(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20240628BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580777
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022022834
(87)【国際公開番号】W WO2023282943
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】EP21184211.7
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521553380
【氏名又は名称】インコー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトリーゲル、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】グレブ、スコット
(72)【発明者】
【氏名】イェルク、アントン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM36
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK03
4F202CN01
4F202CN18
4F202CN21
4F202CN24
4F206AM36
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN44
4F206JQ81
(57)【要約】
射出成形金型キャビティ壁を局所的に加熱するための加熱装置は、ベース・プレートと、ベース・プレート上に配置されて、直線運動を行うためのアクチュエータと、アクチュエータに接続され、アクチュエータによって駆動されて、直線運動を、射出成形金型キャビティ壁への方向及び射出成形金型キャビティ壁からの方向に行うための加熱スタンプとを備え、加熱スタンプは、ベース・プレートの下方に配置され、アクチュエータは、ベース・プレートの上部に配置され、ベース・プレートは、直線運動をアクチュエータから加熱スタンプに伝達するためにピンが貫通する開口部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形金型キャビティ壁を局所的に加熱するための加熱装置であって、
ベース・プレートと、
直線運動を行うように前記ベース・プレートに配置されたアクチュエータと、
前記アクチュエータに接続され、且つ前記アクチュエータによって駆動されて、直線運動を、前記射出成形金型キャビティ壁への方向及び前記射出成形金型キャビティ壁からの方向に行うための加熱スタンプと
を備え、前記加熱スタンプは、前記ベース・プレート及び前記アクチュエータの下方に配置され、前記ベース・プレートは、前記直線運動を前記アクチュエータから前記加熱スタンプに伝達するためにピンが貫通する開口部を有する、加熱装置。
【請求項2】
前記ベース・プレートは、ホット・ランナ・システムのマニホールドに一体的に形成され、前記マニホールドの一部である、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記ベース・プレートの下方の前記加熱スタンプの方向に延びる前記ベース・プレートに接続された前記射出成形金型キャビティ壁に前記ベース・プレートを位置合わせして、前記射出成形キャビティ壁に対する位置を保持するための1つ又は複数の位置合わせ要素を備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記ベース・プレートは、前記アクチュエータを駆動するための流体又は前記アクチュエータを熱から保護するための冷却ポンプに接続可能である穴を有する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記ピンを保持する位置ナットをさらに備え、前記位置ナットは、前記アクチュエータ内のねじ穴に配置されている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ内の前記ねじ穴は、前記アクチュエータの上面まで延び、前記アクチュエータの前記上面からのアクセスが可能であり、前記位置ナット及び/又は係止ナットへのアクセスを可能にする、請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記加熱スタンプの位置の情報を提供する位置センサをさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記加熱スタンプを横方向に貫通して、前記加熱スタンプ内の穴内へ延びる前記ピンをクランプ留めするネジと、
係止リングと、
前記加熱スタンプに対して前記ピンを保持するための割りピンと、
前記加熱スタンプがねじ込まれる、前記ピンのねじ山と
をさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記加熱スタンプが前記ベース・プレートに対して回転するのを防ぐ回転防止面をさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記加熱装置をホット・ランナ・システムに固定させることができるブラケットをさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項11】
ネジが、前記ブラケットを前記ホット・ランナ・システムのマニホールドに固着する、請求項10に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、電気駆動又は流体駆動である、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記加熱スタンプが前記射出成形金型キャビティ壁に接触することができる近傍において前記射出成形金型キャビティ壁の熱を測定するために、前記加熱装置の動かない部分に取り付けられた温度センサをさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記加熱スタンプ上、又は前記加熱スタンプが上下に動くシャンク上に回転可能に装着された、前記加熱スタンプの周りの発熱体をさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項15】
射出成形金型キャビティ壁を局所的に加熱するための加熱装置を物理的に保持するための保持手段を備えるホット・ランナ・システムであって、前記保持手段は、前記加熱装置の主重量が前記ホット・ランナ・システムによって担持されるように構成され、前記加熱装置は、直線運動を行うためのアクチュエータと、前記アクチュエータに接続され、且つ前記アクチュエータによって駆動されて、直線運動を、前記射出成形金型キャビティ壁への方向及び前記射出成形金型キャビティ壁からの方向に行うための加熱スタンプとを備え、前記加熱装置は、前記ホット・ランナ・システムに供給されるものと同じ媒体又はエネルギーによって駆動される、ホット・ランナ・システム。
【請求項16】
前記加熱装置は、前記ホット・ランナ・システム用の接続器が終端するのと同じセンサ・ケーブル及び/又はケーブル・チャネル及び/又はアダプタ・プレート及び/又は接続器プレートを共有する、請求項15に記載のホット・ランナ・システム。
【請求項17】
前記加熱装置は、一方の側に前記アクチュエータが固定されたベース・プレートを備え、前記加熱スタンプは、前記ベース・プレートの他方の側に配置され、前記ベース・プレートは、前記加熱スタンプ及び前記アクチュエータが接続される開口部を有し、前記ベース・プレートは、マニホールドに接続されるか、又は前記マニホールド内へ組み込まれて前記マニホールドの一部である、請求項15に記載のホット・ランナ・システム。
【請求項18】
前記媒体は流体、油圧若しくは空気圧流体、及び/又は電気である、請求項15に記載のホット・ランナ・システム。
【請求項19】
前記加熱装置は、請求項1に記載の加熱装置である、請求項15に記載のホット・ランナ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月7日に出願された欧州出願第21184211.7号の優先権を主張する、2022年2月7日に出願された米国出願第17/650107号の優先権を主張し、いずれも参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、射出成形に適した材料からの射出成形部品の射出成形のための装置であって、好ましくは固定位置に設置される少なくとも1つの第1の金型部品と、好ましくは移動可能であり、第1の金型部品の方へ、及び第1の金型部品から離れて調整できる少なくとも1つの第2の金型部品と、2つの金型部品の間に、生成される射出成形部品の形状に形成されるキャビティと、欠陥が予想されるキャビティの領域内の金型部品の壁を局所的に加熱するための加熱器とを備える装置、並びにキャビティの加熱された壁エリアを冷却する機構及び工程に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、射出成形機は、ホット・ランナ・システムに接続され、ホット・ランナ・システムは金型にさらに接続されている。溶融プラスチックは、射出成形システムからホット・ランナ・システムを介して金型内へ押し付けられる。一般に、ホット・ランナ・システム、射出成形機、及び金型は異なる製造業者によって製造される。これらの構成要素は、事前に規定されたインターフェースに基づいて、射出成形工程で連動する。
【0004】
ホット・ランナ・システムは、典型的には、射出成形機に接続された1つの入口ノズル、及びアクチュエータなしで若しくはアクチュエータで1つ若しくは複数の金型に接続された1つ若しくは複数のノズルを有する1つ又は複数のマニホールドと、発熱体とを備える。
【0005】
プラスチック又は金属で作られた部品の射出成形のためのこのような装置は、従来技術において知られている。特に高光沢表面が与えられる射出成形部品の場合には、射出成形部品が形成されるキャビティの対応する壁が加熱器と組み合わされることが知られている。これにより、溶融物、ひいては成形部品の表面に対応する影響を与えるために、射出成形工程前又は射出成形工程中にキャビティの対応する壁を加熱することが可能である。追加で加熱するため射出サイクルが過度に長引かないようにするために、キャビティの加熱された壁をその後冷却するのに役立つ追加の冷却が、成形部品が金型を開くことによってキャビティから除去される前に、行われることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術では、溶接線が、例えば、溶融物を分割し、且つ障壁の後ろで溶融物を接合することによって、成形品の射出中に形成されることが知られている。溶接線がこのように現れることは、望ましくないため、回避されるべきである。
【0007】
冒頭に記載した先行技術に基づいて、本発明は、溶接線が成形品上に現れることが、わずかな労力で、且つ射出サイクルを著しく損なうことなく、少なくとも大部分が回避され、又は、部分的な加熱が、例えば、流動経路が細いなどの他の理由で必要とされるタイプの装置を作成する作業に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題を解決するために、本発明は、加熱装置が、加熱の目的で金型部品のキャビティ壁(後に欠陥が見えるであろう場所)に適用され、冷却の目的で金型部品のキャビティ壁から持ち上げられる加熱されたスタンプを備えることを提案するので、特許請求の範囲によって発熱体とキャビティ壁との間に冷却間隙が形成される。
【0009】
本発明によれば、2つの位置、すなわち、発熱体が対応する領域においてキャビティ壁に当たる位置と、発熱体がキャビティ壁から上昇される第2の位置とに調整可能である発熱体が提供される。この構成は、キャビティ壁を加熱する目的で、特に成形部品に形成された溶接線の領域において、発熱体がキャビティ壁に対して置かれるので、キャビティ壁が発熱体によって加熱されることを達成する。溶接線を除去するのに十分な時間経過後(この時間経過は数秒が好ましい)、発熱体はキャビティ壁から持ち上げられ、それによってキャビティ壁に対する発熱体のさらなる作用が生じないことを確実にする。したがって、キャビティ壁は、発熱体が適用されたエリアで非常に迅速に冷却できる。発熱体の間隔だけで、キャビティ壁を冷却するのに十分な冷却間隙を作成するので、熱エネルギーが非常に迅速に消散され、急速な冷却が成果である。
【0010】
キャビティ壁に適用できる発熱体の表面が、キャビティにおいて部分的に加熱される射出成形部品の溶接線又は別のエリアの寸法(長さ及び幅)におおよそ対応することが特に好ましい。この表面は、長方形の形状を有することが好ましい。しかしながら、他の形状も可能である。
【0011】
この設計により、発熱体の寸法が小さければよいということを確実にし、これにより費用対効果が高く、適用する発熱体の電力に関しても有利になる。キャビティ壁は、溶接線のエリア、又は例えば、細い流動経路のエリアでのみ追加的に加熱されるので、発熱体を持ち上げた後に、このエリアの冷却を簡単に且つ非常に迅速に達成することも可能であり、射出サイクルに有利である。
【0012】
溶接線を除去するために発熱体によって加熱される金型部品の質量を、例えば、低く保つために、金型部品の領域におけるキャビティ壁の壁厚がわずか数ミリメートルであることが定められていることが好ましい。
【0013】
小さな壁厚に関連する発熱体による定時の加熱又は線状加熱のため、一方ではキャビティ壁の所望のエリアでの急速加熱が達成され、他方ではこのエリアの急速冷却が促進される。
【0014】
好ましくは、射出成形金型キャビティ壁を局所的に加熱するための加熱装置は、ベース・プレートを備える。ベース・プレートは、好ましくは、ベース・プレートに接続され、且つベース・プレート上に配置される全ての構成要素の安定した基礎である正方形又は長方形の金属のブロックである。ベース・プレートは、冷却流体又はアクチュエータのような構成要素を駆動する流体用の穴及び接続器を含むことができる。また、流体プラスチックを射出ノズルに送る必要がないであろう、ホット・ランナ・システムのマニホールドのエリアを、加熱装置のベース・プレートとして使用することも可能である。これに関して、ホット・ランナ・システムのマニホールドは次に流路を必要としないが、ベース・プレートと似ている加熱装置に嵌合することができる必要がある。この実施例では、ベース・プレートは、ホット・ランナ・システム又はマニホールド内へ組み込まれる。
【0015】
アクチュエータは、直線運動を行うために、ベース・プレート又はホット・ランナの上部に配置されることが好ましい。他の装着位置も可能である。この直線運動は、好ましくは、ベース・プレートの方向に向けられ、好ましくはベース・プレートの下方に配置される加熱されたスタンプを移動させる。好ましい実施例では、ベース・プレートは、穴を有し、その穴を通して、直線運動が、ベース・プレートの下方のエリアに伝えられる。好ましい実施例では、アクチュエータは、ベース・プレートへ直接ねじ込まれる。アクチュエータを熱から保護するために、ベース・プレートはベース・プレートの穴を通る液体循環によって冷却できる。冷却穴は、アクチュエータを熱から保護するための冷却ポンプに接続可能である。
【0016】
代替実施例では、ベース・プレートは、アクチュエータの筐体の一体部品であることができる。しかしながら、ベース・プレートは、ヘディング装置を担持することができ、且つ保持手段の接続によりホット・ランナ・システムへの、特にマニホールド又はマニホールドを操作するためにケーブルを保持し且つ送るケーブル・チャネルへのリンクを確立することができるのに十分な強度を有するべきである。加熱装置及びホット・ランナ・システムはしっかりと接続され、加熱装置は、ホット・ランナ・システムによって保持されているので、金型キャビティからホット・ランナ・システムと共に設置且つ除去できる。
【0017】
また、可能な実施例では、加熱装置を駆動するエネルギー、流体などの供給を共用でき、且つ/又は同じ接続器若しくは接続器プレートを使用できる。
【0018】
さらに、本発明は、アクチュエータに接続され、且つアクチュエータによって駆動されて、直線運動を、射出成形金型キャビティ壁への方向及び射出成形金型キャビティ壁からの方向に行うための加熱スタンプを備える。加熱スタンプは、加熱スタンプを加熱するために電熱線で囲まれ又は貫通されている金属円筒体であることが好ましい。代替実施例では、加熱スタンプは、加熱スタンプの周り、又は加熱スタンプが上下に動くシャンク上で回転できる加熱器スリーブによって囲まれる。下端に、金属円筒体は先端を有し、この先端は、加熱する表面に応じて異なる形状を有することができる。
【0019】
加熱スタンプはベース・プレート又はホット・ランナの下方に配置され、アクチュエータはベース・プレート又はホット・ランナの上部に配置される。加熱スタンプを駆動するために、ベース・プレート又はホット・ランナは、直線運動をアクチュエータから加熱スタンプに伝達するためにピンが貫通する開口部を有する。
【0020】
ピンは、特定のチタン又はステンレス鋼のように、熱伝導率が低いことが好ましい材料から作られ、他の金属合金も可能である。また、セラミックはピンの材料となり得る。
【0021】
可能な実施例では、加熱装置は、金型キャビティとの関係で、又はホット・ランナ・システムとの関係で、加熱装置の位置を調整する調整手段を含む。
【0022】
一実施例では、調整手段は、ベース・プレートの下方の加熱スタンプの方向に延びるベース・プレートに接続された1つ又は複数の止めピンであり、金型に組み立てた後に、射出成形金型キャビティ壁に対する位置を保持する。
【0023】
好ましい実施例では、アクチュエータは、ピンが配置される中央の穴を有する。中央の穴は、両側に開口部を有するアクチュエータの筐体全体に延びる。これにより、アクチュエータの両側からピンを交換できる。ピンを直線的に移動させるアクチュエータ内の移動要素は、ピンが固定された穴も有する。ピンの固定は、位置ナットによって行われることが好ましい。位置ナットは、ピンの頭部を囲み、ピンを頭部の下方の先細エリアに保持することが好ましい。ピンをアクチュエータ内へ導入すると、位置ナットはすでにピンの頭部を囲む。ナットにより、射出成形金型キャビティへの加熱スタンプの接触圧力に対して加熱スタンプの微調整ができる。また、後の段階で容易に調整できる。
【0024】
好ましい実施例では、位置ナットは、アクチュエータ内のねじ穴に配置される。ねじ穴は、アクチュエータの移動要素に配置される。
【0025】
さらなる実施例では、係止ナットが、位置ナットの回転を回避するために、位置ナットに対抗するように、アクチュエータ内のねじ穴に配置される。
【0026】
可能な実施例では、中空ネジが、係止ナットをアクチュエータ内のねじ穴にねじ込んだ後に、追加できる。このネジは、位置スイッチ/センサを始動させるためのスイッチ・カムを保持できる。ネジは中空であるため、止め工具は位置ナット及び係止ナットにアクセスできる。
【0027】
好ましい実施例では、アクチュエータ内のねじ穴は、アクチュエータの上面まで延び、アクチュエータの上面からのアクセスが可能であり、位置ナット及び/又は係止ナットへのアクセスを可能にする。ねじ穴へのアクセスは、蓋で覆うこともできる。
【0028】
好ましい実施例では、ピンは、ピンを保持する位置ナットによって少なくとも部分的に包囲されているピン頭部を有する。ピン頭部とピン本体との間には、より狭い首部(先細部)が配置され、首部では、位置ナットの一部が延びてピンを保持する。位置ナットは頭部を包囲し、その下部で首部内に到達してピン頭部を保持する。
【0029】
可能な実施例では、加熱装置は、加熱スタンプの位置の情報を提供する位置スイッチを含む。
【0030】
可能な実施例では、位置スイッチは、アクチュエータ内又はアクチュエータに、好ましくはアクチュエータの上面の近傍に配置される。可能な実施例では、位置スイッチは、アクチュエータの直線運動構成要素と接触している少なくとも1つの位置にあるアクチュエータの上部に配置される。直線運動構成要素(スタンプなど)は、カムを線状に移動させて、加熱スタンプの位置を示すスイッチを作動させる。光位置センサ又は磁気位置センサも可能で、パターン又はパターンの変化を検出する。検出は、他の移動エリアに置くこともできる。狙いは、加熱スタンプがキャビティに接触しているか否かを検出することである。
【0031】
加熱スタンプをピンに固定するために、加熱スタンプを横方向に貫通するネジが使用できる。加熱スタンプをピンにクランプ留めするために、ネジは、加熱スタンプ内の穴内へ延びるピンを固定する。代替実施例では、加熱スタンプはピンにねじ込まれる。この実施例では、加熱スタンプは、この軸線に沿って、ピンがねじ込まれ、ねじ山を有するねじ穴を有する。代替実施例では、ピンをスタンプに対して保持するための係止リング又は割りピンが可能である。
【0032】
本発明の可能な実施例では、回転防止手段は、加熱スタンプがベース・プレートに対して回転するのを防ぐために使用される。好ましくは、回転防止手段は、以下の、別の平らな面と接触している平らな面、回転防止が可能であることも保証する任意の他の表面幾何学的形状、及び突起若しくはレールが案内される溝、のうちの1つ又は複数である。可能な実施例では、ピンの部品は、ピンの回転が回避されるように、平らであり、同様に平らであり互いに当接するベース・プレートの部品と接触する。
【0033】
可能な実施例によれば、本発明は、加熱装置がホット・ランナ・システムによって保持されることを可能にする保持手段を含む。好ましくは、保持手段は、ベース・プレートに固定又は取り付けられる。
【0034】
保持手段は、ホット・ランナ・システムのマニホールドへの、ケーブル・チャネルへの、又はホット・ランナ・システムに取り付けられ、且つしっかりと安定した接続を可能にする他の構成要素への接続を確立する1つ又は複数の穴とネジ、及び/又は保持ブラケットを含む。保持手段により、加熱装置はホット・ランナ・システムと共に設置且つ除去できることを可能にする。保持手段は、また、ホット・ランナ・システムの構造部品となり、マニホールド内へ組み込まれることもできる。
【0035】
また、ホット・ランナ・システムの電気接続器を共有して、加熱装置及び/又はその制御器を駆動できる。加熱装置は、独立した制御器を有することができる、或いはホット・ランナ・システム及び/又は射出成形システムの制御器によって駆動できる。可能な実施例では、加熱装置のアクチュエータは、ホット・ランナ・システム又は射出成形機のいくつかのセンサ情報に基づいて駆動できる。通常、射出機によって始動されるタイマーで駆動される。
【0036】
さらなる実施例では、温度センサは、加熱装置、或いはホット・ランナ・システムの動かない部分に取り付けられ、加熱スタンプが射出成形金型キャビティ壁と接触することができる近傍において射出成形金型キャビティ壁の熱を測定する。近傍は、加熱スタンプの先端から数ミリメートル又は数センチメートルの距離によって画定されることが好ましい。センサは加熱スタンプと共に移動しないので、センサは、加熱スタンプによって加熱されるべきである射出成形金型キャビティ壁のエリアでの温度を常に測定できる。センサは、金型が組み立てられた後に温度センサが移動しないように、ホット・ランナ・システムを金型内へ実装することによって、キャビティに自動的に置かれる。さらに、センサは、ばねで予め張力を加えることによって、金型キャビティ壁に押し付けられることができる。
【0037】
可能な実施例では、温度センサは、ベース・プレート、又はベース・プレート若しくはホット・ランナ・マニホールドに接続された要素に接続され、例えば、射出成形金型キャビティ壁の方向にスリーブの内側に延びて、加熱スタンプが射出成形金型キャビティに接触することができる近傍の射出成形金型キャビティ壁の温度を測定する。別の実施例では、スリーブは、加熱スタンプの先端の接触点にできるだけ近い点で温度を測定するために、加熱スタンプの穴を通って移動方向に平行に延びる。一般に、加熱スタンプは先端に向かって先細りになっているので、上方から来るセンサは加熱スタンプの周りに誘導されなければならない。また、センサは、加熱スタンプの周りの上方から案内されて、加熱スタンプの先端の接触点の近傍まで垂直に延びることが可能である。
【0038】
可能な実施例では、加熱スタンプの加熱部は、加熱スタンプ芯の周りを回転でき、これにより、ケーブルをより良く送ることができる。
【0039】
加熱スタンプ用の加熱器は、加熱スタンプに組み込まれることができ、又は加熱スタンプ若しくは加熱スタンプがその中で上下に動くシャンクの周りの別個の加熱器として設計されてよい。このようにして、リード線を含む加熱器全体を回転させることができる。これにより、ケーブルが属するエリアにケーブルを置きやすくなる。
【0040】
可能な実施例では、アクチュエータは、電気駆動又は流体駆動(空気又は油圧)である。
【0041】
さらなる実施例では、本発明は、ホット・ランナ・システムの一体型部品である加熱装置を物理的に保持するための保持手段を含むホット・ランナ・システムを備えるので、加熱装置は、ホット・ランナ・システムを設置且つ除去することによって設置且つ除去でき、又は重量の大部分がホット・ランナ・システムによって担持される。
【0042】
さらなる実施例では、ホット・ランナ・システムは、射出成形金型キャビティを局所的に加熱するための加熱装置を物理的に保持するための保持手段を備え、ここで、保持手段は、加熱装置の主重量又は総重量がホット・ランナ・システムによって担持されるように、或いは加熱装置がホット・ランナ・システムと共に設置且つ除去できるように構成される。特にホット・ランナ・システムの固定点は、加熱装置を担持且つ固定するためにも使用されるので、加熱装置は追加の固定手段を必要としない。加熱装置は、直線運動を行うためのアクチュエータ、及びアクチュエータに接続され、アクチュエータによって駆動されて、直線運動を、射出成形金型キャビティへの方向及び射出成形金型キャビティからの方向に行うための加熱されたスタンプを備え、ここで、加熱装置は、ホット・ランナ・システムに供給されるものと同じ媒体又はエネルギーによって駆動される。好ましくは、媒体は、流体、油圧若しくは空気圧流体、及び/又は電気である。
【0043】
可能な実施例では、加熱装置は、接続器がホット・ランナ・システムで固定されるのと同じセンサ・ケーブル及び/又はケーブル・チャネル及び/又はアダプタ・プレート及び/又は接続器プレートを共有できる。ホット・ランナ・システムの接続器も共有できる。
【0044】
好ましい実施例では、ホット・ランナ・システムのマニホールド又はケーブル保持器は、加熱システムを定位置に保持するためのブラケット又は支柱を備える。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図2】アクチュエータに着目した本発明による加熱装置の上部の断面図を示す。
【
図3】加熱されたスタンプ及び温度センサに着目した本発明による加熱装置の下部の断面図を示す。
【
図4B】E-Eに沿った加熱システムの先端からアクチュエータまでの断面底面図を示す。
【
図5A】加熱スタンプ及びピンのF-Fに沿った断面図を示す。
【
図6A】同じケーブル・チャネル及び接続器プレートを共有するホット・ランナ・システムへの加熱装置の装着を示す。
【
図6B】同じケーブル・チャネル及び接続器プレートを共有するホット・ランナ・システムへの加熱装置の装着を示す。
【
図7A】オン及びオフされた加熱スタンプの直線運動を示す。
【
図7B】オン及びオフされた加熱スタンプの直線運動を示す。
【
図8】マニホールドに直接装着された本発明を断面図で示す。
【
図9】マニホールドに装着された加熱装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図に示された、以下の実施例では、論じたように、請求項の保護の範囲を制限する意図はない。
【0047】
図1は、射出成形金型キャビティ壁(2)を局所的に加熱するための加熱装置1の断面図を示す。ベース・プレート3a/3bは、加熱されたスタンプ5とアクチュエータ4との間に配置される。アクチュエータ4は、ベース・プレートの上部(図中右側)に配置されて、直線運動27(
図2)を行う。アクチュエータの中心には、少なくとも部分的にねじ山が設けられている穴がある。穴はアクチュエータの上部から下部に延びるので、穴内に配置され且つ固定されたピン7が両側から導入できる。ピンの下端には加熱スタンプ5が固定される。ピンは、アクチュエータの直線運動を加熱スタンプへ伝える。この直線運動により、加熱スタンプは射出成形金型キャビティ壁の方向に移動され、射出成形金型キャビティに接触して射出成形金型キャビティ壁を局所的に加熱する(
図7A)。
【0048】
加熱スタンプ5はベース・プレートの下方に配置され、アクチュエータ5はベース・プレートの上部に配置される。その逆の実装も可能である。ベース・プレートは、直線運動をアクチュエータから加熱スタンプに伝達するためにピン7が貫通する開口部6を有する。
【0049】
ピンは、回転防止手段を兼ねたピン管32によって囲まれる。ピン管32の(上及び/又は下の)異なるエリアでは、加熱スタンプ及びベース・プレート3Aの平坦化されたエリアと接触する平坦な側壁が設計され、加熱スタンプが回転するのを防ぐ。
【0050】
ピン管は熱伝導率の低い材料で作られ、加熱スタンプからの熱損失を低減する。この部品は、ベース・プレートに対して動かない。
【0051】
ピン管は、ネジ20によって、且つ/又はベース・プレート3bによってベース・プレートに固定される。ネジの溝への摺動オフセットは、ピン管がベース・プレートに押し付けられることを考慮に入れる。これは、回転が調整可能な場合、加熱スタンプの角度を画定するためにも使用できる(ピン管及びベース・プレート上に回転防止の平らな部分がない)。
【0052】
アクチュエータの中央の穴内には、位置ナット9及び係止ナット10が配置されて加熱スタンプの必要とされる位置を固定し、行程制限を設定する。ナットはねじ穴内へねじ込まれる。位置ナットは、ピン頭部18を受け入れ、アクチュエータが、ベース・プレート内の開口部6を通して両方向にピンを駆動することを可能にするピンを保持する。係止ナットは、皿ネジの機能を有する。
【0053】
ピンと平行に、温度センサ19がベース・プレートから延びて、加熱スタンプの接触エリアの近傍にある射出成形金型キャビティの表面の温度を測定する。
【0054】
アクチュエータの上面12に、位置スイッチ13が配置される。このエリアでは、中空ネジによって保持された回転防止固着切替カムが配置される。中空構造により、下方の位置ナット及び係止ナットにアクセスできる。
【0055】
図2は、ベース・プレート3の上部にあるアクチュエータ4の断面図を示す。ベース・プレート及びアクチュエータ4は、ベース・プレートの底部からベース・プレートを通ってアクチュエータ4の底面内へ延びるネジ23で共に保持されている。ベース・プレートはまた、アクチュエータを駆動する流体(空気/油圧)のための、且つ/又は周囲の構成要素の熱からアクチュエータを保護するためにアクチュエータを冷却する冷却目的のための流体入口/出口25を含む。
【0056】
入口/出口25は、ベース・プレートの上部、側面、又は下部の異なる位置に配置されることができる。いくつかの実施例では、流体入口/出口は、アクチュエータの筐体に直接配置される。
【0057】
また、ベース・プレートには、射出成形金型キャビティ2と加熱スタンプとの間の距離を画定し且つ維持するために止めピン(1つ又は複数)8が配置される。止めピンは穴、好ましくは盲穴に配置され、それらの穴内へ押し込まれる。
【0058】
さらに、温度センサの出口は、ベース・プレートの下方でベース・プレートの側面まで延びる。
【0059】
矢印27は、アクチュエータの直線運動の方向を示す。位置スイッチ13は、アクチュエータの直線運動によって駆動されるスイッチ・カム24によって始動される。スイッチ・カム24は、ねじ穴内へ延びる中空ネジ21によってねじ穴の上端に固定され、係止ナット及び位置ナットの上方に配置される。
【0060】
図3は、本発明の下部の断面図を示す。温度センサ19は、加熱スタンプ5内の穴/通路15を通って延びる。穴/通路15の隙間30は、温度センサ19及びそのケーブルの過熱を防ぐ。加えて、保護パイプ31が、熱保護として温度センサ及びそのケーブルを囲む。加熱スタンプは、その外面に、加熱スタンプの芯の周りに巻かれた加熱コイル又は発熱体22を有する。芯は、芯をコイルの形状で囲む切込みを有する。弁ピンは、各端部に加熱スタンプの回転を防ぐ回転防止の平らな面16を有するピン管32において上下に可動である。
【0061】
図4Aは、回転可能な加熱装置33及び加熱装置の出口34を有する加熱スタンプの側面図を示す。
図4bは、
図4aの切断線E-Eに沿った断面図を示す。
図4bは、加熱器/加熱装置は出口34の場所を変更するために回転できるので、配線は、ホット・ランナ・システムに固定されると、場所に適合できることを示す。
【0062】
図5A~
図5Cは、加熱装置33及び出口34を断面図で示す。また、加熱スタンプ5は、ピンが配置される中心穴内へ延びるねじ穴にねじ込まれるネジ14によってピン7に固定されることが開示される。
【0063】
図6Aは、ホット・ランナ・システム35へブラケット37によって取り付けられた加熱装置の上面図を示す。スロット付きブラケットにより、ホット・ランナ・システムへの柔軟な装着が可能である。
図6Aでは、ブラケットはL字形であり、一端でホット・ランナ・システム35のマニホールド36に接続され、他端で加熱装置に接続される。可能な実施例では、ブラケットは、加熱装置のベース・プレートに取り付けられる。加熱装置とブラケットとの両方に異なる形状が可能である(直線ブラケット、丸いブラケットなど)。
【0064】
ブラケット又は保持手段に適合するための支柱で、ホット・ランナ・システム上の柔軟な装着が行われる。
【0065】
センサ・ケーブル及びアクチュエータの動力供給(油、空気、電気)は、ホット・ランナ・システムのセンサ及び/又はアクチュエータの動力供給のように、同じケーブル・チャネル及び/又は接続器プレートに組み込まれる。
【0066】
完全なシステムは、別個に組み立てることが必要ではない全てが含まれている。
【0067】
図6Bは、
図6Aの側面図を示し、スロット付きブラケットが見える。ブラケット37は、マニホールド及びベース・プレートへねじ込まれる。それらの各々は、ネジが延びるねじ穴を有する。
【0068】
これにより、ブラケット又は保持手段17上のスロットでホット・ランナ・システム上の柔軟な装着が行われるので、ホット・ランナ上の柔軟な装着が可能になる。保持手段は、ネジ、ブラケット37、ブラケットとネジとの間のブッシングとを含む。
【0069】
図7Aは、加熱スタンプ5が射出成形金型キャビティ壁2に接触し、射出プラスチック39の質を改良するために接触エリアを加熱していることを示す。
図7bは、プラスチックが固まることが(例えば、凝固及び/又は硬化)できるように射出成形金型キャビティ壁2から除去された加熱スタンプ5を示す。
【0070】
図8は、
図9による装置を通る断面図を示す。マニホールド36とアクチュエータ4との間には、冷却装置40が配置され、アクチュエータへの熱損傷を防ぐ。ベース・プレート3aは、マニホールド36上に直接配置されている。加熱装置22は、加熱スタンプ5の周りを回転できるスリーブとして設計される。
【0071】
上記の説明は、例示的であることが意図され、限定的であることは意図されない。本発明の範囲は、均等物の全範囲とともに添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。将来の開発が当該技術分野において起こり、開示された装置、キット及び方法がそのような将来の実施例に組み込まれることが予想され、意図される。したがって、本発明は、修正及び変形が可能であり、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0072】
1 加熱装置
2 射出成形金型キャビティ壁
3a/b ベース・プレート
4 アクチュエータ
5 加熱スタンプ
6 ベース・プレートの開口部
7 ピン
8 合わせピン(1つ又は複数)
9 位置ナット
10 ねじ穴
11 係止ナット
12 アクチュエータの上面
13 位置スイッチ
14 ピンをクランプ留めするネジ
15 加熱スタンプ内の穴/通路
16 回転防止手段
17 保持手段
18 ピン頭部
19 温度センサ
20 止めネジ
21 中空ネジ
22 加熱部
23 アクチュエータをベース・プレートに固定するためのネジ
24 スイッチ・カム
25 流体入口/出口
26 シャンク
27 行程経路/直線運動
28 温度センサの出口
30 穴/通路の間隙
31 温度センサの保護パイプ/ランス
32 ピン管
33 加熱スタンプ又はシャンクの周りの回転可能な加熱部
34 加熱部の出口
35 ホット・ランナ・システム
36 ホット・ランナ・システムのマニホールド
37 加熱装置を柔軟に保持するためのスロット付きブラケット
38 接続器プレート
39 プラスチック
40 冷却
【国際調査報告】