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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】生体音響感知を組み込む装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20240628BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240628BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240628BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20240628BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/60
A24F40/40
A24F40/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580546
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022068332
(87)【国際公開番号】W WO2023275384
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183468.4
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】エリオット-バウマン バーナデット
(72)【発明者】
【氏名】ラウ ワイ キース
(72)【発明者】
【氏名】ライト クリストファー ジョン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC01
4B162AD08
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するためのシステムが提供されている。態様は、ユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む。システムは、音響信号を発生するために構成された一つ以上の音響アクチュエータと、音響センサーとを備える信号捕捉システムを備え、一つ以上の音響アクチュエータおよび音響センサーは、一つ以上の音響アクチュエータのうちの少なくとも一つによって発生される音響信号が、音響センサーによって検出される前に、態様に従って少なくとも部分的に変調されて、それによって態様に関する情報を捕捉するように、エアロゾル発生装置に対して所定の位置に位置する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するためのシステムであって、前記態様が、ユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含み、前記システムが、
信号捕捉システム(32)であって、
音響信号を発生するために構成された一つ以上の音響アクチュエータ(322)であって、前記一つ以上の音響アクチュエータ(322)がボタン(104)を備える、一つ以上の音響アクチュエータと、
音響センサー(326)と、を備え、
前記一つ以上の音響アクチュエータ(322)および前記音響センサー(326)が、前記エアロゾル発生装置(100)に対して所定の位置に位置し、それによって、前記ボタン(104)を押すことによって発生される音響信号が、前記音響センサー(326)によって検出される前に、前記態様に従って少なくとも部分的に変調され、それによって前記態様に関する前記情報を捕捉する、信号捕捉システムを備える、システム。
【請求項2】
前記所定の位置が、ユーザーが前記エアロゾル発生装置を保持している時の、前記エアロゾル発生装置(100)上の前記ユーザーの指の接触点に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ボタン(104)によって発生される前記音響信号が、前記ボタン(104)を押した時に発生される第一の音響信号と、前記ボタン(104)の解除時に発生される第二の音響信号とを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ボタン(104)を押すことが前記信号捕捉システムを起動し、前記ボタン(104)を解除することが前記音響信号を発生するように前記エアロゾル発生装置(100)が構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
スマートウォッチをさらに備え、前記スマートウォッチが前記音響センサー(326)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記一つ以上の音響アクチュエータ(322)が振動スピーカー(210)を備え、前記音響信号が、前記振動スピーカー(210)によって発生される一連の音響信号を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置(100)のケーシングが、前記音響センサー(208、326)の前記所定の位置に穿孔を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出された音響信号に基づいて前記態様を評価するために構成された音響分析システム(34)をさらに備え、前記音響分析システム(34)が、前記検出された音響信号を一つ以上の基準信号と比較することによって前記態様を評価するために構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記態様が前記ユーザー態様を含み、前記ユーザー態様に関する前記情報が、前記エアロゾル発生装置のユーザーを評価することを可能にし、前記一つ以上の基準信号が、前記エアロゾル発生装置の登録ユーザーの生体音響プロファイルを含み、前記音響分析システムが、前記登録ユーザーの中からの前記ユーザーの識別を実行するために構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記エアロゾル発生装置(100)が、前記ユーザーを識別することに応答して、前記ユーザーのユーザープロファイルに基づいて消耗品を加熱するためのプロセスを調整するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記態様が前記消耗品態様を含み、前記態様に関する前記情報が、前記エアロゾル発生装置(100)の中に挿入された消耗品を評価することを可能にする、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記一つ以上の基準信号が、真正な消耗品の基準信号を含み、前記音響分析システム(34)が、前記消耗品の音響シグネチャを真正な消耗品の前記基準信号と比較することによって、前記消耗品を検証するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するための方法であって、前記態様が、ユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含み、前記方法が、
ユーザーが前記エアロゾル発生装置上のボタンを起動することに応答して、音響信号を発生すること(502)であって、前記音響信号が、前記態様に従って少なくとも部分的に変調される、発生することと、
前記エアロゾル発生装置に関連付けられた音響センサーによって前記変調された音響信号を検出すること(504)であって、それによって前記態様に関する前記情報を捕捉する、検出することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記態様が前記ユーザー態様を含み、前記方法が、前記音響信号を発生する工程(502)と、前記ユーザーの生体音響プロファイルを記録するために、前記変調された音響信号を数回検出する工程(504)とを実行することをさらに含み、前記方法が、後に、前記検出された音響信号を前記記録された生体音響プロファイルと比較すること(506)をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
音響センサーによって検出される時に、エアロゾル発生装置でボタンを押すことによって発生される音響信号が、エアロゾル発生装置に関連付けられた態様の評価を容易にする様態で変調されるように、音響センサーを提供することによって、エアロゾル発生装置に関連付けられた前記態様を評価するための音響センサーの使用であって、前記態様がユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む、音響センサーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置のユーザー態様または消耗品態様に関する情報を捕捉するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US 9430043 B1は、現在のハンドジェスチャを識別するために、ユーザーの手を通して伝達される音響信号に変調を用いることを提案している。音響信号は、ユーザーによって携帯されるリストバンドで検出されてもよい。リストバンドは、識別されたハンドジェスチャに基づいて電子装置を制御するための信号を発生するために、それに取り付けられた信号処理構成要素を有する。
【0003】
WO2014/172905A1は、電子たばこのユーザーを識別することに関する。ユーザーは、入力装置を使用することによってユーザー情報を入力し、ユーザー情報は、音声情報、指紋情報や虹彩情報、静脈赤外線情報、顔情報、手掌形状情報などの生体認証情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によると、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するためのシステムが提供されていて、態様はユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む。システムは、音響信号を発生するために構成された一つ以上の音響アクチュエータと、音響センサーとを備える信号捕捉システムを備える。一つ以上の音響アクチュエータおよび音響センサーは、一つ以上の音響アクチュエータのうちの少なくとも一つによって発生される音響信号が、音響センサーによって検出される前に、態様に従って少なくとも部分的に変調されて、それによって態様に関する情報を捕捉するように、エアロゾル発生装置に対して所定の位置に位置する。
【0005】
よって本発明によるシステムは、一つの位置に適用される音響信号が、人体を通して伝達された後に、定義された他の位置で音響センサーによって検出される、チャレンジ応答機構に基づいて情報を捕捉する。
【0006】
人体を通過する音響信号は、関節張力、軟部組織の特性、骨の特性など、解剖学的および生理学的に固有な多様性によって変調される。従って、捕捉された情報は、偽造が非常に困難な物理的情報であり、高い精度でユーザーを認証するために、変調された音響信号の分析が用いられてもよい。
【0007】
自然変異の結果として生物学的特徴は各個人に固有であり、2人の個人が同じ特徴を共有することは非常にまれであるため、生体認証は安全である。しかしながら、指紋および顔特徴などの最も一般的に使用される生体認証は盗まれやすく、生体認証データを捕捉するために特別なハードウェアを必要とする。よって本発明は、この問題を克服する解決策を提供する。さらに、生体音響信号は、外部から取得されたユーザー情報に依存する代わりに、エアロゾル発生装置のセンサー構成要素を介して直接取得される。
【0008】
別の方法として、または追加的に、システムは、音響信号が消耗品を通した伝達によって変調されるように、音響信号を一つの位置に適用すること、定義された他の位置で変調された音響信号を検出することとに基づいて、情報を捕捉する。
【0009】
捕捉された情報は、消耗品を認証すること可能にする消耗品態様に関連してもよい。消耗品によって引き起こされる音響シグネチャの変調は、材料密度と、材料粘度と、材料組成と、認定製造者によるたばこ製品またはeリキッドを一意に特徴付ける同等の材料特性とによる影響を受ける。よって、特許請求される解決策は、偽造しにくい物理的基準で消耗品の真正性を検証することを可能にする。よって本発明は、認定されていない製造者、偽造たばこ製品、または危険なeリキッドからの潜在的に有害なエアロゾルへの曝露からのユーザーの保護を改善する。
【0010】
音響アクチュエータおよび音響センサーの所定の位置は、ユーザーがエアロゾル発生装置を保持している時の、エアロゾル発生装置上のユーザーの指の接触点に対応してもよい。
【0011】
よって、ユーザー態様または消耗品態様の情報を捕捉することは、単にエアロゾル発生装置を使用するだけでなく、特定の動作をユーザーに負担させることなく実施されることができる。
【0012】
一つ以上の音響アクチュエータは、ボタンを備えてもよい。ボタンによって発生される音響信号は、ボタンの起動または動作時に発生される第一の音響信号と、ボタンの解除時に発生される第二の音響信号とを含んでもよい。
【0013】
第一の音響信号および第二の音響信号を検出することは、捕捉された情報の量を増加させてもよい。
【0014】
第一の音響信号および第二の音響信号を含むボタンによって発生される音響信号の代わりに、エアロゾル発生装置は、ボタンの起動または動作が信号捕捉システムを起動するように、かつボタンの解除が音響信号を発生するように構成されてもよい。
【0015】
音響センサーは、スマートウォッチの中に備えられてもよい。
【0016】
一つ以上の音響アクチュエータは振動スピーカーを備え、音響信号は、振動スピーカーによって発生される一連の音響信号を含む。有利なことに、エアロゾル発生装置のケーシングは、音響センサーの所定の位置に穿孔を備える。
【0017】
よって、人体または消耗品は、周波数に関して情報差を提供するように、一連の音響信号を用いて厳密に精査されてもよい。
【0018】
検出された音響信号に基づいて態様を評価するために構成されている音響分析システムが提供されてもよく、音響分析システムは、検出された音響信号を一つ以上の基準信号と比較することによって態様を評価するために構成されている。
【0019】
態様はユーザー態様を含んでもよく、ユーザー態様に関する情報は、エアロゾル発生装置のユーザーを評価することを可能にし、一つ以上の基準信号は、エアロゾル発生装置の登録ユーザーの生体音響プロファイルを含み、音響分析システムは、登録ユーザーの中からユーザーの識別を実行するために構成されている。
【0020】
エアロゾル発生装置のユーザーを評価することは、エアロゾル発生装置を不正使用から保護する場合がある。
【0021】
エアロゾル発生装置は、ユーザーを識別することに応答して、ユーザーのユーザープロファイルに基づいて消耗品を加熱するためのプロセスを調整するように構成されてもよい。
【0022】
よって、変調された音響信号に基づいてユーザー態様を評価することは、ユーザー識別のための追加のアクションをユーザーに負担させることなく、エアロゾル発生装置の機能を調整することを可能にしてもよい。
【0023】
態様は消耗品態様を含んでもよく、態様に関する情報は、エアロゾル発生装置の中に挿入された消耗品を評価することを可能にする。一つ以上の基準信号は、真正な消耗品の基準信号を含み、音響分析システムは、消耗品の音響シグネチャを真正な消耗品の基準信号と比較することによって、消耗品を検証するように構成されている。
【0024】
消耗品は、たばこのプラグの中に備えられてもよい。たばこプラグは、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。随意に、たばこプラグは、たばこプラグの加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含有してもよい。随意に、たばこプラグはまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含むカプセルを包含してもよい。こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱中に溶融してもよい。別の方法として、または追加的に、こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱前、加熱中、または加熱後に押しつぶされてもよい。
【0025】
たばこプラグが均質化したたばこ材料を含む場合、均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。均質化したたばこ材料はシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5パーセント超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナとたばこ葉の茎の一方または両方を粉砕または他の方法で細かく砕くことによって得られる粒子状のたばこを凝集させることによって形成されうるか、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉および他の粒子状のたばこ副産物の一つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、たばこ内因性結合剤、一つ以上の外因性結合剤(つまり、たばこ外来性結合剤)、またはそれらの組み合わせである一つ以上の固有の結合剤を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加剤を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび一つ以上の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたは他の支持表面上にキャスティングすることと、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成することと、均質化したたばこ材料シートを支持表面から取り外すこととを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスによって形成されていることが好ましい。
【0026】
消耗品は、エアロゾル発生物品の中に備えられてもよい。エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ13ミリメートルの外径を有してもよい。
【0027】
エアロゾル発生物品は、たばこプラグの下流に位置付けられたマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。マウスピースは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。マウスピースは、およそ7ミリメートルの長さであることが好ましいが、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの長さを有することができる。
【0028】
たばこプラグは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。たばこプラグは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0029】
たばこプラグの直径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。
【0030】
好ましくは、エアロゾル発生物品は、およそ40ミリメートル~およそ50ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有することが好ましい。
【0031】
それによって、消耗品態様に関する情報は、消耗品を真正な消耗品として検証することを可能にしてもよい。よって、ユーザーは、潜在的に有害なエアロゾルを不適切なまたは偽造された消耗品から吸入することから保護される。
【0032】
本発明の別の態様によると、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するための方法が提供されていて、態様はユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む。方法は、ユーザーがエアロゾル発生装置上のボタンを起動することに応答して、音響信号を発生することを含み、音響信号は、態様に従って少なくとも部分的に変調される。方法は、エアロゾル発生装置に関連付けられた音響センサーによって変調された音響信号を検出することをさらに含み、それによって態様に関する情報を捕捉する。
【0033】
変調された音響信号を検出することによって、偽造されやすいデジタルマーカーに依存することなく材料または人体を特徴付けるために、材料または人体の物理的態様についての情報を捕捉することができる。
【0034】
方法は、検出された音響信号を、態様を評価するための一つ以上の基準信号と比較することをさらに含んでもよく、態様はユーザー態様を含み、方法は、音響信号を発生する工程と、ユーザー態様を評価するためのユーザーを認証するための基準信号として用いられるユーザーの生体音響プロファイルを記録するために、変調された音響信号を数回検出する工程とを実行することをさらに含む。
【0035】
よって、ユーザーを認証するための基準信号は、追加の専用ハードウェアに依存することなく、エアロゾル発生装置で捕捉されることができる。
【0036】
本発明のさらなる一態様によると、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様を評価するための音響センサーの使用が開示されている。使用は、エアロゾル発生装置に関連付けられた構成要素によって発生される音響信号が、音響センサーによって検出される時に、エアロゾル発生装置に関連付けられた態様の評価を容易にする様態で変調されるように、音響センサーを提供することを含み、態様はユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む。
【0037】
本開示で用いられる「ユーザー態様」という用語は、エアロゾル発生装置のユーザーに関連する態様、例えばユーザーの身元および年齢に関し、それによってユーザーはユーザー態様によって例えば、捕捉された情報を使用して認証されてもよい。本開示で用いられる「消耗品態様」という用語は、エアロゾル発生装置の中に挿入された消耗品の態様、例えば消耗品のブランド真正性、またはその他の品質に関する。
【0038】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【実施例
【0039】
実施例1:エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するためのシステムであって、態様が、ユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含み、システムが、
信号捕捉システムであって、
音響信号を発生するために構成された一つ以上の音響アクチュエータと、
音響センサーと、を備え、
一つ以上の音響アクチュエータおよび音響センサーが、エアロゾル発生装置に対して所定の位置に位置し、それによって、一つ以上の音響アクチュエータのうちの少なくとも一つによって発生される音響信号が、音響センサーによって検出される前に、態様に従って少なくとも部分的に変調され、それによって態様に関する情報を捕捉する、信号捕捉システムを備える、システム。
【0040】
実施例2:所定の位置が、ユーザーがエアロゾル発生装置を保持している時の、エアロゾル発生装置上のユーザーの指の接触点に対応する、実施例1に記載のシステム。
【0041】
実施例3:一つ以上の音響アクチュエータがボタンを備える、実施例1または実施例2に記載のシステム。
【0042】
実施例4:ボタンがエアロゾル発生装置の電源ボタンである、またはエアロゾル発生装置の加熱プロセスを開始するためのボタンである、実施例3に記載のシステム。
【0043】
実施例5:ボタンによって発生される音響信号が、ボタンを押した時に発生される第一の音響信号と、ボタンの解除時に発生される第二の音響信号とを含む、実施例3または実施例4のいずれか一つに記載のシステム。
【0044】
実施例6:ボタンを押すことが信号捕捉システムを起動し、ボタンを解除することが音響信号を発生するようにエアロゾル発生装置が構成されている、実施例3~5のいずれか一つに記載のシステム。
【0045】
実施例7:スマートウォッチをさらに備え、スマートウォッチが音響センサーを備える、実施例1~6のいずれか一つに記載のシステム。
【0046】
実施例8:音響センサーの所定の位置が、エアロゾル発生装置の周囲の周りのボタンの位置と反対側の位置である、実施例1~7のいずれか一つに記載のシステム。
【0047】
実施例9:音響センサーの所定の位置が、ボタンの所定の位置に対するエアロゾル発生装置の別の側上の位置である、実施例1~8のいずれか一つに記載のシステム。
【0048】
実施例10:ボタンの所定の位置と反対側の位置が、ボタンの所定の位置から測定して、エアロゾル発生装置の周囲に沿って140度~220度の位置である、実施例8に記載のシステム。
【0049】
実施例11:音響センサーの所定の位置が、エアロゾル発生装置を保持する時に第一の指を置くためにユーザーによって人間工学的に好まれる位置である、実施例1~10のいずれか一つに記載のシステム。
【0050】
実施例12:一つ以上の音響アクチュエータの所定の位置が、エアロゾル発生装置を第一の指および第二の指で保持する時に第二の指を置くためにユーザーによって人間工学的に好まれる位置を含む、実施例1~11のいずれか一つに記載のシステム。
【0051】
実施例13:一つ以上の音響アクチュエータが振動スピーカーを備え、音響信号が、振動スピーカーによって発生される一連の音響信号を含む、実施例1~12のいずれか一つに記載のシステム。
【0052】
実施例14:振動スピーカーが、ある範囲の周波数を有する一連の音響信号を発生するように構成されていて、周波数の範囲が、選択された範囲内の周波数での生体音響伝達の質を考慮することに基づいて選択される、実施例13に記載のシステム。
【0053】
実施例15:エアロゾル発生装置のケーシングが、音響センサーの所定の位置に穿孔を備える、実施例1~14のいずれか一つに記載のシステム。
【0054】
実施例16:検出された音響信号に基づいて態様を評価するために構成された音響分析システムをさらに備える、実施例1~15に記載のシステム。
【0055】
実施例17:音響分析システムがエアロゾル発生装置の中に備えられている、実施例16に記載のシステム。
【0056】
実施例18:音響分析システムが、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、スマートデバイス、クラウドのうちの一つの中に備えられている、実施例16または実施例17に記載のシステム。
【0057】
実施例19:音響分析システムが、検出された音響信号を一つ以上の基準信号と比較することによって態様を評価するために構成されている、実施例16~18のいずれか一つに記載のシステム。
【0058】
実施例20:態様がユーザー態様を含み、態様に関する情報が、エアロゾル発生装置のユーザーを評価することを可能にする、実施例1~19のいずれか一つに記載のシステム。
【0059】
実施例21:一つ以上の基準信号が、エアロゾル発生装置の登録ユーザーの生体音響プロファイルを含み、音響分析システムが、登録ユーザーの中からのユーザーの識別を実行するために構成されている、実施例20に記載のシステム。
【0060】
実施例22:エアロゾル発生装置が、ユーザーを識別することに応答して、ユーザーのユーザープロファイルに基づいて消耗品の加熱のためのプロセスを調整するように構成されている、実施例21に記載のシステム。
【0061】
実施例23:エアロゾル発生装置が、ユーザーの識別に失敗することに応答して、エアロゾル発生装置をロックするように構成されている、実施例21または実施例22に記載のシステム。
【0062】
実施例24:エアロゾル発生装置が所定の時間にわたりロックされる、実施例23に記載のシステム。
【0063】
実施例25:ユーザーを評価することが、ユーザーの年齢を推定することを含む、実施例20~24のいずれか一つに記載のシステム。
【0064】
実施例26:一つ以上の基準信号が、ユーザーの年齢を示すことを可能にする基準信号を含む、実施例25に記載のシステム。
【0065】
実施例27:一つ以上の基準信号が、成人の一般的な基準信号を含む、実施例26に記載のシステム。
【0066】
実施例28:成人の一般的な基準信号が統計集団平均に基づく、実施例27に記載のシステム。
【0067】
実施例29:統計集団平均が地域集団に関する、実施例28に記載のシステム。
【0068】
実施例30:成人の一般的な基準信号が、成人の人体の軟組織の特性、骨の特性、関節張力のうちの少なくとも一つに起因する音響信号の変調に基づく、実施例27~29のいずれか一つに記載のシステム。
【0069】
実施例31:音響分析システムを正しく使用するようにユーザーを誘導するためのユーザーインターフェースをさらに備え、ユーザーインターフェースが、触覚フィードバックおよび視覚フィードバックのうちの少なくとも一つを含む、実施例1~30のいずれか一つに記載のシステム。
【0070】
実施例32:態様が消耗品態様を含み、態様に関する情報が、エアロゾル発生装置の中に挿入された消耗品を評価することを可能にする、実施例1~31のいずれか一つに記載のシステム。
【0071】
実施例33:一つ以上の基準信号が、真正な消耗品の基準信号を含む、実施例32に記載のシステム。
【0072】
実施例34:音響分析システムが、消耗品の音響シグネチャを真正な消耗品の基準信号と比較することによって、消耗品を検証するように構成されている、実施例33に記載のシステム。
【0073】
実施例35:音響分析システムが、消耗品の残りの量を推定するようにさらに構成されている、実施例32~34のいずれか一つに記載のシステム。
【0074】
実施例36:消耗品がたばこ製品およびeリキッドのうちの一つである、実施例32~35のいずれか一つに記載のシステム。
【0075】
実施例37:一つ以上の音響アクチュエータの所定の位置のうちの少なくとも一つから音響センサーに至る最短経路が、エアロゾル発生装置のeリキッドチャンバーを通り抜けるように、音響センサーの所定の位置が選択される、実施例1~36のいずれか一つに記載のシステム。
【0076】
実施例38:音響分析システムが、音響信号が消耗品を通過した後の音響信号の反射を分析することによって、変調された音響信号を基準信号と比較するために構成されている、実施例1~36のいずれか一つに記載のシステム。
【0077】
実施例39:エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するための方法であって、態様が、ユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含み、方法が、
ユーザーがエアロゾル発生装置上のボタンを起動することに応答して、音響信号を発生することであって、音響信号が、態様に従って少なくとも部分的に変調される、発生することと、
エアロゾル発生装置に関連付けられた音響センサーによって変調された音響信号を検出することであって、それによって態様に関する情報を捕捉する、検出することと、を含む、方法。
【0078】
実施例40:検出された音響信号を、態様を評価するための一つ以上の基準信号と比較することをさらに含む、実施例39に記載の方法。
【0079】
実施例41:態様がユーザー態様を含み、方法が、音響信号を発生する工程と、ユーザーを認証するための基準信号として用いられるユーザーの生体音響プロファイルを記録するために、変調された音響信号を数回検出する工程とを実行することをさらに含む、実施例39または実施例40に記載の方法。
【0080】
実施例42:エアロゾル発生装置上に指を正しく置くようにユーザーを誘導することをさらに含み、ユーザーを誘導することが、触覚フィードバックを提供すること、および視覚フィードバックを提供することのうちの少なくとも一つを含む、実施例39~41のいずれか一つに記載の方法。
【0081】
実施例43:ユーザーがボタンを起動することに応答して、エアロゾル発生装置の電源がオンにされる、実施例39~42のいずれか一つに記載の方法。
【0082】
実施例44:ユーザーがボタンを起動することに応答して、エアロゾル発生装置の加熱プロセスが開始される、実施例39~43のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
実施例45:変調された音響信号を検出することが、スマートウォッチによって実行される、実施例39~44のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
実施例46:音響信号が第一の音響信号および第二の音響信号を含み、音響信号を発生することが、ボタンを押した時に第一の音響信号と、ボタンの解除時に第二の音響信号とを発生することを含む、実施例39~45のいずれか一つに記載の方法。
【0085】
実施例47:ユーザーがボタンを起動することが、ユーザーがボタンを押すことと、ユーザーがボタンを解除することとを含み、方法が、ボタンを押すことに応答して開始され、音響信号が、ボタンの解除に応答して発生される、実施例39~46のいずれか一つに記載の方法。
【0086】
実施例48:音響信号を発生することが、振動スピーカーを起動することを含む、実施例39~47のいずれか一つに記載の方法。
【0087】
実施例49:振動スピーカーを起動することが、ある範囲の周波数を有する音響信号を発生することを含む、実施例48に記載の方法。
【0088】
実施例50:周波数の範囲が、選択された範囲内の周波数での生体音響伝達の質を考慮することに基づいて選択される、実施例49に記載の方法。
【0089】
実施例51:ユーザーがボタンを押すことによって発生される既知の信号強度と、特定の周波数で振動スピーカーによって発生される信号とを採用することによって、振動スピーカーによって発生される音響信号を較正することをさらに含む、実施例48~50のいずれか一つに記載の方法。
【0090】
実施例51:態様がユーザー態様を含み、態様に関する情報が、エアロゾル発生装置のユーザーを評価することを可能にする、実施例39~50のいずれか一つに記載の方法。
【0091】
実施例52:一つ以上の基準信号が、エアロゾル発生装置の登録ユーザーの生体音響プロファイルを含む、実施例51に記載の方法。
【0092】
実施例53:評価が、登録ユーザーの中からのユーザーの識別を実行することを含む、実施例51または実施例52に記載の方法。
【0093】
実施例54:ユーザーを識別することに応答して、ユーザーのユーザープロファイルに基づいてエアロゾル発生装置の消耗品の加熱を調整することをさらに含む、実施例53に記載の方法。
【0094】
実施例55:ユーザーの識別に失敗することに応答して、エアロゾル発生装置をロックすることを含む軽減工程を実行することをさらに含む、実施例53または実施例54に記載の方法。
【0095】
実施例56:エアロゾル発生装置が所定の時間にわたりロックされる、実施例55に記載の方法。
【0096】
実施例57:軽減工程が、エアロゾル発生装置の不正使用の試みについて第三者装置を介して登録ユーザーに知らせることと、エアロゾル発生装置のロックを解除するために第三者装置からの承認を必要とすることとをさらに含む、実施例55または実施例56に記載の方法。
【0097】
実施例58:評価することが、ユーザーの年齢を推定することを含む、実施例51~57のいずれか一つに記載の方法。
【0098】
実施例59:一つ以上の基準信号が、ユーザーの年齢を示すことを可能にする基準信号を含む、実施例58に記載の方法。
【0099】
実施例60:基準信号が、成人の一般的な基準信号を含む、実施例59に記載の方法。
【0100】
実施例61:成人の一般的な基準信号が統計集団平均に基づく、実施例60に記載の方法。
【0101】
実施例62:統計集団平均が地域集団に関する、実施例61に記載の方法。
【0102】
実施例63:成人の一般的な基準信号が、成人の人体の軟組織の特性、骨の特性、関節張力のうちの少なくとも一つに起因する音響信号の変調に基づく、実施例60~62のいずれか一つに記載の方法。
【0103】
実施例64:態様が、エアロゾル発生装置の消耗品態様を含み、態様に関する情報が、エアロゾル発生装置の中に挿入された消耗品を評価することを可能にする、実施例39~63のいずれか一つに記載の方法。
【0104】
実施例65:評価することが、消耗品の残りの量を決定することを含む、実施例64に記載の方法。
【0105】
実施例66:消耗品の量が少量であることを決定することに応答して、消耗品の新しい供給を注文するかどうかについてユーザーに問い合わせるためのユーザーインターフェースを生成することをさらに含む、実施例65に記載の方法。
【0106】
実施例67:音響センサーによって検出される時に、エアロゾル発生装置に関連付けられた構成要素によって発生される音響信号が、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様の評価を容易にする様態で変調されるように、音響センサーを提供することによって、エアロゾル発生装置に関連付けられた態様を評価するための音響センサーの使用であって、態様がユーザー態様および消耗品態様のうちの少なくとも一つを含む、使用。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1A図1Aは、本発明が適用されうるエアロゾル発生装置を図示する。
図1B図1Bは、本発明が適用されうるエアロゾル発生装置を図示する。
図2A図2Aは、図1Aのエアロゾル発生装置の断面を図示する。
図2B図2Bは、図1Bのエアロゾル発生装置の断面を図示する。
図3図3は、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様を捕捉するためのシステムの構成要素を図示する。
図4図4は、図3のシステムの構成要素内のプロセス流れ図を図示する。
図5図5は、エアロゾル発生装置に関する一態様を捕捉するための方法の流れ図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1Aおよび図1Bは、関連付けられたユーザー態様または消耗品態様を有するエアロゾル発生装置100の外形図を示し、態様の情報は、以下に記述されるシステム30などのシステムによって捕捉される。エアロゾル発生装置100は、ケーシング102と、ケーシング102上に位置するボタン104とを有する。エアロゾル発生装置100は、ユーザーにエアロゾルを提供するためのマウスピース106と、エアロゾル発生装置100の電池を再充電するためのコネクタを典型的に有するバックエンド108とを備える。
【0109】
図1Bは、エアロゾル発生装置100の側面図を図示する。図1Bにおいて、生体音響信号入力領域110が示されていて、この領域では、ユーザーの指からの変調された音響信号の入力が有利なことに、ユーザー態様に関する情報を捕捉するために提供されるべきである。
【0110】
ボタン104を押すことは、ボタン104の機械的動きから音響信号を発生してもよい。追加的に、または別の方法として、ボタン104は、エアロゾル発生装置100の電源をオンにすることに加えて、音響信号を発生する一つ以上の振動器を起動してもよい。実施形態において、ボタン104はエアロゾル発生装置の電源ボタンである。別の方法として、または追加的に、ボタン104は、エアロゾル発生装置の加熱プロセスを開始するためのボタンであってもよい。
【0111】
ユーザーは通常、どれか一本の指でボタン104を起動することができるように、二本の指でエアロゾル発生装置100を保持している。発生された音響信号は、ボタン104を押したユーザーの指に伝達されてもよい。次に音響信号は、ユーザーの指および手を通り過ぎて、生体音響信号入力領域110の近くに位置する別の指に伝わってもよく、それによって生体音響信号入力領域110は、ユーザーの手の固有の物質特性および固有の解剖学的構造によって変調された音響信号を受信する。
【0112】
生体音響信号入力領域110は、例えば親指などの一つの指でエアロゾル発生装置100を保持しながら別の指でボタン104を押すために、大半のユーザーによって人間工学的に好まれる位置に位置してもよい。
【0113】
図2Aおよび図2Bは、エアロゾル発生装置100を通る断面を図示する。エアロゾル発生装置100の本体の下側部分は、電池202によって占領されている。エアロゾル発生装置100の内側本体の上部は、エアロゾルを生成するために消耗品を加熱するように構成された加熱ブレード204を持つ。図2Bに図示の通り、制御電子回路206は、エアロゾル発生装置100の本体の後部の近くに位置する。さらに、音響センサー208は、生体音響信号入力領域110の近くに位置する。エアロゾル発生装置100は、音響信号を発生するためにユーザーがボタン104を押す時に起動されるように構成された振動スピーカー210をさらに備えてもよい。
【0114】
さらに、ボタンを押すことによって発生される音響信号は、ボタンを押した時に発生される第一の音響信号と、ボタンの解除時に発生される第二の音響信号とを含んでもよい。他の実施形態において、ボタン104を押すことは、制御電子回路206の中に備えられた信号捕捉システムを起動し、ボタンを解除することは、音響信号を発生する。
【0115】
ボタン104、振動スピーカー210、音響センサー208は、ボタン104または振動スピーカー210によって発生される音響信号が、音響センサー208によって検出される前に、ユーザー態様に従って、または消耗品態様に従って変調されるように位置する。
【0116】
図1A~2Bに示す通り、生体音響信号入力領域110および音響センサー208は、エアロゾル発生装置100の裏面に位置してもよい一方で、ボタン104は前面上に位置する。実施形態において、生体音響信号入力領域110および音響センサー208は、ユーザーがエアロゾル発生装置を都合よく保持する時に、ユーザーの指、例えばユーザーの指およびユーザーの親指のうちの一つがこれらの位置でエアロゾル発生装置に接触するように、エアロゾル発生装置100の周囲の周りにボタン104の反対側に位置してもよい。
【0117】
ボタン104の位置の反対側の位置は、エアロゾル発生装置100の周囲に沿って測定される140度~220度に対応してもよい。
【0118】
他の実施形態において、音響センサー208の位置は、エアロゾル発生装置100に関連付けられたスマートウォッチ内にある。これらの実施形態において、ボタン104を押すことに応答して発生する音響信号は、ユーザーがボタンを押すために用いる指または親指を介して、手を通り越して、スマートウォッチを携帯している手首に伝達され、よってユーザーの手の解剖学的構造によって変調される。
【0119】
消耗品態様に関する情報を捕捉するための実施形態において、ボタン104、振動スピーカー210、音響センサー208の位置は、消耗品のための装置の貯蔵部が音響信号に対する可変変調器として働くように選択されてもよい。消耗品態様に関する情報は、消耗品のブランド真正性の検証を可能にしてもよく、または長期認証を改善する時間可変信号を提供してもよい。さらなる実施形態において、消耗品態様に関する情報は、消耗品の残りの量を推定することを可能にしてもよい。消耗品態様に関する情報を捕捉するために、振動スピーカー210および音響センサー208は、振動スピーカー210から音響センサー208に至る経路が消耗品を保持する貯蔵部を横断するようなものであってもよい。
【0120】
実施形態において、音響信号は、ある範囲の周波数を有する一連の音響信号として振動スピーカー210によって発生される。周波数の範囲は、生体音響伝達の質を考慮することに基づいて選択されてもよい。さらに、ある範囲の周波数を用いることは、音響信号に対する組織の応答が組織間で差次的に変化するため、変調パターンの改善を可能にする。ケーシング102は、音響センサー208への信号伝達を改善するために、音響信号入力領域110の周りに穿孔を有してもよい。
【0121】
一実施形態によると、ユーザー態様は、エアロゾル発生装置を現在保持しているユーザーに関し、捕捉された情報は、現在のユーザーを認証することを可能にしてもよい。登録ユーザーの中から現在のユーザーを識別することに応答して、エアロゾル発生装置100は、ユーザーの保存されたユーザープロファイルに基づいて、消耗品の加熱のためのプロセスを調整するように構成されてもよい。登録ユーザーの中からユーザーを識別することに失敗することに応答して、エアロゾル発生装置は、所定の時間にわたりロックされるなど、ロックされるように構成されてもよい。実施形態において、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の不正使用の試みについて第三者装置を介して登録ユーザーに通知を送信するためにさらに構成されてもよい。エアロゾル発生装置のロックを解除することは、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、またはスマートデバイスなどの第三者装置からの承認を必要としてもよい。
【0122】
図3は、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するためのシステム30の構成要素を図示する。システム30は、エアロゾル発生装置100に完全に統合されてもよい。別の方法として、システムの少なくとも一部の構成要素は、データ接続を介してエアロゾル発生装置100に接続されている他の装置上に実装されてもよい。システム30は、音響アクチュエータ322と音響センサー326とを備える信号捕捉システム32を備える。音響アクチュエータ322は、音響信号を発生するために構成されている。図1A図2Bを参照して上で説明した通り、音響アクチュエータ322は、エアロゾル発生装置の電源ボタン、加熱ボタン、または振動スピーカーのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0123】
実施形態によると、音響アクチュエータ322は、80ヘルツ~18キロヘルツの有効周波数範囲を有する振動スピーカーを備えてもよい。実施形態において、選択される周波数は、0.5キロヘルツ~10キロヘルツであってもよい。音響センサー322は、接触マイクロフォン、例えば-45デシベル±4.5デシベルの感度を有するBU27135加速度計であってもよい。
【0124】
システム32は、音響信号が発生される指または親指を用いて、ユーザーがエアロゾル発生装置のボタンを押す時に起動されてもよい。音響信号はエアロゾル発生装置、および実施形態によると人体を通して伝達され、態様に従って少なくとも部分的に変調される。システムは、変調された音響信号を検出するための音響センサー326を備える。
【0125】
信号捕捉システム32の構成要素は、エアロゾル発生装置の中に備えられてもよい。別の方法として、音響センサー326は、音響アクチュエータ322から遠隔に、例えばユーザーによって携帯されるスマートウォッチ内に位置してもよい。
【0126】
一実施形態において、システム30はまた、音響分析システム34を含む。音響分析システム34は、ユーザーインターフェース342、音響分析アルゴリズム344、基準データベース346を備える。
【0127】
音響分析アルゴリズム344は、音響センサー326から変調された音響信号を取得するように、かつユーザー態様または消耗品態様を評価するために、変調された音響信号を基準データベース346からの基準信号と比較するように構成されている。音響信号の変調は、音響分析アルゴリズムによって分析されてもよい信号の高調波でコードされる。音響分析アルゴリズム344は、検出された音響信号から環境ノイズまたは他のノイズを除去するために、適切なフィルタリング技法を利用してもよい。
【0128】
一実施形態によると、ユーザー態様は、エアロゾル発生装置を現在保持しているユーザーに関する。従って、基準データベース346は、エアロゾル発生装置の登録ユーザーの音響プロファイルを保存してもよい。登録ユーザーの中から現在のユーザーを識別することに応答して、例えば消耗品の加熱のためのユーザー設定を画定するユーザープロファイルは、エアロゾル発生装置に転送されてもよい。
【0129】
音響分析アルゴリズム344は、エアロゾル発生装置上で局所的に、または第三者装置上もしくはクラウドサーバー上などの遠隔で実施されてもよい。
【0130】
本発明の別の態様によると、基準データベース346は、成人の一般的プロファイルを含んでもよい。成人の一般的プロファイルは、地域集団平均に基づいてもよい。成人の関連する一般的な基準信号は、年齢によって異なる人間の軟組織の特性、骨の特性、関節張力による影響を受ける。周知の通り、手骨の評価は、骨化プロセスが青年期で骨の密度および物質硬化を増加させ、それによって音響信号の変調が年齢によって異なるため、青年期における発育段階を推定することを可能にする。さらに、脳下垂体および骨幹端の癒合は、音響信号伝達に影響を与える。よって、若年者にとって音響シグネチャは、骨の硬さおよび癒合が弱いことに起因して、より高い周波数範囲でより大きい減衰を示し、これによって、エアロゾル発生装置を保持するユーザーの年齢を推定するための特徴が得られる。
【0131】
よって、音響分析アルゴリズム344は、ユーザーの推定年齢を生成するために、変調された音響信号の特徴を成人の一般的プロファイルの特徴と比較してもよい。推定年齢は、不正使用から保護するさらなる手段として用いられてもよい。
【0132】
音響分析システム34は、エアロゾル発生装置上で局所的になど、音響分析システム34が実行される同じ場所で実施されてもよい。別の方法として、音響分析システム34は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、またはスマートデバイス、例えばスマートウォッチなどの遠隔位置で実施されてもよい。
【0133】
音響分析システム34は、音響分析システム30を正しく使用するようにユーザーを誘導するように構成されたユーザーインターフェース342をさらに備えてもよい。ユーザーインターフェース342は、触覚フィードバックをユーザーに提供するように構成されてもよい。例えば、振動モーターは、態様の評価を可能にするためにユーザーが自身の指を正しく置いていない時に、振動を発生するようにエアロゾル発生装置を構成してもよい。よって、音響分析アルゴリズム344が、捕捉された音響信号からの評価が不可能であると決定する場合、ユーザーインターフェースは、それに応じてフィードバックを提供するように命令されてもよい。フィードバックはまた、例えば発光ダイオードインジケータによる視覚フィードバックを含んでもよい。
【0134】
さらに、ユーザーインターフェース342は、認証におけるエラーが発生した時、およびユーザーの生体音響シグネチャが承諾または拒否された時に、ユーザーに通信してもよい。実施形態において、ユーザーインターフェース342は、ユーザーが所定の回数にわたって認証を試みることを可能にするように構成されてもよい。所定の回数の各々で認証に失敗した後、上で説明した通り、不正使用を防止するために軽減工程が取られてもよい。
【0135】
システム30は、エアロゾル発生装置100の中に挿入された消耗品を評価するように構成されてもよい。音響アクティベータ322の音響アクチュエータは、音響アクチュエータから音響センサー110に至る経路が、例えばエアロゾル発生装置100のeリキッドチャンバー、加熱式たばこ製品、または他の消耗品を通して消耗品を横断するように位置してもよい。音響信号が消耗品を通して伝達された後、消耗品を通した伝達中に音響信号によってピックアップされる変調は、消耗品を特徴付けることを可能にしてもよい。
【0136】
基準データベース346は、消耗品の製造者によって提供される真正な消耗品の基準信号を含んでもよい。代替的な実施形態において、音響アクティベータ322および音響センサー326の所定の位置は、変調された音響信号の反射が消耗品を評価するために捕捉されるような位置であってもよい。音響信号は、上で説明した通り、ユーザーがエアロゾル発生装置のボタンを押すことに応答して発生される。消耗品を認証することに加えて、受信した音響信号の分析に基づいて、音響分析アルゴリズム344はまた、消耗品の残りの量を推定してもよい。消耗品の残りの量の分析は、捕捉された音響信号を、消耗品の残りの量がないことの基準信号と比較することに基づいてもよい。別の方法として、消耗品の残りの量を推定するために、捕捉された音響信号を後続の使用のたびに分析することから得られる信号の一貫した時間変動を用いてもよい。
【0137】
ユーザーインターフェース342は、消耗品の音響シグネチャの承認または拒否をユーザーに通信してもよい。追加的に、または別の方法として、ユーザーインターフェース342はまた、残りの消耗品が少量であることをユーザーに通信してもよい。残りの消耗品が低量であることを音響分析アルゴリズム344が推定する場合、ユーザーインターフェース342は、消耗品が低量であることをユーザーに知らせてもよく、消耗品をもっと注文したいかどうかをユーザーに問い合わせてもよい。ユーザーの事前承認下で、消耗品の補充のための注文は自動的に行われてもよい。
【0138】
図4は、システム30内の信号およびデータフローを図示する。図示の通り、音響アクチュエータ322は、ユーザーがボタンを押すことに応答して、音響信号323を発生し、これは一本の指に伝達され、その上の指と下の別の指324に伝達されて、ユーザー固有の変調を含む変調された音響信号325を生成する。変調された音響信号325は、音響センサー326で捕捉される。音響信号の捕捉された信号データ327は、音響センサー324から音響分析アルゴリズム344に転送され、これは潜在的に信号捕捉工程システム32から離れた位置で実施される。音響分析アルゴリズム344は、基準データベース346から基準信号347を取得し、認証決定349をエアロゾル発生装置100に提供する。
【0139】
図5は、エアロゾル発生装置に関連付けられた一態様に関する情報を捕捉するための方法500のフローチャートを図示する。方法500は、ユーザーがエアロゾル発生装置上のボタンを起動することに応答して、一つ以上の音響信号を発生することを含む。信号はユーザーの手を通過し、別の方法として、または追加的に、消耗品を保持する貯蔵部を通過する。方法500は、態様に関する情報を捕捉するために、エアロゾル発生装置に関連付けられた音響センサーによって変調された信号を捕捉する工程504をさらに含む。上で説明した通り、方法500は、ユーザー態様を評価するために、検出された音響信号を基準と比較することを含む、音響分析アルゴリズムによって、捕捉された音響信号を処理する工程506を含んでもよい。追加的に、または別の方法として、検出された音響信号は、消耗品態様を評価するために、基準消耗品信号と比較されてもよい。ユーザー態様を評価することがユーザーを認証することを含む場合、方法500は、例えばユーザーの認証ができなかった時に装置を使用できないようにロックする前に、所定の回数にわたって工程502~506を繰り返すことを含んでもよい。
【0140】
方法500は、光学的または視覚的なフィードバックによって、エアロゾル発生装置上に指を正しく置くようにユーザーを誘導することを含んでもよい。工程502は、ボタンを押した時に音響信号と、ボタンの解除時に第二の音響信号とを発生すること、または特定の周波数で音響信号を発生するために振動スピーカーを起動することによって音響信号を発生すること、またはある範囲の周波数を有する音響信号のシーケンスを発生すること(またはボタンを押した時に音響信号と、ボタンの解除時に第二の音響信号とを発生すること、および振動スピーカーを起動することによって音響信号を発生すること)を含んでもよい。
【0141】
方法500は、ユーザー態様または消耗品態様を評価することを含む。上で説明した通り、これは、ユーザーを認証すること、ユーザーの年齢を推定すること、またはエアロゾル発生装置の中に挿入された消耗品の真正性を検証することを含んでもよい。
【0142】
有利なことに、本発明はまた、ユーザーのための基準信号を捕捉するために工程502および504を実行することを可能にする。従って、初めてエアロゾル発生装置を使用する時、ユーザーインターフェース242は、後でユーザーを認証するためのユーザーのための基準信号として用いられるユーザーについての生体音響プロファイルを記録するために、工程502および504を繰り返し実行するようにユーザーを誘導してもよい。
【0143】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±10%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1A-1B】
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】