(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】熱可塑性シートのための発泡成形プロセス、および関連装置および成形した発泡熱可塑性シート
(51)【国際特許分類】
B29C 43/02 20060101AFI20240628BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240628BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240628BHJP
B29C 43/36 20060101ALI20240628BHJP
C08L 71/12 20060101ALI20240628BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20240628BHJP
C08L 51/04 20060101ALI20240628BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C43/02
B29C44/00 C
B29C33/42
B29C43/36
C08L71/12
C08L79/08
C08L51/04
C08L53/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580875
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022055032
(87)【国際公開番号】W WO2023281329
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ブルース
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン リーピン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
4F214
4J002
【Fターム(参考)】
4F202AA32
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4J002FD327
(57)【要約】
ポリ(フェニレンエーテル)、ポリエーテルイミド、またはそれらの組み合わせを含む熱可塑性シートを発泡成形する方法は、熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程、および、発泡熱可塑性シートを成形し、成形した発泡熱可塑性シートを形成する工程を含む。成形工程は発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレート(その各々は熱可塑性シートに面する溝付き表面を有する)の間で圧縮することを含む。第1の金属プレートおよび第2の金属プレートは、可撓性の圧縮可能な連結部により連結される。可撓性の圧縮可能な連結部がその圧縮されていない状態にある場合、第2の(下部)金属プレートのみが成形した発泡熱可塑性シートと接触している。可撓性の圧縮可能な連結部がその圧縮された状態にある時、第1の(上部)および第の(下部)金属プレートはどちらも成形した発泡熱可塑性シートと接触する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性シートを発泡成形する方法であって、
熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、前記熱可塑性シートはポリ(フェニレンエーテル)、ポリエーテルイミド、またはそれらの組み合わせを含む熱可塑性組成物を含み、ならびに、前記熱可塑性組成物は、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した、20から300℃のガラス転移温度により特徴付けられる、工程、および
前記発泡熱可塑性シートを成形し、成形した発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、前記成形は前記発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することを含み、前記第1の金属プレートの表面および前記第2の金属プレートの表面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、前記第1の金属プレートおよび前記第2の金属プレートは前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる可撓性連結部により連結され、ならびに、前記発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することは、前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートの最小分離距離を制御することを含む、工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可撓性連結部は、亜鉛めっき鉄を含む金属ワイヤまたは金属バンドを含み、前記亜鉛めっき鉄は、前記亜鉛めっき鉄の重量に基づき、99.9から99.99重量パーセントの鉄および0.01から0.1重量パーセントの炭素を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、前記ポリ(フェニレンエーテル)、前記ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、前記ブロックコポリマー、および前記難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、前記ポリ(フェニレンエーテル)、前記ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、前記ブロックコポリマー、および前記難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性組成物は、ポリエーテルイミドを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法により生成され、前記第1の金属プレートおよび前記第2の金属プレートの前記複数の溝に対応する複数の突出部を含む、成形した発泡熱可塑性シート。
【請求項9】
前記熱可塑性組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)を含む、請求項8に記載の成形した発泡熱可塑性シート。
【請求項10】
前記熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、前記ポリ(フェニレンエーテル)、前記ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、前記ブロックコポリマー、および前記難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、請求項9に記載の成形した発泡熱可塑性シート。
【請求項11】
前記熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、前記ポリ(フェニレンエーテル)、前記ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、前記ブロックコポリマー、および前記難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、請求項9に記載の成形した発泡熱可塑性シート。
【請求項12】
前記熱可塑性組成物は、ポリエーテルイミドを含む、請求項8に記載の成形した発泡熱可塑性シート。
【請求項13】
請求項8ないし12のいずれか一項に記載の成形した発泡熱可塑性シートを含む電気自動車用電池。
【請求項14】
発泡熱可塑性シートを成形するための装置であって、
第1の金属プレートおよび第2の金属プレートであって、前記第1の金属プレートおよび前記第2の金属プレートの各々は熱可塑性物質に面する主要面を含み、前記第1の金属プレートおよび前記第2の金属プレートの前記熱可塑性物質に面する主要面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、ならびに、前記第1の金属プレートまたは前記第2の金属プレートまたは両方の前記熱可塑性物質に面する主要面は前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートの最小分離距離を制御するための剛性スペーサを含む、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートと、
前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートを連結する可撓性連結部であって、前記可撓性連結部は前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる、可撓性連結部と、
前記第1の金属プレートと前記第2の金属プレートを連結する前記可撓性連結部を圧縮することができる油圧システムと
を含む、装置。
【請求項15】
前記可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2021年7月9に出願されたEP特許出願第21184715.7号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性物質の超臨界二酸化炭素を用いた発泡は、発泡熱可塑性シートを形成する、コスト効率の良い、残留物を含まない方法である。発泡工程およびその後の成形工程の組み合わせは、主に0℃より低いガラス転移温度を有する熱可塑性物質について商業的に実施され、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、およびポリエステルエラストマーが挙げられる。典型的には、発泡は高温発泡機において実施され、次いで、発泡シートは冷却および成形のために別の室温機械に移される。プロセスは0℃より低いガラス転移温度を有する熱可塑性物質にはうまく機能し、というのは、発泡シートは、室温冷却成形機に移された時、まだ柔らかいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/127082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この2段階プロセスのより高いガラス転移温度を有する熱可塑性物質への適用には、発泡シートは、亀裂、表面変形、ならびに不均一な発泡シート厚さおよび密度となりやすいという点で問題がある。そのため、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する熱可塑性物質から超臨界二酸化炭素を用いて調製した発泡シートを冷却および成形する改善されたプロセスが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態は熱可塑性シートを発泡成形する方法であり、下記を含む:熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、熱可塑性シートはポリ(フェニレンエーテル)、ポリエーテルイミド、またはそれらの組み合わせを含む熱可塑性組成物を含み、ならびに、熱可塑性組成物は、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した、20から300℃のガラス転移温度により特徴付けられる、工程、および、発泡熱可塑性シートを成形し、成形した発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、成形は発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することを含み、第1の金属プレートの表面および第2の金属プレートの表面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートは第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる可撓性連結部により連結され、ならびに、発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することは、第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御することを含む、工程。
【0006】
別の実施形態は本明細書で記載されるその変形のいずれかにおける方法により生成され、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの複数の溝に対応する複数の突出部を含む成形した発泡熱可塑性シートである。
【0007】
別の実施形態はその変形のいずれかにおける成形した発泡熱可塑性シートを含む電気自動車用電池である。
【0008】
別の実施形態は発泡熱可塑性シートを成形するための装置であり、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートであって、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの各々は熱可塑性物質に面する主要面を含み、第1の金属プレートまたは第2の金属プレートまたは両方の熱可塑性物質に面する主要面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、ならびに、第1の金属プレートまたは第2の金属プレートまたは両方の熱可塑性物質に面する主要面は第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御するための剛性スペーサを含む、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートと、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部であって、可撓性連結部は第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる、可撓性連結部と、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部を圧縮することができる油圧システムと、を含む。
【0009】
これらのおよび他の実施形態は下記で詳細に記載される。
【0010】
図では、同様の要素は、いくつかの図面において同様に番号付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の金属プレート160および第2の金属プレート170の略図であり、挿入図は第2の金属プレート170の一部の拡大断面図である。
【
図2】本発明による熱可塑性シートを発泡成形するためのプロセスの略図である。
【
図3】本発明の第1および第2の金属プレート、または第1および第2の金属プレートを連結する可撓性連結部を使用せずに、熱可塑性シートを発泡成形するための比較プロセスの略図である。
【
図4】第1および第2の金属プレートを連結する本発明の可撓性連結部を使用せずに熱可塑性シートを発泡成形するための比較プロセスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する熱可塑性物質は、超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、次いで、可撓性連結部により連結された溝付き金属プレートを利用する冷却および成形工程を含むプロセスにより、亀裂、表面変形、不均一な発泡シート厚さ、または不均一な発泡シート密度なしで冷却および成形することができることを決定した。
【0013】
よって、1つの実施形態は熱可塑性シートを発泡成形する方法であり、下記を含む:熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、熱可塑性シートはポリ(フェニレンエーテル)、ポリエーテルイミド、またはそれらの組み合わせを含む熱可塑性組成物を含み、ならびに、熱可塑性組成物は、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した、20から300℃のガラス転移温度により特徴付けられる、工程、および、発泡熱可塑性シートを成形し、成形した発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、成形は発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することを含み、第1の金属プレートの表面および第2の金属プレートの表面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートは第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる可撓性連結部により連結され、ならびに、発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することは、第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御することを含む、工程。
【0014】
第1の金属プレート、第2の金属プレート、および可撓性連結部は集合的に、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを形成する。可撓性連結部により、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールは圧縮可能となり、よって、第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離が調節される。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが圧縮されない場合、第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離は、第1の(上部)金属プレートが、成形した発泡熱可塑性シートと接触されないようなものとなる。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが圧縮される場合、第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離は、第1の(上部)金属プレートおよび第2の(下部)金属プレートはどちらも、成形した発泡熱可塑性シートと接触されるようなものとなる。第1金属プレートと第2の金属プレートの間の最小分離距離は第1の金属プレート、第2の金属プレート、または両方の熱可塑性物質に面する表面に取り付けられた1つ以上の剛性スペーサにより制御される。
【0015】
方法のいくつかの実施形態では、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む。方法のいくつかの実施形態では、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、可撓性連結部は、亜鉛めっき鉄の重量に基づき、99.9から99.99重量パーセントの鉄および0.01から0.1重量パーセントの炭素を含む亜鉛めっき鉄を含む金属ワイヤまたは金属バンドを含む。
【0016】
第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの熱可塑性物質に面する主要面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されている。これらの範囲内で、幅は0.2から1ミリメートルとすることができ、深さは0.2から1ミリメートルとすることができ、中心間溝分離距離は1から5ミリメートルとすることができる。いくつかの実施形態では、金属プレート表面は複数の平行溝を含む。いくつかの実施形態では、金属プレート表面は、第1の組の平行溝および第2の組の平行溝を含み、第1の組の溝は第2の組の溝に垂直である。
【0017】
いくつかの実施形態では、熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程は、二酸化炭素を発泡機から10秒以下、または5秒以下、または3秒以下で放出することを含む。
【0018】
熱可塑性組成物は、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した、20から300℃のガラス転移温度により特徴付けられる。この範囲内で、ガラス転移温度は50から300℃、または100から300℃、または120から300℃とすることができる。
【0019】
方法のいくつかの実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)を含む。例えば、熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含むことができ、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は95から100重量パーセントである。別の例として、熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含むことができ、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである。
【0020】
方法のいくつかの実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリエーテルイミドを含む。
【0021】
別の実施形態は、方法の上記実施形態のいずれかにより生成され、その2つの主要面上に複数の突出部を含む、成形した発泡熱可塑性シートであり、複数の突出部は、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの複数の溝に対応する。
【0022】
別の実施形態は、方法の上記変形のいずれかにより生成され、ポリ(フェニレンエーテル)を含む成形した発泡熱可塑性シートである。例えば、熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含むことができ、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は95から100重量パーセントである。別の例として、熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含むことができ、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである。
【0023】
別の実施形態は、方法の上記変形のいずれかにより生成され、ポリエーテルイミドを含む成形した発泡熱可塑性シートである。
【0024】
別の実施形態は、その上記変形のいずれかにおける成形した発泡熱可塑性シートを含む電気自動車用電池である。
【0025】
別の実施形態は、発泡熱可塑性シートを成形するための装置であって、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートであって、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの各々は熱可塑性物質に面する主要面を含み、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの熱可塑性物質に面する主要面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、ならびに、第1の金属プレートまたは第2の金属プレートまたは両方の熱可塑性物質に面する主要面は第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御するための剛性スペーサを含む、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートと、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部であって、可撓性連結部は第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる、可撓性連結部と、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部を圧縮することができる油圧システムと、を含む。
図1は第1の金属プレート160および第2の金属プレート170の略図であり、各々が打抜き穴161を含む。第2の金属プレート170の熱可塑性物質に面する表面は溝174を含み、第1の金属プレート160と第2の金属プレート170の最小分離距離を制御する2つの剛性スペーサ175を含む。
図1挿入図は、第2の金属プレート170の一部の拡大断面図であり、溝幅171、溝深さ172、および中心間溝分離距離173を示す。
【0026】
装置のいくつかの実施形態では、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む。方法のいくつかの実施形態では、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、可撓性連結部は、亜鉛めっき鉄を含む金属ワイヤまたは金属バンドを含み、亜鉛めっき鉄は、亜鉛めっき鉄の重量に基づき、99.9から99.99重量パーセントの鉄および0.01から0.1重量パーセントの炭素を含む。
【0027】
本明細書で開示される範囲は全て、終点を含み、終点は独立して互いに組み合わせ可能である。本明細書で開示される各範囲は、開示された範囲内に存在する任意の点または部分範囲の開示を構成する。
【0028】
発明はさらに、下記非限定的な実施例により説明される。
【実施例】
【0029】
これらの実験において使用される成分が表1においてまとめて示される。
【0030】
【0031】
樹脂組成物が表2においてまとめて示され、成分量は組成物の総重量に基づき重量パーセントで表される。組成物は、供給口からダイまで200、230、260、260、280、280、280、285、および275℃のバレル温度、および275℃のダイ温度で動作する36ミリメートル2軸押出機でコンパウンドした。押出物を冷却し、ペレット化し、次いで、3時間100℃で乾燥させ、その後、シート押出加工のために使用した。セ氏温度の単位で表されるガラス転移温度を、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した。
【0032】
【0033】
樹脂組成物のシート押出加工を、200、240、260、270、280、280、260、250℃のバレル温度、および245℃のダイ温度で動作するシート押出加工装置で実施した。シート厚さを以下、個々の実験との関連で特定した。
【0034】
実施例1
この実験は、300ミリメートルの長さ、200ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する樹脂Aの押出シートを使用した。1000ミリメートルの長さ、600ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する2つのアルミニウムプレートもまた、使用した。両方のアルミニウムプレートの内(熱可塑性物質に面する)表面を機械加工し、0.5ミリメートルの幅、0.5ミリメートルの深さ、および2ミリメートルの中心間溝分離距離を有する垂直微小溝のグリッドを作製した。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを、アルミニウムプレートの4つの角に穴を開け、アルミニウムプレートを、円形断面、1ミリメートルのワイヤ断面直径および約200ミリメートルのフープ外周を有する金属ワイヤフープからなるソフトリンクに連結させることにより作製した。フープを形成するために使用した金属ワイヤは99.98重量パーセントの鉄および0.02重量パーセントの炭素を含む亜鉛めっき鉄ワイヤであった。アルミニウムプレートのワイヤフープへの連結は、ワイヤフープのワイヤを複数回、アルミニウムプレート内の各穴を通して輪にすることにより達成した。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールでは、2つのアルミニウムプレート間の最初の間隔は約25ミリメートルであったが、間隔は、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを圧縮して、最終フォームシートの厚さに等しいか、これよりわずかに少ない(例えば、より5パーセント少ないと同程度)最小プレート間隔を作ることにより低減させることができた。最小プレート間隔を、下方アルミニウムプレートの熱可塑性物質に面する表面の対向縁に接着させた2つの剛性スペーサにより制御した。
【0035】
押出シートを約25ミリメートルだけ分離された2つのアルミニウムプレート間に置いた。発泡機のキャビティを160℃まで予熱し、次いで、押出シートを含むデュアルプレート/ソフトリンクモジュールを発泡機1に入れ、モールドキャビティを発泡機の水圧プレスにより閉じた。モールドキャビティの閉鎖は、約25ミリメートルのプレート分離距離に影響しなかった。次いで、超臨界二酸化炭素を発泡機のキャビティ中に射出し、160℃の温度および20メガパスカルの二酸化炭素の圧力を60分間維持した。
【0036】
60分が経過した後、圧力を、約2秒で排気口により解放し、キャビティを開いた。この時点で、発泡シートは、歪曲した(すなわち、平坦でない)形状を有した。発泡シートを含むデュアルプレート/ソフトリンクモジュールを直ちに、成形機に移し、これは約23℃の初期温度を有し、成形機の水圧プレスを直ちに閉じ、21ミリメートルのプレート間隔および約0.6メガパスカルの圧力を生成させた。5分後、水圧プレスは、プレート間隔を約25ミリメートルまで増加させ、発泡シートをデュアルプレート/ソフトリンクモジュールから取り出した。得られた平坦な成形した発泡シートはASTM D1622-14に従い決定すると、21ミリメートルの厚さ、および0.045グラム/センチメートル3の密度を有した。シートの主要面はアルミニウムプレートにおける溝に対応する突出部を含んだ。成形した発泡シートは亀裂または表面のしわを示さず、その厚さおよび密度は均一であった。
【0037】
図2は本発明および実施例1による熱可塑性シートを発泡成形するためのプロセスの略図である。プロセスは発泡機10および成形機を使用する。
図2では、成形機が圧縮されていない構成20および圧縮構成30で示される。発泡機10は、発泡機上部水圧プレス110および発泡機下部水圧プレス120を含み、それらは、それぞれ、発泡機上壁140および発泡機下壁150の垂直移動を制御する。発泡機上壁140に、弁130を有する二酸化炭素入口/出口が埋め込まれる。発泡機10のチャンバ内に、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが図示され、これは第1の金属プレート160および第2の金属プレート170を含み、それらは可撓性連結部180により連結されている。発泡されていない熱可塑性シート190は第2の金属プレート170上に存在する。発泡されていない熱可塑性シート190が発泡機10内で、二酸化炭素を用いて発泡され、発泡未成形熱可塑性シート290が形成された後、二酸化炭素が弁130を有する二酸化炭素入口/出口を介して放出され、チャンバが発泡機上部水圧プレス110および発泡機下部水圧プレス120により開かれる。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが発泡機10から圧縮されていない構成20の成形機に直ちに移される。この移動は200と表示された矢印により表される。成形機は成形機上部水圧プレス210、成形機下部水圧プレス220、成形機上部水圧プレス接触プレート230、および成形機上部水圧プレス接触プレート240を含む。成形機上部水圧プレス210および成形機下部水圧プレス220が使用され、成形機がその圧縮されていない構成20からその圧縮構成30に変換され、この場合、第1の金属プレート160と第2の金属プレート170の最小分離距離は、第1の金属プレート160または第2の金属プレート170または両方の熱可塑性物質に面する主要面上の少なくとも1つの剛性スペーサ175(
図2では図示されていないが、
図1で示される)により制御される。その圧縮されていない構成からその圧縮構成への成形機の変換は300と表示された矢印により表される。成形機の圧縮構成30では、発泡未成形熱可塑性シートが成形され、冷却され、成形した発泡シートが欠陥なしで形成される390。次いで、成形機上部水圧プレス210および成形機下部水圧プレス220が使用され、成形機が、その圧縮されていない構成20に戻され、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが成形機から取り出され、欠陥なしの成形した発泡シート390がデュアルプレート/ソフトリンクモジュールから取り出される。成形した発泡シートの取り出しは400と表示された矢印により表される。
【0038】
実施例2
発泡中のプレート間隔を約17ミリメートルとし、発泡を145℃で実施し、成形中のプレート間隔を約10ミリメートルとしたことを除き、実施例1の手順に従った。得られた平坦な成形した発泡シートは、ASTM D1622-14に従い決定すると、約10ミリメートルの厚さ、0.14グラム/センチメートル3の密度を有した。シートの表面はアルミニウムプレートにおける溝に対応する突出部を含んだ。成形した発泡シートは亀裂または表面のしわを示さず、その厚さおよび密度は均一であった。
【0039】
実施例3
樹脂Bを使用し、発泡を165℃で70分間実施し、成形中のプレート間隔を約19ミリメートルとしたことを除き、実施例1の手順に従った。得られた平坦な成形した発泡シートは、ASTM D1622-14に従い決定すると、約19ミリメートルの厚さ、および0.065グラム/センチメートル3の密度を有した。シートの表面はアルミニウムプレートにおける溝に対応する突出部を含んだ。成形した発泡シートは亀裂または表面のしわを示さず、その厚さおよび密度は均一であった。
【0040】
実施例4
熱可塑性シートは3ミリメートルの厚さを有し、発泡中のプレート間隔を約12ミリメートルとし、発泡を145℃で50分間実施し、成形中のプレート間隔を約7ミリメートルとしたことを除き、実施例1の手順に従った。得られた平坦な成形した発泡シートは、ASTM D1622-14に従い決定すると、約7ミリメートルの厚さ、および0.15グラム/センチメートル3の密度を有した。シートの表面はアルミニウムプレートにおける溝に対応する突出部を含んだ。成形した発泡シートは亀裂または表面のしわを示さず、その厚さおよび密度は均一であった。
【0041】
比較例1
この実験は300ミリメートルの長さ、200ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する樹脂Aの押出シートを使用した。アルミニウムプレートをこの実験では使用しなかった。
【0042】
押出シートを160℃まで予熱された、発泡機のキャビティの水圧プレスの下部表面上に置いた。発泡機のモールドキャビティを油圧システムにより閉じ、水圧プレスの上部表面と下部表面間に約50ミリメートルの分離距離を得た。次いで、超臨界二酸化炭素を発泡機のキャビティ中に射出し、160℃の温度および20メガパスカルの二酸化炭素の圧力を60分間維持した。
【0043】
60分が経過した後、圧力を、排気口により解放し、キャビティを開いた。この時点で、発泡シートは歪曲した(すなわち、平坦でない)形状を有した。発泡シートを直ちに、成形機に移し、これは約23℃の初期温度を有し、成形機の水圧プレスを直ちに閉じ、水圧プレスの上部表面と下部表面間で約20ミリメートルの分離距離、および約0.6メガパスカルの圧力を生成させた。5分後、水圧プレスの上部表面と下部表面間の分離距離を約200ミリメートルまで増加させ、成形した発泡シートを成形機から取り出した。得られた成形した発泡シートは、ASTM D1622-14に従い決定すると、約20ミリメートルの厚さ、および0.045グラム/センチメートル3の密度を有したが、それは許容できない亀裂を示し、発泡シートの表面は許容できない表面のしわを示した。
【0044】
プロセスが
図3において概略的に示され、これは、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが採用されなかったことを除き、
図2に類似し、最終生成物は亀裂および表面のしわを示す成形した発泡シート394となった。
【0045】
比較例2
この実験は、300ミリメートルの長さ、200ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する樹脂Aの押出シートを使用した。1000ミリメートルの長さ、600ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する2つのアルミニウムプレートもまた、使用した。両方のアルミニウムプレートの内面を機械加工し、0.5ミリメートルの幅、0.5ミリメートルの深さ、および2ミリメートルの中心間溝分離距離を有する垂直微小溝のグリッドを作製した。アルミニウムプレートをボルトで連結し、約20ミリメートルの固定分離距離を生成させ、よって、デュアルプレート/固定分離モジュールを作製した。
【0046】
押出シートを2つのアルミニウムプレート間に置いた。発泡機のキャビティを160℃まで加熱し、次いで、押出シートを含むデュアルプレート/固定分離モジュールを発泡機に入れ、モールドキャビティを閉じた。次いで、超臨界二酸化炭素を発泡機のキャビティ中に射出し、160℃の温度および20メガパスカルの二酸化炭素の圧力を60分間維持した。
【0047】
60分が経過した後、圧力を、排気口により解放し、キャビティを開いた。この時点で、発泡シートは歪曲した(すなわち、平坦でない)形状を有した。発泡シートを含むデュアルプレート/固定分離モジュールを直ちに、成形機に移し、これは約23℃の初期温度を有した。プレート分離距離は依然として、約20ミリメートルで固定した。5分後、発泡シートをデュアルプレート/固定分離モジュールから取り出した。プロセスが、
図3に概略的に示される。得られた成形した発泡シートは、ASTM D1622-14に従い決定すると、約20ミリメートルの厚さ、および0.045グラム/センチメートル
3の密度を有したが、発泡シートの表面は許容できない表面のしわを示し、厚さおよび密度はシートにわたって均一ではなかった。
【0048】
プロセスが、
図4に概略的に示され、これはデュアルプレート/ソフトリンクモジュールが、剛性スペーサ185が第1の金属プレート160と第2の金属プレート170を接続し、これらの固定分離距離を生成する、デュアルプレート/固定分離モジュールと置き換えられることを除き、
図2に類似し、最終生成物は表面のしわ、および不均一な厚さおよび密度を示す成形した発泡シートであった396。
【0049】
比較例3
この実験は、300ミリメートルの長さ、200ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する樹脂Aの押出シートを使用した。1000ミリメートルの長さ、600ミリメートルの幅、および5ミリメートルの厚さを有する2つのアルミニウムプレートもまた、使用した。アルミニウムプレートはどちらも溝付きではなかった。デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを、アルミニウムプレートの4つの角に穴を開け、アルミニウムプレートを、円形断面、1ミリメートルのワイヤ断面直径および約200ミリメートルのフープ外周を有する金属ワイヤフープからなるソフトリンクに連結させることにより作製した。2つのアルミニウムプレート間の最初の間隔は約25ミリメートルであったが、間隔は、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを圧縮して、最終フォームシートの厚さに等しいか、これよりわずかに少ない(例えば、より5パーセント少ないと同程度)プレート間隔を生成することにより低減させることができた。
【0050】
押出シートを2つのアルミニウムプレート間に置いた。発泡機のキャビティを160℃まで加熱し、次いで、押出シートを含むデュアルプレート/ソフトリンクモジュールを発泡機に入れ、モールドキャビティを閉じた。モールドキャビティの閉鎖は、約25ミリメートルのプレート分離距離に影響しなかった。次いで、超臨界二酸化炭素を発泡機のキャビティ中に射出し、160℃の温度および20メガパスカルの二酸化炭素の圧力を60分間維持した。
【0051】
60分が経過した後、圧力を、排気口により解放し、キャビティを開いた。この時点で、発泡シートは歪曲した(すなわち、平坦でない)形状を有した。歪曲した発泡シートを含むデュアルプレート/ソフトリンクモジュールを直ちに、成形機に移し、これは約23℃の初期温度を有した。成形機の水圧プレスが迅速に閉じ、約7ミリメートルのプレート間隔、約0.6メガパスカルの圧力が生成された。5分後、成形した発泡シートをデュアルプレート/ソフトリンクモジュールから取り出した。得られた成形した発泡シートは約7ミリメートルの厚さ、および0.15グラム/センチメートル3の密度を有したが、厚さおよび密度はシートにわたって均一ではなかった。
【0052】
プロセスは、第1の金属プレート160も第2の金属プレート170も溝付きではなかったことを除き、
図2に概略的に示されたものと類似した。
【0053】
表3は上記実験についての条件および結果をまとめて示す。表3では、「N/A」は該当なしを意味する。実施例1-4を本方法に従い実施し、これらは、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールを使用し、この場合、両方のプレートは熱可塑性シートに面する溝付き表面を有した。得られた成形した発泡シートは均一な厚さおよび密度を示し、亀裂および表面のしわがなかった。比較例1では、デュアルプレート/ソフトリンクモジュールが採用されず、成形中、発泡シートは水圧プレスの滑らかな表面と直接接触した。得られた成形した発泡シートは亀裂および表面のしわを示した。比較例2では、溝付きアルミニウムプレートを発泡成形中、20ミリメートルの固定分離距離で維持し、得られた成形した発泡シートは表面のしわならびに不均一な厚さおよび密度を示した。比較例3では、アルミニウムプレートは溝を欠き、得られた成形した発泡シートは不均一な厚さおよび密度を示した。
【0054】
【0055】
発明は少なくとも下記態様を含む。
【0056】
態様1:熱可塑性シートを発泡成形する方法であって、熱可塑性シートを超臨界二酸化炭素を用いて発泡させ、発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、熱可塑性シートはポリ(フェニレンエーテル)、ポリエーテルイミド、またはそれらの組み合わせを含む熱可塑性組成物を含み、ならびに、熱可塑性組成物は、示差走査熱量測定によりASTM D3418-15に従い、20℃/分の加熱速度で決定した、20から300℃のガラス転移温度により特徴付けられる、工程、および、発泡熱可塑性シートを成形し、成形した発泡熱可塑性シートを形成する工程であって、成形は発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することを含み、第1の金属プレートの表面および第2の金属プレートの表面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートは第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる可撓性連結部により連結され、ならびに、発泡熱可塑性シートを第1の金属プレートと第2の金属プレートの間で圧縮することは、第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御することを含む、工程を含む、方法。
【0057】
態様2:態様1の方法であって、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【0058】
態様3:態様1または2の方法であって、可撓性連結部は、亜鉛めっき鉄を含む金属ワイヤまたは金属バンドを含み、亜鉛めっき鉄は、亜鉛めっき鉄の重量に基づき、99.9から99.99重量パーセントの鉄および0.01から0.1重量パーセントの炭素を含む、方法。
【0059】
態様4:態様1-3のいずれか一つの方法であって、熱可塑性組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)を含む、方法。
【0060】
態様5:態様4の方法であって、熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、方法。
【0061】
態様6:態様4の方法であって、熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、方法。
【0062】
態様7:態様1-3のいずれか一つの方法であって、熱可塑性組成物は、ポリエーテルイミドを含む、方法。
【0063】
態様8:態様1-7のいずれか一つの方法により生成され、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの複数の溝に対応する複数の突出部を含む、成形した発泡熱可塑性シート。
【0064】
態様9:態様8の成形した発泡熱可塑性シートであって、熱可塑性組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)を含む、成形した発泡熱可塑性シート。
【0065】
態様10:態様9の成形した発泡熱可塑性シートであって、熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、熱可塑性組成物の総重量に基づき、40から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から48重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、成形した発泡熱可塑性シート。
【0066】
態様11:態様9の成形した発泡熱可塑性シートであって、熱可塑性組成物は100から300℃のガラス転移温度を有し、熱可塑性組成物の総重量に基づき、50から78重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、10から38重量パーセントのポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、またはそれらの組み合わせ、2から10重量パーセントの、ポリスチレンブロックおよびポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、ポリスチレンブロックおよび水素化ポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ、ならびに、10から20重量パーセントの難燃剤を含み、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリスチレンまたはゴム改質ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ、ブロックコポリマー、および難燃剤の重量パーセントの合計は、95から100重量パーセントである、成形した発泡熱可塑性シート。
【0067】
態様12:態様8の成形した発泡熱可塑性シートであって、熱可塑性組成物は、ポリエーテルイミドを含む、成形した発泡熱可塑性シート。
【0068】
態様13:態様8-12のいずれか一つの成形した発泡熱可塑性シートを含む電気自動車用電池。
【0069】
態様14:発泡熱可塑性シートを成形するための装置であって、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートであって、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの各々は熱可塑性物質に面する主要面を含み、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートの熱可塑性物質に面する主要面は複数の溝を含み、各溝は0.1から1ミリメートルの幅および0.1から1ミリメートルの深さを有し、各溝は最も近い溝から0.5から5ミリメートルの中心間距離だけ分離されており、ならびに、第1の金属プレートまたは第2の金属プレートまたは両方の熱可塑性物質に面する主要面は第1の金属プレートと第2の金属プレートの最小分離距離を制御するための剛性スペーサを含む、第1の金属プレートおよび第2の金属プレートと、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部であって、可撓性連結部は第1の金属プレートと第2の金属プレートの間の分離距離を調節することができる、可撓性連結部と、第1の金属プレートと第2の金属プレートを連結する可撓性連結部を圧縮することができる油圧システムとを含む、装置。
【0070】
態様15:態様14の装置であって、可撓性連結部は、金属ワイヤ、金属バンド、ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド)繊維、炭素繊維、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせを含む、装置。
【国際調査報告】