(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】車両暖房制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B60H1/22 631A
B60H1/22 611D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580888
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2021127732
(87)【国際公開番号】W WO2023070609
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(71)【出願人】
【識別番号】523218452
【氏名又は名称】吉利汽車研究院(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】GEELY AUTOMOBILE RESEARCH INSTITUTE (NINGBO) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 双岐
(72)【発明者】
【氏名】常 浩
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA02
3L211CA19
3L211DA26
3L211DA28
3L211DA50
3L211EA16
3L211EA50
3L211FB05
3L211FB06
3L211GA26
3L211GA34
3L211GA49
(57)【要約】
本願は、車両暖房制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品を提供し、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させ、そして吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングし、第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信し、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられる。新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかという技術的問題は解決され、ヒーターポンプシステムでバッテリーを加熱し、加熱効率の向上のみならず、エネルギー節約も図れるという技術的効果は達成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両暖房制御方法であって、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるステップと、
吹出口の気温または前記乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記吹出口の気温又は前記乗員室暖房モードの作動時間が前記第1の所定要件を満たしている場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップと、を含み、前記所定の制御命令は、前記ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともに前記クーラント液をバッテリー回路に分散することによって、前記クーラント液が前記バッテリーを加熱するようにするために用いられ、前記クーラント液循環システムは前記温風回路及び前記バッテリー回路を含む、ことを特徴とする車両暖房制御方法。
【請求項2】
分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
前記ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーに第1の閉ループ制御命令を送信するステップと、
前記温風回路におけるウォーターポンプに第1の回転数制御命令を送信して、前記ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させるステップと、
第1の多方弁に分散命令を送信するステップと、を含み、前記分散命令は、前記温風回路のクーラント液を前記バッテリー回路に取り込むとともに、前記クーラント液を用いて前記バッテリーを加熱するように、前記第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、前記第1の多方弁の入力端と第1の出力端は前記温風回路に連結し、前記第2の出力端は前記バッテリー回路に連結する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両暖房制御方法。
【請求項3】
分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
前記乗員室と前記バッテリーの合計暖房負荷を取得するステップと、
前記合計暖房負荷が前記ヒーターポンプシステムの暖房上限を超えているか否かを判定するステップと、
前記合計暖房負荷が前記ヒーターポンプシステムの暖房上限を超えている場合、前記クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の車両暖房制御方法。
【請求項4】
前記クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップの前に、
前記吹出口の気温が第2の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記吹出口の気温が前記第2の所定要件を満たしている場合、前記加熱器をオンにするステップと、
前記加熱器に第2の閉ループ制御命令を送信するステップと、
前記コンプレッサーに第1の制御命令を送信して、前記コンプレッサーを所定の回転数で作動させるステップと、
前記吹出口の気温が前記第2の所定要件を満たしていない場合、前記加熱器をオフにするステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の車両暖房制御方法。
【請求項5】
乗員室暖房モードを開始させるステップは、
前記乗員室の第1の暖房負荷を取得するステップと、
前記第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、前記乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定するステップと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、前記コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させるステップと、
前記吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、前記コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、前記コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法。
【請求項6】
前記第1の暖房負荷が前記負荷しきい値よりも大きい場合、少なくとも1つの前記ヒーターポンプシステムと少なくとも1つのクーラント液循環システムの両方を同時に使用して前記空気を加熱するために用いられる、複合モードを開始させると決定するステップと、
コンプレッサーに前記第2の制御命令を送信するステップと、
ヒーターコア出液口のクーラント液の温度をリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記クーラント液温度が前記目標温度に達した場合に、前記加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、前記加熱機器が閉ループ制御状態となるようにするステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の車両暖房制御方法。
【請求項7】
前記クーラント液循環システムはモーター回路をさらに含み、乗員室暖房モードを開始させるステップの後、
前記モーター回路内のクーラント液の第1の温度及び前記バッテリーの第2の温度を取得するステップと、
前記第1の温度と前記第2の温度との温度差が第2の所定しきい値以上である場合に、第2の多方弁に連通命令を送信して、前記モーター回路と前記バッテリー回路とを連通させるとともに、モーター動作で発生した熱を前記クーラント液を通して前記バッテリーに伝達するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法。
【請求項8】
車両暖房制御装置であって、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるための処理モジュールと、
吹出口の気温及び前記乗員室暖房モードの作動時間をリアルタイムでモニタリングするためのモニタリングモジュールと、を含み、
前記気温又は前記作動時間が第1の所定要件を満たしている場合に、前記処理モジュールは、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するためにさらに用いられ、前記所定の制御命令は、前記ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともに前記クーラント液をバッテリー回路に分散することによって、前記クーラント液が前記バッテリーを加熱するようにするために用いられ、前記クーラント液循環システムは前記温風回路及び前記バッテリー回路を含む、ことを特徴とする車両暖房制御装置。
【請求項9】
プロセッサ及び前記プロセッサと通信可能に接続されたメモリを備える電子機器であって、
前記メモリはコンピュータ実行命令を記憶し、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行することで、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法を実現する、電子機器。
【請求項10】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶されており、前記コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実施するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法は実施される、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、コンピュータで前記コンピュータプログラムを動作させるとき、前記プログラムコードは請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新エネルギー自動車技術の分野に関し、より具体的に、車両暖房制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両技術の発展に伴い、新エネルギー自動車はすでに将来の自動車発展の主要な趨勢となっている。従来の自動車分野では、車内環境制御に関するソリューションが多くあるが、新エネルギー自動車では、既存の車両の熱管理に新たな影響を与える高出力の駆動モーターや大容量のバッテリーが導入されているため、新たな課題に直面している。
【0003】
低温の天候では、バッテリーの温度が低くなるとその動作性能に影響を及ぼすため、バッテリーを加熱する必要がある。しかし、乗員室にも暖房需要がある場合、車両による暖房能力には限界があるため、バッテリーと乗員室への暖房の配分及び制御をどのように実現するかは、エネルギー自動車において早急に解決すべき技術的問題となっている。
【0004】
したがって、新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかは、本願が解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、まず乗員室をヒーターポンプシステムにより暖房し、吹出口気温が目標温度に達したら、ヒーターポンプシステムでヒーターコアによりクーラント液を暖め、そして暖められたクーラント液をバッテリー回路に取り込み、バッテリーを熱伝導し、バッテリーの温度を高くするようにすることで、新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかという技術的問題を解決する、車両暖房制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願は、車両暖房制御方法を開示し、当該方法は、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるステップと、
吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップと、含み、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられ、温風回路及びバッテリー回路はクーラント液循環システムに含まれる。
【0007】
上記の技術的説明に基づき、乗員室とバッテリーの両方には暖房需要がある場合に、まず乗員室を暖房し、吹出口の温度が所定要件を満たし、または乗員室の暖房時間が所定時間に達したら、乗員室とバッテリーの両方を暖房するモードを開始させ、ヒーターポンプシステムにより熱を温風回路に伝達し、温風回路の加熱器によりクーラント液を加熱する場合よりも効率が高くなり、より省エネとなる。乗員室の快適性の確保だけでなく、バッテリーの高効率的且つ省エネな加熱も達成できる。ヒーターポンプシステムの暖房能力をさらに十分に活用することができるようになっている。
【0008】
1つの実現形態では、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーに第1の閉ループ制御命令を送信するステップと、
温風回路におけるウォーターポンプに第1の回転数制御命令を送信して、ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させるステップと、
第1の多方弁に分散命令を送信するステップと、を含み、分散命令は、温風回路のクーラント液をバッテリー回路に取り込むとともに、クーラント液を用いてバッテリーを加熱するように、第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、第1の多方弁の入力端と第1の出力端は温風回路に連結し、第2の出力端はバッテリー回路に連結する。
【0009】
コンプレッサーは依然として、吹出口の気温を閉ループ制御するために用いられ、第1の多方弁はウォーターポンプと協働するように構成されており、空調ボックス内の空気がヒーターポンプシステムで加熱された後、空気は、ヒーターコアを流れている際、ヒーターコア内のクーラント液を加熱し、加熱されたクーラント液を第1の多方弁とウォーターポンプとの協働によってゆっくりとバッテリー回路に取り込み、バッテリーをバッテリー回路により加熱し、最終的に、バッテリーがクーラント液循環システムにおける加熱器ではなくヒーターポンプシステムにより加熱されることは、ヒーターポンプシステムによる加熱の効率がより高く、より省エネとなるため、達成されるわけである。
【0010】
1つの実現形態では、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
乗員室とバッテリーとの合計暖房負荷を取得するステップと、
合計暖房負荷がヒーターポンプシステムの暖房上限を超えているか否かを判定するステップと、
超えていると判定した場合、クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップと、をさらに含む。
【0011】
ヒーターポンプシステムの暖房能力には限界があるため、ヒーターポンプシステムの暖房能力でもって乗員室とバッテリーの両方の共通の暖房需要を満たすのに不十分である場合に、ヒーターポンプシステムの暖房電力の不足を補い、乗員室とバッテリーを適切な動作範囲内に維持できるように確保するために、追加の加熱器をオンにしてクーラント液を加熱する必要がある。
【0012】
1つの実現形態では、クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップの前に、当該方法は、
吹出口の気温が第2の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記第2の所定要件を満たしている場合、加熱器をオンにするステップと、
加熱器に第2の閉ループ制御命令を送信するステップと、
コンプレッサーに第1の制御命令を送信して、コンプレッサーを所定の回転数で作動させるステップと、
前記第2の所定要件を満たしていない場合、加熱器をオフにするステップと、をさらに含む。
【0013】
吹出口の気温の変動によって加熱器が頻繁にオンにされたりオフにされたりすることに起因して、加熱器が故障したり、または加熱器の耐用年数が短くなったりすることを避けるために、吹出口の気温に対して誤差範囲となる第2の所定要件を設定しており、このように、センサーの温度ドリフト、または吹出口の温度変動時に引き起こされる、加熱器が頻繁にオンにされたりオフにされたりするという問題を避けることができる。
【0014】
1つの実現形態では、乗員室暖房モードを開始させるステップは、
乗員室の第1の暖房負荷を取得するステップと、
第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定するステップと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させるステップと、
吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングするステップと、
気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにするステップと、を含む。
【0015】
第1の暖房負荷が負荷しきい値以下であることは、ヒーターポンプシステムだけでも乗員室の暖房需要を満たすのに十分の暖房能力を提供可能であることを示しているため、乗員室の温度をコンプレッサーの最大暖房能力で素早く上昇させ、ユーザの使用上の体験を向上させる。吹出口の気温が所定の目標温度に達したら、コンプレッサーを閉ループ制御して、吹出口の温度の変動を減少して、省エネの技術的効果を達成する。
【0016】
1つの実現形態では、クーラント液循環システムはモーター回路をさらに含み、乗員室暖房モードを開始させるステップの後、当該方法は、
モーター回路内のクーラント液の第1の温度及びバッテリーの第2の温度を取得するステップと、
第1の温度と第2の温度との温度差が第2の所定しきい値以上である場合に、第2の多方弁に連通命令を送信して、モーター回路とバッテリー回路とを連通させるとともに、モーター動作で発生した熱をクーラント液を通してバッテリーに伝達するステップと、をさらに含む。
【0017】
車両走行後、モーターの動作によって熱が発生するが、この熱を十分に活用するために、加熱器をオンにする前に、この熱をいかしてバッテリーを加熱し、さらなる省エネ効果を達成することができる。
【0018】
第2の態様では、本願は、車両暖房制御装置を開示し、当該装置は、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるための処理モジュールと、
吹出口の気温及び乗員室暖房モードの作動時間をリアルタイムでモニタリングするためのモニタリングモジュールと、を含み、
気温又は作動時間が第1の所定要件を満たしている場合に、処理モジュールは、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するためにさらに用いられ、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられ、温風回路及びバッテリー回路はクーラント液循環システムに含まれる。
【0019】
第3の態様、本願は、プロセッサ、及びプロセッサと通信可能に接続されているメモリを含む電子機器を開示し、
メモリは、コンピュータ実行命令を記憶し、
プロセッサは、メモリに記憶されているコンピュータ実行命令を実行することによって、第1の態様におけるいずれかの可能な車両暖房制御方法を実現する。
【0020】
第4の態様では、本願は、コンピュータ可読記憶媒体を開示し、当該コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶されており、コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき、第1の態様におけるいずれかの可能な方法を実現するために用いられる。
【0021】
第5の態様では、本願は、コンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品を開示し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、第1の態様におけるいずれかの可能な方法が実現される。
【0022】
第6の態様では、本願は、プログラムコードを含む、コンピュータプログラムを開示し、コンピュータでコンピュータプログラムを作動させると、プログラムコードは第1の態様におけるいずれかの可能な方法を実行する。
【発明の効果】
【0023】
上記の技術的解決手段によれば、本願は、車両暖房制御方法、装置、機器、媒体及びプログラム製品を提供し、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させ、そして吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングし、第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信し、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられる。新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかという技術的問題は解決され、ヒーターポンプシステムでバッテリーを加熱し、加熱効率の向上のみならず、エネルギー節約も図れるという技術的効果は達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願に係る1つの車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る1つの車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例に係る別の車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図4】本願に係る別の車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る他の車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の実施例に係る車両暖房制御装置の構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例に係る図面を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、且つ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施例は本願の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者は、本願における実施例に基づいて、創造的な労働をすることなく獲得された、複数の実施例の組み合わせを含むがこれらに限定されないその他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0026】
本願の明細書と特許請求の範囲、及び上記の図面における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など(存在する場合)は、類似の対象を区別するためのものであり、特定の順序又はシーケンスを説明するためのものである必要はない。本明細書に説明する本発明の実施例を、例えば、本明細書に図示又は説明したもの以外の順序で実施できるように、そのように使用されるデータを適宜交換できると理解すべきである。また、「含む」と「有する」という用語、及びそれらの全てのバリエーションは、いずれも非排他的含有を網羅することを意図し、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、明示的にリストされているステップ又はユニットに限定される必要はなく、明示的にリストされていないか、又は、これらのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0027】
まず、本願に係る用語について説明する。
【0028】
PTC(Positive Temperature Coefficient、正温度係数)加熱器は、PTCセラミックス発熱体とアルミニウム管で構成されている。このタイプのPTC発熱体は熱抵抗が小さく、熱交換効率が高いという利点を有し、自動的に一定の温度に維持して節電できる電気加熱器である。その特別な特徴は、如何なる応用場面においても、管状の電気加熱器のように表面が「赤くなる」現象に起因する火傷や火災など安全上の心配は不要であるという安全上の性能にある。
【0029】
本願の発明構想は次の通りである。
本願の発明者は、従来の技術において、一般的に、バッテリーを加熱してその温度を上昇させる際、PTC加熱器を直接にオンにしてバッテリー回路におけるクーラント液を加熱し、そしてバッテリー回路においてクーラント液を循環して流せていくとき、熱をバッテリーに伝達するようにしていると発見した。しかし、PTC加熱器よりも、ヒーターポンプシステムの方は、空調ボックスにおけるヒーターコアによってクーラント液を加熱し、より高い加熱効率でより省エネとなるため、この際、仮にヒーターポンプシステムの暖房能力を十分に発揮できないとしたら、エネルギーは浪費してしまう。
【0030】
そこで、どのようにヒーターポンプシステムの暖房能力をさらに十分に活用し、その暖房能力を配分して、適切なタイミングでPTC補助暖房を追加するかは、乗員室とバッテリーの両方とも優れた暖房効果を得られ、乗員室の快適性を確保しつつ、バッテリーの高効率的且つ省エネな加熱を行う。
【0031】
本願の特定の応用シーンは以下に説明される。
【0032】
図1は、本願に係る1つの車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
図1に示すように、車載ヒーターポンプシステムは、コンプレッサー101、蒸発器102、凝縮器103、送風機104、及び空調ボックス120などを含む。クーラント液循環システムは、ヒーターコア105、PTC加熱器106、三方弁107、バッテリー108、温風回路ポンプ109、バッテリー回路ポンプ110などを含む。
【0033】
コンプレッサー101は、気体冷媒を圧縮した後、放熱凝縮のために、凝縮器103に送入する。このとき、乗員室内の空気は、加熱のために、送風機104により凝縮器103へ送風されて、そして吹出口から乗員室へと吹き返され、乗員室を暖める。凝縮された冷媒は、熱吸収及び蒸発のために蒸発器102に送入され、最後に冷媒はコンプレッサー101に再び戻される。
【0034】
クーラント液循環システムには、温風回路及びバッテリー回路という2つの回路が含まれている。
【0035】
温風回路は、温風回路ポンプ109から始まり、PTC加熱器106、ヒーターコア105を通り過ぎたら、三方弁107の入力端Aから流入して第1の出力端Bを通過して温風回路ポンプ109に戻る構成である。
【0036】
バッテリー回路は、三方弁107の入力端Aから流入して第2の出力端Cを通過し、バッテリー回路ポンプ110とバッテリー108を通り過ぎたら、温風回路ポンプ109に再び戻る構成である。
【0037】
なお、三方弁107は第2の出力端Cが開かれれば、ヒーターコア105によって加熱されたクーラント液をバッテリー回路に流入させることができる。
【0038】
以下、本願の技術的解決手段、及び本願の技術的解決手段を用いて上記の技術的問題をどのように解決するかについて、具体的な実施例を用いて詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例は、互いに組み合わされてもよく、いくつかの実施例では、同一又は類似の概念又はプロセスについて説明しない場合がある。以下、本願の実施例について図面を参照して説明する。
【0039】
図2は、本願の実施例に係る1つの車両暖房制御方法のフローチャートである。
図2に示すように、当該車両暖房制御方法の具体的なステップは、S201~S203を含む。
【0040】
S201では、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、乗員室暖房モードを開始させる。
【0041】
本ステップでは、乗員室暖房モードは、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる。
【0042】
具体的には、乗員室暖房モードは、少なくとも以下のいくつかの場面がある。
【0043】
(1)乗員室内の空気はヒーターポンプシステムを個別に用いて加熱される。
図1に示すように、乗員室内の空気は、加熱のために、送風機104により凝縮器103へ送風されて、そして吹出口から乗員室へ吹き返される。このとき、凝縮器103は、コンプレッサーから送入された冷媒が凝縮されて放熱するため、空気に対する加熱は達成される。
【0044】
(2)乗員室内の空気はクーラント液循環システムを個別に用いて加熱される。
図1に示すように、乗員室内の空気は、送風機104によりヒーターコア105へ送風されて加熱され、そして、吹出口から乗員室へ吹き返される。この際、クーラント液は温風回路ポンプ109を経てPTC加熱器106に送入されて加熱された後、ヒーターコア105に流入して、空気はヒーターコア105により加熱される。
【0045】
(3)乗員室内の空気はヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムの両方を用いて加熱される。
ヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムの両方をオンにして加熱し、すなわち、乗員室内の空気は、送風機104により凝縮器103とヒーターコア105へ送風されて加熱され、そして吹出口から乗員室へ吹き返される。
【0046】
なお、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要がある場合に、理想的には、車載ヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムのそれぞれの定格暖房電力が十分に大きければ、車載ヒーターポンプシステムは従来の暖房モード(すなわち、エアコンシステムの暖房原理)に従って乗員室を個別に暖房することができ、また、クーラント液循環システムも従来のモード(すなわち、クーラント液を加熱してバッテリーを熱伝導する)に従ってバッテリーを個別に暖房することができ、この2種類の暖房プロセスは個別の暖房プロセスであり、結合する必要がない。
【0047】
しかし、現実には、コスト上の制約から、車載ヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムのそれぞれの定格電力が制限されており、すなわち、目標車両の合計暖房電力が制限されており、乗員室とバッテリーの両方には暖房需要がある場合の合計暖房電力需要に応えることができず、あるいは、目標車両の合計暖房需要電力が合計暖房電力を上回っているともいえる。すなわち、本願の実施例に係る車両暖房制御方法は、乗員室とバッテリーの両方には暖房需要がある場合に、目標車両の合計暖房需要電力が合計暖房電力を上回っている場面に適用される。
【0048】
しかし、この際車載ヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムの合計暖房電力が乗員室の第1の暖房需要電力又はバッテリーの第2の暖房需要電力以上であるため、本願の実施例に係る車両暖房制御方法は、車載ヒーターポンプシステムとクーラント液循環システムを組み合わせて、合計暖房電力を第1の暖房需要電力と第2の暖房需要電力に順次に配分するとともに、乗員室の暖房需要の確保を優先して、配分方法を最適化した技術案で、暖房需要と合計暖房供給との矛盾を解消している。
【0049】
S202では、吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングする。
【0050】
本ステップでは、第1の所定要件は、吹出口の気温が目標吹出温度に達する要件、または乗員室暖房モードの作動時間が所定作動時間Ts以上である要件を含む。
【0051】
具体的には、吹出口に取り付けられている温度センサーは、リアルタイムで検知した温度信号をコントローラー又は中央処理モジュールに伝送し、温度信号を所定の目標吹出温度とリアルタイムで比較する。
【0052】
さらに、乗員室暖房モードを開始させると同時に、タイマーを起動し、タイマーで計測した時間が所定作動時間Ts以上である場合に、コントローラー又は中央処理モジュールにフィードバック信号を送信する。
【0053】
S203では、第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信して、ヒーターポンプシステムでバッテリーを加熱するようにする。
【0054】
本ステップでは、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられる。
【0055】
本実施例では、温風回路及びバッテリー回路はクーラント液循環システムに含まれる。
【0056】
具体的には、ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーに第1の閉ループ制御命令を送信し、
温風回路におけるウォーターポンプに第1の回転数制御命令を送信して、ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させ、
第1の多方弁に分散命令を送信し、当該分散命令は、温風回路のクーラント液をバッテリー回路に取り込むとともに、クーラント液を用いてバッテリーを加熱するように、第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、第1の多方弁の入力端と第1の出力端は温風回路に連結し、第2の出力端はバッテリー回路に連結する。
【0057】
例えば、
図1に示すように、コンプレッサー101に送信した第1の閉ループ制御命令は、フィードフォワード制御に基づく、PID(Proportion Integral Differential)比例積分微分制御と組み合わせた閉ループ制御命令、または、フィードフォワード制御に基づく、PI(Proportion Integral)比例積分制御と組み合わせた閉ループ制御命令を含む。
【0058】
なお、当業者は、実情に応じて必要な閉ループ制御モデルを選択することができ、本願はそれを限定しない。
【0059】
同時に、三方弁107となる第1の多方弁に分散命令を送信して、第2の出力端Cを所定の開放速度でゆっくりと開けていき、同時に、温風回路ポンプ109に第1の回転数制御命令を送信して、温風回路ポンプ109を均一な加速又は変更可能な加速で比較的低い第1の回転数から目標回転数となる第2の回転数へゆっくりと上昇させる。
【0060】
なお、温風回路ポンプ109と三方弁107は協働するように動作しており、クーラント液がバッテリー回路に流入する速度を所定の範囲内に制御することによって、速度が速すぎてクーラント液がヒーターコア105から熱を持ち去る速度が速すぎることに起因して、乗員室の吹出口の気温が変動し、乗員室内のユーザの使用上の快適性が低下してしまうことを避けることを目的としている。同時に、熱がバッテリー回路へ流れる速度が速すぎて、ヒーターポンプシステムの暖房能力がタイムリーに追いついていけず、はなはだしくは短時間内にヒーターポンプシステムの最大暖房能力をはるかに超えている結果、吹出口の気温が急激に変動し、ひいてはヒーターポンプシステムの動作ノイズも急に大きくなり、ユーザの使用上の体験に影響を及ぼすようなことも避けられる。
【0061】
なお、コンプレッサー101、温風回路ポンプ109、及び三方弁107という3つの要素がともに協働するように構成されており、当業者は実際の応用時の必要に応じて、この3つの要素の制御命令を柔軟に組み合うことができ、クーラント液の分散速度が所定の範囲内に制御されている限り、本願の保護すべき範囲に含まれるものとする。
【0062】
本願の実施例は、車両暖房制御方法を提供し、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させ、そして、吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングし、第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信し、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられる。新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかという技術的問題は解決され、ヒーターポンプシステムでバッテリーを加熱し、加熱効率の向上のみならず、エネルギー節約も図れるという技術的効果は達成される。
【0063】
図3は、本願の実施例に係る別の車両暖房制御方法のフローチャートである。
図3に示すように、当該車両暖房制御方法の具体的なステップは、S301~S309を含む。
【0064】
S301では、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、乗員室暖房モードを開始させる。
【0065】
本ステップはS201と類似しており、以下、個別の実施例を用いて具体的に説明するため、ここでは繰り返して説明しない。
【0066】
S302では、吹出口の気温または前記乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングする。
【0067】
本ステップでは、第1の所定要件を満たしている場合、S303を続行するが、第1の所定要件を満たしていない場合、巡回モニタリングを続行する。
【0068】
本実施例では、第1の所定要件は、吹出口の気温が目標吹出温度に達する要件、または乗員室暖房モードの作動時間が所定作動時間Ts以上である要件を含む。
【0069】
S303では、ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーへの第1の閉ループ制御命令の送信、温風回路におけるウォーターポンプへの第1の回転数制御命令の送信、第1の多方弁への分散命令の送信を同時に行う。
【0070】
本ステップでは、分散命令は、温風回路のクーラント液をバッテリー回路に取り込むとともに、クーラント液を用いてバッテリーを加熱するように、第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、第1の多方弁の入力端と第1の出力端は温風回路に連結し、第2の出力端はバッテリー回路に連結する。第1の回転数制御命令は、ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させるために用いられ、第1の所定方式は、加速度が所定の加速度しきい値よりも小さい均一な加速又は不均一な加速の方式である。第1の閉ループ制御命令は、フィードフォワード制御とPI制御とを組み合わせた閉ループ制御命令を含む。
【0071】
第1の閉ループ制御命令、第1の回転数制御命令、第1の閉ループ制御命令という3つの命令は互いに協働するように構成されており、クーラント液を所定速度よりも遅い速度で温風回路からゆっくりとバッテリー回路に取り込ませる。
【0072】
S304では、乗員室とバッテリーとの合計暖房負荷を取得する。
【0073】
本ステップでは、合計暖房負荷は、乗員室の第1の暖房負荷及びバッテリーの第2の暖房負荷を含む。
【0074】
本実施例では、乗員室の第1の暖房負荷は、下記式にて算出され得る。
第1の暖房負荷=(目標吹出温度-実際の送風温度)*送風機風量*空気比熱
実際の送風温度=車外環境温度*外循環パーセンテージ+車内温度*内循環パーセンテージ
【0075】
本実施例では、バッテリーの第2の暖房負荷は、下記式にて算出され得る。
第2の暖房負荷=(目標バッテリー温度-バッテリー回路クーラント液温度)*ウォーターポンプ送出流量*クーラント液比熱
【0076】
なお、第1の暖房負荷及び第2の暖房負荷の具体的な計算方法について、当業者は実際の場面に応じてその他の計算方法を選択してもよく、上記式はそのうちの1つの実現形態にすぎない。
【0077】
S305では、合計暖房負荷がヒーターポンプシステムの暖房上限を超えているか否かを判定する。
【0078】
本ステップでは、超えている場合、ステップS306を実行する。超えていない場合、巡回モニタリングを続行する。
【0079】
S306では、前記吹出口の気温が第2の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングする。
【0080】
本ステップでは、第2の所定要件は、吹出口の気温と目標吹出温度との温度差が所定の温差しきい値以上である要件を含む。
【0081】
クーラント液をバッテリー回路に取り込むと、本来乗員室の空気を加熱するために用いられるはずの熱を一部持ち去り、バッテリーの加熱に利用することになり、その結果、吹出口の気温が目標吹出温度よりも低くなる。したがって、分散モードを開始させた後、所定の温差しきい値以上の温差であるか否かを検知する必要がある。第2の所定要件が満たされている場合、ヒーターポンプシステムの暖房能力でもって現在の合計暖房需要を満たすのに不十分であることを示し、PTC加熱器をさらにオンにして暖房の補助に使う必要がある。
【0082】
第2の所定要件が満たされている場合、ステップS307を実行し、
さもなければ、クーラント液循環システムの加熱器をオンにするまで、巡回モニタリングを続行するが、加熱器をすでにオンにしているとしたら、加熱器をオフにする。
【0083】
S307では、クーラント液循環システムの加熱器をオンにして、加熱器に第2の閉ループ制御命令を送信すると同時に、ヒーターポンプシステムのコンプレッサーに第1の制御命令を送信して、コンプレッサーを所定の回転数で作動させる。
【0084】
本ステップでは、加熱器は、PTC加熱器を含み、PTC加熱器は、温風回路のクーラント液管路を加熱することで、その中のクーラント液を加熱する。
【0085】
本実施例では、第1の制御命令は、現在の動作モードで許可される最高回転数で動作する命令を含む。
【0086】
乗員室の吹出口の気温をできるだけ短時間内に所定の吹出温度に達させるために、コンプレッサーを最大暖房電力にオンにする。
【0087】
なお、所定の回転数は最大回転数よりも小さくしてもよく、当業者は実情に応じて設定することができ、本願はそれを限定しない。
【0088】
本実施例では、クーラント液循環システムは、モーター回路をさらに含み、S302ではリアルタイムのモニタリングを実行すると同時に、S308もかねて実行する。
【0089】
S308では、モーター回路内のクーラント液の第1の温度及びバッテリーの第2の温度を取得する。
【0090】
本ステップでは、モーター回路において、クーラント液の第1の温度を検出するために、モーター冷却管道出口などの位置に温度センサーを装着する。バッテリー管理システムから送信された第2の温度をバスを通じて取得する。
【0091】
S309では、第1の温度と第2の温度との温度差が第2の所定しきい値以上である場合に、第2の多方弁に連通命令を送信する。
【0092】
本ステップでは、連通命令は、モーター回路を用いてバッテリーを加熱して温度上昇させることを実現するために、モーター回路とバッテリー回路とを連通して、モーター動作で発生した熱をクーラント液を通してバッテリーに伝達するために用いられる。これによって、さらなる省エネの技術的効果を達成する。
【0093】
図4は、本願に係る別の車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
図4に示すように、
図1に基づき、クーラント液循環システムは、4方弁401、モーター402、モーター回路ポンプ403、及び冷却水タンク404を有するモーター回路をさらに含む。
【0094】
4方弁401となる第2の多方弁は、連通命令を受信すると、バッテリー回路をモーター回路と導通させ、モーター回路におけるクーラント液をバッテリー回路に流入させる。モーター動作時に熱が発生するため、この熱はクーラント液を通してバッテリーに伝達すると、省エネの効果は達成される。
【0095】
本願の実施例は、車両暖房制御方法を提供し、目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させ、そして吹出口の気温または乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングし、第1の所定要件が満たされた場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信し、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられる。新エネルギー自動車の暖房能力に対する配分及び制御をどのように行うかという技術的問題は解決され、ヒーターポンプシステムでバッテリーを加熱し、加熱効率の向上のみならず、エネルギー節約も図れるという技術的効果は達成される。
【0096】
ステップS201及びS301について、理解の便宜上、次に、乗員室暖房モードの1つの可能な実現形態を具体的に説明し、当該乗員室暖房モードは、乗員室に個別に暖房需要がある場合に適用されてもよいし、乗員室とバッテリーの両方にも暖房需要がある場合に適用されてもよい。
【0097】
図5は、本願の実施例に係る他の車両暖房制御方法のフローチャートである。
図5に示すように、当該車両暖房制御方法の具体的なステップは、S501~S508を含む。
【0098】
S501では、目標車両の乗員室には暖房需要があることが検知された場合に、乗員室の第1の暖房負荷を取得する。
【0099】
本ステップでは、第1の暖房負荷=(目標吹出温度-蒸発器出口の風温)*ヒーターコアを通過した風量*空気比熱。
【0100】
なお、上記の計算方法は、第1の暖房負荷の実施形態のうちの1つにすぎず、当業者は実際の応用場面に応じてその他の計算方法を選択してもよく、本願はそれを限定しない。
【0101】
S502では、第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定する。
【0102】
本ステップでは、シングルヒーターポンプモードは、乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる。
【0103】
第1の暖房負荷が負荷しきい値以下であることは、ヒーターポンプシステムだけでも乗員室の暖房需要を満たすのに十分の暖房能力を提供可能であるを示しているため、乗員室の温度をコンプレッサーの最大暖房能力で素早く上昇させ、ユーザの使用上の体験を向上させる。吹出口の気温が所定の目標温度に達したら、コンプレッサーを閉ループ制御して、吹出口の温度の変動を減少して、省エネの技術的効果を達成する。
【0104】
S503では、コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させる。
【0105】
本ステップでは、第2の制御命令は、コンプレッサーを現在の動作モードの最高回転数で動作させる制御命令を含む。
【0106】
S504では、吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングする。
【0107】
本ステップでは、乗員室の吹出口に装着した温度センサーは、吹出口の気温をリアルタイムで検知し、温度信号をコントローラー又は処理モジュールに伝送する。
【0108】
S505では、気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにする。
【0109】
S506では、第1の暖房負荷が負荷しきい値よりも大きい場合、複合モードを開始させると決定する。
【0110】
本ステップでは、複合モードは、少なくとも1つのヒーターポンプシステムと少なくとも1つのクーラント液循環システムの両方を同時に使用して空気を加熱するために用いられる。
【0111】
S507では、ヒーターコア出液口のクーラント液の温度をリアルタイムでモニタリングする。
【0112】
S508では、クーラント液温度が目標温度に達した場合に、加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、加熱機器が閉ループ制御状態となるようにする。
【0113】
上記の各ステップについて、具体的には、乗員室に暖房需要がある場合に、車外環境温度、車内温度、蒸発器出口の風温と目標吹出口の温度との差、ヒーターコアを通過した風量に基づき、初期段階ではコンプレッサーを個別に利用して乗員室を暖房することを選択するか、またはコンプレッサーの暖房とPTC加熱器の両方を同時にオンにして乗員室を暖房することを選択するかを判定する。ヒーターポンプを単独で動作させる場合すなわちシングルヒーターポンプモードの場合には、まずコンプレッサーをこの動作モードの上限回転数で動作させ、目標吹出口の温度-吹出口の温度≦第1の所定しきい値T1(T1は可変の定量)となる場合、フィードフォワード制御とPI又はPIDとを組み合わせた閉ループ制御方式に変換させ、ヒーターポンプとPTC加熱器の両方を同時に動作させる場合すなわち複合モードの場合には、コンプレッサーをこの動作モードの上限回転数で動作させ、初めの段階ではPTC加熱器を動作可能な最大電力で動作させ、しかし、ヒーターコア出口の水温が目標吹出口の温度に達したら、PTCの制御方式はフィードフォワード制御とPI又はPIDとを組み合わせた閉ループ制御方式に変換させる。
【0114】
図6は、本願の実施例に係る車両暖房制御装置の構造概略図である。当該画像処理装置600は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装され得る。
【0115】
図6に示すように、当該画像処理装置600は、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるための処理モジュール602と、
吹出口の気温及び乗員室暖房モードの作動時間をリアルタイムでモニタリングするためのモニタリングモジュール601と、を含み、
気温又は作動時間が第1の所定要件を満たしている場合に、処理モジュール602は、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するためにさらに用いられ、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられ、温風回路及びバッテリー回路はクーラント液循環システムに含まれる。
【0116】
1つの可能な設計では、処理モジュール602は、
ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーに第1の閉ループ制御命令を送信することと、
温風回路におけるウォーターポンプに第1の回転数制御命令を送信して、ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させることと、
第1の多方弁に分散命令を送信することと、に用いられ、分散命令は、温風回路のクーラント液をバッテリー回路に取り込むとともに、クーラント液を用いてバッテリーを加熱するように、第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、第1の多方弁の入力端と第1の出力端は温風回路に連結し、第2の出力端はバッテリー回路に連結する。
【0117】
1つの可能な設計では、モニタリングモジュール601は、乗員室とバッテリーとの合計暖房負荷を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール602は、合計暖房負荷がヒーターポンプシステムの暖房上限を超えているか否かを判定することと、超えていると判定した場合、クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うことと、にさらに用いられる。
【0118】
1つの可能な設計では、モニタリングモジュール601は、吹出口の気温が第2の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするためにさらに用いられ、
満たしている場合、処理モジュール602は、加熱器をオンにすることと、加熱器に第2の閉ループ制御命令を送信することと、コンプレッサーに第1の制御命令を送信して、コンプレッサーを所定の回転数で作動させることと、にさらに用いられ、
満たしていない場合、処理モジュール602は、加熱器をオフにするためにさらに用いられる。
【0119】
1つの可能な設計では、モニタリングモジュール601は、乗員室の第1の暖房負荷を取得するために用いられ、
処理モジュール602は、
第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定することと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させることと、
吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングすることと、
気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにすることと、に用いられる。
【0120】
1つの可能な設計では、処理モジュール602は、
第1の暖房負荷が負荷しきい値よりも大きい場合、少なくとも1つのヒーターポンプシステムと少なくとも1つのクーラント液循環システムの両方を同時に使用して空気を加熱するために用いられる、複合モードを開始させると決定することと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信することと、
ヒーターコア出液口のクーラント液の温度をリアルタイムでモニタリングすることと、
クーラント液温度が目標温度に達した場合に、加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、加熱機器が閉ループ制御状態となるようにすることと、に用いられる。
【0121】
1つの可能な設計では、モニタリングモジュール601は、モーター回路内のクーラント液の第1の温度及びバッテリーの第2の温度を取得するためにさらに用いられ、
処理モジュール602は、
第1の温度と第2の温度との温度差が第2の所定しきい値以上である場合に、第2の多方弁に連通命令を送信して、モーター回路とバッテリー回路とを連通させるとともに、モーター動作で発生した熱をクーラント液を通してバッテリーに伝達するためにさらに用いられる。
【0122】
なお、
図6に係る実施例に提供される装置は、上記のいずれかの方法の実施例に係る方法を実行することができ、その具体的な実現原理、技術的特徴、専門用語の説明、及び技術的効果が類似するため、ここで繰り返して説明しない。
【0123】
図7は、本願の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
図7に示すように、当該電子機器700は、少なくとも1つのプロセッサ701及びメモリ702を含むことができる。
図7は、プロセッサが1つある場合を例にした電子機器を示している。
【0124】
メモリ702は、プログラムを格納するために用いられる。具体的に、プログラムは、コンピュータ操作命令を含むプログラムコードを含むことができる。
【0125】
メモリ702は、高速RAMメモリを含むことができ、少なくとも1つの磁気ディスクメモリなどの不揮発性メモリ(non-volatile memory)をさらに含むこともできる。
【0126】
プロセッサ701は、メモリ702に記憶されたコンピュータ実行命令を実行して、以上の各方法の実施例で説明した方法を実現するために用いられる。
【0127】
プロセッサ701は、中央処理装置(central processing unit、CPUとして略称)又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASICとして略称)とされてもよいし、あるいは、本願の実施例を実施する1つ又は複数の集積回路として構成されてもよい。
【0128】
選択的に、メモリ702は独立して配置されていてもよいし、プロセッサ701と集積されていてもよい。前記メモリ702は、プロセッサ701から独立しているデバイスである場合に、前記電子機器700は、
前記プロセッサ701と前記メモリ702とを接続するためのバス703をさらに含むことができる。バスは、業界規格アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAとして略称)バス、外部デバイス相互接続(peripheral component、PCI)バス、または拡張業界規格アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分類され得るが、バスは1本又は1種のみあることを意味するものではない。
【0129】
選択的に、実際に実装する際、メモリ702とプロセッサ701は、1つのチップに集積されて実装される場合、メモリ702とプロセッサ701は、内部インタフェースを通じて通信を完成させることができる。
【0130】
本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、当該コンピュータ可読記憶媒体は、USBディスク、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスクまたは光ディスクなどプログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含むことができ、具体的に、当該コンピュータ可読記憶媒体には、上記の各方法の実施例における方法で使用されるプログラム命令が記憶されている。
【0131】
本願の実施例は、コンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記の各方法の実施例における方法は実現される。
【0132】
本願の実施例は、コンピュータプログラムをさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記の各方法の実施例における方法は実現される。
【0133】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態のみであるが、本願の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者が本願に記載された技術的範囲内で容易に思いつく変更又は置換は、本願の保護範囲内に含まれるものとする。そのため、本願の保護範囲は特許請求の範囲に準じるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第4の態様では、本願は、コンピュータ可読記憶媒体を開示し、当該コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶されており、コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき、第1の態様におけるいずれかの可能な車両暖房制御方法を実現するために用いられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第5の態様では、本願は、コンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品を開示し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、第1の態様におけるいずれかの可能な車両暖房制御方法が実現される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
第6の態様では、本願は、プログラムコードを含む、コンピュータプログラムを開示し、コンピュータでコンピュータプログラムを作動させると、プログラムコードは第1の態様におけるいずれかの可能な車両暖房制御方法を実行する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
【
図1】本願
の実施例に係る1つの車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る1つの車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例に係る別の車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図4】本願
の実施例に係る別の車載ヒーターポンプシステム及びクーラント液循環システムの構造概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る他の車両暖房制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の実施例に係る車両暖房制御装置の構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
そこで、どのようにヒーターポンプシステムの暖房能力をさらに十分に活用し、その暖房能力を配分して、適切なタイミングでPTC補助暖房を追加するかは、乗員室とバッテリーの両方とも優れた暖房効果を得られ、乗員室の快適性を確保しつつ、バッテリーの高効率的且つ省エネな加熱を行うことにおいて極めて重要である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
(1)乗員室内の空気はヒーターポンプシステムを個別に用いて加熱される。
図1に示すように、乗員室内の空気は、加熱のために、送風機104により凝縮器103へ送風されて、そして吹出口から乗員室へ吹き返される。このとき、凝縮器103は、コンプレッサー
101から送入された冷媒が凝縮されて放熱するため、空気に対する加熱は達成される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
S508では、クーラント液温度が目標温度に達した場合に、加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、加熱器が閉ループ制御状態となるようにする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
上記の各ステップについて、具体的には、乗員室に暖房需要がある場合に、車外環境温度、車内温度、蒸発器出口の風温と目標吹出口の温度との差、ヒーターコアを通過した風量に基づき、初期段階ではコンプレッサーを個別に利用して乗員室を暖房することを選択するか、またはコンプレッサーとPTC加熱器の両方を同時にオンにして乗員室を暖房することを選択するかを判定する。ヒーターポンプを単独で動作させる場合すなわちシングルヒーターポンプモードの場合には、まずコンプレッサーをこの動作モードの上限回転数で動作させ、目標吹出口の温度-吹出口の温度≦第1の所定しきい値T1(T1は可変の定量)となる場合、フィードフォワード制御とPI又はPIDとを組み合わせた閉ループ制御方式に変換させ、ヒーターポンプとPTC加熱器の両方を同時に動作させる場合すなわち複合モードの場合には、コンプレッサーをこの動作モードの上限回転数で動作させ、初めの段階ではPTC加熱器を動作可能な最大電力で動作させ、しかし、ヒーターコア出口の水温が目標吹出口の温度に達したら、PTC加熱器の制御方式はフィードフォワード制御とPI又はPIDとを組み合わせた閉ループ制御方式に変換させる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
図6は、本願の実施例に係る車両暖房制御装置の構造概略図である。当該
車両暖房制御装置600は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装され得る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
図6に示すように、当該
車両暖房制御装600は、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるための処理モジュール602と、
吹出口の気温及び乗員室暖房モードの作動時間をリアルタイムでモニタリングするためのモニタリングモジュール601と、を含み、
気温又は作動時間が第1の所定要件を満たしている場合に、処理モジュール602は、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するためにさらに用いられ、所定の制御命令は、ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともにクーラント液をバッテリー回路に分散することによって、クーラント液がバッテリーを加熱するようにするために用いられ、温風回路及びバッテリー回路はクーラント液循環システムに含まれる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0119
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0119】
1つの可能な設計では、モニタリングモジュール601は、乗員室の第1の暖房負荷を取得するために用いられ、
処理モジュール602は、
第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定することと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させることと、に用いられ、
モニタリングモジュール601は、さらに、吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングすることと、
気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにすることと、に用いられる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
1つの可能な設計では、処理モジュール602は、
第1の暖房負荷が負荷しきい値よりも大きい場合、少なくとも1つのヒーターポンプシステムと少なくとも1つのクーラント液循環システムの両方を同時に使用して空気を加熱するために用いられる、複合モードを開始させると決定することと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信することと、に用いられ、
モニタリングモジュール601は、さらに、
ヒーターコア出液口のクーラント液の温度をリアルタイムでモニタリングすることと、
クーラント液温度が目標温度に達した場合に、加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、加熱器が閉ループ制御状態となるようにすることと、に用いられる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
選択的に、メモリ702は独立して配置されていてもよいし、プロセッサ701と集積されていてもよい。前記メモリ702は、プロセッサ701から独立しているデバイスである場合に、前記電子機器700は、
前記プロセッサ701と前記メモリ702とを接続するためのバス703をさらに含むことができる。バスは、業界規格アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAとして略称)バス、外部デバイス相互接続(peripheral component interconnect、PCI)バス、または拡張業界規格アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分類され得るが、バスは1本又は1種のみあることを意味するものではない。
【手続補正14】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両暖房制御方法であって、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるステップと、
吹出口の気温または前記乗員室暖房モードの作動時間が第1の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記吹出口の気温又は前記乗員室暖房モードの作動時間が前記第1の所定要件を満たしている場合、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップと、を含み、前記所定の制御命令は、前記ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともに前記クーラント液をバッテリー回路に分散することによって、前記クーラント液が前記バッテリーを加熱するようにするために用いられ、前記クーラント液循環システムは前記温風回路及び前記バッテリー回路を含む、ことを特徴とする車両暖房制御方法。
【請求項2】
分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
前記ヒーターポンプシステムにおけるコンプレッサーに第1の閉ループ制御命令を送信するステップと、
前記温風回路におけるウォーターポンプに第1の回転数制御命令を送信して、前記ウォーターポンプの回転数を第1の所定方式で第1の回転数から第2の回転数まで上昇させるステップと、
第1の多方弁に分散命令を送信するステップと、を含み、前記分散命令は、前記温風回路のクーラント液を前記バッテリー回路に取り込むとともに、前記クーラント液を用いて前記バッテリーを加熱するように、前記第1の多方弁の第2の出力端を第2の所定方式で閉鎖状態から開放状態に変換させるために用いられ、前記第1の多方弁の入力端と第1の出力端は前記温風回路に連結し、前記第2の出力端は前記バッテリー回路に連結する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両暖房制御方法。
【請求項3】
分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するステップは、
前記乗員室と前記バッテリーの合計暖房負荷を取得するステップと、
前記合計暖房負荷が前記ヒーターポンプシステムの暖房上限を超えているか否かを判定するステップと、
前記合計暖房負荷が前記ヒーターポンプシステムの暖房上限を超えている場合、前記クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の車両暖房制御方法。
【請求項4】
前記クーラント液循環システムの加熱器をオンにして熱補給を行うステップの前に、
前記吹出口の気温が第2の所定要件を満たしているか否かをリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記吹出口の気温が前記第2の所定要件を満たしている場合、前記加熱器をオンにするステップと、
前記加熱器に第2の閉ループ制御命令を送信するステップと、
前記コンプレッサーに第1の制御命令を送信して、前記コンプレッサーを所定の回転数で作動させるステップと、
前記吹出口の気温が前記第2の所定要件を満たしていない場合、前記加熱器をオフにするステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の車両暖房制御方法。
【請求項5】
乗員室暖房モードを開始させるステップは、
前記乗員室の第1の暖房負荷を取得するステップと、
前記第1の暖房負荷が負荷しきい値以下である場合、前記乗員室の空気を加熱するようにヒーターポンプシステムを個別に制御するために用いられる、シングルヒーターポンプモードを開始させると決定するステップと、
コンプレッサーに第2の制御命令を送信して、前記コンプレッサーの暖房能力を最大値に達させるステップと、
前記吹出口の気温をリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記気温と目標温度との温度差が第1の所定しきい値以下である場合に、前記コンプレッサーに第3の閉ループ制御命令を送信して、前記コンプレッサーが閉ループ制御状態となるようにするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法。
【請求項6】
前記第1の暖房負荷が前記負荷しきい値よりも大きい場合、少なくとも1つの前記ヒーターポンプシステムと少なくとも1つのクーラント液循環システムの両方を同時に使用して前記空気を加熱するために用いられる、複合モードを開始させると決定するステップと、
コンプレッサーに前記第2の制御命令を送信するステップと、
ヒーターコア出液口のクーラント液の温度をリアルタイムでモニタリングするステップと、
前記クーラント液温度が前記目標温度に達した場合に、前記加熱器に第4の閉ループ制御命令を送信して、前記
加熱器が閉ループ制御状態となるようにするステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の車両暖房制御方法。
【請求項7】
前記クーラント液循環システムはモーター回路をさらに含み、乗員室暖房モードを開始させるステップの後、
前記モーター回路内のクーラント液の第1の温度及び前記バッテリーの第2の温度を取得するステップと、
前記第1の温度と前記第2の温度との温度差が第2の所定しきい値以上である場合に、第2の多方弁に連通命令を送信して、前記モーター回路と前記バッテリー回路とを連通させるとともに、モーター動作で発生した熱を前記クーラント液を通して前記バッテリーに伝達するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法。
【請求項8】
車両暖房制御装置であって、
目標車両の乗員室とバッテリーの両方には暖房需要があることが検知された場合に、空調ボックスにおいてヒーターポンプシステム及び/又はクーラント液循環システムにおける熱交換器を用いて乗員室内の空気を加熱処理するために用いられる、乗員室暖房モードを開始させるための処理モジュールと、
吹出口の気温及び前記乗員室暖房モードの作動時間をリアルタイムでモニタリングするためのモニタリングモジュールと、を含み、
前記気温又は前記作動時間が第1の所定要件を満たしている場合に、前記処理モジュールは、分散モードを開始させ、所定の制御命令を目標機器に送信するためにさらに用いられ、前記所定の制御命令は、前記ヒーターポンプシステムで温風回路内のクーラント液を加熱するとともに前記クーラント液をバッテリー回路に分散することによって、前記クーラント液が前記バッテリーを加熱するようにするために用いられ、前記クーラント液循環システムは前記温風回路及び前記バッテリー回路を含む、ことを特徴とする車両暖房制御装置。
【請求項9】
プロセッサ及び前記プロセッサと通信可能に接続されたメモリを備える電子機器であって、
前記メモリはコンピュータ実行命令を記憶し、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行することで、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両暖房制御方法を実現する、電子機器。
【請求項10】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶されており、前記コンピュータ実行命令は、プロセッサにより実行されるとき、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実施するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、コンピュータで前記コンピュータプログラムを動作させるとき、前記コンピュータは、前記プログラムコード
に基づいて、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【国際調査報告】