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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】多自由度を有する医療装置ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20240628BHJP
   A61B 1/008 20060101ALI20240628BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61M25/092 510
A61B1/008 512
A61B1/00 711
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580538
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 IB2022056073
(87)【国際公開番号】W WO2023275797
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,650
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ボーミック、ナバルン
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラウト、シュリカント バサン
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF12
4C161GG15
4C161HH33
4C267AA01
4C267BB04
4C267BB52
4C267CC07
4C267HH22
4C267HH30
(57)【要約】
医療装置は、少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、ハンドルに接続された近位端と遠位端とを有するシャフトと、シャフトの遠位端に接続され、エンドエフェクタを含む遠位アセンブリとを備え得る。ハンドルは、ユーザが片手で少なくとも1つのアクチュエータを操作することにより、(1)エンドエフェクタを作動させ、(2)シャフトに対してエンドエフェクタを回転させ、(3)シャフトの遠位部分を関節運動させることができるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、
ハンドルに接続された近位端と遠位端とを有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に接続され、エンドエフェクタを含む遠位アセンブリと、
を備え、
前記ハンドルは、ユーザが片手で前記少なくとも1つのアクチュエータを操作することにより、(1)前記エンドエフェクタを作動させ、(2)前記シャフトに対して前記エンドエフェクタを回転させ、(3)前記シャフトの遠位部分を関節運動させることができるように構成されている、医療装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、および第3のアクチュエータを含み、前記第1のアクチュエータは、前記シャフトに対して前記エンドエフェクタを回転させ、前記第2のアクチュエータは、前記エンドエフェクタを作動させ、前記第3のアクチュエータは、前記シャフトの前記遠位部分を関節運動させる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
少なくとも前記第1のアクチュエータがトリガであり、前記第2のアクチュエータがノブであり、前記第3のアクチュエータがノブであり、前記ハンドルは、前記ユーザが前記片手の人差し指を前記トリガに、前記片手の親指を第1のノブに、前記片手の中指を第2のノブに、さらに前記片手の手のひらを前記ハンドルに同時に置くことができるように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記ハンドルは、使用時に、前記第1のノブが前記ユーザから離れる方向を向き、前記第2のノブが前記ユーザに対してハンドル本体の左側に位置し、前記トリガが前記ハンドルの上部に位置するように構成されている、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記エンドエフェクタの作動を制御するための機構が、第1のラックと、前記第1のラックと噛み合うピニオンギアと、前記ピニオンギアと噛み合い、制御ワイヤに結合された第2のラックとを含む、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記第1のラックが前記ハンドルのハンドル本体の内部および外部に移動したときに前記ピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで前記第2のラックおよび前記制御ワイヤがそれぞれ近位および遠位に移動する、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための機構が、第1のピニオンギアと、前記第1のピニオンギアと噛み合う第2のピニオンギアとを含み、前記第1のピニオンギアが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記第2のピニオンギアがそれぞれ反時計回りおよび時計回りに回転することで前記制御ワイヤが回転するように前記制御ワイヤが前記第2のピニオンギア内に位置している、請求項5または6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための機構が、プーリに結合された第1の制御ワイヤおよび第2の制御ワイヤを含み、前記プーリが時計回りに回転したときに前記第1の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記プーリが反時計回りに回転したときに前記第2の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかるように前記第1の制御ワイヤおよび前記第2の制御ワイヤが前記プーリに結合されている、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータがノブであり、前記第2のアクチュエータがトリガであり、前記第3のアクチュエータがレバーであり、前記ノブ、前記トリガ、および前記レバーは、前記ユーザが前記片手の人差し指を前記ノブに、前記片手の親指を前記レバーに、前記片手の中指を前記トリガに、さらに前記片手の手のひらを前記ハンドルに同時に置くことができるように構成されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項10】
前記ハンドルは、使用時に、前記ノブが前記ユーザから離れる方向を向き、前記レバーが前記ユーザの方向を向き、前記トリガが前記ユーザから離れる方向を向くように構成されている、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記エンドエフェクタの作動を制御するための機構が、第1のラックと、前記第1のラックと噛み合うピニオンギアと、前記ピニオンギアと噛み合い、制御ワイヤに結合された第2のラックとを含む、請求項1,2,9,10のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項12】
前記第1のラックが前記ハンドルのハンドル本体の内部および外部に移動したときに前記ピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで前記第2のラックおよび前記制御ワイヤがそれぞれ近位および遠位に移動する、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための機構が、第1のピニオンギアと、前記第1のピニオンギアと噛み合い、シャフトの近位端に固定して結合された第2のピニオンギアと、前記シャフトの遠位端に固定して結合された第3のピニオンギアと、前記第3のピニオンギアと噛み合う第4のピニオンギアとを含み、前記第4のピニオンギア内には制御ワイヤが位置しており、前記第1のピニオンギアが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記第4のピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで前記制御ワイヤが回転する、請求項1,2,9,10,11,12のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための機構が、カムに結合された第1の制御ワイヤおよび第2の制御ワイヤを含み、前記カムが時計回りに回転したときに前記第1の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記カムが反時計回りに回転したときに前記第2の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかるように前記第1の制御ワイヤおよび前記第2の制御ワイヤが前記カムに結合されている、請求項1,2,9,10,11,12,13のうちのいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータが1つのアクチュエータであり、前記1つのアクチュエータがノブであり、前記ノブが、当該ノブの遠位端におけるボールと、前記ハンドルの基部の近位端におけるソケットとによって前記ハンドルの前記基部に結合されており、前記ノブは、
前記エンドエフェクタの作動を制御する第1の機構であって、前記ノブの遠位端に結合された制御ワイヤを含み、前記ノブの近位への引き込みおよび遠位への押し込みに応じて前記制御ワイヤを並進させる前記第1の機構と、
前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための第2の機構であって、前記ノブの遠位端に結合された前記制御ワイヤを含み、前記ノブが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記制御ワイヤをそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転させる前記第2の機構と、
前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための第3の機構であって、第1の関節運動ワイヤと、前記ボールに結合された第2の関節運動ワイヤとを含み、前記ノブが第1の方向に移動したときに前記第1の関節運動ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記ノブが前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動したときに前記第2の関節運動ワイヤが引っ張られて張力がかかるように構成された前記第3の機構と、を含む、請求項1に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、概して、医療装置ハンドルに関する。本開示の例は、医療装置の多自由度を制御する人間工学的ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの医療処置において、医師は、複数の装置を同時に保持および操作する必要がある。例えば、管腔内手術の間、医師は、一方の手(例えば、左手)でスコープ(例えば、内視鏡)を保持して操作しつつ、他方の手(例えば、右手)でスコープシャフトを操作して、スコープを患者の身体管腔内に位置決めする。次いで、医師または技術者は、アクセサリ装置をスコープの作業チャネル内に導入し、患者内にアクセサリを位置決めする。現在、アクセサリは、多くの場合、アクセサリの位置決めおよび作動に必要な全ての自由度において、独立して直感的に操作される能力を有していない。また、スコープおよびアクセサリ装置の操作は、処置の長さにわたって筋肉疲労およびストレスをもたらし得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、上記したこれらの課題または当該分野における他の課題のうちの1つ以上を克服することを対象とする。
本開示の態様は、とりわけ、中立位置または相対的中立位置において医療装置の多自由度を片手で制御することを可能にする人間工学的医療装置ハンドルに関する。本明細書に開示される態様の各々は、他の開示される任意の態様に関連して説明される特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0004】
本開示の一態様によれば、医療装置は、少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、前記ハンドルに接続された近位端と遠位端とを有するシャフトと、前記シャフトの前記遠位端に接続された遠位アセンブリとを備え得る。前記遠位アセンブリはエンドエフェクタを備え得る。前記ハンドルは、ユーザが片手で前記少なくとも1つのアクチュエータを操作することにより、(1)前記エンドエフェクタを作動させ、(2)前記シャフトに対して前記エンドエフェクタを回転させ、(3)前記シャフトの遠位部分を関節運動させることができるように構成されている。
【0005】
前記医療装置は、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、および第3のアクチュエータを含み得る。前記第1のアクチュエータは、前記シャフトに対して前記エンドエフェクタを回転させ得る。前記第2のアクチュエータは、前記エンドエフェクタを作動させ得る。前記第3のアクチュエータは、前記シャフトの前記遠位部分を関節運動させ得る。前記第1のアクチュエータはトリガであり得る。前記第2のアクチュエータはノブであり得る。前記第3のアクチュエータはノブであり得る。前記ハンドルは、前記ユーザが前記片手の人差し指を前記トリガに、前記片手の親指を第1のノブに、前記片手の中指を第2のノブに、さらに前記片手の手のひらを前記ハンドルに同時に置くことができるように構成され得る。前記ハンドルは、使用時に、前記第1のノブが前記ユーザから離れる方向を向き、前記第2のノブが前記ユーザに対してハンドル本体の左側に位置し、前記トリガが前記ハンドルの上部に位置するように構成され得る。前記医療装置は、前記エンドエフェクタの作動を制御するための機構を含み得る。当該機構は、第1のラックと、前記第1のラックと噛み合うピニオンギアと、前記ピニオンギアと噛み合い、制御ワイヤに結合された第2のラックとを含み得る。前記第1のラックが前記ハンドルの前記ハンドル本体の内部および外部に移動したときに前記ピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで、前記第2のラックおよび制御ワイヤがそれぞれ近位および遠位に移動する。前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための機構は、第1のピニオンギアと、前記第1のピニオンギアと噛み合う第2のピニオンギアとを含み得る。前記第1のピニオンギアが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記第2のピニオンギアがそれぞれ反時計回りおよび時計回りに回転することで前記制御ワイヤが回転するように、前記制御ワイヤは第2のピニオンギア内に位置し得る。前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための機構は、プーリに結合された第1の制御ワイヤおよび第2の制御ワイヤを含み得る。前記第1の制御ワイヤおよび前記第2の制御ワイヤは、前記プーリが時計回りに回転したときに前記第1の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記プーリが反時計回りに回転したときに前記第2の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかるように、前記プーリに結合されている。
【0006】
本開示の別の態様によれば、前記第1のアクチュエータはノブであってよく、前記第2のアクチュエータはトリガであってよく、前記第3のアクチュエータはレバーであってよい。前記ノブ、前記トリガ、および前記レバーは、前記ユーザが前記片手の人差し指を前記ノブに、前記片手の親指を前記レバーに、前記片手の中指を前記トリガに、さらに前記片手の手のひらを前記ハンドルに同時に置くことができるように構成され得る。前記ハンドルは、使用時に、前記ノブがユーザから離れる方向を向き、前記レバーが前記ユーザの方向を向き、前記トリガが前記ユーザから離れる方向を向くように構成され得る。
【0007】
本開示の別の態様によれば、前記医療装置は、前記エンドエフェクタの作動を制御するための機構であって、第1のラックと、前記第1のラックと噛み合うピニオンギアと、前記ピニオンギアと噛み合い、制御ワイヤに結合された第2のラックとを含む機構を含み得る。前記第1のラックが前記ハンドルのハンドル本体の内部および外部に移動したときに前記ピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで、前記第2のラックおよび前記制御ワイヤがそれぞれ近位および遠位に移動する。
【0008】
前記医療装置は、前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの前記回転を制御するための機構を含み得る。当該機構は、第1のピニオンギアと、前記第1のピニオンギアと噛み合い、シャフトの近位端に固定して結合された第2のピニオンギアと、前記シャフトの遠位端に固定して結合された第3のピニオンギアと、前記第3のピニオンギアと噛み合う第4のピニオンギアとを含み得る。前記第4のピニオンギア内には制御ワイヤが位置している。前記第1のピニオンギアが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記第4のピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで前記制御ワイヤが回転する。また、前記医療装置は、前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための機構を含み得る。当該機構は、プーリに結合された第1の制御ワイヤおよび第2の制御ワイヤを含む。前記第1の制御ワイヤおよび前記第2の制御ワイヤは、前記プーリが時計回りに回転したときに前記第1の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記プーリが反時計回りに回転したときに前記第2の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかるように、前記プーリに結合されている。
【0009】
本開示の別の態様によれば、前記第1のアクチュエータはノブであってよく、前記第2のアクチュエータはトリガであってよく、前記第3のアクチュエータはレバーであってよい。前記ノブ、前記トリガ、および前記レバーは、前記ユーザが前記片手の人差し指を前記ノブに、前記片手の親指を前記レバーに、前記片手の中指を前記トリガに、さらに前記片手の手のひらを前記ハンドルに同時に置くことができるように構成され得る。前記ハンドルは、使用時に、前記ノブが前記ユーザから離れる方向を向き、前記レバーが前記ユーザの方向を向き、前記トリガが前記ユーザから離れる方向を向くように構成され得る。代替装置は、前記シャフトの遠位部分を関節運動させる、作動させる、または回転させるべく、上述した機構の任意の組み合わせを含み得る。代替として、前記医療装置は、前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための機構を含み得る。当該機構は、第1のピニオンギアと、前記第1のピニオンギアと噛み合い、シャフトの近位端に固定して結合された第2のピニオンギアと、シャフトの遠位端に固定して結合された第3のピニオンギアと、前記第3のピニオンギアと噛み合う第4のピニオンギアとを含み得る。前記第1のピニオンギアが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記第4のピニオンギアがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転することで前記制御ワイヤが回転するように、前記制御ワイヤは前記第4のピニオンギア内に位置し得る。また、前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための機構は、カムに結合された第1の制御ワイヤおよび第2の制御ワイヤを含み得る。前記第1の制御ワイヤおよび前記第2の制御ワイヤは、前記カムが時計回りに回転したときに前記第1の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記カムが反時計回りに回転したときに前記第2の制御ワイヤが引っ張られて張力がかかるように、前記カムに結合されている。
【0010】
代替実施形態の医療装置は、少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。前記1つのアクチュエータはノブを含み得る。このノブは、当該ノブの遠位端におけるボールと前記ハンドルの基部の近位端におけるソケットとによって前記ハンドルの前記基部に結合されている。前記ノブは、前記エンドエフェクタの作動を制御するための第1の機構であって、前記ノブの遠位端に結合された制御ワイヤを含む第1の機構を含むように構成され得る。前記制御ワイヤは、前記ノブの近位への引き込みおよび遠位への押し込みに応じて前記制御ワイヤが並進するように前記ノブの遠位端に結合されている。また、前記ノブは、前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの回転を制御するための第2の機構であって、前記ノブの遠位端に結合された前記制御ワイヤを含む第2の機構を含むように構成され得る。前記制御ワイヤは、前記ノブが時計回りおよび反時計回りに回転したときに前記制御ワイヤがそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転するように前記ノブの遠位端に結合されている。また、前記ノブは、前記シャフトの前記遠位部分の関節運動を制御するための第3の機構であって、第1の関節運動ワイヤと、前記ボールに結合された第2の関節運動ワイヤとを含む第3の機構を含むように構成され得る。前記第3の機構は、前記ノブが第1の方向に移動したときに前記第1の関節運動ワイヤが引っ張られて張力がかかり、前記ノブが前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動したときに前記第2の関節運動ワイヤが引っ張られて張力がかかるように構成されている。前記1つのアクチュエータは、ボールとソケットとの結合によって前記ハンドルに結合されたノブであり得る。前記ハンドルは、前記アクチュエータから分離可能であり得る。
【0011】
本開示の別の態様は、医療装置を動作させる方法を含み得る。本方法は、身体管腔の内側に医療装置を位置決めすること、片手を使用して前記少なくとも1つのアクチュエータにより前記シャフトの遠位部分を関節運動させること、前記片手を使用して前記少なくとも1つのアクチュエータにより前記シャフトに対して前記エンドエフェクタを回転させること、および前記片手を使用して前記少なくとも1つのアクチュエータにより前記エンドエフェクタを作動させることを含み得る。前記少なくとも1つのアクチュエータは3つのアクチュエータを含み得る。3つのアクチュエータは、ユーザが前記片手を使用して当該3つのアクチュエータに同時に接触することができるように構成されている。
【0012】
開示される実施形態のさらなる目的および利点は、以下の説明で部分的に記載されるとともに、以下の説明から部分的に明らかになり得るか、または開示される実施形態の実施によって習得され得る。開示される実施形態の目的および利点は、特に特許請求の範囲において言及される要素および組み合わせによって実現および達成され得る。
【0013】
上述した包括的な説明および以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求される本開示を限定するものではない。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、以下の説明とともに本開示の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の態様による医療装置の側面図である。
図2A-2B】図2Aおよび図2Bは、本開示の態様による医療装置の斜視図である。
図3図3は、本開示の態様による、図2Aおよび図2Bの医療装置を保持しているユーザの斜視図である。
図4図4は、本開示の態様による、図2Aおよび図2Bの医療装置の側断面図である。
図5図5は、本開示の態様による、図4の医療装置の拡大部分の側断面図である。
図6図6は、本開示の態様による、図4の医療装置の一部分の側断面図である。
図7図7Aおよび図7Bは、本開示の態様による、医療装置ハンドルの代替実施形態の斜視図である。
図8図8は、本開示の態様による、図7Aおよび図7Bの医療装置を保持しているユーザの斜視図である。
図9図9は、本開示の態様による、図7Aおよび図7Bの医療装置の側断面図である。
図10図10は、本開示の態様による、医療用スコープおよび代替実施形態の医療装置を保持しているユーザの斜視図である。
図11図11は、本開示の態様による、図10の医療装置の側面図である。
図12図12は、本開示の態様による、図11の医療装置のハンドルの一部の側断面図である。
図13図13は、本開示の態様による、図11の医療装置の一部の斜視図である。
図14図14は、本開示の態様による、図11の医療装置の一部の部分的な側断面図である。
図15図15Aおよび図15Bは、本開示の態様による、図11の医療装置の一部の部分的な側断面図である。
図16図16A図16B、および図16Cは、本開示の態様による、図11の医療装置の代替ハンドル実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の態様は、対象(例えば、患者)内の標的組織部位における治療を可能にするために、装置の遠位端の多自由度を制御するハンドルを備えつつ、医療装置ハンドル上において中立なまたは相対的に中立な手の姿勢(例えば、手首および指が概して安静またはほぼ安静である人間工学的な自然な手の位置)を可能にする装置および方法を含む。実施形態において、ハンドルは、ハンドル上の手の単一の位置により、装置の最大5つの自由度を制御し得るように構成されている。
【0016】
医療装置は、送達装置を介さずに、または送達装置を介して体内に導入され得る。送達装置は、カテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡など)、チューブ、またはシースであってよく、自然開口部を介して体腔または管腔、例えば、GI管に挿入され得る。開口部は、例えば、鼻、口、または肛門とすることができる。配置は、食道、胃、十二指腸、大腸、または小腸を含むGI管の任意の部分とすることができる。また、送達および配置は、GI管、自然開口部もしくは身体管、または身体切開を介して到達可能な他の身体管腔または器官内であり得る。
【0017】
以下、本開示の態様について詳細に参照する。本開示の態様の例は、添付の図面に例示されている。可能な限り、同一または類似の部分を参照するために、図面を通じて同一または類似の参照番号が使用される。「遠位」という用語は、装置を患者に導入するときにユーザから最も遠い部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、装置を対象内に配置するときにユーザに最も近い部分を指す。本明細書で使用される「備える」、「備えている」という用語、またはそれらの任意の他の変形語は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、必ずしもそれらの要素のみを含むわけではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書で使用される「約」、「実質的に」、および「およそ」という用語は、述べられた値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0018】
本開示の実施例は、大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道、胃腸管の任意の他の部分、および/または任意の他の適切な患者の解剖学的構造の部分(本明細書ではまとめて「標的治療部位」と呼ぶ)の様々な医療処置および/または治療を実施するための装置および方法に関する。本明細書で説明される様々な例は、一回の使用または使い捨ての医療装置を含む。以下、上記で説明され、添付の図面に示される本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同一または同様の部分を指すために、図面全体を通して同一の参照番号が使用される。
【0019】
図1は、本開示の実施例による医療システム1000の概略図である。このシステムは、医療装置1010および送達装置1055から構成され得る。医療装置1010は、近位端1060および遠位端1030を含む。1つまたは複数のアクチュエータ1090,1091,1092を含むハンドル1070は、近位端1060に位置するか、または近位端1060に隣接している。装置1010のシャフト1050は、ハンドル1070の遠位端から装置1010の遠位端1030まで延在している。遠位端1030は、シャフト1050の遠位関節運動可能部1020と、エンドエフェクタ1025とを含み、これらについては本明細書でさらに説明される。
【0020】
医療装置1010は、送達装置1055を介して体内に導入され得る。送達装置1055は、送達装置1055内の管腔1065(例えば、作業チャネル)の近位端に、またはこの近位端に隣接して位置するポート1085を含み得る。送達装置1055は、カテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡等)、チューブ、シースなどであってよく、自然開口部を介して体腔または管腔、例えば、GI管に挿入され得る。本明細書で説明される医療装置は、生体適合性ポリマー、ゴム、プラスチックなどを含む生体適合性材料から作製され得る任意の構造を有し得る。
【0021】
引き続き図1を参照すると、ハンドル1070のアクチュエータ1090,1091,1092は、遠位端1030における種々の機能を制御する。これらのアクチュエータは、ノブ、トリガ、ボタン、スイッチ、空気制御、または当該分野で公知の他のアクチュエータを含み得る。ハンドル1070およびアクチュエータ1090,1091,1092は、医療装置1010の多自由度を可能にし得る。例えば、アクチュエータ1090は、エンドエフェクタ1025の作動(例えば、開放および閉鎖)を制御し得る。アクチュエータ1091は、遠位端1030の関節運動(屈曲)を制御し得る。アクチュエータ1092は、シャフト1050に対するエンドエフェクタ1025の回転を制御し得る。アクチュエータおよび自由度の任意の組み合わせが本開示の実施形態の範囲内に含まれる。また、医療装置1010は、ユーザがハンドル1070を回転させることで、医療装置1010の全体が送達装置1055に対して回転するように構成され得る。また、医療装置1010は、ユーザがハンドル1070を前後に動かすことで、医療装置1010が管腔1065内で並進することによって送達装置1055に対して移動するように構成され得る。
【0022】
医療装置1010のシャフト1050は、体内の部位にアクセスするのに十分な長さを有するチューブであり得る。また、シャフト1050は、蛇行した生体構造を横断するのに十分な可撓性を有し得る。シャフト1050は、可撓性材料、剛性材料、またはそれらの任意の組み合わせから作製され得る。
【0023】
遠位端1030は、シャフト1050の遠位端に位置するかまたは隣接している。遠位端1030は、シャフト1050の遠位関節運動可能部1020(例えば、関節継手)と、エンドエフェクタ1025とからなる。移行区域1040は、シャフト1050の遠位関節運動可能部1020の近位に位置し、この関節運動可能部とシャフト1050のより近位の部分との間の移行を提供する。接着剤、超音波溶接、または当該分野で公知の任意の他の手段により、移行ゾーン1040内のこれらの構成要素を(例えば、部分1020の近位端の構成要素をシャフト1050のより近位の部分に)結合することができる。
【0024】
エンドエフェクタ1025は、種々の構成要素を含み得る。これには、複数のツールや部品が含まれ、それら複数のツールを医療装置1010の他の部分に接続して、それらのツールの種々の機能を可能にする。例示的なツールは、組織把持器、ナイフ、生検鉗子、鋏、回収装置(ネットまたはバスケットなど)、電気焼灼ツールなどを含むが、それらに限定されない。上述したように、さらには以下で詳細に説明するように、種々のハンドルアクチュエータ(例えば、アクチュエータ1090,1091,1092)および関連する機構により、関節運動部1020の関節運動およびエンドエフェクタ1025の作動(例えば、開/閉運動)を制御することができる。アクチュエータと、1つまたは複数の長尺部材1080(ワイヤ、ケーブルなど)などの遠位構成要素との間の接続は、アクチュエータの作動を遠位端1030におけるそれぞれの機能に伝達する。
【0025】
図2Aおよび図2Bは、ハンドル11を含む例示的な医療装置10を示す。ハンドル11は、ハンドル本体18と、3つのアクチュエータであるアクチュエータ/トリガ12およびノブ14,16とを含む。ストレインリリーフ20は、ハンドル11とシャフト(図示略)との間の接合部を提供する。アクチュエータ12は、ハンドル11の近位端上にあり、図1に例示されたエンドエフェクタ1025の作動(例えば、開/閉運動)を制御することができる。例えば、アクチュエータ12をハンドル本体18から離れるように移動させることによりエンドエフェクタ(図示略)を開く(または他の作動をさせる)ことができ、レバーをハンドル本体18内へ移動させることによりエンドエフェクタを閉じる(または他の作動をさせる)ことができる。なお、代替動作も、本実施形態の範囲内に含まれる。例えば、アクチュエータ12をハンドル本体18内へ(遠位に)移動させることによりエンドエフェクタを開くことができ、アクチュエータ12をハンドル11から離れるように移動させることによりエンドエフェクタを閉じることができる。
【0026】
ノブ14は、ハンドル11の前面、例えば、装置10が使用されているときにユーザから離れる方向を向くハンドルの側に配置される。ノブ14は、装置10のシャフトからストレインリリーフ20を通ってハンドル本体18の上部およびアクチュエータ12に近接して延びる装置10の中心軸に対して垂直である。ノブ14は、図1に例示されたエンドエフェクタ1025の回転運動を制御することができる。例えば、ノブ14を左に回転させることによりエンドエフェクタを反時計回り動作で回転させることができ、ノブ14を右に回転させることによりエンドエフェクタを時計回り動作で回転させることができ、逆もまた同様である。
【0027】
ノブ16は、ハンドル11の側面、例えば、装置10の使用時にハンドル本体18の左側に配置されている。ノブ16の回転平面は、装置10の中心軸に平行であるかまたは実質的に平行である。ノブ16は、図1に例示される遠位端1030の関節運動方向を制御することができる。例えば、ノブ16を時計回りに回転させることにより遠位端の左関節運動をもたらすことができ、ノブ16を反時計回りに回転させることにより遠位端の右関節運動をもたらすことができ、逆もまた同様である。また、装置は、遠位端への操縦ワイヤの取り付け位置に依存して、同様にして上または下に関節運動され得る。
【0028】
ハンドル11は、アクチュエータ12およびノブ14,16の任意の組み合わせまたはサブセットを含み得る。アクチュエータ12およびノブ14,16の各々は、本明細書で説明する様々な機能のいずれかを実行することができる。例えば、ハンドル11は、アクチュエータ12と回転ノブ14のみ、または任意の他のサブセットもしくは組み合わせを含み得る。別の例として、アクチュエータ12は、遠位端1030(図1に示される)の関節運動を制御することができ、ノブ14は、エンドエフェクタ1025(図1に示される)の作動(例えば、開/閉運動)を制御することができ、ノブ16は、遠位端1030(図1に示される)の回転を制御することができる。これらの任意の組み合わせが本開示の範囲内に含まれる。
【0029】
図3は、ユーザ22が片手で医療装置10、具体的にはハンドル11を把持する方法を示す。ユーザ22は親指により、ノブ16の時計回りおよび反時計回りの回転を制御することができる。ユーザ22は中指により、ノブ14の左右の回転を制御することができる。ユーザ22は人差し指により、アクチュエータ12の内向きおよび外向きの動きを制御することができる。アクチュエータ12は、装置の中心軸からわずかに離れて角度付けられており、ユーザ22のための中立の人間工学的把持を可能にする。ユーザ22は残りの指および手のひらにより、ハンドル本体18を把持することができる。図示のように、使用中、ノブ14はユーザ22から離れる方向を向き、ノブ16はハンドル本体18の左側にあり、アクチュエータ12はハンドル本体18の上部に位置する。
【0030】
図4は、ハンドル本体18の内部にある構成要素を示すものであり、図2Aおよび図2Bのハンドル10の断面を示す。アクチュエータ12は、スロット13および延在部15を含む。スロット13は、ユーザがスロット13を通して指を挿入可能にするために、種々の形状およびサイズをとり得る。例えば、スロット13は、図示のように卵形、円形、正方形、長方形などとすることができる。延在部15は、ハンドル本体18内に延在しており、スロット13を有する端部とは反対側である延在部15の最遠位端部に沿って線形ラック24を含む。ラック24は、アクチュエータ12がハンドル本体18の内部および外部に(ハンドル本体18の上部のスロットを通して)移動したときにピニオンギア26がそれぞれ時計回りおよび反時計回りに回転するように、ピニオンギア26と噛み合っている。ピニオンギア26は、可動ラック28と噛み合っており、このラック28は、ラック28に対するその軸に沿った制御ワイヤ30の移動を制限しつつ、ラック28に対するワイヤ30の回転運動を可能にするように、制御ワイヤ30に結合されている。ピニオンギア26が回転すると、ラック28は、ハンドル本体18内で(ピニオンギア26の回転方向に応じて)上下に移動する。ラックが上下に移動すると、ワイヤ30はそれと共に移動する。
【0031】
引き続き図4を参照すると、ノブ14は、ピニオンギア48に固定して結合されている。ピニオンギア48は、ピニオンギア50と噛み合っており、このピニオンギア50は制御ワイヤ30に結合されている。制御ワイヤ30は、ワイヤ30がギア50内で上下に並進し、さらにギア50とともに回転可能とされるように、ギア50に結合されている。例えば、正方形の外形を有するクリンプ(crimp)が、ワイヤ30とギア50との間でワイヤ30に固定され得る。ギア50は、正方形のクリンプを受け入れるために、その中心に正方形の内腔を有し得る。ギア50の回転により、クリンプおよびワイヤ30が回転する。したがって、ノブ14が回転したときにピニオンギア48は同じまたは類似の回転方向に回転し、ピニオンギア50およびワイヤ30の反対の回転を生じさせる。
【0032】
図5は、ラック24、ピニオンギア26、およびラック28の間の相互作用の拡大図を示す。ラック24は、複数の延出部36(例えば、歯)と複数の凹み38(例えば、谷)から構成され、これらは、ピニオンギア26上の複数の凹み42および複数の延出部40とそれぞれ噛み合っている。さらに、ピニオンギア26の複数の延出部40および複数の凹み42は、ラック28の複数の凹み46および複数の延出部44と噛み合っている。ラック28は、互いに鏡像である2つの構成要素から構成され得る。図5は、これらの構成要素のうちの1つを示している。他方の構成要素(図示略)は、図5のページから出て、フェルール32が着座するキャビティを画定するように示された構成要素の上に置かれる。ラック28の2つの構成要素は、フェルール32を完全にまたは部分的に収容するように結合され得る。接着剤、超音波溶接、または当該分野で公知の任意の他の手段により、ラック28の構成要素を結合することができる。フェルール32は、圧着、接着剤、または当該分野で公知の他の手段により、制御ワイヤ30に固定して結合され得る。制御ワイヤ30は、フェルール32の遠位端から、ラック28内に画定されたチャネル31を通って延在している。チャネル31は、キャビティ29からラック28の遠位端まで延在している。次いで、制御ワイヤ30は、ハンドル本体18、ストレインリリーフ20、装置10のシャフトを通って、装置10の遠位先端部まで延在している。遠位先端部において、ワイヤ30は、遠位アセンブリのエンドエフェクタを作動させるように、当該分野で公知の任意の適切な方法で、遠位アセンブリに接続されている。
【0033】
ラック24、ピニオンギア26、およびラック28は、ラック24がハンドル本体18の内部および外部に移動したときに複数の凹み38および複数の延出部36がピニオンギア26の複数の延出部40および複数の凹み42と噛み合うことで、ピニオンギア26をそれぞれ時計回りおよび反時計回りに移動させるように相互作用する。また、ピニオンギア26の複数の延出部40および複数の凹み42は、ラック28の複数の延出部44および複数の凹み46と噛み合うことで、ピニオンギア26が時計回りまたは反時計回りに回転したときにラック28をそれぞれ上昇および下降させるようになっている。ラック28が昇降すると、それに応じてフェルール32および制御ワイヤ30が昇降する。この動きは、遠位アセンブリ/エンドエフェクタの作動に相関する。より多くのピニオンギアおよびラックの追加を含む微調整によって、所望の移動を向上または変更することができる。例えば、ラック24とピニオンギア26との間、またはラック28とピニオンギア26との間のいずれかに別のピニオンギアを追加することにより、図5に示された構成で達成される作用とは反対の作用を得ることができる。具体的には、図5においては、ラック24を遠位に押すことで、ラック28が近位に移動して例えばエンドエフェクタが開くようになる。上記のように別のギアを追加することにより、ラック24の遠位移動がもたらされてラック28の遠位移動が生じることで例えばエンドエフェクタが閉じるようになる。
【0034】
図6は、図4に示されていないハンドル本体18内の構成要素を示すものであり、図2Aおよび図2Bの医療装置10の他の断面図を示す。図6に示された構成要素は、医療装置のシャフト(図示略)の遠位端を関節運動させるために使用される。図6において、ノブ16は、圧入、接着剤、または当該分野で公知の任意の方法によってプーリ54に固定して結合され得る。操縦ワイヤ56,58は、ノブ16が回転したときに操縦ワイヤ56,58の一方が引っ張られて張力がかかるように、プーリ54に結合され得る。操縦ワイヤ56,58は、遠位先端部(例えば、関節運動継手の遠位端)に接続されることで、操縦ワイヤ56,58が引っ張られて張力が加えられると、それに応じて遠位先端部(図示略)が関節運動する。例えば、ノブ16を反時計回りに回転させることで、操縦ワイヤ56に張力がかかって遠位先端部が第1の方向に関節運動し、ノブ16を時計回りに回転させることで、操縦ワイヤ58に張力がかかって遠位先端部が第1の方向とは反対の第2の方向に関節運動する。操縦ワイヤ56,58は、トラック60,62を通過し得る。トラック60,62は、操縦ワイヤを閉じ込めて、使用中にワイヤがハンドル内の他の構成要素と絡まないようにする役割を果たす。
【0035】
本開示の態様は、装置10を使用する方法を含む。装置10を使用するために、ユーザは、最初に自然開口部を介して装置10の遠位端をGI管内に導入し得る。開口部は、例えば、鼻、口、または肛門とすることができる。配置は、食道、胃、十二指腸、大腸、または小腸を含むGI管の任意の部分とすることができる。また、送達および留置は、GI管、任意の他の自然開口部や身体管、身体切開を介して、または内視鏡やシースなどの送達装置を通して到達可能な他の身体管腔内または器官内であり得る。所望の部位がアクセスされると、ユーザは、片手のみ(あるいは望ましければ両手)で、ノブ14,16およびアクチュエータ12を含む1つまたは複数のアクチュエータを作動させることで、医療装置の遠位端の関節運動、エンドエフェクタの作動、および/または医療装置10のシャフトに対するエンドエフェクタの回転を制御することができる。
【0036】
図7Aおよび図7Bは、医療装置110の代替実施形態を示す。医療装置110は、ハンドル本体118と3つのアクチュエータであるレバー116、ノブ114、およびトリガ112とを有するハンドル111を含む。ストレインリリーフ120は、ハンドル111と装置シース(図示略)との間の接合部を提供する。レバー116は、図1に例示された遠位端1030の関節運動方向を制御し得る。例えば、レバー116を向こう側へ押す(または図示のように上に押す)ことにより遠位端の左関節運動をもたらすことができ、レバー116を引き下げることにより遠位端の右関節運動をもたらすことができる。なお、代替動作も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、レバー116を向こう側へ押すことにより遠位端の右関節運動をもたらすことができ、レバー116を引き下げることにより遠位端の左関節運動をもたらすことができる。また、装置は、同様な方法で上または下に関節運動され得る。
【0037】
ノブ114は、ハンドル111の前面に配置され、操作中に使用者から離れる方向を向いている。ノブ114が回転する平面は、ハンドル118、ストレインリリーフ120、および装置シャフトを通って延在する装置110の中心軸に対して垂直である。ノブ114は、図1に例示されたエンドエフェクタ1025の回転運動を制御することができる。例えば、ノブ114を左に回転させることにより、装置シャフトに対する反時計回り運動のエンドエフェクタの回転に変換することができ、ノブ114を右に回転させることにより、シャフトに対する時計回り運動のエンドエフェクタの回転に変換することができる。なお、代替動作も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、ノブ114を右に回転させることにより、反時計回り運動のエンドエフェクタの回転に変換することができ、ノブ114を左に回転させることにより、時計回り運動のエンドエフェクタの回転に変換することができる。
【0038】
トリガ112は、図1に例示されたエンドエフェクタ1025の作動(例えば、開/閉運動)を制御し得る。例えば、トリガ112を作動させる(トリガ112をハンドル本体118内に引く)ことによりエンドエフェクタ(図示略)の開動作に変換することができ、トリガ112を解放する(トリガ112を本体118の外に出すことを可能にするかまたは押す)ことによりエンドエフェクタの閉動作に変換することができる。なお、代替動作も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、トリガ112を作動させることによりエンドエフェクタを開くことができ、トリガ112をハンドル118の外へ解放することによりエンドエフェクタを閉じることができる。
【0039】
ハンドル111は、トリガ112、ノブ114、およびレバー116の任意の組み合わせを含み得る。例えば、ハンドル11は、ノブ114およびトリガ112のみを含むか、または任意の他の組み合わせのみを含み得る。また、各アクチュエータは、上述した動作に限定されない。例えば、トリガ112により遠位端1030(図1に示す)の関節運動を制御することができ、ノブ114によりエンドエフェクタ1025(図1に示される)の開/閉運動を制御することができ、ノブ116により遠位先端部(図1に示される)の回転を制御することができる。また、これらの任意の組み合わせも可能である。
【0040】
図8は、ユーザ122が医療装置110を把持し得る方法を示す。ユーザ122は親指によりレバー116を制御し得る。また、ユーザ122は、中指をトリガ112の開口部(スロット113)内に嵌合して医療装置110の遠位先端部の作動(例えば、開閉)を制御し得るとともに、人差し指によりノブ114の回転を制御し得る。ユーザ122は残りの指および手のひらによりハンドル本体118を把持し得るこのように、使用時、トリガ112およびノブ114はユーザ122から離れる方向を向き、レバー116はユーザ122の方向を向き、ノブ114はトリガ112の上方に位置する。加えて、トリガ112、ノブ114、およびレバー116は、共通平面内に存在する。
【0041】
図9は、図7Aおよび図7Bのハンドル110の断面を示す。ノブ114は、医療装置のシャフトに対する遠位先端部の回転運動を制御し得る。ノブ114は、ピニオンギア148に固定して結合されている。ピニオンギア148の複数の延出部および凹みは、ピニオンギア150の延出部および凹みと噛み合っている。ピニオンギア150は、シャフト164の近位端に固定して結合されている。ピニオンギア150およびシャフト164は、ハンドル本体118の延在部151によって直立位置に保持され得る。ピニオンギア150は延在部150の上に位置し得るとともに、シャフト164は延在部150を貫通し得る。ピニオンギア166は、シャフト164の遠位端に固定して結合され得る。ピニオンギア166の複数の延出部および凹みは、ピニオンギア168の延出部および凹みと噛み合っている。ピニオンギア168は、シャフト151の近位端に固定して結合され得る。フェルール152は、シャフト151の遠位端に結合され得るとともに、制御ワイヤ130に固定して接続され得る。制御ワイヤ130は、接着剤、圧着、または当該分野で公知の任意の代替的な結合方法によってフェルール152に固定的に結合され得る。ワイヤ130の遠位端(図示略)は、装置110の遠位端において遠位アセンブリ/エンドエフェクタに結合され得る。ノブ114が回転したときにピニオンギア148が回転する。したがって、ピニオンギア148の延出部および凹みがピニオンギア150と噛み合うことで、ピニオンギア148が回転したときには、ピニオンギア150は反対方向に回転する。その結果、この動作により、シャフト164の遠位端に結合されたピニオンギア166を回転させることができる。また、ピニオンギア166の延出部および凹みがピニオンギア168と噛み合うことで、ピニオンギア166が回転したときには、ピニオンギア168は反対方向に回転する。シャフト151がピニオンギア168に結合されているため、ピニオンギア168が回転したときには、それに応じてシャフト151およびフェルール152が回転し得る。この動作は、医療装置110のシャフトに対する遠位先端アセンブリ/エンドエフェクタの回転に変換される。また、ハンドル本体118内の部品の配置により、ノブ114の時計回りの回転はワイヤ30の時計回りの回転をもたらし、逆もまた同様である。
【0042】
引き続き図9を参照すると、レバー116はカム154を含む。制御ワイヤ156,158は、レバー116が押し上げられるとカム154が反時計回りに回転して操縦ワイヤ156に張力が生じるように、カム154に結合されている。レバー116が引き下げられるとカム154が時計回りに回転して操縦ワイヤ158に張力が生じる。ワイヤ156が遠位先端部(例えば、関節継手)に結合されているので、操縦ワイヤ156,158に生じた張力は遠位先端部における関節動作に変換される。ハンドル本体118の制御ブロック128,160,162,163は、ハンドル内の操縦ワイヤ156,158の位置を制御し、ワイヤ156,158が並進したときにハンドル本体118内でワイヤ156,158を案内するのを助ける。
【0043】
トリガ112は、ユーザがトリガ112を作動させるために指を使用することを可能にするスロット113を含む。スロット113は、ユーザがトリガ112を作動させることを可能にするために種々の形状およびサイズをとり得る。例えば、スロットは、図9に示されたような円形、卵形、長方形、またはユーザが指を使用してトリガ112を作動させることを可能にする任意の形状を有し得る。ラック124は、トリガ112に固定して結合されている。トリガ112が作動される(ハンドル本体118内のスロットを介してハンドル本体118内に引き込まれる)と、ラック124は、ハンドル内にて長手方向に、かつユーザに向かって並進する。ラック124の延出部および凹みは、ピニオンギア126の凹部および延出部と噛み合っている。ラック124がハンドル内にて長手方向に並進すると、ピニオンギア126が時計回りに回転する。このピニオンギア126の回転により、ラック163の側方(上および下;近位および遠位)への移動がもたらされる。例えば、ピニオンギア126が時計回りに回転すると、ラック163が上昇する(近位に移動する)。同様に、ピニオンギア126が反時計回りに回転すると、ラック163が下降する(遠位に移動する)。ラック163は、接着剤、溶接、または当該分野で公知の任意の他の手段により、シャフト165に固定して結合され得る。シャフト165は、ピニオンギア168の近位端に結合されている。上述したように、ピニオンギア168は、ピニオンギア168が上昇または下降すると、シャフト151およびフェルール152がそれに応じて移動するように、シャフト151およびフェルール152に結合されている。この動作は、医療装置110の遠位先端部/エンドエフェクタの作動(例えば、開閉運動)に変換される。
【0044】
図7Aおよび図7Bの装置は、図2Aおよび図2Bの装置10と同様に使用される。装置10を使用するために、ユーザは、最初に自然開口部を介して装置110の遠位端をGI管内に導入し得る。開口部は、例えば、鼻、口、または肛門とすることができる。配置は、食道、胃、十二指腸、大腸、または小腸を含むGI管の任意の部分とすることができる。また、送達および留置は、GI管、任意の他の自然開口部や身体管、身体切開を介して、または内視鏡やシースなどの送達装置を通して到達可能な他の身体管腔内または器官内であり得る。所望の部位がアクセスされると、ユーザは、片手のみ(あるいは望ましければ両手)で、ノブ114、レバー116、およびトリガ112を含む1つまたは複数のアクチュエータを作動させることで、医療装置110の遠位端の関節運動、エンドエフェクタの作動、および/または医療装置110のシャフトに対するエンドエフェクタの回転を制御することができる。
【0045】
図10は、医療装置210の代替実施形態を示す。図10に示されるように、医療装置210のシャフト212は、ポート201を通してスコープ200内に挿入され得る。
図11は、ハンドル211と、アクチュエータ基部205と、アクチュエータアセンブリ216と、シャフト212と、関節運動区域217と、遠位端214におけるエンドエフェクタ215とを含む医療装置210を示す。アクチュエータアセンブリ216は、ノブ、ジョイスティック、または当該分野で公知の任意のアクチュエータを含み得る。エンドエフェクタ215は、把持器、バスケット、ブラシ、鋏、鉗子、ナイフなど、当該分野で公知の任意のエンドエフェクタから構成され得る。エンドエフェクタ215は、関節運動区域217の最遠位端部に結合されており、これにより、本明細書でさらに説明される機構によって装置210が複数の方向に移動することが可能とされている。関節運動区域217の近位端は、シャフト212の遠位端に結合されている。ストレインリリーフ213は、シャフト212の近位端に結合されている。ストレインリリーフ213は、シャフト212とアクチュエータ基部205との間の接合部として機能する。
【0046】
ハンドル211は、近位延在部218、スロット222、U字型延在部252、および延在部200を含む。ハンドル211は、任意の剛性材料から構成され得る。延在部200は、圧入、接着剤、スナップ嵌めなどを含む当該分野で公知の任意の手段によって、ハンドル基部205を恒久的にまたは一時的に受け入れて結合するための開口部を含む。ハンドル211は、ハンドル211がその長手方向軸を中心に回転したときに医療装置210が同一または同様な形態で回転するように、アクチュエータ基部205に結合され得る。アクチュエータアセンブリ216は、本明細書でさらに説明されるように、アクチュエータ基部205内に内部拘束されており、ボールソケット継手を含む。また、ハンドル211のアクチュエータ基部205への接続は、ハンドル211とアクチュエータアセンブリ216との間に間隙254を生成する。この間隙254は、ユーザがハンドル211と干渉することなく、アクチュエータアセンブリ216を快適に把持することを可能にする。延在部218は、U字型延在部252の近位端から延在している。延在部218は、ユーザが片手で延在部を完全に把持することを可能にするのに十分な長さを有し得る。延在部218は、種々の形状およびサイズをとり得る。例えば、延在部218は、(図示されるように)より快適な把持のために近位端に向かって先細り形状を有し得るとともに、断面図において円形または長方形を有し得る。スロット222は、延在部218の遠位端上またはそれに隣接して配置されているとともに、ユーザがスロット222を通して1つ以上の指を挿入することを可能にするために種々の形状およびサイズを有し得る。例えば、スロット222は、図示されたように卵形、円形、正方形、長方形などを有し得る。
【0047】
ハンドルは、ユーザ(図示略)が種々の方法により片手でハンドルを握ることができるように構成されている。例えば、ユーザは、片手の1本または2本の指と親指(または親指を含まない2本の指のみ)でアクチュエータアセンブリ216を把持し得る。残りの指は延在部の周りに巻き付け、片手の手のひらに延在部を保持することによって延在部218を把持することができる。単一のハンドルにおける1つまたは複数の指が、スロット222を通して挿入され得る。次いで、ハンドル211は、当該ハンドルがアクチュエータアセンブリ216に対してユーザにとってより中立または自然な位置にあるように回転させられ得る。例えば、ハンドル211は、U字型延在部が、図示されるようにアクチュエータアセンブリ216の下に位置するように、またはアクチュエータアセンブリ216のいずれかの側方にあるように保持され得る。
【0048】
図12は、ストレインリリーフ213、アクチュエータ基部205、およびアクチュエータアセンブリ216の断面図であり、図13は、アクチュエータアセンブリ216および医療装置210のハンドル211の遠位部分の拡大斜視図を示す。アクチュエータアセンブリ216は、アクチュエータ219およびボール224を含む。延在部228は、アクチュエータ219の近位部分から中心軸に沿ってボール224を通って延在している。延在部228は、本明細書でさらに説明されるように、延在部の長手方向軸に沿ってボール224内で移動可能である。ボール224は、アクチュエータ219が任意の配向(例えば、左、右、上、下、またはそれらの運動の任意の組み合わせ)で動かされたときに、ボール224がアクチュエータ基部205から除去されることなくアクチュエータ基部205に対して移動可能となる(その中心を中心として回転可能となる)ように、ソケット238によって拘束されている。
【0049】
引き続き図12を参照すると、制御ワイヤ236は、シャフト212およびストレインリリーフ213を通って延在し、ブロック242の遠位端に固定して結合されている。ばね230または他の可撓性コネクタは、中心軸に沿ってブロック242の近位端から延在するとともに、中心軸に沿ってブロック244の遠位端から延在している。ブロック244は、例えば、ねじ接続、圧入、溶接、接着剤などを介して、延在部228の中心軸に沿って延在部228に固定して結合されている。延在部228は、ボール224の中心軸を貫通している。操縦ワイヤ232,236は、シャフト212の遠位関節運動区域217からシャフト212を貫通しており、ボール224の両側でボール224に固定して結合され得る。医療装置210は、2つの操縦ワイヤ232,236(図示されるように)を含むことに限定されず、遠位先端部の所望の関節運動に応じて、1つまたはいくつかの操縦ワイヤを含み得る。例えば、2つの操縦ワイヤは、2つの方向(例えば、左、右)における関節運動方向を制御し得る一方、4つの操縦ワイヤは、4つの方向(例えば、左、右、上、下)における遠位先端部の関節運動方向を制御し得る。
【0050】
図14は、関節運動中の装置210の部分断面図を示す。アクチュエータアセンブリ216は、任意の方向に(上述のように)動くことで操縦ワイヤ232,234などの1つまたは複数の操縦ワイヤに張力をかけ得る。ボール224の回転中、ばね230は、図14に示すように撓む。このボール224の回転は、遠位先端部214における関節運動に変換される。例えば、アクチュエータアセンブリ216が上方に移動すると、操縦ワイヤ234に張力がかかる。この張力は、関節部217の下方への動きをもたらす。同様に、アクチュエータアセンブリ216が下方に移動すると、操縦ワイヤ236に張力がかかって遠位端214の上方への移動がもたらされる。
【0051】
図15Aおよび図15Bは、遠位先端部214が作動されたとき、例えば、開動作または閉動作されたときのハンドル210の断面図を示す。遠位先端部214のエンドエフェクタが開いているとき、アクチュエータ219の遠位端は、ボール224の近位壁に対して押圧されている。延在部228は、アクチュエータ219の遠位壁からボール224の中心軸を通って延在している。アクチュエータ219は、遠位先端部214のエンドエフェクタが閉じているときには、ボール224の近位面から離れる方向に引っ張られるように構成されている。延在部228は、ボール224の中心軸に沿って引っ張ることができる。この動作により、ばね230、ブロック242、および制御ワイヤ236がボール224の中心軸に沿って引っ張られる。この動作は、遠位先端部214のエンドエフェクタの閉動作に変換される。アクチュエータ219をボール224内に押し戻すことにより、遠位先端214のエンドエフェクタが作動すなわち開動作させられ得る。また、アクチュエータ219は、アクチュエータ219がボール224に対して回転させられると、遠位先端部214のエンドエフェクタがシャフト212に対して回転し得るように構成され得る。例えば、アクチュエータ219が時計回り方向に回転したときには、それに応じて遠位先端部214が時計回りに回転され、逆もまた同様である。
【0052】
図16A図16B、および図16Cは、ハンドルの代替実施形態、およびユーザがこれらのハンドルをどのように把持し得るかを示す。これらのハンドルは、図11図15Bのアクチュエータアセンブリ216とともに使用され得る。また、これらのハンドルは、上記と同様にアクチュエータアセンブリ216に結合され得る。以下、ハンドルにおける相違点のみを説明する。
【0053】
図16Aを参照すると、ハンドル311は、スロット322を有するハンドル延在部318を含む。U字側延在部352は、延在部318の遠位端に枢動可能に取り付けられている。アクチュエータアセンブリ216とU字型延在部352との間に間隙354が画定されている。ピボットピン356は、U字型延在部352の近位端とハンドル延在部318の遠位端との間に位置している。図16Aの状態において、ハンドル延在部318およびハンドルスロット322は、U字型延在部352と同じ平面内に位置している。ユーザ322は、人差し指および親指を使用して、アクチュエータアセンブリ216を把持し得る。ユーザ322の残りの指は、ハンドル延在部318を把持し得るか、または指スロット322を通って延在し得る。
【0054】
図16Bは、枢動状態にあるハンドル311を示す。この状態において、ハンドル318は、U字型ハンドル延在部352に対して垂直である。ユーザ322は、人差し指および親指を使用して、アクチュエータアセンブリ216を把持し得る。ユーザ322の残りの指は、ハンドル延在部318を把持し得るとともに、および/または指スロット322を通って延在し得る。ハンドル311のこの枢動状態は、ユーザがハンドルをより中立把持で保持することを可能にし得る。
【0055】
図16Cは、ハンドル411の別の実施形態を示す。ハンドル411は、内側に湾曲した延在部458,460を含み、これらの延在部458,460は、医療装置の長手方向軸に対して垂直またはほぼ垂直な平面内に位置している。また、延在部458,460は、ハンドル延在部451の近位端から上方に延在している。延在部458,460は湾曲しており、延在部458,460の間に画定された空間へのユーザの手首の挿入を可能にするために、それら延在部458,460の上部の間に空間を有している。ハンドル延在部452は、ハンドル延在部451の遠位端から延在しており、ハンドル延長部406に固定して結合されている(または一体化されている)。ハンドル延在部406は、ハンドル基部405から下方に延在している。ハンドル延在部406,452,451は、アクチュエータアセンブリ216とハンドル411との間に間隙454を形成するように、U字型状に構成されている。間隙454は、ユーザがハンドル411と干渉することなくアクチュエータアセンブリ216を把持することを可能にする。ユーザは、上述した実施形態で説明したのと同じかまたは同様の配置でアクチュエータ216を把持することができる。例えば、ユーザは、人差し指および親指を使用してアクチュエータアセンブリ216を把持し得る。ユーザの残りの指は、ユーザにとって快適な任意の向きに配置され得る。ユーザは、延在部がユーザの手首または腕の遠位部分上に載置されるように、延在部458,460を通して手を挿入するか、または延在部458,460の端部間の上部間隙を通してユーザの手首/腕を挿入し、手首/腕を延在部458,460間の円形空間内に配置し得る。スロット452は装飾目的のためであってもよい。
【0056】
本開示の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書に開示される本発明の実施から、当業者には明らかである。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および思想は特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0057】
以上のように、本明細書で説明された様々な態様は、治療、例えば、治療部位を治療するための処置の有効性を改善するのに役立ち得る。本明細書で説明された種々の態様は、処置の持続時間を低減および/または最小限にすることに役立ち得るか、ユーザによる不注意な操作のリスクを低減し得るか、および/または処置における医療装置の送達、再位置決め、もしくは使用の間において組織または他の材料との不注意な接触のリスクを低減することに役立ち得る。
【0058】
本開示の原理を様々な適用例のための例示的な態様を参照して本明細書で説明したが、本開示はそれに限定されない。当業者および本明細書で提供される教示を利用する者は、追加の変更、適用、態様、および均等物の置換がすべて本明細書で説明される態様の範囲内に入ることを認識し得る。したがって、本開示は、上記した説明によって限定されるものと見なされるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
【国際調査報告】