(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】車輪付き車両用の跳ねよけ装置およびそのような装置を備えた組立体
(51)【国際特許分類】
B62D 25/18 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B62D25/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580996
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 FR2022051198
(87)【国際公開番号】W WO2023275455
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002463
【氏名又は名称】エル-ペーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュー, ピエール
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA12
3D203AA13
3D203BA02
3D203BC02
3D203BC05
3D203CA07
3D203CB09
3D203DA15
(57)【要約】
地面に載った少なくとも1つの車輪(30)を備えた車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)であって、装置(1)は、車輪(30)の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけ(2)と、跳ねよけ(2)を支持する支持構造体(3)とを備え、跳ねよけ(2)は、上縁(4)、下縁(5)および2つの側縁(6)を有し、この跳ねよけ(2)は、保護対象の車輪の方を向くことができる面(7)と、反対側の面(8)とを有し、跳ねよけ(2)は、支持構造体(3)に対して相対的に移動できるように取り付けられているため、装置(1)が車両に結合されたときに、跳ねよけ(2)を、地面から離れた上昇位置と、下降位置との間で移動させることができ、跳ねよけ(2)は、ブラシの様に並んで配置された、個別の細長い可撓性要素(10)の集合体から形成された、少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部(9)を備え、各個別要素(10)は自由端(11)を有し、個別要素(10)の少なくともいくつかは、自由端(11)を介して、跳ねよけ(2)の下縁(5)を形成するとともに、跳ねよけ(2)の上縁(4)の方向に延びている。跳ねよけ装置(1)は、跳ねよけ(2)を少なくとも部分的に包囲するとともに、跳ねよけ(2)が下降位置から上昇位置へと移動するにつれて跳ねよけ(2)の側縁(6)および/または面(7,8)を互いに近づけるように移動させる方向に跳ねよけを変形させるように構成されたシェーパー(12)を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に載った少なくとも1つの車輪(30)を備えた車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)であって、前記跳ねよけ装置(1)は、前記車輪(30)の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけ(2)と、前記跳ねよけ(2)を支持する支持構造体(3)とを備え、前記跳ねよけ(2)は、上縁(4)、下縁(5)および2つの側縁(6)を有し、この跳ねよけ(2)は、保護対象の前記車輪の方を向くように適合された面(7)と、前記跳ねよけ(2)の背面と呼ばれる反対側の面(8)とを有し、前記跳ねよけ(2)は、前記支持構造体(3)に対して相対的に移動できるように取り付けられているため、前記跳ねよけ装置(1)が前記車両に結合されたときに、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間で前記跳ねよけ(2)を移動させることができ、前記跳ねよけ(2)は、ブラシの様に並んで配置された、剛毛などの個別の細長い可撓性要素(10)の集合体で形成された少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部(9)を備え、各個別要素(10)は自由端(11)を有し、前記個別要素(10)の少なくともいくつかは、それらの自由端(11)を介して前記跳ねよけ(2)の前記下縁(5)を形成するとともに、前記跳ねよけ(2)の前記上縁(4)の方向に延び、前記跳ねよけ装置(1)は、前記跳ねよけ(2)を少なくとも部分的に包囲するシェーパー(12)を備え、前記シェーパー(12)は、前記跳ねよけ(2)が前記下降位置から前記上昇位置へと移動するにつれて、前記跳ねよけ(2)の前記側縁(6)および/または前記面(7,8)を互いに近づけるように移動させる方向に前記跳ねよけ(2)を変形させるように構成されている、車輪付き車両用の跳ねよけ装置。
【請求項2】
前記跳ねよけ(2)は、前記支持構造体(3)に対してスライド移動可能に取り付けられている、請求項1に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項3】
前記支持構造体(3)は、少なくとも1枚の板状のエプロン(13)を備え、前記跳ねよけ(2)は、前記跳ねよけ(2)と前記エプロン(13)とが少なくとも部分的に重なり合う上昇位置から、前記跳ねよけ(2)がいわゆる下部横方向縁(14)から突出して前記エプロン(13)の領域を増大させる下降位置との間での前記跳ねよけ(2)の移動のために、前記エプロン(13)の垂直位置決め状態で前記エプロン(13)の上下方向に移動可能に取り付けられている、請求項1または2に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項4】
前記エプロン(13)は、前記跳ねよけ(2)のスライド移動を案内するための経路(16)をそれぞれ一体化した2つのフランジ(15)が側面に位置する、請求項3に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項5】
前記跳ねよけ(2)は、前記エプロン(13)の前記フランジ(15)の経路(16)内を転動するようにそれぞれ適合されたローラなどの転動部材(17)を備えている、請求項4に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項6】
前記シェーパー(12)は、前記支持構造体(3)によって担持されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項7】
前記エプロン(13)は、その下部横方向縁(14)のレベルにおいて、前記個別要素(10)の自由端(11)が突出する貫通開口(19)が設けられたリム(18)が側面に位置し、各貫通開口(19)は前記シェーパー(12)の能動部を形成している、請求項3と組み合わせた請求項6に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項8】
各貫通開口(19)は長手方向スロットの形をして、スロットの長手方向軸線が前記エプロン(13)に対して実質的に平行に延びている、請求項7に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項9】
前記跳ねよけ(2)の前記個別要素(10)は、前記跳ねよけ(2)の前記下降位置において、前記跳ねよけ(2)の面(7,8)の一方の面(7)から他方の面(8)の方向に、チャンバ(21)によって互いに分離された1枚のカーテン(20)または複数枚のカーテン(20)を形成するように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項10】
前記跳ねよけ(2)は、前記カーテン(20)または各カーテン(20)用に、前記個別要素(10)をそれらの自由端(11)とは反対側の前記個別要素(10)の端部のレベルで互いに結合する剛性部(22)と、前記剛性部(22)が前記跳ねよけと共平面かつ前記跳ねよけ(2)の昇降方向に対して横方向の軸線周りに枢動するように結合されるベース(23)とを備えている、請求項9に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項11】
前記跳ねよけ装置(1)は、前記跳ねよけを下降位置と上昇位置との間で移動させるために、前記跳ねよけのスライド移動を駆動するためのシステム(24)を備えている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項12】
前記跳ねよけ(2)のスライド移動を駆動するための前記システム(24)は、ボルト(26)/ナット(27)組立体のボルト(26)と噛み合う歯車駆動機構(25)と、前記ボルト(26)または前記ナット(27)の移動を駆動するためのアクチュエータ(28)とを備えている、請求項11に記載の車輪付き車両用の跳ねよけ装置(1)。
【請求項13】
地面に載った少なくとも1つの車輪(30)と、前記車輪(30)と関連して前記車輪の地面上での回転から生じる跳ね上げに対して保護するように適合された跳ねよけ装置(1)とを備えた車輪付き車両を備えたタイプの組立体であって、前記跳ねよけ装置(1)は、前記車輪(30)の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけ(2)と、前記跳ねよけ(2)を支持する支持構造体(3)とを備え、前記跳ねよけ(2)は、上縁(4)、下縁(5)および2つの側縁(6)を有し、この跳ねよけ(2)は、保護対象の前記車輪(30)の方を向くように適合された面(7)と、前記跳ねよけ(2)の背面と呼ばれる反対側の面(8)とを有し、前記跳ねよけ(2)は、前記支持構造体(3)に対して移動できるように取り付けられて、前記跳ねよけ装置(1)が前記車両に結合された状態において、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間での前記跳ねよけ(2)の移動を可能にするように構成され、前記跳ねよけ(2)は、ブラシの様に並んで配置された、剛毛のような個別の細長い可撓性要素(10)の集合体で形成された、透水性のある少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部(9)を備え、各個別要素は自由端(11)を有し、前記個別要素(10)の少なくともいくつかは、それらの自由端を介して前記跳ねよけ(2)の前記下縁(5)を形成するとともに、前記跳ねよけ(2)の前記上縁(4)の方向に延びており、前記跳ねよけ装置(1)は、請求項1から12のいずれか1項に記載された跳ねよけ装置である、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に載った少なくとも1つの車輪を備えた車輪付き車両用の跳ねよけ装置およびそのような装置を備えた組立体に関する。
【0002】
特に、本発明は、地面に載った少なくとも1つの車輪を備えた車輪付き車両用の跳ねよけ装置に関するものであり、この装置は、車輪の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけと、跳ねよけを支持する支持構造体とを含み、跳ねよけは、上縁、下縁および2つの側縁を有し、この跳ねよけは、保護対象の車輪の方を向くように適合された面と、跳ねよけの背面と呼ばれる反対側の面とを有し、跳ねよけは支持構造体に対して相対的に移動できるように取り付けられているため、装置が車両に結合されたときに、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間で跳ねよけを移動させることができ、跳ねよけは、ブラシの様に並んで配置された、剛毛のような個別の細長い可撓性要素の集合体で形成された少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部を備え、各個別要素は自由端を有し、個別要素の少なくともいくつかは、それらの自由端を介して跳ねよけの下縁を形成するとともに、跳ねよけの上縁の方向に延びている。
【背景技術】
【0003】
濡れた路面を転動する車両によって引き起こされる車両後部の跳ね上げは長年にわたって事故を引き起こしてきた。上記車両の少なくとも後輪または車輪の少なくとも一部の周囲にマッドフラップまたはマッドガードが存在することにより、跳ね上げの低減が可能になる。しかし、これらのマッドフラップまたはマッドガードは、特にトレーラートラックやセミトレーラートラックの場合、特にドックでの積み下ろし時にこれらのマッドフラップまたはマッドガードが損傷しないように、地面から十分に離れていなければならない。このため、マッドフラップやマッドガードの下側の自由端は、一般に地面から比較的離れており、跳ね上げ用の角度を大きく空けている。これらの同じ制約が、特に車両を駐車する段階において、車両に該当する。
【0004】
この問題を解決しようとして、特に、特許文献1および特許文献2が示すような解決策が想定されてきた。しかし、このような解決策は、完全に満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許第3035851号明細書
【特許文献2】米国特許第5582431号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、その設計により装置の有効性を高めることを可能にする、前述したタイプの跳ねよけ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、地面に載った少なくとも1つの車輪を備えた車輪付き車両用の跳ねよけ装置を目的とし、前記装置は、前記車輪の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけと、前記跳ねよけを支持する支持構造体とを備え、前記跳ねよけは、上縁、下縁および2つの側縁を有し、この跳ねよけは、保護対象の前記車輪の方を向くように適合された面と、前記跳ねよけの背面と呼ばれる反対側の面とを有し、前記跳ねよけが前記支持構造体に対して相対的に移動できるように取り付けられているため、前記装置が前記車両に結合されたときに、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間で前記跳ねよけを移動させることができ、前記跳ねよけは、ブラシの様に並んで配置された、剛毛のような個別の細長い可撓性要素の集合体で形成された少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部を備え、各個別要素は自由端を有し、前記個別要素の少なくともいくつかは、それらの自由端を介して前記跳ねよけの前記下縁を形成するとともに、前記跳ねよけの上縁の方向に延び、前記跳ねよけ装置は、前記跳ねよけを少なくとも部分的に包囲するシェーパーを備え、前記シェーパーは、前記跳ねよけが前記下降位置から前記上昇位置へと移動するにつれて、前記跳ねよけの側縁および/または前記面を互いに近づけるように移動させる方向に前記跳ねよけを変形させるように構成されていることを特徴とする。シェーパーの存在により、跳ねよけは、上昇位置でのその嵩の低減を損なわずに下降位置で広く展開され得る。下降位置での跳ねよけの広い展開により、跳ねよけはホイールの外形からはみ出すことができる。下降位置での跳ねよけの広い展開により、跳ねよけの前部と後部の間の厚みを増加させることが可能になり、これもまた跳ねよけの有効性を高める効果を有する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記跳ねよけは前記支持構造体に対してスライド移動可能に取り付けられている。この結果、単純な跳ねよけ装置となり、装置全体のサイズも小さくなる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記支持構造体は、少なくとも1枚の板状のエプロンを備え、前記跳ねよけは、前記跳ねよけと前記エプロンとが少なくとも部分的に重なり合う上昇位置から、前記跳ねよけがいわゆる下部横方向縁から突出する下降位置との間での前記跳ねよけの移動のために、前記エプロンの垂直位置決め状態で前記エプロンの上下方向に移動可能に取り付けられている。湾曲してもよいこの種のエプロンの存在により、何らかの跳ね上げを最もよく防止することができる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記エプロンは、前記跳ねよけのスライド移動を案内するための経路をそれぞれ一体化した2つのフランジが側面に位置する。この設計は、その単純さが特徴である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記跳ねよけは、前記エプロンの前記フランジの案内経路内を転動するようにそれぞれ適合されたローラなどの転動部材を備えている。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記シェーパーは前記支持構造体によって担持されている。この配置は装置を単純化する。シェーパーは支持構造体に取り付けられ、固定される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記エプロンは、その下部横方向縁のレベルにおいて、前記個別要素の自由端が突出する貫通開口が設けられたリムが側面に位置しており、各貫通開口は前記シェーパーの能動部を形成している。シェーパーをグリルの形で製造することは、各カーテンがシェーパーによって成形されている1つ以上のカーテンを有するガードを得る簡単な方法である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、各貫通開口は長手方向スロットの形をして、前記スロットの長手方向軸線が前記エプロンに対して実質的に平行に延びている。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記跳ねよけの個別要素は、前記跳ねよけの前記下降位置において、前記跳ねよけの一方の面から他方の面の方向に、チャンバによって互いに分離された1枚のカーテンまたは複数枚のカーテンを形成するように構成されている。連続するカーテンの形態でスクリーンを製造することにより、跳ね上げの運動エネルギーが吸収され、元の跳ね上げが完全に排除されるように跳ね上げが地面の方に方向付けられる複数の連続する容積を形成することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記跳ねよけは、前記カーテンまたは各カーテン用に、前記個別要素をそれらの自由端とは反対側の前記個別要素の端部のレベルで互いに結合する剛性部と、前記剛性部が前記跳ねよけと共平面かつ前記跳ねよけの昇降方向に対して横方向の軸線周りに枢動するように結合されるベースとを備えている。この枢着により、上昇位置から下降位置への移動中の跳ねよけの展開と、下降位置から上昇位置への移動中の跳ねよけの収納を補助することが可能になる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記装置は、前記跳ねよけの下降位置と上昇位置との間での移動のために、前記跳ねよけのスライド移動を駆動するためのシステムを備えている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記跳ねよけのスライド移動を駆動するための前記システムは、ボルト/ナット組立体のボルトと噛み合う歯車駆動機構と、前記ボルトまたは前記ナットの移動を駆動するためのアクチュエータとを備えている。アクチュエータは、好ましくは跳ねよけに結合され、ボルトに取り付けられて回転するナットの軸方向移動を駆動するためのアクチュエータである。
【0019】
本発明はさらに、地面に載った少なくとも1つの車輪と、前記車輪と関連して前記車輪の地面上での回転から生じる跳ね上げに対して保護するように適合された跳ねよけ装置とを備えた車輪付き車両を備えたタイプの組立体を目的とし、前記跳ねよけ装置は、前記車輪の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけと、前記跳ねよけを支持する構造体とを備え、前記跳ねよけは、上縁、下縁、および2つの側縁を有し、この跳ねよけは、保護対象の前記車輪の方を向くように適合された面と、前記跳ねよけの背面と呼ばれる反対側の面を有し、前記跳ねよけは、前記支持構造体に対して移動できるように取り付けられて、前記装置が前記車両に結合された状態において、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間での前記跳ねよけの移動を可能にするように構成され、前記跳ねよけは、ブラシの様に並んで配置された、剛毛のような個別の細長い可撓性要素の集合体で形成された少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部を備え、各個別要素は自由端を有し、前記個別要素の少なくともいくつかは、それらの自由端を介して前記跳ねよけの前記下縁を形成するとともに、跳ねよけの上縁の方向に延びており、前記跳ねよけ装置が、上記のタイプのものであることを特徴とする。
【0020】
本発明は、添付図面を参照して以下の実施形態の説明を読めば、明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】車輪に関連する同じ跳ねよけ装置の2つの概略側面図を表し、一方は、跳ねよけの下降位置にある装置に対応する図であり、他方は、跳ねよけの上昇位置にある装置に対応する図である。
【
図2】車輪に関連する同じ跳ねよけ装置の2つの概略正面図を表し、一方は、跳ねよけの下降位置にある装置に対応する図であり、他方は、跳ねよけの上昇位置にある装置に対応する図である。
【
図3】車輪に関連する同じ跳ねよけ装置の2つの概略側面図を表し、一方は、跳ねよけの下降位置にある装置に対応する図であり、他方は、跳ねよけの上昇位置にある装置に対応する図であり、各概略図は、シェーパーの領域における跳ねよけの詳細図に関連する。
【
図4】車輪に関連する同じ跳ねよけ装置の2つの概略透視図を表し、一方は、跳ねよけの下降位置にある装置に対応する図であり、他方は、跳ねよけの上昇位置にある装置に対応する図である。
【
図5】シェーパーの貫通開口をより良く示すための、支持構造体および関連するシェーパーの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で上述したように本発明の対象である跳ねよけ装置1は、特に、地面に載った少なくとも1つの車輪30を含む車輪付き車両に装備することを意図している。したがって、この車輪付き車両は、例えば、オートバイ、自動車、セミトレーラーのようなトラック、またはその他の車輪付き車両であり得る。図面には、車両のシャーシの一部のみが表されている。
【0023】
跳ねよけ装置1は、車輪の回転に起因する車両後部の跳ね上げを防止するために、車両の後部に最も離れて配置された、地面に載った車両の車輪30と関連付けられ得る。本発明の範囲から逸脱することなく、この装置1は、同様に、前輪または中間車輪と関連付けられ得る。
【0024】
この装置は、車輪30の後部に少なくとも部分的に配置されるように適合された跳ねよけ2を備えている。この跳ねよけ2は、上縁4、下縁5、および2つの側縁6を有する。
【0025】
この跳ねよけ2は、保護対象の車輪の方を向くように適合された面7と、跳ねよけ2の背面と呼ばれる反対側の面8とを有する。
【0026】
この跳ねよけ装置1は、跳ねよけ2を支持する構造体3をさらに備えており、この構造体3は、非常に多くの形態をとり得る。この支持構造体3は、装置の使用形態において、車両のシャーシまたは車輪の車軸のいずれかに固定されてもよい。この支持構造体3はさらに、例えば車両の車輪30のマッドガードの一部が地面に載った状態で、少なくとも部分的に一体に製造されてもよい。
【0027】
跳ねよけ2は、支持構造体3に対する跳ねよけ2の移動を可能にするために、支持構造体3に対して移動可能に支持構造体3に取り付けられている。従って、支持構造体3が地面から離れて配置されているとき、跳ねよけ2は、支持構造体3上で移動できるように取り付けられており、地面から離れたいわゆる上昇位置である一方の位置と、地面に近いいわゆる下降位置である他方の位置という2つの位置の間での跳ねよけ2の移動を可能にする。これは、車両に結合された装置1の場合である。
【0028】
図示の実施例では、跳ねよけ2は、支持構造体3に対してスライド移動可能に取り付けられている。特に、支持構造体3は、少なくとも1つの板状のエプロン13を備え、跳ねよけ2は、跳ねよけ2とエプロン13とが少なくとも部分的に重なる上昇位置から、跳ねよけ2がエプロン3の下部横方向縁14から突出してエプロン13の領域を増大させる下降位置への上記跳ねよけ2の通過のために、エプロン13の垂直位置決め状態においてエプロン13上を上下に移動可能となるように取り付けられている。
【0029】
したがって、エプロン13は、その板が車輪の曲率半径に沿う湾曲板であり、図に描かれているように、跳ねよけ2の上昇位置において、跳ねよけ2と車輪30との間に配置される。
【0030】
跳ねよけ2の背面に対向する面7は、エプロン13に面している。図示の実施例では、エプロン13は、跳ねよけ2のスライド移動を案内するための経路16をそれぞれ一体化した2つのフランジ15が側面に位置する。フランジ15は互いに平行である。これらのフランジ15は、エプロンプレートの、車輪の方を向いた面とは反対側の面から突出している。各フランジ15に組み込まれたこの案内経路16は、跳ねよけ2が装備された転動部材17のためのレールを形成する長方形スロットの形をとる。
【0031】
実際、跳ねよけ2は、各々がフランジ15の案内経路16上を転動するように適合されたローラのような転動部材17を備えている。
【0032】
例えば
図2に描かれているように、跳ねよけ2は、ブラシの様に並んで配置された剛毛のような個別の細長い要素10の集合体によって形成された、少なくとも1つの変形可能な可撓性透水部9を備えている。各個別要素10は自由端11を有する。個別要素10の少なくともいくつかの自由端11は、跳ねよけ2の下縁5を形成し、跳ねよけ2の上縁4の方向に延びている。
【0033】
自由端11とは反対側の端部のレベルにおいて、これらの個別要素10は、グループ単位で、または単一のグループの形態で、以下に説明する跳ねよけの1つ以上の剛性部22と互いに接続され得る。
【0034】
本発明の特徴的な態様において、跳ねよけ装置1は、跳ねよけ2の上縁と下縁との間の跳ねよけ2の高さの少なくとも一部にわたって上記跳ねよけ2を少なくとも部分的に包囲するシェーパー12を備えている。このシェーパー12は、跳ねよけ2が下降位置から上昇位置に移動するにつれて、跳ねよけ2の側縁6および/または面7、8を互いに近づけるように移動させる方向に跳ねよけ2を変形させるように構成されている。
【0035】
従って、跳ねよけの側縁6間の跳ねよけの幅は、跳ねよけ2が下降位置から上昇位置へ移動する際に減少するように適合される、および/または跳ねよけの面7、8間の跳ねよけの厚さは、跳ねよけ2が下降位置から上昇位置へ移動する際に減少するように適合される。
【0036】
実際には、シェーパー12は支持構造体3によって担持され、特に、シェーパー12と支持構造体3は一体に作られる。図示の実施例では、エプロン13は、その下部横方向縁14のレベルにおいて、跳ねよけ2の個別要素10の自由端11が突出する貫通開口19を備えたリム18が側面に位置する。
【0037】
各貫通開口19は、シェーパー12のいわゆる能動部を形成する。
【0038】
ここで、各貫通開口19は、スロットの長手方向軸線がエプロン13に対して、特にエプロン13のプレートに対して実質的に平行に延びる長手方向スロットの形をとる。したがって、各スロットは、エプロン13のフランジ15に対して横方向に延びるとともに、車両の長手方向軸線に対して横方向に延びている。シェーパー12は、跳ねよけ2の要求される設計に応じて、図示の例のように複数の平行なスロットを備えてもよいし、1つのスロットのみを備えてもよい。したがって、ここでは、シェーパー12は、1つ以上の平行な長手方向スロットが設けられた開口面の形をしたグリルの形態をとる。もちろん、シェーパー12は、跳ねよけを包囲する単純なフレームの形態以外の形態をとることもできる。このフレームは跳ねよけの上昇位置において、跳ねよけの自由端のレベルにおいて跳ねよけの個別要素が互いに近づくように拘束する。跳ねよけの下降位置では、個別要素の自由端は拘束から解放され、互いに離れる傾向にあり、スクリーン全体のサイズが大きくなる。この跳ねよけの下降位置では、シェーパーは、個別要素の自由端とは反対側の個別要素の端部の高さで延びている。跳ねよけ2は、その前面7から背面方向に向かって、シェーパーが1つのスロットのみを備えている場合には1枚のカーテン20を形成し、シェーパーが複数のスロットを備えている場合には跳ねよけ2の下降位置においてチャンバ21によって互いに分離された複数枚のカーテン20を形成し得る。
【0039】
各チャンバ21は、個別要素10によって形成された2枚のカーテンの間の空いたスペースによって形成される。
【0040】
各カーテンは、スロット内に収容された個別要素10によって形成される。
【0041】
跳ねよけ2の上昇位置において、各スロットは、跳ねよけ2の下縁のレベル、すなわち、個別要素10の自由端のレベルに配置される。
【0042】
スロットの縁は、個別要素10の自由端が互いにできるだけ接近して移動するように拘束し、それらの全体的なサイズを制限する。
【0043】
跳ねよけ2が下降するにつれて、個別要素10の自由端および自由端に隣接する個別要素10の部分は、跳ねよけ2の下降とともにシェーパーの作用から徐々に解放されるので、個別要素10の自由端11は拘束から解放され、互いに離れて、支持構造体のエプロンのフランジの間の上昇した収納位置におけるサイズよりも大きいサイズのガードを形成することができる。
【0044】
上昇位置から下降位置への跳ねよけの移動中に個別要素10の展開をできるだけ補助するために、跳ねよけは、カーテン20または各カーテン20について、個別要素10の自由端11とは反対側の個別要素10の端部のレベルで個別要素10を互いに結合する剛性部22と、剛性部22が跳ねよけ2の昇降方向に対して横方向の軸線周りに枢動するように結合されるベース23とを備える。
【0045】
したがって、カーテンを形成する各一連の個別要素10は、跳ねよけ2がこれらの様々な位置の間を移動する際に、詰りを防止するために自由に配向され得る。
【0046】
支持構造体3およびシェーパー12に対して跳ねよけ2を上昇または下降させる運動を可能にするために、跳ねよけ装置1は、支持構造体に沿った跳ねよけ2のスライド移動を駆動するためのシステム24を備えている。跳ねよけ2のスライド移動を駆動するためのこのシステム24は、多くの形態をとり得る。
【0047】
図示の実施例では、跳ねよけ2のスライド移動を駆動するためのシステム24は、ボルト26/ナット27組立体のボルト26と係合した歯車駆動機構25と、ボルト26またはナット27の移動を駆動するためのアクチュエータ28とを備えている。
【0048】
特に、
図2~
図4に描かれているように、歯車駆動機構25は、エプロン13に沿って、エプロン13のプレートのフランジ15と平行に、プレートの面のうち車輪の方を向いている面とは反対側の面に、互いに平行に延びる2つのラック251を備えている。
【0049】
歯車駆動機構25は、同じロッド253によって担持された2つのピニオン252をさらに備えている。これらのピニオン252は、一方がロッド253の端部の一方に配置され、他方がロッド253の端部の他方に配置されている。各ピニオン252はラック251と係合している。
【0050】
ロッド253はボルト26を形成する。このボルト26は、ボルト26/ナット27組立体のボルトを構成する。ナット27はボルト26に螺合されている。このナット27は、ボルト26に回転固定されて取り付けられており、アクチュエータ28によってボルト26に沿って軸方向に移動可能である。ここでは、このアクチュエータ28はシリンダであり、ナット27は、ここではシリンダ本体によって形成されたシリンダの可動部に結合されている。このボルト/ナット組立体およびシリンダの固定部は、跳ねよけ2、特に跳ねよけ2の剛性部22に結合されている。跳ねよけ2のこの剛性部22は、支持構造体3のガード経路16に収容された転動部材17を既に担持している。
【0051】
動作は次の通りである:アクチュエータ28を構成するシリンダの伸縮によってアクチュエータ28によって発生するボルト26に沿ったナット27の並進運動は、ボルト26を回転駆動し、その結果、ボルト26の端部に配置されたピニオンを回転させる。これらのピニオン252はラック251に沿って進行する。この進行は、跳ねよけ2の軸線方向の移動における跳ねよけ2の上昇または下降の動きに反映される。
【0052】
図示の実施例では、ナットの回転はリアクションリンクによって阻止されている。2つのラック251に係合した2つのピニオン252の存在により、跳ねよけ2はその側縁6のそれぞれのレベルにおいて同一方式で進行することが可能になることに留意されたい。
【0053】
アクチュエータ28をシリンダの形態で製造することにより、エンドオブトラベルセンサを省略することが可能になる。
【0054】
油圧または空気圧アクチュエータであってもよいアクチュエータ28の作動は、様々なパラメータ、即ち、例えば、濡れた路面の検出、雨の検出、オペレータからの制御入力の検出、車輪の回転速度または車両の移動速度等の関数として制御され得る。
【0055】
このため、装置1は、速度センサおよび/または雨センサおよび/または手動制御部材および/または他のタイプのセンサからデータを取得するように構成されたアクチュエータ28の制御ユニットを備えてもよい。跳ねよけを上昇位置から下降位置へ移動させる方向にアクチュエータ28を作動させることにより、
図4の右側図に描かれているように個別要素10を展開させて、
図2に見られるように、いくつかの個別要素10が車輪の幅を超えて延在できる位置を占めるか、または
図3の右側図に描かれているように、チャンバ21によって分離された連続するカーテン20を形成できる位置を占めることを可能にする。
【0056】
本装置の有効性は、特に、代表的な実施例では合成材料、特にポリアミド製の剛毛である個別要素10の可撓性の特性のために、第三者を傷つける危険性なしに増大する。
【0057】
ここで、支持構造体3は、その上側が開口し、キャップのないケーシング本体の形態をとる。同様に、支持構造体3は、閉じたケーシングまたはカセットの形態をとることもでき、ケーシング本体はキャップによって閉じられて、跳ねよけの移動駆動装置を隠し、跳ねよけ2の上昇位置において跳ねよけ2を保護している。
【0058】
明らかに、本発明は同様に、上述のような車輪付き車両と少なくとも1つの跳ねよけ装置1とから形成される組立体にも関する。
【符号の説明】
【0059】
1 跳ねよけ装置
2 跳ねよけ
3 支持構造体
4 上縁
5 下縁
6 側縁
7,8 面
9 可撓性透水部
10 個別要素
11 自由端
12 シェーパー
13 エプロン
14 下部横方向縁
15 フランジ
16 経路
17 転動部材
18 リム
19 貫通開口
20 カーテン
21 チャンバ
22 剛性部
23 ベース
24 スライド移動を駆動するためのシステム
25 歯車駆動機構
26 ボルト
27 ナット
28 アクチュエータ
251 ラック
252 ピニオン
253 ロッド
【国際調査報告】