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特表2024-524476光学系の露光面校正方法及び装置、校正測定方法、コンピュータ機器、並びにコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】光学系の露光面校正方法及び装置、校正測定方法、コンピュータ機器、並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580988
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022107529
(87)【国際公開番号】W WO2023001306
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110832043.6
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002326
【氏名又は名称】グアンジョウ ヘイギアーズ アイエムシー.インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU HEYGEARS IMC.INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ディン,パン
(72)【発明者】
【氏名】フー ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ザン,ホンチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ビン
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA30
2H197CB26
2H197CC05
2H197DA03
2H197DA06
2H197DC06
2H197DC13
(57)【要約】
本願は、光学系の露光面校正方法及び装置、コンピュータ機器、並びに記憶媒体を開示し、当該方法は、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、前記階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割して、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、前記デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含む。本願は、露光面の画素レベル分布を取得し、階調値に対して、対応する補償を行うことにより、光学系の露光面に対する校正精度及び校正効率を向上させることができる。本願は、3D印刷用の校正測定方法をさらに開示する。前記3D印刷用の校正測定方法は、光学系の複数のパラメータを測定することにより、光学系の各パラメータが3D印刷中に要件を満たすことを判断することができるため、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができ、より正確で効率的な3D印刷を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、
前記階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、
前記デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする光学系の露光面校正方法。
【請求項2】
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択するステップは、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項3】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップは、
第1階調分布画像及び第2階調分布画像を取得するステップであって、前記第1階調分布画像は、前記光学系によって投射された第1画像を撮像して得られるものであり、前記第2階調分布画像は、前記光学系によって投射された第2画像を撮像して得られるものであり、前記第1画像における第1階調領域は、前記第2画像における第2階調領域に対応し、前記第1画像における第2階調領域は、前記第2画像における第1階調領域に対応するステップと、
前記第1階調分布画像及び前記第2階調分布画像を処理して、前記階調分布画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項4】
前記第1画像における第1階調領域と前記第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、前記第2画像における第1階調領域と前記第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、前記第1画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、前記第2画像における第1階調領域は、円形又は方形である、ことを特徴とする請求項3に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項5】
前記第1階調領域は、白色領域であり、前記第2階調領域は、黒色領域である、ことを特徴とする請求項4に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項6】
前記撮像モジュールのレンズに光学フィルタが設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項7】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行う前記ステップは、
基準光源が均一な放射照度値を有する露光面を投影するステップと、
撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得るステップと、
前記基準光源画像に基づいて、感光チップにおける各画素ユニットの階調出力値を取得し、基準光源の予め設定された階調値と各画素ユニットの階調出力値とを比較して、各画素ユニットの階調補正係数を得るステップと、
各画素ユニットの階調補正係数に基づいて撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項8】
撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得る前記ステップは、
基準光源の露光面のサイズに基づいて、撮像モジュールの撮像面をいくつかの撮像サブ領域に分割するステップと、
基準光源を移動させることで、基準光源によりそれぞれ各撮像サブ領域へ投影して、各撮像サブ領域に対応するいくつかの基準光源サブ画像を得るステップと、
前記いくつかの基準光源サブ画像をスティッチングして、前記基準光源画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項9】
前記撮像モジュールの露光量を限定するステップと、
基準光源の露光面の放射照度値を調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得することにより、階調と放射照度値との関係曲線をフィッティングして生成するステップと、
前記関係曲線に基づいて、撮像モジュールにより光学系からの投光画像の階調を読み取って、対応する放射照度値を得るステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項10】
光学系の照射制御パラメータ及び対応する画像情報を取得するステップと、
前記光学系の画像情報と照射データとの第1関係を取得するステップと、
前記第1関係、前記照射制御パラメータ及び前記対応する画像情報に基づいて、前記光学系の照射制御パラメータと照射データとの第2関係を得るステップであって、前記第2関係は、3D印刷プロセスにおける照射データの調整に用いられるステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項11】
前記光学系の画像情報と照射データとの第1関係を取得するステップは、
前記基準光源の画像情報と前記光学系の画像情報との第3関係、及び前記基準光源の画像情報と前記基準光源の照射データとの第4関係を取得するステップと、
少なくとも前記第3関係、第4関係に基づいて、前記第1関係を得るステップと、を含み、
前記第3関係は、前記基準光源の画像情報と前記光学系の画像情報とが一致するか又はそれらの間にはバラツキがあることを満たす、ことを特徴とする請求項10に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項12】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得する前記ステップは、
撮像された階調分布画像が最大階調値以下となるように、撮像モジュールの露光量を調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項13】
各分割領域のフィッティング階調値をフィッティングアルゴリズムで計算し、前記フィッティングアルゴリズムは、最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム又は三次スプラインフィッティングアルゴリズムである、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項14】
計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成する前記ステップは、
全てのフィッティング階調値を、対応する分割領域の順序に従ってP11、P12、……、Pmnとして順次ラベリングして、アイテム数がm*nの
【数1】
の階調配列を得るステップと、
前記階調モジュールから最小値Pminを最小フィッティング階調値として選択し、最小フィッティング階調値と階調配列における他のデータに対して正規化比率計算を行って、比率行列を得るステップと、
前記比率行列に含まれる比率を対応する階調補償係数とし、その後、要求される画像階調値と前記比率行列における各比率とを乗算して、対応するデジタルマスクを得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法により光学系を校正するステップと、
白色画像に対応する第1放射照度値及び黒色画像に対応する第2放射照度値を取得するステップであって、前記白色画像及び前記黒色画像は、いずれも校正後の光学系によって投射されて得られるものであるステップと、
前記第1放射照度値及び前記第2放射照度値に基づいて、前記光学系の静的コントラストを得るステップと、
チェッカーボードマップにおける各領域の放射照度値を取得するステップであって、前記チェッカーボードマップは、校正後の光学系によって投射されて得られるものであるステップと、
前記各領域の放射照度値をANSIコントラスト計算方法で処理して、前記光学系の動的コントラストを得るステップと、を含む、ことを特徴とする3D印刷用の校正測定方法。
【請求項16】
前記校正測定方法は、
投光フォーマット上の予め設定された位置に画像を投射するように校正後の光学系を制御するステップであって、前記画像は、少なくとも1本のサジタル方向の線と、少なくとも1本の子午線方向の線とを含むステップと、
投射された画像の実際の階調分布曲線を取得し、前記実際の階調分布曲線及び予め設定された階調分布曲線に基づいて、各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値を確認するステップと、
各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項17】
各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップは、
いずれかの前記CTF値が第1設定値より小さいか、又はいずれかの前記MTF値が第2設定値より小さいと、前記光学系のクラリティが不合格であると決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項18】
前記校正測定方法は、
前記実際の階調分布曲線上の任意の点の値が下限値より低いか、及び/又は前記実際の階調分布曲線に急な曲線があると、前記光学系に汚れがあると決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15又は16に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項19】
前記校正測定方法は、
カメラモジュールにおける撮影面上の各画素に対応する大きさをキャリブレーションし、被写体の辺長が占める画素の数に基づいて被写体のサイズを決定するステップ、及び/又は、
前記カメラモジュールにおける撮影面のサイズを取得し、撮影面に占める被写体の辺長の割合に基づいて、被写体のサイズを決定するステップ、をさらに含む、ことを特徴とする請求項15~18のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項20】
現在の検出項目を決定し、前記現在の検出項目に基づいて対応するカメラモジュールを選定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15~19のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項21】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された画像情報分布画像を取得するステップと、
前記画像情報分布画像に対して分割処理を行い、各分割領域のマッピング画像情報値を計算するステップと、
各前記マッピング画像情報値から基準マッピング画像情報値を選択し、前記基準マッピング画像情報値に基づいて他の分割領域に対応する補償パラメータを計算するステップであって、前記補償パラメータは、光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るためのものであるステップと、を含む、ことを特徴とする光学系の露光面校正方法。
【請求項22】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するように構成される画像取得ユニットと、
前記階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するように構成されるフィッティングユニットと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するように構成される選択ユニットと、
前記デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るように構成されるマスク補償ユニットと、を備える、ことを特徴とする光学系の露光面校正装置。
【請求項23】
前記選択ユニットは、さらに、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択するように構成されることを特徴とする請求項22に記載の光学系の露光面校正装置。
【請求項24】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うように構成されるフラットフィールド補正ユニットをさらに備える、請求項22又は23に記載の光学系の露光面校正装置。
【請求項25】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~14、21のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法及び請求項15~20のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項26】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~14、21のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法及び請求項15~20のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項27】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~14、21のいずれか一項に記載の方法及び請求項15~20のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月22日に中国国家知識産権局に提出した、出願番号が202110832043.6で、発明の名称が「光学系の露光面校正方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
本願は、光学系の技術分野に関し、特に、光学系の露光面校正方法及び装置、校正測定方法、コンピュータ機器、並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術における3D印刷技術は、光硬化の分野で面印刷プロセスを実現する場合、一般的にDLPとLCD技術を使用する。DLP光硬化プリンターは、高解像度のDLPデバイスと紫外線光源を用いて、3次元モデルの断面を作業台上に投影し、液状フォトポリマーを1層ずつ光硬化させる。LCD光硬化プリンターは、DLP投影システムの代わりにLCDディスプレイを用いて断面を直接作業台上に表示する以外、上記と同様である。DLPとLCDは、いずれも印刷面露光技術に属し、3D印刷の場合、露光面内の各箇所の放射照度を一致させる必要がある。露光面内の放射照度の差が大きすぎると、印刷された完成品の表面に縦筋が発生したり、ひどい場合、印刷中に印刷プラットフォームから脱落したりして、印刷に失敗する。
【0003】
光源校正技術としては、印刷領域のフォーマット全体を複数の測定点に分割し、光パワーメーターにより各点の放射照度を測定して、各点の放射照度分布データを取得することが一般的である。次に、データ分布に基づいて各点の階調補償値を逆算し、各点の領域を補償値により計算された階調で投影又は表示して、露光面全体の均一性の校正を実現する。
【0004】
しかし、このような方法には、大きな制限があり、例えば、フォーマット分割後の点の放射照度測定は、当該点の放射照度しか示さず、離散的な点値に属する。しかしながら、対応する分割面の領域分布値の代わりに離散的な点値を用い、即ち、離散的な点で平面内の均一分布状況を表すと、離散的な点間の分布値がこれらの二点の値で置き換えられるため、均一性の校正精度の低下を招く。精度を上げるためには、通常、フォーマット分割された点を増やすことによって行われるが、検出時間と難度の増大を招く。また、印刷装置の長期使用に伴い、光学系内の素子の劣化や交換により、前回の校正後の階調補償値が変化してしまう場合があり、印刷領域の均一性の校正を継続する必要があり、多大な労力と時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、光学系の露光面に対する校正精度及び校正効率を向上させるための光学系の露光面校正方法及び装置、コンピュータ機器、並びに記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、本願は、光学系の露光面校正方法を提供し、当該方法は、
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、
階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、
デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含んでもよい。
【0007】
第2態様において、本願は、3D印刷用の校正測定方法を提供し、当該方法は、
上記のような光学系の露光面校正方法により光学系の露光面を校正するステップと、
白色画像に対応する第1放射照度値及び黒色画像に対応する第2放射照度値を取得するステップであって、白色画像及び黒色画像は、いずれも校正後の光学系によって投射されたものであるステップと、
第1放射照度値及び第2放射照度値に基づいて、光学系の静的コントラストを得るステップと、
チェッカーボードマップにおける各領域の放射照度値を取得するステップであって、チェッカーボードマップは、校正後の光学系によって投射されたものであるステップと、
各領域の放射照度値をANSIコントラスト計算方法で処理して、光学系の動的コントラストを得るステップと、を含んでもよい。
【0008】
第3態様において、本願は、光学系の露光面校正方法を提供し、当該方法は、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された画像情報分布画像を取得するステップと、
画像情報分布画像に対して分割処理を行い、各分割領域のマッピング画像情報値を計算するステップと、
各マッピング画像情報値から基準マッピング画像情報値を選択し、基準マッピング画像情報値に基づいて他の分割領域に対応する補償パラメータを計算するステップであって、補償パラメータは、光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るためのものであるステップと、を含んでもよい。
【0009】
第4態様において、本願は、光学系の露光面校正装置を提供し、当該装置は、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するように構成される画像取得ユニットと、
階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するように構成されるフィッティングユニットと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するように構成される選択ユニットと、
デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るように構成されるマスク補償ユニットと、を備えてもよい。
【0010】
第5態様において、本願は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器を提供し、プロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、上記光学系の露光面校正方法及び上記3D印刷用の校正測定方法を実現する。
第6態様において、本願は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記光学系の露光面校正方法及び上記3D印刷用の校正測定方法を実現する。
第7態様において、本願は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記光学系の露光面校正方法及び上記3D印刷用の校正測定方法を実現する。
【発明の効果】
【0011】
本願は、光学系の露光面校正方法及び装置、コンピュータ機器、並びに記憶媒体を提供し、当該方法は、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含む。本願は、露光面の放射照度値の全ての画素レベル分布を取得して、密度の低い離散型分布に変換し、さらに、階調値に対して、対応する補償を行うことにより、光学系の露光面に対する校正精度及び校正効率を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本願の一実施例に係る光学系の露光面校正方法の概略的なフローチャートである。
図2】本願の別の実施例に係る光学系の露光面校正方法の概略的なフローチャートである。
図3】本願の実施例に係る光学系の露光面校正方法の概略的なサブフローチャートである。
図4】本願の実施例に係る光学系の露光面校正方法の別の概略的なフローチャートである。
図5】本願の実施例に係る光学系の露光面校正方法の例示的な概略図である。
図6】本願の実施例に係る光学系の露光面校正方法の別の例示的な概略図である。
図7】本願の実施例に係る3D印刷の校正測定方法の概略的なフローチャートである。
図8】本願の実施例に係る光学系の露光面校正装置の概略的なブロック図である。
図9】本願の実施例に係る光学系の露光面校正装置の概略的なサブブロック図である。
図10】本願の実施例に係る光学系の露光面校正装置の別の概略的なブロック図である。
図11】本願の実施例に係る光学系の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術手段を明確で完全に説明し、明らかに、説明する実施例は、本願の一部の実施例にすぎず、全てではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
「含む」及び「備える」という用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、記述された特徴、全体、ステップ、操作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、要素、コンポーネント及び/又はその群の存在又は追加を除外するものではないことが理解されるであろう。
【0014】
本願の明細書において用いられる用語は、特定の実施形態の記載のみを目的とし、本願を限定することは意図されていないことも理解されるであろう。本願の明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、文脈が明確に他の場合を指示していない限り、単数形の「一」、「1つ」及び「当該」は、複数形も含むことが意図される。
本願の明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意及び可能な全ての組み合わせを指し、これらの組み合わせを含むことがさらに理解されるであろう。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る光学系の露光面校正方法の概略的なフローチャートである。以下、図1に示すように、具体的には、ステップS101~S105を含む。
S101では、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行う。
S102では、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得する。
【0016】
S103では、階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割して、各分割領域のフィッティング階調値を計算する。
S104では、計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成する。
【0017】
S105では、デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得る。
なお、フィッティング階調値は、領域内の階調分布をマッピングして得られた値であってもよく、計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、所定のフィッティング階調値は、光学系の実践経験に基づいて調整されてもよく、必要に応じて、所定のフィッティング階調値は、計算して得られた全てのフィッティング階調値のうちの任意のフィッティング階調値であってもよい。いくつかの実施形態において、所定のフィッティング階調値は、最小のフィッティング階調値×50%+最大フィッティング階調値×50%に等しくてもよい。他のいくつかの実施形態において、所定のフィッティング階調値は、最小のフィッティング階調値×75%+最大フィッティング階調値×25%に等しくてもよい。なお、所定のフィッティング階調値は、他の値を用いて基準階調値としてもよい。
【0018】
いくつかの実施例において、最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択してもよい。最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択すると、光均一性の校正を行う場合、光学機器は、最大輝度で投影する。一方、基準階調値として最小のフィッティング階調値を用いない場合、光学機器の輝度を下げて校正する必要があり、それにより、基準値以下の点でも階調を上げることができ、露光面の階調校正を均一にする。
【0019】
以下、図2に示すように、最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択する実施態様について詳しく説明し、図2は、本願の別の実施例に係る光学系の露光面校正方法の概略的なフローチャートである。具体的には、ステップS202~S205を含んでもよい。
S202では、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得する。
【0020】
S203では、階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割して、各分割領域のフィッティング階調値を計算する。
S204では、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成する。
S205では、デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得る。
【0021】
本実施例では、まず、露光面上に導光フィルムを用いて光学系により投影又は表示された、フォーマット全体が白色画像である投光画像を受信し、nビット画像における2-1階調の白色画像を用いるように設定し、8ビット画像を例として、0~255階調における255階調の白色画像を用いるように設定し、導光フィルムの裏面から見られる純白の結像面は、プリンターの印刷面である。次に、導光フィルムの真上に1つの撮像モジュールを配置して結像面を撮像して、撮像面を得、撮像モジュールにより光学系の露光面における各放射照度値を異なる階調に変換して、対応する階調分布画像を得る。次に、階調分布画像を分割してフィッティング階調値を計算し、対応する最小のフィッティング階調値及び階調補償係数を得ることにより、デジタルマスクを生成する。デジタルマスクにより投光画像を補償することにより、露光面に対する均一な校正を実現することができ、最終的に得られる印刷画像が均一な放射照度値を有するようにする。なお、本実施例の基準光源は、フラットフィールド補正技術における基準高均一面光源であり、即ち、S202の前に、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップS201をさらに含む。
【0022】
本実施例では、露光面の放射照度の全ての画素レベル分布を取得して、密度の低い離散型分布に変換し、さらに、階調値に対して、対応する補償を行うことにより、光学系の露光面に対する校正精度及び校正効率を効果的に向上させることができる。同時に、撮像モジュールにより非接触式の全体的な測定を実現し、複数の繰り返し操作を回避し、測定時間を節約する。また、本実施例の補正精度は、実際の状況に応じて自ら調整することもでき、余計な操作ステップを追加する必要がない。
【0023】
なお、本願で言及された放射照度値は、他の物理量である光強度で示されてもよく、両者は、互いに変換して利用されてもよい。
一実施例において、光学系の露光面校正方法をさらに提供し、当該方法は、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された画像情報分布画像を取得するステップと、
画像情報分布画像に対して分割処理を行って、各分割領域のマッピング画像情報値を計算するステップと、
各マッピング画像情報値から基準マッピング画像情報値を選択して、基準マッピング画像情報値に基づいて他の分割領域に対応する補償パラメータを計算するステップであって、補償パラメータは、光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るためのものであるステップと、を含む。
【0024】
画像情報は、階調、輝度及び他の類似の物理量であってもよい。画像情報分布画像は、階調情報分布画像又は輝度情報分布画像などである。補償パラメータは、補償係数又は補償値などであってもよい。マッピング画像情報値は、メッシュ内の階調分布をマッピングして得られるものであり、フィッティング又は補間の方式により取得することができる。フィッティングアルゴリズムは、最小二乗法、多項式フィッティング、三次スプラインフィッティングを含むが、これらに限定されない。
【0025】
具体的には、補償パラメータによりデジタルマスクを生成し、デジタルマスクにより投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得ることができる。一具体例において、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された画像情報分布画像を取得するステップの前に、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップをさらに含む。
【0026】
一実施例において、ステップS201は、
基準光源が、予め設定された階調値に基づいて、均一な放射照度値を有する露光面を投影するステップと、
撮像モジュールが、基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得るステップと、
基準光源画像に基づいて、感光チップにおける各画素ユニットの階調出力値を取得し、基準光源の予め設定された階調値と各画素ユニットの階調出力値とを比較して、各画素ユニットの階調補正係数を得るステップと、
各画素ユニットの階調補正係数に基づいて、撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、を含んでもよい。
【0027】
本実施例において、まず、基準光源(即ち、基準高均一面光源)に対して階調値を設定して、均一な放射照度値を有する露光面を投影する。次に、撮像モジュールにより基準光源を撮像して、感光チップにおける各画素ユニットが同じエネルギーの光線を同時に受けることができるようにする。次に、感光チップの出力データに基づいて、撮像モジュールのフラットフィールド補正を完了する。具体的には、本実施例において、撮像モジュールにより基準光源全体を撮像し、即ち、均一な面光源が撮像モジュールの撮像面範囲より大きく、このように、撮像モジュールにおける感光チップが撮像対物レンズによって収集される像面によって完全に覆われる。具体的には、予め設定された階調値は、2-1であってもよく、8ビット画像の階調を用いる場合、予め設定された階調値は、255である。
【0028】
撮像モジュール内のレンズケラレとカメラ内の感光チップの感光差の影響により、撮像モジュールが基準高均一面光源を撮像する場合、感光チップの中央部と縁部で検知された輝度が異なるため、撮像画像に異なる階調表示が現れる。フラットフィールド補正は、感光チップが検知した階調値を既知の基準高均一面光源と比較し、8ビット画像の階調を例として、基準光源の階調値を255に設定すると、当該撮像モジュールの各画素の階調補償値を得ることができ、当該補償値によりモジュールを補正した後、基準高均一面光源を撮像して当該光源の均一性の実際の分布を得ることができ、それにより、当該撮像モジュールのフラットフィールド補正が完成する。
【0029】
さらに、一実施例において、撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得るステップは、
基準光源の露光面のサイズに基づいて、撮像モジュールの撮像面をいくつかの撮像サブ領域に分割するステップと、
基準光源を移動させることで、基準光源によりそれぞれ各撮像サブ領域へ投影して、各撮像サブ領域に対応するいくつかの基準光源サブ画像を得るステップと、
いくつかの基準光源サブ画像をスティッチングして、基準光源画像を取得するステップと、を含む。
【0030】
当該好ましい実施例において、基準光源の露光サイズに基づいて撮像モジュールの撮像面を分割し、さらに基準光源を移動させることで、分割された各撮像サブ領域へ投影して、対応する基準光源サブ画像を得る。
当該好ましい実施例において、面積が小さくて高度に均一な面光源を基準光源として用い、基準光源の長さと幅をそれぞれ撮像面の長さの1/pと幅の1/qに設定し、撮像面と結像面が共役であり、即ち、p*qの領域に分割された撮像面に対して、結像面には、1対1にマッピングされる対応する数のp*qの領域がある。pとqは、いずれも整数である。
【0031】
基準光源の長さと幅に基づいて、基準光源を結像面のp*q個の領域に対応させる。
p*q個の領域を領域ごとに均一な結像面にスティッチングし、均一な結像面により撮像モジュールのフラットフィールド補正を完成させる。
図5及び図6に示すように、図6は、図5の共役から得られ、基準光源を領域1にセットする場合、対応して結像する領域が1’であり、基準光源を領域2に移動させる場合、対応して結像する領域が2’である。領域ごとに同一の基準光源を移動させ、基準光源は、対応してp*q個の領域を結像し、領域ごとにスティッチングした後、結像面に感光チップを覆う1つの均一な結像面を生成することができ、この結像面により撮像モジュールのフラットフィールド補正を完成させることができる。
【0032】
光学系は、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができる結像システムである。ビームにおける各光線又はその延長線がいずれも一点に交わるビームは、同心ビームと呼ばれる。入射された同心ビームが理想的な光学系を通過した後、出射されたビームも必ず同心ビームである。入射された同心ビーム及び出射された同心ビームの交点は、それぞれ物点及び像点と呼ばれる。理想的な光学系は、次の性質を有する。1、物点に交わる全ての光線が光学系を通過した後、出射された光線は、いずれも像点に交わる。逆も同様である。互いに入れ換えるこれら1対の物点と像点は、共役点と呼ばれる。2、物体側の各直線と、対応する像側の各直線は、共役線と呼ばれ、対応する面は、共役面と呼ばれる。3、光軸に垂直な任意の平面について、その共役面は、依然として光軸に垂直である。4、光軸に垂直な一対の共役平面について、横倍率は、定数である。
【0033】
一実施例において、図3に示すように、光学系の露光面校正方法は、ステップS301~S303をさらに含んでもよい。
S301では、撮像モジュールの露光量を限定する。
S302では、基準光源の露光面の放射照度値を調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得して、階調と放射照度値との関係曲線をフィッティングして生成する。
【0034】
S303では、関係曲線に基づいて、撮像モジュールにより光学系からの投光画像の階調を読み取って、対応する放射照度値を得る。
本実施例において、プリンターの印刷露光面の均一性を校正する以外に、光学系の放射照度を監視し、光学系の劣化状態を把握することができる。具体的には、フラットフィールド補正中に、まず、投光画像のハードウェアパラメータを設定し、ハードウェアパラメータは、3Dプリンターの露光量、撮像モジュールのゲイン及び画像処理条件などを含んでもよい。次に、撮像モジュールの露光量を一定にし、一定の露光量により投光画像の階調ピークを2-1(8ビット画像の階調が255)以下に保つ。
【0035】
一定の露光量で投光画像に対して階調キャリブレーションを行って、放射照度値に対応する撮像階調の座標点を得る。そして、放射照度値測定装置により異なる放射照度値を測定して、投光画像の放射照度値を調整し、さらに撮像モジュールにより対応する階調値を取得することができる。複数回の調整後、調整結果(即ち、異なる放射照度値及び対応する階調値)に基づいて、放射照度値の座標点をフィッティングして、階調と放射照度値との関係曲線を生成することができる。その後、同一の露光量で、撮像モジュールが投光画像の階調を読み取る場合、関係曲線に基づいて対応する放射照度値を決定することができる。
【0036】
さらに、光学系の露光面校正方法は、
光学系の照射制御パラメータ及び対応する画像情報を取得するステップと、
光学系の画像情報と照射データとの第1関係を取得するステップと、
第1関係、照射制御パラメータ及び対応する画像情報に基づいて、光学系の照射制御パラメータと照射データとの第2関係を得るステップであって、第2関係は、3D印刷プロセスにおける照射データの調整に用いられるステップと、をさらに含んでもよい。
【0037】
照射制御パラメータは、照射データ(例えば、照射の輝度、光パワーなど)を調整するためのものであり、例えば、電流などの関連パラメータであってもよく、入力輝度、入力電圧、入力電力などであってもよい。画像情報は、画像の特徴を反映するものであり、マトリックス形式で表現することができ、例えば、階調、輝度などの関連パラメータであってもよく、階調は、ある領域の全ての画素の平均階調値、又はある領域の全ての画素の中央値、合計値などであってもよい。照射データは、投光画像の電磁放射関連情報を示すものであり、例えば、照射強度、光強度、照度又は光パワーなどのパラメータであってもよい。
【0038】
一例において、各分割領域が対応するマッピング関係の位置を見つけられることを保証するために、基準光源の最大投光面積は、光学系の投光面積以上である。
以下、電流を照射制御パラメータとし、階調を画像情報として例を挙げると、光学系の照射制御パラメータ及び対応する画像情報を取得するには、光学系に各予め設定された電流値を入力し、光学系が各予め設定された電流値に基づいて発した投光画像の階調値を取得して、各予め設定された電流値に対応する階調値を得る方式を用いることが可能である。
【0039】
光学系の画像情報と照射データとの間の第1関係を取得するステップは、基準光源の画像情報と光学系の画像情報との間の第3関係、及び基準光源の画像情報と基準光源の照射データとの間の第4関係を取得するステップと、少なくとも第3関係、第4関係に基づいて、第1関係を得るステップと、を含んでもよく、第3関係は、基準光源の画像情報と光学系の画像情報とが一致するか又はそれらの間にはバラツキがあることを満たす。
【0040】
具体的には、第3関係は、光学系の階調と照射データとの第5関係、及び基準光源の階調と照射データとの第6関係を取得し、第5関係及び第6関係に基づいて、基準光源の階調と光学系の階調との間の第3関係を得ることによって取得することができる。第4関係は、マッピングテーブルの形式であってもよく、フィッティング曲線の形式であってもよく、ここでは特に限定されない。階調値を画像情報として例を挙げると、基準光源の露光面の照射データを調整して、各照射データの下で、撮像モジュールにより対応する階調値を取得し、即ち、撮像モジュールにより、いずれかの照射データ及び当該照射データに対応する階調値を得、それにより、基準光源の階調値と照射データとの関係を生成することができる。なお、第3関係と第4関係のみならず、光学系の初期の照射制御パラメータと照射データとの関係に基づいて、上記第1関係を得ることができる。さらに、光学系の他のパラメータ間の関係に基づいて、上記第1関係を得ることもできる。
【0041】
一実施例において、基準光源の画像情報と光学系の画像情報とは、一致すると認められる。したがって、基準光源の画像情報と光学系の画像情報との第3関係、基準光源の画像情報と基準光源の照射データとの第4関係に基づいて、光学系の画像情報と照射データとを得ることができる。
他の実施例において、基準光源の画像情報と光学系の画像情報との間には、バラツキがある。当該バラツキは、光学系の階調と照射データとの関係、及び基準光源の階調と照射データとの関係を取得し、そして、上記2つの関係に基づいて、基準光源の階調と光学系の階調との間の第7関係を得ることによって得られることができる。第7関係、及び第3関係や第4関係に基づいて、当該第1関係が得られることができる。
上記露光面校正方法をさらに説明するために、以下、画像情報が階調であり、照射制御パラメータが電流であることを例として、さらに説明する。
【0042】
1)基準光源の画像情報と光学系の画像情報とは、一致すると認められることができる。
基準光源の露光面の放射照度値を調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得し、
放射照度値及び対応する階調値に基づいて、基準光源の階調値と放射照度値との第8関係を生成し、
光学系に各予め設定された電流値を入力し、光学系が各予め設定された電流値に基づいて発した投光画像の階調値を取得して、各予め設定された電流値に対応する階調値を得る。基準光源の露光面の照射データを調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得し、
第8関係を用いて、対応する階調値を処理し、各予め設定された電流値に対応する照射データを得、
各予め設定された電流値及び各予め設定された電流値に対応する照射データを処理して、光学系の電流値と照射データとの第9関係を得、第9関係は、3D印刷中に照射データの調整に用いられる。
ここで、照射データは、照射強度、パワー、光強度及び関連する他の値のうちの1つであってもよい。
【0043】
具体的には、基準光源の露光面の照射データを調整して、各照射データの下で、撮像モジュールにより対応する階調値を取得し、即ち、撮像モジュールにより、いずれかの照射データ及び当該照射データに対応する階調値を得、それにより、階調値と照射データとの第8関係を生成することができる。ここで、第8関係は、マッピングテーブルの形式であってもよく、フィッティング曲線の形式であってもよく、ここでは特に限定されない。最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム、及び三次スプラインフィッティングアルゴリズムのような本分野のいずれかのフィッティングアルゴリズムで、照射データ及び対応する階調値に対してフィッティング処理を行うことができる。光学系に各予め設定された電流値を入力し、予め設定された電流値は、光学系に基づいて決定することができる。本技術解決策において、光学系に送られる電流値は、ホストコンピュータによって制御され、電流の大きさは、投光画像の照射データ及び階調に影響を与える。光学系が各予め設定された電流値の下で、異なる階調値の投光画像を投射するため、撮像モジュールにより階調を読み取ることで、光学系が各予め設定された電流値の下で投射した投光画像の階調値を得ることができる。階調値と照射データとの第8関係に基づいて、各予め設定された電流値に対応する照射データを得ることができる。第9関係は、マッピングテーブルの形式であってもよく、フィッティング曲線の形式であってもよく、ここでは特に限定されない。各予め設定された電流値及び各予め設定された電流値に対応する照射データを処理する方式は、第9関係の形式に基づいて決定することができる。一具体例において、フィッティングアルゴリズムで、予め設定された電流値及び対応する照射データをフィッティングし、予め設定された電流値と照射データとのフィッティング曲線関係を得ることができる。第9関係を得た後、当該第9関係により3D印刷を行うことができ、この場合、光学系の照射データの校正が完了する。一具体例において、基準光源の露光面の照射データを調整する前に、撮像モジュールの露光量を限定するステップをさらに含む。
【0044】
なお、3D印刷では、各層の画像に要求される照射データは、異なってもよい。したがって、印刷中に、照射データは、必要に応じて変更する必要がある。光学系の使用年数が長くなるに連れて、同一の電流でその投光画像の照射データが変化するため、光学系に対して照射データの校正を行う必要がある。従来技術では、通常、光パワーメーターにより、点ごとに照射データを手動で収集する。大判印刷を行う必要がある場合、照射データのサンプリングを長時間行う必要があり、効率が低いだけでなく、コストが高い光パワーメーターを用いる必要がある。本願は、光学系に対して光均一性の校正及び照射データの校正を行うことにより、光パワーメーターを必要とせずに自動的かつ迅速に光学系を校正することができ、同時に人件費を節約する。
【0045】
2)基準光源の画像情報と光学系の画像情報との間には、バラツキがあってもよい。
光学系の階調と照射データとの第10関係、及び基準光源の階調と照射データとの第11関係を取得し、
第10関係及び第11関係に基づいて、基準光源の階調と光学系の階調との間の第12関係を得、
光学系に各予め設定された電流値を入力し、光学系が各予め設定された電流値に基づいて発した投光画像の階調を読み取ることで、各予め設定された電流値に対応する階調値を得、
第12関係を用いて各対応する階調値を処理し、基準光源の補償階調値を得、
第10関係を用いて各補償階調値を処理し、各予め設定された電流値に対応する照射データを得、
各予め設定された電流値及び対応する照射データを処理して、光学系の電流値と照射データとの第13関係を得、第13関係は、3D印刷中に照射データの調整に用いられる。
【0046】
ここで、照射データは、照射強度、パワー、及び関連する他の値のうちの1つであってもよい。
具体的には、第10関係及び第11関係は、予め測定され、記憶ユニットに記憶されてもよく、使用する必要がある場合に直接呼び出してもよく、第8関係を取得するような方式で取得されてもよい。第10関係がフィッティング曲線関係であることを例として、光学系の出荷前に光学系の階調値及び照射データを測定して、記憶ユニットに記憶し、フィッティングアルゴリズムで階調値及び照射データをフィッティングして、上記第10関係を得ることができる。第10関係及び第11関係を決定した後、基準光源の階調値と光学系の階調値との関係を取得することができる。光学系が各予め設定された電流値の下で、異なる階調値の投光画像を投射するため、撮像モジュールにより階調を読み取ることで、光学系が各予め設定された電流値の下で投射した投光画像の階調値を得ることができる。光学系が各予め設定された電流値の下で、異なる階調値の投光画像を投射するため、撮像モジュールにより階調を読み取ることで、光学系における対応する階調値を得る。第12関係及び光学系に対応する階調値に基づいて、基準光源における補償階調値を得ることができ、さらに、第11関係に基づいて各予め設定された電流値に対応する照射データを決定する。これにより、各予め設定された電流値に対応する照射データを得ることができる。各予め設定された電流値に対応する照射データに基づいて、上記第13関係を得ることができる。なお、上記第10関係、第11関係、第12関係、及び第13関係は、いずれもマッピングテーブルの形式又はフィッティング曲線の関係を用いることができる。第6関係を得た後、当該第6関係により3D印刷を行うことができ、この場合、光学系は照射データの校正が完了する。上記方法は、基準光源と光学系との階調関係を取得することにより、統一的な照射データでの基準光源と光学系との間の階調の差異を解決し、照射データの校正の正確度をさらに向上させることができる。
【0047】
好ましい実施例において、ステップS301及びS302は、フラットフィールド補正中に行うことができる。
一実施例において、ステップS202は、
撮像された階調分布画像が最大階調値以下となるように、撮像モジュールの露光量を調整するステップであって、最大階調値は、2-1であり、nは、画像のビット数であり、8ビット画像における最大階調値は、255であるステップを含んでもよい。
【0048】
本実施例において、フラットフィールド補正後の撮像モジュールにより結像面を撮像し、撮像モジュールの露光量を調整することにより、全体的に撮像された結像面の階調値を最大階調値(階調画像に表示される階調が0~255である場合、最大階調値は、255である。)以下にし、結像面の実際の均一性分布、即ち、対応する画素レベルの階調分布画像を得ることができる。
【0049】
別の実施例において、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップS202は、
第1階調分布画像及び第2階調分布画像を取得するステップであって、第1階調分布画像は、光学系によって投射された第1画像を撮像して得られるものであり、第2階調分布画像は、光学系によって投射された第2画像を撮像して得られるものであり、第1画像における第1階調領域は、第2画像における第2階調領域に対応し、第1画像における第2階調領域は、第2画像における第1階調領域に対応するステップと、
第1階調分布画像及び第2階調分布画像を処理して、階調分布画像を得るステップと、を含んでもよい。
【0050】
ここで、第1階調領域と第2階調領域とは、階調で対応し、8ビット画像を例として、第1階調領域は、白色領域(即ち、255階調)であってもよく、第2階調領域は、黒色領域(即ち、0階調)であってもよい。
具体的には、第1画像における白色領域は、第2画像における黒色領域に対応し、即ち、第1画像における任意の位置が白色領域であると、第2画像における対応する位置は、黒色領域である。第1画像における黒色領域は、第2画像における白色領域に対応し、即ち、第1画像における任意の位置が黒色領域であると、第2画像における対応する位置は、白色領域である。撮像モジュールにより第1画像を撮像し、第1階調分布画像を得、撮像モジュールにより第2画像を撮像し、第2階調分布画像を得る。第1階調分布画像と第2階調分布画像を重畳すると、光学系の露光面を撮像して生成された階調分布画像を得る。
【0051】
上記方法は、2回の画像投影により第1階調分布画像と第2階調分布画像を得ることにより、中央部と縁部の階調差を小さくし、階調分布画像における階調値の精度を向上させることができる。
第1画像における第1階調領域と第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、第2画像における第1階調領域と第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、第1画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、第2画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、即ち、第1画像及び第2画像は、チェッカーボード状であってもよく、均一に分布するドットパターンであってもよい。第1画像及び第2画像がドットパターンであることを例として、第1画像は、複数の投光領域を含んでもよく、投光領域は、同じ大きさの格子であってもよい。各ドットは、投光領域内に設けられ、ドットの直径は、予め設定されてもよい。第1画像におけるいずれかの投光領域に白ドットがあると、当該いずれかの投光領域に隣接する領域には、当該白ドットがない。一方、第2画像において、当該いずれかの投光領域に白ドットがないと、当該いずれかの投光領域に隣接する領域には、当該白ドットがある。第1画像と第2画像とを重畳し、得られた画像は、各投光領域にいずれも白ドットがある画像である。
【0052】
一実施例において、撮像モジュールのレンズには、環境光による撮像モジュールへの影響をフィルタリングする光学フィルタがさらに設けられる。
一実施例において、各分割領域のフィッティング階調値をフィッティングアルゴリズムで計算し、フィッティングアルゴリズムは、最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム又は三次スプラインフィッティングアルゴリズムである。
【0053】
本実施例において、各分割領域のフィッティング階調値をフィッティングアルゴリズムで計算する場合、最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム又は三次スプラインフィッティングアルゴリズムを用いてもよいし、他のフィッティングアルゴリズムを用いてもよい。
階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割する場合、具体的には、m行、n列に分割して、m*nのメッシュ分布を形成することができる。
【0054】
一実施例において、図4に示すように、ステップS204は、ステップS401~S403を含んでもよい。
S401では、全てのフィッティング階調値を、対応する分割領域の順序に従ってP11、P12、……、Pmnとして順次ラベリングして、アイテム数がm*nの
【0055】
【数1】
【0056】
の階調配列を得る。
S402では、階調モジュールから最小値Pminを最小のフィッティング階調値として選択し、最小のフィッティング階調値と階調配列における他のデータに対して正規化比率計算を行って、比率行列を得る。
S403では、比率行列に含まれる比率を対応する階調補償係数とし、その後、要求される画像階調値と比率行列における各比率とを乗算して、対応するデジタルマスクを得る。
【0057】
本実施例において、メッシュ画像内の最小のフィッティング階調値を基準として選択し、他のフィッティング階調値と比較して、階調補償係数を得ることができる。メッシュ画像における階調補償係数は、1枚のデジタルマスクを構成することができ、その後、各投光画像に対して当該デジタルマスクのマスク補償を行った後、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得ることができる。
具体的には、メッシュ画像における第1メッシュのフィッティング階調値をP11とし、以下同様にして、最後のメッシュのフィッティング階調値をPmnとし、アイテム数がm*nの
【0058】
【数2】
【0059】
の階調配列を得ることができる。階調配列から最小値Pminを選択し、当該最小値Pminと階調配列における他のフィッティング階調値に対して正規化比率計算
【0060】
【数3】
【0061】
を行って、対応する比率行列を生成し、当該比率行列における比率は、補償係数である。要求される画像階調値は、使用者が投影しようとする画像の階調値であり、要求される所定の画像階調値がaである場合、aと比率行列とを乗算することで、デジタルマスクを得ることができる。
【0062】
本願に係る別の実施例において、3D印刷用の校正測定方法がさらに提供される。校正測定方法は、本願のいくつかの実施形態に係る光学系の露光面校正方法により光学系の露光面を校正する以外に、複数の測定ステップをさらに含み、光学系の複数のパラメータを測定することにより、光学系の各パラメータが3D印刷中に要件を満たすと判断することができるため、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができ、より正確で効率的な3D印刷を実現する。
【0063】
以下、図7を参照しながら詳細に説明し、図7は、本願の実施例に係る3D印刷用の校正測定方法の概略的なフローチャートであり、当該3D印刷用の校正測定方法は、本発明のいくつかの実施形態に係る光学系の露光面校正方法100により光学系の露光面を校正するステップと、以下のような校正測定方法のステップS701~S705とを含んでもよい。図1図6を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態に係る光学系の露光面校正方法100を詳細に説明したため、簡潔にするために、ここでは説明を省略する。以下、校正測定方法のステップS701~S705を具体的に説明する。
【0064】
S701では、光学系の静的コントラスト及び動的コントラストを測定し、即ち、以上の放射照度値測定方法により、コントラスト画像における各サンプリング点の放射照度値をそれぞれ抽出し、静的コントラスト及び動的コントラストの計算方法に基づいて、計算された数値を出力する。
S702では、光学系のクラリティを測定し、即ち、カメラモジュールが露光システムによって表示された解像度テスト画像を撮像し、必要とされる空間解像度の数値をCTFとMTF画像アルゴリズムで計算し、露光システムのクラリティを判定する。電動ピント合わせシステムを有する露光レンズに対して、ピント合わせフィードバックを行うこともできる。
【0065】
S703では、光学機器に汚れがあるか否かを検出し、即ち、カメラモジュールが以上のステップで露光面の階調分布を抽出し、階調の連続性分布に基づいて、ある領域の階調が突然変化し、かつ予め設定された閾値より低い場合、当該領域に汚れがあると判定する。
S704では、露光面画像のサイズを測定する。カメラモジュールが異なる高さを用いてキャリブレーションし、異なる被写体距離の拡大率が一定である原理に基づいて、露光面の様々な画像のサイズ及び相対的な分布をテストすることができる。
なお、ステップS701~S705の順序は、例示的なものに過ぎず、これらのステップは、様々なパラメータの測定を実現するために、異なる順序で実行されてもよく、本願は、これを限定しない。
【0066】
具体的には、ステップS701では、光学系の静的コントラスト及び動的コントラストを測定するステップは、具体的には、白色画像に対応する第1放射照度値及び黒色画像に対応する第2放射照度値を取得するステップであって、白色画像及び黒色画像は、いずれも校正後の光学系によって投射されて得られたものであるステップと、
第1放射照度値及び第2放射照度値に基づいて、光学系の静的コントラストを得るステップと、
チェッカーボードマップにおける各領域の放射照度値を取得するステップであって、チェッカーボードマップは、校正後の光学系によって投射されて得られたものであるステップと、
各領域の放射照度値をANSIコントラスト計算方法で処理して、光学系の動的コントラストを得るステップと、を含む。
【0067】
いくつかの実施例において、本願に係る露光面校正技術に基づいて、静的コントラストを測定することができ、具体的には、以下のステップを含む。まず、露光面上に導光フィルムを用いて光学系により投影又は表示された、フォーマット全体が白色画像である投光画像を受信し、nビット画像における2-1階調の白色画像を用いるように設定し、8ビット画像を例として、0~255階調における255階調の純白画像を用いるように設定することができる。光学系の放射照度値測定装置を用いて、上記純白画像の放射照度値を測定し、第1放射照度値を得る。そして、露光面上に導光フィルムを用いて光学系により投影又は表示された、フォーマット全体が純黒画像である投光画像を受信し、0階調の純黒画像を用いるように設定する。光学系の放射照度値測定装置を用いて、上記純黒画像の放射照度値を測定し、第2放射照度値を得る。そして、コントラスト測定装置により、第1放射照度値と第2放射照度値との比率に基づいて、光学系の静的コントラストを計算する。
【0068】
いくつかの実施例において、本願に係る露光面校正技術に基づいて、動的コントラストを測定することができ、具体的には、以下のステップを含む。まず、露光面上に導光フィルムを用いて光学系により投影又は表示されたチェッカーボードマップを受信し、光学系の放射照度値測定装置を用いて上記チェッカーボードマップの各点での放射照度値を順次測定することにより、チェッカーボードマップの各点での放射照度値を得る。そして、コントラスト測定装置により、ANSIコントラスト計算方法で光学系の動的コントラストの数値を計算する。この実施例において、放射照度値は、マシンビジョンの方式で測定される。
【0069】
いくつかの実施形態において、本願に係る露光面校正技術に基づいて、放射照度値を取得し、具体的には、以下のステップを含む。まず、一定の露光量で投光画像に対して階調キャリブレーションを行って、放射照度値に対応する撮像階調の座標点を得、照射機器の出力放射照度値が変更された後、放射照度値測定装置により、異なる放射照度値を測定し、次に、撮像モジュールにより当該画像の階調値を取得し、異なる放射照度値を複数回測定した後、座標点をフィッティングし、フィッティングされた座標点に基づいて階調/放射照度値の曲線を生成する。したがって、撮像モジュールは、同じ露光量で投光画像の階調を読み取ると、当該階調値を対応する放射照度値に変換することができる。
【0070】
ステップS702では、投射された画像のクラリティを測定するステップは、具体的には、投光フォーマット上の予め設定された位置に画像を投射するように校正後の光学系を制御するステップであって、画像は、少なくとも1本のサジタル方向の線と、少なくとも1本の子午線方向の線とを含むステップと、投射された画像の実際の階調分布曲線を取得し、実際の階調分布曲線及び予め設定された階調分布曲線に基づいて、各予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値を確認するステップと、各予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップと、を含む。
【0071】
ここで、予め設定された位置は、投光フォーマットの1つの中心位置及び4つの隅位置を含んでもよい。CTF(Contrast Transfer Function、コントラスト伝達関数)値は、当該分野で通常使用される手段で計算することができる。MTF(Modulation Transfer Function、変調伝達関数)値は、当該分野で通常使用される手段で計算することもできる。
【0072】
具体的には、各予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップは、いずれかのCTF値が第1設定値より小さいか、又はいずれかのMTF値が第2設定値より小さいと、光学系のクラリティが不合格であると決定するステップを含む。CTF値に基づいてクラリティを判定し、計算して得られたCTF値が設定値より小さいと、当該点が不明瞭となると判定する。MTF値に基づいてクラリティを判定することもでき、計算して得られたMTF値が設定値より小さいと、当該点が不明瞭となると判定する。不明瞭な点があると、光学機器のレンズのクラリティが低いと考えられる。さらに、サジタル方向の線が複数であり、子午線方向の線が複数である場合、サジタル方向の線間のピッチは、N個の画素であってもよく、子午線方向がぼやけているか否かを判断するために用いられる。子午線方向の線間のピッチは、N個の画素などであってもよく、サジタル方向がぼやけているか否かを判断するために用いられる。線の幅は、N個の画素であってもよく、Nは、正の整数である。
【0073】
ステップS703では、光学機器に汚れがあるか否かを検出するステップは、具体的には、実際の階調分布曲線上の任意の点の値が下限値より低いか、及び/又は実際の階調分布曲線に急な曲線があると、光学系に汚れがあると決定するステップを含む。
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、以下のステップにより汚れを検出する。階調分布の下限値を設定することにより、光学機器の階調分布は、1つのフォーマットにおいて一般的に連続的に変化する。実際の階調が下限値より低い場合、及び/又は、光学機器の実際の階調分布曲線に急変がある場合、汚れがあると考えられる。
【0074】
ステップS704では、被写体のサイズを測定するステップは、具体的には、カメラモジュールにおける撮影面上の各画素に対応する大きさをキャリブレーションし、被写体の辺長が占める画素の数に基づいて被写体のサイズを決定するステップ、及び/又は、
カメラモジュールにおける撮影面のサイズを取得し、撮影面に占める被写体の辺長の割合に基づいて、被写体のサイズを決定するステップを含む。
【0075】
具体的には、本願に係る光学系のサイズ測定装置は、以下の方法でサイズ測定を行う。いくつかの実施形態において、カメラにおける撮影面上の各画素に対応する大きさを予めキャリブレーションした後、カメラにおける被写体の辺長が占める画素の数に基づいて、光学系のサイズ測定装置により物体のサイズを決定する。他のいくつかの実施形態において、カメラの撮影面のサイズを取得し、撮影面に占める被写体の辺長の割合に基づいて、光学系のサイズ測定装置により物体のサイズを決定する。
【0076】
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、異なる検出項目では、異なるカメラモジュールを使用する必要がある。本願に係る光学系は、異なる検出項目に対して、対応するカメラモジュールを選定して対応する検出プロセスを実行することにより、自動検出を実現することができる。即ち、現在の検出項目を決定し、現在の検出項目に基づいて、対応するカメラモジュールを選定した後、上記ステップS701~S704を実行する。
【0077】
図8は、本実施例に係る光学系の露光面校正装置800の概略的なブロック図であり、当該装置800は、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するように構成される画像取得ユニット802と、
階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割して、各分割領域のフィッティング階調値を計算するように構成されるフィッティングユニット803と、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するように構成される選択ユニット804と、
デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るように構成されるマスク補償ユニット805と、を備える。
【0078】
一実施例において、当該装置800は、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うように構成されるフラットフィールド補正ユニット801をさらに備える。
一実施例において、フラットフィールド補正ユニット801は、
基準光源が予め設定された階調値に基づいて、均一な放射照度値を有する露光面を投影するように構成される投影ユニットと、
撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得るように構成される露光面撮像ユニットと、
基準光源画像に基づいて、感光チップにおける各画素ユニットの階調出力値を取得し、基準光源の予め設定された階調値と各画素ユニットの階調出力値とを比較して、各画素ユニットの階調補正係数を得るように構成されるデータ取得ユニットと、
各画素ユニットの階調補正係数に基づいて、撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うように構成される係数補正ユニットと、を備えてもよい。
【0079】
一実施例において、露光面撮像ユニットは、
基準光源の露光面のサイズに基づいて、撮像モジュールの撮像面をいくつかの撮像サブ領域に分割するように構成される撮像面分割ユニットと、
基準光源を移動させることで、基準光源によりそれぞれ各撮像サブ領域へ投影して、各撮像サブ領域に対応するいくつかの基準光源サブ画像を得るように構成される移動投影ユニットと、
いくつかの基準光源サブ画像をスティッチングして、基準光源画像を得るように構成される画像スティッチングユニットと、を備えてもよい。
【0080】
一実施例において、図9に示すように、光学系の露光面校正装置800は、さらに、
撮像モジュールの露光量を限定するように構成される限定ユニット901と、
基準光源の露光面の放射照度値を調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得して、階調と放射照度値との関係曲線をフィッティングして生成するように構成される曲線生成ユニット902と、
関係曲線に基づいて、撮像モジュールにより光学系からの投光画像の階調を読み取って、対応する放射照度値を取得するように構成される階調読み取りユニット903と、をさらに備える。
【0081】
一実施例において、画像取得ユニット802は、
撮像された階調分布画像が最大階調値以下となるように、撮像モジュールの露光量を調整するように構成される調整ユニットを備えてもよい。
一実施例において、各分割領域のフィッティング階調値をフィッティングアルゴリズムで計算し、フィッティングアルゴリズムは、最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム又は三次スプラインフィッティングアルゴリズムである。
【0082】
一実施例において、図10に示すように、選択ユニット804は、
全てのフィッティング階調値を、対応する分割領域の順序に従ってP11、P12、……、Pmnとして順次ラベリングして、アイテム数がm*nの
【0083】
【数4】
【0084】
の階調配列を得るように構成される領域ラベリングユニット1001と、
階調配列から最小値Pminを最小のフィッティング階調値として選択し、最小のフィッティング階調値と階調配列における他のデータに対して正規化比率計算を行って、比率行列を得るように構成される計算ユニット1002と、
比率行列に含まれる比率を対応する階調補償係数とし、その後、予め設定された画像階調値と比率行列における各比率とを乗算して、対応するデジタルマスクを得るように構成される乗算ユニット1003と、を備えてもよい。
【0085】
上述したように、本願に係る光学系は、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができる結像システムである。いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、複数の測定ステップを実行する1つ又は複数の追加の装置をさらに備えてもよく、光学系の複数のパラメータを測定することにより、光学系の各パラメータが3D印刷中に要件を満たすと判断することができるため、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができ、より正確で効率的な3D印刷を実現する。
【0086】
以下、図11を参照して詳細に説明し、図11は、本願の実施例に係る光学系の概略的なブロック図であり、当該光学系1100は、図8に記載の露光面校正装置800に加えて、
光学系の静的コントラスト及び動的コントラストを測定するように構成されるコントラスト測定装置1101と、
投射された画像のクラリティを測定するように構成されるクラリティ測定装置1102と、
光学機器に汚れがあるか否かを検出するように構成される汚れ測定装置1103と、
被写体のサイズを測定するように構成されるサイズ測定装置1104と、をさらに備える。
【0087】
本願に係る光学系は、コントラスト測定装置1101により、光学系に対して静的コントラスト及び動的コントラストの測定を行うことができる。
コントラスト測定装置1101は、白色画像に対応する第1放射照度値及び黒色画像に対応する第2放射照度値を取得し、ここで、白色画像及び黒色画像は、いずれも校正後の光学系によって投射されて得られたものであり、そして、第1放射照度値及び第2放射照度値に基づいて、光学系の静的コントラストを取得し、そして、チェッカーボードマップにおける各領域の放射照度値を取得し、ここで、チェッカーボードマップは、校正後の光学系によって投射されて得られたものであり、そして、各領域の放射照度値をANSIコントラスト計算方法で処理して、光学系の動的コントラストを取得するように構成されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、光学系のクラリティを測定するクラリティ測定装置1102をさらに備える。
クラリティ測定装置1102は、投光フォーマット上の予め設定された位置に画像を投射するように校正後の光学系を制御し、画像は、少なくとも1本のサジタル方向の線と、少なくとも1本の子午線方向の線とを含み、そして、投射された画像の実際の階調分布曲線を取得し、実際の階調分布曲線及び予め設定された階調分布曲線に基づいて、各予め設定された位置に対応するCTF値を確認し、そして、各予め設定された位置に対応するCTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するように構成されてもよい。いずれかのCTF値が設定値未満である場合、光学系のクラリティが不合格であると決定する。
【0089】
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、汚れ測定装置1103をさらに備え、汚れ測定装置1103は、光学機器に汚れがあるか否かを検出することができる。
汚れ測定装置1103は、実際の階調分布曲線上の任意の点の値が下限値より低いか、及び/又は実際の階調分布曲線に急な曲線があると、光学系に汚れがあると決定するように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、サイズ測定装置1104をさらに備え、サイズ測定装置1104は、物体のサイズを測定することにより、より正確な3D印刷を実現することができる。
サイズ測定装置1104は、カメラモジュールにおける撮影面上の各画素に対応する大きさをキャリブレーションし、被写体の辺長が占める画素の数に基づいて被写体のサイズを決定するか、及び/又は、カメラモジュールにおける撮影面のサイズを取得し、撮影面に占める被写体の辺長の割合に基づいて、被写体のサイズを決定するように構成される。
【0091】
いくつかの実施形態において、本願に係る光学系は、コントラスト測定装置1101、クラリティ測定装置1102、汚れ測定装置1103及び/又はサイズ測定装置1104により、異なる検出項目を行う。異なる検出項目では、異なるカメラモジュールを使用する必要がある。本願に係る光学系は、異なる検出項目に対して、対応するカメラモジュールを選定して対応する検出プロセスを実行することにより、自動検出を実現することができる。
【0092】
装置部分の実施例と方法部分の実施例は、互いに対応するため、装置部分の実施例は、方法部分の実施例の説明を参照し、ここでは説明を省略する。
本願の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、当該コンピュータプログラムが実行されると、上記実施例に係るステップを実現することができる。当該記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、ポータブルハードディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含んでもよい。
【0093】
本願の実施例は、メモリとプロセッサとを含むコンピュータ機器をさらに提供し、メモリにコンピュータプログラムが記憶され、プロセッサがメモリにおけるコンピュータプログラムを呼び出すと、上記実施例に係るステップを実現することができる。もちろん、コンピュータ機器は、各種のネットワークインターフェース、電源などのコンポーネントをさらに含んでもよい。
【0094】
本願に係る光学系は、好ましくは、3Dプリンターの光学系、DLP(Digital Light Processing、デジタル光処理)を含む光学機器、又はLCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)を含む光学機器、又はLCOS(Liquid Crystal on Silicon、シリコンベースの液晶)を含む光学機器、又はOLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)、Micro-LED、Mini-LED、液晶投影などを含む光学機器である。
【0095】
本明細書において各実施例がプログレッシブ方式を用いて記述し、各実施例について他の実施例との相違点を重点的に説明し、各実施例同士の同一又は類似の部分は互いに参照すればよい。実施例で開示されているシステムは、実施例で開示されている方法部分に対応するため、簡単に説明するが、関連部分については方法部分の説明を参照すればよい。なお、当業者にとっては、本願の原理から逸脱することなく、本願に対していくつかの改良及び修飾も可能であり、これらの改良及び修飾も本願の特許請求の範囲に含まれる。
【0096】
なお、本明細書において、第1及び第2などのような関係用語は、これらの実体又は操作の間にはこのような実際の関係又は順序が存在するように要求又は暗示しなく、ただ1つの実体又は操作と他の実体又は操作とを区別する。そして、用語「含む」、「包含」又はその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることで、一連の要素を含むプロセス、方法、品物又は機器は、これらの要素だけではなく、明らかに挙げられていない他の要素を含み、又は、このようなプロセス、方法、品物又は機器の固有要素を含む。より多い限定がない場合、「1つの……を含む」という語句で限定される要素は、要素を含むプロセス、方法、品物又は機器には、別の同一要素が存在することを排除しない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本願は、光学系の露光面校正方法及び装置、コンピュータ機器、並びに記憶媒体を提供し、当該方法は、基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割して、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含む。本願は、露光面の画素レベル分布を取得し、階調値に対して、対応する補償を行うことにより、光学系の露光面に対する校正精度及び校正効率を向上させることができる。本願は、3D印刷用の校正測定方法をさらに開示する。3D印刷用の校正測定方法は、光学系の複数のパラメータを測定することにより、光学系の各パラメータが3D印刷中に要件を満たすと判断することができるため、明瞭で、物体と完全に似た像を生成することができ、より正確で効率的な3D印刷を実現する。
【0098】
また、本願に係る光学系の露光面校正方法及び装置、校正測定方法、コンピュータ機器、並びに記憶媒体は、再現可能であり、様々な産業用途に利用可能であることが理解される。例えば、本願に係る光学系の露光面校正方法及び装置、校正測定方法、コンピュータ機器、並びに記憶媒体は、光学系の技術分野に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
上記方法は、2回の画像投影により第1階調分布画像と第2階調分布画像を得ることにより、中央部と縁部の階調差を小さくし、階調分布画像における階調値の精度を向上させることができる。
第1画像における第1階調領域と第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、第2画像における第1階調領域と第画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、第1画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、第2画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、即ち、第1画像及び第2画像は、チェッカーボード状であってもよく、均一に分布するドットパターンであってもよい。第1画像及び第2画像がドットパターンであることを例として、第1画像は、複数の投光領域を含んでもよく、投光領域は、同じ大きさの格子であってもよい。各ドットは、投光領域内に設けられ、ドットの直径は、予め設定されてもよい。第1画像におけるいずれかの投光領域に白ドットがあると、当該いずれかの投光領域に隣接する領域には、当該白ドットがない。一方、第2画像において、当該いずれかの投光領域に白ドットがないと、当該いずれかの投光領域に隣接する領域には、当該白ドットがある。第1画像と第2画像とを重畳し、得られた画像は、各投光領域にいずれも白ドットがある画像である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
の階調配列を得る。
S402では、階調配列から最小値Pminを最小のフィッティング階調値として選択し、最小のフィッティング階調値と階調配列における他のデータに対して正規化比率計算を行って、比率行列を得る。
S403では、比率行列に含まれる比率を対応する階調補償係数とし、その後、要求される画像階調値と比率行列における各比率とを乗算して、対応するデジタルマスクを得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップと、
前記階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するステップと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するステップと、
前記デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする光学系の露光面校正方法。
【請求項2】
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択するステップは、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項3】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するステップは、
第1階調分布画像及び第2階調分布画像を取得するステップであって、前記第1階調分布画像は、前記光学系によって投射された第1画像を撮像して得られるものであり、前記第2階調分布画像は、前記光学系によって投射された第2画像を撮像して得られるものであり、前記第1画像における第1階調領域は、前記第2画像における第2階調領域に対応し、前記第1画像における第2階調領域は、前記第2画像における第1階調領域に対応するステップと、
前記第1階調分布画像及び前記第2階調分布画像を処理して、前記階調分布画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項4】
前記第1画像における第1階調領域と前記第1画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、前記第2画像における第1階調領域と前記第画像における第2階調領域とは、間隔をおいて設けられ、前記第1画像における第1階調領域は、円形又は方形であり、前記第2画像における第1階調領域は、円形又は方形である、ことを特徴とする請求項3に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項5】
前記第1階調領域は、白色領域であり、前記第2階調領域は、黒色領域である、ことを特徴とする請求項4に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項6】
前記撮像モジュールのレンズに光学フィルタが設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項7】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行う前記ステップは、
基準光源が均一な放射照度値を有する露光面を投影するステップと、
撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得るステップと、
前記基準光源画像に基づいて、感光チップにおける各画素ユニットの階調出力値を取得し、基準光源の予め設定された階調値と各画素ユニットの階調出力値とを比較して、各画素ユニットの階調補正係数を得るステップと、
各画素ユニットの階調補正係数に基づいて撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項8】
撮像モジュールが基準光源の露光面を撮像して、基準光源画像を得る前記ステップは、
基準光源の露光面のサイズに基づいて、撮像モジュールの撮像面をいくつかの撮像サブ領域に分割するステップと、
基準光源を移動させることで、基準光源によりそれぞれ各撮像サブ領域へ投影して、各撮像サブ領域に対応するいくつかの基準光源サブ画像を得るステップと、
前記いくつかの基準光源サブ画像をスティッチングして、前記基準光源画像を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項9】
前記撮像モジュールの露光量を限定するステップと、
基準光源の露光面の放射照度値を調整し、撮像モジュールにより対応する階調値を取得することにより、階調と放射照度値との関係曲線をフィッティングして生成するステップと、
前記関係曲線に基づいて、撮像モジュールにより光学系からの投光画像の階調を読み取って、対応する放射照度値を得るステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項10】
光学系の照射制御パラメータ及び対応する画像情報を取得するステップと、
前記光学系の画像情報と照射データとの第1関係を取得するステップと、
前記第1関係、前記照射制御パラメータ及び前記対応する画像情報に基づいて、前記光学系の照射制御パラメータと照射データとの第2関係を得るステップであって、前記第2関係は、3D印刷プロセスにおける照射データの調整に用いられるステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項11】
前記光学系の画像情報と照射データとの第1関係を取得するステップは、
前記基準光源の画像情報と前記光学系の画像情報との第3関係、及び前記基準光源の画像情報と前記基準光源の照射データとの第4関係を取得するステップと、
少なくとも前記第3関係、第4関係に基づいて、前記第1関係を得るステップと、を含み、
前記第3関係は、前記基準光源の画像情報と前記光学系の画像情報とが一致するか又はそれらの間にはバラツキがあることを満たす、ことを特徴とする請求項10に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項12】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得する前記ステップは、
撮像された階調分布画像が最大階調値以下となるように、撮像モジュールの露光量を調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項13】
各分割領域のフィッティング階調値をフィッティングアルゴリズムで計算し、前記フィッティングアルゴリズムは、最小二乗法、多項式フィッティングアルゴリズム又は三次スプラインフィッティングアルゴリズムである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項14】
計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成する前記ステップは、
全てのフィッティング階調値を、対応する分割領域の順序に従ってP11、P12、……、Pmnとして順次ラベリングして、アイテム数がm*nの
【数1】

の階調配列を得るステップと、
前記階調配列から最小値Pminを最小フィッティング階調値として選択し、最小フィッティング階調値と階調配列における他のデータに対して正規化比率計算を行って、比率行列を得るステップと、
前記比率行列に含まれる比率を対応する階調補償係数とし、その後、要求される画像階調値と前記比率行列における各比率とを乗算して、対応するデジタルマスクを得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系の露光面校正方法。
【請求項15】
請求項に記載の光学系の露光面校正方法により光学系を校正するステップと、
白色画像に対応する第1放射照度値及び黒色画像に対応する第2放射照度値を取得するステップであって、前記白色画像及び前記黒色画像は、いずれも校正後の光学系によって投射されて得られるものであるステップと、
前記第1放射照度値及び前記第2放射照度値に基づいて、前記光学系の静的コントラストを得るステップと、
チェッカーボードマップにおける各領域の放射照度値を取得するステップであって、前記チェッカーボードマップは、校正後の光学系によって投射されて得られるものであるステップと、
前記各領域の放射照度値をANSIコントラスト計算方法で処理して、前記光学系の動的コントラストを得るステップと、を含む、ことを特徴とする3D印刷用の校正測定方法。
【請求項16】
前記校正測定方法は、
投光フォーマット上の予め設定された位置に画像を投射するように校正後の光学系を制御するステップであって、前記画像は、少なくとも1本のサジタル方向の線と、少なくとも1本の子午線方向の線とを含むステップと、
投射された画像の実際の階調分布曲線を取得し、前記実際の階調分布曲線及び予め設定された階調分布曲線に基づいて、各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値を確認するステップと、
各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項17】
各前記予め設定された位置に対応するCTF値又はMTF値に基づいて、光学系のクラリティを決定するステップは、
いずれかの前記CTF値が第1設定値より小さいか、又はいずれかの前記MTF値が第2設定値より小さいと、前記光学系のクラリティが不合格であると決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項18】
前記校正測定方法は、
前記実際の階調分布曲線上の任意の点の値が下限値より低いか、及び/又は前記実際の階調分布曲線に急な曲線があると、前記光学系に汚れがあると決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15又は16に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項19】
前記校正測定方法は、
カメラモジュールにおける撮影面上の各画素に対応する大きさをキャリブレーションし、被写体の辺長が占める画素の数に基づいて被写体のサイズを決定するステップ、及び/又は、
前記カメラモジュールにおける撮影面のサイズを取得し、撮影面に占める被写体の辺長の割合に基づいて、被写体のサイズを決定するステップ、をさらに含む、ことを特徴とする請求項15~17のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項20】
現在の検出項目を決定し、前記現在の検出項目に基づいて対応するカメラモジュールを選定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15~17のいずれか一項に記載の3D印刷用の校正測定方法。
【請求項21】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された画像情報分布画像を取得するステップと、
前記画像情報分布画像に対して分割処理を行い、各分割領域のマッピング画像情報値を計算するステップと、
各前記マッピング画像情報値から基準マッピング画像情報値を選択し、前記基準マッピング画像情報値に基づいて他の分割領域に対応する補償パラメータを計算するステップであって、前記補償パラメータは、光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るためのものであるステップと、を含む、ことを特徴とする光学系の露光面校正方法。
【請求項22】
撮像モジュールによる光学系の露光面の撮像によって生成された階調分布画像を取得するように構成される画像取得ユニットと、
前記階調分布画像を、複数の分割領域を含むメッシュ画像に分割し、各分割領域のフィッティング階調値を計算するように構成されるフィッティングユニットと、
計算して得られた全てのフィッティング階調値から所定のフィッティング階調値を基準階調値として選択し、前記基準階調値に基づいて他の分割領域に対応する階調補償係数を計算して、デジタルマスクを生成するように構成される選択ユニットと、
前記デジタルマスクにより光学系からの投光画像に対してマスク補償を行って、露光面が均一な放射照度値を有する印刷画像を得るように構成されるマスク補償ユニットと、を備える、ことを特徴とする光学系の露光面校正装置。
【請求項23】
前記選択ユニットは、さらに、計算して得られた全てのフィッティング階調値から最小のフィッティング階調値を基準階調値として選択するように構成されることを特徴とする請求項22に記載の光学系の露光面校正装置。
【請求項24】
基準光源により撮像モジュールに対してフラットフィールド補正を行うように構成されるフラットフィールド補正ユニットをさらに備える、請求項22又は23に記載の光学系の露光面校正装置。
【請求項25】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法及び請求項15に記載の3D印刷用の校正測定方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項26】
コンピュータプログラムであって、
プロセッサに請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系の露光面校正方法及び請求項15に記載の3D印刷用の校正測定方法を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【国際調査報告】