(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療のための修飾IL-2ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/55 20060101AFI20240628BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240628BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240628BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240628BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240628BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240628BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240628BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240628BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240628BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240628BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240628BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240628BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240628BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240628BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240628BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240628BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
C07K14/55 ZNA
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 K
A61K38/20
A61K47/61
A61K47/60
A61K47/64
A61K39/395 Y
A61P29/00
A61P37/08
A61P19/02
A61P17/00
A61P11/06
A61P37/06
A61P13/12
A61P1/16
A61P17/06
A61P9/00
A61P25/00
A61P21/02
A61P1/04
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500133
(86)(22)【出願日】2022-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056367
(87)【国際公開番号】W WO2023281485
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522240265
【氏名又は名称】ブライト ピーク セラピューティクス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレフト,ベルトルト
(72)【発明者】
【氏名】パタタビラマン,ウィジャヤ,ラーガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス サンチェス,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,マガリ
(72)【発明者】
【氏名】キャラロット,ジャン-フィリップ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG05
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4C076CC17
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4C084AA06
4C084AA07
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA56
4H045DA04
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、修飾IL-2ポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチドを含む組成物、その産生方法、及び自己免疫疾患を含む疾患の治療のために修飾IL-2ポリペプチドを使用する方法に関する。一態様では、本開示は、修飾IL-2ポリペプチドを使用した自己免疫疾患の治療に関する。いくつかの実施形態では、開示のIL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αへの結合の増強及び/又はIL-2受容体βへの結合の減少を示す。別の態様では、修飾IL-2ポリペプチドは、Tエフェクター細胞と比較して、制御性T細胞を活性化する能力の増強を示す。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドであって、
修飾IL-2ポリペプチドを含み、
前記修飾IL-2ポリペプチドが最大7個の天然アミノ酸置換を含み、前記7個の天然アミノ酸置換が残基Y31、K35及びQ74におけるアミノ酸置換を含み、前記修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく、修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項2】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、配列番号1に示される配列に対して3、4、5又は6個の天然アミノ酸置換を含む、請求項1に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項3】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、少なくとも1つの非天然アミノ酸置換を含む、請求項1又は2に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの非天然アミノ酸置換が、
a)残基36~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基、
b)残基61~81のいずれか1つに位置するホモセリン残基、及び
c)残基94~114のいずれか1つに位置するホモセリン残基
から選択される、請求項3に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項5】
修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドであって、
修飾IL-2ポリペプチドを含み、前記修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸置換を含み、前記少なくとも1つの非天然アミノ酸置換が、
a)残基36~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基、
b)残基61~81のいずれか1つに位置するホモセリン残基、及び
c)残基94~114のいずれか1つに位置するホモセリン残基
から選択され、
前記修飾IL-2ポリペプチドが、L18、Q22、N29、Y31、K35、T37、K48、V69、N71、Q74、L80、R81、L85、I86、N88、I89、I92及びQ126から選択される残基において少なくとも1つのアミノ酸置換を更に含み、前記修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく、修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項6】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Hse41、Hse71、Hse104又はそれらの組合せを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項7】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Hse41、Hse71及びHse104の各々を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項8】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、残基23、残基39若しくは残基46、又はそれらの任意の組合せにおいてノルロイシン(Nle)置換を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項9】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、残基23、残基39及び残基46にNle置換を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項10】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Y31、K35、Q74及びN88から選択される残基に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項11】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Y31H、K35R、Q74P及びN88Dから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項12】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Y31H、K35R、Q74P及びN88Dアミノ酸置換のうちの2つ、3つ又は4つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項13】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、Y31H、K35R及びQ74Pアミノ酸置換を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項14】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、残基N88にアミノ酸置換を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項15】
残基N88における前記アミノ酸置換がN88D置換である、請求項14に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項16】
残基C125における置換を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項17】
C125S置換を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項18】
N末端欠失を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項19】
前記N末端欠失が単一アミノ酸の欠失である、請求項18に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項20】
前記修飾IL-2ポリペプチドがV69A置換を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項21】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、I89又はI92に天然アミノ酸置換を含まない、請求項1~19のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項22】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、V69A又はK48E置換を含まない、請求項1~19又は21のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項23】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、更なる天然アミノ酸置換を含まない、請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項24】
前記修飾IL-2ポリペプチドが合成である、請求項1~23のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項25】
修飾IL-2ポリペプチドであって、
修飾IL-2ポリペプチドを含み、
前記修飾IL-2ポリペプチドが約0.1nM~約100nMであるIL-2受容体αサブユニット(IL-2Rα)に対する結合親和性を示し、少なくとも約1000nMであるIL-2受容体βサブユニット(IL-2Rβ)に対する結合親和性を示す、修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項26】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、少なくとも約1000nM、少なくとも約2000nM、少なくとも約3000nM、少なくとも約5000nM又は少なくとも約10000nMであるIL-2Rβに対する結合親和性を示す、請求項1~25のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項27】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、最大で約100nM、最大で約75nM、最大で約50nM、最大で約40nM、最大で約30nM、最大で約20nM、最大で約10nM、又は最大で約5nMであるIL-2Rαに対する結合親和性を示す、請求項1~26のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項28】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、約0.1nM~約100nM、約0.1nM~約50nM、約0.1nM~約20nM、約1nM~約100nM、約1nM~約50nM又は約1nM~約20nMであるIL-2Rαに対する結合親和性を示す、請求項1~27のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項29】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、最大で約100nM、最大で約75nM、最大で約50nM、最大で約40nM、最大で約35nM、最大で約30nM又は最大で約25nMの、T
reg細胞の活性化のEC
50を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項30】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、少なくとも約1000nMのT
eff細胞の活性化のEC
50を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項31】
配列番号3~43のいずれか1つと少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、修飾IL-2ポリペプチドであって、配列番号1に対して置換されている参照アミノ配列中の各残基が保持されている、修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項32】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号19、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41又は配列番号42のいずれか1つに記載の配列を含む、請求項31に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項33】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、配列番号3に示される配列と少なくとも約95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項31に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項34】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、配列番号3に示される配列を含む、請求項31に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項35】
共有結合したポリマーを更に含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項36】
前記ポリマーが、前記修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合している、請求項35に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項37】
前記ポリマーが水溶性ポリマーを含む、請求項35又は36に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項38】
前記ポリマーが、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)又はそれらの組合せを含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項39】
前記ポリマーが、ポリ(アルキレンオキシド)を含む、請求項35~38のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項40】
前記ポリマーがポリエチレングリコールを含む、請求項35~39のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項41】
前記ポリマーが最大約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項35~40のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項42】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、N末端残基に結合したコンジュゲーションハンドルを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項43】
前記N末端残基が、N末端アミンに結合している
【化1】
の構造であって、式中、各nは独立して1~30の整数であり、Xはコンジュゲーションハンドルである、構造を有する、請求項42に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項44】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、更なるポリペプチドに結合している、請求項1~43のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項45】
前記更なるポリペプチドが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項44に記載の修飾IL-2ポリペプチド。
【請求項46】
請求項1~45のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチドを発現する宿主細胞。
【請求項47】
前記修飾IL-2ポリペプチドを宿主細胞において発現させることを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチドを産生する方法。
【請求項48】
前記宿主細胞が、原核細胞又は真核細胞である、請求項46又は47に記載の宿主細胞。
【請求項49】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞、鳥類細胞又は昆虫細胞である、請求項46又は47に記載の宿主細胞。
【請求項50】
前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞又は酵母細胞である、請求項49に記載の宿主細胞。
【請求項51】
a)請求項1~45のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド、及び
b)薬学的に許容される担体又は賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項52】
炎症性疾患又は障害の治療を必要とする対象において炎症性疾患又は障害を治療する方法であって、
薬学的有効量の請求項1~45のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチド又は請求項50に記載の医薬組成物を前記対象に投与すること
を含む、方法。
【請求項53】
前記炎症性疾患又は障害が、炎症(例えば、軟骨炎症)、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、関節炎、関節リウマチ(例えば、活性)、若年性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、少関節性関節リウマチ、少関節性若年性関節リウマチ、多関節性若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性乾癬性関節炎、乾癬性関節炎、多関節性関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎、反応性関節炎、若年性反応性関節炎、ライター症候群、若年性ライター症候群、若年性皮膚筋炎、若年性強皮症、若年性血管炎、腸性関節炎、SEA症候群(血清陰性、腱付着部障害、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性炎、皮膚筋炎、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅斑症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、ベーチェット病、脱毛症、円形脱毛症、総脱毛症、アテローム性動脈硬化症、狼瘡、スチル病、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、喘息、COPD、鼻副鼻腔炎、ポリープを伴う鼻副鼻腔炎、食道好酸球性肝炎、好酸球性肝炎、ギラン・バレー病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病、ステロイド難治性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、腎臓、肺、心臓、皮膚等)、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然流産、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、最小変化疾患、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、又はそれらの組合せを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記炎症性疾患又は障害が、自己免疫疾患である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記自己免疫疾患がT細胞媒介性自己免疫疾患である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記炎症性疾患が神経炎症性疾患である、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
請求項1~45のいずれか一項に記載の修飾IL-2ポリペプチドを製造する方法であって、
a)前記修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を合成することと、
b)前記断片をライゲーションすることと、
c)ライゲーションされた前記断片をフォールディングすることと、
を含む、方法。
【請求項58】
水溶性ポリマーをフォールディングされたライゲーションされた前記断片に結合させることを更に含む、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/219,995号及び2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/219,989号の利益を主張し、これらの出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-2(IL-2)は、免疫系の調節に重要なサイトカインシグナル伝達分子である。IL-2は、免疫系が外来細胞型と内因性細胞型との間で分化するのを助け、それによって免疫系が対象自身の細胞を攻撃するのを防ぐことに関与する。IL-2は、リンパ球によって発現されるIL-2受容体(IL-2R)との相互作用を通じてその活性を達成する。これらの結合相互作用を通して、IL-2は、Tエフェクター(Teff)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び制御性T細胞(Treg)の対象の集団を調節することができる。
【0003】
免疫系を調節するIL-2の能力は、IL-2Rαサブユニット(CD25)及びIL-2Rβサブユニット(CD122)に対するその異なる親和性によって少なくとも部分的に駆動される。天然のIL-2は、IL-2Rβ及びIL-2Rγサブユニットからなる中間親和性受容体を介して静止リンパ球に作用する。活性化リンパ球及びTreg細胞は、IL-2Rαサブユニットを更に発現し、これがβ及びγサブユニットと組み合わさってIL-2に対する高い親和性を有する受容体を形成する。高親和性αβγ受容体に作用すると、IL-2はTreg細胞の活性化及び増殖を増強し、したがって対象の免疫応答を調節することができる。
【0004】
これらの理由から、IL-2は、単独で、及び他の療法と組み合わせて、免疫系が関与する様々な疾患の治療に使用されてきた。しかし、IL-2の治療としての使用は、生命を脅かす、時には致命的な血管漏出症候群を含む毒性、並びに8日間にわたって1日3回の投与を必要とするその短い半減期によって制限されてきた。様々なIL-2受容体サブユニットに対する異なる選択性を有する改善されたIL-2ポリペプチド、例えば、治療可能性を高め、IL-2療法の副作用のリスクを最小限に抑えるためのIL-2Rαの結合の増強が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドであって、修飾IL-2ポリペプチドを含み、修飾IL-2ポリペプチドは、最大7個の天然アミノ酸置換を含み、7個の天然アミノ酸置換が残基Y31、K35及びQ74におけるアミノ酸置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドが本明細書で提供される。
【0006】
別の態様では、修飾IL-2ポリペプチドであって、約0.1nM~約100nMであるIL-2受容体αサブユニット(IL-2Rα)に対する結合親和性を示し、少なくとも約1000nMであるIL-2受容体βサブユニット(IL-2Rβ)に対する結合親和性を示す修飾IL-2ポリペプチドを含む、修飾IL-2ポリペプチドが本明細書で提供される。
【0007】
本開示の更なる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の様々な実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、種々の明白な点で修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0008】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許若しくは特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾する材料に取って代わる及び/又は優先することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本開示の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び以下の添付の図面(本明細書では「図」及び「FIG」も同様である)を参照することによって得られるであろう。
【0010】
【
図1】直鎖デプシペプチドとして本明細書中に提供されるような修飾IL-2ポリペプチドを合成するために使用される合成スキームを示す図である。
【
図2】直鎖デプシペプチドを再配列及びフォールディングして、本明細書中に提供されるようなフォールディングされた修飾IL-2ポリペプチドを提供するためのスキームを示す図である。
【
図3】本明細書中に提供したPEG化修飾IL-2ポリペプチドを産生するためのスキームを示す図である。
【
図4A】様々な濃度のアルデスロイキン、組成物A及び組成物A1によるT
eff細胞におけるSTAT5リン酸化の平均蛍光強度(MFI)を示す図である。
【
図4B】種々の濃度でのアルデスロイキン、組成物A及び組成物A1によるT
reg細胞におけるSTAT5リン酸化のMFIを示す図である。
【
図4C】本明細書中に提供される修飾IL-2ポリペプチドによる種々のT細胞サブタイプのSTAT5リン酸化のEC50値を示す図である。
【
図5】バイオレイヤー干渉法(BLI)によって決定される、IL-2Rα及びIL-2Rβサブユニットに対する組成物A1及びアルデスロイキンの結合親和性を示す図である。
【
図6】0.1mg/kg又は0.3mg/kgでマウスに皮下投与された組成物A1の薬物動態を示す図である。
【
図7】示された用量の投与後の様々な時点における様々なリンパ球集団に対する組成物A1又はアルデスロイキンの免疫薬力学的効果を示す図である。上段左のグラフは、T
reg%pSTAT5陽性細胞を示し、上段中央のグラフは、T
eff%pSTAT5陽性細胞を示し、上段右のグラフはNK%pSTAT5陽性細胞を示し、中段左のグラフは、T
reg%Ki67陽性細胞を示し、中段中央のグラフは、T
eff%Ki67陽性細胞を示し、中段右のグラフはNK%Ki67陽性細胞を示し、下段左のグラフは、ベースラインに対するT
regカウントの倍数変化を示し、下段中央のグラフは、ベースラインに対するT
effカウントの倍数変化を示し、下段右のグラフは、ベースラインに対するNKカウントの倍数変化を示す。
【
図8A】マウスにおけるキーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)に対する過敏症を遅延させる組成物A1の能力を評価するための実験設計を示す図である。
【
図8B】24時間、48時間、72時間及び96時間での腫脹の尺度としてmm単位で報告された右耳(KLHでチャレンジした)と反対側の耳(生理食塩水を注射した)との間の耳厚の差を示す図である。二元配置ANOVAを実施すると、時間(F(4,216)=48.16、p<0.0001)及び治療(F(5,54)=13.74、p<0.0001)の有意な効果が明らかになり、組成物A1による治療によって調節された経時的変化が示唆された。データを平均±SEMとして報告する(実験群当たりn=10)。
【
図8C】チャレンジ後の全体的な腫脹の尺度として曲線下面積(AUC)として報告された右耳(KLHでチャレンジした)と反対側の耳(生理食塩水を注射した)との間の耳厚の差を示す図である。一元配置ANOVAを実施すると、治療の有意な効果が明らかになり(F(5,54)=12.59、p<0.0001)、このパラメータが治療によって調節されたことが示唆された。Dunnett検定対ビヒクルの多重比較は、組成物A1が全てのレジメンで耳腫大を有意に減少させることを示した(**p<0.01、****p<0.0001)。データを平均±SEMとして報告する(実験群当たりn=10)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、治療剤として有用な修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドに関する。本明細書で提供される修飾IL-2ポリペプチドは、炎症性又は他の自己免疫疾患を含む様々な疾患及び障害の治療として使用することができる。そのような修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2(配列番号1)又はアルデスロイキン(配列番号2)とは異なるIL-2受容体(IL-2R)に対する結合特性を示し得る。一態様では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rα複合体に対する親和性が増加している。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγ複合体に対する調節されていない親和性を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγ複合体に対する親和性が低下している。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rα受容体サブユニットに対する結合親和性を高めるアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβ受容体サブユニットに対する修飾IL-2ポリペプチドの親和性を低下させるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2又はアルデスロイキンと比較して、インビボ投与された場合により少ないTエフェクター(Teff)細胞を誘導する生物学的活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2又はアルデスロイキンと比較して、インビボで投与した場合、制御性T細胞(Treg)を誘導する同等の能力(例えば、EC50が10倍以下、100倍以下である)を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、修飾アミノ酸残基を含有する。そのような修飾は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1の配列からのアミノ酸の付加若しくは欠失、又はアミノ酸残基への部分の付加等の野生型IL-2ポリペプチドのアミノ酸置換の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1の配列からの第1のアミノ酸の欠失を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1の配列を参照配列として使用して、C125S置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及び/又はN88から選択される1つ以上の残基に置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。これらの置換は、C125S置換及び/又は配列番号1の配列からの最初のアミノ酸の欠失等のN末端欠失と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、Y31置換は、Y31H置換である。いくつかの実施形態では、K35置換は、K35R置換である。いくつかの実施形態では、Q74置換は、Q74P置換である。いくつかの実施形態では、N88置換は、N88D置換である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H置換、K35R置換及びQ74P置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H置換、K35R置換、Q74P置換及びN88D置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H置換、K35S置換、Q74P置換及びC125S置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H置換、K35S置換、Q74P置換、N88D置換及びC125S置換を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは合成ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、α-ケト酸-ヒドロキシルアミン(KAHA)アミド形成ライゲーションによって合成される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、複数のポリペプチド断片を結合して全長修飾IL-2ポリペプチドを合成するためにKAHAライゲーション反応中に使用される非天然アミノ酸、例えばホモセリンを含む。いくつかの実施形態では、これらは、修飾IL-2ポリペプチド中の唯一の非天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2又はアルデスロイキンに存在する1つ以上のメチオニン残基においてノルロイシン(Nle)残基置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、23、39、及び46の位置にノルロイシン残基を含む。
【0014】
本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上の非標準アミノ酸(本明細書では「非天然アミノ酸」とも呼ばれる)を含むことができる。「非標準」アミノ酸は、天然に存在するタンパク質に一般に組み込まれる20個の標準的なアミノ酸の中にないD型又はL型のアミノ酸残基を指すことができる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸は、1つ以上の非標準アミノ酸で置換されている。非標準アミノ酸には、N-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-L-アジドリジン(Fmoc-L-Lys(N3)-OH)、N-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-L-ビフェニルアラニン(Fmoc-L-Bip-OH)、及びN-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-O-ベンジル-L-チロシン(Fmoc-L-Tyr(Bzl)-OH、又はそれらの非保護類似体が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
更に、ポリマーを修飾IL-2ポリペプチドに添加してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリペプチドの半減期を増加させるために添加される。かかる半減期延長ポリマーを修飾IL-2ポリペプチドのN末端に付加することができる。半減期延長ポリマーは、約6kDaまで、約30kDaまで、又は約50kDaまでを含む任意のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、半減期延長ポリマーはPEGポリマーである。
【0016】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1から選択される1つ以上のアミノ酸置換又は欠失を含む。
【0017】
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表2から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0019】
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表3から選択される1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合している。
【0021】
【0022】
本明細書中に記載される修飾IL-2ポリペプチドはまた、組換えポリペプチドとして発現されるのではなく、化学的に合成される場合がある。修飾IL-2ポリペプチドは、全長修飾IL-2ポリペプチドの1つ以上の断片を合成し、断片を一緒にライゲーションし、ライゲーションされた全長ポリペプチドをフォールディングすることによって作製することができる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H、K35R、Q74P及びC125S置換と、場合により修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合したPEGポリマーとを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H、K35R、Q74P、N88D及びC125S置換と、場合により修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合したPEGポリマーとを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与された場合、調節性T細胞(Treg)細胞増殖又は活性化を増強する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与した場合、Tエフェクター細胞(Teff)及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞を節約しながら、Tregの増殖又は活性化を増強する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与した場合、CD8+T細胞及びNK細胞を実質的に増加させることなくTreg細胞を増加させる。
【0024】
以下の説明及び実施例は、本開示の実施形態を詳細に例示する。本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。当業者は、本開示の範囲内に包含される本開示の多数の変形及び修正が存在することを認識するであろう。
【0025】
本開示の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈で記載され得るが、これらの特徴は、別々に又は任意の適切な組合せでも提供され得る。反対に、本開示は、明確にするために別個の実施形態の文脈で本明細書において記載され得るが、本開示は、単一の実施形態でも実施され得る。
【0026】
本明細書で使用される章の見出しは、系統立てのみを目的にしたものであり、記載の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0027】
全ての用語は、それらの用語が当業者によって理解される通りに理解されることが意図されている。別段の定義が為されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0028】
以下の定義は、当技術分野における定義を補足し、本出願を対象とするものであり、関連する又は関連しない事例、例えば、共有される特許又は出願に適用されるべきではない。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本開示の試験のための実施において使用することができるが、本明細書には好ましい材料及び方法が記載されている。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。
【0029】
I.定義
本明細書で使用される用語は、特定の事例のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本願では、単数形の使用は、特段明記しない限り複数形の使用を含む。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0030】
本願では、「又は(or)」の使用は、特段明記しない限り「及び/又は(and/or)」を意味する。本明細書で使用される「及び/又は」及び「それらの任意の組合せ」という用語及びそれらの文法上の等価物は、互換的に使用することができる。これらの用語は、任意の組合せが具体的に想定されることを伝えることができる。単に例示を目的として、以下の語句「A、B、及び/又はC」又は「A、B、C、又はそれらの任意の組合せ」は、「A個別、B個別、C個別、A及びB、B及びC、A及びC、並びにA、B、及びC」を意味することができる。「又は」という用語は、文脈が特に選言的使用を指す場合を除き、連言的又は選言的に使用することができる。
【0031】
「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し得、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野の慣例に従って、1標準偏差以内又は1標準偏差超を意味することができる。あるいは、「約(about)」は、所与の値の最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、又は最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、ある値の、5倍以内、又は2倍以内の大きさの程度を意味し得る。特定の値が本出願及び特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味すると仮定されるべきである。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の任意のcomprisingの形態)、「有する(having)」(「有する(have)」及び「有する(has)」等の、任意のhavingの形態)、「含む(including)」(「含む(includes)」及び「含む(include)」等の、任意のincludingの形態)又は「含有する(containing)」(「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の任意のcontainingの形態)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法又は組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であると考えられる。更に、本開示の組成物は、本開示の方法を達成するために使用することができる。
【0033】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「1つの実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本開示の理解を容易にするために、多数の用語及び語句を以下に定義する。
【0034】
IL-2ポリペプチドの残基に「結合している」又は「共有結合している」ポリマーが本明細書で言及される。本明細書で使用される場合、「結合された」又は「共有結合的に結合された」は、ポリマーが示された残基にテザリングされていることを意味し、そのようなテザリングは連結基(すなわち、リンカー)を含むことができる。したがって、残基に「結合した」又は「共有結合した」ポリマーの場合、そのような連結基も包含されることが明確に企図される。
【0035】
結合親和性は、単一分子とそのリガンド/結合パートナとの間の結合相互作用の強度を指す。より高い結合親和性は、より低い結合親和性よりも高い強度の結合を指す。場合によっては、結合親和性は、2つの関連分子間の解離定数(KD)によって測定される。KD値を比較する場合、より低い値を有する結合相互作用は、より高い値を有する結合相互作用よりも高い結合親和性を有する。タンパク質-リガンド相互作用の場合、KDは以下の式に従って計算される。
【0036】
【数1】
であって、式中、[L]はリガンドの濃度であり、[P]はタンパク質の濃度であり、[LP]はリガンド/タンパク質複合体の濃度である、式に従って計算される。
【0037】
本明細書では、参照配列に対して特定のパーセント配列同一性を有するか、又は参照配列の位置に対応する位置の残基を指す特定のアミノ酸配列(例えば、ポリペプチド配列)を指す。配列同一性は、Matrix BLOSUM62、Gap Costs Existence:11、Extension:1、及びCompositional Adjustments Conditional Compositional Score Matrix Adjustmentのパラメータを使用して、タンパク質-タンパク質BLASTアルゴリズムによって測定される。このアライメントアルゴリズムはまた、比較される2つの配列のアライメントの分析を通じて残基が「対応する」位置にあるかどうかを評価するために使用される。
【0038】
「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されているか又は承認可能であるか、又はヒトを含む動物における使用のために米国薬局方若しくは他の一般に認識されている薬局方に列挙されていることを指す。
【0039】
「薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤」は、薬剤と共に対象に投与することができ、その薬理活性を破壊せず、治療量の薬剤を送達するのに十分な用量で投与した場合に非毒性である賦形剤、担体又は希釈剤を指す。
【0040】
本開示に適した「薬学的に許容される塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしにヒト又は動物の組織と接触して使用するのに適していると当技術分野で一般的に考えられている酸又は塩基の塩であり得る。そのような塩には、アミン等の塩基性残基の無機及び有機酸塩、並びにカルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩が含まれる。特定の医薬塩には、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸等のアルカン酸、HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは0~4である)等の酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。同様に、薬学的に許容されるカチオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本開示及び当技術分野の知識から、更なる薬学的に許容される塩には、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,p.1418(1985)によって列挙されたものが含まれることを認識するであろう。一般に、薬学的に許容される酸又は塩基塩は、任意の従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。簡潔には、このような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態を適切な溶媒中で化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。
【0041】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の値の全てに対する省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50、並びに例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8及び1.9等の前述の整数間の全ての介在する十進値からなる群からの任意の数、数の組合せ又は部分範囲を含むものと理解される。部分範囲に関して、その範囲のいずれかの終点から延びる「入れ子状部分範囲」が特に企図される。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子状部分範囲は、一方の方向に1~10、1~20、1~30及び1~40、又は他方の方向に50~40、50~30、50~20、及び50~10を含み得る。
【0042】
「対象」という用語は、治療、観察又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、対象には、それだけに限らないが、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ又はネコが含まれる哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で提供される特定の式及び他の例示は、アジド-アルキン環化付加反応から生じるトリアゾール反応生成物を示す。そのような式は、一般に、反応で形成された得られたトリアゾールの単一の位置異性体のみを示すが、式は両方の得られた位置異性体を包含することが意図されている。したがって、式は単一の位置異性体(例えば、
【0044】
【化1】
)のみを示す一方で、他の位置異性体(例えば、
【0045】
【0046】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」という用語は、続いて記載される事象又は状況が起こり得るが、起こる必要はないこと、及びその説明が、その事象又は状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0047】
「部分」という用語は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学部分は、多くの場合、分子に埋め込まれた又は付加された化学的実体として認識される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端」は、以下の構造を有する本明細書で提供されるIL-2ポリペプチドのN末端アミンの修飾を指す。
【0049】
【化3】
アジド官能性を有すると記載されているが、アジドは、修飾IL-2ポリペプチドがN末端をグルタル酸及び0.5kDaアジドPEGと共に含む各場合において、代替的なコンジュゲーションハンドルで置き換えることができると考えられる。
【0050】
「組成物A」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号3の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0051】
「組成物A1」は、組成物Aと、約30kDaの分子量を有するPEGを含有するDBCOとの間に形成される反応生成物を指す。
【0052】
「組成物B」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号4の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0053】
「組成物B1」は、組成物Bと、約30kDaの分子量を有するPEGを含有するDBCOとの間に形成される反応生成物を指す。
【0054】
「組成物C」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号5の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0055】
「組成物C1」は、組成物Bと、約30kDaの分子量を有するPEGを含有するDBCOとの間に形成される反応生成物を指す。
【0056】
「組成物D」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号6の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0057】
「組成物D1」は、組成物Dと、約30kDaの分子量を有するPEGを含有するDBCOとの間に形成される反応生成物を指す。
【0058】
「組成物E」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号7の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0059】
「組成物E1」は、組成物Eと、約30kDaの分子量を有するPEGを含有するDBCOとの間に形成される反応生成物を指す。
【0060】
「組成物F」は、グルタル酸及び0.5kDaアジドPEGを有するN末端を含む配列番号8の修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲーションハンドル」は、相補的な反応性基と接触すると結合を形成することができる反応性基を指す。いくつかの例では、コンジュゲーションハンドルは、好ましくは、意図される相補的反応性基を含まない他の分子との実質的な反応性を有さない。コンジュゲーションハンドル、それらのそれぞれの相補的なコンジュゲーションハンドル、及び対応する反応生成物の非限定的な例は、以下の表に見出すことができる。表の見出しは、「コンジュゲーションハンドル」又は「相補的コンジュゲーションハンドル」というタイトルの下に特定の反応性基を記載しているが、コンジュゲーションハンドルへの任意の言及は、代わりに、表に列挙された相補的コンジュゲーションハンドルを包含し得ることを意図している(例えば、トランス-シクロオクテンはコンジュゲーションハンドルであり得、この場合、テトラジンは相補的なコンジュゲーションハンドルである)。いくつかの例では、アミンコンジュゲーションハンドル及びアミンに相補的なコンジュゲーションハンドルは、生物学的系におけるアミンの遍在的存在及び標的外コンジュゲーションの可能性の増加のために、生物学的系における使用にあまり好ましくない。
【0062】
【0063】
本明細書で使用される場合、「数平均分子量」(Mn)という用語は、試料中の全ての個々の単位の統計的平均分子量を意味し、式(1)
【0064】
【数2】
であって、式中、M
iは単位の分子量であり、N
iはその分子量の単位数である、式(2)によって定義される数を意味する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」(Mw)という用語は、式(2)
【0066】
【数3】
であって、式中、M
iは単位の分子量であり、N
iはその分子量の単位数である、式(2)によって定義される数を意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「ピーク分子量」(Mp)は、所与の分析方法(例えば、質量分析、サイズ排除クロマトグラフィ、動的光散乱、分析遠心分離等)における最高ピークの分子量を意味する。
【0068】
II.説明
一態様では、Teff細胞と比較してTreg細胞の活性化に有利に偏る修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に記載される。一態様では、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドを含む修飾ポリペプチドであって、1つ以上のアミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88から選択される残基に少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基Y31、K35及びQ74のそれぞれにアミノ酸置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H、K35R及びQ74Pのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基Y31、K35、Q74及びN88のそれぞれにアミノ酸置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31H、K35R、Q74P及びN88Dのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドのIL-2Rα受容体への結合に実質的な影響を及ぼす任意の更なる置換を含まない。
【0069】
別の態様では、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドを含む修飾ポリペプチドであって、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも実質的に低いTeff細胞を活性化する能力を示す修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Treg細胞を活性化する能力を保持する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して、Treg細胞を活性化する増強された能力を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも少なくとも約4倍低いIL-2Rαの解離定数(Kd)を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも2倍~10倍低いIL-2Rαの解離定数(Kd)を示す。
【0070】
結合親和性
一態様では、IL-2受容体αサブユニットに対して配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも大きい親和性を示す修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、IL-2受容体サブユニットに対する親和性は、解離定数(Kd)によって測定される。本明細書で使用される場合、「修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKd」という語句は、修飾IL-2ポリペプチドとCD25との結合相互作用の解離定数を意味する。
【0071】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、10nM未満である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、10nM未満、7.5nM未満、5nM未満、4nM未満、又は3nM未満である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約1nM~0.1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約10nM~約0.1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約10nM~約1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約7.5nM~約0.1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約7.5nM~約1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約5nM~約0.1nMである。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド/IL-2受容体αサブユニットのKdは、約5nM~約1nMである。いくつかの実施形態では、Kdは、表面プラズモン共鳴によって測定される。
【0072】
いくつかの実施形態では、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりもIL-2受容体αサブユニットに対して少なくとも約10%、50%、100%、250%又は500%大きい親和性を示す修飾IL-2ポリペプチド。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αサブユニットに対して、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも最大で約500%、750%又は1000%大きい親和性を示す。
【0073】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αサブユニットに対して、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドよりも約1.5倍~約10倍大きい親和性を示す。
【0074】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2Rαに対して実質的に同じ結合親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドとIL-2Rαとの間のKdの約2倍、約4倍、約6倍、約8倍又は約10倍以内のIL-2Rαを有するKdを示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体βサブユニット(IL-2Rβ)に対する低下した親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対して少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍又は少なくとも約500倍低い親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対して少なくとも約100倍低い親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対して実質的に親和性を示さない。いくつかの実施形態では、親和性は、解離定数Kd(例えば、より高い解離定数と相関するより低い親和性)として測定される。
【0076】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも500nM、少なくとも1000nM、少なくとも5000nM、少なくとも10000nM、少なくとも50000nM又は少なくとも100000nMであるIL-2Rβに対する結合親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対して実質的に結合親和性を示さない。
【0077】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβよりも少なくとも約30倍大きい、少なくとも約50倍大きい、少なくとも約75倍大きい、少なくとも約100倍大きい、少なくとも約500倍大きい、又は少なくとも約1000倍大きいIL-2Rαに対する親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対する親和性よりも少なくとも約100倍大きいIL-2Rαに対する親和性を示す。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβに対する親和性よりも少なくとも約1000倍大きいIL-2Rαに対する親和性を示す。
【0078】
生物学的活性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、調節性T細胞(Treg)細胞集団を増殖させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、エフェクターT細胞(Teff)の増殖を免れる。
【0079】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して最大で中程度に低下したTreg細胞の活性化のための最大半量有効濃度(EC50)を有する。いくつかの実施形態では、Treg細胞の活性化を、修飾IL-2ポリペプチドと接触したときのT細胞の集団におけるSTAT5リン酸化の変化を評価することによって測定する。いくつかの実施形態では、Treg細胞は、CD4+、CD25+及びFoxP3+であることによって同定される。いくつかの実施形態では、Treg細胞は、CD25(CD25Hi)の発現上昇も示すことによって同定される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で約100nM、約75nM、約50nM、約40nM、約35nM、約30nM又は約25nMのTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で約50nM、約40nM、約35nM、約30nM、又は約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、又は約5nMのTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Treg細胞の活性化に対する最大約100nMのEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Treg細胞の活性化に対する最大約50nMのEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Treg細胞の活性化に対する最大約25nMのEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、約0.1nM~約100nM、約1nM~約100nM、約0.1nM~約50nM、約1nM~約50nM、約0.1nM~約25nM、約1nM~約25nM、約0.1nM~約10nM又は約1nM~約10nMのTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して、最大で2倍、最大で5倍、最大で10倍、最大で20倍、最大で50倍、最大で100倍、最大で200倍、最大で500倍、又は最大で1000倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で2倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で5倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で10倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で50倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で100倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で200倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で500倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で1000倍大きいTreg細胞の活性化に対するEC50を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して実質的に大きい、Teff細胞の活性化に対する最大半有効濃度(EC50)を有する。いくつかの実施形態では、Teff細胞は、CD8 Teff細胞(例えば、CD8+)、ナイーブCD8細胞(例えば、CD8+、CD45RA+)、若しくはCD4 Con細胞(例えば、CD4+、FoxP3-)の1、2、若しくは3、又はそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、T細胞の活性化を、修飾IL-2ポリペプチドと接触したときのT細胞の集団におけるSTAT5リン酸化の変化を評価することによって測定する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも約10nM、少なくとも約50nM、少なくとも約100nM、少なくとも約500nM、少なくとも約1000nM、少なくとも約2000nM、少なくとも約3000nM、少なくとも約4000nM又は少なくとも約5000nMのTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも約100nMのTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも約500nMのTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも約1000nMのTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも約5000nMのTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1及び/又は配列番号2のIL-2ポリペプチドと比較して、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍又は少なくとも1000倍大きいTeff細胞の活性化に対するEC50を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞の活性化に対するEC50が少なくとも10倍大きい。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞の活性化に対するEC50が少なくとも50倍大きい。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞の活性化に対するEC50が少なくとも100倍大きい。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞の活性化に対するEC50が少なくとも500倍大きい。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞の活性化に対するEC50が少なくとも1000倍大きい。
【0082】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Teff細胞と比較して、Treg細胞を活性化する実質的により大きな能力を示す。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、又は少なくとも200である。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも100である。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも200である。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも300である。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも500である。いくつかの実施形態では、Treg細胞型の活性化のEC50に対するTeff細胞型の活性化のEC50の比は、少なくとも1000である。
【0083】
いくつかの実施形態では、活性化のレベルが、修飾IL-2ポリペプチドとのインキュベーションの約0.5時間後~約1時間後に測定される(例えば、インビトロ実験のために細胞を固定する0.5時間~1時間前)。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、半減期延長のための共有結合ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、血漿又は血清半減期延長のための共有結合ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーが結合した修飾IL-2ポリペプチドの血漿中又は血清中半減期は、ポリマーが結合していない野生型IL-2ポリペプチド(配列番号1)又はアルデスロイキン(配列番号2)の血漿中又は血清中半減期と比較して、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍長い。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドの血漿又は血清半減期は、半減期延長ポリマーを含まない修飾IL-2ポリペプチドの血漿又は血清半減期と比較して、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍長い。
【0086】
部位特異的修飾
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基に1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての野生型ヒトIL-2ポリペプチドに基づく。
【0087】
本明細書中に記載されるポリペプチドに対する修飾は、アミノ酸置換、種々の官能基の付加、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、又はタンパク質若しくはタンパク質断片の野生型バージョンの任意の他の修飾を包含する。ポリペプチドに付加され得る官能基としては、ポリマー、リンカー、アルキル基、検出可能な分子、例えば発色団又はフルオロフォア、反応性官能基、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの個々のアミノ酸に官能基が付加される。いくつかの実施形態では、官能基は、ポリペプチドに部位特異的に付加される。
【0088】
一態様では、1つ以上のアミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、IL-2受容体サブユニット(例えば、α、β又はγサブユニット)又はIL-2受容体複合体(例えば、IL-2受容体αβγ複合体又はβγ複合体)に対する修飾IL-2ポリペプチドの結合特性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、修飾IL-2ポリペプチドとIL-2受容体サブユニット又はIL-2受容体複合体との間の結合相互作用の界面上の位置にある。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、IL-2受容体αβγ複合体又はαサブユニットに対する親和性の増加を引き起こす。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、IL-2受容体βγ複合体又はβサブユニットに対する親和性の低下を引き起こす。
【0089】
一態様では、WT IL-2(配列番号1)と比較して天然アミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドを含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大7個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大6個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大4個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大3個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3~7個、3~6個、3~5個、3~4個、4~7個、4~6個、4~5個、5~7個、5~6個又は6~7個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個又は少なくとも6個のアミノ酸置換を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88Dの少なくとも1つに天然アミノ酸置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88の少なくとも2つの天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88の少なくとも3つの天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88のそれぞれに天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸置換Y31H、K35R、Q74P及びN88Dを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、任意のC125置換(例えば、C125S又はC125A)を更に含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基A1の任意のA1欠失又は置換を更に含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、任意のA1欠失を更に含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、Y31置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、Y31置換は、芳香族アミノ酸に対するものである。いくつかの実施形態では、Y31置換は、塩基性アミノ酸に対するものである。いくつかの実施形態では、塩基性アミノ酸は、弱塩基性である。いくつかの実施形態では、Y31置換は、Y31F、Y31H、Y31W、Y31R及びY31Kから選択される。いくつかの実施形態では、Y31置換は、Y31Hである。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、K35置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、K35置換は、塩基性アミノ酸に対するものである。いくつかの実施形態では、K35置換は、正に帯電したアミノ酸に対するものである。いくつかの実施形態では、K35置換は、K35R、K35E、K35D、又はK35Qである。いくつかの実施形態では、K35置換はK35Rである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、Q74置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、Q74置換は環状アミノ酸である。いくつかの実施形態では、環状アミノ酸は、α炭素に共有結合した環状基及びα炭素に結合した窒素を含む。いくつかの実施形態では、Q74置換は、Q74Pである。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、N88置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、N88置換は、荷電アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、N88置換は、負に荷電したアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、N88置換は、N88D又はN88Eである。いくつかの実施形態では、N88置換は、N88D又はN88Eである。いくつかの実施形態では、N88置換は、N88Dである。
【0095】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、C125置換を含み、ここで、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、C125置換は、修飾IL-2ポリペプチドを安定化する。いくつかの実施形態では、C125置換は、修飾IL-2ポリペプチドの活性を実質的に変化させない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、C125S置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、C125A置換を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基A1に修飾を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾は、A1欠失である。
【0097】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、更なるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αサブユニット又はαβγ複合体への結合に影響を及ぼす追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体βサブユニット又はβγ複合体への結合に影響を及ぼす追加のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1から選択される少なくとも1つの更なるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、I89又はI92に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92から選択される残基に1、2、3又は4個の天然アミノ酸置換を含み、いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、I89又はI92から選択される残基に1、2、3又は4個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92から選択される残基に1個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは2個を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92から選択される残基に最大2個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92から選択される残基に最大3個の天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、E15A、E15G又はE15Sを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、N29Sを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、N30Sを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、T37A又はT37Rを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換はK48Eを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換はV69Aを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、N71Rを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、N88A、N88D、N88E、N88F、N88G、N88H、N88I、N88M、N88Q、N88R、N88S、N88T、N88V又はN88Wを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、N88Dを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、I89Vを含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸置換は、I92K又はI92Rを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及び場合によりC125Sにおける置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αサブユニット又はαβγ複合体への結合に実質的に影響を及ぼすいかなる追加の置換も含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体βサブユニット又はβγ複合体への結合に影響を及ぼす更なるアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1で特定された位置から選択される更なる天然アミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1から選択される更なるアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92に更なる天然アミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、N88、I89又はI92に更なるアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、K48置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、K48E置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69又はK48に置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69又はK48のいずれかに置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A又はK48E置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A又はK48E置換のいずれも含まない。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74、N88及び場合によりC125Sにおける置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体αサブユニット又はαβγ複合体への結合に実質的に影響を及ぼすいかなる追加の置換も含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2受容体βサブユニット又はβγ複合体への結合に影響を及ぼす追加のアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1で特定された位置から選択される更なる天然アミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表1から選択される更なるアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、I89又はI92に更なる天然アミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基E15、N29、N30、T37、K48、V69、N71、I89又はI92に更なるアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、K48置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、K48E置換を有さない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69又はK48に置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69又はK48のいずれかに置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A又はK48E置換を含まない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、V69A又はK48E置換のいずれも含まない。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、N末端欠失を含む。いくつかの実施形態では、N末端欠失は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個、又はそれを超えるアミノ酸のものである。いくつかの実施形態では、N末端欠失は、少なくとも1アミノ酸のものである。いくつかの実施形態では、N末端欠失は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸のものである。いくつかの実施形態では、N末端欠失は、1から15アミノ酸である。いくつかの実施形態では、N末端欠失は、単一アミノ酸(例えば、配列番号1のA1欠失)の欠失である。
【0101】
本明細書中に記載されるような修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上の非天然アミノ酸を含むことができる。「非天然」アミノ酸は、天然に存在するタンパク質に一般に組み込まれる20個の標準的なアミノ酸の中にないD型又はL型のアミノ酸残基を指すことができる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸は、1つ以上の非天然アミノ酸で置換されている。非天然アミノ酸には、L-アジドリジン及びL-ビフェニルアラニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
例示的な非天然アミノ酸はまた、ホモセリン、ノルロイシン、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-ヨード-L-フェニルアラニン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ボロノフェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の類似体、グルタミンアミノ酸の類似体、フェニルアラニンアミノ酸の類似体、セリンアミノ酸の類似体、トレオニンアミノ酸の類似体、β-アミノ酸、プロリン又はヒスチジン以外の環状アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン以外の芳香族アミノ酸、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、β-アミノ酸、ホモアミノ酸及び環状アミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、ピペリジン酸、アミノカプリオ酸、アミノヘプタン酸、アミノピメリン酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、Nα-エチルグリシン、Nα-エチルアスパラギン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、Nα-メチルグリシン、Nα-メチルイソロイシン、Nα-メチルバリン、γ-カルボキシグルタマート、Nα-アセチルセリン、Nα-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、及び/又は他の類似のアミノ酸を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される非天然アミノ酸置換は、特に明記しない限り、本明細書に提供される天然アミノ酸置換の任意の組合せに加えてIL-2ポリペプチドに組み込むことができる。例えば、例えば、Y31H、K35R及びQ74Pの天然アミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドが記載される場合、修飾IL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸置換(例えば、Hse41、Hse71、Hse104、Nle23、Nle39、及びNle46)も含み得ることが明確に企図される。別の例として、本明細書において提供される修飾IL-2ポリペプチドがY31H、K35R、Q74P及びN88D天然アミノ酸置換を有するものとして記載される場合、修飾IL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸置換(例えば、Hse41、Hse71、Hse104、Nle23、Nle39、及びNle46)を更に含むことができる。特に、本明細書中に提供される組換え修飾IL-2ポリペプチド中に存在する天然アミノ酸置換の任意の組合せを、修飾IL-2ポリペプチドの合成バージョン(例えば、対応する修飾IL-2ポリペプチド(例えば、Hse41、Hse71、Hse104、Nle23、Nle39及びNle46を含む))に組み込むこともできる。
【0104】
一態様では、1つ以上の非天然アミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも2つの非天然アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Y31、K35、Q74及びN88から選択される残基に少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基36~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基61~81のいずれか1つに位置するHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基94~114のいずれか1つに位置するHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、1、2、3又はそれを超えるHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41、Hse71、Hse104、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41、Hse71及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、ここで、その少なくとも2つのアミノ酸置換は、(a)残基36~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基から選択される。(b)残基61~81のいずれか1つに位置するホモセリン残基、(c)残基94~114のいずれか1つに位置するホモセリン残基いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41及びHse71を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse71及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse71を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、1、2、3又はそれを超えるノルロイシン(Nle)残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基18~28のいずれか1つに位置するNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基34~50のいずれか1つに位置する1つ以上のNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基20~60のいずれか1つに位置するNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3つのNle置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Nle23、Nle39及びNle46を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、A1欠失を有する配列番号3を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表7に提供される配列番号3~43のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3~43のいずれか1つの配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3~43のいずれか1つの配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含み、ここで、配列番号1に対して置換されている参照アミノ配列中の各残基が保持されている。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3の配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1に対して配列番号3で置換されている各残基が保持されている、配列番号3の配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1に対して配列番号4で置換されている各残基が保持されている、配列番号4の配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号4と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、配列同一性は、Matrix BLOSUM62、Gap Costs Existence:11、Extension:1、及びCompositional Adjustments Conditional Compositional Score Matrix Adjustmentのパラメータを使用して、タンパク質-タンパク質BLASTアルゴリズムによって測定される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3~9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3個又は4個のアミノ酸置換、3個~5個のアミノ酸置換、3個~6個のアミノ酸置換、3個~7個のアミノ酸置換、3個~9個のアミノ酸置換、4個又は5個のアミノ酸置換、4個~6個のアミノ酸置換、4個~7個のアミノ酸置換、4個~9個のアミノ酸置換、5個又は6個のアミノ酸置換、5個~7個のアミノ酸置換、5個~9個のアミノ酸置換、6個又は7個のアミノ酸置換、6個~9個のアミノ酸置換、又は7個~9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3個のアミノ酸置換、4個のアミノ酸置換、5個のアミノ酸置換、6個のアミノ酸置換、7個のアミノ酸置換又は9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で4個のアミノ酸置換、5個のアミノ酸置換、6個のアミノ酸置換、7個のアミノ酸置換又は9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換が表1から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換が表2から選択される。
【0108】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾天然アミノ酸残基の置換を含み、修飾天然アミノ酸残基は、修飾IL-2ポリペプチド(例えば、ポリマー)へのコンジュゲーション反応又は様々なペイロードの結合を容易にするために使用することができる更なる官能基の結合のために使用することができる。置換は、追加の官能基(例えば、アスパラギン酸/アスパラギンシステイン、グルタミン酸/グルタミン、リジン、セリン、トレオニン又はチロシン)、任意の天然アミノ酸の修飾バージョンの誘導体、又は任意の非天然アミノ酸(例えば、所望の反応性基を含有するアミノ酸、例えば、アジド、アルキン等のCLICK化学試薬)の結合により適した天然アミノ酸に対するものであり得る。修飾天然アミノ酸残基の非限定的な例としては、以下に提供される修飾リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸及びシステインが挙げられる。
【0109】
【化4】
式中、各nは1~30の整数である。同様に修飾され得る天然アミノ酸の他の例としては、ポリマー基をアミノ酸に連結するのに適した基と容易に結合を形成することができるヘテロ原子を有するものが挙げられる(例えば、チロシン、セリン、トレオニン)。修飾アミノ酸残基のこれらの非限定的な例は、修飾IL-2ポリペプチドに更なる官能基(例えば、ポリマー又は更なるポリペプチド)を付加することが望ましい任意の位置で使用することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、ポリマーを含む末端残基(例えば、N末端残基又はC末端残基)の修飾を含む。いくつかの実施形態では、末端残基に対する修飾は、修飾IL-2ポリペプチドの末端残基に対するコンジュゲーションハンドルの結合を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端アミノ基又はC末端カルボキシル基を介して修飾IL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端アミノ基を介して修飾IL-2ポリペプチドに結合している。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、グルタリルアミノ-PEGリンカーを介して修飾IL-2ポリペプチドのN末端アミノ基に結合している。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端アミノ基に、構造
【0111】
【化5】
を有する付加により結合され、
式中、各nは、独立して、1~30の整数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)であり、Xは、コンジュゲーションハンドル(例えば、本明細書に提供されるアジド又は他のコンジュゲーションハンドル、例えばDBCO基)である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは上記付加物を含むが、コンジュゲーションハンドルXは、修飾IL-2ポリペプチドを更なる部分(例えば、より大きなポリマー又は更なるポリペプチド)に連結するコンジュゲーションハンドル及び相補的コンジュゲーションハンドル(例えば、1,2,3-トリアゾール)の反応生成物で置き換えられる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドのN末端アミノ基は、以下の構造を有する付加物を含む。
【0112】
【0113】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、更なるポリペプチドと連結される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチド及び追加ポリペプチドは融合ポリペプチドを形成する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドと追加のポリペプチドを共にコンジュゲートさせる。いくつかの実施形態では、追加のポリペプチドは、抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、それらの任意の断片、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体又はその任意の断片(例えば、抗原結合断片)である。
【0114】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、更なるポリペプチドにコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、抗体にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、抗TNFα抗体にコンジュゲートされない。
【0115】
ポリマー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、その上に共有結合した1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、記載される修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、記載される修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合したポリマーを含む。本明細書で提供されるポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドの残基に直接結合していてもよく、小さな連結基(例えば、修飾IL-2ポリペプチドに組み込まれたコンジュゲーションハンドルとの反応によって結合される)を介して結合していてもよい。
【0116】
本明細書で提供されるポリマーは、IL-2ポリペプチドの任意の所望の残基に結合することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、IL-2ポリペプチドとIL-2受容体又は特異的IL-2受容体サブユニット(例えば、IL-2受容体αサブユニット)との結合に影響を及ぼさない残基に結合することが好ましい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端又はその近くに結合している。いくつかの実施形態では、ポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端に結合している。いくつかの実施形態では、N末端は、IL-2ポリペプチドの残基A1であり、残基の位置のナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、N末端は、IL-2ポリペプチドの残基P2であり、残基の位置のナンバリングは、参照配列(例えば、修飾IL-2ポリペプチドは、配列からの残基A1の欠失を含む)としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、ポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドとIL-2受容体βサブユニットとの結合を遮断又は減少させる残基位置に結合している。そのような残基位置は、参照によりその全体が本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20200231644号明細書に提供されており、例えば、残基位置K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、及びQ126を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、ポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは多糖類である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)である。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合したポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それに共有結合した第2のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それに共有結合した第2及び第3のポリマーを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、ポリマー等の付着したポリマーは、約6,000ダルトン~約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約6,000ダルトン~約10,000ダルトン、約6,000ダルトン~約30,000ダルトン、約6,000ダルトン~約50,000ダルトン、約10,000ダルトン~約30,000ダルトン、約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約30,000ダルトン~約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約6,000ダルトン、約10,000ダルトン、約30,000ダルトン、又は約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも約6,000ダルトン、約10,000ダルトン、又は約30,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、最大で約10,000ダルトン、約30,000ダルトン、又は約50,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、N末端に結合したポリマー等の結合ポリマーは、約120ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約120ダルトン~約250ダルトン、約120ダルトン~約300ダルトン、約120ダルトン~約400ダルトン、約120ダルトン~約500ダルトン、約120ダルトン~約1,000ダルトン、約250ダルトン~約300ダルトン、約250ダルトン~約400ダルトン、約250ダルトン~約500ダルトン、約250ダルトン~約1,000ダルトン、約300ダルトン~約400ダルトン、約300ダルトン~約500ダルトン、約300ダルトン~約1,000ダルトン、約400ダルトン~約500ダルトン、約400ダルトン~約1,000ダルトン、又は約500ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、又は約500ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、最大で約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、付着したポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレンオキシド)等のポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、修飾ポリ(アルキレンオキシド)を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、修飾ポリ(アルキレンオキシド)は、1つ以上のリンカー基を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカー基は、アミド基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基等の二官能性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカー基は、アミドリンカー基を含む。いくつかの実施形態では、修飾ポリ(アルキレンオキシド)は、1つ以上のスペーサー基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、置換又は非置換C1~C6アルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、-CH2-、-CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2-を含む。いくつかの実施形態では、リンカー基は、双直交反応(例えば、生体適合性及び選択的反応)の生成物である。いくつかの実施形態では、生体直交反応は、Cu(I)触媒又は「銅フリー」アルキン-アジドトリアゾール形成反応、シュタウディンガーライゲーション、逆電気オンデマンド型ディールス・アルダー(IEDDA)反応、「写真クリック」化学、又はオレフィンメタセシス及び鈴木-宮浦若しくは薗頭クロスカップリング等の金属媒介プロセスである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、クリック化学を介してIL-2ポリペプチドに結合される。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドと、抗体及びポリマー(例えば、更なるより大きなポリマー)等の誘導体化分子又は部分とのコンジュゲーションを容易にする反応基を含む。いくつかの実施形態では、反応基は、カルボン酸由来の活性エステル、混合無水物、ハロゲン化アシル、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、N-マレイミド、イミノエステル、イソシアナート、及びイソチオシアナートの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、反応基はアジドを含む。いくつかの実施形態では、反応基は、アルキンを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、更なる部分を修飾IL-2ポリペプチド(例えば、抗体等の更なるポリペプチドの付加)に更に結合させるために使用することができるコンジュゲーションハンドルを含む。別の部分に結合した相補的反応性基と反応することができる任意の適切な反応性基をコンジュゲーションハンドルとして使用することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、コンジュゲーションハンドル、又は相補的なコンジュゲーションハンドルを有するコンジュゲーションハンドルの反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物は、KATライゲーション(アシルトリフルオロホウ酸カリウムとヒドロキシルアミンとの反応)、シュタウディンガーライゲーション(アジドとホスフィンとの反応)、テトラジン環化付加(テトラジンとトランス-シクロオクテンとの反応)、又はヒュスゲン環化付加(アルキンとアジドとの反応)から生じる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、コンジュゲーションハンドルと、ポリマーを修飾IL-2ポリペプチドに結合させるために使用された相補的なコンジュゲーションハンドルとの反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはアジド部分を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはアルキン部分を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、アジド部分、アルキン部分、又はアジド-アルキン環化付加反応の反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、アジド-アルキン付加環化反応の反応生成物は、1,2,3-トリアゾールである。
【0126】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、二官能性リンカーの使用によって修飾IL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、二官能性リンカーは、修飾IL-2ポリペプチド(例えば、システインスルフヒドリル)上のアミノ酸残基の反応性基と反応して共有結合を形成する。いくつかの実施形態では、第2の工程において、二官能性リンカー(例えば、アジド又はアルキン等のコンジュゲーションハンドル)の第2の反応性基を使用して、ポリマー等の第2の部分を結合させる。
【0127】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、式(X):
【0128】
【化7】
の構造であって、
式中、L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、L
8及びL
9のそれぞれは、独立して、-O-、-NR
L-、-(C
1~C
6アルキレン)NR
L-、-NR
L(C
1~C
6アルキレン)-、-N(R
L)
2
+-、-(C
1~C
6アルキレン)N(R
L)
2
+-、-N(R
L)
2
+-(C
1~C
6アルキレン)-、-OP(=O)(OR
L)O-、-S-、-(C
1~C
6アルキレン)S-、-S(C
1~C
6アルキレン)-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-(C
1~C
6アルキレン)C(=O)-、-C(=O)(C
1~C
6アルキレン)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR
L-、-C(=O)NR
L(C
1~C
6アルキレン)-、-(C
1~C
6アルキレン)C(=O)NR
L-、-NR
LC(=O)-、-(C
1~C
6アルキレン)NR
LC(=O)-、-NR
LC(=O)(C
1~C
6アルキレン)-、-OC(=O)NR
L-、-NR
LC(=O)O-、-NR
LC(=O)NR
L-、-NR
LC(=S)NR
L-、-CR
L=N-、-N=CR
L、-NR
LS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L-、-C(=O)NR
LS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
LC(=O)-、置換若しくは非置換C
1~C
6アルキレン、置換若しくは非置換C
1~C
6ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C
2~C
6アルケニレン、置換若しくは非置換C
2~C
6アルキニレン、置換若しくは非置換C
6~C
20アリーレン、置換若しくは非置換C
2~C
20ヘテロアリーレン、-(CH
2-CH
2-O)
qa-、-(O-CH
2-CH
2)
qb-、-(CH
2-CH(CH
3)-O)
qc-、-(O-CH(CH
3)-CH
2)
qd-、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物、又は存在しない、(C
1~C
6アルキレン)であり、
各R
Lは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル、置換若しくは非置換C
1~C
4ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
2~C
6アルケニル、置換若しくは非置換C
2~C
5アルキニル、置換若しくは非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換若しくは非置換C
2~C
7ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数であり、
式中、各
【0129】
【化8】
は、修飾IL-2ポリペプチド又はポリマーのポリマー部分への結合点である、構造を含むリンカーを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、式(X’):
【0131】
【化9】
の構造であって、
式中、L’のそれぞれは、独立して、-O-、-NR
L-、-(C
1~C
6アルキレン)NR
L-、-NR
L(C
1~C
6アルキレン)-、-N(R
L)
2
+-、-(C
1~C
6アルキレン)N(R
L)
2
+-、-N(R
L)
2
+-(C
1~C
6アルキレン)-、-OP(=O)(OR
L)O-、-S-、-(C
1~C
6アルキレン)S-、-S(C
1~C
6アルキレン)-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-(C
1~C
6アルキレン)C(=O)-、-C(=O)(C
1~C
6アルキレン)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR
L-、-C(=O)NR
L(C
1~C
6アルキレン)-、-(C
1~C
6アルキレン)C(=O)NR
L-、-NR
LC(=O)-、-(C
1~C
6アルキレン)NR
LC(=O)-、-NR
LC(=O)(C
1~C
6アルキレン)-、-OC(=O)NR
L-、-NR
LC(=O)O-、-NR
LC(=O)NR
L-、-NR
LC(=S)NR
L-、-CR
L=N-、-N=CR
L、-NR
LS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
L-、-C(=O)NR
LS(=O)
2-、-S(=O)
2NR
LC(=O)-、置換若しくは非置換C
1~C
6アルキレン、置換若しくは非置換C
1~C
6ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C
2~C
6アルケニレン、置換若しくは非置換C
2~C
6アルキニレン、置換若しくは非置換C
6~C
20アリーレン、置換若しくは非置換C
2~C
20ヘテロアリーレン、-(CH
2-CH
2-O)
qa-、-(O-CH
2-CH
2)
qb-、-(CH
2-CH(CH
3)-O)
qc-、-(O-CH(CH
3)-CH
2)
qd-、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物、又は存在しない、(C
1~C
6アルキレン)であり、
各R
Lは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル、置換若しくは非置換C
1~C
4ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
2~C
6アルケニル、置換若しくは非置換C
2~C
5アルキニル、置換若しくは非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換若しくは非置換C
2~C
7ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数であり、
gは、1~100の整数であり、
式中、各
【0132】
【化10】
が、修飾IL-2ポリペプチド又はポリマーのポリマー部分への結合点である、構造を含むリンカーを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表4から選択されるリンカーを含むポリマーを含む。表4において、各
【0134】
【化11】
は、修飾IL-2ポリペプチド(例えば、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ基)又はポリマーのポリマー部分のいずれかに対する結合点である。
【0135】
【0136】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、1~10個のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、1本のポリエチレングリコール鎖~10本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、1本のポリエチレングリコール鎖~2本のポリエチレングリコール鎖、1本のポリエチレングリコール鎖~4本のポリエチレングリコール鎖、1本のポリエチレングリコール鎖~6本のポリエチレングリコール鎖、1本のポリエチレングリコール鎖~10本のポリエチレングリコール鎖、2本のポリエチレングリコール鎖~4本のポリエチレングリコール鎖、2本のポリエチレングリコール鎖~6本のポリエチレングリコール鎖、2本のポリエチレングリコール鎖~10本のポリエチレングリコール鎖、4本のポリエチレングリコール鎖~6本のポリエチレングリコール鎖、4本のポリエチレングリコール鎖~10本のポリエチレングリコール鎖、又は6本のポリエチレングリコール鎖~10本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、1本のポリエチレングリコール鎖、2本のポリエチレングリコール鎖、4本のポリエチレングリコール鎖、6本のポリエチレングリコール鎖、又は10本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、少なくとも1本のポリエチレングリコール鎖、2本のポリエチレングリコール鎖、4本のポリエチレングリコール鎖、又は6本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、最大で2本のポリエチレングリコール鎖、4本のポリエチレングリコール鎖、6本のポリエチレングリコール鎖、又は10本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは4本のポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、式(I)
【0137】
【化12】
の構造であって、式中、各mは独立して4~30の整数である、構造を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーの少なくとも1つのポリエチレングリコール鎖は、式(II)
【0138】
【化13】
の構造であって、式中、各mは独立して4~30の整数であり、各nは独立して1~10の整数である、構造を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーの各ポリエチレングリコール鎖は、式(II)の構造を含む。式(II)のいくつかの実施形態では、mは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40である。式(II)のいくつかの実施形態では、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
【0139】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、約5~約300個、約10~約200個、約20~約100個又は約25~約50個のエチレングリコール単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、5個のエチレングリコール単位~300個のエチレングリコール単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、5エチレングリコール単位~10エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~20エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~25エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~50エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~100エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、5エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~20エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~25エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~50エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~100エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、10エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、20エチレングリコール単位~25エチレングリコール単位、20エチレングリコール単位~50エチレングリコール単位、20エチレングリコール単位~100エチレングリコール単位、20エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、20エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、25エチレングリコール単位~50エチレングリコール単位、25エチレングリコール単位~100エチレングリコール単位、25エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、25エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、50エチレングリコール単位~100エチレングリコール単位、50エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、50エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、100エチレングリコール単位~200エチレングリコール単位、100エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位、又は200エチレングリコール単位~300エチレングリコール単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、5個のエチレングリコール単位、10個のエチレングリコール単位、20個のエチレングリコール単位、25個のエチレングリコール単位、50個のエチレングリコール単位、100個のエチレングリコール単位、200個のエチレングリコール単位又は300個のエチレングリコール単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、少なくとも5個のエチレングリコール単位、10個のエチレングリコール単位、20個のエチレングリコール単位、25個のエチレングリコール単位、50個のエチレングリコール単位、100個のエチレングリコール単位又は200個のエチレングリコール単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、最大で10個のエチレングリコール単位、20個のエチレングリコール単位、25個のエチレングリコール単位、50個のエチレングリコール単位、100個のエチレングリコール単位、200個のエチレングリコール単位又は300個のエチレングリコール単位を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、直鎖又は分岐鎖である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、直鎖ポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、分岐ポリエチレングリコールである。例えば、いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリマーの各々は、直鎖ポリエチレングリコール鎖を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミド又はアミノ基で独立して末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アミノ基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アミド基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アルコキシ基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アルキル基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、ヒドロキシ基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリエチレングリコール鎖は、独立して、構造
【0142】
【化14】
であって、式中、nは4~30の整数である、構造を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリエチレングリコール鎖は、独立して、構造
【0143】
【化15】
であって、式中、mは4~30の整数である、構造を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それに共有結合した複数のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、各ポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、各水溶性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、各水溶性ポリマーはポリエチレングリコールである。
【0145】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、共有結合した1~10個の水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、共有結合した1~10個の水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、1又は2の共有結合水溶性ポリマー、1~3共有結合水溶性ポリマー、1~4共有結合水溶性ポリマー、1~6共有結合水溶性ポリマー、1~8共有結合水溶性ポリマー、1~10共有結合水溶性ポリマー、2又は3共有結合水溶性ポリマー、2~4共有結合水溶性ポリマー、2~6共有結合水溶性ポリマー、2~8共有結合水溶性ポリマー、2~10共有結合水溶性ポリマー、3又は4共有結合水溶性ポリマー、3~6共有結合水溶性ポリマー、3~8共有結合水溶性ポリマー、3~10共有結合水溶性ポリマー、4~6共有結合水溶性ポリマー、4~8共有結合水溶性ポリマー、4~10共有結合水溶性ポリマー、6~8共有結合水溶性ポリマー、6~10共有結合水溶性ポリマー、又は8~10共有結合水溶性ポリマーを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合することができる水溶性ポリマーは、式(A)の構造:
【0147】
【0148】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合することができる水溶性ポリマーは、式(B)の構造:
【0149】
【0150】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合することができる水溶性ポリマーは、式(C)の構造:
【0151】
【0152】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合することができる水溶性ポリマーは、式(D)の構造:
【0153】
【0154】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合することができる水溶性ポリマーは、式(E)の構造を含む。
【0155】
【0156】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合した水溶性ポリマーは、1つ以上のリンカー及び/又はスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカーは、1つ以上のアミド基を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカーは、1つ以上のリジン基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合した水溶性ポリマーは、式(I)、式(II)、式(III)の構造又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合した水溶性ポリマーは、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)の構造又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに結合した水溶性ポリマーは、以下の構造を含む。
【0157】
【0158】
いくつかの実施形態では、N末端に結合した水溶性ポリマーは、1つ以上のリンカー及び/又はスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカーは、1つ以上のアミド基を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカーは、1つ以上のリジン基を含む。いくつかの実施形態では、N末端に結合した水溶性ポリマーは、式(I)、式(II)、式(III)、又はそれらの組合せの構造を含む。いくつかの実施形態では、N末端に結合した水溶性ポリマーは、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)の構造、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、付着した水溶性ポリマーは、以下の構造を含む。
【0159】
【0160】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、適切な前駆体材料から合成される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、構造5、構造6、構造7、又は構造8の前駆体材料から合成され、構造5は、
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
III.組成物医薬製剤
一態様では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬製剤が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、複数の修飾IL-2ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、薬学的製剤は、糖質、無機塩、抗酸化剤、界面活性剤又は緩衝剤から選択される1つ以上の賦形剤を更に含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、薬学的製剤は糖質を更に含む。特定の実施形態では、糖質は、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオスラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール、シクロデキストリン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0167】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は無機塩を含む。特定の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0168】
特定の実施形態では、医薬製剤は抗酸化剤を含む。特定の実施形態では、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンE、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0169】
特定の実施形態では、医薬製剤は界面活性剤を含む。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂質、リン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、EDTA、亜鉛、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0170】
特定の実施形態では、医薬製剤は緩衝剤を含む。特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸、エタノールアミン、ヒスチジン、アミノ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、トリス、HEPES、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0171】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、非経口投与又は経腸投与のために調製される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、静脈内又は皮下投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は凍結乾燥形態である。
【0172】
一態様では、本明細書に記載されるのは、記載される修飾IL-2ポリペプチドを含む液体又は凍結乾燥製剤である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは凍結乾燥粉末である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末を緩衝溶液に再懸濁する。いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、緩衝剤、糖、塩、界面活性剤、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はリン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、リン酸塩はナトリウムNa2HPO4である。いくつかの実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はリン酸緩衝生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はマンニトールを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末を、10mMNa2HPO4緩衝剤pH7.5、0.022%SDS及び50mg/mLマンニトールを含む溶液に懸濁する。
【0173】
剤形
本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、様々な剤形であり得る。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを凍結乾燥粉末として投入する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを懸濁液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを溶液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを注射可能な溶液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドをIV溶液として投与する。
【0174】
IV.処理方法
1つの態様において、本明細書中に記載されるのは、自己免疫疾患又は自己免疫障害の治療を必要とする対象における自己免疫疾患又は自己免疫障害を治療する方法であって、有効量の本明細書中に記載されるような修飾IL-2ポリペプチド又は医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法である。1つの態様では、本明細書中に記載されるのは、炎症性疾患又は障害の治療を必要とする対象において炎症性疾患又は障害を治療する方法であって、有効量の本明細書中に記載されるような修飾IL-2ポリペプチド又は医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法である。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、T細胞媒介性自己免疫疾患である。いくつかの実施形態では、炎症性疾患又は障害は、炎症(例えば、軟骨炎症)、自己免疫疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、関節炎、関節リウマチ(例えば、活性)、若年性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、少関節性関節リウマチ、少関節性若年性関節リウマチ、多関節性若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性乾癬性関節炎、乾癬性関節炎、多関節性関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎、反応性関節炎、若年性反応性関節炎、ライター症候群、若年性ライター症候群、若年性皮膚筋炎、若年性強皮症、若年性血管炎、腸性関節炎、SEA症候群(血清陰性、腱付着部障害、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性炎、皮膚筋炎、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅斑症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、ベーチェット病、脱毛症、円形脱毛症、総脱毛症、アテローム性動脈硬化症、狼瘡、スチル病、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、喘息、COPD、鼻副鼻腔炎、ポリープを伴う鼻副鼻腔炎、食道好酸球性肝炎、好酸球性肝炎、ギラン・バレー病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病、ステロイド難治性慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、腎臓、肺、心臓、皮膚等)、腎臓損傷、C型肝炎誘発性血管炎、自然流産、白斑、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、最小変化疾患、膜性腎症、ANCA関連糸球体腎症、膜増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、又はそれらの組合せを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、炎症性疾患又は障害は神経炎症性障害である。いくつかの実施形態では、神経炎症性障害は、視神経脊髄炎スペクトラム障害、多発性硬化症、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体障害、自己免疫性皮膚炎、横断性脊髄炎、視神経炎又は神経サルコイドーシスである。いくつかの実施形態では、上記疾患又は障害は筋萎縮性側索硬化症である。
【0176】
V.製造方法
一態様では、本明細書に記載されるのは、修飾IL-2ポリペプチドを作製する方法である。別の態様では、修飾IL-2ポリペプチドを作製する方法であって、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を合成し、断片をライゲーションすることを含む方法が本明細書に記載される。別の態様では、a.修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を合成することと、b.断片をライゲーションすることと、c.ライゲーションされた断片をフォールディングする工程と、を含む修飾IL-2ポリペプチドを作製する方法が本明細書に記載される。IL-2ポリペプチドを合成する方法の例は、例えば、少なくともPCT国際公開第2021140416号、米国特許出願公開第20190023760号、及びAsahina et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,8226-8230に見出され、これらの各々は、あたかもその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は化学的に合成される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は、固相ペプチド合成によって合成される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は、自動ペプチド合成機で合成される。
【0178】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾ペプチドは、2つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、4つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、2から10個のペプチド断片にライゲーションされる。
【0179】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を一緒にライゲーションする。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの3つ以上の断片が、連続的な様式でライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの3つ以上の断片をワンポット反応でライゲーションする。
【0180】
いくつかの実施形態では、ライゲーションされた断片はフォールディングされる。いくつかの実施形態では、フォールディングは、修飾IL-2ポリペプチド内に1つ以上のジスルフィド結合を形成することを含む。いくつかの実施形態では、ライゲーションした断片をフォールディング工程に供する。いくつかの実施形態では、ライゲーションされた断片は、当技術分野で周知の方法を使用してフォールディングされる。いくつかの実施形態では、ライゲーションされたポリペプチド又はフォールディングされたポリペプチドは、1つ以上のポリマーをそれに付着させることによって更に修飾される。いくつかの実施形態では、ライゲーションされたポリペプチド又はフォールディングされたポリペプチドは、PEG化によって更に修飾される。
【0181】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは合成である。
【0182】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは組換えである。一態様では、修飾IL-2ポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は原核細胞又は真核細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞、鳥類細胞及び昆虫細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞、又は酵母細胞である。
【0183】
一態様では、修飾IL-2ポリペプチドを産生する方法であって、修飾IL-2ポリペプチドを宿主細胞において発現させることを含む方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は原核細胞又は真核細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞、鳥類細胞及び昆虫細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞、又は酵母細胞である。
VI.配列番号
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換及び修飾を行うことができることを理解されたい。
【0193】
本開示は、例示のみを目的として与えられ、決して本開示を限定することを意図しない以下の実施例において更に例示される。
【実施例】
【0194】
実施例1:修飾IL-2ポリペプチドの合成-一般的手順
調製IL-2直鎖タンパク質(代表的なプロトコル)
一般的な戦略:本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、例えば、配列番号3、又は配列番号3~8若しくは40~43のいずれかのアミノ酸配列を有する修飾IL-2ポリペプチド、又は配列番号9~39のいずれか1つの合成バージョン、又は本明細書に別途記載の修飾IL-2ポリペプチドは、固相ペプチド合成(SPPS)によって調製された個々のペプチドセグメントをライゲーションすることによって合成することができる。個々のペプチドを、以下に記載される方法を使用して自動ペプチド合成装置で合成した。
【0195】
材料及び溶媒:Fmoc-SPPSに適した側鎖保護基を有するFmoc-アミノ酸、ペプチド官能化に使用される樹脂ポリエチレングリコール誘導体及び試薬は市販されており、更に精製することなく使用した。HPLCグレードCH3CNを分析及び分取RP-HPLC精製に使用した。
【0196】
アミン系樹脂への保護ケト酸誘導体(セグメント1~3)の充填:5gのRink-amide MBHA又はChemMatrix樹脂(1.8mmolスケール)をDMF中で30分間膨潤させた。Fmoc脱保護は、樹脂を室温で10分間、DMF(v/v)中20%ピペリジンで2回処理することによって行い、続いてDMFで数回洗浄した。Fmoc-AA保護α-ケト酸(1.8mmol、1.00当量)をDMF20mLに溶解し、HATU(650mg、1.71mmol、0.95当量)及びDIPEA(396μL、3.6mmol、2.00当量)で予備活性化した。反応混合物を膨潤樹脂に添加した。室温で6時間、穏やかに撹拌しながら反応させた。樹脂をDMFで十分にすすいだ。無水酢酸(1.17mL)及びDIPEA(2.34mL)を含むDMF(20mL)の溶液を添加することによって、未反応アミンの樹脂へのキャッピングを行った。穏やかな撹拌下で15分間室温で反応させた。樹脂をDCM、引き続いてジエチルエーテルで十分にすすぎ、乾燥させた。樹脂の充填は、ジベンゾフルベンのUV定量によって0.25mmol/gであると決定された。
【0197】
【0198】
Wang樹脂(セグメント4)へのFmoc-Thr(tBu)-OHの充填:Fmoc-Thr-OHの予備充填をWang樹脂に対して行った。4gの樹脂(充填:0.56mmol/g、2.24mmolスケール)をDMF中で15分間膨潤させた。樹脂を室温でDMF中20%(v/v)ピペリジンで20分間処理した。樹脂をDMFで数回洗浄した。Fmoc-Thr(tBu)-OH(638mg、1.68mmol、0.75当量)及びHATU(638mg、1.68mmol、0.75当量)をDMF(12mL)に溶解した。予備活性化を、DIPEA(585μL、3.36mmol、1.5当量)の添加によって3分間室温で行った。反応混合物を膨潤樹脂に添加した。穏やかに撹拌しながら室温で一晩反応させた。樹脂をDMFで十分にすすいだ。無水酢酸(1.27mL)及びDIPEA(2.34mL)を含むDMF(12mL)の溶液を添加することによって、未反応アミンの樹脂へのキャッピングを開始した。穏やかな撹拌下で15分間室温で反応させた。樹脂をDCMで十分にすすぎ、乾燥させた。樹脂の負荷を測定した(0.34mmol/g)。
【0199】
固相ペプチド合成(SPPS):ペプチドセグメントは、Fmoc-SPPS化学を用いて自動ペプチド合成装置で合成した。側鎖保護基を有する以下のFmoc-アミノ酸を使用した:Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Cys(Acm)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Trt)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Nle-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc又はBoc-Opr-OH(Opr=5-(S)-オキサプロリン)。必要に応じて、Fmoc-シュードプロリンジペプチドを合成に組み込んだ。DMF中20%ピペリジン(2×8分)又は0.1MのCl-HOBtを含有するDMF中25%ピペリジン(2×8分)又は0.1M Cl-HOBtを含有するDMF中20%ピペリジン(2×8分)でFmoc脱保護を行い、完全なFmoc除去を確実にするためにフィードバックループを用いて304nmでUVによって監視した。室温で又は50℃で、Fmoc-アミノ酸(樹脂置換に対して3.0~5.0当量)、カップリング試薬としてHCTU又はHATU(2.9~4.9当量)及びDMF中DIPEA又はNMM(6~10当量)を用いてカップリングを行った。3分間の予備活性化の後、試薬を含有する溶液を樹脂に添加し、アミノ酸に応じて30分間又は2時間反応させた。場合によっては、二重結合が必要であった。場合によっては、未反応の遊離アミンをキャッピングするために、樹脂をDMF中20%無水酢酸で処理した。
【0200】
ペプチドの樹脂切断及び側鎖脱保護:ペプチド合成が完了したら、切断カクテルを用いて室温で2時間、ペプチドを樹脂から切断した。樹脂を濾別し、濾液を濃縮し、冷ジエチルエーテルで処理し、研和し、遠心分離した。エーテル層を慎重にデカントし、残渣をジエチルエーテルに再び懸濁し、研和し、遠心分離した。エーテル洗浄を2回繰り返した。得られた粗ペプチドを真空下で乾燥させ、-20℃で保存した。得られた固体の一定分量を0.1%TFA(v/v)を含む1:1CH3CN/H2Oに可溶化し、60℃でC18カラム(4.6×150mm)を使用する分析RP-HPLCによって分析した。生成物の分子量は、MALDI-TOF又はLC-MSを用いて同定した。
【0201】
IL-2セグメント1及び2のライゲーション並びに光脱保護:IL-2 Seg1(1.2当量)及びIL-2 Seg2(1当量)を、0.1Mシュウ酸(20mMペプチド濃度)を含有するDMSO:H2O(9:1、v/v)に溶解し、60℃で22時間反応させた。ライゲーションバイアルをアルミニウム箔に包むことによって光から保護した。KAHAライゲーションの進行は、C18カラム(4.6×150mm)を使用したHPLCによって60℃で0.1%TFAを含むCH3CN/H2Oを移動相として用いて7分で5から95%のCH3CNの勾配で監視した。ライゲーションの完了後、混合物を0.1%TFAを含有するCH3CN/H2O(1:1)で希釈し、365nmの波長で1時間照射した。光分解反応の完了は、前述の方法を使用してHPLCに試料を注入することによって確認した。次いで、溶液を分取HPLCによって精製した。
【0202】
IL-2セグメント3及び4のライゲーション並びにFmoc脱保護:IL2-Seg3(1.2当量)及びIL2-Seg4(1当量)を、0.1Mシュウ酸(15mM)を含有するDMSO/H2O(9.8:0.2)に溶解し、60℃で20時間反応させた。KAHAライゲーションの進行は、移動相として0.1%TFAを含有するCH3CN/H2Oを使用し、7分で30から70%CH3CNの勾配で、60℃でC18カラム(4.6×150mm)を使用するHPLCによって監視した。ライゲーションの完了後、反応混合物をDMSO(6mL)で希釈し、5%のジエチルアミン(300μL)を添加し、反応混合物を室温で7分間振盪した。精製用の試料を調製するために、TFA(300μL)を含有するDMSO(4mL)で希釈した。
【0203】
最終ライゲーション:IL2-Seg12(1.2当量)及びIL2-Seg34(1当量)を、0.1Mシュウ酸(15mMペプチド濃度)を含有するDMSO/H2O(9:1)又は(9.8:0.2)に溶解し、ライゲーションを60℃で24時間進行させた。KAHAライゲーションの進行は、60℃でC18カラム(4.6×250mm)及び移動相として0.1%TFAを含有するCH3CN/H2Oを使用し、14分で30から95%のCH3CNの勾配で分析HPLCによって監視した。ライゲーションの完了後、反応混合物をDMSOで希釈し、続いて0.1%TFA(7mL)を含有する(1:1)CH3CN:H2Oの混合物で更に希釈した。試料を分取HPLCに注入することによって精製した。
【0204】
Acm脱保護:2×Acmを有するIL2直鎖タンパク質をAcOH/H2O(1:1)(0.25mMタンパク質濃度)に溶解し、AgOAc(1%m/v)を溶液に添加した。混合物を光から保護して50℃で2.5時間振盪した。HPLCによって確認される反応の完了後、試料を、0.1%TFAを含有するCH3CN:H2O(1:1)で希釈し、分取HPLCによって精製した。
【0205】
ペプチドの精製:ペプチドセグメント、ライゲーションされたペプチド及び直鎖タンパク質をRP-HPLCによって精製した。異なるペプチドに対して異なる勾配を適用した。移動相は、0.1%TFA(v/v)を含むMilliQ-H2O(緩衝剤A)及び0.1%TFA(v/v)を含むHPLCグレードCH3CN(緩衝剤B)であった。分取HPLCを、(50×250mm)又はC18カラム(50×250mm)で40mL/分の流量にて40℃又は60℃で行った。
【0206】
ペプチドの特性決定:ペプチドセグメント、ライゲーションされたペプチド及び直鎖タンパク質をRP-HPLCによって分析した。移動相は、0.1%TFA(v/v)を含むMilliQ-H2O(緩衝剤A)及び0.1%TFA(v/v)を含むHPLCグレードCH3CN(緩衝剤B)であった。分析HPLCは室温でC4カラム(3.6μm、150×4.6mm)、又は流速1mL/分、60℃のC18カラム(3.6μm、150×4.6mm)で行った。ペプチド及びタンパク質は、マトリックスとして4-ヒドロキシ-α-シアノケイ皮酸(HCCA)を使用して、二重ESI/MALDI-FTICR源を備えたSolariX(9.4T磁石)分光計(Bruker,Billerica,USA)を使用した高分解能フーリエ変換質量分析(FTMS)によって特徴付けた。
【0207】
実施例2:組成物A及びIL-2のA1バリアント(配列番号3)の合成
組成物A(セグメント1A)のIL-2(1-39)-Leu-α-ケト酸の合成
【0208】
【化27】
ペプチド合成:IL2(1-39)-Leu-α-ケト酸セグメント1A(配列番号3の残基1~40を参照されたい)を、約0.25mmol/gの置換容量を有するFmoc-Leu-保護-α-ケト酸(0.8g)を予備充填したRink-Amide MBHA樹脂上で0.2mmol規模で合成した。セグメント1Aの自動化Fmoc-SPPSを、一般的な手順「固相ペプチド合成(SPPS)」に従って行った。コンジュゲーションハンドルの挿入は以下のように行った。最初の手動カップリング反応を室温で、無水グルタル酸(CAS RN108-55-4、114.10mg、5当量)及びDIPEA(242μL、7当量)を含むDMFを樹脂に添加することによって、30分間行った。次に、DMF中の市販のO-(2-アミノエチル)-O’-(2-アジドエチル)ノナエチレングリコール(化合物2,421mg、当量)とのカップリングを、DIPEA(276μL、8当量)及びHATU(300mg、3.95当量)を含むDMFを樹脂に添加することによって3時間室温で行った。樹脂をDCMで洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥後のペプチジル樹脂の質量は1.6gであった。95:2.5:2.5TFA/DODT/H
2Ov/v/v(10mL/g樹脂)のカクテルを室温で2.0時間使用して、「ペプチドの樹脂切断及び側鎖脱保護」の手順に従って粗ペプチドを沈殿させた。
【0209】
【0210】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:25分で30から80%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1Aを白色固体として97%の純度で得た。樹脂充填に基づく単離収率は260mg(25%)であった。HRMS(ESI):C228H394N64O72、平均同位体計算値5182.9193Da[M+H]+、実測値:5182.9111Da[M+H]+。
【0211】
組成物A(セグメント2A)のOpr-IL2(42-69)光保護Leu-α-ケト酸の合成
【0212】
【化29】
ペプチド合成:Opr-IL2(42-69)-Leu-光保護-α-ケト酸セグメント2A(配列番号3の41~70を参照のこと)を、約0.25mmol/gの置換容量でFmoc-Leu-光保護-α-ケト酸(0.8g)を予め充填したRink-Amide MBHA樹脂上で0.2mmolスケールで合成した。セグメント2Aの自動化Fmoc-SPPSを、一般的な手順「固相ペプチド合成(SPPS)」に従って行った。樹脂をDCMで洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥後のペプチジル樹脂の質量は1.8gであった。95:2.5:2.5TFA/DODT/H
2Ov/v/v(15mL/g樹脂)のカクテルを室温で2.0時間使用して、「ペプチドの樹脂切断及び側鎖脱保護」の手順に従って粗ペプチドを沈殿させた。
【0213】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:30分で10から60%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント2Aを純度97%の白色固体として得た。樹脂充填に基づく単離収率は203mg(20%)であった。HRMS(ESI):C184H286N40O52S、計算された平均同位体:3922.0742Da[M+H]+、実測値:3922.0680Da[M+H]+。
【0214】
組成物A(セグメント3A)のFmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸の合成
【0215】
【化30】
ペプチド合成:Fmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸セグメント3A(配列番号3の残基71~103を参照のこと)を、約0.286mmol/gの置換容量を有するFmoc-Phe-光保護されたα-ケト酸(0.8g)を予め充填したRink-Amide ChemMatrix樹脂上で0.2mmol規模で合成した。セグメント3Aの自動化Fmoc-SPPSを、一般的な手順「固相ペプチド合成(SPPS)」に従って行った。樹脂をDCMで洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥後のペプチジル樹脂の質量は2.17gであった。95:2.5:2.5TFA/DODT/H
2Ov/v/v(10mL/g樹脂)のカクテルを室温で2.0時間使用して、「ペプチドの樹脂切断及び側鎖脱保護」の手順に従って粗ペプチドを沈殿させた。
【0216】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:10分で10から30%B、続いて30分で30から80%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント3Aを純度98%の白色固体として得た。樹脂充填に基づく単離収率は200mg(17.6%)であった。HRMS(ESI):C184H283N45O53、平均同位体計算値3973.0891Da[M+H]+、実測値:3973.0995Da[M+H]+。
【0217】
組成物A(セグメント4A)のIL-2Opr-IL2(105-133)の合成
【0218】
【化31】
ペプチド合成:Opr-IL2(105-133)セグメント4A(配列番号3の残基104~133を参照のこと)を、約0.34mmol/gの置換容量を有するFmoc-Thr-OH(0.294g)を予め充填したWang樹脂で0.1mmol規模で合成した。セグメント4Aの自動化Fmoc-SPPSを、一般的な手順「固相ペプチド合成(SPPS)」に従って行った。樹脂をDCMで洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥後のペプチジル樹脂の質量は725mgであった。92.5:2.5:2.5:2.5TFA/TIPS/DODT/H
2Ov/v/v/v/v(10mL/g樹脂)のカクテルを室温で2時間使用して、「ペプチドの樹脂切断及び側鎖脱保護」の手順に従って粗ペプチドを沈殿させた。
【0219】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、勾配:40分で10から50%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント4Aを純度90.8%の白色固体として得た。樹脂充填に基づく単離収率は40mg(8%)であった。HRMS(ESI):C158H241N37O52S、平均同位体計算値1175.2449Da[M+H]+3、実測値:1175.2440[M+H]+3。
【0220】
組成物A(セグメント12A)のIL2-Seg12を調製するためのKAHAライゲーション
【0221】
【化32】
ライゲーション及び光脱保護:セグメント12Aは、34mg(6.56μmol、1.1当量)のセグメント1A及び19mg(4.9μmol、1.0当量)のセグメント2Aを241μLの0.1Mシュウ酸を含有する9.5:0.5v/vDMSO/H
2O溶液に溶解した一般手順「IL-2セグメント1及び2のライゲーション及び光脱保護」に従って得た。
【0222】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%B、続いて30分で40から70%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント12Aを白色固体として純度98%で得た。単離収率は55%(25.5mg)であった。HRMS(ESI):C400H667N103O119S、計算された平均同位体:8855.2806Da[M+H]+、実測値:8855.9008Da[M+H]+。
【0223】
組成物A(セグメント34A)のIL2-Seg34を調製するためのKAHAライゲーション
【0224】
【化33】
ライゲーション:69mg(17.5μmol、1.1当量)のセグメント3A及び59mg(16.6μmol、1.0当量)のセグメント4Aを、0.1Mシュウ酸を含有する1100μLの9.9:0.1DMSO/H
2Ov/vに溶解した一般手順「IL-2セグメント3及び4のライゲーション及びFmoc脱保護」に従って、セグメント34Aを得た。
【0225】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、勾配:40分で20から60%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント34Aを白色固体として95%の純度で得た。単離収率は33%(42.3mg)であった。HRMS(ESI):C326H514N82O101S、平均同位体計算値7229.7437Da[M+H]+、実測値:7229.7618Da[M+H]+。
【0226】
組成物A(セグメント1234A)のIL2直鎖タンパク質を調製するための最終的なKAHAライゲーション
【0227】
【化34】
ライゲーション:セグメント1234Aは、45mg(5.1μmol、1.2当量)のセグメント12A及び31mg(16.6μmol、1.0当量)のセグメント34Aを、0.1Mシュウ酸を含む220μLの9.5:0.5DMSO/H
2Ov/vに溶解した一般手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0228】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、勾配:30分で30から80%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Aを白色固体として95%純度で得た。単離収率は26%(18mg)であった。
【0229】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、18mgのAcm保護セグメント1234Aを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0230】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて20分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Aを白色固体として97%純度で得た。単離収率は17%(11.6mg)であった。HRMS(ESI):C719H1171N183O216S2、計算された平均同位体:15898.5963Da[M+H]+、実測値:15898.6118Da[M+H]+。
【0231】
組成物AのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-A直鎖タンパク質(11.7mg、0.736μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(15μMタンパク質濃度)を含有する6MのGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0232】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング(方法1):再構成反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MのTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で20時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、移動相として0.1%TFA(v/v)を含むCH3CN/H2Oを使用して、60分で0.1%TFAを含む5から40から95%アセトニトリルの2段階勾配で室温に保ったC4カラム(20×250mm)を使用する分取HPLCによって10.0mL/分の流量で精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、純粋なフォールディングされたタンパク質組成物Aを純度98%の白色粉末として得た(フォールディング及び精製工程について2.2mg、収率19%)。純粋なタンパク質の純度及び同一性を、分析RP-HPLC、MALDI-TOF及び分析サイズ排除によって確認した。HRMS(ESI):C719H1169N183O216S2、計算された平均同位体:15896.5806Da[M+H]+、実測値:15896.6322Da[M+H]+
【0233】
IL-2タンパク質組成物A1の合成
IL-2組成物Aフォールディングタンパク質(39.76mg、1当量)を最初に8mLの10mM酢酸ナトリウム緩衝剤、8.4%スクロース、0.02%ポリソルベート80pH5.0に溶解した。溶液に22mLの50mM酢酸ナトリウム緩衝剤pH5.0及び30kDaDBCO-ポリエチレングリコールポリマー(392.05mg、5当量)を添加し、反応物を25℃で17時間穏やかに混合した。反応混合物をHiTrap Capto S ImpActカラム(5mL)に10mLずつ充填し、50mM酢酸ナトリウム緩衝剤pH5.0から1MのNaClを含む50mM酢酸ナトリウム緩衝剤まで20CVの勾配で2.5mL/分の流速で精製した。IL-2組成物A1 PEG化タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、10mM酢酸ナトリウム緩衝剤、8.4%スクロース、0.02%ポリソルベート80(pH5.0)に対して透析して、BCAによって測定して12.26mgのタンパク質画分IL-2組成物A1 PEG化タンパク質を得た(PEG化及び精製工程について収率31%)。純粋なPEG化タンパク質の純度及び同一性を、分析RP-HPLC、MALDI-TOF及び分析サイズ排除によって確認した。
実施例3:組成物B及びIL-2のB1バリアントの合成
この変形例では、セグメント3を除いて、他の全てのセグメントは、組成物Aに使用されるセグメントと同じである。
【0234】
組成物B(セグメント3B)のFmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸の合成
Fmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸セグメント3B(配列番号4の残基71~103を参照のこと)を、セグメント3Aの合成について記載される手順と同様に自動Fmoc-SPPS合成によって合成して、セグメント3Bを白色固体として>98%純度で得た。樹脂充填に基づく単離収率は18%(200mg)であった。HRMS(ESI):C184H284N46O52、平均同位体計算値3972.1051Da[M+H]+、実測値:3972.1054Da[M+H]+。
【0235】
KAHAライゲーションによる組成物BのIL2-Seg34の合成
ライゲーション:37mg(9.3μmol、1.2当量)のセグメント3B及び27mg(7.8μmol、1.0当量)のセグメント4Aを、0.1Mシュウ酸を含有する517μLの9.8:0.2DMSO/H2Ov/vに溶解した一般手順「IL-2セグメント3及び4のライゲーション及びFmoc脱保護」に従って、セグメント34Bを得た。
【0236】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%%B、続いて35分で40から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント34Bを白色固体として>99%の純度で得た。単離収率は22%(12.6mg)であった。HRMS(ESI):C326H515N83O100S、平均同位体計算値7228.7597Da[M+H]+、実測値:7228.7738Da[M+H]+。
【0237】
組成物B(セグメント1234B)のIL2直鎖タンパク質を調製するための最終的なKAHAライゲーション
ライゲーション:セグメント1234Bは、34mg(3.8μmol、1.2当量)のセグメント12A及び23mg(3.2μmol、1.0当量)のセグメント34Bを、0.1Mシュウ酸を含む214μLの9.5:0.5DMSO/H2Ov/vに溶解した一般手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0238】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%%B、続いて35分で40から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Bを白色固体として96%純度で得た。単離収率は52%(26.8mg)であった。HRMS(ESI):C725H1182N186O217S2、平均同位体計算値16039.6865Da[M+H]+、実測値:16039.6389Da[M+H]+。
【0239】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、26.8mgのAcm保護セグメント1234Bを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0240】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて30分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Bを白色固体として97%純度で得た。単離収率は55%(14.5mg)であった。HRMS(ESI):C719H1172N184O215S2、計算された平均同位体:15897.6117Da[M+H]+、実測値:15897.6195Da[M+H]+。
【0241】
組成物BのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-B直鎖タンパク質(14.5mg、0.913μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(61mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0242】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング:再構成反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MのTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(122mL、5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で20時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、室温に保ったC4カラム(20×250mm)を用いた分取HPLCにより、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配で、10.0mL/分の流速で精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、純粋なフォールディングされたIL2-Seg1234-Bタンパク質を白色粉末として98%超の純度で得た。(フォールディング工程及び精製工程について3.9mg、収率27%)。HRMS(ESI):C719H1170N184O215S2、計算された平均同位体:15895.5966Da[M+H]+、実測値:15895.5669Da[M+H]+。
【0243】
IL-2タンパク質組成物B1の合成
IL2-Seg1234-B(2mg、0.126μmol、1当量)の1:1CH3CN:H2O(50mMタンパク質濃度)中の溶液に、30kDaのDBCO-ポリエチレングリコールポリマー(11.7mg、0.403μmol、3.2当量)を添加し、反応物を25℃で20時間穏やかに混合した。反応混合物を1:1CH3CN/H2O+0.1%TFAで希釈し、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配を有するC4カラム(20×250mm)、流速:10.0mL/分を使用して分取HPLCで精製した。PEG化IL2-Seg1234-B1タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、凍結乾燥して、2.5mgのIL2-Seg1234-B1PEG化タンパク質を白色粉末として98%純度で得た。(PEG化及び精製工程について収率29%)。純粋なPEG化タンパク質の純度及び同一性を、分析RP-HPLC、MALDI-TOF、SEC-HPLC及びSDS-pageによって確認した。
実施例4:組成物C及びIL-2のC1バリアントの合成
この変形例では、セグメント2を除いて、他の全てのセグメントは、組成物Aに使用されるセグメントと同じである。
【0244】
組成物C(セグメント2C)のIL-2Fmoc-OprIL2(42-69)-Leu-α-ケト酸の合成
Opr-IL2(42-69)-Leu-光保護a-ケト酸セグメント2C(配列番号5の残基41~70を参照のこと)を、セグメント2Aの合成について記載される手順と同様に自動Fmoc-SPPS合成によって合成して、セグメント2Cを白色固体として94%純度で得た。樹脂充填量に基づく単離収率は19.7%(153.7mg)であった。MALDI-TOFを使用して、所望の生成物質量が得られたことを確認した。
【0245】
KAHAライゲーションによる組成物CのIL2-Seg12の合成(セグメント12C)
ライゲーション及び光脱保護:セグメント12Cは、90mgのセグメント1A(17.4μmol、1.1当量)及び56mg(14.5μmol、1.0当量)のセグメント2Cを1157μLの0.1Mシュウ酸を含有する9.5:0.5v/vDMSO/H2O溶液に溶解した一般手順「IL-2セグメント1及び2のライゲーション及び光脱保護」に従って得た。
【0246】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%B、続いて30分で40から70%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント12Cを白色固体として>99%の純度で得た。単離収率は36%(46.7mg)であった。
【0247】
組成物CのIL2直鎖タンパク質(セグメント1234C)を調製するための最終的なKAHAライゲーション
ライゲーション:セグメント1234Cは、46.7mg(5.24μmol、1.2当量)のセグメント12C及び32mg(4.41μmol、1.0当量)のセグメント34Aを、0.1Mシュウ酸を含む683μLの9.5:0.5DMSO/H2Ov/vに溶解した一般手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0248】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:30分で30から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Cを白色固体として得た。単離収率は34%(24.5mg)であった。
【0249】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、24.5mgのAcm保護セグメント1234Cを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0250】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて30分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Cを白色固体として94%純度で得た。単離収率は69%(16.6mg)であった。HRMS(ESI):C717H1167N183O216S2、計算された平均同位体:15870.5650Da[M+H]+、実測値:15870.6232Da[M+H]+。
【0251】
組成物CのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-C直鎖タンパク質(16.6mg、1.04μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(69mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0252】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング:転位反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(140mL、5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で20時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、室温に保ったC4カラム(20×250mm)を用いた分取HPLCにより、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配で、10.0mL/分の流速で精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、純粋なフォールディングされたIL2-Seg1234-Cタンパク質を白色粉末として99%超の純度で得た(フォールディング及び精製工程について3.4mg、収率20.5%)。HRMS(ESI):C717H1165N183O216S2、計算された平均同位体:15868.5493Da[M+H]+、実測値:15868.5979Da[M+H]+。
【0253】
IL-2タンパク質組成物C1の合成
IL2-Seg1234-C(2mg、1当量)の1:1CH3CN:H2O(50μMタンパク質濃度)中の溶液に、30kDaのDBCO-ポリエチレングリコールポリマー(11.0mg、3当量)を添加し、反応物を25℃で20時間穏やかに混合した。反応混合物を1:1CH3CN/H2O+0.1%TFAで希釈し、C4カラム(20×250mm)を使用して分取HPLCで精製し、5分で10から30%Bまでの2段階勾配、続いて30分で30から95%Bまで、10.0mL/分の流速で行った。PEG化IL2-Seg1234-C1タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、凍結乾燥して、白色粉末として1.4mgのIL2-Seg1234-C1PEG化タンパク質を99%超の純度で得た。(PEG化及び精製工程について収率25%)。純粋なPEG化タンパク質の純度及び同一性を分析RP-HPLC及びMALDI-TOFによって確認した。
実施例5:IL-2の組成物D及びD1バリアントの合成
この変形例では、セグメント1を除いて、他の全てのセグメントは、組成物Bに使用されるセグメントと同じである。
【0254】
組成物D(セグメント1D)のIL-2(1-39)-Leu-α-ケト酸の合成
IL2(1-39)-Leu-α-ケト酸セグメント1D(配列番号6の残基1~40を参照されたい)を、セグメント1Aの合成について記載される手順と同様に自動Fmoc-SPPS合成によって合成して、セグメント1Dを白色固体として98%純度で得た。樹脂充填量に基づく単離収率は20%(209mg)であった。MALDI-TOFを使用して、所望の生成物質量が得られたことを確認した。
【0255】
KAHAライゲーションによる組成物DのIL2-Seg12の合成(セグメント12D)
ライゲーション及び光脱保護:セグメント12Dは、60mg(11.7μmol、1.1当量)のセグメント1D及び38mg(9.7μmol、1.0当量)のセグメント2Aを780μLの0.1Mシュウ酸を含有する9.5:0.5v/vDMSO/H2O溶液に溶解した一般手順「IL-2セグメント1及び2のライゲーション及び光脱保護」に従って得た。
【0256】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%B、続いて30分で40から70%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント12Dを白色固体として得た。単離収率は54%(46.2mg)であった。HRMS(ESI):C397H661N103O119S、m/z計算値:8812.8698Da[M+H]+、実測値:8812.8833Da[M+H]+。
【0257】
組成物D(セグメント1234D)のIL2直鎖タンパク質を調製するための最終的なKAHAライゲーション
ライゲーション:セグメント1234Dは、35.2mg(5.24μmol、1.2当量)のセグメント12D及び26mg(3.62μmol、1.0当量)のセグメント34Bを、0.1Mシュウ酸を含む270μLの9.5:0.5DMSO/H2Ov/vに溶解した一般的な手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0258】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:30分で30から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Dを白色固体として得た。単離収率は26%(15mg)であった。
【0259】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、15mg(0.95μmol)のAcm保護セグメント1234Dを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0260】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて30分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Dを白色固体として94%純度で得た。単離収率は80%(12mg)であった。HRMS(ESI):C716H1166N184O215S2、計算された平均同位体:15855.5653Da[M+H]+、実測値:15855.5300Da[M+H]+。
【0261】
組成物DのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-D直鎖タンパク質(9mg、0.568μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(38mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0262】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング:転位反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(76mL、5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で44時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配、10.0mL/分の流速で室温に保ったShiseido ProteonAviC4カラム(20×250mm)を使用した分取HPLCによって精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、フォールディングされたIL2-Seg1234-Dを白色固体として>98%の純度で得た(フォールディング工程及び精製工程について0.3mg、収率3%)。
【0263】
IL-2タンパク質組成物D1の合成
IL2-Seg1234-D(0.3mg、1当量)の1:1CH3CN:H2O(50μMタンパク質濃度)中の溶液に、30kDaのDBCO-ポリエチレングリコールポリマー(1.8mg、3.2当量)を添加し、反応物を25℃で20時間穏やかに混合した。反応混合物を1:1CH3CN/H2O+0.1%TFAで希釈し、C4カラム(20×250mm)を使用して分取HPLCで精製し、5分で10から30%Bまでの2段階勾配、続いて30分で30から95%Bまで、10.0mL/分の流速で行った。PEG化IL2-Seg1234-D1タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、凍結乾燥して、白色粉末として0.1mgのIL2-Seg1234-D1PEG化タンパク質を98%超の純度で得た。(PEG化及び精製工程について収率11%)。
【0264】
純粋なPEG化タンパク質の純度及び同一性を分析RP-HPLC及びMALDI-TOFによって確認した。
実施例6:IL-2の組成物E及びE1バリアントの合成
この変形例では、セグメント1を除いて、他の全てのセグメントは、組成物Bに使用されるセグメントと同じである。
【0265】
組成物E(セグメント1E)のIL-2(1-39)-Leu-α-ケト酸の合成
IL2(1-39)-Leu-α-ケト酸セグメント1E(配列番号7の残基1~40を参照されたい)を、セグメント1Aの合成について記載される手順と同様に自動Fmoc-SPPS合成によって合成して、セグメント1Eを白色固体として97%純度で得た。樹脂充填量に基づく単離収率は17%(180mg)であった。HRMS(ESI):C225H388N64O72、平均同位体計算値5140.87247Da[M+H]+、実測値:5141.8699Da[M+H]+。
【0266】
KAHAライゲーションによる組成物EのIL2-Seg12の合成(セグメント12E)
ライゲーション及び光脱保護:セグメント12Eは、60mg(11.7μmol、1.1当量)のセグメント1E及び38mg(9.7μmol、1.0当量)のセグメント2Aを780μLの0.1Mシュウ酸を含有する9.5:0.5v/vDMSO/H2O溶液に溶解した一般手順「IL-2セグメント1及び2のライゲーション及び光脱保護」に従って得た。
【0267】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%B、続いて30分で40から70%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント12Eを白色固体として得た。単離収率は55%(33.4mg)であった。HRMS(ESI):C397H661N103O119S、m/z計算値:8812.8698Da[M+H]+、実測値:8812.8833Da[M+H]+。
【0268】
組成物E(セグメント1234E)のIL2直鎖タンパク質を調製するための最終的なKAHAライゲーション
ライゲーション:セグメント1234Eを、17.5mg(1.98μmol、1.2当量)のセグメント12E及び12mg(1.66μmol、1.0当量)のセグメント34Bを、0.1Mシュウ酸を含有する256μLの9.5:0.5DMSO/H2Ov/vに溶解した一般手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0269】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:30分で30から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Eを白色固体として得た。単離収率は22%(6.6mg)であった。MALDI-TOFを使用して、所望の生成物質量が得られたことを確認した。
【0270】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、6.6mg(0.37μmol)のAcm保護セグメント1234Eを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0271】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて30分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Eを白色固体として94%純度で得た。単離収率は98%(5.8mg)であった。HRMS(ESI):C716H1166N184O215S2、計算された平均同位体:15855.5653Da[M+H]+、実測値:15855.5479Da[M+H]+。
【0272】
組成物EのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-E直鎖タンパク質(5.8mg、0.366μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(24mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0273】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング:転位反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(48mL、5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で20時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、室温に保ったC4カラム(20×250mm)を用いた分取HPLCにより、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配で、10.0mL/分の流速で精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、フォールディングされたIL2-Seg1234-Eを白色固体として>98%の純度で得た(フォールディング工程及び精製工程について0.6mg、収率10%)。
【0274】
IL-2タンパク質組成物E1の合成
IL2-Seg1234-E(0.6mg、1当量)の1:1CH3CN:H2O(50μMタンパク質濃度)中の溶液に、30kDaDBCO-mPEG(3mg、2.7当量)を添加し、反応物を25℃で20時間穏やかに混合した。反応混合物を1:1CH3CN/H2O+0.1%TFAで希釈し、Shiseido ProteonaviC4カラム(20×250mm)を使用して分取HPLCで精製し、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配、10.0mL/分の流速で行った。PEG化IL2-Seg1234-E1タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、凍結乾燥して、白色粉末として0.2mgのIL2-Seg1234-E1PEG化タンパク質を98%超の純度で得た。(PEG化及び精製工程について収率12%)。純粋なPEG化タンパク質の純度及び同一性を分析RP-HPLC及びMALDI-TOFによって確認した。
実施例7:組成物Fの合成
この変形例では、セグメント2を除いて、他の全てのセグメントは、組成物Bに使用されるセグメントと同じである。
【0275】
組成物F(セグメント2F)のOpr-IL2(42-69)-Leu-光保護α-ケト酸の合成
Opr-IL2(42-69)-Leu-光保護されたα-ケト酸セグメント2F(配列番号8の残基1~40を参照されたい)を、セグメント2Aの合成について記載された手順と同様に自動Fmoc-SPPS合成によって合成して、セグメント2Fを白色固体として99%純度で得た。樹脂充填量に基づく単離収率は35%(269mg)であった。HRMS(ESI):C181H280N40O52S、m/z計算値:3880.0273Da[M+H]+、実測値:3880.0207Da[M+H]+。
【0276】
KAHAライゲーションによる組成物FのIL2-Seg12の合成(セグメント12F)
ライゲーション及び光脱保護:セグメント1A 34mg(6.6μmol、1.1当量)及びセグメント2F 19mg(4.9μmol、1.0当量)を0.1Mシュウ酸を含有する9.5:0.5v/vDMSO/H2O溶液385μLに溶解した一般手順「IL-2セグメント1及び2のライゲーション及び光脱保護」に従ってセグメント12Fを得た。
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、40℃で流速40mL/分、2段階勾配:5分で10から40%B、続いて30分で40から70%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント12Fを白色固体として純度96%で得た。単離収率は59%(25.5mg)であった。MALDI-TOFを使用して、所望の生成物質量が得られたことを確認した。
【0277】
組成物F(セグメント1234F)のIL2直鎖タンパク質の調製のための最終KAHAライゲーション
ライゲーション:セグメント1234Fは、25.5mg(2.89μmol、1.2当量)のセグメント12F及び17.5mg(2.42μmol、1.0当量)のセグメント34Bを、0.1Mシュウ酸を含む373μLの9.5:0.5DMSO/H2Ov/vに溶解した一般手順「最終ライゲーション」に従って得た。
【0278】
精製:C18カラム(5μm、50×250mm)、60℃で流速40mL/分、勾配:30分で30から80%%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acm保護セグメント1234Fを白色固体として得た。単離収率は31%(12mg)であった。MALDI-TOFを使用して、所望の生成物質量が得られたことを確認した。
【0279】
Acm脱保護:システイン残基の脱保護を、12mg(0.75μmol)のAcm保護セグメント1234Fを出発物質として用いて一般手順「Acm脱保護」に従って行った。
【0280】
精製:C18カラム(5μm、20×250mm)、40℃で流速10mL/分、2段階勾配:5分で10から30%B、続いて30分で30から95%B。精製された生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、セグメント1234Fを白色固体として94%純度で得た。単離収率は73%(8.7mg)であった。HRMS(ESI):C716H1166N184O215S2、計算された平均同位体:15855.5653Da[M+H]+、実測値:15855.6061Da[M+H]+。
【0281】
組成物FのIL-2直鎖タンパク質のフォールディング
直鎖タンパク質の再編成:IL2-Seg1234-F直鎖タンパク質(8.7mg、0.549μmol)を、0.1MTris及び30mM還元型グルタチオン(37mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MGu・HCl水溶液に溶解し、混合物を50℃で2時間穏やかに振盪した。
【0282】
直鎖再編成タンパク質のフォールディング:転位反応の完了後、試料を室温に冷却し、0.1MTris及び1.5mM酸化グルタチオン、pH8.0(80mL、5μMタンパク質濃度)で希釈した。フォールディングを室温で44時間進行させた。次いで、試料をTFAでpH3に酸性化し、室温に保ったC4カラム(20×250mm)を用いた分取HPLCにより、5分で10から30%B、続いて30分で30から95%Bの2段階勾配で、10.0mL/分の流速で精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、純粋なフォールディングされたIL2-Seg1234-F(フォールディング工程及び精製工程について0.2mg、収率2%)を得た。純粋なフォールディングされたタンパク質の純度及び同一性を、分析RP-HPLC及びMALDI-TOFによって確認した。
【0283】
実施例8:非コンジュゲート化及びPEG化IL-2バリアントによるSTAT5の選択的活性化
IL-2Rの関与は、シグナル伝達兼転写活性化因子5(STAT5)のリン酸化をもたらし、これは、T細胞サブセットに対する選択性を評価するための読み出しとして使用することができる。初代panT細胞を、フィコール勾配遠心分離を使用する末梢血単核細胞(PBMC)精製、引き続いて磁気ビーズによる負の単離、次いで更なる使用まで凍結保存によって、健康なドナーのバフィーコートから得た。panT細胞を解凍し、T細胞培地(RPMI10%FCS、1%グルタミン、1%NEAA、25μMβMeoH、1%ピルビン酸ナトリウム)中で一晩インキュベートし、続いてPBSで2回洗浄した。細胞をPBSに再懸濁し、ウェル当たり200,000細胞で分配した後、アルデスロイキン、非コンジュゲート化IL-2ポリペプチド(組成物A)、PEG化IL-2ポリペプチド(組成物A1)又は本明細書に提供される別の示されたバリアントのいずれかと37℃/5%CO2で40分間インキュベートした。インキュベーション後、転写因子ホスホ緩衝剤キットを使用して細胞を固定し、透過処理した後、CD4、CD8、CD25、FoxP3及びpSTAT5についての表面及び細胞内免疫染色を行い、細胞サブセットの同定及びSTAT5リン酸化レベルの測定を可能にした。FACS測定は、Acea製のNovoCyte又はQuanteon Flow Cytometerのいずれかを用いて行った。TregをCD4+CD25+FoxP3+細胞として分類し、TeffをCD8+T細胞として分類した。様々な免疫細胞型における示されたバリアントからのSTAT5リン酸化アッセイのEC50結果を以下の表6に示す。
【0284】
【0285】
【0286】
非コンジュゲート化(組成物A)及びPEG化IL-2ポリペプチド(組成物A1)の両方が、Tregにおいて選択的にSTAT5を活性化し(
図4B)、Teff細胞におけるSTAT5活性化に対する影響はほとんどなかった(
図4A)。一方、アルデスロイキンは、Treg細胞及びTeff細胞の両方においてSTAT5を非選択的に活性化した。PEG化IL-2ポリペプチド(組成物A1)に対するSTAT5活性化の効力は、非コンジュゲート化IL-2ポリペプチド(組成物A)に対する効力よりも低く、PEG化が活性のわずかな低下をもたらすことを示唆した。
【0287】
更に、非コンジュゲート化IL-2ポリペプチド及びPEG化IL-2ポリペプチドの両方が、ヒトTregに対する効力と同等の効力で、マウス及びカニクイザル由来のTregにおいてSTAT5を活性化し、したがって、マウス及びカニクイザルIL-2Rに対する交差反応性を実証した(表7)。
【0288】
【0289】
実施例9:IL-2受容体のα及びβサブユニットに対するPEG化IL-2ポリペプチド(組成物A1)の結合親和性
IL-2Rα及びβサブユニットに対するPEG化IL-2ポリペプチド(組成物A1)及び配列番号2(アルデスロイキン)の結合親和性を、バイオレイヤー干渉法(BLI)技術を用いて測定した。ビオチン化IL-R2α及びβ(研究開発、カタログAVI10305-050及びAVI10459-050)をストレプトアビジンバイオセンサSAX2に個別に負荷し、センサを1×Octet(登録商標)速度論的緩衝剤に浸漬してベースラインを設定した。センサを分析物溶液中で300秒間インキュベートした後、カイネティクス緩衝剤中で600秒間インキュベートして解離を測定した。Octet(登録商標)Analysisスタジオを使用してKd値を計算した。組成物A1は、アルデスロイキンよりもαサブユニットに対する親和性が高かった(それぞれ2.37nM対12.23nM)が、βサブユニットへの結合は消失した(
図5)。したがって、組成物A1は、α強化型βデッドIL-2ポリペプチドを表す。
【0290】
実施例10:組成物A1についてのマウスにおける薬物動態学的/薬力学的試験
単回用量の薬物動態学/薬力学(PK/PD)研究を、0.3mg/kgタンパク質当量のアルデスロイキンの1日5回の皮下(sc)注射又は0.1若しくは0.3mg/kgのPEG化IL-2ポリペプチド組成物A1の単回皮下注射を受けたC57BL/6マウスにおいて行った。血液をK2EDTAの様々な時点でサンプリングし、血漿を遠心分離によって生成し、PK分析及び細胞ペレットをフローサイトメトリー分析のための染色に新たに供するまで-80℃で保存した。
【0291】
細胞ペレットを1×Lyse/Fix緩衝剤(BD Bioscience、558050年)で10分間処理した。洗浄後、細胞を抗CD3、抗CD335及び抗CD25抗体で4℃で30分間染色した。次いで、冷BD Perm Buffer IIIを用いて細胞を透過処理し、Ki67、Siglec-F、CD4、CD8、FoxP3、CD62L、CD44又はpSTAT5に対する抗体で染色した。FACS(蛍光活性化細胞選別)測定を、BD製のFortessa X-20フローサイトメーターで行った。各細胞サブセットについて、pSTAT5陽性細胞の割合、並びにKi67陽性細胞の割合、細胞数及び細胞頻度を決定した。
【0292】
血漿中の組成物A1の濃度を、適格なヒトIL-2 LegendPlexビーズアッセイ(Biolegend、#740717、#740368、#740758)を用いて決定した。Phoenix WinNonlinソフトウェアバージョン6.3を使用することによって、PKデータをノンコンパートメントPK分析に供した。PKパラメータを得る際に、直鎖/対数台形則を適用した。修飾IL-2ポリペプチド(
図6)のPKプロフィールは6時間でピークに達し、濃度はPEG化によって26~30時間の長い半減期で低下した。PKパラメータ(表8)は、曝露の用量比例的増加を示した。このPKプロフィールは、マウスにおける半減期が数分以内であると報告されている野生型ポリペプチドよりも優れている。
【0293】
【0294】
アルデスロイキン及びPEG化IL-2ポリペプチド組成物A1の免疫PDプロファイルを同じ研究で同時に評価し、14日間監視した。PEG化IL-2ポリペプチドによる単回用量治療は、Treg集団(CD3+、CD4+、CD25Hi、FoxP3+)において強力かつ持続的なSTAT5リン酸化をもたらし、CD8+Teff細胞(CD3+、CD8+、CD4-)及びNK細胞(CD3-、CD49b+)に対する影響はなかったか又は最小限であった(
図7)。対照的に、アルデスロイキンを用いた5回用量の治療は、Treg細胞においてより控えめなSTAT5リン酸化プロファイルをもたらし、また、CD8+Teff細胞及びNK細胞に影響を及ぼさなかった(
図7)。組成物A1で処理したときのTreg細胞におけるIL-2受容体シグナル伝達経路の活性化は、CD8+Teff細胞及びNK細胞では観察されなかった増殖マーカーKi67の顕著かつ持続的な上方制御に変換された。対照的に、アルデスロイキンを用いた5回用量の治療は、TregにおいてKi67のアップレギュレーションを限定的にもたらした(
図7)。組成物A1で処理したときのTreg亜集団の増殖活性の増加は、ベースラインと比較してTreg細胞数の非常に顕著な増加をもたらし、5日間の用量のアルデスロイキンで観察されたものよりも優れていた。細胞増殖はTreg亜集団に対して選択的であり、CD8+Teff及びNK細胞は同程度に変化しないままであった(
図7)。
【0295】
実施例11:組成物A1はキーホールリンペットヘモシアニン誘発遅延型過敏症を抑制する
遅延型過敏症(DTH)は、以前に遭遇した抗原に対する局所Tエフェクターリコール応答を表す。ここでは、マウスをKLHによる皮下免疫化によってキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に最初に感作させ、次いで、数日後に耳への同じ抗原の皮内注射によって再チャレンジし、局所組織の炎症及び腫脹をもたらす。成体Balb/cマウスを実験群(n=10/群)に無作為に割り当て、一週間順応させた。0日目に、動物に、完全フロイントアジュバント(CFA)中の100μgのKLHのエマルジョンを、肩甲骨間のs.c.注射によって投与した。組成物A1を、0日目、0日目及び3日目、0、3及び5日目又は0、3、5及び8日目のいずれかに0.3mg/kg皮下投与した(
図8A参照)。ビヒクルを0、3、5及び8日目に皮下投与した。デジタルキャリパーを使用した左右の耳の厚さのベースライン測定後、7日目に、全ての動物に、10μgのKLHを含む0.9%塩化ナトリウムの皮膚内注射を右耳にチャレンジした。対側(左)耳に等量の0.9%塩化ナトリウムを投与した。耳厚を、デジタルキャリパーを使用して24、48、72及び96時間で測定した。ビヒクル治療群では、耳炎症は抗原刺激の48時間後にピークに達し、次いでゆっくりと消散した(
図8A)。組成物A1の単回投与は、ビヒクルと比較して、全ての時点で耳炎症を強く抑制した。複数回の投与は、抗原刺激の24時間後に炎症のより早期でより浅いピークをもたらし、その後、ほぼベースラインに戻る急速な消散をもたらした。組成物A1投与の各例では、曲線下面積(AUC)によって測定した耳腫脹の差は、ビヒクル対照より有意に小さかった(
図8B及び
図8Cを参照されたい)。したがって、組成物A1は抗原駆動性組織炎症を強力に抑制する。
【配列表】
【国際調査報告】