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特表2024-524419気体移動通路と抽出液移動通路を有する増幅モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】気体移動通路と抽出液移動通路を有する増幅モジュール
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240628BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580717
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2021012126
(87)【国際公開番号】W WO2023277246
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0084993
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358283
【氏名又は名称】エスディ バイオセンサー,インク
【氏名又は名称原語表記】SD Biosensor, Inc.
【住所又は居所原語表記】C-4&5 Floor, 16, Deogyeong-daero 1556beon-gil, Yeongtong-gu, Suwon-si, Gyeonggi-do, 16690, REPUBLIC of KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョー,ヨン-シク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヘ-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リム,クァンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イン-エ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョ-リム
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
本発明は、気体移動通路と抽出液移動通路を有する増幅モジュールに関し、より具体的には、増幅モジュールが設置された抽出装置から抽出液が投入される時に各収容部ごとに定量の抽出液が投入されて検出の正確性を高める増幅モジュールに関する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出装置に係合し、前記抽出装置から抽出される抽出液を収容する増幅モジュールであって、
ボディー;
前記ボディーの一側に形成され、前記抽出装置の排出孔と連通する一つ以上の注入口;
前記ボディーの他側に形成され、前記抽出液を収容する空間である収容部;
前記ボディーの一面に形成され、前記一つ以上の注入口のいずれか一つの注入口と前記収容部を連結する気体移動通路;及び
前記ボディーの一面の反対面に形成され、前記一つ以上の注入口中のもう一つの注入口と前記収容部を連結する抽出液移動通路;を含む、増幅モジュール。
【請求項2】
前記気体移動通路は、前記収容部の上部と連結され、
前記抽出液移動通路は、前記収容部の下部と連結される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項3】
前記収容部の縁部はラウンド処理された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項4】
前記気体移動通路と前記抽出液移動通路は、前記注入口から前記収容部に至るまで一回以上曲げられ、曲げられた部分の縁部はラウンド処理された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項5】
前記収容部は、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路から離れるほどその幅が狭くなる形状を有する、請求項3に記載の増幅モジュール。
【請求項6】
前記収容部は複数個具備され、
前記気体移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記いずれか一つの注入口から延長形成され、
前記抽出液移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記もう一つの注入口から延長形成される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項7】
複数個の気体移動通路は、その長さが互いに異なって形成される、請求項6に記載の増幅モジュール。
【請求項8】
前記気体移動通路は、上部に位置する収容部と連結されたものであるほどその長さが短い、請求項7に記載の増幅モジュール。
【請求項9】
前記気体移動通路は、
前記収容部と連通しながら前記ボディーに貫通形成された連通孔;
前記連通孔から延びる移動通路;
所定容量の気体を収容する貯蔵通路;及び
前記移動通路の一地点以上に組み合わされ、組み合わされた部分の移動通路を閉鎖する通路パターン形成部;を含むが、
上部に位置する収容部と連結された気体移動通路であるほど前記貯蔵通路の個数及び前記通路パターン形成部が組み合わされた地点が多い、請求項8に記載の増幅モジュール。
【請求項10】
複数個の抽出液移動通路は、その長さが互いに異なって形成される、請求項6に記載の増幅モジュール。
【請求項11】
長さが異なる複数個の抽出液移動通路は、上部に位置する収容部に連結された抽出液移動通路であるほどその厚さが薄い、請求項10に記載の増幅モジュール。
【請求項12】
前記抽出液移動通路は、前記注入口から一地点まで一つに延び、前記一地点から各収容部に向かって分岐される、請求項10に記載の増幅モジュール。
【請求項13】
前記抽出液移動通路は、分岐された前記一地点からその厚さが異なる、請求項10に記載の増幅モジュール。
【請求項14】
前記収容部には、抽出液に含まれたゲノムを増幅するための物質が貯蔵された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項15】
前記収容部は複数個具備され、
前記複数個の収容部のそれぞれにはゲノムを増幅するための互いに異なる物質が貯蔵された、請求項14に記載の増幅モジュール。
【請求項16】
前記ボディーの前記一面と前記反対面は、前記一面と前記反対面に付着するシーリング部材により密封される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体移動通路と抽出液移動通路を有する増幅モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、バイオテクノロジーの進歩により遺伝子レベルで疾病の原因を解釈することが可能になった。それにより、ヒトの疾病を治癒または予防するための生体試料の操作及び生化学的分析に対する要求が次第に増加している。
【0003】
併せて、疾病の診断に加え、新薬開発、ウイルスやバクテリア感染の有無の事前検査及び法医学などの多様な分野で生体試料や細胞が含まれた試料から核酸を抽出、分析する技術が求められる。
【0004】
従来のゲノム抽出装置は、処理過程(濃縮、精製)別にそれぞれの装置が必要であり、一つの処理過程が終わった後、別の装置に移動させなければならないため、長い時間を必要とする。
【0005】
このような長い処理過程で検出効率性が低いという従来の問題点を解決するために、本出願人による登録特許第10-1989920号などが開発されて使用されてきた。
【0006】
前記文献では、バッファーチャンバーの内部に直接バッファーを分注して保管するが、長期保管時にバッファーチャンバーの下部の多様な層構造を通じて微細漏れが発生し、抽出性能に悪影響を及ぼす問題があった。
【0007】
また、上部ボディーとベースプレートとの間に配置されるパッドがゴム材質で形成されるが、パッドが上部ボディーとベースプレートとの間で圧着されることにより、パッドに貫通形成されたホールの直径が減少することにより、製品設計の意図とは異なる容量の抽出液が増幅モジュールに移動する問題があった。
【0008】
それだけでなく、製品の生産及び流通中に発生する振動によりバッファーチャンバーを封止する密封部材が突出部材により穿孔され、バッファーチャンバーの内部に保管された試薬が流出及び汚染される問題があった。
【0009】
そこで、本発明者らは、従来のゲノム抽出装置の問題点を解決するために、本発明を着目して完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許文献第10-1989920号
【特許文献2】韓国登録特許文献第10-2065649号
【特許文献3】韓国登録特許文献第10-2065650号
【特許文献4】韓国登録特許文献第10-2076220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によると、ゲノム抽出に必要な試薬が収容された内側チャンバーが外側チャンバーと別途に具備され、内側チャンバーの上部と下部が密封されることにより、従来のゲノム抽出装置において単一チャンバーに収容された試薬が外部に流出する問題を解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0012】
また、製品の生産及び流通過程中に発生する振動によりインナーチャンバーが上下に移動することにより、カバー及び外側チャンバーに形成された突出部材によりインナーチャンバーの上部開口と下部開口を封止する密封部材が穿孔されることを防止するための安全クリップを含むゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0013】
また、二重チャンバー間の空間を通じて発生する毛細管現象により試薬間の交差汚染の問題を特有の内側チャンバー設計(下部内側チャンバー)を通じて解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0014】
また、毛細管現象を防止するための構造において、試薬が外部に流出することを防止するために、特有の内側チャンバー設計(上部内側チャンバー)を通じて解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0015】
また、外側チャンバーの底面に形成された第1突出部材の構成により、少ない力でも密封部材を破ることができ、穿孔された部分が拡張され、内側チャンバーの内部に収容された試薬が外部に円滑に流出するゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0016】
また、試薬が排出される排出孔の周辺に傾斜した部分が形成され、排出孔を通じて試薬が円滑に排出されるゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0017】
また、外側チャンバーとベースプレートとの間に二重構造のフローカバー-パッドが配置されることにより、従来1個のパッドのみが配置されるゲノム抽出装置に比べて、製造の便宜性が向上し、意図せずに流路が狭くなる問題が解決されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0018】
また、ベースプレート-フローカバー-パッド-外側チャンバー間の強固な係合が達成されることにより、試薬が移動する過程において中間で流出する現象なしに密閉された流路が形成されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0019】
また、ゲノム抽出と増幅に必要なビードが収容されたビードチャンバーも外側チャンバー-ビードチャンバーの二重チャンバー構造を有することにより、水分に弱いビードの性能を長時間維持することが可能なゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0020】
また、ビードチャンバーが開放されても、ビードチャンバーの上部に位置する除湿部によりビードの性能が維持されるゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0021】
また、前処理済みの抽出液が投入されるにつれて収容部の内部に残留する空気の排出が容易に行われることにより、十分な容量の抽出液が投入される増幅モジュールが適用されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0022】
また、増幅モジュールが複数個の収容部を有し、各収容部には互いに異なるゲノム増幅のためのプライマー及びプローブが貯蔵されており、一回のゲノム抽出を通じて数種類の疾病診断が可能なゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0023】
また、連結されている収容部の位置により、気体移動通路と抽出液移動通路の長さや厚さ、パターンが互いに異なるように備えられ、収容部内に投入された抽出液または増幅産物が混合することを防止するゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0024】
また、本発明は、前述したゲノム抽出装置を用いたゲノム抽出方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記のような課題を解決するための本発明の一実施例は、抽出装置に係合し、前記抽出装置から抽出される抽出液を収容する増幅モジュールであって、ボディー、前記ボディーの一側に形成され、前記抽出装置の排出孔と連通する一つ以上の注入口、前記ボディーの他側に形成され、前記抽出液を収容する空間である収容部、前記ボディーの一面に形成され、前記一つ以上の注入口のいずれか一つの注入口と前記収容部を連結する気体移動通路及び前記ボディーの一面の反対面に形成され、前記一つ以上の注入口中のもう一つの注入口と前記収容部を連結する抽出液移動通路を含む、増幅モジュールを提供する。
【0026】
一実施例において、前記気体移動通路は前記収容部の上部と連結され、前記抽出液移動通路は前記収容部の下部と連結されてもよい。
【0027】
一実施例において、前記収容部の縁部はラウンド処理されたものであってもよい。
【0028】
一実施例において、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路は、前記注入口から前記収容部に至るまで一回以上曲げられ、曲げられた部分の縁部はラウンド処理されたものであってもよい。
【0029】
一実施例において、前記収容部は、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路から離れるほどその幅が狭くなる形状を有することができる。
【0030】
一実施例において、前記収容部は複数個具備され、前記気体移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記いずれか一つの注入口から延長形成され、前記抽出液移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記もう一つの注入口から延長形成されてもよい。
【0031】
一実施例において、複数個の気体移動通路は、その長さが互いに異なって形成されてもよい。
【0032】
一実施例において、前記気体移動通路は、上部に位置する収容部と連結されたものであるほどその長さが短くてもよい。
【0033】
一実施例において、前記気体移動通路は、前記収容部と連通しながら前記ボディーに貫通形成された連通孔、前記連通孔から延びる移動通路、所定容量の気体を収容する貯蔵通路及び前記移動通路の一地点以上に組み合わされ、組み合わされた部分の移動通路を閉鎖する通路パターン形成部を含むが、上部に位置する収容部と連結された気体移動通路であるほど前記貯蔵通路の個数及び前記通路パターン形成部が組み合わされた地点が多くてもよい。
【0034】
一実施例において、複数個の抽出液移動通路は、その長さが互いに異なって形成されてもよい。
【0035】
一実施例において、長さが異なる複数個の抽出液移動通路は、上部に位置する収容部に連結された抽出液移動通路であるほどその厚さが薄くてもよい。
【0036】
一実施例において、前記抽出液移動通路は前記注入口から一地点まで一つに延び、前記一地点から各収容部に向かって分岐されてもよい。
【0037】
一実施例において、前記抽出液移動通路は分岐された前記一地点からその厚さが異なってもよい。
【0038】
一実施例において、前記収容部には抽出液に含まれたゲノムを増幅するための物質が貯蔵されてもよい。
【0039】
一実施例において、前記収容部は複数個具備され、前記複数個の収容部のそれぞれにはゲノムを増幅するための互いに異なる物質が貯蔵されてもよい。
【0040】
一実施例において、前記ボディーの前記一面と前記反対面は、前記一面と前記反対面に付着するシーリング部材により密封されてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によるゲノム抽出装置は、ゲノム抽出に必要な試薬が収容された内側チャンバーが外側チャンバーと別途に具備され、内側チャンバーの上部と下部が密封されることにより、従来のゲノム抽出装置において単一チャンバーに収容された試薬が外部に流出する問題が解決される。
【0042】
また、製品の生産及び流通過程中に発生する振動によりインナーチャンバーが上下に移動することにより、カバー及び外側チャンバーに形成された突出部材によりインナーチャンバーの上部開口と下部開口を封止する密封部材が穿孔されることが防止される。
【0043】
また、二重チャンバー間の空間を通じて発生する毛細管現象により試薬間の交差汚染問題が解決される。
【0044】
また、毛細管現象を防止するための構造において、試薬が外部に流出することが防止される。
【0045】
また、外側チャンバーの底面に形成された突出部材の構成により、少ない力でも密封部材を破ることができ、穿孔された部分が拡張され、内側チャンバーの内部に収容された試薬が外部に円滑に流出する。
【0046】
また、試薬が排出される排出孔の周辺に傾斜した部分が形成され、排出孔を通じて試薬が円滑に排出される。
【0047】
また、外側チャンバーとベースプレートとの間に二重構造のフローカバー-パッドが配置されることにより、従来1個のパッドのみが配置されるゲノム抽出装置に比べて、製造の便宜性が向上し、意図せずに流路が狭くなる問題が解決される。
【0048】
また、ベースプレート-フローカバー-パッド-外側チャンバー間の強固な係合が達成されることにより、試薬が移動する過程で中間で流出する現象なしに密閉された流路が形成される。
【0049】
また、ゲノム抽出と増幅に必要なビードが収容されたビードチャンバーも外側チャンバー-ビードチャンバーの二重チャンバー構造を有することにより、水分に弱いビードの性能を長時間維持することが可能である。
【0050】
また、ビードチャンバーが開放されても、ビードチャンバーの上部に位置される除湿部によりビードの性能が維持される。
【0051】
また、前処理済みの抽出液が投入されることにより、収容部の内部に残留する空気の排出が容易に行われ、十分な容量の抽出液が増幅モジュールに投入される。
【0052】
また、増幅モジュールが複数個の収容部を有し、各収容部には互いに異なるゲノム増幅のためのプライマー及びプローブが貯蔵されており、一回のゲノム抽出を通じて数種類の疾病診断が可能である。
【0053】
また、連結されている収容部の位置により、気体移動通路と抽出液移動通路の長さや厚さ、パターンが互いに異なるように備えられ、収容部内に投入された抽出液または増幅産物が混合されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の実施例によるゲノム抽出装置の全体的な様子を示した斜視図である。
図2図1のゲノム抽出装置を他の側面から見た斜視図である。
図3図1の分解斜視図である。
図4】外側チャンバーと内側チャンバーとの係合関係を説明するための図面である。
図5】内側チャンバーと安全クリップとの係合関係を説明するための図面である。
図6】外側チャンバーの平面図である。
図7】内側チャンバーと外側チャンバーとの係合関係を説明するための一断面図である。
図8】外側チャンバーの底面に形成された突出部材を説明するための拡大図面である。
図9】内側チャンバーをより具体的に説明するための図面である。
図10】カバーをより具体的に説明するための底面斜視図である。
図11】ベースプレートと外側チャンバーとの間に配置されるフローカバーとパッドをより具体的に説明するための分解斜視図である。
図12】ピストンの構成を具体的に説明するための分解斜視図である。
図13】フローカバーの底面斜視図である。
図14】ベースプレートをより具体的に説明するための斜視図である。
図15】本発明の実施例によるゲノム抽出装置を具体的に説明するための断面図である。
図16】本発明の実施例によるゲノム抽出装置を具体的に説明するための他の断面図である。
図17】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図18】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図19】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図20】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図21】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図22】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図23】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図24】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図25】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図26】ビードチャンバーの平面図である。
図27】ビードチャンバーの構成をより具体的に説明するための斜視図である。
図28】ビードチャンバーの構成をより具体的に説明するための斜視図である。
図29図28のビードチャンバーの横断面図である。
図30図28のビードチャンバーの縦断面図であり、外側チャンバーと係合した構造を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
いくつかの場合、本発明の概念が不明瞭になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示される。
【0056】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む(comprisingまたはincluding)」というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…基」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの結合で具現されてもよい。また、「一(aまたはan)」、「一つ(one)」、「その(the)」及び類似の関連語は、本発明を記述する文脈において(特に、以下の請求項の文脈で)本明細書に他に指示されたり、文脈により明らかに反論されない限り、単数及び複数の両方を含む意味で用いられる。
【0057】
本発明の実施例を説明するにおいて、公知の機能または構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に糊塗すると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明の実施例における機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザ、オペレータの意図または慣例などにより変わり得る。したがって、その定義は、本明細書の全般にわたった内容に基づいて下されなければならない。
【0058】
以下、添付された図面を参照し、本発明を詳細に説明する。
【0059】
図1及び2を参照すると、本発明の実施例によるゲノム抽出装置1000は、外側チャンバー100、内側チャンバー200、カバー300、ベースプレート400、安全クリップ500、増幅モジュール600、ピストン700、駆動部800及びビードチャンバー900を含む。
【0060】
外側チャンバー100は、外側チャンバー隔壁により複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107に区画される。即ち、複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107は互いに独立した空間であってもよい。
【0061】
複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107は上部が開放され、下部は閉鎖された形態で具備されてもよい。一方、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面には、外側チャンバー100の中央部から第1距離だけ離隔されながら円周方向に沿って形成される第1排出孔121,122,123,124,125が貫通形成され、残りの第1空間106,107の底面には外側チャンバー100の中央部から第2距離だけ離隔されながら円周方向に沿って形成される第2排出孔126,127が貫通形成される。また、第1空間106,107の間の空間の底面には、増幅モジュール600と連通する排出孔128,129が貫通形成される。ここで、第1距離は第2距離より短くてもよいが、他の実施例では、第1距離が第2距離よりさらに長くてもよい。
【0062】
複数の第1空間101,102,103,104,105には、後述する内側チャンバー200に貯蔵された試薬が投入され、残りの複数の第1空間106,107にはビードチャンバー900に貯蔵されたビードが投入される。
【0063】
複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107の中心部には、ピストン700が挿入されるピストン挿入部108が上下貫通形成される。ピストン挿入部108にピストン700が挿入され、診断機器の駆動部(図示せず)がピストン700に係合されてピストン700を昇降させることにより、第1空間101,102,103,104,105,106,107の試薬(流体)がピストン700内部の流体収容部701に出入りすることが可能である。より具体的な内容は後述する。
【0064】
図4を参照すると、外側チャンバー100の外面上部100aは外面下部100bの上部に連結されながら、中央部に向かって陥没形成される。安全クリップ500は、外側チャンバー100の外面上部100aに係合され、外面上部100aと外面下部100bの境界が安全クリップ500の短顎の役割を果たすことにより、安全クリップ500が外面上部100aに係合した後、その係合位置が維持されてもよい。安全クリップ500は、外側チャンバー100の外面上部100aの周囲を少なくとも一部囲む長さを有し、延びる外側チャンバー係合部510及び外側チャンバー係合部510の一側に形成された取っ手520を含む。
【0065】
安全クリップ500が外側チャンバー100に係合することにより、カバー300が外側チャンバー100に係合した内側チャンバー200を加圧して内側チャンバー200の上部開口と下部開口が開放されることが防止され得る。ユーザは、取っ手520を把持して安全クリップ500を外側チャンバー100から除去した後、抽出過程を開始することが可能である。言い換えれば、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合されている時には内側チャンバー200の試薬が外側チャンバー100に投入されず、安全クリップ500が外側チャンバー100から除去されてこそ内側チャンバー200の試薬が外側チャンバー100に投入されることが可能である。
【0066】
図3~5を参照し、安全クリップ500構成をより具体的に説明する。
【0067】
安全クリップ500は、外側チャンバー係合部510、取っ手520、上部延長部530及び側部延長部540を含む。
【0068】
外側チャンバー係合部510は、外側チャンバー100の外面(具体的には、外面上部100a)の周囲を少なくとも一部囲みながら外側チャンバー100に係合する。より具体的には、外側チャンバー係合部510は、外側チャンバー100の4個の外面を囲むように外側チャンバー100に係合するが、外側チャンバー係合部510の延長末端は互いに離隔するように構成されてもよい。図1に示された通り、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、外側チャンバー係合部510の延長末端が外側チャンバー100のいずれか一つの外面にかかって、ユーザが安全クリップ500を把持し、一方向に外力を印加してこそ安全クリップ500が外側チャンバー100から分離される。
【0069】
取っ手520は、外側チャンバー係合部510から外側に向かって延びる部分であり、安全クリップ500を外側チャンバー100から分離させるために、ユーザにより把持される部分である。
【0070】
上部延長部530は、外側チャンバー係合部510の一側から上側に向かって延び、側部延長部540は、上部延長部530から外側チャンバー100の中央に向かって延びる。
【0071】
本発明の実施例による安全クリップ500は、側部延長部540の上面にカバー支持部材541が突出形成され、側部延長部540の延長末端には内側チャンバー係合部542が突出形成されることが特徴である。
【0072】
カバー支持部材541は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、カバー300の底面に形成された突出部材311,312,313,314,315,316,317が内側チャンバー200の複数の第2空間201,202,203,204,205の上部開口を封止する第1密封部材S1とビードチャンバー900の上部開口を封止する第3密封部材S3を破らないように(穿孔できないように)する役割を果たす。
【0073】
カバー支持部材541が側部延長部540の上面から上側に向かって突出形成されることにより、図15に示されたように、安全クリップ500が外側チャンバー100及び内側チャンバー200に係合する時、突出部材311,312,313,314,315,316,317と第1密封部材S1、第3密封部材S3間の接触が遮断される。したがって、安全クリップ500が外側チャンバー100及び内側チャンバー200に係合されている時は、内側チャンバー200とビードチャンバー900の穿孔が防止されることにより、内側チャンバー200に収容されている試薬とビードチャンバー900に収容されているビードが外側チャンバー100に流出する現象が防止される。
【0074】
内側チャンバー係合部542は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、内側チャンバー200の固定部230に係合する部分である。内側チャンバー係合部542が固定部230に係合されると、内側チャンバー200の底面が外側チャンバー100の底面から所定距離離隔した位置に位置され、したがって、複数の第2空間201,202,203,204,205の下部開口を封止する第2密封部材S2が外側チャンバー100の底面に形成された突出部材111,112,113,114,115により裂けることが防止される(図15を参照)。
【0075】
添付された図面では、内側チャンバー係合部542が係合突起の形態で、固定部230が前記係合突起と係合する係合溝の形態で示されるが、他の実施例では、内側チャンバー係合部542が係合溝の形態で、そして固定部230が前記係合溝と係合する係合突起の形態で具備されてもよい。
【0076】
外側チャンバー100(より具体的には、外側チャンバー隔壁)には、内側チャンバー200の固定部230が安着する空間を提供する安着部109が陥没形成される。内側チャンバー200は、 安全クリップ100との係合構造を通じて外側チャンバー100の底面から所定距離離隔した位置に固定されるが、内側チャンバー200の固定部230が安着部109に安着支持されることにより固定力がより向上することができる。
【0077】
図7を参照すると、外側チャンバー100の内壁上側には挿入空間130が陥没形成され、前記挿入空間130に内側チャンバー200の係合フック240が係合することができる。挿入空間130の上側には、ストッパー131が外側チャンバー100の内側に向かって突出形成される。したがって、カバー300により内側チャンバー200が加圧されない時は、内側チャンバー200の係合フック240がストッパー131上に位置するが、カバー300により内側チャンバー200が加圧されると、係合フック240がストッパー131を通過して挿入空間130に挿入されてもよい。
【0078】
図15を参照し、本発明の他の実施例による外側チャンバー-内側チャンバーの係合関係を説明する。図7において、内側チャンバー200に形成された係合フック240の代わりに、内側チャンバー200の外壁から外側に向かって突出する係止突起250が設けられ、係止突起250が外側チャンバー100の内壁に形成されたストッパー131にかかって内側チャンバー200の下方への移動が一部制限される。安全クリップ500が外側チャンバー100から除去され、カバー300により内側チャンバー200が加圧されると、係止突起250がストッパー131を通過して挿入空間130に挿入され、これにより、外側チャンバー100に形成された突出部材により内側チャンバー200に複数の第2空間を封止する第2密封部材S2が穿孔される。
【0079】
内側チャンバー200は、内側チャンバー隔壁により複数の第2空間201,202,203,204,205に区画される。即ち、複数の第2空間201,202,203,204,205は、互いに独立した空間であってもよい。
【0080】
複数の第2空間201,202,203,204,205の上部と下部は開放されており(即ち、複数の第2空間は、上部開口と下部開口を有する)、上部は第1密封部材S1により密封され、下部は第2密封部材S2により密封される。第1密封部材S1と第2密封部材S2は、一例としてフィルム(film)であってもよいが、これに制限されず、流体が通過しない任意の材質で製造されたフィルムが適用されてもよい。
【0081】
複数の第2空間201,202,203,204,205にはそれぞれ異なる試薬が投入され、まず、第2密封部材S2が複数の第2空間の下部を封止した後に試薬が投入され、第1密封部材S1が複数の第2空間の上部を封止することにより内側チャンバー200への試薬投入が完了することができる。
【0082】
図4を参照すると、内側チャンバー200は、上部内側チャンバー210と下部内側チャンバー220を含む。
【0083】
上部内側チャンバー210は一体で形成され、外側チャンバー100と係合時、外側チャンバー100の内壁に密着するように構成される。
【0084】
下部内側チャンバー220は上部内側チャンバー210と連結されながら、外側チャンバー100と係合時に、外側チャンバー100の内壁から離隔するように(半径方向の内側に向かうように)曲げられた部分を含む。
【0085】
本発明では、内側チャンバー-外側チャンバーからなる二重チャンバー構造を使用するため、駆動時に内側チャンバー200の試薬間の交差汚染危険性の問題があり得る。交差汚染は、内側チャンバー-外側チャンバーとの間の微細空間を通じて毛細管現象が発生して生じるが、本発明では、前記交差汚染の問題を防止するために、内側チャンバー200が外側チャンバー100の内壁から十分に離隔するように曲げられた構造を採択して毛細管現象を防止した。
【0086】
また、毛細管現象の防止のための外側チャンバー100と内側チャンバー200との離隔設計により、離隔した部分を通じて試薬が外部に流出するのを防止するために、上部内側チャンバー210が外側チャンバー100の内壁に密着するように構成した。
【0087】
一方、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面には内側チャンバー200の第2密封部材S2を破ることにより、内側チャンバー200に収容された試薬が複数の第1空間101,102,103,104,105に流出するようにする第2突出部材111,112,113,114,115が突出形成される。
【0088】
それぞれの第2突出部材111,112,113,114,115は、複数の第1空間101,102,103,104,105と一対一対応に配置されてもよく、例えば、図面符号111に該当する第2突出部材は図面符号201に該当する第2空間の下部を封止する第2密封部材S2を破り、図面符号115に該当する第2突出部材は図面符号205に該当する第2空間の下部を封止する第2密封部材S2を破ることになる。
【0089】
第2突出部材111,112,113,114,115は、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面から第1高さ(h1)だけ突出する突出部111a,112a,113a,114a,115aと、突出部111a,112a,113a,114a,115aから延び、前記底面から第1高さh1より低い第2高さh2だけ突出する羽根部111b,112b,113b,114b,115bを含む。ここで、羽根部111b,112b,113b,114b,115bは、突出部111a,112a,113a,114a,115aから左右の両方向に延びた構造であってもよい。
【0090】
突出部は第2密封部材S2を穿孔する役割を果たし、羽根部は第2密封部材S2の穿孔の部分を拡張する役割を果たす。本発明において、突出部の高さが羽根部より高いため、内側チャンバー200の下部を封止する第2密封部材S2と突出部間の点接触(point-contanct)が行われ、点接触を通じて第2密封部材S2が裂けられる時に圧力が最小化する効果を有する。したがって、より少ない力でも第2密封部材S2を破ることができる。
【0091】
突出部材111,112,113,114,115により第2密封部材S2が裂けると、内側チャンバー200の複数の第2空間201,202,203,204,205に貯蔵されている試薬が外側チャンバー100の複数の第1空間101,102,103,104,105に流出する。そして、流出した試薬が第1空間101,102,103,104,105の底面に形成された第1排出孔121,122,123,124,125を通じて排出される。第1排出孔121,122,123,124,125への試薬の流出が容易になるように、第1排出孔121,122,123,124,125の周辺には第1排出孔121,122,123,124,125に向かって下側に傾斜した部分が存在する。前記傾斜した部分は3度~10度の角度を有することができ、これを通じて第1空間101,102,103,104,105に流出した試薬が第1排出孔121,122,123,124,125に抜け出る過程が容易に行われる。
【0092】
カバー300は外側チャンバー100の上部に係合し、外側チャンバー100と内側チャンバー200の上部をカバーするように構成される。
【0093】
図10を参照すると、カバー300は、カバーボディー301及び蓋302を含む。
【0094】
カバーボディー301にはピストン挿入部108と整列する第1挿入孔307と、検体が投入される第1検体投入孔309が貫通形成され(添付された図面では第1検体投入孔309は第1空間105と整列し、第1検体投入孔309を通じて検体が第1空間105に投入される)、カバーボディー301の底面には、第1密封部材S1を破る第1突出部材311,312,313,314,315と第3密封部材S3を破る第3突出部材316,317が突出形成される。
【0095】
第1突出部材311,312,313,314,315は複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107と一対一対応に配置されてもよく、第3突出部材316,317は複数の第3空間910,920と一対一対応に配置されてもよい。例えば、図面符号311に該当する第1突出部材は図面符号201に該当する第2空間の上部を封止する第1密封部材S1を破り、図面符号315に該当する第1突出部材は図面符号205に該当する第2空間の上部を封止する第1密封部材S1を破ることになる。
【0096】
カバーボディー301の底面には、第1挿入孔307の周囲に沿って離隔部材320が形成される。離隔部材320は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合した状態で、第1突出部材と第1密封部材が互いに離隔するようにする部分である。即ち、離隔部材320がカバー支持部材541により支持されることにより、カバー300が内側チャンバー100から所定距離離隔する。
【0097】
蓋302は、カバーボディー301の一側にヒンジ回転可能に連結される。蓋302の中央部には、第1挿入孔307と整列する第2挿入孔308が貫通形成される。
【0098】
カバー300が外側チャンバー100に係合した状態で、安全クリップ500を外側チャンバー100から分離した後、カバー300を下方に向かって押圧すると、外側チャンバー100に係合されている内側チャンバー200が外側チャンバー100の内壁に沿って下降する。外側チャンバー100の底面には第2突出部材111,112,113,114,115,116,117が形成されており、カバー300の底面には第1突出部材311,312,313,314,315と第3突出部材316,317が形成されるところ、突出部材により内側チャンバー200の上部と下部開口を封止する第1密封部材S1及び第2密封部材S2、そしてビードチャンバー900の上部開口を封止する第3密封部材S3が裂けるようになる。したがって、内側チャンバー200に収容されていた試薬が外側チャンバー100の複数の第1空間101,102,103,104,105に流出し、内側チャンバー200の上部開口を封止する第2密封部材S2が裂けることにより、試薬が第1空間に十分に排出されるようにエアベント(air vent)の役割を果たす。
【0099】
ベースプレート400は外側チャンバー100の下部に係合され、試薬が外側チャンバー100の第1空間101,102,103,104,105,106,107と、ピストン700の流体収容部との間を移動する経路をガイドする複数の流路を含む。
【0100】
本発明の一実施例によると、ベースプレート400には液体が移動できる液体流路401~408と空気が移動できる空気流路409が存在し、外側チャンバー100とベースプレート400との間には外側チャンバー100と係合時に液体の漏水防止のためにベースプレート400の上面に配置されるフローカバー410とパッド420をさらに含むことができる。ベースプレート400-フローカバー410-パッド420が係合すると、ベースプレート400の液体流路と空気流路がフローカバー410及びパッド420により上面が塞がれて空間を形成し、完全な流路が完成する。
【0101】
液体流路401~408は、フローカバー410、パッド420及び外側チャンバー100と連結されて検体及び試薬が移動、混合できる空間を提供する。
【0102】
空気流路409は、増幅モジュール600とピストン700の真空制御部位を連結し、増幅モジュール600から抽出されたゲノムが移動する時に発生し得る真空を制御し、ゲノム増幅時に発生し得る増幅産物が汚染されることを防止する役割を果たす。
【0103】
一実施例において、空気流路409の一端がピストン700の流体収容部701と連通し、他端は増幅モジュール600と連通し、増幅モジュール600から排出される空気が空気流路409を通過して流体収容部701に排出されてもよい。
【0104】
ベースプレート400の上部には、複数個の流路401,402,403,404,405,406,407,408,409が形成される。それぞれの流路は互いに交差せず、 下部ボディー400の中心部から外郭部に延びるように形成される。ここで、液体流路は図面符号401~408に該当する構成であり、空気流路は図面符号409に該当する構成である。
【0105】
図14を参照すると、複数の流路の一部の流路は一端が同一の円周上に配置され、他端も互いに同一の円周上に配置されてもよい。複数の流路中、空気流路409の一端は、他の液体流路401~408の一端とは異なる円周上に位置され、他端も他の液体流路401~408の他端とは異なる円周上に位置され、真空を制御することが可能である。
【0106】
ベースプレート400の中心部には、ピストン700を回転させるピストン駆動部800が係合するようにピストン駆動部挿入孔400aが貫通形成される。
【0107】
ベースプレート400の上部の安着空間にはフローカバー410が置かれる。フローカバー410は、例えば、プラスチックで製造されてもよく、ベースプレート400の上部に安着した状態で超音波融着されてベースプレート400と一体で具備されてもよい。
【0108】
フローカバー410は、ピストン駆動部の挿入孔400aと整列する第1貫通孔410aを有し、第1貫通孔410aから第1距離離れた第1円周上に複数の第1フローカバーホール411a,412a,413a,414a,415a,416a,417a,418aが貫通形成され、第1貫通孔410aから第2距離離れた第2円周上に複数の第2フローカバーホール411b,412b,413b,414b,415bが貫通形成され、第1貫通孔410aから第3距離離れた第3円周上に複数の第3フローカバーホール416b,417b,418bが貫通形成され、空気流路409の一端と他端に連通する第4フローカバーホール419a,419bが貫通形成される。ここで、第1フローカバーホールは 下部ボディー400に形成された流路の内側一端と整列し、第2フローカバーホールと第3フローカバーホールは流路の外側他端と整列し、第4フローカバーホールは空気流路の一端及び他端と連通する。前記第2距離は、第1距離よりは長く第3距離より短くてもよい。
【0109】
図11を参照すると、第1貫通孔410aの外周上に上下部に向かって突出する第1係合突起410bがさらに形成されてもよい。
【0110】
また、フローカバー410の底面には、ベースプレート400の複数の流路縁部に沿って係合する溶融突起410cが突出形成されてもよい(図12を参照)。フローカバー410がベースプレート400の上面に設置された後、超音波融着を行う場合、溶融突起410cは溶融してベースプレート400と一体化する。これを通じて、ベースプレート400-フローカバー410との間の密着係合が可能である。
【0111】
フローカバー410の上部にはパッド420が置かれる。パッド420は、例えば、シリコン材質で製造されてもよいが、所定の弾性力を有する材質であれば、特にこれに制限されずに適用されてもよい。
【0112】
フローカバー410には、複数の第2係合突起410dが上面から突出形成され、第2係合突起410dがパッド420の係合溝420cに係合することによりフローカバー410-パッド420間の強固な係合が行われる。また、フローカバー410の第1係合突起410bもパッド420の第2貫通孔420aに挿入結合されることにより両構成間の強固な係合をなすことができる。
【0113】
パッド420は、第1貫通孔410aと整列する第2貫通孔420aを有し、第2貫通孔420aから第1距離離れた第1円周上に複数の第1パッドホール421a,422a,423a,424a,425a,426a,427a,428aが貫通形成され、第2貫通孔420aから第2距離離れた第2円周上に複数の第2パッドホール421b,422b,423b,424b,425bが貫通形成され、第2貫通孔420aから第3距離離れた第3円周上に複数の第3パッドホール426b,427b,428bが貫通形成され、空気流路409の一端と他端に連通する第4パッドホール429a,429bが貫通形成される。ここで、第1パッドホールは第1フローカバーホールと整列し、第2パッドホールは第2フローカバーホールと整列し、第3パッドホールは第3フローカバーホールと整列し、第4パッドホールは第4フローカバーホールと整列する。
【0114】
パッド420の上面には複数の第2パッドホール421b,422b,423b,424b,425b、複数の第3パッドホール426b,427b,428b、そして、空気流路の他端と連通する第4パッドホール429bが形成された部分から突出するが、上側に向かうほど狭くなる突出部がさらに形成される。突出部形成を通じてパッド420が外側チャンバー100とベースプレート400との間に密着配置されてもパッドホールの直径が意図したものとは異なって減少する問題が解決される。
【0115】
増幅モジュール600は外側チャンバー100に係合され、前処理済みの検体を収容するように構成される。検体の前処理済みとは、検体に含まれたDNA、RNAなどのゲノムが試薬内に溶出(lysis)されたという意味である。本発明によるゲノム抽出装置1000が診断機器(図示せず)に係合されると、増幅モジュール600に収容されたゲノムの増幅過程(PCRなど)が行われる。
【0116】
図1及び2を参照すると、増幅モジュール600は、垂直方向に外側チャンバー100に係合する。言い換えれば、増幅モジュール600の収容部630の上部631が下部632より地面から離れるように外側チャンバー100に係合する。
【0117】
図17~25を参照すると、増幅モジュール600は、ボディー610、注入口621,622、収容部630、気体移動通路640及び抽出液移動通路650を含む。
【0118】
ボディー610は増幅モジュール600の外形をなす部分であり、ボディー610の一側には外側チャンバー100の排出孔128,129に係合する注入口621,622が形成される。
【0119】
注入口621,622は排出孔128,129に係合し、排出孔128,129から排出される抽出液が収容部630に投入されるための入口の役割を果たす。
【0120】
本発明の実施例による増幅モジュール600は2個の注入口621,622を有することができるが、特にこれに制限されず、2個より多い個数の注入口を有する実施例も本発明の範疇に含まれ得る。
【0121】
以下では、本発明の実施例による増幅モジュール600が2個の注入口621,622を有すると仮定して具体的に説明する。
【0122】
2個の注入口621,622のいずれか一つの注入口621は空気流路409と連通し、もう一つの注入口622は液体流路408と連通する。即ち、もう一つの注入口622を通じて前処理済みの検体を含む抽出液が流入し、その過程で収容部630の空気がいずれか一つの注入口621を通じて空気流路409に排出される。
【0123】
ボディー610の他方には、注入口621を通じて流入した抽出液を受け入れる空間である収容部630が形成される。
【0124】
一例において、収容部630はボディー610の一面と反対面を全部貫通する形態で製造できるが、他の例では、一面だけを貫通し、反対面は貫通しない形態で製造されることもできる。前記二つの実施例はいずれも開放された部分がシーリング部材により密封されるという点は同一である。したがって、収容部630には気体移動通路640と抽出液移動通路650を通じてのみ抽出液と空気が投入または排出される。
【0125】
本発明の実施例による収容部630は、一つの増幅モジュール600内に1個以上具備されてもよい。図17には1個の収容部が具備された増幅モジュール、図20には2個の収容部が具備された増幅モジュール、そして、図23には4個の収容部が具備された増幅モジュールが示される。
【0126】
収容部630は略台形状を有することができ、より具体的には、縁部がラウンド処理された台形状を有することが好ましい。
【0127】
ここで、台形状とは、気体移動通路640と抽出液移動通路650から離れるほどその幅が狭くなる形態を意味する。収容部630が前記形状を有することにより、抽出液移動通路650を通じて抽出液が注入されても気泡(bubble)が発生する問題が解決される。気泡が収容部630内に残留すると、増幅過程の後、蛍光検出の過程で発生し得る検出失敗の問題が発生するため、前記収容部630の形状を通じて前記問題を解決することが可能である。
【0128】
収容部630内には、ゲノム増幅に必要なプライマー及びプローブなどが具備される。本発明の実施例による増幅モジュール600は1個以上の収容部630が具備されるが、各収容部630には互いに異なる種類のプライマー及びプローブが具備されることも可能である。したがって、一つの検体から抽出されたゲノムにおいて、複数の検出過程を同時に遂行できるという長所を有する。一例として、一つの収容部630aではコロナウイルス増幅のためのプライマー及びプローブが具備され、他の収容部630bではインフルエンザウイルス増幅のためのプライマー及びプローブが具備され、一つの増幅モジュール600で同時に多様な検出過程を行うことが可能である。
【0129】
気体移動通路640はボディー610の一面611に形成され、注入口621と収容部630の上部631を連結するように構成される。これとは反対に、抽出液移動通路650は前記一面611と反対側の反対面612に形成され、注入口622と収容部630の下部632を連結するように構成される。
【0130】
気体移動通路640は、収容部630内の気体が移動する通路役割を果たす。増幅モジュール600の流路はゲノム抽出装置100と連通し、同時に閉鎖流路の性格を有する。収容部630は、抽出液が注入される前に空気で充填された状態であるため、抽出液が注入されると、それに適した容量の空気が外部に排出されなければならない。本発明では、気体移動通路640を通じて収容部630内部の空気が注入口621を経て空気流路409に排出されることにより、収容部630内の圧力低減と共に空気が残留することにより発生する気泡の問題も解決した。気体移動通路640も収容部630と同様に、角ばった部分なしに通路の連結部分が曲線状に具備されて気泡の発生を最小化する。
【0131】
気体は抽出液のような液体より軽いため、気体移動通路640は、収容部630の上部631の末端に連結される。
【0132】
収容部630が複数個具備される場合、各収容部630に連結される気体移動通路640の長さは、それぞれ異なることが好ましい。
【0133】
収容部630が複数個具備される実施例の場合、下部に位置する収容部から抽出液が注入され、上部に位置する収容部であるほど、より遅延した時間に抽出液が注入される。したがって、収容部630の形成位置により、該当収容部630から空気が排出される時間も異なる。言い換えれば、下部に位置する収容部であるほど空気がよりはやく気体移動通路640を通じて排出される。
【0134】
また、気体移動通路640を通じては収容部630内の空気だけでなく、収容部630に投入された抽出液が共に排出されることもできる。複数の気体移動通路640は互いに連結されるため、いずれか一つの気体移動通路640を通じて排出された抽出液は、他の気体移動通路640に沿って他の収容部に投入され、抽出液または増幅産物が混合される問題が発生し得る。前記問題を解決するために、本発明では下部に位置する収容部630に連結された気体移動通路640であるほど、その長さをより長く形成し、抽出液または増幅産物が混合される問題を解決した。
【0135】
気体移動通路640の長さを互いに異にする方法は、図21に示されたように構成したり、図24に示されたように構成することができる。
【0136】
図24を参照すると、気体移動通路640は、ボディー610の一面611に形成され、収容部630の上部631と連結された気体排出通路633と連通し、ボディー610を貫通する連通孔641、移動通路642、貯蔵通路643及び通路パターン形成部644を含む。
【0137】
通路パターン形成部644は、移動通路642に所定の通路パターンが形成されるように構成される。図24を例に挙げると、通路パターン形成部644は半円状を有することができ、半円の通路パターン形成部644が線状の移動通路642と組み合わせることにより、図24に示されたような通路パターンが製造されてもよい。通路パターン形成部644は、線状の移動通路642の左側と右側に交互に移動通路642と組み合わせながら図24に示された通路パターンを形成することができる。ここで、組み合わせとは、移動通路642の空いた空間が通路パターン形成部644の形状で満たされ、満たされた空間は、流体が通過できないことを意味する。
【0138】
即ち、通路パターン形成部644と組み合わせられた気体移動通路640の部分が移動通路642に該当し、組み合わせられていない気体移動通路640の部分が貯蔵通路643に該当する。
【0139】
気体移動通路640の長さは、通路パターン形成部644が多く組み合わせられるほど、そして貯蔵通路643が多いほど、これに比例して長くなり、下部に位置する収容部であるほど、多くの個数の通路パターン形成部644と貯蔵通路643を有する。これを通じて、収容部630に収容された抽出液または増幅産物の混合を防止することができる。
【0140】
抽出液移動通路650はボディー610の一面611と反対側の反対面612に形成され、注入口622と収容部630の下部632を連結するように構成される。抽出液移動通路650は、ゲノム抽出装置1000で前処理された抽出液が移動する通路の役割を果たす。
【0141】
抽出液移動通路650も収容部630に収容された抽出液または増幅産物の混合を防止したり、同一量の抽出液が各収容部630に投入させるために、収容部630が複数個具備される場合、各抽出液移動通路650の長さが同一であるか、または長さが異なる場合、各抽出液移動通路650の厚さが異なり得る。
【0142】
また、抽出液移動通路650を通じて抽出液が移動する過程で気泡が発生する現象を防止するために、抽出液移動通路650は、角ばった部分なしに通路の連結部分が曲線状に具備されて気泡の発生を最小化する。
【0143】
図25を参照すると、抽出液移動通路650は、注入口622から延びて一地点で分岐するが、分岐する地点からは下部に位置した収容部ほど厚く、上部に位置する収容部ほど薄く具備される。通路の厚さが薄いほど速い速度で抽出液が通過するため、上部、下部の収容部を問わず、同一量の抽出液が投入されてもよい。
【0144】
ピストン700は、外側チャンバー100のピストン挿入部108に挿入され、昇降移動により外側チャンバー100に収容された試薬を吸入したり、外側チャンバー100または増幅モジュール600に吸入された試薬を排出するように構成される。
【0145】
図3及び12を参照すると、ピストン700は、上部ピストン710及び下部ピストン720を含む。
【0146】
上部ピストン710は上部が開放されており、吸入された流体が収容される流体収容部701が内部に形成される。上部ピストン710の内部には密着部711が設置される。密着部711の外面は、上部ピストン710の内面と密着して密着部711の外面と上部ピストン710の内面との間の空間を通じては流体の出入りが不可能である。密着部711の中央には、診断機器の駆動部(図示せず)が係合する駆動部設置部711aが陥没形成される。診断機器の駆動部(図示せず)は駆動部設置部711aに係合し、密着部711を上部ピストン710の内部で昇降させることにより流体収容部701に流体を吸入したり、流体収容部701に収容された流体を外部に排出させる。
【0147】
上部ピストン710の底面には下部ピストン720と噛み合う係合構造が形成されてもよく、下部ピストン720の液体ポートと連結される第1ホール712及び下部ピストン720のフィルターポートと連結される第2ホール713が貫通形成される。第2ホール713は、支持構造体及びフィルターの離脱を防止できるように、フィルターポートのフィルター安着空間より小さい直径を有するように形成される。
【0148】
下部ピストン720は、上部ピストン710の底面に形成された結合構造に噛み合って固定される。
【0149】
下部ピストン720は、円板状の胴体721と、胴体721の中心から外部に突出するように形成されるシャフト722と、胴体721の中心から同一の距離離れて配置される液体ポート723及びフィルターポート724を含むことができる。
【0150】
液体ポート723は、検体及び試薬をピストン700内部に吸入、混合及び排出する時に利用され、フィルターポート724は、ゲノム捕集フィルターを洗浄したり、ゲノム捕集フィルターからゲノムを分離する時に用いる。
【0151】
また、下部ピストン720の胴体721の外周には、中心方向に凹んだ溝が形成されてもよい。この溝は、抽出装置の内部で液体移動時に発生し得る真空を除去する役割を果たす。
【0152】
液体ポート723とフィルターポート724は、同一円周上で互いに一定角度離れて配置される。例えば、フィルターポート724と液体ポート723の二つのポートは、18度~36度だけ互いに離れて配置されてもよく、より具体的には、二つのポートは、22.5度の間隔をなすように配置されてもよい。16回に分割して一回転するステップモーターを用いる場合、一回の駆動により液体ポート723とフィルターポート724の位置を変更することができる。
【0153】
下部ピストン720のフィルターポート724は、フィルター安着空間725を含むことができ、フィルター安着空間725にはフィルター及び支持構造体が配置されてもよい。ゲノム捕集のためのフィルターは、様々な粒度を有するグラスファイバーフィルターが用いられ、支持構造体は、ゲノム捕集のためのフィルターを固定させる役割を果たす。
【0154】
支持構造体は、流体排出時にフィルターの離脱を防止し、一定の圧力を維持できるように一定の粒度を有する多孔性プラスチック材質で形成されてもよい。
【0155】
駆動部800は診断機器の駆動部(図示せず)と連結され、ピストン700を一定の角度で回転させるメディエーターの役割を果たす。
【0156】
駆動部800は一面の中央部にシャフト722と噛み合うように形成される係合溝と、他面に診断機器の駆動部(図示せず)と噛み合うように形成される駆動溝を含むことができる。
【0157】
駆動部800は、ピストン700と係合してゲノム抽出段階で必要な多様な化学的反応を一つの装置内部で行えるように適切な外側チャンバー100の第1排出孔の位置に液体ポート723とフィルターポート724を位置させる。
【0158】
液体ポート723とフィルターポート724は一定の角度離隔しており、駆動部800はゲノム抽出時に前記ポートを各段階に適した位置に回転させる。
【0159】
ビードチャンバー900は第1ビードチャンバー910、第2ビードチャンバー920及び除湿チャンバー930を含み、これらは第1ビードチャンバー隔壁901と第2ビードチャンバー902により区画される。第1ビードチャンバー910は外側チャンバー100の第1空間106に挿入され、第2ビードチャンバー920は外側チャンバー100の第1空間107に挿入される。
【0160】
内側チャンバー200と同様に、ビードチャンバー900の上部開口も第3密封部材S3により密封されており、第3密封部材S3は、カバー300が外側チャンバー100に係合する時、カバー300の底面に形成された第3突出部材316,317により穿孔される。第3突出部材316,317によりビードチャンバー900の上部開口が開放されることにより、その後に第1ビードチャンバー910と第2ビードチャンバー920内に流体が投入されてもこれに対応する量の空気が穿孔された部分を通じて排出されることが可能である。
【0161】
ビードチャンバー900の下部開口は、別途に密封部材により密封されずに開放された形態で具備される。ビードチャンバー900には乾燥ビードより具体的には、凍結乾燥ビードが貯蔵されるが、乾燥ビードは水分に弱い特性を有する。本発明によるゲノム抽出装置では、ビードチャンバー900の下部開口、外側チャンバー100の第1空間、フローカバー410、パッド420、ベースプレート400の流路、増幅モジュール600の流路が互いに連通するが、外気に露出しない閉鎖された(closed)形態の流路をなすことにより、ビードチャンバー900内部への水分流入が最小化する。
【0162】
第1ビードチャンバー910にはゲノム抽出に必要な数個の乾燥ビード(b1)が貯蔵されてもよく、第2ビードチャンバー920にはゲノム増幅に必要な数個の乾燥ビード(b2)が貯蔵されてもよい。
【0163】
第1ビードチャンバー910の上部開口には、乾燥ビード(b1)が外部に排出されずに内部に維持されるように構成された第1ビードホルダー911が設置され、除湿チャンバー930には第1ビードチャンバー910の内部空間の除湿のための第1除湿部912が設置される。ここで、ゲノム増幅に必要な乾燥ビードは、例えば、カプセル(capsule)の形態で具備されるが、特にこれに限定されるものではない。
【0164】
第2ビードチャンバー920の上部開口には、乾燥ビード(b2)が外部に排出されずに内部に維持されるように構成された第2ビードホルダー921が設置され、第2ビードホルダー921の上部には、第2ビードチャンバー920の内部を除湿する第2除湿部922が設置される。第3密封部材S3は第2ビードチャンバー920が、除湿チャンバー930及び第1ビードチャンバー910と互いに連通しないように封止するが、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930は、互いに連通するように封止する。図26及び27を参照し、これを具体的に説明する。
【0165】
前記効果は、第1ビードチャンバー隔壁901と第2ビードチャンバー隔壁902の高さ差の構成を通じて達成される。図26及び27を参照すると、第2ビードチャンバー920と除湿チャンバー930を区画する第2ビードチャンバー隔壁902は、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930を区画する第1ビードチャンバー隔壁901より高い高さを有する。
【0166】
言い換えれば、第2ビードチャンバー隔壁902の上部は、第2ビードチャンバー920をなす外側隔壁の上部と同一の高さまで延び、第1ビードチャンバー隔壁901の上部は、第1ビードチャンバー910をなす外側隔壁の上部より低い高さまで延びる。
【0167】
したがって、第3密封部材S3によりビードチャンバー900の上部開口が密封されても、第1ビードチャンバー隔壁901と第3密封部材S3との間の空間を通じて、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930が互いに連通することができる。したがって、第1ビードチャンバー910は、除湿チャンバー930の内部に設置された第2除湿部912により除湿される。
【0168】
第1ビードチャンバー910の下部開口912(即ち、第1ビードチャンバーの排出口)と、第2ビードチャンバー920の下部開口922(即ち、第2ビードチャンバーの排出口)は、ビードチャンバー900からベースプレート400に向かうほど狭くなる排出通路911,921の末端に形成される。
【0169】
排出通路911,921の内部に乾燥ビードが収容されてもよく、排出通路911,921の上部にビードホルダーが設置され、排出通路911,921に収容されたビードの外部流出を防止することができる。
【0170】
排出通路911,921は、ベースプレート400に向かうほど狭くなる、いわゆるテーパーの形状を有することができる。そして、排出通路911,921の末端に位置する下部開口912,922の直径は乾燥ビードの直径より小さく具備され、下部開口912,922を通じてはビードが外部に排出されない。流体が下部開口912,922を通じて排出通路911,921の内部に流入し、流入した流体が乾燥ビードを溶かし、流体の形態を通じてのみ下部開口912,922を通じて外部(ピストンの流体収容部または増幅モジュール)に排出されてもよい。
【0171】
ここで、ゲノム増幅に必要な乾燥ビードが貯蔵された第1ビードチャンバー910の排出通路911は、第2ビードチャンバー920の排出通路921よりも広い直径を有し、ベースプレート400に向かうほど狭くなることができる。
【0172】
増幅モジュール600に向かって前処理された抽出液が投入される前に、最後の流体が投入される構成が第1ビードチャンバー910に該当する。第1ビードチャンバー910に投入された流体が第1ビードチャンバー910内に最大限に残留することなく、増幅モジュール600の収容部630に投入されてこそ正確な検出結果を得られることが可能であるため、本発明では第1ビードチャンバー910の排出通路911が第2ビードチャンバー920の排出通路921よりも広い直径を有し、狭くなるように形成することにより、第1ビードチャンバー910内における流体残留量を最小化した。
【0173】
また、本発明によるビードチャンバー900は、第1ビードチャンバー910と第2ビードチャンバー920の外側隔壁の底面から延びる第1係止突起903,904を有する。図28及び30に示されたように、第1係止突起903,904はベースプレート400に向かって延び、外側に向かって突出した構造で形成されてもよい。
【0174】
ビードチャンバー900と係合する外側チャンバー100には、複数の第1空間を区画する外側チャンバー隔壁の一側に第2係止突起109が形成され、ビードチャンバー900をベースプレート400の方向に力を入れると、第1係止突起903,904が第2係止突起109を経て互いが係合することにより、両構成間の強固な係合が行われる。第1係止突起903,904が第2係止突起109と係合する場合、ビードチャンバー900の外側チャンバー100に対する相対位置が固定される。
【0175】
以下では、本発明の実施例による抽出方法を具体的に説明する。
【0176】
まず、(a)外側チャンバーの複数の第1空間の上部開口を通じて内側チャンバーが外側チャンバーと係合する。ここで、内側チャンバーの固定部は、安全クリップの内側チャンバー係合部と係合した状態で外側チャンバーに係合することが好ましい。
【0177】
次に、(b)カバーが外側チャンバーに係合し、(c)安全クリップが外側チャンバーから除去される。
【0178】
次に、(d)カバーが加圧されてカバーの底面に形成された第1突出部材により内側チャンバーの上部開口を封止する第1密封部材が破られ、外側チャンバーの複数の第1空間の底面に形成された第2突出部材により内側チャンバーの下部開口を封止する第2密封部材が破られ、内側チャンバーに収容された試薬が複数の第1空間に流出し、(e)駆動部の駆動により、複数の第1空間に流出した試薬が上部ピストン内部の流体収容部に吸入及び混合された後、混合された試薬が増幅モジュールに排出される。
【0179】
前記(e)段階は、複数の段階で行われる。以下では、(e)段階をより具体的に後述する。
まず、(e1)カバーの検体投入孔を通じて分析対象検体が前記外側チャンバーの複数の第1空間のいずれか一つの第1空間に投入される。
【0180】
次に、(e2)外側チャンバーのピストン収容部に設置されたピストンが回転し、ピストンの液体ポートと分析対象検体が投入された前記いずれか一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0181】
次に、(e3)前記ピストン内部空間に設置された密着部が上昇し、前記いずれか一つの第1空間に収容された分析対象検体が前記外側チャンバー内部の流体収容部に吸入される。
【0182】
次に、(e4)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートともう一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0183】
次に、(e5)密着部が上昇し、前記もう一つの第1空間に収容された第1試薬が外側チャンバー内部の流体収容部に吸入されることにより、分析対象検体と第1試薬が流体収容部内で混合される。
【0184】
次に、(e6)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートとまた他の一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0185】
次に、(e7)密着部が上昇し、前記また他の一つの第1空間に収容された第2試薬が外側チャンバー内部の流体収容部に吸入されることにより、分析対象検体と前記第1試薬及び前記第2試薬が混合される。
【0186】
次に、(e8)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートと前記また他の一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0187】
次に、(e9)密着部が下降し、流体収容部に収容された混合液がフィルターポートに設置されたゲノム捕集フィルターを通過して前記また他の一つの第1空間に排出される。
【0188】
次に、(e10)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと第1試薬と第2試薬と他の試薬が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0189】
次に、(e11)密着部が上昇し、他の試薬が流体収容部内に吸入及び混合される。
【0190】
次に、(e12)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートと他の試薬が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0191】
次に、(e13)密着部が下降し、流体収容部に収容された混合液がゲノム捕集フィルターを通過して他の試薬が収容された第1空間に排出される。
【0192】
次に、(e14)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと溶離液が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0193】
次に、(e15)密着部が上昇し、溶離液が流体収容部内に吸入される。
【0194】
次に、(e16)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートとゲノム増幅に必要なビードが収容された第1空間の底面に形成された第2排出孔が連通する。
【0195】
次に、(e17)密着部が下降し、流体収容部に収容された溶離液がゲノム捕集フィルターを通過し、ゲノム増幅に必要なビードが収容された第1空間に排出される段階として、ゲノム捕集フィルターに捕集されたゲノムがゲノム捕集フィルターから分離して前記第1空間に共に排出される。
【0196】
次に、(e18)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートとゲノムが収容された第1空間の底面に形成された第2排出孔が連通する。
【0197】
次に、(e19)密着部が上昇し、ゲノムを含む抽出液が流体収容部内に吸入される。
【0198】
次に、(e20)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと増幅モジュールが連通する。
【0199】
次に、(e21)密着部が下降し、流体収容部に収容されたゲノムを含む抽出液が前記増幅モジュールに排出される。
【0200】
次に、(e22)抽出液が増幅モジュールの抽出液移動通路を通じて増幅モジュールの収容部に投入される。
【0201】
次に、(e23)収容部の残留する空気が増幅モジュールの気体移動通路を通じて増幅モジュール外部に排出される。
【0202】
次に、(e24)増幅装置が収容部に所定温度以上の熱を印加し、前記ゲノムの増幅が行われる。
【0203】
次に、(e25)前記ゲノムの増幅産物の蛍光強度に基づいて、分析対象検体に対する疾病感染の有無が判断される。
【0204】
以上、本明細書には本発明を当業者が容易に理解して再現できるように図面に示した実施例を参考として説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、本発明の実施例から多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解できるだろう。したがって、本発明の保護範囲は、請求の範囲により定めなければならない。
【符号の説明】
【0205】
S1:第1密封部材
S2:第2密封部材
S3:第3密封部材
S4,S5:シーリング部材
100:外側チャンバー
100a:外面上部
100b:外面下部
101,102,103,104,105,106,107:第1空間
108:ピストン挿入部
109:安着部
111,112,113,114,115:第2突出部材
111a,112a,113a,114a,115a:突出部
111b,112b,113b,114b,115b:羽根部
119:第2係止突起
121,122,123,124,125:第1排出孔
126,127,129:第2排出孔
128:空気排出孔
130:挿入空間
131:ストッパー
200:内側チャンバー
201,202,203,204,205:第2空間
210:上部内側チャンバー
220:下部内側チャンバー
230:固定部
300:カバー
301:カバーボディー
302:蓋
307:第1挿入孔
308:第2挿入孔
311,312,313,314,315:第1突出部材
316,317:第3突出部材
320:離隔部材
400:ベースプレート
400a:ピストン駆動部挿入孔
401,402,403,404,405,406,407,408:液体流路
409:空気流路
410:フローカバー
410a:第1貫通孔
410b:第1係合突起
410c:溶融突起
410d:第2係合突起
411a,412a,413a,414a,415a,416a,417a,418a:第1フローカバーホール
411b,412b,413b,414b,415b:第2フローカバーホール
416b,417b,418b:第3フローカバーホール
419a,419b:第4フローカバーホール
420:パッド
420a:第2貫通孔
421a,422a,423a,424a,425a,426a,427a,428a:第1パッドホール
421b,422b,423b,424b,425b:第2パッドホール
426b,427b,428b:第3パッドホール
429a、429b:第4パッドホール
420c:係合溝
500:安全クリップ
510:外側チャンバー係合部
520:取っ手
530:上部延長部
540:側部延長部
541:カバー支持部材
542:内側チャンバー係合部
600:増幅モジュール
610:ボディー
611:一面
612:反対面
621,622:注入口
630:収容部
631:上部
632:下部
633:気体排出通路
640:気体移動通路
641:連通孔
642:移動通路
643:貯蔵通路
644:通路パターン形成部
650:抽出液移動通路
700:ピストン
701:流体収容部
710:上部ピストン
711:密着部
711a:駆動部設置部
712:第1ホール
713:第2ホール
720:下部ピストン
721:胴体
722:シャフト
723:液体ポート
724:フィルターポート
800:駆動部
900:ビードチャンバー
910:第1ビードチャンバー
911:第1ビードホルダー
912:第1除湿部
920:第2ビードチャンバー
921:第2ビードホルダー
922:第2除湿部
930:除湿チャンバー
1000:ゲノム抽出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出装置に係合し、前記抽出装置から抽出される抽出液を収容する増幅モジュールであって、
ボディー;
前記ボディーの一側に形成され、前記抽出装置の排出孔と連通する一つ以上の注入口;
前記ボディーの他側に形成され、前記抽出液を収容する空間である収容部;
前記ボディーの一面に形成され、前記一つ以上の注入口のいずれか一つの注入口と前記収容部を連結する気体移動通路;及び
前記ボディーの一面の反対面に形成され、前記一つ以上の注入口中のもう一つの注入口と前記収容部を連結する抽出液移動通路;を含む、増幅モジュール。
【請求項2】
前記気体移動通路は、前記収容部の上部と連結され、
前記抽出液移動通路は、前記収容部の下部と連結される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項3】
前記収容部の縁部はラウンド処理された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項4】
前記気体移動通路と前記抽出液移動通路は、前記注入口から前記収容部に至るまで一回以上曲げられ、曲げられた部分の縁部はラウンド処理された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項5】
前記収容部は、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路から離れるほどその幅が狭くなる形状を有する、請求項3に記載の増幅モジュール。
【請求項6】
前記収容部は複数個具備され、
前記気体移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記いずれか一つの注入口から延長形成され、
前記抽出液移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記もう一つの注入口から延長形成される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項7】
複数個の気体移動通路は、その長さが互いに異なって形成される、請求項6に記載の増幅モジュール。
【請求項8】
前記気体移動通路は、上部に位置する収容部と連結されたものであるほどその長さが短い、請求項7に記載の増幅モジュール。
【請求項9】
前記気体移動通路は、
前記収容部と連通しながら前記ボディーに貫通形成された連通孔;
前記連通孔から延びる移動通路;
所定容量の気体を収容する貯蔵通路;及び
前記移動通路の一地点以上に組み合わされ、組み合わされた部分の移動通路を閉鎖する通路パターン形成部;を含むが、
上部に位置する収容部と連結された気体移動通路であるほど前記貯蔵通路の個数及び前記通路パターン形成部が組み合わされた地点が多い、請求項8に記載の増幅モジュール。
【請求項10】
複数個の抽出液移動通路は、その長さが互いに異なって形成される、請求項6に記載の増幅モジュール。
【請求項11】
長さが異なる複数個の抽出液移動通路は、上部に位置する収容部に連結された抽出液移動通路であるほどその厚さが薄い、請求項10に記載の増幅モジュール。
【請求項12】
前記抽出液移動通路は、前記注入口から一地点まで一つに延び、前記一地点から各収容部に向かって分岐される、請求項10に記載の増幅モジュール。
【請求項13】
前記抽出液移動通路は、分岐された前記一地点からその厚さが異なる、請求項12に記載の増幅モジュール。
【請求項14】
前記収容部には、抽出液に含まれたゲノムを増幅するための物質が貯蔵された、請求項1に記載の増幅モジュール。
【請求項15】
前記収容部は複数個具備され、
前記複数個の収容部のそれぞれにはゲノムを増幅するための互いに異なる物質が貯蔵された、請求項14に記載の増幅モジュール。
【請求項16】
前記ボディーの前記一面と前記反対面は、前記一面と前記反対面に付着するシーリング部材により密封される、請求項1に記載の増幅モジュール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体移動通路と抽出液移動通路を有する増幅モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、バイオテクノロジーの進歩により遺伝子レベルで疾病の原因を解釈することが可能になった。それにより、ヒトの疾病を治癒または予防するための生体試料の操作及び生化学的分析に対する要求が次第に増加している。
【0003】
併せて、疾病の診断に加え、新薬開発、ウイルスやバクテリア感染の有無の事前検査及び法医学などの多様な分野で生体試料や細胞が含まれた試料から核酸を抽出、分析する技術が求められる。
【0004】
従来のゲノム抽出装置は、処理過程(濃縮、精製)別にそれぞれの装置が必要であり、一つの処理過程が終わった後、別の装置に移動させなければならないため、長い時間を必要とする。
【0005】
このような長い処理過程で検出効率性が低いという従来の問題点を解決するために、本出願人による登録特許第10-1989920号などが開発されて使用されてきた。
【0006】
前記文献では、バッファーチャンバーの内部に直接バッファーを分注して保管するが、長期保管時にバッファーチャンバーの下部の多様な層構造を通じて微細漏れが発生し、抽出性能に悪影響を及ぼす問題があった。
【0007】
また、上部ボディーとベースプレートとの間に配置されるパッドがゴム材質で形成されるが、パッドが上部ボディーとベースプレートとの間で圧着されることにより、パッドに貫通形成されたホールの直径が減少することにより、製品設計の意図とは異なる容量の抽出液が増幅モジュールに移動する問題があった。
【0008】
それだけでなく、製品の生産及び流通中に発生する振動によりバッファーチャンバーを封止する密封部材が突出部材により穿孔され、バッファーチャンバーの内部に保管された試薬が流出及び汚染される問題があった。
【0009】
そこで、本発明者らは、従来のゲノム抽出装置の問題点を解決するために、本発明を着目して完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許文献第10-1989920号
【特許文献2】韓国登録特許文献第10-2065649号
【特許文献3】韓国登録特許文献第10-2065650号
【特許文献4】韓国登録特許文献第10-2076220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によると、ゲノム抽出に必要な試薬が収容された内側チャンバーが外側チャンバーと別途に具備され、内側チャンバーの上部と下部が密封されることにより、従来のゲノム抽出装置において単一チャンバーに収容された試薬が外部に流出する問題を解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0012】
また、製品の生産及び流通過程中に発生する振動によりインナーチャンバーが上下に移動することにより、カバー及び外側チャンバーに形成された突出部材によりインナーチャンバーの上部開口と下部開口を封止する密封部材が穿孔されることを防止するための安全クリップを含むゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0013】
また、二重チャンバー間の空間を通じて発生する毛細管現象により試薬間の交差汚染の問題を特有の内側チャンバー設計(下部内側チャンバー)を通じて解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0014】
また、毛細管現象を防止するための構造において、試薬が外部に流出することを防止するために、特有の内側チャンバー設計(上部内側チャンバー)を通じて解決したゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0015】
また、外側チャンバーの底面に形成された第1突出部材の構成により、少ない力でも密封部材を破ることができ、穿孔された部分が拡張され、内側チャンバーの内部に収容された試薬が外部に円滑に流出するゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0016】
また、試薬が排出される排出孔の周辺に傾斜した部分が形成され、排出孔を通じて試薬が円滑に排出されるゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0017】
また、外側チャンバーとベースプレートとの間に二重構造のフローカバー-パッドが配置されることにより、従来1個のパッドのみが配置されるゲノム抽出装置に比べて、製造の便宜性が向上し、意図せずに流路が狭くなる問題が解決されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0018】
また、ベースプレート-フローカバー-パッド-外側チャンバー間の強固な係合が達成されることにより、試薬が移動する過程において中間で流出する現象なしに密閉された流路が形成されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0019】
また、ゲノム抽出と増幅に必要なビードが収容されたビードチャンバーも外側チャンバー-ビードチャンバーの二重チャンバー構造を有することにより、水分に弱いビードの性能を長時間維持することが可能なゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0020】
また、ビードチャンバーが開放されても、ビードチャンバーの上部に位置する除湿部によりビードの性能が維持されるゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0021】
また、前処理済みの抽出液が投入されるにつれて収容部の内部に残留する空気の排出が容易に行われることにより、十分な容量の抽出液が投入される増幅モジュールが適用されたゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0022】
また、増幅モジュールが複数個の収容部を有し、各収容部には互いに異なるゲノム増幅のためのプライマー及びプローブが貯蔵されており、一回のゲノム抽出を通じて数種類の疾病診断が可能なゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0023】
また、連結されている収容部の位置により、気体移動通路と抽出液移動通路の長さや厚さ、パターンが互いに異なるように備えられ、収容部内に投入された抽出液または増幅産物が混合することを防止するゲノム抽出装置を提供することにその目的がある。
【0024】
また、本発明は、前述したゲノム抽出装置を用いたゲノム抽出方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記のような課題を解決するための本発明の一実施例は、抽出装置に係合し、前記抽出装置から抽出される抽出液を収容する増幅モジュールであって、ボディー、前記ボディーの一側に形成され、前記抽出装置の排出孔と連通する一つ以上の注入口、前記ボディーの他側に形成され、前記抽出液を収容する空間である収容部、前記ボディーの一面に形成され、前記一つ以上の注入口のいずれか一つの注入口と前記収容部を連結する気体移動通路及び前記ボディーの一面の反対面に形成され、前記一つ以上の注入口中のもう一つの注入口と前記収容部を連結する抽出液移動通路を含む、増幅モジュールを提供する。
【0026】
一実施例において、前記気体移動通路は前記収容部の上部と連結され、前記抽出液移動通路は前記収容部の下部と連結されてもよい。
【0027】
一実施例において、前記収容部の縁部はラウンド処理されたものであってもよい。
【0028】
一実施例において、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路は、前記注入口から前記収容部に至るまで一回以上曲げられ、曲げられた部分の縁部はラウンド処理されたものであってもよい。
【0029】
一実施例において、前記収容部は、前記気体移動通路と前記抽出液移動通路から離れるほどその幅が狭くなる形状を有することができる。
【0030】
一実施例において、前記収容部は複数個具備され、前記気体移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記いずれか一つの注入口から延長形成され、前記抽出液移動通路は、前記複数個の収容部に一対一対応して連結されるように前記もう一つの注入口から延長形成されてもよい。
【0031】
一実施例において、複数個の気体移動通路は、その長さが互いに異なって形成されてもよい。
【0032】
一実施例において、前記気体移動通路は、上部に位置する収容部と連結されたものであるほどその長さが短くてもよい。
【0033】
一実施例において、前記気体移動通路は、前記収容部と連通しながら前記ボディーに貫通形成された連通孔、前記連通孔から延びる移動通路、所定容量の気体を収容する貯蔵通路及び前記移動通路の一地点以上に組み合わされ、組み合わされた部分の移動通路を閉鎖する通路パターン形成部を含むが、上部に位置する収容部と連結された気体移動通路であるほど前記貯蔵通路の個数及び前記通路パターン形成部が組み合わされた地点が多くてもよい。
【0034】
一実施例において、複数個の抽出液移動通路は、その長さが互いに異なって形成されてもよい。
【0035】
一実施例において、長さが異なる複数個の抽出液移動通路は、上部に位置する収容部に連結された抽出液移動通路であるほどその厚さが薄くてもよい。
【0036】
一実施例において、前記抽出液移動通路は前記注入口から一地点まで一つに延び、前記一地点から各収容部に向かって分岐されてもよい。
【0037】
一実施例において、前記抽出液移動通路は分岐された前記一地点からその厚さが異なってもよい。
【0038】
一実施例において、前記収容部には抽出液に含まれたゲノムを増幅するための物質が貯蔵されてもよい。
【0039】
一実施例において、前記収容部は複数個具備され、前記複数個の収容部のそれぞれにはゲノムを増幅するための互いに異なる物質が貯蔵されてもよい。
【0040】
一実施例において、前記ボディーの前記一面と前記反対面は、前記一面と前記反対面に付着するシーリング部材により密封されてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によるゲノム抽出装置は、ゲノム抽出に必要な試薬が収容された内側チャンバーが外側チャンバーと別途に具備され、内側チャンバーの上部と下部が密封されることにより、従来のゲノム抽出装置において単一チャンバーに収容された試薬が外部に流出する問題が解決される。
【0042】
また、製品の生産及び流通過程中に発生する振動によりインナーチャンバーが上下に移動することにより、カバー及び外側チャンバーに形成された突出部材によりインナーチャンバーの上部開口と下部開口を封止する密封部材が穿孔されることが防止される。
【0043】
また、二重チャンバー間の空間を通じて発生する毛細管現象により試薬間の交差汚染問題が解決される。
【0044】
また、毛細管現象を防止するための構造において、試薬が外部に流出することが防止される。
【0045】
また、外側チャンバーの底面に形成された突出部材の構成により、少ない力でも密封部材を破ることができ、穿孔された部分が拡張され、内側チャンバーの内部に収容された試薬が外部に円滑に流出する。
【0046】
また、試薬が排出される排出孔の周辺に傾斜した部分が形成され、排出孔を通じて試薬が円滑に排出される。
【0047】
また、外側チャンバーとベースプレートとの間に二重構造のフローカバー-パッドが配置されることにより、従来1個のパッドのみが配置されるゲノム抽出装置に比べて、製造の便宜性が向上し、意図せずに流路が狭くなる問題が解決される。
【0048】
また、ベースプレート-フローカバー-パッド-外側チャンバー間の強固な係合が達成されることにより、試薬が移動する過程で中間で流出する現象なしに密閉された流路が形成される。
【0049】
また、ゲノム抽出と増幅に必要なビードが収容されたビードチャンバーも外側チャンバー-ビードチャンバーの二重チャンバー構造を有することにより、水分に弱いビードの性能を長時間維持することが可能である。
【0050】
また、ビードチャンバーが開放されても、ビードチャンバーの上部に位置される除湿部によりビードの性能が維持される。
【0051】
また、前処理済みの抽出液が投入されることにより、収容部の内部に残留する空気の排出が容易に行われ、十分な容量の抽出液が増幅モジュールに投入される。
【0052】
また、増幅モジュールが複数個の収容部を有し、各収容部には互いに異なるゲノム増幅のためのプライマー及びプローブが貯蔵されており、一回のゲノム抽出を通じて数種類の疾病診断が可能である。
【0053】
また、連結されている収容部の位置により、気体移動通路と抽出液移動通路の長さや厚さ、パターンが互いに異なるように備えられ、収容部内に投入された抽出液または増幅産物が混合されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の実施例によるゲノム抽出装置の全体的な様子を示した斜視図である。
図2図1のゲノム抽出装置を他の側面から見た斜視図である。
図3図1の分解斜視図である。
図4】外側チャンバーと内側チャンバーとの係合関係を説明するための図面である。
図5】内側チャンバーと安全クリップとの係合関係を説明するための図面である。
図6】外側チャンバーの平面図である。
図7】内側チャンバーと外側チャンバーとの係合関係を説明するための一断面図である。
図8】外側チャンバーの底面に形成された突出部材を説明するための拡大図面である。
図9】内側チャンバーをより具体的に説明するための図面である。
図10】カバーをより具体的に説明するための底面斜視図である。
図11】ベースプレートと外側チャンバーとの間に配置されるフローカバーとパッドをより具体的に説明するための分解斜視図である。
図12】ピストンの構成を具体的に説明するための分解斜視図である。
図13】フローカバーの底面斜視図である。
図14】ベースプレートをより具体的に説明するための斜視図である。
図15】本発明の実施例によるゲノム抽出装置を具体的に説明するための断面図である。
図16】本発明の実施例によるゲノム抽出装置を具体的に説明するための他の断面図である。
図17】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図18】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図19】本発明の第1実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図20】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図21】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図22】本発明の第2実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図23】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図24】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図25】本発明の第3実施例による増幅モジュールを説明するための図面である。
図26】ビードチャンバーの平面図である。
図27】ビードチャンバーの構成をより具体的に説明するための斜視図である。
図28】ビードチャンバーの構成をより具体的に説明するための斜視図である。
図29図28のビードチャンバーの横断面図である。
図30図28のビードチャンバーの縦断面図であり、外側チャンバーと係合した構造を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
いくつかの場合、本発明の概念が不明瞭になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示される。
【0056】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む(comprisingまたはincluding)」というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…基」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの結合で具現されてもよい。また、「一(aまたはan)」、「一つ(one)」、「その(the)」及び類似の関連語は、本発明を記述する文脈において(特に、以下の請求項の文脈で)本明細書に他に指示されたり、文脈により明らかに反論されない限り、単数及び複数の両方を含む意味で用いられる。
【0057】
本発明の実施例を説明するにおいて、公知の機能または構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に糊塗すると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明の実施例における機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザ、オペレータの意図または慣例などにより変わり得る。したがって、その定義は、本明細書の全般にわたった内容に基づいて下されなければならない。
【0058】
以下、添付された図面を参照し、本発明を詳細に説明する。
【0059】
図1及び2を参照すると、本発明の実施例によるゲノム抽出装置1000は、外側チャンバー100、内側チャンバー200、カバー300、ベースプレート400、安全クリップ500、増幅モジュール600、ピストン700、駆動部800及びビードチャンバー900を含む。
【0060】
外側チャンバー100は、外側チャンバー隔壁により複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107に区画される。即ち、複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107は互いに独立した空間であってもよい。
【0061】
複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107は上部が開放され、下部は閉鎖された形態で具備されてもよい。一方、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面には、外側チャンバー100の中央部から第1距離だけ離隔されながら円周方向に沿って形成される第1排出孔121,122,123,124,125が貫通形成され、残りの第1空間106,107の底面には外側チャンバー100の中央部から第2距離だけ離隔されながら円周方向に沿って形成される第2排出孔126,127が貫通形成される。また、第1空間106,107の間の空間の底面には、増幅モジュール600と連通する排出孔128,129が貫通形成される。ここで、第1距離は第2距離より短くてもよいが、他の実施例では、第1距離が第2距離よりさらに長くてもよい。
【0062】
複数の第1空間101,102,103,104,105には、後述する内側チャンバー200に貯蔵された試薬が投入され、残りの複数の第1空間106,107にはビードチャンバー900に貯蔵されたビードが投入される。
【0063】
複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107の中心部には、ピストン700が挿入されるピストン挿入部108が上下貫通形成される。ピストン挿入部108にピストン700が挿入され、診断機器の駆動部(図示せず)がピストン700に係合されてピストン700を昇降させることにより、第1空間101,102,103,104,105,106,107の試薬(流体)がピストン700内部の流体収容部701に出入りすることが可能である。より具体的な内容は後述する。
【0064】
図4を参照すると、外側チャンバー100の外面上部100aは外面下部100bの上部に連結されながら、中央部に向かって陥没形成される。安全クリップ500は、外側チャンバー100の外面上部100aに係合され、外面上部100aと外面下部100bの境界が安全クリップ500の短顎の役割を果たすことにより、安全クリップ500が外面上部100aに係合した後、その係合位置が維持されてもよい。安全クリップ500は、外側チャンバー100の外面上部100aの周囲を少なくとも一部囲む長さを有し、延びる外側チャンバー係合部510及び外側チャンバー係合部510の一側に形成された取っ手520を含む。
【0065】
安全クリップ500が外側チャンバー100に係合することにより、カバー300が外側チャンバー100に係合した内側チャンバー200を加圧して内側チャンバー200の上部開口と下部開口が開放されることが防止され得る。ユーザは、取っ手520を把持して安全クリップ500を外側チャンバー100から除去した後、抽出過程を開始することが可能である。言い換えれば、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合されている時には内側チャンバー200の試薬が外側チャンバー100に投入されず、安全クリップ500が外側チャンバー100から除去されてこそ内側チャンバー200の試薬が外側チャンバー100に投入されることが可能である。
【0066】
図3~5を参照し、安全クリップ500構成をより具体的に説明する。
【0067】
安全クリップ500は、外側チャンバー係合部510、取っ手520、上部延長部530及び側部延長部540を含む。
【0068】
外側チャンバー係合部510は、外側チャンバー100の外面(具体的には、外面上部100a)の周囲を少なくとも一部囲みながら外側チャンバー100に係合する。より具体的には、外側チャンバー係合部510は、外側チャンバー100の4個の外面を囲むように外側チャンバー100に係合するが、外側チャンバー係合部510の延長末端は互いに離隔するように構成されてもよい。図1に示された通り、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、外側チャンバー係合部510の延長末端が外側チャンバー100のいずれか一つの外面にかかって、ユーザが安全クリップ500を把持し、一方向に外力を印加してこそ安全クリップ500が外側チャンバー100から分離される。
【0069】
取っ手520は、外側チャンバー係合部510から外側に向かって延びる部分であり、安全クリップ500を外側チャンバー100から分離させるために、ユーザにより把持される部分である。
【0070】
上部延長部530は、外側チャンバー係合部510の一側から上側に向かって延び、側部延長部540は、上部延長部530から外側チャンバー100の中央に向かって延びる。
【0071】
本発明の実施例による安全クリップ500は、側部延長部540の上面にカバー支持部材541が突出形成され、側部延長部540の延長末端には内側チャンバー係合部542が突出形成されることが特徴である。
【0072】
カバー支持部材541は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、カバー300の底面に形成された突出部材311,312,313,314,315,316,317が内側チャンバー200の複数の第2空間201,202,203,204,205の上部開口を封止する第1密封部材S1とビードチャンバー900の上部開口を封止する第3密封部材S3を破らないように(穿孔できないように)する役割を果たす。
【0073】
カバー支持部材541が側部延長部540の上面から上側に向かって突出形成されることにより、図15に示されたように、安全クリップ500が外側チャンバー100及び内側チャンバー200に係合する時、突出部材311,312,313,314,315,316,317と第1密封部材S1、第3密封部材S3間の接触が遮断される。したがって、安全クリップ500が外側チャンバー100及び内側チャンバー200に係合されている時は、内側チャンバー200とビードチャンバー900の穿孔が防止されることにより、内側チャンバー200に収容されている試薬とビードチャンバー900に収容されているビードが外側チャンバー100に流出する現象が防止される。
【0074】
内側チャンバー係合部542は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合する時、内側チャンバー200の固定部230に係合する部分である。内側チャンバー係合部542が固定部230に係合されると、内側チャンバー200の底面が外側チャンバー100の底面から所定距離離隔した位置に位置され、したがって、複数の第2空間201,202,203,204,205の下部開口を封止する第2密封部材S2が外側チャンバー100の底面に形成された突出部材111,112,113,114,115により裂けることが防止される(図15を参照)。
【0075】
添付された図面では、内側チャンバー係合部542が係合突起の形態で、固定部230が前記係合突起と係合する係合溝の形態で示されるが、他の実施例では、内側チャンバー係合部542が係合溝の形態で、そして固定部230が前記係合溝と係合する係合突起の形態で具備されてもよい。
【0076】
外側チャンバー100(より具体的には、外側チャンバー隔壁)には、内側チャンバー200の固定部230が安着する空間を提供する安着部109が陥没形成される。内側チャンバー200は、安全クリップ500との係合構造を通じて外側チャンバー100の底面から所定距離離隔した位置に固定されるが、内側チャンバー200の固定部230が安着部109に安着支持されることにより固定力がより向上することができる。
【0077】
図7を参照すると、外側チャンバー100の内壁上側には挿入空間130が陥没形成され、前記挿入空間130に内側チャンバー200の係合フック240が係合することができる。挿入空間130の上側には、ストッパー131が外側チャンバー100の内側に向かって突出形成される。したがって、カバー300により内側チャンバー200が加圧されない時は、内側チャンバー200の係合フック240がストッパー131上に位置するが、カバー300により内側チャンバー200が加圧されると、係合フック240がストッパー131を通過して挿入空間130に挿入されてもよい。
【0078】
図15を参照し、本発明の他の実施例による外側チャンバー-内側チャンバーの係合関係を説明する。図7において、内側チャンバー200に形成された係合フック240の代わりに、内側チャンバー200の外壁から外側に向かって突出する係止突起250が設けられ、係止突起250が外側チャンバー100の内壁に形成されたストッパー131にかかって内側チャンバー200の下方への移動が一部制限される。安全クリップ500が外側チャンバー100から除去され、カバー300により内側チャンバー200が加圧されると、係止突起250がストッパー131を通過して挿入空間130に挿入され、これにより、外側チャンバー100に形成された突出部材により内側チャンバー200に複数の第2空間を封止する第2密封部材S2が穿孔される。
【0079】
内側チャンバー200は、内側チャンバー隔壁により複数の第2空間201,202,203,204,205に区画される。即ち、複数の第2空間201,202,203,204,205は、互いに独立した空間であってもよい。
【0080】
複数の第2空間201,202,203,204,205の上部と下部は開放されており(即ち、複数の第2空間は、上部開口と下部開口を有する)、上部は第1密封部材S1により密封され、下部は第2密封部材S2により密封される。第1密封部材S1と第2密封部材S2は、一例としてフィルム(film)であってもよいが、これに制限されず、流体が通過しない任意の材質で製造されたフィルムが適用されてもよい。
【0081】
複数の第2空間201,202,203,204,205にはそれぞれ異なる試薬が投入され、まず、第2密封部材S2が複数の第2空間の下部を封止した後に試薬が投入され、第1密封部材S1が複数の第2空間の上部を封止することにより内側チャンバー200への試薬投入が完了することができる。
【0082】
図4を参照すると、内側チャンバー200は、上部内側チャンバー210と下部内側チャンバー220を含む。
【0083】
上部内側チャンバー210は一体で形成され、外側チャンバー100と係合時、外側チャンバー100の内壁に密着するように構成される。
【0084】
下部内側チャンバー220は上部内側チャンバー210と連結されながら、外側チャンバー100と係合時に、外側チャンバー100の内壁から離隔するように(半径方向の内側に向かうように)曲げられた部分を含む。
【0085】
本発明では、内側チャンバー-外側チャンバーからなる二重チャンバー構造を使用するため、駆動時に内側チャンバー200の試薬間の交差汚染危険性の問題があり得る。交差汚染は、内側チャンバー-外側チャンバーとの間の微細空間を通じて毛細管現象が発生して生じるが、本発明では、前記交差汚染の問題を防止するために、内側チャンバー200が外側チャンバー100の内壁から十分に離隔するように曲げられた構造を採択して毛細管現象を防止した。
【0086】
また、毛細管現象の防止のための外側チャンバー100と内側チャンバー200との離隔設計により、離隔した部分を通じて試薬が外部に流出するのを防止するために、上部内側チャンバー210が外側チャンバー100の内壁に密着するように構成した。
【0087】
一方、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面には内側チャンバー200の第2密封部材S2を破ることにより、内側チャンバー200に収容された試薬が複数の第1空間101,102,103,104,105に流出するようにする第2突出部材111,112,113,114,115が突出形成される。
【0088】
それぞれの第2突出部材111,112,113,114,115は、複数の第1空間101,102,103,104,105と一対一対応に配置されてもよく、例えば、図面符号111に該当する第2突出部材は図面符号201に該当する第2空間の下部を封止する第2密封部材S2を破り、図面符号115に該当する第2突出部材は図面符号205に該当する第2空間の下部を封止する第2密封部材S2を破ることになる。
【0089】
第2突出部材111,112,113,114,115は、複数の第1空間101,102,103,104,105の底面から第1高さ(h1)だけ突出する突出部111a,112a,113a,114a,115aと、突出部111a,112a,113a,114a,115aから延び、前記底面から第1高さh1より低い第2高さh2だけ突出する羽根部111b,112b,113b,114b,115bを含む。ここで、羽根部111b,112b,113b,114b,115bは、突出部111a,112a,113a,114a,115aから左右の両方向に延びた構造であってもよい。
【0090】
突出部は第2密封部材S2を穿孔する役割を果たし、羽根部は第2密封部材S2の穿孔の部分を拡張する役割を果たす。本発明において、突出部の高さが羽根部より高いため、内側チャンバー200の下部を封止する第2密封部材S2と突出部間の点接触(point-contanct)が行われ、点接触を通じて第2密封部材S2が裂けられる時に圧力が最小化する効果を有する。したがって、より少ない力でも第2密封部材S2を破ることができる。
【0091】
突出部材111,112,113,114,115により第2密封部材S2が裂けると、内側チャンバー200の複数の第2空間201,202,203,204,205に貯蔵されている試薬が外側チャンバー100の複数の第1空間101,102,103,104,105に流出する。そして、流出した試薬が第1空間101,102,103,104,105の底面に形成された第1排出孔121,122,123,124,125を通じて排出される。第1排出孔121,122,123,124,125への試薬の流出が容易になるように、第1排出孔121,122,123,124,125の周辺には第1排出孔121,122,123,124,125に向かって下側に傾斜した部分が存在する。前記傾斜した部分は3度~10度の角度を有することができ、これを通じて第1空間101,102,103,104,105に流出した試薬が第1排出孔121,122,123,124,125に抜け出る過程が容易に行われる。
【0092】
カバー300は外側チャンバー100の上部に係合し、外側チャンバー100と内側チャンバー200の上部をカバーするように構成される。
【0093】
図10を参照すると、カバー300は、カバーボディー301及び蓋302を含む。
【0094】
カバーボディー301にはピストン挿入部108と整列する第1挿入孔307と、検体が投入される第1検体投入孔309が貫通形成され(添付された図面では第1検体投入孔309は第1空間105と整列し、第1検体投入孔309を通じて検体が第1空間105に投入される)、カバーボディー301の底面には、第1密封部材S1を破る第1突出部材311,312,313,314,315と第3密封部材S3を破る第3突出部材316,317が突出形成される。
【0095】
第1突出部材311,312,313,314,315は複数の第1空間101,102,103,104,105,106,107と一対一対応に配置されてもよく、第3突出部材316,317は複数の第3空間910,920と一対一対応に配置されてもよい。例えば、図面符号311に該当する第1突出部材は図面符号201に該当する第2空間の上部を封止する第1密封部材S1を破り、図面符号315に該当する第1突出部材は図面符号205に該当する第2空間の上部を封止する第1密封部材S1を破ることになる。
【0096】
カバーボディー301の底面には、第1挿入孔307の周囲に沿って離隔部材320が形成される。離隔部材320は、安全クリップ500が外側チャンバー100に係合した状態で、第1突出部材と第1密封部材が互いに離隔するようにする部分である。即ち、離隔部材320がカバー支持部材541により支持されることにより、カバー300が内側チャンバー100から所定距離離隔する。
【0097】
蓋302は、カバーボディー301の一側にヒンジ回転可能に連結される。蓋302の中央部には、第1挿入孔307と整列する第2挿入孔308が貫通形成される。
【0098】
カバー300が外側チャンバー100に係合した状態で、安全クリップ500を外側チャンバー100から分離した後、カバー300を下方に向かって押圧すると、外側チャンバー100に係合されている内側チャンバー200が外側チャンバー100の内壁に沿って下降する。外側チャンバー100の底面には第2突出部材111,112,113,114,115,116,117が形成されており、カバー300の底面には第1突出部材311,312,313,314,315と第3突出部材316,317が形成されるところ、突出部材により内側チャンバー200の上部と下部開口を封止する第1密封部材S1及び第2密封部材S2、そしてビードチャンバー900の上部開口を封止する第3密封部材S3が裂けるようになる。したがって、内側チャンバー200に収容されていた試薬が外側チャンバー100の複数の第1空間101,102,103,104,105に流出し、内側チャンバー200の上部開口を封止する第2密封部材S2が裂けることにより、試薬が第1空間に十分に排出されるようにエアベント(air vent)の役割を果たす。
【0099】
ベースプレート400は外側チャンバー100の下部に係合され、試薬が外側チャンバー100の第1空間101,102,103,104,105,106,107と、ピストン700の流体収容部との間を移動する経路をガイドする複数の流路を含む。
【0100】
本発明の一実施例によると、ベースプレート400には液体が移動できる液体流路401~408と空気が移動できる空気流路409が存在し、外側チャンバー100とベースプレート400との間には外側チャンバー100と係合時に液体の漏水防止のためにベースプレート400の上面に配置されるフローカバー410とパッド420をさらに含むことができる。ベースプレート400-フローカバー410-パッド420が係合すると、ベースプレート400の液体流路と空気流路がフローカバー410及びパッド420により上面が塞がれて空間を形成し、完全な流路が完成する。
【0101】
液体流路401~408は、フローカバー410、パッド420及び外側チャンバー100と連結されて検体及び試薬が移動、混合できる空間を提供する。
【0102】
空気流路409は、増幅モジュール600とピストン700の真空制御部位を連結し、増幅モジュール600から抽出されたゲノムが移動する時に発生し得る真空を制御し、ゲノム増幅時に発生し得る増幅産物が汚染されることを防止する役割を果たす。
【0103】
一実施例において、空気流路409の一端がピストン700の流体収容部701と連通し、他端は増幅モジュール600と連通し、増幅モジュール600から排出される空気が空気流路409を通過して流体収容部701に排出されてもよい。
【0104】
ベースプレート400の上部には、複数個の流路401,402,403,404,405,406,407,408,409が形成される。それぞれの流路は互いに交差せず、ベースプレート400の中心部から外郭部に延びるように形成される。ここで、液体流路は図面符号401~408に該当する構成であり、空気流路は図面符号409に該当する構成である。
【0105】
図14を参照すると、複数の流路の一部の流路は一端が同一の円周上に配置され、他端も互いに同一の円周上に配置されてもよい。複数の流路中、空気流路409の一端は、他の液体流路401~408の一端とは異なる円周上に位置され、他端も他の液体流路401~408の他端とは異なる円周上に位置され、真空を制御することが可能である。
【0106】
ベースプレート400の中心部には、ピストン700を回転させるピストン駆動部800が係合するようにピストン駆動部挿入孔400aが貫通形成される。
【0107】
ベースプレート400の上部の安着空間にはフローカバー410が置かれる。フローカバー410は、例えば、プラスチックで製造されてもよく、ベースプレート400の上部に安着した状態で超音波融着されてベースプレート400と一体で具備されてもよい。
【0108】
フローカバー410は、ピストン駆動部の挿入孔400aと整列する第1貫通孔410aを有し、第1貫通孔410aから第1距離離れた第1円周上に複数の第1フローカバーホール411a,412a,413a,414a,415a,416a,417a,418aが貫通形成され、第1貫通孔410aから第2距離離れた第2円周上に複数の第2フローカバーホール411b,412b,413b,414b,415bが貫通形成され、第1貫通孔410aから第3距離離れた第3円周上に複数の第3フローカバーホール416b,417b,418bが貫通形成され、空気流路409の一端と他端に連通する第4フローカバーホール419a,419bが貫通形成される。ここで、第1フローカバーホールはベースプレート400に形成された流路の内側一端と整列し、第2フローカバーホールと第3フローカバーホールは流路の外側他端と整列し、第4フローカバーホールは空気流路の一端及び他端と連通する。前記第2距離は、第1距離よりは長く第3距離より短くてもよい。
【0109】
図11を参照すると、第1貫通孔410aの外周上に上下部に向かって突出する第1係合突起410bがさらに形成されてもよい。
【0110】
また、フローカバー410の底面には、ベースプレート400の複数の流路縁部に沿って係合する溶融突起410cが突出形成されてもよい(図12を参照)。フローカバー410がベースプレート400の上面に設置された後、超音波融着を行う場合、溶融突起410cは溶融してベースプレート400と一体化する。これを通じて、ベースプレート400-フローカバー410との間の密着係合が可能である。
【0111】
フローカバー410の上部にはパッド420が置かれる。パッド420は、例えば、シリコン材質で製造されてもよいが、所定の弾性力を有する材質であれば、特にこれに制限されずに適用されてもよい。
【0112】
フローカバー410には、複数の第2係合突起410dが上面から突出形成され、第2係合突起410dがパッド420の係合溝420cに係合することによりフローカバー410-パッド420間の強固な係合が行われる。また、フローカバー410の第1係合突起410bもパッド420の第2貫通孔420aに挿入結合されることにより両構成間の強固な係合をなすことができる。
【0113】
パッド420は、第1貫通孔410aと整列する第2貫通孔420aを有し、第2貫通孔420aから第1距離離れた第1円周上に複数の第1パッドホール421a,422a,423a,424a,425a,426a,427a,428aが貫通形成され、第2貫通孔420aから第2距離離れた第2円周上に複数の第2パッドホール421b,422b,423b,424b,425bが貫通形成され、第2貫通孔420aから第3距離離れた第3円周上に複数の第3パッドホール426b,427b,428bが貫通形成され、空気流路409の一端と他端に連通する第4パッドホール429a,429bが貫通形成される。ここで、第1パッドホールは第1フローカバーホールと整列し、第2パッドホールは第2フローカバーホールと整列し、第3パッドホールは第3フローカバーホールと整列し、第4パッドホールは第4フローカバーホールと整列する。
【0114】
パッド420の上面には複数の第2パッドホール421b,422b,423b,424b,425b、複数の第3パッドホール426b,427b,428b、そして、空気流路の他端と連通する第4パッドホール429bが形成された部分から突出するが、上側に向かうほど狭くなる突出部がさらに形成される。突出部形成を通じてパッド420が外側チャンバー100とベースプレート400との間に密着配置されてもパッドホールの直径が意図したものとは異なって減少する問題が解決される。
【0115】
増幅モジュール600は外側チャンバー100に係合され、前処理済みの検体を収容するように構成される。検体の前処理済みとは、検体に含まれたDNA、RNAなどのゲノムが試薬内に溶出(lysis)されたという意味である。本発明によるゲノム抽出装置1000が診断機器(図示せず)に係合されると、増幅モジュール600に収容されたゲノムの増幅過程(PCRなど)が行われる。
【0116】
図1及び2を参照すると、増幅モジュール600は、垂直方向に外側チャンバー100に係合する。言い換えれば、増幅モジュール600の収容部630の上部631が下部632より地面から離れるように外側チャンバー100に係合する。
【0117】
図17~25を参照すると、増幅モジュール600は、ボディー610、注入口621,622、収容部630、気体移動通路640及び抽出液移動通路650を含む。
【0118】
ボディー610は増幅モジュール600の外形をなす部分であり、ボディー610の一側には外側チャンバー100の排出孔128,129に係合する注入口621,622が形成される。
【0119】
注入口621,622は排出孔128,129に係合し、排出孔128,129から排出される抽出液が収容部630に投入されるための入口の役割を果たす。
【0120】
本発明の実施例による増幅モジュール600は2個の注入口621,622を有することができるが、特にこれに制限されず、2個より多い個数の注入口を有する実施例も本発明の範疇に含まれ得る。
【0121】
以下では、本発明の実施例による増幅モジュール600が2個の注入口621,622を有すると仮定して具体的に説明する。
【0122】
2個の注入口621,622のいずれか一つの注入口621は空気流路409と連通し、もう一つの注入口622は液体流路408と連通する。即ち、もう一つの注入口622を通じて前処理済みの検体を含む抽出液が流入し、その過程で収容部630の空気がいずれか一つの注入口621を通じて空気流路409に排出される。
【0123】
ボディー610の他方には、注入口621を通じて流入した抽出液を受け入れる空間である収容部630が形成される。
【0124】
一例において、収容部630はボディー610の一面と反対面を全部貫通する形態で製造できるが、他の例では、一面だけを貫通し、反対面は貫通しない形態で製造されることもできる。前記二つの実施例はいずれも開放された部分がシーリング部材により密封されるという点は同一である。したがって、収容部630には気体移動通路640と抽出液移動通路650を通じてのみ抽出液と空気が投入または排出される。
【0125】
本発明の実施例による収容部630は、一つの増幅モジュール600内に1個以上具備されてもよい。図17には1個の収容部が具備された増幅モジュール、図20には2個の収容部が具備された増幅モジュール、そして、図23には4個の収容部が具備された増幅モジュールが示される。
【0126】
収容部630は略台形状を有することができ、より具体的には、縁部がラウンド処理された台形状を有することが好ましい。
【0127】
ここで、台形状とは、気体移動通路640と抽出液移動通路650から離れるほどその幅が狭くなる形態を意味する。収容部630が前記形状を有することにより、抽出液移動通路650を通じて抽出液が注入されても気泡(bubble)が発生する問題が解決される。気泡が収容部630内に残留すると、増幅過程の後、蛍光検出の過程で発生し得る検出失敗の問題が発生するため、前記収容部630の形状を通じて前記問題を解決することが可能である。
【0128】
収容部630内には、ゲノム増幅に必要なプライマー及びプローブなどが具備される。本発明の実施例による増幅モジュール600は1個以上の収容部630が具備されるが、各収容部630には互いに異なる種類のプライマー及びプローブが具備されることも可能である。したがって、一つの検体から抽出されたゲノムにおいて、複数の検出過程を同時に遂行できるという長所を有する。一例として、一つの収容部630aではコロナウイルス増幅のためのプライマー及びプローブが具備され、他の収容部630bではインフルエンザウイルス増幅のためのプライマー及びプローブが具備され、一つの増幅モジュール600で同時に多様な検出過程を行うことが可能である。
【0129】
気体移動通路640はボディー610の一面611に形成され、注入口621と収容部630の上部631を連結するように構成される。これとは反対に、抽出液移動通路650は前記一面611と反対側の反対面612に形成され、注入口622と収容部630の下部632を連結するように構成される。
【0130】
気体移動通路640は、収容部630内の気体が移動する通路役割を果たす。増幅モジュール600の流路はゲノム抽出装置1000と連通し、同時に閉鎖流路の性格を有する。収容部630は、抽出液が注入される前に空気で充填された状態であるため、抽出液が注入されると、それに適した容量の空気が外部に排出されなければならない。本発明では、気体移動通路640を通じて収容部630内部の空気が注入口621を経て空気流路409に排出されることにより、収容部630内の圧力低減と共に空気が残留することにより発生する気泡の問題も解決した。気体移動通路640も収容部630と同様に、角ばった部分なしに通路の連結部分が曲線状に具備されて気泡の発生を最小化する。
【0131】
気体は抽出液のような液体より軽いため、気体移動通路640は、収容部630の上部631の末端に連結される。
【0132】
収容部630が複数個具備される場合、各収容部630に連結される気体移動通路640の長さは、それぞれ異なることが好ましい。
【0133】
収容部630が複数個具備される実施例の場合、下部に位置する収容部から抽出液が注入され、上部に位置する収容部であるほど、より遅延した時間に抽出液が注入される。したがって、収容部630の形成位置により、該当収容部630から空気が排出される時間も異なる。言い換えれば、下部に位置する収容部であるほど空気がよりはやく気体移動通路640を通じて排出される。
【0134】
また、気体移動通路640を通じては収容部630内の空気だけでなく、収容部630に投入された抽出液が共に排出されることもできる。複数の気体移動通路640は互いに連結されるため、いずれか一つの気体移動通路640を通じて排出された抽出液は、他の気体移動通路640に沿って他の収容部に投入され、抽出液または増幅産物が混合される問題が発生し得る。前記問題を解決するために、本発明では下部に位置する収容部630に連結された気体移動通路640であるほど、その長さをより長く形成し、抽出液または増幅産物が混合される問題を解決した。
【0135】
気体移動通路640の長さを互いに異にする方法は、図21に示されたように構成したり、図24に示されたように構成することができる。
【0136】
図24を参照すると、気体移動通路640は、ボディー610の一面611に形成され、収容部630の上部631と連結された気体排出通路633と連通し、ボディー610を貫通する連通孔641、移動通路642、貯蔵通路643及び通路パターン形成部644を含む。
【0137】
通路パターン形成部644は、移動通路642に所定の通路パターンが形成されるように構成される。図24を例に挙げると、通路パターン形成部644は半円状を有することができ、半円の通路パターン形成部644が線状の移動通路642と組み合わせることにより、図24に示されたような通路パターンが製造されてもよい。通路パターン形成部644は、線状の移動通路642の左側と右側に交互に移動通路642と組み合わせながら図24に示された通路パターンを形成することができる。ここで、組み合わせとは、移動通路642の空いた空間が通路パターン形成部644の形状で満たされ、満たされた空間は、流体が通過できないことを意味する。
【0138】
即ち、通路パターン形成部644と組み合わせられた気体移動通路640の部分が移動通路642に該当し、組み合わせられていない気体移動通路640の部分が貯蔵通路643に該当する。
【0139】
気体移動通路640の長さは、通路パターン形成部644が多く組み合わせられるほど、そして貯蔵通路643が多いほど、これに比例して長くなり、下部に位置する収容部であるほど、多くの個数の通路パターン形成部644と貯蔵通路643を有する。これを通じて、収容部630に収容された抽出液または増幅産物の混合を防止することができる。
【0140】
抽出液移動通路650はボディー610の一面611と反対側の反対面612に形成され、注入口622と収容部630の下部632を連結するように構成される。抽出液移動通路650は、ゲノム抽出装置1000で前処理された抽出液が移動する通路の役割を果たす。
【0141】
抽出液移動通路650も収容部630に収容された抽出液または増幅産物の混合を防止したり、同一量の抽出液が各収容部630に投入させるために、収容部630が複数個具備される場合、各抽出液移動通路650の長さが同一であるか、または長さが異なる場合、各抽出液移動通路650の厚さが異なり得る。
【0142】
また、抽出液移動通路650を通じて抽出液が移動する過程で気泡が発生する現象を防止するために、抽出液移動通路650は、角ばった部分なしに通路の連結部分が曲線状に具備されて気泡の発生を最小化する。
【0143】
図25を参照すると、抽出液移動通路650は、注入口622から延びて一地点で分岐するが、分岐する地点からは下部に位置した収容部ほど厚く、上部に位置する収容部ほど薄く具備される。通路の厚さが薄いほど速い速度で抽出液が通過するため、上部、下部の収容部を問わず、同一量の抽出液が投入されてもよい。
【0144】
ピストン700は、外側チャンバー100のピストン挿入部108に挿入され、昇降移動により外側チャンバー100に収容された試薬を吸入したり、外側チャンバー100または増幅モジュール600に吸入された試薬を排出するように構成される。
【0145】
図3及び12を参照すると、ピストン700は、上部ピストン710及び下部ピストン720を含む。
【0146】
上部ピストン710は上部が開放されており、吸入された流体が収容される流体収容部701が内部に形成される。上部ピストン710の内部には密着部711が設置される。密着部711の外面は、上部ピストン710の内面と密着して密着部711の外面と上部ピストン710の内面との間の空間を通じては流体の出入りが不可能である。密着部711の中央には、診断機器の駆動部(図示せず)が係合する駆動部設置部711aが陥没形成される。診断機器の駆動部(図示せず)は駆動部設置部711aに係合し、密着部711を上部ピストン710の内部で昇降させることにより流体収容部701に流体を吸入したり、流体収容部701に収容された流体を外部に排出させる。
【0147】
上部ピストン710の底面には下部ピストン720と噛み合う係合構造が形成されてもよく、下部ピストン720の液体ポートと連結される第1ホール712及び下部ピストン720のフィルターポートと連結される第2ホール713が貫通形成される。第2ホール713は、支持構造体及びフィルターの離脱を防止できるように、フィルターポートのフィルター安着空間より小さい直径を有するように形成される。
【0148】
下部ピストン720は、上部ピストン710の底面に形成された結合構造に噛み合って固定される。
【0149】
下部ピストン720は、円板状の胴体721と、胴体721の中心から外部に突出するように形成されるシャフト722と、胴体721の中心から同一の距離離れて配置される液体ポート723及びフィルターポート724を含むことができる。
【0150】
液体ポート723は、検体及び試薬をピストン700内部に吸入、混合及び排出する時に利用され、フィルターポート724は、ゲノム捕集フィルターを洗浄したり、ゲノム捕集フィルターからゲノムを分離する時に用いる。
【0151】
また、下部ピストン720の胴体721の外周には、中心方向に凹んだ溝が形成されてもよい。この溝は、抽出装置の内部で液体移動時に発生し得る真空を除去する役割を果たす。
【0152】
液体ポート723とフィルターポート724は、同一円周上で互いに一定角度離れて配置される。例えば、フィルターポート724と液体ポート723の二つのポートは、18度~36度だけ互いに離れて配置されてもよく、より具体的には、二つのポートは、22.5度の間隔をなすように配置されてもよい。16回に分割して一回転するステップモーターを用いる場合、一回の駆動により液体ポート723とフィルターポート724の位置を変更することができる。
【0153】
下部ピストン720のフィルターポート724は、フィルター安着空間725を含むことができ、フィルター安着空間725にはフィルター及び支持構造体が配置されてもよい。ゲノム捕集のためのフィルターは、様々な粒度を有するグラスファイバーフィルターが用いられ、支持構造体は、ゲノム捕集のためのフィルターを固定させる役割を果たす。
【0154】
支持構造体は、流体排出時にフィルターの離脱を防止し、一定の圧力を維持できるように一定の粒度を有する多孔性プラスチック材質で形成されてもよい。
【0155】
駆動部800は診断機器の駆動部(図示せず)と連結され、ピストン700を一定の角度で回転させるメディエーターの役割を果たす。
【0156】
駆動部800は一面の中央部にシャフト722と噛み合うように形成される係合溝と、他面に診断機器の駆動部(図示せず)と噛み合うように形成される駆動溝を含むことができる。
【0157】
駆動部800は、ピストン700と係合してゲノム抽出段階で必要な多様な化学的反応を一つの装置内部で行えるように適切な外側チャンバー100の第1排出孔の位置に液体ポート723とフィルターポート724を位置させる。
【0158】
液体ポート723とフィルターポート724は一定の角度離隔しており、駆動部800はゲノム抽出時に前記ポートを各段階に適した位置に回転させる。
【0159】
ビードチャンバー900は第1ビードチャンバー910、第2ビードチャンバー920及び除湿チャンバー930を含み、これらは第1ビードチャンバー隔壁901と第2ビードチャンバー隔壁902により区画される。第1ビードチャンバー910は外側チャンバー100の第1空間106に挿入され、第2ビードチャンバー920は外側チャンバー100の第1空間107に挿入される。
【0160】
内側チャンバー200と同様に、ビードチャンバー900の上部開口も第3密封部材S3により密封されており、第3密封部材S3は、カバー300が外側チャンバー100に係合する時、カバー300の底面に形成された第3突出部材316,317により穿孔される。第3突出部材316,317によりビードチャンバー900の上部開口が開放されることにより、その後に第1ビードチャンバー910と第2ビードチャンバー920内に流体が投入されてもこれに対応する量の空気が穿孔された部分を通じて排出されることが可能である。
【0161】
ビードチャンバー900の下部開口は、別途に密封部材により密封されずに開放された形態で具備される。ビードチャンバー900には乾燥ビードより具体的には、凍結乾燥ビードが貯蔵されるが、乾燥ビードは水分に弱い特性を有する。本発明によるゲノム抽出装置では、ビードチャンバー900の下部開口、外側チャンバー100の第1空間、フローカバー410、パッド420、ベースプレート400の流路、増幅モジュール600の流路が互いに連通するが、外気に露出しない閉鎖された(closed)形態の流路をなすことにより、ビードチャンバー900内部への水分流入が最小化する。
【0162】
第1ビードチャンバー910にはゲノム抽出に必要な数個の乾燥ビード(b1)が貯蔵されてもよく、第2ビードチャンバー920にはゲノム増幅に必要な数個の乾燥ビード(b2)が貯蔵されてもよい。
【0163】
第1ビードチャンバー910の上部開口には、乾燥ビード(b1)が外部に排出されずに内部に維持されるように構成された第1ビードホルダー911が設置され、除湿チャンバー930には第1ビードチャンバー910の内部空間の除湿のための第1除湿部912が設置される。ここで、ゲノム増幅に必要な乾燥ビードは、例えば、カプセル(capsule)の形態で具備されるが、特にこれに限定されるものではない。
【0164】
第2ビードチャンバー920の上部開口には、乾燥ビード(b2)が外部に排出されずに内部に維持されるように構成された第2ビードホルダー921が設置され、第2ビードホルダー921の上部には、第2ビードチャンバー920の内部を除湿する第2除湿部922が設置される。第3密封部材S3は第2ビードチャンバー920が、除湿チャンバー930及び第1ビードチャンバー910と互いに連通しないように封止するが、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930は、互いに連通するように封止する。図26及び27を参照し、これを具体的に説明する。
【0165】
前記効果は、第1ビードチャンバー隔壁901と第2ビードチャンバー隔壁902の高さ差の構成を通じて達成される。図26及び27を参照すると、第2ビードチャンバー920と除湿チャンバー930を区画する第2ビードチャンバー隔壁902は、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930を区画する第1ビードチャンバー隔壁901より高い高さを有する。
【0166】
言い換えれば、第2ビードチャンバー隔壁902の上部は、第2ビードチャンバー920をなす外側隔壁の上部と同一の高さまで延び、第1ビードチャンバー隔壁901の上部は、第1ビードチャンバー910をなす外側隔壁の上部より低い高さまで延びる。
【0167】
したがって、第3密封部材S3によりビードチャンバー900の上部開口が密封されても、第1ビードチャンバー隔壁901と第3密封部材S3との間の空間を通じて、第1ビードチャンバー910と除湿チャンバー930が互いに連通することができる。したがって、第1ビードチャンバー910は、除湿チャンバー930の内部に設置された第2除湿部912により除湿される。
【0168】
第1ビードチャンバー910の下部開口914(即ち、第1ビードチャンバーの排出口)と、第2ビードチャンバー920の下部開口924(即ち、第2ビードチャンバーの排出口)は、ビードチャンバー900からベースプレート400に向かうほど狭くなる排出通路913,923の末端に形成される。
【0169】
排出通路913,923の内部に乾燥ビードが収容されてもよく、排出通路913,923の上部にビードホルダーが設置され、排出通路913,923に収容されたビードの外部流出を防止することができる。
【0170】
排出通路913,923は、ベースプレート400に向かうほど狭くなる、いわゆるテーパーの形状を有することができる。そして、排出通路913,923の末端に位置する下部開口914,924の直径は乾燥ビードの直径より小さく具備され、下部開口914,924を通じてはビードが外部に排出されない。流体が下部開口914,924を通じて排出通路913,923の内部に流入し、流入した流体が乾燥ビードを溶かし、流体の形態を通じてのみ下部開口914,924を通じて外部(ピストンの流体収容部または増幅モジュール)に排出されてもよい。
【0171】
ここで、ゲノム増幅に必要な乾燥ビードが貯蔵された第1ビードチャンバー910の排出通路913は、第2ビードチャンバー920の排出通路923よりも広い直径を有し、ベースプレート400に向かうほど狭くなることができる。
【0172】
増幅モジュール600に向かって前処理された抽出液が投入される前に、最後の流体が投入される構成が第1ビードチャンバー910に該当する。第1ビードチャンバー910に投入された流体が第1ビードチャンバー910内に最大限に残留することなく、増幅モジュール600の収容部630に投入されてこそ正確な検出結果を得られることが可能であるため、本発明では第1ビードチャンバー910の排出通路913が第2ビードチャンバー920の排出通路923よりも広い直径を有し、狭くなるように形成することにより、第1ビードチャンバー910内における流体残留量を最小化した。
【0173】
また、本発明によるビードチャンバー900は、第1ビードチャンバー910と第2ビードチャンバー920の外側隔壁の底面から延びる第1係止突起903,904を有する。図28及び30に示されたように、第1係止突起903,904はベースプレート400に向かって延び、外側に向かって突出した構造で形成されてもよい。
【0174】
ビードチャンバー900と係合する外側チャンバー100には、複数の第1空間を区画する外側チャンバー隔壁の一側に第2係止突起119が形成され、ビードチャンバー900をベースプレート400の方向に力を入れると、第1係止突起903,904が第2係止突起119を経て互いが係合することにより、両構成間の強固な係合が行われる。第1係止突起903,904が第2係止突起119と係合する場合、ビードチャンバー900の外側チャンバー100に対する相対位置が固定される。
【0175】
以下では、本発明の実施例による抽出方法を具体的に説明する。
【0176】
まず、(a)外側チャンバーの複数の第1空間の上部開口を通じて内側チャンバーが外側チャンバーと係合する。ここで、内側チャンバーの固定部は、安全クリップの内側チャンバー係合部と係合した状態で外側チャンバーに係合することが好ましい。
【0177】
次に、(b)カバーが外側チャンバーに係合し、(c)安全クリップが外側チャンバーから除去される。
【0178】
次に、(d)カバーが加圧されてカバーの底面に形成された第1突出部材により内側チャンバーの上部開口を封止する第1密封部材が破られ、外側チャンバーの複数の第1空間の底面に形成された第2突出部材により内側チャンバーの下部開口を封止する第2密封部材が破られ、内側チャンバーに収容された試薬が複数の第1空間に流出し、(e)駆動部の駆動により、複数の第1空間に流出した試薬が上部ピストン内部の流体収容部に吸入及び混合された後、混合された試薬が増幅モジュールに排出される。
【0179】
前記(e)段階は、複数の段階で行われる。以下では、(e)段階をより具体的に後述する。
まず、(e1)カバーの検体投入孔を通じて分析対象検体が前記外側チャンバーの複数の第1空間のいずれか一つの第1空間に投入される。
【0180】
次に、(e2)外側チャンバーのピストン収容部に設置されたピストンが回転し、ピストンの液体ポートと分析対象検体が投入された前記いずれか一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0181】
次に、(e3)前記ピストン内部空間に設置された密着部が上昇し、前記いずれか一つの第1空間に収容された分析対象検体が前記外側チャンバー内部の流体収容部に吸入される。
【0182】
次に、(e4)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートともう一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0183】
次に、(e5)密着部が上昇し、前記もう一つの第1空間に収容された第1試薬が外側チャンバー内部の流体収容部に吸入されることにより、分析対象検体と第1試薬が流体収容部内で混合される。
【0184】
次に、(e6)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートとまた他の一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0185】
次に、(e7)密着部が上昇し、前記また他の一つの第1空間に収容された第2試薬が外側チャンバー内部の流体収容部に吸入されることにより、分析対象検体と前記第1試薬及び前記第2試薬が混合される。
【0186】
次に、(e8)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートと前記また他の一つの第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0187】
次に、(e9)密着部が下降し、流体収容部に収容された混合液がフィルターポートに設置されたゲノム捕集フィルターを通過して前記また他の一つの第1空間に排出される。
【0188】
次に、(e10)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと第1試薬と第2試薬と他の試薬が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0189】
次に、(e11)密着部が上昇し、他の試薬が流体収容部内に吸入及び混合される。
【0190】
次に、(e12)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートと他の試薬が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0191】
次に、(e13)密着部が下降し、流体収容部に収容された混合液がゲノム捕集フィルターを通過して他の試薬が収容された第1空間に排出される。
【0192】
次に、(e14)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと溶離液が収容された第1空間の底面に形成された第1排出孔が連通する。
【0193】
次に、(e15)密着部が上昇し、溶離液が流体収容部内に吸入される。
【0194】
次に、(e16)ピストンが回転し、ピストンのフィルターポートとゲノム増幅に必要なビードが収容された第1空間の底面に形成された第2排出孔が連通する。
【0195】
次に、(e17)密着部が下降し、流体収容部に収容された溶離液がゲノム捕集フィルターを通過し、ゲノム増幅に必要なビードが収容された第1空間に排出される段階として、ゲノム捕集フィルターに捕集されたゲノムがゲノム捕集フィルターから分離して前記第1空間に共に排出される。
【0196】
次に、(e18)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートとゲノムが収容された第1空間の底面に形成された第2排出孔が連通する。
【0197】
次に、(e19)密着部が上昇し、ゲノムを含む抽出液が流体収容部内に吸入される。
【0198】
次に、(e20)ピストンが回転し、ピストンの液体ポートと増幅モジュールが連通する。
【0199】
次に、(e21)密着部が下降し、流体収容部に収容されたゲノムを含む抽出液が前記増幅モジュールに排出される。
【0200】
次に、(e22)抽出液が増幅モジュールの抽出液移動通路を通じて増幅モジュールの収容部に投入される。
【0201】
次に、(e23)収容部の残留する空気が増幅モジュールの気体移動通路を通じて増幅モジュール外部に排出される。
【0202】
次に、(e24)増幅装置が収容部に所定温度以上の熱を印加し、前記ゲノムの増幅が行われる。
【0203】
次に、(e25)前記ゲノムの増幅産物の蛍光強度に基づいて、分析対象検体に対する疾病感染の有無が判断される。
【0204】
以上、本明細書には本発明を当業者が容易に理解して再現できるように図面に示した実施例を参考として説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、本発明の実施例から多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解できるだろう。したがって、本発明の保護範囲は、請求の範囲により定めなければならない。
【符号の説明】
【0205】
S1:第1密封部材
S2:第2密封部材
S3:第3密封部材
S4,S5:シーリング部材
100:外側チャンバー
100a:外面上部
100b:外面下部
101,102,103,104,105,106,107:第1空間
108:ピストン挿入部
109:安着部
111,112,113,114,115:第2突出部材
111a,112a,113a,114a,115a:突出部
111b,112b,113b,114b,115b:羽根部
119:第2係止突起
121,122,123,124,125:第1排出孔
126,127,129:第2排出孔
128:空気排出孔
130:挿入空間
131:ストッパー
200:内側チャンバー
201,202,203,204,205:第2空間
210:上部内側チャンバー
220:下部内側チャンバー
230:固定部
300:カバー
301:カバーボディー
302:蓋
307:第1挿入孔
308:第2挿入孔
311,312,313,314,315:第1突出部材
316,317:第3突出部材
320:離隔部材
400:ベースプレート
400a:ピストン駆動部挿入孔
401,402,403,404,405,406,407,408:液体流路
409:空気流路
410:フローカバー
410a:第1貫通孔
410b:第1係合突起
410c:溶融突起
410d:第2係合突起
411a,412a,413a,414a,415a,416a,417a,418a:第1フローカバーホール
411b,412b,413b,414b,415b:第2フローカバーホール
416b,417b,418b:第3フローカバーホール
419a,419b:第4フローカバーホール
420:パッド
420a:第2貫通孔
421a,422a,423a,424a,425a,426a,427a,428a:第1パッドホール
421b,422b,423b,424b,425b:第2パッドホール
426b,427b,428b:第3パッドホール
429a、429b:第4パッドホール
420c:係合溝
500:安全クリップ
510:外側チャンバー係合部
520:取っ手
530:上部延長部
540:側部延長部
541:カバー支持部材
542:内側チャンバー係合部
600:増幅モジュール
610:ボディー
611:一面
612:反対面
621,622:注入口
630:収容部
631:上部
632:下部
633:気体排出通路
640:気体移動通路
641:連通孔
642:移動通路
643:貯蔵通路
644:通路パターン形成部
650:抽出液移動通路
700:ピストン
701:流体収容部
710:上部ピストン
711:密着部
711a:駆動部設置部
712:第1ホール
713:第2ホール
720:下部ピストン
721:胴体
722:シャフト
723:液体ポート
724:フィルターポート
800:駆動部
900:ビードチャンバー
901:第1ビードチャンバー隔壁
902:第2ビードチャンバー隔壁
903,904:第1係止突起
910:第1ビードチャンバー
911:第1ビードホルダー
912:第1除湿部
913:排出通路
914:下部開口
920:第2ビードチャンバー
921:第2ビードホルダー
922:第2除湿部
923:排出通路
924:下部開口
930:除湿チャンバー
1000:ゲノム抽出装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】