(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/16 20060101AFI20240628BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01H50/16 W
H01H50/16 Y
H01F7/16 D
H01F7/16 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500039
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2022104680
(87)【国際公開番号】W WO2023280312
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110779803.1
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110780418.9
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121565706.4
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ウェングアン
(72)【発明者】
【氏名】ス、リジ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,モン
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AA08
5E048AB04
5E048AD04
(57)【要約】
本発明は、初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレーを開示し、磁路部分は、コイル、可動導磁体及び静止導磁体を含み、コイルと可動導磁体と静止導磁体とは、それぞれ適合する位置に取り付けられることで、可動導磁体の磁極面と静止導磁体の磁極面とが所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、2つの磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面方向に突出する凸部が設けられ、他方の磁極面には、凸部に対応する位置には、可動導磁体と静止導磁体とが互いに吸引されて一方の磁極面の凸部を嵌め込むことができる凹部が設けられている。本発明は、同等のコイル体積、消費電力で、初期電磁吸引力を増強することを実現することができ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低減することを実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、可動導磁体と、リターンスプリングと、静止導磁体とを含み、前記コイルと可動導磁体と静止導磁体とは、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、前記可動導磁体の磁極面と前記静止導磁体における磁極面とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイルが通電する時に前記可動導磁体を前記静止導磁体に移動させ、前記リターンスプリングは、前記可動導磁体の中央部と前記静止導磁体の中央部との間に設けられ、対応して設けられた2つの磁極面は、環状形状を呈し、初期電磁吸引力が増強する磁路部分であって、
2つの対応して設けられた前記磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面の方向に突出した凸部が設けられており、前記他方の磁極面では、前記凸部に対応する位置には、前記可動導磁体と前記静止導磁体とが互いに吸引して前記凸部が嵌め込むことができる凹部が設けられており、前記凸部及び凹部から対応する磁極面の環状形状の内輪及び外輪まで一定の距離を設け、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に、凸部が凹部に合わせる縦断面に発生した両側の吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体への移動方向に沿い、これにより、前記凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面の間の磁気ギャップを減少することで、磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させる
ことを特徴とする磁路部分。
【請求項2】
前記凸部の上面は、平面であり、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の全ての側面と前記凹部の対応する側壁との間のギャップは、完全に同じであり、これにより、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に発生した吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体へ移動方向に沿う
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項3】
凸部の上面の側辺から前記凹部の対応する凹口部の側縁までの距離は、前記2つの磁極面との間の所定の磁気ギャップよりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の磁路部分。
【請求項4】
前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の側面と前記凹部の側壁との間のギャップは、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離以上であり、且つ、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離は、2つの磁極面の間の距離以上である
ことを特徴とする請求項3に記載の磁路部分。
【請求項5】
前記凸部の側面は、鉛直面、斜面及び曲面のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであり、且つ、前記凸部は、縦断面において両辺の側面が対称構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項6】
前記一方の磁極面の凸部は1つ又は2つ以上であり、前記他方の磁極面の凹部は、対応する位置における1つ又は2つ以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項7】
前記凸部は、単独の部品であり、前記磁極面に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項8】
前記凸部は、前記磁極面に成形された一体構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項9】
前記凸部は、凸軸形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項10】
前記凸部は、ストライプ状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項11】
前記凸部は、直線状、弧状、又は円環状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項12】
前記磁極面の全ての凸部の上面の面積の和は、前記磁極面における全ての凸部を除去した後の残りの面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項6に記載の磁路部分。
【請求項13】
前記一方の磁極面は、可動導磁体に設けられ、前記他方の磁極面は、静止導磁体に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項14】
前記可動導磁体は、可動鉄心であり、前記静止導磁体は、固定鉄心又はヨーク板である
ことを特徴とする請求項13に記載の磁路部分。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の磁路部分を含む
ことを特徴とする高圧直流リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互引用]
本発明は、2021年7月9日に出願された出願番号が202110779803.1、202110780418.9及び202121565706.4の中国特許出願の優先権を要求し、これらの中国特許出願のすべての内容は引用によってすべて本文に組み込まれる。
【0002】
本発明は、リレー技術分野に関し、特に、初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレーに関する。
【背景技術】
【0003】
リレーは、電子制御装置であり、制御システム(入力回路とも呼ばれる)と被制御システム(出力回路とも呼ばれる)を有し、通常は自動制御回路に応用され、実際には小さな電流で大きな電流を制御する自動スイッチであるため、電気路において自動調整、安全保護、変換回路などの役割を果たす。高圧直流リレーは、高電力を処理する能力を持つリレーであり、高圧、大電流などの過酷な条件下でも従来のリレーとは比較にならない信頼性と使用寿命が長いなどの特徴があり、新エネルギー自動車分野などのさまざまな分野に広く応用されている。
【0004】
一方、新エネルギー自動車の航続距離の要求が高まるにつれて、電池容量がより高くなり、電池パックが短絡した際の短絡電流もより高くなり、これにより高圧直流リレーに強い短絡抵抗力が要求される。一方で、高圧直流リレーの消費電力はますます小さくなり、エネルギーの損失を減らすことも要求されている。新エネルギー自動車の乗車空間要件がますます大きくなると、高圧直流リレーの体積要件はますます小さくなる。総じて言えば、新エネルギー自動車などの分野に応用される高圧直流リレーは、強い電磁吸引力、低い駆動電力消費量、小体積の特徴を持っていることが要求される。しかし、従来技術では、短絡抵抗に対する要求の強い電磁吸引力は、リレーに大きなコイル巻線空間とコイル駆動電力消費が必要であり、これは、高圧直流リレーの小体積、低電力の消費と矛盾し、従来技術の高圧直流リレーの新エネルギー自動車などの分野での応用に影響を与えた。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の不足を克服し、初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレーを提供することであり、構造改善により、同等のコイル体積と消費電力で、初期電磁吸引力を増強させることを実現することができ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低減することを実現する。
【0006】
本発明が技術課題を解決しようとする技術案は、初期電磁吸引力が増強する磁路部分を提供し、コイルと、可動導磁体と、リターンスプリングと、静止導磁体とを含み、前記コイルと可動導磁体と静止導磁体とは、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、前記可動導磁体の磁極面と前記静止導磁体における磁極面とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイルが通電する時に前記可動導磁体を前記静止導磁体に移動させ、前記リターンスプリングは、前記可動導磁体の中央部と前記静止導磁体の中央部との間に設けられ、対応して設けられた2つの磁極面は、環状形状を呈し、ここで、2つの前記磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面の方向に突出した凸部が設けられており、前記他方の磁極面では、前記凸部に対応する位置には、前記可動導磁体と前記静止導磁体とが互いに吸引して前記凸部が嵌め込むことができる凹部が設けられており、前記凸部及び凹部から対応する磁極面の環状形状の内輪及び外輪まで一定の距離を設け、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に、凸部が凹部に合わせる縦断面に発生した両側の吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体への移動方向に沿い、前記凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面の間の磁気ギャップを減少することで、磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させる。
【0007】
本発明の一実施例により、前記凸部の上面は、平面であり、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の全ての側面と前記凹部の対応する側壁との間のギャップは、完全に同じであり、これにより、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に発生した吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体へ移動方向に沿う。
本発明の一実施例により、凸部の上面の側辺から前記凹部の対応する凹口部の側縁までの距離は、前記2つの磁極面との間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
本発明の一実施例により、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の側面と前記凹部の側壁との間のギャップは、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離以上であり、且つ、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離は、2つの磁極面の間の距離以上である。
【0008】
本発明の一実施例により、前記凸部の側面は、鉛直面、斜面及び曲面のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであり、且つ、前記凸部は、縦断面において両辺の側面が対称構造である。
【0009】
本発明の一実施例により、前記一方の磁極面の凸部は1つ又は2つ以上であり、前記他方の磁極面の凹部は、対応する位置における1つ又は2つ以上である。
【0010】
本発明の一実施例により、前記凸部は、単独の部品であり、前記磁極面に固定されている。
【0011】
本発明の一実施例により、前記凸部は、前記磁極面に成形された一体構造である。
【0012】
本発明の一実施例により、前記凸部は、凸軸形状である。
【0013】
本発明の一実施例により、前記凸部は、ストライプ状である。
【0014】
本発明の一実施例により、前記凸部は、直線状、弧状、又は円環状である。
【0015】
本発明の一実施例により、前記磁極面の全ての凸部の上面の面積の和は、前記磁極面における全ての凸部を除去した後の残りの面積よりも小さい。
【0016】
本発明の一実施例により、前記一方の磁極面は、可動導磁体に設けられ、前記他方の磁極面は、静止導磁体に設けられている。
【0017】
本発明の一実施例により、前記可動導磁体は、可動鉄心であり、前記静止導磁体は、固定鉄心又はヨーク板である。
【0018】
本発明の他の態様は、上記の初期電磁吸引力が増強する磁路部分を含む高圧直流リレーを提供する。
【0019】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0020】
本発明は、2つの磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面方向に突出する凸部を設け、前記他方の磁極面には、前記凸部に対応する位置に、可動導磁体と静止導磁体とが互いに吸引されて前記凸部を嵌め込むことができる凹部を設け、そして、前記凸部と前記凹部との間のコイルの通電時に発生する吸引力の合力方向は、可動導磁体が静止導磁体に移動する方向に常に沿い、より大きな吸引力を有する。本発明のこのような構成は、2つの磁極面のうちの一方の磁極面の凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面間の磁気ギャップを減少させ、それによって磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低下させることを実現し、本発明は、他方の磁極面の凹部を用いて一方の磁極面の凸部と協働することにより、前記2つの磁極面の間の所定の位置での吸着を保証することができる。
【0021】
以下、添付図面及び実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレーは、実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することにより、本発明の上記及び他の特徴及び利点がより明らかになるであろう。
【
図1】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例一の斜視分解図である。
【
図2】
図1に示す磁路部分の断面図(コイル通電前状態)である。
【
図4】
図1に示す磁路部分の断面図(コイル通電後に可動鉄心が所定位置に移動した状態)である。
【
図6】
図1に示す磁路部分における可動鉄心の断面図である。
【
図7】
図1に示す磁路部分における磁気ギャップと吸引力/反力との関係の模式図である。
【
図8】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例二の可動鉄心の断面図である。
【
図9】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例三の可動鉄心の斜面図である。
【
図10】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例四の可動鉄心の斜面図である。
【
図11】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例五の可動鉄心の斜面図である。
【
図13】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例六の可動鉄心の斜面図である。
【
図14】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例七の可動鉄心の断面図である。
【
図15】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例八の可動鉄心の斜面図である。
【
図16】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例九の斜視分解図である。
【
図18】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十の斜視分解図である。
【
図20】本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十一の斜視分解図である。
【
図22】本発明の直動式磁路部分の一実施例の可動鉄心の断面図である。
【
図23】本発明の直動式磁路部分の他の実施例の可動鉄心の断面図である。
【
図24】本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例一の断面図である。
【
図27】
図24に示す磁路部分の磁気ギャップと吸引/反力との対応関係の模式図である。
【
図28】本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例二の断面図である。
【
図29】
図28に示す磁路部分の実施例二の斜視分解図である。
【
図30】本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例三の断面図である。
【
図31】
図30に示す磁路部分の実施例三の斜視分解図である。
【
図32】本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例四の断面図である。
【
図33】
図32に示す磁路部分の実施例四の斜視分解図である。
【
図34】本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例五の断面図である。
【
図35】
図34に示す初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例五の斜視分解図である。
【
図37】本発明の磁路部分の実施例六の断面図である。
【
図38】
図37に示す磁路部分の実施例六の斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して、例示的な実施形態についてより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は様々な形態で実施することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されると理解されるべきではない。本明細書では、アイコンの1つのコンポーネントの他のコンポーネントに対する相対的な関係を記述するために「上」、「下」などの相対的な用語を使用しているが、これらの用語は、本明細書では便宜上、例えば図面に記載された例に従った方向にのみ使用される。アイコンのデバイスを上下逆に反転させると、「上」に述べたコンポーネントが「下」にあるコンポーネントになることが理解できる。他の相対的な用語、例えば「頂」、「底」なども同様の意味を持つとしている。構造物が他の構造物に「上」にある場合、構造物が他の構造物に一体的に形成されていることを意味したり、構造物が他の構造物に「直接」に設置されていることを意味したり、構造物が他の構造物に「間接」によって設置されていることを意味したりすることがある。
【0024】
用語「1個」、「1つ」、「その」、「前記」は、1つ又は複数の要素/構成要素/などが存在することを表すために使用される、用語「含む」及び「有する」は、開放的な包含を意味するために使用され、列挙された要素/構成要素/等の他に存在することができる要素/構成要素/等を意味する、用語「第1」、「第2」などはマークとしてのみ使用され、その対象の数量制限ではない。
【0025】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例一
図1~
図6に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分は、コイル1と、可動導磁体2と、リターンスプリング41と、静止導磁体3とを含む。前記コイル1と可動導磁体2と静止導磁体3とは、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、可動導磁体2の磁極面21と静止導磁体3の磁極面31とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイル1が通電する時に前記可動導磁体2が前記静止導磁体3に吸引され、前記リターンスプリング41は、前記可動導磁体2の中央部と前記静止導磁体3の中央部の間に設けられて、対応して設けられた2つの磁極面は、環状形状を呈し、即ち、可動導磁体2の磁極面21は、環状であり、静止導磁体3の磁極面31も環状である。
この実施例では、可動導磁体2は、可動鉄心であり、中間にはリターンスプリング41を取り付けるための溝22が設けられており、可動鉄心2の静止導磁体3に向かう面において、中間に溝22があるため、可動鉄心2の磁極面21は、環状である。静止導磁体3は、ヨーク板であり、ヨーク板3の中間にはリターンスプリング41を取り付けるための溝32が設けられ、ヨーク板3の磁極面31は、その位置が可動鉄心2の環状の磁極面21に対応する環状領域である。
【0026】
前記磁路部分は、導磁筒42とU型ヨーク43とをさらに含み、前記コイル1は、U型ヨーク43のU型の開口に配置され、前記導磁筒42は、コイル1の中間通孔に配置され、その底端がU型ヨーク43に接続されている。前記可動鉄心2は、コイル1の中間通孔及び導磁筒42の中間通孔に移動可能に配置し、可動鉄心2の上端面は磁極面21とされている。ヨーク板3は、U型ヨーク43の上端に取り付けられ、コイル1と可動鉄心2の上方に位置している。リターンスプリング41は、可動鉄心2とヨーク板3との間に取り付けられ、可動鉄心のリセットを実現する。ヨーク板3の下端面は磁極面31とされ、コイル1の通電時には可動鉄心2が上に移動しヨーク板3に吸引される。
【0027】
この実施例では、2つの磁極面21、31のうちの一方の磁極面21に、他方の磁極面31の方向に突出する凸部5を設け、この実施例では、凸部5を可動鉄心2に設け、前記他方の磁極面31には、前記凸部5に対応する位置に、可動鉄心2とヨーク板3とが互いに吸着して前記凸部5を嵌め込むことができる凹部6を設け、すなわちヨーク板3に凹部6を設け、前記凸部5と凹部6から対応する磁極面の環状形状の内輪と外輪まで一定の距離を設けている。
【0028】
可動鉄心2を例にとると、可動鉄心2の凸部5から磁極面21の内輪211まで一定の距離を有しており、この距離は必要に応じて設定することができ、可動鉄心2の凸部5から磁極面21の外輪212までも一定の距離を有し、この距離も必要に応じて設定することもできる。すなわち、可動鉄心2の凸部5は、磁極面21の内輪211と磁極面21の外輪212との位置に設けることができず、そして、前記凸部5と前記凹部6との間でコイル1の通電時の凸部5と凹部6に合わせる縦断面(
図3、
図5に示す)に発生する両側吸引力の合力方向は、常に可動鉄心2のヨーク板3への移動の方向に沿い、これにより、前記凸部5を用いて凸部位置における2つの磁極面21、31間の磁気ギャップを小さくすることにより、磁気抵抗を低減させ、初期電磁吸引力を増加させる。
【0029】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、1つであり、前記ヨーク板3の磁極面31の凹部6は、対応位置にある1つである。
【0030】
この実施例において、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、前記可動鉄心2の磁極面21に成形された一体構造である。
【0031】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21上の凸部5は、ストライプ状である。
【0032】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21上の凸部5は、円環形である。
【0033】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21上の凸部5の対向する2つの側面はいずれも鉛直面であり、前記凸部5は縦断面(
図3、
図5に示す)において、2つの側面は対称構造である。
【0034】
図3、
図5に示すように、この実施例では、前記凸部5の上面51は平面であり、前記凸部5が前記凹部6に嵌入された状態では、前記凸部5の側面52と前記凹部6の側壁61との間の各所の隙間は、完全に同じであり、これにより、コイル1が通電すると、前記凸部5と前記凹部6との間に発生する力の合力方向は、常に可動鉄心2がヨーク板3に移動する方向に沿う。
【0035】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5の上面の面積は、前記可動鉄心2の磁極面21における凸部5を除去した残りの面積よりも小さい。
【0036】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5の突出高さは、前記2つの磁極面21、31間の所定の磁気ギャップよりも小さく、前記凸部5の上面における側辺から前記凹部6の対応する凹口部における側壁までの距離は、前記2つの磁極面21、31間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
【0037】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5が前記ヨーク板3の磁極面31の凹部6に嵌め込まれた状態で、前記凸部5の側面52と前記凹部6の側壁61との間の隙間は、凸部5の上面51と凹部6の底面62との間の距離以上であり、且つ、凸部5の上面51から凹部6の底面62までの距離は、2つの磁極面21、31との間の距離以上であり、吸着したときの保持力を保証する。
【0038】
図3に示すように、コイル1の通電直後には、可動鉄心2とヨーク板3との間に吸引力が発生し、その吸引力は、可動鉄心2の凸部5の両側縁とヨーク板3の凹部6の両対応縁との間の吸引力F1、F2と、可動鉄心2の凸部の上面51とヨーク板3の凹部6の底面62との間の吸引力F5と、凸部5の両側の磁極面21と凹部6の両側の磁極面31との間の吸引力F3、F4とを含む。
【0039】
起動時、吸引力F1、F2における隙間は吸引力F3、F4、F5における隙間より小さく、吸引力F1、F2は大きく、吸引力F1における隙間は吸引力F2における隙間と等しく、吸引力F1、F2の合力は、可動鉄心2がヨーク板3に移動する方向に沿っており、吸引力F1、F2があるため、初期電磁吸引力が増強される。
【0040】
磁路部分が起動してから可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31が吸着されたまでの間、吸引力F1、F2における隙間は等しく、吸引力は対称であり、合力は、依然として可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿い、また、吸引力F3、F4、F5における隙間の縮小に伴い、吸引力F3、F4、F5は徐々に増大し、徐々に主要な役割を果たす。可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31とが吸着されてから保持状態にあり、
図5に示すように、吸引力F3、F4、F5が最大に達し、吸引力F1、F2が小さく、吸引力F1、F2の合力は、依然として可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿う。
【0041】
本発明の高圧直流リレーは、上記の初期電磁吸引力が増強する磁路部分を含む。
【0042】
図7を参照すると、
図7は本発明の高圧直流リレーにおける吸引力/反力と磁気ギャップとの関係を示し、図中の曲線1はリレー運動の反力曲線、曲線2は従来技術のリレーの吸引力曲線、曲線3は本発明のリレーの吸引力曲線である。リレーの起動瞬間で、磁気ギャップは、
図7の右側位置(つまり1.45mm)のように最大で、この時、コイルに駆動電圧を与え、7Vと仮定すると、この時、従来技術では電磁吸引力(
図7の曲線2の右側)を発生し、本発明では、可動鉄心2で凸部5を設けることにより、磁気ギャップを低減し、初期磁気抵抗を低減し、初期吸引力を向上し、起動電力消費を低減し、この時の駆動電圧はまだ7Vであるが、発生した電磁吸引力はより大きく(
図7の曲線3の右側)、
図7から分かるように、磁気ギャップ0.35mmで曲線2と曲線3が交差し、磁気ギャップ1.45mmから0.35mmで、本発明の電磁吸引力は、従来技術の電磁吸引力よりも大きい。従来技術と同じ電磁吸引力を発生させる場合に、より小さな駆動電圧だけが必要となり、駆動消費電力が低減される。可動鉄心2の凸部5に対応する位置には、ヨーク板3の磁極面31に凹部6が設けられているため、凸部5が凹部6と協働することで、磁極は、鉄心が完全に閉じられ、すなわち可動鉄心2の磁極面21がヨーク板3の磁極面31と吸着するまで動き続ける。
【0043】
本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分及び高圧直流リレーは、可動鉄心2の磁極面21にヨーク板3の磁極面31方向に突出する凸部5を設け、前記ヨーク板3の磁極面31には、前記凸部5に対応する位置に、可動鉄心2とヨーク板3とが互いに吸引されて前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5が嵌入可能な凹部6を設け、そして、前記凸部5と前記凹部6との間でコイル1の通電時に発生する吸引力の合力方向は、常に可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿い、より大きな吸引力を有する。本発明のこのような構成は、可動鉄心2の磁極面21の凸部5を利用して凸部位置における2つの磁極面21、31間の磁気ギャップを小さくし、それによって磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低下させることを実現し、本発明は、ヨーク板3の磁極面31の凹部6を利用して可動鉄心2の磁極面21の凸部5と協働することにより、前記2つの磁極面21、31間の所定の位置での吸着を保証することができる。本発明の可動鉄心2の磁極面21の凸部5とヨーク板3の磁極面31の凹部6は、リターンスプリング41の外辺に位置し、限られた磁極空間を合理的に利用でき、リターンスプリングの空間を占有しない(リセット機能に影響しない)。特に、この実施例は、環状凸部5を採用し、中間のリターンスプリング41の周り、環状360度の縦断面において凸部と凹部との協働があり、初期吸引力を最大限に高めることができる。
【0044】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例二
図8に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例二と実施例一と異なることは、前記凸部5は、単独の部品であり、前記可動鉄心2の磁極面21に固定されることである。
【0045】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例三
図9に示すように、本発明の初期電磁吸引力が強化された磁路部分の実施例三と実施例一と異なることは、前記凸部5が凸軸形状であることである。
もちろん、凸軸形状の凸部5は、単独の部品であってもよく、凸軸形状の凸部5は前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0046】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例四
図10に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例四と実施例三と異なることは、凸軸形状の凸部5が2つである。
【0047】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例五
図11、
図12に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例五と実施例一と異なることは、円環形の凸部5が2つ、ヨーク板3の磁極面31の凹部6は、対応して配置された2つであることである。
【0048】
もちろん、2つの円環形の凸部5は、単独の部品であってもよく、2つの凸部5は、前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0049】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例六
図13に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例六と実施例一と異なることは、前記ストライプ状の凸部5が弧状であり、弧状の凸部5が2つであり、ヨーク板3の磁極面31の凹部6は、対応する形状の2つであることである。
もちろん、2つの弧状の凸部5は、単独の部品であってもよく、2つの凸部5は前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0050】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例七
図14に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例七と実施例一と異なることは、可動鉄心2の凸部5の両辺の側面52が斜面であることである。この実施例では、可動鉄心2の凸部5の両辺の側面52を斜面とし、対応するヨーク板3の凹部6の両側壁を対応する斜面とし、このような構造は、可動鉄心2の磁極面21の凸部5の突出高さを前記2つの磁極面21、31間の所定の磁気ギャップよりも小さく設計しても良く、可動鉄心2の磁極面21の凸部5の突出高さを、前記2つの磁極面21、31の間の予め設けられた磁気ギャップよりも大きく設計してもよく、後者の場合、コイルが通電していない場合、可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、ヨーク板3の凹部6に一部が嵌め込まれる。
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例八
図15に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例八と実施例六と異なることは、前記ストライプ状の凸部5が直線状であることである。
【0051】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例九
図16、
図17に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例九と実施例一と異なることは、凸部5をヨーク板3の磁極面31に設け、凹部6を可動鉄心2の磁極面21に設けることである。
【0052】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十
図18、
図19に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十と実施例一と異なることは、静止導磁体が2つあり、ヨーク板3のほかに静止鉄心7があり、静止鉄心7がヨーク板3に取り付けられており、可動鉄心2の磁極面21に合うのは静止鉄心7の下端面であり、即ち、静止鉄心7の下端面は、磁極面71が可動鉄心2の磁極面21に合わせるように構成し、そこで、この実施例では、凹部6は、静止鉄心7の磁極面71に設けられている。
【0053】
初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十一
図20、
図21に示すように、本発明の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例十一と実施例十と異なることは、凸部5を静止鉄心7の磁極面71に設け、凹部6を可動鉄心2の磁極面21に設けることである。
また、本発明は、また直動式磁路部分及び高圧直流リレーを提供し、構造の改善により、同等のコイル体積、消費電力で、初期電磁吸引力を高めることを実現し、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低減することを実現することができる。
【0054】
本発明による技術方案は、コイルと、可動導磁体と、静止導磁体とを含む直動式磁路部分であり、前記コイル、可動導磁体及び静止導磁体は、それぞれ適合する位置に設けられることで、可動導磁体の磁極面と静止導磁体における磁極面とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイルが通電する時に前記可動導磁体が前記静止導磁体に吸引され、2つの磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面方向に突出する凸部が設けられ、前記他方の磁極面には、前記凸部に対応する位置に前記凸部を嵌め込むことができる凹部が設けられ、凹部の凹み深さは、前記凸部の突出高さ以上である。
【0055】
本発明の一実施例により、コイルが通電しない時に、前記凸部の突出高さは、前記2つの磁極面の間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
【0056】
本発明の一実施例により、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の全ての側面と前記凹部の対応する側壁との間のギャップは、完全に同じである。
【0057】
本発明の一実施例により、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の側面と前記凹部の側壁との間のギャップは、凸部の上面から凹部の底面までの距離以上であり、且つ、凸部の上面から凹部の底面までの距離は、2つの磁極面の間の距離以上である。
本発明の一実施例により、前記凸部の上面は、平面であり、凸部の上面の側辺から前記凹部の対応する凹口部の側縁までの距離は、前記2つの磁極面との間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
【0058】
本発明の一実施例により、前記凸部の側面は、鉛直面、斜面及び曲面のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせである。
【0059】
本発明の一実施例により、前記凸部は、1つ又は2つ以上であり、前記凹部は、対応位置における1つ又は2つ以上である。
【0060】
本発明の一実施例により、前記凸部は、単独の部品であり、前記磁極面に固定されている。
【0061】
本発明の一実施例により、前記凸部は、前記磁極面に成形された一体構造である。
【0062】
本発明の一実施例により、前記凸部は、凸軸形状である。
【0063】
本発明の一実施例により、前記凸部は、ストライプ状である。
【0064】
本発明の一実施例により、前記凸部は、直線状、弧状、又は円環状である。
【0065】
本発明の一実施例により、前記磁極面の全ての凸部の上面の面積の和は、前記磁極面における全ての凸部を除去した残りの面積よりも小さい。
【0066】
本発明の一実施例により、前記一方の磁極面は、可動導磁体に設けられ、前記他方の磁極面は、静止導磁体に設けられ、前記可動導磁体は、可動鉄心である。
【0067】
前記静止導磁体は、固定鉄心又はヨーク板である。
【0068】
本発明の他の態様は、上記の直動式磁路部分を含む高圧直流リレーを提供する。
【0069】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0070】
本発明は、2つの磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面方向に突出する凸部を設け、前記他方の磁極面には、前記凸部に対応する位置に、前記凸部を嵌め込むことができる凹部を設け、且つ、凹部の凹み深さが前記凸部の突出高さ以上であり、コイルが通電しない状態において、前記凸部の突出高さは、前記2つの磁極面の間の所定の磁気ギャップよりも小さい。本発明のこのような構成は、2つの磁極面のうちの一方の磁極面の凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面間の磁気ギャップを減少させ、それによって磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低下させることを実現し、本発明は、他方の磁極面の凹部を用いて一方の磁極面の凸部と協働することにより、前記2つの磁極面の間の所定の位置での吸着を保証することができる。
【0071】
前述の初期電磁吸引力が増強する磁路部分の実施例が使用する
図1~
図22に示すように、本発明の直動式磁路部分にも適用可能であり、簡明のために、以下に
図1~
図22を用いて本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーについてさらに詳細に説明するが、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーは実施例に限定されない。
【0072】
直動式磁路部分の実施例一
図1から
図6に示すように、本発明の直動式磁路部分は、コイル1と、可動導磁体2と、静止導磁体3とを含み、前記コイル1、可動導磁体2及び静止導磁体3は、それぞれ適合する位置に設けられることで、可動導磁体2の磁極面21と静止導磁体3の磁極面31とが所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイル1の通電時に前記可動導磁体2が前記静止導磁体3に吸引され、この実施例では、可動導磁体2は可動鉄心であり、静止導磁体3はヨーク板であり、前記磁路部分は、さらに、バネ41と、導磁筒42と、U型ヨーク43とを含み、前記コイル1は、U型ヨーク43のU型の開口に設けられ、導磁筒42は、コイル1の中間通孔に設けられ、導磁筒42の底端はU型ヨーク43に接続されており、前記可動鉄心2は、コイル1の中間通孔及び導磁筒42の中間通孔に移動可能に設けられ、可動鉄心2の上端面は磁極面21とされ、ヨーク板3はU型ヨーク43の上端に装着され、コイル1と可動鉄心2の上方にあり、バネ41は可動鉄心2とヨーク板3の間に装着されて可動鉄心2のリセットを実現し、ヨーク板3の下端面は磁極面31とされ、コイル1の通電時に可動鉄心2は上向きに移動してヨーク板3に吸引され、この実施例では、2つの磁極面のうちの一方の磁極面である可動鉄心2の磁極面21に、他方の磁極面の方向であるヨーク板3の磁極面31方向に突出する凸部5を設け、前記ヨーク板3の磁極面31には、前記凸部5に対応する位置に前記凸部5を嵌入可能な凹部6を設け、ヨーク板3の磁極面31の凹部6の凹み深さは、可動鉄心2の磁極面21の凸部5の突出高さ以上であり、コイル1が通電しない状態では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5の突出高さは、前記2つの磁極面21、31間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
【0073】
この実施例では、前記凸部5が前記凹部6に嵌め込まれた状態で、前記凸部5のすべての側面52と前記凹部6の対応する側壁61との間の隙間は、全く同じである。
【0074】
この実施例では、前記凸部5が前記凹部6に嵌め込まれた状態で、前記凸部5の側面52と前記凹部6の側壁61との間の隙間は、凸部5の上面51から凹部6の底面62までの距離以上であり、且つ、凸部5の上面51から凹部6の底面62までの距離は、2つの磁極面21、31との間の距離以上である。
【0075】
この実施例では、前記凸部5の上面51は平面であり、前記凸部5の上面51の側辺から前記凹部6の対応する凹口部の側縁までの距離は、前記2つの磁極面21、31の間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
【0076】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は1つであり、前記ヨーク板3の磁極面31の凹部6は、対応位置における1つである。
この実施例において、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、前記可動鉄心2の磁極面21に成形された一体構造である。
【0077】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、ストライプ状に分布している。
【0078】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5は、円環形である。
【0079】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5両辺の側面は、いずれも鉛直面である。
【0080】
図3、
図5に示すように、この実施例では、前記凸部5の上面51は平面であり、前記凸部5が前記凹部6に嵌入された状態では、前記凸部5の側面52と前記凹部6の側壁61との間の各所の隙間は完全に同じであり、これにより、コイル1が通電すると、前記凸部5と前記凹部6との間に発生する吸引力の合力方向は、常に可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿う。
【0081】
この実施例では、前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5の上面の面積は、前記可動鉄心2の磁極面21における凸部5を除去した残りの面積よりも小さい。
【0082】
図3に示すように、コイル1の通電直後には、可動鉄心2とヨーク板3との間に吸引力が発生し、その吸引力は、可動鉄心2の凸部5の両側辺とヨーク板3の凹部6の両対応縁との間の吸引力F1、F2と、可動鉄心2の凸部の上面51とヨーク板3の凹部6の底面62との間の吸引力F5と、凸部5の両辺の磁極面21と31との間の吸引力F3、F4とを含む。
【0083】
起動時、吸引力F1、F2における隙間は吸引力F3、F4、F5における隙間より小さく、吸引力F1、F2は大きく、吸引力F1における隙間は、吸引力F2における隙間と等しく、吸引力F1、F2の合力は、可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿っており、吸引力F1、F2があるため、初期電磁吸引力が増強される。起動してから可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31とが吸着する前まで吸引力F1、F2が同時に吸引され、吸引力F1、F2における隙間は等しく、吸引力は対称であり、合力は、依然として可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿い、また、吸引力F3、F4、F5における隙間の縮小に伴い、吸引力F3、F4、F5は徐々に増大し、徐々に主要な役割を果たす。可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31とが吸着されてから保持状態にあり、
図5に示すように、吸引力F3、F4、F5が最大に達し、吸引力F1、F2が小さく、吸引力F1、F2の合力は、依然として可動鉄心2がヨーク板3に吸引される方向に沿う。
【0084】
本発明高圧直流リレーは、上記の直動式磁路部分を含む。
【0085】
本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーは、可動鉄心2の磁極面21にヨーク板3の磁極面31方向に突出する凸部5を設け、前記ヨーク板3の磁極面31には、前記凸部5に対応する位置に、可動鉄心2とヨーク板3とが互いに吸引されて前記可動鉄心2の磁極面21の凸部5が嵌入可能な凹部6が設けられている。本発明のこのような構成は、可動鉄心2の磁極面21の凸部5を利用して凸部位置における2つの磁極面21、31間の磁気ギャップを小さくし、それによって磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低下させることを実現し、本発明は、ヨーク板3の磁極面31の凹部6を利用して可動鉄心2の磁極面21の凸部5と協働することにより、前記2つの磁極面21、31間の所定の位置での吸着を保証することができる。
【0086】
直動式磁路部分の実施例二
図8に示すように、本発明直動式磁路部分及び高圧直流リレーの実施例二と実施例一と異なることは、前記凸部5は、単独の部品であり、前記可動鉄心2の磁極面21に固定されることである。
【0087】
直動式磁路部分の実施例三
図9に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレー実施例三と実施例一と異なることは、前記凸部5が凸軸形状であることである。
【0088】
もちろん、凸軸形状の凸部5は、単独の部品であってもよく、凸軸形状の凸部5は前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0089】
直動式磁路部分の実施例四
図10に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーの実施例四と実施例三と異なることは、凸軸形状の凸部5が2つであることである。
【0090】
直動式磁路部分の実施例五
図11、
図12に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーの実施例五と実施例一と異なることは、円環形の凸部5が2つ、ヨーク板3の磁極面31の凹部6が、対応する2つであることである。
【0091】
もちろん、2つの円環形の凸部5は、単独の部品であってもよく、2つの凸部5は前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0092】
直動式磁路部分の実施例六
図13に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーの実施例六と実施例一と異なることは、前記ストライプ状の凸部5が弧状であり、弧状の凸部5が2つであり、ヨーク板3の磁極面31の凹部6が、対応する形状の2つであることである。
【0093】
もちろん、2つの弧状の凸部5は、単独の部品であってもよく、2つの凸部5は前記可動鉄心2の磁極面21に固定されている。
【0094】
直動式磁路部分の実施例七
図11に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、可動鉄心2の凸部5の両辺の側面52が斜面であることである。
【0095】
直動式磁路部分の実施例八
図15に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例六と異なることは、前記ストライプ状の凸部5が直線状であることである。
【0096】
直動式磁路部分の実施例九
図22に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、可動鉄心2の凸部5のうち一辺の側面52が斜面であることである。
【0097】
直動式磁路部分の実施例十
図23に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、可動鉄心2の凸部5の両辺の根元部の高さ位置が一致しないことである。
【0098】
直動式磁路部分の実施例十一
図16、
図17に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、凸部5をヨーク板3の磁極面31に設け、凹部6を可動鉄心2の磁極面21に設けることである。
【0099】
直動式磁路部分の実施例十二
図18、
図19に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、静止導磁体が2つあり、ヨーク板3の他に、静止鉄心7があり、静止鉄心7がヨーク板3に取り付けられており、可動鉄心2の磁極面21に合うのは静止鉄心7の下端面であり、すなわち静止鉄心7の下端面は、磁極面71と可動鉄心2の磁極面21とが合わせるように構成するため、この実施例では、凹部6は、静止鉄心7の磁極面71に設けられている。
【0100】
直動式磁路部分の実施例十三
図20、
図21に示すように、本発明の直動式磁路部分及び高圧直流リレーと実施例十二と異なることは、凸部5を静止鉄心7の磁極面71に設け、凹部6を可動鉄心2の磁極面21に設けることある。
【0101】
本発明は、また、初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーを提供し、構造の改良により、同等のコイル体積、消費電力で、初期電磁吸引力を高めることを実現し、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を減少させ、コイル消費電力を低減することを実現する。
【0102】
本発明の技術方案は、初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分であり、コイル、可動導磁体と静止導磁体を含み、前記コイルと可動導磁体と静止導磁体は、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、可動導磁体の磁極面と静止導磁体の磁極面とが所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイル通電時に前記可動導磁体が前記静止導磁体に吸引され、前記磁路部分は、凸部部材をさらに含み、前記凸部部材は、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の磁極面に対応する位置にスライド可能に配置され、可動導磁体が移動しない状態では、前記凸部部材は、前記一方の部材の磁極面から他方の部材の磁極面に向かう方向に突出し、これにより、2つの部材の磁極面の間の磁気ギャップが凸部部材の位置で小さくなることで、磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を向上させ、前記可動導磁体が移動して一方の部材の凸部部材が他方の部材の磁極面に当接した後、前記凸部部材が突出の反対方向に移動することで、2つの部材の磁極面間の所定の位置での吸着を保証することができる。
【0103】
本発明の一実施例によれば、前記凸部部材は突出部付きブロック構造であり、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の磁極面に対応する箇所にスライド溝が設けられ、前記ブロック構造の凸部部材は、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材のスライド溝にスライド可能に配置され、前記凸部部材の突出部を、前記1つの部材の磁極面から他の部材の磁極面方向に突出させる。
【0104】
本発明の一実施例によれば、前記突出部付きブロック構造と前記スライド溝との間には、互いに合わせる第1の階段構造が設けられており、前記第1の階段構造は、前記凸部部材の突出部の前記他方の部材の磁極面の方向への移動を制限することで、可動導磁体が移動していない状態で、前記一方の部材の凸部部材の突出部と前記他方の部材の磁極面との間に一定の隙間があることを保証する。
【0105】
本発明の一実施例によれば、この突出部付きブロック構造は1つ又は2つ以上であり、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材のスライド溝は、対応する1つ又は2つ以上である。
【0106】
本発明の一実施例によれば、前記凸部部材は環状部材であり、前記環状部材は前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の外周辺にスライド可能に配置され、前記環状部材の一端を前記1つの部材の磁極面から他の部材の磁極面方向に突出させる。
本発明の一実施例によれば、前記環状部材の他端と前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の外周辺との間には、互いに合わせる凸縁構造が設けられており、前記凸縁構造は、前記環状部材の一端が前記他方の部材の磁極面の方向に移動することを制限し、可動導磁体が移動していない状態で、前記環状部材の一端と他方の部材の磁極面との間に一定の隙間があることを保証する。
【0107】
本発明の一実施例により、前記凸部部材は、前記可動導磁体にスライド可能に配置され、前記可動導磁体は、可動鉄心である。
【0108】
本発明の一実施例により、前記凸部部材は、前記静止導磁体スライド可能に配置され、前記静止導磁体は、ヨーク板又は静止鉄心である。
【0109】
本発明の他の態様は、上記の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分を含む高圧直流リレーを提供する。
【0110】
従来技術と比較して、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーの有益な効果は、以下の通りである。
【0111】
本発明の磁路部分には凸部部材が設け、前記凸部部材は、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の磁極面に対応する位置にスライド可能に配置され、可動導磁体が移動しない状態では、前記凸部部材は、前記一方の部材の磁極面から他方の部材の磁極面方向に突出し、また、前記可動導磁体が移動して前記一方の部材の凸部部材を前記他方の部材の磁極面に当接させた後、前記凸部部材が突出の反対方向に移動する。本発明のこのような構成は、第1の側面として、2つの部材の磁極面の間の磁気ギャップが凸部部材の位置で小さくなるように、凸部部材が前記一方の部材の磁極から他方の部材の磁極面方向に突出することにより、磁気抵抗を低減し、初期電磁吸引力を向上させることができ、又は、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を低減し、コイル消費電力を低減することを実現し、本発明は、凸部部材を用いて突出の反対方向に移動することができ、それにより、前記2つの部材の磁極面の間の所定の位置での吸着を保証することができる。第2の側面として、可動導磁体と静止導磁体との吸着過程において譲位空間を設ける必要はなく、凸部部材は可動導磁体と静止導磁体との間隙方向に設けられ、可動導磁体の静止導磁体の方向への吸引力を発生することができる。第3の側面として、吸引反力のマッチングに応じて、凸部部材の突出高さを設計する必要がある場合、凸部部材は可動であるため、設計段階で可動導磁体(可動鉄心)又は静止導磁体(静止鉄心又はヨーク板)全体を取り替える必要がなく、設計コストと工程を低減することができる。
【0112】
以下、本発明の本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーについて、図面及び実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0113】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例一
図24~
図27に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分は、コイル1、可動導磁体2、静止導磁体3を含み、前記コイル1、可動導磁体2及び静止導磁体3は、それぞれ適した位置に取り付けられることで、可動導磁体2の磁極面21と静止導磁体3の磁極面31が所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイル1の通電時に前記可動導磁体2が前記静止導磁体3に吸引され、この実施例では、可動導磁体2は可動鉄心である、静止導磁体3はヨーク板であり、前記磁路部分は、さらに、バネ41と、導磁筒42と、U型ヨーク43とを含み、前記コイル1は、U型ヨーク43のU型の開口に設けられ、前記導磁筒42は、コイル1の中間通孔に設けられ、導磁筒42の底端はU型ヨーク43に接続されており、前記可動鉄心2は、コイル1の中間通孔及び導磁筒42の中間通孔に移動可能に設けられ、可動鉄心2の上端面は磁極面21とされ、ヨーク板3はU型ヨーク43の上端に装着され、コイル1と可動鉄心2の上方にあり、バネ41は可動鉄心2とヨーク板3の間に装着されて可動鉄心2のリセットを実現し、ヨーク板3の下端面は磁極面31とされ、コイル1の通電時に可動鉄心2は上向きに移動してヨーク板3に吸引され、前記磁路部分は、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つの部材の磁極面に対応する位置にスライド可能に配置する凸部部材50をさらに含み、この実施例では、前記可動導磁体と静止導磁体の2つの部材のうちの1つは静止導磁体、すなわちヨーク板3であり、もう1つは可動鉄心2であり、凸部部材50は、ヨーク板3の磁極面31に対応する位置にスライド可能に配置され、可動鉄心2が上向きに移動しない状態では、前記凸部部材50は、ヨーク板3の磁極面31から可動鉄心2の磁極面21の方向に突出し、これにより、可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31との間の磁気ギャップが凸部部材50の位置で小さくなり、磁気抵抗を低減し、初期電磁吸引力を向上させることができ、そして、前記可動鉄心2が移動して前記ヨーク板3の凸部部材50を前記可動鉄心2の磁極面21に当接させた後、前記凸部部材50は、突出の反対方向に移動して、前記可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31との間の所定の位置での吸着を保証する。
この実施例において、前記凸部部材50は、突出部510付きブロック構造であり、前記ヨーク板3の磁極面31に対応する位置にスライド溝36が設けられ、前記ブロック構造の凸部部材50は、前記ヨーク板3のスライド溝36にスライド可能に配置され、前記凸部部材50の突出部510を前記ヨーク板3の磁極面31から可動鉄心2の磁極面21の方向に突出させ、凸部部材50の突出部510の上面511は、平面である。
【0114】
この実施例では、前記突出部510付きブロック構造5と前記ヨーク板3のスライド溝36との間には、凸部部材50に設けられた階段520と、前記ヨーク板3のスライド溝36に設けられた階段33と、を含む第1の階段構造が設けられ、凸部部材50の階段520とヨーク板3の階段33とが協働して前記凸部部材50の突出部510の前記可動鉄心2の磁極面21方向への移動を規制し、可動鉄心2が移動していない状態で、前記凸部部材50の突出部510と前記可動鉄心2の磁極面21との間に一定の隙間を確保する。すなわち、凸部部材50のヨーク板3の磁極面31の外に突出するサイズは、可動鉄心2の磁極面21とヨーク板3の磁極面31との間の所定の磁気ギャップよりも小さい。
この実施例では、この突出部510付きブロック構造5は2つであり、前記ヨーク板3のスライド溝36も対応する2つである。
【0115】
本発明の高圧直流リレーは、上記の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分を含む。
【0116】
図27を参照すると、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーを示し、図中の曲線1はリレー運動の反力曲線、曲線2は従来技術のリレーの吸引力曲線、曲線3は本発明の吸引力曲線であり、リレーの起動瞬間で、磁気ギャップは、
図4の右側位置(つまり1.45mm)のように最大で、この時、コイルに駆動電圧を与え、7Vと仮定すると、この時、従来技術では電磁吸引力(
図4の曲線2の右側)を発生し、本発明では、凸部部材50を設けることにより、磁気ギャップを近くし、初期磁気抵抗を低減し、初期吸引力を向上し、起動電力消費を低減し、この時の駆動電圧はまだ7Vであるが、発生した電磁吸引力はより大きく(
図4の曲線3の右側)、
図4から分かるように、磁気ギャップ0.35mmで曲線2と曲線3が交差し、磁気ギャップ1.45mmから0.35mmで、本発明の電磁吸引力は、従来技術の電磁吸引力よりも大きい。従来技術と同じ電磁吸引力を発生させる場合に、より小さな駆動電圧だけが必要となり、駆動消費電力を低減させる。凸部部材50が可動鉄心2の磁極面21に接触すると、凸部部材50の吸引力の向上の作用が消失し、このとき2つの磁極面21、31が近接しているため、このときの電磁吸引力は大きく、凸部部材50を設けることで逆方向に運動することができるため、凸部部材50は、鉄心が完全に閉じ、すなわち可動鉄心2の磁極面21がヨーク板3の磁極面31と吸着するまで磁極の動きを妨げることはない。
【0117】
本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーでは、磁路部分には凸部部材50さらにが設け、前記凸部部材50は、ヨーク板3の磁極面31に対応する位置にスライド可能に配置され、可動鉄心2が移動していない状態では、前記凸部部材50は、ヨーク板3の磁極面31から可動鉄心2の磁極面21方向に突出するとともに、前記可動鉄心2が移動して前記ヨーク板3の凸部部材50を前記可動鉄心2の磁極面21に当接させた後、前記凸部部材50は、突出の反対方向に移動する。本発明のこのような構成は、第1の側面として、凸部部材50が前記ヨーク板3の磁極面31から可動鉄心2の磁極面21方向に突出することにより、2つの磁極面21、31間の磁気ギャップが凸部部材50の位置で小さくなり、磁気抵抗を低減し、初期電磁吸引力を向上させることができ、あるいは、同等の初期電磁吸引力で、コイル体積を低減し、コイル消費電力を低減することを実現でき、本発明は、凸部部材50を用いて突出の反対方向に移動することができ、これにより、前記2つの磁極面21、31間の所定の位置での吸着を保証することができる。本発明はまた構造が簡単であるという特徴を有する。第2の側面として、可動鉄心2とヨーク板3との吸着過程において、譲位空間を設ける必要はなく、可動鉄心2とヨーク板3との隙間方向に設けて、可動鉄心2のヨーク板3の方向への吸引力を発生させることができる。第3の側面として、吸引反力のマッチングに応じて、凸部部材の突出高さを設計する必要がある場合、凸部部材は可動であるため、設計段階で可動導磁体(可動鉄心)全体又は静止導磁体(ヨーク板)を取り替える必要がなく、設計コストと工程を低減することができる。
【0118】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例二
図28~
図29に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、静止導磁体が2つあり、ヨーク板3の他に静止鉄心7があり、静止鉄心7がヨーク板3に装着され、可動鉄心2の磁極面21に合わせるのが静止鉄心7の下端面であり、すなわち、静止鉄心7の下端面は、磁極面71が可動鉄心2の磁極面21に合わせるように構成し、また、凸部部材50は、静止鉄心7の磁極面71に対応する位置にスライド可能に配置され、凸部部材50はヨーク板3には装着されておらず、静止鉄心7にはスライド溝72と階段73が設けられており、ヨーク板3にはスライド溝と階段が設けられておらず、凸部部材50は静止鉄心7のスライド溝72に合わせ、凸部部材50の階段520は、静止鉄心7の階段73に合わせている。
【0119】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例三
図30から
図31に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーと実施例二と異なることは、凸部部材50が静止鉄心7に装着されるのではなく、可動鉄心2の磁極面21に対応する位置にスライド可能に配置され、可動鉄心2にはスライド溝22と階段23が設けられ、静止鉄心7にはスライド溝と階段が設けられず、凸部部材50は可動鉄心2のスライド溝22に合わせ、凸部部材50の階段520は、可動鉄心2の階段23に合わせている。
【0120】
この実施例は、可動鉄心2が下にあり、静止鉄心7が上にあるため、可動鉄心2のスライド溝22に凸部部材50が落下自在になるのを防止するため、凸部部材50の底端には支持バネ24がさらに装着され、支持バネ24の下面には支持バネ24を支えるためのプラグ25がさらに設けられている。
【0121】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例四
図32~
図33に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、凸部部材50がヨーク板3ではなく、可動鉄心2の磁極面21に対応する位置にスライド可能に配置され、可動鉄心2にはスライド溝22と階段23が設けられ、ヨーク板3にはスライド溝と階段が設けられず、凸部部材50は可動鉄心2のスライド溝22に合わせ、凸部部材50の階段520は、可動鉄心2の階段23に合わせている。
【0122】
この実施例は、可動鉄心2が下にあり、ヨーク板3が上にあるため、可動鉄心2のスライド溝22に凸部部材50が落下自在になるのを防止するため、凸部部材50の底端には支持バネ24がさらに装着され、支持バネ24の下面には支持バネ24を支えるためのプラグ25がさらに設けられている。
【0123】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例五
図34~
図35に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分及び高圧直流リレーと実施例二と異なることは、凸部部材が突出部付きブロック構造ではなく、凸部部材50が環状部材であり、前記環状部材8が前記静止鉄心7の外周辺にスライド可能に配置され、そして、前記環状部材8の一端81を前記静止鉄心7の磁極面71から可動鉄心2の磁極面21の方向に突出させ、静止鉄心7には、突出部付きブロック構造に合わせるためのスライド溝や階段を設けない。
【0124】
この実施例では、前記環状部材8の他端と前記静止鉄心7の外周との間に相互に合わせる凸縁構造が設けられ、凸縁構造は、環状部材8の他端に設けられた内凸縁82と静止鉄心7の磁極面71に近い位置の外凸縁64とを含み、環状部材8の内凸縁82と静止鉄心7の外凸縁64との協働により、前記凸縁構造は、前記環状部材8の一端81の前記可動鉄心2の磁極面21方向への移動を規制して、可動鉄心2が移動していない状態で、前記環状部材8の一端81と前記可動鉄心2の磁極面21との間に一定の隙間を有することを確保する。
【0125】
初期電磁吸引力を向上することができる磁路部分の実施例六
図36~
図37に示すように、本発明の初期電磁吸引力を向上することができる及び高圧直流リレーと実施例一と異なることは、凸部部材が突出部付きブロック構造ではなく、凸部部材50が環状部材であり、前記環状部材8が前記可動鉄心2の外周辺にスライド可能に配置され、そして、前記環状部材8の一端81を前記可動鉄心2の磁極面21からヨーク板3の磁極面31の方向に突出させ、ヨーク板3には突出部付きブロック構造に合わせるためのスライド溝及び階段を設けない。
【0126】
この実施例では、前記環状部材8の他端と前記可動鉄心6の外周辺との間に相互に合わせる凸縁構造が設けられ、凸縁構造は、環状部材8の他端に設けられた内凸縁82と可動鉄心2の底端の周辺27とを含み、環状部材8の内凸縁82と可動鉄心2の底端の周辺27との協働により、前記凸縁構造は、前記環状部材8の一端81の前記ヨーク板3の磁極面31方向への移動を規制して、可動鉄心2が移動していない状態で、前記環状部材8の一端81と前記ヨーク板3の磁極面31との間に一定の隙間を有すること確保する。
【0127】
この実施例は、可動鉄心2が下にあり、ヨーク板3が上にあるため、環状部材8が可動鉄心2の外周辺に沿って自由に落下するのを防止するために、環状部材8の底端には支持バネ24がさらに取り付けられ、支持バネ24の下面には支持バネ24を支えるための金属ケース26が設けられている。
【0128】
本発明は、本明細書で提案された構成要素の詳細な構造及び配置方法に適用を限定しないことが理解されるべきである。本発明は他の実施形態を有することができ、様々な方法で実現し、実行することができる。前述の変形形態及び変形形態は、本発明の範囲内にある。本明細書に開示され限定された本発明は、文中及び/又は図面に記載されているか、又は明らかな2つ以上の別個の特徴のすべての代替的な組み合わせに拡張されていることが理解されるべきである。これらの異なるすべての組み合わせは、本発明の複数の代替可能な態様を構成する。本明細書に記載の実施形態は、本発明を実現するための最良の方法が知られており、当業者が本発明を利用できるようにすることを説明する。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、可動導磁体と、リターンスプリングと、静止導磁体とを含み、前記コイルと可動導磁体と静止導磁体とは、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、前記可動導磁体の磁極面と前記静止導磁体における磁極面とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイルが通電する時に前記可動導磁体を前記静止導磁体に移動させ、前記リターンスプリングは、前記可動導磁体の中央部と前記静止導磁体の中央部との間に設けられ、対応して設けられた2つの磁極面は、環状形状を呈し、
内輪及び外輪をそれぞれ有し、初期電磁吸引力が増強する磁路部分であって、
2つの対応して設けられた前記磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面の方向に突出した凸部が設けられており、前記他方の磁極面では、前記凸部に対応する位置には、前記可動導磁体と前記静止導磁体とが互いに吸引して前記凸部が嵌め込むことができる凹部が設けられており、前記凸部及び凹部から対応する磁極面の環状形状の内輪及び外輪まで一定の距離を設け、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に、凸部が凹部に合わせる縦断面に発生した両側の吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体への移動方向に沿い、これにより、前記凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面の間の磁気ギャップを減少することで、磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させる
ことを特徴とする磁路部分。
【請求項2】
前記凸部の上面は、平面であり、前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の全ての側面と前記凹部の対応する側壁との間のギャップは、完全に同じであり、これにより、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に発生した吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体へ移動方向に沿う
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項3】
凸部の上面の側辺から前記凹部の対応する凹口部の側縁までの距離は、前記2つの磁極面との間の所定の磁気ギャップよりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の磁路部分。
【請求項4】
前記凸部が前記凹部に完全に嵌入された状態では、前記凸部の側面と前記凹部の側壁との間のギャップは、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離以上であり、且つ、前記凸部の上面から前記凹部の底面までの距離は、2つの磁極面の間の距離以上である
ことを特徴とする請求項3に記載の磁路部分。
【請求項5】
前記凸部の側面は、鉛直面、斜面及び曲面のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせであり、且つ、前記凸部は、縦断面において両辺の側面が対称構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項6】
前記一方の磁極面の凸部は1つ又は2つ以上であり、前記他方の磁極面の凹部は、対応する位置における1つ又は2つ以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項7】
前記凸部は、単独の部品であり、前記磁極面に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項8】
前記凸部は、前記磁極面に成形された一体構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項9】
前記凸部は、凸軸形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項10】
前記凸部は、ストライプ状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項11】
前記凸部は、直線状、弧状、又は円環状である
ことを特徴とする請求項1に記載の磁路部分。
【請求項12】
前記磁極面の全ての凸部の上面の面積の和は、前記磁極面における全ての凸部を除去した後の残りの面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項6に記載の磁路部分。
【請求項13】
前記可動導磁体は、可動鉄心であり、前記静止導磁体は、固定鉄心又はヨーク板である
ことを特徴とする請求項
1に記載の磁路部分。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の磁路部分を含む
ことを特徴とする高圧直流リレー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明が技術課題を解決しようとする技術案は、初期電磁吸引力が増強する磁路部分を提供し、コイルと、可動導磁体と、リターンスプリングと、静止導磁体とを含み、前記コイルと可動導磁体と静止導磁体とは、それぞれ適合する位置に取り付けられていることで、前記可動導磁体の磁極面と前記静止導磁体における磁極面とは、所定の磁気ギャップを有する対向する位置に位置し、前記コイルが通電する時に前記可動導磁体を前記静止導磁体に移動させ、前記リターンスプリングは、前記可動導磁体の中央部と前記静止導磁体の中央部との間に設けられ、対応して設けられた2つの磁極面は、環状形状を呈し、内輪及び外輪をそれぞれ有し、ここで、2つの前記磁極面のうちの一方の磁極面には、他方の磁極面の方向に突出した凸部が設けられており、前記他方の磁極面では、前記凸部に対応する位置には、前記可動導磁体と前記静止導磁体とが互いに吸引して前記凸部が嵌め込むことができる凹部が設けられており、前記凸部及び凹部から対応する磁極面の環状形状の内輪及び外輪まで一定の距離を設け、前記凸部と前記凹部との間でコイルが通電する時に、凸部が凹部に合わせる縦断面に発生した両側の吸引力の合力方向は、常に可動導磁体の静止導磁体への移動方向に沿い、前記凸部を利用して凸部位置における2つの磁極面の間の磁気ギャップを減少することで、磁気抵抗を低下させ、初期電磁吸引力を増加させる。
【国際調査報告】