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  • 特表-MgB2超伝導ワイヤの結合部 図1
  • 特表-MgB2超伝導ワイヤの結合部 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】MgB2超伝導ワイヤの結合部
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/68 20060101AFI20240628BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01R4/68
H01R43/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500016
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022068364
(87)【国際公開番号】W WO2023280735
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21250004.5
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502385850
【氏名又は名称】エンベー ベカルト ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】NV Bekaert SA
(71)【出願人】
【識別番号】522018745
【氏名又は名称】イーポック ワイヤーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EPOCH WIRES LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 8 - Burlington Park Foxton, Cambridge Cambridgeshire CB22 6SA Great Britain
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】セルダール アタメルト
(72)【発明者】
【氏名】メメット クトゥックチュ
(72)【発明者】
【氏名】クリス ドゥフルスト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン メスダーク
【テーマコード(参考)】
5E051
【Fターム(参考)】
5E051GA04
(57)【要約】
超伝導ワイヤの結合部は、シース(104、108)と、反応済み超伝導MgBの芯(106、110)とをそれぞれ有する少なくとも2つの超伝導ワイヤ(100、102)を含む。少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ(100)は、第1の平坦端部を有し、及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤ(102)は、第2の平坦端部を有する。結合部は、MgB材料(114)が充填される中央部を有する管状金属コネクタ(112)を更に含む。第1の超伝導ワイヤ(100)の第1の平坦端部は、それがMgB材料に接触するまでコネクタの一方の側に挿入され、第2の超伝導ワイヤ(102)の第2の平坦端部は、それがMgB材料に接触するまでコネクタの他方の側に挿入され、コネクタは、両側(116、118)でプレスされて、超伝導ワイヤを固定し、及びコネクタの中央部は、プレスされて、MgB材料を圧縮する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導ワイヤの結合部であって、
シースと、反応済み超伝導MgB2の芯とをそれぞれ有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを含み、
少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤは、第1の平坦端部を有し、及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤは、第2の平坦端部を有し、
前記結合部は、管状金属コネクタを更に含み、
前記コネクタは、マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料が充填される中央部を有し、
前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤの前記第1の平坦端部は、それが前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料に接触するまで前記コネクタの一方の側に挿入され、
前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤの前記第2の平坦端部は、それが前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料に接触するまで前記コネクタの他方の側に挿入され、
前記コネクタは、両側でプレスされて、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを固定し、
前記コネクタの前記中央部は、プレスされて、前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料を圧縮する、結合部。
【請求項2】
前記第1の平坦端部及び前記第2の平坦端部は、1.1~10、好ましくは1.1~50の範囲の幅対厚さの比率を有する、請求項1に記載の結合部。
【請求項3】
前記管状金属コネクタは、低炭素鋼を含む、請求項1又は2に記載の結合部。
【請求項4】
前記管状金属コネクタは、チタンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合部。
【請求項5】
前記管状金属コネクタは、内部にチタンバリアを有し、且つ前記チタンバリアの周囲に低炭素鋼を有する、請求項3又は4に記載の結合部。
【請求項6】
反応済みMgB2の超伝導芯を有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを結合する方法であって、
a.少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを提供するステップであって、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤは、第1の端部を有し、及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤは、第2の端部を有する、ステップ、
b.前記第1の超伝導ワイヤの前記第1の端部を平坦化し、且つ前記第2の超伝導ワイヤの前記第2の端部を平坦化するステップ、
c.長さLtotを有し、且つ中央部を有する管状金属コネクタを提供するステップ、
d.未反応Mg粉末及びB粉末で前記コネクタの前記中央部を充填するステップ、
e.前記コネクタが元の円形断面を有する場合、前記コネクタを平坦化するステップ、
f.前記Mg粉末及びB粉末に接触するまで、前記少なくとも1つの第1の超伝導体の前記第1の端部を長さL1にわたって前記コネクタの一方の側に挿入するステップ、
g.前記Mg粉末及びB粉末に接触するまで、前記少なくとも1つの第2の超伝導体の前記第2の端部を長さL2にわたって前記コネクタの他方の側に挿入するステップ、
h.前記コネクタを両側でプレスして、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを前記コネクタ内に固定するステップ、
i.長さLcenterにわたって前記コネクタの前記中央部をプレスして、前記Mg及びB粉末を圧縮するステップであって、前記長さLtot、L1、L2及びLcenterは、以下の式:
Ltot=L1+L2+2×Lcr+Lcenter
に合致し、式中、Lcrは、前記超伝導ワイヤが前記中央部の前記プレスと一緒にプレスされることを回避するために必要である、一方では前記第1の平坦端部及び前記第2の平坦端部と、他方では前記コネクタの前記中央部の前記プレス長Lcenterとの間の臨界距離である、ステップ
を含む方法。
【請求項7】
前記コネクタ並びに前記第1の平坦端部及び第2の平坦端部を熱処理に供して、前記中央部に超伝導をもたらし、且つ前記第1の平坦端部及び第2の平坦端部において超伝導を回復するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理は、20分間~40分間にわたって800℃~1000℃の範囲で加熱する第1のフェーズ及び45分間~75分間にわたって550℃~750℃の範囲で加熱する第2のフェーズを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤの前記第1の端部を平坦化すること及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤの前記第2の端部を平坦化することは、前記第1の端部及び前記第2の端部の幅対厚さの比率が1.25~2.5、好ましくは1.50~2.0の範囲である程度まで行われる、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記臨界距離Lcrは、0.6mm~5.0mmの範囲である、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導芯としての二ホウ化マグネシウム(MgB)を有する超伝導ワイヤの結合部及びそのような結合部を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二ホウ化マグネシウムは、化学式MgBを有する無機化合物である。二ホウ化マグネシウムの超伝導性は、2001年に発見された。MgBは、39K(-234℃)で超伝導化され、これは、従来の超伝導体の中で最も高い。これにより、液体ヘリウムを使用する必要なく、超伝導体として機能することが可能である。
【0003】
超伝導性を保つために、超伝導ワイヤの2つの端部が結合される結合部に存在する電気抵抗も非常に低くなければならない。超伝導材料の非常に脆い性質を考慮すると、これは、簡単な課題ではない。
【0004】
従来技術では、超伝導結合部を実現する種々の代替形態が開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第A1-2009/0105079号明細書は、超伝導接触材料としてのMgBが挿入されるシース又はブッシングを使用する、超伝導体の2つの端部の超伝導接続部を開示している。超伝導体は、マルチワイヤ超伝導体である。接続部は、超伝導ワイヤが重なるシース又はブッシング内部の領域を示し、即ち、断面は、超伝導体の2つの端部からの超伝導ワイヤの存在を示す。
【0006】
韓国特許出願公開第A-10-2020-0103369号明細書は、単一のワイヤタイプの超伝導体の2つの端部の超伝導接続部を開示している。単一のワイヤタイプの超伝導体は、安定化層及び金属シースで囲まれたMgB超伝導芯を有する円線である。この接続部を実現するために、超伝導ワイヤの端部は、かなりの程度まで平坦化されて、結合面積を増やす。幅対厚さの比率は、3~100の範囲である。安定化層及び金属シースは、超伝導芯が一端部において開かれるように、平坦化された端部の一方の側で除去される。次いで、超伝導芯の開かれた側を互いに接触させる。接触端部は、結合コンテナに導入され、そこで、Mg及びB又はMgBの焼結粉末が導入され、加圧される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、代替の超伝導結合部を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、超伝導結合部を簡素化することである。
【0009】
本発明の特定の目的は、超伝導ワイヤを、既に反応済みのMgBと結合することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、超伝導ワイヤの結合部が提供される。結合部は、シースと、シースの内部のMgB超伝導芯とをそれぞれ有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを含む。少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤは、第1の平坦端部を有し、少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤは、第2の平坦端部を有する。結合部は、管状金属コネクタを更に含む。コネクタは、マグネシウム若しくはホウ素又はMgB材料が充填された中央部を有する。第1の超伝導ワイヤの第1の平坦端部は、それがマグネシウム若しくはホウ素又はMgB材料に接触するまでコネクタの一方の側に挿入される。第2の超伝導ワイヤの第2の平坦端部は、それもマグネシウム若しくはホウ素又はMgB材料に接触するまでコネクタの他方の側に挿入される。コネクタは、両側からプレスされて、第1の超伝導ワイヤ及び第2の超伝導ワイヤを固定する。コネクタの中央部がプレスされて、マグネシウム若しくはホウ素又はMgB材料を圧縮する。
【0011】
従来技術と比較して、本発明の結合部では、超伝導ワイヤを重ねる必要がない。加えて、超伝導ワイヤのシースを除去する必要もない。
【0012】
第1の平坦端部及び第2の平坦端部は、空隙をなくすため及びコネクタのプレス中にもはや変形しない安定した圧縮ワイヤを提供するための幅対厚さの比率を有する。好ましくは、これらの平坦端部は、1.1~10.0、好ましくは1.1~5.0、例えば1.25~2.5、例えば1.50~2.0の範囲の幅対厚さの比率を有する。
【0013】
第1の超伝導ワイヤ及び第2の超伝導ワイヤは、反応済み超伝導MgBの芯を有するため、隙間も有する。その理由は、反応済みMgBの体積が元のMg粉末及びB粉末よりも概ね25%小さいためである。超伝導ワイヤの端部は、隙間の数及び体積が減るような程度までプレスされる。超伝導ワイヤのこれらの既にプレスされた端部を後にプレスしても、もはや電流を妨げる大きいクラックが生じない。
【0014】
管状金属コネクタは、好ましくは、低炭素鋼を含む。
【0015】
管状金属コネクタは、チタンを含むこともできる。
【0016】
管状金属コネクタは、径方向内側にチタンバリアを有し、径方向外側に低炭素鋼を有し得る。
【0017】
管状金属コネクタは、好ましくは、低炭素鋼のみで作られ得る。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、反応済みMgBの超伝導芯を有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを結合する方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを提供するステップであって、第1の超伝導ワイヤは、第1の端部を有し、及び第2の超伝導ワイヤは、第2の端部を有する、ステップ、
b)第1の超伝導ワイヤの第1の端部を平坦化し、且つ第2の超伝導ワイヤの第2の端部を平坦化するステップ、
c)長さLtotを有し、中央部を有する管状金属コネクタを提供するステップ、
d)未反応Mg粉末及びB粉末で前記コネクタの中央部を充填するステップ、
e)コネクタが元の円形断面を有する場合、コネクタを平坦化するステップ、
f)Mg粉末及びB粉末に接触するまで、第1の超伝導体の第1の端部を長さLにわたってコネクタの一方の側に挿入するステップ、
g)Mg粉末及びB粉末に接触するまで、第2の超伝導体の第2の端部を長さLにわたってコネクタの他方の側に挿入するステップ、
h)コネクタを両側でプレスして、第1の超伝導ワイヤ及び第2の超伝導ワイヤをコネクタ内に固定するステップ、
i)長さLcenterにわたってコネクタの中央部をプレスして、Mg及びB粉末を圧縮するステップであって、長さLtot、L、L及びLcenterは、以下の式:
tot=L+L+2×Lcr+Lcenter
に合致し、式中、Lcrは、超伝導ワイヤが中央部のプレスと一緒にプレスされることを回避するために必要である、一方では第1の平坦端部及び第2の平坦端部と、他方ではコネクタの中央部のプレス長Lcenterとの間の臨界距離である、ステップ
を含む。
【0019】
管状金属コネクタの中央部に超伝導をもたらし、且つ平坦端部において超伝導を回復するために、管状金属コネクタ及び平坦端部は、熱処理に供される。
【0020】
この熱処理は、好ましくは、2つのフェーズ:
1)20分間~40分間にわたって800℃~1000℃の範囲で加熱する第1のフェーズ、その直後に続いて、
2)45分間~75分間にわたって550℃~750℃の範囲で加熱する第2のフェーズ
を含む。
【0021】
好ましくは、超伝導ワイヤの端部の平坦化は、これらの端部の幅対厚さの比率が1.10~10.0、好ましくは1.10~5.0、最も好ましくは1.50~2.5、例えば1.50~2.0の範囲である程度まで行われる。
【0022】
臨界距離Lcrの好ましい値は、0.6mm~5.0mm、好ましくは0.8mm~2.0mm、例えば0.8mm~1.2mmの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による結合部の準備の概略図である。
図2】本発明による結合部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、後続ステップ、即ち第1の超伝導ワイヤ100及び第2の超伝導ワイヤ102を結合することについて説明する。数値は、非限定的な例として与えられる。
【0025】
第1の超伝導ワイヤ100は、低炭素鋼のシース104と、反応済みMgBの芯106とを有する。
【0026】
第2の超伝導ワイヤ102は、チタンのバリア層及び低炭素鋼の外層を有するシース108と、反応済みMgBの芯110とを有する。
【0027】
管状金属コネクタ112が提供され、管状金属コネクタ112は、未反応ホウ素粉末及びマグネシウム粉末を含む。ホウ素粉末は、好ましくは、ナノホウ素粉末であり、マグネシウム粉末は、好ましくは、球状マグネシウム粉末である。例として、管状金属コネクタ112の外径は、5.6mm~6.0mmであり、管状金属コネクタ112は、約22mm長である。
【0028】
管状金属コネクタ112の第1の端部116及び第2の端部118は、最初にデバリングされる。
【0029】
次いで、管状金属コネクタ112の第1の端部116及び管状金属コネクタの第2の端部118は、希釈HCl溶液中に数秒間浸漬され、その後、真空下で乾燥される。
【0030】
第1の端部及び116及び第2の端部118は、両方とも研磨され、その後、アルコール洗浄及び真空乾燥される。
【0031】
1.25mmの穴が第1及び第2の超伝導ワイヤ100及び102の寸法に合うように、第1の端部116及び第2の端部118の両方に穿孔される。穴の長さは、第1の端部116の側でLであり、第2の端部118の側でLである。L及びLは、両方とも約6.5mmであり得る。
【0032】
穿孔後、管状金属コネクタ112は、その全長Ltotにわたって平坦化される。
【0033】
第1の超伝導ワイヤ100及び第2の超伝導ワイヤは、穿孔長L及びLよりも長い長さにわたって平坦化される。
【0034】
第1及び第2の超伝導ワイヤ100及び102のそうして平坦化された端部は、表面積を増やすために傾斜した状態で研削される。この研削動作後、再びアルコール洗浄及び真空乾燥が行われる。その後、第1及び第2の超伝導ワイヤ100及び102の平坦端部は、HClの希釈溶液中に浸漬され、その後、アルコール洗浄及び真空乾燥される。
【0035】
第1及び第2の超伝導ワイヤ100及び102の平坦端部は、それが中央部におけるホウ素粉末及びマグネシウム粉末に接触するまで管状金属コネクタ112に挿入される。
【0036】
管状金属コネクタ112の両端部116及び118に圧力が掛けられて、超伝導ワイヤ100及び102を固定して端部116及び118を封止する。
【0037】
管状金属コネクタ112の中央部分は、液圧プレス120によって長さLcenterにわたってプレスされる。長さLcenterは、平坦化前、例えば6.35mmである。
【0038】
1.0mmの臨界長Lcrは、両端において、管状金属コネクタ112の平坦化された中央部分と穿孔された穴との間に残る。
【0039】
最後に、熱処理が第1及び第2の超伝導ワイヤ100、102と、Mg粉末及びB粉末114を有する管状金属コネクタ112との組立体に適用される。
【0040】
述べたように、熱処理は、2つのフェーズを含む。
【0041】
第1のフェーズ中、組立体は、30分間にわたって900℃で加熱される。この第1のフェーズにおいて、以下の反応が生じる:
2MgB→Mg+MgB
【0042】
第1のフェーズ直後の第2のフェーズ中、組立体は、650℃の温度に60分間保たれる。この第2のフェーズ中、以下の反応が生じる:
Mg+MgB→2MgB
【0043】
このダブルフェーズ加熱処理は、管状金属コネクタ112の中央部に超伝導をもたらすのみならず、第1及び第2の超伝導ワイヤ100及び102の平坦端部でも超伝導を回復する。
【0044】
図2は、実現された結合部の概略図を与える。より具体的には、図2は、管状金属コネクタ112及び平坦化された中央部分126のプレスされた端部122及び124を示す。仕上げられた結合部、即ち平坦化動作後の結合部の典型的な寸法は、全長Ltot 23.8mm、平坦化された中央部分の長さLcenter 7.25mm、第1の超伝導ワイヤの挿入長7.9mm及び第2の超伝導ワイヤの挿入長8.7mmである。
【符号の説明】
【0045】
100 第1の超伝導ワイヤ
102 第2の超伝導ワイヤ
104 第1の超伝導ワイヤのシース
106 第1の超伝導ワイヤ内部の反応済みMgB
108 第2の超伝導ワイヤのシース
110 第2の超伝導ワイヤ内部の反応済みMgB
112 管状金属コネクタ
114 未反応のMg粉末及びB粉末
116 管状金属コネクタの第1の端部
118 管状金属コネクタの第2の端部
120 プレスツール
122 管状金属コネクタのプレスされた第1の端部
124 管状金属コネクタのプレスされた第2の端部
126 管状金属コネクタのプレスされた中央部分
【0046】
図中の略語のリスト
第1の超伝導ワイヤの挿入長
第2の超伝導ワイヤの挿入長
tot 管状金属コネクタの長さ
cr 臨界長
center 管状金属コネクタの中央部分の圧力ゾーン長
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導ワイヤの結合部であって、
シースと、反応済み超伝導MgB2の芯とをそれぞれ有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを含み、
少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤは、第1の平坦端部を有し、及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤは、第2の平坦端部を有し、
前記結合部は、管状金属コネクタを更に含み、
前記コネクタは、マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料が充填される中央部を有し、
前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤの前記第1の平坦端部は、それが前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料に接触するまで前記コネクタの一方の側に挿入され、
前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤの前記第2の平坦端部は、それが前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料に接触するまで前記コネクタの他方の側に挿入され、
前記コネクタは、両側でプレスされて、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを固定し、
前記コネクタの前記中央部は、プレスされて、前記マグネシウム若しくはホウ素又はMgB2材料を圧縮する、結合部。
【請求項2】
前記第1の平坦端部及び前記第2の平坦端部は、1.1~10、好ましくは1.1~50の範囲の幅対厚さの比率を有する、請求項1に記載の結合部。
【請求項3】
前記管状金属コネクタは、低炭素鋼を含む、請求項1に記載の結合部。
【請求項4】
前記管状金属コネクタは、チタンを含む、請求項1に記載の結合部。
【請求項5】
前記管状金属コネクタは、内部にチタンバリアを有し、且つ前記チタンバリアの周囲に低炭素鋼を有する、請求項3又は4に記載の結合部。
【請求項6】
反応済みMgB2の超伝導芯を有する少なくとも2つの超伝導ワイヤを結合する方法であって、
a.少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを提供するステップであって、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤは、第1の端部を有し、及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤは、第2の端部を有する、ステップ、
b.前記第1の超伝導ワイヤの前記第1の端部を平坦化し、且つ前記第2の超伝導ワイヤの前記第2の端部を平坦化するステップ、
c.長さLtotを有し、且つ中央部を有する管状金属コネクタを提供するステップ、
d.未反応Mg粉末及びB粉末で前記コネクタの前記中央部を充填するステップ、
e.前記コネクタが元の円形断面を有する場合、前記コネクタを平坦化するステップ、
f.前記Mg粉末及びB粉末に接触するまで、前記少なくとも1つの第1の超伝導体の前記第1の端部を長さL1にわたって前記コネクタの一方の側に挿入するステップ、
g.前記Mg粉末及びB粉末に接触するまで、前記少なくとも1つの第2の超伝導体の前記第2の端部を長さL2にわたって前記コネクタの他方の側に挿入するステップ、
h.前記コネクタを両側でプレスして、前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤ及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤを前記コネクタ内に固定するステップ、
i.長さLcenterにわたって前記コネクタの前記中央部をプレスして、前記Mg及びB粉末を圧縮するステップであって、前記長さLtot、L1、L2及びLcenterは、以下の式:
Ltot=L1+L2+2×Lcr+Lcenter
に合致し、式中、Lcrは、前記超伝導ワイヤが前記中央部の前記プレスと一緒にプレスされることを回避するために必要である、一方では前記第1の平坦端部及び前記第2の平坦端部と、他方では前記コネクタの前記中央部の前記プレス長Lcenterとの間の臨界距離である、ステップ
を含む方法。
【請求項7】
前記コネクタ並びに前記第1の平坦端部及び第2の平坦端部を熱処理に供して、前記中央部に超伝導をもたらし、且つ前記第1の平坦端部及び第2の平坦端部において超伝導を回復するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理は、20分間~40分間にわたって800℃~1000℃の範囲で加熱する第1のフェーズ及び45分間~75分間にわたって550℃~750℃の範囲で加熱する第2のフェーズを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の超伝導ワイヤの前記第1の端部を平坦化すること及び前記少なくとも1つの第2の超伝導ワイヤの前記第2の端部を平坦化することは、前記第1の端部及び前記第2の端部の幅対厚さの比率が1.25~2.5、好ましくは1.50~2.0の範囲である程度まで行われる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
前記臨界距離Lcrは、0.6mm~5.0mmの範囲である、請求項6又は7に記載の方法。
【国際調査報告】