は、VoSによるコリオリ計の質量流量及び密度の両方の読み取り値から発生する。論理的には、質量流量測定を補正するために密度測定を使用する場合、この補正に固有の誤差が存在することになる。しかし、エチレンの挙動は密度測定における誤差が非常に小さく、典型的な密度測定誤差はVoS誤差を含めて±10kg/m3である。
【0076】
説明での実施例では、エチレンの臨界点、約60°F及び750psia (15℃及び50bar)での計量を理解するように提供されるが、これに限定されない。これらの条件下でのエチレンの密度は、110kg/m3である。
図4のグラフ並びに
図5A及び5Bの表では、VoSは、15℃の温度で75~125kg/m3の密度範囲にわたって259~233m/sに変化することに留意されたい。極端な例として、密度測定値が誤差50kg/m3であると仮定すると、VoSの計算誤差は結果として26m/sとなり、質量流量補正誤差は結果としてわずか0.5%になる。より現実的な、通常予想されるよりも若干大きい密度誤差10kg/m3の場合、実際の流体密度の小さな差に関連して表れる、質量流量に対するVoS誤差の影響の変化が小さいことを考慮すると、質量流量補正誤差は有意なものとはならないであろう。
【0077】
理解のために提供される例示的な実施例では、VoSが大きく変化する条件での計量のシナリオが提供されるが、これに限定されない。これは、密度が350kg/m3の範囲であるシナリオで起こる可能性がある。ここで、計器に対するVoS効果は非常に小さく、0.5%~0.4%である。ここでも、10kg/m3の密度誤差は有意なものではなく、その結果生じる質量流量誤差は有意なものではない。
【0078】
したがって、本明細書に開示される方法に関する誤差は、信頼性の高い質量流量測定を行うのに十分に小さいものであることは、明らかである。
【0079】
本明細書に記載される装置及び方法は、エチレンのみに限定されないことに留意されたい。他の一般的な臨界相流体としては、エタン、二酸化炭素及びアルゴンが挙げられ、本明細書の記載は、必要な変更を加えてこれらの流体にも同様に適用される。例えば、
図7は、エタンの温度及び密度に基づいてメータ電子機器20によって導出されたVoS値を示す。同様に、
図8は、二酸化炭素(CO2)の温度及び密度に基づいてメータ電子機器20によって導出されたVoS値を示す。
【0080】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内にあると本発明者らが考えるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者は、上記の実施形態の特定の要素を様々に組み合わせたり削除したりして、さらなる実施形態を作り出すことができ、このようなさらなる実施形態は、本発明の範囲及び教示に含まれることを認識するであろう。また、本発明の範囲及び教示内で、上述の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて追加の実施形態を作成できることも、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【国際調査報告】