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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】血管閉塞物の通過
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580973
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 IL2022050716
(87)【国際公開番号】W WO2023281500
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,421
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524001684
【氏名又は名称】ヴェインウェイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VEINWAY LTD.
【住所又は居所原語表記】8 Ariel Sharon Street, P.O. Box 619, Or-Yehuda, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポラック ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】アタロット ガル
(72)【発明者】
【氏名】フェルド タンハム
(72)【発明者】
【氏名】フリエセム ベン アダム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE30
(57)【要約】
閉塞された静脈を通過させるための装置であって、(a)少なくとも1つの管腔を画定する血管内カテーテル本体と、(b)前記カテーテルの遠位端にある半径方向に拡張可能なアンカーと、(c)管腔によって拡張可能なアンカーの遠位の点に送達されるようなサイズ及び形状を有する貫通ツールであって、先端部を含み、1週間経過を超える静脈閉塞物を通して押し込まれるように構成され、1MPaを超えるヤング率を呈する、貫通ツールと、を含む装置。任意選択で、貫通ツール先端部は、鋭利な先端部を備える。任意選択で、または加えて、貫通ツール先端部は、制御可能に屈曲可能である。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞された静脈を通過させるための装置であって、
(a)少なくとも1つの管腔を画定する血管内カテーテル本体と、
(b)前記カテーテルの遠位端にある半径方向に拡張可能なアンカーと、
(c)前記管腔によって前記半径方向に拡張可能なアンカーの遠位の点に送達されるようなサイズ及び形状を有する貫通ツールであって、先端部を含み、1週間経過を超える静脈閉塞物を通して押し込まれるように構成され、1MPaを超えるヤング率を有する、貫通ツールと、を備える、前記装置。
【請求項2】
前記貫通ツールの先端部が鋭利な先端部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記先端部が中空である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ツールが、固体のそのような閉塞物を通して押し込まれるのに十分な剛性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記貫通ツールが前記管腔内で回転するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記閉塞物が少なくとも50MPaのヤング率を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記閉塞物が、少なくとも30体積%の線維症組織及び/または少なくとも30体積%のコラーゲンの含有量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記貫通ツールが、前記先端部が操縦可能であるように、その遠位端における屈曲位置で屈曲可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記貫通ツールが、0~60度の間で選択可能な角度で屈曲可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記貫通ツールが、その予備切断によって前記屈曲に適合され、前記予備切断は、予め選択された屈曲角度に達した後に屈曲に抵抗する切り込みを、前記貫通ツールの凹側に画定することを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記貫通ツールが、その予備切断によって前記屈曲に適合され、前記予備切断は、前記貫通ツールの腹側及び背側に異なるパターンの切り込みを使用し、前記パターンの1つは、屈曲に抵抗するように構成され、前記パターンの別の1つは、屈曲を補助するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記貫通ツールが、その遠位側に取り付けられたプルワイヤを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記貫通ツールが予め屈曲されている、請求項8または請求項12に記載の装置。
【請求項14】
スタイレットであって、前記屈曲位置内にあるときに、前記屈曲位置において前記貫通ツールの形状を選択的に変化させるように構成された前記スタイレットを備える、請求項8~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記貫通ツールが超弾性材料から形成されている、請求項8~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記管腔内かつ前記貫通ツールの外側で軸方向にスライド可能なシースを備え、前記貫通ツールを成形するように構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記拡張可能なアンカーが1つ以上のバルーンを備える、請求項1~16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記バルーンが、(i)前記バルーンの最大直径の20%未満の直径を有する前記バルーンの最遠位セクションと、(ii)前記最大直径の80%を超える直径を有する前記バルーンのより近位のセクションと、の間で3mm未満の距離を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記バルーンが、軸方向に面する遠位陥凹部を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記バルーンの膨張を制御するために使用されるハンドルを備える、請求項17~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記ハンドルが、前記貫通ツールを回転及び/または屈曲させための第1の制御部と、前記貫通ツールを前進及び後退させるための第2の制御部とを備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ハンドルが、前記貫通ツールを屈曲させるための制御部を備える、請求項20または請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記バルーンが、
血管に挿入するためのサイズ及び形状を有する可撓性本体であって、前記本体は軸方向に沿って延び、前記本体は前記本体の静止状態において最大拡張直径を有する第1の軸方向位置を画定する、前記可撓性本体を備え、
前記本体は、前記第1の軸方向位置以外の軸方向位置において少なくとも1つの円周方向に延びる幾何形状を画定し、前記幾何形状は、前記本体の折り畳みを補助するように構成されている、請求項17~22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記貫通ツールの先端部の予想される屈曲方向を示す少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備える、請求項1~22のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
静脈中の閉塞物を通過させる方法であって、
(a)閉塞物位置に隣接する静脈内の位置まで血管を介してカテーテルを前進させることと、
(b)前記カテーテルをその一部分の半径方向の拡張によって固定することと、
(c)貫通ツールを強制的に前記カテーテルの管腔から出して前記閉塞物内に入れることと、を含み、
前記閉塞物は、1週間経過を超える静脈閉塞物である、前記方法。
【請求項26】
前記閉塞物が1MPaを超えるヤング率を示す、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記閉塞物が、線維性及びコラーゲン性の弾性瘢痕組織を含む、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記強制することが、前記閉塞物の容積に穴をあけることによって、その中のマイクロチャネルを通過するのではなく貫通することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記静脈が、10~200mmの屈曲半径を有する少なくとも2つの閉塞された屈曲を含み、前記貫通ツールの先端部を操縦して前記静脈の前記管腔内に前記ツールを維持することを含む、請求項25または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記貫通ツールを回転させることを含む、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記貫通ツールの配向を変更することを含む、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記一部分を半径方向に収縮させることと、前記カテーテルを前記閉塞物の中に前進させることと、(b)及び(c)を複数回繰り返すことと、を含む、請求項25~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記繰り返すことが、それによって、横断する閉塞物のすべてのセクションについて、長さが2.5cmを超える閉塞物及びすべての方向及びすべての平面における1~2個の任意の蛇行τを通過させることを含み、τは、湾曲セクションについて、前記セクションの端部間の距離に対するセクションの湾曲の長さの比として定義され、前記閉塞物は、一定の曲率の符号のセクションに分割されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記固定することが、バルーンを使用して固定することを含み、前記半径方向の拡張が、前記貫通ツールによって形成される通路を広げる、請求項32または請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記貫通の先端部が位置する組織の材料特性を推定することを含み、
(a)先端部変形体を前記先端部に沿って前進させることであって、前記変形体は前記先端部とは異なる軸方向幾何形状を有し、前記先端部よりも剛性である、前記前進させることと、
(b)前記先端部変形体の前進に応答して前記先端部の幾何形状の変化を検出することと、を含む、請求項25~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
血管内バルーンであって、
血管に挿入するためのサイズ及び形状を有する可撓性本体であって、前記本体は軸方向に沿って延び、前記本体は前記本体の静止状態において最大拡張直径を有する第1の軸方向位置を画定する、前記可撓性本体を備え、
前記本体は、前記第1の軸方向位置以外の軸方向位置において少なくとも1つの円周方向に延びる幾何形状を画定し、前記幾何形状は、前記本体の折り畳みを補助するように構成されている、前記血管内バルーン。
【請求項37】
前記本体が半伸展性である、請求項36に記載の血管内バルーン。
【請求項38】
前記本体が細長いシャフト上に密封可能に取り付けられている、請求項36または請求項37に記載の血管内バルーン。
【請求項39】
前記幾何形状が半径方向クリンプを含む、請求項36~38のいずれか1項に記載の血管内バルーン。
【請求項40】
前記幾何形状が、前記第1の軸方向位置の遠位側に位置し、製造中に、前記本体のより遠位側の部分の、前記本体のより近位側への反転を支持するように構成されている、請求項36~39のいずれか1項に記載の血管内バルーン。
【請求項41】
前記幾何形状が、前記第1の軸方向位置の近位側に位置し、前記バルーンの収縮中に前記バルーンの折り畳みをガイドして、半径方向に優先的にしぼむように構成されている、請求項36~40のいずれか1項に記載の血管内バルーン。
【請求項42】
貫通先端部が位置する組織の材料特性を推定する方法であって、
(a)先端部変形体を前記先端部に沿って前進させることであって、前記変形体は前記先端部とは異なる軸方向幾何形状を有し、前記先端部よりも剛性である、前記前進させることと、
(b)前記先端部変形体の前進に応答して前記先端部の幾何形状の変化を検出することと、を含む、前記方法。
【請求項43】
前記先端部変形体が、前記先端部を越えて前進させられるシースを備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記先端部が、血管内に位置するツールの一部であり、前記検出された変化に基づいて前記先端部が前記血管内にあるか否かを評価することを含む、請求項42または請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記検出された変化に基づいて、前記先端部が前記血管の閉塞の内側にあるか否かを評価することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記先端部を前進させ、血管に閉塞を通過させながら、前記(a)及び前記(b)を複数回繰り返すことを含む、請求項44~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記血管が慢性閉塞末梢静脈である、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記先端部が屈曲され、前記先端部変形体が真っ直ぐである静止状態を有する、請求項42~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記検出することが、前記先端部を含むツール内の屈曲指示センサを用いて、または撮像を用いて検出することを含む、請求項42~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記先端部変形体によって加えられる変形力が、前記変形に対する前記先端部の抵抗よりも大きく、前記抵抗と静脈慢性閉塞の抵抗との和よりも小さい、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、同じタイトル及び発明者による2021年7月5日に出願された米国仮特許出願第63/218,421号の優先及び米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、血管の閉塞物を通過させることに関し、より具体的には、限定されるものではないが、静脈の閉塞物を通過させるためのカテーテル及び方法に関する。
【0003】
慢性静脈閉塞(Chronic Venous Occlusion、CVO)は、典型的には、慢性深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis、DVT)、血栓症後症候群(Post-Thrombotic Syndrome、PTS)、またはMay-Thurner病のいずれかから発症する。DVTは、腸骨静脈または大腿静脈などの末梢静脈における血餅として始まる。血餅は、血流が低いために形成され、これは、長時間座っていること、例えば、飛行中、または年齢、喫煙、及び心血管疾患に関連する他の危険因子から生じ得る。DVT血餅が、溶解またはカテーテル血栓溶解療法(catheter directed thrombolysis、CDT)によって完全に溶解されない場合、それは、軟血栓から線維性コラーゲンベースの瘢痕組織に変化する。未溶解DVTは、肺への血流を遮断する肺塞栓症をもたらし得る。静脈閉塞物はまた、腫脹したまたは重い脚、痛み、歩行困難、及び皮膚潰瘍の臨床症状を生じ得る。閉塞が溶解されない場合、潰瘍は進行し得るが、これは致死性である疾患ではない。疼痛にもかかわらず、患者は、しばしば、何年にもわたってこれらの閉塞をかかえたまま生存する。
【0004】
これらの閉塞に関する健康管理提供者が直面する1つの課題は、閉塞を開くことである。現在の治療、例えば血液希釈剤(調合薬)及び圧迫ストッキングは、主に潰瘍の長期治癒には有効でなく、痛みの原因、すなわち閉塞自体を治療することができない。患者コンプライアンスは、保守的な治療に関する主要な問題である。圧迫ストッキングは、暑いことが多く、適合するのが困難であり、皮膚損傷を引き起こし、1対あたり100ドルもの費用を要し得る。
【0005】
Khaja,M.S.,Chick,J.F.B.,Schuman,A.D.,Cooper,K.J.,Majdalany,B.S.,Saad,W.E., & Williams,D.M.(2017).“Fluoroscopic Targeting of Wallstents and Amplatzer Vascular Plugs in Sharp Recanalization of Chronic Venous Occlusions” in CardioVascular and Interventional Radiology, 40(11), 1777-1783(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、CVO(chronic venous occlusion、慢性静脈閉塞)を横断するための針の使用を示す。
【0006】
Berg,N.J.,Dankelman,J., & Dobbelsteen,J.J.(2017),“Endpoint Accuracy in Manual Control of a Steerable Needle”, in Journal of Vascular and Interventional Radiology,28(2),doi:10.1016/j.jvir.2016.07.018(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、操縦可能な針を記載する。
【0007】
追加の背景技術には、米国特許第2020/0269014号、米国特許第7776062号、米国特許第2015051625号、米国特許第9,737,333号、米国特許第10,744,304号が含まれる。
【発明の概要】
【0008】
以下は、本発明の実施形態のいくつかの例を含むさらなる非排他的なリストである。本発明はまた、以下に明示的に列挙されない場合でも、一例のすべてよりも少ない特徴を含む実施形態、及び複数の例からの特徴を使用する実施形態も含む。
【0009】
実施例1.閉塞された静脈を通過させるための装置であって、
(a)少なくとも1つの管腔を画定する血管内カテーテル本体と、
(b)前記カテーテルの遠位端にある半径方向に拡張可能なアンカーと、
(c)前記管腔によって前記半径方向に拡張可能なアンカーの遠位の点に送達されるようなサイズ及び形状を有する貫通ツールであって、先端部を含み、1週間経過を超える静脈閉塞物を通して押し込まれるように構成され、1MPaを超えるヤング率を有する、貫通ツールと、を備える、前記装置。
【0010】
実施例2.前記貫通ツール先端部が鋭利な先端部を備える、実施例1に記載の装置。
【0011】
実施例3.前記先端部が非対称に鋭利化されている、実施例2に記載の装置。
【0012】
実施例4.前記先端部が対称に鋭利化されている、実施例2に記載の装置。
【0013】
実施例5.前記先端部が中空である、実施例1~3のいずれかに記載の装置。
【0014】
実施例6.前記ツールが、固体のそのような閉塞物を通して押し込まれるのに十分な剛性を有する、実施例1~5のいずれかに記載の装置。
【0015】
実施例7.前記先端部がヒータを含む、実施例1~6のいずれかに記載の装置。
【0016】
実施例8.前記貫通ツールが前記先端部からのRF放射するように構成されている、実施例1~7のいずれか1項に記載の装置。
【0017】
実施例9.前記貫通ツールが前記管腔内で回転するように構成されている、実施例1~8のいずれかに記載の装置。
【0018】
実施例10.前記閉塞物が少なくとも50MPaのヤング率を有する、実施例1~9のいずれかに記載の装置。
【0019】
実施例11.前記閉塞物が少なくとも30体積%の線維症組織の含有量を有する、実施例1~10のいずれかに記載の装置。
【0020】
実施例12.前記閉塞物が少なくとも30体積%のコラーゲンの含有量を有する、実施例1~11のいずれかに記載の装置。
【0021】
実施例13.前記貫通ツールが、前記先端部が操縦可能であるように、その遠位端における屈曲位置で屈曲可能である、実施例1~12のいずれかに記載の装置。
【0022】
実施例14.前記貫通ツールが、0~60度の間で選択可能な角度で屈曲可能である、実施例13に記載の装置。
【0023】
実施例15.前記貫通ツールが、その予備切断によって前記屈曲に適合されている、実施例13に記載の装置。任意選択で、前記予備切断は、予め選択された屈曲角度に達した後に屈曲に抵抗する切り込みを、前記貫通ツールの凹側に画定することを含む。任意選択で、または加えて、前記予備切断は、前記貫通ツールの腹側及び背側に異なるパターンの切り込みを使用し、前記パターンの1つは、屈曲に抵抗するように構成され、前記パターンの別の1つは、屈曲を補助するように構成されている。
【0024】
実施例16.前記貫通ツールが、その遠位側に取り付けられたプルワイヤを備える、実施例13に記載の装置。
【0025】
実施例17.前記貫通ツールが予め屈曲されている、実施例13または実施例16に記載の装置。
【0026】
実施例18.前記管腔は、前記屈曲位置が剛性化された管腔セクション内にあるときに、前記屈曲位置において前記貫通ツールを真っ直ぐにするのに十分に剛性の前記剛性化された管腔セクションを含む、実施例13または実施例16に記載の装置。
【0027】
実施例19.スタイレットであって、前記屈曲位置内にあるときに、前記屈曲位置において前記貫通ツールの形状を選択的に変化させるように構成された前記スタイレットを備える、実施例13~18のいずれかに記載の装置。
【0028】
実施例20.前記貫通ツールが超弾性材料から形成されている、実施例13~18のいずれかに記載の装置。
【0029】
実施例21.前記管腔内かつ前記貫通ツールの外側で軸方向にスライド可能なシースであって、任意選択で、前記貫通ツールがそこを介して通過する際に前記貫通針を成形する、前記軸方向にスライド可能なシースを備える、実施例1~20のいずれかに記載の装置。
【0030】
実施例22.前記拡張可能なアンカーが1つ以上のバルーンを備える、実施例1~21のいずれかに記載の装置。
【0031】
実施例23.前記バルーンが、(i)前記バルーンの最大直径の20%未満である最遠位セクションと、(ii)前記最大直径の80%を超える直径を有するより近位のセクションと、の間で3mm未満の距離を有する、実施例22に記載の装置。
【0032】
実施例24.前記バルーンが、軸方向に面する遠位陥凹部を有する、実施例22に記載の装置。
【0033】
実施例25.ハンドルを備え、前記ハンドルは、前記バルーンのための膨張流体を収容するチャンバを任意選択で含み、外部膨張デバイスを必要とせずにこのチャンバから前記バルーンを能動的に膨張させることができる、実施例22~24のいずれかに記載の装置。
【0034】
実施例26.前記ハンドルが、前記貫通ツールを回転及び/または屈曲させための第1の制御部と、前記貫通ツールを前進及び後退させるための第2の制御部とを備える、実施例25に記載の装置。
【0035】
実施例27.前記ハンドルが、前記貫通ツールを屈曲させるための制御部を備える、実施例25または実施例26に記載の装置。
【0036】
実施例28.前記アンカー及び装置が、前記貫通先端部が前記アンカーを出る遠位出口点を画定し、前記アンカーは、前記貫通先端部より大きい直径を有し、前記出口点を超えて少なくとも1mm遠位に延びる部分を含む、実施例1~27のいずれかに記載の装置。
【0037】
実施例29.前記貫通ツール先端部の予想される屈曲方向を示す少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備える、実施例1~27のいずれかに記載の装置。
【0038】
実施例30.静脈中の閉塞物を通過させる方法であって、
(a)閉塞物位置に隣接する静脈内の位置まで血管を介してカテーテルを前進させることと、
(b)前記カテーテルをその一部分の半径方向の拡張によって固定することと、
(c)貫通ツールを強制的に前記カテーテルの管腔から出して前記閉塞物内に入れることと、を含み、
前記閉塞物は、1週間経過を超える静脈閉塞物である、前記方法。
【0039】
実施例31.前記閉塞物が1MPaを超えるヤング率を示す、実施例30に記載の方法。
【0040】
実施例32.前記閉塞物が、線維性及びコラーゲン性の弾性瘢痕組織を含む、実施例30または実施例31に記載の方法。
【0041】
実施例33.前記強制することが、前記閉塞物の容積に穴をあけることによって、その中のマイクロチャネルを通過するのではなく貫通することを含む、実施例30に記載の方法。
【0042】
実施例34.前記静脈が、10~200mmの屈曲半径を有する少なくとも2つの閉塞された屈曲を含み、前記貫通ツールの先端部を操縦して前記静脈の前記管腔内に前記ツールを維持することを含む、実施例30または実施例33に記載の方法。
【0043】
実施例35.前記貫通ツールを回転させることを含む、実施例30~34のいずれかに記載の方法。
【0044】
実施例36.前記貫通ツールの配向を変更することを含む、実施例30~34のいずれかに記載の方法。
【0045】
実施例37.前記強制することが、前記貫通ツールで前記閉塞物をコアリングすることを含む、実施例30~36のいずれかに記載の方法。
【0046】
実施例38.前記強制することが、前記閉塞物を軟化するために前記貫通の先端部にエネルギーを印加することを含む、実施例30~37のいずれかに記載の方法。
【0047】
実施例39.前記エネルギーが熱及び/またはRFを含む、実施例38に記載の方法。
【0048】
実施例40.前記部分を半径方向に収縮させることと、前記カテーテルを前記閉塞物の中に前進させることと、(b)及び(c)を複数回繰り返すことと、を含む、実施例30~39のいずれかに記載の方法。
【0049】
実施例41.前記繰り返すことが、それによって、横断する閉塞物のすべてのセクションについて、長さが2.5cmを超える閉塞物及びすべての方向及びすべての平面における1~2個の任意の蛇行τを通過させることを含み、τは、湾曲セクションについて、前記セクションの端部間の距離に対するセクションの湾曲の長さの比として定義され、前記閉塞物は、一定の曲率の符号のセクションに分割されている、請求項40に記載の方法
【0050】
実施例42.前記固定することが、バルーンを使用して固定することを含み、前記半径方向の拡張が、前記貫通ツールによって形成される通路を広げる、実施例40~41のいずれかに記載の方法。
【0051】
実施例43.血管内バルーンであって、
血管に挿入するためのサイズ及び形状を有する可撓性本体であって、前記本体は軸方向に沿って延び、前記本体は前記本体の静止状態において最大拡張直径を有する第1の軸方向位置を画定する、前記可撓性本体を備え、
前記本体は、前記第1の軸方向位置以外の軸方向位置において少なくとも1つの円周方向に延びる幾何形状を画定し、前記幾何形状は、前記本体の折り畳みを補助するように構成されている、前記血管内バルーン。
【0052】
実施例44.前記本体が半伸展性である、実施例43に記載の血管内バルーン。
【0053】
実施例45.前記本体が細長いシャフト上に密封可能に取り付けられている、実施例43または実施例44に記載の血管内バルーン。
【0054】
実施例46.前記幾何形状が半径方向クリンプを含む、実施例43~45のいずれかに記載の血管内バルーン。
【0055】
実施例47.前記幾何形状が、前記第1の軸方向位置の遠位側に位置し、製造中に、前記本体のより遠位側の部分の、前記本体のより近位側への反転を支持するように構成されている、実施例43~46のいずれかに記載の血管内バルーン。
【0056】
実施例48.前記幾何形状が、前記第1の軸方向位置の近位側に位置し、前記バルーンの収縮中に前記バルーンの折り畳みをガイドして、半径方向に優先的にしぼむように構成されている、実施例43~47のいずれかに記載の血管内バルーン。
【0057】
実施例49.貫通先端部が位置する組織の材料特性を推定する方法であって、
(a)先端部変形体を前記先端部に沿って前進させることであって、前記変形体は前記先端部とは異なる軸方向幾何形状を有し、前記先端部よりも剛性である、前記前進させることと、
(b)前記先端部変形体の前進に応答して前記先端部の幾何形状の変化を検出することと、を含む前記方法。
【0058】
実施例50.前記先端部変形体が、前記先端部を越えて前進させられるシースを備える、実施例49に記載の方法。
【0059】
実施例51.前記先端部変形体が、前記先端部の管腔内で前進させられるスタイレットを備える、実施例49に記載の方法。
【0060】
実施例52.前記先端部が、血管内に位置するツールの一部である、実施例49~51のいずれかに記載の方法。
【0061】
実施例53.前記検出された変化に基づいて、前記先端部が前記血管内にあるか否かを評価することを含む、実施例52に記載の方法。
【0062】
実施例54.前記検出された変化に基づいて、前記先端部が前記血管の閉塞の内側にあるか否かを評価することを含む、実施例52または実施例53に記載の方法。
【0063】
実施例55.前記先端部を前進させ、血管に閉塞を通過させながら、前記(a)及び前記(b)を複数回繰り返すことを含む、実施例52~54のいずれかに記載の方法。
【0064】
実施例56.前記血管が慢性閉塞末梢静脈である、実施例52~55のいずれかに記載の方法。
【0065】
実施例57.前記先端部が屈曲され、前記先端部変形体が真っ直ぐである静止状態を有する、実施例49~56のいずれかに記載の方法。
【0066】
実施例58.前記先端部が、少なくとも45度の弧にわたって屈曲される、実施例57に記載の方法。
【0067】
実施例59.前記先端部が屈曲されている静止状態を有する、実施例57または実施例58に記載の方法。
【0068】
実施例60.前記先端部が能動的に屈曲されている、実施例57または実施例58に記載の方法。
【0069】
実施例61.前記検出することが、X線撮像を用いて検出することを含む、実施例49~60のいずれかに記載の方法。
【0070】
実施例62.前記検出することが、超音波撮像を用いて検出することを含む、実施例49~61のいずれかに記載の方法。
【0071】
実施例63.前記検出することが、前記先端部を含むツール内の屈曲指示センサを用いて検出することを含む、実施例49~62のいずれかに記載の方法。
【0072】
実施例64.前記先端部変形体によって加えられる変形力が、前記変形に対する前記先端部の抵抗よりも大きく、前記抵抗と静脈慢性閉塞の抵抗との和よりも小さい、実施例49~63のいずれかに記載の方法。
【0073】
別段の定義の無い限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実践または試験には、本明細書に記載したものと類似または同等の方法及び材料を用いることができるが、例示的な方法及び/または材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。ここで図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本発明の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることを強調しておく。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞された静脈及び閉塞物を通過させるための閉塞物貫通器を示す概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器の動作のトップレベルフローチャートである。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器の画像である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用する方法の詳細なフローチャートである。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図9B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図11A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図11B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図13】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図14】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図15A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器を使用して閉塞物を通過させるプロセスにおける段階を図示する。
図15B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物が横断され得る回旋状静脈を図示する。
図16A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器の断面図である。
図16B】本発明のいくつかの実施形態による、配向を示すために有用であり得る、放射線不透過性マーカーを伴う貫通先端部を示す。
図17】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システムの断面図である。
図18】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システムの貫通先端部のデザインを示す。
図19】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システムの貫通先端部のデザインを示す。
図20A】本発明の例示的な実施形態による、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを使用する貫通先端部の例示的な屈曲を概略的に示す。
図20B】本発明の例示的な実施形態による、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを使用する貫通先端部の例示的な屈曲を概略的に示す。
図20C】本発明の例示的な実施形態による、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを使用する貫通先端部の例示的な屈曲を概略的に示す。
図20D】本発明の例示的な実施形態による、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを使用する貫通先端部の例示的な屈曲を概略的に示す。
図20E】本発明の例示的な実施形態による、例示的な先端部切り取りデザインを示す。
図20F】本発明のいくつかの実施形態による、単一平面及び単一方向屈曲貫通先端部の平面図である。
図21A】本発明のいくつかの実施形態による、スタイレットに基づく屈曲を示す、閉塞物貫通器システムの先端部の断面図である。
図21B】本発明のいくつかの実施形態による、スタイレットに基づく屈曲を示す、閉塞物貫通器システムの先端部の断面図である。
図22】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンの断面図である。
図23A】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23B】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23C】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23D】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23E】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23F】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23G】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23H】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23I】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23J】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンのデザインを示す。
図23K】本発明のいくつかの実施形態による、1つ以上のクリンプを含む反転可能なバルーンを示す。
図23L】本発明のいくつかの実施形態による、1つ以上のクリンプを含む反転可能なバルーンを示す。
図24A】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンを伴う閉塞物貫通システムの断面図を示す。
図24B】本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック部を有するバルーンを伴う閉塞物貫通システムの断面図を示す。
図24C】本発明のいくつかの実施形態による、BPSの側断面図である。
図24D】本発明のいくつかの実施形態による、BPSの先端部における様々な層を示す正面図である。
図24E】本発明のいくつかの実施形態による、屈曲した貫通先端部を示すBPSの先端部の側面図である。
図25A】本発明のいくつかの実施形態による、非対称バルーンデザインを示す。
図25B】本発明のいくつかの実施形態による、バルーン膨張管腔のデザインを示す。
図25C】本発明のいくつかの実施形態による、バルーン膨張管腔のデザインを示す。
図25D】本発明のいくつかの実施形態による、バルーン膨張管腔のデザインを示す。
図25E】本発明のいくつかの実施形態による、バルーン膨張管腔のデザインを示す。
図25F】本発明のいくつかの実施形態による、BPS用のマルチチャンババルーンデザインを示す。
図26】本発明のいくつかの実施形態による、活性エネルギー蓄積を有する閉塞物貫通システムの先端部の断面図を示す。
図27】本発明のいくつかの実施形態による、活性エネルギー蓄積を有する閉塞物貫通システムの先端部の断面図を示す。
図28】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システム用のハンドルのブロック図である。
図29A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システムを操作するためのハンドルの概略図である。
図29B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システムを操作するためのハンドルの概略図である。
図29C】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システムを操作するためのハンドルの概略図である。
図30】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システムを操作するためのハンドルの概略図である。
図31】本発明の例示的な実施形態による、組織特性推定の方法のフローチャートである。
図32】本発明のいくつかの実施形態による、屈曲した貫通先端部及び血管内の閉塞内のシースを示す。
図33】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞における前進する湾曲した貫通先端部に対する力を示す。
図34A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の外側の開始位置における湾曲した貫通先端部を示す。
図34B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の内側の開始位置における湾曲した貫通先端部を示す。
図35A】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の外側のシースに沿ってシースを前進させた後の湾曲した貫通先端部を示す。
図35B】本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の内側のシースに沿ってシースを前進させた後の湾曲した貫通先端部を示す。
図36A】本発明のいくつかの実施形態による、血管に沿った矯正シースの前進の前の、血管から延びる湾曲した貫通先端部を示す。
図36B】本発明のいくつかの実施形態による、血管に沿った矯正シースの前進の後の、血管から延びる湾曲した貫通先端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、血管の閉塞物を通過させることに関し、より具体的には、限定されるものではないが、静脈の閉塞物を通過させるためのカテーテル及び方法に関する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態の広範な態様は、静脈、例えば、深部静脈における閉塞物の通過に関する。本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物は安定であり、線維性材料及びコラーゲンの一方または両方を含み、しばしば瘢痕組織に似ている。本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物は、閉塞された静脈を通る血流を、元の静脈直径の少なくとも80%、90%、95%、98%、またはさらには100%、または中間のパーセンテージだけ減少させ、潜在的にあらゆる血流が通過するのを防止するという点で完全である。いくつかの実施形態では、介入を必要とする適切な排液を防止するために、十分な静脈が閉塞される。本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物を通過させることは、通過中及び/または通過後に、排液のための静脈の機能性を再開するための流路を作成することを含む。本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物の一部、例えば、全閉塞物部分の5%、10%、20%、30%、50%またはそれ以下またはその中間またはそれ以上の容量パーセントが本体から除去される。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物付近でシステムを拡張し固定するように構成されたバルーンなどの局所安定器と、バルーンを通して、またはバルーンによって閉塞物内に延びる貫通ツールとを含む、静脈閉塞物貫通システムが提供される。本発明のいくつかの実施形態では、システム(例えば、バルーン及び/または貫通チューブ)は、ガイドワイヤ上の送達をサポートするためのガイドワイヤチャネルを含む。他の実施形態では、ガイドワイヤは提供されない。本発明のいくつかの実施形態では、貫通ツールは、前記システムの細長い長手方向軸に対して屈曲可能である。任意選択で、または加えて、貫通ツールは、前記長手方向軸の周りで回転可能である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態の特定の特徴は、動脈閉塞物とは異なったものを呈する静脈閉塞物に関する。典型的には、静脈線維性閉塞は、静脈を完全に閉塞するゴム状物質として存在する。バルーン及びステントを用いてこのような閉塞物を開くことに伴う潜在的な問題は、医師が開かれていない病変を横切ってガイドワイヤをトラッキングしようとする場合に生じる。ガイドワイヤは、バルーン及びステントの「トラッキング」を提供する。このようなトラッキングは、このような病変の線維性及び閉塞性のために困難であることが多い。典型的なプロセスでは、医師は、閉塞の内側にガイドワイヤを他方の側に導くマイクロチャネルを見つけようとする。しかしながら、迷路のように、医師が後退して別の通路を試さなければならない複数の「行き止まり」が存在し得る。適切な撮像の欠如により、多くのバックトラッキングを伴うプロセスの試行錯誤となることが多い。最大10%の症例において、医師は病変を横切ることができない。多くの場合、「成功裏の」横切りは、最大6時間を要し、最大5本のガイドワイヤを使用し得る。この横切りができないことで、病院は著しい時間及び金銭を費やす。また、米国では、手術が中止されると、保険会社から提供される部分払い戻しのみが提供される。本発明のいくつかの実施形態によれば、マイクロチャネルを介さずに閉塞物を貫通することもできる貫通ツールは、横切り時間の短縮に寄与し得る。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、静脈閉塞物の貫通に関する。本発明のいくつかの実施形態では、このような静脈閉塞物は、新鮮な血栓と比較して、より硬く、及び/または粘着性があり、及び/または高度に弾性のゴム様である。例えば、そのような非新鮮血栓は、14、30、60、90日またはその中間の時間を超えて、または最大10年までなど、それより長く、もとの位置に存在し得る。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通は、ガイドワイヤよりも剛性の高い及び/または鋭利なツールを使用することによって補助される。血管ガイドワイヤは、非外傷性で可撓性であるそれらの能力に対して選択されることが多いことに留意されたい。本発明のいくつかの実施形態では、ツールは、高い屈曲弾性率及び、例えば1GPaを超えるコラム強度を有する剛性である。任意選択で、または加えて、ツールは、10MPa、100MPa、1000MPaを超えるヤング率、または中間もしくはより大きい弾性率を有する弾性材料に押し込み可能であるように(剛性、直径が)構成される。任意選択で、または加えて、貫通ツールは鋭利にされる。本発明のいくつかの実施形態では、貫通ツールは、中空の先端部を含む。任意選択で、中空の先端部を使用して、ツールの有効断面を縮小し、任意選択で、真空を使用して、閉塞物のコアリングされた部分を吸い出す。任意選択で、または加えて、中空の先端部を使用して、貫通ツールのガイド及び/または補強に使用されるスタイレットを受容する。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、(例えば、カテーテルのシャフトの内側であるが)貫通ツールを取り囲む中空シースが設けられ、この中空シースは、予め屈曲されてもよいし、または真っ直ぐであってもよく、貫通ツールの少なくとも一部をシースの幾何形状に強制的に適合させるように機能する。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、シースは、加えて、または代替として、予め屈曲されているツールに対して予め屈曲されている。任意選択で、これは、シースの回転によって、シースから外への貫通ツールの延長の前に、貫通の方向を制御するために使用される。そのような制御は、シースが(例えば、周囲シースまたは内部スタイレットによって)真っ直ぐに維持されている間にさえ適用され得る。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通ツールの先端部は、貫通を補助するためにエネルギー蓄積を使用し、例えば、先端部は、熱及び/または放射を送達し得、これは、閉塞物を軟化させ得、潜在的に、より容易な、及び/またはより滑らかな貫通を提供し得る。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、閉塞物通過の方法は、閉塞物を貫通ツールで貫通することと、拡張可能な構造体を閉塞物の中に前進させることと、構造体を拡張させることと、貫通ツールをさらに前進させることと、を含む。任意選択で、貫通ツールは、貫通システムの長手方向軸に対してある角度で前進させられ、例えば、操縦される。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、操縦可能な静脈貫通ツールに関する。本発明のいくつかの実施形態では、そのような操縦は、貫通ツールをガイドするために使用され、したがって貫通ツールは、静脈が屈曲するとき、及び/または閉塞物による偏向に起因して、静脈内を移動し、静脈の壁から出ない。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、ツール先端部は、予め屈曲されているが、例えば、システムのバルーンアンカー内に少なくとも部分的に位置する周囲シースによって、真っ直ぐな構成に維持される。先端部が十分に前進させられて、予め屈曲された部分をシースの外に延ばすと、先端部は側方に屈曲し、操縦を提供する。先端部のこの実施形態は、任意選択で、形状記憶金属、例えば、ニチノールから作られる。本発明のいくつかの実施形態では、シースは、貫通先端部を囲みながら前進させられる。これにより、先端部による組織への損傷を防止し得る。シースが後退させられると、貫通先端部は、予め屈曲されている場合、屈曲することができる。本発明のいくつかの実施形態では、そのような前進は、閉塞物通過デバイスと閉塞物との間の空間にわたって提供される。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態では、ツール先端部は、先端部を選択的に真っ直ぐにし、かつ/または屈曲させるためのプルワイヤを含む。先端部は、いくつかの実施形態では、屈曲されるか、または真っ直ぐになるように予め成形されてもよい。任意選択で、プルワイヤは、貫通ツールの外壁に形成された溝に位置する。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態では、ツール先端部は、内部予備屈曲スタイレットを使用して操縦される。任意選択で、先端部は、少なくとも部分的にスタイレットの形状に適合する軟化部分を含む。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態では、シースが貫通ツールの上(及びデバイスの管腔内)に設けられ、これは、貫通先端部を成形する(例えば、シースのデザインに応じて、それを真っ直ぐにするかまたは屈曲させるように維持する)のに役立ち得る。任意選択で、シースは、前進可能及び/または回転可能である。
【0091】
このような操縦の潜在的な利点は、比較的長く回旋状に閉塞された静脈、例えば、少なくとも1cm、3cm、5cm、10cm、15cm、20cmの長さまたはそれ以下の長さまたは中間の長さの通過を支持することである。任意選択で、静脈は、異なる平面に、おそらく曲線間に10cm、5cm、3cm未満の一連の曲線を含む。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、蛇行した静脈は、少なくとも1つの、任意選択で2つの曲線を含み、各曲線は、10~100mmの間の屈曲半径を有する。任意選択で、静脈は1~30mmの直径を有する。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態では、治療される静脈は、表在静脈ではなく、例えば、深部静脈であり、おそらく不十分な側副を有する。蛇行した静脈を取り扱う場合、分岐した静脈を回避するか、あるいは分岐した静脈に入ることが重要であり得る。いくつかの実施形態では、これは、本明細書に記載の操縦能力を用いて制御される。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通システムは、蛇行に適した耐キンク性を有するようにデザインされる。例えば、貫通ツール、任意のシース、及びバルーン/シャフトは、例えば、20mm、15mm、10mm、またはそれ以下または中間サイズのキンク半径を有し得る。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、拡張する固定要素と閉塞物との間の間隔を最小化することに関する。本発明のいくつかの実施形態では、拡張可能なアンカーはバルーンであり、バルーンは平坦または凹状の遠位端を含み、そのため、バルーンの固定部分は、遠位にテーパ状のバルーンを使用した場合よりも閉塞物の開始部に近い。本発明のいくつかの実施形態において、バルーンの固定部分と閉塞物のバルーンの遠位先端部との間の距離は、5mm、3mm、2mm、1mm未満またはそれ以下または中間の量である。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、バルーン内の貫通先端部が出る点を越えて遠位に延び、例えば、1mm、2mm、3mm、5mm、または中間もしくはそれ以上の凹部である。本発明のいくつかの実施形態では、バルーン遠位端は、リム及び中央領域(例えば、貫通ツールが通って延びる)が、それらの間のセクションよりも遠位に延在する、凹状ドーナツのように成形される。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、円筒との球交差のように成形され、したがって、平坦な側面を有する。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、球形、卵形及び/または非対称(例えば、一方の端部が他方の端部よりも平ら)である。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、近位テーパを有する球状である。任意選択で、バルーンは、例えば、2mmの段階で6mm~24mmの、いくつかの直径で提供される。任意選択で、または加えて、バルーンは、ターゲットの血管に対してわずかに大きく、例えば、1~3mm大きく、例えば、静脈静止直径の10%~30%だけ大きくなるように選択される。任意選択で、バルーンの長さは2~30mm、例えば2~10mm、10~20mm及び/または20~30mmである。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、閉塞物通過システムの使用の容易さに関する。本発明のいくつかの実施形態では、システムは、繰り返し膨張及び収縮される固定バルーンを使用する。任意選択で、膨張流体は、システムを制御するために使用されるハンドルに貯蔵される。任意選択で、または加えて、ハンドルは、例えば、バルーンに対して貫通ツールを屈曲させ、及び/または回転させるための操縦制御部を含む。任意選択で、または加えて、ハンドルは、バルーンに対して貫通ツールを選択的に前進及び後退させるための前進制御部を含む。
貫通先端部に操作可能なシースが提供される場合、シースを操作(例えば、前進/後退、回転、及び/または屈曲)するための制御部が、ハンドル内に任意選択で提供される。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、例えば、1つ以上の円周クリンプの形態の折り畳み方向付け幾何形状を有するバルーンに関する。本発明のいくつかの実施形態では、円周クリンプは、空にされたときにバルーンの再折り畳みを補助する。任意選択で、または加えて、円周クリンプは、製造中のバルーンの外転を補助する。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、ツール先端部を取り囲む組織タイプを評価することに関する。本発明のいくつかの実施形態では、そのような評価を使用して、貫通先端部が閉塞の内側にあるか否か、及び/またはそのような先端部が血管の外側にあるか否か、及び/または周囲の閉塞がより硬いかもしくは硬くないか、及び/またはそのような先端部が血管の内側にあり、閉塞を過ぎているか、を検出する。
【0100】
そのような評価の潜在的な利点は、閉塞が撮像するのが困難であり、例えば、造影剤を容易に注入することができないことである。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の幾何形状を有する貫通先端部は、異なる幾何形状を有する内側スタイレット及び/または外側シースによってその幾何形状が変更される(または変更されようとする)。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部に加えられる力のバランスが、先端部が変形するか否か、及び変形する量を決定する。例えば、貫通先端部が予め屈曲され、真っ直ぐなシースが先端部を越えて前進させられる場合、周囲の組織の剛性は、先端部が真っ直ぐになるか否かを決定し得る。例えば、組織の抵抗に針の抵抗を加えた値が、シースによって加えられる力よりも大きい場合、先端部は真っ直ぐにならず、または真っ直ぐになり方がより少なく、またはシースが針の曲線に従う。この同じ微積分学は、異なる幾何形状の挿入スタイレットを用いて中空の先端部を真っ直ぐにする(または屈曲させる)場合に適用される。血管の外側の組織、例えば、間質組織の剛性は、静脈障害物の剛性よりも低く、血液の剛性よりも高いことが予想される。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部の剛性及びその弾力性は、屈曲した貫通先端部が、成熟した静脈閉塞にない場合には真っ直ぐになるが、貫通先端部が血管の閉塞されていない管腔内または管腔の外側にある場合には貫通先端部を真っ直ぐにするように選択される。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部のそのような挙動を使用して、貫通先端部が不注意に血管から出たかどうかを検出し、及び/または閉塞が横断したかどうか/いつかを検出する。そのような場合、先端部は、シースによって真っ直ぐにされると予想される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部の幾何形状は、X線画像を用いて特定される。任意選択で、1つ以上の基準マーカーを使用して、先端部の回転態様を判断する。任意選択で、または加えて、超音波撮像装置または他の撮像装置が使用される。任意選択で、または加えて、センサ(例えば、張力センサまたは屈曲センサ)を使用して、先端部幾何形状を報告する。
【0106】
いくつかの実施形態では、障害物の存在は、少なくとも部分的に、シースの前進に対する抵抗に基づいて決定され、そのような抵抗は、例えば、シースがシースと先端部との間及び/またはシースと周囲組織との間で屈曲及び/または摩擦を行う必要性によって引き起こされる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、シースは、親水性コーティングでコーティングされ、及び/または端部からテーパ状を有し、及び/または薄く、その前進に対する抵抗は小さい。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、単一平面で曲がるようにデザインされ、非屈曲方向に対してとは異なる屈曲方向に対する切り込みデザインを含む、切り込み中空チューブの形態の屈曲可能な貫通先端部のデザインに関する。任意選択で、貫通先端部は、一方向にのみ屈曲するようにデザインされる。任意選択で、切り込みは、単一の平面のみで屈曲を促進するように配置される。任意選択で、好ましい屈曲方向がある。いくつかの実施形態では、切り込みは、タブと壁とを含む係合段を画定し、それによって、タブが壁に当接した後に、特定の腹側方向への屈曲が、実質的により抵抗を受ける。これは、曲がった状態での押し込み性を増大させるという潜在的な利点を有する。
【0109】
任意選択で、または加えて、チューブは、背側において、前記腹側とは反対側に、可撓性のための切り込みを含む。これは、オーバーチューブによる成形に対する抵抗を低減するという潜在的な利点を有する。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、異なる係合段は、屈曲に対する異なる抵抗を有し、貫通先端部が屈曲されるにつれて、増加する数のステップが係合されるようになっている。そのような係合は、潜在的に押し込み性を増大させる。本発明のいくつかの実施形態では、ポリマー材料などの圧縮性材料または流動性材料が、例えば係合段において、切り込みによって画定される間隙に提供される。これは、係合段の機械的特性を調節するという潜在的な利点を有する。任意選択で、または加えて、これは、段と壁を位置合わせする潜在的な利点を有する。任意選択で、または加えて、これは、金属同士の接触を低減するという潜在的な利点を有する。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部は予め屈曲されている。任意選択で、または加えて、貫通先端部は、プルワイヤによって屈曲される。
【0112】
切り込みは、均一であってもよく、または、例えば、長手方向及び/または円周方向に変化してもよい(例えば、螺旋構成で配置される)。これは、平面の屈曲における単一の方向以外に、屈曲貫通先端部に対する様々な形状を画定するという潜在的な利点を有する。
【0113】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の記述で記載される、及び/または図面及び/または実施例に例示される、構造の詳細と構成要素及び/または方法の配列とに必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0114】
例示的な静脈閉塞物貫通器
ここで図面を参照すると、図1は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞された静脈100と、静脈100の閉塞物104を通過させるための閉塞物貫通器システム(BPS)102とを示す概略図である。
【0115】
図示のように、貫通先端部106は、任意選択で、入口点101で閉塞物104内に貫通するために使用される。アンカー108、任意選択でバルーンは、任意選択で先端部106及び/またはアンカー先端部106を横断方向に向ける。シャフト110は、任意選択で、身体から外に延び(例えば、血管ポート(図示せず)を通って)、任意選択の制御ハンドル112に接続される。本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル112は、例えば、先端部106及びバルーン108の相対的な操作のための、膨張及び/または操縦のための、1つ以上の制御部114を含む。任意選択で、または加えて、膨張チャンバ116は、アンカー108用の膨張流体をハンドルに貯蔵する。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、BPS102は、拡張可能なアンカー108を使用することによって動作する。本発明のいくつかの実施形態では、BPS102は、最初にガイドワイヤを介して病変部位までトラッキングされるカテーテルの形態である。カテーテルが病変の遠位に位置すると、バルーン108が膨張する。バルーン108が完全に拡張された後、貫通先端部106は遠位方向に前進して閉塞を穿刺する。
【0117】
図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、BPS102の動作のトップレベルフローチャートが示されている。
【0118】
150において、アンカー108(例えば、バルーン)は、閉塞物104の近くの静脈に配置される。以下に示すように、バルーン108内の任意選択の反転ネック部は、バルーン108を閉塞物104に対してより近く配置することを可能にし、及び/またはバルーン108の拡張を可能にして、閉塞物に対して静脈のより大きな断面をクリアする。任意選択で、配置には、バルーン108を膨張させてカテーテルの周りに空間を作り出すこと、及び/またはカテーテルを静脈の中心に配置することが含まれる。任意選択で、または加えて、(例えば、バルーンの側面のオーダーの)空間生成は、貫通先端部106の前進が静脈壁を貫通するリスクを低減するために使用される。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーンの拡張は、静脈壁及び圧縮された閉塞物材料からの反力を引き起こし、これは、BPS102をセンタリングする、及び/または別様に位置合わせするように機能し得、潜在的に、貫通先端部による静脈壁の不注意な貫通のリスクを低減する。
【0120】
任意選択で、152において、貫通ツール先端部106は、例えば、貫通ツールの操縦を使用して、及び/またはバルーン108の再配置及び/または再配向を使用して、閉塞物104に向けられる。
【0121】
154において、貫通先端部106は、閉塞物104内に前進させられる。任意選択で、貫通ツールが前進させられる一方、バルーン108の固定は、バルーン108と静脈100の壁との間の相対運動を防止する。これは、貫通先端部106を強制的に局所静脈壁に対して前方に移動させる。バルーン108によって画定されるシースは、貫通先端部106の横方向の移動を防止し得る。
【0122】
156において、バルーン108は、例えば、最初に収縮され、及び/または貫通先端部106が後退させられた状態で、貫通先端部106によって形成されたコア内に任意選択で前進させられる。このプロセスは、任意選択で、(例えば、ミミズ状の動きをサポートして)1回以上繰り返される。閉塞物104内部のバルーン108の拡張は、それを通るチャネルを広げてもよく、及び/または閉塞物104内部のステント送達と一緒に、またはそれに対する予備として、提供されてもよいことに留意されたい。例えば、ガイドワイヤは、BPS102を通して提供され得、閉塞物コアリングの後、BPS102は、ステントの配置をガイドするために適所にガイドワイヤを残して引き抜かれ得る。任意選択で、標準的なバルーン及びステントは、次いで、ガイドワイヤに沿って追従する。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、BPS102は、腸骨、大腿、及び/または下大静脈を含む慢性閉塞末梢静脈を再疎通させるために使用される。さらに、カテーテルは、血液透析アクセスのために作成された中心静脈カテーテル(CVC)及び/または動静脈瘻(AVF)の長期留置後に閉塞される中心静脈、例えば、腕頭静脈及び/または外頸静脈などの閉塞された透析アクセスチャネルを再疎通させるために使用することもできる。任意選択で、BPS102は、先頭の装置としてガイドワイヤと共に使用される。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部106は、ハンドル112からシャフト110を通ってアンカー108を越えて延びる細長い貫通ツールの遠位端である。代替の実施形態では、貫通ツールは、より短いもので(例えば、1~15cmの間)、本体の外側に延びる延長部に取り付けられてもよい。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部106は、標準的なゲージの針、例えば、16、17、18、または19ゲージの針としてサイズ決定され、及び/または任意選択で、新たに作成されたチャネルの貫通及びその後の拡大を可能にするための長い遠位テーパを含む。本発明のいくつかの実施形態では、針は、ガイドワイヤ、例えば、0.035インチガイドワイヤの通過を可能にするために中空である。
【0126】
貫通ツールは、任意選択で、形状記憶金属またはニチノールなどの超弾性材料、またはコバルトクロムから作製されたより剛性であるがレーザ切断されたデザインのいずれかから構成される。任意選択で、または加えて、貫通ツールは、ステンレス鋼で作られる。任意選択で、または加えて、貫通ツールは、先端部、本体及び屈曲位置などの異なる位置で、異なる材料または材料の混合物を用いて構成される。例えば、Co-Cr先端部は、ステンレス鋼シャフトと共に使用され得、これは、コストを削減し得る。
【0127】
シャフト110は、標準的なカテーテルシャフト、例えば、ステンレス鋼の編組及びPTFEライナーを有する押し出しポリマーであってもよい。任意選択で、シャフト110は、例えば、アンカー108を膨張させるための外側または側部管腔と、前記貫通ツールのための中央管腔とを画定する、複数の層を含む。本発明のいくつかの実施形態では、シャフト110は、貫通ツールに取り付けられたHHSチューブ及び/またはPTFEライナー及びPEBAXまたはナイロン外層を有する編組シャフトを使用して、高い押し出し能力、カラム強度、及び可撓性を有するようにデザインされる。本発明のいくつかの実施形態では、シャフトは、リフローされた編組及び内側PTFEライナーを有する押出しPEBAXで構成される。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル112は、複数のアクチュエータ(例えば、ダイヤル、スライド、及び/またはサムホイールのうちの1つ以上)を有する人間工学的な射出成形(例えば、クラムシェルとして)の形態である。制御部114は、バルーン108を円滑に膨張させ、貫通ツールを同期して円滑に作動させ、かつ本明細書に記載されるように前進及び貫通を提供するように動作し得る。一例では、膨張に使用されるプランジャは、流体充填チャンバに結合されて、そのチャンバを強制的にバルーン内に入れる第1の移動距離と、貫通先端部に機械的に結合して貫通先端部を前進させるさらなる移動距離とを有する。プランジャは、第1の移動距離の終端に到達すると、膨張機構から分離し得る(例えば、プランジャは、突起及び膨張機構を含み、貫通先端部は、突起と干渉する、整合凹部または突起に連結される)。可聴クリック及び/または触覚クリックを使用して、この切り替えをユーザに知らせることができる。ハンドル112は、任意選択で、先端部106を操縦するための制御部(例えば、ダイヤル)を含む。任意選択で、または加えて、ハンドル112は、ガイドワイヤ出口点及び洗浄ポートの一方または両方を含む。
【0129】
例示的な遠位側
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システム202の遠位端の画像である。
【0130】
BPS202は、BPS202のシャフト210の管腔内に位置する細長い貫通ツールの延長部である貫通先端部206を有する。図示のように、管腔の出口開口220は、バルーン/アンカー208の遠位側に位置する。また、任意選択の鋭利な先端部セクション222が示される。
【0131】
例示的なアンカー
本発明のいくつかの実施形態では、アンカー208は、バルーン、任意選択で、静脈の直径に適合するように選択された非伸展性バルーンを含むので、その膨張が静脈を損傷しない。しかしながら、静脈はいくらかの弾性を有し、バルーンを拡張すると、閉塞されていない静脈の直径は、静脈壁に対して閉塞物を圧縮し、おそらく静脈直径をいくらか拡張すると予想されることに留意されたい。いくらかの反跳が予想され得る。しかしながら、そのような反跳は100%未満であると予想されるので、開いたチャネルは維持される。比較的連続的で平坦な表面を有するバルーンまたは他の拡張可能な構造の潜在的な利点は、バルーンによって静脈壁に加えられる力がより均一に分散され、静脈壁に損傷を与える可能性が低いことである。本発明のいくつかの実施形態では、膨張は、2~30気圧、例えば5~23気圧、例えば最大約20気圧である。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン208は対称であり、静脈内のBPS202をセンタリングするように働く。任意選択で、そのように固定された場合、先端部206は、閉塞物104に向かって向けられるので、前進させられた場合、静脈100の壁を貫通しない。任意選択で、そのようなセンタリングはまた、バルーン208が閉塞物208の内側にあるときに提供される。任意選択で、バルーン208は、生理食塩水及び/または蛍光透視造影剤または染料を使用して、20気圧の圧力まで膨張され得る。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン208は、PEBAX、ナイロン、PET、ポリウレタン、または血管内バルーン構造に適した別のポリマーから製造され、所望の膨張直径まで拡張するようにブロー成形される。次いで、例えばリフローを用いて、シャフト210に任意選択で結合される。本発明のいくつかの実施形態では、ポリマーは、半伸展性であるように選択される(例えば、その最大静止直径よりも最大10%大きく拡張することができる)。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーンの幾何形状は短く、例えば、バルーンは2~60mmの長さ(静脈壁と接触する部分の長さ)、及び例えば6~30mmの直径を有する。本発明のいくつかの実施形態では、長さは、静脈破裂のリスクを低減するように選択される。
【0135】
静脈閉塞物を通過させる例示的な方法
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システム(102、202)を使用する方法の詳細なフローチャートである。図5~15Bは、図4の方法の実行の段階を示す。
【0136】
診断及びアクセス
402において、患者は、閉塞された静脈と診断される。任意選択で、例えば血管造影撮像を用いた診断を使用して、静脈の閉塞された部分の長さ及び/または直径を検出する。任意選択で、閉塞物の古さは、閉塞物を通過する困難さを予測するように推定される(例えば、より古い方がより困難である)。
【0137】
適切なサイズのBPS202が選択され得る(例えば、バルーンの長さ及び/または直径及び/または貫通先端部の形状及び/またはタイプ)。本発明のいくつかの実施形態では、撮像を使用して、閉塞物及び静脈の蛇行及び静脈親直径に従って選択されるBPSを評価する。例えば、大腿静脈は、それに選択された7~13mmのバルーン直径を有し得る。腸骨は、10~16mmのバルーン直径を有し、内頸静脈は、18~24mmのバルーンを使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、静脈直径よりも0~3mm(例えば、1~2mm)大きい最大直径を有するように任意選択で選択される。
【0138】
404において、静脈システムへのアクセスが、例えば、標準的な方法を用いて、例えば、閉塞物の上流及び/または下流で提供され得る。
【0139】
図5は、例示的な実施形態による、静脈100内のガイドワイヤ502に乗っているBPS202を示す。
【0140】
406において、ガイドワイヤ(例えば、0.035インチガイドワイヤ)は、任意選択で、閉塞物104まで前進させられる。
【0141】
408において、BPSがガイドワイヤ上に取り付けられ、前進させられる。
【0142】
ガイドワイヤの使用は任意選択であることに留意されたい。例えば、ガイドシースまたは自己操縦カテーテルシステムを使用することができる。
【0143】
配置
410において、BPS202は、例えば、図6に見られるように、閉塞物104に隣接される。任意選択で、BPS202は、それ以上前進させられることができなくなるまで、及び/またはX線または他の画像で見られるように、単に進められる。
【0144】
412において、バルーン208が膨張され、開口220を(したがって、開口220を出るときに先端部206を潜在的に)センタリングする。これは、例えば、図7に見ることができる。
【0145】
414において、貫通先端部206の予想される方向が評価される(例えば、X線を使用して、及び/または貫通先端部206を延長し、その延長方向をチェックすることによって)。本発明のいくつかの実施形態では、先端部の配向を評価するために放射線不透過性マーカー(例えば、図16B参照)が使用される。任意選択で、または加えて、BPS202のハンドルは、マーク付きダイヤルを含むことができ(例えば図29A~30を参照)、例えば、0度のインジケータで、配向を示すために、上向きなどのプリセット方向を示す。本明細書に記載されるように、屈曲または予め屈曲された先端部、シース及び/または成形されたバルーンを含む、先端部206の予想される方向を設定する複数の方法がある。
【0146】
416において、BPS202は、例えば、バルーン208、ハンドル上の制御部、貫通先端部の前進、シース及び/または、貫通先端部206の延長の方向を修正するための屈曲機構のうちの1つ以上を操作することによって、操作され得る。
【0147】
貫通
418において、貫通先端部206は、例えば、図8に示されるように、前進させられる。本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部206は予め屈曲されているので、シャフト210と同軸には前進しない。いくつかの実施形態では、貫通先端部206は、先端部206を取り囲み、選択的に前進及び/または後退させられ得る、より硬いオーバーシースによって真っ直ぐに保たれる。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部206は、閉塞物104内に押し込まれ得るように、十分に剛性で、十分に鋭利である。本発明のいくつかの実施形態では、中空の先端部206を設けることは、そのような貫通を補助する。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通動作の間、例えば、穿孔のリスク及び先端部206の分岐のリスクに基づいて決定される距離だけ、貫通先端部206は1~12mmの間で前進させられる。任意選択で、必要に応じて、最初の貫通の後に、先端部206の追加の前進が提供される。任意選択で、先端部206の方向は、このようなさらなる前進の前に修正及び/またはチェックされる。
【0150】
前進
420において、バルーン208を収縮させることができる。しばしば、静脈100は、例えば図9Aに示されるように、この時点でシャフト210の周りでしぼむ。
【0151】
422において、バルーン208は、動作418によって形成されたチャネル902の中へ貫通先端部206に対して前進させられる。本発明のいくつかの実施形態では、先端部206は、そのような前進の前及び/または前進の間に後退される。本発明のいくつかの実施形態では、例えば、静脈の反跳及び閉塞物が、バルーン208の前進を防止する方法でチャネルを迅速に閉鎖する場合、先端部は、後退されない。
【0152】
図9Bは、貫通先端部206が湾曲したチャネル904を形成した例を示す。膨張すると、バルーン208は、湾曲したチャネル904に追従し得る。任意選択で、十分な圧力が使用される場合、バルーン208の膨張は、チャネル904の偏向を低減する。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、本質的に真っ直ぐなチャネルセグメントを強制し、全体のチャネル形状は、区分的に線形である。しかしながら、任意選択で、膨張は、周囲の閉塞物及び静脈壁によってそれに加えられる力に起因して、静脈内にBPS202を自己センタリングする。実際のレイアウトは、例えば、壁からの距離、閉塞物のタイプ及び膨張量/圧力に依存し得る。手術において、医師は、所望の結果を提供するそのようなパラメータを特定し得る。
【0153】
繰り返し
424において、動作412~418が繰り返される。図10は、チャネル902内のバルーン208の膨張及びさらに貫通させる準備ができている貫通先端部206の例示的な効果を示す。図において、閉塞物は、圧縮可能であるとして概略的に示されている。場合によっては、拡張はまた、静脈直径を増加させ、及び/または閉塞物は、拡張によって形成されるチャネル内にいくらか反跳する。
【0154】
蛇行した静脈
場合によっては、貫通先端部206は、所望の直線経路を維持するために調整/再方向づけされる必要があるが、場合によっては、静脈自体が蛇行し、形成される経路も同様に蛇行している。
【0155】
426において、必要に応じて、貫通先端部206は、前進方向を変更するように調整される(例えば、回転または他の手段により、例えば、本明細書に記載されるような手段により)。図11A及び11Bは、このような再調整の例示的な効果を示す。
【0156】
このプロセスは繰り返され(430)、したがって、例えば、図15Bに示すように、蛇行した静脈の横断を可能にする。腸骨静脈は、このタイプの蛇行(互いに近い異なる平面において、2つの相対的に鋭い屈曲)を示すことに留意されたい。図示の例では、静脈1520は、例えば24mmの屈曲半径を有する第2の屈曲部に実質的に隣接する、例えば20mmの屈曲半径を有する第1の屈曲部1522を有する。
【0157】
完了
図12~15Bは、そのような前進プロセスの最後の段階を示す。図12では、貫通先端部206は、チャネル904に沿って閉塞物104の端部の近くまで前進している。
【0158】
図13では、バルーン208が膨張され、貫通先端部206が図14の閉塞物から出て前進させられ、閉塞物104の縁部または外側でのバルーン208の膨張/通過を可能にし、そのような出口を確認する(例えば、造影剤注入及びX線を使用して、及び/またはバルーン208及び/または貫通先端部206上の放射線不透過性マーカーを使用して)。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部206は、放射線不透過性(または放射線半不透過性、したがってX線可視性)である。任意選択で、または加えて、バルーン208は、放射線不透過性膨張流体で充填される。任意選択で、または加えて、造影剤がバルーンと閉塞物との間に注入され、少量が閉塞物に浸透し得る(例えば、その中のマイクロチャネルの存在に起因して、形成される開いたチャネルに起因して、及び/または注入圧力に起因して)。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、システムの他の部分よりも放射線不透過性が高い小さい放射線不透過性マーカーが使用される。一例では、放射線不透過性マーカーが貫通先端部206に設けられる。図16Bは、先端部206の配向を識別することができるように成形された、例示的な放射線不透過性マーカー1650を示す。この例では、マーカーは、正中線の両側に放射線不透過性部分の非対称な配置を含み、これは、任意選択で、放射線不透過性部分でマークされる。任意選択で、そのようなマーカーは、貫通先端部206の本体に埋め込まれるか、または溶接される。
【0161】
通過の後、PTAまたはステント留置(またはアテローム切除術または切断カテーテルなどの他の壁操作法)が適用され得る。一例では、432において、BPS202は、ガイドワイヤをチャネル902内に残して引き抜かれる。434において、バルーンカテーテル(例えば、PTA)が、ガイドワイヤを越えて前進させられ、そして膨張させられる。436において、ステント送達システムは、例えば、バルーンの上に、またはバルーンが除去され、ステントが展開された後に、提供されてもよい(438、440、及び/または442)。
【0162】
治療が完了すると、様々な送達システムが除去され(44)、静脈アクセスが閉じられる。
【0163】
任意選択で、444において、患者のフォローアップが提供される。
【0164】
例示的な閉塞物貫入先端部デザイン
図16A~Bは、本発明のいくつかの実施形態による、種々の例示的な詳細を示す、閉塞物貫通器システム202の実施形態の遠位端1600の断面図である。
【0165】
図示のように、バルーン208は、平坦または凹状の遠位端1624を有する。これは、第1の貫通閉塞物104を貫通する際に、バルーン208を閉塞物104にできるだけ近づけることを補助することができ、及び/または貫通先端部206をセンタリングすることを補助することができる。任意選択で、近さによって、先端部206のセンタリングに対するバルーン208の膨張の有効性を増加させ得る。
【0166】
任意選択で、または加えて、貫通先端部206は、先端部を接地縁部に向かって付勢し得る、片面接地縁部1622を有し、これは、先端部が別の方向に屈曲し、貫通閉塞物による横力下にある場合に有用であり得る。他のデザインでは、縁部は二重接地である。
【0167】
任意選択で、または加えて、BPS202は、バルーン208の内側にシース1620を含む。これは、先端部206をその前進の間に真っ直ぐに保持し、及び/または先端部206が予め屈曲された形状を呈することを防止するのに有用であり得る。図24Cは、シースが先端部と共に前進させられ、任意選択で先端部206の真っ直ぐな形状を維持することができる例示的な実施形態を示す。
【0168】
図示の実施形態では、貫通先端部206は、細長いチューブ(例えば、ハイポチューブ)1626の延長部である。任意選択で、チューブは、切断されるか、または別個のセグメントに切断され、任意選択で、リビングヒンジ型の接合部によって接続されるか、またはスライド移動を伴う接合部である。
【0169】
バルーン208用の別個の膨張管腔は図示されていない。図25B~25Fは、膨張チューブの例示的な実施形態を示す。
【0170】
例示的な操縦可能なデザイン
図4を参照して述べたように、本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部206の方向を変更するための機構を含むことが有用である。
【0171】
第1の基本的な方法は、予め屈曲されているが、シース1620に起因してその屈曲を示すことが防止された先端部を提供することである。
【0172】
図17は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システム1700(例えば、BPS202の実施形態)の断面図である。
【0173】
この実施形態では、鋭利な端部1722を有する貫通先端部1706は、真っ直ぐである第1のセクション1707を有し、その後に屈曲セクション1709が続く。シース1720は、屈曲セクション1709が内部に保持されている間、貫通先端部1706の屈曲を防止する。例えば、セクション1707は6mmの長さであり得、セクション1709は6mmの長さであり得る。他の長さ、例えば、4~8mm以下またはそれ以上が、これらのセクションのいずれかまたは両方に与えられ得る。加えて、直径(例えば、6フレンチ)、長さ、前進可能な部分の長さ、及び/または屈曲位置、及び/または屈曲直径が必要に応じて選択された様々な貫通ツールが提供され得る。本発明のいくつかの実施形態では、貫通ツールは、手術室で必要に応じて屈曲される。
【0174】
図示の実施形態では、シース1720はバルーン1708から離れる方向に延びているが、これは任意選択である。シース1720は、閉塞物104内に及び/またはチャネル902に沿って押し込まれるのに十分な剛性を有し得ることに留意されたい。本発明のいくつかの実施形態では、シース1720は鈍い先端部を有する。いくつかの実施形態では、シース1720は鋭利にされている。いずれの実施形態においても、シース1720は、その外径から内径までテーパ状になっていてもいなくてもよい。
【0175】
本発明のいくつかの実施形態では、端部1722の鋭利化は、屈曲部によって画定される経路に沿って貫通先端部1706をガイドするのをさらに助ける斜角の形態である。任意選択で、または加えて、貫通ツールの剛性は、所望の屈曲経路を得るために、閉塞物の機械的特性に対応するように選択される。例えば、より硬くない先端部(例えば、ニチノール先端部)は、より軟らかい閉塞物のために使用され、より硬い先端部(例えば、Co-Crまたはより厚い壁)は、より硬い閉塞物のために使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、より剛性の高い先端部は、先端部の構造的一体性を低減し、それによって、その剛性を低減するように、レーザ切断(または化学エッチングもしくは熱処理、または異なるタイプの切断を使用する)によって、より剛性が低く作製される。いくつかの実施形態では、そのような切断を使用して、弾性を加える空間を作り出す。図20Eは、これも剛性及び/またはガイド屈曲を低減し得る、可能な切り込みの例を示す。
【0176】
図18は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システムの貫通先端部1706のデザインを示す。
【0177】
図示のように、傾斜端部1722は、先端部1706の湾曲部から離れる方向に傾斜を任意選択で備える。また、このデザインでは、画定された屈曲位置1711が示されている。セクション1711がシース1720内にある限り、先端部1706は真っ直ぐな姿を現す。
【0178】
先端部1706は、1つの屈曲部のみを含むことに留意されたい。いくつかの実施形態では、2つ以上の屈曲位置が、場合によっては異なる平面及び/または方向に提供される。任意選択で、または加えて、先端部1706の前進方向は、先端部1706の回転によって制御される(例えば、本体から外に延びる部分を使用して)。
【0179】
代替のデザインでは、先端部1706は、場合によっては先端部1706の全長(またはバルーン208を越えて延びる長さ)に沿って、連続的な屈曲部が設けられ、その結果、先端部1706の軌道は、それがシース1720から延びる距離に依存する。
【0180】
例えば、ニチノールハイポチューブを研磨して斜角を付けた針を作り出し、その後、熱処理を用いて曲線を固定する。曲線半径は、例えば、5~30mmで、最大角度が5~120°、例えば、5~90°、例えば、20~60°であり得る。他の実施形態では、曲線は半径が均一ではなく、例えば、屈曲半径は、貫通先端部からの距離と共に増加及び/または減少し得る。任意選択で、屈曲半径のそのような変化は連続的である。あるいは、変化は、例えば、1、2、3またはそれ以上のステップで比較的段階的であり、例えば、第1のセクションは、より大きな屈曲半径(例えば、約20mm)を有し、次いで、中間の屈曲半径(例えば、約10mm)に遷移し、次いで、その端部できつい屈曲を有し得る(例えば、約5mm)。任意選択で、そのような変化は、屈曲の程度を選択することを可能にするために、制御ハンドルに示される。
【0181】
任意選択で、先端部1706の外径は0.8~1.3mmである。シース1720は、任意選択で、先端部1706よりも剛性が高く、従って、真っ直ぐに維持される鋼製のハイポチューブであってもよい。任意選択で、または加えて、シース1720は、硬いポリマー、例えば、PEEK及び/またはナイロン12で作られる。任意選択で、シース1720の剛性部分の長さは、ほぼ先端部1760の屈曲部分の長さであるかまたは少量だけ長く、これは、BPS1700の全体的な可撓性を維持するように機能し得る。
【0182】
不均一な半径の例では、貫通先端部が5mm露出している場合、屈曲していない方向と前記先端部の最終指向方向との間の屈曲の平面に30°の角度がある。任意選択で、先端部が2.5mmしか露出されない場合、5°となる。逆に、先端部が15mmまで前進させられると、60°の角度となる。図24Eを参照して説明した先端部屈曲の例示的な実施形態も参照されたい。
【0183】
図17に戻って参照すると、シャフト1710が部分的に示されており、例えば、10~200cmの長さであってもよく、血管内に留置するように構成される(例えば、親水性コーティングを有してもよい)。
【0184】
任意選択で歪み緩和部として機能するテーパ部分1730は、シャフト1710と様々な制御/入力、例えばYコネクタの一部としてのルアー入力1734との間のシステム1700の一部を架橋し、例えば血管管腔及び/またはバルーン1708内への造影剤の注入、例えばその膨張及び/またはガイドワイヤの入力に使用される。
【0185】
本発明のいくつかの実施形態では、システム1700は、例えば、ピストン1738によって選択的に圧縮及び解放されるチャンバ1736内に、バルーン1708のための膨張流体を含む。これらは、ハンドル内にあってもよい。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン1708の膨張管腔は、貫通ツール1740(先端部1706で終端する)のチャネルを取り囲む。任意選択で、シャフト/ツール1740とチャンバ1736及びピストン1738との間にシーリングが設けられる。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通ツール1740は、近位方向にハンドルから出ない。任意選択で、そのような場合、参照番号1740はガイドワイヤのみを示す。
【0188】
例示的な代替の操縦機構
図19は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通器システムの貫通先端部1906のデザインを示す。先端部1906の部分の番号付けは図17と同様であり、17の代わりに19の接頭辞を有する。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部1906は、ニチノール、ステンレス鋼(316L)、MP35Nのようなニッケル-コバルト合金、またはL605のようなコバルト-クロム合金などの金属から形成される。本発明のいくつかの実施形態では、屈曲は、先端部1906の本体に1つ以上の軟化部分を設けることによって補助及び/またはガイドされる。任意選択で、軟化部分は、ノッチ(例えば、レーザ切断)1913の形態である。他の軟化方法、例えば、選択的アニーリング、薄化及び化学的処理も提供され得る。
【0190】
本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部1906は予め屈曲され、機構を用いてそれを真っ直ぐにする。例えば、プルワイヤは、長手方向溝内に設けられ、貫通先端部1906の遠位端(または屈曲位置1911付近)に取り付けられ得る。本発明のいくつかの実施形態では、2つ以上のワイヤが提供され、異なる円周位置に取り付けられ、例えば、貫通先端部1906を所望の方向に能動的に屈曲させるために使用されてもよい。任意選択で、または加えて、反対側のプルワイヤが、貫通先端部1906を真っ直ぐにするために使用され、例えば、システム1906のハンドル内のバネ(図示せず)に接続される。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態では、プルワイヤは、システム1900のハンドル内でバネに近位側で接続される。
【0192】
貫通先端部1906の配向は、シャフト1940を介して貫通先端部1906を回転させることによって任意選択で設定される。本発明のいくつかの実施形態では、複数のプルワイヤが提供され、配向を設定するために使用され得る。
【0193】
図20Aは、本発明の例示的な実施形態による、プルワイヤのデザインを示す。溝1907(そのうちの1、2、3、4またはそれ以上が円周方向に離間していることがある)が、先端部1906に形成される(そしてBPS202のハンドルまで延びることができる)。任意選択で、溝は、先端部1906の厚さを貫通しない。参照番号1905は、溝に嵌合するプルワイヤ(図示せず)の取付け点を示す。
【0194】
2本のプルワイヤ1915及び1917が示されている。いくつかの実施形態では、プルワイヤ(複数可)は溝内に位置しないことに留意されたい。
【0195】
図20B~20Dは、本発明の例示的な実施形態による、第1のプルワイヤ1915及び第2のプルワイヤ1917を使用した先端部1906の例示的な屈曲を概略的に示す。図20Bでは、先端部1906は静止状態にあり、両方のプルワイヤは等しい張力を受ける。図20Cでは、プルワイヤ1915において張力が増加し、プルワイヤ1917において張力が減少し、貫通先端部1906を上方に屈曲させる。図20Dでは、プルワイヤ1917において張力が増加し、プルワイヤ1915において張力が減少し、貫通先端部1906を真っ直ぐにする。
【0196】
先端部1906(プルワイヤ溝を有するまたは有さない)は、チューブをエッチングまたはレーザ切断することによって任意選択で形成される。図20Eは、1つの方向のみまたは2つ以上の方向の屈曲を促進し得る、そのようなレーザ切断のためのいくつかの例示的なデザインを(平面図で)示す。
【0197】
図20Fは、本発明のいくつかの実施形態による、単一平面及び単一方向屈曲貫通先端部2010の平面図である。
【0198】
図示のように、貫通先端部2010は、鋭利な先端部2012と、指向性屈曲セクション2014とを含む。任意選択で、一般的な可撓性セクション2016が、近位及び/または遠位に提供される。図示のように、一般的な可撓性セクション2016は、複数の切り込み2018を任意選択で含み、任意選択で一般的な螺旋方向に配置され、任意選択でその端部に歪み緩和丸みを含む。
【0199】
次に指向性屈曲セクション2014を参照すると、背側と呼ばれる第1のセクションは、一般的な方法で貫通先端部2010の屈曲を支持する切り込み2020を含む。切り込み2020は、図示のように曲線を含むのではなく、直線であってもよい。
【0200】
腹側では、一旦係合されると屈曲に抵抗する係合段機構を含む、軸方向に延びる一連の切り込みが示される。これらの係合段は、貫通先端部2010の最大屈曲、例えば、60度を設定するように選択され得る。
【0201】
本発明のいくつかの実施形態では、係合段のすべてまたは大部分は、実質的に同一の可撓性を有し、従って、すべてが同じ方法で屈曲し、同時にロックする。任意選択で、または加えて、少なくともいくつかの係合段は、(例えば、以下に説明する縁部2022、2024の長さに基づいて)より大きいまたはより小さい可撓性を有するように定められ、従って、異なる時点で係合及びロックする(例えば、さらなる屈曲に抵抗する)。本発明のいくつかの実施形態では、係合段間及び/または係合段内の間隔を使用して、曲線の形状を設定する。背側切り込みが腹側切り込みとは形状が異なる(及び任意選択で数及び/またはサイズ及び/または位置が異なる)ことは、本発明のいくつかの実施形態の特定の特徴である。
【0202】
図示の例では、係合段は、近位縁部2024と、遠位縁部2022とを含み、それらの間に間隙を画定する。縁部2024は、縁部2022によって画定される壁2026に面するタブ2030を画定する。
【0203】
本発明のいくつかの実施形態では、タブ2030と壁2026との間の間隙は、腹側方向に(図の閲覧者に向かって)貫通先端部2010を屈曲させることによって閉じ、それによって、到達すると、さらなる屈曲に抵抗する、段差のサイズを画定する。タブ2030と壁2026とのこの当接は、屈曲しながら貫通先端部2010を補強し、その状態で押し込み性を補助するという潜在的な利点を有する。
【0204】
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、図示のように、縁部2024、2022、及び/または切り込み2020は、湾曲しており、及び/または方向の変化を含む。これは、ツールが屈曲されたときに切り込み部における領域の半径方向外形を低減するのに有用であり得る、及び/またはそれと別に外部シースとの幾何学的干渉を低減し得る。
【0205】
図21A~Bは、本発明のいくつかの実施形態による、スタイレット2109を使用する、スタイレットに基づく屈曲を図示する、閉塞物貫通器システムの貫通先端部2106の断面図である。
【0206】
貫通先端部2106は、任意選択で、予め屈曲される。しかしながら、剛性化スタイレット2109が挿入されると、貫通先端部2106は、それによって真っ直ぐになる。本発明のいくつかの実施形態では、スタイレット2109の先端部のみが、例えば、2106までの貫通の屈曲部分の2または5倍の係数または中間値内の長さの剛性である。任意選択で、スタイレット2019は、バルーン関連シース2120と共に使用されて、貫通先端部2106を真っ直ぐにする。このようにして、スタイレット2109を後退させることにより、貫通先端部2106がバルーン2108を屈曲させ、操作することができる。代替の実施形態では、スタイレット2109は、予め屈曲され、貫通先端部2106に屈曲部を提供する。
【0207】
例示的な非突出バルーンネック部
図22は、本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位ネック2248を有するバルーン2208を含むBPSの遠位セクション2202の断面図である。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン2208の拡張は、可能な限り(閉塞物104内に入る)貫通点101に近いか、またはそのような点を過ぎてさえいることが望ましい。これは、閉塞物104への貫通のより良好な狙い付け及び/またはより良好な位置合わせを提供するのを助けるのに有用であり得る。しかしながら、典型的なバルーンは、遠位方向及び近位方向の両方にテーパ状であり、これは、固定位置(バルーンのウエスト部分2258)がそのような貫通点から離れていることを意味する。
【0209】
示される実施形態では、バルーン2208の遠位端2248は、前面2254が平坦または凹状でさえあるように、近位方向に反転される。シース2250の開口2220は、実装に応じて、また本明細書のいくつかの例に示されるように、同じ軸方向位置、より遠位またはより近位であってもよい。このような配置の潜在的な利点は、バルーン遠位端2248をシステムの最遠位端2202に配置することができることである。バルーン2208は、制御部及び小さな拡張面積を有する一方で、貫通ツール先端部を操作するために潜在的に使用され得る。これは、より多くのトルク及びモーメントを生成し、貫通先端部を閉塞物104の所望の部分に向かわせることができる。バルーン2208に対するそのような近位に後退した開口2220の別の潜在的な利点は、貫通先端部からの静脈100の壁の保護である。
【0210】
図示の例では、バルーン2208を形成するために使用される膜の遠位延長部2256は、反転され、バルーン2208の内側でシース2220に取り付けられる。任意選択で、バルーン2208の近位側は、従来の方法で取り付けられ、近位フラップ2260は、バルーン2208の近位でシャフト2210に取り付けられる。
【0211】
また、この図には、シース2220とシャフト2210との間の膨張管腔2252の一例が示されている。
【0212】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーン2208は、ナイロンまたはPEBAXなどの非伸展性材料から作製される。金属構造に対するバルーンの潜在的な利点は、バルーンが静脈壁上の応力をより良好に分散させることができ、そのような応力は、貫通先端部を粘性またはゴム状閉塞物に前進させながらバルーンをアンカー固定するために使用する場合に問題となり得ることである。連続的でない構造に対するバルーンの別の潜在的な利点は、バルーンが、より大きな力を加え、かつ/またはより良好な摩擦を提供し、その結果、閉塞物及び/または静脈においてより良好に固定し得ることである。
【0213】
図23A~Eは、本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位セクション(反転ネック部を含んでも含まなくてもよい)を有するバルーン2308の代替的なデザインの様々な図を示す。
【0214】
図23Aは、陰影側面斜視図である。
【0215】
図23Bは、側面透視である。
【0216】
図23Cは、正面斜視図である。
【0217】
図23Dは、側断面図である。
【0218】
図23Eは正面図である。
【0219】
特に図23Dを参照すると、最前方縁部2254は、より近位の表面2364と共に陥凹部2362を画定する。任意選択の突起2366は、シース(この図には示されていない)に重なるバルーン2308の一部であってもよい。また、図には、(シャフトへの)近位取り付けセクション2260と、静脈100の壁に対する固定を設定する最も幅の広い部分2358とが示されている。任意選択で、最も幅の広い部分2358と最も前側の縁部2354との間の距離は、閉塞物通路システムの長軸に沿って、10mm、7mm、5mm、3mm、2mmまたは中間の軸方向距離よりも短い。
【0220】
図23F~23Jは、概して図23A~23Eに対応するが、バルーン2370の異なる実施形態を示す。特に図23Gを参照すると、突起2366は、非突起の任意選択反転セクション2372によって置き換えられていることに留意されたい。
【0221】
図23Hを参照すると、放射線不透過性マーカーのいくつかの選択肢、例えば、本体2358上またはバルーン本体が取り付けられるシャフト(図示せず)上のマーカーが示されている。例えば、放射線不透過性マーカー2376を使用して、バルーンの近位側を指示することができる。任意選択で、または加えて、放射線不透過性マーカー2374を使用して、貫通先端部を後退させる位置を指示してもよい。例えば、バルーン上の遠位縁部または最大拡張軸方向位置を指示する、より遠位の位置も同様に提供され得る。本発明のいくつかの実施形態では、マーカーは円周である。任意選択で、または加えて、少なくとも1つのマーカーは、円周ではなく、及び/または円周方向に対称ではなく、したがってそれは、任意選択で、バルーン2308/2370の回転状態を判断するために使用され得る。
【0222】
図23Kは、本発明のいくつかの実施形態による、バルーン2378の折り畳みを助けるようにデザインされた1つ以上の幾何形状を含むバルーン2378を示す。
【0223】
参照番号2380は、バルーン2378の近位側を示し、参照番号2386は遠位側を示す。図示のように、いくつかの実施形態では、バルーンは、例えば製造中に遠位側で反転することが望ましい。この目的のために、遠位端2386は、任意選択でより均一な直径で作られる。任意選択で、または加えて、端部2386の反転を補助するために、幾何形状2390が提供される。
【0224】
本発明のいくつかの実施形態では、幾何形状2390は、軸方向に十分に深い円周クリンプを備え、バルーン2378の本体2382を、(例えば、製造中に)反転に起因する変形から実質的に隔離する。可能な動作機構は、幾何形状2390が、反転によって生じる歪みを円周方向に優先的に伝播することである。これは、反転中に形成される応力が本体2382に伝播することを防止し得る。任意選択で、または加えて、幾何形状の軸方向深さは、反転によって引き起こされる力の下で安定な変形を画定する。任意選択で、または加えて、クリンプは、バルーン材料の反転に対する抵抗を少なくする予め変形されたゾーンとして機能する。
【0225】
幾何形状2390は、本体2382の最も広い部分2384の遠位側にある。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態では、任意選択で、使用中にバルーン本体2382のよりコンパクト化及び/またはさらには折り畳みを補助するために、幾何形状2388が提供される。述べたように、例示的な実施形態では、本体2382は、閉塞物を通過する間に複数回、膨張及び最小直径まで収縮される。
【0227】
本発明のいくつかの実施形態では、幾何形状2388は、本体2382の第1の収縮を、その近位の部分の収縮の前に促進する。これは、より良好な圧縮を補助し得る。本発明のいくつかの実施形態では、クリンプ領域は、バルーンのパンケーキングを防止し、代わりに、本体2382の半径方向の圧縮を促進するように機能する。任意選択で、クリンプされたゾーンは、バルーン容積が減少するにつれて、本体2382よりも大きく圧潰に抵抗し、パンケーキングは、本体2382が半径方向にしぼむのにより耐性のあり得る幾何形状2388の折り畳みを必要とし得るので、パンケーキングの代わりに半径方向の圧縮を促進し得る。
【0228】
本発明のいくつかの実施形態では、軸方向に延びるプリーツ(図示しないが、例えば、バルーンの外側または内側表面上にある)が、折り畳みを補助するために提供される。
【0229】
幾何形状2390はまた、バルーン本体2382の折り畳みを補助し得る。
【0230】
図23Lは、近位端2392及び本体2397を有する、バルーン2399内の折り畳み支援幾何形状のための代替デザインを示す。バルーン2399は、大きな半径を有する領域においてさえ、近位側において概してよりテーパ状であるように示されていることに留意されたい。
【0231】
このデザインでは、近位幾何形状2398は、バルーン2378よりも大きい半径方向の広がりを有する。そのような位置は、所望のデザイン、例えば、閉塞物に接触する前方に面するバルーン材料の量を支持するように任意選択で選択される。任意選択で、または加えて、遠位側面幾何形状2396は、バルーン2378よりも大きな半径方向位置にある。これは、異なる形状の陥凹部の(任意選択でより短い遠位セクション2394と共になった)潜在的な利点を有する。
【0232】
図24A及び挿入図24Bは、本発明のいくつかの実施形態による、反転遠位面2448を有するバルーン2408を伴う閉塞物貫通システム2402の断面図を示す。数字は、図23A~Lの番号付けに従っており、接頭辞が「24」である。加えて、2つの放射線不透過性マーカー2474及び2476が示され、これらは図23Hのマーカーに概ね対応し、ここではバルーン2408が取り付けられるシャフト上に取り付けられて示される。バルーン2408、2308、及び2378を比較することによって、いくつかの違いを見ることができ、特に、バルーンの形状が異なる。より短いバルーンは、接触点でより多くの力が加わるため、より良好な固定及び/またはより良好な閉塞物圧縮を提供するのに有用であり得る。より長いバルーンは、例えば、損傷を防止するため、及び/または前進ステップの数を低減するため、及び/またはより多くのチャネル904に支持を提供するため、任意の点で加えられる圧力を低減するのに有用であり得る。より長いバルーンは、より真っ直ぐなチャネルにも有用であり得る。より短いバルーンは、より大きな自己センタリング挙動を示し得る。
【0233】
第1の任意選択の変形例は、バルーン2408が概ね円筒形であることである。第2の任意選択の変形例は、最も幅の広い部分2458が実質的にBPS2402の最も遠位の部分にあることである。突起2466(シース2420のシース部分を含む)は、任意選択でBPS2402の遠位端付近まで延びる。これは、貫通先端部2406の鋭利な先端部からバルーン240を保護するのを補助し得る。任意選択で、または加えて、これは、静脈100を偶発的な貫通から保護するのを補助し得る。
【0234】
図24Cは、本発明のいくつかの実施形態による、軸方向に移動可能なシース2432を含む閉塞物貫通システム2430の断面図である。図示のように、システム2420は、比較的平坦な側面2440と、平坦で凹状の遠位面とを有する軸方向に短いバルーン2438を含む。シャフト2442は、その中に配置された貫通ツール2444を有する管腔を画定する。任意選択で、図示されるように、可動シース2432は、貫通ツール2444とシャフト2442との間に位置する。膨張管腔2448も示されている。
【0235】
本発明のいくつかの実施形態では、出口ポート2450は、任意選択でテーパ付き面取り部を有し、シャフト2442からの出口を画定し、任意選択でバルーン2438の前面をわずかに越えて延びる。シース2446はまた、任意選択で、テーパ付き面取り部を有する。示されるように、ポート2450は、より厚く(及び/または別様により硬く作製され)、バルーン2438の変形を防止し、及び/またはシース2432及び/または貫通ツール2444が予め屈曲される場合、屈曲しないように維持し得る。貫通ツール2444は、任意選択で予め屈曲された遠位貫通先端部2445で終わる。
【0236】
図24Dは、BPS2430の断面正面図であり、内側から順に、同心層、
ガイドワイヤ管腔2452、
貫通ツール2444、
シース2432、
ポート2450、
膨張管腔2458、及び
バルーン本体2438、を示す。
【0237】
本発明のいくつかの実施形態では、膨張管腔及び/または造影剤注入管腔は、層間に画定され得る。
【0238】
図24Eは、本発明の例示的な実施形態による、BPS2430から延びる貫通先端部2445の側面図である。
【0239】
図示の実施形態では、貫通先端部2445は予め屈曲されている(または屈曲手段を含む)。図から分かるように、シース2432は、先端部2445の屈曲を防止する。また、貫通先端部2445の先端部の方向(この、先端部の先端部は、任意選択で直線であり、その近位に形成される屈曲を伴う)とシース2432との間に形成される30度の角度も示される。図示のように、貫通先端部2445は、例えば8mmの屈曲半径で予め形成される。
【0240】
例示的な非対称バルーンデザイン
本発明のいくつかの実施形態では、非対称バルーンが選択される。これは、例えば、所望の貫通点101が静脈100の断面の中心にない場合に有用であり得る。これは、例えば、静脈の変形に起因して静脈が変形される場合、または骨や筋肉などのより硬い組織によって静脈の拡張が1つ以上の側で制限される場合の潜在的な利点であり得る。
【0241】
図25Aは、本発明のいくつかの実施形態による、非対称バルーン2508を示し、実質的にすべての拡張が、シャフト2510の片側である。他の例では、シャフト2510の両側の拡張量間に異なる比、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1.1、またはその中間もしくはそれより大きいもしくはそれより小さい比が存在し得る。また、バルーン2508において、部分的に(または非的に)膨張するセクション2521(例えば、より小さい直径または断面を有するバルーンのセクション)は、円筒形または球形である必要はない。例えば、バルーンは、ノッチを含むことができ、任意選択で、それに沿って、ガイドワイヤまたは貫通ツールなどの細長いツールを通過させる。
【0242】
図25Aに示される極端な例では、貫通ツール先端部2506は、バルーン2508の拡張部分の側面を通過する。
【0243】
本発明のいくつかの実施形態では、バルーンは、バルーンの一方の側の剛性が大きいために、例えば、材料の厚さが大きいために、非対称に膨張する。任意選択で、バルーンは、半伸展性であることが可能である。
【0244】
図25Aはまた、例示的な放射線不透過性マーカー、例えば、バルーン2508の拡張の半径方向の広がりを示す半径方向に極端なマーカー2512を示し、任意選択で、その配向を決定するためにも使用される。シャフト2510上の1つ以上の放射線不透過性マーカー2514及び1516は、バルーン2508の拡張部分の軸方向の開始及び/または終了を示すために任意選択で使用される。
【0245】
図25Bは、BPS2520の遠位側の半透明の斜視図を示し、図25Cは、そのシャフト2522を通る断面図を示し、そのバルーン2526のための膨張管腔2524の位置を示している。
【0246】
図示のように、膨張管腔2524は、シャフト2522と、シースまたは貫通ツールまたは別のチューブ2528などの内側チューブとの間に形成される。
【0247】
図25D及び図25Eは、図25B及び25Cに概ね対応するが、図25Dに示されるBPS2530において、側方膨張管腔2532が、そのシャフト2534の本体に形成されることを除く。この膨張管腔は、例えば、図24Dの実施形態(2458)において使用され得る。
【0248】
図25Fは、複数の区画2542、2544を含むバルーンデザイン2540を示す。2つが示されているが、3、4、またはそれ以上などの、より大きな数が提供され得る。2つの区画は等しいものとして示されているが、いくつかの実施形態では、それらは互いに異なる長さ、形状、円周方向の広がり、半径方向の広がり及び/または体積を有する。
【0249】
任意選択で、図示されるように、別個の膨張管腔(2548、2550)が、各バルーン区画に提供される。複数の区画の潜在的な利点は、選択的膨張が、貫通先端部2546の誘導及び/または狙い付け及び/または他の組織操作のために使用され得ることである。別の潜在的な利点は、対称及び非対称バルーン用途の両方に同じ装置を使用する能力である。
【0250】
例示的なエネルギー蓄積
上述のように、閉塞物104は、ゴム状であり得る、及び/または別様に貫通が困難であり得る。本発明のいくつかの実施形態では、そのような貫通は、貫通ツールの先端部における非機械的エネルギーの送達によって補助される。
【0251】
図26は、本発明のいくつかの実施形態による、2630として示される、熱を放射する加熱貫通先端部2602を含む、閉塞物貫通システム2602の断面図である。本発明のいくつかの実施形態では、貫通先端部2606は、システム2602の部品(バルーン2608またはシャフト2610など)及び/または患者の身体(例えば、静脈100)に対する損傷を防止するために、隔離シース2620内に収められる。
【0252】
本発明のいくつかの実施形態では、PEEKなどの高温溶融ポリマーを用いて絶縁が提供される。任意選択で、熱は、1つ以上の電極(及び抵抗素子、場合によっては先端部自体)によって生成される。あるいは、熱は、ハンドル内で、またはより近位に生成され、貫通ツールに沿って先端部に伝達され得る。
【0253】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部2606は、例えば、摂氏50~90度、例えば、摂氏55~80度、例えば、約60度に加熱される。任意選択で、温度は、先端部2606の貫通を向上させるように選択される。任意選択で、加熱の持続時間は、熱が損傷を引き起こすような形で周囲の静脈壁に伝播しないように選択される。本発明のいくつかの実施形態では、そのような伝播は、熱の量を制御し、その熱が、例えば、そのコラーゲン架橋による加熱に応答して、例えば、閉塞補強物などの閉塞物によって吸収されることを可能にすることによって防止される。
【0254】
図27は、2730として示される、RFを放射するRF放射貫通先端部2702を含む、閉塞物貫通システム2702の断面図である。
【0255】
本発明のいくつかの実施形態では、BPS2702は、接地エリア電極(例えば、背面に取り付けられる)の形態の共通の受信器と共に任意選択で使用される単極RFエミッタとして機能する。任意選択で、または加えて、先端部2702は、複数の電極を含み、双極RF源として機能する。任意選択で、細長い貫通ツールの本体は、1つの電極として機能し、任意にシャフト2710に埋め込まれた別個のワイヤは、第2の電極として機能する。
【0256】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部2702は、先端部272の前進を可能にするのに十分なRF(または、BPS2602の場合、熱)軟化閉塞物104を伴って、鈍的であり、例えば、丸みを帯びている。
【0257】
本発明のいくつかの実施形態では、RFは、標準的なRF発生器によって提供される。任意選択で、または加えて、RF(または、BPS2602に対する熱)は、BPS2702のハンドル内で生成され、任意選択で、貫通ツールまたはカテーテルシャフトに沿ってBPS2702の遠位端に伝達される。
【0258】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部2706にエネルギーを提供する他の手段が使用される。例えば、先端部2706は、本体に電流(例えば、AC及び/またはDC)を送達するために使用されてもよく、任意選択で、先端部2606は、電流が通過するときに加熱する抵抗材料で覆われる。任意選択で、または加えて、先端部2706は、例えば、局所振動源を使用して、またはBPS202のハンドル内の振動源を使用して、振動するように構成される。
【0259】
例示的なハンドルデザイン
本発明のいくつかの実施形態では、手術に必要な制御部及び/またはコンポーネントの一部または全部が、1つのシステムで提供される。例えば、システムは、内蔵貫通ツール、膨張システム、及びシース(もしあれば)を含み得る。任意選択で、別個のガイドワイヤが使用される。潜在的に、そのようなデザインは、単にBPS202の使用及び/または設定であり得る。
【0260】
図28は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物貫通システム用のハンドル2812のブロック図である。本発明のいくつかの実施形態では、ハンドルは内蔵型であり、治療に必要なすべての制御部及び/またはソース(例えば、流体、電力)を含む。任意選択で、または加えて、ハンドルは、電気リニアまたは回転モータなどの電気的に制御されたアクチュエータを使用するので、ユーザの操作が増幅されまたは変換され(または他の方法で使用されて制御され)、BPSの遠位端に影響を及ぼす。
【0261】
本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル本体2838は、BPSの近位端に取り付けられる(例えば、射出成形される)。本体2838は、1つ以上の開口部を含み得、任意選択で、ガイドワイヤ挿入、膨張流体、及び/または造影剤注入などの種々の機能のためのルアー取付具を伴う。任意選択で、ハンドル本体2838は、クラムシェルデザインであり、及び/またはポリプロピレンもしくはHDPEで形成される。
【0262】
参照番号2806は、アクチュエータ2830を介して任意選択で前進及び/または後退させられる、貫通ツールの近位端を示す。手動アクチュエータの例は、ダイヤル、スイッチ、スライダを含む。任意選択で、アクチュエータ2830は、ガイドワイヤ挿入のためのポートを含む。
【0263】
参照番号2820は、貫通ツール2806がそれを通ってスライドし、遠位固定及び/または圧縮バルーン(この図には図示せず)を膨張させるための膨張管腔2821を外側に画定するシースを示す。
【0264】
参照番号2834は、膨張ユニットを示し、これは、任意選択で、それ自体の膨張流体の貯蔵を含む。任意選択で、インフレータ2834は、例えば双方向シリンジポンプを含む固定バルーンを収縮させる働きもする。本発明のいくつかの実施形態では、回路2836が、電力の供給及び/または調整に使用される。任意選択で、回路2836は、インフレータ2834による膨張/収縮と共にアクチュエータ2830による前進/後退を調整し、潜在的にBPSの使用を簡略化する。
【0265】
本発明のいくつかの実施形態では、バネ(図示せず、場合によってはアクチュエータ2830及び/またはアクチュエータ2832の一部として、回転、屈曲、及び/または軸方向移動に使用され得る)が、貫通ツールを後退位置に付勢するために使用され、潜在的に後退を補助する。
【0266】
図29Aは、本発明の例示的な実施形態による、BPS用のハンドル2912を示す概略側面図である。図29Bは、ハンドル2912の背面図である。ハンドル2912は、任意選択で、人間工学的であり、ユーザの指を以下に記載される制御部の1つ以上にガイドするようなサイズ及び形状である。任意選択で、ハンドル2912は、1つ以上の指かけ凹部を含む。
【0267】
ハンドル2912は、任意選択で、以下のポート、すなわち、ガイドワイヤ及び貫通ツールポート2940、膨張ポート2942(バルーン用)、及び造影剤ポート2944(例えば、貫通ツールを通して、またはツールとそのシースとの間に注入するための)のうちの1つ以上を含む。例えば、貫通ツールの近位側がハンドルを越えて延びないか、または20cm未満だけ延びる実施形態において、例えば、貫通ツールを制御する(例えば、回転及び/または屈曲及び/または軸方向位置)ために、1つ以上の他の制御部を提供することができる。
【0268】
ハンドル2912は、(例えば、回転可能なポート2940の代わりに、またはそれに加えて)貫通ツールの回転を制御するための第1の制御部2946を任意選択で含む。任意選択で、または加えて、ハンドル2912は、貫通ツールの選択的な前進及び後退のための制御部2948を含む。任意選択で、または加えて、ハンドル2912は、貫通ツールの先端部を屈曲させるための制御部2950を含む。あるいは、1つの制御部は、それが曲がる点まで貫通ツールを前進させるために使用され、別の制御部は、それが屈曲できるように貫通ツール(予め屈曲されている)をさらに前進させるために使用される。任意選択で、または加えて、バルーンを膨張させるための制御部、例えば、プランジャの形態の制御部2946(例えば、軸方向に移動可能、または前方にねじ込み式)が使用される。これらの制御部はいずれも、例えば、スライダまたはノブの形態であり得る。
【0269】
ハンドル2912は、貫通ツールの位置及び/または配向及び/または屈曲度を示すマーキングを含み得る。
【0270】
図29Cは、本発明の別の実施形態によるハンドル2960を示す。ハンドル2960は、例えば、貫通ツールを本体内に送達するために使用される、シースなどのチューブに接続する、先端部ポート2972を含む。任意選択の後部ポート2970は、ガイドワイヤに任意選択で使用される。本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル2960は、軸方向に拡張可能であり、近位セクション2962は、遠位セクション2964から離れるようにスライド可能である。本発明のいくつかの実施形態では、そのようなスライドは、例えば、バルーンを膨張または収縮させ、及び/または貫通先端部を前進及び/または後退させるなど、貫通ツールを作動させる。任意選択で、または加えて、ノブ2968は、これらの機能の1つ以上に使用される。任意選択で、ツールの予め屈曲された方向がハンドル上に示される。任意選択で、または加えて、ノブ2968は、バルーンに対して先端部を回転させるために使用される。
【0271】
図30は、本発明のいくつかの実施形態による、予め屈曲された貫通ツールと共に使用される代替のハンドル3012を示す。実際のハンドルは、本明細書に記載されるハンドルデザインのいずれかから選択される特徴を含み得る。
【0272】
参考番号3040~3044は、2940~2944(図29A)と同様であり得る。本発明のいくつかの実施形態では、第1の制御部3040は、貫通ツールの軸方向位置を制御するために使用され、第2の制御部3046は、貫通ツールの回転配向を制御するために使用される。マーキングを図に示す。
【0273】
貫通ツールが予め屈曲されている場合、軸方向の前進と先端部の角度との間に既知の関係が存在し、これらは両方とも、制御部の1つの上のマーキングを使用して示され得る。
【0274】
本発明のいくつかの実施形態では、膨張のための流体は、ハンドル3012の内側にあり、任意で、制御部のうちの1つ(または、図29Aなどのさらなる1つ)は、選択的膨張収縮のために使用される。任意選択で、そのような膨張及び/または収縮は、軸方向の動きに合わせられる(例えば、制御部3048)。任意選択で、ハンドルは、バルーン膨張圧力を示すために圧力計3050(及び任意選択で関連する圧力センサ(図示せず))を含むか、またはユーザは、制御部上のマーキングに依存し得る。任意選択で、ハンドル3012は、手術の前に(例えば、ポート2044及び3042のうちの1つを使用して)流体で予め充填される。
【0275】
先端部位置決定
閉塞した(おそらく硬い)血管内でツールを前進させる潜在的なリスクは、ツールが血管から出る可能性があり、血管の外側でさらなる操作が起こるということである。血管の外側の組織を損傷する可能性に加えて、これは、血管自体への損傷及び/または出血を引き起こし得る。
【0276】
このリスクに関連するのは、障害物を通過して、さらなるツール操作は必要とされ得ない場合を特定する要望である。
【0277】
潜在的に、(血管壁及び/または障害物に対する)ツール先端部の位置は、造影剤を注入し、X線(または、例えば、超音波造影剤及び撮像が使用される場合、超音波)を使用して造影剤の広がりを撮像することによって特定することができる。しかしながら、造影剤は患者に対して幾分毒性を有するので、その回避は有益である。また、障害物または筋肉に注入された造影剤は、近くの血管の輪郭を示すのに十分に広がらない可能性がある。一般に、造影剤を運び去るための血流のない筋肉または他の組織への注入は、有意な時間の間、画像の一部を遮断し得るので、あまり好ましくない場合がある。
【0278】
図31は、本発明の例示的な実施形態による、組織特性推定の方法のフローチャートである。
【0279】
図32は、本発明のいくつかの実施形態による、壁100を有する血管内の閉塞部104内の屈曲した貫通/ツール先端部1706及びシース1720を示す。閉塞は、遠位面3202(図示のように平坦または平滑である必要はない)を有する。
【0280】
図31の方法において、ツール先端部1706を取り囲む組織の特性は、先端部1706の変形に対するそのような組織の抵抗に基づいて特定される。これは、例えば、血液(表面3202に対して遠位)と障害物104とを区別し得る。
【0281】
3102において、屈曲した形状の屈曲した先端部1706が前進する。
【0282】
3104において、先端部形状変更器が軸方向に前進させられ、これにより、先端部1706を変形させるのに十分な力が加えられる(例えば、曲がった構成から真っ直ぐな構成に、またはその逆に、または2つの真っ直ぐな構成の間で)。本発明のいくつかの実施形態では、先端部形状変更器は、周囲シース1720を備える。本発明のいくつかの実施形態では、先端部形状変更器は、内側スタイレットを備える。
【0283】
3106において、先端部1706の幾何形状(例えば、屈曲の仕方)の決定が行われる。そのような決定は、例えば、超音波及び/またはX線によって行うことができる。本発明のいくつかの実施形態では、先端部1706自体が放射線不透過性である(例えば、または、超音波反射体などの異なる撮像タイプのマーカーを含む)。任意選択で、屈曲(または矯正)が撮像方向に対して垂直な平面内にあることを確実にするために、撮像装置は先端部1706と位置合わせされる。任意選択で、先端部1706(またはその近傍の貫通ツールの一部)は、その回転配向を示す放射線不透過性または他のマーカーを含む。任意選択で、または加えて、先端部1706は、複数の放射線不透過性または他のマーカー(例えば、超音波反射体)または線形マーカーを含むか、または先端部1706自体がX線不透過性であり、これは曲線として見ることができる。
【0284】
本発明のいくつかの実施形態の特定の特徴は、血管がそのような撮像では見えない場合があること、及び/または造影剤が使用されないことである。本発明のいくつかの実施形態では、先端部1706は、弾性、超弾性、または形状記憶であり、以前の構成(例えば、直線)に自然に戻ろうとするが、本発明のいくつかの実施形態では、先端部1706は、プルワイヤを使用して変形され、及び/または先端部1706は、歪みまたは屈曲センサを含む。プルワイヤの実際の歪み及び/または長さ、及び/または先端部1706の屈曲に対する、そのようなプルワイヤよって伝達される抵抗、及び/またはセンサ値が、先端部1706の屈曲の程度を示し得る。そのようなセンサは、例えば、独立型であってもよく、プルワイヤ上に取り付けられ、及び/または図示されず、場合によってはアクチュエータ2830及び/またはアクチュエータ2832(図28)の一部として取り付けられてもよい。
【0285】
3108において、決定された幾何形状は、任意選択で、予想される幾何形状と比較され、周囲組織の特性、例えば、ツール先端部1706の横方向の変形に対する抵抗の指標を与える。
【0286】
図33は、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞における前進する湾曲した貫通先端部に対する力を示す。
【0287】
矢印3208は、シース1720が前進させられる場合に先端部1706に印加される矯正力を示す。矢印3206は、先端部1706によって加えられ、その屈曲された構成を弾性的に維持しようとする(例えば、先端部の予め屈曲させること、及び/またはプルワイヤなどの屈曲機構による能動的な屈曲に起因する)力を示す。矢印3204は、周囲の障害物104(もしあれば)及び/または他の組織の、先端部1706の形状変化に対する抵抗を示す。一般に、力3208が力3204と3206の和より大きい場合、先端部1706は真っ直ぐになる。場合によっては、力3208は、先端部1706が真っ直ぐになるにつれて減少し、力3204及び/または3206は、真っ直ぐになるとともに増加し、先端部1706の真っ直ぐさの程度は、弾性または剛性などの、周囲組織の1つ以上の特性を示し得る。いくつかの組織及び針のサイズに対して、真っ直ぐになるのを妨げる針に対する力は、0.1~100ニュートン、例えば5~50ニュートン、例えば10~20ニュートン、またはより小さいもしくは大きいもしくは中間の力であり得る。場合によっては、加えられる力は、針の実際の曲率に依存し、したがって、針は、少なくとも部分的にシースに起因して偏向し得る。
【0288】
図34A及び図34Bは、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の外側及び内側の開始位置における湾曲した貫通先端部をそれぞれ示し、図35A及び図35Bは、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞の外側及び内側のシースに沿ってシースが前進した後の湾曲した貫通先端部をそれぞれ示す。図から分かるように、図35Aの先端部1706(先端部が血液またはしぼんだ血管壁によって囲まれている)の矯正の程度は、図35Bの先端部1706(先端部が硬い障害物104によって囲まれている)の矯正の程度よりも大きい。本発明のいくつかの実施形態では、先端部1706は、筋肉、脂肪、または間質材料によって取り囲まれたときに実質的に真っ直ぐになり、静脈障害物内にあるときに真っ直ぐにならない(著しく、または真っ直ぐな構成まで)ように構成される。
【0289】
図35Aを見る場合の結論は、貫通される先端部1706が閉塞を通過した(または他の方法で閉塞の外側にある)一方で、図35Bでは、閉塞を通過するためにさらに前進させることが必要である。
【0290】
図36A及び36Bは、本発明のいくつかの実施形態による、血管に沿った矯正シースの前進の前の、血管から延びる湾曲した貫通先端部を示す。本発明のいくつかの実施形態では、図35A及び36Bの状況は、先端部1706が血管の内側(この場合、血管の管腔が見える)または外側(この場合、造影剤の組織化されていないたまりが予想され得る)であるかどうかを特定するために、造影剤を使用して撮像することによって区別される。任意選択で、または加えて、図36Bの矯正に対する抵抗は、血管の外側の矯正に対するより多くの抵抗があり得るので、図35Aの抵抗よりも大きい。
【0291】
周囲の組織剛性を推定するために針変形を使用することに代えて、または加えて、バルーン膨張及び/または収縮が使用され得る。
【0292】
例えば、バルーン膨張に対する抵抗(例えば、膨張する時間に基づいて測定される、及び/または、例えば、流体経路上の圧力センサを使用して測定される)は、周囲の組織抵抗の指標として使用することができる。例えば、抵抗は、障害物の外側よりも障害物内の方が高い。任意選択で、または加えて、バルーン収縮は、バルーンに作用する力の指標として使用され得、これは、次に、周囲組織の弾力及び/または弾性を示し得る。例えば、障害物の内側のしぼみは、間質組織内よりも速い。本発明のいくつかの実施形態では、完全に収縮していないバルーンが先端部を前進させられ、それによって、組織を取り囲むことによって、さらにしぼみ、及び/またはその中の圧力が増加する場合に、バルーンのしぼみが測定される。
【0293】
代替的に、または追加的に、生理食塩水及び/または造影剤の注入に対する抵抗及び/または造影剤の散逸率が、周囲の組織の固体性及び/または多孔性を示すために、及び/または血流または流体排液を示すために使用され得る。例えば、障害物内では、注入が抵抗を受け、造影剤がたまって緩慢に希釈されることが予想される。障害物の外側または間質組織内において、そのような抵抗は、より低く、及び/または希釈(例えば、画像に対する吸収または反射の密度によって示されるように)はより速いと予想される。
【0294】
概説
本出願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連する閉塞物貫通ツール及び静脈固定コンポーネントが開発されることが予想され、貫通先端部という用語及ぶ固定要素という用語の範囲は、そのようなすべての新技術を先験的に含むことを意図している。
【0295】
量または値に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、「その±10%以内」を意味する。
【0296】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語及びそれらの同根語は、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0297】
「~から成る(consisting of)」という用語は、「を含み(備え)、~に限定される」ことを意味する。
【0298】
「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部分が、特許請求された組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0299】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈上明らかに別段に示される場合を除き、複数の指示対象を含む。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0300】
本出願を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示される場合がある。範囲形式での記述は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のあるすべてのサブ範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、「1~6」といった範囲の記述は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などのサブ範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とが具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0301】
本明細書で数値の範囲が示されている場合(例えば、「10-15」、「10~15」、またはこれらの別のこのような範囲表示によって連結された任意の数値の対)は、文脈から明らかに別の指示がない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1に示された数値と第2に示された数値との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1に示された数値「から」第2に示された数値「まで(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」または「まで(through)」の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1に示された数値及び第2に示された数値と、それらの間の分数及び整数の数字のすべてを含むことを意味する。
【0302】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内での近似値である。
【0303】
本明細書で使用される「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者に既知の方法、手段、技術及び手順、または既知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発されるものを含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を指す。
【0304】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態の進行を防ぐ、実質的に阻害する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0305】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設けることもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の説明された実施形態において好適なものとして設けることもできる。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0306】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替形態、修正形態及び変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるそのようなすべての代替形態、修正形態及び変形形態を包含することが意図されている。
【0307】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが示されているときに、これらが明確かつ個別に記されているのと同様に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが出願人(出願人ら)の意図である。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図23I
図23J
図23K
図23L
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図25F
図26
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
【国際調査報告】