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特表2024-524498ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240628BHJP
   H01L 31/0745 20120101ALI20240628BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240628BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L31/04 266
H01L31/06 450
H01L21/28 301R
H01L21/88 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581060
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2022101228
(87)【国際公開番号】W WO2023274081
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110735832.8
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524004179
【氏名又は名称】安徽▲華▼晟新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI HUASUN ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99 Qingliu Road, Xuancheng Economic And Technological Development Zone, Xuancheng, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辛科
(72)【発明者】
【氏名】周▲粛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲コン▼道仁
(72)【発明者】
【氏名】王文静
(72)【発明者】
【氏名】徐▲暁▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】梅志▲綱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲龍▼
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F251
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB36
4M104BB39
4M104CC01
4M104DD43
4M104GG05
4M104HH20
5F033HH07
5F033JJ01
5F033KK38
5F033LL02
5F033PP19
5F033QQ41
5F033XX09
5F251AA02
5F251AA04
5F251AA16
5F251CB11
5F251CB13
5F251CB18
5F251CB21
5F251FA02
5F251FA14
(57)【要約】
本願はヘテロ接合太陽電池及びその製造方法を提供し、該ヘテロ接合太陽電池は、半導体基板層と、前記半導体基板層の一側に位置する背面複合透明導電膜と、を含み、前記背面複合透明導電膜は、第1背面透明導電膜と、前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2背面透明導電膜と、を含み、前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。該技術的解決手段により、前記ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率及び封止性能がいずれも向上する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合太陽電池であって、
半導体基板層と、前記半導体基板層の一側に位置する背面複合透明導電膜と、を含み、
前記背面複合透明導電膜は、
第1背面透明導電膜と、
前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2背面透明導電膜と、を含み、
前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい、ことを特徴とする、ヘテロ接合太陽電池。
【請求項2】
前記III族重原子はガリウム原子を含み、前記第1背面透明導電膜の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含み、前記第2背面透明導電膜の材料は、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含み、
好ましくは、前記第2背面透明導電膜におけるガリウムの質量パーセント濃度と前記第1背面透明導電膜におけるガリウムの質量パーセント濃度との比は1:2~1:4であり、
好ましくは、前記第1背面透明導電膜におけるガリウムの濃度が1.5質量%~2質量%であり、前記第2背面透明導電膜におけるガリウムの濃度が0.5質量%~1質量%であり、
好ましくは、前記第2背面透明導電膜の厚さと前記第1背面透明導電膜の厚さとの比は1:4~1:3であり、
好ましくは、前記第2背面透明導電膜の厚さが10nm~20nmであり、前記第1背面透明導電膜の厚さが50nm~60nmであり、
好ましくは、前記ヘテロ接合太陽電池は、前記第2背面透明導電膜の前記第1背面透明導電膜とは反対側の面に位置する有機封止層をさらに含む、ことを特徴とする、請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項3】
前記背面複合透明導電膜は、第3背面透明導電膜をさらに含み、前記第3背面透明導電膜の仕事関数が前記第1背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、かつ、前記第2背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、
好ましくは、前記第3背面透明導電膜の移動度が前記第1背面透明導電膜の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、
好ましくは、前記第3背面透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含み、
好ましくは、前記タングステンがドーピングされた酸化インジウムにおけるタングステンの濃度が0.1質量%~0.3質量%であり、
好ましくは、前記第3背面透明導電膜の厚さと第1背面透明導電膜の厚さとの比は1:5~1:6である、ことを特徴とする、請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項4】
前記背面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に位置する背面グリッド線をさらに含み、前記背面グリッド線は、第1サブ背面グリッド線と、第1サブ背面グリッド線の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ背面グリッド線と、を含み、前記第1サブ背面グリッド線の導電率が前記第2サブ背面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線の融点が前記第1サブ背面グリッド線の融点よりも小さく、
好ましくは、前記第1サブ背面グリッド線の材料は銅を含み、前記第2サブ背面グリッド線の材料はスズを含み、
好ましくは、前記第1サブ背面グリッド線の厚さと前記第2サブ背面グリッド線の厚さとの関係は5:1~9:1であり、
好ましくは、前記背面グリッド線のアスペクト比は0.8:2~1:2であり、前記背面グリッド線の幅が9μm~11μmであり、前記背面グリッド線の高さが4μm~6μmである、ことを特徴とする、請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項5】
前記半導体基板層と前記背面複合透明導電膜との間に位置する第1ドーピング半導体層をさらに含み、前記第1ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第1ドーピング半導体層は微結晶状態であり、
好ましくは、前記第1ドーピング半導体層におけるドーピングイオンの濃度が2E19atom/cm~8E19atom/cmである、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項6】
前記半導体基板層の前記背面複合透明導電膜とは反対側に位置する表面複合透明導電膜をさらに含み、前記表面複合透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含み、
好ましくは、前記半導体基板層と前記表面複合透明導電膜との間に位置する第2ドーピング半導体層をさらに含み、前記第2ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第2ドーピング半導体層は微結晶状態であり、
好ましくは、前記ヘテロ接合太陽電池は、前記表面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に位置する表面グリッド線をさらに含み、前記表面グリッド線は、第1サブ表面グリッド線と、第1サブ表面グリッド線の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ表面グリッド線を含み、前記第1サブ表面グリッド線の導電率が前記第2サブ表面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線の融点が前記第1サブ表面グリッド線の融点よりも小さく、
好ましくは、前記第1サブ表面グリッド線の材料は銅を含み、前記第2サブ表面グリッド線の材料はスズを含み、
好ましくは、前記第1サブ表面グリッド線の厚さと前記第2サブ表面グリッド線の厚さとの関係は5:1~9:1であり、
好ましくは、前記表面グリッド線のアスペクト比は0.8:2~1:2であり、前記表面グリッド線の幅が4μm~6μmであり、前記表面グリッド線の高さが2.5μm~3.5μmである、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項7】
ヘテロ接合太陽電池の製造方法であって、
半導体基板層を提供するステップと、
前記半導体基板層の一側に背面複合透明導電膜を形成するステップと、を含み、
前記背面複合透明導電膜を形成するステップは、前記半導体基板層の一側に第1背面透明導電膜を形成することと、前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側の面に第2背面透明導電膜を形成することと、を含み、前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい、ことを特徴とする、ヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記背面複合透明導電膜を形成するステップは、前記第1背面透明導電膜を形成する前に、前記半導体基板層の一側に第3背面透明導電膜を形成することをさらに含み、
前記第1背面透明導電膜を形成した後、前記第3背面透明導電膜は前記第1背面透明導電膜と前記半導体基板層との間に位置し、
前記第3背面透明導電膜の仕事関数が第1背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、かつ、第2背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、
好ましくは、前記第3背面透明導電膜の移動度が前記第1背面透明導電膜の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい、ことを特徴とする、請求項7に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記背面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に背面グリッド線を形成するステップをさらに含み、
前記背面グリッド線を形成するステップは、前記背面複合透明導電膜の面に、第1グリッド線用開口部を有するパターン化された第1フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成した後、前記第1フォトレジスト層を除去することと、を含み、
好ましくは、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線の面に位置する第2サブ背面グリッド線を形成することと、を含み、前記第1サブ背面グリッド線の導電率が前記第2サブ背面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線の融点が前記第1サブ背面グリッド線の融点よりも小さく、
好ましくは、前記半導体基板層の他側に表面複合透明導電膜を形成するステップであって、前記表面複合透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含むステップをさらに含み、
好ましくは、前記表面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に表面グリッド線を形成するステップをさらに含み、
前記表面グリッド線を形成するステップは、前記表面複合透明導電膜の面に、第2グリッド線用開口部を有するパターン化された第2フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成した後、前記第2フォトレジスト層を除去することと、を含み、
好ましくは、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを採用して第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線の面に位置する第2サブ表面グリッド線を形成することと、を含み、前記第1サブ表面グリッド線の導電率が前記第2サブ表面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線の融点が前記第1サブ表面グリッド線の融点よりも小さい、ことを特徴とする、請求項7に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板層の一側に第1ドーピング半導体層を形成するステップをさらに含み、前記第1ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第1ドーピング半導体層は微結晶状態であり、
前記背面複合透明導電膜を形成した後、前記第1ドーピング半導体層は前記半導体基板層と前記背面複合透明導電膜との間に位置し、
好ましくは、前記第1ドーピング半導体層を形成するプロセスはプラズマ化学気相成長プロセスを含み、プラズマ化学気相成長プロセスのパラメータとして、採用されたガスはH、SiH、及びBを含み、HとSiHの流量比は200:1.8~200:2.3であり、BとSiHの流量比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.3Pa~0.5Paであり、RF電力密度が0.25mW/cm~0.4mW/cmである、ことを特徴とする、請求項7に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、具体的には、ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法に関する。
【0002】
本願は、2021年6月30日に中国特許庁に提出された、出願番号が202110735832.8で、発明の名称が「ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用の方式により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
太陽電池はクリーンエネルギー電池であり、太陽電池は生活及び生産に広く使用されている。太陽電池、特にヘテロ接合太陽電池の電極とアモルファスシリコン層との間に一層の透明導電膜(TCO)を加えてキャリアの収集を効果的に増加させ、太陽電池の変換効率を向上させることができる。
【0004】
透明導電膜は表面透明導電膜及び背面透明導電膜を含む。現在、透明導電膜の設置はヘテロ接合太陽電池の光電変換効率及び封止性能が悪くなるという問題を引き起こす。ヘテロ接合太陽電池、背面透明導電膜の総合性能の最適化は当業者が研究している課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術におけるヘテロ接合太陽電池の光電変換効率及び封止性能が悪いという問題を克服することにより、ヘテロ接合太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、半導体基板層と、前記半導体基板層の一側に位置する背面複合透明導電膜と、を含み、前記背面複合透明導電膜は、第1背面透明導電膜と、前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2背面透明導電膜と、を含み、前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さいヘテロ接合太陽電池を提供する。
【0007】
任意選択的に、前記III族重原子はガリウム原子を含み、前記第1背面透明導電膜の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含み、前記第2背面透明導電膜の材料は、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含む。
【0008】
任意選択的に、前記第2背面透明導電膜におけるガリウムの質量パーセント濃度と前記第1背面透明導電膜におけるガリウムの質量パーセント濃度との比は1:2~1:4である。
【0009】
任意選択的に、前記第1背面透明導電膜におけるガリウムの濃度が1.5質量%~2質量%であり、前記第2背面透明導電膜におけるガリウムの濃度が0.5質量%~1質量%である。
【0010】
任意選択的に、前記第2背面透明導電膜の厚さと前記第1背面透明導電膜の厚さとの比は1:4~1:3である。
【0011】
任意選択的に、前記第2背面透明導電膜の厚さが10nm~20nmであり、前記第1背面透明導電膜の厚さが50nm~60nmである。
【0012】
任意選択的に、前記ヘテロ接合太陽電池は、前記第2背面透明導電膜の前記第1背面透明導電膜とは反対側の面に位置する有機封止層をさらに含む。
【0013】
任意選択的に、前記背面複合透明導電膜は、第3背面透明導電膜をさらに含み、前記第3背面透明導電膜の仕事関数が前記第1背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、かつ、前記第2背面透明導電膜の仕事関数よりも大きい。
【0014】
任意選択的に、前記第3背面透明導電膜の移動度が前記第1背面透明導電膜の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0015】
任意選択的に、前記第3背面透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含む。
【0016】
任意選択的に、前記タングステンがドーピングされた酸化インジウムにおけるタングステンの濃度が0.1質量%~0.3質量%である。
【0017】
任意選択的に、前記第3背面透明導電膜の厚さと第1背面透明導電膜の厚さとの比は1:5~1:6である。
【0018】
任意選択的に、前記背面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に位置する背面グリッド線をさらに含み、前記背面グリッド線は、第1サブ背面グリッド線と、第1サブ背面グリッド線の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ背面グリッド線と、を含み、前記第1サブ背面グリッド線の導電率が前記第2サブ背面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線の融点が前記第1サブ背面グリッド線の融点よりも小さい。
【0019】
任意選択的に、前記第1サブ背面グリッド線の材料は銅を含み、前記第2サブ背面グリッド線の材料はスズを含む。
【0020】
任意選択的に、前記第1サブ背面グリッド線の厚さと前記第2サブ背面グリッド線の厚さとの関係は5:1~9:1である。
【0021】
任意選択的に、前記背面グリッド線のアスペクト比は0.8:2~1:2であり、前記背面グリッド線の幅が9μm~11μmであり、前記背面グリッド線の高さが4μm~6μmである。
【0022】
任意選択的に、前記半導体基板層と前記背面複合透明導電膜との間に位置する第1ドーピング半導体層をさらに含み、前記第1ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第1ドーピング半導体層は微結晶状態である。
【0023】
任意選択的に、前記第1ドーピング半導体層におけるドーピングイオンの濃度が2E19atom/cm~8E19atom/cmである。
【0024】
任意選択的に、前記半導体基板層の前記背面複合透明導電膜とは反対側に位置する表面複合透明導電膜をさらに含み、前記表面複合透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含む。
【0025】
任意選択的に、前記半導体基板層と前記表面複合透明導電膜との間に位置する第2ドーピング半導体層をさらに含み、前記第2ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第2ドーピング半導体層は微結晶状態である。
【0026】
任意選択的に、前記ヘテロ接合太陽電池は、前記表面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に位置する表面グリッド線をさらに含み、前記表面グリッド線は、第1サブ表面グリッド線と、第1サブ表面グリッド線の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ表面グリッド線を含み、前記第1サブ表面グリッド線の導電率が前記第2サブ表面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線の融点が前記第1サブ表面グリッド線の融点よりも小さい。
【0027】
任意選択的に、前記第1サブ表面グリッド線の材料は銅を含み、前記第2サブ表面グリッド線の材料はスズを含む。
【0028】
任意選択的に、前記第1サブ表面グリッド線の厚さと前記第2サブ表面グリッド線の厚さとの関係は5:1~9:1である。
【0029】
任意選択的に、前記表面グリッド線のアスペクト比は0.8:2~1:2であり、前記表面グリッド線の幅が4μm~6μmであり、前記表面グリッド線の高さが2.5μm~3.5μmである。
【0030】
本願は、半導体基板層を提供するステップと、前記半導体基板層の一側に背面複合透明導電膜を形成するステップと、を含み、前記背面複合透明導電膜を形成するステップは、前記半導体基板層の一側に第1背面透明導電膜を形成することと、前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側の面に第2背面透明導電膜を形成することと、を含み、前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さいヘテロ接合太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0031】
任意選択的に、前記背面複合透明導電膜を形成するステップは、前記第1背面透明導電膜を形成する前に、前記半導体基板層の一側に第3背面透明導電膜を形成することをさらに含み、前記第1背面透明導電膜を形成した後、前記第3背面透明導電膜は前記第1背面透明導電膜と前記半導体基板層との間に位置し、前記第3背面透明導電膜の仕事関数が第1背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、かつ、第2背面透明導電膜の仕事関数よりも大きい。
【0032】
任意選択的に、前記第3背面透明導電膜の移動度が前記第1背面透明導電膜の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0033】
任意選択的に、前記方法は、前記背面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に背面グリッド線を形成するステップをさらに含み、前記背面グリッド線を形成するステップは、前記背面複合透明導電膜の面に、第1グリッド線用開口部を有するパターン化された第1フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成した後、前記第1フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0034】
任意選択的に、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線を形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線の面に位置する第2サブ背面グリッド線を形成することと、を含み、前記第1サブ背面グリッド線の導電率が前記第2サブ背面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線の融点が前記第1サブ背面グリッド線の融点よりも小さい。
【0035】
任意選択的に、前記ヘテロ接合太陽電池の製造方法は、前記半導体基板層の他側に表面複合透明導電膜を形成するステップであって、前記表面複合透明導電膜の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含むステップをさらに含む。
【0036】
任意選択的に、前記ヘテロ接合太陽電池の製造方法は、前記表面複合透明導電膜の前記半導体基板層とは反対側に表面グリッド線を形成するステップをさらに含み、前記表面グリッド線を形成するステップは、前記表面複合透明導電膜の面に、第2グリッド線用開口部を有するパターン化された第2フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成した後、前記第2フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0037】
任意選択的に、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線を形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線を形成することと、蒸着プロセスを採用して第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線の面に位置する第2サブ表面グリッド線を形成することと、を含み、前記第1サブ表面グリッド線の導電率が前記第2サブ表面グリッド線の導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線の融点が前記第1サブ表面グリッド線の融点よりも小さい。
【0038】
任意選択的に、前記方法は、前記半導体基板層の一側に第1ドーピング半導体層を形成するステップをさらに含み、前記第1ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は、前記第1ドーピング半導体層は微結晶状態であり、前記背面複合透明導電膜を形成した後、前記第1ドーピング半導体層は前記半導体基板層と前記背面複合透明導電膜との間に位置する。
【0039】
任意選択的に、前記第1ドーピング半導体層を形成するプロセスはプラズマ化学気相成長プロセスを含み、プラズマ化学気相成長プロセスのパラメータとして、採用されたガスはH、SiHとBを含み、HとSiHの流量比は200:1.8~200:2.3であり、BとSiHの流量比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.3Pa~0.5Paであり、RF電力密度が0.25mW/cm~0.4mW/cmである。
【発明の効果】
【0040】
本願の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する。
1.本願に係るヘテロ接合太陽電池は背面複合透明導電膜を含み、前記背面複合透明導電膜は、第1背面透明導電膜と、前記第1背面透明導電膜の前記半導体基板層側とは反対側の面に位置する第2背面透明導電膜とを含み、前記第1背面透明導電膜と前記第2背面透明導電膜との両方にはIII族重原子がドーピングされている。III族重原子の原子量が大きいため、III族重原子がドーピングされた第1背面透明導電膜の密度が大きくなり、III族重原子がドーピングされた第2背面透明導電膜の密度が大きくなり、第1背面透明導電膜及び第2背面透明導電膜の硬度がいずれも大きくなるため、第2背面透明導電膜と有機封止層との間の界面にあるガリウム原子は有機封止層のより多くのC-H結合に被覆され、すなわち、界面にあるガリウム原子はより多くのC-H結合に結合することができ、さらに、第2背面透明導電膜と有機封止層との間の結合力が大きくなる。また、前記第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が小さく、このようにして、第2背面透明導電膜の面欠陥準位密度が低下し、第2背面透明導電膜と有機封止層との間の結合力が増強される。そして、第1背面透明導電膜及び第2背面透明導電膜の硬度が大きくなり、第1背面透明導電膜及び第2背面透明導電膜の結合力も大きくなる。以上のように、背面複合透明導電膜と有機封止層との間の結合力が増強され、ヘテロ接合太陽電池の封止性能が向上する。
【0041】
第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度が大きいため、第1背面透明導電膜における自由キャリア濃度が大きくなり、第1背面透明導電膜の導電能力が第2背面透明導電膜の導電能力より優れ、それにより背面複合透明導電膜の導電能力がよくなり、背面複合透明導電膜のキャリア収集能力がよくなり、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である。
【0042】
2.さらに、前記III族重原子はガリウム原子を含み、前記第1背面透明導電膜の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含み、前記第2背面透明導電膜の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含む。ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛は、価格が低いという利点を有し、ヘテロ接合太陽電池のコストを低減させるだけでなく、移動度が大きいという利点を有し、第1背面透明導電膜及び第2背面透明導電膜の導電能力を向上させることができる。
【0043】
3.さらに、前記背面複合透明導電膜は第3背面透明導電膜をさらに含み、前記第3背面透明導電膜の仕事関数が第1背面透明導電膜の仕事関数よりも大きく、かつ第2背面透明導電膜の仕事関数よりも大きい。第3背面透明導電膜の仕事関数が大きいため、第3背面透明導電膜と第1ドーピング半導体層との間のバンドギャップ不整合を低減し、すなわち、背面複合透明導電膜と第1ドーピング半導体層との間のバンドギャップ不整合を低減することにより、第1ドーピング半導体層に対する背面複合透明導電膜の価電子帯曲げ量が小さくなり、正孔がトンネルを通り抜けて第1ドーピング半導体層から背面複合透明導電膜に到達することに有利である。
【0044】
さらに、第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が低くなるに従って第3背面透明導電膜のフェルミ準位が上がり、それに対応し、第3背面透明導電膜の仕事関数が小さくなる。本願において第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、このようにして、第3背面透明導電膜の仕事関数が大きくなる。第3背面透明導電膜の移動度が第1背面透明導電膜の移動度よりも大きく、かつ第2背面透明導電膜の移動度よりも大きいが、第3背面透明導電膜の移動度の方が大きいので、第3背面透明導電膜におけるドーピングイオンの濃度が小さくても、第3背面透明導電膜の導電率が小さすぎず、すなわち、第3背面透明導電膜は依然として良好な導電性を維持することができ、第3背面透明導電膜と第1ドーピング半導体層との接触抵抗が低い。
【0045】
4.さらに、第1ドーピング半導体層はナノ結晶状態であり、又は第1ドーピング半導体層は微結晶状態であり、また、第1ドーピング半導体層におけるドーピングイオンの濃度が高く、このようにして、第1ドーピング半導体層の導電率が向上し、第1ドーピング半導体層は高いドーピング濃度を有して電界の不働態化が向上し、すなわち、第1ドーピング半導体層と第1真性半導体層との間の電界強度が大きくなり、光生成電子が第1ドーピング半導体層と第1真性半導体層との間の界面に拡散することがよりよく阻害され、光生成電子がより多くヘテロ接合太陽電池の表面に拡散し、光生成キャリアの再結合確率が低減される。同時に、第1ドーピング半導体層のバルク抵抗が低減されることにより、第1ドーピング半導体層と背面複合透明導電膜との接触抵抗が低減され、ヘテロ接合太陽電池の直列抵抗が改善され、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率が向上する。
【0046】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の記述のために使用した図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記述した図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は本願の一実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
図2図2は本願の一実施例に係るヘテロ接合太陽電池の形成過程のフローチャートである。
図3図3は本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造過程の構造概略図である。
図4図4は本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造過程の構造概略図である。
図5図5は本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造過程の構造概略図である。
図6図6は本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造過程の構造概略図である。
図7図7は本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造過程の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0049】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などで指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、単に本願の説明を容易にしたり簡略化したりするためのものであり、係る装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示しないため、本願を限定するものではないと理解すべきである。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は単に説明の目的に使用されるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示しないと理解すべきである。
【0050】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体的接続であってもよく、機械的接続、又は電気的接続であってもよく、直接連結、又は中間媒体を介する間接的連結であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよく、無線接続であってもよく、有線接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0051】
また、以下説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴について、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0052】
本願の一実施例は、ヘテロ接合太陽電池を提供し、図1を参照し、該ヘテロ接合太陽電池は、
半導体基板層100と、
前記半導体基板層100の一側に位置する背面複合透明導電膜130bと、を含み、
前記背面複合透明導電膜130bは、第1背面透明導電膜131と、前記第1背面透明導電膜131の前記半導体基板層100とは反対側の面に位置する第2背面透明導電膜132と、を含み、前記第1背面透明導電膜131と前記第2背面透明導電膜132の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0053】
本実施例では、前記半導体基板層100の導電型はN型である。なお、他の実施例では、前記半導体基板層の導電型はP型であってもよい。
【0054】
前記半導体基板層100の材料は、単結晶シリコンを含む。
【0055】
前記第1背面透明導電膜131と前記第2背面透明導電膜132の両方にはIII族重原子がドーピングされている。III族重原子の原子量が大きいため、III族重原子がドーピングされた第1背面透明導電膜131の密度が大きくなり、III族重原子がドーピングされた第2背面透明導電膜132の密度が大きくなり、第1背面透明導電膜131及び第2背面透明導電膜132の硬度がいずれも大きくなるため、第2背面透明導電膜132と有機封止層との界面にあるガリウム原子(Ga)は有機封止層のより多くのC-H結合で被覆され、すなわち、界面にあるガリウム原子はより多くのC-H結合に結合することができる。さらに、第2背面透明導電膜132と有機封止層との間の結合力が大きくなる。また、前記第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度が小さく、このようにして、第2背面透明導電膜132の表面欠陥準位密度が低下し、第2背面透明導電膜132と有機封止層との間の結合力が増強される。そして、第1背面透明導電膜131及び第2背面透明導電膜132の硬度がいずれも大きくなるため、第1背面透明導電膜131と第2背面透明導電膜132との結合力も大きくなる。以上のように、背面複合透明導電膜130bと有機封止層との間の結合力が増強され、ヘテロ接合太陽電池の封止性能が向上する。
【0056】
また、第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度が大きいため、第1背面透明導電膜131における自由キャリア濃度が大きくなり、第1背面透明導電膜131の導電能力が第2背面透明導電膜132の導電能力より優れ、それにより背面複合透明導電膜130bの導電能力がよくなり、背面複合透明導電膜130bのキャリア収集能力がよくなり、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である。
【0057】
本実施例では、前記III族重原子はガリウム原子を含む。本実施例では、III族重原子はアルミニウム原子を含まない。前記III族重原子の原子量がガリウム原子の原子量以上である。
【0058】
一実施例では、第1背面透明導電膜131の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含み、前記第2背面透明導電膜132の材料はガリウムがドーピングされた酸化亜鉛を含む。
【0059】
第1背面透明導電膜131及び第2背面透明導電膜132に酸化亜鉛系の材料が採用される場合、酸化亜鉛系の材料は非常に安価であり、ヘテロ接合太陽電池のコストを著しく低減することができる。
【0060】
なお、アルミニウム(Al)がドーピングされた酸化亜鉛の価格が低いが、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛の移動度が低いため、太陽電池の光電変換効率が低下し、かつ、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛におけるアルミニウムの原子量が小さく、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛の硬度が小さいため、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛と有機封止層との間の結合力が小さく、太陽電池の封止性能要件が満たされ得ない。
【0061】
本実施例では、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛と有機封止層との間の結合力が大きい。また、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛の移動度が、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛の移動度よりも大きい。ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛は、価格が低いという利点を有し、ヘテロ接合太陽電池のコストを低減させるだけでなく、移動度が大きいという利点を有する。
【0062】
一実施例では、前記第2背面透明導電膜132におけるガリウムの質量パーセント濃度と前記第1背面透明導電膜131におけるガリウムの質量パーセント濃度との比は1:2~1:4である。利点は以下のとおりであり、第1背面透明導電膜131は高濃度ドーピングされたものであり、第1背面透明導電膜131の導電率が高く、第2背面透明導電膜132は中濃度ドーピングされたものであり、有機封止層との密着性を良好にすることに用いられる。上記比の範囲であれば、背面複合透明導電膜130b全体の導電性が良好になり、有機封止層との密着性が良好になる。
【0063】
特定の一実施例では、前記第1背面透明導電膜131におけるガリウムの濃度が1.5質量%~2質量%であり、前記第2背面透明導電膜132におけるガリウムの濃度が0.5質量%~1質量%である。
【0064】
一実施例では、前記第2背面透明導電膜132の厚さと前記第1背面透明導電膜131の厚さとの比は1:4~1:3である。このような比の範囲の利点は以下のとおりである。第1背面透明導電膜131の厚さを厚くすることにより、第1背面透明導電膜131の抵抗が低減され、第1背面透明導電膜131は背面複合透明導電膜130bの主な導電層とされ、第2背面透明導電膜132の厚さを薄くすることにより、高濃度ドーピングされた第1背面透明導電膜131の厚さの割合に対する中濃度ドーピングされた第2背面透明導電膜132の厚さの割合が小さくなり、それにより背面複合透明導電膜130bの導電能力が向上する。
【0065】
特定の一実施例では、前記第2背面透明導電膜132の厚さが10nm~20nmであり、前記第1背面透明導電膜131の厚さが50nm~60nmである。前記ヘテロ接合太陽電池は、前記第2背面透明導電膜132の前記第1背面透明導電膜131とは反対側の面に位置する有機封止層(図示せず)をさらに含む。前記有機封止層の材料は、ポリエチレン-オレフィン共重合体(POE)、発泡性ポリエチレン(EPE)又は熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)を含む。
【0066】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記半導体基板層100と前記背面複合透明導電膜130bとの間に位置する第1ドーピング半導体層120bをさらに含む。
【0067】
前記背面複合透明導電膜130bは、第3背面透明導電膜133をさらに含み、前記第3背面透明導電膜133の仕事関数が、第1背面透明導電膜131の仕事関数よりも大きく、かつ、第2背面透明導電膜132の仕事関数よりも大きい。第3背面透明導電膜133の仕事関数が大きいため、第3背面透明導電膜133と第1ドーピング半導体層120bとの間のバンドギャップ不整合を低減し、すなわち、背面複合透明導電膜130bと第1ドーピング半導体層120bとの間のバンドギャップ不整合を低減することにより、第1ドーピング半導体層120bに対する背面複合透明導電膜130bの価電子帯曲げ量が小さくなり、正孔がトンネルを通り抜けて第1ドーピング半導体層120bから背面複合透明導電膜130bに到達することに有利である。
【0068】
さらに、前記第3背面透明導電膜133の移動度が、前記第1背面透明導電膜131の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜132の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜133におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0069】
第3背面透明導電膜133におけるドーピングイオンの濃度が低くなるに従って第3背面透明導電膜133のフェルミ準位が上がり、それに対応し、第3背面透明導電膜133の仕事関数が小さくなる。本願の実施例では、採用される第3背面透明導電膜133におけるドーピングイオンの濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度よりも小さく、このようにして、第3背面透明導電膜133の仕事関数が大きくなる。また、第3背面透明導電膜133の移動度が、第1背面透明導電膜131の移動度よりも大きく、かつ第2背面透明導電膜132の移動度よりも大きいが、第3背面透明導電膜133の移動度の方が大きいので、第3背面透明導電膜133におけるドーピングイオンの濃度が小さくても、第3背面透明導電膜133の導電率が小さすぎず、すなわち、第3背面透明導電膜133は依然として良好な導電性を維持することができ、第3背面透明導電膜133と第1ドーピング半導体層120bとの接触抵抗が低い。一実施例では、前記第3背面透明導電膜133の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含む。タングステンがドーピングされた酸化インジウムの移動度が酸化インジウムスズの移動度よりも大きく、タングステンがドーピングされた酸化インジウムの仕事関数が酸化インジウムスズの仕事関数よりも大きい。
【0070】
一実施例では、前記第3背面透明導電膜133の移動度が70μS/cm~90μS/cmであり、例えば80μS/cmである。
【0071】
特定の一実施例では、前記第3背面透明導電膜133の材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムである場合、タングステンがドーピングされた酸化インジウムにおける酸化タングステンの濃度が0.1質量%~0.3質量%である。
【0072】
一実施例では、前記第3背面透明導電膜133の厚さと第1背面透明導電膜131の厚さとの比は1:5~1:6である。利点は以下のとおりである。第3背面透明導電膜133の導電率が第1背面透明導電膜131の導電率よりも小さいため、背面複合透明導電膜130b全体として良好な導電性を確保するためには、第3背面透明導電膜133の厚さをできるだけ薄くする必要がある。また、第3背面透明導電膜133の厚さが薄く、PN接合のビルトイン電界を維持し、高い開放電圧を維持するのに有利である。
【0073】
特定の一実施例では、前記第3背面透明導電膜133の厚さが5nmm~12nmであり、例えば10nmmである。
【0074】
なお、本実施例では、第1背面透明導電膜131におけるドーピング濃度が、第2背面透明導電膜132におけるドーピング濃度よりも大きいため、第1背面透明導電膜131の導電率が第2背面透明導電膜132の導電率よりも大きい。第3背面透明導電膜133の導電率が、第1背面透明導電膜131の導電率よりも小さく、かつ第2背面透明導電膜132の導電率よりも大きい。
【0075】
なお、第1背面透明導電膜131におけるドーピング濃度が第2背面透明導電膜132におけるドーピング濃度よりも大きく、かつ第1背面透明導電膜131の材料と第2背面透明導電膜132の材料とは同じであるため、第2背面透明導電膜132の移動度が、第1背面透明導電膜131の移動度よりも大きい。特定の一実施例では、第2背面透明導電膜132の移動度が35μS/cm~38μS/cmであり、第1背面透明導電膜131の移動度が33μS/cm~35μS/cmである。
【0076】
なお、タングステンがドーピングされた酸化インジウムの仕事関数が、酸化インジウムスズ(ITO)の仕事関数よりも大きい。
【0077】
なお、他の実施例では、前記背面複合透明導電膜130bは第1背面透明導電膜131と第2背面透明導電膜132との両方のみを含むが、第3背面透明導電膜133を含まない。
【0078】
前記背面複合透明導電膜130bの厚さが70nm~80nmであり、背面複合透明導電膜130bのシート抵抗が30Ω/square~60Ω/squareであり、前記背面複合透明導電膜130bの透過率が82%よりも大きく、波長が350nm~1100nmの光に対する前記背面複合透明導電膜130bの透過率は82%よりも大きい。
【0079】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記背面複合透明導電膜130bの前記半導体基板層100とは反対側に位置する背面グリッド線140bをさらに含む。
【0080】
前記背面グリッド線140bは、第1サブ背面グリッド線141bと、第1サブ背面グリッド線141bの前記半導体基板層100とは反対側の面に位置する第2サブ背面グリッド線142bと、を含み、前記第1サブ背面グリッド線141bの導電率が前記第2サブ背面グリッド線142bの導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線142bの融点が前記第1サブ背面グリッド線141bの融点よりも小さい。
【0081】
特定の一実施例では、前記第1サブ背面グリッド線141bの材料は銅を含み、前記第2サブ背面グリッド線142bの材料はスズをむ。銅を前記第1サブ背面グリッド線141bの材料とすることで、第1サブ背面グリッド線141bは良好な導電率を有するとともに価格が低い。第2サブ背面グリッド線142bの材料はスズであり、スズの融点が低く、それにより第2サブ背面グリッド線142bと半田リボンとの間の結合力を高め、第2サブ背面グリッド線142bと半田リボンとの間の溶接効果を保証する。以上のように、背面グリッド線140bは、低コストという利点と良好な溶接効果を両立させることができる。
【0082】
一実施例では、前記第1サブ背面グリッド線141bの厚さと前記第2サブ背面グリッド線142bの厚さとの関係は5:1~9:1である。特定の一実施例では、第1サブ背面グリッド線141bの厚さが4μm~4.5μmであり、第2サブ背面グリッド線142bの厚さが0.5μm~1μmである。背面グリッド線140bの総厚は4μm~6μm、例えば5μmである。
【0083】
一実施例では、前記背面グリッド線140bのアスペクト比は0.8:2~1:2である。前記背面グリッド線の幅が9μm~11μmであり、前記背面グリッド線の高さが4μm~6μmである。
【0084】
本実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bはナノ結晶状態であり、又は前記第1ドーピング半導体層120bは微結晶状態であり、また、第1ドーピング半導体層120bにおけるドーピングイオンの濃度が高く、このようにして、第1ドーピング半導体層120bの導電率が向上し、第1ドーピング半導体層120bは高いドーピング濃度を有して電界の不働態化が向上し、すなわち、第1ドーピング半導体層120bと第1真性半導体層110bとの間の電界強度が大きくなり、光生成電子が第1ドーピング半導体層120bと第1真性半導体層110bとの間の界面に拡散することがよりよく阻害され、光生成電子がより多くヘテロ接合太陽電池の表面に拡散し、光生成キャリアの再結合確率が低減される。また、第1ドーピング半導体層120bのバルク抵抗が低減されることにより、第1ドーピング半導体層120bと背面複合透明導電膜130bとの接触抵抗が低減され、ヘテロ接合太陽電池の直列抵抗が改善され、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率が向上する。第1ドーピング半導体層120bにおける結晶粒径は、1nm~10nmである。
【0085】
本実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bの材料はナノ結晶シリコンであり、又は前記第1ドーピング半導体層120bの材料は微結晶シリコンである。
【0086】
一実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bにおけるドーピングイオンの濃度が2E19atom/cm~8E19atom/cmである。第1ドーピング半導体層120bの導電型がP型である場合、第1ドーピング半導体層120bにおけるドーピングイオンは、P型イオン、例えば、ホウ素イオンである。
【0087】
第1ドーピング半導体層120bの結晶化率は20%~80%である。
【0088】
特定の一実施例では、第1ドーピング半導体層120bの厚さが7nm~14nmである。
【0089】
特定の一実施例では、第1ドーピング半導体層120bの導電率が2×10-1S/cm~8×10-1S/cmである。
【0090】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記半導体基板層100の前記背面複合透明導電膜130bとは反対側に位置する表面複合透明導電膜130aをさらに含み、前記表面複合透明導電膜130aの材料は、タングステンがドーピングされた酸化インジウムを含む。
【0091】
本実施例では、前記表面複合透明導電膜130aは単層構造であり、前記表面複合透明導電膜130aの材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムであり、タングステンがドーピングされた酸化インジウムの移動度が酸化インジウムスズの移動度よりも大きく、そのため、表面複合透明導電膜130aの抵抗を一定に維持する場合、表面複合透明導電膜130aにおけるドーピング濃度を低減することができ、より低いドーピング濃度により自由キャリアに対する複合が低減され、また、より低いドーピング濃度により表面複合透明導電膜130aの透過率が向上し、具体的には、700nm~1100nmの光に対する透過率が増加し、ヘテロ接合太陽電池が吸収する太陽光はより多くなり、ヘテロ接合太陽電池の短絡電流が向上し、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率が向上する。
【0092】
特定の一実施例では、表面複合透明導電膜130aの厚さが70nm~80nmであり、表面複合透明導電膜130aのシート抵抗が60Ω/square~100Ω/squareであり、表面複合透明導電膜130aの透過率が85%よりも大きく、具体的には、波長が350nm~1100nmの光に対する表面複合透明導電膜130aの透過率が85%よりも大きい。
【0093】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記表面複合透明導電膜130aと前記半導体基板層100との間に位置する第2ドーピング半導体層120aをさらに含む。前記第2ドーピング半導体層120aの導電型が前記第1ドーピング半導体層120bの導電型と逆である。本実施例では、前記第2ドーピング半導体層120aの導電型がN型であることを例とする。
【0094】
前記第2ドーピング半導体層120aはナノ結晶状態であり、又は、前記第2ドーピング半導体層120aは微結晶状態である。
【0095】
前記第2ドーピング半導体層120aはナノ結晶状態であり、又は前記第2ドーピング半導体層120aは微結晶状態であり、また、第2ドーピング半導体層120aにおけるドーピングイオンの濃度が高く、このようにして、第2ドーピング半導体層120aの導電率が向上し、第2ドーピング半導体層120aは高いドーピング濃度を有して電界の不働態化が向上し、すなわち、第2ドーピング半導体層120aと第2真性半導体層110aとの間の電界強度が大きくなり、光生成正孔が第2ドーピング半導体層120aと第2真性半導体層110aとの間の界面に拡散することがよりよく阻害され、光生成正孔がより多くヘテロ接合太陽電池の表面に拡散し、光生成キャリアの再結合確率が低減される。また、第2ドーピング半導体層120aのバルク抵抗が低減されることにより、第2ドーピング半導体層120aと表面複合透明導電膜130aとの接触抵抗が低減され、ヘテロ接合太陽電池の直列抵抗が改善され、ヘテロ接合太陽電池の光電変換効率が向上する。第2ドーピング半導体層120aの結晶粒径は1nm~10nmである。
【0096】
前記第2ドーピング半導体層120aにおけるドーピングイオンの濃度が2E19atom/cm~8E19atom/cmである。
【0097】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記表面複合透明導電膜130aの前記半導体基板層100とは反対側に位置する表面グリッド線140aをさらに含み、前記表面グリッド線140aは、第1サブ表面グリッド線141aと、第1サブ表面グリッド線141aの前記半導体基板層100とは反対側の面に位置する第2サブ表面グリッド線142aと、を含み、前記第1サブ表面グリッド線141aの導電率が前記第2サブ表面グリッド線142aの導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線142aの融点が前記第1サブ表面グリッド線141aの融点よりも小さい。
【0098】
一実施例では、前記第1サブ表面グリッド線141aの材料は銅を含み、前記第2サブ表面グリッド線142aの材料はスズを含む。銅を第1サブ表面グリッド線141aの材料とすることで、第1サブ表面グリッド線141aは良好な導電率を有するとともに価格が低い。第2サブ表面グリッド線142aの材料はスズであり、スズの融点が低く、第2サブ表面グリッド線142aと半田リボンとの間の結合力を高め、第2サブ表面グリッド線142aと半田リボンとの間の溶接効果を保証する。以上のように、表面グリッド線140aはコストが低いという利点と良好な溶接効果を両立させる。
【0099】
一実施例では、前記第1サブ表面グリッド線141aの厚さと前記第2サブ表面グリッド線142aの厚さとの関係は5:1~9:1である。特定の一実施例では、第1サブ表面グリッド線141aの厚さが2μm~2.5μmであり、第2サブ表面グリッド線142aの厚さが0.5μm~1μmである。表面グリッド線140aの総厚は2.5μm~3.5μmであり、例えば3μmである。前記表面グリッド線の幅が4μm~6μmであり、前記背面グリッド線の高さが2.5μm~3.5μmである。
【0100】
なお、本実施例では、表面グリッド線140aの透過率を向上させることを目的として、第1サブ表面グリッド線141aの厚さを第1サブ背面グリッド線141bの厚さよりも小さくし、それによりヘテロ接合太陽電池パネルの表面に照射される太陽光がより多くなる。
【0101】
一実施例では、前記表面グリッド線140aのアスペクト比は0.8:2~1:2である。
【0102】
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記第1ドーピング半導体層120bと前記半導体基板層100との間に位置する第1真性半導体層110bと、前記第2ドーピング半導体層120aと前記半導体基板層100との間に位置する第2真性半導体層110aと、をさらに含む。
【0103】
それに対応して、本願の別の実施例は、ヘテロ接合太陽電池の製造方法をさらに提供し、図2を参照し、ステップS1~S2を含む。
S1、半導体基板層100を提供する。
S2、前記半導体基板層100の一側に背面複合透明導電膜130bを形成する。
【0104】
前記背面複合透明導電膜130bを形成するステップはS21~S22を含む。
S21、前記半導体基板層100の一側に第1背面透明導電膜131を形成する。
S22、前記第1背面透明導電膜131の前記半導体基板層100とは反対側の面に第2背面透明導電膜132を形成し、前記第1背面透明導電膜131と前記第2背面透明導電膜132の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0105】
前記背面複合透明導電膜130bを形成するステップは、前記第1背面透明導電膜131を形成する前に、前記半導体基板層100の一側に第3背面透明導電膜133を形成することをさらに含み、前記第1背面透明導電膜131を形成した後、前記第3背面透明導電膜133は前記第1背面透明導電膜131と前記半導体基板層100との間に位置する。なお、本実施例では、背面複合透明導電膜130bは第1背面透明導電膜131、第2背面透明導電膜132、及び第3背面透明導電膜133を含むことを例とし、他の実施例では、背面複合透明導電膜130bは第3背面透明導電膜133を含まなくてもよい。
【0106】
また、図3図7を参照しながら、ヘテロ接合太陽電池の製造方法について詳細に説明する。
【0107】
図3を参照して、半導体基板層100を提供する。
【0108】
図4を参照して、前記半導体基板層100の一側面に第1真性半導体層110bを形成し、前記半導体基板層100の他側面に第2真性半導体層110aを形成する。
【0109】
図5を参照し、前記第1真性半導体層110bの前記半導体基板層100とは反対側に第1ドーピング半導体層120bを形成し、前記第2真性半導体層110aの前記半導体基板層100とは反対側に第2ドーピング半導体層120aを形成する。
【0110】
特定の一実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bを形成するプロセスはプラズマ化学気相成長プロセスを含み、プラズマ化学気相成長プロセスのパラメータとして、採用されるガスはH、SiH、及びBを含み、HとSiHの流量比は200:1.8~200:2.3であり、BとSiHの流量比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.3Pa~0.5Paであり、RF電力密度が0.25mW/cm~0.4mW/cmである。
【0111】
前記第1ドーピング半導体層120bにおけるドーピングイオンの濃度が2E19atom/cm~8E19atom/cmである。
【0112】
本実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bはナノ結晶状態であり、又は、前記第1ドーピング半導体層120bは微結晶状態であり、また、第1ドーピング半導体層120bにおけるドーピングイオンの濃度が高い。
【0113】
特定の一実施例では、前記第1ドーピング半導体層120bの材料はナノ結晶シリコンであり、又は前記第1ドーピング半導体層120bの材料は微結晶シリコンである。
【0114】
本実施例では、第2ドーピング半導体層120aはナノ結晶状態であり、又は、前記第2ドーピング半導体層120aは微結晶状態であり、また、第2ドーピング半導体層120aにおけるドーピングイオンの濃度が高い。特定の一実施例では、前記第2ドーピング半導体層120aの材料はナノ結晶シリコンであり、又は前記第2ドーピング半導体層120aの材料は微結晶シリコンである。
【0115】
前記第2ドーピング半導体層120aの形成プロセスはプラズマ化学気相成長プロセスを含む。
【0116】
図6を参照し、前記第1ドーピング半導体層120bの前記半導体基板層100とは反対側に背面複合透明導電膜130bを形成し、前記第2ドーピング半導体層120aの前記半導体基板層100とは反対側に表面複合透明導電膜130aを形成する。
【0117】
前記背面複合透明導電膜130bを形成するステップは、前記第1ドーピング半導体層120bの前記半導体基板層100とは反対側に第3背面透明導電膜133を形成することと、前記第3背面透明導電膜133の前記半導体基板層100とは反対側の面に第1背面透明導電膜131を形成することと、前記第1背面透明導電膜131の前記半導体基板層100とは反対側の面に第2背面透明導電膜132を形成することと、を含み、前記第1背面透明導電膜131と前記第2背面透明導電膜132の両方にはIII族重原子がドーピングされており、前記第2背面透明導電膜132におけるIII族重原子の濃度が前記第1背面透明導電膜131におけるIII族重原子の濃度よりも小さい。
【0118】
前記第3背面透明導電膜133の移動度が前記第1背面透明導電膜131の移動度よりも大きく、かつ前記第2背面透明導電膜132の移動度よりも大きく、前記第3背面透明導電膜133の仕事関数が、第1背面透明導電膜131の仕事関数よりも大きく、かつ第2背面透明導電膜132の仕事関数よりも大きい。
【0119】
前記第1背面透明導電膜131を形成するプロセスは、プラズマ化学気相成長プロセスなどの成長プロセスを含み、第2背面透明導電膜132を形成するプロセスは、プラズマ化学気相成長プロセスなどの成長プロセスを含み、前記第3背面透明導電膜133を形成するプロセスは、プラズマ化学気相成長プロセスなどの成長プロセスを含む。
【0120】
前記表面複合透明導電膜130aを形成するプロセスは、プラズマ化学気相成長プロセスなどの成長プロセスを含む。
【0121】
前記表面複合透明導電膜130aの材料はタングステンがドーピングされた酸化インジウムを含む。
【0122】
図7を参照し、前記背面複合透明導電膜130bの前記半導体基板層100とは反対側に背面グリッド線140bを形成し、前記表面複合透明導電膜130aの前記半導体基板層100とは反対側に表面グリッド線140aを形成する。
【0123】
前記背面グリッド線140bを形成するステップは、前記背面複合透明導電膜130bの面に、第1グリッド線用開口部を有するパターン化された第1フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線140bを形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線140bを形成した後、前記第1フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0124】
前記第1フォトレジスト層を形成するステップは、第1フォトレジスト膜を塗布することと、第1フォトレジスト膜を塗布した後、第1フォトレジスト膜を硬化することと、第1フォトレジスト膜を硬化した後、第1フォトレジスト膜に対して露光を行うことと、第1フォトレジスト膜を露光した後、第1フォトレジスト膜を現像し、第1フォトレジスト層を形成することと、を含む。
【0125】
前記第1フォトレジスト層を除去するプロセスは離型プロセスを含む。
【0126】
蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に背面グリッド線140bを形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線141bを形成することと、前記第1サブ背面グリッド線141bを形成した後、蒸着プロセスを用いて第1グリッド線用開口部に第1サブ背面グリッド線141bの面に位置する第2サブ背面グリッド線142bを形成することと、を含み、前記第1サブ背面グリッド線141bの導電率が前記第2サブ背面グリッド線142bの導電率よりも大きく、前記第2サブ背面グリッド線142bの融点が前記第1サブ背面グリッド線141bの融点よりも小さい。
【0127】
前記表面グリッド線140aを形成するステップは、前記表面複合透明導電膜130aの面に、第2グリッド線用開口部を有するパターン化された第2フォトレジスト層を形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線140aを形成することと、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線140aを形成した後、前記第2フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0128】
前記第2フォトレジスト層を形成するステップは、第2フォトレジスト膜を塗布することと、第2フォトレジスト膜を塗布した後、第2フォトレジスト膜を硬化することと、第2フォトレジスト膜を硬化した後、第2フォトレジスト膜に対して露光を行うことと、第2フォトレジスト膜を露光した後、第2フォトレジスト膜を現像し、第2フォトレジスト層を形成することと、を含む。
【0129】
前記第2フォトレジスト層を除去するプロセスは離型プロセスを含む。
【0130】
蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に表面グリッド線140aを形成するステップは、蒸着プロセスを用いて前記第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線141aを形成することと、前記第1サブ表面グリッド線141aを形成した後、蒸着プロセスを用いて第2グリッド線用開口部に第1サブ表面グリッド線141aの面に位置する第2サブ表面グリッド線142aを形成することと、を含み、前記第1サブ表面グリッド線141aの導電率が前記第2サブ表面グリッド線142aの導電率よりも大きく、前記第2サブ表面グリッド線142aの融点が前記第1サブ表面グリッド線141aの融点よりも小さい。
【0131】
本実施例では、表面グリッド線140aを形成する過程において蒸着プロセスを採用するため、表面グリッド線140aと表面複合透明導電膜130aとの結合力がよくなり、表面グリッド線140aと表面複合透明導電膜130aとの接触抵抗がさらに低下する。
【0132】
本実施例では、背面グリッド線140bを形成する過程において蒸着プロセスを採用するため、背面グリッド線140bと背面複合透明導電膜130bとの結合力がよくなり、背面グリッド線140bと背面複合透明導電膜130bとの接触抵抗がさらに低下する。
【0133】
本実施例では、該ヘテロ接合太陽電池の製造方法の製造方法は、表面グリッド線140a及び背面グリッド線140bを硬化処理するステップと、表面グリッド線140a及び背面グリッド線140bを硬化処理した後、光注入アニール処理を行うステップと、をさらに含む。
【0134】
光注入アニール処理とは、アニール処理を行うとともに、前記表面グリッド線140a及び背面グリッド線140bに赤外光を照射し、表面グリッド線140a及び背面グリッド線140bに対する熱ショックを強化する。
【0135】
製造方法に関する各フィルム層のパラメータはいずれも前の実施例に対応する内容を参照し、詳述しない。
【0136】
明らかに、上記実施例は単に明確に本願の技術的要点を説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うこともできる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また全ての実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変動は依然として本発明が創造した特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0137】
100 半導体基板層
110b 第1真性半導体層
110a 第2真性半導体層
130b 背面複合透明導電膜
120b 第1ドーピング半導体層
120a 第2ドーピング半導体層
131 第1背面透明導電膜
132 第2背面透明導電膜
133 第3背面透明導電膜
130a 表面複合透明導電膜
140b 背面グリッド線
141b 第1サブ背面グリッド線
142b 第2サブ背面グリッド線
140a 表面グリッド線
141a 第1サブ表面グリッド線
142a 第2サブ表面グリッド線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】