IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ムービング マグネット テクノロジーズの特許一覧

特表2024-524464相対移動を可能にするための機械的に案内される部材を備える制御デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】相対移動を可能にするための機械的に案内される部材を備える制御デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20240628BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20240628BHJP
【FI】
H02K33/16 B
G06F3/0362 461
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580941
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-29
(86)【国際出願番号】 FR2022051052
(87)【国際公開番号】W WO2022254158
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】FR2105801
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デルバール,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】アルザングル,ジャン-ダニエル
【テーマコード(参考)】
5B087
5H633
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AB12
5B087BC12
5H633BB08
5H633BB15
5H633GG02
5H633GG15
5H633GG23
5H633HH03
(57)【要約】
制御デバイスであって、少なくとも1つの永久磁石(5、7;7a、7b;350、351)と、機械的に案内される部材であって、a.第1の強磁性構造(1、100)と、b.第2の強磁性構造(3;200)であって、少なくとも1つの電気コイル(8、9;250)を備え、当該電気コイル(8、9;250)が、当該コイル(8、9;250)内を流れる電流の方向及び振幅に従って、当該第2の強磁性構造(3、200)の磁化状態を変更する、第2の強磁性構造(3、200)と、の間の相対移動を可能にするための、機械的に案内される部材と、を備え、当該デバイスが、第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造の相対位置を検出するための位置検出手段(10)と、位置検出手段(10)によって送達される信号の関数として変化する、当該コイル(8、9;250)の供給電流を駆動するための回路と、を更に備える、制御デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御デバイスであって、少なくとも1つの永久磁石(5、7;7a、7b;350、351)と、機械的に案内される部材であって、
a.第1の強磁性構造(1、100)と、
b.第2の強磁性構造(3;200)であって、少なくとも1つの電気コイル(8、9;250)を備え、前記電気コイル(8、9;250)が、前記コイル(8、9;250)内を流れる電流の方向及び振幅に従って、前記第2の強磁性構造(3、200)の磁化状態を変更する、第2の強磁性構造(3、200)と、の間の相対移動を可能にする、機械的に案内される部材と、を備え、
前記デバイスが、前記第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造の相対位置(10)を検出するための手段と、前記位置検出手段(10)によって送られる信号の関数として変化する前記コイル(8、9;250)への電流の供給を制御するための回路と、を更に備えることを特徴とする、制御デバイス。
【請求項2】
前記制御回路が、前記コイル(8、9;250)の供給電流を、前記第1の強磁性構造(1、100)及び第2の強磁性構造(3、200)の相対位置を表す信号の関数として制御する、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項3】
前記制御回路が、前記コイル(8、9;250)の前記供給電流を、前記第1の強磁性構造(1、100)及び第2の強磁性構造(3、200)の前記相対移動の速度を表す信号の関数として制御することを特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項4】
前記第1の強磁性構造(1)と第2の強磁性構造(3)との間の磁気相互作用によって、前記移動を磁気的に割り出すための手段を備え、
前記少なくとも1つの永久磁石(5)が、前記第2の強磁性構造(3)と一体的であることと、
前記コイル(8、9)内を流れる前記電流の前記方向及び振幅における、前記永久磁石(5)の前記磁化の前記変更を介して、前記第2の強磁性構造(3)の前記磁化状態を制御する少なくとも1つのコイル(8、9)によって、前記永久磁石(5)が少なくとも部分的に囲まれており、
前記磁気的割り出し手段が、前記第2の強磁性構造(3)の前記磁化状態によって調節されることと、を特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項5】
前記第1の強磁性構造(1)及び第2の強磁性構造(3)が、それぞれ、前記磁気的割り出し手段を生成するように協働する複数の半径方向歯(2、11)を有することを特徴とする、請求項2に記載の制御デバイス。
【請求項6】
複数の所定の可変力モードから可変力モードを選択し、前記コイル(250)の供給モードを変更するために前記制御回路によって使用される信号を送達する手段を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項7】
前記コイル(250)の前記供給モードを変更するために、前記制御回路によって使用される信号を送達する制御される機器とのインターフェースを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項8】
前記制御回路に前記コイル(250)の前記供給電流を提供するために、前記第1の強磁性構造(1)の位置を測定することができる位置センサ(12)を備え、前記入力信号が、前記第1の強磁性構造(1)及び第2の強磁性構造(3)の前記相対位置を表すことを特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項9】
前記第1の構造(1)及び前記第2の構造(3)が、歯(2)を有することと、前記第2の強磁性構造(3)が、一方では前記第2の磁石(5)によって、他方では前記第1の磁石(7)によって接続された2つの歯付き半管状部品(4a、4b)からなることと、を特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項10】
前記2つの磁石(5、7)の磁化の方向が同一であることを特徴とする、請求項1~9に記載の制御デバイス。
【請求項11】
前記第2の強磁性構造(3、200)の前記磁化状態が、前記割り出し手段の前記割り出しの周期の多かれ少なかれ25%の間隔内に位置する前記第1の構造及び第2の構造の相対位置において変更され、前記間隔が、前記割り出し手段の安定平衡位置を中心とすることを特徴とする、請求項4に記載の制御デバイス。
【請求項12】
前記第2の強磁性構造(3、200)の前記磁化状態が、前記割り出し手段の割り出しの周期のプラス又はマイナス10%の間隔内に位置する前記第1の構造及び第2の構造の相対位置において変更され、前記間隔が、前記割り出し手段の安定平衡位置を中心とすることを特徴とする、請求項4に記載の制御デバイス。
【請求項13】
アクティブ停止部であって、前記第2の構造(200)に対して相対移動する前記第1の構造(100)と、少なくとも1つの制動要素(310)であって、前記第1の構造(100)と第2の構造(200)との間の前記相対移動を、
a.前記制動要素(310)と、
b.前記第2の構造(200)であって、電気コイル(250)で少なくとも部分的に囲まれた強磁性体(210)を備え、前記コイル(250)の電気供給が、前記強磁性体(210)の磁化を変更する、前記第2の構造(200)と、の間の磁気相互作用によって妨げる、少なくとも1つの制動要素(310)と、からなる、アクティブ停止部を備えることと、
前記強磁性体(210)の前記磁化状態が、前記第1の構造(100)と第2の構造(200)との間の前記制動力を調節することと、を特徴とする、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項14】
前記制動要素(310)が、前記第1の構造(100)と第2の構造(200)との間の前記制動力を、前記相対移動の単一方向において調節することができることを特徴とする、請求項13に記載の制御デバイス。
【請求項15】
前記制動要素(310)が、前記第1の構造(100)と第2の構造(200)との間の前記制動力を、前記移動の両方向において調節することができることを特徴とする、請求項13に記載の制御デバイス。
【請求項16】
前記強磁性体(210)は、前記コイル(250)の供給電流が存在しない場合に磁化がゼロである軟強磁性材料から作製されていることと、前記強磁性体(210)が、部分的に円筒形状のハウジング(220、221)を有し、各々、円筒形制動要素(310、320)を受容することができることと、を特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項17】
前記制動要素(310、320)が、偏心軸に対して関節式に連結されていることと、前記制動要素(310、320)のうちの一方を一方向に移動させることによって、前記制動要素(310、320)が前記第1の構造(100)と接触するか、又は反対方向に移動させることによって、前記制動要素(310、320)が、そのハウジング(220、221)内に後退することと、を特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項18】
前記制動要素(310、320)が、前記第1の構造(100)と接触しているとき、前記第1の構造(100)の一方向における前記移動が、前記制動要素(310、320)の偏心回転によるその当接による前記第1の構造(100)の阻止を引き起こすことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項19】
前記制動要素(310)が、前記第1の構造(100)と第2の構造(200)との間の前記相対移動を、
a.前記制動要素(310)と、
b.前記第1の構造(100)と、
c.前記第2の構造(200)と、の間の磁気相互作用によって妨げるように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の制御デバイス。
【請求項20】
前記第1の強磁性構造(100)と第2の強磁性構造(200)との間の前記移動の磁気的割り出しのための手段を備え、前記割り出し手段が、前記第1の構造(100)及び第2の構造(200)に直接一体化されるか、又は請求項2の教示による2つの追加の強磁性構造(1、3)を使用して作製されており、前記追加の強磁性構造(1、3)のうちの一方が、前記第1の強磁性構造(100)若しくは第2の強磁性構造(200)と一体的であり、他方の追加の強磁性構造(1、3)が、前記第1の強磁性構造(100)若しくは第2の強磁性構造(200)のうちの他方と一体的である、請求項13に記載の制御デバイス。
【請求項21】
前記強磁性体(210)が、前記コイル(250)によって少なくとも部分的に囲まれた永久磁石(215)を有し、前記永久磁石(215)の磁化の振幅が、前記コイル(250)によって調節されることを特徴とする、請求項13~21のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項22】
前記コイル(250)の制御が、最も頻繁な状態を判定するために、前記制御デバイスの状態を周期的に記録するメモリに関連付けられたコンピュータによって制御されることを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項23】
表示画面を備えるマンマシンインターフェースであって、前記表示画面の視認面上に配置された、請求項1~22の少なくとも一項に記載の特徴部を有する少なくとも1つの制御デバイスを更に備えることを特徴とする、マンマシンインターフェース。
【請求項24】
前記制御デバイスが、中央凹部(305)であって、前記中央凹部(305)の背後に配置された画面ゾーンにおいて、前記制御デバイスの前記状態の関数として判定される情報を表示することを特徴とする、請求項1~23に記載のマンマシンインターフェース。
【請求項25】
出力部材を駆動するためのモジュールを備えるアクチュエータであって、前記出力部材に結合された、請求項1~24の少なくとも一項に記載の特徴部を有する制御デバイスを更に備えることを特徴とする、アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転又は直線変位に従って移動可能な制御ボタン又はアクセサリ、例えば、制御ボタンの位置及び/又は変位を表すアナログ信号を提供するための電磁センサに関連付けられた制御ボタンを備える構成可能な制御デバイスの分野に関する。構成可能であるという事実は、例えば、可変割り出し又は可変停止を用いて、ボタンの状態を変更することを可能にする。
【0002】
本発明は、特に、2つ以上のアクティブ化可能なモードの中から手動で選択することによって、又は状況による自動選択によって触覚を変更することができるマンマシンインターフェースを構成する構成可能な触覚制御デバイスに関する。感覚のモードは、ノッチングの感覚、規則的若しくは不規則的な割り出し、又は停止感覚を含む。
【0003】
所望の目的は、タッチによる触覚フィードバックを作成することによって、ユーザの操作の結果として、操作が実際に実行されたという物理的感覚を有するように、又は増分の数を触覚で知覚するように、この制御部材を操作するときに、例えば、硬い点を通過すること、停止部に到達すること、又は規則的若しくは不規則的な割り出しによって、ユーザが触知効果を感じることである。また、例えば、同じボタンで実行される制御のタイプに応じて、又はシステムによってアクションが実行されたときに、感じられる感覚を動的に変更することができ、これにより、与えられる情報及びユーザ体験を豊かにすることが重要である。感覚のこの変更は、例えば、選択ボタンによって手動で制御され得るか、あるいは状況に応じて自動的に制御される様式で制御され得る。
【0004】
この制御デバイスは、例えば、自動車産業において使用されている。それは、例えば、ライト、ミラー、フロントガラスワイパー、空調、インフォテインメント、ラジオ、又はギアボックス制御などの動作及び調整を制御するために、車両において使用され得る。
【0005】
本発明はまた、多くの産業において、特に、家庭用又は産業用機器の制御、例えば、家庭用又は視聴覚機器用の制御ボタンの形態にも適用可能であり、その割り出しピッチ及び硬さは、状況に応じて変化して、広い調整範囲を探すために柔らかい感覚を提供し、次いで、微調整のために割り出しマークを付けるか、又は連続的なジャンプにより広い範囲を探すためにその逆を提供し、次いで、連続性の感覚を与える柔らかい調整、そうでなければ、進行終了の停止感覚を提供する。
【0006】
このデバイスは、制御可能な残留トルク(モータに電流がない場合)などの調整可能な力、又は事前定義された安定位置に戻すための力、制動力、若しくは制御可能な停止力を達成するために、電気モータに関連付けることもできる。
【背景技術】
【0007】
特許出願国際公開第2020/109744号は、当該技術分野において公知であり、所定の軌道に沿った変位を可能にするための機械的に案内される部材と、磁石に堅固に接続された第1の強磁性構造と第2の強磁性構造との間の磁気相互作用によって、当該変位を磁気的に割り出すための手段と、を備える調整可能な抵抗のデバイスを説明しており、当該磁石が、当該コイルを流れる電流の方向及び振幅に従って当該永久磁石の磁化を変更する電気コイルによって、少なくとも部分的に囲まれていることを特徴とする。
【0008】
米国特許出願公開第2020/005977号は、ホイールと、永久電磁石(electro-permanent magnets、EPM)のセットと、を有する回転入力制御部を備えるマウスを説明しており、EPMアセンブリは、永久磁石と、永久電磁石のセットを、EPMアセンブリが第1の抵抗プロファイルをホイールに適用する第1の状態から、EPMアセンブリが第2の抵抗プロファイルをホイールに適用する第2の状態に変化させるように、永久磁石の分極を制御するように構成された磁化アセンブリと、を備える。このEPMアセンブリは、永久電磁石の両端に位置付けられた磁気伝導性要素を備え、各磁気伝導性要素は、ホイールに向かって半径方向に突出するそれぞれの複数の歯を備える、
欧州特許第1999534号は、デバイスの静止部分と可動部分との間の相対移動を少なくとも部分的に阻止するための阻止デバイスを説明しており、当該デバイスは、少なくとも1つの永久磁石と、強磁性コア上の電磁石と、当該可動部分内の停止プロファイルと、当該停止プロファイルと係合することができる阻止要素と、を備え、当該永久磁石は、少なくとも2つの極限位置の間で当該デバイス内に移動可能に配置されており、当該強磁性コアは、本質的にU字形状であり、当該永久磁石は、各極限位置において、強磁性コアの分岐の端部に位置しており、強磁性コア上に配置された当該電磁石及び当該可動永久磁石は、当該阻止要素が永久磁石の位置に追従するように作製されていることを特徴とする。
【0009】
欧州特許第1891494号は、電磁石によってボールを休止位置から阻止位置に動かす、簡単で信頼性のあるデバイスを説明している。このボールは、阻止位置において、2つの要素間の相対移動を機械的に阻止する。
【0010】
欧州特許第0018292号は、内側コアと、少なくとも1つの励磁巻線と、円筒状の非磁性シースと、コア及びシースの外側にあり、かつシースの円筒形の周面に対して中心をずらした円筒形ボア、磁化可能な摺動ベーンが提供された凹部、及び制動液を含む環状部分と、を備える、電気油圧式回転制動部を説明している。
【0011】
米国特許第4408859号は、高速作動要素を所定の位置に駆動する駆動要素を増加した速度で同期して駆動するように配置された第1の速度制御手段と、駆動要素の駆動力を制動するように配置された第2の速度制御手段と、を有するカメラ用の速度調整器を説明している。
【0012】
先行技術の欠点
先行技術の解決策は、完全に満足できるものではなく、これは例えば、制御ボタンが目標位置に近いときに剛性を減少させ、反対に、目標位置が遠いときに剛性を増加させることによって、触覚相互作用の性質を変化させることは、より大きなジャンプを伴う移動を必要とし、2つのモードに限定されるものであり、例えば、割り出しピッチを変更することによって、又は異なるレベルの剛性若しくは更には阻止を提供することによって、感覚をより簡潔に調節することを可能にしないためである。
【0013】
更に、米国特許出願公開第2017/0045958号は、実際に、磁界及び磁気レオロジー流体によって制御されるターンに対して感じられる効果の動的調節を提案しているが、この解決策は、特に封止に関して不利な設計制約を必要とする磁気レオロジー流体を使用するという欠点を特に有している。
【0014】
可変摩擦を発生させる最も知られた解決策は、ノッチをシミュレートするために連続的に電力供給されなければならず、これは連続的な電力消費につながる。これは、エネルギー節約が重要な問題となる用途、例えば、電池式機器又は電気自動車にとって不利益である。これらの既知の解決策はまた、ばね効果(ユーザによって提供される力は常に正である)を伴わずに異常な感覚を作成し、触知感覚をあまり直観的でなくする。
【0015】
最後に、先行技術の解決策は、移動に対するゼロ値と抵抗の最大値との間で変化するトルクの振幅を調節することを可能にするが、トルクの符号を変化させることはできない。したがって、例えば、受動的インターフェースを伝統的に有する交互の正及び負のトルクに対応する感覚を生成することは不可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの欠点に対処するために、本発明は、その最も一般的な意味において、請求項1に記載される特徴部を示す制御デバイスに関する。
【0017】
本発明によるデバイスは、機械的に案内される部材であって、
-第1の強磁性構造と、
-少なくとも1つの電気コイルを備える第2の強磁性構造であって、少なくとも1つの電気コイルが、当該コイル内を流れる電流の方向及び振幅に沿って当該第2の強磁性構造の磁化状態を変更する、第2の強磁性構造と、の間の相対移動を可能にする、機械的に案内される部材と、
更に、当該強磁性構造の相対位置を表す入力信号の関数として、当該コイルの供給電流を制御するための回路と、を備える。
【0018】
有利には、当該コイルの供給電流は、セレクタの状態だけでなく、制御される機器の全体的な状態を表す状況の入力信号の関数として制御される。
【0019】
このようなデバイスによる力は、制御ボタンの位置の関数として動的に制御することができ、これにより、各動作モードに対して基準位置が固定されていた先行技術の解決策とは対照的に、ボタンの作動中にリアルタイムで基準位置を調節することが可能になる。
【0020】
したがって、本発明は、制御ボタンの移動にわたって割り出しのピッチを変化させることを可能にし、例えば、精密な調整領域における細かいノッチングの感覚、及びあまり関心のない調整領域におけるより大きいピッチを有するより粗いノッチングの感覚を可能にする。それはまた、外部データ及びボタンの位置の関数として、停止部を動的に明らかにするか又は取り除くことを可能にする。
【0021】
ノッチのある感覚を送達するボタンでは、デバイスは、当該強磁性構造間の磁気相互作用によって、当該移動の磁気的割り出しのための手段を備え、当該コイルの供給電流を制御するための当該回路は、複数のモードに従って当該永久磁石の磁化の変更を制御し、当該モードのいくつかは、割り出された位置の一部をクリアする。
【0022】
有利には、当該第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造はそれぞれ、当該磁気的割り出し手段を生成するように協働する複数の半径方向歯を有する。
【0023】
一代替例によれば、当該制御デバイスは、複数の所定の可変力モードから可変力モードを選択し、当該コイルの供給モードを変更するために、当該制御回路によって使用される信号を送達する手段を更に備える。
【0024】
他の特徴部によれば、制御デバイスは、
-当該コイルの供給モードを変更するために、当該制御回路によって使用される信号を送達する制御される機器とのインターフェースと、
-当該コイルの供給電流の当該制御回路に、当該第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造の相対位置を表す当該入力信号を提供するために、第1の強磁性構造の位置を測定することができる位置センサと、
-少なくとも2つの制御法則を記録するための電子メモリであって、電子回路が、当該制御法則のうちの1つを選択するための入力を備える電子メモリと、
-第2の構造に対して相対移動する第1の構造と、当該制動要素間の磁気相互作用によって、当該第1の構造と第2の構造との間の相対移動を妨げる少なくとも1つの制動要素と、からなるアクティブ停止部であって、当該第2の構造が、電気コイルで少なくとも部分的に囲まれた強磁性体を備え、当該コイルの電気供給が当該強磁性体の磁化を変更し、当該強磁性体の磁化状態が、当該第1の構造と第2の構造との間の制動力を調節する、アクティブ停止部と、
-当該第1の強磁性構造と第2の強磁性構造との間の当該移動の磁気的割り出しのための手段であって、当該割り出し手段が、当該第1の構造及び第2の構造に直接一体化されるか、又は請求項の教示に従って補足的である2つの強磁性構造を使用して生成されており、当該補足的強磁性構造のうちの一方が、当該第1の強磁性構造又は第2の強磁性構造と一体的であり、他方の補足的強磁性構造が、当該第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造のうちの他方と一体的である、手段と、を更に備える。
【0025】
有利には、本発明によるデバイスは、以下の技術的特徴部のうちの1つ又はいくつかを有する:
-制御回路が、当該第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造の相対位置を表す信号の関数として、当該コイルの供給電流を制御すること、
-制御回路が、当該第1の強磁性構造及び第2の強磁性構造の移動の相対速度を表す信号の関数として、当該コイルの供給電流を制御すること、
-第2の強磁性構造の永久磁石が、100kA/m以下の保磁力を有する硬強磁性材料で作製されていること、
-第2の強磁性構造が、100kA/mよりも大きい保磁力を有する硬強磁性材料で作製された第2の永久磁石と一体的であること。
【0026】
本発明の代替例によれば、
-当該第2の強磁性構造は、少なくとも2つの永久磁石を備え、少なくとも2つの永久磁石は各々、当該コイル内を流れる電流の方向及び振幅において磁化を変更する電気コイルによって少なくとも部分的に囲まれており、当該電子制御回路は、当該強磁性構造の相対位置、及び複数の動作モードから動作モードを選択するための制御の状態の関数として、当該コイルの各々の供給電流を判定し、
-当該第1の構造及び第2の構造は、歯を有し、当該第2の強磁性構造は、一方では第2の磁石によって、他方では第1の磁石によって接続された2つの半管状歯付き部品からなり、
-2つの磁石の磁化の方向は、同一であり、
-当該第2の強磁性構造の磁化状態は、当該割り出し手段の割り出しの周期の多かれ少なかれ25%の間隔内に位置する当該第1の構造及び第2の構造の相対位置において変更され、当該間隔は、当該割り出し手段の安定平衡位置を中心としており、
-当該第2の強磁性構造の磁化状態は、当該割り出し手段の割り出しの周期の多かれ少なかれ10%の間隔内に位置する当該第1の構造及び第2の構造の相対位置において変更され、当該間隔は、当該割り出し手段の安定平衡位置を中心としており、
-制動要素は、当該相対移動の単一方向において、当該第1の構造と第2の構造との間の制動力を調節することができ、
-第2の制動要素は、当該第1の構造と第2の構造との間の制動力を反対方向に調節することができ、
-制動要素は、当該相対移動の両方向において、当該第1の構造と第2の構造との間の制動力を調節することができ、
-制動要素は、当該第1の構造と第2の構造との間の相対移動を、
・当該制動要素と、
・当該第1の構造と、
・当該第2の構造と、の間の磁気相互作用によって妨げるように構成されており、
-強磁性体は、コイルに供給するための電流が存在しないときに磁化がゼロである軟強磁性材料からなり、当該強磁性体は、部分的に円筒形状のハウジングを有し、各々、円筒形制動要素を受容することができ、
-制動要素は、中心を外れた軸に対して関節式に連結され、当該制動要素のうちの1つの一方向への移動によって、制動要素は、第1の構造と接触するようになり、又は反対方向において、制動要素は、そのハウジング内に後退する。
【0027】
-制動要素が第1の構造と接触しているとき、第1の構造の一方向における移動は、その偏心回転に起因して、制動要素の当接による第1の構造の阻止を引き起こし、
-強磁性体は、当該コイルによって少なくとも部分的に囲まれた永久磁石を有し、永久磁石の磁化の振幅は、当該コイルによって調節され、
-当該コイルは、最も頻繁な状態を判定するために、制御デバイスの状態を周期的に記録するメモリに関連付けられたコンピュータによって制御される。
【0028】
本発明はまた、表示画面を備えるマンマシンインターフェースに関し、マンマシンインターフェースは、当該表示画面の視認面上に配置された、先行請求項の少なくとも一項に記載の特徴部を有する少なくとも1つの制御デバイスを更に備えることを特徴とする。
【0029】
有利には、当該制御デバイスは、当該中央凹部の背後に配置された画面ゾーンに、当該制御デバイスの状態の関数として判定される情報を表示するための中央凹部を有する。
【0030】
本発明は更に、出力部材を駆動するためのモジュールを備えるアクチュエータに関し、アクチュエータは、当該出力部材に結合された、先行請求項の少なくとも一項に記載の特徴部を有する制御デバイスを更に備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付の図面によって例解される非限定的な実施形態に関する以下の説明を読むことによってより良好に理解されるであろう。
図1】アクティブ停止部を提供されたアクティブノッチングデバイスの一例の斜視図及び断面図である。
図2】機能図を示す。
図3】角度位置の関数として感じられるトルクの調節シーケンスの一例の概略図を示す。
図4a】アクティブノッチングデバイスの電磁構造の第1の例の斜視図である。
図4b図4aの例の断面図を示す。
図4c図4aの例の上面図を示す。
図5】ノッチングを提供するために、低保磁力磁石が飽和状態に磁化されたときに得られるトルク測定値を示す。
図6】永久磁石のゼロ磁化又は所与のレベルの2つの磁化状態のうちの、2つの磁化状態の段部の交互アクティブ化中に感じられるトルク測定値を、作動されるボタンの位置の関数として示す。
図7】永久磁石のゼロ磁化又は所与のレベルの2つの磁化状態のうちの、3つの磁化状態の段部の交互アクティブ化中に感じられるトルク測定値を、作動されるボタンの位置の関数として示す。
図8】作動されるボタンの位置の関数として連続的に減少する永久磁石のN個の磁化状態の各段部における交互アクティブ化中に感じられるトルクの概略表現である。
図9】作動されるボタンの位置の関数として予め記録されたプロファイルに従った永久磁石のN個の磁化状態のアクティブ化中に感じられるトルクの概略表現である。
図10】アクティブノッチングデバイスの代替実施形態の斜視図を示す。
図11】先行代替案の力曲線を示す。
図12a】回転移動及び回転案内制動要素を有するアクティブ停止デバイスの第1の実施形態の斜視図を示す。
図12b図12aに示される停止デバイスの制動要素上に発生するトルクを示す。
図13a】電流を伴わずに複数の安定位置を有するアクティブ停止デバイスの代替実施形態を示す。
図13b図13aに示される停止デバイスの制動要素上に発生するトルクを示す。
図14】回転相対移動及び線形案内制動要素を有するアクティブ停止デバイスの代替実施形態を示す。
図15】線形相対移動及び単一の制動要素を有するアクティブ停止デバイスの代替実施形態を示す。
図16a】2つの異なる状態である自由状態及び阻止状態のための割り出し停止部を有するアクティブ停止デバイスの代替実施形態を示す。
図16b】2つの異なる状態である自由状態及び阻止状態のための割り出し停止部を有するアクティブ停止デバイスの代替実施形態を示す。
図17】本発明によるノッチングシステムへの先行の停止デバイスの一体化を示す。
図18】本発明による制御デバイスと表示画面との一体化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
力調節デバイス
本発明は、制御ボタンの位置の関数として変化するコンピュータ制御によって力を動的に変更することを可能にする、調整可能な力デバイス、アクティブノッチング及び/又はアクティブ停止に関する。この力は、規則的であるか否かを問わず、可変割り出し部、及び/又は制御された停止部を有する割り出し制御の力に例えることができる。停止部は、非常に明確であり得、すなわち、所与の方向におけるシステムの完全な阻止を引き起こすか、又は、所与の位置から始まるより大きい摩擦によって具現化されることによって示す。そのようなデバイスの使用は、ユーザに触覚フィードバックを提供するために特に有利であるが、駆動されるべき部材上の力の調節を発生させるためにも興味深い。
【0033】
用途に応じて、調整されるべき力は変化することがあり、ある場合にはノッチング効果のみが所望され、他の目的では停止効果のみが必要とされ、他の場合には両方が実施されるが、必ずしも連動する必要はない。したがって、例示的な実施形態を通じて様々な解決策が示される。
【0034】
図1は、回転作動を伴う触覚システムにおいて、アクティブノッチングデバイス(80)及びアクティブ停止デバイス(90)を組み込む第1の実施形態を示している。図1の例示的な実施形態では、当該デバイスは、各々、円筒形状を有し、軸方向に重ね合わされている。この第1の実施形態は、最も一般的な請求項による2つのデバイスを一体化するものとして解釈されなければならず、一方は、ノッチング専用であり、他方は、調整可能な停止専用である。この実施形態は、ノッチング及び停止の両方の機能が完全な無相関で望まれる場合に好ましく、図17は、その部分について、単一のデバイスにおける両方の機能の織り込みを示しているが、相互依存性を有している。
【0035】
ノッチングデバイス(80)は、他の例を通してより具体的に説明されるが、軟強磁性材料を備える第1の構造(1)と、軟強磁性材料で作製された回路を、永久磁石(7)と電気コイル(8)によって少なくとも部分的に囲まれた半永久磁石とに関連付ける第2の構造(3)と、から構成され、当該構造は、相対的に回転移動することができる。ノッチング効果は、当該第1の構造(1)及び第2の構造(3)の強磁性材料部品の対向面を構成する歯(2、11)の協働に起因して得られる。
【0036】
停止デバイス(90)は、異なる例を通してより完全に説明もされるが、回転において相対移動することができる第1の構造(100)及び第2の構造(200)と、当該構造の相対移動を妨げるための制動要素(310、320)と、から構成される。第1の構造(100)は、コイル(250)の供給電流の関数として、磁化状態を変更することができる軟強磁性体(210)を備え、強磁性体(210)の磁化状態は、制動要素(310、320)の位置に作用して、当該第1の構造(100)と第2の構造(200)との相対移動に対する抵抗を調節する。
【0037】
この例示的な実施形態では、触覚システムは、ボタンの形態であり、ユーザによって作動される外部フランジは図示されていない。この外部フランジは、ノッチングデバイス(80)の第1の構造(1)、制動デバイス(90)の第1の構造(100)、及び軸(6)に堅固に接続され、全体が、第1の一体的アセンブリを形成し、当該軸(6)は、構造(100)を支持すると共に、第1の一体的アセンブリを第2の一体的アセンブリに対して回転するように案内する働きをする。この第2の一体的アセンブリは、システムの使用中に静止したままであるように意図されており、ノッチングデバイス(80)の第2の構造(3)、並びに第2の構造(200)、制動デバイス(90)の制動要素(310、320)を案内するための手段、並びにコイル(8、250)を制御するための手段を備える電子回路(12)を備える。
【0038】
2つの一体的アセンブリの相対移動は、この実施形態では、軸(6)と一体的である磁石と、電子回路(12)に一体化された磁気感知プローブと、の協働によって生成される磁気位置センサ(10)によって測定される。
【0039】
触覚ボタンの形態での一体化のこの第1の例は、本発明を限定するものではなく、ノッチングデバイス(80)及び制動デバイス(90)は、非常に多様な方法で生成することができ、異なるタイプの自由度、又は更にはいくつかの自由度に従って、力を調節するために一緒に又は独立して使用することができる。
【0040】
このタイプのアクティブデバイスは、特に停止部のみの形態では、モータと共に使用する場合にも重要であり得、その場合、停止部は、当該モータの動きを制動又は阻止することが可能になる。割り出し形態は、モータの「歯車付きトルク」を局所的に調節してギヤードモータの不可逆位置を作成するために、モータに一体化され得る。
【0041】
機能アーキテクチャ
図2に示すように、このデバイスは、特許出願国際公開2020/109744(A2)号に説明されているものとは区別され、これは、磁気システム(20)が、構造(1、3)の相対位置を表す電気信号を提供する位置センサ(10)(例えば、光学式又は電磁式、又は更には誘導タイプ)、及び制御回路(15)、例えば、マイクロコントローラ又はFPGA回路、並びに構造(1、3)の相対位置に作用することを可能にし、かつ複数の記録されたモードから触覚モードを選択することを可能にするセレクタを任意選択的に備えるユーザインターフェース(25)、を備え、その結果、トルクプロファイル及び異なる割り出しピッチ又はギャップの異なる変化が得られるという事実によるものである。
【0042】
制御回路は、一方では強磁性材料を備える構造(1、3)の相対位置の関数として、他方ではメモリに記録された制御法則の関数として、任意選択的に、ユーザによって制御される手動セレクタの状態に従って、又は状況に応じて、デバイスによって状態が制御される相補的電子回路によって制御される手動セレクタの状態に従って、コイル(又は電磁システム(20)が複数のコイルを備える場合は複数のコイル)の供給電流の方向及び振幅を判定する。
【0043】
コイルを磁化するために必要とされるエネルギーは、そのパルス特徴に起因して全体的に低いままであっても、電力供給ネットワークによって直接アクセスすることが困難であるため、局所的なエネルギー予備を強要され、これはまた、任意の磁化事象に応答するために利用可能な任意の瞬間に、この予備を維持することを必要とする。このエネルギー予備は、システムによってデバイスに提供される電圧よりも大きい電圧の形態であることが通例である。
【0044】
コイルの供給方向に応じて、第2の強磁性構造(3)の磁化又は消磁が、ボタンの空間位置の関数として引き起こされ、いくつかのノッチが選択的に「オフ」にされて、次いで、可能性のある非常に大きな場でトルク(振幅及び周波数)を変化させることを可能にする。
【0045】
割り出しを自由に変更する可能性は、例えば、異なる相互作用モードに対して同じ制御ボタンを使用することを可能にする。
【0046】
したがって、インフォテインメントボタンは、30個の文字、したがって30個のノッチが望ましいであろうアルファベット表と、約10個のノッチを有する数字のデジタル表と、フリーホイールモード、つまりオーディオシステムのサウンドレベルを管理するために連続して増加する割り出し振幅を有するモードと、状況に応じてノッチの数を変更するモード、例えば、36個のノッチを有するアルファベットモードによって第1の関数のパラメータを選択した後に、10個のノッチを有するデジタルモードによって第2のデジタルパラメータを選択し、次いで、ノッチを有しない連続モードによって第3のパラメータを選択し、最後に、選択リストの終わりに到達したことを触覚的に示す位置調整可能停止部を選択するモードと、を管理することができる。
【0047】
また、ボタンの進行における2つの段部間の距離を変化させることも可能であり、例えば、粗調整では、まれに使用される値の範囲において分離された段部を用い、最も関連する範囲においてより近い段部を用いて、このゾーンにおける微調整を可能にし、所望の位置における停止部を発生させる。範囲の限界は、将来の設定に対して、過去の使用中に最も頻繁に選択された値の周りの狭められた調整範囲を提案するために、以前の設定からの教師あり学習によって判定することができる。
【0048】
図3は、プログラムすることができるシーケンスの例を示している。より具体的には、インフォテインメントボタン(13)の回転中に、自由回転で第1の角度セクタを較正することが可能であり、次いで、所与の位置でノッチングモードをアクティブ化すると、次いで、ボックス2に示される力プロファイルが得られる。次いで、割り出しの振幅をいくつかの段部にわたって増加させた後、その初期レベルまで減少させる。いくつかの段部の後、ボックス1に示されるように、停止部のアクティブ化位置に到達する前に、2つのうちの1つのモード又は1つのノッチが非アクティブ化される。
【0049】
例解目的のみで提示された図3は、いかようにも本発明を説明した順序に限定するものではなく、本発明を提示された実施形態に限定するものではないことに留意されたい。
【0050】
割り出しデバイスの電気機械アーキテクチャ
電気機械アーキテクチャは、特に、特許出願国際公開第2020/109744(A2)号に説明されている例のうちの1つに従うものであり、その内容は、引用により本特許に組み込まれている。
【0051】
図4aは、割り出しデバイスの電磁構造の第1の実施形態の概略斜視図であり、図4b及び図4cは、それぞれ、そのようなデバイスの断面図及び上面図を示している。図4b及び図4cにおいて、太い矢印は、要素の磁化の方向を示している。
【0052】
割り出しデバイスのこの例は、歯付きシリンダによって形成された第1の構造(1)からなり、この歯付きシリンダは、強磁性材料で作製されており、図示されている例では、半径方向に延在する20個の歯(2)を有し、歯の数は限定されない。この第1の構造(1)は、軸(6)を中心に回転し、手動で作動される制御ボタン(ここでは視認されない)に結合される。
【0053】
第2の歯付き強磁性構造(3)は、この第1の構造(1)の内側に同軸に配置され、第1の構造(1)の移動に対して静止している。この第2の強磁性構造(3)は、第1の構造の歯(2)に向かって半径方向に延在し、第1の構造(1)の歯(2)の角度偏差と同じ角度偏差を有する歯(11)を有する2つの静止した半管状部品(4a、4b)からなる。歯(2)及び(11)に対するそのような同一の角度偏差は、第1の構造(1)と第2の構造(3)との間の力を最大化すること、したがって、ユーザに与えられる触覚感覚を最大化することを可能にする。しかしながら、この触覚感覚の調整は、有利には、2つの構造(1、3)上の歯の数によって、場合によっては歯(2、11)間の角度偏差の差によって、又は更には2つの構造(1、3)間の歯(2、11)の異なる幅によって可能にされる。
【0054】
2つの半管状部品(4a、4b)は、一方では、第1の永久磁石(5)によって接続され、第1の永久磁石(5)は、優先的に高エネルギーを有し、典型的には600kA/m、任意の場合に100kA/mよりも大きい保磁力を有する。磁化の方向は、磁石の最大寸法に沿っており、この場合、回転軸(6)に直交する方向にある。永久磁石(5)は、一定の磁場発生の特徴部を有し、デバイスの使用中に消磁してはならない。
【0055】
これらの2つの半管状部品(4a、4b)はまた、他方では、低保磁力を有する第2の磁石(7)、すなわち、典型的には、1.2テスラの永続性及び50kA/mの典型的な保磁力、任意の場合に100kA/m未満の保磁力を有する、半永続タイプ又はAlNiCoタイプの磁石によって接続される。磁化の方向は、磁石の最大寸法に沿っており、第2の低保磁力磁石(7)に与えられた磁化に応じて、2つの磁石(5)及び(7)の磁束が加算的又は減算的であり、磁束が、半管状部品(4a、4b)内を流れるようになっている。磁石(7)の低保磁力は、磁石の周りに位置するコイルによって磁石が容易に磁化又は消磁されることを可能にするために必要であり、これは限られたエネルギーで行われ、強力かつ高価な電子機器を使用することなく、一体化デバイスにおける磁石の使用を可能にする。
【0056】
この第2の磁石(7)は、第1の磁石(5)と平行に配置され、2つの電気コイル(8、9)によって囲まれている。代替実施形態では、1つのコイルのみを設置することが可能であり、2つのコイル(8及び9)は、この例では、バランス及び空間最適化のために、案内軸(6)の両側に配置されている。
【0057】
一例として、各コイルは、0.28mm銅線と直列の56ターン(28ターン/ポケット)からなり、コイルは、0.264Ωの終端抵抗を有する。
【0058】
低保磁力磁石(7)の磁化の極性の方向及び/又は振幅を調節するために、例えば、コンデンサを放電することによって与えられる、直流又は電気パルスの形態の電流がコイル(8、9)に適用される。一例として、約730Atの起磁力を発生させる13アンペアの電流は、磁化を変更することを可能にする。
【0059】
この第1の実施形態の動作は、以下の通りである:正方向(任意の基準)の直流電流又は電流パルスが、コイル(8、9)を通って流れ、2つのコイル間に加法的磁場を作成するとき、低保磁力磁石(7)は、2つの磁石の磁束が加法的であり、2つの磁石(5、7)及び半管状部品(4a、4b)を通るループ内を主に流れるような方向に磁化される。結果として、第1の構造(1)を通る磁束は、ほとんど又は全くなく、2つの構造(1、3)間の結合は、ほとんど又は全くなく、したがって、構造をアクティブ化するユーザは、いかなるノッチングも感じない。この特定の例において、2つの磁石(5、7)の磁化は、2つの半管状部品(3、4)の間の正中面に対して平行及び垂直であるが、この構成は排他的ではない。
【0060】
負の方向(任意の基準)の電流パルスがコイル(8、9)を通って流れ、2つのコイル間に再び加法的な磁場を作成するとき、低保磁力磁石(7)は、2つの磁石の磁束が減法的であり、主に2つの磁石(5、7)及び2つの歯付き構造(1、3)を通るループ内を流れるような方向に磁化される。これは、著しい結合又はノッチングをもたらし、有意な割り出し感覚が、デバイスのユーザによって知覚され、したがって、ユーザはノッチングを感じる。
【0061】
コイル(8、9)は、ヨーク(4a、4b)に対する外部ヨーク(1)の角度位置を入力として受け取る制御回路によって駆動される電流によって、電力供給される。コイル(8、9)内の電流の強度は、有利には、低保磁力磁石(7)の磁化の強度、したがって静止し構造と可動構造との間の結合磁束に直接影響を及ぼすことによって、触覚感覚を調整することを可能にする。
【0062】
ノッチングデバイスによって発生させられるトルクプロファイルの例
図5図9は、本発明によるトルクプロファイルの異なる例を示している。図5は、2つの歯付き構造(1、3)の相対位置(52)の関数として得られた振幅(51)の変動を示しており、低保磁力磁石(7)が飽和磁化されて、最大振幅ノッチ(55)を提供している場合である。通常のトルク変動プロファイル(50)は、このタイプの構造に対して得られ、振幅が正であるときにモータトルク交番を有し、振幅が負であるときに制動を有する。
【0063】
図6及び図7は、図5に示される「受動的」基準ノッチングに対して、2つの感じられるノッチのうちの1つの感じられるノッチ、又は3つの感じられるノッチのうちの2つの感じられるノッチをそれぞれ除去するように、異なる角度位置(60)において、コイルの供給電流を制御するための回路による、ノッチングのアクティブ化及び非アクティブ化から生じるトルクプロファイルを示している。アクティブ化及び非アクティブ化角度位置(60)は、図6及び図7の上部に示されており、スケール(53)は、コイルを流れる電流の値を表すことなく、状態の変化のトリガを表している。ここで、アクティブ化及び非アクティブ化角度位置(60)は、2つの歯付き構造の磁気相互作用の安定又は不安定平衡位置に対応する。この位置の選択は、トルク遷移を局所的に調節し、ユーザの感覚を精緻化することを可能にし、したがって、平衡点で遷移を発生させ、すなわち、力が最低である場所で、この状態変化をユーザに対して透過的にすることを可能にする。安定平衡位置は、負の導関数を有するゼロトルク位置に対応し、一方、不安定平衡位置は、そのトルクの正の導関数を有する。
【0064】
センサによって戻された位置と各ノッチの平衡点の位置との間の関係は、電源投入時に制御回路によって判定することができ、必要な記憶された情報は、デバイスが有するノッチの数だけである。したがって、電源投入ごとに、デバイスは、安定位置に位置した瞬間から全てのノッチの角度位置を推定することができる。アブソリュートセンサを使用することも可能である。
【0065】
図8は、2つの磁気構造の相対角度位置(52)の関数として徐々に減少するノッチング振幅を得るように、異なる角度位置(60)において、コイルの供給電流を制御するための回路によるノッチング振幅の変更を示している。振幅変更の角度位置(60)は、例えば、2つの歯付き構造の間の磁気相互作用の不安定な平衡位置で行われる。図8の上部に表された振幅の変化をトリガするための信号は、コイルを流れる電流を表すものではない。
【0066】
異なる磁化振幅を得るために、本発明を限定することなく、2つの方法が好ましい。第1の方法は、消磁電流サイクル、次いで、磁化電流を連続的に適用して、所望のノッチングレベルに到達させることからなる。この方法は、消磁サイクルが初期磁化レベルに依存せず、磁化電流とゼロレベルから得られる磁化レベルとの間の関係が容易に特徴付け可能なデータであるので、制御電子機器を簡略化するという利点を有する。
【0067】
第2の方法は、得ることが所望される初期磁化レベルと最終磁化レベルの全てのペアについて、永久磁化と磁化電流との間の関係を一体的に特徴付けることからなる。この方法は、実施するのがより複雑であるが、使用中のデバイスの電力消費を低減するだけでなく、磁化のレベルを変化させるときに、ユーザが感じる力の変動を制限するという利点を有する。
【0068】
図9は、本発明によるデバイスによって可能になる他のノッチング変更を示している。例えば、角度範囲(66)に対して、コイルの供給電流を制御するための回路は、ペアの全ての負の交番を除去することができ、それにより、この範囲にわたって、ユーザに対する抵抗感覚又はゼロ感覚のみを得る。この角度範囲(66)にわたる感覚は、磁気レオロジー流体を使用する先行技術において提示された構造で得ることができる摩擦調節効果に相当する。他方では、本発明によるデバイスは、角度範囲(65)にわたって示されるように、トルクの正の交番の全てを除去した、完全に新しい触覚効果を有する。したがって、ユーザによって感じられる感覚効果は、モータトルクとゼロトルクの交番であり、その非常に異なる感覚によって、代替情報をそれに関連付けることが可能になる。遷移(61、62)によって示されるように、平衡位置の外側で実行される磁化状態の変化は、ユーザによって知覚される力の大きな変動をもたらす。したがって、ユーザにとって可能な限り透明な状態変化を得ることが望まれるとすぐに、そのような遷移は回避されるべきである。実際に、半永続磁石の磁化状態を変更するために発生する電気パルスは、高振幅磁場の生成をもたらし、ユーザ可動型構造に適用される力を変更する。この力の変動は、構造が相対角度平衡位置にあるときにゼロである。したがって、基準として、ノッチングの変更は、この変更がユーザに対して透過的であることが望まれる場合、平衡位置の周りで、割り出し手段のノッチングの周期の25%未満に位置する角度位置に対して優先的に発生させられる。これは、ユーザによる感覚の質と位置センサに要求される精度との間の良好な妥協に相当する。最も要求の厳しい仕様では、間隔を割り出し手段のノッチングの周期の10%に制限することによって、感覚を改善することができる。
【0069】
2つのコイル状磁石を有するノッチングデバイスの代替例
図10は、例えば、2つの磁石(7a、7b)に共通の強磁性ヨーク(39)からヨーク(40、41)にそれぞれ延在するAlNiCoタイプの2つの半永久磁石(7a、7b)を有する第2の強磁性構造(3)の代替実施形態の図を示しており、当該ヨーク(40、41)は、高永続永久磁石(5)によって接続されている。
【0070】
ヨーク(39)は、説明した例では歯を有していない。ヨーク(40、41)は、異なる角度間隔で離間された段部を有し、段部は、それぞれ、1回転当たり18ノッチ及び36ノッチの周波数に対応する。
【0071】
磁石(7a、7b)は、各々、コイル(図示せず)によって囲まれており、コイルは、当該磁石(7a、7b)の各々の磁化の極性を反転させ、強度を変更することを可能にし、磁石(5)の磁化は、変更されない。コイルの各々には、第2の構造に対する第1の外部構造(1)の角度位置を入力として受け取る制御回路によって制御される電流が供給される。
【0072】
図11は、図10に示される代替形態について、第2の構造(3)に対する第1の構造(1)の相対移動中の力曲線を、磁石(7a)及び(7b)の異なる可能な分極状態の関数として示している。これらの曲線を提示するために、本発明者らは、磁石(7a及び7b)の各々の磁化の2つの状態を説明することを提案し、状態1は、そのそれぞれのヨーク(40、41)内で発生する磁束がこの同じヨーク内の磁石(5)によって発生する磁束と反対である磁石(7a、7b)の分極に対応する状態であり、状態2は、その流れがヨーク(40、41)に適用される状態である。したがって、曲線(70)は、磁石(7a)が状態1にあり、磁石(7b)が状態2にあるときに得られる力に対応し、完全な1回転にわたって36ノッチの力を発生させる。曲線(73)は、磁石(7a)が状態1にあり、磁石(7b)が状態2にあるときに得られる力に対応し、完全な1回転にわたって18ノッチの力を発生させる。曲線(71)は、2つの磁石(7a及び7b)が状態1にあるときに得られる力に対応し、完全な回転にわたって36及び18ノッチにおいて、先で説明された両方の力の重ね合わせを発生させる。曲線(72)は、2つの磁石(7a及び7b)が状態2にあり、回転中にいかなる力も発生していないときに得られる力に対応する。
【0073】
当然ながら、得られた曲線は、可能な力の例解にすぎず、磁石(7b)に対する磁石(7a)の磁化の振幅を調節することによって得られる他のプロファイルを得ることができる。
【0074】
アクティブ停止デバイス
本発明はまた、相対移動の任意の位置においてアクティブ化することができる停止デバイスに関する。
【0075】
概して、この停止デバイスは、
-強磁性材料で形成された第1の構造(100)と、
-当該第1の構造(100)に対して相対移動する第2の構造(200)であって、少なくとも1つの強磁性体(210)を備え、少なくとも1つのハウジング(220、221)を有し、当該強磁性体(210)の磁化状態を変更することができる少なくとも1つのコイル(250)を支持する、第2の構造(200)と、
-永久磁石(350)を備える少なくとも1つの制動要素(310、320)と、を備える。
【0076】
ハウジング(220、221)は、第1の構造(100)の反対側にあり、第1の構造(100)と共に、制動要素(310、320)が収容される磁気空隙(300)を形成し、ハウジング(220、221)内の制動要素(310、320)の位置は、当該強磁性体(210)の磁化状態に依存する。
【0077】
制動要素(310、320)は、磁気レオロジー流体を除いて固体材料であり、特に、密閉筐体を有する複雑な構造を必要とすることが明記されている。
【0078】
代替実施形態では、
・強磁性体(210)の第1の磁化状態が、制動要素(310、320)のうちの1つと第1の構造(100)との機械的接触を誘導し、当該制動要素が、1つの自由度に従った移動方向における当該第1の構造(100)の移動を妨げ、
・強磁性体(210)の第2の磁化状態が、第1の構造(100)に相補的な制動要素(320、310)の機械的接触を誘導し、当該制動要素が、同じ自由度に従って、当該第1の構造(100)の反対の移動方向における移動を妨げ、
・強磁性体(210)の第3の磁化状態が、制動要素(310、320)と第1の構造(100)との機械的接触が存在しないように誘導し、当該第1の構造(100)が、この同じ自由度に従って自由に移動する。
【0079】
代替の一実施形態では、
・強磁性体(210)の第1の磁化状態が、2つの制動要素(310、320)の第1の構造(100)との機械的接触を誘導し、当該制動要素が、自由度を有する両方の移動方向における当該第1の構造(100)の移動を妨げ、
・強磁性体(210)の第2の磁化状態は、制動要素(310、320)と第1の構造(100)との機械的接触が存在しないように誘導し、当該第1の構造(100)は、この同じ自由度に従って自由に移動する。
【0080】
様々な代替実施形態の間、制動要素(310、320)の第1の磁化構造(100)との接触は、摩擦によって、又は完全停止によって、又は弾性停止によって、当該第1の構造(100)の移動を妨げる。
【0081】
制動要素(310、320)の磁石(350、351)は、必然的に、保磁力を有し、典型的には600kA/mであり、全ての場合において100kA/mよりも大きい。その部分に関して、永続性は、実際には気にする必要はない。したがって、フェライトから焼結ネオジム磁石に延在する磁石の全範囲は、好適であり得、当該磁石によって必要とされる機械的強度の関数として選択される。
【0082】
第1の構造(100)は、制動要素(310、320)における流れの循環を改善し、制動要素と第1の構造(100)との接触を改善するために、強磁性材料から作製されている。しかしながら、この第1の構造(100)は、所望の制動性能がより低いときに、例えば、その重量を低減するために、非磁性材料で作製され得る。
【0083】
アクティブ停止の第1の例
第1の実施形態によれば、本発明者らは、自由位置における単安定デバイスを提案する。
【0084】
回転バージョンで図12aに示されるこの実施形態では、強磁性体(210)は、コイル(250)への供給電流が存在しない場合に磁化がゼロである軟強磁性材料で作製されている。ハウジング(220、221)は、非対称的な部分的に円筒形の形状を有し、各々、円筒形制動要素(310、320)を受容することができる。
【0085】
制動要素(310、320)は、円筒形磁石(350、351)を備え、円筒形磁石(350、351)は、第2の構造(200)を貫通し、第2の構造に対して固定され、偏心軸方向枢動(360、361)の周りの磁石(350、351)の回転において1つの自由度のみを可能にする偏心軸方向枢動(360、361)を有する。一方向における偏心回転は、制動要素(310、320)が第1の構造(100)と接触することを可能にし、又は反対方向における偏心回転は、制動要素(310、320)がそのハウジング(220、221)内に挿入されることを可能にする。
【0086】
制動要素(310、320)が第1の構造(100)と接触しているとき、一方向における第1の構造(100)の移動は、偏心回転に起因する制動要素(310、320)の当接による第1の構造(100)の阻止をもたらし得る。反対方向の移動に従う第1の構造(100)の移動は、必要であれば、当接による阻止の解除を可能にし、残りの移動は、制動要素(310、320)によってのみ制動される。
【0087】
ハウジング(220、221)内の制動要素(310、320)の位置は、制動要素(310、320)の磁石(350、351)によって発生する磁場だけでなく、強磁性体(210)の磁気状態にも依存する。図12aの例では、強磁性体(210)は、コイル(250)を流れる電流の関数として、3つの顕著な磁化状態、
-コイルを通過する電流がないこと、及び磁化状態がゼロであることのいずれか、
-又は、コイルが、閾値電流よりも大きい正の電流を通過させ、これが「正の磁化」と呼ばれる磁化状態をもたらすこと、
-又は、コイルが、同じ強度であるが、反対方向に流れる電流を通過させ、これが、「負の磁化」状態をもたらすこと、を有する。
【0088】
強磁性体(210)のハウジング(220、221)は、非対称的な磁極端(260、261、262、263)によって境界が定められており、これらの磁極端は、説明した例では非対称的であり、慎重に寸法決めされ、当該強磁性体(210)の磁化状態の関数として、制動要素の特定の位置をもたらす。
【0089】
強磁性体(210)がゼロ磁化状態にあるとき、制動要素(310、320)に、制動要素(310、320)をハウジング内に引き付ける力が及ぼされ、制動要素(310、320)の磁石(350、351)によって発生した磁場が、磁極端(260、261、262、263)を介して強磁性体(210)内でループ化することによって発生する。強磁性体(210)が正又は負の磁化状態にあるとき、それが発生させる磁場は、一方のハウジング(220、221)から他方のハウジングにループバックされ、次いで、制動要素(310、320)に力を及ぼして、その磁場を強磁性体(210)の磁場と整合させる。
【0090】
磁石(350、351)の磁化方向又は偏心軸方向の枢動(360、361)の位置に沿って、制動要素は、強磁性体(210)の正の磁化状態では第1の構造(100)と接触し、負の磁化の場合にはそのハウジング(220、221)内に引き付けられ、逆もまた同様である。
【0091】
したがって、図12aに示されるように、強磁性体(210)の磁化状態がゼロでないときに2つの磁石(350及び351)が反対の挙動を有する場合、本発明者らは、正の磁化の場合には、制動要素(310、320)のうちの1つによる第1の方向における移動の阻止及び反対方向における自由な移動を得て、負の磁化の場合、第1の方向を伴わない自由な移動、及び第2の制動要素(320、310)による反対方向における阻止を得る。
【0092】
図12bは、先行段落で説明したように、制動要素(310、320)が各々、反対方向の阻止を可能にするときに、コイル(250)への供給電流の関数として、2つの制動要素(310、320)上でそれらの枢動点の周りに得られるトルクを示している。ゼロの電力供給電流において、2つの摩擦部品(310、320)は、それらの各々が、そのハウジング(220、221)内に挿入され、第2の構造(200)に対する第1の構造(100)の自由回転を得ることを可能にする反対のトルクを有することに留意されたい。
【0093】
しかしながら、これは本発明を限定するものではなく、2つの磁石(350及び351)が強磁性体(210)の磁化状態の関数として同一の挙動を有する場合、本発明者らは、所与の磁化に対する両方向における阻止、及び反対の磁化に対する自由移動を得る。
【0094】
好ましい実施形態では、第1の構造(100)は、強磁性体(210)によって発生する磁束のループ化を促進し、したがって制動要素(310、320)に及ぼされる力を最大化するために、軟強磁性材料で作製された部分を有するが、これは、本発明を限定するものではない。
【0095】
最後に、この実施形態は、フェルール(351)に一体化された磁石(350)を一体化する制動要素(310)を有し、このフェルール(351)は任意選択的であり、摩擦係数を改善すること、又は機械的強度を改善することなどのいくつかの機能を有し得る。同様に、ここでは磁石(350)によって直接支持される摩擦要素(310)の回転案内は、他の機械的特性を有する摩擦要素(310)の別の一体的部品によって達成することができる。
【0096】
強磁性体(210)の変形例
強磁性体の代替実施形態が図13aに示されている。この代替実施形態は、強磁性体(230)がモノリシック体ではなく、いくつかの強磁性要素のアセンブリである点、及び停止デバイスが安定した停止状態、すなわちコイル(250)への電源供給電流が存在しない状態を有する点で、先の実施形態とは異なる。この実施形態では、強磁性体(210)は、コイル(250)によって囲まれ、ハウジング(220、221)を各々有する軟強磁性材料の2つの磁束導体(211、212)の間に埋め込まれた永久磁石(215)を有する。
【0097】
強磁性体は、任意選択的に、2つの磁束導体(211、212)を直接接続する磁気的に飽和可能な峡部(213)を一体化している。
【0098】
永久磁石(215)は、低保磁力を有し、すなわち、典型的には1.2テスラの永続性及び50kA/mの典型的な保磁力、任意の場合に100kA/m未満の保磁力を有する半永久タイプ又はAlNiCoタイプの磁石の材料を有する。磁化方向は、永久磁石(215)の最大寸法に沿っている。永久磁石(215)の低保磁力は、その周りに位置するコイルによってその磁化の振幅及び方向を容易に調節するために必要であり、これは、限られたエネルギーで行われ、強力で高価な電子機器を使用せずに、一体化デバイスでの永久磁石(215)の使用を可能にする。低保磁力磁石の磁化の極性の方向及び/又は振幅を調節するために、例えば、コンデンサを放電することによって与えられる直流又は電気パルスの形態で、電流がコイル(250)に適用される。
【0099】
永久磁石(250)の磁化の振幅及び方向に応じて、本発明者らは、安定した方法で、すなわち、コイル(250)に電流がない状態で、先行実施形態について説明した強磁性体(210)の正及び負の磁化状態を得ることができる。
【0100】
峡部(213)は、永久磁石(215)の磁束の一部の直接ループ化を可能にするように、小さな断面を有する。直接ループ化は、軟強磁性部分内に一体的に作製された磁石の2つの極の間のループ、磁束チャネリングを意味すると理解される。この峡部(213)の断面は、永久磁石(250)の磁束が所与の磁化レベルまでしかループバックされないように意図的に制限されているので、このレベルは、永久磁石(215)の飽和レベルよりも低く、例えば10分の1である。峡部が磁気的に飽和していない限り、強磁性体(210)は、ゼロ磁化状態を有し、これにより、永久磁石(250)の完全な消磁を得る困難を有利に克服するために、強磁性体(210)がこの状態にある永久磁石(250)の磁化範囲を拡張することが可能になる。
【0101】
図13bは、先行段落で説明したように、制動要素(310、320)が各々、一方向における阻止を可能にするときに、永久磁石(215)の磁化のレベルの関数として、2つの制動要素(310、320)で得られるトルクを示している。磁気峡部の効果は、永久磁石(215)の磁化の特定の振幅までのトルクプラトーの存在によって示されている。低磁化レベルでは、2つの摩擦部品(310、320)は、それらの各々が、そのハウジング(220、221)内に挿入され、第2の構造(200)に対する第1の構造(100)の自由回転を得ることを可能にする反対のトルクを有することに留意されたい。
【0102】
制動要素(310、320)の代替例
制動要素の代替実施形態が図14に示されている。この実施形態では、強磁性体(210)のハウジング(220、221)は、ノッチ形状を有し、磁極端(260、261、262、263)は、対称的である。次いで、制動要素(310、320)は、それらの近位部分において、ハウジング(220、221)に対して相補的な形状を有し、クリアランスを伴って多かれ少なかれ深く係合し、共に摺動接続を生成する。それらの近位部分において、制動要素(310、320)は、当該制動要素(310、320)を第1の構造(100)と接触させるときに、制動要素(310、320)の各々を一方向のみに当接させるように、非対称的な湾曲形状を有する。
【0103】
制動要素(310)のための代替停止デバイス
停止部の代替実施形態が、図15に示されている。この実施形態は、第1の構造(100)と第2の構造(200)との間に線形相対変位を有する点、及びコイル(250)の両側で強磁性体(210)を延在させる2つの磁極端(260、261)によって画定されるハウジング(220)内に位置する1つの制動要素(310)のみを備える点で、前述の実施形態とは異なる。強磁性体(210)の磁化状態に応じて、制動要素(310)は、
・磁極端(260、261)によって引き付けられること、及び第2の極先端(261、260)によって押されることのいずれかであり、正の磁化の場合、これは、摩擦部品(310)の第1の構造(100)と第2の当接構造(200)との間の相対移動方向における停止、及び反対方向における摩擦を伴う回転を生成し、
・又は第1の磁極端(260、261)によって引き付けられ、かつ第2の磁極端によって押し戻され、負の磁化の場合、これは、当該第1の構造及び第2の構造の反対の相対移動方向に停止部を生成し、
・又はゼロ磁化の場合、両方の磁極端(260、261)によって引き付けられ、これは、当該第1の構造と第2の構造との間の相対変位を両方向に残す。
【0104】
当然ながら、この停止バージョンは直線移動に限定されず、回転デバイスでの使用のために当業者によって適合され得る。
【0105】
割り出し停止部の代替実施形態
停止部の代替実施形態が、図16a、図16b、及び図17に示されている。この実施形態は、第1の構造(100)が第2の構造の内側に位置し、周期的に離間されたノッチ(110)を有し、これらのノッチが制動要素(310)を収容することができるという点で、図13aに示される実施形態とは異なる。
【0106】
これらの実施形態は、中央貫通凹部(305)という特殊性を有し、回転リングを有する円筒形筐体又は円筒形本体を有する機器、例えば、時計を囲むボタンを生成することを可能にする。
【0107】
それらはまた、中央凹部(305)内又は中央凹部(305)の背後に、ボタンの状態又はボタンによって制御される機能の状態を表す指示を表示するための表示画面を配置することを可能にする。
【0108】
停止部は、もはや当接によって作製されるのではなく、制動要素(310)をノッチ(110)のうちの1つに嵌め込むことによって生成される。この実施形態はまた、第2の構造(200)に対する第1の構造(100)の任意の相対位置で停止部を得ることを可能にするのではなく、ノッチ(110)の周期性に対応する割り出し位置で停止部を得ることを可能にするという点で、先行実施形態とは異なる。この実施形態はまた、制動要素(310)が当該第1の構造及び第2の構造の両方の相対移動方向において停止を系統的に実行するという点で異なる。最後に、この実施形態は、強磁性体(210)の異なる磁気状態が、2つの磁石(215、216)と、磁石(215)を少なくとも部分的に囲むコイル(250)との協働によって得られるという点で、先行実施形態とは異なる。磁石(215)は、コイル(250)に電気供給することによってその振幅及びその磁化方向を容易に調節することができるように、100kA/m未満の低保磁力を有する。第2の磁石(216)は、100kA/mよりも大きい強い保磁力を有するので、コイル(250)に電気が供給されてもその磁化は変更されない。
【0109】
図16aは、両方の構造(100、200)の自由な相対回転を可能にする強磁性体(201)の磁気状態にあるこの停止デバイスを示しており、図16bは、制動要素(310)を第1の構造のノッチ(110)に係合させることを可能にする強磁性体(201)の磁気状態にある当該停止デバイスを有する。
【0110】
最後に、このデバイスが停止位置の割り出しを有する場合であっても、強磁性体(210)の磁気状態は、第1の構造(100)及び第2の構造(200)の任意の相対位置において変更することができ、制動要素(310)がノッチ(110)に係合するまで、第1の構造(100)の外周上の制動要素(310)の摩擦をもたらす。
【0111】
図17は、本発明による割り出しデバイスにおけるこの停止部の代替例の一体化を示している。次いで、第1の構造(100)は、第2の構造(200)の周期的なノッチ(110)を画定する歯(11)と協働する歯(2)を有する。次いで、この第2の構造は、第2のコイル(8)によって部分的に囲まれた低保磁力の第3の磁石(7)を有し、第2の構造の磁化状態は、
-2つの構造(100、200)の相対移動中の力の周期的可変モードと、
-2つの構造の相対移動中の自由回転モードと、
-2つの構造がもはや互いに対して移動することができない停止モードと、を発生させるように、コイル(8、250)のうちの一方又は他方の供給によって変更することができる。
【0112】
例示的な用途
本発明による触覚制御デバイスは、特に、表示画面(304)を補足するように意図されており、その一例が図18に示されている。歯付き構造(11)は、画面(304)と関連付けられ、構造(100)は、周辺リング(308)によって駆動される。制御デバイス(307)の窪んだ中央部分(305)は、デバイスの中央に情報、例えば音量レベルを表示するために、画面(306)がその中に収容されることを可能にする。代替バージョンでは、歯付き構造は、画面(304)の表面に直接結合され、画面(306)は、制御デバイスの窪んだ中央部分(305)を通して見える画面(304)の一部である。
【0113】
本出願は、表示画面、特にタッチ画面の柔軟性を、機械的ボタンの精度、ディスプレイと様々な制御モードとの間の永続的な機能的相互作用、画面を介した触知、又は制御デバイスを介した触覚と関連付ける動的なマンマシンインターフェース(man-machine interface、MMI)を生成することを可能にする。
【0114】
この解決策は、車両操作、快適性、及びインフォテインメント機能に関連する多数の機能を制御する、自動車、例えば電気自動車の集中MMIに特に好適である。特定の機能、特に技法は重要であり、例えば、運転モード(スポーツ、エコノミーなど)及びタッチ画面上で指を単にスライドさせることは、満足のいく感覚を与えない。したがって、本発明によるデバイスの触覚フィードバックはより適切である。
【0115】
温度調整などの他の機能については、微調整領域に迅速に到達することができることが望ましく、この場合、本発明によって可能になる割り出しの柔軟性は、回転ピッチを動的に調整することを可能にする。
【0116】
同様の用途は、家庭用器具、例えば、ガラスセラミック又は誘導調理プレートに関するものであり、そこでは、プレート上に配置された制御ボタンの割り出しを制御することが、有利にはテキスト又はグラフィック情報の中央凹部を通して視認することができ、プレートの制御を拡張することを可能にする。
【0117】
別の用途は、音響レベル、チャネル又は局の選択を制御するために、制御された割り出しを有する同じボタンを使用することを可能にするオーディオビジュアル機器の制御に関するものである。
【0118】
別の機能は、ユーザの個人化された習慣に対応する動作モードを制御するために、使用モードの各々について、最も頻繁な位置を記録することに関する。この目的のために、コンピュータは、頻繁な組み合わせを判定するために、制御デバイスの状態、特にコイル(250)の供給状態及び制御ボタンの位置を周期的に記録する。
【0119】
代替実施形態
一代替実施形態によれば、位置センサ(10)によって送達される電気信号は、制御部材の移動速度を表す信号を提供するために導出される。このように処理された信号は、部材の動作力学の関数として力を動的に調節することを可能にし、例えば、運動の精度を改善するために低速運動中にノッチのピッチを減少させてそれらの効果を増加させ、反対に、より高速での運動中にノッチのピッチを増加させてそれらの振幅を減少させる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14
図15
図16a
図16b
図17
図18
【国際調査報告】