(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】走査手順を生成する走査手順生成システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240628BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240628BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N23/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580440
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022035683
(87)【国際公開番号】W WO2023278671
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン ターナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ シュレット
(72)【発明者】
【氏名】エリック ファーリー
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA01
2G001JA06
2G001JA07
2G001JA11
2G001SA29
(57)【要約】
一例示の走査手順生成システムは、走査手順生成システムであって、ディスプレイと、プロセッサと、コンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体とを備え、コンピュータ可読命令は、実行されると、プロセッサに、ディスプレイを介して、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの配置の第1の視覚的表現を出力させ、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの位置及び配向に基づいて、物理的放射線源と、物理的放射線検出器と、物理的ワークポジショナとを有する物理的スキャナによって実行される走査手順を生成させ、生成された走査手順は、物理的放射線源、物理的放射線検出器、及び物理的ワークポジショナのうちの1つ以上の複数の移動と、第1の仮想表現内のワークに対応する物理的ワークの複数の走査画像を取り込む複数の画像取り込みとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査手順生成システムであって、
ディスプレイと、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体と、
を備え、前記コンピュータ可読命令は、実行されると、前記プロセッサに、
前記ディスプレイを介して、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの配置の第1の視覚的表現を出力させ、
前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの位置及び配向に基づいて、物理的放射線源と、物理的放射線検出器と、物理的ワークポジショナとを有する物理的スキャナによって実行される走査手順を生成させ、
前記生成された走査手順は、前記物理的放射線源、前記物理的放射線検出器、及び前記物理的ワークポジショナのうちの1つ以上の複数の移動と、前記第1の仮想表現内の前記ワークに対応する物理的ワークの複数の走査画像を取り込む複数の画像取り込みとを含む、
走査手順生成システム。
【請求項2】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、
前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、又は前記ワークのうちの少なくとも1つの前記配置に対して行われる変更を識別させ、
前記ディスプレイを介して、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの前記配置の第2の視覚的表現を、前記配置に対して行われる前記変更に基づいて出力させる、
請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項3】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、
前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの配置に基づいて、前記放射線検出器上に前記ワークの投影をレンダリングさせ、
前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、又は前記ワークのうちの1つ以上の前記配置の変更に応答して、前記放射線検出器上の前記ワークの前記投影をリアルタイムで更新させる、
請求項2に記載の走査手順生成システム。
【請求項4】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、ビームハードニングと、放射エネルギー又は波長と、多色ビームのスペクトル及び/又は他の特性と、前記スキャナ構成要素のうちの1つ以上の運動又は位置決めの精度のランダム化又はエラーと、運動ダイナミクスと、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの位置合わせと、前記ワークポジショナ上の前記ワークの位置決めの精度又は公差と、前記放射線源のコリメーション特性と、前記放射線源の焦点サイズ及び/又は形状と、放射線散乱と、前記選択された放射線スペクトルと、前記放射線の円錐の不均一性と、放射線束と、構成要素の劣化と、前記放射線源による放射線放出の変動と、線源ウォームアップ時間と、前記放射線検出器のシンチレータ効率と、前記放射線検出器のシンチレータ分解能と、前記放射線検出器のぼけと、前記放射線検出器におけるノイズと、前記放射線検出器の欠陥とのうちの少なくとも1つに基づいて前記投影を計算させる、請求項3に記載の走査手順生成システム。
【請求項5】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、又は前記ワークのうちの1つ以上と、少なくとも1つの他の構成要素との間の衝突が、前記第1の配置、前記変更後の第2の配置、又は前記第1の配置から前記第2の配置への移動のうちの少なくとも1つに基づいて、少なくとも閾値尤度を有するか否かを判定させる、請求項2に記載の走査手順生成システム。
【請求項6】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記物理的スキャナ内の1つ以上の追加の構成要素の位置決めに更に基づいて、前記衝突が少なくとも閾値尤度を有するか否かを判定させる、請求項5に記載の走査手順生成システム。
【請求項7】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記放射線源の位置決めに基づいて放射線の円錐又は放射線コリメーションのうちの少なくとも一方をレンダリングさせる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項8】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの位置決めに基づいて、かつ前記放射線源の1つ以上の放射線放出特性に基づいて、前記放射線検出器上に前記ワークの投影をレンダリングさせる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項9】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記生成された走査手順において定義されるように前記ワークポジショナ上で前記ワークを支持する固定具モデルを生成させる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項10】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記ワークのコンピュータ支援製図(CAD)モデルに基づいて、前記ワークを前記第1の視覚的表現にロードさせる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項11】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記CADモデル内のデータ、又は前記CADモデルに基づくモデリングアルゴリズムから受信されたデータのうちの少なくとも一方に基づいて、前記ワークの特性を示すように前記ワークの一部をレンダリングさせる、請求項10に記載の走査手順生成システム。
【請求項12】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークの1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させて、前記ワークの走査を生成させる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項13】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記ワークの一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて、前記1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させる、請求項12に記載の走査手順生成システム。
【請求項14】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、2つ以上の潜在的な生成された走査手順をシミュレートしてそれぞれの3次元コンピュータ断層撮影結果又は3次元デジタル放射線撮影結果を決定することと、前記シミュレーションを介して決定された前記結果の1つ以上の態様を比較することとに基づいて、前記1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させる、請求項12に記載の走査手順生成システム。
【請求項15】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークのうちの1つ以上の位置決め、前記放射線源、前記放射線検出器、前記ワークポジショナ、及び前記ワークのうちの1つ以上の移動、前記放射線源によって放出されるX線放射の放出特性、前記放射線検出器の検出特性、又は前記システム内のX線放射の特性のうちの少なくとも1つにおけるエラーの1つ以上の要因をシミュレートさせる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項16】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記生成された走査手順を物理的に実施するサイクルタイムを計算させる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項17】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、前記生成された走査手順をシミュレートすることに基づいて、3次元コンピュータ断層撮影結果又は3次元デジタル放射線撮影結果を計算させる、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項18】
前記生成された走査手順は、前記複数の移動及び前記複数の画像取り込みを実施するために前記物理的スキャナによって実行される第2の命令を含む、請求項1に記載の走査手順生成システム。
【請求項19】
前記生成された走査手順は、前記ワークの識別子に関連付けられる、請求項18に記載の走査手順生成システム。
【請求項20】
前記命令は、前記プロセッサに、
前記仮想環境を介して仮想検出器の寸法を決定することであって、前記寸法のうちの少なくとも1つは、前記物理的放射線検出器の対応する寸法よりも大きいことと、
前記決定された寸法に基づいて前記走査手順を生成することであって、前記走査手順は、前記仮想検出器の前記寸法を満たすような前記物理的放射線検出器の配置を含むこととを行わせる、
請求項1に記載の走査手順生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、放射線撮影に関し、より詳細には、走査手順を生成する走査手順生成システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線走査システムは、他の走査システム(例えば、超音波、可視光等)を使用して取得可能でない場合がある1つ以上の画像を取得するために、試験中のデバイス又は物体に高強度の放射線を方向付けることを含む。X線走査システムは、X線走査システム内の構成要素の相対配置に依存する複数のパラメータを有する場合がある。
【発明の概要】
【0003】
特許請求の範囲により完全に記載されるように、図面の少なくとも1つによって実質的に示され、それに関連して説明されるように、走査手順を生成する走査手順生成システム及び方法が開示される。
【0004】
本開示のこれらの特徴、態様、及び利点並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとより良好に理解され、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の態様による、生成された走査手順に基づいてスキャナ位置決め制御システムを使用して制御され得る一例示のX線走査システムを示す図である。
【0006】
【
図2】本開示の態様による、
図1の例示のX線走査システム、走査位置決め制御システム、及び走査手順生成システムのブロック図である。
【0007】
【
図3A】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る仮想環境において複数の位置及び/又は配向で表示された一例示の物体を示す図である。
【
図3B】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る仮想環境において複数の位置及び/又は配向で表示された一例示の物体を示す図である。
【0008】
【
図3C】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る、例示の仮想環境に表示された一例示の物体を示す図であり、物体の少なくとも一部を囲み、走査される物体の一部を指定する境界ボックスを含む。
【0009】
【
図3D】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る、仮想環境を使用した位置及び配向の例示の変更と、放射線検出器上の物体の投影のレンダリングのインタラクティブな変更とを示す図である。
【
図3E】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る、仮想環境を使用した位置及び配向の例示の変更と、放射線検出器上の物体の投影のレンダリングのインタラクティブな変更とを示す図である。
【0010】
【
図3F】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る、ワークの少なくとも一部が、ワークの特性(例えば、可能性のある欠陥)を示すようにレンダリングされる、一例示の仮想環境内に表示された例示の物体を示す図である。
【0011】
【
図3G】
図2の走査手順生成システム上に実装され得る、マニピュレーター上で物体を支持するように構成される自動的に生成された固定具を含む、例示の仮想環境内に表示された一例示の物体を示す図である。
【0012】
【
図3H】
図2の走査手順生成システム上で実装され得る、放射線源によって放出される放射線の円錐のレンダリングを含む、例示の仮想環境内に表示された一例示の物体を示す図である。
【0013】
【
図4】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、物理的走査システムによって実行される走査手順を生成することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0014】
【
図5】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、ワークの一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて1つ以上の配置及び移動を自動的に決定することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0015】
【
図6】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、ワークの一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて1つ以上の配置及び移動を自動的に決定することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0016】
【
図7】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、CADモデル内のデータ又はCADモデルに基づくモデリングアルゴリズムから受信されたデータのうちの少なくとも一方に基づいてワークの特性を示すようにワークの一部をレンダリングすることができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0017】
【
図8】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、生成された走査手順において定義されるようにワークポジショナ上にワークを支持する固定具モデルを生成することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0018】
【
図9】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、生成された走査手順を物理的に実施するサイクルタイムを計算することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0019】
【
図10】
図2の例示の走査手順生成システムによって実行されて、走査手順を実施する物理的検出器のより大きな対応する寸法である仮想検出器の寸法に基づいて走査手順を生成することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0020】
【
図11】
図2のスキャナ位置決め制御システム及び/又は走査手順生成システムを実装するために使用することができる一例示のコンピューティングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様の又は同一の参照番号を使用して、同様の又は同一の構成要素を指す。
【0022】
従来のデジタル放射線撮影(DR)及び/又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ位置決めシステムには、構成要素の位置決めの個々のモードの制御を提供するユーザーインターフェースが含まれている。例えば、従来のスキャナ位置決めシステムは、X線エミッタの高さを表す数字及び範囲、マニピュレーターの高さを表す数字及び範囲、及び/又はX線受信機の高さを表す数字及び範囲を含む場合がある。しかしながら、制御装置を操作する人は、インターフェース上の数字の変更によって生じる最終的な位置について明確な考えを持っていない場合がある。したがって、従来のスキャナ位置決めシステムでは、所望の走査を達成するための所望の位置決めを決定するために、オペレーター側で多くの試行錯誤を伴う場合がある。走査位置決め及びパラメータの開発は、従来、物理的走査システムを用いて行われきたが、実際に走査を行うために利用可能な時間が失われるため、システムの所有者又はオペレーターに多大なコストがかかる可能性がある。その結果、適切な走査手順が担当者によって決定される間、従来の走査システムのスループットが低下するため、走査サイクルタイムの増加によるコストの増加及び/又は収益の損失につながる可能性がある。
【0023】
開示されるシステム及び方法は、走査システム又はスキャナ位置決めシステムとは別個及び/又は遠隔(例えば、任意の他の場所)であり得る仮想環境において走査手順が生成されることを可能にする。例えば、設計、試験、若しくは製造エンジニア、又は任意の他の担当者は、ユーザーを支援するインタラクティブな(例えば、リアルタイム又は実質的にリアルタイムの)フィードバックを取得しながら、仮想環境を使用して、ワーク(例えば、走査される物体)を位置決め及び/又は配向することができる。開示される例の仮想環境及びインタラクティブなフィードバックにより、ユーザーは、走査技術の開発に影響を及ぼす因子をシミュレート及び/又は最適化することができる。ユーザーはまた、放射線源及び/又は放射線検出器パラメータを指定し、構成要素の配置、ワークのCADモデル、並びに線源及び検出器パラメータに基づいて、仮想環境を介して結果の走査をシミュレートして、設計した走査手順により所望の走査画像が取得されるか否かを判定することができる。
【0024】
開示される例では、生成された走査手順は、スキャナ位置決め制御システムが走査手順を自動的に実施することを可能にするために必要な情報及びパラメータを含む。例えば、生成された走査手順は、放射線源又はエミッタ、放射線検出器、ワークポジショナ又はマニピュレーター、走査されるワーク又は物体、及び/又は任意の他の関連構成要素を位置決めし、配向し、及び/又は移動させるコマンドを含むことができる。生成された走査手順は、放射線源及び/又は放射線検出器の動作パラメータを更に含むことができる。他のコマンド、パラメータ、データ及び/又は情報は、以下に開示される例において提供される。
【0025】
開示されるシステム及び方法は、有利には、ユーザーが任意の便利な場所から走査技術又は手順を設計することを可能にする。いくつかの例では、ユーザーは、開示されるシステム及び方法を使用して、仮想環境における走査手順を設計し、その手順が工業規格(例えば、ASTM規格E1695、ASTM規格E2737等)の要件又は顧客が求める要件に適合するかを検証することができる。
【0026】
開示される例は、X線を参照して説明される。しかしながら、本開示は、X線に限定されず、本明細書に開示される例は、ガンマ線、単色及び/又は多色X線、白色光、及び/又は中性子放射等の電磁スペクトル内の任意の所望の波長若しくはエネルギー、又は波長若しくはエネルギーの任意の組み合わせを使用するように修正することができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「配置」という用語は、1つ以上の構成要素の位置及び配向の両方を指す。
【0028】
放射線の線源に関して使用される「線源」及び「エミッタ」という用語は、本明細書では互換的に使用される。言い換えると、本明細書で使用される場合、「X線源」は、「X線エミッタ」と同一である。
【0029】
開示される例示の走査手順生成システムは、ディスプレイと、プロセッサと、コンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体とを備え、コンピュータ可読命令は、実行されると、プロセッサに、ディスプレイを介して、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの配置の第1の視覚的表現を出力させ、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの位置及び配向に基づいて、物理的放射線源と、物理的放射線検出器と、物理的ワークポジショナとを有する物理的スキャナによって実行される走査手順を生成させ、生成された走査手順は、物理的放射線源、物理的放射線検出器、及び物理的ワークポジショナのうちの1つ以上の複数の移動と、第1の仮想表現内のワークに対応する物理的ワークの複数の走査画像を取り込む複数の画像取り込みとを含む。
【0030】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、又はワークのうちの少なくとも1つの配置に対して行われる変更を識別させ、ディスプレイを介して、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの配置の第2の視覚的表現を、配置に対して行われる変更に基づいて出力させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの配置に基づいて、放射線検出器上にワークの投影をレンダリングさせ、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、又はワークのうちの1つ以上の配置の変更に応答して、放射線検出器上のワークの投影をリアルタイムで更新させる。
【0031】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、ビームハードニングと、放射エネルギー又は波長と、多色ビームのスペクトル及び/又は他の特性と、スキャナ構成要素のうちの1つ以上の運動又は位置決めの精度のランダム化又はエラーと、運動ダイナミクスと、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの位置合わせと、ワークポジショナ上のワークの位置決めの精度又は公差と、放射線源のコリメーション特性と、放射線源の焦点サイズ及び/又は形状と、放射線散乱と、選択された放射線スペクトルと、放射線円錐の不均一性と、放射線束と、構成要素の劣化と、放射線源による放射線放出の変動と、線源ウォームアップ時間と、放射線検出器のシンチレータ効率と、放射線検出器のシンチレータ分解能と、放射線検出器のぼけと、放射線検出器におけるノイズと、放射線検出器の欠陥とのうちの少なくとも1つに基づいて投影を計算させる。
【0032】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、又はワークのうちの1つ以上と、少なくとも1つの他の構成要素との間の衝突が、第1の配置、変更後の第2の配置、又は第1の配置から第2の配置への移動のうちの少なくとも1つに基づいて、少なくとも閾値尤度を有するか否かを判定させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、物理的スキャナ内の1つ以上の追加の構成要素の位置決めに更に基づいて、衝突が少なくとも閾値尤度を有するか否かを判定させる。
【0033】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源の位置決めに基づいて放射線の円錐又は放射線コリメーションのうちの少なくとも一方をレンダリングさせる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの位置決めに基づいて、かつ放射線源の1つ以上の放射線放出特性に基づいて、放射線検出器上にワークの投影をレンダリングさせる。
【0034】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、生成された走査手順において定義されるようにワークポジショナ上でワークを支持する固定具モデルを生成させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、ワークのコンピュータ支援製図(CAD)モデルに基づいて、ワークを第1の視覚的表現にロードさせる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、CADモデル内のデータ、又はCADモデルに基づくモデリングアルゴリズムから受信されたデータのうちの少なくとも一方に基づいて、ワークの特性を示すようにワークの一部をレンダリングさせる。
【0035】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークの1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させて、ワークの走査を生成させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、ワークの一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて、1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、2つ以上の潜在的な生成された走査手順をシミュレートしてそれぞれの3次元コンピュータ断層撮影結果又は3次元デジタル放射線撮影結果を決定することと、シミュレーションを介して決定された結果の1つ以上の態様を比較することとに基づいて、1つ以上の配置及び移動を自動的に決定させる。
【0036】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークのうちの1つ以上の位置決め、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークのうちの1つ以上の移動、放射線源によって放出されるX線放射の放出特性、放射線検出器の検出特性、又はシステム内のX線放射の特性のうちの少なくとも1つにおけるエラーの1つ以上の要因をシミュレートさせる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、生成された走査手順を物理的に実施するサイクルタイムを計算させる。
【0037】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、生成された走査手順をシミュレートすることに基づいて、3次元コンピュータ断層撮影結果又は3次元デジタル放射線撮影結果を計算させる。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、生成された走査手順は、複数の移動及び複数の画像取り込みを実施するために物理的スキャナによって実行される第2の命令を含む。いくつかの例示の走査手順生成システムでは、生成された走査手順は、ワークの識別子に関連付けられる。
【0038】
いくつかの例示の走査手順生成システムでは、命令は、プロセッサに、仮想環境を介して仮想検出器の寸法を決定することであって、寸法のうちの少なくとも1つは、物理的放射線検出器の対応する寸法よりも大きいことと、決定された寸法に基づいて走査手順を生成することであって、走査手順は、仮想検出器の寸法を満たすような物理的放射線検出器の配置を含むこととを行わせる。
【0039】
図1は、生成された走査手順を用いるスキャナ位置決め制御システムを使用して制御され得る一例示のX線走査システム100を示している。例示のX線走査システム100は、非破壊検査(NDT:non-destructive testing)及び/又は任意の他の走査用途を実行するために使用され得る。例示のX線走査システム100は、X線エミッタ104からのX線102を、ワーク108(例えば、試験中の物体)を通してX線検出器106に方向付けるように構成される。
図1の例では、ワークポジショナ110は、ワーク108を保持又は固定し、ワーク108の所望の部分及び/又は配向がX線放射102の経路内に位置するようにワーク108を移動及び/又は回転させる。
【0040】
以下でより詳細に説明するように、X線エミッタ104、X線検出器106、及び/又はワークポジショナ110のいずれかは、1つ以上のアクチュエータを使用して位置決めし、及び/又は再配向させることができる。X線エミッタ104、X線検出器106、及び/又はワークポジショナ110の相対的な再位置決めにより、様々な効果、例えば、焦点距離の変更、焦点の変更、不鮮明度パラメータの変更、倍率(例えば、X線エミッタとX線検出器との間の距離と、X線エミッタワークポジショナ間又はワークとの間の距離との比)の変更、走査されるワーク108の部分の変更、及び/又は他の効果を得ることができる。
【0041】
X線走査システム100は、X線エミッタ104、X線検出器106、及びワークポジショナ110が封入される筐体112を更に含む。筐体112は、例えば、ワーク108を挿入又は除去し、筐体112内の構成要素のいずれかに対して整備(servicing)を行い、及び/又は別様に筐体112の内部にアクセスするための1つ以上のドア114又は他のアクセス開口部を含む。
【0042】
図1のX線検出器106は、(例えば、X線エミッタ104によって生成され、X線検出器106に方向付けられた)入射X線放射に基づいてデジタル画像を生成する。例示のX線検出器106は、蛍光透視検出システムと、シンチレーションを介して間接的に画像を受信するように構成されたデジタル画像センサーとを含むことができ、及び/又はX線を直接受信し、デジタル画像を生成するように構成されたセンサーパネル(例えば、CCDパネル、CMOSパネル等)を使用して実装することができる。他の例では、X線検出器106は、シンチレーションスクリーンに結合され、シンチレーションスクリーンの部分に対応する画素を有する固体パネルを使用することができる。例示の固体パネルは、CMOS X線パネル及び/又はCCD X線パネルを含んでもよい。
【0043】
ワークポジショナ110の例示の実装形態は、リニア及び/又は回転アクチュエータを有するプラテン等の機械的マニピュレーターを含む。他の例示のワークポジショナ110は、6自由度(DOF)を有するロボットアーム等のロボットマニピュレーターを含んでもよい。
【0044】
図1の例は、X線エミッタ104及びX線検出器106を含むが、他の例では、走査システム100は、他の波長の放射線を使用して走査を実行することができる。
【0045】
図2は、
図1の例示のX線走査システム100、走査位置決め制御システム200、及び走査手順生成システム250のブロック図である。上述したように、例示のX線走査システム100は、X線エミッタ104と、X線検出器106と、ワークポジショナ110とを含む。例示のX線走査システム100は、線源アクチュエータ116と、検出器アクチュエータ118と、ポジショナアクチュエータ120とを更に含む。
【0046】
図2のX線走査システム100は、スキャナ位置決め制御システム200に通信可能に結合される。いくつかの例では、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)202又は他のインターフェースデバイスは、スキャナ位置決め制御システム200をX線走査システム100に結合することができる。例えば、PLC202は、パーソナルコンピュータ又は他の汎用コンピューティングデバイスが、走査システム100のアクチュエータ116~120及び/又はセンサー(複数の場合もある)と通信する(例えば、命令する、それらから情報を取得する)ことを可能にしてもよい。
【0047】
図2の例示のスキャナ位置決め制御システム200は、1つ以上のプロセッサ204、メモリ206及び/又は他のコンピュータ可読記憶デバイス(複数の場合もある)、ディスプレイ208、通信回路部210、並びに1つ以上の入力デバイス212を含む。スキャナ位置決め制御システム200は、(例えば、線源アクチュエータ116を介した)X線エミッタ104の位置決め、(例えば、検出器アクチュエータ118を介した)X線検出器106の位置決め、及び/又は(例えば、ポジショナアクチュエータ120を介した)ワークポジショナ110及び/又はワーク108の位置決めを制御する。
【0048】
スキャナ位置決め制御システム200は、X線エミッタ104を制御し、X線検出器106からデジタル画像を受信し、及び/又はディスプレイデバイス208にデジタル画像を出力する。追加的又は代替的に、スキャナ位置決め制御システム200は、デジタル画像を記憶デバイスに記憶してもよい。スキャナ位置決め制御システム200は、デジタル画像をデジタルビデオとして出力して、リアルタイムの非破壊検査を支援し、及び/又はデジタル静止画像を記憶することができる。
【0049】
スキャナ位置決め制御システム200は、スキャナ位置決めシステム(例えば、PLC202を介して、アクチュエータ116、118、120)を更に制御して、入力デバイス(複数の場合もある)212を介して受信された入力に基づいて、及び/又は走査手順生成システム250を介して生成され、実行のためにスキャナ位置決め制御システム200に転送され得る自動走査手順に基づいて、X線エミッタ104、X線検出器106、及びワークポジショナ110を物理的に移動させる。プロセッサ(複数の場合もある)204は、第1の配置におけるX線エミッタ104、X線検出器106、及びワークポジショナ110の位置と、後続の配置における物理的構成要素104、106、110の位置との間の経路を計算する。次に、プロセッサ(複数の場合もある)204は、(例えば、PLC202を介して)線源アクチュエータ116、検出器アクチュエータ118、及び/又はポジショナアクチュエータ120に命令して、X線エミッタ104、X線検出器106、及びワークポジショナ110を移動させる。いくつかの例では、PLC202は、スキャナ位置決め制御システム200によって通信された座標情報に基づいて経路を計算することができる。
【0050】
スキャナ位置決め制御システム200と同様に、
図2の例示のスキャナ位置決め制御システム200は、1つ以上のプロセッサ254、メモリ256及び/又は他のコンピュータ可読記憶デバイス(複数の場合もある)、ディスプレイ258、通信回路部260、並びに1つ以上の入力デバイス262を含む。
【0051】
図2の例示の走査手順生成システム250は、スキャナ位置決め制御システム200に通信可能に結合される。例えば、走査手順生成システム250は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域通信網(WAN)、インターネット、及び/又は任意の他のタイプのネットワーク等の1つ以上のコンピュータネットワークを介してスキャナ位置決め制御システム200に接続することができる。いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ネットワークベースのファイル転送及び/又は記憶デバイスファイル転送を介して、走査手順をスキャナ位置決め制御システム200に(又は走査システム100に直接)転送することができる。他の例では、走査手順生成システム250及びスキャナ位置決め制御システム200は、生成された走査手順の記憶及びその後の検索のために同じファイルリポジトリにアクセスすることができる。
【0052】
構成要素104~110の位置決めに伴う試行錯誤を低減するために、例示の走査手順生成システム250は、ディスプレイ208を介して、X線エミッタ104、X線検出器106、及びワークポジショナ110の配置の視覚的表現を含む仮想環境を出力し、これは、ユーザーによる構成要素104、106、110の操作に基づいて更新することができる。
【0053】
例示のオペレーター入力デバイス(複数の場合もある)212、262は、ボタン、スイッチ、アナログジョイスティック、サムパッド、トラックボール、及び/又は任意の他のタイプのユーザー入力デバイスを含む。
【0054】
図3Aは、
図2の走査手順生成システム250上に実装され得る、仮想環境300内の第1の位置及び/又は配向を有する構成要素の第1の例示の配置を示している。例示の仮想環境300は、放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及びワーク308の仮想表現を含む。放射線源302、放射線検出器304、及びワークポジショナ306は、スキャナ構成要素と見なされ、一方、ワーク308は、スキャナから分離していると見なされる。いくつかの例では、走査システムの筐体等の他のスキャナ構成要素を仮想環境内にレンダリングすることができる。
【0055】
例示のスキャナ構成要素302~306は、一般的な走査システムのために一般化することができるか、又は、仮想環境300のために走査手順生成システム250において指定された特定のタイプの走査システムに特有のものとなるようにレンダリングすることができる。走査システムに対して一般的であるか特有であるかにかかわらず、仮想環境は、所定の制約又はユーザー定義の制約に基づいて、スキャナ構成要素302~306の位置決め及び/又は配向を制約することができる。
【0056】
構成要素に加えて、ユーザーは、ワーク308のCADモデルをロードするように走査手順生成システム250に命令することによって、ワーク308を仮想環境300にロードすることができる。CADモデルは、走査手順生成システム250によってサポートされる任意の所望のフォーマットとすることができる。CADモデルは、CADソフトウェアを使用して作成することができ、及び/又は(例えば、
図1の走査システム100を介して)以前の放射線撮影走査によって生成されたデータから作成することができる。このようにして、ユーザーは、サンプル構成要素の走査を実施することができ、次いで、類似又は同一の設計の後続の構成要素の走査手順の設計のために、サンプル構成要素を仮想環境300にロードすることができる。
【0057】
上述のように、例示の走査手順生成システム250により、ユーザーは、放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及びワーク308のいずれかの位置及び配向を変更することができる。
図3Bは、
図2の走査手順生成システム250上で実装されるような、仮想環境300内の第2の位置及び/又は配向を有する構成要素302~308の第2の例示の配置を示している。例えば、ユーザーは、検出器304(又は他の構成要素)をクリックアンドドラッグして位置及び/又は配向を調整することによって、仮想環境300内で検出器304(又は他の構成要素)を再位置決め及び/又は再配向することができ、これは、変更がユーザーによって確定されるまで、検出器304(又は他の構成要素)の第2の表現によって表すことができる。オペレーターは、所望の位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)が達成されるまで、構成要素302~308の位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)を繰り返し調整することができる。
【0058】
仮想環境300内の構成要素302~308の所望の位置を決定する際にオペレーターを支援するために、例示の走査手順生成システム250は、1つ以上の基準面上への構成要素302~308の現在及び/又は更新された位置の投影等の、仮想環境300上の追加の視覚的表現を含むことができる。基準面(複数の場合もある)は、構成要素302~308の相対的な現在の位置及び/又は構成要素302~308の相対的な更新された位置を、ユーザーが構成要素間の空間的関係を正確に知覚することが困難であり得る特定の平面に表示することによって、ユーザーを支援する。
【0059】
入力デバイス(複数の場合もある)262を使用して、例示の走査手順生成システム250は、線源302、検出器304、ワークポジショナ306、及び/又はワーク308のうちの少なくとも1つの現在の配置(例えば、位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある))に対して行われる変更(複数の場合もある)を識別することができる。入力デバイス(複数の場合もある)262を介して識別された仮想環境300内の現在の配置に対する変更(複数の場合もある)に基づいて、走査手順生成システム250は、仮想環境300内に更新された配置の視覚的表現を表示する。例示の仮想環境300を(例えば、入力デバイス(複数の場合もある)262を介して)操作して、構成要素302~308の位置及び/又は配向、及び/又は仮想環境300の視点角度(例えば、仮想環境300において配置が見られるカメラ角度)を変更することができる。オペレーターが構成要素(複数の場合もある)302~308のうちの1つ以上の位置及び/又は配向を操作すると、走査手順生成システム250は、現在の配置における構成要素(複数の場合もある)302~308の同じ位置及び/又は配向を維持しながら、対応する修正された構成要素を生成し、及び/又は修正された構成要素の位置を変更することができる。
【0060】
いくつかの例では、仮想環境300は、仮想環境300を物理的走査システム100に酷似させるのに十分な詳細情報を含む。そのような詳細情報により、走査手順を生成するユーザーの能力を更に改善することができる。
【0061】
放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及びワーク308の配置は、走査システム100によって生成される、結果の放射線撮影又は断層撮影走査に直接影響を及ぼす。
図3A及び
図3Bに示すように、走査手順生成システム250は、放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及びワーク308の配置に基づいて、ワーク308の投影310をレンダリングすることができる。いくつかの例では、投影310は、検出器304の仮想表現上に直接表示することができる。追加的又は代替的に、走査手順生成システム250は、別個のウィンドウ若しくはフレーム内に、又は仮想環境300の外側に投影310を表示することができるため、投影310の表示は、仮想環境300の視野角の影響を受けない。
【0062】
図3A及び
図3Bに示すように、投影310は、構成要素302~308の現在のパラメータ及び配置に基づいて検出器304によって取り込まれた、シミュレートされた放射線撮影画像を表すことができる。配置及び/又はパラメータが変更されると、走査手順生成システム250は、投影310をインタラクティブに(例えば、リアルタイムで、2秒未満の更新時間等で)更新する。投影310のインタラクティブな更新は、構成要素302~308の適切な配置を決定してワーク308の所望のDR又はCT走査を取得する際にオペレーターを支援する。
【0063】
図4は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、物理的走査システム100によって実行される走査手順を生成することができる例示の機械可読命令400を表すフローチャートである。例示の命令400は、
図3A及び
図3Bの例示の仮想環境、並びに走査手順生成システム250を参照して以下で説明される。
【0064】
ブロック402において、走査手順生成システム250は、(例えば、プロセッサ(複数の場合もある)254を介して)放射線源302、放射線検出器304、及びワークポジショナ306の表現を仮想環境300にロードする。放射線源302、放射線検出器304、及びワークポジショナ306の表現は、放射線源302、放射線検出器304、及び/又はワークポジショナ306、又は一般的な走査システムの特定の属性を有する走査システム100の特定の又は目標のタイプ又はモデルに基づいて選択及びロードすることができる。
【0065】
ブロック404において、走査手順生成システム250は、選択されたワーク308(又はワークの組み合わせ)を表す1つ以上のCAD又は他のデータファイルを仮想環境300にロードする。CADファイルは、手動で生成することができるか、又は自動的に生成することができる。自動的に生成されたCADファイルの一例は、ワーク308の以前のDR又はCT走査から決定された輪郭に基づくファイルであってもよい。いくつかの例では、放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及び/又はワーク308には、ロード時にデフォルトの位置及び/又は配向が提供される。走査手順生成システム250は、CADファイル内の配向及び/又は位置データをポジショナ306の位置に一致させることに基づいて、ワーク308の初期位置を決定することができる。
【0066】
ブロック406において、走査手順生成システム250は、構成要素302~308のそれぞれの位置及び配向に基づいて、仮想環境300における放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及びワーク308の配置の視覚的表現をレンダリングして出力する。レンダリングはまた、ディスプレイ258上の仮想環境300のカメラアングル又は視点に基づく。
【0067】
ブロック408において、走査手順生成システム250は、仮想環境300を介して、放射線源302、放射線検出器304、ワークポジショナ306、及び/又はワーク308の位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)が変更されたか否かを判定する。例えば、ユーザーは、構成要素302~308のいずれかを操作して、走査特性を構成することができる。
【0068】
1つ以上の構成要素302~308について位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)が変更されていない場合(ブロック408)、ブロック410において、走査手順生成システム250は、生成された走査手順の1つ以上の態様が自動的に計算されるか否かを判定する。例えば、走査手順生成システム250は、1つ以上の走査手順、配置、パラメータセット、固定具、ワーク308の関心領域、サイクルタイム、走査の境界ボックス、構成要素の衝突等の潜在的なエラー(複数の場合もある)の原因、及び/又は走査手順の任意の他の態様を自動的に計算することができる。
【0069】
生成された走査手順の1つ以上の態様が自動的に計算される場合(ブロック410)、ブロック412において、走査手順生成システム250は、生成された走査手順の要求された態様を計算する。例えば、ユーザーは、計算される生成された走査手順の特定の態様を選択することができ、及び/又は走査手順全体がレビュー及び/又は修正のために計算されることを要求することができる。ブロック412を実装するために実行され得る例示の命令が、
図5~
図10を参照しながら以下で開示される。
【0070】
要求された態様(複数の場合もある)を計算した後(ブロック412)、又は1つ以上の構成要素302~308について位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)が変更された場合(ブロック408)、ブロック414において、走査手順生成システム250は、仮想環境300内の配置(複数の場合もある)及び/又はパラメータを更新し、ブロック406に戻って構成要素(複数の場合もある)302~308のレンダリングを更新する。
【0071】
1つ以上の構成要素302~308について位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)が変更されておらず(ブロック408)、生成された走査手順の更なる態様が自動的に計算されない(ブロック410)場合、ブロック416において、走査手順生成システム250は、走査の投影又はシミュレーションが生成されるか否かを判定する。例えば、ユーザーは、放射線源302によって出力されている放射線及び検出器304によって生成されている対応する画像をシミュレートすることを選択することができる(例えば、「X線オン」)。
【0072】
走査の投影又はシミュレーションが生成される場合(ブロック416)、ブロック418において、走査手順生成システム250は、線源302、検出器304、ポジショナ306、及びワーク308の位置決めに基づいて、線源及び/又は検出器パラメータに基づいて、及び/又はワーク308の特性に基づいて、ワーク308の投影をレンダリングし、出力する。いくつかの例では、走査手順生成システム250は、現実感を高めるために投影に対して1つ以上の効果をシミュレート及びレンダリングすることをユーザーが選択することを可能にし、これは、生成された走査手順を改善する際にユーザーを支援することができる。投影のために走査手順生成システム250によってシミュレートすることができる例示の態様は、ビームハードニング、放射エネルギー又は波長、多色ビームのスペクトル及び/又は他の特性、スキャナ構成要素302~306のうちの1つ以上の運動又は位置決めの精度のランダム化又はエラー、運動ダイナミクス(例えば、振動)、スキャナ構成要素302~306の位置合わせ、ポジショナ306上のワーク308の位置決めの精度又は公差、放射線源302のコリメーション特性、放射線源302の焦点サイズ及び/又は形状、放射線散乱、選択された放射線スペクトル、放射線円錐及び/又は放射線束の不均一性、構成要素の劣化(例えば、X線源のタングステンターゲットのピッチング)、放射線源302による放射線放出の変動、線源ウォームアップ時間、検出器304のシンチレータ効率、検出器304のシンチレータ分解能及び/又はぼけ、検出器304におけるノイズ、及び/又は検出器304の欠陥(例えば、過応答、応答不足、及び/又は無応答ピクセル)を含む。走査手順生成システム250は、検出器304の面上に、仮想環境300のディスプレイ上又はその外側にオーバーレイされた別個のウィンドウ又はインターフェース内に、投影310をレンダリング及び出力することができる。例示の走査手順生成システム250は、配置及び/又はパラメータの変更に応答して投影を更新することができる(例えば、ブロック408)。
【0073】
投影310をレンダリング及び出力した後(ブロック418)、又は投影が生成されない場合(ブロック416)、ブロック420において、走査手順生成システム250は、走査手順を生成するか否かを判定する。例えば、ユーザーは、構成要素302~308の配置及び/又は線源及び/又は検出器パラメータが満足のいくものであることを示すことができる。
【0074】
走査手順が生成されない場合(ブロック420)、制御はブロック406に戻り、仮想環境300及び構成要素302~308のレンダリングを継続する。
【0075】
走査手順が生成される場合(ブロック420)、ブロック422において、走査手順生成システム250は、構成要素(複数の場合もある)302~308の配置(複数の場合もある)、線源302の定義されたパラメータ、検出器304の定義されたパラメータ、及び/又はワーク308のパラメータに基づいて、物理的スキャナ(例えば、走査システム100)によって実行される走査手順を生成する。生成された走査手順は、命令又はコマンドを含むファイルとして出力することができ、該命令又はコマンドは、走査システム100によって(例えば、直接又はスキャナ位置決め制御システム200を介して)実行されると、走査システム100に、走査手順において定義されるようなDR又はCT走査の位置決め、配向、移動、撮像、及び/又は画像再構成を実装させる。
【0076】
生成された走査手順において指定することができる例示の走査命令及び/又はパラメータは、構成要素302~308の画像取得配置(例えば、位置及び配向)、ワークローディング及び/又はアンローディング位置、ワーク308及び/又はワーク固定具の周囲の遮られていない経路、放射線源302のウォームアップ位置、ラジオグラフの数、開始配置、最終又は終了配置、検出器平均化パラメータ、ラジオグラフ中及び/又はラジオグラフ間の構成要素の位置決め及び/又は速度(例えば、ポジショナ306を回転及び/又は並進させる命令、検出器304の移動等)、線源302の放射エネルギー又は波長パラメータ又は設定、焦点モード及び/又はタイプ、物理的放射線フィルタリング、コリメーション、検出器304上の関心領域、積分時間又はフレームレート、ビニング、及び/又は利得を含む。しかしながら、任意の他の構成要素位置決め及び/又は配向パラメータ、放射線源パラメータ、放射線検出器パラメータ、及び/又はDR若しくはCT再構成パラメータが、物理的走査システム及び/又はスキャナ位置決め制御システムによる実行のために、生成された走査手順に含まれてもよい。
【0077】
いくつかの例では、スキャナ位置決め制御システム200における識別子の入力に応答して走査手順をロードすることを可能にする、ワーク308の識別子(例えば、部品番号、モデル番号、QRコード(登録商標)又はバーコード等)等の追加のデータを、生成された走査手順に関連付けることができる。いくつかの例では、固定具の情報を走査手順に関連付けることもできる。
【0078】
走査手順を生成した後、例示の命令400は終了する。
【0079】
図3Cは、
図2の走査手順生成システム250上に実装され得る、例示の仮想環境300に表示された例示のワーク308を示しており、ワーク308の少なくとも一部を囲み、走査されるワーク308の一部を指定する境界ボックス312を含む。例示の境界ボックス312は、ワーク308の関心領域を含むように、仮想環境300においてユーザーによって描画されることができ、又は走査手順生成システム250によって自動的に選択されることができる。ユーザーは、必要に応じて仮想環境内の境界ボックス312を操作(例えば、サイズ変更、並進、再描画)することができる。
【0080】
いくつかの例では、仮想環境300における境界ボックス312の選択に続いて、走査手順生成システム250は、境界ボックス312内のボリュームを走査する走査手順の少なくとも一部を決定する。例えば、走査手順生成システム250は、境界ボックス312に対する線源302及び検出器304の位置決めを決定し、ポジショナ306の位置及び/又は配向を決定し、及び/又はポジショナ306上のワーク308の位置を決定して、境界ボックス312を走査することができる。
【0081】
いくつかの例では、走査手順生成システム250は、或る特定の情報をユーザーに促し、その応答に基づいて、提案される走査手順を自動的に計算するウィザードタイプのインターフェースを提供する。一例示のウィザードインターフェースは、ユーザーが境界ボックス312、ボクセルサイズ、及びビームハードニング特性を定義し、提供された情報に基づいて提案される走査技法を生成することを要求することができる。
【0082】
いくつかの例では、走査手順生成システム250は、シミュレートされた走査手順からのDR又はCT再構成を制限して、境界ボックス312内のワーク308の部分のみを再構成して、コンピューティングリソースを節約する。
【0083】
図5は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、ワークの一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて1つ以上の配置及び移動を自動的に決定することができる例示の機械可読命令500を表すフローチャートである。例示の命令500は、
図3A及び
図3Bの例示の仮想環境、並びに走査手順生成システム250を参照して以下で説明され、
図4のブロック412を実装するために実行することができる。
【0084】
ブロック502において、走査手順生成システム250は、走査されるワーク308の部分を決定する。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308の或る特定の部分がDR又はCT走査の関心特性を有することを決定してもよく、ユーザーがワーク308の部分を識別してもよく、及び/又はワーク308全体が走査されてもよい。ブロック504において、走査手順生成システム250は、走査されるワーク308の少なくとも一部を包含する境界ボックスを生成する。いくつかの例では、境界ボックスは、構成要素302~308の配置及び運動に起因して円筒形状を有する。しかしながら、境界ボックスは、他の形状で構成されてもよい。
【0085】
ブロック506において、走査手順生成システム250は、境界ボックスを走査する構成要素302~308の位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)、及び/又は走査の線源及び/又は検出器パラメータを決定する。位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)は、境界ボックスの幾何学的形状に基づいて決定することができる。いくつかの例では、線源及び/又は検出器パラメータは、CADファイルから決定された及び/又はユーザーによって指定された材料、密度、及び/又は任意の他の特性等のワークの特性に基づくことができる。
【0086】
ブロック508において、走査手順生成システム250は、走査の移動(複数の場合もある)及び結果画像(複数の場合もある)をシミュレートして、潜在的なエラー(複数の場合もある)を検出する。検出することができる例示のエラーは、構成要素302~308のうちの異なる構成要素間の衝突、及び/又は構成要素302~308と、キャビネット若しくは筐体、配線、支持構造、及び/又は任意の他の物理的構成要素等の走査システム100の他の要素との間の衝突、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークのうちの1つ以上の位置決めのエラー、放射線源、放射線検出器、ワークポジショナ、及びワークのうちの1つ以上の移動、放射線源によって放出されるX線放射の放出特性、放射線検出器の検出特性、又はシステム内のX線放射の特性を含むことができる。いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ポジショナ306及び/又は他の構成要素302、304、308における揺動(例えば、ポジショナ306の位置決めにおける不均衡又は他の不正確さ)又は他のエラーをシミュレートする。追加的に又は代替的に、走査手順生成システム250は、不確実性推定及び/又はエラーの潜在的な要因の予測のために、様々なパラメータ及び/又は結果画像のモンテカルロシミュレーションを実施することができる。
【0087】
いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ワーク308のCADモデルを使用して決定された位置(複数の場合もある)、配向(複数の場合もある)、及びパラメータを使用して、完全なDR又はCT走査のシミュレーションを実施し(例えば、ラジオグラフの生成をシミュレートする)、シミュレートされたラジオグラフに基づいてDR又はCT再構成を実施する。フル走査のシミュレーション及び結果のシミュレートされた再構成により、ユーザーは、提案された走査手順に伴う潜在的な問題を特定し、適切な変更を行うことができる。
【0088】
ブロック510において、走査手順生成システム250は、潜在的なエラー(複数の場合もある)が検出されたか否かを判定する。1つ以上のエラーが検出された場合(ブロック510)、ブロック512において、走査手順生成システム250は、構成要素302~308のうちの1つ以上の位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)を調整して、境界ボックスを走査し、エラーを排除する。次に、制御はブロック508に戻り、更なるエラーに対して更新された走査の移動及び結果画像(複数の場合もある)をシミュレートする。
【0089】
潜在的なエラーが検出されない場合(ブロック510)、ブロック514において、走査手順生成システム250は、構成要素(複数の場合もある)302~308の位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)、及び/又は線源及び検出器パラメータ(複数の場合もある)を出力する。位置(複数の場合もある)、配向(複数の場合もある)、及びパラメータ(複数の場合もある)は、走査手順を生成するために使用することができ、及び/又はユーザーによって修正することができる。次いで、例示の命令500は終了することができる。
【0090】
図6は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、ワーク308の一部を囲む境界ボックスの識別情報に基づいて1つ以上の配置及び移動を自動的に決定することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。例示の命令600は、
図3A及び
図3Bの例示の仮想環境、並びに走査手順生成システム250を参照して以下で説明され、
図4のブロック412を実装するために実行することができる。
【0091】
ブロック602において、走査手順生成システム250は、走査されるワーク308の部分を決定する。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308の或る特定の部分がDR又はCT走査の関心特性を有することを決定してもよく、ユーザーがワーク308の部分を識別してもよく、及び/又はワーク308全体が走査されてもよい。ブロック604において、走査手順生成システム250は、走査されるワーク308の少なくとも一部を包含する境界ボックスを生成する。いくつかの例では、境界ボックスは、構成要素302~308の配置及び運動に起因して円筒形状を有する。しかしながら、境界ボックスは、他の形状で構成されてもよい。
【0092】
ブロック606において、走査手順生成システム250は、2つ以上の技術(例えば、計画アルゴリズム)及び/又はパラメータセットを使用して、構成要素(複数の場合もある)302~308の位置、配向、及び/又は移動(複数の場合もある)、及び/又は線源及び/又は検出器パラメータを決定し、境界ボックス312の異なる走査を実施する。例えば、走査手順生成システム250は、手順計画で使用するために記憶された複数の技術及び/又は計画アルゴリズムを有することができる。計画アルゴリズムのうちの異なるものが、特定のタイプの走査及び/又は配置のために最適化されてもよい。
【0093】
ブロック608において、走査手順生成システム250は、(例えば、異なる計画アルゴリズムに基づいて)2つ以上の走査の移動(複数の場合もある)及び結果画像(複数の場合もある)をシミュレートする。ブロック610において、走査手順生成システム250は、各走査及び/又は結果画像(複数の場合もある)のセットの1つ以上の特性を決定する。例えば、走査手順生成システム250は、走査のそれぞれが何らかのエラーをもたらすか、閾値未満の画質を提供するか、及び/又は別様で満足のいく走査の条件を満たすか、若しくは満たさないかを判定することができる。
【0094】
ブロック612において、走査手順生成システム250は、走査の特性を比較して、特性に基づいて走査のうちの1つを選択する。例えば、走査手順生成システム250は、どの走査が好ましい画質を提供するか、及び/又は衝突等のエラーを回避するかを判定することができる。選択された走査は、シミュレーションから決定された定量値の好ましい組み合わせを提供することができる。
【0095】
ブロック614において、走査手順生成システム250は、選択された走査において潜在的なエラーが検出されたか否かを判定する。1つ以上のエラーが検出された場合(ブロック614)、ブロック616において、走査手順生成システム250は、構成要素302~308のうちの1つ以上の位置(複数の場合もある)及び/又は配向(複数の場合もある)を調整して、境界ボックスを走査し、エラーを排除する。次に、制御はブロック608に戻り、更なるエラーに対して更新された走査の移動及び結果画像(複数の場合もある)をシミュレートする。例示の走査手順生成システム250は、以前の反復においてシミュレートされたアルゴリズムのパラメータを更新することができる。
【0096】
潜在的なエラーが検出されない場合(ブロック614)、ブロック618において、走査手順生成システム250は、構成要素(複数の場合もある)302~308の位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)、及び/又は線源及び検出器パラメータ(複数の場合もある)を出力する。位置(複数の場合もある)、配向(複数の場合もある)、及びパラメータ(複数の場合もある)は、走査手順を生成するために使用することができ、及び/又はユーザーによって修正することができる。次いで、例示の命令600は終了することができる。
【0097】
図3D及び
図3Eは、
図2の走査手順生成システム250上に実装され得る、仮想環境300を使用したポジショナ306及びワーク308の位置及び配向の一例示の変更と、放射線検出器304上のワーク308の投影310のレンダリングのインタラクティブな変更とを示している。
図3Dに示すように、ユーザーは、並進及び/又は回転のためにワークポジショナ306を選択することができる。図示された例において、ワーク308は、ワークポジショナ306を参照することによって結び付けることができ、その結果、ワーク308は、ポジショナ306と同じ位置及び/又は配向の関係を維持するようにポジショナ306と共に移動する。
【0098】
図3Dの例では、ポジショナ306の並進の結果は、異なる視覚スタイル(例えば、ポジショナ306のゴースト表現314又は他の視覚的に区別できる表現)を使用して、仮想環境300内に表されている。仮想環境300はまた、ユーザーが構成要素302~308を配置するのを支援するために、移動又は配向の方向316又は平面を示している。
【0099】
図3Eは、
図3Dで行われた位置の変更に続く仮想環境を示している。
図3Eに示すように、走査手順生成システム250は、更新された配置に基づいて投影310のシミュレーションを更新し、更新された投影310を検出器304上にレンダリングする。ワーク308は、(投影310によって示されるように)線源302により近くなるので、結果画像ではワーク308がより大きな部分を占め、放射線とワーク308との間の相互作用が変更される可能性がある。
【0100】
図3Fは、
図2の走査手順生成システム250上で実装され得る、ワーク308の少なくとも一部318が、ワーク308の特性(例えば、可能性のある欠陥)を示すようにレンダリングされる、例示の仮想環境300に表示された一例示のワーク308を示している。いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ワーク308のCADモデルを解析するために、1つ以上のモデリングアルゴリズム及び/又はシミュレーションを実施及び/又は呼び出すことができる。実施し、又は呼び出すことができる例示のモデリングアルゴリズムは、鋳造解析アルゴリズム、ポロシティ解析モデリング、及び/又は応力解析モデリングを含むことができ、これらを使用して、CADモデルに基づいてワーク308を製造する鋳造プロセス中に発生し得る潜在的なボイド、不連続性、ポロシティ、介在物、公差問題、及び/又は任意の他の潜在的な欠陥若しくはリスク源についてCADモデルを解析することができる。しかしながら、任意の他のタイプの製造モデリング又は解析アルゴリズムが、実装又は呼び出されてもよい。
【0101】
モデリングアルゴリズム及び/又は走査手順生成システム250は、ワーク308のDR又はCT走査中に注目に値する閾値又は条件を指定することができる。モデリング又は解析アルゴリズム(複数の場合もある)を使用してワーク308の1つ以上の部分を識別することに応答して、例示の走査手順生成システム250は、ワーク308の識別された部分を、仮想環境300内のワーク308の他の部分又は残りの部分とは異なるようにレンダリングすることができる。いくつかの例では、ワーク308の異なる部分は、異なる理由のためにモデリング又は解析アルゴリズム(複数の場合もある)を介して識別することができる。例示の走査手順生成システム250は、異なる視覚的表示(例えば、異なる色、異なるパターン等)を表示することによって、異なるアルゴリズムを使用して識別されたワーク308の部分をレンダリングすることができ、又は、識別情報をもたらすアルゴリズムにかかわらず、任意の関心領域を視覚的に示すために、同じ方法で識別された部分をレンダリングすることができる。
【0102】
いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ワーク308上の識別された関心部分を含むように、走査手順(例えば、構成要素の配置、移動、及び/又はパラメータ)を自動的に決定する。線源パラメータ及び/又は検出器パラメータは、1つ以上のモデリング又は解析アルゴリズムによって識別された特性のタイプに基づいて選択することができる。
【0103】
図7は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、CADモデル内のデータ又はCADモデルに基づくモデリングアルゴリズムから受信されたデータのうちの少なくとも一方に基づいてワークの特性を示すようにワークの一部をレンダリングすることができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【0104】
ブロック702において、走査手順生成システム250は、1つ以上のモデリングプログラム又はアルゴリズムをロードする。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308が鋳造によって製造されている場合、鋳造解析アルゴリズムをロードすることができる。モデリングプログラム(複数の場合もある)は、CADモデルの特性に基づいて自動的に選択することができ、及び/又はモデリングプログラム(複数の場合もある)のライブラリからユーザーによって手動で選択することができる。
【0105】
ブロック704において、走査手順生成システム250は、モデリングプログラムの出力閾値(複数の場合もある)を決定する。例えば、ユーザーは、不連続性等の関心特性の存在を示す定量的閾値を指定することができる。他の例では、モデリングプログラムは、所定の閾値で構成される。
【0106】
ブロック706において、走査手順生成システム250は、ワーク308のロードされたCADモデルを使用してモデリングプログラム(複数の場合もある)を実行する。
【0107】
ブロック708において、走査手順生成システム250は、実行されたモデリングプログラム(複数の場合もある)のいずれかが、モデリングプログラムによってモデリングされた特性の存在又は閾値尤度を示す対応する出力閾値を満たす出力を返すか否かを判定する。
【0108】
実行されたモデリングプログラム(複数の場合もある)のいずれかが、対応する出力閾値を満たす出力を返す場合(ブロック708)、ブロック710において、走査手順生成システム250は、出力閾値(複数の場合もある)を満たす出力(複数の場合もある)に対応するワーク308の部分(複数の場合もある)320をレンダリングして、ワーク308の対応する特性を示す。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308の部分318における1つ以上のモデリングされた特性(例えば、不連続性等)の存在を示すために、ワーク308の残りの部分とは異なる色及び/又はパターンで部分318をレンダリングすることができる。
【0109】
部分318をレンダリングした後(ブロック710)、又はモデリングアルゴリズムのいずれも特性を識別しない場合(ブロック708)、例示の命令700は終了する。
【0110】
図3Gは、
図2の走査手順生成システム250上に実装され得る、ワークポジショナ306上で物体を支持するように構成された自動的に生成された固定具320を含む、例示の仮想環境300に表示された例示のワーク308を示している。
図3Fに示すように、ユーザーは、ポジショナ306上のワーク308の比較的不安定な配向が所望のDR又はCT走査をもたらすが、より安定した配向では所望のDR又はCT走査が得られないと判定することができる。ワーク308を安定させる適切な方法を決定するために走査システム100のオペレーターを必要とするのではなく、例示の走査手順生成システム250は、ワーク308を安定させることができる固定具320を自動的に設計する(又は設計する別のプログラムを自動的に呼び出す)ことができる。追加的又は代替的に、固定具320は、(例えば、アクセサリの取り付けを可能にするポジショナ306の特徴を介して)ポジショナ306を固定するように設計することができる。
【0111】
図3Fの例において、走査手順生成システム250は、CADモデルに基づいて、ワーク308の重心、ワーク308の外部輪郭(例えば、接触点)、及び/又はワーク308の任意の他の特徴を決定することができる。ワーク308の構成された配向、CADモデルからのデータ、及びポジショナ306に基づいて、例示の走査手順生成システム250は、ポジショナ306上でワーク308を支持し安定させるために、物理的固定具320のCADモデルを計算し、生成する。いくつかの例では、固定具320は、ポジショナ306に対するワーク308の一貫した位置及び/又は配向を提供するために、ワーク308をポジショナ306に固定するように更に設計される。
【0112】
いくつかの例では、ユーザーは、3D印刷又は他の付加製造及び/又は機械加工技術を介して固定具320の1つ以上のコピーを物理的に生成することを選択することができる。このような選択に応答して、走査手順生成システム250は、生成されたファイルを製造のために外部デバイス(例えば、3Dプリンタ、受託製造業者等)にエクスポートすることができる。他の例では、固定具320のCADファイルは、ワーク308の物理的コピーがシステム100を介して走査されるときに走査システム100のオペレーターによって使用されるために、生成された走査手順とともにパッケージ化することができる。
【0113】
図8は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、生成された走査手順において定義されるようにワーク308をワークポジショナ306上に支持する固定具モデルを生成することができる例示の機械可読命令800を表すフローチャートである。
【0114】
ブロック802において、走査手順生成システム250は、仮想環境300内のポジショナ306に対するワーク308の位置及び配向を決定する。例えば、走査手順生成システム250は、ユーザーによるワーク308の位置及び配向に基づいて、ポジショナ306によってワーク308に提供される接触点及び/又は支持点を決定することができる。
【0115】
ブロック804において、走査手順生成システム250は、ワーク308が走査の安定位置にあるか否かを判定する。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308の計算された重心が、走査手順中(例えば、静止位置、ポジショナ306の移動及び/又は回転中等)にワーク308を不安定化させる可能性がある支持点に対する位置にあるか否かを判定することができる。
【0116】
ブロック806において、走査手順生成システム250は、固定具(例えば、固定具320)のCADモデルを生成して出力し、ワークをポジショナ306上に支持し、及び/又はワーク308を構成された位置及び配向でポジショナ306に固定する。例えば、走査手順生成システム250は、固定具生成アルゴリズムを使用して、ワーク308及びポジショナ306の幾何学的形状に基づいて、かつポジショナ306に対するワーク308の位置及び配向に基づいてポジショナ306上の点に接触する構造、ポジショナ306に接触する構造を使用してワーク308上の点(例えば、ワーク308の端部又はその付近の点、より高い密度及び/又は重量を有する点等)に接触してこれらの点でワーク308を支持するように構成された構造、ポジショナ306及びワーク308に接触する構造を接続するブリッジ構造、及び/又は固定具320の位置を特定し、それによってポジショナ306上の特定の点及び配向にワーク308の位置を特定するために使用することができる位置特定構造を生成することができる。
【0117】
結果のCADモデルは、任意の所望のフォーマットとすることができ、走査システム100のオペレーターが、走査手順及びワーク308の所望の固定具にアクセスし、迅速に生成する(例えば、3Dプリンタ又は他の付加製造デバイスを介して)ことを可能にするために、ワーク308の生成された走査手順に記憶されるか、又は組み込まれることができる。
【0118】
ブロック808において、走査手順生成システム250は、物理的固定具が生成されるか否かを判定する。例えば、走査手順生成システム250のユーザー及び/又はスキャナ位置決め制御システム200のオペレーターは、固定具320の物理的なコピーを生成することを選択することができる。固定具320の物理的コピーが生成される場合(ブロック808)、ブロック810において、走査手順生成システム250(又はスキャナ位置決め制御システム200)は、物理的生成のために付加製造システムに固定具320のCADモデルを出力する。
【0119】
固定具320のCADモデルを出力した後(ブロック810)、物理的固定具が作成されない場合(ブロック808)、又は、ワーク308が走査の安定位置にある(かつ、ユーザーが別様で固定具モデルの作成を選択しない)場合、例示の命令800は終了する。
【0120】
図3Hは、
図2の走査手順生成システム250上に実装され得る、放射線源302によって放出される放射線の円錐322のレンダリングを含む、例示の仮想環境300に表示された例示のワーク308を示している。走査手順生成システム250は、放射線源302と放射線検出器304との間の距離、コリメーション、及び/又は任意の他のパラメータ等の、仮想環境内の放射線源302の配置及びパラメータに基づいて、放射線の円錐322の境界を計算する。走査手順生成システム250は、次いで、ユーザーによって所望されるように、投影310をシミュレート及びレンダリングすることを伴って、又は伴わずに、計算された放射線の円錐322をレンダリングすることができる。他の例では、走査手順生成システム250は、放射線焦点、散乱放射線、ビームコリメーション、及び/又は任意の他の補助又は効果等の他の位置決め補助を仮想環境に投影及び/又はレンダリングすることができる。
【0121】
追加的又は代替的に、ユーザーは、検出器304の部分を非機能的であるか、又は別の機能不全(例えば、検出器分解能の損失)を有するものとして指定することができ、次いで、これは、走査手順生成システム250による任意のシミュレーション又は再構成に含まれて、ユーザーが、予想される又は潜在的な問題のある領域の周囲で走査手順を設計することを可能にする。
【0122】
図9は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、生成された走査手順を物理的に実施するサイクルタイムを計算することができる例示の機械可読命令900を表すフローチャートである。例示の命令900は、
図3A及び
図3Bの例示の仮想環境、並びに走査手順生成システム250を参照して以下で説明され、
図4のブロック412を実装するために実行することができる。
【0123】
ブロック902において、走査手順生成システム250は、物理的走査システム100のタイプを決定する。例えば、走査手順生成システム250のユーザーは、オプションのリスト又はメニューから物理的走査システム100のモデル及び/又は1つ以上の特性を選択することができ、及び/又はサイクルタイムを計算するために走査手順生成システム250によって使用することができる他のデータを入力することができる。
【0124】
ブロック904において、走査手順生成システム250は、決定された物理的走査システム100に基づいてサイクルタイムを計算するために、生成された走査手順をシミュレートする。例えば、走査手順生成システム250は、ワーク308及び/又は任意の必要な固定具の位置までの推定時間、筐体閉鎖時間、放射線源ウォームアップ時間、積分時間及びラジオグラフの数を含む画像取り込み時間、筐体開放時間、ワーク及び/又は固定具除去時間、及び/又は生成された走査手順の物理的走査を実施する任意の他の態様を含むようにサイクルタイムを決定することができる。
【0125】
ブロック906において、走査手順生成システム250は、計算されたサイクルタイムを出力する。計算されたサイクルタイムは、サイクルタイムを低減することが走査手順の有利な特徴であり得ることから、選択(例えば、
図6のブロック612)のために潜在的な走査手順をスコア付け又は比較する因子として走査手順生成システム250によって使用することができる。次いで、例示の命令900は終了することができる。
【0126】
図10は、
図2の例示の走査手順生成システム250によって実行されて、走査手順を実施する物理的検出器のより大きな対応する寸法である仮想検出器の寸法に基づいて走査手順を生成することができる例示の機械可読命令1000を表すフローチャートである。例えば、仮想環境300により、ユーザーは、放射線検出器304のサイズを検出器106の実際のサイズ又は寸法よりも大きくなるように構成することができる。結果の走査手順は、定義された仮想検出器の寸法に効果的に一致するように、エミッタ104、検出器106、及び/又はポジショナ110及びワーク108の移動を可能にするように、各ワーク位置に対する複数のラジオグラフを含むように生成される。
【0127】
ブロック1002において、走査手順生成システム250は、オペレーターによって指定されるように、仮想環境内の検出器304の境界(例えば、寸法及び位置)を受信する。いくつかの例では、走査手順生成システム250は、ワーク308及び/又は境界ボックス312のサイズ、並びに所望の線源及び/又は検出器パラメータに基づいて、(例えば、所望の画質が所与のワーク位置に対して単一のラジオグラフで取得されない場合に)仮想検出器の寸法及び位置を自動的に構成する。
【0128】
ブロック1004において、走査手順生成システム250は、構成要素302~308の位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)を決定して、指定された検出器境界及び有効な検出器境界を有するように境界ボックス312を走査する。構成要素302~308の位置(複数の場合もある)及び配向(複数の場合もある)は、上述したように、ワーク308を走査する走査手順を自動的に生成するために、走査手順生成システム250によって使用することができる。例示の走査手順生成システム250は、走査システム100が、所与のワーク位置及び配向に対して撮影された複数のラジオグラフを、仮想検出器の有効寸法を有する単一の画像にステッチすることを可能にする画像ステッチ命令を更に含むことができる。その後、例示の命令1000は終了する。
【0129】
上記の例はリニアアクチュエーターに言及したものであるが、任意の他のタイプ(複数の場合もある)のアクチュエータ(複数の場合もある)又はマニピュレーター(複数の場合もある)を使用して、X線エミッタ104、X線検出器106、ワークポジショナ110、ワーク、及び/又は任意の他の構成要素を物理的に位置決め及び/又は操作することができる。例えば、アクチュエータ(複数の場合もある)116、118、120は、6自由度ロボットマニピュレーター、回転アクチュエータ(例えば、直接回転、ウォームギア回転等)、及び/又は任意の他のタイプのアクチュエータを含むことができ、これらは
図3A~
図3Hの仮想環境300に反映させることができる。
【0130】
図11は、
図2のスキャナ位置決め制御システム200及び/又は走査手順生成システム250を実装するために使用することができる一例示のコンピューティングシステム1100のブロック図である。例示のコンピューティングシステム1100は、パーソナルコンピュータ、サーバー、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、タブレットコンピュータ、及び/又は、任意の他のタイプのコンピューティングデバイスを使用して実装することができる。
【0131】
図11の例示のコンピューティングシステム1100はプロセッサ1102を含む。例示のプロセッサ1102は、任意の製造業者からの任意の汎用中央処理ユニット(CPU:central processing unit)とすることができる。いくつかの他の例において、プロセッサ1102は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、グラフィック処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/又は、システムオンチップ(SoC:system-on-chip)等の1つ以上の専用処理ユニットを含むことができる。プロセッサ1102は機械可読命令1104を実行し、機械可読命令1104は、プロセッサに(例えば、含まれるキャッシュ又はSoC内に)、ランダムアクセスメモリ1106(又は他の揮発性メモリ)内に、読み出し専用メモリ1108(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)内に、及び/又は、大容量記憶デバイス1110内にローカルに記憶することができる。例示の大容量記憶デバイス1110は、ハードドライブ、固体記憶デバイス、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は、任意の他の大容量データ記憶デバイスとすることができる。
【0132】
バス1112は、プロセッサ1102、RAM1106、ROM1108、大容量記憶デバイス1110、ネットワークインターフェース1114、及び/又は入力/出力インターフェース1116の間の通信を可能にする。
【0133】
例示のネットワークインターフェース1114は、コンピューティングシステム1100をインターネット等の通信ネットワーク1118に接続するために、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース1114は、通信情報を送信及び/又は受信するためのIEEE802.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0134】
図11の例示のI/Oインターフェース1116は、1つ以上の入力/出力デバイス1120をプロセッサ1102に接続して、プロセッサ1102に入力を提供する及び/又はプロセッサ1102から出力を提供するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース1116は、ディスプレイデバイスにインターフェースするためのグラフィクス処理ユニット、1つ以上のUSB準拠デバイスにインターフェースするためのユニバーサルシリアルバスポート、ファイヤーワイヤー(FireWire(登録商標))、フィールドバス、及び/又は任意の他のタイプのインターフェースを含むことができる。例示のI/Oデバイス(複数の場合もある)1120は、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、光媒体ドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、ディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイデバイス(複数の場合もある)208、258)、磁気媒体ドライブ、及び/又は、任意の他のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。
【0135】
例示のコンピューティングシステム1100は、I/Oインターフェース1116及び/又はI/Oデバイス(複数の場合もある)1120を介して非一時的機械可読媒体1122にアクセスできる。
図11の機械可読媒体1122の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD:compact discs)、デジタル多用途/ビデオディスク(DVD:digital versatile/video discs)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク)、可搬型記憶媒体(例えば、可搬型フラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD:secure digital)カード等)、及び/又は任意の他のタイプの取り外し可能及び/又は設置式機械可読媒体を含む。
【0136】
ネットワークインターフェース(複数の場合もある)1114及び/又はI/Oインターフェース(複数の場合もある)1116がサポート及び/又は使用することができる、例示の無線インターフェース、プロトコル、及び/又は規格は、Bluetooth(登録商標)(IEEE 802.15)等の無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN:wireless personal area network)プロトコル;近接場通信(NFC:near field communication)規格;WiFi(IEEE 802.11)等の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)プロトコル;2G/2G+(例えば、GSM/GPRS/EDGE及びIS-95又はcdmaOne)及び/又は2G/2G+(例えば、CDMA2000、UMTS、及びHSPA)等のセルラー規格;WiMAX(IEEE 802.16)及びLTE等の4G規格;ウルトラワイドバンド(UWB:Ultra-Wideband)等を含む。ディスプレイデバイス(複数の場合もある)212と通信するため等で、ネットワークインターフェース(複数の場合もある)1114及び/又はI/Oインターフェース(複数の場合もある)1116がサポート及び/又は使用することができる、例示の有線インターフェース、プロトコル、及び/又は規格は、イーサネット(IEEE 802.3)、ファイバー分散データインターフェース(FDDI:Fiber Distributed Data Interface)、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN:Integrated Services Digital Network)、ケーブルテレビジョン及び/又はインターネット(ATSC、DVB-C,DOCSIS)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ベースインターフェース等を含む。
【0137】
プロセッサ802、ネットワークインターフェース(複数の場合もある)1114、及び/又はI/Oインターフェース(複数の場合もある)1116は、例えば、フィルタリング、増幅、アナログ対デジタル変換及び/又はデジタル対アナログ変換、ベースバンド信号のアップコンバージョン/ダウンコンバージョン、エンコーディング/デコーディング、暗号化/解読、変調/復調、及び/又は、任意の他の適切な信号処理を実施することができる。
【0138】
コンピューティングシステム1100は、無線通信のための1つ以上のアンテナ及び/又は有線通信のための1つ以上の有線ポートを使用することができる。アンテナ(複数の場合もある)は、通信するために使用される無線インターフェース及び/又はプロトコルのために必要とされる周波数、電力レベル、ダイバーシティ、及び/又は、他のパラメータに適する任意のタイプのアンテナ(例えば、指向性アンテナ、全方向性アンテナ、多入力多出力(MIMO:multi-input multi-output)アンテナ等)とすることができる。ポート(複数の場合もある)は、コンピューティングデバイスシステム1100がサポートする有線インターフェース/プロトコルを介した通信に適する任意のタイプのコネクタを含むことができる。例えば、ポート(複数の場合もある)は、ツイストペアを介したイーサネット(Ethernet over twisted pair)ポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート、受動光ネットワーク(PON:passive optical network)ポート、及び/又は、有線又は光ケーブルにインターフェースするための任意の他の適したポートを含むことができる。
【0139】
本方法及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散的に、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1つ以上のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。本明細書において使用される場合、「非一時的機械可読媒体」という用語は、全てのタイプの機械可読記憶媒体を含み、伝播信号を排除するように定義される。
【0140】
本明細書において使用される場合、「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書において使用される場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示の」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書において使用される場合、回路部は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かにかかわらず、回路部はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0141】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
【国際調査報告】