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特表2024-524577付加製造プロセスに有用な光硬化性及び熱硬化性樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】付加製造プロセスに有用な光硬化性及び熱硬化性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20240628BHJP
   C08G 18/24 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240628BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 283/00 20060101ALI20240628BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240628BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20240628BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240628BHJP
【FI】
C08G18/09 020
C08G18/24
C08G18/08 038
C08G18/10
C08F2/44 C
C08F283/00
C09D4/02
C09D175/04
C09D7/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500412
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022068143
(87)【国際公開番号】W WO2023280683
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21184735.5
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509113977
【氏名又は名称】ストラタシス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー アンネ
(72)【発明者】
【氏名】ビュスゲン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アクテン ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シュッターリーン ヤン
【テーマコード(参考)】
4J011
4J026
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AC04
4J011PA95
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA12
4J011QA13
4J011QB24
4J011SA04
4J011SA16
4J011UA01
4J011VA05
4J011WA10
4J026AB03
4J026BA27
4J026BA28
4J026DA05
4J026DB36
4J026GA07
4J034AA04
4J034AA06
4J034BA03
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG01
4J034DK02
4J034DP18
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA21
4J034JA22
4J034JA24
4J034JA32
4J034KA01
4J034KB03
4J034KC02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD05
4J034KD07
4J034KD17
4J034KE02
4J034QA03
4J034QB12
4J034QB14
4J034RA07
4J038DG001
4J038FA111
4J038JA32
4J038JC38
4J038JC39
4J038KA04
4J038NA09
4J038PA17
4J038PA19
4J038PB01
(57)【要約】
樹脂が、A)多官能性(メタ)アクリレートと、B)NCO官能性ポリウレタンと、C)ラジカル開始剤と、D)触媒とを含む。多官能性(メタ)アクリレートA)は、DIN EN ISO 2884-1に従って求められる、10000mPa・s以下の23℃における粘度を有し、NCO官能性ポリウレタンB)は、2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/molより大きい等価分子量を有し、触媒D)はイソシアネート三量化触媒であり、樹脂は、NCO反応性化合物を含まないか、又はNCO反応性化合物が樹脂中に存在する場合、NCO基とNCO反応性基とのモル比は5以上:1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)多官能性(メタ)アクリレートと、
B)NCO官能性ポリウレタンと、
C)ラジカル開始剤と、
D)触媒と、
を含む樹脂であって、
前記多官能性(メタ)アクリレートA)が、DIN EN ISO 2884-1に従って求められる、10000mPa・s以下の23℃における粘度を有し、
前記NCO官能性ポリウレタンB)が、2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/molより大きい等価分子量を有し、
前記触媒D)がイソシアネート三量化触媒であり、
前記樹脂が、NCO反応性化合物を含まないか、又はNCO反応性化合物が該樹脂中に存在する場合、NCO基とNCO反応性基とのモル比が5以上:1であることを特徴とする、樹脂。
【請求項2】
モノマーモノ(メタ)アクリレートを更に含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/mol未満の等価分子量を有する第2のポリイソシアネートを更に含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項4】
前記多官能性(メタ)アクリレートA)が、DIN EN ISO 2884-1に従って求められる、1mPa・s以上~1000mPa・s以下の23℃における粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項5】
前記ラジカル開始剤C)が、アクリル相の総重量ベースで3重量%以下の量で存在し、前記触媒D)が、ポリイソシアネートB)の重量ベースで1重量%以下の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項6】
前記多官能性(メタ)アクリレートA)及び前記NCO官能性ポリウレタンB)が、A)とB)との総重量ベースで2:1~1:3の重量比で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項7】
前記イソシアネート三量化触媒が、エチルヘキサン酸スズ(II)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項8】
I)樹脂を準備することと、
II)前記樹脂中に存在するラジカル開始剤からラジカルを発生させ、それによってラジカル硬化樹脂を得ることと、
III)工程II)の前記ラジカル硬化樹脂を加熱し、それによって熱硬化樹脂を得ることと、
を含む、樹脂を硬化する方法であって、
工程I)において、前記樹脂は、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂であり、
工程II)において、前記ラジカルは、前記樹脂中の(メタ)アクリレート基間の反応を開始させ、
工程III)において、前記ラジカル硬化樹脂を50℃以上の温度に加熱し、それによって前記樹脂中のイソシアネート基の三量化反応を開始させ、
工程II)及び工程III)は、同時に又は順次行うことができることを特徴とする、方法。
【請求項9】
工程I)において、前記樹脂が基材上のコーティングとして準備される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程II)において、前記樹脂に、製造される目的の物品の所定断面に従って選択的に照射し、選択的照射を、前記光硬化樹脂を含む所定の中間物品が得られるまで繰り返し、
工程III)において、前記中間物品を50℃以上の温度に加熱し、それにより目的の物品を得る、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
工程II)の前に、前記樹脂を、製造される目的の物品の所定断面に従った表面上に選択的に塗布し、工程II)による選択的な塗布及び照射を、前記光硬化樹脂を含む所定の中間物品が得られるまで繰り返し、
工程III)において、前記中間物品を50℃以上の温度に加熱し、それにより目的の物品を得る、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
工程III)が、80℃以上~120℃以下の温度で、4時間以上~24時間以下の時間実施される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の方法の工程II)の後に得ることができる、又は得られる、光硬化樹脂。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか一項に記載の方法の工程III)の後に得ることができる、又は得られる、熱硬化樹脂。
【請求項15】
請求項13に記載の光硬化樹脂及び/又は請求項14に記載の熱硬化樹脂を含む、製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレート官能性化合物、NCO官能性ポリイソシアネート、ラジカル開始剤及び触媒を含む樹脂に関する。本発明はまた、かかる樹脂を硬化する方法、硬化樹脂及び製造品に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリレートのみをベースとする付加製造用構造材料の使用は、通常、脆い材料特性をもたらし、機能性材料の製造に関しては望ましくない。そのため、硬化した構造材料の樹脂の可撓性を増大させることが強く望まれている。
【0003】
特許文献1は、三次元物体を形成する方法であって、(a)担体及び充填レベル、並びに任意に該充填レベルを画定する構造面を有する光透過性部材を提供することと、なお、上記担体及び上記充填レベルがそれらの間に構造領域を有する;(b)第1の前駆体液と第2の前駆体液とを混合して、(i)光重合可能な液体の第1の成分と(ii)該第1の成分と異なる第2の固化可能な成分との混合物を含む重合性液体を生成することと、なお、(i’)上記第2の固化可能な成分の少なくとも1つの反応物が上記第1の前駆体液に含まれ、(ii’)上記第2の固化可能な成分の少なくとも1つの反応物又は触媒が上記第2の前駆体液に含まれる;その後、(c)上記構造領域を上記重合性液体で充填することと、(d)上記構造領域に(存在する場合、上記光透過性部材を通じて)光を照射して、上記第1の成分から固体ポリマースキャフォールドを形成するとともに、また上記担体を上記構造面から離れる方向に移動させて、上記三次元物体と同じ形状、又は上記三次元物体に付与される形状を有し、かつ上記スキャフォールド内に担持される上記第2の固化可能な成分を未固化及び/又は未硬化の形態で含有する三次元中間体を形成することと、(e)任意に、上記三次元中間体を洗浄することと、(f)上記照射工程と同時に又はそれに続いて、上記三次元中間体中の上記第2の固化可能な成分を固化及び/又は硬化して、上記三次元物体を形成することとを含み、上記第2の固化可能な成分が、上記第1の成分において可溶化するか又は懸濁する重合性液体を含む、方法に関する。
【0004】
特許文献2は、前駆体から目的物を製造するプロセスであって、担体上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて前駆体の第1の選択断面に対応する担体に接合された構築材料の層を得る工程と、先に塗布された構築材料の層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前駆体の更なる選択断面に対応し、先に塗布された層に接合される構築材料の更なる層を得る工程と、前駆体が形成されるまで、工程II)を繰り返す工程とを含み、少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積は、目的物のそれぞれの選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択領域の曝露及び/又は照射によって行われ、フリーラジカル架橋性樹脂は、5mPa・s以上~100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する、プロセスを開示する。このプロセスにおいて、フリーラジカル架橋性樹脂は、NCO基及びオレフィン性C=C二重結合が存在する硬化性成分を含み、硬化性成分において、NCO基とオレフィン性C=C二重結合とのモル比は、1以上:5~5以下:1の範囲である。
【0005】
特許文献3は、構造材料からなる物品を製造するプロセスであって、構造材料が、フリーラジカル架橋性基、NCO基及びツェレビチノフ活性H原子を有する基を含み、物品が三次元物品及び/又は層である、プロセスに関する。物品の製造中及び/又は製造後、構造材料は50℃以上の温度に加熱され、該構造材料は1つ以上の熱潜在性スズ化合物を含むものとする。
【0006】
特許文献4は、前駆体から目的物を製造するプロセスであって、I)担体上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前駆体の第1の選択断面に対応する担体に接合された構築材料の層を得る工程と、II)先に塗布された構築材料の層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前駆体の更なる選択断面に対応し、先に塗布された層に接合される構築材料の更なる層を得る工程と、III)前駆体が形成されるまで、工程II)を繰り返す工程とを含む、プロセスを開示する。少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積は、目的物のそれぞれの選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択領域にエネルギーを導入することによって行われる。フリーラジカル架橋性樹脂は、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する。フリーラジカル架橋性樹脂は、ブロッキング剤でブロックされたNCO基、少なくとも2個のツェレビチノフ活性H原子を有する化合物、及びオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性成分を含み、ブロッキング剤はイソシアネートであるか、又はNCO基のデブロッキングの後に遊離分子として、又は他の分子若しくは部位の一部としてのブロッキング剤の遊離が続かないようにブロッキング剤を選択する。工程III)の後に得られた前駆体を、得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にデブロッキングするのに十分な条件下で処理し、このようにして得られた官能基を、少なくとも2個のツェレビチノフ活性H原子を有する化合物と反応させて目的物を得る更なる工程IV)が工程III)の後に続く。
【0007】
特許文献5は、付加製造プロセスにおいて前駆体から目的物を製造する方法であって、I)前駆体の第1の選択断面に対応するラジカル架橋性構築材料の層を担体上に堆積させる工程と、II)ラジカル架橋構築材料の先に塗布された層の上に、前駆体の更なる選択断面に対応するラジカル架橋性構築材料の層を堆積させる工程と、III)前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す工程とを含む、方法に関する。ラジカル架橋性構築材料は、5重量%以上のウレタン基含量を有する熱可塑性ラジカル架橋性ポリウレタンと光開始剤とを含む。ラジカル架橋性構築材料はまた、ラジカル架橋性ポリウレタンの融点よりも高い処理温度に加熱される。工程III)の後、20℃の温度を有する前駆体が目的物として定義されるか、又は工程III)の後に得られた前駆体において化学反応を行い、その結果目的物を得る工程IV)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/264719号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/133953号
【特許文献3】国際公開第2018/178025号
【特許文献4】国際公開第2018/104223号
【特許文献5】米国特許出願公開第2020/0140707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、硬化後に純粋なアクリレートベースの樹脂よりも高い可撓性を有する、付加製造プロセスに使用することができる樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、請求項1に記載の樹脂が提供される。樹脂を硬化する方法は請求項8に記載されており、方法の工程II)後に得ることができる又は得られる光硬化樹脂は請求項13の主題である。方法の工程III)後に得ることができる又は得られる熱硬化樹脂は請求項14の主題であり、光硬化樹脂及び/又は熱硬化樹脂を含む製造品は請求項15の主題である。
【0011】
樹脂は、A)多官能性(メタ)アクリレートと、B)NCO官能性ポリウレタンと、C)ラジカル開始剤と、D)触媒とを含む。多官能性(メタ)アクリレートA)は、DIN EN ISO 2884-1に従って求められる、10000mPa・s以下の23℃における粘度を有し、NCO官能性ポリウレタンB)は、2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/molより大きい等価分子量を有し、触媒D)はイソシアネート三量化触媒であり、樹脂は、NCO反応性化合物を含まないか、又はNCO反応性化合物が樹脂中に存在する場合、NCO基とNCO反応性基とのモル比は5以上:1である。
【0012】
かかる樹脂は、(メタ)アクリレート基の放射線硬化、及びNCO基の熱誘起三量化(特にイソシアヌレート形成をもたらす)の2つの硬化経路を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、両方の硬化経路が取られた後、組み合わせたネットワークが形成され、一方のネットワークは放射線硬化化合物A)に由来し、他方のネットワークは三量化NCO官能性ポリウレタンB)に由来すると考えられる。かかる組み合わせたネットワークの汎用性は、機械的特性に関する2つの異なるネットワークの相乗的な挙動にある。
【0013】
本発明による放射線硬化樹脂及び熱硬化樹脂では、2つのガラス転移温度の重なりが観察され得る。これにより、見かけ上、ガラス転移温度がDMA曲線に1つだけ表示され得る。しかしながら、二重ポリマーネットワーク中の(メタ)アクリルネットワークは、例えば0℃程度のガラス転移温度を有し得る。第2のガラス転移温度は、NCO官能性ポリウレタンに由来するNCO基の三量体ネットワークに起因するものであり、これも例えば0℃程度をとり得る。この転移温度は、化合物B)の分子量だけでなく、B)中の任意のポリオールの選択によっても調整され得る。
【0014】
本発明による樹脂をベースとする硬化材料は、純粋に(メタ)アクリレートをベースとする同等の系よりも高い破断伸びを示す。これらの破断伸び値は、材料の可撓性に代わるものと理解される。さらに、引張強度は、純粋な(メタ)アクリレート系に対するものよりも本発明による樹脂から得られる硬化材料に対してより高くなる。引張強度の増大と伸びの増大とが組み合わさることにより、靭性が増大する。改善された特性の組み合わせにより、エネルギー吸収体又は制振材として述べられる材料を使用することができる。さらに、理論に束縛されることを望むものではないが、組み合わせたネットワークの少なくとも幾つかの実施の形態において、1つのネットワークが、他の材料において固体フィラーがする機能を引き継ぐことが想定される。それゆえ、固体フィラーの必要性がなくなり、組み合わされたネットワーク材料の再利用がより実現可能なものとなる。
【0015】
多官能性(メタ)アクリレートA)は、モノマー(メタ)アクリレートの場合、1分子あたり2、3又はそれ以上の(メタ)アクリレート基、又はポリマー(メタ)アクリレートの場合、1分子あたり平均1.5以上、好ましくは2以上の(メタ)アクリレート基を有するような(メタ)アクリレートである。好ましい多官能性(メタ)アクリレートA)は、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ-トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシドジアクリレート、及び前述の物質の少なくとも2つの混合物である。
【0016】
NCO官能性ポリウレタンB)は、2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/molより大きい等価分子量を有することを条件とする。好ましくは、平均NCO基官能価が2以上~4以下、より好ましくは2以上~3以下である。NCO基に関する等価分子量は、好ましくは400g/mol以上~2000g/mol以下、より好ましくは600g/mol以上~1000g/mol以下である。
【0017】
NCO官能性ポリウレタンB)については、ポリイソシアネートの総重量ベースの重量パーセンテージで表されるNCO含量(「%NCO」)を求めるために、例えばDIN EN ISO 14896に従って試料をはじめに滴定することによって等価分子量を求めることができる。NCO基に関するポリイソシアネートの等価分子量は、NCO基の分子量(42g/mol)と100の係数との積を%NCO値で割ることによって算出される。
【0018】
NCO官能性ポリウレタンB)は二官能性ポリオールと大過剰なジイソシアネートとの反応から得ることができる。NCO基とNCO反応性基とのモル比は、5以上:1、又は更には10以上:1をとり得る。
【0019】
好適なジイソシアネートは、例えば、140g/mol~400g/molの範囲の分子量を有し、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族(araliphatically)及び/又は芳香族によって結合したイソシアネート基を有するものであり、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-及び1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’-及び4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3-及び1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、並びにビス(4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)フェニル)カーボネート、2,4-及び2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-及び4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5-ジイソシアナトナフタレン、並びにかかるジイソシアネートの任意の所望の混合物である。非芳香族ジイソシアネート、特にPDI、IPDI、H12MDI及びHDIが好ましい。
【0020】
好適なポリオールは、好ましくは線状ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエポキシドポリオール又はポリカーボネートポリオールである。ポリオールの分子量は、500g/mol~4000g/mol、好ましくは900g/mol~2500g/molであり得る。
【0021】
ラジカル開始剤C)は、熱開始剤及び/又は光開始剤であり得る。熱開始剤C)の例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ジベンゾイル(BPO)、tert.-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、ジ-tert.-ブチルペルオキシド(DTBP)、クミルペルオキシネオデカノエート、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
光開始剤C)は、ノリッシュI型(開裂)、ノリッシュII型(引き抜き)又はカチオン性の光開始剤であり得る。具体例は、Irgacur(商標)500(ベンゾフェノンと(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトンとの混合物)、Irgacure(商標)819 DW(フェニルビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)、Esacure(商標)KIP EM(オリゴ-[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)-フェニル]-プロパノン])及びIvocerin(商標)(ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウム)である。好ましい光開始剤は、Omnirad(商標)1173として市販されている2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンである。別の好ましい光開始剤系は、Omnirad(商標)BL 750として市販されている混合物である。前述の光開始剤化合物又は系の混合物を採用してもよい。
【0023】
本発明による樹脂において、ラジカル開始剤は、概して、採用される硬化性成分の量ベースで、0.01重量%~6.0重量%、好ましくは0.5重量%~4.0重量%、特に好ましくは2.0重量%~3.0重量%の濃度で採用される。
【0024】
イソシアネート三量化触媒D)は、原則として、イソシアネート基の付加を促進してイソシアヌレート基を生成し、その結果、存在するイソシアネート含有分子を架橋する全ての化合物である。具体例は、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、エチルヘキサン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン及び/又はトリブチルスズオキシドである。
【0025】
本発明による樹脂において、イソシアネート三量化触媒は、概して、NCO官能性ポリウレタンB)ベースで、0.0005重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~2.0重量%、特に好ましくは0.5重量%~1重量%の量で採用することができる。
【0026】
好ましくは、光開始剤C)は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシド及び/又はビス(4-メトキシ-ベンゾイル)ジエチルゲルマニウムから選択され、触媒D)は、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、エチルヘキサン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン及び/又はトリブチルスズオキシドから選択される。
【0027】
さらに、樹脂がNCO反応性化合物を含まないか、又はNCO反応性化合物が樹脂中に存在する場合、NCO基とNCO反応性基とのモル比が5以上:1であることを条件とする。避けるべきかかるNCO反応性化合物としては、モノアルコール、ポリオール、モノアミン、及びポリアミンが挙げられる。ここでの目標は、ポリウレタン又はポリウレアのネットワーク形成をできるだけ避けることである。「~を含まない(Free from)」とは、技術的に避けられない極微量は含まれるが、かかるNCO反応性化合物の意図的な添加は行われていないことを意味すると理解される。何らかの理由でNCO反応性化合物を樹脂中に存在させなければならない場合、NCO基とNCO反応性基とのモル比は、10以上:1が好ましく、20以上:1がより好ましく、100以上:1が最も好ましい。
【0028】
一実施の形態においては、樹脂はモノマーモノ(メタ)アクリレートを更に含む。これは反応性希釈剤(thinner)の役割を果たす。イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、テトラヒドロフリルアクリレート(THFA)、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、又は前述の物質の少なくとも2つの混合物が好ましい。
【0029】
別の実施の形態においては、樹脂は、2以上の平均NCO基官能価、及びNCO基に関する300g/mol未満の等価分子量を有する第2のポリイソシアネートを更に含む。例は、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、又は前述のポリイソシアネートの少なくとも2つの混合物である。特に好ましい第2のポリイソシアネートは、以下の構造を有するアロファネートであり、o及びpは、互いに独立して、4、5又は6であり、Rは1個~6個の炭素原子を有するアルキル残基(alkyl rest)である:
【化1】
【0030】
別の実施の形態においては、多官能性(メタ)アクリレートA)は、DIN EN ISO 2884-1に従って求められる、1mPa・s以上~1000mPa・s以下の23℃における粘度を有する。好ましい粘度は5mPa・s以上~500mPa・s以下である。
【0031】
別の実施の形態においては、ラジカル開始剤C)は、アクリル相の総重量ベースで3重量%以下の量で存在し、触媒D)は、ポリイソシアネートB)の重量ベースで1重量%以下の量で存在する。
【0032】
別の実施の形態においては、多官能性(メタ)アクリレートA)及びNCO官能性ポリウレタンB)は、A)とB)との総重量ベースで2:1~1:3の重量比で存在する。
【0033】
別の実施の形態においては、イソシアネート三量化触媒は、エチルヘキサン酸スズ(II)を含む。
【0034】
本発明の別の態様は、I)樹脂を準備することと、II)樹脂中に存在するラジカル開始剤からラジカルを発生させ、それによってラジカル硬化樹脂を得ることと、III)工程II)のラジカル硬化樹脂を加熱し、それによって熱硬化樹脂を得ることとを含む、樹脂を硬化する方法である。工程I)において、樹脂は、本発明による樹脂であり、工程II)において、ラジカルは、樹脂中の(メタ)アクリレート基間の反応を開始させ、工程III)において、ラジカル硬化樹脂を50℃以上の温度に加熱し、それによって樹脂中のイソシアネート基の三量化反応を開始させ、工程II)及び工程III)は、同時に又は順次行うことができる。
【0035】
本発明による樹脂に関する詳細は、本明細書の先のセクションで既に述べた通りであり、簡潔にするためにここでは繰り返さない。
【0036】
本発明による方法は、熱的又は放射線(例えば赤外線、可視光線又は紫外線)による樹脂の照射が、(メタ)アクリレートポリマーネットワークの形成下で液体又は可塑性の出発材料を固化させ、熱硬化が、組み合わせたネットワークを生じるイソシアヌレートネットワークを構築する、二重硬化プローチを反映する。工程III)の温度は、好ましくは50℃以上~150℃以下であり、90℃以上~110℃以下がより好ましい。工程II)において樹脂の熱誘起ラジカル硬化が望まれる場合、工程II)における温度は好ましくは50℃以上~150℃以下であり、90℃以上~110℃以下がより好ましい。熱誘起ラジカル硬化工程としての工程II)のその後の実施に工程III)が続くことが望ましい場合、工程II)の温度は工程III)の温度よりも低い。
【0037】
工程II)において光化学的硬化を伴う方法の一実施の形態は、I)樹脂を準備することと、II)樹脂に照射し、それにより光硬化樹脂を得ることと、III)工程II)の光硬化樹脂を加熱し、それにより熱硬化樹脂を得ることとを含む。工程I)において、樹脂は、ラジカル開始剤C)が光開始剤である本発明による樹脂である。工程II)において、樹脂に照射することにより、樹脂中の(メタ)アクリレート基間の反応を開始させ、工程III)において、光硬化樹脂を50℃以上の温度に加熱し、それにより、樹脂中のイソシアネート基の三量化反応を開始させる。
【0038】
一実施の形態においては、工程I)において、樹脂を基材上のコーティングとして準備する。熱硬化工程は、光が十分に照射されなかったシャドウ部分を硬化させる役割を果たし得る。
【0039】
別の実施の形態においては、工程II)において、樹脂に、製造される目的の物品の所定断面に従って選択的に照射し、選択的照射を、光硬化樹脂を含む所定の中間物品が得られるまで繰り返し、工程III)において、中間物品を50℃以上の温度に加熱し、それにより目的の物品を得る。この実施の形態は、ステレオリソグラフィ(SLA)及びDLP等の付加製造プロセスを包含する。熱硬化工程III)はSLA又はDLPシステムの外部で行うことができるため、SLA又はDLPマシンの利用可能台数に対する完成品の空時収率を向上させることができる。
【0040】
別の実施の形態においては、工程II)の前に、樹脂を、製造される目的の物品の所定断面に従った表面上に選択的に塗布し、工程II)による選択的な塗布及び照射を、光硬化樹脂を含む所定の中間物品が得られるまで繰り返し、工程III)において、中間物品を50℃以上の温度に加熱し、それにより目的の物品を得る。表面はパウダー表面とすることができる。そして、この実施の形態による方法は、バインダー噴射プロセスに似ている。代替的には、該プロセスは、いわゆるフォトポリマー噴射プロセスであってもよい。樹脂の塗布は選択的であるため、工程II)の照射は選択的である必要はない。そうであれば、構築プラットフォーム全体への照射で十分であると考えられる。
【0041】
別の実施の形態においては、工程III)は、80℃以上~120℃以下の温度で、4時間以上~24時間以下の時間実施される。
【0042】
さらに、本発明は、本発明による方法の工程II)後に得ることができる又は得られる光硬化樹脂、及び本発明による方法の工程III)後に得ることができる又は得られる熱硬化樹脂に関する。
【0043】
本発明の更なる態様は、本発明による光硬化樹脂及び/又は本発明による熱硬化樹脂を含む製造品である。かかる製造品の例としては、医療機器、パーソナライズされた(personalized)医療用物品、複製された医療用インプラント、歯科用物品、滅菌容器、及び履物構成品が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】実施例19において得られる材料に関するE’及びtanδ曲線を示す図面である。
図2】23℃において測定した対応する引張曲線を示す図面である。
図3】可撓性を示す図面である。
図4】ISO-3を伴って調製した試料(実施例14~実施例17)のDMA曲線を示す図面である。
図5】引張曲線を示す図面である。
図6】架橋密度が増大することにより、安定なプラトー弾性率がもたらされる、実施例15と実施例15aとを比べた追加のポリイソシアネートの効果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0045】
以下の実施例及び図面を参照して、本発明を更に説明するが、これらに限定されることを望むものではない。比較例は「(Comp.)」と称する。
【0046】
材料
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、NCO含量:50%)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI、NCO含量:37.62%)、並びにポリエーテルカーボネートポリオール(Polyol-1)は、Covestro Deutschland AGから供給された。
【0047】
イソシアネートAllo-1は、ISO 11909に従うイソシアネート含量およそ20.0%、ISO 3219/A.3に従う23℃における粘度およそ500mPa・s、及びイソシアネート基官能価およそ2.5を有するHDIをベースとする低粘度アロファネートであった。NCO基に関する等価重量は210g/molであった。
【0048】
Allo-1はCovestro Deutschland AGから供給され、そのまま使用した。ポリテトラヒドロフラン(Polyol-2)はBASFから購入した。光開始剤Omnirad BL750及びOmnirad 1173はIGM Resinsから供給された。阻害剤2,5-ビス(5-tert-ブチル-2-ベンゾオキサゾリル)チオフェンはsigma Aldrichから購入し、そのまま使用した。以下に述べる(メタ)アクリレート(IBOMA、DPGDA、THFA、PEGDA700g/mol)はsigma Aldrichから購入し、そのまま使用した。
【0049】
使用したポリオールは以下の通りであった:
【0050】
【0051】
使用したアクリレートは以下の通りであった:
【0052】
【0053】
方法
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を、DIN 55672-1:2016-03に従い、Agilentの1100シリーズポンプ及びAgilentの1200シリーズUV検出器(230nm)を使用し、40℃及び1mL/分で溶離溶媒としてテトラヒドロフランを用い、4本のPSSのSDV Analyticalカラムで実施した。
【0054】
総エネルギー入力が1300mJ/cmであるガリウム及び水銀の放射線源が装備されたSuperficiのModulo UVM Plus機で薄膜を調製した。
【0055】
FTIRスペクトルを、ATRクリスタルを装備したBrukerのFTIR Spectrometer Tensor IIで測定した。
【0056】
硬化した薄膜の動的機械分析を、ISO 6721に従い、セイコーインスツル株式会社のExstar 6100 DMSにて振動周波数1Hzで行った。実験を、-150℃から250℃まで、加熱速度2K/分で行った。ガラス転移温度を、損失係数曲線tanδの最大ピークの評価により決定した。
【0057】
引張試験を、DIN EN ISO 527に従い、2kNのロードセルを備えたZwick Retroにて、試験速度200mm/分、予荷重0.5Nで測定した。弾性率(E-modulus)を、1mm/分の試験速度で、0.05%から0.025%の伸びの間で求めた。
【0058】
印刷は、405nmのUV-LED光源を備えるANYCUBIC PhotonSで行った。ANYCUBI Photonスライサーを用いてSTLファイルを作成した。層厚は100μmであり、印刷パラメーターは各製剤に応じて選択した(第5表を参照)。
【0059】
NCO含量を、滴定によって求めた。イソシアネート基を含まない試料(ブランク試料)約2.0gを、キシレン中の0.1Mジブチルアミン溶液5.0mLに加え、続いてアセトン50.0mL及びフェノールレッド溶液(水中20%エタノールの混合物80gに0.1g)3滴を加えた。次いで、この溶液を0.1M塩酸溶液で滴定して色変化をもたらし、消費量を記録した。NCO基含有試料を、適宜処理した。NCO含量「%NCO」を、以下の方法で算出した:
%NCO=4.2×M×(Vブランク-V試料)/m
(式中、Mは塩酸のモル濃度(例えば0.1mol/L)であり、mは試料重量(g)であり、Vブランクはブランク試料中の塩酸のmL単位の消費量であり、V試料は試料中の塩酸のmL単位の消費量である)。
【0060】
NCO末端ポリウレタンを、若干の修正を加えて、文献に従って調製した(Driest, P. J.; Dijkstra, D. J.; Stamatialis, D.; Grijpma, D. W., The Trimerization of Isocyanate-Functionalized Prepolymers: An Effective Method for Synthesizing Well-Defined Polymer Networks. Macromolecular Rapid Communications 2019, 40 (9), 1800867)。
【0061】
概して、HDI又はIPDIを、撹拌機、冷却器、及び温度計を備えた3つ口フラスコ内において、窒素雰囲気下で100℃に加熱した。0.1gのリン酸ジブチルで緩衝した100gのポリマージオールを、10:1/10:1(NCO:OH)のモル比でHDI/IPDIに滴下して加えた。これを、3時間、又は所望のイソシアネート含量が得られる(滴定により求められる)まで反応させた。その後、生成物を薄膜エバポレータに移し、それぞれ140℃又は150℃、減圧下(典型的には、10-2mbar)で過剰なHDI又はIPDIを除去した。HDI/IPDIモノマー含量をGCで求めた。
【0062】
NCO官能性ポリウレタンは透明で粘性のある樹脂として得られた。ポリウレタンは全てGPCによって分析した。以下の第1表は、合成したNCO末端ポリウレタン(「ISO」)のデータ、及びDIN EN ISO 2884-1に従って測定したそれらの対応する粘度を示す。
【0063】
【0064】
本発明の製剤の硬化結果:アクリル前駆体及びイソシアネート末端前駆体をベースとする硬化物は、異なる量のNCO末端ポリウレタンと低粘度(メタ)アクリレート、光開始剤(Omnirad 1173)、及び三量化触媒としてエチルヘキサン酸スズ(II)を混合することにより調製した。全ての試料を、2分間、物質を混合することにより調製した。その後、大豆レシチン溶液で前処理して除去しやすくしたガラス基材上に、400μmドクターブレードを用いて薄膜を塗布した。その後、総エネルギー入力が1300mJ・cm-2であるガリウム及び水銀の放射線源の下、薄膜を硬化させた。熱的後硬化のために、薄膜を、100℃で12時間、FTIR分光法によって求める場合に全てのイソシアネート基が変換されるまでオーブンに入れた。イソシアネートの存在は、IR分光法(2265cm-1)によって求めた。印刷のために、光開始剤はOmnirad BL 750とし、暗硬化を避けるとともに、構造解像度を増大させるために、追加的に阻害剤(0.1重量%未満)を添加した。
【0065】
3Dプリントは、405nmのUV-LED光源を備えるANYCUBIC PhotonSで行った。ANYCUBI Photonスライサーを用いてSTLファイルを作成した。層厚は100μmであり、印刷パラメーターは各製剤に応じて選択した(第5表を参照)。
【0066】
第1a表及び第1b表は本発明の硬化製剤1~4の結果を示す。
【0067】
第2表及び第3表は本発明及び比較例の製剤の結果を示す。
【0068】
第4表は従来のDLPプリンターで印刷した3つの実施例を示す。
【0069】
第5表は比較のために高分子量アクリレートを含む実施例を示す。
【0070】
第6表は、純粋なアクリルポリマーネットワークの効果を強調するより多くの比較例を示す。
【0071】
全ての表において、「伸び[%]」値は、破断までの伸び値と理解される。「n.d.」は未決定を表し、「n.a.」は、例えば試料が或る特定のパラメーターを測定するのに適さなかった場合に該当なしを表す。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
図1は実施例19において得られる材料に関するE’及びtanδ曲線を示す。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
実施例26及び実施例27では、測定時に試料が破断した。
【0081】
図1は実施例19のDMA曲線を示す。材料は、約0℃におけるガラス転移温度を有し、貯蔵弾性率7×10MPaのより高い温度における安定なプラトー弾性率を有する。図2は23℃において測定した対応する引張曲線を示す。試料は、伸びが70%を超える高い可撓性を示す。可撓性は図3に更に示される。ヒステリシスにより永久変形はわずか5%であることが明らかとなり、試料の弾性挙動が例示される。
【0082】
図4はISO-3を伴って調製した試料(実施例14~実施例17)のDMA曲線を示す。23℃におけるガラス転移領域にあるとき、材料は図5に示される引張曲線において証明されるように高い可撓性を示す。最後に、図6は、架橋密度が増大することにより、安定なプラトー弾性率がもたらされる、実施例15と実施例15aとを比べた追加のポリイソシアネートの効果を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】