(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法
(51)【国際特許分類】
C21C 1/06 20060101AFI20240628BHJP
F27D 1/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C21C1/06
F27D1/18 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580861
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2022009552
(87)【国際公開番号】W WO2023277661
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0087261
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジョン ウ
【テーマコード(参考)】
4K014
4K051
【Fターム(参考)】
4K014AD12
4K014AD15
4K014AD16
4K051AA06
4K051AB09
4K051MA14
(57)【要約】
【課題】容器の開閉を行い易い溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法を提供する。
【解決手段】溶融物が収容可能な内部空間及び溶融物が出入り可能な開口部を有する容器と、開口部を閉止可能なカバー部材を備え、容器の上側に位置付けられて開口部に対して前後進移動可能なカバー部と、カバー部と接触できるようにカバー部の下側においてカバー部に対して前後進可能な回転体を備える支持部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物が収容可能な内部空間及び前記溶融物が出入り可能な開口部を有する容器と、
前記開口部を閉止可能なカバー部材を備え、前記容器の上側に位置付けられて前記開口部に対して前後進移動可能なカバー部と、
前記カバー部と接触できるように、前記カバー部の下側において前記カバー部に対して前後進可能な回転体を備える支持部と、
を備えることを特徴とする溶融物の輸送装置。
【請求項2】
前記カバー部を前後進させるように、前記容器の一方の側において前記カバー部の下部に締結された前後進駆動部を備え、
前記支持部は、前記前後進駆動部と容器との間に位置付けられ、前記回転体側に向かって進むにつれて前記開口部に近づくように上向きに斜設されていることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項3】
前記支持部は、
前記カバー部を向く一方の端に前記回転体が連結され、前記一方の端側に向かって進むにつれて前記開口部に近づくように上向きに斜設された支持棒と、
前記支持棒の他方の端に連結されて前記支持棒を前記カバー部に対して前後進させることが可能な支持駆動源と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項4】
前記支持部を昇降させるように前記支持部と連結された支持高さ調節部を備えることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項5】
前記前後進駆動部を昇降させるように、前記前後進駆動部の下部に連結された昇降駆動部と、
前記容器の長手方向の両終端に連結された第1及び第2のハウジングと、
を備え、
前記第1のハウジングの上部に前記前後進駆動部及び昇降駆動部が配設され、
前記第1のハウジングの側部に前記支持部及び支持高さ調節部が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項6】
前記第1のハウジングに配設されて、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部のそれぞれに電力を提供する電源部を備え、
前記電源部は、バッテリーを備えることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項7】
外部から入力される指令信号を無線にて引き渡されて、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、前記第1のハウジングに配設された制御部を備えることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項8】
前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、第1のハウジングに配設された制御部と、
前記制御部に指令信号を引き渡し可能であり、第1のハウジングに配設された操作ボタンと、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項9】
前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、前記第1のハウジングに配設された操作ハンドルを備えることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の輸送装置。
【請求項10】
容器の内部に溶融物が収容された溶融物の輸送装置を搬送する過程と、
前記容器の開口部を開き閉じする開閉過程と、
を含み、
前記開閉過程は、
カバー部を前記開口部に対して前進又は後進させる前後進過程と、
前進又は後進する前記カバー部を下側から支持する第1の支持過程と、
を含むことを特徴とする溶融物の輸送方法。
【請求項11】
前記開閉過程は、
前記前後進過程の前又は後に前記カバー部を上昇又は下降させる昇降過程と、
上昇又は下降する前記カバー部を下側から支持する第2の支持過程と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の溶融物の輸送方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の支持過程は、前記カバー部の下側に位置付けられた回転体を前記カバー部に接触させる過程を含み、
前記第1の支持過程は、前記カバー部が前進又は後進する力で前記回転体を回転させる過程を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の輸送方法。
【請求項13】
前記回転体を前記カバー部に接触させる過程は、前記回転体を前記カバー部に対して前後進させる過程を含み、
前記回転体を前記カバー部に対して前後進させる過程は、前記回転体の高さが上昇するにつれて前記開口部との離隔距離が次第に短くなるように、前記回転体を傾斜させて前後進させる過程を含むことを特徴とする請求項12に記載の溶融物の輸送方法。
【請求項14】
前記回転体を前記カバー部に接触させる過程は、前記開口部を閉止するように前記カバー部のうちの一部が前記開口部と向かい合うように位置づけられるとき、前記開口部と向かい合う領域以外の領域に前記回転体を接触させる過程を含むことを特徴とする請求項12に記載の溶融物の輸送方法。
【請求項15】
前記前後進過程、第1及び第2の支持過程、昇降過程のそれぞれは、自体電力を用いて動作することを特徴とする請求項12に記載の溶融物の輸送方法。
【請求項16】
前記前後進過程、第1及び第2の支持過程、昇降過程のそれぞれは、前記溶融物の輸送装置とは別途に設けられ、前記カバー部及び回転体と無線にて接続されたリモコンを介して指令信号を生じさせる過程を含むことを特徴とする請求項12に記載の溶融物の輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法に係り、より詳しくは、溶融物が収容される容器を容易に開閉することのできる溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉から出銑された溶銑は、トピードカー(torpedo car、混銑車)の容器に装入される。この後、トピードカーは、溶銑中の不純物を取り除く操業場、すなわち、製鋼操業場に移動する。このとき、トピードカーが製鋼操業場に移動する最中に溶銑の温度が低下することを抑えるためにカバーを用いて開口部を閉止する。
一方、トピードカーを製鋼操業場に移動させながら、溶銑に昇熱剤、脱硫剤のような副原料を複数回投入する。このため、製鋼操業場に移動するトピードカーの開口部を開放してから閉止する動作を複数回繰り返し行うことを余儀なくされる。
ところが、トピードカーは無動力運搬車両であって、カバーを移動させて開口部を開閉する動力を備えていない。このため、トピードカーとは別に設置された装置を用いてカバーを持ち上げたり下ろしたりして開口部を開閉している。
【0003】
しかしながら、トピードカーが移動する経路には数多くの装置が設置されていて、周りの空間が十分ではない。特に、トピードカーの上側の空間が極めて狭い。このため、トピードカーの上側にカバーを移動させるための装置を設置することが難しく、したがって、カバーを昇降させて開口部を開閉することが 難しい。また、これにより、トピードカーを製鋼操業場に移動させながら開口部を複数回開閉することが非常に困難である。
特許文献2では、平均結晶粒のサイズを10μm以下に制御するために600~700℃の範囲で48時間以上の長時間熱処理を行う方法を提示した。しかし、特許文献2に提示された方法は、実際の生産ラインで実施するには生産性が低く、製造コストが上昇するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/043125号
【特許文献2】特開2020-50940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、容器の開閉を行い易い溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、限られた空間において容器の開閉を行い易い溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法を提供することにある。
具体的に本発明は、容器を開閉するカバー部の垂れ下がりを防ぐことのできる溶融物の輸送装置及び溶融物の輸送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の溶融物の輸送装置は、溶融物が収容可能な内部空間及び前記溶融物が出入り可能な開口部を有する容器と、前記開口部を閉止可能なカバー部材を備え、前記容器の上側に位置付けられて前記開口部に対して前後進移動可能なカバー部と、前記カバー部と接触できるように、前記カバー部の下側において前記カバー部に対して前後進可能な回転体を備える支持部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記輸送装置は、前記カバー部を前後進させるように、前記容器の一方の側において前記カバー部の下部に締結された前後進駆動部を備え、前記支持部は、前記前後進駆動部と容器との間に位置付けられ、前記回転体側に向かって進むにつれて前記開口部に近づくように上向きに斜設されることがよい。
前記支持部は、前記カバー部を向く一方の端に前記回転体が連結され、前記一方の端側に向かって進むにつれて前記開口部に近づくように上向きに斜設された支持棒と、前記支持棒の他方の端に連結されて前記支持棒を前記カバー部に対して前後進させることが可能な支持駆動源と、を備えることができる。
前記輸送装置は、前記支持部を昇降させるように前記支持部と連結された支持高さ調節部を備えることが好ましい。
【0008】
前記輸送装置は、前記前後進駆動部を昇降させるように、前記前後進駆動部の下部に連結された昇降駆動部と、前記容器の長手方向の両終端に連結された第1及び第2のハウジングと、を備え、前記第1のハウジングの上部に前記前後進駆動部及び昇降駆動部が配設され、前記第1のハウジングの側部に前記支持部及び支持高さ調節部が配設されることができる。
前記輸送装置は、前記第1のハウジングに配設されて、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部のそれぞれに電力を提供する電源部を備え、前記電源部は、バッテリーを備えることが好ましい。
前記輸送装置は、外部から入力される指令信号を無線にて引き渡されて、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、前記第1のハウジングに配設された制御部を備えることがよい。
【0009】
前記輸送装置は、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、第1のハウジングに配設された制御部と、前記制御部に指令信号を引き渡し可能であり、第1のハウジングに配設された操作ボタンと、を備えることができる。
前記輸送装置は、前記前後進駆動部、昇降駆動部、支持部及び支持高さ調節部の動作を制御可能であり、前記第1のハウジングに配設された操作ハンドルを備えることがよい。
【0010】
本発明の溶融物の輸送方法は、容器の内部に溶融物が収容された溶融物の輸送装置を搬送する過程と、前記容器の開口部を開閉する開閉過程と、を含み、前記開閉過程は、カバー部を前記開口部に対して前進又は後進させる前後進過程と、前進又は後進する前記カバー部を下側から支持する第1の支持過程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記開閉過程は、前記前後進過程の前又は後に前記カバー部を上昇又は下降させる昇降過程と、上昇又は下降する前記カバー部を下側から支持する第2の支持過程と、を含むことができる。
前記第1及び第2の支持過程は、前記カバー部の下側に位置付けられた回転体を前記カバー部に接触させる過程を含み、前記第1の支持過程は、前記カバー部が前進又は後進する力で前記回転体を回転させる過程を含むことがよい。
【0012】
前記回転体を前記カバー部に接触させる過程は、前記回転体を前記カバー部に対して前後進させる過程を含み、前記回転体を前記カバー部に対して前後進させる過程は、前記回転体の高さが上昇するにつれて前記開口部との離隔距離が次第に短くなるように、前記回転体を傾斜させて前後進させる過程を含むことが好ましい。
前記回転体を前記カバー部に接触させる過程は、前記開口部を閉止するように前記カバー部のうちの一部が前記開口部と向かい合うように位置づけられるとき、前記開口部と向かい合う領域以外の領域に前記回転体を接触させる過程を含むことが好ましい。
前記前後進過程、第1及び第2の支持過程、昇降過程のそれぞれは、自体電力を用いて動作することができる。
【0013】
前記前後進過程、第1及び第2の支持過程、昇降過程のそれぞれは、前記溶融物の輸送装置とは別途に設けられ、前記カバー部及び回転体と無線にて接続されたリモコンを介して指令信号を生じさせる過程を含むことがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、限られた空間において容器の開口部を容易に開閉することができる。
また、カバー部を移動させて開口部を開閉するとき、カバー部の垂れ下がり又は傾きを防ぐことができる。このため、カバー部の移動を容易に行うことができ、開口部の少なくとも一部が外部に露出されることを防ぐことができる。したがって、容器内の溶融物の温度が落ち込むことを防止もしくは抑止することができる。
そして、外部の電源と接続させずに開口部を開閉することができ、必要に応じて、開口部を自由に開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による溶融物の輸送装置を示す正面図である。
【
図2】
図1における「A」部分を拡大して示す立体図である。
【
図3】本発明の実施形態による溶融物の輸送装置の一部を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による溶融物の輸送装置のカバー部と支持部の動作を説明する図であり、溶融物の輸送装置の一部を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による溶融物の輸送装置のカバー部と支持部の動作を説明する図であり、溶融物の輸送装置の一部を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による溶融物の輸送装置のカバー部と支持部の動作を説明する図であり、溶融物の輸送装置の一部を示す図である。
【
図7】本発明の実施例及び比較例による溶融物の輸送装置により溶銑を移動させたとき、溶銑の温度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を示す。
【0017】
本発明は、溶融物が収容される容器に設けられた開口部を開閉し易い溶融物の輸送装置に関する。より詳細には、限られた空間において容器の開閉を行い易く、容器を開閉するカバー部の垂れ下がりを防ぐことのできる溶融物の輸送装置に関する。
ここで、溶融物は、溶銑である。そして、溶融物の輸送装置は、溶銑を製造する設備、例えば、高炉から出銑された溶銑を輸送する装置である。より具体例を挙げると、溶融物の輸送装置は、製鉄の技術分野においてトピードカー(torpedo car)と呼ばれる装置であることがよい。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による溶融物の輸送装置を示す正面図である。
図2は、
図1における「A」部分を拡大して示す立体図である。
図3は、本発明の実施形態による溶融物の輸送装置の一部を示す断面図である。
図1から
図3に示したとおり、本発明の実施形態による溶融物の輸送装置は、溶融物Mが収容される内部空間及び溶融物Mが出入り可能な開口部1100が設けられた容器1000と、開口部1100を開閉するカバー部材2100を備え、容器1000の上側において前記開口部1100に対して前進及び後進移動可能なカバー部2000と、カバー部2000を支持したり支持力を解除したりするように前記カバー部2000の下側において昇降可能な支持部3000と、を備える。
そして、溶融物の輸送装置は、カバー部2000を前後進移動させる前後進駆動部4000と、前後進駆動部4000を昇降させる昇降駆動部5000及び支持部3000を昇降させる支持高さ調節部6000を備える。
【0019】
また、溶融物の輸送装置は、容器1000の長手方向(X軸方向)の両側に配置された第1及び第2のハウジング8100a、8100bと、第1及び第2のハウジング8100a、8100bのそれぞれの内部に位置付けられ、容器1000の長手方向の両終端に連結されて回転駆動力を提供する第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bと、第1及び第2のハウジング8100a、8100bのそれぞれの下部に連結された第1及び第2の走行部8300a、8300bと、前後進駆動部4000及び昇降駆動部5000を支持するように第1のハウジング8100aの上部に配設された受け台8400と、を備える。
そして、溶融物の輸送装置は、
図3に示したとおり、第1のハウジング8100aに配設されて前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000のそれぞれの動作を制御する制御部7100と、第1のハウジング8100aに配設された充電式バッテリータイプである電源部7200と、を備える。ここで、電源部7200は、前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000の駆動のための電力を供給する手段であることがよい。
【0020】
このような溶融物の輸送装置は、容器1000の内部に溶融物Mが収容されている状態で移動する。このとき、カバー部材2100を介して容器1000の開口部1100を閉止した状態で移動する。溶融物の輸送装置を移動させるとき、開口部1100を閉止することは、溶融物Mの温度の低下(落ち込み)を防止もしくは抑止するためである。
容器1000は、溶融物Mを収容する手段である。このような容器1000は、溶融物Mの温度の低下を防止もしくは抑止するように耐火物を含む材料から製造されることがよい。容器1000は、一方向に延びた形状を呈していてもよく、
図1に示したとおり、長手方向の両終端のそれぞれが第1及び第2のハウジング8100a、8100bの間に嵌入されて第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bと連結されることがよい。そして、容器1000には溶融物Mを装入又は排出可能な開口部1100が設けられるが、容器1000の長手方向の中心に位置づけて設けられることが好ましい。
【0021】
第1及び第2のハウジング8100a、8100bのそれぞれは、内部空間を有するボックス(box)状を呈していてもよい。そして、第1のハウジング8100aの内部には容器1000の一方の端と連結された第1の回転駆動部8200aが配設され、第2のハウジング8100bの内部には容器1000の他方の端と連結された第2の回転駆動部8200bが配設される。また、第1及び第2のハウジング8100a、8100bのうちのどちらか一方、例えば、第1のハウジング8100aの上部には、
図1に示したとおり、ベース4300と、昇降駆動部5000及び前後進駆動部4000が配設される。
第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bは、容器1000が回転できるように回転駆動力を提供する手段である。このような第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bは、電力により動作する手段であることがよい。より具体例を挙げると、第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bのそれぞれは、供給される電力により動作するモーター(motor)を備える手段であることができる。
【0022】
第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bを用いた容器1000の回転は、前記容器1000の内部の溶融物Mを外部に排出するときに行われる。すなわち、第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bを動作させて開口部1100の高さが低くなるように容器1000を回転させると、開口部1100を介して溶融物Mが外部に排出される。
第1及び第2の走行部8300a、8300bは、溶融物の輸送装置を移動させる手段である。このような第1及び第2の走行部8300a、8300bは、レール(rail)に沿って滑走可能な手段である。すなわち、第1及び第2の走行部8300a、8300bのそれぞれは、ハウジング8100a、8100bの下部に配設されたフレーム8310及び回転自在にフレーム8310の下部に配設されたホイール(wheel)8320を備えていてもよい。
【0023】
第1及び第2の走行部8300a、8300bのうちの少なくとも一方の上部には、
図1に示すように、オペレーターHが乗り込み可能な空間が設けられてもよい。例えば、
図1に示すとおり、第2の走行部8300bの上部にオペレーターHが乗り込み可能な空間が設けられる。このため、溶融物の輸送装置は、オペレーターHが乗り込んだ状態で移動することができる。
オペレーターHは、後述する前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000のうちの少なくとも1つの動作を無線にて制御可能なリモコンRを備えた状態で溶融物の輸送装置に乗り込んでもよい。したがって、オペレーターHがリモコンRを用いて前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000を制御することができる。すなわち、オペレーターが溶融物の輸送装置から降りなくても、前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000の動作を制御することができる。
したがって、溶融物の輸送装置が最終目的地まで移動する最中に、必要に応じてオペレーターがリモコンRを操作してカバー部2000を移動させることにより、開口部1100を開閉することができる。すなわち、オペレーターHがリモコンRを用いて前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000のうちの少なくとも1つの動作を制御してカバー部2000を移動させることにより、開口部1100を開閉することができる。
【0024】
ここで、溶融物の輸送装置が最終目的地に向かって移動する最中に、開口部1100の開放が必要となる状況とは、溶融物の輸送装置が副原料の投入のための位置に辿り着いた状況であってもよい。例を挙げて説明すれば、溶融物の輸送装置が最終目的地まで移動する最中、昇熱剤、脱硫剤などの副原料の投入が必要になる場合がある。このため、溶融物の輸送装置が移動する最中に、昇熱剤を投入する位置(以下、昇熱剤の投入位置)及び脱硫剤を投入する位置(以下、脱硫剤の投入位置)に辿り着くと、副原料の投入のために開口部1100を開放しなければならない。
したがって、オペレーターHが乗り込んだ状態で溶融物の輸送装置が移動していて、例えば、昇熱剤の投入位置に辿り着くと、オペレーターHは、リモコンRを用いてカバー部2000の動作を制御し、カバー部材2100により閉止されている開口部1100を開放する。この後、副原料の投入が終了すれば、オペレーターHは再びリモコンRを用いてカバー部材2100を移動させて開口部1100を閉止する。
図4から
図6は、本発明の実施形態による溶融物の輸送装置のカバー部と支持部の動作を説明する図であり、溶融物の輸送装置の一部を示す図である。
【0025】
図1から
図6を参照すると、カバー部2000は、容器1000に設けられた開口部1100を開放したり閉止したり(覆ったり)する手段である。このようなカバー部2000は、開口部1100に対する前後進移動及び昇降動作を用いて前記開口部1100を開閉する。カバー部2000は、前後進駆動部4000と締結されたアーム(arm)2200及びアーム2200の終端に連結されたカバー部材2100を備える。
アーム2200は、一方向に延びた形状であることができる。より具体的には、アーム2200は、第1のハウジング8100aと容器1000が並べられた方向に延びた形状をしていることがよい。別の言い方をすれば、アーム2200は、前後進駆動部4000と開口部1100が並べられた方向に延びた形状であってもよい。換言すれば、アーム2200は、容器1000の長手方向(X軸方向)に延びた形状であることができる。このようなアーム2200は、
図2に示したとおり、所定の面積と厚さを有する板(Plate)状であることがよい。
【0026】
アーム2200は、前後進駆動部4000と締結され、前記前後進駆動部4000の動作により開口部1100側に前進したり、前記開口部1100とは反対側に後進したりすることができる。このとき、アーム2200は、前後進駆動部4000の上部に締結されることがよい。そして、アーム2200が前後進駆動部4000と締結される形態は種々であることができる。例えば、後述する前後進駆動部4000が一方向に並べられた複数本の突起及び突起同士の間の溝を有するベルト(belt)を備える構成に設けられる場合、アーム2200は、このようなベルト4220と締結できるように設けられる。すなわち、アーム2200の下部面には、ベルト4220の溝に嵌入又は噛合して締結可能な突起が設けられる。
いうまでもなく、アーム2200は、上述した例に何ら限定されるものではなく、前後進駆動部4000と締結可能である限り、いかなる形状又は手段が用いられても構わない。
【0027】
カバー部材2100は、開口部1100を閉止する手段であって、アーム2200に連結される。より具体的には、カバー部材2100は、アーム2200の延在方向の両終端のうち、開口部1100に向う終端(一方の端)に連結される。このようなカバー部材2100は、開口部1100の全体を覆ったり閉止したりできる大きさを有するように設けられる。このために、上下方向を基準としてカバー部材2100の最上部の面は開口部と同一に、もしくはそれよりも大きく設けられることがよい。また、カバー部材2100は、その下部が開口部を貫通して容器1000の内部に嵌入できるように設けられてもよい。このために、カバー部材2100は、下側に向かって進むにつれて幅が次第に狭くなる形状に設けられる。換言すれば、カバー部材2100は、下側に凸形状で設けられてもよい。
【0028】
以上においては、カバー部材2100の最上部の面が開口部1100と同一に、もしくはそれよりも大きく設けられることについて説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、最上部の面と最下部の面との間のいかなる部位であっても、開口部と同一に、もしくはそれよりも大きく設けられても構わない。
カバー部材2100は、耐火物を含む材料から作製されることがよい。これは、カバー部材2100により開口部1100を閉止したとき、容器1000内の溶融物Mの温度が低下することを防止もしくは抑止するためである。
前後進駆動部4000は、カバー部2000を開口部1100に対して前後進させる手段であって、
図2及び
図3に示すとおり、容器1000の長手方向(X軸方向)の一方の側に位置するように第1のハウジング8100aの上側に設置されることがよい。
【0029】
図2及び
図3を参照すると、前後進駆動部4000は、昇降駆動部5000の上部に配設されたベース4300と、ベース4300の上側においてアーム2200と締結され、開口部1100側又は前記開口部1100とは反対の側に運動可能な前後進駆動体4200と、前後進駆動体4200と連結されるようにベース4300に配設されて前記前後進駆動体4200を動作させる前後進駆動源4100と、を備える。また、前後進駆動源4100と前後進駆動体4200とをつなぐ連結部材4400を備えていることがよい。
ベース4300は、カバー部2000が延びた方向に延びた板(Plate)形状を呈していてもよい。別の言い方をすれば、ベース4300は、第1のハウジング8100aと容器1000が並べられた方向に延びた板形状をしていることがよい。
【0030】
前後進駆動体4200は、ベース4300の上部に配設され、カバー部2000のアーム2200と締結される。このような前後進駆動体4200は、
図2及び
図3に示したとおり、ベース4300の延在方向に互いに離れるように並設され、前後進駆動源4100の動作により回転可能な一対のプーリー4210及び一対のプーリー4210の外周面を包み込むように締結されたベルト4220を備えることがよい。
一対のプーリー4210のそれぞれは、その外周面に周方向に並設された複数本の突起又は鋸の歯を備える手段であることがよい。ベルト4220は、ループ状(loop)又は環状に設けられて、一対のプーリー4210の外周面を包み込むように配設される。このようなベルト4220は、プーリー4210の外周面と接する内面及び前記内面の反対面である外面に複数本の突起及び突起同士の間の溝が設けられたものであってもよい。ここで、ベルト4220の内面に設けられた突起は、プーリー4210の外周面に設けられた突起同士の間の溝に嵌入又は噛合して締結される手段であることがよい。また、ベルト4220の外面に設けられた突起は、アーム2200の下部面に設けられた溝に嵌入又は噛合して締結される手段である。
【0031】
前後進駆動源4100は、プーリー4210を回転させる手段であって、一対のプーリー4210のうちのどちらか一方と連結されるように配設される。そして、前後進駆動源4100は、電力により動作する手段であることがよい。例えば、前後進駆動部4000は、供給される電力により駆動されるモーター(motor)を備える手段であることがよい。より具体例を挙げると、前後進駆動源4100は、直流モーター(direct current motor(DCモーター))を備える手段であることがよい。
【0032】
前後進駆動源4100が直流モーターを備える場合、前後進駆動源4100の動作による前後進駆動体4200及びカバー部2000の動作について簡略に説明すれば、下記のとおりである。直流モーターは、供給される電力又は電流の極性に応じて、プーリー4210の回転方向を調節することができる。すなわち、直流モーターの第1の端子を正極(+)、第2の端子を負極(-)に接続して電力を供給すれば、プーリー4210が、例えば、時計回り方向に回転する。逆に、直流モーターの第1の端子を負極(-)、第2の端子を正極(+)に接続して電力を供給すれば、プーリー4210が反時計回り方向に回転する。また、プーリー4210の回転によりベルト4220が回転するが、例えば、プーリー4210が時計回り方向に回転すれば、ベルト4220が時計回り方向に回転し、逆に、プーリーが反時計回り方向に回転すれば、ベルト4220が反時計回り方向に回転する。そして、ベルト4220の回転動作により前記ベルト4220に締結されたカバー部2000が移動する。例えば、ベルト4220が時計回り方向に回転すれば、カバー部2000が容器の開口部1100に向かって前進移動し、ベルト4220が反時計回り方向に回転すれば、カバー部2000が開口部1100とは反対の側に向かって後進移動する。
【0033】
上記のような前後進駆動部4000は、複数、例えば、一対で設けられてもよい。そして、一対の前後進駆動部4000は、
図2に示すとおり、カバー部2000が前後進移動する方向と交差又は直交する方向に並設されてもよい。
また、前後進駆動部4000は、カバー部2000がより一層安定的に前後進移動できるようにする
図2のガイド部材4600をさらに備えることができる。すなわち、前後進駆動部4000は、カバー部2000の延在方向に延設されてベース4300の上部に配設されたガイド部材4600を備えていてもよい。ガイド部材4600は、一種のレール(rail)であってもよい。また、アーム2200の下部面には、ガイド部材4600と締結されて前記ガイド部材4600に沿って滑走可能な可動体(図示せず)がさらに付設されてもよい。
昇降駆動部5000は、カバー部2000を昇降させる手段であって、前後進駆動部4000の下部に配設されることがよい。すなわち、昇降駆動部5000は、前後進駆動部4000と受け台8400との間に位置付けられて配設されることがよい。このような昇降駆動部5000は、受け台8400の上部に配設されて昇降駆動力を提供する昇降駆動源5100及び昇降駆動源5100の動作により前後進駆動部4000が位置付けられた上側又は前記前後進駆動部4000の反対側である下側に動作する昇降駆動体5200を備えることができる。
【0034】
昇降駆動源5100は、昇降駆動体5200を昇降させる手段であって、電力により動作する手段であることがよい。昇降駆動源5100は、電力を用いて昇降駆動体5200を昇降させることが可能である限り、いかなる手段が用いられても構わず、例えば、電力により動作するモーターを備えていてもよい。
支持部3000は、カバー部2000がその自重により垂れ下がってしまうことを防ぐ手段である。すなわち、支持部3000は、前後進駆動部4000から遠ざかるように前進移動するカバー部2000がいずれか片側に傾いて垂れ下がってしまうことを防ぐ手段である。より具体的には、支持部3000は、カバー部2000部を
図3から
図4に示すとおり前進させたり、
図5から
図6に示すとおり後進させたり、
図4に示すとおりカバー部材2100が開口部1100と向かい合っている状態で、
図5に示すとおりカバー部2000を下降させたりするとき、カバー部2000が垂れ下がってしまうことを防ぐために設けられる。
【0035】
このような支持部3000は、
図2及び
図3に示すとおり、第1のハウジング8100aの側部に配設されてもよい。すなわち、支持部3000は、第1のハウジング8100aの側部と容器1000との間の空間に位置付けられるように配設されることがよい。また、支持部3000は、第1のハウジング8100aからカバー部2000又は開口部1100に向かって上向きに斜設されることがよい。これにより、支持部3000の昇降動作に際して前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000及び容器1000と干渉しないことが可能になる。
図2及び
図3を参照すると、支持部3000は、カバー部2000の下側から前記カバー部2000に向かって延設された支持棒3200と、カバー部2000を向く支持棒3200の一方の端に配設され、カバー部2000の前後進移動につれて回転可能な回転体3300及び支持棒3200を上昇させたり下降させたりする支持駆動源3100を備える。
【0036】
支持棒3200は、一方向に延びたバー(bar)形状をしていてもよい。支持棒3200には回転体3300が連結されるが、延在方向の両終端のうち、開口部に向う一方の端に回転体3300が連結され、反対側の終端である他方の端は第1のハウジング8100aに連結されることがよい。このとき、第1のハウジング8100aの上部にはベース4300と、昇降駆動部5000及び前後進駆動部4000が配設されるため、支持棒3200は、その他方の端が第1のハウジング8100aの側部に連結されるように配設される。
また、支持棒3200は、第1のハウジング8100aの側部から開口部又はカバー部2000に向かって上向きに斜設されてもよい。このため、支持棒3200は、回転体3300が連結された一方の端の高さが第1のハウジング8100aと連結された他方の端の高さに比べて高い状態であってもよい。
回転体3300は、前後進するカバー部2000との接触に際して前記カバー部2000が移動する力により回転可能なように支持棒3200の一方の端に配設される。このような回転体3300は、ホイール(wheel)又はロール(roll)であることができる。
【0037】
支持棒3200の一方の端に回転体3300を配設することは、支持部3000がカバー部2000の移動を妨げないようにするためである。より具体的に説明すれば、カバー部2000が前後進移動するとき、その自重により垂れ下がってしまうことを防ぐために、
図4及び
図5に示すように、カバー部2000の下部に支持部3000を接触させて、正確には、回転体3300を接触させて前記カバー部2000を支持する。すなわち、カバー部2000が前後進移動するとき、前記カバー部2000が前後進移動する力により回転体3300が回転することによって、回転体3300をカバー部2000に接触させて支持しても、前記回転体3300がカバー部2000の前後進を妨げることはない。
ところが、支持棒3200の一方の端に回転体3300が配備されずにカバー部2000の下部に支持棒3200を直接的に接触させて支持する場合、支持棒3200によりカバー部2000の移動が円滑に行われない虞がある。すなわち、支持棒3200がカバー部2000の移動を妨げる虞がある。したがって、支持棒3200の一方の端に回転体3300を配設することにより、支持部3000の前後進移動を妨げずに、前記カバー部2000が垂れ下らないように支持することができる。
【0038】
支持駆動源3100は、支持棒3200を昇降させる手段である。斜設された支持棒3200を昇降させるということは、回転体3300が連結された一方の端の高さが高くなるようにしたり、低くなるようにしたりする動作を意味する。そして、支持棒3200が開口部側に上向きに斜設されることにより、支持棒3200が上昇すれば、その一方の端が開口部側に近づき、下降すれば、その一方の端が開口部から遠ざかる。このため、支持棒3200の昇降動作は、開口部側に前進移動、又は開口部とは反対の側に後進移動することであると説明することができる。別の言い方をすれば、支持棒3200が傾斜方向に前後進することであると説明可能である。
【0039】
支持高さ調節部6000は、支持部3000の全体を昇降させる手段である。すなわち、支持高さ調節部6000は、
図4及び
図6に示すとおり、支持部3000の全体を昇降させる。このような支持高さ調節部6000は、例えば、
図3に示すとおり、第1のハウジング8100aの側部に配設され、支持部3000の他方の端が支持高さ調節部6000に連結される。
支持高さ調節部6000は、上下方向に延設されて第1のハウジング8100aの側部に配設されたガイド部材6100と、支持部3000の他方の端に装着されてガイド部材6100に締結され、前記ガイド部材6100に沿って滑走可能な可動ブロック6200及び可動ブロック6200を動作させる高さ調節駆動源6300を備えていることがよい。このような支持高さ調節部6000によれば、高さ調節駆動源6300の動作により可動ブロック6200がガイド部材6100に沿って上昇又は下降する。このとき、可動ブロック6200に連結された支持部3000が前記可動ブロック6200とともに上昇又は下降する。
【0040】
上述した支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300のそれぞれは、電力により動作する手段であってもよい。例えば、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300のそれぞれは、電力により回転するモーター及びモーターの回転につれて直線運動をし、モーターの回転方向に沿って前進又は後進する可動部材を備える手段であってもよい。より具体例を挙げると、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300は、LMガイド(リニアモーションガイド)を備えていてもよい。
支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300のそれぞれは、上述した例に何ら限定されるものではなく、電力を用いて動作して支持棒3200及び可動ブロック6200のそれぞれを昇降させることが可能である限り、いかなる手段が用いられても構わない。
【0041】
支持高さ調節部6000を用いて支持部3000の全体を昇降させることは、カバー部2000の昇降を妨げずに、昇降に際してもカバー部2000を支持できるようにするためである。例を挙げて説明すれば、カバー部材2100により開口部を閉止するために、
図5に示すとおり、カバー部2000を下降させるときに支持部3000を一緒に下降させる。このため、支持部3000がカバー部2000の下降移動を妨げないことがよい。また、このとき、支持部3000がカバー部2000のアームから分離されることなく接触又は支持している状態を保持しながら、前記支持部3000を下降させる。このことは、支持部3000の全体を下降させるとき、支持駆動源3100を用いて支持棒3200を上昇又は下降させることにより成し遂げることができる。別の言い方をすれば、支持棒3200をカバー部2000又は開口部1100に向かって前進又は後進させることにより成し遂げることができる。したがって、支持部3000は、カバー部2000を支持して垂れ下がりを防ぎながらも、前記カバー部2000の下降動作を妨げないことがよい。
電源部7200は、前後進駆動源4100と、昇降駆動源5100と、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300のそれぞれに電力を提供する手段である。このような電源部7200は、電力を充電可能な充電タイプのバッテリー(battery)であることが好ましいい。そして、電源部7200は、溶融物の輸送装置に搭載され、例えば、第1のハウジング8100aの内部に配設されてもよい。また、電源部7200は、後述する制御部7100と接続されることがよい。
【0042】
以上においては、電源部7200が充電タイプのバッテリーを備えることについて説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、使い捨てのバッテリーを備えていてもよい。電源部7200が使い捨てのバッテリーを備える場合、周期的にバッテリーを入れ替えて用いることができる。
このように、電源部7200が第1のハウジング8100aの内部に配設されて溶融物の輸送装置に搭載されることにより、外部電源を接続しなくても自体の電力をもって、必要に応じてカバー部2000を前後進及び昇降させることができる。すなわち、開口部1100の開閉が必要であるとき、溶融物の輸送装置を外部電源が供給される位置に移動させなくても、搭載されている電源部7200を用いた電力を用いてカバー部材2100により開口部を開閉することができる。
【0043】
制御部7100は、第1のハウジング8100a、より具体的には、第1のハウジング8100aの内部に配設されてもよい。そして、制御部7100は、外部から入力される指令信号により動作して前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000のそれぞれを制御できるように設けられてもよい。
このような制御部7100は、前後進駆動部4000の動作を制御する前後進制御部7110と、昇降駆動部5000の動作を制御する昇降制御部7120と、支持部3000及び支持高さ調節部6000の動作を制御する支持制御部7130と、を備えていてもよい。
【0044】
前後進制御部7110は、前後進駆動源4100の動作を制御する。すなわち、前後進制御部7110は、前後進駆動体4200を構成するプーリー4210の回転動作の有無及びプーリー4210の回転方向が調節されるように前後進駆動源4100を制御する。このとき、前後進制御部7110は、外部から入力される指令信号に基づいて動作して前後進駆動源4100を制御してもよい。すなわち、オペレーターHにより操作されるリモコンRから入力された前進移動指令信号、前進移動中止指令信号、後進移動指令信号、後進移動中止指令信号のうちのいずれか1つが前後進制御部7110に入力されれば、前後進制御部7110は、入力された信号に基づいて、前後進駆動源4100の動作を制御する。このため、前後進駆動源4100に連結された前後進駆動体、すなわち、プーリー4210が回転したり回転しなかったりするように調節され、回転方向が調節される。
【0045】
昇降制御部7120は、昇降駆動源5100の動作を制御する。すなわち、昇降制御部7120は、昇降駆動体5200の動作の有無と、運動方向(すなわち、上昇又は下降移動)が調節されるように昇降駆動源5100を制御する。また、昇降制御部7120は、外部から入力される指令信号に基づいて動作してもよい。すなわち、リモコンRから上昇指令信号、上昇中止指令信号、下降指令信号、下降中止指令信号のうちのいずれか1つが昇降制御部7120に入力されれば、昇降制御部7120は、入力された信号に基づいて昇降駆動源5100の動作を制御する。このため、昇降駆動源5100に連結された昇降駆動体5200が上昇又は下降したり昇降動作が中止されたりすることができる。
支持制御部7130は、支持部3000の支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300の動作を制御する。そして、支持制御部7130は、外部から入力される指令信号に基づいて、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300を制御する。
【0046】
まず、支持駆動源3100について説明する。リモコンRから支持棒3200についての上昇指令信号、上昇中止指令信号、下降指令信号、下降中止指令信号のうちのいずれか1つが支持制御部7130に入力されると、支持制御部7130は、入力された信号に基づいて支持駆動源3100の動作を制御する。すなわち、支持制御部7130は、入力された信号に基づいて支持駆動源3100の動作を制御して、支持棒3200が上昇又は下降したり昇降動作が中止されたりするように調節する。
また、リモコンRから支持部3000の全体についての上昇指令信号、上昇中止指令信号、下降指令信号、下降中止指令信号のうちのいずれか1つが支持制御部7130に入力されれば、支持制御部7130は、入力された信号に基づいて高さ調節駆動源6300の動作を制御する。このため、支持高さ調節部6000に連結された支持部3000が上昇又は下降したり昇降動作を中止したりすることができる。
上述したような前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれは、電源部7200から入力された電力が各構成要素に接続された駆動源に出力されたり出力されなかったりするように制御する。
【0047】
すなわち、前後進制御部7110は、電源部7200から入力される電力が前後進駆動源4100に出力(on)されるよう、あるいは、出力されないように(off)制御し、昇降制御部7120は、電源部7200から入力される電力が昇降駆動源5100に出力(on)されるように、あるいは、出力されないように(off)制御する。このとき、前後進制御部7110及び昇降制御部7120のそれぞれは、入力される指令信号に基づいて電力を出力したり出力しなかったりする。
また、支持制御部7130は、電源部7200から入力される電力が支持駆動源及び高さ調節駆動源6300のそれぞれに出力(on)されるように、あるいは、出力されないように(off)制御する。このとき、支持制御部7130は、支持棒3200又は支持部3000についての指令信号に基づいて電力を出力したり出力しなかったりする。
【0048】
以上においては、オペレーターがリモコンRを用いて前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれに指令信号を無線にて伝送して、前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000の動作を制御することについて説明した。しかしながら、前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれの動作を制御する方法、又は指令信号を入力する方法は、上述した方法に何ら限定されるものではない。
【0049】
例えば、第1のハウジング8100aの外部に前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130とそれぞれ接続された操作ボタン(図示せず)が配設されてもよい。そして、オペレーターが操作ボタンを操作することにより、前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれを制御してもよい。すなわち、操作ボタンを用いて前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれに指令信号を入力してもよい。このため、前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれが入力された指令信号に基づいて動作して、前後進駆動源4100と、昇降駆動源5100と、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300の動作を制御することができる。
他の例を挙げると、前後進駆動源4100と、昇降駆動源5100と、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300のそれぞれに物理的な力を加える操作ハンドル(図示せず)が設けられてもよい。すなわち、第1のハウジング8100aの外部に前後進駆動源4100と、昇降駆動源5100と、支持駆動源3100及び高さ調節駆動源6300とそれぞれ接続された操作ハンドルが配設されてもよい。この操作ハンドルは、オペレーターが自ら力を加えることが可能なように設けられたものであって、前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のうちの少なくとも1つが誤作動するなどの状況下で、オペレーターHが溶融物の輸送装置から降りて自ら操作できるように設けられてもよい。
【0050】
以下、
図1から
図6を参照して、本発明の実施形態による溶融物の輸送装置の動作について説明する。このとき、溶融物Mとして高炉から出銑された溶銑を例にとって説明する。また、高炉から出銑された溶銑を容器1000内に装入した後、カバー部材2100により開口部1100を閉止した後、溶融物の輸送装置が移動し始めた状態を例にとって説明する。
溶融物の輸送装置が移動する最中に開口部1100の開放が必要となる位置に辿り着くと、溶融物の輸送装置の移動を中止する。ここで、開口部1100の開放が必要となる位置は、例えば、容器1000内の溶銑に昇熱剤を投入する位置であってもよい。
【0051】
溶融物の輸送装置が昇熱剤の投入位置に辿り着いて移動が中止されれば、カバー部2000を移動させて開口部1100を開放する。開口部1100を開放する方法については、再び後述する。開口部1100が開放されれば、容器1000の内部に昇熱剤を投入する。
昇熱剤の投入が終了すれば、再び開口部1100を閉止する。このために、前後進制御部7110を介して電源部7200から入力された電源を前後進駆動源4100に出力し、前後進駆動源4100を動作させる。このとき、前後進制御部7110は、プーリー4210が時計回り方向に回転するように前後進駆動源4100の動作を調節する。このため、プーリー4210及びベルト4220が時計回り方向に回転し、したがって、カバー部2000が
図3から
図4に示すように、開口部1100側に前進する。
【0052】
このように、カバー部2000が前進移動するとき、支持部3000を用いて前記カバー部2000が垂れ下がらないように支持する。このために、まず、支持高さ調節部6000を用いて支持部3000の全体を上昇させる。この後、支持部3000の回転体3300が、
図4に示すように、カバー部2000のアーム2200の下部面と接触できるように、支持駆動源3100を動作させて支持棒3200を上昇させる。このように、回転体3300がアーム2200の下部面に接触されれば、支持部3000がカバー部2000を支持することになる(第1の支持過程)。
以上においては、支持高さ調節部6000を用いて支持部3000の全体を上昇させた後、支持棒3200を上昇させることについて説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、回転体3300がアーム2200の下部面を支持可能である限り、いかなる順番に進められても構わず、同時に進められてもよい。
【0053】
支持部3000の回転体3300をカバー部2000に接触させて前記カバー部2000を支持するようにするに際して、
図4に示したとおり、カバー部材2100以外の領域、すなわち、アーム2200を支持するようにすることが好ましい。これは、カバー部材2100の場合、耐熱性には優れているものの、相対的に衝撃に弱い耐火物から作製されるからである。したがって、カバー部2000を前進させ始める初期には、支持部3000を用いてカバー部2000を支持しない状態にすることができる。すなわち、前進の初期には支持棒3200の回転体3300とアーム2200とが離れた状態を保持する。そして、カバー部2000が前進し始めてカバー部材2100が回転体3300を通り過ぎた後に、支持部3000の回転体3300をアーム2200に接触させてカバー部2000を支持する。
この後、前後進駆動源4100を動作させ続けると、前後進駆動体4200の動作によりカバー部2000が前進し続ける。すなわち、
図3から
図4に示すように、カバー部材2100が次第に開口部1100に近づくように前進する。このとき、支持部3000が下部からアーム2200を支持しているので、カバー部2000が自重により垂れ下がってしまうことを防ぐことができる。また、カバー部2000が前進移動する力により回転体3300が回転するので、支持部3000がカバー部2000を支持しながら、前記カバー部2000の移動を妨げない状態を保つことができる。
【0054】
このように、前進移動する最中に、
図4に示すように、カバー部材2100が開口部と向かい合うように位置付けられれば、前後進制御部7110は、前後進駆動源4100の動作を中止する。このため、前後進駆動体4200の動作が中止され、カバー部2000の前進移動が中止される。
この後、昇降制御部7120を用いて昇降駆動源5100を動作させて、
図5に示すように、カバー部2000を下降させる。このとき、カバー部材2100が開口部1100の周りに相当する容器1000の上部壁の上に載置できるように下降させる。また、少なくともカバー部材2100の最下部の面が開口部を貫通して容器1000の内部に嵌入できるようにカバー部2000を下降させる。このため、容器1000の開口部1100が、
図5に示すように、カバー部材2100により閉止される。
【0055】
このように、カバー部2000を下降させるとき、
図5に示すように、支持部3000もこれにつれて下降させる。これは、支持部3000がカバー部2000の下降を妨げないようにするためである。すなわち、カバー部2000を下降させるとき、支持部3000がカバー部2000を支持した状態でその高さが固定されている場合、カバー部2000が下降しない可能性がある。このため、カバー部2000を下降させるときに支持部3000を一緒に下降させる。
また、開口部1100の閉止のためにカバー部2000及び支持部3000を下降させるとき、前記支持部3000がカバー部2000を支持した状態を保持するようにする(第2の支持過程)。すなわち、回転体3300がカバー部2000のアーム2200と接触した状態を保持するようにする。これは、支持部3000が下降する動作に際して、支持駆動源3100を動作させて支持棒3200をカバー部2000の側に上昇させたり反対側に下降させたりすることにより調節可能である。
【0056】
一方、カバー部2000のアーム2200は、一方向に長尺状に延びており、カバー部材2100が開口部1100と向かい合うように位置付けられているときに、アーム2200のほとんどは前後進駆動部4000の外に位置付けられている状態である。この状態で、カバー部2000を支持しない場合、前記カバー部2000が垂れ下って垂れ下がりが生じてしまう虞がある。すなわち、カバー部2000は、カバー部材2100側に向かって進むにつれてその高さが次第に低くなるように、傾くように垂れ下がってしまう虞がある。また、これにより、カバー部材2100も傾いてしまう虞がある。このような場合、カバー部材2100を下降させて開口部1100の上部にカバー部材2100を載置したとき、開口部1100の周りに相当する容器1000の上部壁と開口部1100との間に隙間が生じる虞がある。このため、開口部1100の一部が露出される虞があり、このため、閉止し切れないという問題が生じる。
しかしながら、カバー部2000を下降させるとき、支持部3000を用いて前記カバー部2000を支持し続けると、カバー部2000が垂れ下がってしまうことを防ぐことができる。すなわち、カバー部2000がいずれか片側に傾いてしまうことを防ぐことができる。このため、カバー部材2100が傾いてしまうことを防ぐことができ、このため、開口部1100の少なくとも一部が露出されることを防ぐことができる。したがって、カバー部材2100を介して開口部1100の全体を閉止しすることができる。
【0057】
開口部1100が閉止されれば、溶融物の輸送装置を再び搬送する。そして、溶融物の輸送装置が移動する最中に再び開口部1100の開放が必要となる位置、例えば、脱硫剤の投入位置に辿り着くと、開口部1100を開放する。このために、以上において説明した開口部1100の閉止動作とは反対にカバー部2000を移動させて開口部1100を開放する。すなわち、まず、昇降駆動部5000を用いてカバー部2000を上昇させる。このため、カバー部材2100が容器1000の上側に離れて開口部1100が開放される。そして、カバー部2000が上昇するとき、支持部3000がカバー部2000を支持できるように動作させることが好ましい。
この後、
図6に示すように、前後進駆動部4000を動作させてカバー部2000を後進させる。このとき、カバー部材2100が開口部1100と向かい合うことなく開口部1100の一方の側に位置付けられるようにカバー部2000を後進させる。このため、容器1000の開口部が開放され切る。開口部1100が開放されれば、容器1000の内部に原料、例えば、昇熱剤を投入する。原料の投入が終了すれば、再びカバー部2000を前進及び下降させて開口部を閉止する。
開口部1100の開放が必要となる位置は、溶融物の輸送装置が最終目的地に辿り着く経路上において複数あり得る。このため、上述したような開口部1100の開放及び閉止の動作が複数回行われることが可能になる。
【0058】
この後、溶融物の輸送装置が最終目的地に辿り着くと、移動を中止する。このとき、最終目的地は、溶銑中のリン(P)、硫黄(S)、炭素(C)の含量を調節する製鋼操業場であってもよい。そして、溶融物の輸送装置の溶銑を外部に排出する。すなわち、第1及び第2の回転駆動部8200a、8200bを用いて容器1000を回転させて開口部1100の高さを下げる。これにより、容器1000の開口部1100を介して溶銑が排出され、排出された溶銑は、容器1000の下側に配置されているさらに他の容器、例えば、取鍋(Ladle)に装入される。
以上においては簡略化して説明したが、前後進制御部7110と、昇降制御部7120及び支持制御部7130のそれぞれは、オペレーターHの操作によるリモコンRから入力される指令信号により動作して前後進駆動部4000と、昇降駆動部5000と、支持部3000及び支持高さ調節部6000を制御してもよい。
【0059】
図7は、本発明の実施例及び比較例による溶融物の輸送装置により溶銑を移動させたとき、溶銑の温度の経時変化を示すグラフである。表1は、本発明の実施例及び比較例による溶融物の輸送装置により溶銑を移動させたとき、1秒当たり、1分当たり、1時間当たりの落ち込み温度をまとめて示した表である。
ここで、比較例による溶融物の輸送装置は、カバー部を備えていないものであって、開口部を覆わずに移動させた場合である。
図7を参照すると、すべての時間区間において、実施例の方が比較例に比べて高い温度を保っている。また、200秒を過ぎた時点からは、実施例の方が比較例に比べて温度の落ち込み速度が遅いことがわかる。
【0060】
【0061】
表1を参照して、1秒当たり、1分当たり、1時間当たりに溶銑の温度が落ち込む速度を比較すれば、実施例の方が比較例に比べてさらに低い。
このことから、実施例による溶融物の輸送装置を用いて溶融物を移動させる場合、溶融物の温度の落ち込みを有効に抑えることができるということが分かる。
このように、実施例においては、カバー部材2100を水平移動、すなわち、前後進させる動作により開口部1100を開閉する。すなわち、カバー部材2100を開口部1100の上側に上昇させたり下降させたりする高さは最小限に抑えながら、カバー部材2100を開口部1100の一方の側に後進させたり、開口部1100に向かって前進させたりする動作により開口部1100を開閉することができる。したがって、限られた空間において容器1000の開口部1100を容易に開閉することができる。
カバー部2000を移動させて開口部1100を開閉するとき、支持部3000を用いてカバー部2000を支持することにより、カバー部2000が傾いてしまうことを防ぐことができる。すなわち、カバー部2000がいずれか片側に傾いてしまうことを防ぐことができる。このため、カバー部2000の前後進移動を容易に行うことができる。
【0062】
また、これを通じて、開口部1100を閉止するカバー部材2100が傾いてしまうことを防ぐことができる。したがって、カバー部材2100と容器1000との間に隙間が生じることを防ぐことができ、これにより、開口部1100の少なくとも一部が外部に露出されることを防ぐことができる。したがって、カバー部材2100により開口部1100を閉止したとき、容器1000内の溶融物の温度が落ち込むことを極力抑えることができる。
そして、実施例においては、溶融物の輸送装置が充電タイプの電源部7200を搭載した状態で移動する。このため、外部の電源と接続せずとも、開口部1100を開閉することができ、必要に応じて、開口部1100を自由に開閉することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の実施形態によれば、限られた空間において容器の開口部を容易に開閉することができる。
また、カバー部を移動させて開口部を開閉するとき、カバー部の垂れ下がり又は傾きを防ぐことができる。このため、カバー部の移動を容易に行うことができ、開口部の少なくとも一部が外部に露出されることを防ぐことができる。したがって、容器内の溶融物の温度が落ち込むことを防止もしくは抑止することができる。
そして、外部の電源と接続せずとも、開口部を開閉することができ、必要に応じて、開口部を自由に開閉することができる。
【符号の説明】
【0064】
1000:容器
1100:開口部
2000:カバー部
2100:カバー部材
2200:アーム(arm)
3000:支持部
3100:支持駆動源
3200:支持棒
3300:回転体
4000:前後進駆動部
4100:前後進駆動源
4200:前後進駆動体
4210:プーリー
4220:ベルト
4300:ベース
4400:連結部材
4600:ガイド部材
5000:昇降駆動部
5100:昇降駆動源
5200:昇降駆動体
6000:支持高さ調節部
6100:ガイド部材
6200:可動ブロック
6300:高さ調節駆動源
7100:制御部
7110:前後進制御部
7120:昇降制御部
7130:支持制御部
7200:電源部
8100a:第1のハウジング
8100b:第2のハウジング
8200a:第1の回転駆動部
8200b:第2の回転駆動部
8300a:第1の走行部
8300b:第2の走行部
8310:フレーム
8320:ホイール(wheel)
8400:受け台
A:
図2に示す
図1の拡大部分
H:オペレーター
M:溶融物
R:リモコン
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
しかしながら、トピードカーが移動する経路には数多くの装置が設置されていて、周りの空間が十分ではない。特に、トピードカーの上側の空間が極めて狭い。このため、トピードカーの上側にカバーを移動させるための装置を設置することが難しく、したがって、カバーを昇降させて開口部を開閉することが 難しい。また、これにより、トピードカーを製鋼操業場に移動させながら開口部を複数回開閉することが非常に困難である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0701394号公報
【国際調査報告】