(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】デバイスパッケージング基板、その製造方法、及びそれを含むデバイスパッケージング
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240628BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/14 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580920
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022039508
(87)【国際公開番号】W WO2023014934
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521560126
【氏名又は名称】アブソリックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Absolics Inc.
【住所又は居所原語表記】3000 SKC Drive,Covington,GA 30014,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンジン
(57)【要約】
電子素子パッケージング基板及びその製造方法を提供する。前記基板は、より細かいワイヤ幅を有し、低抵抗で信号を伝送し、コンパクトな電子素子パッケージを提供する。前記基板は、高周波電力が適用されても高効率に駆動することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子パッケージング基板であって、
前記電子素子パッケージング基板は、貫通孔が配置されるガラス基板と、前記ガラス基板の一面に配置される上部再配線層とを含み、
前記上部再配線層は、前記上部再配線層の絶縁材料内に配置されるワイヤを含み、前記上部再配線層は、第1上部再配線層及び第2上部再配線層を含み、
前記第1上部再配線層は、所定の第1パターン及び第1厚さを有する第1ワイヤと、上下に配置されるワイヤを互いに接続するように構成される第1ブラインドビアとを含み、
前記第2上部再配線層は、所定の第2パターン及び第2厚さを有する第2ワイヤと、上下に配置されるワイヤを互いに接続するように構成される第1ブラインドビアとを含み、
前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、
w1pを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さピークから他側面の粗さピークまでの長さとし、
w1vを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さ谷部から他側面の粗さの谷部までの長さとした場合、
前記長さw1pに対する前記長さw1vの比率は、0.8~1.0である、ことを特徴する電子素子パッケージング基板。
【請求項2】
前記第1ワイヤは、表面粗さRyであるRy1値を有し、
前記第1ワイヤの一側面において、前記Ry1値は、200nm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項3】
前記第2厚さに対する前記第1厚さの比率は、0.7以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項4】
前記第1厚さは、第1上部再配線層の幅であり、
前記第2厚さは、第2上部再配線層の幅であり、
前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、
前記第1厚さは、5μm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項5】
前記第1ワイヤは、表面粗さRaであるRa1値を有し、
前記第1ワイヤの一側面において、前記Ra1値は、20nm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項6】
前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤのうちの1つとの接着力は、200gf~800gfである、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項7】
前記第1ワイヤは、粒子型グレインを有する銅を含み、
前記銅の粒径(grain size)は、40nm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項8】
前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤとの間には、プライマー層が配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項9】
前記絶縁材料は、ポリマー樹脂及び無機粒子を含み、
前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤとの間には、ポリシラン層が配置され、
前記ポリシラン層は、前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤの表面と前記ポリマー樹脂又は前記無機粒子とを、化学結合により接続する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項10】
前記第1ワイヤには、表面エッチング工程が適用されない、ことを特徴とする請求項1に記載の電子素子パッケージング基板。
【請求項11】
パターン化された金属層を有する電子素子パッケージング基板の製造方法であって、
前記製造方法は、
貫通孔が配置されるガラス基板を準備する第1段階と、
前記ガラス基板上に第2上部再配線層を形成する第2段階と、
第2上部再配線層上に第1上部再配線層を形成する第3段階と、を含み、
前記第1上部再配線層は、所定の第1パターン及び第1厚さを有する第1ワイヤを含み、
前記第2上部再配線層は、所定の第2パターン及び第2厚さを有する第2ワイヤを含み、
前記第1段階は、
めっき処理により、前記所定の第1パターン及び前記第1厚さを有する第1ワイヤを形成する第1サブ段階と、
第1ワイヤの表面にプライマー処理を行う第2サブ段階と、
各前記第1ワイヤ253aの間の空間に絶縁材料を充填する第3サブ段階と、をみ、
前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、
w1pを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さピークから他側面の粗さピークまでの長さとし、
w1vを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さ谷部から他側面の粗さの谷部までの長さとした場合、
前記長さw1pに対する前記長さw1vの比率は、0.8~1.0である、ことを特徴する電子素子パッケージング基板の製造方法。
【請求項12】
表面エッチング工程は、前記ワイヤの表面粗さが増加するように表面適用されない、ことを特徴とする請求項11に記載の電子素子パッケージング基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1ワイヤは、柱型グレインの銅を含まない銅線である、ことを特徴とする請求項11に記載の電子素子パッケージング基板の製造方法。
【請求項14】
第2サブ段階におけるプライマー処理は、イミダゾール化合物又はシラン化合物で行われる、ことを特徴とする請求項11に記載の電子素子パッケージング基板の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の基板と、前記パッケージング基板に実装される素子を含む、電子素子パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年8月6日に出願された米国仮特許出願第63/230,118号の優先権を主張し、その全開示はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、デバイスパッケージング基板、その製造方法、およびそれを含むデバイスパッケージングに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体技術、半導体パッケージング技術、半導体製造技術、ソフトウェア技術は、近年のエレクトロニクス製品の急速な発展を可能にした、半導体産業における4つのコア技術であると考えられる。半導体技術は、サブマイクロナノスケールの線幅、1,000万個以上のセル、高速動作、放熱など様々な分野で進歩しているが、完全なパッケージング技術にサポートされて場合がある。そのため、半導体の電気的性能は、半導体自体の性能よりも、パッケージング技術やその結果としての電気的接続によって決まることが多い。
【0004】
異なる導電層を互いに区別するために、パッケージング基板の再配線ラインに誘電体材料を導入してもよい。また、誘電体層に孔を形成し、上下に配置された2層以上の導電層を接続するブラインドビアを複数用いてもよい。
【0005】
誘電体層と導電層との接着力を向上させるために、導電層の表面粗さを大きくする方法が用いられてきた。
【発明の概要】
【0006】
本概要は、発明の詳細な説明で後述する概念の一部を簡略化して紹介するために提供されるものである。本概要は、請求対象の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、請求対象の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0007】
1つの観点では、本発明は、貫通孔が配置されるガラス基板と、前記ガラス基板の一面に配置される上部再配線層とを含み、前記上部再配線層は、前記上部再配線層の絶縁材料内に配置されるワイヤを含み、前記上部再配線層は、第1上部再配線層及び第2上部再配線層を含み、 前記第1上部再配線層は、所定の第1パターン及び第1厚さを有する第1ワイヤと、上下に配置されるワイヤを互いに接続するように構成される第1ブラインドビアとを含み、前記第2上部再配線層は、所定の第2パターン及び第2厚さを有する第2ワイヤと、上下に配置されるワイヤを互いに接続するように構成される第1ブラインドビアとを含み、前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、 w1pを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さピークから他側面の粗さピークまでの長さとし、
w1vを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さ谷部から他側面の粗さの谷部までの長さとした場合、前記長さw1pに対する前記長さw1vの比率は、0.8~1.0である、ことを特徴する電子素子パッケージング基板を提供する。
【0008】
前記第1ワイヤは、第1表面粗さ値を有し、
前記第1ワイヤの一側面において、前記第1表面粗さ値は、200nm以下である。
【0009】
前記第2厚さに対する前記第1厚さの比率は、0.7以下である。
【0010】
前記第1厚さは、第1上部再配線層の幅であり、前記第2厚さは、第2上部再配線層の幅であり、前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、前記第1厚さは、5μm未満である
【0011】
前記第1ワイヤは、断面表面粗さ値を有し、前記第1ワイヤの一側面において、前記断面表面粗さ値は、20nm以下である。
【0012】
前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤのうちの1つとの接着力は、200gf~800gfである。
【0013】
前記第1ワイヤは、粒子型グレインを有する銅を含み、 前記銅の粒径(grain size)は、40nm以下である。
【0014】
前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤとの間には、プライマー層が配置される。
【0015】
前記絶縁材料は、ポリマー樹脂及び無機粒子を含み、 前記絶縁材料と前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤとの間には、ポリシラン層が配置され、前記ポリシラン層は、前記絶縁材料内に配置される前記ワイヤの表面と前記ポリマー樹脂又は前記無機粒子とを、化学結合により接続する。
【0016】
前記第1ワイヤには、表面エッチング工程が適用されない。
【0017】
他の観点では、本発明は、貫通孔が配置されるガラス基板を準備する第1段階と、 前記ガラス基板上に第2上部再配線層を形成する第2段階と、第2上部再配線層上に第1上部再配線層を形成する第3段階と、を含み、前記第1上部再配線層は、所定の第1パターン及び第1厚さを有する第1ワイヤを含み、前記第2上部再配線層は、所定の第2パターン及び第2厚さを有する第2ワイヤを含み、前記第1段階は、めっき処理により、前記所定の第1パターン及び前記第1厚さを有する第1ワイヤを形成する第1サブ段階と、第1ワイヤの表面にプライマー処理を行う第2サブ段階と、各前記第1ワイヤ253aの間の空間に絶縁材料を充填する第3サブ段階と、をみ、前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、w1pを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さピークから他側面の粗さピークまでの長さとし、w1vを前記第1ワイヤの断面において、前記第1ワイヤの一側面の粗さ谷部から他側面の粗さの谷部までの長さとした場合、前記長さw1pに対する前記長さw1vの比率は、0.8~1.0である、ことを特徴する電子素子パッケージング基板の製造方法を提供する。
【0018】
表面エッチング工程は、前記ワイヤの表面粗さが増加するように表面適用されない。
【0019】
前記第1ワイヤは、柱型グレインの銅を含まない銅線である。
【0020】
第2サブ段階におけるプライマー処理は、イミダゾール化合物又はシラン化合物で行われる。
【0021】
本発明は、上記の基板、前記パッケージング基板に実装される素子を含む、電子素子パッケージを提供する。
【0022】
他の特徴および態様は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージの一例を示す斜視図である。
【
図2】1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージ用基板を示す斜視図である。
【
図3】
図2のA-A'線に沿った断面の一部を示す断面図である。
【
図4】
図3の領域「∪」の詳細図である(左上「A.」は表面粗さRyが200nm以下の実施例サンプルの画像であり、左下「B.」はRyが2000~3000nmの比較例サンプルの画像である)。
【
図5A】
図4の領域「G」の拡大図であって、表面粗さの小さいワイヤを断面で示す概念図である。
【
図5B】
図4の領域「G」の拡大図であって、表面粗さの大きいワイヤを断面で示す概念図である。
【
図6A】粒子型グレイン(particle-type grain)を有するワイヤの製造工程を断面で示す概念図である。
【
図6B】柱型グレイン(column-type grain)を有するワイヤを断面で示す概念図である。図面及び詳細な説明において、同一の符号は同一の要素を指す。図面は一定の縮尺ではない場合があり、図面中の要素の相対的な縮尺、比率、及び説明は、明確さ、図示及び便宜のために誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明は、読者が本明細書に記載された方法、装置、及び/又はシステムを包括的に理解することを支援するために提供されるものである。しかしながら、本開示を理解すれば、本明細書に記載された方法、装置、及び/又はシステムの様々な変更、修正、及び等価物は明らかになるであろう。例えば、本明細書に記載された動作の順序は単なる例示であり、本明細書に記載されたものに限定されるものではなく、動作が必ず一定の順序で行われる場合を除き、本開示を理解すれば明らかになるように変更してもよい。また、本開示の内容を理解すれば、公知である特徴の説明は、明瞭性及び簡潔性を高めるために省略することができるが、特徴の省略及びそれらの説明も、それらの一般的な知識を認めることを意図したものではないことに留意されたい。
【0025】
本明細書に記載される特徴は、異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に記載された例は、本開示を理解した後に明らかになる本明細書に記載の方法、装置、及び/又はシステムを実現する多くの可能な方法のいくつかを単に説明するために提供されるものである。
【0026】
本明細書では、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語を使用して様々な部材、構成要素、領域、層、又はセクションを説明するが、これらの部材、構成要素、領域、層、又はセクションは限定されない。むしろ、これらの用語は、ある部材、構成要素、領域、層、又はセクションを他の部材、構成要素、領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用される。従って、本明細書に記載された実施例で言及された第1の部材、構成要素、領域、層、又はセクションは、実施例の教示から逸脱することなく、第2の部材、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ばれる場合もある。
【0027】
明細書において、層、領域、又は基板等の要素が、別の要素の「上」にあるか、別の要素に「接続」又は「結合」されると記載されている場合、それは直接「上」にあるか、「接続」されるか、又は他の要素に「結合」されるか、又はそれらの間に1つ以上の他の要素が介在している。一方、ある要素が別の要素の「直接上にある」、別の要素に「直接接続される」、又は「直接結合される」と記載されている場合、その間に他の要素が介在することはない。同様に、例えば、「間」、「ちょうど間」、「に隣接する」及び「に直接隣接する」等表現も、前述のように解釈することができる。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の例を説明することのみを目的としており、本開示を限定するために使用されるものではない。本明細書で使用される単数形は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことを意図する。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙項目の任意の1つ及び任意の2つ以上の任意の組み合わせを含む。本明細書で使用される用語「含む」、「備える」、及び「有する」は、記載された特徴、数、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの組み合わせの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、数、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除するものではない。本明細書において、実施例又は実施形態(例えば、実施例又は実施形態が何を含み得るか、又は実施し得るかに関して)における用語「もよい」は、そのような特徴が含まれるか又は実施される少なくとも1つの実施例又は実施形態が存在することを意味する。ただし、すべての例がこれに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、「A上にBが配置される」とは、A上に直接接触してBが配置されるか、又はそれらの間に別の層が介在してA上にBが配置されることを意味し、明細書に明確に説明していない限り、Aに直接接触してBが配置されることに限定されて解釈されるべきではない。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語を含むすべての用語は、本開示の理解後に一貫して本開示が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈され、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではない。
【0031】
1つ以上の実施例において、「高周波」という用語は、約1GHz~約300GHzの周波数、具体的に約1GHz~約30GHzの周波数、又は約1GHz~約15GHzの周波数を指す。
【0032】
1つ以上の実施例において、「細線(fine line)」とは、特に断りのない限り、幅が5μm以下の線、例えば幅が1~4μm以下の線をいう。
【0033】
本発明の1つ以上の実施例は、より微細な配線幅を実現でき、低抵抗で信号を伝送でき、コンパクトなパッケージを提供できる電子素子パッケージング基板又はデバイスパッケージング用基板およびその製造方法に関する。
【0034】
信号の伝送速度や伝送量を高めるために高周波電力を利用することへの関心が高まっている。高周波半導体素子の開発は、必然的に高周波を適用できるパッケージング基板に対する市場の需要を増大させる。
【0035】
高周波電力をパッケージに印加する場合、シリコン基板等の半導体特性を有する基板を使用することが難しく(寄生素子の発生等による電力損失をもたらす可能性がある)、ワイヤには強い表皮効果(skin effect)が発生する。
【0036】
再配線は、パッケージング基板内に配置されてもよい。半導体及び/又は半導体パッケージの小型化・薄型化に伴い、パッケージング基板におけるワイヤ(又は導電層、例えば銅線)のサイズやそれらの間の間隔は更に小さくなっている。
【0037】
再配線は、絶縁層および導電層をそれぞれ形成し、除去する一連の工程を繰り返すことにより製造される。その結果、再配線は、絶縁材料中に配線(導電層)が所定のパターンで埋め込まれた構造で形成されてもよい。
【0038】
一般的な再配線における絶縁材料との十分な接着力は、導電層の表面粗さを大きくすることで確保することができる。表面粗さの増加は、アンカー効果による接触面積の増加および導電層と絶縁材料との間の接着力の向上をもたらす。例えば、銅線の粗さは、銅線の表面をエッチングすることにより、向上させることができる。
【0039】
断面が十分に大きい一般的なワイヤでは、表面粗さによって形成される断面端部の粗くて不規則な形状により、抵抗の増加は軽微であり、界面での接着力を有効に向上させる。これに対し、細線ワイヤでは、過大な抵抗増加をもたらし、電流の流れに悪影響を及ぼしたり、阻害したりすることがある。また、高周波が印加された場合、表面粗さによる抵抗の影響が再配線の抵抗を決定する重要な要素となる。
【0040】
1つ以上の実施例は、高周波電力を印加しても電力損失を実質的に低減し、細線を適用し、支持基板及びインターポーザからなる二層構造の適用を回避した電子素子パッケージング基板等に関する。
【0041】
以下、1つ以上の実施例をより詳細に説明する。
【0042】
電子素子パッケージング基板
【0043】
図2は、1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージ用の基板を示す斜視図であり、
図3は、
図2のA-A'線に沿った断面の一部を示す断面図であり、
図4は、
図3の領域「∪」の詳細図である(左上「A.」は表面粗さRyが200nm以下の実施例サンプルの画像であり、左下「B.」はRyが2000~3000nmの比較例サンプルの画像である)。一例によるパッケージング基板200は、
図2~
図4を参照して説明する。
【0044】
前記パッケージング基板200は、貫通孔23が配置されるガラス基板21と、前記ガラス基板の一面213上に配置される上部再配線層250とを備える。
【0045】
前記ガラス基板21は、半導体分野で使用できるものであれば任意のものであってもよい。非限定的な例では、ホウケイ酸ガラス基板又は無アルカリガラス基板であってもよいが、これに限定されるものではない。一例として、前記ガラス基板は、コーニング(Corning)社、ショット(Schott)社、AGC社、又は他の製造業者から市販されている製品から選択してもよい。
【0046】
前記貫通孔23は、前記ガラス基板の第1面213及び第2面215を貫通する貫通ガラスビア(TGV)であり、エッチング等の方法によりガラス基板の所定の位置に形成されてもよい。前記貫通孔は、ガラス基板が素子を支持する役割を維持しながら、前記第1面及び前記第2面に設けられる素子を効率的に接続する。この接続は、ワイヤによって実現される電気的接続であってもよい。
【0047】
選択的に、オプションとして、所定の位置にキャビティ(図示せず)をさらに含んでもよい。一例では、キャビティ内に受動素子を配置してもよい。
【0048】
前記上部再配線層250は、所定のパターンを有するワイヤ24及び絶縁材料22を含む。前記ワイヤ24は、絶縁材料22内に配置されてもよい。
【0049】
前記上部再配線層250は、互いに上下に配置される第1上部再配線層253及び第2上部再配線層257を備える。
【0050】
非限定的な例において、前記第1上部再配線層253及び前記第2上部再配線層257は、異なるサイズのワイヤ及び異なる直径のブラインドビア等を有してもよい。
【0051】
前記第1上部再配線層253の厚さに対する前記第2上部再配線層257の厚さの比は、約0.8~約5、又は約1~約3であってもよい。この場合、再配線層をより効率的に製造することができる。
【0052】
前記第1上部再配線層253は、所定のパターン及び厚さd1uを有する第1ワイヤ253aと、第1ブラインドビア253bの上下に配置されるワイヤ同士を互いに接続する第1ブラインドビア253bとを備える。
【0053】
前記第2上部再配線層257は、所定のパターン及び厚さd2uを有する第2ワイヤと、第2ブラインドビア257bの上下に配置されるワイヤ同士を互いに接続する第2ブラインドビア257bを備える。
【0054】
前記第1再配線層253及び前記第2上部再配線層257内においてワイヤ以外の部分は、絶縁材料で充填されてもよい。この場合、前記絶縁材料は、1つに接続されているように見えるため、断面において互いに明確に区別できなくてもよい。
【0055】
一例において、前記厚さd1uは、前記厚さd2uよりも小さくてもよい。
【0056】
一例において、前記厚さd2uに対する前記厚さd1uの比率は、約0.7以下であってもよい。
【0057】
d1uは、第1上部再配線層253の幅であり、第2上部再配線層257の幅である。
【0058】
一例において、前記幅d1uは、前記幅d2uよりも小さくてもよい。
【0059】
一例において、前記第1ワイヤ253aは、細線であってもよい。
【0060】
一例において、前記幅d1uは、約5μm未満であってもよい。
【0061】
一例において、前記d1uは、約1μm~約5μmであってもよい。
【0062】
第1ワイヤ253aは、表面粗さが小さい特性を有していてもよい。特に、その両側面及び/又は上面の表面粗さは、低いレベルに制御されてもよい。
【0063】
図5Aは、表面粗さの小さいワイヤをその断面により示す概念図であり、
図5Bは、表面粗さの大きいワイヤをその断面により示す概念図である。
【0064】
図5A及び
図5Bを参照すると、前記第1ワイヤ253aは、その高さが実質的に異なる表面(すなわち、凹凸のある面)を有していてもよい。前記ワイヤは、概念的に直線として表現することができるが、実際には、厳密には完全に滑らか又は平坦であるとは限らない。一例において、
図5Bに示す前記第1ワイヤは、約2,000nm~約3,000nmの表面粗さRyを有してもよい。
【0065】
表面粗さRのパラメータには測定規格に応じてRa、Rp、Rv及びRyがある。通常、表面粗さは、表面粗さは算術平均粗さRaを意味する。基準長さ内において、平均線から谷底線までの最大谷深さ、平均線からピーク線までの最大ピーク高さ、および最低点から最高点までの最大高さ粗さをそれぞれRv、Rp、Ryという。Ryは、Rv及びRpの和である。
【0066】
ワイヤの表面粗さは、一般的な粗さ測定方法以外の方法で測定することができる。ワイヤの表面粗さは、その製造時に粗さ計を用いて容易に測定することができるが、絶縁材料に埋設されたワイヤの表面粗さを粗さ計で測定することは実際に困難である。また、基準長さの設定も困難である。そのため、パッケージング基板に用いられるワイヤは、その断面を観察し、絶縁材料とワイヤの境界に沿って粗さのピークと谷の値を求めている。
【0067】
第1ワイヤ253aの断面における第1ワイヤの一側面の粗さのピークから反対側の側面の粗さのピークまでの長さをw1pと定義し、第1ワイヤ253aの断面における一方の側面の粗さの谷部から反対側の側面の粗さの谷部までの長さをw1vと定義する(
図5A及び5B)。
【0068】
一例において、一側面と反対側面は互いに対向してもよい。
【0069】
w1pに接する仮想直線とw1vに接する仮想直線との間に配置される素子は、電流の流れ方向に対して実質的に垂直な方向のワイヤ表面にピーク又は谷が形成される素子である。この素子における電荷の移動は、電流の流れを発生しなくてもよい。従って、ワイヤの内部では、電流は実質的にw1vに接する仮想直線に基づいて電流が流れる。
【0070】
ワイヤの微細化につれて、ワイヤの断面において粗さが形成される部分の割合が増加する。ワイヤの微細化に伴って断面積が小さくなったワイヤの表面粗さが増加すると、実質的に電流が流れる面積が減少する。これは、比較的幅の広いワイヤとは異なり、深刻な問題である。機械的固着部位を形成するために、表面粗さRyを約2μm~約3μmに調整することが有益な場合がある。例えば、ワイヤの幅が約6μmであると仮定する。ワイヤの両側表面にそれぞれ約2μm~約3μmの表面粗さRyが形成されている場合、実質的に電流が流れることができるワイヤの幅は、両側表面に谷部が形成されている部分を除いて約0μm~約2μmとなる。このため、ワイヤの抵抗が過度に高くなる。
【0071】
交流電力を適用する場合、電流密度はワイヤの表皮で最も高く観察され、この表皮はワイヤを断面で観察したときのエッジに対応する。これは表皮効果と呼ばれ、より高い周波数が適用されると、表皮効果が大きくなる。
【0072】
高周波電力が適用されるパッケージング基板に機械的固着部位を有するワイヤを使用する場合、表皮効果が大きくなるため抵抗が高くなり、信号伝送の効率低下や耐久性の低下等の問題が生じる。
【0073】
従って、ワイヤ、特にワイヤとしての細線においては、ワイヤの両側面の粗さのピークから粗さの谷までの高さ(大きさ)が重要なパラメータとなる。
【0074】
1つ以上の実施例において、第1ワイヤ253aのw1pに対するw1vの長さの比率は、約0.8~約1.0である。具体的に、この比は、約0.85~約1.0、約0.9~約1.0、又は約0.94~約1.0であってもよい。ワイヤの比率が上記の範囲であると、電流の流れがより円滑になり、特に高周波電力が適用される場合に、より効率的な信号伝送が達成される。
【0075】
1つ以上の実施例において、両側面の特徴は、断面で見たとき、第1ワイヤ253aの上面及び下面において同様に適用されてよい。具体的に、第1ワイヤ253aの断面における上面の粗さピークから下面の粗さピークまでの長さをw1p'と定義し、第1ワイヤ253aの断面における上面の粗さ谷部から下面の粗さ谷部までの長さをw1v'と定義する。
【0076】
第1配線253aにおけるw1p'に対するw1v'の長さの比は、約0.8~約1.0である。具体的には、w1p'に対するw1v'の長さの比は、約0.85~約1.0、約0.9~約1.0、又は約0.94~約1.0であってもよい。ワイヤの比率が上記の範囲にあると、電流の流れがより円滑になり、特に高周波電力が適用される場合に、より効率的な信号伝送が達成される。
【0077】
参考までに、
図5Aの測定用サンプルの下面は、表面粗さが平滑になるように制御されていないため、凹凸がある(粗さが高い)ように図示されているが、平滑な表面を有するサンプルも製造可能であることを理解されたい。
【0078】
前記第1ワイヤ253aは、その断面で観察される表面粗さRyであるRy1値を有してもよい。
【0079】
前記第1ワイヤ253aは、一側面において、約200nm以下のRy1値を有してもよい。
【0080】
前記第1ワイヤ253aは、少なくとも2つの側面において、約200nm以下のRy1値を有してもよい。
【0081】
前記第1ワイヤ253aは、4つの側面において、約200nm以下のRy1値を有してもよい。
【0082】
前記Ry1値は、約0nm超180nm以下、約2nm~約150nm、又は約5nm~約100nmであってもよい。
【0083】
前記第1ワイヤ253aは、その断面で観察される表面粗さRaであるRa1値を有してもよい。
【0084】
前記第1ワイヤ253aは、一側面において、約20nm以下のRa1値を有してもよい。
【0085】
前記第1ワイヤ253aは、少なくとも2つの側面において、約20nm以下のRa1値を有してもよい。
【0086】
前記第1ワイヤ253aは、4つの側面において、約20nm以下のRa1値を有してもよい。
【0087】
前記Ra1値は、約0nm超約20nm以下、約1nm~約18nm、又は約2nm~約15nmであってもよい。
【0088】
第1ワイヤ253aの表面は、実質的にエッチングされないことが好ましい。
【0089】
この実施例では、前記ワイヤは、表面全体にわたって実質的に平滑であってもよい。
【0090】
ワイヤの表面特性は、めっき過程中に粒径を制御するなどの方法によって、又はワイヤの表面エッチング工程を行わずに得てもよい。詳細な製造方法については後述する。
【0091】
第2ワイヤ257a等の他のワイヤも、第1ワイヤ253aについて説明したのと同じ表面特性を有してもよい。
【0092】
上述した表面粗さの特性を有するワイヤは、典型的な用途とは異なり、機械的な固着部位を有しなくてもよい。そのため、十分な接着力を確保するために、各ワイヤ24とそれらを取り囲む絶縁材料22との間にプライマー層(図示せず)を形成してもよい。
【0093】
前記プライマー層は、シラン又はポリシラン層であってもよい。プライマー層は、顕微鏡下で観察した場合、別途の層として実質的に区別されなくてもよい。
【0094】
前記絶縁材料22は、ポリマー樹脂及び無機粒子を含んでもよい。
【0095】
前記無機粒子は、例えば、シリカ粒子を含んでもよいが、これに限定されるものではない。例えば、各無機粒子の平均粒径は、100nm以下であってもよく、80nm以下であってもよい。前記無機粒子の平均粒径は、20nm以上であってよい。異なる直径を有する無機粒子の混合物を使用してもよい。
【0096】
前記ポリマー樹脂は、紫外線硬化型エポキシ樹脂であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、エポキシ樹脂を、フェノール系硬化剤と組み合わせて使用してもよく、シアネートエステルと組み合わせて使用してもよく、フェノールエステル系硬化剤と組み合わせて使用してもよい。
【0097】
前記絶縁材料は、未硬化又は半硬化ポリマー樹脂中に無機粒子が分散したものであってもよい。絶縁材料中に様々な直径の無機粒子が所定の割合で存在することにより、十分な絶縁効果が得られる。絶縁材料は、その高い流動性により隙間に浸透し、再配線層におけるボイドの形成を実質的に防止し、ポリマー樹脂の硬化により固定される。
【0098】
前記絶縁材料は、味の素ビルドアップフィルム(ABF)であってもよいが、再配線層を形成できるものであれば特に限定されない。
【0099】
前記絶縁材料の塗布方法としては、ワイヤ上にビルドアップフィルムを配置し、その上に感圧ラミネートする方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0100】
前記ポリシラン層は、化学結合により、ワイヤの表面と絶縁材料を接続する。一例において、ワイヤに銅が含まれる場合、銅がシランと化学結合したり、銅表面の酸素がシランと化学結合したり(-Cu-O-Si)する。そのため、ワイヤ表面に機械的固着部位を形成しなくても、実質的に電子素子の駆動時においても、剥離等が生じない程度の十分な密着性を確保することができる。
【0101】
前記ポリシラン層は、化学結合により、ワイヤの表面とポリマーの官能基、又はワイヤの表面と無機粒子の表面を接続する。
【0102】
ワイヤ24のうちの1本と絶縁材料22との間の接着力は、約200gf以上であってもよい。
【0103】
ワイヤ24のうちの1つと絶縁材料22との間の接着力は、約200gf~約800gfであってもよい。
【0104】
前記接着力は、プライマーを使用した場合に測定される値であり、プライマーを使用せずにワイヤが絶縁材料に直接密着した場合に測定される値よりも約2倍以上、又は約2~約8倍の接着力を有してもよい。
【0105】
熱膨張係数は材料の種類によって異なる場合がある。電子素子を駆動する際、パッケージの温度は必然的に上昇と下降を繰り返す。この熱膨張係数の違いにより、絶縁材料と導電層との界面に実質的に異なる方向の力が作用することがある。このような力の繰り返しにより、界面に剥離が生じ、信号伝送時の抵抗増加や剥離などの不具合が発生する原因となる。
【0106】
1つ以上の実施例において、前記ワイヤ及び前記絶縁材料は、実質的に同様の熱膨張係数を有してもよい。
【0107】
ワイヤ24と絶縁材料22との熱膨張係数の比率は、ワイヤ24の熱膨張係数に基づいて、約0.7~約1.2であってもよい。前記比率は、ワイヤ24の熱膨張係数に基づいて、0.8~1.1であってもよい。前記比率は、ワイヤ24の熱膨張係数に基づいて、0.95~1.05であってもよい。このような狭い範囲の熱膨張係数の比率を有する場合、電子素子パッケージにおける欠陥の発生を大幅に低減することができる。
【0108】
前記ワイヤ24は、25℃で15~19ppm/℃の熱膨張係数を有してもよく、16~18.5ppm/℃の熱膨張係数を有してもよい。
【0109】
前記絶縁材料22は、25℃で1~30 ppm/℃の熱膨張係数を有してもよい。
【0110】
前記第1ワイヤ253aは、粒子型グレインを有する銅を含んでもよい。
【0111】
前記第1ワイヤ253aは、銅線を含んでもよい。
【0112】
前記銅線は、粒子型グレインを有する銅を含む金属であってもよい。
【0113】
前記銅線は、金属銅又は銅含有合金であってもよい。
【0114】
前記銅は、約40nm以下、又は約20nm~約30nmの粒径(grain size)を有してもよい。
【0115】
前記ワイヤ24は、そのサイズを大きくする必要がある場合には、銅箔を用いてもよい。各ワイヤ24が細線である場合、電気めっきによって製造されることが多い。
【0116】
図6Aは、粒子型グレインを有するワイヤの製造工程を断面で説明する概念図である。
【0117】
図6Aを参照し、銅を適用したワイヤを説明すると、絶縁材料、ワイヤ材料、およびシード層243を有するサンプルを電解液中に入れ、次いでめっき処理を行う。シード層は、例えば、チタンスパッタ層であってもよいが、これに限定されるものではない。ワイヤ材料241(例えば銅)は、粒子状に成長し、絶縁材料中の空隙を埋め、その粒径は大なり小なり異なるが、全体として粒子型グレインを有する。
【0118】
図6Bは、 柱型グレインを有するワイヤを断面で示す概念図である。例えば、銅箔を用いてワイヤ24を製造する場合、絶縁材料22に埋め込まれたワイヤ24の構造は、グレインの形態が粒子型ではなく柱型であることを除いて、
図6Aの構造と同様であってよい。
【0119】
粒子型グレインを有するワイヤは、柱型グレインを有するワイヤよりも細かくすることができる。
【0120】
ワイヤの表面は、機械的固着部位を形成するためにエッチングされてもよい。エッチングは酸成分で行われる。エッチングされた表面の形態は、酸の種類によって異なる。例えば、酸がギ酸の場合、粒界(grain boundary)がエッチングされ、表面粗さが高くなる。
【0121】
1つ以上の実施例において、前記ワイヤ24、特に細線は、このような表面処理が行われないことを除いて、上記と同様の方法でプライマー層を形成する工程によって製造されてもよい。詳細な製造工程は後述する。
【0122】
前記パッケージング基板200は、更に、他面215(
図3)の下に下部層290を含んでもよい(
図3)。
【0123】
前記下部層290は、下部再配線層(図示せず)を含んでもよい。
【0124】
前記下部再配線層は、 所定のパターンと所定の厚さを有する下部ワイヤ(図示せず)と、上下に配置されたワイヤ同士を接続する下部ブラインドビア(図示せず)とを含む。
【0125】
前記パッケージング基板200は、前記上部再配線層の上面上に配置される上部絶縁層を含んでもよい。前記上部絶縁層は、信号が素子30に伝達するためのバンプ(図示せず)を有してもよい。
【0126】
前記パッケージング基板200は、前記下部層の下に配置される下部絶縁層を含んでもよい。前記下部絶縁層は、下部絶縁層は、メイン基板等からの信号を受信し、素子からの信号を伝送するためのバンプ(図示せず)を有してもよい。
【0127】
前記パッケージング基板200は、更に、上部再配線層の上面の上に配置されるリッド70(
図1)を含んでもよい。前記リッド70は、素子又は基板からの熱を外部に放出することを助けることができ、ガラス基板21を外部の衝撃から保護する役割を果たすことができる。また、前記リッド70の一側には、ピンが結合可能な孔又は陥没部が形成されていてもよい。これらは、製造過程又は製造後にパッケージング基板を固定する際の利便性を向上させることができる。
【0128】
前記パッケージング基板200は、その表面又は内部に配置された電力伝送素子35を含んでもよい。前記電力伝送素子は、例えば受動素子であってもよいが、これに限定されない。前記電力伝送素子は、例えば、アルミニウムコンデンサや多層セラミックコンデンサ(MLCC)等のコンデンサであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0129】
前記電力伝送素子は、上部再配線層上に配置されてもよい。前記電力伝送素子は、ガラス基板に形成されたキャビティ内に配置されてもよい。前記電力伝送素子は、上部再配線層に形成されたキャビティ内に配置されてもよい。
【0130】
電子素子パッケージ
【0131】
図1は、1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージの一例を示す斜視図である。
【0132】
1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージ900は、電子素子パッケージング基板200及び前記パッケージング基板状に実装される素子30を含む。
【0133】
電子素子パッケージング基板200の説明は、上記の通りであるため省略する。
【0134】
前記素子30は、例えば、CPUやGPU等の演算素子であってもよく、メモリチップ等の記憶素子であってもよいが、これらに限定されない。前記素子30は、並列に配置されてもよく、1つ以の他の素子と積層されてもよい。
【0135】
前記素子30は、高周波半導体素子であってもよい。高周波半導体素子をパッケージ基板と組み合わせて適用される場合、シリコン基板等と組み合わせて適用される場合と異なり、高周波環境下で寄生素子が実質的に発生せず、高効率を達成することができるとともに、プリプレグ基板と組み合わせて適用される場合と異なり、コンパクトなサイズでの再配線の実現等が可能となる。
【0136】
電子素子パッケージング基板の製造方法
【0137】
1つ以上の実施例において、パターン化された金属層を有する電子素子パッケージング基板の製造方法は、貫通孔23が配置されるガラス基板21を準備する第1段階と、前記ガラス基板21上に第2上部再配線層257を形成する第2段階と、前記第2上部再配線層257上に第1上部再配線層253を形成する第3段階とを含む。
【0138】
前記第1上部再配線層253は、所定のパターン及び厚さd1uを有する第1ワイヤ 253aを含む。
【0139】
前記第2上部再配線層257は、所定のパターン及び厚さd2uを有する第2ワイヤ257aを含む。
【0140】
前記第1段階は、めっきにより所定のパターン及び厚さd1uを有する第1ワイヤ253a(少なくとも1つの素子を形成する例を含む)を形成する第1-1段階(第1サブ段階)と、前記第1ワイヤ253aの表面にプライマーを処理する第1-2段階(第2サブ段階)と、各前記第1ワイヤ253aの間の空間に絶縁材料を充填する第1-3段階(第3サブ段階)と、を含む。
【0141】
電子素子パッケージング基板とこれに含まれるガラス基板、貫通孔、ワイヤ等の具体的な説明は、上記の説明と重複するため記載を省略する。
【0142】
前記第1ワイヤ253aは、実質的に柱型グレインの銅を含まない銅線であってもよい。
【0143】
第1-2段階におけるプライマー処理は、シラン化合物又はイミダゾール化合物を用いて行ってもよい。
【0144】
前記シラン化合物は、シランカップリング剤として適用されるもの、又はそれらに官能基を追加したものが適用されてもよい。
【0145】
例えば、前記シラン化合物は、片末端にメトキシ基および/又はエトキシ基等の加水分解性官能基を有してもよい。更に、前記シラン化合物は、他端にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基又はイソシアネート基を有してよい。
【0146】
一例において、前記プライマー処理に使用される化合物は、イミダゾール、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はテトラメチルオルソシリケートを含んでもよい。
【0147】
具体的に、前記プライマー処理は、塗布及び硬化により行われてもよい。
【0148】
前記シラン化合物は、金属と絶縁材料(例えば、高分子化合物と無機粒子)の表面に化学反応により結合され、その界面での接着力を向上させることができる。
【0149】
これについての具体的な説明は、上記と重複するので、その記載を省略する。
【0150】
1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージング基板、その製造方法及びそれを含む電子素子パッケージは、より微細な線幅を具現することができ、低抵抗で信号を伝送することができる。
【0151】
1つ以上の実施例に係る電子素子パッケージング、その製造方法及びそれを含む電子素子パッケージは、コンパクトなサイズで電子素子パッケージを提供することができ、高周波電力を適用しても高効率で駆動することができる。
【0152】
本開示は特定の実施例を含むが、本願の開示内容を理解した後、当業者であれば、請求項及びその均等物の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの実施例において形態及び詳細における種々の変更を行うことができることは明らかであろう。本明細書に記載された実施例は、説明的な意味でのみ考慮されるべきであり、限定を目的とするものではない。 各実施例における特徴又は態様の説明は、他の実施例における同様の特徴又は態様に適用可能であるとみなされるものとする。記載された技術が異なる順序で実行される場合、及び/又は記載されたシステム、アーキテクチャ、デバイス、又は回路における構成要素が異なる方法で組み合わされる場合、及び/又は他の構成要素又はそれらの同等物で置き換え又は補足される場合、適切な結果が達成される可能性がある。
【0153】
従って、本開示の範囲は、詳細な説明ではなく、特許請求の範囲及びその均等物によって定められ、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内でのすべての変更は、本開示に含まれると解釈されるべきである。
【国際調査報告】