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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】熱交換器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20240628BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20240628BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/00
F28F3/00 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581084
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2022102969
(87)【国際公開番号】W WO2023274375
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202111161532.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110738485.4
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524005958
【氏名又は名称】ヂェァジァン シュェブォラン テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG XUEBOLAN TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 3, Sanjian Avenue, Jiangnan Park, Lanxi Economic Development Zone, Jinhua, Zhejiang 321000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ワン カイジェン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103DD56
(57)【要約】
熱交換器及びその製造方法であって、熱交換器は、O-Z方向に積層された複数の作動流体チャンネル片を含み、前記作動流体チャンネル片は入口、出口、及び前記入口と前記出口の間に位置する熱交換領域を含み、前記熱交換領域にはプレス形成された複数のマイクロ構造が設けられ、隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされており、且つ隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の形状が互いに異なる。本発明では、隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされているが互いに形状が異なり、これにより各マイクロ構造はいずれも一部の領域が隣り合う作動流体チャンネル片の陥没キャビティに対応せず、陥没キャビティ周囲の領域と重なることで原子拡散接合を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
O-Z方向に積層された複数の作動流体チャンネル片を含み、前記作動流体チャンネル片は入口、出口、及び前記入口と前記出口の間に位置する熱交換領域を含み、前記熱交換領域にはプレス形成された複数のマイクロ構造が設けられ、隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされており、且つ隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の形状が互いに異なることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記作動流体チャンネル片は交互に積層された複数の第1作動流体チャンネル片、複数の第2作動流体チャンネル片を含み、前記マイクロ構造は前記第1作動流体チャンネル片上に設けられた第1マイクロ構造、第2作動流体チャンネル片上に設けられた第2マイクロ構造を含み、O-XY方向において、前記第1マイクロ構造の第1エッジ部の一部は前記第2マイクロ構造からはみ出ている及び/又は前記第2マイクロ構造の第2エッジ部の一部は前記第1マイクロ構造からはみ出ていることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1エッジ部と前記第2エッジ部のO-XY平面におけるO-Z方向に沿った投影が重ならないことを特徴とする、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1マイクロ構造の中心点のO-XY平面におけるO-Z方向に沿った投影を円の中心としたとき、前記第1エッジ部と前記第2エッジ部の投影は該円の円周方向に沿って間隔を置いて配置されることを特徴とする、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1マイクロ構造は、O-Y方向に沿って前記第2マイクロ構造からはみ出た少なくとも1つの第1エッジ部を含み、前記第2マイクロ構造は、O-X方向に沿って前記第1マイクロ構造からはみ出た少なくとも1つの第2エッジ部を含む、
又は、前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ>O-X方向に沿った長さ、前記第2マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ≦O-X方向に沿った長さ、且つ前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ>前記第2マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ、前記第1マイクロ構造のO-X方向に沿った長さ<前記第2マイクロ構造のO-X方向に沿った長さであることを特徴とする、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1マイクロ構造は楕円形又はひょうたん形を呈し、前記第2マイクロ構造はひし形、又は長手方向の両端が狭角である紡錘形、又は円形を呈することを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った両端がいずれも前記第2マイクロ構造からはみ出ており、前記第2マイクロ構造のO-X方向に沿った両端がいずれも前記第1マイクロ構造からはみ出ていることを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換領域は、乱流領域と、前記入口が位置する側から前記出口が位置する側に向かう方向に沿って前記乱流領域の両側に位置する遷移領域とを含み、前記乱流領域のマイクロ構造の配置密度は前記遷移領域のマイクロ構造の配置密度より大きく、且つ前記入口が位置する側から前記出口が位置する側に向かう方向において、前記乱流領域の幅は3mm以下である、又は、前記複数のマイクロ構造は複数の正弦線に沿って間隔を置いて配列され、複数の正弦線は前記入口が位置する側から前記出口が位置する側に向かって間隔を置いて配列され、且つ前記乱流領域内に位置する前記正弦線の数は3以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記遷移領域内のいずれかの正弦線上に分布するマイクロ構造の数は前記乱流領域内のいずれかの正弦線上のマイクロ構造の数より少ない、
及び/又は、前記遷移領域内の隣り合う2つの正弦線の間隔は前記乱流領域内の隣り合う2つの正弦線の間隔より大きいことを特徴とする、請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記作動流体チャンネル片は、O-Z方向に交互に積層された複数の第1作動流体チャンネル片、複数の第2作動流体チャンネル片を含み、前記第1作動流体チャンネル片は、第1入口、第1出口、及び前記第1入口と前記第1出口の間に位置する第1熱交換領域を含み、前記第1熱交換領域に複数の第1マイクロ構造が設けられ、前記第2作動流体チャンネル片は、第2入口、第2出口、及び前記第2入口と前記第2出口の間に位置する第2熱交換領域を含み、前記第2熱交換領域に複数の第2マイクロ構造が設けられ、
前記第1マイクロ構造の前記第1入口の方を向いた面と前記第2マイクロ構造の前記第2入口の方を向いた面の形状は互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1マイクロ構造の前記第1入口の方を向いた面は円弧形を呈し、前記第2マイクロ構造の前記第2入口の方を向いた面は尖った角形状を呈することを特徴とする、請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記熱交換器は、複数の前記第1入口に連通する第1流入キャビティと、前記第1流入キャビティに連通する第1流入管又は第1流入管コネクタとをさらに含み、前記第1流入管又は前記第1流入管コネクタの延在方向は前記第1入口及び前記第1熱交換領域の配列方向と交差し、
前記熱交換器は、複数の前記第2開口に連通する第2流入キャビティと、前記第2流入キャビティに連通する第2流入管又は第2流入管コネクタとをさらに含み、前記第2流入管又は前記第2流入管コネクタの延在方向は前記第2開口及び前記第2熱交換領域の配列方向と同じであることを特徴とする、請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
第1入口、第1出口、及び前記第1入口と前記第2入口の間に位置する第1熱交換領域を含む第1作動流体チャンネル片を形成するステップであって、前記第1熱交換領域がプレス形成された複数の第1マイクロ構造を有するステップと、
第2入口、第2出口、及び前記第2入口と前記第2出口の間に位置する第2熱交換領域を含む第2作動流体チャンネル片を形成するステップであって、前記第2熱交換領域がプレス形成された複数の第2マイクロ構造を有し、第1マイクロ構造と第2マイクロ構造の形状が互いに異なるステップと、
前記第1作動流体チャンネル片と前記第2作動流体チャンネル片をO-Z方向に交互に積層し、第1マイクロ構造と第2マイクロ構造の中心点をO-XY方向に沿って位置合わせし、複数の第1入口をO-XY方向に沿って位置合わせし、複数の第2入口をO-XY方向に沿って位置合わせし、且つ複数の第1入口、複数の第1出口、複数の第2入口、複数の第2出口をO-XY方向に沿ってずらして設けるステップと、
積層された前記第1作動流体チャンネル片と前記第2作動流体チャンネル片を原子拡散により接合するステップと、を含むことを特徴とする、熱交換器の製造方法。
【請求項14】
O-XY延在方向において、前記第1マイクロ構造の第1エッジ部の一部は前記第2マイクロ構造からはみ出ており、及び/又は前記第2マイクロ構造の第2エッジ部の一部は前記第1マイクロ構造からはみ出ていることを特徴とする、請求項13に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項15】
前記第1エッジ部と前記第2エッジ部のO-XY平面におけるO-Z方向に沿った投影が重ならない、
又は、前記第1マイクロ構造の中心点のO-XY平面におけるO-Z方向に沿った投影を円の中心としたとき、前記第1エッジ部と前記第2エッジ部の投影は該円の円周方向に沿ってずれて配置される、
又は、前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った少なくとも1つのエッジは前記第2マイクロ構造からはみ出し、前記第2マイクロ構造のO-X方向に沿った少なくとも1つのエッジは前記第1マイクロ構造からはみ出している、
又は、前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ>O-X方向に沿った長さ、前記第2マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ≦O-X方向に沿った長さ、且つ前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ>前記第2マイクロ構造のO-Y方向に沿った長さ、前記第1マイクロ構造のO-X方向に沿った長さ<前記第2マイクロ構造のO-X方向に沿った長さである、
又は、前記第1マイクロ構造は楕円形又はひょうたん形を呈し、前記第2マイクロ構造はひし形、又は長手方向の両端が狭角である紡錘形、又は円形を呈し、前記第1マイクロ構造のO-Y方向に沿った両端がいずれも前記第2マイクロ構造を超え、前記第2マイクロ構造のO-X方向に沿った両端がいずれも前記第1マイクロ構造からはみ出ていることを特徴とする、請求項13に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換の技術分野に関し、具体的には熱交換器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器(heat exchanger)は、2つ又は複数の流体間で熱を伝達するためのシステムであり、熱が高温から低温へ伝達する特性を基に、熱を高温の流体から低温の流体に伝達し、物体の加熱又は冷却を実現する。
【0003】
マイクロチャンネル熱交換器は、冷媒チャンネルが設けられた作動流体チャンネル片と、作動流体チャンネルが設けられた作動流体チャンネル片とを交互に積層することで形成される新規の熱交換器である。しかし、冷媒チャンネル、作動流体チャンネルはいずれも物理エッチング又は化学的エッチングによって形成され、材料消費が多く、製造コストが高く、生産効率が低く、また、環境に一定の汚染を引き起こし得る。
【0004】
これに鑑みて、新しい熱交換器及びその製造方法の提供が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱交換器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題の1つを解決するために、本発明は次の技術的解決手段を採用する。
【0007】
熱交換器であって、O-Z方向に積層された複数の作動流体チャンネル片を含み、前記作動流体チャンネル片は入口、出口、及び前記入口と前記出口の間に位置する熱交換領域を含み、前記熱交換領域にはプレス形成された複数のマイクロ構造が設けられ、隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされており、且つ隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の形状が互いに異なる。
【0008】
さらに、前記作動流体チャンネル片は交互に積層された複数の第1作動流体チャンネル片、複数の第2作動流体チャンネル片を含み、前記マイクロ構造は前記第1作動流体チャンネル片上に設けられた第1マイクロ構造、第2作動流体チャンネル片上に設けられた第2マイクロ構造を含み、O-XY方向において、前記第1マイクロ構造の第1エッジ部の一部は前記第2マイクロ構造からはみ出ている及び/又は前記第2マイクロ構造の第2エッジ部の一部は前記第1マイクロ構造からはみ出ている
【0009】
さらに、前記第1作動流体チャンネル片は第1入口、第1出口、及び前記第1入口と前記第1出口の間に位置する第1熱交換領域を含み、前記第1熱交換領域に複数の第1マイクロ構造が設けられ、前記第2作動流体チャンネル片は第2入口、第2出口、及び前記第2入口と前記第2出口の間に位置する第2熱交換領域を含み、前記第2熱交換領域に複数の第2マイクロ構造が設けられる。
【0010】
熱交換器の製造方法であって、第1入口、第1出口、及び前記第1入口と前記第2入口の間に位置する第1熱交換領域を含む第1作動流体チャンネル片を形成するステップであって、前記第1熱交換領域がプレス形成された複数の第1マイクロ構造を有するステップと、第2入口、第2出口、及び前記第2入口と前記第2出口の間に位置する第2熱交換領域を含む第2作動流体チャンネル片を形成するステップであって、前記第2熱交換領域がプレス形成された複数の第2マイクロ構造を有し、第1マイクロ構造と第2マイクロ構造の形状が互いに異なるステップと、前記第1作動流体チャンネル片と前記第2作動流体チャンネル片をO-Z方向に交互に積層し、第1マイクロ構造と第2マイクロ構造の中心点をO-XY方向に沿って位置合わせし、複数の第1入口をO-XY方向に沿って位置合わせし、複数の第2入口をO-XY方向に沿って位置合わせし、且つ複数の第1入口、複数の第1出口、複数の第2入口、複数の第2出口をO-XY方向に沿ってずらして設けるステップと、積層された前記第1作動流体チャンネル片と前記第2作動流体チャンネル片を原子拡散により接合するステップと、を含む。
【0011】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。隣り合う作動流体チャンネル片上のマイクロ構造の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされるが形状が異なる。これにより、各マイクロ構造はいずれも一部の領域が隣り合う作動流体チャンネル片の陥没キャビティに対応せず、陥没キャビティ周囲の領域と重なることで原子拡散接合を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例における熱交換器の構造模式図である。
図2図2を別の角度から見た部分分解図である。
図3図1に示す熱交換器における複数のマイクロ構造片とスペーサを重ね合わせた後の模式図であり、重ね合わせた後の状況を示す透視図である
図4図3の部分拡大図である。
図5図1の第1マイクロ構造片と第1マイクロ構造片スペーサを重ね合わせた後の模式図である。
図6図5の第1マイクロ構造片の構造模式図である。
図7図5の第1マイクロ構造片スペーサの構造模式図である。
図8図1の第2マイクロ構造片と第2マイクロ構造片スペーサを重ね合わせた後の模式図である。
図9図8の第2マイクロ構造片の構造模式図である。
図10図8の第2マイクロ構造片スペーサの構造模式図である。
図11】好ましい一実施例における第1片材の構造模式図である。
図12】本発明の別の実施例における複数のマイクロ構造片とスペーサを重ね合わせた後の模式図であり、重ね合わせた後の状況を示す透視図である。
図13図12の部分拡大図である。
図14図12の第1マイクロ構造片の構造模式図である。
図15図12の第1マイクロ構造片スペーサの構造模式図である。
図16図12の第2マイクロ構造片の構造模式図である。
図17図12の第2マイクロ構造片スペーサの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において図面に示す具体的な実施形態と関連付けて本発明を詳細に説明する。しかし、これらの実施形態は本発明を限定するものではなく、当業者がこれらの実施形態に基づいてできた構造的、方法的、又は機能的な変換はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0014】
本発明の各図において、図示の便宜上、構造又は部分のいくつかのサイズは、他の構造又は部分と比べて誇張される場合があるため、本発明の主題の基本の構造を示すためのものに過ぎない。
【0015】
本発明は、「熱抵抗平衡理論」、プレスプロセス及び原子拡散接合プロセスを基に、製造コストが低く、大量生産に適し、構造がコンパクトで熱交換性能が高い熱交換器100及びその製造方法を設計することを目的とする。しかし、その設計の一部は、他のプロセスによって製造された熱交換器100にも使用することができる。図1図11は本発明の第1類の実施例であり、図12図17は本発明の第2類の実施例である。説明の便宜上、座標系O-XYZを設定する。
【0016】
前記熱交換器100は複数の作動流体チャンネル片1を含み、前記作動流体チャンネル片1は概ねO-XY方向(XY平面内)に沿って延在している。複数の作動流体チャンネル片1はO-Z方向に積層されている。隣り合う2つの前記作動流体チャンネル片1の間に作動流体が流れる作動流体チャンネルが形成されている。前記作動流体チャンネル片1のエッジは前記作動流体チャンネルに連通する入口2及び出口3を有し、且つ隣り合う2つの前記作動流体チャンネル片1の入口2、出口3はO-XY方向に沿ってずれている。
【0017】
隣り合う2つの作動流体チャンネルは、それぞれ第1作動流体、第2作動流体を流すために使用され、両者の間に温度差があると熱伝達が行われる。ここで、前記第1作動流体と前記第2作動流体とは、設定に応じて熱交換を行う2つの作動流体を指す。両者は、材質が同じで温度が異なるものであってもよいし、材質も温度も異なるものであってもよい。
【0018】
以下において、まず2種類の実施例の共通する特徴を説明する。
【0019】
図1図17を参照し、前記作動流体チャンネル片1は、入口2、出口3、及び入口2と出口3の間に位置する熱交換領域4を含み、前記熱交換領域4には複数のマイクロ構造5が設けられている。前記作動流体チャンネルが複数の並列又は交差接続しているマイクロチャンネルに分割されて熱交換器100の熱交換性能を向上させる。
【0020】
前記マイクロ構造5のサイズ及び間隔は熱交換性能及び圧力損失に影響を与える。好ましい一実施例において、前記マイクロ構造5の等価直径(相当直径)は0.7mm以下、好ましくは0.5mm以上である。隣り合う2つのマイクロ構造5の間隔は0.5mm~2.5mmの間にあり、好ましくは1mm~1.5mmの間にある。
【0021】
具体的には、前記作動流体チャンネル片1は、前記熱交換領域4を取り囲んで設けられた囲い(包囲部)6をさらに含む。前記囲い6は、前記マイクロ構造5が設けられた側に位置し、作動流体の外への流動を防止する。前記入口2、前記出口3は、前記囲い6に設けられるか、又は前記囲いの前記熱交換領域4に向かう内側に位置する。
【0022】
複数の前記マイクロ構造5は複数の正弦線に沿って間隔を置いて配列され、且つ複数の前記正弦線は、前記入口2が位置する側から前記出口3が位置する側に向かって間隔を置いて配列されている。前記マイクロ構造5は正弦線に沿って配列され、簡単なマイクロ構造5で正弦線型の流動ガイド構造の役割を果たすことができる。したがって、マイクロ構造5の生産の難易度を簡略化できるとともに、作動流体が正弦線に沿って流れる傾向を持ち、流れを乱す効果が高く、熱交換性能が保証される。
【0023】
好ましい一実施例において、前記入口2、前記出口3のそれぞれは、前記熱交換領域4のO-Y方向に沿った両側に設けられている。前記正弦線はO-X方向に延在し、且つ複数の正弦線はO-Y方向に沿って間隔を置いて配列されている。作動流体が前記入口2から作動流体チャンネルに入った後、複数のマイクロ構造5によって乱される。これにより、ビーチの波のように、後方波が前方波を押して徐々に下流に移動して前記出口3に到達する。複数のマイクロ構造5は流体に対して次から次へと流動現象の円滑な誘導を形成し、流体に対する乱れが大きく、熱交換性能が高い。
【0024】
好ましくは、前記正弦線に沿って配列された複数の前記マイクロ構造5のO-X方向に沿った間隔は同じである。即ち、前記正弦線に沿って分布する複数のマイクロ構造5が、O-Y方向に沿って同一の直線上に投影されたとき、これらの投影はO-X方向に均一に分布する。したがって、隣り合う作動流体チャンネル片1を互いに重ね合わせたとき、隣り合う2つの前記作動流体チャンネル片1の支持/接合点は均一である。
【0025】
さらに、隣り合う2つの正弦線に沿って分布するマイクロ構造5はO-X方向に沿ってずれて配列されている。つまり、各前記マイクロ構造5の隣り合う正弦線におけるO-Y方向に沿った投影は、該投影された正弦線上の隣り合う2つのマイクロ構造5の間にある。そのため、全領域にわたる支持/接合点の均一性がさらに向上するとともに、作動流体に対する乱れが増加し、熱交換性能が向上する。
【0026】
また、入口2が位置する側から出口3が位置する側に向かう方向において、前記熱交換領域4は、乱流領域43、及び乱流領域43の両側に位置する遷移領域44を含む。前記乱流領域43のマイクロ構造5の配置密度は、前記遷移領域44のマイクロ構造5の配置密度より大きい。具体的には、前記遷移領域44内のいずれかの正弦線上のマイクロ構造5の数<前記乱流領域43内のいずれかの正弦線上のマイクロ構造5の数である、及び/又は、遷移領域44内の隣り合う2つの正弦線の間隔>乱流領域43内の隣り合う2つの正弦線の間隔である。
【0027】
図3図5~6、図8~9、図11図12図14及び図16に示すように、前記遷移領域44内のいずれかの正弦線上のマイクロ構造5の数<前記乱流領域43内のいずれかの正弦線上のマイクロ構造5の数であり、前記乱流領域43と前記遷移領域44内の隣り合う2つの正弦線の間隔は同じである。好ましくは、現在のプロセスで達成可能な最小値とし、熱交換性能を保証するとともに、前記熱交換器100のO-Y方向に沿ったサイズを短縮する。
【0028】
前記乱流領域43を設けることにより、同じ面積の熱交換領域4の熱交換性能を30%向上させることができ、且つ乱流領域43のO-Y方向に沿った幅が広いほど熱交換性能が向上する。前記乱流領域43の幅は次のように設定されている。1)前記乱流領域43の幅≦3mmであり、好ましくは2mm~3mmである。又は2)前記乱流領域43の幅が収容できる上記正弦線の数≦3であり、好ましくは、収容できる前記正弦線の数は2~3である。
【0029】
上記した2つの幅の設定方式はいずれも、乱流領域43が熱交換性能に及ぼす影響、熱交換器100のサイズ、製造プロセス、圧力損失等の要素を考慮したものである。熱交換性能を確保する前提のもとで、熱交換器100のO-Y方向に沿った長さを最も短くし、材料を節約し、占有スペースを小さくする。乱流領域43の幅をこれ以上広げると、熱交換性能を著しく向上させることはないが、圧力損失及び流動損失を大幅に増加させる。
【0030】
また、前記マイクロ構造5をプレス形成するときに、他側に対応する陥没キャビティが形成される。隣り合う2つの作動流体チャンネル片1のマイクロ構造5及びその配列方式が両方とも同じであれば、積み重ねるとき、一方の作動流体チャンネル片1のマイクロ構造5は、他方の作動流体チャンネル片1上の対応する陥没キャビティに面し、力を受けて原子拡散接合を実現することができない。該技術的問題を解決するために、図3図4図12図13に示すように、隣り合う2つの作動流体チャンネル片1のマイクロ構造5の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされている。つまり、2つの中心点の連結線はO-Z方向に平行であり、隣り合う2つの作動流体チャンネル片1の支持/接合点は位置合わせされ、2つの作動流体の圧力が異なることにより接合点が破損して割れる問題は回避される。また、隣り合う2つの作動流体チャンネル片1のマイクロ構造5の形状は異なるため、各マイクロ構造5はいずれも一部の領域が隣り合うマイクロ構造片13の陥没キャビティに対応せず、陥没キャビティ周囲の領域と重なることで原子拡散接合を実現する。
【0031】
前記マイクロ構造5が対称図形である場合、その中心対称点は中心点である。前記マイクロ構造5が非対称図形である場合、そのエッジを正規化した後の等面積の等価円の中心を中心点とする。
【0032】
第1作動流体、第2作動流体について、作動流体チャンネル片1は2種類に分けられ、前記熱交換器100は、O-Z方向に交互に積層された第1作動流体チャンネル片11と第2作動流体チャンネル片12を含む。前記第1作動流体チャンネル片11は、プレス形成された第1マイクロ構造51と、第1陥没キャビティとを含む。前記第2作動流体チャンネル片12は、プレス形成された第2マイクロ構造52と、第2陥没キャビティとを含む。前記第1マイクロ構造51と前記第2マイクロ構造52は互いに異なる。前記第1作動流体チャンネル片11、前記第1マイクロ構造51及び前記第2作動流体チャンネル片12は、第1作動流体チャンネルを画定する。前記第2作動流体チャンネル片12、前記第2マイクロ構造52及び前記第1作動流体チャンネル片11は、第2作動流体チャンネルを画定する。
【0033】
図3図4図12図13は、第1マイクロ構造51と第2マイクロ構造52を重ね合わせた状況を示している。O-XY方向において、前記第1マイクロ構造51の第1エッジ部511の一部は前記第2マイクロ構造52からはみ出ている。即ち、前記第1エッジ部511の一部の前記第2作動流体チャンネル片12におけるO-Z方向に沿った投影は前記第2マイクロ構造52からはみ出ている。該はみ出た部分は前記第2陥没キャビティの周囲にフィットし、隣り合う2つの作動流体チャンネル片1を重ねるときの支持/接合点となる。、及び/又は、前記第2マイクロ構造52の第2エッジ部521の一部は前記第1マイクロ構造51からはみ出ている。即ち、該第2エッジ部521の一部の第1作動流体チャンネル片11におけるO-Z方向に沿った投影は第1マイクロ構造51からはみ出ている。該はみ出た部分は前記第1陥没キャビティの周囲にフィットし、隣り合う作動流体チャンネル片1を重ねるときの支持/接合点となる。
【0034】
好ましくは、効果的な原子拡散接合を保証するために、各はみ出た部分の面積は0.04mm以上であり、好ましくは0.04mm~0.06mm、例えば0.05mmである。加工された突起エッジに面取りの問題があることを考慮したため、前記第1エッジ部511がO-Y方向で前記第2マイクロ構造52をはみ出た長さは0.15mm以上である。前記第2エッジ部521がO-Y方向で前記第1マイクロ構造51をはみ出た長さは0.15mmである。2つの超過長さの距離は同じでも異なっていてもよい。
【0035】
第1マイクロ構造51、第2マイクロ構造52をO-Z方向に沿って同一のO-XY平面内に投影したとき、前記第1エッジ部511と前記第2エッジ部521は重ならず、支持/接合点は異なる領域に分布している。好ましくは、前記第1マイクロ構造51の中心点の投影を円の中心としたとき、前記第1エッジ部511、前記第2エッジ部521の投影は、該円の円周方向に沿って均一に配置されるため、支持/接合力がより均一である。より好ましくは、前記第1エッジ部511、前記第2エッジ部521の投影の該円の中心からの離隔距離は異なり、内外に複数層に分けて設けられることで、支持/接合の効果がより高くなる。
【0036】
一実施例において、前記第1マイクロ構造51のO-Y方向に沿った少なくとも1つ、好ましくは2つの第1エッジ部511は前記第2マイクロ構造52からはみ出し、前記第2マイクロ構造52のO-X方向に沿った少なくとも1つ、好ましくは2つの第2エッジ部521は前記第1マイクロ構造51からはみ出し、四隅支持を形成し、接合度がより強い。
【0037】
別の実施例において、前記第1マイクロ構造51のO-Y方向に沿った長さ>O-X方向に沿った長さ、前記第2マイクロ構造52のO-Y方向に沿った長さ≦O-X方向に沿った長さ、且つ前記第1マイクロ構造51のO-Y方向に沿った長さ>前記第2マイクロ構造52のO-Y方向に沿った長さ、前記第1マイクロ構造51のO-X方向に沿った長さ<前記第2マイクロ構造52のO-X方向に沿った長さである。
【0038】
例えば、前記第1マイクロ構造51は楕円形又はひょうたん形を呈し、前記第2マイクロ構造52はひし形、又は長手方向の両端が狭角である紡錘形、又は円形を呈し、且つ第1マイクロ構造51のO-Y方向に沿った両端はいずれも第2マイクロ構造52からはみ出ており第2マイクロ構造52のO-X方向に沿った両端はいずれも第1マイクロ構造51からはみ出ている
【0039】
積層して熱交換器100を形成するとき、前記第1作動流体チャンネル片11と前記第2作動流体チャンネル片12をO-Z方向に交互に積層し、第1マイクロ構造51と第2マイクロ構造52の中心点をO-XY方向に沿って位置合わせする。これにより、隣り合う作動流体チャンネル片1が互いに支持して接合できることを保証できる。
【0040】
また、前記熱交換器100の使用シナリオは多様である。例えば凝縮器又は蒸発器として冷凍システムに使用される場合、第1作動流体は高圧の二相冷媒であり、前記第2作動流体は低圧の単相水である。異なる温度及び/又は相状態及び/又は圧力の作動流体に適応するために、第1作動流体チャンネル片11は、第1マイクロ構造51を有する第1熱交換領域41、及び前記第1熱交換領域41に連通する第1入口21と第1出口31を含む。前記第2作動流体チャンネル片12は、第2マイクロ構造52を有する第2熱交換領域42、及び前記第2熱交換領域42に連通する第2入口22と第2出口32を含む。前記第1マイクロ構造51の第1入口21の方を向いた面と前記第2マイクロ構造52の第2入口22の方を向いた面の形状は異なるので、第1作動流体、第2作動流体に最初に接触する部分が異なる。このように、異なる作動流体に合わせて設計することで、熱交換性能と圧力損失のバランスを取ることができる。
【0041】
一実施例において、前記第1マイクロ構造51の前記第1入口21の方を向いた面は円弧形を呈し、プレス金型の設計が容易で生産歩留まりが高い。例えば前記第1マイクロ構造51は楕円形又はひょうたん形を呈する。
【0042】
前記第2マイクロ構造52の前記入口2の方を向いた面は尖った角形状を呈し、狭角が90°以下であり、流動損失が小さく、且つ前縁効果に基づいて第2作動流体と第2マイクロ構造52の熱交換性能が優れている。例えば、前記第2マイクロ構造はひし形、又は長手方向の両端が狭角である紡錘形を呈する。
【0043】
以下において、囲い6の構造を詳細に説明する。
【0044】
前記囲い6の前記熱交換領域4の方を向いた内エッジ143は作動流体に接触し、その流れにも一定の影響を及ぼす。本発明において、前記内エッジ143の一部の形状は、該内エッジ143に最も近い1列の前記マイクロ構造5の配列形状と同じであり、該エッジ143が作動流体を乱す傾向は隣り合う前記マイクロ構造5と同じである。
【0045】
具体的には、作動流体の流れ方向に沿って延在する内エッジ143の形状は、該内エッジ143に近接した1列の前記マイクロ構造5の配列方式と同じである。したがって、エッジに位置する作動流体と中央領域に位置する作動流体の流れの傾向は概ね同じである。ここで、作動流体の流れ方向は実際の流れ方向ではなく、前記入口2が設けられた側から前記出口3が設けられた側へ向かう方向をいう。好ましくは、作動流体の流れ方向に沿って延在する内エッジ143と該内エッジに近接した1列の前記マイクロ構造5との距離は全て同じであり、異なる領域が作動流体を乱す傾向は同じである。
【0046】
前記入口2、前記出口3はそれぞれ、前記囲い6の両側に設けられている。前記入口2が位置する側の内エッジ143の形状は、該内エッジに最も近い1列の前記マイクロ構造5の配列形状と同じである。該内エッジは、最も近い1列のマイクロ構造5の上流の1列のマイクロ構造5に相当する。作動流体の進行方向における作動流体に対する推力及び抵抗力がほぼ同じであり、作動流体が熱交換領域4のエッジで大きく跳ね返り、より大きな流動損失をもたらすことを回避する。好ましくは、前記入口2が位置する側の内エッジ143と該内エッジ143に最も近い1列の前記マイクロ構造5との間の距離は全て等しく、異なる領域が作動流体を乱す傾向は同じである。
【0047】
及び/又は、前記出口3が位置する側の内エッジ143の形状は、該内エッジ143に最も近い1列の前記マイクロ構造5の配列形状と同じである。該内エッジは、最も近い1列のマイクロ構造5の下流の1列のマイクロ構造5に相当する。作動流体の進行方向における作動流体に対する推力及び抵抗力が近似し、作動流体が熱交換領域4のエッジで大きく跳ね返り、より大きな流動損失をもたらすことを回避する。好ましくは、前記出口3が位置する側の内エッジ143の形状と該内エッジ143に最も近い1列の前記マイクロ構造5との間の距離は等しく、異なる領域が作動流体を乱す傾向は同じである。
【0048】
具体的な一実施例において、前記入口2、前記出口3はそれぞれ、前記囲い6のO-Y方向に沿った両側に設けられている。複数の前記マイクロ構造5はO-X方向に延在する複数の正弦線に沿って分布し、且つ隣り合う正弦線上のマイクロ構造5は正弦線の延在方向に沿ってずれて配置されている。作動流体の流れ方向に沿ってエッジに位置する1列のマイクロ構造5は波状を呈する。前記囲い6上のO-Y方向に沿った両側の内エッジ143も正弦線形を呈し、作動流体の流れ方向に沿って延在する内エッジ143は波状を呈する。
【0049】
さらに、各内エッジ143と前記マイクロ構造5との間の間隙は、同じ方向に隣り合う前記マイクロ構造5間の間隙と同じであり、作動流体を乱す役割は同じである。
【0050】
以下において、2つの作動流体チャンネル片上の入口2、出口3の分布方式を説明する。
【0051】
同一の作動流体チャンネル片1上で、前記入口2、前記出口3はそれぞれ、O-Y方向の両側に設けられ、且つO-X方向に沿ってずれて設けられている。即ち、前記入口2、前記出口3は概ね対角的に設けられている。これにより、作動流体の流動距離が長く、熱交換性能が向上する。
【0052】
好ましくは、前記第1入口21、前記第2出口32は前記熱交換器100の一側に位置し、前記第1出口31、前記第2入口22は前記熱交換器100の他側に位置する。したがって、全ての入口2、前記出口3が、熱交換器100に対向して設けられた両側に統合されている。これにより、外部に流入及び流出配管を連結する等の後続プロセスが容易になり、且つ構造がよりコンパクトになり、体積が小さい。
【0053】
好ましくは、前記第1入口21と前記第2出口32はO-X方向に並んで配置される。前記第2入口22と前記第1出口31はO-X方向に並んで配置される。したがって、前記第1入口21と前記第1出口31は対角的に設けられ、前記第2入口22と前記第2出口32は対角的に設けられる。これにより、第1作動流体と第2作動流体は概ね対向流を形成し、熱交換の効果が高くなる。
【0054】
熱交換器100を凝縮器として使用する場合、第1作動流体は、作動流体チャンネル片1との温度差が大きい気液二相の高圧冷媒であり、第2作動流体は低圧の水である。一実施例において、O-X方向に沿って、前記第2出口32の幅は前記第1入口21の幅より大きく、前記第2入口22の幅は前記第1出口31の幅より大きい。これにより、水の流量と熱交換後の温度が保証される。別の実施例において、前記第1入口21と前記第1出口32の幅は異なり、気体冷媒は圧力が大きく比較的広い第1入口21から入り、液体冷媒は比較的狭い第1出口32から流出する。これにより、流動過程の全体において圧力のバランスが取れる。前記第2入口22と前記第2出口32の幅は同じであり、水の安定した流動が保証される。熱交換器100を蒸発器として使用する場合、第1入口、第1出口は逆に使用される。
【0055】
以下において、製造プロセスを参照しながら作動流体チャンネル片1をさらに詳細に説明する。
【0056】
前記作動流体チャンネル片1が一体型の場合、物理/化学的エッチングプロセスによって比較的厚い片材上に前記マイクロ構造5及び囲い6を形成することのみが適しており、プレスプロセスが適していない。
【0057】
図1図17を参照し、本発明は作動流体チャンネル片1を、O-Z方向に積層されたマイクロ構造片13とマイクロ構造片スペーサ14(以下、スペーサと略称する)を含む分割型として設計する。具体的には、前記第1作動流体チャンネル片11は、第1マイクロ構造片131、及び第1マイクロ構造片スペーサ141(以下、第1スペーサ141と略称する)を含む。前記第2作動流体チャンネル片12は、第2マイクロ構造片132、及び第2マイクロ構造片スペーサ142(以下、第2スペーサ142と略称する)を含む。前記第1マイクロ構造片131と第2マイクロ構造片132は総称してマイクロ構造片13と呼ばれ、第1スペーサ141と第2スペーサ142は総称してスペーサ14と呼ばれる。
【0058】
O-Z方向から見ると、前記マイクロ構造片13の形状は、前記作動流体チャンネル片1の形状と同じであり、且つ前記マイクロ構造片13は、前記熱交換領域4及び前記熱交換領域4を取り囲むエッジ領域を含む。前記スペーサ14は、前記エッジ領域と形状が同じである。前記スペーサ14は前記マイクロ構造5が配置された側の前記エッジ領域に設けられ、前記熱交換領域4の周囲に前記囲い6を形成する。上述した囲い6に対する説明は全て前記スペーサ14にも適用される。
【0059】
本発明は、前記作動流体チャンネル片1をO-Z方向に沿って2つの部分に分割し、前記マイクロ構造5を前記マイクロ構造片13に設けることによって、プレスプロセスにより前記マイクロ構造片13、前記スペーサ14をそれぞれ形成し、次に積み重ねて前記スペーサ14により前記囲い6を形成することができる。したがって、前記囲い6に対応する他側に陥没キャビティがなく、さらに原子拡散接合によって両者を接合することができる。従来のフォトエッチングプロセスに比べて、生産コストが低く、大量生産に適し且つ環境汚染が少ない。
【0060】
前記マイクロ構造片13及び前記スペーサ14の厚さが小さいほど、最終的に形成された熱交換器100の重量が軽く、熱抵抗が小さく、熱交換性能が高い。現在の板材及びその性能、プレスプロセスの限界性等を踏まえると、前記マイクロ構造片13及び前記スペーサ14の厚さは0.07mm~0.1mmの間にあり、例えば0.1mm、0.09mm、0.08mm、0.075mm、0.07mmである。本発明は厚さが0.1mm以下であることが好ましく、熱抵抗が小さいが、プロセスに大きな挑戦をもたらす。
【0061】
前記マイクロ構造片13の前記熱交換領域4にプレス形成された前記マイクロ構造5は中空の突起であり、複数のマイクロ構造間の間隙が連通して前記マイクロチャンネルを形成し、流体を複数の小さな分岐流に分けて熱交換を行い、熱交換性能が向上する。
【0062】
前記マイクロ構造片13の厚さが大きいほど、前記マイクロ構造5の直径が大きく、強度が大きく、隣り合う前記マイクロ構造5の間隔が小さく、前記マイクロ構造片13の両側に位置する第1作動流体、第2作動流体に対する耐圧性が強く、その逆の場合、耐圧性が低い。前記マイクロ構造片13の厚さは片材の厚さによって決定され、前記マイクロ構造5の高さはスペーサ14の厚さ以上であり、好ましくは両者の高さが同じである。重ね合わせて加圧するとき、やや高いマイクロ構造5はわずかに変形し得、前記マイクロ構造5が隣り合うマイクロ構造片13と効果的に接触することを保証することができる。これは原子拡散接合の必要条件である。具体的には、前記スペーサ14の厚さ≦前記マイクロ構造片13の厚さ、前記マイクロ構造5の高さは前記スペーサ14の厚さに応じて適応的に調整される。本発明において、前記スペーサ14と前記マイクロ構造片13は厚さが同じであり、それぞれ同じ片材を使用して形成される。
【0063】
プレス金型とマイクロ構造片の性能を兼ねて考慮すると、前記マイクロ構造5の等価直径は0.7mm以下、好ましくは0.5mm以上である。隣り合う2つのマイクロ構造5の間隔は0.5mm~2.5mmの間にあり、好ましくは1mm~1.5mmの間にある。
【0064】
前記スペーサ14は前記熱交換領域4の周囲を取り囲んで作動流体チャンネルの囲い6を形成する。熱交換器100の耐圧性及び原子拡散接合プロセスに基づいて前記スペーサ14の幅を設計し、例えば2.5mm~5mmの間、好ましくは3mmとする。
【0065】
前記スペーサ14の外部輪郭は熱交換器100の形状と同じであり、前記熱交換領域4の方を向いた内エッジ143は作動流体に接触し、具体的には囲い6の内エッジ143を参照する。
【0066】
また、分割型の構造か一体型の構造かにかかわらず、作動流体チャンネル片1上の前記入口2、前記出口3周囲の領域は作動流体をガイドする流れガイド面10を有する。前記流れガイド面10は傾斜面形状又は段差状を呈する。冷媒、水等の流体がガイドされて前記熱交換領域4に流入するときに「壁」ではなく、流れガイド面10を有する複数の入口に面する。分割型構造において、前記流れガイド面10は、前記マイクロ構造片及びマイクロ構造片スペーサにより共同で形成される。例えばエッジを不均一に設計し、内外の層を不均一にすることで段差状の流れガイド面10を構成する。
【0067】
好ましくは、前記流れガイド面10は前記入口2と前記熱交換領域4との間、又は前記出口3と前記熱交換領域4との間に位置する。
【0068】
又は好ましくは、前記入口2、前記出口3の前記熱交換領域4の方を向いた面の円弧角を、前記熱交換領域4から離反する側の円弧角より小さくし、前記流れガイド面10の形成を容易にする。
【0069】
以下において図1図11を参照して本発明の設計を詳細に説明する。
【0070】
第1作動流体チャンネル片11、第1作動流体チャンネル片12はいずれも、熱交換領域4、前記熱交換領域4の周囲に設けられた2組の入口2、出口3、及び包囲枠15を含む。前記入口2、前記出口3はいずれも前記マイクロ構造片13の厚さ方向に沿って貫通している。
【0071】
前記熱交換領域4に複数の前記マイクロ構造5が設けられ、前記マイクロ構造5の構造及びその配列方式は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。ここで1組の入口2、出口3は前記熱交換領域4に連通し、もう1組の入口2、出口3はフェンス16によって前記熱交換領域4から隔離されている。したがって、該入口2から流入した作動流体が熱交換領域4に流入することができない。
【0072】
前記第1作動流体チャンネル片11を例にして、第1入口21、第1出口31は熱交換領域4に連通し、第2入口22、第2出口32はフェンス16によって熱交換領域4から隔離されることを例として、2組の入口2、出口3を説明する。
【0073】
熱交換領域4に連通する第1入口21、第1出口31と最も近い1列のマイクロ構造5との距離は小さく、該方向に隣り合うマイクロ構造5間の距離に相当する。第1入口21、第1出口31に近い領域にマイクロ構造5が設けられている。マイクロ構造5は、隣り合うマイクロ構造片13を均一に支持し、且つ原子拡散接合後に十分な接合強度を形成するとともに、第1作動流体が円滑に通過することを保証する。
【0074】
た前記第2入口22、前記第2出口32は、前記フェンス16によって前記熱交換領域4から隔離されている。隔離効果を保証するために、前記第2入口22、前記第2出口32とこれらに最も近い1列のマイクロ構造5との距離は大きく、該方向における隣り合うマイクロ構造5間の距離より大きい。
【0075】
具体的には、前記第1入口21、前記第1出口31の各々とこれらに最も近い1列のマイクロ構造5との間の距離をL1とし、前記第2入口22、前記第2出口32の各々とこれらに最も近い1列のマイクロ構造5との間の距離をL2とすると、L1<L2である。前記フェンス16の幅はL2以下である。
【0076】
一実施例において、前記第1入口21、前記第1出口31の各々に最も近い1列のマイクロ構造5の配列方向において、L1≦隣り合うマイクロ構造5間の距離であり、入口及び出口における支持/接合強度が高い、及び/又は、前記第2入口22、前記第2出口32の各々に最も近い1列のマイクロ構造5の配列方向において、L2>隣り合うマイクロ構造5の間の距離である。これによって、効果的な遮断が保証される。
【0077】
さらに、L2は隣り合う2列のマイクロ構造5間の距離の1.5~4倍、例えば2倍、3倍である。
【0078】
別の実施例において、前記第1入口21、前記第1出口31はそれぞれ、前記熱交換領域4のO-Y方向に沿った両側に設けられる。前記第2入口22、前記第2出口32はそれぞれ、前記熱交換領域4のO-Y方向に沿った両側に設けられる。複数のマイクロ構造5はO-X方向に延在する複数の正弦線に沿って分布する。複数の正弦線はO-Y方向に間隔を置いて配置される。
【0079】
好ましくは、L1≦隣り合う2つの正弦線間の距離である、及び/又は、L2≧隣り合う2つの正弦線間の距離の1.5~4倍、例えば2倍、3倍であることによって、該幅内に1つ、2つ又は3つの正弦線を収容することができる。
【0080】
また、一般的に作動流体の圧力、流量に応じて入口2、出口3のサイズを設定する。本発明において、第1入口21、第1出口31はそれぞれ、熱交換領域4のO-Y方向に沿った両側に設けられる。第2入口22、第2出口32もそれぞれ、熱交換領域4のO-Y方向に沿った両側に設けられ、且つO-X方向において、第1入口21、第1出口31の幅は第2入口22、第2出口32の幅より小さい。第1作動流体が冷媒であり、第2作動流体が水である場合、熱交換性能及び圧力損失はいずれも最適になる。
【0081】
具体的には、O-X方向において、前記第2入口22、前記第2出口32の幅は前記熱交換領域4の幅の1/2より大きく、第2作動流体の入口と出口3の横方向距離が大きく、且つ該幅が大きいほど、第2作動流体は直線で前記熱交換領域4を通過する傾向になり、圧力損失が小さい。
【0082】
好ましくは、前記第2入口22、前記第2出口32の幅は、前記熱交換領域4の幅の1/2~4/5、例えば2/3、3/4である。第2作動流体チャンネルは中心線直線構造に類似し、流動損失が小さい。
【0083】
具体的な一実施例において、第1入口21、第2出口32は、熱交換領域4のO-Y方向に沿った側に位置し、且つ両者はO-X方向に沿って配列される。第1出口31、第2入口22は、熱交換領域4のO-Y方向に沿った他側に位置し、且つ両者はO-X方向に沿って配列される。好ましくは、O-X方向において、前記第1入口21と前記第1出口31はずれて設けられ、前記第2入口22と前記第2出口32ずれて設けられている。これにより、第1作動流体と第2作動流体は対向流を形成し、熱交換性能が向上する。
【0084】
別の実施例において、前記第1入口21の幅は前記第1出口31の幅より大きく、前記第2出口32の幅は前記第1出口31の幅より小さく、第1入口21が圧縮機に連通する凝縮器に適用される。
【0085】
好ましくは、前記フェンス16と前記包囲枠15の幅は同じであり、各位置での高い接合度が保証され、作動流体に対する耐圧能力も同じであり、作動流体の漏れ現象が回避される。残りの領域は同一側に位置する入口2、出口3に割り当てられる。
【0086】
さらに、プレスプロセスを使用できるように、前記作動流体チャンネル片1は、O-Z方向に積層されたマイクロ構造片13とマイクロ構造片スペーサ14を含む。
【0087】
前記マイクロ構造片13は、前記熱交換領域4、第1入口貫通孔21’、前記第1出口貫通孔31’、前記第2入口貫通孔22’、前記第2出口貫通孔32’、及び前記包囲枠15に対応する第1包囲枠を含む。第1入口貫通孔21’、第1出口貫通孔31’、第2入口貫通孔22’、第2出口貫通孔32’はいずれも厚さ方向に沿って前記マイクロ構造片13を貫通している。
【0088】
異なる作動流体に適応して、前記マイクロ構造片13は第1マイクロ構造片131及び第2マイクロ構造片132を含む。前記マイクロ構造片13、前記スペーサ14の外部輪郭は同じであり、例えばいずれも、片材材料の使用が最も経済的である正方形とする。
【0089】
前記第1マイクロ構造片131は、第1熱交換領域41、前記第1熱交換領域41のO-Y方向に沿った側に設けられ且つO-X方向に沿って配列された第1入口貫通孔21’と第2出口貫通孔32’、前記第1熱交換領域41のO-Y方向に沿った他側に設けられ且つO-X方向に沿って配列された第1出口貫通孔31’と第2入口貫通孔22’、及び第1包囲枠を含む。第1入口貫通孔21’、第2出口貫通孔32’、第1出口貫通孔31’、第2入口貫通孔22’、及び第1包囲枠は前記エッジ領域に位置する。そして、第1入口貫通孔21’、第1出口貫通孔31’は第1熱交換領域41に連通し、第2入口貫通孔22’、第2出口貫通孔32’と第1熱交換領域41はフェンス16によって隔離される。
【0090】
前記第2マイクロ構造片132は、第2熱交換領域42、前記第2熱交換領域42のO-Y方向に沿った側に設けられ且つO-X方向に沿って配列された第1入口貫通孔21’と第2出口貫通孔32’、前記第2熱交換領域42のO-Y方向に沿った他側に設けられ且つO-X方向に沿って配列された第1出口貫通孔31’と第2入口貫通孔22’、及び第1包囲枠を含む。そのうち、第1入口貫通孔21’、第2出口貫通孔32’、第1出口貫通孔31’、第2入口貫通孔22’、第1包囲枠は前記エッジ領域に設けられる。前記第1マイクロ構造片131との相違点は、第1入口貫通孔21’、第1出口貫通孔31’と第1熱交換領域41がフェンス16によって隔離され、第2入口貫通孔22’、第2出口貫通孔32’が第1熱交換領域41に連通する点である。
【0091】
具体的には、第2熱交換領域42から隔離された第1入口貫通孔21’、第1出口貫通孔31’と最も近い1列のマイクロ構造5との間の距離をL1とし、第2熱交換領域42に連通する第2入口貫通孔22’、第2出口貫通孔32’と最も近い1列のマイクロ構造5との間の距離をL2とすると、L1>L2である。さらに、L1>該方向における隣り合うマイクロ構造5間の距離である、及び/又は、L2≦該方向における隣り合うマイクロ構造5間の距離である。好ましくは、L1は該方向における隣り合う2列のマイクロ構造5間の距離の1.5~4倍、例えば2倍、3倍である。又は、L1≧隣り合う2つの正弦線間の距離の1.5~4倍であり、L2の幅範囲内で1つ又は2つの正弦線を収容でき、及び/又は、L2≦隣り合う2つの正弦線の間の距離である。
【0092】
前記スペーサ14は、前記熱交換領域4、前記熱交換領域4に連通する入口貫通孔2’及び出口貫通孔3’に対応する熱交換中空領域144、前記熱交換領域4から隔離された入口貫通孔2’に対応する入口中空領域145、前記熱交換領域4から隔離された出口貫通孔3’に対応する出口中空領域146、前記フェンス16、及び前記包囲枠15に対応する第2包囲枠を含む。
【0093】
熱交換中空領域144の入口貫通孔2’に対応する部分を入口2といい、出口貫通孔3’に対応する部分を出口3という。説明を簡略化するために、入口貫通孔2’を入口といい、出口貫通孔3’を出口ということもある。
【0094】
ここで前記熱交換中空領域144、前記入口中空領域145、前記出口中空領域146は前記スペーサ14の厚さ方向に沿って貫通する。前記フェンス16は、前記入口中空領域145と前記熱交換中空領域144との間、前記出口中空領域146と前記熱交換中空領域144との間に位置する。前記第2包囲枠は、複数の中空領域を取り囲んで、全体的には一体型を呈する。積み重ねた後、前記第1包囲枠と前記第2包囲枠は前記包囲枠15を構成する。
【0095】
前記スペーサ14が取り囲んで前記熱交換中空領域144の内エッジ143を形成する配置方式は上述した説明と同じであり、形状は最も近い1列のマイクロ構造5の配列形状と同じである。好ましくは、最も近い1列のマイクロ構造5との間の距離は同じである。より好ましくは、同じ方向の隣り合う列のマイクロ構造5との距離は同じである。
【0096】
具体的には、前記スペーサ14は、前記第1マイクロ構造片131と協働する第1スペーサ141、及び前記第2マイクロ構造片132と協働する第2スペーサ142を含む。
【0097】
前記第1スペーサ141は、前記第1熱交換領域41、第1入口貫通孔21’及び第1出口貫通孔31’に対応する第1熱交換中空領域、前記第2入口貫通孔22’に対応する第2入口中空領域、前記第2出口貫通孔32’に対応する第2出口中空領域、及び包囲枠15に対応する第2包囲枠を含む。
【0098】
前記第2スペーサ142は、前記第2熱交換領域42、前記第2入口貫通孔22’及び前記第2出口貫通孔32’に対応する第2熱交換中空領域、第1入口貫通孔21’に対応する第1入口中空領域、第1出口貫通孔31’に対応する第1出口中空領域、及び前記包囲枠15に対応する第2包囲枠を含む。
【0099】
本発明はさらに外部構成基板71を基板として使用し、外部構成作動流体出入口片72をカバーとして使用する。両者の厚さは2~3mmであり、耐圧能力が強く、内部の作動流体チャンネル片1を保護する。
【0100】
熱交換器の製造方法は、概ね積み重ねと原子拡散の2段階に分けられる。
【0101】
前記熱交換器の製造方法は、複数の前記第1作動流体チャンネル片11を形成するステップと、複数の前記第2作動流体チャンネル片12を形成するステップと、洗浄後、外部構成基板71と外部構成作動流体出入口片72の間にO-Z方向に沿って前記第1作動流体チャンネル片11、前記第2作動流体チャンネル片12を交互に積層するステップと、作業治具の加圧によって原子拡散接合を行うステップと、を含む。
【0102】
具体的には、前記熱交換器の製造方法は、前記第1マイクロ構造片131、前記第1スペーサ141、前記第2マイクロ構造片132、及び前記第2スペーサ142をプレス形成するステップと、洗浄後、外部構成基板71上に、第1マイクロ構造片131、第1スペーサ141、第2マイクロ構造片132、第2スペーサ142の順に少なくとも1つの繰り返し単位を設定された高さまで重ね合わせた後、外部構成作動流体出入口片72で覆い、作業治具によって加圧するステップと、を含む。ここで繰り返し単位は整数であってもよく、整数の基礎に1/4、又は2/4、又は3/4を追加してもよい。
【0103】
本明細書における全ての実施例の原子拡散接合は真空炉内で行われ、真空圧力は4×10-3Paで、加圧面圧は5MPaで、温度は1100℃程度である。原子拡散接合後、熱交換器100の本体が完成する。
【0104】
重ね合わせることによって、複数の第1入口貫通孔21’、複数の第1熱交換中空領域144、複数の第1入口中空領域は第1流入キャビティ81を構成し、複数の第2出口貫通孔32’、複数の第1熱交換中空領域144、複数の第1出口中空領域は第1流出キャビティ83を構成する。その後、前記外部構成作動流体出入口片72上に、第1流入キャビティ81に連通する第1流入管82又は第1流入管コネクタ、第1流出キャビティ83に連通する第1流出管84又は第1流出管コネクタを接続する。第1作動流体は、前記第1流入キャビティ81に入り、緩衝されて混合された後、複数の前記第1入口21通って前記第1流通チャンネル内に入り、その後前記第1流出キャビティ83に合流して流出する。
【0105】
第1流入管82又は第1流入管コネクタの延在方向は、第1入口21と第1熱交換領域41の配列方向と交差し、好ましくは垂直である。つまり、第1作動流体が前記第1流入管82又は第1流入管コネクタから前記第1流入キャビティ81に流入する方向は、前記第1入口21を通って第1熱交換領域41に流入する方向と交差し、好ましくは垂直であり、例えば冷媒等の高圧、二相の第1作動流体に適用される。第1作動流体が第1流入キャビティ81に入った後、曲げられなければ第1チャンネルに入ることができず、衝撃力下でより均一に混合され、気体と液体が分離し、一部の第1作動流体チャンネル内には気体の作動流体のみが存在し、熱交換性能が低いことが回避される。
【0106】
複数の第2入口貫通孔22’、複数の第2熱交換中空領域144、複数の第2入口中空領域は第2流入キャビティ85を構成し、複数の第2出口貫通孔32’、複数の第2熱交換中空領域144、複数の第2出口中空領域は第2流出キャビティ87を構成し、前記第1包囲枠、前記第2包囲枠は塀を構成する。その後、前記塀上に、第2流入キャビティ85に連通する第2流入管又は第2流入管コネクタ86、第2流出キャビティ87に連通する第2流出管又は第2流出管コネクタ88を接続する。第2作動流体は前記第2流入キャビティ85に流入し、ここで緩衝されて混合された後、複数の前記第2入口22を通って前記第2作動流体チャンネル内に入り、その後前記第2流出キャビティ87に合流して流出する。
【0107】
好ましくは、第2流入管又は第2流入管コネクタ86の延在方向は、第2入口22及び前記第2熱交換領域42の配列方向と同じである。例えば水等の低圧、単相の第2作動流体に適用される。第2作動流体は第2流入キャビティ85に流入し、緩衝された後、複数の第2作動流体チャンネル内に分配されて流入し、流れ方向が同じであるため、圧力損失は比較的小さい。
【0108】
具体的には、前記塀上にNC工作機械の切削加工により第2流入キャビティ85に連通する貫通している接続口を形成し、その後、第2流入管又は第2流入管コネクタ86を接続口に溶接する。第1類の実施例に比べて、第1流入カバー板、第1流出カバー板、第2流入カバー板、第2流出カバー板の外嵌溶接が省略され、信頼性が向上する。図17は、工作機械によって入口又は出口に切削加工された領域Aを示している。
【0109】
ここで、第1流入管82又は第1流入管コネクタ、前記第1流出管84又は前記第1流出管コネクタ、第2流入管又は第2流入管コネクタ86、前記第2流出管又は前記第2流出管コネクタ88は、原子拡散接合後、溶接によって熱交換器100の本体に接合され、順番は調整可能である。
【0110】
前記熱交換器の製造方法はさらに次のステップを含む。前記第1熱交換領域41に第1マイクロ構造51をプレス形成し、前記第2熱交換領域42に第2マイクロ構造52をプレス形成し、上述した前記第1マイクロ構造51と前記第2マイクロ構造52の形状は異なる。O-Z方向に沿って積み重ねるとき、第1マイクロ構造51と第2マイクロ構造52の中心点をO-XY方向に沿って位置合わせすることで、隣り合う作動流体チャンネル片1が互いに支持して接合できることを保証することができる。他の詳細は上記と同じであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0111】
また、前記マイクロ構造片13、前記スペーサ14の外部輪郭が同じであることに基づき、本発明は次の方法を使用する。複数の第1片材、複数の第2片材、複数の第3片材、複数の第4片材のいずれにおいても同じの配列方式に従って少なくとも2つのプレス片を形成する。第1片材上の前記プレス片は、前記第1マイクロ構造片131、前記第1スペーサ141、前記第2マイクロ構造片132、前記第2スペーサ142のうちの少なくとも1つを含み、且つ第1片材、第2片材、第3片材、第4片材の対応する位置のプレス片は、第1マイクロ構造片131、第1スペーサ141、第2マイクロ構造片132、第2マイクロ構造片132、第1マイクロ構造片131の循環順序に従って配置される。外部構成基板71、外部構成作動流体出入口片72の間に、第1片材、第2片材、第3片材、第4片材の順に少なくとも1つの繰り返し単位を重ね合わせ、その後原子拡散接合し、接合後、隣り合う2つのプレス片の間を切断して複数の熱交換器100を形成する。
【0112】
該方法は、同時に複数のコンパクト型熱交換器4を形成することができ、生産効率が向上する。そして第1片材、第2片材、第3片材、第4片材のエッジ又は中央領域に位置決め構造又はフールプルーフ構造又は位置決めフールプルーフ構造を形成するだけでよい。したがって、各プレス片上に位置決め構造等を形成する必要がなく、プレス片の材料が節約される。
【0113】
好ましくは、図11に示すように、前記第1片材上の複数のプレス片は、同一種類のプレス片であり、形成された複数のマイクロ熱交換器100は完全に同じであり、且つ同一片材上のプレス片の形状は同じである。これにより、生産と検査が容易になる。例えば、第1片材上に複数の第1マイクロ構造片131をプレス形成し、第2片材上に同じ数且つ同じ配列の第1マイクロ構造片131をプレス形成し、第3片材上に同じ数且つ同じ配列の第2マイクロ構造片132をプレス形成し、第4片材上に同じ数且つ同じ配列の第2スペーサ142をプレス形成する。
【0114】
当然ながら、前記第1片材上の複数のプレス片は、少なくとも2種類のプレス片を含んでもよく、片材全体の応力がより調和している。
【0115】
また、片材のサイズに応じて、第1片材上に形成されたプレス片の数は、2つ、4つ、6つ、又は8つである。
【0116】
また、上記製造方法の基に、さらに、前記外部構成基板71、前記外部構成作動流体出入口片72に隣り合うものが同種のスペーサ14であることにより、熱交換器100の積層方向に沿った両側の流体は同一の流体である。該熱交換器100を使用に投入するとき、冷又は熱を能動的に提供する作動流体は、前記外部構成基板71、前記外部構成作動流体出入口片72に隣り合う作動流体チャンネルを通過する。別のエネルギーを受動的に獲得する流体は、エネルギーを能動的に提供する流体に囲まれる。つまり、エネルギーを受動的に獲得する作動流体の両側ともに、エネルギーを能動的に提供する流体からエネルギーを獲得することができ、熱交換性能が高い。
【0117】
例えば、熱交換器100を凝縮器又は蒸発器として使用する場合、第1作動流体は冷媒で、第2作動流体は水であり、外部構成基板71、外部構成作動流体出入口片72に隣り合うものはいずれも第1スペーサ141であり、冷媒が水を囲み、いずれかの水流層の両側はともに冷媒と熱交換を行い、熱交換性能が高い。
【0118】
図12図17を参照すると、本発明の第2類の実施例と第1類の実施例の相違点は、第1入口21、第1出口31、第2入口22、第2出口32の形状が若干異なることだけであり、これらの前記熱交換領域4の方を向いた面は他の側に比べてよりなだらかに設計され、前記流れガイド面10の形成を容易にする。
【0119】
第1マイクロ構造片131、前記第1スペーサ141、第2マイクロ構造片132、第2スペーサ142のいずれにおいても対応する位置決め孔9が設けられ、好ましくは、位置決め孔を四隅に設けているので、積み重ねを容易にするとともに、熱交換領域本体の配置に影響を与えることがない。本発明は、上記いずれかの作動流体チャンネル片1が積層して形成され、又は上記いずれかの熱交換器の製造方法によって製造された熱交換器100をさらに提供する。前記熱交換器100は上記複数の作動流体チャンネル片1を含み、複数の前記作動流体チャンネル片1はO-Z方向に積層される。隣り合う2つの前記作動流体チャンネル片1の間に作動流体が流れる作動流体チャンネルが形成され、且つ隣り合う前記作動流体チャンネルのうちの1つは第1入口21、第1出口31にのみ連通し、他方は第2入口22、第2出口32にのみ連通する。
【0120】
ここで、隣り合う作動流体チャンネル片1上のマイクロ構造5の形状、配列方式は全て第1類の実施例と同じである。隣り合う作動流体チャンネル片1上のマイクロ構造5の中心点はO-XY方向に沿って位置合わせされており、且つ隣り合う作動流体チャンネル片1上のマイクロ構造5の形状は互いに異なる。ここでは他の詳細な説明を省略する。
【0121】
説明すべきことは、本発明は前記第1作動流体チャンネル片11の全ての特徴に「第1」を付け、前記第2作動流体チャンネル片12上の全ての特徴に「第2」を付け、「第1」及び「第2」は単に区別のためのものであり、構造及び機能を限定するものではない点である。例えば、前記熱交換領域4に対する説明は第1熱交換領域41、第2熱交換領域42に適用され、前記マイクロ構造5の構造及び分布方式に対する説明等は第1マイクロ構造51、第2マイクロ構造52に適用されるが、その他はいちいち記載しない。
【0122】
本明細書は実施形態に従って説明したが、各実施形態は1つの独立した技術的解決手段のみを含むわけではなく、明細書のこのような説明方式は明確にするためのものに過ぎず、当業者であれば明細書を全体と見なすべきであり、各実施形態における技術的解決手段は適宜組み合わせて、当業者が理解し得る他の実施形態を形成することもできることを理解すべきである。
【0123】
上述した一連の詳細な説明は本発明の実行可能な実施形態についての具体的な説明に過ぎず、それらは本発明の保護範囲を限定するためのものではなく、本発明の技術精神から逸脱することなく行われる同等の実施形態又は変更はいずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】