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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】車両ビーム構成要素及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/04 20060101AFI20240628BHJP
   B60R 19/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B60R19/04 M
B60R19/18 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580707
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022073440
(87)【国際公開番号】W WO2023279120
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,856
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/267,336
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【住所又は居所原語表記】1900 Hayes St., Grand Haven, Michigan 49417, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】マテッキ、ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ムチェンリー、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】カイパーズ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ラマムーシー、カンナン
(57)【要約】
車両ビームアセンブリは、鋼管エアーフォーミングで形成されるように構成された中空管状部材を含む。管状部材は、管状部材の長さに沿って変化する断面を含む。例えば、中空管状部材は、第1の断面形状を有する中央部分と、中央部分から離れる方向において、対応する破砕缶を越えて延びる端部部分の対であって、40~70度の角度で延びる端部部分の対と、中央部分と端部部分の対の1つとの間に配置された少なくとも1つの移行部分とを含む。中央部分の断面形状、端部部分の1つの断面形状及び移行部分の断面形状は、すべて異なる断面形状である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フレームに結合されるように構成された破砕缶の対と、
前記破砕缶の対に結合され、且つ鋼管エアーフォーミングプロセスで形成されるように構成された中空の管状部材とを含む、車両ビームアセンブリであって、
前記管状部材は、前記管状部材の長さに沿って変化する断面を含み、
前記管状部材は、
第1の断面形状を有する中央部分、
前記中央部分から離れる方向に前記破砕缶の対から外側に延びる端部部分の対、及び
前記中央部分と前記端部部分の対の1つとの間に配置された少なくとも1つの移行部分であって、前記中央部分の断面形状、前記端部部分の1つの断面形状及び前記移行部分の断面形状は、すべて異なる断面形状である、少なくとも1つの移行部分
を含む、車両ビームアセンブリ。
【請求項2】
前記端部部分の対は、前記中央部分から40~70度の角度で後方に延びる、請求項1に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項3】
前記管状部材の前記端部部分は、前記管状部材の前記中央部分に対して狭められた深さを有する、請求項1又は2に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項4】
前記管状部材は、前記管状部材の選択された端部部分において、一体的に形成された破砕缶取り付け特徴部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項5】
前記取り付け特徴部は、車両ビームアセンブリ構成要素の裏側において、前記破砕缶を受けるための凹部エリアを含む、請求項4に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項6】
前記管状部材は、凹部エリアに隣接して一体フランジを含み、前記一体フランジは、溶接界面を提供するために前記破砕缶に対して配置される、請求項4に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項7】
前記管状部材は、前記管状ビームの前記長さに沿って配置された一体型フランジを含み、
前記一体型フランジは、前記管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返されたシームを含み、
前記折り返されたシームは、前記隣接する壁セクションが前記管状部材の中空内部を取り囲むように一体的に相互接続する前記一体型フランジの縁部で終端する、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項8】
前記端部部分及び中央部分における前記管状部材の断面形状は、取り囲むように互いに相互接続する後壁部分、上壁部分、下壁部分及び下壁部分をそれぞれ含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項9】
前記端部部分の前記断面形状は、C形状を含み、及び
前記中央部分の前記断面形状は、B形状を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項10】
前記端部部分の前記断面形状は、B形状を含み、及び
前記中央部分の前記断面形状は、D形状を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ。
【請求項11】
鋼管エアーフォーミングで形成されるように構成された車両ビームアセンブリ構成要素であって、
中空の管状部材であって、高強度鋼から形成され、且つ前記管状部材の長さに沿って延びる一体型フランジを有する中空の管状部材
を含み、
前記一体化フランジは、前記管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返されたシームを含み、
前記折り返されたシームは、前記隣接する壁セクションが一体的に相互接続する前記一体化フランジの縁部で終端する、車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項12】
前記管状部材は、前記管状部材の選択された端部セクションにおいて、一体的に形成された破砕缶取り付け特徴部を含む、請求項11に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項13】
前記取り付け特徴部は、前記車両ビームアセンブリ構成要素の裏側において、破砕缶を受けるための凹部エリアを含む、請求項12に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項14】
前記管状部材は、中央部分と、40~70度の角度で後方に延びる端部部分の対とを含み、前記管状部材の前記端部部分は、前記管状部材の前記中央部分に対して狭められた深さで形成される、請求項11~13のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項15】
前記端部部分の断面形状及び前記中央部分の断面形状は、異なる断面形状である、請求項14に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項16】
前記管状部材は、前記管状部材の前記長さに沿った選択されたセクションに局所的変形を含み、
前記局所的変形は、前記車両ビームアセンブリ構成要素をヒンジとして変形させるように構成された破砕開始部分を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項17】
前記管状部材は、バッテリトレイ構成要素又はロッカー構成要素を含む、請求項11に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項18】
車両ビームアセンブリ構成要素であって、
鋼管エアーフォーミングプロセスで形成されるように構成された中空の管状部材であって、前記管状部材の長さに沿って変化する断面を含み、
第1の断面形状を有する中央部分、
前記中央部分から外側に延びる端部部分の対、及び
前記中央部分と前記端部部分の対の1つとの間に配置された少なくとも1つの移行部分であって、前記中央部分の断面形状、前記端部部分の1つの断面形状及び前記移行部分の断面形状は、すべて異なる断面形状である、少なくとも1つの移行部分
を含む中空の管状部材
を含み、
前記管状部材は、前記管状ビームの前記長さに沿って配置された一体型フランジを含み、
前記一体型フランジは、前記管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返されたシームを含み、
前記折り返されたシームは、前記隣接する壁セクションが一体的に相互接続する前記一体型フランジの縁部で終端する、車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項19】
前記端部部分の対は、前記中央部分から40~70度の角度で後方に延びる、請求項18に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【請求項20】
前記管状部材の前記端部部分は、前記管状部材の前記中央部分に対して狭められた深さで形成される、請求項18又は19に記載の車両ビームアセンブリ構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月2日に提出された米国仮特許出願第63/217,856号明細書及び2022年1月31日に提出された米国仮特許出願第63/267,336号明細書に対する、米国特許法第119条(e)に基づく利益及び優先権を主張するものであり、これらの先行出願の内容は、本出願の一部と見なされ、且つ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、車両ビーム構成要素に関し、より具体的には、車両バンパ補強材、構造フレーム構成要素、バッテリトレイ構成要素等として使用するためなどの、中空内部を備えた管状ビームに関する。
【背景技術】
【0003】
車両構成要素は、一般に、効率的に質量を節約及び低減し、且つ車両の衝撃要件及び安全要件を満たすように努力して特定の車両モデル仕様のために設計される。例えば、バンパビーム又は構造構成要素として使用される車両ビームの断面形状は、一般に、車両ビームの長さに沿って連続し、所望の収納スペース、曲げ強度及び衝撃エネルギー管理特性に対応する形状を有するように設計されることが知られている。ロール形成又はスタンピング成形された車両ビームの場合、断面形状上の溶接位置が構成要素の性能に影響を与える可能性がある。また、材料及び製造プロセスが異なると、コストとともに考慮すべき車両ビームの設計上の制約が生じる。1つの既知の製造プロセスは、鋼管内部に加圧空気を吹き込み、閉じた型内で高強度鋼を形成することができるホットメタルガスフォーミングである。それにもかかわらず、ロッカー、バンパビーム、バッテリトレイ構成要素を含む構造構成要素のための車両ビームは、全体的な性能及びコストを向上させ得る改良の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、鋼管エアーフォーミングプロセスで形成される中空管状ビームを有する車両ビームアセンブリを提供する。車両ビームアセンブリは、車両フレームに結合されるように構成された破砕缶の対と、破砕缶に結合される中空管状部材とを含む。管状部材は、管状部材の長さに沿って変化する断面を含む。中空管状部材は、第1の断面形状を有する中央部分と、例えば40~70度の角度で中央部分から離れる方向に破砕缶から外側に延びる端部部分の対とを含む。さらに、少なくとも1つの移行部分が中央部分と端部部分の対の1つとの間に配置され、中央部分の断面形状、端部部分の1つの断面形状及び移行部分の断面形状は、すべて異なる断面形状である。
【0005】
本開示の別の態様は、鋼管エアーフォーミングで成形されるように構成された車両ビームアセンブリ構成要素を提供する。車両ビームアセンブリ構成要素は、管状部材の長さに沿って延びる一体型フランジを有する中空管状部材を含む。さらに、一体型フランジは、管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返された外観を含む。さらに、折り返された外観は、隣接する壁セクションが一体的に相互接続する一体型フランジの縁部で終端する。
【0006】
本開示のさらに別の態様は、鋼管エアーフォーミングプロセスで形成されるように構成された中空管状部材を含む車両ビームアセンブリ構成要素を提供する。管状部材は、管状部材の長さに沿って変化する断面を含む。中空管状部材は、第1の断面形状を有する中央部分と、中央部分から外側に延びる端部部分の対と、中央部分と端部部分の対の1つとの間に配置された少なくとも1つの移行部分とを含む。中央部分の断面形状、端部部分の1つの断面形状及び移行部分の断面形状は、すべて異なる断面形状である。管状部材は、管状ビームの長さに沿って配置された一体型フランジを含む。一体型フランジは、管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返された外観を含む。折り返された外観は、隣接する壁セクションが一体的に相互接続する一体型フランジの縁部で終端し得る。
【0007】
本開示の実装形態は、以下の任意選択の特徴の1つ又は複数を含み得る。いくつかの例では、中空管状部材は、高強度鋼から形成される。
【0008】
いくつかの例では、管状部材の端部部分は、管状部材の中央部分に対して狭められた深さで形成される。
【0009】
いくつかの例では、管状部材は、管状部材の選択された端部部分において、一体的に形成された破砕缶取り付け特徴部を含む。いくつかの実装形態では、取り付け特徴部は、車両ビームアセンブリ構成要素の裏側において、破砕缶を受けるための凹部エリアを含む。
【0010】
いくつかの例では、管状部材は、凹部エリアに隣接する一体フランジを含み、それにより、一体フランジは、溶接界面を提供するために破砕缶に対して配置され得る。
【0011】
いくつかの例では、端部部分及び中央部分における管状部材の断面形状は、互いに相互接続する後壁部分、上壁部分、下壁部分及び下壁部分をそれぞれ含む。
【0012】
いくつかの例では、端部部分の断面形状は、C形状を含み、及び中央部分の断面形状は、B形状を含む。
【0013】
いくつかの例では、端部部分の断面形状は、B形状を含み、及び中央部分の断面形状は、D形状を含む。
【0014】
いくつかの例では、管状部材は、バッテリトレイ構成要素又はロッカー構成要素を含む。
【0015】
いくつかの例では、端部部分の対は、約50~60度の角度で延びる。
【0016】
いくつかの例では、管状部材は、ビームの長さに沿った選択されたセクションに局所的変形を含む。いくつかの実装形態では、局所的変形は、管状部材をヒンジとして変形させ、且つ物体と接触した後に実質的に平面である、衝突後の管状部材の結果的な形状を提供するように構成された破砕開始部分を含む。
【0017】
本開示の1つ又は複数の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の態様、利点、目的及び特徴は、図面と併せて以下の本明細書を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両ビームアセンブリ構成要素の上面図と、一定の断面形状を有するロール形成された車両ビームアセンブリ構成要素に対応する力たわみチャートとを示す。
図2A】車両ビームアセンブリ構成要素の斜視図である。
図2B図2Aの車両ビームアセンブリ構成要素の正面立面図である。
図2C図2Aの車両ビームアセンブリ構成要素の別の斜視図である。
図2D図2Cに示す線D-Dでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の端部部分の断面図である。
図2E図2Cに示す線E-Eでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の中央部分の断面図である。
図3】その長さに沿ったB-D-Bの可変断面プロファイル及びプロファイル形状間の移行ゾーンを有する管状部材を有するバンパアセンブリの一例の上面図及び断面図を示す。
図4】端部部分において減少したセクション深さを有する管状部材を有する、車両環境における部分的なバンパアセンブリの上面図である。
図5A】破砕缶圧縮のための追加的な空間を提供するために、端部部分において減少したセクション深さを有する管状部材を有する部分的なバンパアセンブリの上面図である。
図5B図5Aの車両ビームアセンブリ構成要素の拡大上面図である。
図6】バンパアセンブリの斜視端面図であり、破砕缶を後面で溶接するための滑らかな後面を示す管状部材の断面図である。
図7】破砕缶のための増加した界面を有するバンパアセンブリの側面図及び斜視図を示す。
図8】エアーフォーミングプロセス後の2つの中空セクション間の谷部に溶接部を有する車両ビームアセンブリ構成要素の断面図である。
図9A】車両ビームアセンブリ構成要素の他の例の斜視図である。
図9B図9Aの車両ビームアセンブリ構成要素の上面図である。
図9C図9Aの車両ビームアセンブリ構成要素の正面立面図である。
図9D図9Cに示す線D-Dでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の端部部分の断面図である。
図9E図9Cに示す線E-Eでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の中央部分の断面図である。
図10】車両ビームアセンブリ構成要素と、車両ビームアセンブリ構成要素のより高い端部セクションと重なるMPDB障壁との部分後面図及び斜視図を示す。
図11A】車両ビームアセンブリ構成要素の他の例の斜視図である。
図11B図11Aの車両ビームアセンブリ構成要素の上面図である。
図11C図11Aの車両ビームアセンブリ構成要素の後面立面図である。
図11D図11Cに示す線D-Dでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の端部部分の断面図である。
図11E図11Cに示す線E-Eでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の中央部分の断面図である。
図12A】車両ビームアセンブリ構成要素のさらに他の例の斜視図である。
図12B図24の車両ビームアセンブリ構成要素の上面図である。
図12C図24の車両ビームアセンブリ構成要素の後面立面図である。
図12D図12Cに示す線D-Dでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の端部部分の断面図である。
図12E図12Cに示す線E-Eでとられた車両ビームアセンブリ構成要素の中央部分の断面図である。
図13】衝突前後の破砕缶界面における車両ビームアセンブリ構成要素の断面図と、対応する衝突の力たわみチャートとを示す。
図14】衝突前後の破砕缶界面における、B字形断面及びC字形断面を有する車両ビームアセンブリ構成要素の断面図と、対応する断面についての力たわみチャートとを示す。
図15A】成形される前の車両ビームアセンブリ構成要素と、破砕缶の前端部に係合する形成部を有するバンパアセンブリとの後面斜視図を示す。
図15B】破砕缶の前端に係合する形成部を示すための、図15Aのバンパアセンブリの断面図を示す。
図16】前部プレート及び後部プレートを有する車両ビームアセンブリ構成要素に取り付けられた牽引ブッシングを有する車両ビームアセンブリ構成要素の斜視図及び断面図を示す。
図17】ビームの一体フランジを介して取り付けられた牽引ブッシングを有する車両ビームアセンブリ構成要素の斜視図及び断面図を示す。
図18】2つのフランジブラケットを有する車両ビームアセンブリ構成要素の斜視図である。
図19図18に示す車両ビームアセンブリ構成要素から2つのブラケットを置き換えている、車両ビームアセンブリ構成要素の中央に位置する一体型フランジを有する車両ビームアセンブリ構成要素の斜視図である。
図20】車両ビームアセンブリ構成要素及びその周囲の車体構造の側面図である。
図21】車両ビームアセンブリ構成要素と車体構造との間に大きい逃げエリアを提供するために、ビームの後部に局所的な形成部を有する車両ビームアセンブリ構成要素の側面図である。
図22】衝撃体と相互作用する車両ビームアセンブリ構成要素と、その結果として生じる車両ビームアセンブリ構成要素の変形との側面図を示す。
図23】衝撃体と相互作用する車両ビームアセンブリ構成要素の側面図を示し、車両ビームアセンブリ構成要素の形状は、衝撃時の変形を制御するように調整される。
図24】局所的構成要素及び収納の必要性のための隙間を許容する車両ビームアセンブリ構成要素の上面図を示す。
図25】衝撃体と相互作用する車両ビームアセンブリ構成要素の上面図を示し、車両ビームアセンブリ構成要素は、単一のヒンジ破壊を有する。
図26】衝撃体と相互作用する車両ビームアセンブリ構成要素の上面図を示し、車両ビームアセンブリ構成要素の形状は、二重ヒンジ構成で衝撃変形を制御する。
図27図25及び26に示された車両ビームアセンブリ構成要素の力及びたわみを比較するチャートである。
図28】狭い幅と、一体化された上部留め具とを有する、一体化された特徴部を有する車両バッテリトレイのためのクロスメンバの断面図を示す。
図29】一体型フランジ、長さに沿って変更されたサイズ及び可変断面を有する車両ビームアセンブリ構成要素を組み込んだバッテリトレイフレームの概念の断面図、側面図及び上面図を示す。
図30】拡大された端部を有するクロスメンバ、一体型フランジを有するロッカー及び衝突荷重経路を可能にする一体化された特徴部を有するロッカーの概念の斜視図、上面図及び断面図を示す。
図31】バッテリモジュール取り付けのための内部形成された特徴部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0020】
図1に示すように、車両ビームアセンブリ構成要素10は、バンパビーム16の裏側と車両フレームのレール先端との間で車両上において概ね長手方向に延びるように、車両のフレーム14で車両ビームアセンブリ構成要素10の端部部分を支持する破砕缶12を含む。他の例では、車両ビームアセンブリ10は、車両バッテリトレイ又は車両ロッカーのための構成要素である。車両及び車両構成要素は、通常、車両開発中に複数の衝突試験を受ける。様々な衝突試験は、衝突試験ごとにエネルギー吸収量及び対応する評価を提供するために、異なる速度、角度、衝突対象で車両及び構成要素の様々な機能を試験する。いくつかの例では、前面衝突試験は、車両ビームアセンブリ構成要素10及び支持破砕缶12のエネルギー吸収を測定する前面衝撃を提供する。図1に示す例などの一例では、車両ビームアセンブリ構成要素10及び破砕缶12は、破砕缶12の設計及び長さ並びに車両ビームアセンブリ構成要素10の断面形状が、衝突事象の力-変位グラフに示すように衝撃エネルギー吸収を変化させることができるように、車両フレームに実質的な変形又は損傷が生じる前に衝撃エネルギーを吸収するように構成される。
【0021】
さらに、車両衝突試験には、モービルプログレッシブデフォーマブルバリア(MPDB)試験が含まれる。この試験は、2台の対向車が中程度の高速で正面衝突する様子を再現したものである。このタイプの衝突では、ほとんどの場合、車両前部幅構造の一部のみが巻き込まれ、すなわち、衝突する2台の車両は、横方向にオフセットされる。フルスケールのMPDB試験では、試験車両を時速50kmで走行させ、同じく時速50kmで移動する変形可能な障壁に50%オーバーラップさせる。障壁は、別の車両のフロントエンドを表し、変形するほど徐々に硬くなる。この試験は、試験車両と一般的な中型車との衝突を再現する。鋭利な縁部又はコーナーを有するビーム構成要素では、MPDB試験の望ましい結果が得られないことが分かっている。また、障壁と接触するセクションの高さが比較的小さいビーム構成要素は、この試験で良好な結果を示さない。
【0022】
ここで、図面及びそこに描かれた説明に役立つ例を参照すると、車両ビームアセンブリは、ホットメタルガスフォーミング又は鋼管エアーフォーミング(STAF)を含むプロセスで形成される少なくとも1つのビーム構成要素を備える。従来、ロール形成ミルで形成される高強度ビームは、金属の硬度又は延性に基づく設計制約を有し、典型的にはビームの長さに沿って一貫した断面形状を有する。本開示のいくつかの例では、車両ビームアセンブリは、管状部材の長さに沿って延びるフランジを有する中空の管状部材を含み得る。フランジは、管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返された外観を含む。折り返された外観は、隣接する壁セクションが一体的に相互接続するフランジの縁部で終端する。いくつかの例では、フランジは、ビームの長さに沿って異なるサイズ及び異なる位置を含み得る。このようなフランジは、一般に、ロール形成プロセスにおいて同じ材料で形成することができない。さらに、いくつかの例では、車両ビームアセンブリは、長さの対応するセクションにおける衝突衝撃エネルギー要求、収納制約及び付属品取り付けに合わせて調整された断面を提供するように、その長さに沿って変化する断面を有する中空管状部材を含み得る。
【0023】
図2A~2Eに示すように、中空の管状部材20を有する車両ビームアセンブリ構成要素10が提供され、この中空管状部材は、いくつかの例では、バンパビームと呼ばれることもある。
【0024】
中空管状部材20は、鋼管エアーフォーミング(STAF)プロセスによって製造される、その長さに沿って変化する断面を有する。いくつかの例では、STAFプロセスは、抵抗加熱、高圧空気注入、形成及び硬化を含む。このプロセスにより、従来の溶接方法と異なり、管状部材20及びフランジ18の一体形成が可能となる。STAFシステムは、剛性を向上させ、全体的な製造プロセスを簡素化する。STAFプロセスでは、単一の管状部材20に沿って断面形状を変化させることができ、高強度及び高剛性の構成要素も得られる。様々な断面形状は、ホットスタンピング、コールドプレス及びハイドロフォーミングを含むが、これらに限定されない他の方法で得ることができる。一方で、これらの各々は、低強度、低剛性のいずれか又は両方を有する構成要素をもたらす。
【0025】
ここで、図面及びそこに描かれた説明に役立つ例を参照すると、車両ビームアセンブリ構成要素10は、車両フレームに結合されるように構成された破砕缶12の対と、破砕缶12の対に結合されるように構成された管状部材20とを含み得る。破砕缶12は、管状部材20の裏側と車両フレームのレール先端部との間で車両上において概ね長手方向に延びるように、車両10のフレームで管状部材20の端部部分24と結合され、それを支持する。図2に示す例では、破砕缶12は、管状部材20の垂直中心線からほぼ等距離にある。しかしながら、他の例では、破砕缶12は、管状部材20の垂直中心線から等距離にあることからオフセットされ得る。さらに、管状部材20の端部部分24は、破砕缶12を越えて水平に延び、破砕缶の近くで被衝撃物に接触する可能性のある管状部材20の鋭いコーナー又は縁部を減らすように後方に湾曲する。破砕缶12及び管状部材20は、破砕缶12と管状部材20との間の結合を補助するために、それらの間に結合プレート又は他の結合部分を含み得る。しかしながら、破砕缶12が管状部材20に直接結合され得ることも考えられる。
【0026】
いくつかの例では、管状部材20は、中空内部を画定する。管状部材20は、前方又は後方から見たとき、その全長に沿って一貫したプロファイル形状を有し得ることが考えられる。さらに、管状部材20又は管状セクション単独の断面形状は、矩形形状、B形状、D形状、C形状又はb形状を含み得るが、これらに限定されない。管状部材20の長さは、特定の車両のフロント収納スペースに適合するように湾曲し得る。例えば、管状部材20は、比較的直線状のセクションと、比較的急な曲率を有するセクションとを含む、曲率の程度が異なる様々なセクションをその長さに沿って含み得る。管状部材20の長さは、中央部分22、2つの端部部分24及び中央部分22と2つの端部部分24のそれぞれとの間の移行部分26を含む。いくつかの例では、端部部分24及び移行部分26のプロファイルは、前方又は後方から見たとき、中央部分22のプロファイルと同じである。他の例では、端部部分24、移行部分26又は中央部分22の1つ又は複数のプロファイルは、変化するプロファイルを有し得る。
【0027】
管状部材20の断面形状は、管状部材20の中空内部を概ね囲むように形成される。管状部材20は、管状部材20の後壁49、上壁50、下壁52及び前壁47を含む。前壁47は、管状部材20の前面を形成する。前面に加えられる衝撃荷重は、管状部材20の上壁及び下壁50、52に沿って後方に向けられる。
【0028】
いくつかの例では、管状部材20の前壁47は、その中に画定された少なくとも1つの補剛チャネル39を含む。1つ又は複数の補剛チャネル39は、管状部材20に追加的な強度及び補剛を提供するように構成され得る。いくつかの例では、補剛チャネル39は、管状部材20の長さに沿って連続的に延びる。示される例では、管状部材20は、前面の中心からほぼ等距離に配置された上部補剛チャネル39及び下部補剛チャネル39を含む。しかしながら、他の様々な位置が考えられる。追加的な例では、2つより多い又は少ない補剛チャネル39を前面に設け得る。さらに、示される例では、補剛チャネル39は、丸みを帯びた補剛チャネル39を備える概ね湾曲したプロファイルを有する。しかし、より角張った補剛チャネル39が実現されるように、補剛チャネル39のより鋭い移行部を含む様々な他の構成が考えられる。
【0029】
いくつかの例では、後壁49は、概して滑らかな矩形表面でもあり得、且つ/又は上述のような補剛特徴部を含み得る。さらに、上壁50及び下壁52は、管状部材20の長さに沿って互いに平行に延びる概ね滑らかな矩形表面であり得る。いくつかの例では、上壁及び/又は下壁52は、アパーチャ又は追加的な構成要素の結合を容易にする他の特徴部を含み得る。
【0030】
車両ビームアセンブリ構成要素10は、ビームを形成する材料でビーム上に形成された1つ又は複数のフランジ18を含み得る。図2D及び2Eに示すように、上部及び下部フランジ18は、管状部材20の長さに沿って延びる。フランジ18は、管状部材の隣接する壁セクションの当接する内面によって画定される、折り返されたシームを含む。折り返されたシームは、フランジ18の縁部で終端する。そこで、前壁がフランジ18と整列し、フランジ18内に一体的に延びる。個々に取り付けられたブラケットに取って代わるためなど、1つ又は複数のフランジが車両ビーム構成要素と一体であるように、1つ又は複数のフランジが車両ビーム構成要素と一体的に形成され得ることも考えられる。
【0031】
図2A~2Eに示すように、中空管状部材20は、第1の断面形状を有する中央部分22と、第2の断面形状を有する端部部分24とを含む。図2Eに示すものなどのいくつかの例では、第1の断面形状は、D形状である。図8Dに示すものなどの他の例では、第1の断面形状は、B形状である。C形状又はb形状を含むが、これらに限定されない他の第1の断面形状も考えられる。端部部分24における第2の断面形状は、第1の断面形状と異なる。図1Dに示す例では、第2の断面形状は、B形状である。追加的な例では、端部部分24は、図11Dに示すようなC形状、D形状、B形状、b形状、d形状など、異なる断面形状又はビームの中央部分における断面形状との他の考えられる形状若しくは寸法の相違を有し得る。さらに、必要に応じて、端部部分24の一方が他方の端部部分24と異なる断面形状を有し得ることも考えられる。
【0032】
図2A~2C及び図3に同じく示すように、管状部材20は、中央部分22と端部部分24との間に配置された少なくとも1つの移行部分26も含む。移行部分26は、管状部材20の長さに沿って第1及び第2の断面形状を移行的に相互接続する1つ又は複数の第3の断面形状を含む。このように、移行部分26に沿った1つ又は複数の断面形状は、第1の断面形状と第2の断面形状との間で管のセクションプロファイルを変化させるときに形成される中間移行形状であり得、したがって第1の断面形状又は第2の断面形状と類似する。図2Cに示すように、移行部分26は、ビームが中央部分22のD形状から端部部分24のB形状へと外側に延びるにつれて深さが先細りになる。さらに、移行部分26が中央部分22から外側に延びるとき、断面形状は、上側部分30を下側部分32から分割するために、後壁にチャネル34の形状の凹部を形成し始める。チャネル34は、チャネル34の基部がビームの前壁に接触するまで、全体的な断面形状の深さの減少と同時に、中央部分22から外側に深さを増す。チャネル34がビームの前壁に接触して係合すると、上側部分は、上部管30を形成し、下側部分は、管状部材20の下部管32を形成する。追加的な例では、チャネルを含む移行部分及びその特徴部は、深さ、幅又は他の形状若しくは寸法が、移行部分26の長さに沿って、直線的、指数関数的又は段階的な形成変化率など、長さに沿って異なる率で変化し得る。
【0033】
移行部分26の長さは、図2A~2E及び図3に示される中央部分22及び端部部分24の第1及び第2の断面形状など、移行部分によって相互接続される断面形状間の差の程度に依存し得る。また、移行部分の長さは、そのセクションにおける所望の衝撃エネルギー吸収特性に合わせて調整された、ビームの長さに沿った長さ及び位置を有し得る。例えば、移行部分の長さは、そのプロファイルのエネルギー吸収特性が望ましくない場合に短くされ、及び/又はそのような状況において破砕缶の上に配置され得る。さらに、移行部分は、第1の断面形状と第2の断面形状との間の中間の移行形状ではない断面形状をとり得ることが考えられる。例えば、一例では、第3の断面形状は、C形状である。別の例では、第3の断面形状は、b形状である。さらに別の例では、第3の断面形状は、B形状である。D形状又はd形状を含むが、これに限定されない他の第2の断面形状も考えられる。さらに、移行部分は、少なくとも1つの凹部又はチャネルを含み得る。凹部は、破砕缶又は車両の別の特徴部との係合を可能にするように構成され得る。
【0034】
図2A~2Eにさらに示すように、管状部材20は、B形状としての第2の断面形状を有する端部部分24を含む。端部部分24は、B字断面形状を形成するくぼみセクション34によって分離された上部管状部材部分30及び下部管状部材部分32を含む(図2Dを参照されたい)。図2Bに示すように、くぼみセクション34は、破砕缶12に係合する管状部材20の表面に配置される。管状部材20は、くぼみセクション34が中央部分22に延びないように、D字断面形状を有する中央部分22も含む(図2Eを参照されたい)。中央部分22と端部部分24との間に移行部分26がある。この移行部分26は、中央部分22に向かって延びるにつれて先細りになる、部分的にくぼんだセクション34を含み得る。上述したように、移行部分26は、中央部分22の第1の断面形状及び端部部分24の第2の断面形状の両方と異なる断面形状を有する。移行部分26は、バンパアセンブリの1つ又は複数の他の構成要素と係合するように構成された1つ又は複数の凹部部分38を含み得る。さらに、図2Cに示すように、管状部材20は、破砕缶12と係合する面の反対側の面の長さにわたって延び、車両の前部に配置された1つ又は複数の補剛チャネル40を含み得る。図2Bに示す例では、2つの補剛チャネル40は、管状部材20の長さに沿って平行に延びる。しかしながら、より多い又はより少ない補剛チャネル40が考えられる。
【0035】
上述したように、バンパビームの端部縁部などの鋭利な構成要素のコーナーは、MPDB試験で良好な性能を発揮しない。したがって、管状部材20の端部部分24は、図2A~6、図9A~9E及び図11A~12Eに示すものなど、中央部分22から離れる方向において、対応する破砕缶12を越えて延びる。換言すれば、管状部材20の長さの少なくとも一部、より具体的には管状部材20の端部部分24は、両側で破砕缶12よりもさらに延びる。さらに、鋭利なコーナーをさらに防止するために、端部部分24は、衝撃障壁との端部縁部の不作用を低減するためなど、中央部分22から斜めに延びる。一例では、端部部分24は、約30~80度の角度で延びる。別の例では、端部部分24は、約40~70度の角度で延びる。さらに別の例では、端部部分24は、約50~60度の角度で延びる。さらに別の例では、端部部分24は、約55度の角度で延びる。端部部分24は、移行部分から移行部分を通して中間領域又は端部部分の遠位端まで延びる曲率も有し得る。
【0036】
さらに、図4に示すように、管状部材の端部部分24は、中央部分22と比較して減少した深さを含む。それにより、端部部分24における追加的な後方角度及び減少した深さは、破線で示すように、その長さに沿って一定の断面形状を有するバンパビームの梱包を通常であれば許容しないであろう車両ファシア(fascia)内にバンパビームを収納することを可能にする。管状部材20の深さは、移行部分26に沿って先細りし、端部部分24でセクション深さが減少する。端部部分24は、概ね一定の深さを有する。管状部材20の曲率は、概ね直線状の中央部分22から移行部分26に向かって増加し、端部部分24に曲率が存在する。また、いくつかの例では、曲率が移行部分のみに存在し、それにより、端部部分が概ね直線状であることも考えられる。
【0037】
図5A及び5Bに示すように、移行部分26’は、同様に、中央部分22’から端部部分24’に向かって外側に先細りになる、減少したセクション深さを有する。提供された収納空間内で端部部分がさらに延びることを可能にするために、先細り状になった深さが、端部部分におけるビームの前面を車両内側に移動させるために使用された、図4に示される例とは対照的に、図5A及び5Bに示される例は、図5Aに示されるように、より長い破砕缶12’のための追加的な空間を提供するように、移行部分26’及び端部部分24’において管状部材20’の後面を車両内前方に移動させる。より長い破砕缶12’は、利用可能な破砕ストロークをその距離だけ増加させ、それにより破砕缶12’における潜在的なエネルギー吸収を増加させる。破砕缶12’は、車両フレーム14’が実質的に荷重を受けるか、又は潜在的に損傷を与える衝撃力を受ける前に、衝撃中に破砕して破壊するように構成される。また、図5Bに示されるものなど、浅いセクション深さは、端部セクションにおいて、より急な円弧又は曲率の増加(すなわち曲率半径の減少)を可能にする。図5Bでは、L2とL3との間に示されるように深さの差が示され、L3においてセクション深さが減少していない後壁は、L2における後壁よりも大きい圧縮力を効果的に有する一方、それぞれがビームの前壁において同じ曲率を維持することを示している。L3のセクション深さを有する後壁におけるより大きい圧縮力は、シートのしわの原因となることが示されている。これは、一般に望ましくない。
【0038】
図6に示すように、STAFプロセスで形成されたバンパ管状部材20の後面には、一般に、スイープユニット又はオフラインベンダーなどの成形後の作業でビームを曲げることによって生じるしわ又は反りがない。このようなしわ又は反りのないバンパ管状部材20を提供することにより、ビームの後面は、一般に、平面となり、それにより溶接に有効な表面となる。図6に示すように、破砕缶は、ビーム後面に直接溶接される。その際、ロール形成されたビームに一般的に使用される界面プレートが省略され、それにより界面プレートの重量及び加工要件が排除される。また、図7に示すように、本例では、破砕缶12は、管状部材20に直接溶接され、破砕缶の前面とビームとの間に界面プレートとして従来取り付けられる前面プレートを省略している。
【0039】
STAF形成プロセス後、いくつかの例では、管状部材20をさらに強化するために溶接を提供することができる。例えば、図8に示すように、管状部材20の長さに沿った中間位置において又は管状部材20の長さに沿って連続的に後壁を前壁に接続するために、チャネル又はくぼみセクション34に溶接を提供することができる。
【0040】
ここで、図9A~9Eに示す例を参照すると、管状部材120は、B形状としての第2の断面形状を有する端部部分124を含む。端部部分124は、B字断面形状(図9D)を形成するくぼみセクション134によって分離された上部管状部材部分130及び下部管状部材132を含む。図9Bに示すように、くぼみセクション134は、破砕缶112に係合する管状部材120の側に配置される。図9A~9Eに示す例をなおも参照すると、管状部材120は、B字断面形状を有する中央部分122も含む。図9A~9Cに示す例では、くぼみセクション134は、管状部材120の全長にわたって延びる。しかしながら、くぼみセクション134は、図9Bに示すように、ビームの全体的な深さに従うように長さに沿って深さが変化し、中央部分ではより深く、端部部分ではより浅くなっている。図9Dに示すように、B字断面形状を有する端部部分124は、中央部分122よりも高い。管状部材の端部部分124に画定されたくぼみセクション134は、中央部分122よりも浅い。さらに、図9Eに示すように、中央部分122のB形状は、端部部分124よりも短い。くぼみセクション134は、中央部分122内でより深く画定される。中央部分122と端部部分124との間には、端部部分124のより高い高さから、中央部分122のより短い高さに移行する高さを含み得る移行部分126がある。さらに、移行部分126は、端部部分124のより浅いくぼみセクション134から中央部分122のより深いくぼみセクション134に移行する。上述のように、移行部分126は、中央部分122の第1の断面形状及び端部部分24の第2の断面形状の両方と異なる断面形状を有する。移行部分126は、車両フレームの1つ又は複数の他の構成要素と係合するように構成された1つ又は複数の凹部部分も含み得る。
【0041】
さらに、図9Cに示すように、管状部材120は、1つ又は複数の補剛チャネル140を含み得、補剛チャネル140は、破砕缶112に係合する側とは反対側の長さ全体に延び、車両の前部に配置される。図9Cに示す例では、2つの補剛チャネル140は、管状部材の長さに沿って平行に延びる。しかしながら、より多い又はより少ない補剛チャネル140が考えられる。
【0042】
さらに、図10に示すように、その長さに沿って一定の断面を有するビームの表面積よりも大きい界面表面積(interfacing surface)でMPDB衝撃試験において障壁にぶつかる管状部材120が示されている。ビーム120のより大きい前面は、ビーム120の上部フランジ及び下部フランジによって少なくとも部分的に提供される。
【0043】
ここで、図11A~11Eに示す例を参照すると、管状部材220は、第2の断面形状をC形状として有する端部部分224を含む。上述した例と同様に、管状部材220は、くぼみセクション234を含む。しかしながら、図11A~11Eに示される例では、くぼみセクション234は、C字断面形状を形成する端部部分224の幅方向に延びる(図11D)。図11Bに示されるように、くぼみセクション234は、破砕缶212と係合する管状部材220の側に配置される。図11A~11Eに示される例をなおも参照すると、管状部材は、B字断面形状を有する中央部分222も含む。図11A~11Cに示す例では、くぼみセクション234は、管状部材220の全長にわたって延びる。しかしながら、くぼみセクション234は、長さに沿って幅が異なる。図11Cに示されるように、C字断面形状を有する端部部分224においてより高く、管状部材220の端部部分224に画定されたくぼみセクション234は、より浅く、くぼみセクション234は、端部部分224でより幅が広く、移行部分226で中央部分222に向かって内側に先細りになっている。さらに、くぼみセクション234は、端部部分224と比較して中央部分222でより狭い。中央部分222と端部部分224との間に移行部分226がある。この移行部分226は、中央部分222のくぼみセクション34の幅に向かって先細りになる前に端部部分224の幅で始まる、くぼみセクション234の先細りの幅を含み得る。上述のように、移行部分226は、中央部分222の第1の断面形状及び端部部分224の第2の断面形状の両方と異なる断面形状を有する。移行部分226は、車両フレームの1つ又は複数の他の構成要素と係合するように構成された1つ又は複数の凹部部分も含み得る。さらに、図11Cに示すように、管状部材220は、前側の長さにわたって延びる1つ又は複数の補剛チャネル240を含み得る。図11Cに示す例では、2つの補剛チャネル240は、管状部材220の長さに沿って平行に延びる。しかしながら、より多い又はより少ない補剛チャネル240が考えられる。
【0044】
ここで、図12A~12Eに示す例を参照すると、管状部材320は、図11A~1Eに関して上述したように、端部部分324、中央部分322及びくぼみセクション334を有し得る。しかしながら、図12A~12Eに示される例は、前面に補剛チャネルを含まない。前面は、端部部分24及び中央部分22を覆う、その長さに沿った連続的な概ね平坦な表面である。
【0045】
図5A及び7を参照して上述したように、ビームは、界面プレートを排除し、破砕缶を長くすることによって潜在的なエネルギー吸収を増大するためになど、破砕缶に直接取り付けられ得る。また、いくつかの例では、破砕缶を受けるための凹部エリアをビームの後側に設けるなどして、エネルギー吸収をさらに向上させるように、破砕缶に取り付けるビームの係合部分を構成することが有利であり得る。例えば、図13及び14に示すように、破砕缶の取り付け部において矩形断面を有するビームを使用すると、衝撃時のエネルギー吸収がいくらか非効率になる可能性がある。この非効率性は、図5Aに示されるように深さを減少させるか、又は図11A~11E、図12A~12E及び図14に示されるように代替断面、例えばC字形断面を有するなどして、破砕缶係合部におけるビームの有効深さを減少させることによって解決され得る。
【0046】
図15A及び15Bに示されるように、管状部材416は、同様に又は代替的に、管状部材の端部部分424の選択されたエリアにおいて一体的に形成された破砕缶取り付け特徴部を含み得る。図15及び16に示されるように、管状部材の端部部分は、破砕缶412を受けるためにビームの裏側に凹面を含む。このような凹部エリアはまた、凹面の上下に形成されたフランジ418をもたらし得る。このフランジは、破砕缶を取り付けるための改善された溶接条件を有する表面を提供するためにも使用され得る。
【0047】
また、いくつかの例では、管状部材は、ビームの長さに沿った選択されたセクションに少なくとも1つの局所的変形を含み得る。図17に示すものなどのいくつかの例では、前部フランジ518aと後部フランジ518bとの間に設けられた頂壁における変形は、牽引フックブッシングのための前部及び後部取り付け面を提供する。この際、ビームにブッシングを保持するために使用される前部プレート及び後部プレートは、一般に省略され得る。同様に、図19に示すように、前部フランジ618は、ビーム620上に一体的に配置され、図18に示すように、ブラケットを省略できる方法で前面から上方に延び得る。このような前部フランジ618は、図20と比較して図21に示すように、ビームの頂壁によるエネルギー吸収の改善を提供し得る。追加的な例では、ビームは、図22から改善されたものなどの改善された衝撃吸収を提供するために、図23に示されるような壁に対して角度を付けた形状を有するような局所的な調整を有する。
【0048】
さらに、局所的変形は、衝撃によって引き起こされる破砕中、隣接する車両構成要素に隙間を提供し得る。例えば、図24に示すように、局所的変形は、ラジエータ又は冷却パックに適合するためのビームのセクションに設けられる。さらに、図26に示すように、局所的変形は、ビームをヒンジとして変形させ、それにより、物体又は変形可能な障壁等などの物体との接触に望ましいビーム形状を提供し、図25及び27に示すような単一のヒンジ破壊よりもエネルギー吸収の改善を提供するように、衝撃時の変形を制御又は開始する特徴部を、選択された位置に提供し得る。
【0049】
冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「含む」、「包含する」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図され、列挙された要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、言及された特徴を同じく組み込んだ追加的な実装形態の存在を除外すると解釈されることを意図しないことを理解されたい。本明細書に記載された数値、パーセンテージ、比率又は他の値は、その値及び本開示の実装形態に包含される、当業者によって理解されるであろう「約」又は「およそ」の記載された値である他の値も含むように意図される。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するか又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように十分に広く解釈されるべきである。記載された値は、好適な製造プロセス又は生産プロセスで予想される変動を少なくとも含み、記載された値の5%以内、1%以内、0.1%以内又は0.01%以内の値を含み得る。
【0050】
また、本開示の目的のために、本明細書で使用される「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすか又は依然として所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内及び0.01%未満以内の量を指し得る。さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は移動であることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲で定義された発明的概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、限定的であると見なされることはない。
【0051】
具体的に記載された実施形態に対する変更形態及び修正形態は、特許法の原則に従って解釈される添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されている。使用されている用語は、限定ではなく、記載の語句の性質内にあることが意図されることが理解されるであろう。本開示の多くの修正形態及び変形形態が上記の教示に照らして可能である。本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施され得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【国際調査報告】