(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電流ブースター
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H02M3/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581007
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 SE2022050700
(87)【国際公開番号】W WO2023282841
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002946
【氏名又は名称】ゼットエス エレクトリック アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】ZS ELECTRIC AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】スタニシッチ,ゾラン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB26
5H730BB27
5H730BB61
5H730DD04
5H730EE03
5H730EE13
5H730EE73
5H730ZZ11
(57)【要約】
本開示は、電源(30)から負荷(40)にブーストされた電流を供給するための電流ブースター回路(100)を提示する。電流ブースター回路(100)は、変圧器(120)と、電源(30)を変圧器(120)の少なくとも1つの一次巻線(122)に動作可能に接続するための少なくとも2つの入力端子(142、144)と、負荷(40)を変圧器(120)の少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)に並列に動作可能に接続するための少なくとも2つの出力端子(146、148)とを備える。これに加えて、電流ブースター(100)は、ブーストされた電流の方向を制御するために配置され、二次巻線(126a、126b)のそれぞれの極性を相互に反転させた状態で二次巻線(126a、126b)を少なくとも2つの出力端子(146、148)に接続するように配置された複数の二次スイッチ(131、132、133、134)からなる二次側電気回路(130)を備える。これに加えて、プリント基板アセンブリ、電流ブースターアセンブリ、電流ブースターシステムおよび装置が提示される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(30)から負荷(40)にブーストされた電流を供給するための電流ブースター回路(100)であって、前記電流ブースター回路(100)は、
変圧器(120)と、
電源(30)を前記変圧器(120)の少なくとも1つの一次巻線(122)に動作可能に接続するための少なくとも2つの入力端子(142、144)と、
負荷(40)を前記変圧器(120)の少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)に並列に動作可能に接続するための少なくとも2つの出力端子(146、148)と、
前記ブーストされた電流の方向を制御するために配置され、前記二次巻線(126a、126b)のそれぞれの極性を相互に反転させた状態で前記二次巻線(126a、126b)を少なくとも2つの出力端子(146、148)に接続するように配置された複数の二次スイッチ(131、132、133、134)を備える二次側電気回路(130)を有し、前記複数の二次スイッチ(131、132、133、134)は、少なくとも、
前記少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)の第1の二次巻線(126a)のプラス端子(127)を、前記負荷(40)に接続可能な第1の出力端子(146)に接続するように配置された第1の二次スイッチ(131)と、
前記少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)の前記第1の二次巻線(126a)のマイナス端子(128)を、前記負荷(40)に接続可能な第2の出力端子(148)に接続するように配置された第2の二次スイッチ(132)と、
前記少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)の第2の二次巻線(126b)のプラス端子(127)を、前記負荷(40)に接続可能な第2の出力端子(148)に接続するように配置された第3の二次スイッチ(133)と
前記少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)の前記の第2の二次巻線(126b)のマイナス端子(128)を、前記負荷(40)に接続可能な第1の出力端子(146)に接続するように配置された第4の二次スイッチ(134)と、有することを特徴とする電流ブースター回路(100)。
【請求項2】
前記二次側電気回路(130)は、前記一次巻線(122)に供給される前記電力と実質的に同期して制御されるように配置されている、請求項1に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項3】
前記複数の二次スイッチ(131、132、133、134)は、30kHz以上、好ましくは50kHz以上、最も好ましくは100kHz以上のスイッチング周波数で制御される、請求項1または2に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項4】
前記二次側電気回路(130)は、前記少なくとも2つの入力端子(142、144)から電気的に絶縁されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項5】
各一次巻線(122)の巻数(N
P1)は、各二次巻線(126a、126b)の巻数(N
S1、N
S2)の少なくとも5倍であり、好ましくは、各一次巻線(122)の前記巻数(N
P1)は、各二次巻線(126a、126b)の前記巻数(N
S1、N
S2)の少なくとも10倍である、請求項1から4のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの入力端子(142、144)を前記変圧器(120)の前記少なくとも1つの一次巻線(122)に動作可能に接続するための少なくとも1つの一次側電気回路(110)をさらに有し、前記一次側電気回路(110)は、前記電源(30)の前記変圧器(120)の一次巻線(122)への接続を制御するように配置された複数の一次スイッチ(111、112)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項7】
前記複数の一次スイッチ(111、112)は、ハーフブリッジ配置で配置されている、求項6に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項8】
前記複数の一次スイッチ(111、112、...)は、フルブリッジ配置で配置されている、請求項6に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項9】
前記複数の二次スイッチ(131、132、133、134)および/または前記複数の一次スイッチ(111、112)は、トランジスタ、好ましくはFETトランジスタとして提供される、請求項1から8のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項10】
前記変圧器(120)は、コア(125)、好ましくはフェライトコア(125)を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)。
【請求項11】
多層プリント回路基板(PCB)(210)を備えるプリント回路基板アセンブリ(200)であって、前記PCB(210)は、請求項1から5のいずれか1項に記載の電流ブースター回路(100)と、前記PCB(210)の全層を貫通する貫通孔(215)とを有し、
前記変圧器(120)の前記少なくとも1つの一次巻線(122)および前記少なくとも2つの二次巻線(126a、126b)は、前記貫通孔(215)の周囲に配線される、プリント回路基板アセンブリ(200)。
【請求項12】
前記電流ブースター回路(100)の前記変圧器(120)の前記二次巻線(126a、126b)の少なくとも1つが、前記PCB(210)の内部層に配置されている、請求項11に記載のプリント回路基板アセンブリ(200)。
【請求項13】
前記電流ブースター回路(100)の前記変圧器(120)は、1つまたは2つの一次巻線(122)を有し、前記1つまたは2つの一次巻線(122)の少なくとも1つは、前記PCB(210)の外層(212、214)に配置される、請求項11または12に記載のプリント回路基板アセンブリ(200)。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の複数のプリント回路基板アセンブリ(200)を有する電流ブースターアセンブリ(300)であって、
前記プリント回路基板アセンブリ(200)の前記一次巻線(122)の前記少なくとも2つの入力端子(142、144)は直列に接続され、前記プリント回路基板アセンブリ(200)の前記少なくとも2つの出力端子(146、148)は並列に接続される、電流ブースターアセンブリ(300)。
【請求項15】
前記複数のプリント回路基板アセンブリ(200)の前記貫通孔(215)が位置合わせされ、前記複数のプリント回路基板アセンブリ(200)の前記貫通孔(215)を通って変圧器コア(125)が配置される、請求項14に記載の電流ブースターアセンブリ(300)。
【請求項16】
電流ブースタシステム(400)であって、請求項14または15のいずれかに記載の1つまたは複数の電流ブースタアセンブリ(300)と、複数のソケット(412)を備えるキャリア(410)と、を有し、前記1つまたは複数の電流ブースタアセンブリ(300)の各プリント回路基板アセンブリ(200)が、前記キャリア(410)の関連するソケット(412)に配置され、前記プリント回路基板アセンブリ(200)の前記少なくとも2つの出力端子(146、148)の並列接続が、前記キャリア(410)によって提供される、電流ブースターシステム(400)。
【請求項17】
前記キャリア(410)が、前記1つ以上の電流ブースタアセンブリ(300)の、前記プリント回路基板アセンブリ(200)の入力端子(142、144)の直列接続にわたって並列に動作可能に接続された一次側電気回路(110)をさらに有する、請求項16に記載の電流ブースターシステム(400)。
【請求項18】
前記1つまたは複数の電流ブースタアセンブリ(300)の前記プリント回路基板アセンブリ(200)の少なくとも前記二次側電気回路(130)を制御するための制御モジュール(600)をさらに有する、請求項16または17に記載の電流ブースターシステム(400)。
【請求項19】
請求項1から10のいずれか1項に記載の1つまたは複数の電流ブースター回路(100)を含む電気試験または測定用の試験装置(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流ブースターに関し、より正確には、ブーストされた電流(昇圧電流)の方向を制御するための電流ブースターに関する。より詳細には、本開示において、電流ブースター回路が提示される。また、関連するプリント回路基板アセンブリ、電流ブースターアセンブリ、電流ブースターシステム、および試験装置も提示する。
【背景技術】
【0002】
分散電源の安定性に関する最も重要な試験のひとつは、あらゆるタイプの保護リレーとモータースイッチギアのトリップレベルを測定することである。トリップレベルは非常に高く、場合によっては数千アンペアを超えることもある。数千アンペアの範囲でこのような大電流を発生させるには、通常、重くて高価な試験装置が必要である。この試験装置は一般的に取り扱いが難しく、さらに輸送も困難であるため、装置を取り扱う人員に不便と潜在的な作業上の危険をもたらす可能性がある。いくつかの装置の抵抗試験中にも同じ欠点が存在する可能性がある。例えば、一般に、非常に高い直流電流レベルを発生させ、被試験デバイス(DUT)にかかる測定可能な電圧降下レベルを発生させ、この電圧降下レベルを生成された電流値で割ると、所望の抵抗値が得られる。高い注入電流は、接続の問題や端子の酸化を克服する能力がある。高い直流電流は、一般的に、静的および動的抵抗測定を実行する際に、高電圧回路ブレーカの接点で生成される。
【0003】
上記の理由から、多くの場合、試験装置はDUTの二次側に電流を注入するように作られている。
【0004】
一次注入とは異なり、二次側注入に基づく試験方法には、電流センサー、配線、その他の遮断器通電部品などは試験に含まれない。これは、これらの部品が一般的に十分に試験されず、法的要件および/または品質要件を満たさない可能性があることを意味する。さらに、熱磁気式または電気機械式のトリップユニットを有するサーキットブレーカは、一次側での電流注入を利用した試験方法によってのみ、正しく機能することを確認することができる。また、変流器(current transformers (CTs))を使用した一次電流注入試験は、三相すべてに対して同時に実施する必要があり、試験装置の重量と複雑さをさらに大幅に増加させる可能性がある。
【0005】
その結果、既存の装置は複雑で、かさばり、重く、通常は地上から使用され、長く、太く、重いケーブルを被検査物に取り付けているため、損失が大きく、消費電力が大きく、輸送コストが高い。
【0006】
US8,497,692では、試験体に接続可能な電流源を含む装置が提示されている。この電流源はコンデンサであり、試験対象物の近くに配置できるため、太くて長い電源ケーブルの必要性を減らすことができる。しかし、この装置は直流のみを供給し、交流の発生には適していない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、上記および他の考慮事項に鑑みてなされたものである。本開示は、数千アンペアの範囲の高い直流電流および/または交流電流の両方を連続的に発生させる能力を有する、一次および/または二次試験に使用される、携帯性に優れ軽量な装置の必要性が存在するという事実を認識している。
【0008】
従って、本発明の目的は、従来技術よりも改良され、上述した欠点を解消または少なくとも緩和する新しいタイプの電流ブースターを提供することである。より具体的には、本発明の目的は、軽量で持ち運び可能であり、2方向で負荷にブーストされた電流(昇圧電流)を供給できる電流ブースターを提供することである。これらの目的は、これらに関連する従属請求項に定義された好ましい実施形態とともに、添付の独立請求項に記載された技術によって達成される。
【0009】
第1の態様では、電源から負荷にブーストされた電流を供給するための電流ブースター回路が提示される。電流ブースター回路は、変圧器(トランス、変成器(transformer))と、変圧器の少なくとも1つの一次巻線に電源を動作可能に接続するための少なくとも2つの入力端子と、負荷を変圧器の少なくとも2つの二次巻線に並列に動作可能に接続するための少なくとも2つの出力端子とを有する。さらに、電流ブースターは、ブーストされた電流の方向を制御するために配置され、二次巻線のそれぞれの極性を相互に反転させた状態で二次巻線を少なくとも2つの出力端子に接続するように配置された複数の二次スイッチを備える二次側電気回路を有する。当該複数の二次スイッチは、少なくとも、当該少なくとも2つの二次巻線の第1の二次巻線のプラス端子を負荷に接続可能な第1の出力端子に接続するように配置された少なくとも第1の二次スイッチと、当該少なくとも2つの二次巻線の第1の二次巻線のマイナス端子を負荷に接続可能な第2の出力端子に接続するように配置された第2の二次スイッチと、当該少なくとも2つの二次巻線の第2の二次巻線のプラス端子を負荷に接続可能な第2の出力端子に接続するように配置された第3の二次スイッチと、当該少なくとも2つの二次巻線の第2の二次巻線のマイナス端子を負荷に接続可能な第1の出力端子に接続するように配置された第4の二次スイッチ、を有する。
【0010】
一実施形態では、二次側電気回路は、一次巻線に供給される電力と実質的に同期して制御されるように配置される。これは、同期動作により、一次側スイッチングと二次側スイッチングとの間の不一致を最小限に抑えながら、変圧器におけるエネルギーを効率的に伝達することができるため有益である。
【0011】
一実施形態では、複数の二次スイッチは、30kHz以上、好ましくは50kHz以上、最も好ましくは100kHz以上のスイッチング周波数で制御される。スイッチング周波数の増加により、変圧器のサイズを小さくすることができ、電流ブースターのサイズと重量を低減し、電流ブースターの携帯性を高めることができる。
【0012】
一実施形態では、二次側電気回路は、当該少なくとも2つの入力端子から電気的に絶縁されている。これは、安全に使用でき、試験体に確実かつ安全に接続できる電流ブースターを提供するので有益である。
【0013】
一実施形態では、各一次巻線の巻数は、各二次巻線の巻数の少なくとも5倍であり、好ましくは、各一次巻線の巻数は、各二次巻線の巻数の少なくとも10倍である。これは、巻線間の比率が電流のブースト(昇圧)を助けるので有益である。
【0014】
一実施形態では、電流ブースター回路は、当該少なくとも2つの入力端子を変圧器の当該少なくとも1つの一次巻線に動作可能に接続するための少なくとも1つの一次側電気回路をさらに有し、一次側電気回路は、電源の変圧器の一次巻線への接続を制御するように配置された複数の一次スイッチを有する。一次側電気回路は、電源に応じて適合または制御され得るので、より広範囲の電源を電流ブースターと共に使用することを可能にするので有益である。
【0015】
一実施形態では、複数の一次スイッチがハーフブリッジ配置で配置されている。これは、ハーフブリッジが、使用されるスイッチの数に関して効率的であるため有益である。
【0016】
一実施形態では、複数の一次スイッチがフルブリッジ配置で配置されている。これは、フルブリッジによって一次巻線のスイッチングを正確に制御できるため有益である。
【0017】
一実施形態では、当該複数の二次スイッチおよび/または当該複数の一次スイッチは、トランジスタ、好ましくはFETトランジスタとして提供される。これは、トランジスタが高速スイッチング時間で容易に制御され、FETトランジスタが比較的に低いオン抵抗を示すため有益である。
【0018】
一実施形態では、変圧器は、コア、好ましくはフェライトコアを有する。これは、コアが変圧器の一次側と二次側の間の結合の損失を大幅に低減するため有益である。
【0019】
第2の態様では、多層プリント回路基板(PCB)を備えるプリント回路基板アセンブリが提示される。PCBは、第1の態様による電流ブースター回路と、PCBの全層を貫通する貫通孔(through hole)とを備える。さらに、変圧器の当該少なくとも1つの一次巻線および当該少なくとも2つの二次巻線は、当該貫通孔の周囲に配線される。
【0020】
一実施形態では、電流ブースター回路の変圧器の二次巻線の少なくとも1つは、PCBの内部層に配置されている。これは、巻線間の結合を増加させ、寄生効果を減少させるので有益である。
【0021】
一実施形態では、電流ブースター回路の変圧器は、1つまたは2つの一次巻線を有し、当該1つまたは2つの一次巻線の少なくとも1つは、PCBの外層に配置される。これにより、PCBの効率的な配線とフロアプランが実現する。
【0022】
第3の態様では、第2の態様による複数のプリント回路基板アセンブリを有する電流ブースターアセンブリが提示される。電流ブースターアセンブリにおいて、プリント回路基板アセンブリの一次巻線の当該少なくとも2つの入力端子は直列に接続され、プリント回路基板アセンブリの当該少なくとも2つの出力端子は並列に接続される。
【0023】
一実施形態では、当該複数のプリント回路基板アセンブリの貫通孔は位置合わせ(整列)され、当該複数のプリント回路基板アセンブリの貫通孔を通って(貫通して)変圧器コア(トランスコア)が配置される。これは、複数の一次巻線が直列に、二次巻線が並列に、同じ変圧器コアを共有するコンパクトな設計を可能にし、軽量かつコンパクトな設計をもたらすので有益である。
【0024】
第4の態様では、電流ブースターシステムが提示される。この電流ブースターシステムは、第3の態様による1つ以上の電流ブースターアセンブリと、複数のソケットを備えるキャリアとを備える。当該1つ以上の電流ブースターアセンブリの各プリント回路基板アセンブリは、当該キャリアの関連するソケットに配置され、プリント回路基板アセンブリの当該少なくとも2つの出力端子の並列接続は、キャリアによって提供される。
【0025】
一実施形態では、キャリアは、当該1つ以上の電流ブースターアセンブリの、プリント回路基板アセンブリの入力端子の直列接続にわたって(横切って)並列に動作可能に接続された一次側電気回路をさらに有する。これは、一次側電気回路が複数の電流ブースターアセンブリ間で効率的に共有され得るので有益である。
【0026】
一実施形態では、電流ブースターシステムは、当該1つ以上の電流ブースターアセンブリのプリント回路基板アセンブリの少なくとも二次側電気回路を制御するための制御モジュールをさらに備える。
【0027】
第5の態様では、第1の態様による1つまたは複数の電流ブースター回路を含む、電気試験または測定用の試験装置。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明概念をどのように実施に移すことができるかの非限定的な例を示す添付の図面を参照されたい。
【
図1】
図1は、従来技術による電流ブースターの概略図である。
【
図2a】
図2aは、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図2b】
図2bは、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図3a】
図3aは、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図3b】
図3bは、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による電流ブースターにおける異なる信号の時系列プロットである。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による電流ブースターの制御ロジックの概略図である。
【
図7a】
図7aは、いくつかの実施形態によるによる一次側電気回路の概略図である。
【
図7b】
図7bは、いくつかの実施形態によるによる一次側電気回路の概略図である。
【
図7c】
図7cは、いくつかの実施形態によるによる一次側電気回路の概略図である。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による電流ブースターのブロック図である。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による電流ブースターの概略図である。
【
図11a】
図11aは、いくつかの実施形態によるプリント基板アセンブリの図である。
【
図11b】
図11bは、いくつかの実施形態によるプリント基板アセンブリの図である。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による電流ブースターアセンブリの透視図である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による電流ブースターシステムの側面図である。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による試験装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、特定の実施形態をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、例示として提供される。
【0030】
「coupled」という用語は、必ずしも直接的に、また必ずしも機械的にではないが、接続されていると定義される。「coupled」されている2つ以上のアイテムは、互いに一体であってもよい。用語「a」および「an」は、本開示が明示的に別を要求しない限り、1つ以上と定義される。「substantially」、「approximately」、および「about」という用語は、当業者によって理解されるように、大部分が特定されたものであるが、必ずしもすべてが特定されたものではないものとして定義される。「comprise」(および「comprises」、「comprising」などcompriseの任意の形)、「have」(および「has」、「having」などhaveの任意の形)、「include」(および「includes」、「including」などincludeの任意の形)、「contain」(および「contains」、「containing」などcontainの任意の形)という用語は、オープンエンドの連結動詞である。その結果、1つまたは複数のステップを「comprises」、「has」、「includes」または「contains」する方法は、それらの1つまたは複数のステップを有するが、それらの1つまたは複数のステップのみを有することに限定されない。
【0031】
図1から始めて、本発明の様々な実施形態に背景(context)を与えるために、先行技術の電流ブースター1000が示されている。先行技術の電流ブースター1000は、一般に、地域の適応に応じて50Hzまたは60HzのグリッドAC(交流)で供給されるが、先行技術の電流ブースター1000の第1ステージ1010がバイパスされる場合、直流(DC)でも供給され得ることを当業者は理解する。いずれにせよ、第1ステージ1010は、入力電力として交流が供給される場合に使用される。この交流は、先行技術の電流ブースター1000の第1ステージ1010に供給され、整流されてから先行技術の電流ブースター1000の第2段1020に供給される。先行技術の電流ブースター1000の第2ステージ1020は、先行技術の電流ブースター1000の第3ステージ1030に供給される整流電流を制御するために、典型的にはフルブリッジとして配置された第1の複数のスイッチ1025を有する。第3ステージ1030は変圧器1035を有し、第2ステージ1020によって供給される電流を、先行技術の電流ブースター1000の第4ステージ1040に供給されるより高い電流に変換する。第1の複数のスイッチ1025は、第1の複数のスイッチ1025のスイッチング周波数がACグリッドの50Hzまたは60Hzよりもはるかに高い可能性があるため、小型の変圧器1035の使用を可能にするために設けられている。指定された電流で動作可能な50Hzまたは60Hzの変圧器は、想像を絶する大きさと重さになる。第4ステージ1040は、先行技術の電流ブースター1000の第5ステージ1050によって負荷に供給され得る二次直流を提供するように配置された第2の複数のスイッチ1045を有する。第5ステージ1050は、負荷への電流を制御するためにフルブリッジに配置された第3の複数のスイッチ1055を有する。先行技術の電流ブースター1000の複雑さは、制御された交流または直流電流を負荷に供給するという要件に起因しており、直流電流は負荷を通して2つの方向に供給することができる。第4および第5のステージ1040、1050のスイッチ1045、1055は、負荷を通る全電流を処理する必要があり、これらの部品に莫大な制約を与えていることに留意されたい。二次側のスイッチ1045、1055をFETトランジスタで実現しても、スイッチ1045、1055には莫大な量の熱が放散される。100μΩのR
ds(on)で10kAを処理できるトランジスタが経済的に実現可能であると仮定する。二次側の各導通スイッチにおける散逸電力(dissipated power)Pは、P=I
2・R
ds(on)=(10・10
3)
2・100・100
-6W=10kWとなり得る。デバイスは定常状態で動作する必要があるため、指定された10kAは実効値(RMS value)であり、三相交流動作の場合、すべての象限で電流を生成するために3つの電流ブースターを追加する必要があり、その結果、スイッチング損失と導通損失が大きくなる。したがって、半導体の量が極端に増え、信頼性と効率が低下し、コスト高と複雑さを招く。
【0032】
図2aおよび
図2bを参照して、本開示の概念的思想をより詳細に説明する。
図2a-bでは、正出力コンバータが図示されている。コンバータは電流源30の形で電源30から電力を受け取る。電流源30は、例示の目的で、全波整流された正弦波電流として一次側電流i
pを供給する。一次側電流i
pは、ハーフブリッジ接続された2つの一次側トランジスタ111、112を介して変圧器120の一次巻線122に供給される。一次側トランジスタ111、112は、それぞれの第1および第2の制御信号G1、G2によって制御される。第1および第2の制御信号G1、G2は、好ましくは、一方がアクティブであれば他方が非アクティブとなるように、互いに対して180°位相シフトされる。変圧器120の二次側は、第1の二次巻線126aと第2の二次巻線126bとを備える。
図2a-bに見られるように、巻線122、126a、126bのそれぞれにマーキングが見える。このマーキングは、当業者には周知のように極性マーキング(polarity marking)であり、本開示全体を通じて変圧器の巻線のプラス端子を示すために使用される。二次巻線126a、126bは、第1の二次巻線126aのマイナス端子が第2の二次巻線126bのプラス端子に接続されるように、直列に接続される。
【0033】
第1の制御信号G1が第1の一次側トランジスタ111を短絡させるようなものであるとき、第2の制御信号G2は、第2の一次側トランジスタ112が導通しないようなものであることが好ましい。第1の一次側トランジスタ111が導通している場合、電流は一次巻線122のプラス端子に流れ込み、その結果、二次巻線126a、126bのプラス端子から流出する。G1とG2は実質的に互いに逆であるため、第1の一次側トランジスタ111が導通していない場合、第2の一次側トランジスタ112は短絡され、一次巻線122のプラス端子から電流が流入するようになる。電流が一次巻線122のプラス端子から流れ出るように制御されると、電流は二次巻線126a、126bのプラス端子に流れ込む。簡単のため、一次側制御信号G1、G2は、一次側トランジスタ111、112を十分に速くスイッチングし、実質的にリップルのない二次側電流isを負荷40に供給するのに十分な速さであると仮定する。
【0034】
図2aの例示では、第1のダイオードD1は、そのアノードが第1の一次巻線126aのプラス端子に対向する状態で、第1の一次巻線126aのプラス端子と負荷40のプラス端子とに直列に配置される。第2のダイオードD2は、そのアノードが第2の二次巻線126bのマイナス端子に対向する状態で、第2の二次巻線126bのマイナス端子と負荷40のプラス端子とに直列に配置される。負荷40のマイナス側は、第1の二次巻線126aのマイナス端子と、第2の二次巻線126bのプラス端子とに接続されている。これにより、負荷40は、負荷40に対して位相がずれた、または鏡像された二次巻線126a、126bと並列に効果的に接続される。一次側電流i
pが全波整流されると、第1の一次トランジスタ111が短絡しているときは一次巻線122のプラス端子から電流が流れ、第2の一次トランジスタが導通している、すなわち短絡しているときは第二の二次巻線126bのプラス端子に電流が流れる。二次側では、ダイオードD1、D2がなければ、二次巻線126a、126bが直列に接続され、第1の二次巻線126aのプラス端子が第2の二次巻線126bのマイナス端子に短絡されるため、負荷40に電流は供給されない。しかし、第2のダイオードD2はアノードを第2の二次巻線126bのマイナス端子に向けて配置されているため、第2の二次巻線126bのプラス端子から外れる方向に第2の二次巻線126bを流れる電流を止めることができる。しかしながら、第1のダイオードD1は、そのアノードを第1の二次巻線126aのプラス端子に向けて配置されているため、電流は、第1の二次巻線126aを通って第1の二次巻線126aのプラス端子から外れる方向に流れる可能性がある。言い換えれば、
図2aのシナリオでは、変圧器120の二次側において、電流は、第1の二次巻線126aのプラス端子から流出するか、または第2の二次巻線136bのプラス端子に流入することが許容される。先に説明したように、二次電流i
sが第1の二次巻線126aまたは第2の二次巻線126bのどちらから供給されるかは、一次巻線122に流れる電流の方向、すなわち現在導通している第1または第2の一次トランジスタ111、112のどちらに応じて決定される。その結果、二次電流iは
s、負荷40の極性に関しては正となり、第1の二次巻線126aから供給される。一次側電流i
pは全波整流され、スイッチング周波数が十分に高かったため、二次電流i
sも滑らかな全波整流電流となる。
【0035】
次に
図2bに目を向ける。
図2bに示された例は、変圧器120の二次側におけるダイオードD1、D2の配置を除いて、
図2aと同一である。
図2bにおいて、ダイオードD1、D2の配置は、第1のダイオードD1が、そのアノードが第1の一次巻線126aのマイナス端子に対向する状態で、第1の一次巻線126aのマイナス端子と負荷40のマイナス端子とに直列に配置されるようにシフトしている。第2のダイオードD2は、そのアノードが第2の一次巻線126bのプラス端子に対向する状態で、第2の二次巻線126bのプラス端子と負荷40のマイナス端子とに直列に配置される。他には何も変化しておらず、一次電流i
pは依然としてプラスの全波整流電流であるため、第1のダイオードD1は、第1の二次巻線126aのプラス端子から電流が流出するのを阻止するが、第1の二次巻線126aのプラス端子へ電流が流入するのを許容する。しかし、電流が第二の二次巻線126bのプラス端子から第二のダイオードD2を通って負荷40のマイナス端子へ流れ出ることが許容されるようになったため、負荷40に対する二次電流i
sの方向は、
図2aの例と比較して変化している。
【0036】
図2a-bのダイオードD1、D2は固有の順方向電圧降下を有し、変圧器120の二次側に損失をもたらす。これらの損失を低減するために、挿入損失の低いスイッチを導入することができる。
【0037】
図3aでは、
図2aと対応する回路図が示されているが、
図2aの第1のダイオードD1が
図3aの第1の二次スイッチ131に置き換えられ、
図2aの第2のダイオードD2が
図3aの第4の二次スイッチ134に置き換えられている。
図3aの第1および第4の二次スイッチ131、134はFETトランジスタとして図示されているが、IGBTトランジスタ、BJTなど、任意の適切なスイッチを利用することができる。当業者であれば、それぞれのスイッチのオン抵抗が増加するとブースターの効率が低下することを理解し、好ましくは、できるだけ挿入損失の低いスイッチング技術が選択される。
図3aの第1の二次スイッチ131は第3の制御信号G3によって制御され、第4の二次スイッチ134は第4の制御信号G4によって制御される。
図2aを参照して与えられた説明から、第1の二次スイッチ131および第4の二次スイッチ134は、好ましくは、先に指定された第1および第2の制御信号G1、G2と同様の相互に反転された制御信号G3、G4によって制御されることが理解される。すなわち、第3および第4の制御信号G3、G4は、好ましくは、一方がアクティブであれば他方が非アクティブとなるように、互いに対して180°位相シフトされる。好ましくは、第3の制御信号G3は、第1の一次スイッチ111と第1の二次スイッチ131とが同時に短絡されるように、すなわち、電流が一次巻線122のプラス端子に流入し、第1の二次巻線126aのプラス端子から流出するように、第1の制御信号G1に実質的に同期して制御される。これに対応して、第4の制御信号G4は、第2の一次スイッチ112と第4の二次スイッチ134とが同時に短絡されるように、すなわち電流が一次巻線122のプラス端子から流出し、第2の二次巻線126aのプラス端子から流入するように、第2の制御信号G2に実質的に同期して制御される。同期制御は、各スイッチが高い挿入損失を持つ固有のスイッチング時間を持ち、その結果スイッチング中に電力を消費するため、有益である。一次側のスイッチング中に伝達される電力は比較的少ないため、スイッチング損失を最小限に抑え、ブースター効率を最大化するためには、二次側で同期的にスイッチングすることが有益である。
【0038】
従って、
図3bは
図2bに対応するが、
図3bでは
図3bである。しかし、
図2aと
図3aとの違いに対応して、
図2bの第1のダイオードD1は、
図3bでは第2の二次スイッチ132に置き換えられ、
図2bの第2のダイオードD2は、
図3bでは第3の二次スイッチ133に置き換えられる。
図3bの第2および第3の二次スイッチ132、133は、FETトランジスタとして図示されているが、IGBTトランジスタ、リレーなどの任意の適切なスイッチを利用することができる。
図3bの第2の二次スイッチ132は第5の制御信号G5によって制御され、第3の二次スイッチ133は第6の制御信号G6によって制御される。
図2bを参照して与えられた説明から、第2の二次スイッチ132と第3の二次スイッチ133は、好ましくは相互に反転された制御信号G5、G6によって制御されることが理解される。すなわち、第5および第6の制御信号G5、G6は、好ましくは、一方がアクティブであれば他方が非アクティブとなるように、互いに対して180°位相がずれている。好ましくは、第5の制御信号G5は、第2の一次スイッチ112と第2の二次スイッチ132とが同時に短絡されるように、すなわち電流が一次巻線122のプラス端子から第1の二次巻線126aのプラス端子に流れ出るように、第2の制御信号G2に実質的に同期して制御される。これに対応して、第6の制御信号G6は、第1の一次スイッチ111と第3の二次スイッチ133とが同時に短絡されるように、すなわち電流が一次巻線122のプラス端子に流入し、第2の二次巻線126bのプラス端子から流出するように、第1の制御信号G1に実質的に同期して制御される。
【0039】
図2a-bおよび
図3a-bを参照して与えられた説明から、当業者は、
図3a-3bの実施形態を1つの回路に組み合わせることができることを理解するであろう;電流ブースター100のそのような実施形態が
図4に示されている。
図4において、変圧器120の二次側は、第1から第4の二次スイッチ131、132、133、134を有し、変圧器120の一次側は、
図2a-bおよび
図3a-bのものと同一である。第1の二次側スイッチ131は、第1の二次巻線126aのプラス端子と負荷40のプラス端子との接続を制御するように接続されている。第1の二次スイッチ131は、好ましくは第1の制御信号G1と同期した第3の制御信号G3によって制御される。第2の二次スイッチ132は、第1の二次巻線126aのマイナス端子と負荷40のマイナス端子との間の接続を制御するように接続されている。第2の二次スイッチ132は、好ましくは第2の制御信号G2と同期した第5の制御信号G5によって制御される。第3の二次スイッチ133は、第2の二次巻線126bのプラス端子と負荷40のマイナス端子との間の接続を制御するように接続されている。第3の二次スイッチ133は、好ましくは第1の制御信号G1と同期した第6の制御信号G6によって制御される。第4の二次スイッチ134は、第2の二次巻線126bのマイナス端子と負荷40のプラス端子との間の接続を制御するように接続されている。第4の二次スイッチ134は、好ましくは第1の制御信号G1と同期した第4の制御信号G4によって制御される。
図4に具現化されたような回路により、負荷40のプラスまたはマイナスの端子のいずれかに二次電流i
sを供給することが可能である。すなわち、負荷40を通る二次電流i
sの方向は、電源30によって供給される一次電流i
pの極性に関係なく制御可能である。
【0040】
図4を引き続き参照すると、一次側電流i
pを、
図4に示されるように全波整流された正弦波電流であると仮定した場合、整流されていないゼロオフセットの正弦波電流が負荷40に供給される可能性がある。
【0041】
二次電流i
sの正の半周期は、一次側電流i
pの最初の半周期について、
図4の回路が
図3aに示された回路として動作するようにすることによって提供されてもよい。これは、第1の一次スイッチ111が短絡されると同時に第1の二次スイッチ131と第2の二次スイッチ132が短絡され、第2の一次スイッチ112が短絡されると同時に第3の二次スイッチ133と第4の二次スイッチ134が短絡されることによって達成され得る。その結果、第1の一次スイッチが導通しているときには、第3の二次スイッチ133と第4の二次スイッチ134の少なくとも一方が非導通となり、第2の一次スイッチ112がアクティブ、すなわち導通しているときには、第1の二次スイッチ131と第2の二次スイッチの少なくとも一方が非導通となる。この制御方式により、
図4の回路は、負荷40に正の二次電流i
s、すなわち負荷40のプラス端子に流れる二次電流i
sを供給する
図3aの回路と同様に動作することができる。このシナリオを正電流シナリオと呼ぶ。
【0042】
二次電流i
sの負の半周期は、一次側電流i
pの第2の半周期に対して、
図4の回路が
図3bに示された回路として動作するようにすることによって提供されてもよい。これは、第2の一次スイッチ112が短絡されると同時に第1の二次スイッチ131と第2の二次スイッチ132が短絡され、第1の一次スイッチ111が短絡されると同時に第3の二次スイッチ133と第4の二次スイッチ134が短絡されることによって達成することができる。その結果、第2の一次スイッチ112が導通しているときには、第3の二次スイッチ133と第4の二次スイッチ134の少なくとも一方が非導通となり、第1の一次スイッチ111がアクティブ、すなわち導通しているときには、第1の二次スイッチ131と第2の二次スイッチ132の少なくとも一方が非導通となる。この制御方式により、
図4の回路は、負荷40に負の二次電流i
s、すなわち負荷40のプラス端子から流出する二次電流i
sを供給する
図3bの回路に同様に動作することができる。このシナリオを負電流シナリオと呼ぶ。
【0043】
スイッチング損失や制御ロジックの複雑さなどを低減するために、
図5に示すような制御方式を利用することができる。
図5では、すべての信号が共通の時間x軸に沿って図示されている。
図5は、対応する一次電流i
p、二次電流i
s、第1の一次スイッチ131を流れる第一の二次スイッチ電流i
131、第2の二次スイッチ132を流れる第2の二次スイッチ電流i
132、第3の二次スイッチ133を流れる第3の二次スイッチ電流i
133、第4の二次スイッチ132を流れる第4の二次スイッチ電流i
134と並んだ制御信号G1-G6の時間プロットを示している。正電流シナリオは、一次電流i
pの第1および第3の半周期の間であり、負電流シナリオは、一次電流i
pの第2および第4の半周期の間である。
【0044】
図5の方式では、正電流シナリオの間、第3制御信号G3によって制御される第1の二次スイッチ131は、第1制御信号G1によって制御される第1の一次スイッチ111と同期しており、第5制御信号G5によって制御される第2の二次スイッチ132は、常時アクティブ、すなわち短絡または導通している。さらに、正電流シナリオの間、第4の制御信号G4によって制御される第4の二次スイッチ134は、第2の制御信号G2によって制御される第2の一次スイッチ112と同期し、第6の制御信号G6によって制御される第3の二次スイッチ132は、常時アクティブ、すなわち短絡または導通している。
【0045】
図5のままであるが、負電流シナリオに焦点を当てると、第3制御信号G3によって制御される第1の二次スイッチ131は、第1制御信号G1によって制御される第1の一次スイッチ111と同期しており、第5制御信号G5によって制御される第2二次スイッチ132は、常にアクティブ、すなわち短絡または導通している。さらに、正電流シナリオの間、第4の制御信号G4によって制御される第4の二次スイッチ134は、第2の制御信号G2によって制御される第2の一次スイッチ112と同期し、第6の制御信号G6によって制御される第3の二次スイッチ132は、常時アクティブ、すなわち短絡または導通している。
【0046】
図4の電流ブースター100の制御は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを通じて多数の方法で提供することができる。
図6を参照して、
図5の制御方式を提供するための制御ロジック600を示す。
図6では、制御ロジック600と共にロジック図(論理図)が図示されている。ロジック図において、二次電流i
sのシナリオは、正電流シナリオを「+」、負電流シナリオを「-」で示す。制御ロジック600は、比較的に高いスイッチング周波数f
swでパルス信号615を生成するように構成されたパルス発生器610を有する。スイッチング周波数f
swは一般に30kHz以上であるが、好ましくは50kHz以上であり、最も好ましくは100kHz以上である。高いスイッチング周波数f
swは、低いスイッチング周波数f
swが使用される場合と比較して、変圧器120を比較的に小型軽量にすることができるため有益である。第1の制御信号G1はパルス信号615と同期して同位相であり、第2の制御信号G2はパルス信号615に対して逆位相、すなわち位相が180°シフトしている。制御ロジック600はさらに、一次電流i
pの正または負の位相を示す位相信号645を提供するように配置された位相クロス検出器640を有する。このシナリオでは、一次電流i
pの位相が正の場合、位相信号645はハイであり、一次電流i
pの位相が負の場合、位相信号はローである。制御ロジック600は、反転パルス信号615’を提供するように配置された第1のインバータ621と、反転位相信号645’を提供するように配置された第2のインバータ622とをさらに有する。第6の制御信号G6は、パルス信号615と反転位相信号645’との論理NANDを提供するように配置された第1のNANDゲート631によって提供される。第3の制御信号G3は、反転パルス信号615’と位相信号645との論理NANDを提供するように配置された第2のNANDゲート632によって提供される。第4の制御信号G4は、パルス信号615と位相信号645との論理NANDを提供するように配置された第3のNANDゲート633によって提供される。第5の制御信号G5は、反転パルス信号615’と反転位相信号645’との論理NANDを提供するように配置された第4のNANDゲート634によって提供される。
【0047】
本開示から理解されるように、本発明の概念の大部分は、二次スイッチ131、132、133、134を介して変圧器120の二次巻線126a、126bを並列接続し、負荷40を挟んで位相シフトさせることにある。これにより、正負両方向の電流を負荷に供給することが可能になるとともに、数kHzのスイッチング周波数を増加させることができ、変圧器のサイズを小さくすることができる。しかしながら、完全性を期すために、電源30を一次巻線122に接続するためのいくつかの異なる回路を、
図7a-cを参照して提示する。電源30を変圧器120の一次巻線122に動作可能に接続する回路を、一次側電気回路110と呼ぶ。
【0048】
図7aの実施形態では、一次側電気回路110は、ハーフブリッジ状に配置された第1の一次スイッチ111と第2の一次スイッチ112とから構成されている。変圧器を飽和させないために、コンデンサCを一次巻線122と直列に配置してもよい。
【0049】
図7bに目を向けると、プッシュプル配置で配置された第1の一次トランジスタ111と第2の一次トランジスタ112を有する一次側電気回路110が示されている。本実施形態において、一次巻線122は、第1の一次巻線122aと第2の一次巻線122bを有する。プッシュプル配置は、第1の一次巻線122aまたは第2の一次巻線122bのいずれかを介して電流を制御するために設けられる。
【0050】
図7cにおいて、一次側回路は、フルブリッジの第1のレグを形成するように配置された第1の一次スイッチ111および第2の一次スイッチ112と、フルブリッジの第2のレグを形成するように配置された第3の一次スイッチ113および第4の一次スイッチ114とを備えたフルブリッジ配置の形態で提供される。第3の一次スイッチ113は、第2の制御信号G2となり得る第7の制御信号G7によって制御され、第4の二次スイッチ114は、第1の制御信号G1となり得る第8の制御信号G8によって制御される。
【0051】
いくつかの実施形態では、電源30は一次側電気回路110を有し得る。
【0052】
図8を参照して、電流ブースターアセンブリ300の一実施形態を示す。
図8の電流ブースターアセンブリ300は、負荷40を挟んで並列に接続された複数の電流ブースター100a、100b、...、100nを有する。これにより、二次電流i
sを電流ブースター100a、100b、...、100nで分割することができ、1kAをはるかに超える二次電流i
sを生成するために、任意の数の電流ブースター100a、100b、...、100nを並列に追加することが可能になる。
図8の実施形態では、変圧器120は複数の一次巻線122a、122b、...、122nを有し、電流ブースター100a、100b、...、100nの各々は、別々の第1および第2の二次巻線126a、126bに接続されている。これは一例であり、1つの一次巻線122のみを有する実施形態、または任意の他の数の二次巻線126a、126bを有する実施形態は、本明細書の教示を理解した後に当業者が理解するように、本開示の範囲内に十分に含まれる。電流ブースターアセンブリ300の変圧器120の一次巻線122a、122b、...、122nは、直列に配置され、ハーフブリッジの形態の一次側電気回路110を介して電源30に接続される。一次側回路の他の任意の適切なトポロジーが可能であり、一次巻線122a、122b、...、122nの1つ以上が、いくつかの実施形態では、電源30に並列に接続されてもよい。電流ブースターアセンブリ300は、電流ブースター100a、100b、...、100nの各々がアクティブに(活性化)され、例えば前述のように制御されてもよいし、電流ブースター100a、100b、...、100nの数のみがアクティブに(活性化)されてもよい。アクティブな電流ブースター100a、100b、...、100nの数を制御することで、二次電流i
sの振幅を制御することができる。
【0053】
図8の電流ブースターアセンブリ300は、
図4に示した電流ブースター100と同様の電流ブースター100a、100b、...、100nを備えて図示されている。しかし、完全を期すため、当業者は、
図2aおよび
図2bの回路を負荷40に並列に接続し、例えば二次電流i
sの希望する極性、すなわち位相、に応じて回路の一方のみを作動させることにより、電流ブースター100を形成することが大いに可能であることを理解するであろう。このような制御は、例えばリレー、スイッチまたはトランジスタにより行うことができる。
図3aおよび
図3bの実施形態の組み合わせにも同じ理屈が当てはまるが、この実施形態では追加のスイッチは必要ない。要約すると、また、二次巻線126a、126bを負荷に接続する回路は、多数の異なる方法で形成されてもよく、すべてが本開示によってカバーされると考えられる。
【0054】
図8において、変圧器120は、一次巻線122a、122b、...、122nから二次巻線126a、126bへの結合を著しく増加させるコア125を有する。本開示の変圧器120のほとんどの実施形態は、コア125を備えて図示されているが、変圧器コア125は本発明にとって必須ではないことに言及すべきである。
【0055】
電流ブースター100の好ましい実施形態では、必ずしも
図8の電流ブースター100ではないが、変圧器120のコア125はフェライトコアである。これにより、結合は増加するが、例えば鉄コアを使用した場合に高いスイッチング周波数で発生するコア損失を低減することができる。
【0056】
電流ブースターアセンブリ300は、
図4に示されるような電流ブースター100によっても形成され得ることに言及すべきである。このような実施形態では、各電流ブースター100が一次側電気回路110を構成し、これらの電流ブースター100の複数が負荷40を挟んで並列に接続され、数十kAのブーストされた二次電流i
sを供給することができる。
【0057】
電流ブースター100の多数の異なる実施形態が提示されており、これらは
図9に概略的に示される電流ブースター100にまとめることができる。この実施形態では、電流ブースターは、少なくとも1つの一次巻線122を有する変圧器120を有する。先に提示したように、任意の数の一次巻線122があってもよい。変圧器120は、少なくとも2つの二次巻線126a、126bをさらに備え、任意でコア125を有してもよい。一次巻線122は、電源30、好ましくは電流源30に接続されるように適合されている。電流源30にどのような回路が含まれるかによって、変圧器120の一次巻線122に直接接続されることもある。好ましくは、電源30は、一次側電気回路110を介して一次巻線122に接続される。一次側電気回路110は、例えばシステム要件に応じて、電流ブースター100内に構成されてもよいし、電流ブースター100の外部に構成されてもよく、本明細書で提示される例に限定されず、任意の適切な方法で形成される。変圧器の第1および第2の二次巻線126a、126bは、二次側電気回路130を介して負荷40に接続されるように配置される。二次側電気回路130は、本明細書で説明するように、任意の数のダイオード、スイッチまたはトランジスタを用いて任意の適切な方法で具体化することができる。重要なことは、二次側電気回路130が、二次巻線126a、126bのそれぞれの極性を相互に反転させた状態で、二次巻線126a、126bを負荷に接続するように配置されていることである。すなわち、二次側電気回路130は、第1の二次巻線126aのプラス端子と第2の二次巻線126bのマイナス端子とを、負荷40のプラス端子またはマイナス端子、あるいは電流ブースター100に構成された、または電流ブースター100の外部に設けられた負荷30の接続端子など、負荷40の同じ端子に接続するように配置されている。二次側電気回路130は、さらに、第1の二次巻線126aのマイナス端子および第2の二次巻線126bのプラス端子を、負荷40の同じ端子(負荷40の上記以外の端子)に接続するように配置される。
【0058】
図10に電流ブースター100の好ましい実施形態を示す。この実施形態の電流ブースター100は自立型(autonomous)であり、電源30と負荷40の間に直接接続することができる。電流ブースターは、電源30に接続するための少なくとも2つの入力端子142、144と、負荷40に接続するための少なくとも第1の出力端子146および第2の出力端子148と、少なくとも1つの一次巻線110と、少なくとも第1の二次巻線126aおよび第2の二次巻線126bとを備える少なくとも1つの変圧器120と、当該少なくとも2つの入力端子142、144を当該少なくとも1つの一次巻線122に動作可能に接続する少なくとも1つの一次側電気回路110と、当該少なくとも2つの出力端子146、148を当該少なくとも2つの二次巻線126a、126bに動作可能に接続する少なくとも1つの二次側電気回路130と、を有する。ここで、二次側電気回路130は、第1の二次巻線126aのプラス端子127が第1の二次スイッチ131を介して第1の出力端子146に接続され、第1の二次巻線126aのマイナス端子128が第2の二次スイッチ132を介して第2の出力端子148に接続され、第2の二次巻線126bのプラス端子127が第3の二次スイッチ133を介して第1の出力端子146に接続され、第2の二次巻線126bのマイナス端子128が第4の二次スイッチ134を介して第2の出力端子148に接続されるように配置される。
【0059】
先に提示したように、二次電流i
sをさらに増加させるために、開示された電流ブースター100を複数並列に接続してもよい。これを効率的に行うために、本開示の発明者は、電流ブースター100の設計が、
図11aおよび
図11bを参照するプリント基板アセンブリ200上に効率的に提供され得ることに気付いた。プリント基板アセンブリ200は、コンポーネントを実装し、二次側電気回路130の選択された実施形態のためのルーティングを提供するためのプリント回路基板(PCB)210を有する。変圧器の一次巻線122および二次巻線126a、126bは、PCB110のループによって形成される。一次巻線122は、好ましくは、二次巻線126a、126bが配線されるPCBの1つ以上の層とは異なるPCBの1つ以上の層に配置される。本発明者は、さらに、他の箇所で詳述するように、PCB210に貫通孔215を設け、一次巻線122および二次巻線126a、126bを貫通孔の周囲に配線することにより、プリント基板アセンブリ200の積層をより効率的にすることができることに気付いた。プリント基板210が二層プリント基板である場合、一次巻線122はプリント基板210の第1の面212、
図11aに配置され、二次巻線126a、126bはプリント基板214の第2の面、
図11bに配置される。二次側電気回路130の実施形態に応じて、二次スイッチ131、132、133、134は、PCB210の片面212、214のいずれかに配置されてもよいし、両方に配置されてもよい。PCB210は、一次巻線122に動作可能に接続された入力端子142、144をさらに有してもよい。入力端子142、144は、例えば
図8に示されるように、直列または並列の2つ以上のプリント基板アセンブリ200の一次巻線122の接続を単純化するために、PCB210の共通の端部に配置されることが好ましい。PCB210は、二次側電気回路130を介して二次巻線126a、126bに動作可能に接続された出力端子146、148をさらに有し得る。出力端子146、148は、例えば
図8に示されるように、2つ以上のプリント基板アセンブリ200の二次巻線122の並列接続を簡略化するために、PCB210の共通の端部に配置されることが好ましい。
【0060】
プリント基板アセンブリ200の一実施形態では、PCB210は2層以上で形成され、この実施形態では、二次巻線126a、126bは好ましくはPCB210の内層に配置される。電流ブースター100が2つの一次巻線122a、122bを備える場合、それらは好ましくはPCB210の2つの外層のそれぞれに1つずつ配置される。これにより、一次側と二次側との間の効率的な配線と良好なガルバニック絶縁(galvanic isolation)が得られる。さらに、寄生効果(parasitic effects)が低減され、電流ブースター100の効率が向上する。
【0061】
図12を参照して、一実施形態による電流ブースターアセンブリ300について説明する。
図12の電流ブースターアセンブリ300は、
図8に示されるような電流ブースターアセンブリ300であってもよい。
図12の電流ブースターアセンブリ300は、先に提示したように、少なくとも2つのプリント基板アセンブリ200から形成される。プリント基板アセンブリ200の各々の入力端子142、144を直列に接続し、プリント基板アセンブリの出力端子146、148を並列に接続することにより、非常に高い電流を供給することができる電流ブースターアセンブリ300が提供される。
【0062】
電流ブースターアセンブリ300の好ましい実施形態では、プリント基板アセンブリ200の貫通孔215が位置合わせされ、共通の変圧器コア125がプリント基板アセンブリ200の貫通孔215を通って配置される。
【0063】
図13では、電流ブースターシステム400が示されている。電流ブースターシステム400は、
図12を参照して説明した電流ブースターアセンブリ200の1つまたは複数を有する。電流ブースターシステム400は、複数のソケット412を備えたキャリア410をさらに有する。ソケット412は、好ましくは、各ソケット412が電流ブースターアセンブリ200の一部を受け入れることができるように、間隔をあけて整列して配置される。好ましくは、電流ブースターシステム400の各電流ブースターアセンブリ200は、キャリア410の2つのソケット412によって受け取られ、一方は電流ブースターアセンブリ200の第1の出力端子146をキャリア410に動作可能に接続し、他方は電流ブースターアセンブリ200の第2の出力端子148をキャリア410に動作可能に接続する。キャリア410は、電流ブースターアセンブリ200の出力端子146、148を並列に動作可能に接続するように配置された例えばルーティングを備えることができる。キャリア410は、電流ブースターアセンブリ200の並列出力端子146、148を負荷40に動作可能に接続するための負荷端子(図示せず)をさらに備えることができる。
【0064】
電流ブースターアセンブリ300の一実施形態では、電流ブースターアセンブリ200の入力端子142、144は直列に接続され、キャリア410は、電流ブースターアセンブリ200の入力端子142、144の直列接続にわたって並列に動作可能に接続された一次側電気回路110をさらに備える。
【0065】
さらなる実施形態では、電流ブースターシステム400は、プリント回路基板アセンブリ200の少なくとも二次側電気回路130を制御するための制御モジュール600を有する。一実施形態では、制御モジュール600は、一次側電気回路110も制御するように配置される。さらなる実施形態では、制御モジュール600は、
図6を参照して説明した制御ロジック600である。
【0066】
図14は、本開示内で与えられる実施例のいずれかによる、少なくとも1つの電流ブースター100を含む装置500の概略図である。装置500は、電流変換が必要とされる、または所望されるあらゆる種類の装置であってよい。好ましくは、装置500は試験または測定用の装置500である。装置500は、例えば保護リレーおよび/またはモータスイッチリレーにおけるトリップレベルの試験または測定に使用することができる。さらに、本開示の教示は、例えば変流器の変圧比の測定、高電圧回路遮断器の接触抵抗の測定などにも使用可能である。さらに、本教示は、マイクロオームメーターとしての使用や、ウルトラキャパシターの急速充電などにも適用可能である。
【0067】
明確には詳述しないが、負荷40は好ましくは電源30からガルバニック絶縁されている。変圧器120はガルバニック絶縁を提供するが、当業者が理解するように、一次側を二次側からガルバニック絶縁することは、一部またはすべての制御信号G1-G8にもガルバニック絶縁を導入することを伴う場合がある。これは、例えば光カプラ、容量性カプラ、信号変圧器等によって提供することができ、これらは全て当業者に既知である。これは、安全に使用でき、試験対象物に確実かつ安全に接続できる電流ブースターを提供するので有益である。
【0068】
さらに、当業者は、本開示を読んだ後、各一次巻線122の巻数NP1が、各二次巻線126a、126bの巻数NS1、NS2よりも大きいことが好ましいことを理解するであろう。一実施形態では、各一次巻線122の巻数NP1は、各二次巻線126a、126bの巻数NS1、NS2の少なくとも5倍以上である。さらなる実施形態では、各一次巻線122の巻数NP1は、各二次巻線126a、126bの巻数NS1、NS2の少なくとも10倍である。これは、巻線間の比率が電流のブースティング(増加)を補助するため有益であり、差が大きいほどブーストされる電流が大きくなる。
【0069】
本開示のほとんどの実施形態において、電源30は、全波整流正弦波電流を供給するものとして図示されていることに留意すべきである。当業者が理解するように、これは例示的な説明のためだけである。電源30は、示されるように、電流および電圧の両方の形態で、任意の適切な電力源であってよい。電力は、プラス(正)の方向またはマイナス(負)の方向のいずれかの交流または直流の任意の形状で提供されてもよい。
【0070】
さらに、二次電流ipは、交流結合正弦はとして図示されているが、任意の所望の形状の交流に制御してもよいし、プラス方向またはマイナス方向の直流として制御してもよいことに言及しておく。
【0071】
本発明の電流ブースター100は、いくつかの実施形態で示されている。これらの実施形態の多くは、電流ブースター100の、明示的に開示されていない代替の実施形態を形成するために組み合わせることができる。また、そのような組み合わせは、本開示によって完全に開示され、カバーされると考えられる。同じことが、例えば、提示されたプリント基板アセンブリ200、電流ブースターアセンブリ300、電流ブースターシステム400および装置500に適用され、電流ブースター100の異なる実施形態は、所望の効果を達成するために任意の適切な方法で組み合わせることができる。一例として、電流ブースター100を提示して説明したが、当業者であれば、本開示を読めば、電流ブースター100と同じ回路から電圧ブースターも提供できることが理解できるであろう。電流ブースター100の回路は可換であり、電源30と負荷40の位置を変えることで、電圧ブースターを提供することができる。電圧ブースト(昇圧)の実施形態は、プリント基板アセンブリ200、電流ブースターアセンブリ300、電流ブースターシステム400および試験装置500にも適用可能である。
【国際調査報告】