(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】射出成形装置用のピラーレスクランプユニット
(51)【国際特許分類】
B29C 45/67 20060101AFI20240628BHJP
B29C 45/70 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C45/67
B29C45/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580602
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 AT2022060226
(87)【国際公開番号】W WO2023272324
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523487900
【氏名又は名称】ウジン・プライム・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ・スヴォボーダ
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AR07
4F202CA11
4F202CL12
4F202CL50
4F206AR077
4F206JA07
4F206JQ06
4F206JQ82
(57)【要約】
本発明は、射出成形装置のピラーレスのクランプユニットに関するものであり、固定盤(5)が設けられており、固定盤は第1のウィング(3)に配置されており、固定盤(5)は、固定領域(9)で、第1のウィング(3)に固定的に接続されており、クランプ装置(6)が設けられており、クランプ装置は、第2のウィング(4)に係合し、可動盤(7)と接続されており、クランプ装置(6)は、圧縮力が固定盤(5)の方向に作用するように設定されており、固定盤(5)は、固定領域(9)の下方で、支持装置を介して支持されており、支持装置は、機械の長手軸(8)に対して略直交するように延在する接続ビーム(10)を含んでおり、支持装置は、少なくとも1つのスプリングビーム(11)を含んでおり、スプリングビーム(11)は、圧縮力を固定盤(5)から接続ビーム(10)に伝達するように設定されており、スプリングビーム(11)は機械の長手軸(8)に対して略直交し、かつ、接続ビーム(10)に対して略直交するように延在している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形装置のピラーレスのクランプユニットであって、
-前記クランプユニットは、機械フレーム(1)、必要に応じて2つのフレーム部分(2)を含む機械フレーム(1)を有し、前記機械フレーム(1)は、第1のウィング(3)と第2のウィング(4)とを含んでおり、
-固定盤(5)が設けられており、前記固定盤は前記第1のウィング(3)に配置されており、前記固定盤(5)は、固定領域(9)で、前記第1のウィング(3)に固定的に接続されており、
-クランプ装置(6)が設けられており、前記クランプ装置は、前記第2のウィング(4)に係合し、可動盤(7)と接続されており、前記クランプ装置は、前記可動盤(7)が機械の長手軸(8)に沿って移動し、圧縮力が前記固定盤(5)の方向に作用するように設定されており、
-前記固定盤(5)は、前記固定領域(9)の下方で、支持装置を介して前記機械フレーム(1)に対して弾性的に支持されており、
-前記支持装置は、前記機械の長手軸(8)に対して略直交するように延在する接続ビーム(10)を含んでいるクランプユニットにおいて、
前記支持装置は、圧縮力が加えられる際に曲げを要求される少なくとも1つのスプリングビーム(11)を含んでおり、前記スプリングビーム(11)は、圧縮力を前記固定盤(5)から前記接続ビーム(10)に伝達するように設定されていること、及び、前記スプリングビーム(11)は前記機械の長手軸(8)に対して略直交し、かつ、前記接続ビーム(10)に対して略直交するように延在していることを特徴とするクランプユニット。
【請求項2】
前記接続ビーム(10)が、2つのフレーム部分(2)を互いに接続すること、又は、2つの別個の前記接続ビーム(10)が設けられており、前記接続ビームはそれぞれフレーム部分(2)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のクランプユニット。
【請求項3】
前記支持装置が、複数の、特に2つのスプリングビーム(11)を含み、前記スプリングビーム(11)は、前記接続ビーム(10)の長手方向の延在方向において隣り合って配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクランプユニット。
【請求項4】
2つの別個の前記接続ビーム(10)が設けられている場合、各接続ビーム(10)に、前記スプリングビーム(11)が配置されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のクランプユニット。
【請求項5】
-前記スプリングビーム(11)が、支持領域(12)で、前記固定盤(5)に接続されており、前記支持領域(12)は、前記固定盤(5)の下側半分、好ましくは下側3分の1に配置されており、前記固定領域(9)は、好ましくは前記固定盤(5)の上側半分に配置されていること、
-又は、前記スプリングビーム(11)が、前記固定盤(5)と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項6】
前記支持領域(12)が、前記機械の長手軸(8)に対して、対応する接続ビーム(10)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のクランプユニット。
【請求項7】
複数のスプリングビーム(11)が存在する場合に、前記スプリングビーム(11)が、互いに対して略平行に延在していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項8】
調整装置が設けられており、前記調整装置は、固定盤(5)の傾斜を調整するように設定されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項9】
前記調整装置が、角度の付いた接触面(13)を含んでおり、前記角度の付いた接触面(13)は、以下の構成要素:
-スプリングビーム(11)との接続領域における固定盤(5)であって、角度の付いた接触面(13)が特に支持領域(12)上に配置されている、固定盤(5)、
-前記固定盤(5)との接続領域におけるスプリングビーム(11)、
-接続ビーム(10)との接続領域におけるスプリングビーム(11)、
-スプリングビーム(11)との接続領域における接続ビーム(10)、
の1つ以上に配置されており、前記角度の付いた接触面(13)は、前記スプリングビーム(11)の長手方向の延在方向に対して0°より大きい傾斜角度αを有し、必要に応じて、前記スプリングビーム(11)ごとに少なくとも1つの前記角度の付いた接触面(13)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のクランプユニット。
【請求項10】
前記調整装置が調整ネジ(22)を含んでおり、必要に応じて、各スプリングビーム(11)に前記調整ネジが設けられていることを特徴とする、請求項8又は9に記載のクランプユニット。
【請求項11】
前記スプリングビーム(11)が、前記固定盤(5)にネジで固定されていること、及び/又は前記スプリングビーム(11)が、前記接続ビーム(11)にネジで固定されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項12】
前記スプリングビーム(11)が、前記固定盤(5)に対してプレテンションを加えられていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項13】
前記接続ビーム(10)が前記フレーム部分(2)の凹部に挿入されていること、又は前記接続ビーム(10)が少なくとも1つのフレーム部分(2)と一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項14】
-前記機械フレーム(1)が、略C字形のフレーム形状を有していること、
-又は、前記機械フレーム(1)が、略H字形のフレーム形状を有しており、前記機械フレーム(1)は、付加的に第3のウィング(14)と第4のウィング(15)とを含んでおり、前記第3のウィング(14)と前記第4のウィング(15)との間には、補正装置(17)が配置されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項15】
前記補正装置(17)が、前記クランプ装置(6)と作用接続していることを特徴とする、請求項14に記載のクランプユニット。
【請求項16】
前記クランプ装置(6)が、電気式、油圧式及び/又は機械式クランプ機構を含んでいることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のクランプユニット。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のクランプユニットを備えた射出成形装置の配置であって、射出成形装置の射出ノズルが、前記固定盤(5)上に配置されている、配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形装置用のクランプユニット、特にピラーレスクランプユニットと、射出成形装置を伴う本発明に係るクランプユニットの配置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
クランプユニット又はクランプ装置は、射出成形の際に、射出成形ツールを保持するために使用されることが知られている。したがって、クランプユニットによって実行される重要な機能は、特に、成形材料の射出前に金型半体を閉じてクランプ力を調整すること、射出中に金型半体をロックすること、射出完了後に金型半体を開くことである。
【0003】
この目的のために、既知のクランプユニットには一般的に、少なくとも2つの対向する取り付け盤とクランプ機構又はロック機構とが設けられており、これらの構成要素はフレームに保持される。取り付け盤は、金型半体を支持するように設定されている。
【0004】
フレームの構造に関して、先行技術では2つの基本的に異なるタイプのクランプユニットが知られている。一方では、クランプユニットは、ピラーを備えた構成とすることが可能であり、この場合、取り付け盤がピラー構造によって保持される。他方では、クランプユニットはピラーレスに構成されていてよい。このような構造は、タイバーレスクランプユニットとも呼ばれ、後者のタイプの取り付け盤は、片側、例えば上方が開放された、大抵はC字形又はH字形のフレームに保持される。
【0005】
このようなピラーレスクランプユニットの主な利点は、ツールの動作領域への容易なアクセスを可能にすることにある。しかしながら、設計に際して考慮しなければならない点は、使用されるフレーム構造によって、射出成形プロセスにおいて取り付け盤の平面平行性を維持するために特別な措置を講じなければならないことである。平面平行性の維持は、高品質の成形品を製造するためには特に重要である。
【0006】
市場で入手可能な第1のピラーレスクランプユニットでは、フレームの曲げを防止し、これによって取り付け盤の平面平行性を維持するために、機械フレームの剛性を可能な限り維持することが試みられた。しかしながら、結果として、クランプユニットの重量が比較的大きくなり、製造の際に必要な材料も多くなった。
【0007】
その後、ある程度の変形は許容されるが、所望の結果を得るために変形を補正することができる、又は補正しなければならないことが認識されるようになった。
【0008】
これに関して、先行技術では、様々な解決策が提案されており、例えば、取り付け盤の関節ベアリング、又は取り付け盤のための柔軟なホルダの使用、さらには補正装置による成形圧力の能動的な補正などがある。
【0009】
固定盤が支持装置を介して機械フレームに対して支持されている一般的なクランプユニットは、特許文献1から知られている。特許文献1に記載された支持装置は、機械の長手方向に延在する少なくとも1つの圧縮ロッドと、機械の長手方向に対して横方向に延在する少なくとも1つの曲げビームと、を含んでおり、後者は機械フレームに接続されるように構成されている。圧縮力又はロック力は、部分的に圧縮ロッド及び曲げビームに伝達され、圧縮ロッドの圧縮及び/又は曲げビームの曲げがもたらされる。前述の2つの要素が適切に構成されている場合、射出プロセスの際、すなわち特にロックされている間の取り付け盤の平面平行性が可能な限り維持され得る。
【0010】
しかしながら、特許文献1で提案された解決策の欠点は、単一の圧縮ロッドと単一の曲げビームとでは、たわみの完全に満足のいく調整を達成することができないことにある。改善するために、支持要素の複数の直列に配置された部分を設けることが可能であり、これは特許文献1でも提案されている。しかしながら、この方法はやはり、多大な設計上の労力と多大な費用とを要するだけでなく、スペースの需要も大きくなる。加えて、圧縮ロッドが機械の長手軸方向に延在していることによって、固定盤の後方端部では、限られた自由空間のみが利用可能である。しかしながら、この場所において、射出ノズルの操作のために、より多くのスペースが利用できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】オーストリア国特許発明第514382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、特許文献1の欠点を克服し、支持装置のたわみをより良好に調整すると同時に、クランプユニットの材料費及び製造費並びに全体重量を低減することを可能にするような射出成形装置用のクランプユニットを製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、好ましくは、本発明は、射出成形装置用のピラーレス又はタイバーレスクランプユニットに関し、当該クランプユニットは、第1のウィングと第2のウィングとを含む機械フレームを有している。好ましくは、第1のウィングには、固定盤が配置されており、固定盤は、固定領域において第1のウィングに固定的に接続されている。この関連において「固定的」という概念は、特に、例えば継手などを介した可動のベアリングが存在しないことを意味している。固定的な接続の例としては、ネジ接続が挙げられる。
【0014】
固定盤は、特に、射出成形装置のノズルが案内される取り付け盤であり、したがって、ノズルプレートとも呼ぶことができる。好ましくは、第2のウィングには、可動盤に接続されたクランプ装置が係合し、クランプ装置は、可動盤を機械の長手軸内で移動させ、固定盤の方向に圧縮力又はロック力を作用させるように設定されていることが規定される。ロックの際、機械フレームは変形し、特に2つのウィングの自由端は広がり、かつ/又は離れるように曲がる。
【0015】
好ましくは、固定盤は、固定領域の下方で支持装置を介して、機械フレームに対して弾性的に支持されており、支持装置は、機械の長手軸に対して略直交して延在する接続ビームを含んでいる。
【0016】
本発明の課題は、独立請求項の特徴を備えたクランプユニットによって解決される。
【0017】
好ましくは、支持装置が、圧縮力が加えられる際に曲げを要求される少なくとも1つのスプリングビームを含むことが規定される。
【0018】
好ましくは、スプリングビームは、固定盤から接続ビームに圧縮力を伝達するように設定されていることが規定される。
【0019】
好ましくは、スプリングビームは、機械の長手軸と略直交し、かつ、接続ビームと略直交して延在することが規定される。
【0020】
この配置によって、圧縮力がスプリングビームに、その長手方向の延在方向に対して略直交して、すなわち延在方向に対して横方向に導入され得る。この点において、スプリングビームは、圧縮力が長手方向に導入される特許文献1の圧縮ロッドとは大きく異なる。本発明においては、このような圧縮ロッドは設けられていない。なぜなら、支持装置は、好ましくは機械の長手軸において力の導入が行われる要素を有していないからである。驚くべきことに、上述のこの好ましい配置によって、たわみの補正全体をスプリングビームによって行うことが可能になる。スプリングビームの設計は、ロック力、正確なフレーム形状などに容易に適合させることが可能である。さらに、たわみを十分に調整するために単一のスプリングビームを使用することが可能であり、特許文献1とは異なり、ロック力を吸収する複数の要素を直列に接続する必要はない。
【0021】
特に、スプリングビームのバネの延び具合は、クランプユニットの動作範囲、すなわち例えば100kN~10000kNの間、場合によっては200kN~6000kNの間において直線的である。言い換えれば、特にスプリングビームのバネ剛性は、クランプユニットの動作範囲内で一定である。これによって、経験的な実験を行うことなく、スプリングビームを特に容易に設計することが可能になる。
【0022】
好ましくは、接続ビームは、単に機械フレームに対してスプリングビームを支持するために用いられ、たわみの補正には概ね用いられない。この関連において、ロック力が加えられると接続ビームは一般的にわずかに曲がるが、この変形はフレームの拡がりを補正する際に重要な役割を果たさないことに注意すべきである。例えば、接続ビームは最大100μm、好ましくは最大75μm曲がることが可能である。
【0023】
必要に応じて、機械フレームは少なくとも2つのフレーム部分を含んでいる。フレーム部分は、機械フレームを形成するために接続手段によって一体にされる別個の部材であってよい。しかしながら、フレーム部分は、共通の、特に一体成形された部材を形成することも可能である。必要に応じて、2つのフレーム部分が存在する場合、固定領域は、異なるフレーム部分上に配置された少なくとも2つの離間した固定面を含んでいる。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る構成は、互いに隣り合って配置された2つのスプリングビームを含むことが規定される。この関連において「隣り合って」という概念は、特に、両方のスプリングビームが接続ビームの長手方向の延在方向に沿って配置されていることを意味している。言い換えれば、「隣り合って」とは、ロック力が直列ではなく並列にスプリングビームに導入されることを意味している。
【0025】
2つの隣り合って配置されたスプリングビームを有する構成によって、先行技術と比較してさらなる改善が可能になり、特に取り付け盤の平行性をより良好に調整することが可能であり、支持装置は、例えば偏心の金型内圧によって生じ得る非対称な力の導入に対してより優れた耐性を有する。
【0026】
本明細書において、スプリングビームの特徴が記載されている場合、これは、明確に記載されていない限り、本発明に係るクランプユニットの1つ、複数又は全てのスプリングビームの特徴を表している。単数形での記載は、読み易くするために用いられる。
【0027】
スプリングビームは別個の部材として構成されていてよく、固定盤と接続ビームとの間に、機械フレームへのロック力の伝達が可能になるように配置されている。しかしながら、スプリングビームは、例えば固定盤に設けられた延長部として、固定盤と一体的に構成されていてもよい。
【0028】
一実施形態では、接続ビームが設けられていてよく、当該接続ビームに1つ又は複数のスプリングビームが支持され、1つの接続ビームが2つのフレーム部分又はフレーム側面を互いに接続する。この場合、接続ビームは、フレームに支持するために凹部又は開口部に挿入されていてよいが、例えば、フレーム部分のラグ又は延長部で接続ビームを支持する、又は接続ビームをフレームに直接ネジで固定するなど、フレームとの他のタイプの接続を選択することも可能である。
【0029】
代替的な実施形態では、少なくとも2つのフレーム部分のそれぞれに、別個の接続ビームが配置されていてよい。この場合、接続ビームは2つのフレーム部分を接続しない。接続ビームは、例えば、フレーム部分と一体的に形成されたラグ又は延長部として構成されていてよく、代替的な固定が可能である。この実施形態では、各接続ビームに1つのスプリングビームが設けられ、当該接続ビーム上に配置されていることが好ましい。
【0030】
必要に応じて、固定盤が機械フレームに固定的に接続されている固定領域が、スプリングビームが固定盤に接続されている支持領域の上方に配置されていることが規定される。必要に応じて、固定領域は、固定盤の上側半分に位置している。固定領域は、固定盤の中央に位置することも可能である。必要に応じて、支持領域は、固定盤の下側半分、好ましくは下側3分の1に位置している。
【0031】
必要に応じて、接続ビームが支持領域の下方に位置すること、及び/又は、スプリングビームが支持領域から下方に向かって延在していることが規定される。特に、スプリングビームは、支持領域から出発して、第1のウィングの自由端から離れる方向に向けられ得る。この構成は、固定盤に設けられたノズル開口部への特に良好なアクセスを可能にする。これはまた、スプリングビームが固定盤と一体的に構成されており、スプリングビームが第1のウィングの自由端から離れる方向を向いている場合にも適用される。
【0032】
接続ビームの長手方向の延在方向に沿って隣り合って配置される複数のスプリングビームが設けられている場合は、特に、スプリングビームが互いに対して略平行に延在していることが規定される。
【0033】
製造公差及び/又は組立公差がある場合には補正を行い、ロック力を加える前に2つの取り付け盤の平行性を個々に調整できるようにするために、クランプユニットは調整装置を含み得る。一般に、この調整装置によって、固定盤の傾斜を調整することが可能である。これは、様々な手段、例えば、調整ネジ及び/又は角度の付いた接触面などの調整手段によって達成することができる。
【0034】
機械フレームは、既知の方法でC字形又はH字形に構成されていてよい。機械フレームがH形に構成されている場合、機械フレームは、第1のウィング及び第2のウィングに対向する第3のウィング及び第4のウィングを付加的に有する。フレームの変形の補正を改善するために、第3のウィングと第4のウィングとの間には、補正装置が配置されていてよく、当該補正装置は、ロック力に依存する補正圧力を第3のウィングと第4のウィングとに加える。
【0035】
補正装置は、例えば補正シリンダであってよい。
【0036】
補正装置は、例えば油圧接続を介して、クランプ装置と作用接続され得る。
【0037】
クランプ装置は、形状接続及び/又は摩擦接続的なロックを可能にすることができる。形状接続的なロックを伴うクランプ装置の例は、機械式ロック又は油圧式ロックである。摩擦接続的なロックの例は、機械油圧式ロック又は電気機械式ロックである。機械式ロックの特別な例は、トグルシステムである。
【0038】
好ましくは、本発明は、射出成形装置のピラーレスクランプユニットに関し、クランプユニットは、機械フレームを有し、必要に応じて2つのフレーム部分を含む機械フレームを有しており、機械フレームは、第1のウィングと第2のウィングとを含んでおり、第1のウィングに配置される固定盤が設けられており、固定盤は、固定領域で第1のウィングに固定的に接続されており、第2のウィングに係合し、可動盤に接続されたクランプ装置が設けられており、クランプ装置は、可動盤を機械の長手軸に沿って移動させ、固定盤の方向に圧縮力を作用させるように設定されており、固定盤は、固定領域の下方で支持装置を介して、機械フレームに対して弾性的に支持されており、支持装置は、機械の長手軸に対して略直交して延在する接続ビームを含んでいる。
【0039】
好ましくは、支持装置が、圧縮力が加えられる際に曲げを要求される少なくとも1つのスプリングビームを含んでおり、当該スプリングビームは、圧縮力を固定盤から接続ビームに伝達するように設定されており、スプリングビームは、機械の長手軸に対して略直交し、かつ、接続ビームに対して略直交して延在していることが規定される。
【0040】
必要に応じて、接続ビームが2つのフレーム部分を互いに接続すること、又は2つの別個の接続ビームが設けられ、接続ビームはそれぞれ、フレーム部分上に配置されていることが規定される。
【0041】
必要に応じて、支持装置が複数の、特に2つのスプリングビームを含み、スプリングビームが接続ビームの長手方向の延在方向において隣り合って配置されていることが規定される。
【0042】
必要に応じて、2つの別個の接続ビームが設けられている場合には、各接続ビーム上にスプリングビームが配置されていることが規定される。
【0043】
必要に応じて、スプリングビームが、支持領域において固定盤に接続されており、支持領域が、固定盤の下側半分、好ましくは下側3分の1に配置されており、固定領域が、好ましくは固定盤の上側半分に配置されていることが規定される。
【0044】
必要に応じて、スプリングビームが、固定盤と一体的に形成されていることが規定される。
【0045】
必要に応じて、支持領域が機械の長手軸に対して対応する接続ビームの上方に配置されていることが規定される。
【0046】
必要に応じて、複数のスプリングビームが設けられている場合、スプリングビームは互いに対して略平行に延在することが規定される。
【0047】
必要に応じて、固定盤の傾斜を調整するように設定された調整装置が設けられていると規定される。
【0048】
必要に応じて、調整装置が角度の付いた接触面を含み、角度の付いた接触面が以下の構成要素:
-スプリングビームとの接続領域における固定盤であって、角度の付いた接触面が特に支持領域上に配置されている、固定盤、
-固定盤との接続領域におけるスプリングビーム、
-接続ビームとの接続領域におけるスプリングビーム、
-スプリングビームとの接続領域における接続ビーム、
の1つ以上に配置されており、
角度の付いた接触面は、スプリングビームの長手方向の延在方向に対して0°より大きい傾斜角度αを有し、必要に応じて、スプリングビームごとに少なくとも1つの角度の付いた接触面が設けられていることが規定される。
【0049】
必要に応じて、調整装置がくさび形要素を含むことが規定される。
【0050】
必要に応じて、調整装置が調整ネジを含み、必要に応じて、調整ネジが各スプリングビームに設けられていることが規定される。
【0051】
必要に応じて、スプリングビームが固定盤にネジで固定されていること、及び/又はスプリングビームが接続ビームにネジで固定されていることが規定される。
【0052】
必要に応じて、スプリングビームが固定盤に対してプレテンションされていることが規定される。
【0053】
必要に応じて、接続ビームがフレーム部分の凹部に挿入されているか、又は接続ビームが少なくとも1つのフレーム部分と一体的に構成されていることが規定される。
【0054】
必要に応じて、機械フレームが略C字形のフレーム形状を有することが規定される。
【0055】
必要に応じて、機械フレームが略H字形のフレーム形状を有し、機械フレームが第3のウィング及び第4のウィングを付加的に含み、第3のウィングと第4のウィングとの間に補正装置が配置されていることが規定される。
【0056】
必要に応じて、補正装置がクランプ装置と作用接続されていることが規定される。
【0057】
必要に応じて、クランプ装置が、電気式、油圧式及び/又は機械式クランプ機構を含むことが規定される。
【0058】
好ましくは、本発明はさらに、射出成形装置の射出ノズルが固定盤上に配置されている、上述したようなクランプユニットを備えた射出成形装置の配置に関する。
【0059】
本発明では、部材又は要素の長手方向の延在方向は、特に、当該部材又は要素の最大の空間的広がりを表すことを意図している。一般的な例では、X=50cm、Y=10cm、Z=10cmの寸法を有する直方体形状のビームの長手方向の延在方向は、X方向である。
【0060】
例えば「上」、「下」、「上方」又は「下方」などの相対的な概念が使用される場合、これらの概念は本発明の範囲内では特に、クランプユニットの決められた方向付けにおける位置、又はその動作位置における方向付けに関連している。例えば、動作位置では、第1のウィング及び第2のウィングは上方を指している。
【0061】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図及び実施例の説明から明らかである。
【0062】
以下において、例示的な、非限定的な実施例を用いて本発明を詳細に説明する。示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の第1の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1に係るクランプユニットの概略的な断面図である。
【
図3】
図1に係るクランプユニットのさらなる概略的な断面図である。
【
図4】
図1に係るクランプユニットの詳細を示す概略的な断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。
【
図6】本発明の第3の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。
【
図7】
図6に係るクランプユニットの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
他に記載のない限り、図面には以下の要素が示されている:機械フレーム1、フレーム部分2、第1のウィング3、第2のウィング4、固定盤5、クランプ装置6、可動盤7、機械の長手軸8、固定領域9、接続ビーム10、スプリングビーム11、第1の支持領域12、角度の付いた接触面13、第3のウィング14、第4のウィング15、第2の支持領域16、補正装置17、ノズル開口部18、案内装置19、固定面20、ネジ接続部21、調整ネジ22。
【0065】
図1は、本発明の第1の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。
図1のクランプユニットは、2つのフレーム部分2を含む機械フレーム1を含んでいる。当該実施例では、機械フレーム1はC字形であり、第1のウィング3と第2のウィング4とを含んでいる。
【0066】
第1のウィング3上には、固定盤5が配置されており、固定盤5は、射出成形装置のノズルが通過するためのノズル開口部18を含んでいる。したがって、固定盤5は、ノズルプレートとも称され得る。
【0067】
第2のウィング4には、クランプ装置6が配置され、クランプ装置6は、可動盤7を支持している。クランプ装置6は、機械の長手軸8の方向に圧縮力を加えるように設定されている。当該実施例では、クランプ装置6は油圧式クランプ装置6である。可動盤7は、その下面の領域において、機械フレーム1上の案内装置19によって既知の方法で案内される。
【0068】
固定盤5は、それぞれフレーム部分2上に位置する2つの対向する固定面20の形で構成されている固定領域9で、機械フレームに固定的に接続されている。当該実施例では、固定領域9での接続はネジ接続(図示せず)によって実現されている。固定領域9は、固定盤5の上側半分に位置する。
【0069】
固定盤5の下側部分では、固定盤5は、支持装置を介して機械フレーム1に対して支持されており、支持装置は、接続ビーム10及び互いに隣り合って配置された2つのスプリングビーム11を含んでいる。
【0070】
接続ビーム10は、2つのフレーム部分2を互いに接続し、機械フレーム1にネジで固定されている(図示せず)。接続ビーム10は、機械の長手軸8に対して略直交するように延在している。固定盤5の下側部分からの圧縮力を接続ビーム10に、ひいては機械フレーム1に伝達するために、固定盤5と接続ビーム10との間には、2つのスプリングビーム11が設けられており、これらのスプリングビーム11は、一方では支持領域12を介して固定盤5に接続され、他方では第2の支持領域16を介して接続ビーム10に接続されている。2つのスプリングビーム11は、機械の長手軸8に対して略直交し、かつ、接続ビーム10に対して略直交するように延在している。
【0071】
スプリングビーム11は、第1の支持領域12及び第2の支持領域16で、ネジ接続部21を介して、それぞれ他の部材に接続されている。スプリングビーム11は、そのバネ剛性が500kN~5000kNの範囲で一定になるように構成されている。
【0072】
図2は、機械の長手軸8に対して平行に延在する平面に沿った
図1に係るクランプユニットの概略的な断面図である。
図2は、第1の支持領域12から出発し、下方、すなわち第1のウィング3の端部から離れる方向に向けられたスプリングビーム11の延び具合を明らかにしている。
【0073】
図3は、機械の長手軸8に対して横方向に延在する平面に沿った、
図1に係るクランプユニットの概略的な断面図である。2つのスプリングビーム11が認識可能であり、これらのスプリングビーム11は、互いに対して略平行に延在し、接続ビーム10上に隣り合って配置されている。
【0074】
上述した第1の実施例に係るクランプユニットの動作形態は以下の通りである:鋳物を製造するために、対応する金型半体(図示せず)が取り付け盤5、7上に配置される。金型又はツールの半体は、クランプ装置6を用いて押し合わされ、固定盤5の領域に配置された射出成形装置(図示せず)によって、成形材料がツールに注入される。成形材料の注入は、クランプユニットのロック力に対抗する開口力をもたらす。これらの相反する力によってウィング3、4が広がる可能性があり、これは再び、取り付け盤5、7がもはや互いに対して平行には配置されていないことの原因となる。支持装置は、この現象に対抗するためのものである。スプリングビーム11がたわむことによって、ウィング3、4の外に向かう変形が補正される。スプリングビーム11のバネ剛性はロック力の作用範囲にわたって一定であるので、既知の手段を用いたコンピュータによる設計が可能である。これによって、取り付け盤5、7の平行性は、選択された動作範囲において維持され得る。
【0075】
図4は、
図2と同様に、
図1に係るクランプユニットの概略的な断面図であり、
図4には、支持ユニット及び固定盤5の領域が詳細に示されている。
【0076】
当該領域には、調整装置も存在しており、調整装置は当該例では、第1の支持領域12における固定盤5上の角度の付いた接触面13、角度の付いた接触面13とスプリングビーム11との間に配置されたくさび形要素23、及び調整ネジ22を含んでいる。当該例では、スプリングビーム11の長手方向の延在方向と比較した角度の付いた接触面13の角度αは約4°である。
【0077】
調整装置によって、固定盤5の傾斜は、ロック力を加える前に調整され得る。これによって、傾斜位置をもたらし得る、製造、組立などによる公差を補正することが可能になる。図示していない代替的な実施形態では、角度の付いた接触面13をスプリングビーム11及び/又は接続ビーム10に付加的又は代替的に設けることが可能であり、これによって同等の効果を得ることができる。
【0078】
図5は、本発明の第2の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。第1の実施例とは異なり、当該実施例でのクランプユニットは、C字形のフレームを有さず、H字形のフレームを有するように構成されている。したがって、機械フレーム1は、第1のウィング3及び第2のウィング4に加えて、第3のウィング14及び第4のウィング15も含んでおり、後者の2つのウィング14及び15は、クランプユニットの動作位置において、下方を向いている。第3のウィング14と第4のウィング15との間には、2つの補正シリンダの形を有する補正装置17が配置されている。補正装置17は、機械フレームの変形を補正するために用いられるので、支持装置は第1のウィングの変形のみを補正すればよい。補正装置17は、既知の方法で油圧システムとして構成されている。
【0079】
前段落で説明した相違点を除けば、第2の実施例に係るクランプユニットは、第1の実施例の全ての特徴及び機能を有している。したがって、これらの詳細な説明は省略する。
【0080】
図6は、本発明の第3の実施例に係るクランプユニットの概略的な斜視図である。第1の実施例とは異なり、支持装置は、2つの別個の接続ビーム10を含んでいる。2つの接続ビーム10は、フレーム部分2に突起として形成されており、2つのスプリングビーム11を支持するために用いられる。スプリングビーム11は、延長部の形で、固定盤5と一体的に形成されている。当該実施例では、スプリングビーム11も隣り合って配置されている。しかしながら、接続ビーム10は互いには接続されておらず、したがってフレーム部分もこの位置では互いに接続されていない。
【0081】
図7は、平面A-Aに沿った
図6に係るクランプユニットの概略的な断面図であり、別個の接続ビーム10が詳細に認識可能である。
【0082】
説明した相違点を除けば、第3の実施例に係るクランプユニットは、第1の実施例の全ての特徴及び機能を有している。したがって、これらの詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0083】
1 機械フレーム
2 フレーム部分
3 第1のウィング
4 第2のウィング
5 固定盤
6 クランプ装置
7 可動盤
8 機械の長手軸
9 固定領域
10 接続ビーム
11 スプリングビーム
12 第1の支持領域
13 角度の付いた接触面
14 第3のウィング
15 第4のウィング
16 第2の支持領域
17 補正装置
18 ノズル開口部
19 案内装置
20 固定面
21 ネジ接続部
22 調整ネジ
23 くさび形要素
α 傾斜角度
【国際調査報告】