(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】モノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 37/02 20060101AFI20240628BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240628BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20240628BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20240628BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B01J37/02 301D
B01J37/08 ZAB
B01J29/76 A
B01D39/14 B
B01D39/20 A
B01D39/20 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580430
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2022052104
(87)【国際公開番号】W WO2023026022
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】アルルラージ、ケネシャリンガム
(72)【発明者】
【氏名】ベルハム、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デ ブルイン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー、ガイ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】コリガン、クリス
(72)【発明者】
【氏名】マーヴェル、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ジョン
【テーマコード(参考)】
4D019
4G169
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA01
4D019BA02
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4D019BA13
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4G169ZF05B
(57)【要約】
モノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法が開示される。コーティングされたモノリス物品は、排気ガスの処理に適している。この方法は、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成することを含む。本発明はまた、排気ガスの処理のためのモノリス物品の形成に使用するための未焼成多孔質モノリス物品を提供する。未焼成モノリス物品は、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子状組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの処理のためにモノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法であって、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
前記ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、
前記コーティング層を焼成して、コーティングされたモノリス物品を提供するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記モノリス物品は、モノリスフィルタ、好ましくはウォールフローフィルタ、及び/又は触媒物品、好ましくは触媒ウォールフローフィルタである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
(i)前記無機粒子は、第1の乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧されて、無機粒子層を形成し、次いで、前記シリコーン樹脂は、第2の乾燥粒子エアロゾルとして前記無機粒子層上に噴霧されて、前記コーティング層を形成し、又は
(ii)前記無機粒子とシリコーン樹脂との混合物を、乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧して、前記コーティング層を形成する、のいずれかである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂は、1,000超、好ましくは2,000超、好ましくは5,000超、好ましくは10,000超の分子量、及び/又は500,000未満、好ましくは200,000未満の分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン樹脂は、30℃超、好ましくは35℃超、及び/又は100℃未満、好ましくは80℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコーン樹脂は、式[R
xSiX
yO
z]
nを有し、式中、Rはアルキル又はアリールであり、Xはケイ素に結合した官能基であり、zは1より大きく2未満である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
yは1未満であり、及び/又はyはx未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーン樹脂は、55%超、好ましくは60%超、より好ましくは65%超の架橋度、及び/又は85%未満、好ましくは80%未満の架橋度を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
Rは、C
1~C
6アルキル及びフェニルの1つ以上、好ましくは直鎖アルキル及びフェニルの1つ以上、好ましくはメチル及びフェニルの一方又は両方、より好ましくはメチルである、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Xは、H、OH、Cl及びC
1~C
6アルコキシの1つ以上、好ましくはOH及びC
1~C
6アルコキシの1つ以上、より好ましくはOH及びエトキシの一方又は両方である、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーン樹脂の二酸化ケイ素含有量が、50重量%超、好ましくは60重量%超、好ましくは70重量%超、好ましくは80重量%超である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記無機粒子は、ゼオライト、耐火性酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記無機粒子は、アルミン酸カルシウム、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、ヒュームドジルコニア、ヒュームドセリア、アルミナエアロゲル、シリカエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、又はこれらの混合物を含む耐火性酸化物粒子である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無機粒子は、0.2μm超及び/又は50μm未満、好ましくは25μm未満の体積によるd
50を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
焼成が、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも300℃、より好ましくは少なくとも400℃の温度、及び/又は最大で600℃、好ましくは最大で550℃、より好ましくは最大で530℃の温度に加熱することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記モノリス物品は、1種以上の白金族金属を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥粒子エアロゾルは、1.5g/cm
3未満のタップ密度を有する乾燥粒子組成物から形成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記無機粒子とシリコーン樹脂との混合物が、乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧されて、前記コーティング層を形成し、前記混合物において、シリコーン樹脂に対する無機粒子の重量比が、0.5超、好ましくは0.7超、好ましくは0.9超、及び/又は4未満、好ましくは3未満、好ましくは2.5未満である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品であって、前記未焼成多孔質モノリス物品は、複数のチャネルを含み、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子組成物を含み、前記乾燥粒子組成物は、前記未焼成多孔質モノリスの前記チャネル及び/又は細孔内に位置する、未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項20】
前記乾燥微粒子組成物の質量充填量は、50g/L未満、好ましくは30g/L未満である、請求項19に記載の未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項21】
排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品であって、前記モノリス物品は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
前記ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、を含む方法によって得ることができる、未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる排気ガス処理のためのコーティングされたモノリス物品。
【請求項23】
請求項22に記載のコーティングされたモノリス物品を備える、車両排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法に関する。特に、コーティングされたモノリス物品は排気ガスの処理に適している。より詳細には、この方法は、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成することを含む。本発明はまた、排気ガスの処理のためのモノリス物品の形成に使用するための未焼成多孔質モノリス物品に関する。特に、未焼成モノリス物品は、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子状組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの、特に自動車用途のディーゼル及びガソリンエンジンからの、一般に煤と呼ばれる微粒子状物質(PM)の排出に関する懸念事項が存在している。主な懸念事項は、潜在的な健康影響に関連し、具体的にはナノメートル範囲のサイズを有する非常に小さな粒子に関連するものである。
【0003】
ディーゼル排気微粒子フィルタ(DPF)及びガソリン排気微粒子フィルタ(GPF)は、焼結金属、セラミック、又は金属繊維などを含む様々な材料を使用して製造されてきたが、実際の大量生産における最も一般的な種類は、本体の長さに沿って延びる多くの小さなチャネルのモノリシックアレイの形態で製作された多孔質セラミック材料から作製されるウォールフローの類である。交代チャネルは一方の端部で塞がれているため、排気ガスは多孔質セラミックチャネル壁を通るように押しやられ、多孔質セラミックチャネル壁は微粒子の大部分が通過することを阻止するため、濾過されたガスのみが環境に進入する。商業生産におけるセラミックウォールフローフィルタには、コージエライトから作製されたもの、様々な形態の炭化ケイ素及びチタン酸アルミニウムが含まれる。車両上の実用的なフィルタの実際の形状及び寸法、並びにチャネル壁の厚さ及びその多孔度などの特性は、関係する用途に依存する。ガスが通過するセラミックウォールフローフィルタのフィルタチャネル壁内の細孔の平均寸法は、典型的には、5~50μmの範囲内であり、通常は約20μmである。著しく対照的なことに、最新の乗用車の高速ディーゼルエンジンからのほとんどのディーゼル排気微粒子状物質のサイズは非常に小さく、例えば10~200nmである。
【0004】
いくつかのPMは、フィルタ壁内の細孔構造内に保持され得るが、これは、いくつかの用途において、細孔がPMのネットワークによって架橋されるまで徐々に構築され得、このPMネットワークは次いで、フィルタチャネルの内壁上に微粒子のケーキを容易に形成させることになる。微粒子ケーキは、優れたフィルタ媒体であり、その存在により、非常に高い濾過効率が得られる。いくつかの用途では、煤は、堆積されるときにフィルタ上で連続的に燃焼され、これにより、微粒子ケーキがフィルタ上に蓄積されることが防止される。
【0005】
いくつかのフィルタ、例えば軽量ディーゼル排気微粒子フィルタでは、エンジン性能に有害であり、また燃費効率を低下させ得る過剰な背圧の増大を防止するために、トラップされたPMをフィルタから除去することが定期的に必要となる。ディーゼル用途では、保持されたPMは、プロセス中に空気中で燃焼させることによってフィルタから除去され、このプロセスの間、利用可能な空気の量、及び保持されたPMに点火するために必要な高温を達成するために使用される過剰燃料の量は、非常に注意深く制御される。通常は再生と呼ばれるこのプロセスの終わりに向けて、フィルタ内の最後に残留する粒子の除去は、濾過効率を顕著に低下させ、多くの小さな粒子を環境へとバースト放出することにつながり得る。したがって、フィルタは、それらが最初に使用されるときに、それに続く各再生イベントの後に、また各再生プロセスの後半の部分の間に、低い濾過効率を有し得る。
【0006】
したがって、例えば、最初に使用されるときのフィルタの初期寿命の間、並びに/又は再生の間及びその直後、並びに/又はフィルタに煤が堆積したときにも、濾過効率を常に改善及び/又は維持することが望ましい。
【0007】
国際公開第2011/151711号(その全体が本明細書に参照により組み込まれる)には、リーン燃焼内燃機関から放出された排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを作製する方法が記載されている。フィルタは、入口表面及び出口表面を有する多孔質基材を含み、入口表面は、第1の平均孔径の細孔を含む多孔質構造によって出口表面から隔てられている。入口表面は、多孔質構造の細孔の全体にわたって耐火性材料の相互接続粒子を含む架橋ネットワークを含む。この方法は、フィルタ基材の入口表面を、乾燥粉末形態をなす耐火材料を含むエアロゾルと接触させるステップを含む。
【0008】
国際公開第2021/028692号(その全体が本明細書に参照により組み込まれる)には、車両用排気フィルタであって、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、多孔質基材は、入口面から延びる入口チャネルと、出口面から延びる出口チャネルと、備え、入口チャネルと出口チャネルとは、多孔質構造を有する複数のフィルタ壁によって隔てられており、車両用排気フィルタは、0.10g/cm3未満の充填前のタップ密度を有する耐火性粉末を充填されており、車両用排気フィルタは、耐火性粉末の質量充填量が10g/L未満であり、耐火性粉末の40%超は、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され、耐火性粉末の60%未満は、複数のフィルタ壁の外部表面上にコーティングされている、車両用排気フィルタが記載されている。国際公開第2021/028692号はまた、乾燥粒子エアロゾルなどの乾燥耐火性粉末を多孔質基材のチャネル上に噴霧するための好適な方法及び装置を記載しており、好ましくは、耐火性粉末の50%超、任意選択で耐火性粉末の100%までが、複数のフィルタ壁の多孔質構造内に配置され得る。
【0009】
国際公開第2020/047708号は、濾過材料などの材料、例えば、多孔質体の少なくとも一部の上に配置された多孔質無機層を含む多孔質セラミックハニカム体などの多孔質体を含む物品、並びにそのような物品及び多孔質体を作製するための方法を開示している。本方法は、懸濁液中の無機材料をガス状キャリア流体と接触させることを含み、懸濁液は、水性系又は有機系、例えばエタノール又はメタノールなどのアルコールであってもよい。
【0010】
本発明者らは、国際公開第2021/028692号に記載されているような耐火性粉末材料で処理された多孔質フィルタ基材は、耐水性及び接着性が低いことを見出した。例えば、ヒュームドアルミナ(例えば、Aeroxide(登録商標)Alu130)で処理された多孔質フィルタ基材は、特定のエンジン条件下、特に連続エンジン冷間始動中の使用に望ましい水耐性を提供することができなかった。上述したように、例えば、ヘビーデューティディーゼル(Heavy Duty Diesel、HDD)触媒スートフィルタ(Catalytic Soot Filter、CSF)用途では、フィルタが数回の灰洗浄サイクルに耐えることができる必要がある。
【0011】
本願発明者らは、従来技術に見られる問題を軽減及び/又は克服するために本発明を開発した。本発明は、より高い水耐性及び改善された濾過効率を有利に示す、より効率的な被覆モノリス物品の製造のための改善された方法を提供する。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、排気ガスの処理のためにモノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法が提供され、この方法は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、
コーティング層を焼成して、コーティングされたモノリス物品を提供するステップと、を含む。
【0013】
更なる態様において、排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品が提供され、モノリス物品は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、を含む方法によって得ることができる。
【0014】
別の態様において、第1の態様に関して本明細書に記載される方法によって得ることができる排気ガスの処理のためのコーティングされたモノリス物品が提供される。コーティングされたモノリス物品は、既知のコーティングされたモノリス物品よりも向上した耐水性を有し、本明細書に記載されるように、物品は、好ましくは触媒物品及び/又はウォールフローフィルタである。このような物品は、排気ガス、特に車両の排気ガスの処理に特に適している。本発明者らは、コーティングされたモノリス物品中に存在する高度に架橋された二酸化ケイ素が、無機粒子を多孔質モノリス物品のチャネルのガス接触表面に結合するのに非常に有効であることを見出した。
【0015】
本発明の更なる態様において、コーティングされたモノリス物品を含む車両排気システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】比較試料C-1、新鮮な試料C-1、及び水浸処理後の試料C-1の濾過効率データを比較する。
【
図2】比較試料C-1、新鮮な試料C-2、及び水浸処理後の試料C-2の濾過効率データを比較する。
【
図3】新鮮な試料C-5と磨砕後の試料C-5の濾過効率データを比較する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、排気ガスの処理のためにモノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法が提供され、この方法は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、
コーティング層を焼成して、コーティングされたモノリス物品を提供するステップと、を含む。
【0018】
これから、本開示を更に説明する。以下の節では、本開示の異なる態様/実施形態がより詳細に定義される。そのように定義された各態様/実施形態は、別途明確に示されていない限り、任意の他の態様/実施形態又は態様/実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であると示された任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わせることができる。
【0019】
本発明の方法は、モノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成し、それによってコーティングされたモノリス物品を形成する。よって、無機酸化物コーティングを有するモノリス物品は、排気ガスの処理に使用するのに適している。排気ガスは、好ましくは車両のエンジンからの希薄燃焼排気ガスであってよく、排気ガスは、排気ガスをモノリス物品のチャネルに通過させ、それによって排気ガスを複数のチャネルのガス接触表面と接触させることによって処理される。
【0020】
この方法は、排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供することを含み、各チャネルはガス接触表面を有する。多孔質モノリス物品は、当該技術分野において周知である。多孔質モノリス物品は、基材、好ましくはハニカム基材、好ましくはセラミックハニカム基材と呼ばれることもある。このような基材は、排気ガスの通過に適した複数のチャネルを含む。複数のチャネルは、平行であり、入口端部(又は第1の端部)から出口端部(又は第2の端部)まで延びる、すなわち、チャネルは、物品を通って軸方向に延びる。典型的には、チャネルは正方形の断面を有するが、任意の既知のモノリス設計を使用することができる。
【0021】
多孔質モノリス物品/基材は、例えば、焼結金属、セラミック又は金属繊維などから形成されてもよい。例えば、物品は、コージエライト、様々な形態の炭化ケイ素又はチタン酸アルミニウムから形成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、モノリス物品はモノリスフィルタである。モノリスフィルタは、ウォールフローフィルタ(ウォールフローモノリス物品としても知られ得る)であることが特に好ましい。ウォールフローフィルタは周知であり、典型的には、隣接するチャネルは、モノリス物品の各端部で交互に塞がれ、使用時に、排気ガスが入口チャネル(すなわち、排気ガスを受け入れるためにモノリス物品の入口端部で開いているチャネル)に沿って通過し、チャネル壁を通過して隣接する出口チャネル(すなわち、モノリス物品の出口端部で開いているチャネル)に入るようにされる。
【0023】
チャネル壁は、モノリス物品に必要とされる多孔性を提供する微細孔の分布を有し、チャネル壁、例えばフィルタ壁における孔の平均寸法は、典型的には5~50μmの範囲である。各チャネルはガス接触面を有する。すなわち、各チャネルは、使用時に例えば排気ガスと接触するのに適した表面を有する。表面は、チャネル壁表面及び/又はその中に含まれる細孔によって提供されてもよい。
【0024】
別の特に好ましい実施形態では、多孔質モノリス物品は触媒物品(すなわち、触媒物品)である。触媒多孔質モノリス物品は周知であり、酸化、NOx捕捉、又は選択的触媒還元活性などの触媒機能を示す。多孔質モノリス物品は、1つ以上のウォッシュコート、好ましくは触媒ウォッシュコートを含んでもよい。ウォッシュコートは、物品の多孔質構造をコーティングし、浸透する組成物である。次いで、1つ以上のウォッシュコートを含む物品は、好ましくは、本明細書に記載されるように、無機粒子及びシリコーン樹脂をチャネル上に噴霧する前に焼成される。したがって、触媒物品は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst、TWC)、NOx吸収剤、酸化触媒、選択的還元触媒(Selective Reduction Catalyst、SCR)、炭化水素トラップ及びリーンNOx触媒から選択することができる。三元触媒(TWC)は、1つ以上の白金族金属、特に白金、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択されるものを含有し得る。
【0025】
特に好ましい実施形態において、多孔質モノリス物品は、触媒ウォールフローフィルタである。結果として、物品は、例えば、触媒化された煤フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(LNTF)、ガソリン排気微粒子フィルタ(GPF)、アンモニアスリップ触媒フィルタ(ASCF)、又はそれらの2つ以上の組み合わせ(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒とアンモニアスリップ触媒(ASC)とを含むフィルタ)であり得る。
【0026】
フィルタの形状及び寸法、例えば、チャネル壁厚及びその多孔性などの特性は、フィルタの意図される用途に応じて異なり得る。フィルタは、内燃機関によって放出された排気ガスを濾過するために内燃機関と共に使用するように構成され得る。内燃機関は、ガソリン火花点火エンジンであり得る。しかしながら、フィルタは、ディーゼル又はガソリンエンジンの形態の内燃機関と共に使用するように構成された場合、特定の用途を見出す。
【0027】
ウォールフローフィルタは、非対称ウォールフローフィルタであり得る。非対称ウォールフローフィルタの設計は、例えば、国際公開第2005/030365号から知られており、これは、第1のチャネル及び第2のチャネルのアレイを画定する相互接続した多孔質壁のアレイを含むハニカムフィルタを開示している。第1のチャネルは、その側面で第2のチャネルに隣接しており、第2のチャネルよりも大きな水力直径を有する。第1のチャネルは、正方形の断面を有し、第1のチャネルの角は、第1のチャネルの角に隣接する多孔質壁の厚さが第1及び第2のチャネルの縁部に隣接する多孔質壁の厚さに匹敵するような形状を有する。使用時に、より大きな水力直径を有する第1のチャネルは、上流側に配置される。Society of Automotive Engineers SAE Technical Paper Series 2007-01-0656は、「フィルタチャネルの入口及び出口におけるガスの収縮及び膨張により、[触媒化非対称セル技術(ACT)ウォールフローフィルタでは]ACT設計のクリーンな状態において圧力損失ペナルティがある。しかしながら、フィルタは、車両上での作動時に、全くクリーンな(完全に再生された)状態でいられるのはごくわずかな時間だけである。」と説明している。国際公開第2005/030365号はまた、非対称フィルタ設計の利点としては、ハニカムフィルタの入口部分で煤及び灰粒子を収集するのに利用可能な有効表面積の増加、したがってハニカムフィルタの全体的な収納容量の増加が挙げられると説明している。共通一般知識テキストブックである「Catalytic Air Pollution Control-Commercial Technology」,3rd Edition,Ronald M.Heck et al,John Wiley & Sons,Inc.Hoboken,N.J.,USA(2009)pp.338-340は、「このような[非対称フィルタ]チャネル設計は、より大きな水力直径及びより大きな入口の開放体積のために、より低い灰添着後の背圧と組み合わせたより高い灰収納容量を可能にする。ACT設計はまた、フィルタの機械的及び熱的耐久性を維持するのに役立つ。」と説明している。
【0028】
本方法は更に、ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップを含む。したがって、本方法は、モノリス物品上の複数のチャネルのガス接触表面上に、ガス中に懸濁された(すなわち、エアロゾルとしての)乾燥粉末(すなわち、乾燥粒子)を噴霧することを含む。モノリス物品上への乾燥粉末の噴霧は、当該技術分野において既知である。好適な方法及び装置が、例えば、国際公開第2011/151711号及び国際公開第2021/028692号に記載されている。
【0029】
本発明者らは、驚くべきことに、乾燥粒子エアロゾルを形成するための乾燥粉末中にシリコーン樹脂を含めることによって、得られる物品が著しく改善された耐水性を示し、チャネル壁の表面への無機粒子の接着を助けることを特定した。無機粒子の改善された保持は、モノリスフィルタ物品がシリコーン樹脂を含むことからの利益を利用するために特に好ましい実施形態であるように、物品の濾過効率を改善することが見出された。
【0030】
本発明の1つの主要な利点は、モノリス物品、例えばフィルタ壁内に触媒を含有するフィルタが、触媒がフィルタ上に担持された後に、無機コーティングがフィルタ壁内及び/又はフィルタ壁上の触媒に干渉しないように処理され得ることである。更に、本発明者らは、本明細書に記載されるシリコーン樹脂が、触媒に有害であり得る高温処理を必要とせず、無機粒子をより効果的に保持し、物品チャネルに付着させることを可能にすることを見出した。
【0031】
シリコーン樹脂は公知であり、分枝状のかご状オリゴシロキサン及びポリシロキサンである。シリコーン樹脂中の分岐は、それぞれRSiO3及びSiO4単位(Rはアルキル又はアリール基である)を指す、樹脂中のいわゆる「T」及び/又は「Q」単位の存在から生じ、更なるケイ素単位が酸素原子に結合している。「M」単位、すなわちR3SiO単位は、酸素原子が樹脂主鎖への結合を提供する末端単位である。同様に、「D」単位、すなわち、R2SiO2単位は、2個の酸素原子にわたって線形結合性を提供する。1つのよく知られている非分岐鎖状及び直鎖状ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS、すなわち、(Me2SiO)n)である。
【0032】
理解されるように、無機粒子及びシリコーン樹脂が乾燥微粒子エアロゾルとして噴霧される要件は、シリコーン樹脂が固体微粒子であるものであることを必要とする。したがって、本明細書では、シリコーン樹脂をシリコーン樹脂粒子と呼ぶことがある。好ましくは、シリコーン樹脂は室温(例えば、約25℃)で固体である。したがって、シリコーン樹脂は、好ましくは、25℃超、好ましくは30℃超、より好ましくは35℃超の融点を有する。好ましくは、シリコーン樹脂の融点は、100℃未満、好ましくは95℃未満、90℃未満、85℃未満又は80℃未満である。PDMSなどの非分岐ポリシロキサンは、典型的には、分岐しているシリコーン樹脂よりも低い融点を有する。例えば、PDMSの融点は約-40℃である。国際公開第2011/151711号は、十分に高い温度で加水分解されたときにシリカを形成するポリジメチルシロキサンで処理することによって粉末を適所に結合することを開示している。
【0033】
同様に、本発明者らは、シリコーン樹脂が、30℃超、好ましくは35℃超、及び/又は100℃未満、好ましくは80℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましいことを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、このような融点及び/又はガラス転移温度を有するシリコーン樹脂は、粉体コーティングプロセスに特に適しており、すなわち、無機粒子と共にモノリス物品上に効果的に微粒子を分散させるのに特に適しているが、低温焼成を可能にするのに十分に低く、それによって無機粒子をチャネル壁のガス接触表面に効果的かつ効率的に付着させると考える。
【0034】
好ましくは、無機粒子は、ゼオライト、耐火性酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なゼオライトの例としては、ケイ酸塩ゼオライト、アルミノケイ酸塩ゼオライト、金属置換アルミノケイ酸塩ゼオライト、AlPO、MeAlPO、SAPO、MeAPSOなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のゼオライトは、アルミノシリケート、ボロシリケート、ガロシリケート、SAPO、AlPO、MeAPSO、及びMeAPOゼオライトから独立して選択される。いくつかの実施形態において、ゼオライトは、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、SCO、CFI、SGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IFY、IHW、IRN、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFW、SGT、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、WI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZON、又はそれらの組み合わせから選択される骨格型を有する。いくつかの実施形態において、ゼオライトは、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、BEA、CHA、DDR、EAB、EEI、ERI、FAU、FER、IFY、IRN、KFI、LEV、LTA、LTN、MER、MOR、MWF、MFI、NPT、PAU、RHO、RIE、RTH、SAS、SAT、SAV、SFW、TSC、及びUFIから選択される骨格型を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、無機粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、クロミア、マグネシア、カルシア、チタニア、及びそれらの任意の2つ以上の混合酸化物からなる群から選択される酸化物に基づくことができる耐火性酸化物粒子である。好ましくは、耐火性酸化物粒子は、アルミン酸カルシウム、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、ヒュームドジルコニア、ヒュームドセリア、アルミナエアロゲル、シリカエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、又はこれらの混合物を含む。1つ以上のヒュームド耐火性粉末(耐火性酸化物粒子)は、発熱性のプロセス、例えば火炎熱分解によって生成され得る。
【0036】
無機粒子の一例は、ケイ酸である。
【0037】
好ましくは、無機粒子及び/又はシリコーン樹脂粒子は、0.2μm超、好ましくは0.5μm超、及び/又は50μm未満、好ましくは25μm未満、好ましくは20μm未満、好ましくは15μm未満、好ましくは10μm未満の体積によるd50を有する。
【0038】
好ましくは、乾燥粒子エアロゾルは、1.5g/cm3未満のタップ密度を有する乾燥粒子組成物から形成される。乾燥微粒子組成物は、乾燥微粒子粉末と呼ぶことができる。乾燥粒子状組成物は、無機粒子及び/又はシリコーン樹脂からなることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、無機粒子は、0.1g/cm3未満のタップ密度を有する(典型的には、ヒュームド耐火性酸化物について)。他の好ましい実施形態では、無機粒子は、0.1g/cm3を超える、好ましくは0.2g/cm3を超えるタップ密度を有する。例えば、Cu置換ゼオライトなどのゼオライト粒子は、好ましくは約0.25g/cm3のタップ密度を有することができる。他の好ましい実施形態では、耐火性酸化物粒子などの無機粒子は、1.4g/cm3未満、好ましくは1.3g/cm3未満、好ましくは1.2g/cm3未満のタップ密度を有してもよい。ほんの一例として、アルミン酸カルシウムは、約1g/cm3のタップ密度を有し得る。したがって、無機粒子は、好ましくは、0.1g/cm3~1.4g/cm3、好ましくは0.2g/cm3~1.2g/cm3のタップ密度を有し得る。シリコーン樹脂粒子は、0.3g/cm3~0.9g/cm3、好ましくは0.5g/cm3~0.7g/cm3のタップ密度を有してもよい。無機粒子とシリコーン樹脂との混合物からなる乾燥粒子状組成物は、好ましくは、無機粒子又はシリコーン樹脂のいずれかについて個々に記載されたものと同じタップ密度を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、乾燥微粒子組成物のタップ密度は、0.5~1.4g/cm3、好ましくは0.7g/cm3~1.2g/cm3である。
【0039】
好ましい一実施形態では、噴霧ステップは、無機粒子を第1の乾燥粒子エアロゾルとしてガス接触表面上に噴霧して無機粒子層を形成する第1の噴霧ステップと、次いで、第2の噴霧ステップにおいて、シリコーン樹脂を第2の乾燥粒子エアロゾルとして無機粒子層上に噴霧してコーティング層を形成する第2の噴霧ステップとを含む。したがって、無機粒子は、シリコーン樹脂が無機粒子でコーティングされたチャネル上に別個に噴霧される前に、モノリス物品のチャネル上に噴霧される。
【0040】
更により好ましくは、無機粒子とシリコーン樹脂との混合物を乾燥粒子エアロゾルとしてガス接触表面上に噴霧して、コーティング層を形成する。したがって、無機粒子とシリコーン樹脂との緊密な混合物が、チャネルのガス接触表面上にコーティングされ、シリコーン樹脂の焼成時に無機粒子のチャネル壁への接着を強化する。
【0041】
無機粒子とシリコーン樹脂との混合物を乾燥粒子エアロゾルとしてガス接触表面上に噴霧してコーティング層を形成する場合(好ましくは、乾燥粒子組成物が無機粒子とシリコーン樹脂とからなる場合)、混合物中の無機粒子とシリコーン樹脂との重量比は、好ましくは0.5超(換言すれば0.5:1超)、好ましくは0.7超、好ましくは0.9超、及び/又は4未満、好ましくは3未満、好ましくは2.5未満である。例えば、この比は約1又は約2であることが好ましい場合がある。好ましくは、この比は0.5~4、好ましくは0.7~3、好ましくは0.9~2.5、好ましくは1~2である。
【0042】
好ましくは、シリコーン樹脂は、1,000を超える、好ましくは2,000を超える、好ましくは5,000を超える、好ましくは10,000を超える分子量、及び/又は500,000未満、好ましくは200,000未満の分子量を有する。
【0043】
本明細書で使用される場合、分子量は、当該技術分野における任意の従来の手段を使用して測定され得る重量平均分子量(MW)を指す。いくつかの実施形態、特にシリコーン樹脂がヒドロキシ官能基を含む本明細書に記載の実施形態では、ヒドロキシ官能基によって提供される水素結合が、十分に高い融点及び/又はガラス転移温度を有するシリコーン樹脂を提供するため、分子量は比較的低くてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、シリコーン樹脂の分子量は、1,000~10,000、好ましくは1,000~5,000、好ましくは1,200~3,500、例えば1,500~2,000であり得る。1,000未満の分子量を有するシリコーン樹脂は、典型的には液体であり、乾式噴霧に適さないか、又はモノリス物品への無機粒子の結合を強化すると考えられるより大きな分子ほど多くの分岐を有さないため、あまり好ましくない。
【0044】
それにもかかわらず、シリコーン樹脂の分子量は、好ましくは15,000~150,000、好ましくは20,000~120,000、好ましくは60,000~100,000であってよい。いくつかの好ましい樹脂は、8,000~15,000のMwを有し、いくつかは20,000~60,000、他は80,000~120,000のMwを有する。
【0045】
シリコーン樹脂が式[RxSiXyOz]nを有することが特に好ましく、式中、Rはアルキル基又はアリール基であり、Xはケイ素に結合した官能基であり、zは1より大きく2未満である。理解されるように、nは、シリコーン樹脂、特に室温で固体である樹脂に必要なオリゴマー又はポリマーを提供するように大きい。R基及びX基の分子量に依存するが、nが10より大きい場合、1,000より大きいMWを達成することができ、nが100より大きい場合、10,000より大きいMWを達成することができ、nが1,000より大きい場合、100,000より大きいMWを達成することができる。したがって、nは、好ましくは10超、100超、1,000超であってもよい。
【0046】
理解されるように、Rはケイ素に結合したアルキル又はアリールであり、Xはケイ素に結合した非炭化水素官能基である。同様に、ケイ素は四価原子であるため、x+y+2z=4であることが理解されるであろう。zは2未満である。これは、z=2、x及びy=0で、シリカ(すなわち、二酸化ケイ素、(SiO2)n)を提供することによる。同様に、zは1より大きい。これは、z=1、x+y=2で、線状樹脂(例えば、-O-(SiRX)-O-(SiRX)-O-)を提供する「D」単位からなる置換ポリシロキサン(例えば、(RXSiO)n)を提供することによる。一例は、ポリジメチルシロキサンである。したがって、Oは、シリコーン樹脂のポリマー主鎖中の2つのケイ素原子を架橋する酸素を指す。
【0047】
好ましくは、0<x+y<2、好ましくは0<x+y≦1.5、好ましくは0<x+y≦1である。好ましくは、x、y及び/又はx+yは、0.1より大きく、好ましくは0.2より大きい。1つの好ましい実施形態において、x+yは1で、一般にポリシルセスキオキサンとして知られるシリコーン樹脂を提供する。好ましくは、yは1未満であり、及び/又はyはx未満である。更により好ましくは、2y≦x、好ましくは5y≦x、好ましくは10y≦xである。一実施形態において、yは0である。例えば、ポリシルセスキオキサンがポリメチルシルセスキオキサン(MeSiO3/2)nなどのポリアルキルシルセスキオキサンである場合、yは0である。
【0048】
典型的には、存在する場合、Xは、H、ヒドロキシ(OH)、Cl及びC1~C6アルコキシの1つ以上、好ましくはOH及びC1~C6アルコキシの1つ以上であり、好ましくは、C1~C6アルコキシは、メトキシ(OCH3)及びエトキシ(OCH2CH3)から選択される。特に好ましい実施形態において、Xは、OH及びエトキシの一方又は両方である。しかしながら、Xは、アミニル(NH2、NR2)、エポキシ、アクリレート、及びビニルなどの反応性官能基であってもよい官能基であるが、ヒドロキシ基又はアルコキシ基の存在が焼成中により効果的な架橋を提供すると考えられるため、これらはあまり好ましくない。上記のように、末端官能基中に存在する任意の酸素は、ケイ素架橋酸素原子を指す上記式中の「Oz」に寄与しない。
【0049】
本発明者らは、本明細書に記載されるシリコーン樹脂が、向上した耐水性の有利な利益を有するコーティングされたモノリス物品を提供することを見出した。シリコーン樹脂は、無機粒子をモノリス物品に結合するのに特に有利であることが見出されている。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、シリコーン樹脂の分岐構造及び物理的特性により、本明細書に記載の焼成ステップ中に樹脂が最初に溶融し、チャネルのガス接触表面上の無機粒子と結合した後に(その上に密接に又は堆積して)硬化し始めることが可能になると考えている。樹脂が硬化するにつれて、樹脂は追加の-Si-O-Si-O-Si-架橋/結合を形成し、その分岐状構造を更に増加させる。更に、本発明者らは、そのような結合はまた、例えば-Si-O-Al-結合を形成することによって、物品中の適所に粒子を更に接合する無機粒子と共に、ガス接触表面(すなわち、モノリス物品自体)と形成され得ると考える。焼成中の温度が上昇し続けるにつれて、R及びX基は酸化されてシリカ(SiO2)骨格を残す。したがって、ケイ素及び/又はアルミニウム含有無機粒子、例えば、ゼオライト、アルミン酸カルシウム、アルミナ及び/又はシリカが好ましい場合がある。
【0050】
好ましくは、シリコーン樹脂は、55%超、好ましくは60%超、より好ましくは65%超の架橋度、及び/又は85%未満、好ましくは80%未満の架橋度を有する。
【0051】
本明細書に記載されるように、式[RxSiXyOz]nによって記載されるものなどのシリコーン樹脂のケイ素原子は、ケイ素の四価の性質を考慮して4つの配位環境、すなわち、それぞれ「M」、「D」、「T」、及び「Q」として当技術分野で公知のSiO(R/X)3、SiO2(R/X)2、SiO3(R/X)、又はSiO4のうちの1つにあってもよい。したがって、上記の式は、a+b+c+d=1であり、架橋度が[(a+2b+3c+4d)/4]*100によって定義されるaMbDcTdQによって記載され得る。各配位環境におけるケイ素原子の数の相対比は、標準的な分光技術、例えば、多核NMR分光法、特に29Si NMR分光法を使用して決定することができる。あるいは、市販のシリコーン樹脂については、架橋度をテクニカルデータシートに提供してもよい。
【0052】
換言すれば、二酸化ケイ素(SiO2)は、各ケイ素原子が4つの接続酸素原子に結合している「Q」SiO4単位から完全に形成されている。したがって、dが1である場合、これは二酸化ケイ素に100%の架橋度を与える。一方、一例として、PDMSは、全体が「D」Si(Me)2O2から形成される。したがって、bが1である場合、これはポリジメチルシロキサンに50%の架橋度を与える。結果として、シリコーン樹脂は、好ましくは、これらの2つの極値の間の架橋度を有し、このような単位の混合物を含む。したがって、シリコーン樹脂は、好ましくは、MDT単位、MTQ単位、DTQ単位又はDT単位からなることができる。
【0053】
好ましくは、Rは、C1~C6アルキル又はフェニル基の1つ以上である。シリコーン樹脂のオリゴマー性又はポリマー性に起因して、モノマー単位の数は典型的に大きい。R基及びX基の両方の例が多数存在し得、その結果、単一のモノマー単位によって記載されるようなシリコーン樹脂は、複数の異なる基を含み得る。官能基Xに関して上述したように、Xは好ましくはOH及びエトキシの両方であってもよい。同様に、Rは、2つ以上のC1~C6アルキル及び/又はフェニルを含んでもよい。したがって、RがR’及びR’’などの2つ以上の基によって記載される場合、シリコーン樹脂の式は、[R’x’R’’x’’SiXyOz]nであってもよく、式中、x’+x”=xである。これは、官能基Xにも同様に適用される。
【0054】
好ましくは、Rは、直鎖又は分岐アルキル及びフェニルの1つ以上、直鎖アルキル及びフェニルの1つ以上、より好ましくはメチル及びフェニルの1つ又は両方である。Rがメチル及びフェニルの両方であるいくつかの好ましい実施形態において、フェニル対メチル比は、2未満、好ましくは1.5未満、好ましくは1未満、好ましくは0.5未満である。いくつかの実施形態において、Rはフェニルである。より好ましくは、Rはメチルである(すなわち、比は0である)。
【0055】
R及びX基についてのメチル、メトキシ及びエトキシなどのより小さい有機基は、出発シリコーン樹脂のSiO2含有量を増加させ、焼成中の重量損失を減少させるため、特に好ましい。更に、焼成中の発煙及び揮発性物質(H2O、CO2及び他の揮発性有機物など)の損失が低減される。
【0056】
したがって、シリコーン樹脂の二酸化ケイ素含有量は、50重量%超、好ましくは60重量%超、好ましくは70重量%超、好ましくは80重量%超であることが好ましい。二酸化ケイ素含有量は、出発シリコーン樹脂の重量による完全酸化後に残っている生成物(この場合、生成物は二酸化ケイ素である)の重量である灰分含有量とも呼ばれ得る。例えば、酸化は1000℃で行われてもよい。あるいは、二酸化ケイ素含有量は、適切な市販のシリコーン樹脂の技術データシートから入手可能であってもよい。あるいは、二酸化ケイ素含有量は、ケイ素の二酸化ケイ素への完全酸化及び樹脂の化学式に基づいて計算され得る。ほんの一例として、ポリメチルシルセスキオキサン(MeSiO3/2)nは、66.1の式量及び28.1のケイ素の原子量に基づくシリコーン樹脂の重量で、約42.7重量%のケイ素である。二酸化ケイ素は60.1の式量を有し、これはケイ素の式量より約2.1倍大きい。したがって、ポリメチルシルセスキオキサンの二酸化ケイ素含有量は、2.1*42.7=89.7重量%(すなわち、シリコーン樹脂の重量による)である。
【0057】
本発明の方法における使用のための1つの特に好ましいシリコーン樹脂は、約82重量%の二酸化ケイ素含有量及び35℃~55℃の融点を有する高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0058】
本方法は、コーティング層を焼成して、コーティングされたモノリス物品を提供することを更に含む。すなわち、本方法は、複数のチャネルのガス接触表面上に噴霧された無機粒子及びシリコーン樹脂を有する多孔質モノリス物品を焼成することを含む。
【0059】
好ましくは、焼成ステップは、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも300℃、より好ましくは少なくとも400℃の温度、及び/又は最大で600℃、好ましくは最大で550℃、より好ましくは最大で530℃の温度に加熱することを含む。したがって、焼成は、好ましくは、200℃~600℃、好ましくは300℃~550℃、好ましくは400℃~530℃、より好ましくは400℃~500℃、更により好ましくは400℃~450℃の温度に加熱することを含む。
【0060】
このような温度は、コーティングされたモノリス物品にその有利な水耐性を与える有効なバインダーを形成するのに最も適していることが見出されている。このような温度は、触媒効率に悪影響を与えることなく(すなわち、触媒物品を劣化させることなく)シリコーン樹脂を焼成して架橋二酸化ケイ素にすることができるため、多孔質モノリス物品が触媒ウォールフローフィルタなどの触媒物品である場合に特に有利である。PDMSなどの線状シロキサンは、無機粒子を効果的に結合し、物品に付着するのに必要な分岐を提供しないだけでなく、SiO2への完全な分解には、550℃を超える温度、更には600℃を超える温度が必要であると考えられる。理想的には、焼成温度は、モノリス物品中に存在する任意の触媒の触媒活性に影響を及ぼす可能性を低減するために、可能な限り低く保たれる。
【0061】
本発明の更なる態様において、排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品が提供され、未焼成多孔質モノリス物品は、複数のチャネルを含み、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子組成物を含み、乾燥粒子組成物は、前述の未焼成多孔質モノリスのチャネル及び/又は細孔内に位置する。
【0062】
したがって、未焼成多孔質モノリス物品は、排気ガスの処理に使用され得るモノリス物品を形成する際の使用に好適である。好ましくは、未焼成多孔質モノリス物品は、モノリス物品を形成する際に使用するためのものであり、好ましくは、モノリス物品は、排気ガスの処理に使用されるものである。未焼成多孔質モノリス物品は、第1の態様に関して本明細書に記載されるように、複数のチャネルを含み、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子状組成物を含む。乾燥微粒子組成物は、未焼成多孔質モノリスのチャネル及び/又は細孔内に位置する、すなわち、組成物は、チャネルのガス接触表面をコーティングする。
【0063】
乾燥微粒子組成物を含む焼成されていない多孔質モノリス物品は、焼成によってモノリス物品に形成されてもよく、それによって、好ましくは本明細書に記載の温度に加熱することによって、乾燥微粒子組成物のシリコーン樹脂を二酸化ケイ素に分解する。
【0064】
好ましくは、乾燥微粒子組成物の質量充填量は、50g/L未満、好ましくは30g/L未満である。好ましくは、無機粒子の質量充填量は、少なくとも5g/L及び/又は25g/L未満である。好ましくは、シリコーン樹脂の質量充填量は、少なくとも5g/L、及び/又は25g/L未満である。好ましい一実施形態では、無機粒子の質量充填量は5g/L~15g/Lであり、及び/又はシリコーン樹脂の質量充填量は5g/L~15g/Lである。例として、無機粒子対シリコーン樹脂の重量比が1:1である場合、無機粒子の充填量は10g/Lであってもよく、シリコーン樹脂の充填量は10g/Lであってもよく、乾燥微粒子組成物の総充填量は20g/Lとなる。例として、比が2:1である場合、無機粒子充填量は10g/Lであってもよく、シリコーン樹脂充填量は5g/Lであってもよく、15g/Lの総充填量を与える。
【0065】
更なる態様において、排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品が提供され、モノリス物品は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、を含む方法によって得ることができる。
【0066】
別の態様において、第1の態様に関して本明細書に記載される方法によって得ることができる排気ガスの処理のためのコーティングされたモノリス物品が提供される。コーティングされたモノリス物品は、既知のコーティングされたモノリス物品よりも向上した耐水性を有し、本明細書に記載されるように、物品は、好ましくは触媒物品及び/又はウォールフローフィルタである。このような物品は、排気ガス、特に車両の排気ガスの処理に特に適している。本発明者らは、コーティングされたモノリス物品中に存在する高度に架橋された二酸化ケイ素が、無機粒子を多孔質モノリス物品のチャネルのガス接触表面に結合するのに非常に有効であることを見出した。
【0067】
本発明の更なる態様において、コーティングされたモノリス物品を含む車両排気システムが提供される。
【0068】
実施例A
比較試料A-1
50g/Lのウォッシュコート充填量を有するGPFフィルタを、米国特許出願公開第20200306692(A1)号の実施例1の手順に従って、コージエライト基材、300/8、1.3L型から調製した。
【0069】
比較試料A-2
比較試料A-1と同様にしてGPFフィルタを作製した。
【0070】
次に、国際公開第2021/028692号に記載されている以下の方法及び装置を使用して、調製したGPFフィルタに0.5g/Lのヒュームドアルミナ粉末(d50=6μm、d90=12μm)を充填した。流導管の直径は、フィルタの入口面と同じであった。550m3/hの空気の一次ガス流を、下流の渦流ブロワを使用してフィルタに通した。フィルタの下に配置されたWika(登録商標)P30圧力伝送器によって背圧を監視した。耐火性粉末を、STAR Professional重力供給噴霧ガン1.4mm、部品番号STA2591100Cを使用して、一次ガス流に分散させた。15STAR Professional重力供給噴霧ガンは、フィルタの入口面から100mmに装着された。背圧を使用して、耐火性粉末の噴霧の停止点を決定した。充填が完了した後、フィルタを500℃で1時間にわたって焼成した。
【0071】
試料A-1
試料A-1は、チャバザイトゼオライト粉末(d50=2.4μm、d90=4.1μm)と高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との混合物を2:1の重量比で充填することを除いて、比較試料A-2と同じ方法で調製した。焼成前の粉末充填量は8g/Lであった。
【0072】
試料A-2
100g/Lのウォッシュコート充填量を有するGPFフィルタを、米国特許出願公開第20200306692(A1)号の実施例1の手順に従って、コージエライト基材、300/8、1.3L型から調製した。
【0073】
試料A-2は、アルミン酸カルシウム粉末(d50=53μm、d90=118μm)と高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物を、比較試料A-2の添加手順に従って充填することによって調製した。粉末充填量は、焼成前に13.8g/Lであった。
【0074】
試料A-3
試料A-3は、ベータゼオライト粉末(d50=6.4μm、d90=41μm)と高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物を充填することを除いて、比較試料A-2と同じ方法で調製した。焼成前の粉末充填量は20.7g/Lであった。
【0075】
濾過試験
RDEサイクルのエンジンベンチ上で、新鮮なものと、1セットのコールドスタートアイドル試験後のものとの両方について、試料を濾過効率について試験した。ここで、フィルタ試料は、水がフィルタ上に蓄積される50回のコールドスタート/アイドルの繰り返しに供された。結果を表1に示す。表1の濾過効率は、全駆動サイクルにわたって除去された煤微粒子である。
【0076】
【0077】
結果は、比較試料A-2と比較して、試料A-1、A-2及びA-3について、新鮮な状態から50×コールドスタートまでの濾過効率の低下がはるかに低いことを示す。
【0078】
実施例B
比較試料B-1
116g/Lのウォッシュコート充填量を有するSCRFフィルタを、米国特許第8,789,356号の実施例1の手順に従って、炭化ケイ素(SiC)基材、NGK MSC-18 300/12、3L型から調製した。ウォッシュコートは、Valiant製の銅担持AEIゼオライト、酢酸ジルコニウム、及びアルミナ結合剤を含有する(ゼオライト対アルミナの重量比=90:10、ジルコニウム=40g/ft3)。入口コーティング長さは、基材長さの約20%である。出口コーティング長さは、基材長さの約80%である。コーティングされたフィルタを110℃で乾燥させ、500℃で1時間焼成した。
【0079】
比較試料B-2
比較試料B-1と同様にしてSCRFフィルタを作製した。次いで、国際公開第2021/028692号の方法及び装置を使用して、調製したSCRFフィルタにヒュームドアルミナ粉末(d50=6μm、d90=12μm)を充填した。流導管の直径は、フィルタの入口面と同じであった。300m3/hの空気の一次ガス流を、下流の渦流ブロワを使用してフィルタに通した。フィルタの下に配置されたWika(登録商標)P30圧力伝送器によって背圧を監視した。粉末を、STAR Professional重力供給噴霧ガン1.4mm、部品番号STA2591100Cを使用して、一次ガス流に分散させた。15STAR Professional重力供給噴霧ガンは、フィルタの入口面から100mmに装着された。背圧パラメータを使用して、耐火性粉末の噴霧の停止点を決定した。焼成前の粉末充填量は4g/Lであった。充填が完了した後、フィルタを500℃で1時間にわたって焼成した。
【0080】
試料B-1
試料B-1は、噴霧乾燥されたCu-チャバザイト(3.3重量%のCu、d90=10~12μm)と高度に架橋されたエトキシ化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物を充填することを除いて、比較試料B-2と同じ方法で調製した。焼成前の粉末充填量は15g/Lであった。
【0081】
試料B-2
試料B-2は、比較試料B-2と同様の方法で調製した。噴霧乾燥したCu-チャバザイト(3.3重量%Cu、d90=10~12μm)と高度に架橋したエトキシ化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物15g/Lを充填し、110℃のオーブンに15分間入れ、次いで室温に冷却した。次いで、チャバザイトゼオライト(d90=4.9μm)と同じシリコーン樹脂粉末との重量比1:1の混合物5g/Lを充填した。焼成前の粉末総充填量は20g/Lであった。
【0082】
濾過効率
Cambustion Ltd(Cambridge、英国)から入手可能なCambustion(登録商標)Diesel Particulate Filter Testing Systemを使用して、以下の試験条件でフィルタ試料を試験した。
a)安定化-250kg/時間の質量流量、50℃、5分
b)ウォームアップ-250kg/時間の質量流量、240℃、5分
c)秤量-フィルタをリグから取り外し、秤量する
d)ウォームアップ-フィルタをリグに戻す。250kg/時間の質量流量、240℃、5分
e)充填段階-250kg/時間の質量流量、240℃、充填速度:2g/Lの煤充填量に達するまで2g/時間
f)秤量-フィルタをリグから取り外し、秤量する。
【0083】
試験中に使用される燃料は、Carcal RF-06-08B5である。
【0084】
試験中、粒子カウンタは、フィルタの下流で連続的に試料採取する。フィルタのバッチが試験される直前及び試験された直後に、「上流」試験をリグ上で実行して、粒子カウンタがリグからの生の煤生成を試料採取することを可能にする。上流試験は、20分間の長さであり、上記の充填段階と同じ条件を使用する。2つの上流試験(フィルタ試験前及びフィルタ試験後)の平均をフィルタ試験の充填段階からのデータと比較することにより、濾過効率が得られる。
【0085】
新鮮な試料及び水浸漬処理後の試料の両方を濾過する。水浸漬処理では、フィルタを水に30秒間浸漬した後、110℃で0.5時間乾燥させた。
【0086】
試験開始から50秒後に収集した濾過効率データを表2にまとめる。その結果によると、ゼオライト粉末とシリコーン樹脂との混合物を充填した試料B-1及びB-2は、比較試料2に比べて耐水性が大幅に向上した。
【0087】
【0088】
実施例C
比較試料C-1
CSFフィルタを、炭化ケイ素フィルタ基材、300/6、2.44L型から調製した。基材を、PGM充填量が3g/ft3、及びPt:Pd重量比が2:1、及びウォッシュコート充填量が0.2g/in3を有するアルミナ担体を有するCSF触媒組成物でウォッシュコートした。
【0089】
試料C-1
比較試料C-1と同様にしてCSFフィルタを作製した。
【0090】
アルミナ(d50=30μm、密度=200g/L)と高度に架橋されたエトキシ化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物を、国際公開第2021/028692号に記載の方法及び装置を用いてCSFフィルタに適用した。流導管の直径は、フィルタの入口面と同じであった。混合粉末は、約13m/sの空気流を作り出す連続真空下で適用された。フィルタの下に配置されたWika(登録商標)P30圧力伝送器によって背圧を監視した。粉末を、STAR Professional重力供給噴霧ガン1.4mm、部品番号STA2591100Cを使用して、一次ガス流に分散させた。15STAR Professional重力供給噴霧ガンは、フィルタの入口面から100mmに装着された。背圧を使用して、耐火性粉末の噴霧の停止点を決定した。フィルタに20g/Lの粉末を充填した。調製したフィルタを、空気中で500℃で1時間焼成した。
【0091】
試料C-2
試料C-2は、ベーマイト(d50=30μm、密度=500g/L)と高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物をフィルタに塗布したこと以外は、試料C-1と同様にして調製した。フィルタに20g/Lの粉末を充填した。次に、このようにして調製したフィルタを空気中500℃で1時間焼成した。
【0092】
試料C-3
試料C-1と同様にして試料C-3を作製した。
【0093】
試料C-4
試料C-2と同様にして試料C-4を作製した。
【0094】
試料C-5
試料C-5は、ケイ酸(80メッシュ)と高度に架橋されたエトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)粉末(二酸化ケイ素含有量82重量%、融点35℃~55℃、d50=34μm、d90=115μm)との重量比1:1の混合物をフィルタに適用したこと以外は、試料C-1と同様に調製した。フィルタには20g/Lの粉末を充填した。次に、このようにして調製したフィルタを空気中500℃で1時間焼成した。
【0095】
背圧
試料C-1及びC-2を、約6Lの脱イオン水の容器中に約10秒間完全に沈めた後、水から取り出し、部品を振盪して過剰な水を除去し、115℃のオーブン中で約45分間乾燥させた。
【0096】
試料C-1及び試料C-2を用いて、600m3/hの流量での水浸処理の前後でコールドフロー背圧試験を行った。結果を表3に示す。
【0097】
【0098】
表3は、水浸が試料C1及びC-2の背圧にわずかな変化しか引き起こさなかったことを示している。
【0099】
濾過効率
濾過試験は、市販のCambustionディーゼル微粒子発生器(DPG)リグを使用し、上流PNベースラインを使用して実施し、続いて、実施例Bに記載されるように、試験中に下流CSF後測定を行い、濾過効率が各実施例について計算されることを可能にした。
【0100】
図1は、比較試料C-1、新鮮な試料C-1、及び水浸処理後の試料C-1の濾過効率データを比較する。
【0101】
図2は、比較試料C-1、新鮮な試料C-2、及び水浸処理後の試料C-2の濾過効率データを比較する。
【0102】
図1及び
図2は、CSFフィルタへの耐火性酸化物粉末の添加によって、はるかに高い濾過効率が達成されたことを示す。試料C-1及び試料C-2を水中に沈めた後に、濾過効率のわずかな低下のみが観察された。
【0103】
ガス摩耗試験
試料C-3、試料C-4、及び試料C-5について、高圧空気ノズルを用いてガス摩耗試験を実施した。高圧空気ノズルは、流量425L/分、フィルタの面から0.5インチの距離で動作し、フィルタの面全体にわたってジグザグパターンで6.7mm/sでフィルタの面表面にわたって移動した。フィルタの入口面及び出口面の両方から磨砕処理を行った。摩耗処理の前後に115℃のオーブンで30分間乾燥させた後に、試料を秤量した。
【0104】
試料C-3及び試料C-4について、流量600m3/hでの水浸処理の前後におけるコールドフロー背圧を測定した。結果を表4に示す。
【0105】
【0106】
図3は、新鮮な試料C-5及び磨砕処理後の試料C-5の濾過効率データを比較する。試料C-5が磨砕処理を受けた後、濾過効率のわずかな減少のみが観察された。
【0107】
本明細書において、「乾燥粉末」という用語は、液体中に懸濁又は溶解されない微粒子組成物を指す。このことは、全ての水分子が完全に存在しないことを必ずしも意味するものではない。乾燥粉末は、好ましくは易流動性である。
【0108】
本明細書では、「タップ密度」という用語は、欧州薬局方7.0のセクション2.9.35の方法1に従って、1250回のタップで測定された粉末のタップ密度を指す。
【0109】
本明細書では、「g/L」という用語(グラム/リットル)は、乾燥粉末の質量をフィルタの体積で割ったものを指す。
【0110】
本明細書では、粉末の量を指す場合の「充填量」及び「質量充填量」という用語は、フィルタに添加された粉末の質量を指すものであり、フィルタへの粉末の添加前及び添加後にフィルタを秤量することによって測定され得るものである。
【0111】
本明細書では、「d50(体積による)」という用語は、Malvern PanalyticsLtd,(Malvern,UK)から入手可能なAero s分散ユニット付きのMalvern Mastersizer(登録商標)3000によって測定されたd50(体積による)測定値を指す。分散条件:空気圧=2barg、供給速度=65%、ホッパー間隙=1.2mm。Malvern Mastersizer(登録商標)3000 User Manualに提供されている指示に従って、屈折率及び吸収パラメータを設定する。
【0112】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。「含む(comprising)」という用語の使用は、そのような特徴を含むが他の特徴を除外しないものとして解釈されることが意図され、また、記載されたものに必然的に限定される特徴の選択肢を含むことが意図される。換言すれば、この用語はまた、文脈が明らかに他を示さない限り、「本質的に~からなる」(特定の更なる構成要素が、記載された特徴の本質的な特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で存在し得ることを意味することが意図される)及び「~からなる」(構成要素がそれらの割合によるパーセンテージとして表された場合、これらが合計して100%になる一方で、任意の不可避不純物を説明するが、他の特徴が含まれ得ないことを意味することが意図される)限定を含む。
【0113】
前述の詳細な説明は、説明及び例示の目的で提供されており、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に示される現時点で好ましい実施形態の多くの変形例は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に留まる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの処理のためにモノリス物品上に無機酸化物コーティングを形成する方法であって、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
前記ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、
前記コーティング層を焼成して、コーティングされたモノリス物品を提供するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記モノリス物品は、モノリスフィルタ、好ましくはウォールフローフィルタ、及び/又は触媒物品、好ましくは触媒ウォールフローフィルタである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
(i)前記無機粒子は、第1の乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧されて、無機粒子層を形成し、次いで、前記シリコーン樹脂は、第2の乾燥粒子エアロゾルとして前記無機粒子層上に噴霧されて、前記コーティング層を形成し、又は
(ii)前記無機粒子とシリコーン樹脂との混合物を、乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧して、前記コーティング層を形成する、のいずれかである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂は、1,000超、好ましくは2,000超、好ましくは5,000超、好ましくは10,000超の分子量、及び/又は500,000未満、好ましくは200,000未満の分子量を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン樹脂は、30℃超、好ましくは35℃超、及び/又は100℃未満、好ましくは80℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコーン樹脂は、式[R
xSiX
yO
z]
nを有し、式中、Rはアルキル又はアリールであり、Xはケイ素に結合した官能基であり、zは1より大きく2未満である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
yは1未満であり、及び/又はyはx未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーン樹脂は、55%超、好ましくは60%超、より好ましくは65%超の架橋度、及び/又は85%未満、好ましくは80%未満の架橋度を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
Rは、C
1~C
6アルキル及びフェニルの1つ以上、好ましくは直鎖アルキル及びフェニルの1つ以上、好ましくはメチル及びフェニルの一方又は両方、より好ましくはメチルである、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
Xは、H、OH、Cl及びC
1~C
6アルコキシの1つ以上、好ましくはOH及びC
1~C
6アルコキシの1つ以上、より好ましくはOH及びエトキシの一方又は両方である、
請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーン樹脂の二酸化ケイ素含有量が、50重量%超、好ましくは60重量%超、好ましくは70重量%超、好ましくは80重量%超である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無機粒子は、ゼオライト、耐火性酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無機粒子は、アルミン酸カルシウム、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、ヒュームドジルコニア、ヒュームドセリア、アルミナエアロゲル、シリカエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、又はこれらの混合物を含む耐火性酸化物粒子である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無機粒子は、0.2μm超及び/又は50μm未満、好ましくは25μm未満の体積によるd
50を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
焼成が、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも300℃、より好ましくは少なくとも400℃の温度、及び/又は最大で600℃、好ましくは最大で550℃、より好ましくは最大で530℃の温度に加熱することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記モノリス物品は、1種以上の白金族金属を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥粒子エアロゾルは、1.5g/cm
3未満のタップ密度を有する乾燥粒子組成物から形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記無機粒子とシリコーン樹脂との混合物が、乾燥粒子エアロゾルとして前記ガス接触表面上に噴霧されて、前記コーティング層を形成し、前記混合物において、シリコーン樹脂に対する無機粒子の重量比が、0.5超、好ましくは0.7超、好ましくは0.9超、及び/又は4未満、好ましくは3未満、好ましくは2.5未満である、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品であって、前記未焼成多孔質モノリス物品は、複数のチャネルを含み、無機粒子及びシリコーン樹脂を含む乾燥粒子組成物を含み、前記乾燥粒子組成物は、前記未焼成多孔質モノリスの前記チャネル及び/又は細孔内に位置する、未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項20】
前記乾燥微粒子組成物の質量充填量は、50g/L未満、好ましくは30g/L未満である、請求項19に記載の未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項21】
排気ガスの処理のためのモノリス物品を形成する際に使用するための未焼成多孔質モノリス物品であって、前記モノリス物品は、
排気ガスの通過のための複数のチャネルを含む多孔質モノリス物品を提供するステップであって、各チャネルはガス接触表面を有する、ステップと、
前記ガス接触表面上に、無機粒子及びシリコーン樹脂を乾燥粒子エアロゾルとして噴霧してコーティング層を形成するステップと、を含む方法によって得ることができる、未焼成多孔質モノリス物品。
【請求項22】
請求項1に記載の方法によって得ることができる排気ガス処理のためのコーティングされたモノリス物品。
【請求項23】
請求項22に記載のコーティングされたモノリス物品を備える、車両排気システム。
【国際調査報告】