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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】シート加工機
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240628BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H43/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500188
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022067666
(87)【国際公開番号】W WO2023280629
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21183710.9
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】タピス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ロマニョーリ クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB01
3F048AB05
3F048BA11
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB10
3F048BC03
3F048DB12
3F048DC13
3F048EB21
(57)【要約】
シート加工機(10)は、シート(12)を監視するための装置(44)と、シート(12)を取り扱い方向に沿って、シート加工機(10)内で移動させるための搬送機構(26)と、を有する。装置(44)は、発光要素と受光要素との間のシート通路内に光の障壁を形成する発光要素を備える。制御ユニット(46)が、受光要素に接続され、シート通路を通過する各シート(12)を記録するように適合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(12)を監視するための装置(44)及び取り扱い方向に沿ってシート加工機(10)内部でシート(12)を移動させるための搬送機構(26)を有するシート加工機であって、
前記装置(44)は、
発光要素及び受光要素であって、前記受光要素は、前記発光要素と前記受光要素との間のシート通路(62)内に光の障壁を形成する前記発光要素に割り当てられる、発光要素及び受光要素と、
前記受光要素に接続され且つ前記シート通路(62)を通過する各シート(12)を記録するように適合された制御ユニット(46)と、を含み、
前記制御ユニット(46)は、前記シート(12)及び/又は前記シート加工機(10)についての情報を記憶するための記憶モジュール(48)を備え、
前記シート(12)の目標形状が、前記制御ユニット(46)の前記記憶モジュール(48)内に記憶される、
ことを特徴とするシート加工機。
【請求項2】
前記発光要素及び前記受光要素によって前記シート通路(62)内に形成される前記光の障壁は、ライトカーテン(56)である、請求項1に記載のシート加工機。
【請求項3】
前記ライトカーテン(56)は、前記シート通路(62)の幅の少なくとも80%に及び、特に、前記シート通路(62)の前記幅の少なくとも90%に及ぶ、請求項1又は2に記載のシート加工機。
【請求項4】
前記受光要素及び前記発光要素は、第1レール(52)及び第2レール(54)にそれぞれ取り付けられる、請求項1~3の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項5】
前記第1レール(52)及び前記第2レール(54)は互いに平行である、請求項4に記載のシート加工機。
【請求項6】
シート(12)の予想される数が、前記制御ユニット(46)の前記記憶モジュール(48)内に記憶され、前記予想される数は、前記シート加工機(10)の充填ステーション(14)内に提供される前記シート(12)の数及び/又は前記充填ステーション(14)から取られる前記シート(12)の数に基づいて決定され、前記制御ユニット(46)は、前記シート通路(62)を通過したシート(12)の現在の数を、前記予想されるシート(12)の数と比較するように適合される、請求項1~5の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項7】
前記シート(12)の前記目標形状は、前記シート通路(62)を通過した基準シートに基づいて決定される、請求項1~6の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項8】
前記シート(12)の前記目標形状は、リモートコンピュータから前記シート加工機に送信される参照ファイルに基づいて前記制御ユニット(46)によって決定される、請求項1~6の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項9】
前記目標形状は、前記シート(12)の目標寸法及び/又は前記シート(12)の目標外形を含む、請求項7又は8に記載のシート加工機。
【請求項10】
前記シート加工機(10)は、前記制御ユニット(46)に接続されるヒューマン-マシン-インターフェース50を備える、請求項1~9の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項11】
前記制御ユニット(46)は、前記シート(12)の現在の数が、前記シート(12)の予想される数より少ない場合、特に、前記充填ステーション(14)内にもうシート(12)が存在しない場合に、警告メッセージを前記シート加工機(10)の前記ヒューマン-マシン-インターフェース(50)に送信するように適合される、請求項10に記載のシート加工機。
【請求項12】
前記制御ユニット(46)は、少なくとも1枚のシート(12)の前記目標形状が、前記目標形状に一致していない場合に、警告メッセージを前記ヒューマン-マシン-インターフェース(50)に送信するように適合される、請求項10又は11に記載のシート加工機。
【請求項13】
シート(12)を監視するための前記装置は、前記シート加工機(10)の廃棄物除去ステーション(20)とブランク分離ステーション(22)との間に配置される、請求項1~12の何れか1項に記載のシート加工機。
【請求項14】
前記シート(12)は、紙、厚紙、箔又はそれらの複合材料で作られる、請求項1~13の何れか1項に記載のシート加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを監視するための装置を有するシート加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
変換機としても知られるシート加工機が、例えば、厚紙、紙、又は箔などの原材料を、典型的にはシートの形態で、中間生産物又は最終生産物に加工するために、包装産業において使用される。変換工程は、例えば、印刷、切断、折り、打ち抜き、スタンピング、及び/又は折り畳み接着などを含み得る。典型的に、個々の工程は、シートが搬送機構によって、ある加工ステーションから次の加工ステーションに運ばれながら、シート加工機のそれに続く加工ステーションで行われる。シートは、シート加工機の指定の積み重ねエリアにおいて、変換後に垂直に積み重ねなられて収集され得る。
【0003】
現代のシート加工機は、シートの高スループットを可能にする。しかしながら、加工スピードだけでなく、加工工程の質も同様に、包装産業において関連するパラメータである。例えば、打ち抜き工程は、打ち抜き工具によってシート内の切り込みを切り離すことを含み、切り込みは、先の加工ステップで形成されている。打ち抜き工具の位置合わせが十分ではなく且つ/或いは切り込みが十分に正確な方法で形成されなかった場合、シートから押し出されるブランクに、ゆがんだ形状が現れ得る。さらに、ブランクが、シートから全く押し出されないという可能性もある。したがって、シート加工機の工程の状態を確認する手段の必要性がある。
【0004】
国際公開第2018/175644号は、複数のシートセンサによって、シートの特徴、例えば、寸法、位置又は向きなどを測定する方法を開示する。
【0005】
欧州特許出願公開第2886498号明細書は、シートを検査する検査区画及び検査区画でのシートの検査結果によってシートを切断する切断区画を備えるシート加工装置を示す。装置は、複数の光学センサ及びアレイ形状光学センサを備え得る。検出区画で検出されたシートの数が、切断されたシートの数と一致しない場合、任意の取得されたカウント値は、「異常」であると仮定されるとともに、加工は停止される。
【0006】
米国特許出願公開第2019/0144224号明細書においては、シート加工用変換機が、前方横方向縁部の位置合わせを検出するために用いられる、シート上にプリントされた見当合わせマークの前方位置を測定するように構成される。さらに、付加的な「予補正センサ」が、前方横方向縁部の通過を検出するために用いられる。位置合わせ情報は、その後、配置エラーが補正されるように最適なグリップ位置を見つけるために、グリップバーのグリップ要素を動かすアクチュエータモジュールを制御するのに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2018/175644号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2886498号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0144224号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シート加工機におけるシートを監視するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、シートを監視するための装置及びシート加工機内で取り扱い方向に沿ってシートを運ぶための搬送機構を有するシート加工機によって解決される。装置は、発光要素を備え、発光要素は、発光要素と受光要素との間のシート通路に光の障壁を形成する。制御ユニットが、受光要素に接続され、シート通路を通過する各シートを記録するように構成される。
【0010】
本発明は、シート通路を通過するシートが、発光要素によって発光される光を遮る或いは少なくとも減衰させる、すなわち、シートが光の障壁を遮断する或いは減衰させるという考えに基づいている。この遮断又は減衰は、制御ユニットが、シート通路を通過する各シートを記録できるように受光要素によって検知されることができ、シート加工機の工程について結論を出すことを可能にする。
【0011】
好ましくは、発光要素及び受光要素によってシート通路内で形成される光の障壁は、ライトカーテンである。例えば、発光要素は、複数の個々の発光源を備えることができ、受光要素は、複数の受光センサを備えることができ、各々の受光センサは、発光源の1つと関連する。
【0012】
発光源の数及び受光センサの数、シート通路の寸法並びに発光源及び受光センサの関連する組の間の空間に応じて、ライトカーテンは、本質的に連続的なライトカーテンになり得る。
【0013】
シートを監視するための装置の信頼度を高めるために、ライトカーテンは、シート通路の幅の少なくとも80%、特に、シート通路の幅の少なくとも90%に及び得る。好ましくは、ライトカーテンは、シートが制御ユニットによって記録されることなくシート通路を通過することができないことを確実にするために、基本的にシート通路の全幅に及ぶ。さらに、これらの変形例は、より広い寸法範囲の加工されるシートを監視するための同様の装置を用いることを許容する。
【0014】
1つの変形例において、受光要素は、光強度を測定するように構成され得る。
【0015】
換言すれば、受光要素は、発光要素によって発光される光のいずれの減衰を検出することができ、すなわち、受光要素は、ただのYES/NO検出以上に微妙な差異のある情報を提供することが可能である。
【0016】
この変形例は、シートが、例えば、シートの厚さおよび/またはシートの材料の種類に基づいて、少なくとも部分的に透明であり、光がシートを通過することができるが、シートの透明性に基づいて減衰するような場合に、特に有用である。
【0017】
1つの変形例において、受光要素及び発光要素は、それぞれ、第1レール及び第2レールに取り付けられる。第1及び第2レールは、シート通路を制限できる。さらに、第1レール及び第2レールは、既存のシート加工機内に、シートを監視するための装置を組み込むための少なくとも1つの取り付け点を有することができる。
【0018】
発光要素及び受光要素を整列するための単純な構成を提供するために、第1レール及び第2レールは互いに平行であり得る。そのような構成は、特に複数の発光源及び受光センサが注意深く整列されなければならない場合に特に有利である。
【0019】
制御ユニットは、シート及び/又はシート加工機についての情報を記憶するための記憶モジュールを特に備える。
【0020】
例えば、予想されるシートの数は、制御ユニットの記憶モジュールに記憶することができ、予想される数は、シート加工機の充填ステーションに提供されるシートの数及び/又は充填ステーションから取られるシートの数に基づいて決定される。この変形例において、制御ユニットは、シート通路を通過した現在のシートの数と予想されたシートの数を比較するように適合される。
【0021】
換言すれば、制御ユニットは、充填ステーションで提供されて、充填ステーションから既に取られている全てのシートが、それぞれ、シートを監視するための装置を通過したことを確認するように適合され得る。
【0022】
予想されるシートの数は、シートの絶対数及び/又は単位時間当たり、例えば、毎秒のシートの数であり得る。それゆえに、予想されるシートの数の値は、シート加工機によって現在行われているシート加工作業の種類にとってもっとも適切なものであるように、選択され得る。
【0023】
付加的に、シートの透明度は、制御ユニットの記憶モジュール内でシートについての情報として記憶され得る。
【0024】
受光要素が光強度を測定可能な場合、シートの透明度は、光の障壁が遮断されるか閾値に基づいていないかを決定するために用いることが可能である。換言すれば、受光要素によって検出される光強度が閾値より下だがゼロではない場合、制御ユニットは、遮断された光伝達としてこの測定値を依然としてカウント可能である。
【0025】
閾値もまた、制御ユニットの記憶モジュール内に記憶され得る。
【0026】
さらに、シートの目標形状が、制御ユニットの記憶モジュール内に記憶され得る。
【0027】
目標形状は、シート通路を通過する基準シートに基づいて決定することができる。基準シートは、実際のシートが加工される前にシート加工機のオペレーターによってシート通路を通過され得る。よって、制御ユニットによって受信された信号配列は、目標形状が制御ユニットによって計算され且つ記憶モジュール内に記憶され得る基準シートの形状に対応する。
【0028】
同様に、基準シートは、それぞれの加工作業を始める前のシート加工機の設定の間にスキャンされる最後のシートになるように自動的に決定され得る。それゆえに、この変形例において、基準シートがシート通路をオペレーターによって手動で通過されることは必要ない。
【0029】
さらなる変形例において、基準シートの情報は、制御装置の記憶モジュール内に記憶されるファイル形式、例えば、PDFファイルなどで提供され得る。ファイルは、機械に接続されたリモートコンピュータ、例えば、クラウドコンピュータなどを通じて、機械に送信されてもよい。当該ファイルに含まれる形状から分析を実行するためには、制御ユニットは、受光要素の各々の読み取り値ごとに、予想される形状を有するシートによって、光が、完全に遮断されたか、部分的に遮断されたか、或いは遮断されないかを決定してもよい。遮断されることによって、シートの透明度とは関係なく、読み取り値が実行されるときに、シートがセンサを完全に覆っていることを意味する
【0030】
換言すれば、目標形状とシートを比較するために必要な情報を制御ユニットが利用可能である限り、シート通路を通して基準シートを実際に通過させて目標形状を決定するために別の測定をする必要はない。この場合には、また、基準シートを実際に生産する必要なく、事前に目標形状を実質的に設計することを許容する。
【0031】
目標形状は、シートの目標寸法及び/又はシートの目標外形を特に含む。目標寸法は、シートの全長、幅及び高さを特に含む一方で、目標外形は、シートの縁の推移を特に示す。さらに、外形は、例えば、カットアウト、切り込み、ミシン目及び/又は折り目などの、シートの表面情報を含み得る。
【0032】
さらに、目標形状は、基準シートの透明度を含み得る。これは、基準シートの透明度に基づく閾値を設定することを可能にする。
【0033】
シート加工機のオペレーターにシート加工機の現在の状況についての情報を提供するために、シート加工機は、例えば、タッチセンサ式ディスプレイなどの、制御ユニットに接続されるヒューマン-マシン-インターフェースを備え得る。
【0034】
制御ユニットは、シートの現在の数が、シートの予想される数より低い場合に、警告メッセージをシート加工機のヒューマン-マシン-インターフェースに送信するように適合され得る。そのような問題は、シートがシート加工機のいずれの加工ステーション内で詰まった場合及び/又はシート加工機が意図された加工スピードで作動しない場合に起こり得る。したがって、オペレーターは、ヒューマン-マシン-インターフェース上に警告メッセージが表示されることによって通知されることができ、これによりオペレーターは必要に応じて介入することができる。
【0035】
特に、シート加工機の充填ステーション内にシートが無い場合に、警告メッセージは、ヒューマン-マシン-インターフェースに送信される。この場合、警告メッセージは、エラーメッセージにもなり得て、エラーメッセージは、ヒューマン-マシン-インターフェースに、警告メッセージより目立って表示される。例えば、エラーメッセージは、例えば、オペレーターの確認により、シート加工機のオペレーターによって明確に認知されるまで、シート加工機の更なる作動を遮断することが可能である。
【0036】
同様に、制御ユニットは、少なくとも1枚のシートの目標形状が目標形状に一致していない場合に、警告メッセージをヒューマン-マシン-インターフェースに送信するように適合され得る。したがって、オペレーターは、少なくとも1枚のシートが目標形状で得られなかったということが、ヒューマン-マシン-インターフェース上に表示される警告メッセージによって、通知され得る。例えば、シートが損傷し且つ/或いは少なくとも1つのブランクがシートから適切に押し出されなかったなどである。
【0037】
さらに、制御ユニットは、目標形状に一致しない少なくとも1枚のシートのカウント数を保存可能であり、オペレーターが、間違っている可能性のある少なくとも1枚のシートを識別可能にするために、ヒューマン-マシン-インターフェースにこのカウント数を送信可能である。
【0038】
さらに、所定数のシートが目標形状に一致しないことが見つかった場合、エラーメッセージが、ヒューマン-マシン-インターフェースに送信され得る。当該所定数は、シート加工機の欠陥のある加工ステーションを表示するように設定され得る。それゆえに、それぞれのエラーメッセージを受け取るオペレーターは、正しく作動していないシート加工機の延期された使用から得られる廃棄物を最小限にするために、シート加工機の作動を停止することを決定可能である。
【0039】
シート加工機の作動は、停止基準が制御ユニットによって検知された場合に自動的に停止されることもまた可能である。
【0040】
停止基準は、目標形状との所定の大きなずれ、例えば、シートを監視するための装置の所定位置において取り除かれるべきでなかったブランクがもう存在していないことを示すずれ、であり得る。
【0041】
そのような場合、失われた部分がシート加工機内部に詰まっている可能性が高く、シート加工機に損害を与え、望まれないダウンタイムにつながるリスクが増加する。停止基準に基づいて機械を停止することによって、シート加工機に対する損害のリスクは少なくとも軽減される。
【0042】
換言すれば、シートを監視するための装置は、セキュリティ装置としてだけでなく、品質管理装置としても役に立ち得る。
【0043】
シートを監視するための装置は、シート加工機の廃棄物除去ステーションとブランク分離ステーションとの間に配置され得る。これは、シート内で予め形成されたブランクがブランク分離ステーション内でブランクを得るために適当に準備されたかどうか、例えばいずれの廃棄部分が適当に取り除かれ、ブランクがシート内で正しい形状及び/又は正しい位置であるかどうかを確認することを可能にする。
【0044】
シートは好ましくは、紙、厚紙、箔又はそれらの複合材料で作られる。
【0045】
更なる利点及び特徴は、以下の本発明の説明から及び本発明の非限定的な例示的実施形態を示す添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明によるシート加工機を概略的に示す。
図2図1のシート加工機によって加工されるシートの平面図を概略的に示す。
図3図1のシート加工機のシートを監視するための装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、一連のシート12からブランク11(図2参照)を切り取ることを可能にするシート加工機10を概略的に示す。これらのブランクは、その後、包装箱を形成するために、折りたたまれ、接着されることを通常意図されている。しかしながら、シート12は、例えば、紙、厚紙、箔、それらの複合材料又は包装産業において日常的に使用されるその他の材料で一般的に作られてもよい。
【0048】
シート加工機10は、単一の組立体を形成するために、並置されるが互いに独立している一連の加工ステーションを備える。加工機10は、充填ステーション14を備え、その後に、例えば、シート12が切断によって変形されるダイ又はプラテンプレス18を含む切断ステーション16(通常、打ち抜きステーションとも呼ばれる)、廃棄部分のほとんどが取り除かれる廃棄物除去ステーション20、打ち抜き工具23を用いてブランク11を分離(又は打ち抜き工程)するためのブランク分離ステーション22(通常、受け取りステーションとも呼ばれる)及び打ち抜きされたシート12の残余廃棄シート25(図2参照)を取り除くための排除ステーション24などを備える切断ステーション16などが続く。
【0049】
加工ステーションの数及び性質は、シート12上で実行される変換工程の性質及び複雑さに応じて異なってもよい。
【0050】
シート加工機10は、また、搬送機構26も有し、示される実施形態において、搬送機構はコンベアであり、充填ステーション14の出口から排除ステーション24に各シート12を個々に移動させることを可能にする。
【0051】
コンベアは、1つずつシート加工機10の両側に1つずつ横方向に配置されるチェーン30の2つの輪によって移動可能であるように取り付けられる、一連のグリッパバー28を用いる。チェーン30の各輪は、グリッパバー28が、切断ステーション16、廃棄物除去ステーション20、ブランク分離ステーション22及び排除ステーション24を連続的に通過する軌跡をたどることができる輪の周りを移動する。
【0052】
各グリッパバー28は、駆動ホイール32とアイドラーホイール34との間の通路の実質的に水平な面において往路を移動し、その後、シート加工機10の上部において復路を移動する。駆動ホイール32に戻ると、各グリッパバー28はその後、シート12の前縁において新しいシート12を把持可能である。
【0053】
図1において、各加工ステーションは、シート12の移動面の両側に配置される加工機の上部及び底部をそれぞれ表す2つの長方形の形で示される。
【0054】
図1において、横方向(又は左右方向)、長手方向及び垂直方向が、直交空間系(T,L,V)で示される。
【0055】
用語「上流」及び「下流」は、図1の矢印Dによって示されるように、取り扱い方向においてシート12の移動方向を基準にして定義される。
【0056】
図2において、シート加工機10(図1参照)によって加工されているシート12の現在の状況及び形状が示され、シート12の平面図は、図1のシート加工機10の一連のステーションにしたがって配置される。
【0057】
充填ステーション14において、シート12は、長方形又は正方形の面を有する平らなシートとして提供される。
【0058】
切断ステーション16において、ブランク11の外形は、例えば一連の切り込み及び/又はミシン目などによって、シート12内に弱化された線38を形成することによって、準備される。
【0059】
廃棄物除去ステーション20において、図2の斜線部分で示されるように、シート12の選択された部分は、切り抜かれるとともにシート12から排出される。
【0060】
最終的に、ブランク11は、ブランク分離ステーション22においてシート12から分離され、示される実施形態においては、中心開口部42を有する2つの十字形のブランク11がシート12から得られる。
【0061】
シート12の残部、すなわち残余廃棄シート25は、排除ステーション24において取り除かれる。
【0062】
もちろん、図2で示される順序は、もともと例示的なものにすぎない。シート12及び/又はブランク11の異なる形状及び寸法が、シート12の使用種類及びシート加工機10によって提供される加工ステーションに応じて、シート加工機10によってそれぞれ使用され、形成されてもよい。
【0063】
図1に戻ると、シート加工機10は、搬送機構26によって、廃棄物除去ステーション20からブランク分離ステーション22へ、下流に運ばれているシート12を監視するための装置44をさらに備える。
【0064】
原則として、装置44は、シート加工機10の正確な作動を監視するために、シート12のどの現在の状況が、最も重要な且つ/或いは最も適したものであるかに応じて、シート加工機10の任意の2つの加工ステーションの間に配置され得る。
【0065】
装置44は、例えばイーサネット接続などによって、制御ユニット46に接続される。しかしながら、装置44は、装置44と制御ユニット46との間で信号の十分に速い交換を提供する任意の手段によって、制御ユニット46に接続することも可能である。例えば、当該接続は、ワイヤレスで確立することも可能であり、例えば、Wi-Fiなどである。
【0066】
制御ユニット46は、記憶モジュール48を備え、そこに、充填ステーション14において提供されるシート12の数及び加工速度、すなわち、シート加工機10によって加工される1秒当たりのシート12の数、が保存される。
【0067】
制御ユニット46は、示される実施形態において、タッチセンサ式ディスプレイであるヒューマン-マシン-インターフェース50にさらに接続される。ヒューマン-マシン-インターフェース50によって、シート加工機10のオペレーター(図示せず)は、シート加工機10の現在の状況を知ることができ、シート加工機10の作動を制御することも可能である。
【0068】
図3において、シート12を監視するための装置44は、斜視図で示される。
【0069】
装置44は、第1レール52及び第2レール54を備え、第1レール52は、組み込まれた(すなわち、明確に図示されていない)発光要素を備え、第2レール54は、組み込まれた(すなわち、明確に図示されていない)受光要素を備える。発光要素が多数の発光源、特に、多数のレーザー発光スポットを有る一方で、受光要素は、多数の受光センサを有し、受光センサの各々は、1つの発光源に関連する。この構成は、第1レール52と第2レール54との間の基本的に連続的なライトカーテン56につながる。
【0070】
第1レール52は、いくつかの取り付け点60‐その内の1つのみが図3において示される‐によってブランク分離ステーション22のフレーム58に取り付けられ、ライトカーテン56は、シート通路62内に配置されるようになっている。
【0071】
図3で見られるように、ライトカーテン56は、横方向Tに沿ってシート通路62の幅の大部分に及ぶ。ライトカーテン56は、特に、シート通路62の幅の少なくとも80%又は少なくとも90%に及ぶ。原則として、ライトカーテン56は、シート通路62の全幅に及ぶことも可能である。
【0072】
以下では、装置44に関するシート加工機10の作動モードが、より詳細に説明される。
【0073】
上記で説明されたように、シート加工機10は、シート12の山を変換するために使用される。より具体的には、シート加工機10は、シート12からブランク11を切り取るために使用される。
【0074】
シート12を監視するための装置44は、シート加工機10が正しく作動するかどうか、すなわち、充填ステーション14に提供される全てのシート12が加工され全ての生産されたブランク11が正しい形状であるかどうかを決定するためのフィードバックを提供するのに使用される。
【0075】
この目的のために、充填ステーション14は、制御ユニット46に接続され、充填ステーション14は、制御ユニット46に、充填ステーション14内に提供されたシート12の総数を送信するようになっている。シート12の総数は、ヒューマン-マシン-インターフェース50を介してシート加工機10のオペレーターによって提供されることも可能である。制御ユニット46は、記憶モジュール48内にシート12の総数を記憶する。
【0076】
さらに、シート12を加工する前に、オペレーターは、シート通路62を通過する基準シートを提供する。基準シートは、廃棄物除去ステーション20を通り過ぎた後且つブランク分離ステーション22に入る前の、シート12の所望の形態に対応する(図3参照)。基準シートを提供するために、シート加工機10は、シートを監視するための装置44の上流の加工ステーション、すなわち、示される実施形態においては廃棄物除去ステーション20内に、追加の(図示せず)オペレーターアクセスを有することができる。
【0077】
制御ユニット46は、基準シートがシート通路62を通過するときに、装置44の受光要素から受信した信号配列を記録するとともに、参考のために記憶モジュール48内に信号系列を記憶する。この信号配列に基づいて、制御ユニット46は、シート12の目標寸法及び/又は目標外形を計算する。
【0078】
付加的に、制御ユニット46は、記憶モジュール48内にシート加工機10についての機械情報、例えば、1秒当たりのシート数での、シート加工機10における目標加工速度などを記憶可能である。機械情報は、ヒューマン-マシン-インターフェース50を介してオペレーターによって設定されることも可能である。
【0079】
シート12を変換するための加工作業が始まるとすぐに、制御ユニット46は、装置44を通過する、より具体的には、シート通路62を通過する各シート12を記録する。記録は、シート12の現在の数を取得するために装置4を通過するシート12をカウントすることと、各シート12の形状に対応する、各通過シート12の受光要素によって提供される信号配列を、記憶モジュール48内に保存される信号配列、すなわち、目標形状と比較することを含む。
【0080】
代替として、制御ユニット46は、シート12がシート通路62を通過するときに、装置44の受光要素から受信した参照信号配列を計算するために、参照ファイルを用いてもよい。そうするためには、シート12の目標形状に基づいて、制御ユニットは、正確な形状を有するシート12によって光が完全に遮断されているか、部分的に遮断されているか或いは全く遮断されていないかどうかを、受光要素の読み取り値ごとに決定する。透明度レベル、すなわち、光がシートによって完全に遮断されるときに受光要素によって検出される光強度は、加工作業の最初のシートから或いは最初のいくつかのシートから完全に遮断される一組の読み取り値の、平均値、中央値又は任意の適切な統計値から計算されてもよい。
【0081】
好ましくは、参照ファイルを用いた分析の間、制御ユニットは、シートによって部分的に遮断される読み取り値を無視して、完全に遮断されるか全く遮断されていないかのどちらかの読み取り値のみを使用してもよい。代替例として、制御ユニットは、その位置及び時間に、シートによって遮断される光の割合に依存する個々の受光要素の読み取り値ごとに目標値を割り当てることを決定してもよい。その後、この目標値を、評価中に実際の読み取り値と比較してもよい。この最後の代替例は、好ましくは、受光要素の視界が廃棄物(すなわち、機械によって排除されるシートの部分)より大きいときに、使用されてもよく、それによって、受光要素の粗い配列にもかかわらず、品質を制御することを可能にする。
【0082】
制御ユニット46は、充填ステーション14に初めから提供されるシート12の数及び充填ステーション14から既に取られているシート12の数に基づいて、シート12の予想される数を計算するために、適合される。この目的のために、充填ステーション14は、充填ステーション14から既に取られたシート12の数を制御ユニット46に送信する。
【0083】
制御ユニット46は、シート12の予想される数を現在のシート12の数と基本的に連続して比較する。シート12の現在の数が、シート12の予想される数より少ない場合、制御ユニット46は、シート加工機10の作動に問題があり得ることをシート加工機10のオペレーターに知らせるために、警告メッセージをヒューマン-マシン-インターフェース50に送信する。例えば、シート12の1枚は、ブランク分離ステーション22に届けられずに廃棄物除去ステーション20内部に詰まり得る。
【0084】
シート12が充填ステーション14内にはもう存在せず、シート12の数が予想されるシート12の数より依然として少ない場合、制御ユニット46は、エラーメッセージをヒューマン-マシン-インターフェース50に送信可能である。
【0085】
エラーメッセージは、オペレーターがシート12の数に不一致があることを無視できないことを確実にするために、警告メッセージより視覚的に目立つようにすることが可能である。
【0086】
さらに、制御ユニット46が、少なくとも1枚のシート12の形状が、記憶モジュール48内に記憶される目標形状に一致しないと主張する場合、制御ユニット46は、警告メッセージをヒューマン-マシン-インターフェース50に送信して、シート12から来るブランク11が、所望の形状を有さず或いはシート12から全くうまく押し出されていないことをオペレーターに知らせる。
【0087】
また、制御ユニット46は、この場合、シート加工機10によって生産され、ブランク分離ステーション22内に集められたブランク11の結果として生じる山において、オペレーターがブランク11を容易に識別可能であるように、シート12の現在の数を送信することも可能である。
【0088】
したがって、本発明によるシート加工機10は、シート加工機10におけるシート12の正確な加工を監視するための単純且つ信頼できる装置を提供する。このように、ブランク11の生産中のいずれの予期せぬ状況、例えば、ブランク11の損傷又はシート12の紛失などが、ブランク11の高い品質を確保し、シート加工機10によって生産される廃棄物及びそのダウンタイムを最小限にするために、識別され得る。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(12)を監視するための装置(44)及び取り扱い方向に沿ってシート加工機(10)内部でシート(12)を移動させるための搬送機構(26)を有するシート加工機であって、
前記装置(44)は、
発光要素及び受光要素であって、前記受光要素は、前記発光要素と前記受光要素との間のシート通路(62)内に光の障壁を形成する前記発光要素に割り当てられる、発光要素及び受光要素と、
前記受光要素に接続され且つ前記シート通路(62)を通過する各シート(12)を記録するように適合された制御ユニット(46)と、を含み、
前記制御ユニット(46)は、前記シート(12)及び/又は前記シート加工機(10)についての情報を記憶するための記憶モジュール(48)を備え、
前記シート(12)の目標形状が、前記制御ユニット(46)の前記記憶モジュール(48)内に記憶される、
ことを特徴とするシート加工機。
【請求項2】
前記発光要素及び前記受光要素によって前記シート通路(62)内に形成される前記光の障壁は、ライトカーテン(56)である、請求項1に記載のシート加工機。
【請求項3】
前記ライトカーテン(56)は、前記シート通路(62)の幅の少なくとも80%に及び、特に、前記シート通路(62)の前記幅の少なくとも90%に及ぶ、請求項1又は2に記載のシート加工機。
【請求項4】
前記受光要素及び前記発光要素は、第1レール(52)及び第2レール(54)にそれぞれ取り付けられる、請求項に記載のシート加工機。
【請求項5】
前記第1レール(52)及び前記第2レール(54)は互いに平行である、請求項4に記載のシート加工機。
【請求項6】
シート(12)の予想される数が、前記制御ユニット(46)の前記記憶モジュール(48)内に記憶され、前記予想される数は、前記シート加工機(10)の充填ステーション(14)内に提供される前記シート(12)の数及び/又は前記充填ステーション(14)から取られる前記シート(12)の数に基づいて決定され、前記制御ユニット(46)は、前記シート通路(62)を通過したシート(12)の現在の数を、前記予想されるシート(12)の数と比較するように適合される、請求項に記載のシート加工機。
【請求項7】
前記シート(12)の前記目標形状は、前記シート通路(62)を通過した基準シートに基づいて決定される、請求項に記載のシート加工機。
【請求項8】
前記シート(12)の前記目標形状は、リモートコンピュータから前記シート加工機に送信される参照ファイルに基づいて前記制御ユニット(46)によって決定される、請求項に記載のシート加工機。
【請求項9】
前記目標形状は、前記シート(12)の目標寸法及び/又は前記シート(12)の目標外形を含む、請求項7又は8に記載のシート加工機。
【請求項10】
前記シート加工機(10)は、前記制御ユニット(46)に接続されるヒューマン-マシン-インターフェース50を備える、請求項に記載のシート加工機。
【請求項11】
前記制御ユニット(46)は、前記シート(12)の現在の数が、前記シート(12)の予想される数より少ない場合、特に、前記充填ステーション(14)内にもうシート(12)が存在しない場合に、警告メッセージを前記シート加工機(10)の前記ヒューマン-マシン-インターフェース(50)に送信するように適合される、請求項10に記載のシート加工機。
【請求項12】
前記制御ユニット(46)は、少なくとも1枚のシート(12)の前記目標形状が、前記目標形状に一致していない場合に、警告メッセージを前記ヒューマン-マシン-インターフェース(50)に送信するように適合される、請求項10又は11に記載のシート加工機。
【請求項13】
シート(12)を監視するための前記装置は、前記シート加工機(10)の廃棄物除去ステーション(20)とブランク分離ステーション(22)との間に配置される、請求項に記載のシート加工機。
【請求項14】
前記シート(12)は、紙、厚紙、箔又はそれらの複合材料で作られる、請求項に記載のシート加工機。
【国際調査報告】