(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】除湿モードの制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品
(51)【国際特許分類】
B60H 3/00 20060101AFI20240628BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B60H3/00 C
B60H1/22 651C
B60H1/22 611D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580887
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2021127729
(87)【国際公開番号】W WO2023070606
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(71)【出願人】
【識別番号】523218452
【氏名又は名称】吉利汽車研究院(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】GEELY AUTOMOBILE RESEARCH INSTITUTE (NINGBO) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 双岐
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA04
3L211BA27
3L211CA18
3L211DA28
3L211DA44
3L211DA50
3L211EA12
3L211EA16
3L211EA32
3L211EA35
3L211EA41
3L211EA50
3L211EA51
3L211EA56
3L211FB05
3L211GA23
3L211GA29
3L211GA49
(57)【要約】
除湿モードの制御方法、装置(400)、機器(500)、媒体及びプログラム製品であって、乗員室に除湿要求があることを検知すると、ヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、この後、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するステップと、
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、前記外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップと、
前記第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の、吹出口及び前記第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップと、
前記吹出口の空気温度を含む第1の目標温度と前記吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように前記制御命令を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする除湿モードの制御方法。
【請求項2】
前記第1の除湿モードでは、前記制御命令は、前記ヒートポンプシステムにおける各被制御対象のそれぞれに対して閉ループ制御を行う閉ループ制御命令を含み、前記被制御対象の役割は、前記熱交換媒体を前記輸送管路において並列循環経路に沿って循環流動させる役割を含み、前記並列循環経路は、熱吸収経路、冷却経路、及び熱補充経路を含み、前記熱吸収経路は、前記冷却経路と並列に接続された後に前記熱補充経路と直列に接続され、
前記外部熱交換器は前記熱吸収経路上に位置し、前記第1の内部熱交換器は前記冷却経路上に位置し、前記ヒートポンプシステムは第2の内部熱交換器をさらに備え、前記第2の内部熱交換器は前記熱補充経路上に位置し、前記第2の内部熱交換器は、前記外部熱交換器により吸収された熱を、前記第1の内部熱交換器を流れた空気に伝達するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2の所定位置は前記第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、前記過冷却度は前記出力端の目標過冷却度を含み、
熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップは、
前記第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定するステップと、
前記目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定するステップと、
前記第2の温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
ヒートポンプシステムの除湿負荷を取得するステップは、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定された負荷モデルを利用して、前記第1の目標温度の所定基準値、前記外部環境温度、前記外部循環のパーセンテージ、前記乗員室の温度、前記内部循環のパーセンテージ、及び前記送風機の風量に従い、前記除湿負荷を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、前記方法は、
前記外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定するステップと、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定されたアルゴリズムを使用して、前記外部環境温度、前記乗員室の温度、前記内部循環のパーセンテージ、前記外部循環のパーセンテージ、及び前記送風機の風量に従い、前記第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、
前記外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御命令を出力するステップの後に、
前記第1の電子膨張弁の開度が前記第2の下限値で、かつ所定の時間内に前記第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるステップをさらに含み、前記第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、前記第2の温度しきい値が前記第1の温度しきい値よりも大きい、ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記制御命令を出力するステップの後に、
圧縮機の入力端の圧力値を取得するステップと、
前記圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、前記第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、前記圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで前記第2の閉ループ制御命令の出力を再開するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記制御命令を出力するステップの後に、
前記第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、前記第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項10】
第2の電子膨張弁を閉じると同時に、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップの後に、
前記第1の内部熱交換器による着霜防止停止命令に応答し、前記第2の電子膨張弁の初期開度値を前記第1の開度値に設定して、前記第2の電子膨張弁に対する閉ループ制御を再開するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
前記除湿負荷が前記負荷しきい値以上で、かつ前記外部環境温度が第1の温度しきい値以下になる場合、前記第1の除湿モードに入ると決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
前記除湿負荷が前記負荷しきい値よりも小さくなる場合、または前記外部環境温度が第2の温度しきい値以上になる場合、第2の除湿モードに入ると決定するステップをさらに含み、前記第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、前記第2の温度しきい値が前記第1の温度しきい値よりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
第2の除湿モードに入ると決定するステップの後に、
クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するステップと、
前記水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定するステップと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、前記バッテリー冷却回路のクーラント液をヒーターコアに導入するように対応する電子膨張弁を制御するステップと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、前記ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱するステップと、をさらに含み、
前記ヒーターコアは、前記クーラント液を使用して、前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる、ことを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュールと、
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、前記外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
前記第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び前記第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
前記吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と前記吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように前記制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュールと、を備える、ことを特徴とする除湿モードの制御装置。
【請求項15】
プロセッサと、前記プロセッサと通信可能に接続されているメモリと、を備える電子機器であって、
前記メモリにはコンピュータ実行命令が記憶されており、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されているコンピュータ実行命令を実行することで、請求項1~13のいずれか1項に記載の除湿モードの制御方法を実施する、電子機器。
【請求項16】
コンピュータ実行命令が記憶されており、前記コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき請求項1~13のいずれか1項に記載の方法が実施されるために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき請求項1~13のいずれか1項に記載の方法が実施される、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、コンピュータで前記コンピュータプログラムを動作させるとき、前記プログラムコードが請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新エネルギー自動車技術の分野に関し、より具体的に、除湿モードの制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両技術の発展に伴い、新エネルギー自動車はすでに将来の自動車発展の主要な趨勢となっている。従来の自動車分野における乗員室制御のための多くの解決策が存在するが、新エネルギー自動車では、高消費電力の駆動モーターや大容量のバッテリーが導入されているため、既存の車両の熱管理に新たな影響を与えることになり、新たな課題に直面することになる。
【0003】
車内湿度は乗員室制御における重要な指標であり、如何に新エネルギー自動車で車内湿度制御を実現するかは、新エネルギー自動車の乗り心地や車両システムの安全性に大きな影響を与える。
【0004】
したがって、新エネルギー自動車の車内湿度をどのように制御するかは本願が解決しようとする技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、除湿モードの制御方法を提供することを目的としており、車両外部環境の熱を積極的に吸収して乗員室内の空気に転移することで、除湿時の空気調和機吹出口の温度を上昇させ、乗員室の気温を適切な範囲内に維持することができ、除湿効果を最適な範囲内に維持するとともに、エネルギーを節約し、除湿中の熱の補充のために車両自体のエネルギーを消費する必要がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願は、除湿モードの制御方法を開示し、
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備える、ヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するステップと、
除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップと、
第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップと、
吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力するステップと、を含む。
【0007】
上記の技術的内容に基づき、乗員室の湿度が最適な湿度範囲を超えるか、または除湿機能が手動で起動される場合には、まず、車内と車外の環境温度を車載の各センサーによって取得し、そして、現時点のヒートポンプシステムの除湿負荷を算出し、なお、外部環境温度、すなわち、車外温度は、現在、外部から熱を積極的に吸収することに適合するか否かを反映しており、除湿負荷が負荷しきい値を超え、かつ外部の熱が十分である場合に、外部環境での熱をヒートポンプシステムでの外部熱交換器により積極的に吸収し、熱交換媒体により乗員室に転移することによって、圧縮機の除湿モードでの電力出力は節約され、車両のエネルギー消費は節約される。この過程では、吹出口での第1の目標温度および第1の内部熱交換器(蒸発器など)が配置された取付位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度に対する制御は、ヒートポンプシステム全体の安定性及び安全性に関係し、従来の技術において安定性及び安全性の両立が困難であり、ヒートポンプシステムの振動及び騒音を引き起こすことが多くあるのに対し、本願は、熱交換ボックスにおいて多段式温度監視及び閉ループ調整を行い、重要位置での熱交換媒体の過冷却度に対する閉ループ制御と連携するとともに、吹出口の気温および蒸発器が配置された取付位置の吹出側の空気温度をそれぞれの安全範囲内にすることにより、ヒートポンプシステムが外部環境の熱を吸収して圧縮機の出力電力の一部を代替する際に発生する安定性及び安全性の問題は回避される。
【0008】
選択的に、ヒートポンプシステムは第2の内部熱交換器をさらに備え、制御命令は、ヒートポンプシステムにおける各被制御対象のそれぞれに対して閉ループ制御を行う閉ループ制御命令を含み、被制御対象の役割は、熱交換媒体を輸送管路において並列循環経路に沿って循環流動させる役割を含み、並列循環経路は、熱吸収経路、冷却経路、及び熱補充経路を含み、熱吸収経路は、冷却経路と並列に接続された後に熱補充経路と直列に接続され、
外部熱交換器は熱吸収経路上に位置し、第1の内部熱交換器は冷却経路上に位置し、第2の内部熱交換器は熱補充経路上に位置し、第2の内部熱交換器は、外部熱交換器により吸収された熱を、第1の内部熱交換器を流れた空気に伝達するために用いられる。
【0009】
圧縮機を並列循環経路の開始点/停止点とし、並列に接続された熱吸収経路と冷却経路を圧縮機において収束させることにより、外部熱交換器と第1の内部熱交換器が共低圧である特性は形成され、外部熱交換器と第1の内部熱交換器は同時に蒸発・熱吸収を行い、外部熱交換器は外部環境の熱を吸収し、第1の内部熱交換器は乗員室の空気の熱を吸収することで、乗員室の空気中の水蒸気を冷却して凝縮させ液滴を生じ、冷却除湿の目的を達成し、さらに、送風機により第1の内部熱交換器に送風されて凝縮除湿に使用された空気を、第2の内部熱交換器を使用して熱補充して暖かさを取り戻すことで、除湿効果を維持するために第1の内部熱交換器の温度を継続的に低下させる必要があることに起因して最終的に第1の内部熱交換器を着氷/着霜させるという不利益な影響を回避する。
【0010】
1つの実施形態では、第1の所定位置は吹出口及び第1の内部熱交換器の取付位置の吹出側を含み、対応する空気温度は第1の目標温度及び吹出側の空気温度である第3の目標温度を含み、第2の所定位置は第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、過冷却度は出力端の目標過冷却度を含み、
熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップは、
第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定するステップと、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定するステップと、
第3の温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定するステップと、を含む。
【0011】
圧縮機を用いて吹出口の温度を閉ループ制御することにおいて、第1の内部熱交換器が配置された取付位置の吹出側の温度である第2の目標温度を圧縮機を使用して制御する従来の技術に比べて、本願は、吹出口の温度である第1の目標温度を圧縮機を使用して制御することに変更したため安定化制御の目標をより容易に達成する。これによって、第1の目標温度と第2の目標温度を同時に安定して制御するという技術的難問は克服され、両立して制御できないことに起因してヒートポンプシステムがチャタリングするという従来の技術に存在する問題は回避される。
【0012】
1つの実施形態では、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、
外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定するステップと、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定されたアルゴリズムを使用して、外部環境温度、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定するステップと、をさらに含み、
第1の上限値と第1の下限値の役割は、外部環境温度が第1の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替え、第1の除湿モードの調整能力を制限してシステムの安全性及び安定性を確保する役割を含む。
【0013】
1つの実施形態では、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、
外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定するステップをさらに含み、
第2の上限値と第2の下限値の役割は、外部環境温度が第2の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替え、第1の除湿モードの調整能力を制限してシステムの安全性及び安定性を確保する役割を含む。
【0014】
上記の2つの実施形態では、第1の電子膨張弁及び/又は第2の電子膨張弁の開度の上限及び下限を制限する原因は、外部環境の制限で、ヒートポンプシステムが積極的に吸収できる熱は外部環境の温度に関係しており、そこで、ヒートポンプシステム稼働時に客観的な制限が無視され、電子膨張弁の開度が継続的に増大又は減少されることに起因して、システムがチャタリングし、重大な騒音が発生することを回避すること、または、大きすぎる開度変動範囲では、ある時の電子膨張弁の当時の開度と制御命令による目標開度との差が大きすぎる場合に、調整時間が長過ぎ、システムの安定性に影響を及ぼすことを回避すること、または、電子膨張弁は、その上限と下限の範囲を超えた後、調整の役割が無効になり、そこで、制御器により無効な目標開度が発送されることを回避することにあり、その上限と下限を制限して、ヒートポンプシステム全体の安定さを維持する。
【0015】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、
第1の電子膨張弁の開度が第2の下限値で、かつ第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が所定の時間内に予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるステップをさらに含み、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、第2の温度しきい値が第1の温度しきい値よりも大きい。
【0016】
本実施形態の実態から明らかなように、第1の除湿モードはすでに除湿要件を満たすことができなくなり、或いは、外部環境の温度が低すぎて、吸収される熱が不足であるので、圧縮機の出力電力を補うために車両内部のその他の発熱機器から熱をスケジュールしなければならない。
【0017】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、
圧縮機の入力端の圧力値を取得するステップと、
圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで第2の閉ループ制御命令の出力を再開するステップと、をさらに含む。
【0018】
低圧端の圧力を制御することで、ヒートポンプシステムの圧力の不均衡を防止する。これは、従来の技術に従い並列除湿の手段を採用するとシステムのチャタリングが発生しやすくなるためである。安全性を高め、チャタリングを減少し、またはシステムの調整能力を超えたチャタリングの発生を防止するために、低圧端の圧力値を監視することは、本願の発明者が発見したチャタリング防止のための有用な手段である。制御命令の計算及び実行には、一定の遅延性があるため、低圧端の圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合は、この遅延の影響を受けてシステム全体の稼働状態が第1の除湿モードでのシステムの調整能力を超えた、或いは、閉ループ調整が速すぎて、システムの状態がタイムリーに追いついていなかったことを示しており、この場合に、閉ループ制御を一時停止して低圧端圧力が回復するまで待機し、調整を再開するようにすれば、システムの安定性をさらに確保する。
【0019】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、
第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップをさらに含む。
【0020】
選択的に、第1の内部熱交換器による着霜防止停止命令に応答し、第2の電子膨張弁の初期開度値を第1の開度値に設定して、第2の電子膨張弁に対する閉ループ制御を再開する。
【0021】
制御方式は理論的には安全であるが、実際の応用では、各制御命令の有効時間と実行時の遅延特性との矛盾のような事前に予測できない様々な要素の影響によって、第1の内部熱交換器が極端な場合では着霜するという現象は依然として存在しており、センサーは、着霜を検知した後、直ちに着霜防止を開始し、第1の内部熱交換器による熱交換を中止し、霜が融けるまで待機してからまた除湿を続行することにより、第1の内部熱交換器の着霜/着氷に起因する第1の内部熱交換器の損傷の危険状況は回避され、ヒートポンプシステムの安定性及び安全性は向上する。
【0022】
1つの実施形態では、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
除湿負荷が負荷しきい値以上になり、かつ外部環境温度が第1の温度しきい値以下になる場合、第1の除湿モードに入ると決定するステップを含む。
【0023】
1つの実施形態では、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
除湿負荷が負荷しきい値よりも小さくなる場合、または外部環境温度が第2の温度しきい値以上になる場合、第2の除湿モードに入ると決定するステップをさらに含み、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、第2の温度しきい値が第1の温度しきい値よりも大きい。
【0024】
選択的に、第2の除湿モードに入ると決定するステップの後に、
クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するステップと、
水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定するステップと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、第1の内部熱交換器を流れた空気を加熱するヒーターコアにバッテリー冷却回路のクーラント液を導入するように対応する電子膨張弁を制御するステップと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱するステップと、をさらに含み、
ヒーターコアは、クーラント液を使用して、第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。
【0025】
外部環境により十分な熱が提供できない場合に、除湿及び熱補充のために車内の発熱機器から熱を吸収することを選択し、バッテリー冷却や駆動モーター又はエンジンのクーラント液の余熱の利用を優先して熱補充を行い、熱エネルギーの回収管理を実現するが、余熱でも満足できない場合に、車両自体のエネルギーを使用して加熱し、除湿効果が確保できる条件下で、エネルギー消費を可能な限り減少させる効果を達成し、このようにして、車両を走行させることにより多くのエネルギーが利用可能であり、新エネルギー車両の走行距離は向上する。
【0026】
第2の態様では、本願は、除湿モードの制御装置を開示し、
除湿開始命令に応答し、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュールと、
除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュールと、を備える。
【0027】
第3の態様では、本願は、プロセッサと、プロセッサと通信可能に接続されているメモリと、を備える電子機器を開示し、
メモリにはコンピュータ実行命令が記憶されており、
プロセッサがメモリに記憶されているコンピュータ実行命令を実行するとき、第1の態様におけるいずれか1つの可能な除湿モードの制御方法が実施される。
【0028】
第4の態様では、本願は、コンピュータ可読記憶媒体を開示し、当該コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶されており、コンピュータ実行命令が、プロセッサにより実行されるとき、第1の態様におけるいずれか1つの可能な方法を実施するために用いられる。
【0029】
第5の態様では、本願は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を開示し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき第1の態様におけるいずれか1つの可能な方法が実施される。
【0030】
第6の態様では、本願は、プログラムコードを含むコンピュータプログラムを開示し、コンピュータでコンピュータプログラムを動作させるとき、プログラムコードが第1の態様におけるいずれか1つの可能な方法を実行する。
【発明の効果】
【0031】
上記の技術的解決手段によれば、本願は、除湿モードの制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、この後、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気の熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本願により提供される車載ヒートポンプシステムの構造概略図である。
【
図2】本願の実施例により提供される1つの除湿モードの制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例により提供される別の除湿モードの制御方法のフローチャートである。
【
図4】本願の実施例により提供される除湿モードの制御装置の構造概略図である。
【
図5】本願の実施例により提供される電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例に係る図面を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、且つ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施例は本願の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者は、本願における実施例に基づいて創造的な労働をすることなく、獲得されたその他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0034】
本願の明細書と特許請求の範囲、及び上記の図面における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など(存在する場合)は、類似の対象を区別するためのものであり、特定の順序又はシーケンスを説明するためのものである必要はない。本明細書に説明する本発明の実施例を、例えば、本明細書に図示又は説明したもの以外の順序で実施できるように、そのように使用されるデータを適宜交換できると理解すべきである。また、「含む」と「有する」という用語、及びそれらの全てのバリエーションは、いずれも非排他的含有を網羅することを意図し、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、明示的にリストされているステップ又はユニットに限定される必要はなく、明示的にリストされていないか、又は、これらのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0035】
まず、本願に係る用語について説明する。
【0036】
PTC(Positive Temperature Coefficient、正温度係数)加熱器は、PTCセラミックス発熱体とアルミニウム管で構成されている。このタイプのPTC発熱体は熱抵抗が小さく、熱交換効率が高いという利点を有し、自動的に一定の温度に維持して節電できる電気加熱器である。その特別な特徴は、如何なる応用場面においても、管状の電気加熱器のように表面が「赤くなる」現象に起因する火傷や火災など安全上の心配は不要であるという安全上の性能にある。
【0037】
車内の乗員室の除湿原理は、水蒸気を冷却して水滴として凝縮させることである。具体的なプロセスは次の通りである。加圧された冷媒は凝縮と放熱のために圧縮機により凝縮器に輸送され、そして、電子膨張弁により冷媒は蒸発器に送入され、冷媒は蒸発器内で蒸発して熱を吸収し、蒸発器の温度を下げ、この後、冷媒は圧縮機に戻される。車載の送風機により車内の空気は低温の蒸発器に送風されると、車内の空気は冷却され、その結果、空気中の水蒸気は凝縮して液滴を生じ、冷却除湿の目的は達成される。車載の空気調和機の冷却の役割により、車内の空気の温度は下がり続けるため、上記の除湿プロセスによる除湿効果は低下してしまう。除湿効果を維持するために、車内の空気の熱の補充することによって、車内の空気の温度を暖かくすることができ、このように、除湿を循環させる。
【0038】
新エネルギー自動車は、従来の自動車に比べて、エネルギー管理に対する要求が高くなるため、除湿中にどのように省エネを達成するかは、新エネルギー自動車が車内湿度をどのように制御するかという技術的問題の解決につながる重要な影響要素となっている。
【0039】
本願の発明構想は次の通りである。
本願の発明者は、従来の自動車において、空気調和機のヒートポンプシステムによって冷却され、そしてクーラント液循環システムのPTC加熱器により熱を補充する除湿手段は、エネルギー消費量が大きいので、エネルギー管理に対する要求が高い新エネルギー自動車としては、省エネ性の要求が満たされることができないことを発見した。本願の発明者は、車内の空気に対して熱を補充するための熱源が省エネの突破口であることを発見した。そこで、本願は、一部の圧縮機の稼働時の出力電力に取って代わり、ヒートポンプシステムの外部凝縮器により熱を熱補充のための熱源の1つとして車外環境から吸収する仕組みにした。このことから、車外環境から熱を吸収して熱を補充するという目的を達成するために、ヒートポンプシステムにおける各構成要素の制御方法を変える必要がある。
【0040】
本願の具体的な応用シーンは以下に説明される。
【0041】
図1は、本願により提供される車載ヒートポンプシステムの構造概略図である。
図1に示すように、車載ヒートポンプシステムは、圧縮機101、蒸発器102、内部凝縮器103、外部凝縮器104、送風機105、電子膨張弁106、電子膨張弁107、一方向逆止弁108、電磁弁109、電磁弁110、及び空気調和ボックス120などを備える。
【0042】
ここで、送風機105は車内の空気を吸い込み、蒸発器102に送風し、空気中の水蒸気を冷却して凝縮させ液滴を生じることによって、除湿の目的を達成する。外部凝縮器104は、本願では、熱交換媒体である冷媒を使用し、冷媒が蒸発して熱を吸収することによって車外環境から熱を吸収し、そして、内部凝縮器103により、空気調和ボックス120において冷却された空気に対して熱を補充して温度を上昇させる。この過程を繰り返すことで車内除湿の目的を達成する。蒸発器102と外部凝縮器104は並列に接続されており、共に蒸発による熱吸収を行うので、この除湿モードは並列除湿モードとも呼ばれている。並列除湿モードの原理は簡単であるが、具体的な制御プロセスはPTC加熱機器により空気を加熱するという従来の手段よりも遥かに複雑であるようになっており、これは、外部凝縮器104は従来の空気調和機システムにおいて凝縮放熱の役割を果たすようなものではなく、本願において外部凝縮器104内の冷媒は蒸発による熱吸収のためのものであるためであり、このことから、この技術的難問を克服するために、従来の制御方式に劇的な変更を加える必要がある。
【0043】
並列除湿は、蒸発器吹出側の目標空気温度と吹出口の目標吹出温度を同時に満たす必要があるので、従来の手段で制御すれば、圧縮機と電子膨張弁のそれぞれは各自の制御目標があり、例えば、圧縮機により吹出口の温度を制御し、蒸発器の前にある電子膨張弁により蒸発器吹出側の空気温度を制御するが、圧縮機により吹出口の温度を制御する際、蒸発器吹出側の空気温度に影響を及ぼす一方、電子膨張弁により蒸発器吹出側の空気温度を制御する際、吹出口の温度に影響を及ぼす。圧縮機と電子膨張弁は結合されているので、うまく制御できない場合に、システムのチャタリングを引き起こし、最終的に吹出温度及び蒸発器吹出側の空気温度を安定して制御できなくなる。
【0044】
以下、本願の技術的解決手段、及び本願の技術的解決手段が上記の技術的問題をどのように解決するかについて、具体的な実施例を用いて詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例は、互いに組み合わされてもよく、いくつかの実施例では、同一又は類似の概念又はプロセスについて説明しない場合がある。以下、本願の実施例について図面を参照して説明する。
【0045】
図2は、本願の実施例により提供される1つの除湿モードの制御方法のフローチャートである。
図2に示すように、当該除湿モードの制御方法の具体的なステップは、S201~S204を含む。
【0046】
S201では、乗員室に除湿要求があることを検知すると、ヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得する。
【0047】
本ステップでは、乗員室に除湿要求があることは、乗員室の湿度が最適な湿度範囲(50%~70%など)を超えた場合に、除湿機能が手動で起動されること、及びヒートポンプシステムに対する制御は除湿に相当する効果が生じることを含む。
【0048】
具体的に、車内の湿度センサーは車内の空気の湿度が70%を超えていることを検知すると、車両の中央制御機器から初期開始命令は自動的に発送される。
【0049】
または、ユーザが除湿ボタンを手動で押すか、またはタッチスクリーンで除湿コントロールをクリックすると、除湿開始命令は発送される。
【0050】
本ステップでは、ヒートポンプシステムの除湿負荷を取得するステップは、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定された負荷モデルを利用して、第1の目標温度の所定基準値、外部環境温度、外部循環のパーセンテージ、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、除湿負荷を決定するステップと、を含む。
【0051】
例えば、予め設定された負荷モデルは、
除湿負荷=(目標吹出温度-実際送風温度)*送風機の風量*空気比熱という式に表され得る。
【0052】
ここで、実際送風温度=外部環境温度*外部循環のパーセンテージ+乗員室の温度*内部循環のパーセンテージとする。
【0053】
外部環境温度を取得するステップは、
車外に取り付けられた少なくとも1つの温度センサーにより車両の現在の走行環境における空気温度を取得するステップ、
または、無線通信の手段を用いて、車両の現在の測位情報(Global Positioning System、GPS全地球測位システムの測位情報など)に従い、道路基盤ユニット又はビッグデータプラットフォームから、現在走行位置が属する予め設定された地理的範囲内の気温を外部環境温度として決定するステップを含む。
【0054】
S202では、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定する。
【0055】
本ステップでは、第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。除湿負荷が負荷しきい値以上になり、かつ外部環境温度が所定の温度しきい値を超え、すなわち、外部環境でもって十分な熱を供給してエネルギーを補充できると、第1の除湿モードに入ることができる。
【0056】
本実施例では、ヒートポンプシステムは、外部熱交換器、第1の内部熱交換器、第2の内部熱交換器、及び並列循環経路に沿って循環して流動する熱交換媒体(冷却剤、冷媒とも呼ばれる)を備える。
【0057】
並列循環経路は、熱吸収経路、冷却経路、及び熱補充経路を含み、熱吸収経路は、冷却経路と並列に接続された後に熱補充経路と直列に接続され、外部熱交換器は熱吸収経路上に位置し、第1の内部熱交換器は冷却経路上に位置し、第2の内部熱交換器は熱補充経路上に位置し、第2の内部熱交換器は、外部熱交換器により外部環境から吸収された熱を、第1の内部熱交換器を流れた空気に伝達するために用いられる。
【0058】
本実施例では、
図1に示すように、外部熱交換器は外部凝縮器104、第1の内部熱交換器は蒸発器102、第2の内部熱交換器は内部凝縮器103である。
【0059】
図1に示すように、熱吸収経路は点ADの間にあり、冷却経路は点BDの間にあり、熱補充経路は点CDの間にある。熱吸収経路と冷却経路は入力端が熱補充経路の出力端に連結し、熱吸収経路と冷却経路は出力端が熱補充経路の入力端に連結する。また、熱吸収経路と冷却経路の熱交換媒体である冷媒は共低圧である。
【0060】
圧縮機101を並列循環経路の開始点/停止点とし、並列に接続された熱吸収経路と冷却経路を圧縮機101において収束させることにより、外部熱交換器と第1の内部熱交換器が共低圧である特性を形成し、外部熱交換器と第1の内部熱交換器は同時に蒸発・熱吸収を行い、外部熱交換器は外部環境の熱を吸収し、第1の内部熱交換器は乗員室的空気の熱を吸収することで、乗員室の空気中の水蒸気を冷却して凝縮させ液滴を生じ、冷却除湿の目的を達成し、さらに、送風機により第1の内部熱交換器に送風されて凝縮除湿に使用された空気を、第2の内部熱交換器を使用して熱補充して暖かさを取り戻すことで、除湿効果を維持するために第1の内部熱交換器の温度を継続的に低下させる必要があることに起因して最終的に第1の内部熱交換器を着氷/着霜させるという不利益な影響を回避する。
【0061】
S203では、第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定する。
【0062】
本ステップでは、第1の所定位置は吹出口及び第1の内部熱交換器の取付位置の吹出側を含み、対応する空気温度は第1の目標温度及び第2の目標温度を含み、第1の目標温度は吹出口での空気温度を含み、第2の目標温度は第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度であり、第2の所定位置は熱交換媒体の輸送管路における第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、過冷却度は出力端の目標過冷却度を含む。
【0063】
本実施例では、第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定し、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定し、
第3の温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定する。
【0064】
なお、第1の閉ループ制御モデル、第2の閉ループ制御モデル、及び第3の閉ループ制御モデルのタイプは、PI(Proportion Integral)比例積分モデル、PID(Proportion Integral Differential)比例積分微分モデルなどを含み、当業者は、実際の応用場面に応じて適切なモデル及び各閉ループ制御モデルの制御パラメータを選択することができる。
【0065】
S204では、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。
【0066】
本ステップでは、第1の目標温度は熱交換ボックスの吹出口での空気温度を含み、第2の目標温度は第1の内部熱交換器の温度である。
【0067】
具体的に、圧縮機、第1の電子膨張弁、及び第2の電子膨張弁のそれぞれへ対応する閉ループ制御命令を送信する。
【0068】
図1に示すように、電子膨張弁109と電子膨張弁110をオンにし、並列循環経路を開き、そして圧縮機101に第1の閉ループ制御命令、第1の電子膨張弁である電子膨張弁106に第2の閉ループ制御命令、第2の電子膨張弁である電子膨張弁107に第3の閉ループ制御命令を送信する。
【0069】
圧縮機101により空気調和ボックス120の吹出口の空気温度を制御することで、吹出口の空気温度が目標吹出温度に達するようにし、第1の電子膨張弁である電子膨張弁106により第2の内部熱交換器である内部凝縮器103の過冷却度を制御することで、冷媒が比較的に高効率な状態において稼動できかつ冷媒の流動時に騒音が立たないようにし、第2の電子膨張弁である電子膨張弁107により蒸発器102の吹出側の空気温度を制御することで、当該温度が目標風温に達するようにする。上記の3つの制御により、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に所定要件を満たすものとなる。
【0070】
所定要件は、第1の目標温度が第1の所定目標値よりも低い値とすることができない要件、及び第2の目標温度が第2の所定目標値よりも低い値とすることができない要件を含む。第1の目標温度が低すぎると車内の空気の温度が急激に低下し、この後の凝縮・除湿効果に影響を及ぼす。その原因は、空気の温度が低くなると、凝縮・除湿効果を達成するために蒸発器102の温度を絶えず低下させる必要があるが、蒸発器102の温度を絶えず低下させると着霜又は着氷の問題は発生し、蒸発器102の損傷を引き起こす。そこで、除湿を持続的に行うことができるようにするために、第1の目標値と第2の目標値を同時に制御しなければならない。両者は不可分の結合関係にある。
【0071】
選択的に、圧縮機、第1の電子膨張弁、及び第2の電子膨張弁のそれぞれに対して個別に閉ループ制御を行うように、複数の制御スレッドを設定してもよい。
【0072】
上記の技術的内容に基づき、乗員室の湿度が最適な湿度範囲を超えるか、または除湿機能が手動で起動されるか、またはヒートポンプシステムに対する制御は除湿と同じ効果が生じる場合に、まず車内と車外の環境温度を車載の各センサーによって取得し、そして、現時点のヒートポンプシステムの除湿負荷を算出し、なお、外部環境温度、すなわち、車外温度は、現在、外部から熱を積極的に吸収することに適合するか否かを反映しており、除湿負荷が負荷しきい値を超え、かつ外部の熱が十分である場合に、外部環境の熱をヒートポンプシステムの外部熱交換器により積極的に吸収し、熱交換媒体を経由して第1の内部熱交換器を流れた空気に転移することによって、冷却除湿に起因する乗員室の温度低下の副作用はバランスが取りまたは改善され、最適な除湿効果を維持する目的は達成される。同時に、一部の圧縮機の出力電力の代わりに外部環境の自然熱を使用することによって、車両のエネルギー消費は節約される。この過程では、吹出口での第1の目標温度及び第1の内部熱交換器(蒸発器など)の温度である第2の目標温度の制御は、ヒートポンプシステム全体の安定性及び安全性に関係し、従来の技術において安定性及び安全性の両立が困難であり、ヒートポンプシステムの振動及び騒音を引き起こすことが多くあるのに対し、本願は、熱交換ボックスにおいて多段式温度監視及び閉ループ調整を行い、重要位置での熱交換媒体の過冷却度に対する閉ループ制御と連携するとともに、吹出口の気温と蒸発器の温度がそれぞれの安全範囲内にあるようにすることにより、ヒートポンプシステムが外部環境の熱を吸収して第1の内部熱交換器を流れた空気の温度を補う際に発生する安定性及び安全性の問題は回避される。
【0073】
本願の実施例は、除湿モードの制御方法を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、次に、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気の熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【0074】
図3は、本願の実施例により提供される別の除湿モードの制御方法のフローチャートである。
図3に示すように、当該除湿モードの制御方法の具体的なステップは、S301~S318を含む。
【0075】
S301では、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部環境温度、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得する。
【0076】
本ステップの詳細な説明はステップS201を参照することができ、ここで繰り返して説明されない。
【0077】
S302では、予め設定された負荷モデルを利用して、第1の目標温度の所定基準値、外部環境温度、外部循環のパーセンテージ、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、除湿負荷を決定する。
【0078】
本ステップでは、まず、送風機により乗員室中の空気を第1の内部熱交換器に送風する際の実際送風温度を、実際送風温度=外部環境温度*外部循環のパーセンテージ+乗員室の温度*内部循環のパーセンテージにて算出する。
【0079】
なお、車両内の空気調和機が起動されるとき、空気の循環方式は内部循環及び外部循環を含むことから、内部循環とは、空気を送風機により車内すなわち乗員室から吸い込み、熱交換ボックスである空気調和ボックス120に送風し、そして、空気を熱交換ボックスにおいて各熱交換器により降温及び/又は昇温させた後、吹出口から車内すなわち乗員室に戻す過程を指し、これによって、内部循環は形成される。
【0080】
外部循環とは、空気を送風機により車外すなわち外部環境から吸い込み、熱交換ボックスに送風し、そして、空気を熱交換ボックスにおいて各熱交換器により降温及び/又は昇温させた後、吹出口から車内すなわち乗員室に送風する過程を指す。
【0081】
車内には運転者や乗員などのユーザが存在するため、呼吸作用により車内の酸素が消費されて二酸化炭素の濃度が上昇し、長時間にわたって内部循環を行うと、ユーザが低酸素状態になるので、低酸素現象を避けるために内部循環と外部循環の循環割合を割り当てる必要がある。
【0082】
これによって、除湿負荷を決定する際に、正確さを確保するために、まず実際送風温度を算出する必要がある。
【0083】
そして、除湿モードに応じて設計された吹出口の吹出温度が異なることに起因して、除湿負荷の大きさも異なるため、第1の除湿モードの初期設定要件を満たすために、予め設定された吹出口の目標吹出温度を用いて、除湿負荷を算出する必要がある。
【0084】
本実施例では、除湿負荷の計算モデルは、
除湿負荷=(目標吹出温度-実際送風温度)*送風機の風量*空気比熱とする。
【0085】
S303では、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定する。
【0086】
本ステップでは、除湿負荷が負荷しきい値以上になり、かつ外部環境温度が第1の温度しきい値以下になる場合、第1の除湿モードに入ると決定し、すなわち、ステップS304を実行し、
除湿負荷が負荷しきい値よりも小さくなり、かつ外部環境温度が第2の温度しきい値以上になる場合、第2の除湿モードに入ると決定し、すなわち、ステップS315を実行する。
【0087】
第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。
【0088】
第2の除湿モードは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱及び/又は加熱機器の熱を使用して、第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第2の温度しきい値は第1の温度しきい値よりも大きい。第1の除湿モードはすでに除湿要件を満たすことができなくなり、或いは外部環境の温度が低すぎて、吸収された熱だけで冷却除湿によって低下した温度を補うには不十分である場合に、車両内部のその他の発熱機器の熱をスケジュールして、第1の内部熱交換器を流れた空気に補充しなければならない。
【0089】
なお、第2の温度しきい値は第1の温度しきい値よりも大きい。すなわち、除湿モードを切り替える際に、外部環境温度に対してヒステリシス処理を行う必要があり、このとき、第2の温度しきい値=第1の温度しきい値+所定の温度差とする。選択的に、所定の温度差は5℃とする。
【0090】
選択的に、負荷しきい値は、圧縮機の最小回転数における消費電力、または圧縮機の最小回転数における消費電力を予め設定された補正アルゴリズムで補正した補正値を含む。
【0091】
S304では、外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定する。
【0092】
本ステップでは、第2の電子膨張弁は第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられている。
【0093】
本実施例では、
図1に示すように、第1の内部熱交換器は蒸発器102で、第2の電子膨張弁は蒸発器102の前にある電子膨張弁すなわち電子膨張弁107である。
【0094】
S305では、予め設定されたアルゴリズムを使用して、外部環境温度、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定する。
【0095】
本ステップでは、まず、影響因子の値を
影響因子=(外部環境温度*外部循環のパーセンテージ+乗員室の温度*内部循環のパーセンテージ)*送風機の風量にて算出し、
上記の影響因子の計算結果及び影響因子に対応するマッピング関係に従い、対応する第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定する。
【0096】
S306では、外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定する。
【0097】
本ステップでは、第1の電子膨張弁は第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられている。
【0098】
本実施例では、
図1に示すように、第1の電子膨張弁は電子膨張弁106で、第2の内部交換機は内部凝縮器103であり、内部凝縮器103の出力端には、冷媒の逆流を防止するための一方向逆止弁108が取り付けられている。
【0099】
ステップS304~S306では、第1の電子膨張弁及び/又は第2の電子膨張弁の開度の上限及び下限を制限する原因は、外部環境の制限で、ヒートポンプシステムが積極的に吸収できる熱は外部環境の温度に関係しており、そこで、ヒートポンプシステム稼働時に客観的な制限が無視され、電子膨張弁の開度が継続的に増大又は減少されることに起因して、システムがチャタリングし、重大な騒音が発生することを回避すること、または、大きすぎる開度変動範囲では、ある時の電子膨張弁の当時の開度と制御命令による目標開度との差が大きすぎる場合に、調整時間が長過ぎ、システムの安定性に影響を及ぼすことを回避すること、または、電子膨張弁は、その上限と下限の範囲を超えた後、調整の役割が無効になり、そこで、制御器により無効な目標開度が発送されることを回避することにあり、その上限と下限を制限して、ヒートポンプシステム全体の安定さを維持する。
【0100】
S307では、第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定する。
【0101】
本ステップでは、第1の目標温度は熱交換ボックスの吹出口での空気温度を含む。
【0102】
S308では、目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定する。
【0103】
本ステップでは、目標過冷却度は、熱交換媒体すなわち冷媒の第2の内部熱交換器の出力端での過冷却度を含む。
【0104】
S309では、第3の温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定する。
【0105】
本ステップでは、第3の温度は第1の内部熱交換器の熱交換ボックスでの取付位置の吹出側の空気温度を含む。
【0106】
S310では、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように、圧縮機、第1の電子膨張弁、及び第2の電子膨張弁のそれぞれに、第1の閉ループ制御命令、第2の閉ループ制御命令、及び第3の閉ループ制御命令を出力する。
【0107】
本ステップでは、第2の目標温度は第1の内部熱交換器の温度である。
【0108】
ステップS307~S310では、圧縮機を用いて吹出口の温度を閉ループ制御することにおいて、第1の内部熱交換器が配置された取付位置の吹出側の温度である第2の目標温度を圧縮機を使用して制御する従来の技術に比べて、本願は、吹出口の温度である第1の目標温度を圧縮機を使用して制御することに変更したため安定化制御の目標をより容易に達成する。これによって、第1の目標温度と第2の目標温度を同時に安定して制御するという技術的難問は克服され、両立して制御できないことに起因してヒートポンプシステムがチャタリングするという従来の技術に存在する問題は回避される。
【0109】
S311では、圧縮機の入力端の圧力値を取得する。
【0110】
本ステップでは、第1の除湿モードが実行されるとき、並列に接続された熱補充経路と冷却経路内の熱交換媒体は蒸発後に共低圧値を有し、圧縮機の入力端において圧力センサーを取り付けば当該圧力値をリアルタイムでモニターリングすることができる。
【0111】
S312では、圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで第2の閉ループ制御命令の出力を再開する。
【0112】
本ステップでは、圧縮機の低圧端の圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、第1の電子膨張弁の過冷却度の閉ループ制御を一時停止して、第1の電子膨張弁の開度を所定の速度(例えば0.1%/S)で増大させるモードに切り替えるとともに、圧力値が第2の圧力しきい値まで回復したか否かをリアルタイムで検知し、圧力値が第2の圧力しきい値まで回復した場合、第1の電子膨張弁に対する閉ループ制御の実行を続行する。
【0113】
低圧端の圧力を制御することで、ヒートポンプシステムの圧力の不均衡を防止することは、並列除湿の手段を採用するとシステムのチャタリングが発生しやすくなるためであり、そこで、安全性を高め、チャタリングを減少し、またはシステムの調整能力を超えたチャタリングの発生を防止するために、低圧端の圧力値を監視することは、本願の発明者が発見したチャタリング防止のための有用な手段である。制御命令の計算及び実行には、一定の遅延性があるため、低圧端の圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合は、この遅延の影響を受けてシステム全体の稼働状態が第1の除湿モードでのシステムの調整能力を超えた、或いは、閉ループ調整が速すぎて、システムの状態がタイムリーに追いついていなかったことを示しており、この場合に、閉ループ制御を一時停止して低圧端の圧力が回復するまで待機し、調整を再開するようにすれば、システムの安定性をさらに確保する。
【0114】
S313では、第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持する。
【0115】
S314では、第1の内部熱交換器による着霜防止停止命令に応答し、第2の電子膨張弁の初期開度値を第1の開度値に設定して、第2の電子膨張弁に対する閉ループ制御を再開する。
【0116】
ステップS313及びS314については、第1の除湿モードの制御方式は理論的には安全であるが、実際には、各制御命令の有効時間と実行時の遅延特性との矛盾のような事前に予測できない様々な要素の影響によって、第1の内部熱交換器が極端な場合では着霜するという現象は依然として存在しており、センサーは、着霜を検知した後、直ちに着霜防止を開始し、第1の内部熱交換器による熱交換を中止し、霜が融けるまで待機してからまた除湿を続行することにより、第1の内部熱交換器の着霜/着氷に起因する第1の内部熱交換器の損傷の危険状況は回避され、ヒートポンプシステムの安定性及び安全性は向上する。
【0117】
なお、S312~S314及びS307~S310には前後順が要求されていないため、並列なスレッドによって制御されると理解できる。
【0118】
次のステップは第2の除湿モード下でのステップである。
【0119】
S315では、クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得する。
【0120】
本ステップでは、車載の熱管理システムとしては、ヒートポンプシステムに加えて、クーラント液循環システムも挙げられ、動力バッテリー、モーター、エンジンなどの動力機器を熱管理するために用いられる。動力機器は稼働中に大量の熱を発生するため、一般的に、クーラント液循環システムにより動力機器を冷却し、熱を外部環境に排出する。クーラント液管路上の所定位置にある温度センサーによりバッテリー冷却回路の水温を取得することができる。
【0121】
S316では、水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定する。
【0122】
本ステップでは、水温と吹出口の目標吹出温度を比較して得た温差により、熱伝達の方向を知ることができ、そして、クーラント液の比熱容量に従い、バッテリー冷却回路中の熱が除湿と熱補充の要求を満たすか否かを認識することができる。バッテリー冷却回路中の熱が除湿と熱補充の要求を満たしている場合、ステップS317を実行し、バッテリー冷却回路中の熱が除湿と熱補充の要求を満たしていない場合、ステップS318を実行する。
【0123】
S317では、バッテリー冷却回路のクーラント液を乗員室内の加熱用ヒーターコアに導入するように対応する電子膨張弁を制御する。
【0124】
本実施例では、ヒーターコアは、クーラント液を使用して乗員室に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。ヒーターコアは、空気が吹出口の前で加熱されるように、熱交換ボックス内に取り付けられ得る。
【0125】
S318では、加熱機器を起動して、ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱する。
【0126】
本ステップでは、加熱機器はPTC加熱器を含み、PTC加熱器によりクーラント液を加熱し、そして、クーラント液がヒーターコアを流れるとき、熱交換ボックス内の空気を加熱する。
【0127】
ステップS315~S318について、外部環境により十分な熱が提供できない場合に、除湿及び熱補充のために車内の発熱機器から熱を吸収することを選択し、バッテリー冷却や駆動モーター又はエンジンのクーラント液の余熱の利用を優先して熱補充を行い、熱エネルギーの回収管理を実現するが、余熱でも満足できない場合に、車両自体のエネルギーを使用して加熱し、除湿効果が確保できる条件下で、エネルギー消費を可能な限り減少させる効果を達成し、このようにして、車両を走行させることにより多くのエネルギーが利用可能であり、新エネルギー車両の走行距離は向上する。
【0128】
本願の実施例は、除湿モードの制御方法を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、この後、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気に対して熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【0129】
図4は、本願の実施例により提供される除湿モードの制御装置の構造概略図である。当該画像処理装置400は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装され得る。
【0130】
図4に示すように、当該画像処理装置400は、
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュール401と、
除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュール402と、を備える。
【0131】
1つの可能な設計では、制御命令は、ヒートポンプシステムにおける各被制御対象のそれぞれに対して閉ループ制御を行う閉ループ制御命令を含み、被制御対象の役割は、熱交換媒体を輸送管路において並列循環経路に沿って循環流動させる役割を含み、並列循環経路は、熱吸収経路、冷却経路、及び熱補充経路を含み、熱吸収経路は、冷却経路と並列に接続された後に熱補充経路と直列に接続され、外部熱交換器は熱吸収経路上に位置し、第1の内部熱交換器は冷却経路上に位置し、ヒートポンプシステムは第2の内部熱交換器をさらに備え、第2の内部熱交換器は熱補充経路上に位置し、第2の内部熱交換器は、外部熱交換器により吸収された熱を、第1の内部熱交換器を流れた空気に伝達するために用いられる。
【0132】
1つの可能な設計では、第1の所定位置は吹出口及び第1の内部熱交換器の取付位置の吹出側を含み、対応する空気温度は第1の目標温度及び第3の目標温度を含み、第3の目標温度は吹出側の空気温度であり、第2の所定位置は第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、過冷却度は出力端の目標過冷却度を含み、
これに応じて、処理モジュール402は、第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定することと、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定することと、
第3の温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定することと、に用いられる。
【0133】
1つの可能な設計では、取得モジュール401は、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するために用いられ、
処理モジュール402は、予め設定された負荷モデルを利用して、第1の目標温度の所定基準値、外部環境温度、外部循環のパーセンテージ、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、除湿負荷を決定するために用いられる。
【0134】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定するためにさらに用いられ、
取得モジュール401は、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール402は、予め設定されたアルゴリズムを使用して、外部環境温度、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定するためにさらに用いられ、第1の上限値及び第1の下限値は、外部環境温度が第1の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替えるために用いられる。
【0135】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定するためにさらに用いられ、第2の上限値及び第2の下限値は、外部環境温度が第2の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替えるために用いられる。
【0136】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、
第1の電子膨張弁の開度が第2の下限値で、かつ第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が所定の時間内に予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるためにさらに用いられ、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して乗員室に対して熱を補充して温度を上昇させ、第2の温度しきい値が第1の温度しきい値よりも大きい。
【0137】
1つの可能な設計では、取得モジュール401は、圧縮機の入力端の圧力値を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール402は、圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで第2の閉ループ制御命令の出力を再開するためにさらに用いられる。
【0138】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持するためにさらに用いられる。
【0139】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、第1の内部熱交換器による着霜防止停止命令に応答し、第2の電子膨張弁の初期開度値を第1の開度値に設定して、第2の電子膨張弁に対する閉ループ制御を再開するためにさらに用いられる。
【0140】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、除湿負荷が負荷しきい値以上になり、かつ外部環境温度が第1の温度しきい値以下になる場合、第1の除湿モードに入ると決定するために用いられる。
【0141】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、除湿負荷が負荷しきい値よりも小さくなる場合、または外部環境温度が第2の温度しきい値以上になる場合、第2の除湿モードに入ると決定するために用いられ、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、第2の温度しきい値が第1の温度しきい値よりも大きい。
【0142】
1つの可能な設計では、取得モジュール401は、クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール402は、
水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定することと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、第1の内部熱交換器を流れた空気を加熱するヒーターコアにバッテリー冷却回路のクーラント液を導入するように対応する電子膨張弁を制御することと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱することと、にさらに用いられ、
ヒーターコアは、クーラント液を使用して、乗員室に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。
【0143】
なお、
図4に示される実施例により提供される装置は、上記のいずれかの方法の実施例により提供される方法を実行することができ、その具体的な実施原理、技術的特徴、専門用語の解釈、及び技術的効果が類似するため、ここで繰り返して説明しない。
【0144】
図5は、本願の実施例により提供される電子機器の構造概略図である。
図5に示すように、当該電子機器500は、少なくとも1つのプロセッサ501及びメモリ502を備えることができる。
図5には、プロセッサが1つある場合を例にした電子機器が示されている。
【0145】
メモリ502は、プログラムを格納するために用いられる。具体的に、プログラムは、コンピュータ操作命令を含むプログラムコードを含むことができる。
【0146】
メモリ502は、高速RAMメモリを含むことができ、また、不揮発性メモリ(non-volatile memory)をさらに含むこともでき、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクメモリが挙げられる。
【0147】
プロセッサ501は、メモリ502に記憶されているコンピュータ実行命令を実行することで、以上の各方法の実施例に記載の方法を実施するために用いられる。
【0148】
ここで、プロセッサ501は、1つの中央処理装置(central processing unit、CPUとして略称)又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASICとして略称)とすることができ、または本願の実施例を実施する1つ又は複数の集積回路として構成され得る。
【0149】
選択的に、メモリ502は独立して配置されてもよいし、プロセッサ501と集積されていてもよい。前記メモリ502はプロセッサ501から独立しているデバイスである場合に、前記電子機器500は、
前記プロセッサ501と前記メモリ502とを接続するためのバス503をさらに備えることができる。バスは、工業規格アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAとして略称)バス、外部デバイス相互接続(peripheral component、PCI)バス、または拡張工業規格アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分類され得るが、1本のバス又は1種のバスのみを意味するものではない。
【0150】
選択的に、実際に実装される際、メモリ502とプロセッサ501は1つのチップに集積されて実装される場合に、メモリ502とプロセッサ501は内部インタフェースによって通信を完成させることができる。
【0151】
本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、当該コンピュータ可読記憶媒体は、USBディスクメモリ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスク、または光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含むことができ、具体的に、当該コンピュータ可読記憶媒体には、上記の各方法の実施例における方法で使用されるプログラム命令が記憶されている。
【0152】
本願の実施例は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記の各方法の実施例における方法が実施される。
【0153】
本願の実施例は、コンピュータプログラムをさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記の各方法の実施例における方法が実施される。
【0154】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態のみであるが、本願の範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者が本願に記載された技術的範囲内で容易に思いつく変更又は置換は、本願の範囲内に含まれるものとする。そのため、本願の保護範囲は特許請求の範囲に準じるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の技術的内容に基づき、乗員室の湿度が最適な湿度範囲を超えるか、または除湿機能が手動で起動される場合には、まず、車内と車外の環境温度を車載の各センサーによって取得し、そして、現時点のヒートポンプシステムの除湿負荷を算出し、なお、外部環境温度、すなわち、車外温度は、現在、外部から熱を積極的に吸収することに適合するか否かを反映しており、除湿負荷が負荷しきい値を超え、かつ外部の熱が十分である場合に、外部環境での熱をヒートポンプシステムでの外部熱交換器により積極的に吸収し、熱交換媒体により乗員室に転移することによって、圧縮機の除湿モードでの電力出力は節約され、車両のエネルギー消費は節約される。この過程では、吹出口での第1の目標温度および第1の内部熱交換器(蒸発器など)が配置された取付位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度に対する制御は、ヒートポンプシステム全体の安定性及び安全性に関係し、従来の技術において安定性及び安全性の両立が困難であり、ヒートポンプシステムの振動及び騒音を引き起こすことが多くあるのに対し、本願は、空気輸送用熱交換ボックスにおいて多段式温度監視及び閉ループ調整を行い、重要位置での熱交換媒体の過冷却度に対する閉ループ制御と連携するとともに、吹出口の気温および蒸発器が配置された取付位置の吹出側の空気温度をそれぞれの安全範囲内にすることにより、ヒートポンプシステムが外部環境の熱を吸収して圧縮機の出力電力の一部を代替する際に発生する安定性及び安全性の問題は回避される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
1つの実施形態では、第2の所定位置は第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、過冷却度は出力端の目標過冷却度を含み、
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップは、
第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定するステップと、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定するステップと、
第2の目標温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定するステップと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
1つの実施形態では、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、前記方法は、
外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定するステップと、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定されたアルゴリズムを使用して、外部環境温度、乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量に従い、第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定するステップと、をさらに含み、
第1の上限値と第1の下限値の役割は、外部環境温度が第1の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替え、第1の除湿モードの調整能力を制限してシステムの安全性及び安定性を確保する役割を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
1つの実施形態では、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、前記方法は、
外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定するステップをさらに含み、
第2の上限値と第2の下限値の役割は、外部環境温度が第2の温度範囲を超える場合にヒートポンプシステムの除湿モードを一時停止又は切り替え、第1の除湿モードの調整能力を制限してシステムの安全性及び安定性を確保する役割を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、前記方法は、
第1の電子膨張弁の開度が第2の下限値で、かつ第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が所定の時間内に予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるステップをさらに含み、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、前記方法は、
圧縮機の入力端の圧力値を取得するステップと、
圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで第2の閉ループ制御命令の出力を再開するステップと、をさらに含む。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
1つの実施形態では、制御命令を出力するステップの後に、前記方法は、
第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップをさらに含む。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
選択的に、第2の除湿モードに入ると決定するステップの後に、前記方法は、
クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するステップと、
水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定するステップと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、第1の内部熱交換器を流れた空気を加熱するヒーターコアにバッテリー冷却回路のクーラント液を導入するように対応する電子膨張弁を制御するステップと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱するステップと、をさらに含み、
ヒーターコアは、クーラント液を使用して、第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
第2の態様では、本願は、除湿モードの制御装置を開示し、
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュールと、
除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュールと、を備える。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
上記の技術的解決手段によれば、本願は、除湿モードの制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、この後、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気の熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
外部環境温度を取得するステップは、
車外に取り付けられた少なくとも1つの温度センサーにより車両の現在の走行環境における空気温度を取得するステップ、
または、無線通信の手段を用いて、車両の現在の測位情報(全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)の測位情報など)に従い、道路基盤ユニット又はビッグデータプラットフォームから、現在走行位置が属する予め設定された地理的範囲内の気温を外部環境温度として決定するステップを含む。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
S203では、第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
本実施例では、第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定し、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定し、
第2の目標温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
本ステップでは、第1の目標温度は空気輸送用熱交換ボックスの吹出口での空気温度を含み、第2の目標温度は第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
上記の技術的内容に基づき、乗員室の湿度が最適な湿度範囲を超えるか、または除湿機能が手動で起動されるか、またはヒートポンプシステムに対する制御は除湿と同じ効果が生じる場合に、まず車内と車外の環境温度を車載の各センサーによって取得し、そして、現時点のヒートポンプシステムの除湿負荷を算出し、なお、外部環境温度、すなわち、車外温度は、現在、外部から熱を積極的に吸収することに適合するか否かを反映しており、除湿負荷が負荷しきい値を超え、かつ外部の熱が十分である場合に、外部環境の熱をヒートポンプシステムの外部熱交換器により積極的に吸収し、熱交換媒体を経由して第1の内部熱交換器を流れた空気に転移することによって、冷却除湿に起因する乗員室の温度低下の副作用はバランスが取りまたは改善され、最適な除湿効果を維持する目的は達成される。同時に、一部の圧縮機の出力電力の代わりに外部環境の自然熱を使用することによって、車両のエネルギー消費は節約される。この過程では、吹出口での第1の目標温度及び第1の内部熱交換器(蒸発器など)の温度である第2の目標温度の制御は、ヒートポンプシステム全体の安定性及び安全性に関係し、従来の技術において安定性及び安全性の両立が困難であり、ヒートポンプシステムの振動及び騒音を引き起こすことが多くあるのに対し、本願は、空気輸送用熱交換ボックスにおいて多段式温度監視及び閉ループ調整を行い、重要位置での熱交換媒体の過冷却度に対する閉ループ制御と連携するとともに、吹出口の気温と蒸発器の温度がそれぞれの安全範囲内にあるようにすることにより、ヒートポンプシステムが外部環境の熱を吸収して第1の内部熱交換器を流れた空気の温度を補う際に発生する安定性及び安全性の問題は回避される。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本願の実施例は、除湿モードの制御方法を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、次に、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気の熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
なお、車両内の空気調和機が起動されるとき、空気の循環方式は内部循環及び外部循環を含むことから、内部循環とは、空気を送風機により車内すなわち乗員室から吸い込み、空気輸送用熱交換ボックスである空気調和ボックス120に送風し、そして、空気を空気輸送用熱交換ボックスにおいて各熱交換器により降温及び/又は昇温させた後、吹出口から車内すなわち乗員室に戻す過程を指し、これによって、内部循環は形成される。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
外部循環とは、空気を送風機により車外すなわち外部環境から吸い込み、空気輸送用熱交換ボックスに送風し、そして、空気を空気輸送用熱交換ボックスにおいて各熱交換器により降温及び/又は昇温させた後、吹出口から車内すなわち乗員室に送風する過程を指す。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
本ステップでは、第1の目標温度は空気輸送用熱交換ボックスの吹出口での空気温度を含む。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
S309では、第2の目標温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定する。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
本ステップでは、第2の目標温度は第1の内部熱交換器の空気輸送用熱交換ボックスでの取付位置の吹出側の空気温度を含む。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
本ステップでは、第2の目標温度は第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
本実施例では、ヒーターコアは、クーラント液を使用して乗員室に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。ヒーターコアは、空気が吹出口の前で加熱されるように、空気輸送用熱交換ボックス内に取り付けられ得る。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0126
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0126】
本ステップでは、加熱機器はPTC加熱器を含み、PTC加熱器によりクーラント液を加熱し、そして、クーラント液がヒーターコアを流れるとき、空気輸送用熱交換ボックス内の空気を加熱する。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
本願の実施例は、除湿モードの制御方法を提供し、乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得し、そして、除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定し、当該第1の除湿モードは、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられ、第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定し、この後、第1の目標温度と第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力する。新エネルギー自動車をどのように除湿するかという技術的問題は解決され、除湿された空気に対して熱を補充するために外部環境の熱を積極的に吸収することにより、エネルギーの節約はもちろん、システムの安定性及び安全性の向上も図れるという技術的効果は達成される。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
図4は、本願の実施例により提供される除湿モードの制御装置の構造概略図である。当該
除湿モードの制御装置400は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装され得る。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
図4に示すように、当該
除湿モードの制御装置400は、
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュール401と、
除湿負荷、外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュール402と、を備える。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
1つの可能な設計では、第2の所定位置は第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、過冷却度は出力端の目標過冷却度を含み、
これに応じて、処理モジュール402は、第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定することと、
目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定することと、
第2の目標温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定することと、に用いられる。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
1つの可能な設計では、処理モジュール402は、
第1の電子膨張弁の開度が第2の下限値で、かつ第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が所定の時間内に予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるためにさらに用いられ、第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させる。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0142】
1つの可能な設計では、取得モジュール401は、クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール402は、
水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定することと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、第1の内部熱交換器を流れた空気を加熱するヒーターコアにバッテリー冷却回路のクーラント液を導入するように対応する電子膨張弁を制御することと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱することと、にさらに用いられ、
ヒーターコアは、クーラント液を使用して、第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0149
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0149】
選択的に、メモリ502は独立して配置されてもよいし、プロセッサ501と集積されていてもよい。前記メモリ502はプロセッサ501から独立しているデバイスである場合に、前記電子機器500は、
前記プロセッサ501と前記メモリ502とを接続するためのバス503をさらに備えることができる。バスは、工業規格アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAとして略称)バス、外部デバイス相互接続(peripheral component interconnect、PCI)バス、または拡張工業規格アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分類され得るが、1本のバス又は1種のバスのみを意味するものではない。
【手続補正32】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するステップと、
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、前記外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップと、
前記第1の除湿モードに入ると判定した場合、
空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び前記第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップと、
前記吹出口の空気温度を含む第1の目標温度と前記吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように前記制御命令を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする除湿モードの制御方法。
【請求項2】
前記第1の除湿モードでは、前記制御命令は、前記ヒートポンプシステムにおける各被制御対象のそれぞれに対して閉ループ制御を行う閉ループ制御命令を含み、前記被制御対象の役割は、前記熱交換媒体を前記輸送管路において並列循環経路に沿って循環流動させる役割を含み、前記並列循環経路は、熱吸収経路、冷却経路、及び熱補充経路を含み、前記熱吸収経路は、前記冷却経路と並列に接続された後に前記熱補充経路と直列に接続され、
前記外部熱交換器は前記熱吸収経路上に位置し、前記第1の内部熱交換器は前記冷却経路上に位置し、前記ヒートポンプシステムは第2の内部熱交換器をさらに備え、前記第2の内部熱交換器は前記熱補充経路上に位置し、前記第2の内部熱交換器は、前記外部熱交換器により吸収された熱を、前記第1の内部熱交換器を流れた空気に伝達するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2の所定位置は前記第2の内部熱交換器の出力端を含み、これに応じて、前記過冷却度は前記出力端の目標過冷却度を含み、
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップは、
前記第1の目標温度及び第1の閉ループ制御モデルに従い、圧縮機の第1の閉ループ制御命令を決定するステップと、
前記目標過冷却度及び第2の閉ループ制御モデルに従い、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令を決定するステップと、
前記第2の
目標温度及び第3の閉ループ制御モデルに従い、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の第3の閉ループ制御命令を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
ヒートポンプシステムの除湿負荷を取得するステップは、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定された負荷モデルを利用して、前記第1の目標温度の所定基準値、前記外部環境温度、前記外部循環のパーセンテージ、前記乗員室の温度、前記内部循環のパーセンテージ、及び前記送風機の風量に従い、前記除湿負荷を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、前記方法は、
前記外部環境温度及び予め設定された第1の対応関係に従い、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁の動作のための第1の下限値を決定するステップと、
乗員室の温度、内部循環のパーセンテージ、外部循環のパーセンテージ、及び送風機の風量を取得するステップと、
予め設定されたアルゴリズムを使用して、前記外部環境温度、前記乗員室の温度、前記内部循環のパーセンテージ、前記外部循環のパーセンテージ、及び前記送風機の風量に従い、前記第2の電子膨張弁の動作のための第1の上限値を決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
空気輸送用熱交換ボックス内の複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定するステップの前に、
前記外部環境温度及び予め設定された第2の対応関係に従い、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の動作のための第2の上限値及び第2の下限値を決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御命令を出力するステップの後に、
前記第1の電子膨張弁の開度が前記第2の下限値で、かつ所定の時間内に前記第2の内部熱交換器の出力端の過冷却度が予め設定された過冷却度しきい値以下であることを検知した場合、除湿モードを第2の除湿モードに切り替えるステップをさらに含み、前記第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ
る、ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記制御命令を出力するステップの後に、
圧縮機の入力端の圧力値を取得するステップと、
前記圧力値が第1の圧力しきい値よりも小さい場合、前記第2の内部熱交換器の出力端に取り付けられた第1の電子膨張弁の第2の閉ループ制御命令の出力を一時停止して、前記第1の電子膨張弁の開度を所定の速度で増大させるモードに切り替え、前記圧力値が第2の圧力しきい値以上になるまで前記第2の閉ループ制御命令の出力を再開するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記制御命令を出力するステップの後に、
前記第1の内部熱交換器による着霜防止開始命令に応答し、前記第1の内部熱交換器の入力端に取り付けられた第2の電子膨張弁を閉じると同時に、前記第2の電子膨張弁の閉じる前の第1の開度値を記録して、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項10】
第2の電子膨張弁を閉じると同時に、圧縮機の回転数をそのままに維持するステップの後に、
前記第1の内部熱交換器による着霜防止停止命令に応答し、前記第2の電子膨張弁の初期開度値を前記第1の開度値に設定して、前記第2の電子膨張弁に対する閉ループ制御を再開するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
前記除湿負荷が前記負荷しきい値以上で、かつ前記外部環境温度が第1の温度しきい値以下になる場合、前記第1の除湿モードに入ると決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、第1の除湿モードに入るか否かを判定するステップは、
前記除湿負荷が前記負荷しきい値よりも小さくなる場合、または前記外部環境温度が第2の温度しきい値以上になる場合、第2の除湿モードに入ると決定するステップをさらに含み、前記第2の除湿モードでは、除湿中に、バッテリー冷却回路の熱又は加熱機器の熱を使用して前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させ、前記第2の温度しきい値が前記第1の温度しきい値よりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
第2の除湿モードに入ると決定するステップの後に、
クーラント液循環システム内のバッテリー冷却回路の水温を取得するステップと、
前記水温及び吹出口の目標吹出温度に従い、バッテリーの余熱が熱補充要件を満たすか否かを判定するステップと、
熱補充要件が満たされていると判定した場合、前記バッテリー冷却回路のクーラント液をヒーターコアに導入するように対応する電子膨張弁を制御するステップと、
熱補充要件が満たされていないと判定した場合、加熱機器を起動して、前記ヒーターコアを流れるクーラント液を加熱するステップと、をさらに含み、
前記ヒーターコアは、前記クーラント液を使用して、前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる、ことを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
乗員室に除湿要求があることを検知すると、外部熱交換器及び第1の内部熱交換器を備えるヒートポンプシステムの除湿負荷及び外部環境温度を取得するための取得モジュールと、
前記除湿負荷、前記外部環境温度、及び負荷しきい値に従い、除湿中に、前記外部熱交換器により外部環境の熱を吸収することによって前記第1の内部熱交換器を流れた空気に対して熱を補充して温度を上昇させるために用いられる第1の除湿モードに入るか否かを判定することと、
前記第1の除湿モードに入ると判定した場合、空気輸送用熱交換ボックス内の、吹出口及び前記第1の内部熱交換器が配置された位置の吹出側を含む複数の第1の所定位置での空気温度及び輸送管路内の少なくとも1つの第2の所定位置での熱交換媒体の過冷却度に従い、前記第1の除湿モードの制御命令を決定することと、
前記吹出口での空気温度を含む第1の目標温度と前記吹出側の空気温度である第2の目標温度が同時に除湿機能の所定要件を満たすように前記制御命令を出力することと、に用いられる処理モジュールと、を備える、ことを特徴とする除湿モードの制御装置。
【請求項15】
プロセッサと、前記プロセッサと通信可能に接続されているメモリと、を備える電子機器であって、
前記メモリにはコンピュータ実行命令が記憶されており、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されているコンピュータ実行命令を実行することで、請求項1~13のいずれか1項に記載の除湿モードの制御方法を実施する、電子機器。
【請求項16】
コンピュータ実行命令が記憶されており、前記コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき請求項1~13のいずれか1項に記載の方法が実施されるために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、コンピュータで前記コンピュータプログラムを動作させるとき、
前記コンピュータが前記プログラムコード
に基づいて、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【国際調査報告】