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特表2024-524583SiCp型及び低抵抗の結晶、ブール、ウェハー、及びデバイス、並びにそれらを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】SiCp型及び低抵抗の結晶、ブール、ウェハー、及びデバイス、並びにそれらを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20240628BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240628BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240628BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240628BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240628BHJP
   C30B 23/06 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
C30B29/36 A
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 655B
H01L29/78 301B
H01L29/78 301D
C30B23/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500466
(86)(22)【出願日】2022-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022036606
(87)【国際公開番号】W WO2023283474
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/220,132
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/337,088
(32)【優先日】2022-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350764
【氏名又は名称】パリデュス インク
【氏名又は名称原語表記】PALLIDUS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, ダレン
(72)【発明者】
【氏名】デュークス, ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ロボダ, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ランド, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロホ, ホアン, カルロス
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4G077
5F140
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077AB02
4G077AB06
4G077AB09
4G077AB10
4G077BE08
4G077DA02
4G077DA18
4G077HA12
5F140BA02
5F140BH13
5F140BH14
5F140BH30
(57)【要約】
ドープされたSiOCの液体出発材料は、ブールおよびウェハーを含む、p型ポリマー由来セラミックSiC結晶材料を提供する。p型SiC電子デバイス。ドーパントとしてリンを有する、低抵抗SiC結晶、ウェハー、およびブール。ドープされたSiC結晶の蒸着成長のためのポリマー由来セラミックドープされたSiC成形装入物原材料。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約300μmから約600μmの厚さ、アクセプター原子、及び約0.015から約0.028Ω・cmの抵抗率を有する、p型SiCウェハー。
【請求項2】
4Hと6Hからなる群から選択されたポリタイプをさらに有する、請求項1に記載のp型ウェハー。
【請求項3】
前記アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせを有する、請求項1又は2に記載のp型ウェハー。
【請求項4】
前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNAを有する、請求項1又は3に記載のp型ウェハー。
【請求項5】
前記ウェハーが1018/cmから約1020/cmのNAを有する、請求項1又は4に記載のp型ウェハー。
【請求項6】
前記ウェハーが1018/cmから1021/cmのNAを有する、請求項1又は4に記載のp型ウェハー。
【請求項7】
<0001>+/-0.5度の配向を有する、請求項1又は6に記載のp型ウェハー。
【請求項8】
40μm未満のボウをさらに有する、請求項1又は7に記載のp型ウェハー。
【請求項9】
60μm未満のワープをさらに有する、請求項1又は8に記載のp型ウェハー。
【請求項10】
15μm未満のTTVを有する、請求項1又は9に記載のp型ウェハー。
【請求項11】
4μm未満のSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)を有する、請求項1又は10に記載のp型ウェハー。
【請求項12】
0.2cm-2未満のMPD(マイクロパイプ)を有する、請求項1又は11に記載のp型ウェハー。
【請求項13】
500cm-2未満のTSD(貫通らせん転位密度)を有する、請求項1又は12に記載のp型ウェハー。
【請求項14】
500cm-2未満のBPD(基底面転移)を有する、請求項1又は13に記載のp型ウェハー。
【請求項15】
約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約325μmから約500μmの厚さ、アクセプター原子、及び2.0Ω・cm以下の抵抗率を有する、p型SiCウェハー。
【請求項16】
前記抵抗率が2.0Ω・cmから約0.1Ω・cmである、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項17】
前記抵抗率が0.13Ω・cm以下である、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項18】
前記抵抗率が0.013Ω・cmから約0.004Ω・cmである、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項19】
前記抵抗率が約0.010Ω・cm以下である、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項20】
前記抵抗率が約0.01Ω・cmから約0.001Ω・cmである、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項21】
前記抵抗率が約0.009Ω・cmから約0.004Ω・cmである、請求項15に記載のp型SiCウェハー。
【請求項22】
前記アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせを含む、請求項15乃至21の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項23】
前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する、請求項15乃至22の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項24】
前記ウェハーが1018/cmから約1020/cmのNを有する、請求項15乃至23のいずれか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項25】
前記ウェハーが1018/cmから約1021/cmのNを有する、請求項15乃至24の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項26】
<0001>+/-0.5度の配向を有する、請求項15乃至25の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項27】
40μm未満のボウを有する、請求項15乃至26の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項28】
60μm未満のワープを有する、請求項15乃至27の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項29】
15μm未満のTTVを有する、請求項15乃至28の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項30】
4μm未満のSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)を有する、請求項15乃至29の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項31】
0.2cm-2未満のMPD(マイクロパイプ)を有する、請求項15乃至30の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項32】
500cm-2未満のTSD(貫通らせん転位密度)を有する、請求項15乃至31の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項33】
500cm-2未満のBPD(基底面転移)を有する、請求項15乃至32の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項34】
約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約300μmから約600μmの厚さ、ドナー原子、及び0.03Ω・cm以下の抵抗率を有する、低抵抗n型SiCウェハー。
【請求項35】
前記抵抗率が0.01Ω・cmから約0.004Ω・cmである、請求項34に記載のn型SiCウェハー。
【請求項36】
前記抵抗率が約0.010Ω・cm以下である、請求項34に記載のn型SiCウェハー。
【請求項37】
前記抵抗率が約0.09Ω・cmから約0.002Ω・cmである、請求項34に記載のn型SiCウェハー。
【請求項38】
前記抵抗率が約0.009Ω・cmから約0.004Ω・cmである、請求項34に記載のn型SiCウェハー。
【請求項39】
前記ドナー原子が、リン、窒素、又はリンと窒素の組み合わせを含む、請求項34乃至38の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項40】
前記置換ドナー原子が実質的にリンからなる、請求項34乃至39の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項41】
前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する、請求項34乃至40の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項42】
前記ウェハーが少なくとも約1019/cmのNを有する、請求項34乃至41の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項43】
前記ウェハーが1018/cmから1021/cmのNを有する、請求項34乃至42の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項44】
<0001>+/-0.5度の配向を有する、請求項34乃至43の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項45】
40μm未満のボウを有する、請求項34乃至44の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項46】
60μm未満のワープを有する、請求項34乃至45の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項47】
15μm未満のTTVを有する、請求項45乃至46の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項48】
4μm未満のSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)を有する、請求項34乃至47の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項49】
0.2cm-2未満のMPD(マイクロパイプ)を有する、請求項34乃至48の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項50】
500cm-2未満のTSD(貫通らせん転位密度)を有する、請求項34乃至49の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項51】
500cm-2未満のBPD(基底面転移)を有する、請求項34乃至50の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項52】
前記アクセプター原子が実質的にアルミニウムからなる、請求項1乃至33の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項53】
前記アクセプター原子がアルミニウムからなる、請求項1乃至33の何れか一項に記載のp型ウェハー。
【請求項54】
約300μmから約600μmの厚さ、アクセプター原子、40μm未満のボウ、60μm未満のワープ、及び2.0Ω・cmから約0.004Ω・cmの抵抗率を有する、p型SiCウェハー。
【請求項55】
4Hと6Hからなる群から選択されたポリタイプをさらに有する、請求項54に記載のp型ウェハー。
【請求項56】
前記置換アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせを含む、請求項54又は55に記載のp型ウェハー。
【請求項57】
前記置換アクセプター原子が、実質的にアルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素との組み合わせを含む、請求項54又は56に記載のp型ウェハー。
【請求項58】
前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する、請求項54又は57に記載のp型ウェハー。
【請求項59】
前記ウェハーが1018/cmから1022/cmのNを有する、請求項54又は58に記載のp型ウェハー。
【請求項60】
<0001>+/-0.5度の配向を有する、請求項54又は59に記載のp型ウェハー。
【請求項61】
15μm未満のTTVを有する、請求項54又は60に記載のp型ウェハー。
【請求項62】
約300μmから約600μmの厚さ、リンを含むドナー原子、40μm未満のボウ、60μm未満のワープ、及び0.03Ω・cm以下の抵抗率を有する、低抵抗n型SiCウェハー。
【請求項63】
4Hと6Hからなる群から選択されたポリタイプをさらに有する、請求項62に記載のn型ウェハー。
【請求項64】
前記置換ドナー原子が実質的にリンからなる、請求項62又は63に記載のn型ウェハー。
【請求項65】
前記置換ドナー原子がリンからなる、請求項62又は64に記載のn型ウェハー。
【請求項66】
前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する、請求項62乃至65の何れか一項に記載のn型ウェハー。
【請求項67】
前記ウェハーが1019/cmから約1023/cmのNを有する、請求項62又は66に記載のp型ウェハー。
【請求項68】
<0001>+/-0.5度の配向を有する、請求項62、63、又は67に記載のn型ウェハー。
【請求項69】
15μm未満のTTVを有する、請求項60又は66に記載のn型ウェハー。
【請求項70】
少なくとも約4インチ(100mm)の直径、及び少なくとも約1インチ(25mm)の高さを有する、p型SiCブール。
【請求項71】
前記直径が約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)であり、前記高さが約1インチ(25mm)から約6インチ(150mm)である、請求項70に記載のp型ブール。
【請求項72】
アルミニウムアクセプター原子を含む、請求項70又は71に記載のp型SiCブール。
【請求項73】
ホウ素アクセプター原子を含む、請求項70又は71に記載のp型SiCブール。
【請求項74】
2.0Ω・cm以下の抵抗率を有する材料を含む、請求項70又は71に記載のp型SiCブール。
【請求項75】
2.0Ω・cmから約0.004Ω・cmの抵抗率を有する材料を含む、請求項70又は71に記載のp型SiCブール。
【請求項76】
少なくとも約4インチ(100mm)の直径、少なくとも約1インチ(25mm)の高さ、及びドナー原子を有し、前記ドナー原子が実質的にリンからなる、低抵抗n型SiCブール。
【請求項77】
前記直径が約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)であり、前記高さが約1インチ(25mm)から約6インチ(150mm)である、請求項76に記載のn型ブール。
【請求項78】
0.009以下の抵抗率を有する材料を含む、請求項76又は77に記載のn型SiCブール。
【請求項79】
0.03Ω・cmから約0.004Ω・cmの抵抗率を有する材料を含む、請求項76又は77に記載のn型SiCブール。
【請求項80】
請求項1乃至69の何れか一項に記載のウェハーの一部を含むか又は該ウェハーの一部の上に構築された、半導体デバイス。
【請求項81】
NチャネルE-MOSFET、PチャネルE-MOSFET、及びNチャネルD-MOSFETからなる群から選択された、請求項80に記載の半導体デバイス。
【請求項82】
PチャネルD-MOSFET、IGBT、LDMOS、VMOS MOSFET、UMOS MOSFET、及びCMOS複合デバイスからなる群から選択された、請求項80に記載の半導体デバイス。
【請求項83】
請求項1乃至33の何れか一項に記載のウェハーの一部を含むか、又は該ウェハーの一部の上に構築されたフラッシュメモリデバイス。
【請求項84】
請求項34乃至69の何れか一項に記載のウェハーの一部を含むか、又は該ウェハーの一部から構築されたフラッシュメモリデバイス。
【請求項85】
シリコンp型半導体デバイスを置き換えるようにされたp型SiC半導体デバイスを製造する方法であって、
a)p型シリコン半導体デバイスのための回路を画定する回路設計を評価する工程と、
b)p型SiC半導体デバイスに対して動作可能なSiC回路を画定するSiC回路設計を行なう工程と、を含み、
c)前記SiC回路設計が実質的に前記回路設計からなる、方法。
【請求項86】
前記SiC回路をp型SiC材料の上に又は該p型SiC材料を用いて作製する工程をさらに含み、前記p型SiC材料は請求項1乃至31の何れか一項に記載のウェハーの少なくとも一部を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記SiC回路設計が前記回路設計と少なくとも90%同じである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記SiC回路設計が前記回路設計と少なくとも95%同じである、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
p型SiC材料の上に又は該p型SiCを用いて前記SiC回路を作製する工程をさらに含み、前記p型SiC材料は請求項1乃至33の何れか一項に記載のウェハーの少なくとも一部を含む、請求項87又は88に記載の方法。
【請求項90】
前記ウェハーが均一にドープされたウェハーである、請求項1乃至69の何れか一項に記載のウェハー。
【請求項91】
前記ブールが均一にドープされたブールである、請求項70乃至79の何れか一項に記載のブール。
【請求項92】
前記ウェハーが均一にドープされたウェハーである、請求項80乃至89の何れか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月9日に出願された米国仮出願番号第63/220,132号および2022年4月30日に出願された米国仮出願番号第63/337,088号の優先権ならびに35U.S.C.§119(e)(1)に基づく利益を主張するものであり、それぞれの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、p型SiCの結晶、インゴット、ブール、およびウェハーと、低抵抗率SiCの結晶、インゴット、ブール、およびウェハーと、p型SiCの結晶、インゴット、ブール、およびウェハーの製造方法と、低抵抗率のSiC結晶、インゴット、ブール、およびウェハーの製造方法と、これらのウェハーから製造されるデバイスおよびこれらのウェハーの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
純粋な炭化シリコン(SiC)結晶は電気的に中性であり、結晶材料では正と負の電荷の均衡が保たれている。通常、半導体ダイオードやトランジスタの製造に役立つように、SiC結晶の成長過程で不純物をSiC結晶に添加して、結晶内に電荷の不均衡を生じさせ、SiCの導電性に影響を与える。SiCに正の電荷を加える不純物原子はドナー原子と呼ばれる。一般に、ドナー原子は周期表のSiとCを含む列の右側の列(例えば15列目のVA)で特定される。SiCの典型的なドナー原子は窒素(N)とリン(P)である。SiCに負の電荷を加える不純物原子はアクセプター原子と呼ばれる。一般に、アクセプター原子は、周期表のSiとCを含む列の左側の列(例えば、13またはIIIA)によって識別される。SiCの典型的なアクセプター原子は、ホウ素(B)とアルミニウム(Al)である。SiC結晶は通常、ドナー原子とアクセプター原子の両方の不純物を含む。ドナーまたはアクセプター不純物原子が結晶中の正味電荷に影響を与え、電気的に活性になる(すなわち、結晶の導電率/抵抗率に影響を与える)ためには、不純物原子は通常、SiまたはC原子のいずれかと結晶中でのそれらの位置で置換されなければならず、この場合、その不純物原子は置換不純物と呼ばれる。不純物原子は、Si原子とC原子の間に位置することもある。この場合、不純物原子は格子間不純物と呼ばれ、結晶中の正味電荷に影響を与えないこともあれば、電荷への影響が小さいこともあり、状況によっては結晶中の正味電荷に影響を与えない。従って、「電気的に活性な原子不純物」、「電気的に活性な不純物」、「電気的に活性な」という用語は、材料、例えば結晶の正味電荷に影響を与える置換原子および格子間原子を含む、SiC結晶材料に添加された原子を表現するために使用される。従って、置換不純物はすべて電気的に活性な不純物でるが、格子間不純物は電気的に活性な不純物でも電気的に不活性な不純物でもあり得る。その結果、ドナー不純物またはアクセプター不純物の原子濃度(結晶中の全原子数に対する不純物原子の数)は、電気的に活性な不純物、例えば置換不純物原子の原子濃度と等しいか、またはそれより大きくすることができる。電気的に活性な、例えば置換ドナー原子が、電気的に活性な、例えば置換アクセプター原子よりも多い場合、SiC結晶はn型であり、nは負を意味し、すなわち負の電荷が過剰に存在する。逆に、電気的に活性な、例えば置換アクセプター原子がドナー原子よりも多い場合、SiC結晶はp型であり、pは正を意味し、すなわちSiC結晶中に正の電荷が過剰に存在する。
【0004】
本発明以前には、SiC半導体デバイスの製造に使用するための直径100mm超のp型SiC基板を工業的に製造し、市販することはできていなかった。p型SiC結晶を製造する従来の試みは、高品質、低欠陥のp型SiC材料、例えば、SiC結晶、SiCブール、およびこれらのブールから切り出されたp型SiCウェハーを生産するための製造可能なプロセスを提供できなかったと考えられる。したがって、本発明以前は、p型SiC材料を有するSiC半導体デバイスの利点はほとんど利用できず、商業的にも利用できなかった。
【0005】
本明細書では、特に断りのない限り、半導体材料中の電荷キャリアには正孔と電子の2種類がある。正孔は、電子の「反対」と見なすことができる。負の電荷を持つ電子とは異なり、正孔は電子の電荷と極性は逆だが大きさは等しい正の電荷を持つ。正孔は、電子のような物理的な粒子ではなく、原子の中に電子が存在しない状態であるため、時に混乱を招くことがある。正孔は、半導体の中で電子がその位置を離れると、原子から原子へと移動することができる。このように、例えるなら、人々が階段の上に一列に並んでいるとしよう。列の先頭の人が1段上がると、その人は穴を空ける。全員が1段上がると、空いた段(穴)は段を下がる。穴は、原子の電子が価電子帯(通常、電子で完全に満たされた一番外側の電子殻)から伝導帯(電子が逃げやすい原子内の領域)に移動するときに形成され、半導体内の至るところで生じる。
【0006】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「p型」、「p型ウェハー」、「p型結晶」、「p型ブール」及び類似のそのような用語は、可能な限り最も広い意味を与えられるものとし、電気的に活性なドナー原子不純物、例えば置換ドナー不純物原子よりも、電気的に活性なアクセプター原子不純物、例えば置換アクセプター原子不純物をより多く有するSiC結晶材料を含むものとする。したがって、例えば、単位体積当たりの電気的に活性なアクセプター原子の正味量が、1×1010/cm~1×1022/cm、約1×1018/cm~1×1020/cm、約1×1018/cm~1×1023/cm、約1×1018/cm~1×1023/cm、約1×1018/cm~約1×1024/cm、約1×10/cmより大きい、約1×1015/cmより大きい、約1×1018/cmより大きい、約1×1019/cmより大きいSiC結晶材料は、p型SiC結晶材料として特徴付けられる。
【0007】
さらに、別段の指定がない限り、p型SiC結晶材料とみなされるためには、正味キャリア濃度(Net Carrier concentration)は、式(1)で与えられるように、過剰なアクセプター原子不純物を有することになる。
【0008】
(1) Nc=N-N
【0009】
ここで、Ncはキャリアの正味濃度である。Nは、電気的に活性なドナー不純物原子の濃度である。Nは、電気的に活性なアクセプター不純物原子の濃度である。慣例により、p型材料ではNcは負であり、電子の不足を意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「p型デバイス」、「p型半導体」及び類似のそのような用語は、可能な限り最も広い意味を与えられ、p型層を有する、又はp型ウェハー、チップ若しくは基板をベースとするあらゆる半導体、マイクロエレクトロニクスデバイス、又は電子デバイスを含む。
【0011】
本明細書で使用する場合、特に指定しない限り、「p」、「p型」、および同様のこのような用語は、p型結晶SiC材料、例えば、p型のブール、ウェハーなどであって、ドーパントの量が多く、例えば、高濃度にドープされ(N>1018/cm)、したがって、低い抵抗率(<0.03Ω・cm)を有するものを指す。したがって、p型材料は、1018/cm~約1020/cmのN、1018/cm~約1021/cmのN、1019/cm未満のN、約1×1018/cm~1×1023/cm、約1×1018/cm~1×1024/cm、および約1020/cmのNを有することができる。典型的には、p型材料の抵抗率は、0.03Ω・cm以下、約0.025Ω・cm未満、約0.020Ω・cm未満、約0.015Ω・cm未満、約0.030Ω・cm~約0.01Ω・cm、約0.025Ω・cm~約0.008Ω・cm、約0.020Ω・cm~約0.005Ω・cmであり得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、特に指定がない限り、「p」、「p型」、および同様のこのような用語は、p型結晶材料、例えば、p型のブール、ウェハーなどであって、ドーパントの量が少なく、例えば、軽くドープされ(N<1018/cm)、したがって高い抵抗率を有するものを指す。一般的に、これらの抵抗率は0.03Ω・cm以上である。したがって、p型材料は、1018/cmから約1010/cm及びより小さい値のNを有することができる。典型的には、p型材料の抵抗率は0.03Ω・cmから10Ω・cm、及びそれ以上である。
【0013】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「n型」、「n型ウェハー」、「n型結晶」、「n型ブール」及び類似のそのような用語は、可能な限り最も広い意味を与えられ、負の電荷を有するSiC結晶材料、電気的に活性なドナー原子、例えば、他のタイプの不純物原子よりも置換ドナー原子の不純物が多いSiC結晶材料が含まれる。したがって、例えば、単位体積当たりの電気的に活性なドナー原子の正味量が1×1010/cm~1×1022/cm、約1×1018/cm~1×1020/cm、約1×10/cmより大きい、約1×1015/cmより大きい、約1×1018/cmより大きい、約1×1019/cmより大きいSiC結晶材料は、n型SiC結晶材料として特徴付けられる。
【0014】
さらに、別段の記載がない限り、n型SiC結晶材料とみなされるためには、正味キャリア濃度は、式で与えられるようにドナー原子不純物の過剰を示す。慣例により、n型材料ではNcは正であり、電子の過剰を意味する。
【0015】
用語「n」、「n型」、および同様のこのような用語は、ドーパントの量が多く、例えば、高濃度にドープされ(N>1018/cm)、したがって低い抵抗率(<0.03Ω・cm)を有するn型材料、例えば、n型のブール、ウェハーなどを指す。典型的には、これらの抵抗率は0.03Ω・cm以下であり得る。
【0016】
用語「n」、「n型」、および同様のこのような用語は、ドーパントの量が少なく、例えば、軽くドープされ(N<1018/cm)、したがって高い抵抗率を有するn型材料、例えば、n型のブール、ウェハーなどを指す。典型的には、これらの抵抗率は0.03Ω・cm以上、一般的には0.03Ω・cm以上である。
【0017】
本明細書では、特に断らない限り、「物理的穴」、「物理的空隙」、及び「物理的空洞」という用語は、電気的特性ではなく物理的特性を意味し、固体の本体又は表面における空隙、構造体、又は表面における材料の不在、表面又は固体内における空いた空間を意味するなど、一般的な通常の態様で使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「蒸着」(「VD」)、「蒸着技術」、「蒸着プロセス」及び類似のこのような用語は、最も広い意味を与えられ、例えば、固体又は液体の出発材料が気体又は蒸気の状態に変換され、次いで、その気体又は蒸気が固体材料を形成、例えば、成長させるために蒸着されるプロセスを含む。本明細書で使用される蒸着技術には、層が気相または気体相から提供されるエピタキシーによる成長が含まれる。蒸着技術にはさらに以下のような種類がある:化学気相蒸着(「CVD」)、物理気相蒸着(「PVD」)、プラズマCVD、物理気相成長(「PVT」)など。蒸着装置の例としては、ホットウォール化学気相蒸着反応装置、マルチウェハー化学気相蒸着反応装置、化学気相蒸着チムニー反応装置などがある。物理気相成長(PVT)とは、結晶の成長に必要な蒸気(例えばフラックス)を供給するために昇華される少なくとも1つの固体出発材料の使用を意味し、それを必要とする。
【0019】
本明細書において、特に断らない限り、「気化温度」という用語は、可能な限り最も広い意味を与えられ、材料が液体から気体状態に遷移する温度、固体から気体状態に遷移する温度、又はその両方を含む(例えば、固体から液体さらに気体への遷移は、非常に小さい温度範囲、例えば、約20℃未満、約10℃未満、及び約5℃未満の範囲で起こる)。特に断らない限り、気化温度は、そのような転移が起こる特定の圧力、例えば1気圧、0.5気圧、に対応する温度となるであろう。特定の用途、方法、またはPVT装置のような特定の装置で使用される材料の気化温度について論じる場合、明示的に別段の記載がない限り、気化温度は、その用途、方法、または装置で使用される、または通常使用される圧力におけるものである。
【0020】
炭化シリコンは一般的に液相を有さず、典型的なPVTプロセス条件下では液相にならず、代わりに真空下で、約1700℃以上の温度で昇華する。(非常に高い圧力では、SiCは液相で存在しうることに留意されたい。)通常、工業的および商業的用途では、昇華が約2,500℃以上の温度で起こるように条件が設定される。炭化シリコンが昇華する際、一般的にシリコンと炭素の様々な種からなる蒸気フラックスが形成され、蒸気フラックスの成分は、原材料に加え、温度及び圧力の関数である。しかし、本発明は、液体出発原材料(例えば、ポリシロカーブ前駆体)の選択に加えて、原材料(例えば、ある形状に成形されて蒸着装置内に装入される材料:成形装入物(shaped charge))の使用、およびPVTプロセス中の温度と圧力によって、これらの成分の比率を制御する能力を提供する。
【0021】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「結晶」、「インゴット」、「ブール」、および類似のこのような用語は、可能な限り最も広い意味を与えられるべきであり、約50mm~約250mmの直径、100mmより大きい直径、250mmより大きい直径、および典型的には約150mmの直径、並びに約25mm~約250mmの高さ(すなわち、シード端からテール端までの距離)、約75mm~約150mmの高さ、75mm以上の高さ、約100mm以上の高さ、約150mmの高さ、典型的には約100mm~約150mmの高さを有する結晶構造を意味する。「結晶」という用語は、一般に、最初に成長し、その後成長装置から取り出された構造を指す。「インゴット」という用語は、一般に、その端部の一方または両方が加工された、例えば平坦化された結晶を指す。「ブール」という用語は、一般に、さらに加工されたインゴットを指し、例えば、ブール上に平坦部が形成され、ウェハー加工(すなわち、ブールからのウェハーの製造)の準備が整ったものを指す。通常、結晶は、蒸着装置を用いた蒸着プロセスで、特にPVT装置とプロセスを用いて成長させる。
【0022】
本明細書において、結晶、インゴット、ブールという用語は、明示的に別段の定めがある場合又は文脈から明らかな場合を除き、本明細書で使用されているように概して相互に互換性があり、そのうちの一つの特性、結晶構造、マクロ欠陥、マイクロ欠陥、及び組成の本明細書の詳細な説明は、他に適用可能である。
【0023】
本明細書で使用される場合、特に指定がない限り、「ウェハー」、「SiCウェハー」、「p型SiCウェハー」、「n型SiCウェハー」、および同様のこのような用語は、結晶材料を指し、これは、同じ結晶材料のより大きな構造から切り出された構造である(例えば、p型SiCウェハーは、p型SiCブールから切り出される)。典型的には、ウェハー700は円板のような構造であり、円形、及び/又は半円形の形状705とすることができ、1つの平坦部、又は複数の平坦部を有することができる。ウェハーは、上部又は上面、底部又は底面、及び厚さを有する。ウェハーの外縁は、テーパー、傾斜、面取り、正方形、円形等とすることができる。
【0024】
通常、SiCウェハーは、大きな結晶(例えばブール)のc軸(成長軸)に対して概ね横断方向にウェハーを切断することによって形成される。典型的には、ウェハーは、成長軸上(すなわち、軸上)、またはこの軸から数度(すなわち、軸外)、典型的には、軸外ウェハーの場合、成長軸から約0.1度から約5度ずれたものとすることができる。ウェハーは、約80μmから約600μmの厚さと約50mmから約250mmの直径を有することができるが、約150mmの直径を有することが好ましい。SiCウェハーは、軸上または軸からわずかにずれた位置で切断された場合、通常、炭素面または炭素表面とシリコン面またはシリコン表面を有する。ウェハーは、成長軸に沿って切断することもでき、成長軸に対して他の如何なる向きで切断することもできる。
【0025】
一般に、商用SiC MOSFETが開発される以前は、電力産業(500V以上)では主にシリコン(Si)IGBTが使用されていた。これらはバイポーラ・デバイスであり、伝導損失が低いため、大電流(アンペア)や大電力(ワットまたはW)を扱うことができる。しかし、ターンオフ段階(導通と遮断の間の移行)における電力損失が大きいため、動作周波数が制限される。動作周波数が重要なのは、周波数が高ければ高いほど、コンバーター/インバーターの受動素子(例えばインダクタ)が小さくなり、デバイスの体積と重量の削減に役立つからである。これらのデバイス(MOSFETとIGBT)の体積、重量、および両方を削減することは、当技術分野の長年の課題であり、エンドユーザーにとって重要な指標となる。MOFETはユニポーラ・デバイスであるため、スイッチング損失が低くなる(特にターンオフ時)。しかし、オン抵抗(導通損失)が高く、電圧とともに増加するため、高電圧(Siの場合は500V以上)ではIGBTが好まれる。このように、当技術分野では、半導体デバイスの伝導損失と遷移損失の両方を最適化する(すなわち、最小化する)という、長期にわたる未解決のパラダイムが提示されてきた。
【0026】
さらに、シリコンをベースとするデバイスからSiCをベースとするデバイスへの移行は、実質的かつ長期にわたる問題に直面してきた。特に、p型シリコン型デバイスからSiC型デバイス(例えば、これらの初期の先行の試みではn型)への移行には、n型SiCを使用できるようにp型シリコン型デバイス(例えば、回路、マスク、構成など)を再設計するための多大な費用、時間、が必要であり、困難である。先行技術では高品質のp型SiCウェハーを提供できなかったため、この長年の問題とニーズは未解決のままであった。
【0027】
パワーエレクトロニクス・デバイスと回路の歴史は、シリコンで作られた半導体デバイスから始まる。
【0028】
パワーエレクトロニクス・デバイスの多くの設計では、pチャネル型電界効果トランジスタ及び/又はnチャネル型電界効果トランジスタと同様に、設計が採用されており、最も一般的なトランジスタはMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)である。本明細書では、特に断りのない限り、pチャネル型MOSFETは、MOSFETのチャネルが電流キャリアとして大部分の正孔で構成されるタイプのMOSFETである。MOSFETが活性化してオン状態になると、流れる電流の大部分はチャネルを移動する正孔となる。MOSFETのもう1つのタイプは、電流キャリアの大半が電子であるnチャネル型MOSFETである。nチャネル型MOSFETまたはpチャネル型MOSFETは、エンハンスメント型MOSFETとデプレッション型MOSFETの2通りの作り方がある。
【0029】
デプレッション型MOSFETは、ゲート端子とソース端子の間に電圧差がない場合、通常はオン(ソースからドレインへ最大電流が流れる)である。しかし、ゲートリードに電圧が印加されると、ドレイン・ソースチャネルはより抵抗が高くなり、ゲート電圧が非常に高くなるまで、トランジスタは完全にシャットオフする。エンハンスメント型MOSFETはその逆である。ゲート・ソース間電圧が0V(VGS=0)の場合、通常はオフである。しかし、ゲートリードに電圧が印加されると、ドレイン・ソースチャネルの抵抗が小さくなる。
【0030】
パワーデバイスの代表的な用途は、インバーター、コンバーター、電源などの電源回路の設計と製造である。これらの回路は、nチャネル型MOSFETまたはpチャネル型MOSFET、あるいはその両方を使用して設計される。両方のタイプが必要とされる例としては、Hブリッジ・パワー駆動回路があり、その機能は、負荷を通して電流をどちらかの方向に駆動することである(すなわち、電動無人搬送車や全電気自動車のモーターなどのDCモーターを正転または逆転させて駆動すること)。
【0031】
現代のパワーマネージメント回路のエネルギー効率を高めるために、設計者は現在、4H-SiC結晶基板をベースとした炭化シリコンMOSFETを採用している。炭化シリコンMOSFETは、シリコンMOSFETを使用した回路に比べて、より高い電圧と高い周波数で動作する回路を設計する機会をもたらす。SiC MOSFETを使用すれば、一般的に、上述の電力回路は、600Vから10kV以上の電圧、および5Aから200A以上のアンペア数で動作することができる。
【0032】
現在、SiC製のMOSFETは、p型SiC基板が市販されていないため、n型SiC基板でしか製造できない。そのため、ほとんどのSiC製MOSFETはnチャネル・デバイスとして製造されている。これまでn型基板を用いたSiC MOSFETしか市販されていなかったため、SiC MOSFETはパワー回路には幅広く展開することができなかった。
【0033】
MOSFETトランジスタの一種であるnチャネルIGBTは、pチャネルIGBTよりも低いオン抵抗及び/又は高いブロッキング電圧を実現できるため、商業的に実現可能とすることが長い間必要とされてきた。さらに、正電圧の極性を持ち、従来のパワーMOSFETと類似しているnチャネル・デバイスは、システムの観点からより魅力的である可能性がある。今日まで、このようなデバイスは、n型SiC基板上にエピタキシャル層として形成されたp型SiC材料を用いて作製され、その後、研磨によって基板が取り除かれていた。このようなデバイスは、基板を取り除くことが困難であるなどの理由で、満足のいくものではなかった。本発明は、とりわけ、作製が簡単で商業的に受け入れられるこのようなSiC IGBTデバイスを提供する能力を提供する。
【0034】
SiCのLDMOSFET(横型拡散金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)に対する長年のニーズがある。これらのデバイスは、セルラーやUHF放送伝送などの大電力アプリケーション用にシリコンで開発されたもので、その数は飛躍的に増加している。これは、Si LDMOSFETがバイポーラ・デバイスよりも高い利得と優れた直線性を提供するからである。しかし、本発明以前は、n型SiC基板しか存在せず、歴史的にどのようなp型エピタキシャル成形SiC基板もシリコンに比べて抵抗率が高すぎ、望ましくないLDMOSFETデバイス性能につながるため、この設計をSiCで実現することはできなかった。
【0035】
一般に、パワーMOSFETはpチャネルよりもnチャネルで作製した方が優れた性能を示す傾向にある。しかし、さらに優れた性能を達成するためには、このようなデバイスは通常、抵抗率の低いp型基板上にエピタキシャル成長させる必要がある。しかし、現在市販されているp型4H-SiC基板の抵抗率は比較的高く(~2.5Ω・cm)、これはn型基板の抵抗率よりも約2桁高い。nチャネルSiCデバイスのこの利点は、長い間求められてきたが、先行するp型基板に見られる高い抵抗率のために実現されていなかった。そこで、本発明のp型ウェハーは、この長年のニーズを解決する低い抵抗率を実現して、n型SiC基板で作製されたデバイスに比べて性能が向上したnチャネルSiCデバイスを可能にする。
【0036】
本明細書で使用する場合、別段の定めがない限り、「見かけ密度」とも呼ばれる「比重」という用語は、可能な限り広い意味を与えるべきであり、一般に、構造体、例えば材料の体積形状物(volumetric shape)の単位体積あたりの質量を意味する。この特性には、体積の一部としての粒子の内部空隙率も含まれる。この特性は、とりわけ、粒子表面を濡らす低粘度の流体を用いて測定することができる。
【0037】
本明細書では、別段の定めがない限り、「実密度」(「真密度」とも呼ぶことがある)という用語は、可能な限り広義に用いるべきであり、一般的には、材料中に空隙が存在しない場合の材料の単位体積当たりの質量を意味する。この測定値および特性は、実質的に(すなわち、標準的な測定技術によって検出可能なレベル以下に)材料の内部空隙を排除するものであり、例えば、材料中の空隙を含まないものである。
【0038】
本明細書では、特に断りのない限り、「室温」は25℃である。また、「標準環境温度および圧力」は25℃および1気圧である。明示的に別段の記載がない限り、すべての試験、試験結果、物理的特性、および温度依存性、圧力依存性、またはその両方は、標準環境温度および圧力で与えられ、これには粘度が含まれる。
【0039】
一般に、本明細書で使用される用語「約」及び記号「~」は、特に断らない限り、±10%の変動又は範囲、及び記載された値を得ることに関連する実験誤差又は機器誤差、のうち大きい方を包含することを意味する。
【0040】
本明細書において、特に断りのない限り、%、重量%、及び質量%という用語は互換的に使用され、例えば、組成物、混合物、プリフォーム、材料、構造体、又は製品の全体の重量に対する第1の成分の重量の百分率を指す。X/Y又はXYは、別段の記載がない限り、組成物中のXの重量%及びYの重量%を示す。X/Y/Z又はXYZは、別段の記載がない限り、組成物中のXの重量%、Yの重量%、及びZの重量%を示す。
【0041】
本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「体積%」及び「%体積」及び類似のそのような用語は、例えば、組成物、混合物、プリフォーム、材料、構造体、又は製品の全体の体積に対する割合としての第1の成分の体積を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載がない限り、ブール成長、蒸着装置、エピタキシー、結晶成長及び蒸着プロセスの文脈で使用される「原材料」という用語は、可能な限り最も広い定義を与えられるべきであり、成長チャンバ内に配置されるか、又は結晶成長、エピタキシー、又はSiC蒸着の装置内に配置され、フラックスを形成する粉末SiC材料、SiC体積形状物(例えば、成形装入物)、又は他の形態の固体SiC材料を指す。
【0043】
本明細書で使用される「純度」、「純度レベル」、「不純物」、「汚染物質」などの用語は、文脈に照らして見なされるべきであり、一般に、SiC結晶を製造するプロセスに由来してSiC材料又はポリマーに意図的には添加されなかった、望ましくない材料に関する。これらの用語には、ドーパント(例えば、不純物原子、原子不純物、置換不純物、格子間不純物、電気活性不純物、および同様の用語)、または電荷、半導体特性、またはSiC結晶の他の特性および特徴を提供またはそれらに影響を与えるために、SiC結晶に意図的に添加された、またはSiC結晶に組み込まれた他の元素または材料は含まれない。これらの用語には、出発材料、ポリシロカーブ前駆体、硬化材料、第1のセラミック材料、原材料、およびこれらの1つまたは複数に意図的に組み込まれた、またはこれらと組み合わされた、SiC結晶、特にSiCウェハーに特徴を与えるための所定の材料は含まれない。ドーパントの量は、純度および純度レベルの決定を行う際に、SiOCまたはSiC材料の一部として考慮される(すなわち、カウントされる)。したがって、このように定義され、本明細書で使用されるように、ドーパントまたはドーピング材料は、「不純物」ではない。このようにして、例えば、ドーパントとSi、OおよびCのみ、またはドーパントとSiおよびCのみを有する、ドープされた(例えば、原子不純物を有する)SiOC材料またはドープされた(例えば、原子不純物を有する)SiC材料は、純度100%となる。
【0044】
本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載がない限り、「既存の材料」、「従来の材料」、「現在の材料」、「現在入手可能な材料」、「既存の蒸着装置」、「現在の蒸着装置」、および同様のこのような用語は、本発明以前に存在する、または存在した原材料および装置を指す。この用語の使用は、先行技術を認めるものとして受け取られるものではなく、また認めるものでもない。単に、本発明の実施形態の重要かつ画期的な改良を評価、対比及び測定することができる基準線又は参照点として、現在の技術状況を説明するためのものである。
【0045】
この「背景技術」のセクションは、本発明の実施形態に関連し得る当該技術の様々な側面を紹介することを意図している。従って、本セクションにおける前述の議論は、本発明をより良く理解するための枠組みを提供するものであり、従来技術の容認と見なされるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0046】
高温、高容量、高性能の半導体デバイス、パワーデバイス、エレクトロニクスに対するニーズは、長年にわたって満たされておらず、ますます高まっている。炭化シリコン(SiC)ウェハーは、これらの用途に好まれ、必要とされる性能特徴、例えば、高い温度、電力、バンドギャップ等を満たす基板を提供する。しかしながら、本発明以前には、p型SiC結晶、p型SiCインゴット、p型SiCブール、およびそのようなブールから作製されたp型SiCウェハーは、商業的に入手可能ではなく、ほとんど入手不可能であった。特に、このようなp型材料はPVTプロセスでは得られなかった。したがって、p型SiCウェハーに基づく半導体デバイスの利点、利益、可能性は実現されておらず、特に、商業的および経済的に受け入れられる方法では利用されていない。
【0047】
電気的に活性なアクセプター原子をSiC結晶に取り込むことを含む、SiCをドープする以前の試みにおけるさらなる長年の問題は、結晶又はウェハーの左右及び上下の両方における均一性の欠如であった。本発明は、本発明のドープされたSiC結晶およびウェハーの実施形態において、電気的に活性な原子不純物の左右および上下の両方において高度に均一な分布を有する結晶を提供する方法、原材料を提供することによって、この長年の問題に対処し、それを解決する。
【0048】
本発明は、とりわけ、p型SiC材料およびそれらのp型SiC材料を利用した半導体デバイスを得るための配合、方法ならびに装置を提供することにより、これらの長年のニーズを解決するものである。
【0049】
本発明は、とりわけ、本明細書で教示および開示され、特許請求の範囲に記載された組成物、材料、製造品、装置、およびプロセスを提供することにより、これらの問題および長年のニーズを解決する。
【0050】
本発明は、特に、p型SiC結晶、p型SiCインゴット、p型SiCブール、およびそれらのブールから得られるp型SiCウェハーを含む、高品質、低欠陥のp型SiC材料を提供することによって、これらの問題および長年のニーズを解決する。本発明は、特に、半導体デバイスの経済的な製造、商業的な製造又はその両方に適した又は実行可能な、p型SiC結晶、p型SiCインゴット、p型ブール、及びp型ウェハーを含む、p型SiC材料を提供することによって、これらの問題及び長年のニーズを解決する。本発明は、特に、p型SiC材料を有するSiC半導体デバイスの利点を提供することにより、これらの問題および長年のニーズを解決するものであり、特に、これらのデバイスを経済的かつ商業的に実行可能な方法で提供することにより、その使用および利点を広く利用できるようにするものである。
【0051】
また、低抵抗率SiC結晶、SiCインゴット、SiCブール、及びこれらのブールから得られるSiCウェハー、特に低抵抗率SiCウェハーを含む低抵抗率SiC材料、ならびにこれらのウェハー上に構築され得るデバイス又はこれらのウェハーから構築され得るデバイス、に対する長年にわたる未解決の要求があった。これらの低抵抗ウェハーには、p型ウェハーまたはn型ウェハーがある。本発明は、とりわけ、半導体デバイスの経済的な製造、商業的な製造、又はその両方に適した又は実行可能な、低抵抗率SiC結晶、SiCインゴット、ブール、及びウェハー等の、低抵抗率SiC材料を提供することにより、これらの問題及び長年のニーズを解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0052】
従って、約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約300μmから約600μmの厚さ、アクセプター原子、及び約0.015から約0.028Ω・cmの抵抗率を有する、p型SiCウェハーを提供する。
【0053】
また,約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約325μmから約500μmの厚さ、アクセプター原子、及び2.0Ω・cm以下の抵抗率を有する、p型SiCウェハーを提供する。
【0054】
また、約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約300μmから約600μmの厚さ、ドナー原子、及び0.03Ω・cm以下の抵抗率を有する、低抵抗n型SiCウェハーを提供する。
【0055】
また、約300μmから約600μmの厚さ、リンを含むドナー原子、40μm未満のボウ、60μm未満のワープ、及び0.03Ω・cm以下の抵抗率を有する、低抵抗n型SiCウェハーを提供する。
【0056】
またさらに、少なくとも約4インチ(100mm)の直径、及び少なくとも約1インチ(25mm)の高さを有する、p型SiCブールを提供する。
【0057】
また、約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、及び約1インチ(25mm)から約6インチ(150mm)の高さを有する、p型SiCブールを提供する。
【0058】
また、少なくとも約4インチ(100mm)の直径、少なくとも約1インチ(25mm)の高さ、及びドナー原子を有し、前記ドナー原子が実質的にリンからなる、低抵抗n型SiCブールを提供する。
【0059】
さらに、約4インチ(100mm)から約6インチ(150mm)の直径、約1インチ(25mm)から約6インチ(150mm)の高さ、及びドナー原子を有し、前記ドナー原子が実質的にリンからなる、低抵抗n型ブールを提供する。
【0060】
さらに、約300μmから約600μmの厚さ、アクセプター原子、40μm未満のボウ、60μm未満のワープ、及び2.0Ω・cmから0.004Ω・cmの抵抗率を有する、p型SiCウェハーを提供する。
【0061】
したがって、所定の電気特性を有するSiC結晶を製造する方法であって、SiC原材料を蒸着装置内に配置する工程であって、前記SiC原材料がシリコン、炭素、及びドーパントを含み、前記ドーパントが前記SiC結晶に前記所定の電気特性を与えるように選択され、前記原材料内での前記シリコン及び前記炭素に対する前記ドーパントの位置が固定されている、工程と、前記蒸着装置に不活性ガスを加えて、前記蒸着装置内の圧力を制御する工程と、前記SiC原材料を加熱して、シリコン、炭素、及び前記ドーパントを含むフラックスを形成する工程と、前記フラックスをSiC結晶の成長面に蒸着して前記SiC結晶を成長させる工程と、を含み、前記SiC結晶が前記所定の電気特性を有するようにする、方法を提供する。
【0062】
また、p型SiC結晶を製造する方法であって、成形装入物SiC原材料を蒸着装置内に配置する工程であって、前記成形装入物SiC原材料が、実質的にシリコン、炭素、及び前記成形装入物SiC原材料内の或る位置に保持された或る量のアクセプター原子からなり、前記成形装入物原材料材内での前記シリコン及び前記炭素に対する前記アクセプター原子の位置が固定されている、工程と、前記成形装入物SiC原材料を加熱して、前記成形装入物源材料の昇華により、シリコン、炭素、及び前記或る量のアクセプター原子の一部を含むフラックスを形成する工程と、前記フラックスをp型SiC結晶の成長面に蒸着して、前記p型SiC結晶を成長させる工程と、を含み、前記フラックス内の前記アクセプター原子の少なくとも一部が前記p型SiC結晶内に置換型原子不純物を形成するようにした、方法を提供する。
【0063】
さらに、低抵抗n型SiC結晶を製造する方法であって、成形装入物SiC原材料を蒸着装置内に配置する工程であって、前記成形装入物SiC原材料が、実質的にシリコン、炭素、及び前記成形装入物SiC原材料内の或る位置に保持された或る量のドナー原子からなり、前記成形装入物原材料材内での前記シリコン及び前記炭素に対する前記アクセプター原子の位置が固定されている、工程と、前記成形装入物SiC原材料を加熱して、前記成形装入物源材料の昇華により、シリコン、炭素、及び前記或る量のアクセプター原子の一部を含むフラックスを形成する工程と、前記フラックスをn型SiC結晶の成長面に蒸着して、前記n型SiC結晶を成長させる工程と、を含み、前記フラックス内の前記ドナー原子の少なくとも一部が前記n型SiC結晶内に置換型原子不純物を形成するようにした、方法を提供する。
【0064】
またさらに、p型SiC結晶の製造に使用するための液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料であって、周期表の第13族元素のうちの1つ又は複数の元素を含み、選択された元素が多数のアクセプター原子を提供する、ドーパントと、シリコン、炭素、及び酸素と、を含み、ドーパントが、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料の総重量の10%未満の重量であり、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料が負のポテンシャル正味キャリア濃度(pNc)を画定し、ここでpNc=ドナー原子の数-アクセプター原子の数である、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料を提供する。
【0065】
また、低抵抗n型SiC結晶の製造に使用するための液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料であって、周期表の第15族元素のうちの1つ又は複数の元素を含み、選択された元素が多数のドナー原子を提供する、ドーパントと、シリコン、炭素、及び酸素と、を含み、ドーパントが、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料の総重量の10%未満の重量であり、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料が正のポテンシャル正味キャリア濃度(pNc)を画定し、ここでpNc=ドナー原子の数-アクセプター原子の数である、液状のドープされたポリシロカーブ前駆体材料を提供する。
【0066】
以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、組成物、材料、結晶、ブール、及びウェハーを更に提供する。4Hと6Hからなる群から選択されたポリタイプをさらに有する;前記ウェハーが均一にドープされたウェハーである;前記ブールが均一にドープされたブールである;前記アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせを有する;前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNAを有する;前記ウェハーが1018/cmから約1020/cmのNAを有する;前記ウェハーが1018/cmから1021/cmのNAを有する;<0001>+/-0.5度の配向を有する;40μm未満のボウをさらに有する;60μm未満のワープをさらに有する;15μm未満のTTVを有する;4μm未満のSBIR(LTV)(10mm×10mmの平均)を有する;0.2cm-2未満のMPD(マイクロパイプ)を有する;500cm-2未満のTSD(貫通らせん転位密度)を有する;500cm-2未満のBPD(基底面転移)を有する。
【0067】
また,以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、組成物、材料、結晶、ブール、及びウェハーを提供する。前記抵抗率が2.0Ω・cmから約0.1Ω・cmである;前記抵抗率が0.13Ω・cm以下である;前記抵抗率が0.013Ω・cmから約0.004Ω・cmである;前記抵抗率が約0.010Ω・cm以下である;前記抵抗率が約0.01Ω・cmから約0.001Ω・cmである;前記抵抗率が約0.009Ω・cmから約0.004Ω・cmである;前記アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせを含む;前記置換アクセプター原子が、アルミニウム、ホウ素、又はアルミニウムとホウ素の組み合わせからなる;前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1020/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1021/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1022/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1023/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1024/cmのNを有する。
【0068】
また,以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、組成物、材料、結晶、ブール、及びウェハーを提供する。前記抵抗率が0.01Ω・cmから約0.004Ω・cmである;前記抵抗率が約0.010Ω・cm以下である;前記抵抗率が約0.009Ω・cmから約0.002Ω・cmである;前記抵抗率が約0.009Ω・cmから約0.004Ω・cmである;前記ドナー原子が、リン、窒素、又はリンと窒素の組み合わせを含む;前記置換ドナー原子が実質的にリンからなる。
【0069】
さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、組成物、材料、結晶、ブール、及びウェハーを提供する。前記ウェハーが少なくとも1018/cmのNを有する;前記ウェハーが少なくとも約1019/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1021/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1022/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1023/cmのNを有する;前記ウェハーが1018/cmから1024/cmのNを有する。
【0070】
さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、結晶、ブール、及びウェハーを提供する。4Hと6Hからなる群から選択されたポリタイプをさらに有する;wherein前記ポリタイプが、前記結晶、ブール、およびウェハーのエリア全体を通して同じままである;前記結晶、ブール、およびウェハーにポリタイプのシフトがない。
【0071】
また,以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、組成物、材料、結晶、ブール、及びウェハーを提供する。SiC種結晶のC面でのp型結晶成長を含む;SiC種結晶のS面でのp型結晶成長を含む;SiC種結晶のC面でのp型結晶成長を含み、前記SiC種結晶が4H又は6Hポリタイプを有する;SiC種結晶のS面でのp型結晶成長を含み、前記SiC種結晶が4H又は6Hポリタイプを有する。
【0072】
また、これらのウェハーまたはそれらの一部を含むか又はそれらの上に構築された、半導体デバイスを提供する。
【0073】
さらに、これらのウェハーまたはそれらの一部を含むか又はそれらの上に構築され、NチャネルE-MOSFET、PチャネルE-MOSFET、及びNチャネルD-MOSFETからなる群から選択された、半導体デバイスを提供する。
【0074】
また,これらのウェハーまたはそれらの一部を含むか又はそれらの上に構築され、PチャネルD-MOSFET、IGBT、LDMOS、VMO SMOSFET、UMO SMOSFET、及びCMOS複合デバイスからなる群から選択された、半導体デバイスを提供する。
【0075】
さらに、これらのウェハーまたはそれらの一部を含むか又はそれらの上に構築された、負aラッシュメモリデバイスを提供する。
【0076】
また、シリコンp型半導体デバイスを置き換えるようにされたp型SiC半導体デバイスを製造する方法であって、p型シリコン半導体デバイスのための、回路を画定する、回路設計を評価する工程と、SiC回路設計を行なう工程と、を含み、前記SiC設計がp型SiC半導体デバイスに対して動作可能なSiC回路を画定しており、前記SiC回路設計が実質的に前記回路設計からなる、方法を提供する。
【0077】
またさらに、シリコンp型半導体デバイスを置き換えるようにされたp型SiC半導体デバイスを製造する前記方法であって、以下の特徴のうちの1つ又は複数をさらに含む方法を提供する。前記SiC回路をp型SiC材料の上に又は該p型SiC材料を用いて作製する工程をさらに含み,、前記p型SiC材料はこれらウェハーの少なくとも一部を含む;前記SiC回路設計が前記回路設計と少なくとも90%同じである;前記SiC回路設計が前記回路設計と少なくとも95%同じである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】本発明に係る150mmのp型SiC結晶の一実施形態を示す写真である。
【0079】
図2A】本発明に係るドープされたSiCウェハーの一実施形態の平面概略図である。
【0080】
図2B図2Aの線B-Bに沿ったウェハーの断面概略図である。
【0081】
図3】本発明によるシステムおよび方法の一実施形態のプロセスフロー図である。
【0082】
図4】本発明による蒸着装置およびプロセスの実施形態の概略断面図である。
【0083】
図5】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したNチャネルE-MOSFETデバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0084】
図6】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したPチャネルE-MOSFETデバイスの一実施形態を示す概略断面模式図である。
【0085】
図7】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したNチャネルD-MOSFETデバイスの実施形態の概略を示す概略断面図である。
【0086】
図8】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したPチャネルD-MOSFETデバイスの一実施形態を示す概略断面模式図である。
【0087】
図9】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したIGBTデバイスの一実施形態を示す概略断面模式図である。
【0088】
図10】本発明に係るp型SiCウェハーを利用した横型拡散MOSFET(LDMOS)デバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0089】
図11】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したVMOS MOSFETデバイスの一実施形態を示す概略断面模式図である。
【0090】
図12】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したUMOS MOSFETデバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0091】
図13】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したIGTBデバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0092】
図14】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したCMOS化合物デバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0093】
図15】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したフラッシュメモリデバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【0094】
図16】本発明に係るp型SiCウェハーを利用したfCMOS化合物デバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
概して、本発明は、炭化シリコン(SiC)結晶、インゴット、ブール、およびウェハー、それらを製造するプロセス、ならびにそれらのウェハーから製造されるか、またはそれらのウェハーに基づいて製造されるデバイスに関する。
【0096】
一般に、本発明の実施形態は、ポリマー由来のセラミックベースのプロセスにおいて、ポリシロカーブ前駆体材料からなる出発材料を用いて、物理気相成長(PVT)などの昇華成長プロセス、および昇華成長プロセスを実行するための装置(例えば、PVT装置)を用いて製造されるこれらの結晶、インゴット、ブール、およびウェハーに関する。
【0097】
一般に、本発明の実施形態は、インゴット、ブール、およびウェハーを含むp型SiC結晶、それらのp型品を製造するプロセス、ならびにそれらのp型ウェハーから製造されるか、またはそれらのp型ウェハーに基づいて製造されるデバイスに関する。特に、本発明の実施形態は、立方晶p型SiCの結晶、インゴット、ブールおよびウェハー、それらのp型品を製造するプロセス、ならびにそれらのp型ウェハーから製造されるか、またはそれらのp型ウェハーに基づいて製造されるデバイスに関する。特に、本発明の実施形態は、インゴット、ブール、およびウェハーを含む六方晶p型SiC結晶、それらのp型アイテムを製造するプロセス、ならびにそれらのp型ウェハーから製造される、またはそれらのp型ウェハーに基づいて製造されるデバイスに関する。
【0098】
一般に、実施形態において、本発明は、インゴット、ブール、およびウェハーを含む低抵抗率SiC結晶、それらを製造するプロセス、ならびにそれらのウェハーから製造されるか、またはそれらのウェハーに基づいて製造されるデバイスに関する。特に、実施形態において、本発明は、0.010Ω・cm以下の抵抗率、好ましくは0.005Ω・cm以下の抵抗率を有するn型およびp型SiCウェハーに関する。これらの低抵抗ウェハーは、p型ウェハーでもn型ウェハーでもよい。実施形態では、これらの低抵抗ウェハーは立方晶または六方晶の結晶構造を有し、それぞれp型またはn型ウェハーでもある。
【0099】
一般に、本発明の実施形態は、ポリマー由来セラミック(「PDC」)材料、PDC材料を使用する、PDC材料を基礎とする、またはPDC材料を構成する製品および用途に基づくか、またはPDC材料を含む。PDC材料、組成物、前駆体、出発材料、ならびに、そのような材料を製造するための装置および方法の例は、例えば、米国特許第9,657,409号、同第9,815,943号、同第10,091,370号、同第10,322,936号、および同第11,014,819号、ならびに、米国特許公開第2018/0290893、および米国特許第9,499,677号、同第9,481,781号、同第8,742,008号、同第8,119,057号、同第7,714,092号、同第7,087,656号、同第5,153,295号、および同第4,657,991号に開示されており、これらの各開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
好ましいPDCは、シリコン(Si)、酸素(O)、および炭素(C)を含むPDC材料である「ポリシロカーブ」材料である。ポリシロカーブ材料およびそれらの製造方法は、米国特許第9,815,943号、同第9,657,409号、同第10,322,936号、同第10,753,010号、同第11,014,819号、および同第11,091,370号、ならびに米国特許公開第2018/0290893号に開示および教示されており、これらの各開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
一般に、本発明の実施形態は、固体材料(例えば、プラスチックのような材料、硬化材料)に硬化されるPDC液体前駆体材料を使用した、液体から固体そしてセラミックから結晶へのプロセスを含む。この硬化したPDC材料は第1のPDCセラミック材料に変換(例えば、熱分解)され、次にこの第1のセラミック材料はPDCSiC原材料に変換(例えば、熱分解)される。通常、これらのステップまたは移行は分離した加熱動作として実行されるが、単一の加熱動作で実行することもできる。PDCSiC原材料は、さらに成形装入物原材料に成形することができる。次に、PDCSiC原材料を使用して、(例えば、蒸着、好ましくはPVTによって)PDCSiC結晶を成長させる。典型的には、前駆体材料は液体であるが、固体、溶解固体、および溶融物であってもよい。
【0102】
一般に、1つ又は複数のドーパント(例えば、SiC結晶材料、例えば、結晶、インゴット、ブール、及びウェハーに所定の1つ又は複数の特性を付与することを意図した添加材料、例えば、原子不純物など)をPDC材料に添加することができる。これらのドーパントは、PDC前駆体から成長または製造されるSiC結晶(インゴット、ブール、およびウェハーを含む)に所定の特性、特徴、またはその両方(例えば、電気的なまたは半導体関連の特性または特徴)を提供するように選択される。好ましい実施形態において、所定の電気的なまたは半導体の特性または特徴には、例えば、抵抗率、導電率、結晶位置(置換または格子間)、ドナー原子の分布(すなわち、電子の不在)、および電子、電気的に活性な原子不純物の濃度、結晶位置および分布、置換原子不純物および格子間原子不純物の濃度、結晶位置、比率および分布、Nc値、N値、およびN値、キャリア濃度、Ne、Nh、ならびに価電子帯エネルギーまたは伝導帯エネルギーまたはフェルミエネルギーに対する電子帯構造内の変化、が含まれる。これらの特徴には、p型結晶、低抵抗のn型またはp型結晶、立方晶または六方晶の結晶構造を持つものなどが含まれる。
【0103】
ドーパントは、液体PDC前駆体材料、硬化した固体PDC材料、第1のPDCセラミック、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することができる。ドーパントはまた、SiC結晶を成長させる蒸着プロセス(例えばPVT)において原材料として使用するために、成形装入物、例えば体積形状物のSiCを形成するために使用されるバインダーに添加することも、その一部とすることもできる。SiC結晶の蒸着(例えば、PVT)成長のための成形装入物SiC原材料の調製および使用は、米国特許公開第2018/0290893号に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
概して、本発明の実施形態において、ドーパントは、好ましくは、PDC材料、SiC原材料、およびその両方の不可分な部分である。したがって、ドーパントは、(i)PDC材料(例えば、液体PDC材料におけるポリマー鎖の一部、固体硬化PDC材料における硬化ポリマーの一部、またはその両方)に化学的に結合することができ、(ii)参照によりその開示全体が本願に組み込まれる米国特許第10,633,400号に開示され教示されているように、PDC材料のマトリックス(例えば、ナノ複合材料)内に(化学的、機械的、またはその両方)保持することができ、(iii)SiC原材料中に(化学的、機械的、またはその両方で)保持することができ、そして(iv)それらの組み合わせ及びバリエーションとすることができる。
【0105】
SiC原材料の不可分な一部としてドーパントを有することで、結晶成長蒸着プロセスにドーパントを導入する従来の方法に比べて、いくつかの利点が得られる。例えば、SiC原材料の不可分な一部としてドーパントを有することで、ドーパントを原材料のSiおよびCとともに昇華させて、蒸着プロセスおよび装置(例えばPVT)でフラックスを形成することができる。この方法では、フラックスが形成された後に、ドーパントはフラックスに別個に添加されない。代わりに、ドーパントは、フラックスと共に、フラックスの一部として形成される。ドーパントをフラックス形成内で不可分な一部として有することで、ガス流やドーパントの別の昇華など、フラックスが形成された後にドーパントをフラックスに添加するよりも、プロセス全体をより良く制御することができる。したがって、概して、本発明の好ましい実施形態は、SiC原材料とは別のドーパントソースを有する必要性を回避する。これには、蒸着装置へのドーパントベースのガス流の使用を避けること、蒸着装置における別の固体ドーパントソースの使用を避けること、およびこれらの組み合わせが含まれる。他の実施形態では、例えば第2のタイプのドーパントによる別のドーパントベースのガス流を使用できることが理解される。
【0106】
概して、SiC原材料(例えば、成形装入物原材料)内およびその全体におけるドーパント(例えば、原子不純物)の位置、分布、およびその両方は、固定される。さらに好ましくは、ドーパントは、その所定の位置および分布に固定されたままであり、好ましくは、SiC結晶を成長させるための蒸着プロセスの大部分および全体を通して固定されたままである。このようにして、ドーパントは、SiC原材料の全体に均一に分布させることができる。また、SiC結晶のフラックス形成および成長の変化を考慮して、SiC原材料内の濃度、位置、および分布を変化させることができる。この後者の態様では、ドーパントの所定の配置は均一ではないが、SiC結晶内のドーパントの分布は結果として均一になる。このようにして、ドープされた成形装入物原材料の実施形態では、Si、C、および原子不純物(例えば、ドナー原子、アクセプター原子、またはその両方)のマトリックスが提供される。ドープされた成形装入物は、このSi、C、および原子不純物の多孔質マトリックスであり、マトリックスは原子不純物を保持、原子不純物を固定、またはその両方をする。
【0107】
成形装入物SiC原材料の実施形態を使用する場合、ドーパント(例えば、原子不純物)の所定の位置および分布は、ドーパントが固体原材料と共に昇華するまで、固体原材料中に固定されたままである。したがって、ドーパントは、蒸着(例えば、PVT)プロセスおよび装置における結晶の成長サイクルの少なくとも60%、70%、80%、90%、および100%の間、この固体原材料がまだ昇華していない範囲で、固体原材料中に固定されたままとすることができる。言い換えれば、これらの実施形態では、固体ドーパントは、結晶の成長サイクル中に、固体SiCに対して成形装入物中の位置を変えない。
【0108】
さらに、ドーパント(例えば、原子不純物)をSiC原材料(例えば、SiC成形装入物原材料)中の所定の位置に所定の分布で固定することにより、SiC結晶中の格子間不純物に対する置換不純物の高い比率を得る能力(すなわち、原子不純物のより大きな又はより効率的な使用)が得られる。原子不純物をより効率的に利用することで、SiC結晶において格子間不純物が生じさせる悪影響(例えば、応力)を低減することができる。ドーパント原子が表面に現れるとSiCとドーピング元素が共に昇華するため、成長中のブールへの成長全体を通して均一な濃度での取り込みが、より確実になる。
【0109】
結晶の成長サイクル中にドーパント(例えば、原子不純物)が「固定」されたままであることは、その原材料の昇華していない部分(すなわち、まだ昇華していない残りの部分)についてであることが理解される。原材料が蒸着プロセス中に昇華すると、ドーパントも昇華する。このようにして、ドーパントは、フラックスのSiおよびCをベースとする成分とともに、フラックス中に、フラックスの一部として形成される。さらに、この方法では、好ましくは、ドーパントは、フラックスが形成された後にフラックスに独立して添加されない。その代わりに、ドーパントはフラックスの不可分の一部であり、フラックス形成の不可分の一部でさえある。
【0110】
概して、本発明の実施形態は、ドープされた原材料を提供して所定のタイプのSiCウェハーを製造するための組成物および方法に関する。これらの実施形態において、出発材料(例えば、前駆体)は、典型的には液体であり、次いで固体材料に硬化される。固体出発材料は、通常、ドーパント(例えば、原子不純物)を含む。固体の出発材料は次に熱分解され、ドーパントを含むセラミックになる。このセラミックはさらにドーパントを含むSiCに変換され、例えばp型、低抵抗p型、低抵抗n型などの所定のタイプのSiC結晶の成長に使用される原材料の基礎を形成する。これらの所定の結晶型はそれぞれ、例えばp型、低抵抗p型、低抵抗n型のSiCウェハーへと加工される。
【0111】
概して、本発明の実施形態は、ドープされた原材料を提供して所定のタイプのSiCウェハーを製造するための組成物および方法に関する。これらの実施形態において、出発材料(例えば、前駆体)は、典型的には液体であり、次いで固体材料に硬化される。固体出発材料は、通常、ドーパント(例えば、原子不純物)を含む。固体の出発材料は次に熱分解されて、ドーパントを含むセラミックになる。このセラミックはさらにドーパントを含むSiCに変換され、例えばp型、低抵抗p型、低抵抗n型などの所定のタイプのSiC結晶の成長に使用される原材料の基礎を形成する。これらの所定の結晶型はそれぞれ、例えばp型、低抵抗p型、低抵抗n型のSiCウェハーへと加工される。
【0112】
ドーパントは、SiC結晶及びウェハー中に電気的に活性な原子不純物を形成することができる任意の元素、SiC結晶、及びウェハーに所定の電気的、半導体的、又は物理的特性のうちの1つ又は複数の特性を提供する任意の元素であるか、又はそれらをベースとしたものとすることができる。例として、ドーパントは、周期表の13族、IIIA(ホウ素(B)、アルミニウム(Al)等)から選択される元素、2族IIA(ベリリウム(Be)等)から選択される元素、および15族VA(窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Ab)等)から選択される元素であるか、またはそれらをベースとしたものとすることができる。ドーパントはまた、第16族VIA(例えば、酸素(O)、硫黄(S)等)の元素から選択されてもよい。ドーパントは、Ti、Cr、Mn、Ni、Fe、Coなどの遷移金属から選択されてもよい。実施形態では、遷移金属元素は、スピントロニクス、フォトニックバンドギャップ、および電気化学デバイスなどのデバイスにおいて新しいクラスの性能を提供する特性を、結晶材料に、したがってドープされたSiCウェハーに付加することができる。
【0113】
p型のSiC結晶、インゴット、ブール、ウェハーに好ましいドーパントは、アルミニウムとホウ素である。n型低抵抗ウェハーを製造するための好ましいドーパントは、リン、窒素、場合によっては硫黄、およびリンと硫黄と窒素の組み合わせである。
【0114】
本明細書は、SiC蒸着技術、特にSiC PVT技術に焦点を当てているが、本発明はそれらに限定されるものではなく、他のSiC結晶成長プロセス、接合プロセス、および他の用途にも適用可能であることを理解されたい。

前駆体と原材料-概要
【0115】
本発明の実施形態は、好ましくは、「ポリシロカーブ」材料、すなわち、シリコン(Si)、酸素(O)、および炭素(C)を含む材料、ならびに硬化されたそのような材料の実施形態、熱分解されたそのような材料の実施形態、及び原材料として使用するためにSiCに変換されたそのような材料の実施形態であるPDCを使用するか、それを基礎とするか、またはそれを構成する。シリコンオキシカーバイド、SiOC組成物、および同様の用語は、特に断りのない限り、ポリシロカーブ材料を指し、液体材料、固体の未硬化材料、硬化材料、セラミック材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションを含む。ポリシロカーブ材料およびそれら材料の製造方法は、米国特許第9,815,943号、同第9,657,409号、同第10,322,936号、同第10,753,010号、同第11,014,819号、および同第11,091,370号、ならびに米国特許公開第2018/0290893号に開示および教示されており、これらの各開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
ポリシロカーブ材料は、高純度および特別に高純度であってもよい。従って、純度99.99%、純度99.999%、純度99.9999%であってもよい。ポリシロカーブ材料はまた、他の元素を含んでいてもよい。特に、好ましい実施形態では、ポリシロカーブ材料はドーパント(例えば、原子不純物)を含む。(ドーパントは、純度パーセンテージを計算する際に不純物としてカウントされず、純度パーセンテージを計算する目的ではSiC材料の一部としてカウントされる)。ポリシロカーブ材料は、1つ又は複数のポリシロカーブ前駆体又は前駆体組成物から製造される。ポリシロカーブ前駆体組成物(polysilocarb precursor formulation)は、1つ又は複数の官能化シリコンポリマー、又はモノマー、非シリコン系架橋剤、及び潜在的に他の成分、例えば、抑制剤、触媒、ドーパント、及び他の添加剤を含む。ドーパントとしては、例えば、金属、金属化合物、金属錯体、合金、非金属の1つ又は複数のもの、及びこれらの組み合わせやバリエーションが挙げられる。
【0117】
したがって、例えばp型ドーパントは、第13族(ホウ素等)から選択される元素の1つ又は複数を含むか、又はそれを基礎とすることができる。p型のSiC結晶、インゴット、ブール、およびウェハーの製造に特に好ましいドーパントはアルミニウムである。
【0118】
低抵抗率のp型の結晶およびウェハーを製造するためには、出発ポリシロカーブ材料に含まれるドーパントの量は、SiCウェハー材料に十分なドーパントを供給し、p型結晶材料に十分な電気活性原子不純物を供給して低抵抗率を有するようにする工程を進めるのに十分な量でなければならない。本明細書で使用される「低抵抗率」SiCp型の結晶、インゴット、ブール、およびウェハーは、特に指定がない限り、0.03Ω・cm以下、約0.010Ω・cm以下、約0.007Ω・cm以下、約0.005Ω・cm以下、約0.003Ω・cm以下、約0.01Ω・cm~約0.001Ω・cm、約0.009Ω・cm~約0.004Ω・cm、約0.006Ω・cm~約0.002Ω・cmである。
【0119】
低抵抗n型SiC結晶材料に好ましいドーパントは、リン、窒素、硫黄(二重ドナーとして)、およびこれらの組み合わせである。
【0120】
低抵抗率のn型の結晶およびウェハーを製造するために、出発ポリシロカーブ材料に含まれるドーパントの量は、SiCウェハー原材料に十分なドーパントを供給し、n型結晶材料に十分な電気活性原子不純物を供給して低抵抗率を有するようにする工程を進めるのに十分でなければならない。本明細書で使用される「低抵抗率」SiCn型の結晶、インゴット、ブールおよびウェハーは、特に指定がない限り、0.03Ω・cm以下、約0.010Ω・cm以下、約0.007Ω・cm以下、約0.005Ω・cm以下、約0.003Ω・cm以下、約0.01Ω・cm~約0.001Ω・cm、約0.009Ω・cm~約0.004Ω・cm、約0.006Ω・cm~約0.002Ω・cmである。
【0121】
概して、ポリシロカーブ前駆体組成物は、最初は液体である。液体前駆体は硬化されて固体または半固体のSiOC(すなわち、「硬化した材料」)になる。その後、固体または半固体のSiOCは熱分解されてセラミックSiOCとなり、さらに熱分解されてSiCとなる。これらの工程や移行は、単一の工程、別々の工程、または個別の工程で行われることもあり、また、これらの組み合わせやバリエーションで行なわれることもある。
【0122】
ドーパント(例えば、ドナー原子、アクセプター原子、またはその両方の原子源)が添加される出発材料として使用できる前駆体組成物、およびそれらの前駆体組成物を製造する方法は、米国特許第11,091,370号に開示され、教示されており、その開示内容全体が参照により組み込まれる。これらの組成物は、炭素が豊富なSiC原材料および炭素が欠乏したSiC原材料を提供することができる。ドナー原子またはアクセプター原子の種類やその他の条件に応じて、原材料の所定の化学量論(例えば、炭素過剰、炭素欠乏)が有益であり、例えば、所定の化学量論は、SiC結晶中に置換不純物としてドーパントをより多く取り込ませることができる。
【0123】
前駆体組成物は、さまざまな前駆体から作ることができる。
【0124】
前駆体は、シロキサン骨格添加剤、例えば、以下に示す化学式のメチル水素(MH)であってもよい。
【0125】
MHは、約400mw~約10,000mw、約600mw~約3,000mwの分子量(「mw」は、amuでの重量平均分子量またはg/molとして測定することができる)を有することができ、好ましくは約20cps~約60cpsの粘度を有することができる。メチルシロキサン単位「X」の割合は、1%~100%であってよい。ジメチルシロキサン単位「Y」の割合は、0%~99%であってよい。この前駆体は、架橋構造の骨格、ならびに硬化したプリフォームおよびセラミック材料に他の特徴および特性を付与するために使用することができる。この前駆体はまた、特に、不飽和炭素化合物と反応させることによって修飾し、新たな前駆体または追加の前駆体を生成することができる。典型的には、メチル水素流体(MHF)は最小量の「Y」を有し、より好ましくは「Y」は実用上ゼロである。
【0126】
前駆体はビニル置換ポリジメチルシロキサンであってもよく、その化学式を以下に示す。
【0127】
この前駆体は、約400mw~約10,000mwの分子量(mw)を有していてもよく、好ましくは約50cps~約2,000cpsの粘度を有していてもよい。メチルビニルシロキサン単位「X」の割合は、1%~100%であってよい。ジメチルシロキサン単位「Y」の割合は、0%~99%であってよい。好ましくは、Xは約100%である。この前駆体は、架橋密度を低下させ、靭性を向上させ、また硬化したプリフォームおよびセラミック材料に他の特徴および特性を付与するために使用することができる。
【0128】
前駆体は、ビニル置換およびビニル末端ポリジメチルシロキサンであってもよく、その化学式を以下に示す。
【0129】
この前駆体は、約500mw~約15,000mwの分子量(mw)を有してよく、好ましくは約500mw~1,000mwの分子量を有してよく、好ましくは約10cps~約200cpsの粘度を有してよい。メチルビニルシロキサン単位「X」の割合は、1%~100%であってよい。ジメチルシロキサン単位「Y」の割合は、0%~99%であってよい。この前駆体は、硬化したプリフォームおよびセラミック材料に分岐を与え、硬化温度を低下させ、また他の特徴および特性を付与するために使用することができる。
【0130】
前駆体はテトラビニルシクロテトラシロキサン(「TV」)であってもよく、その式を以下に示す。
【0131】
前駆体は、メチル末端フェニルエチルポリシロキサン(スチレンビニルベンゼンジメチルポリシロキサンとも呼ばれる)などのシロキサン骨格添加剤であってもよく、その式は以下の通りである。
【0132】
この前駆体は、分子量(mw)が約800mw~少なくとも約10,000mw~または少なくとも約20,000mwであってよく、粘度が好ましくは約50cps~約350cpsであってよい。スチレンビニルベンゼンシロキサン単位「X」の割合は、1%~60%であってよい。ジメチルシロキサン単位「Y」の割合は、40%から99%であってよい。この前駆体は、改善された靭性を付与し、反応硬化発熱を減少させ、屈折率を変化させ、ポリマーの屈折率を調整して様々な種類のガラスの屈折率に一致させ、例えば透明なガラス繊維を提供し、同様に、硬化したプリフォームおよびセラミック材料に他の特徴および特性を付与するために使用することができる。
【0133】
前駆体はジビニルベンゼンであってもよい。
【0134】
前駆体はまた、米国特許第11,091,370号に開示され、教示されているいずれの前駆体および液体出発物質であってもよい。
【0135】
ドープされたSiC原材料を提供するためにドーパント(例えば、ドナー原子、アクセプター原子またはその両方の原子源)を添加することができる前駆体組成物には、例えば、以下の前駆体組成物が含まれる。
【0136】
直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHF)41wt%とテトラビニルシクロテトラシロキサン(TV)59wt%を混合した前駆体組成物。
【0137】
メチル末端フェニルエチルポリシロキサン90%(27%のXを有する)と10%のTVを室温で混合した前駆体。この前駆体組成物は、1.05モルの水素化物、0.38モルのビニル、0.26モルのフェニル、および1.17モルのメチルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、CおよびOのモル量を有する。
【0138】
計算上、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上2.31モルのCを有し、98%の過剰Cを有する。
【0139】
70%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(14%のXを有する)と30%のTVを室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物0.93モル、ビニル0.48モル、フェニル0.13モル、メチル1.28モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、CおよびOのモル量を有する。
【0140】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上1.77モルのCを有し、38%の過剰Cを有する。
【0141】
50%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(20%のXを有する)と50%のTVを室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物0.67モル、ビニル0.68モル、フェニル0.10モル、およびメチル1.25モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、C、およびOのモル量を有する。
【0142】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上1.93モルのCを有し、55%の過剰Cを有する。
【0143】
65%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(40%のXを有する)と35%のTVを室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物0.65モル、ビニル0.66モル、フェニル0.25モルおよびメチル1.06モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、CおよびOのモル量を有する。
【0144】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上2.81モルのCを有し、166%の過剰Cを有する。
【0145】
65%のMHFと35%のジシクロペンタジエン(DCPD)を室温で混合した前駆体。この前駆体組成物は、水素化物1.08モル、ビニル0.53モル、フェニル0.0モル、メチル1.08モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、CおよびOのモル量を有する。
【0146】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上2.65モルのCを有し、144%の過剰Cを有する。
【0147】
82%のMHFと18%のジシクロペンタジエン(DCPD)を室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物1.37モル、ビニル0.27モル、フェニル0.0モル、メチル1.37モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、C、およびOのモル量を有する。
【0148】
計算上、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上1.37モルのCを有し、0%の過剰Cを有する。
【0149】
46%のMHF、34%のTV、20%のVTを室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物0.77モル、ビニル0.40モル、フェニル0.0モル、メチル1.43モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、CおよびOのモル量を有する。
【0150】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上0.53モルのCを持つことになり、63%のC欠乏を有する、つまり63%のCが欠乏していることになる。
【0151】
70%のMHF、20%のTV、10%のVTを室温で混合した前駆体組成物。この前駆体組成物は、水素化物1.17モル、ビニル0.23モル、フェニル0.0モル、メチル1.53モルを有する。この前駆体組成物は、100gの組成物を基準として、以下に示すSi、C、およびOのモル量を有する。
【0152】
計算すると、この配合から得られるSiOCは、COをすべて取り除いた後、計算上0.33モルのCを持ち、78%のC欠乏を有する、つまり78%のCが欠乏していることになる。
【0153】
50%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(20%のXを有する)と50%のTV、95%のMHFを有する前駆体組成物。
【0154】
54%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(25%のXを有する)と46%のTVを有する前駆体組成物。
【0155】
57%のメチル末端フェニルエチルポリシロキサン(30%のXを有する)と43%のTVを有する前駆体組成物。
【0156】
前駆体組成物はまた、米国特許第11,091,370号に開示され教示されている前駆体組成物のいずれかであってもよい。
【0157】
1つ又は複数のドーパント(例えば、結晶成長プロセス中にフラックス中にドナー原子又はアクセプター原子を提供するために、原子不純物をベースとする、又は原子不純物を含む組成物又は材料)を、液体の前駆体の1つ又は複数に添加することができ、従って、液体の前駆体組成物に添加することができ、この場合、ドーパントは、硬化したSiOC材料の一部、従って、SiOCセラミック及びSiCの一部となる。ドーパントは、液体状態で液体前駆体の成分と化学反応、すなわち化学結合させることができる。ドーパントは、液体ポリシロカーブ前駆体の混合物、例えば溶液または懸濁液の一部とすることができる。この状況において、ドーパントは、硬化ステップ中にポリシロカーブ材料に化学的に結合され、その結果、硬化SiOC材料に化学的に結合され、熱分解ステップ中にセラミックSiOC材料に化学的に結合され、またはSiCへの変換ステップ中に、ドープされたSiC原材料に(化学的または機械的に)保持されるようにでき、またこれらの組み合わせおよび変形とすることが可能である。これは、p型ドープされたSiC原材料(p型結晶を提供または成長させる)または低抵抗率型ドープされたSiC原材料(n型またはp型のいずれかの低抵抗率結晶を提供または成長させる)のいずれかの場合であり得る。
【0158】
ドーパントは、混合物、例えば、硬化材料、SiOCセラミック又はその両方と混合された固体の一部とすることができ、この場合、ドーパントは、後の1つ又は複数の工程の間に、SiOC材料に化学的に結合して、p型ドープされたSiC原材料又は低抵抗率SiC原材料を提供することができる。
【0159】
概して、本発明の実施形態において、ドーパントは、好ましくは、SiOC材料、SiC原材料、およびその両方の不可分な一部である。したがって、ドーパントは、(i)SiOC材料(例えば、液体SiOC前駆体材料の1つ又は複数のポリマー鎖の一部又は組成物、硬化SiOC材料中の硬化ポリマーの一部又はその両方)に化学的に結合させることができ、(ii)米国特許第10,633,400号に開示され教示されているようなSiOC材料のマトリックス(例えば、ナノ複合材料)内に(化学的、機械的、又はその両方で)保持させることができ、(iii)SiC原材料中に(化学的、機械的、またはその両方で)保持することができる。
【0160】
p型SiC材料を提供するための出発材料、中間材料、及びプロセスの実施形態では、ドーパントは、SiOC組成物中のSi、C、O原子の1つ又は複数に共有結合している。したがって、例えば、硬化したSiOC材料をSiCに変換すると、ドーパントは、Si、C、またはその両方に共有結合し、p型SiC結晶を成長させるための蒸着プロセス、例えばPVTのために、SiC原材料(すなわち、粉末)、(もし使用されれば)SiC成形装入物、の全体に均一に分布するようになる。
【0161】
典型的には、ドーパント分子をポリマーネットワークに共有結合で組み込むために、ヒドロシリル化反応と縮合反応の2種類の反応を採用することができる。一般に、ヒドロシリル化反応は、ドーパント分子に少なくとも1つのアルケンの官能基を用いる。好ましい実施形態では、例えば、それらの2つの官能基、より好ましくは3から4の官能基を有する。縮合反応では、アルコキシド基、アルコール基、または水酸化物基(-OR)が使用され、Rは通常、小さなアルカンまたは水素である。
【0162】
いくつかの実施形態では、熱分解により、グラフェン、グラファイト、アモルファスカーボン構造、およびこれらの組み合わせやバリエーションがSi-O-Cセラミック中に存在する。SiO、SiOC、SiO、SiOC、およびSiCとなるSiOxCy構造からなるシリコン種の分布は、前駆体の選択およびそれらの処理履歴から生じる様々な比率で形成される。これらの実施形態では、ドーパントは、隣接する炭素とシリコン原子との間の非晶質炭素構造とともに結合することができる。概して、SiOCの場合、セラミック状態では、炭素は酸素原子にほとんど配位しておらず、したがって、酸素はシリコンに大きく配位しており、ドーパントは、その出発構造に応じて、シリコンまたは炭素のいずれかに大きく配位している。
【0163】
好ましい実施形態では、p型結晶を成長させるための蒸着プロセス、例えばPVTのための出発材料は、周期表の第13族(ホウ素等)から選択された1つ又は複数の元素から選択されたドーパントを有する。ドーパントは、原材料のSi、Cまたはその両方に共有結合しており、原材料全体に均一に分布している。より好ましい実施形態では、出発材料は、成形装入物として構成され、ドーパントは、成形装入物全体に所定の方法で、例えば、均一に、様々な濃度の層等に分布される。次いで、この原材料を使用して、例えば、本明細書の「結晶成長-一般」のサブセクションに記載されているように、蒸着プロセスが実施される。
【0164】
好ましい実施形態では、低抵抗率n型結晶を成長させるための蒸着プロセス、例えばPVTのための出発材料は、周期表の第15族(窒素等)から選択される1つ又は複数の元素から選択されるドーパントを有する。ドーパントは、原材料のSi、Cまたはその両方に共有結合しており、原材料全体に均一に分布している。より好ましい実施形態では、出発材料は、成形装入物として構成され、ドーパントは、成形装入物全体に所定の方法で、例えば、均一に、様々な濃度の層等に分布される。次いで、この原材料を使用して、例えば、本明細書の「結晶成長-一般」のサブセクションに記載されているように、蒸着プロセスが実施される。
【0165】
本発明のp型材料およびプロセスの一実施形態では、ドーパント、アクセプター不純物原子は、SiC原材料の一部であり、例えば、化学結合、共有結合、またはSiCマトリックス内に捕捉される。さらに、この実施形態では、ドーパントおよびそのアクセプター不純物原子は、出発材料中に合金の形態では存在しない。例えば、ドーパントはアルミニウムとすることができ、アルミニウムは原材料中に存在し、合金としては存在しない。したがって、このように、蒸着の間、例えば、フラックス形成の間、およびその後、ドーパント、およびアクセプター不純物原子は合金ではなく、または他の方法で合金に形成されない。合金の使用、この合金化ステップ、または合金形成を避けることは、従来技術よりも大きな利点を提供し、結晶の成長、形成、および特性の改善をもたらすと考えられている。(本明細書で使用する合金とは、2つ又は複数の金属からなる物質又は金属と非金属とが、溶融時に互いに融合し溶解することにより、通常密接に結合した物質である。合金は、99:1、90:10、80:20~50:50の比率で存在する異なる金属を有することができる。)合金フリー、または合金を形成しない、という用語は、90:10、80:20~50:50の比率を有する合金を有さない、または形成しないことを指す。実施形態において、99:1~91:9の比率を有する合金もまた、回避され得、したがって出発材料中に存在せず、蒸着装置中に見出されず、形成されない。
【0166】
一実施形態では、ドーパントは、前駆体成分として高純度アルミニウム/シリコン合金またはアルミニウムドープシリコン粉末とすることができる。ドープされたシリコン粉末は、炭素を反応させてAlドープされたSiC粉末を形成することができる。この粉末を成形装入物原材料とすることができる。
【0167】
図3には、ドープされたSiC原材料の成形装入物(例えば、体積形状物)を含む、ドープされたSiC原材料、(p型のドープ原材料、低抵抗率p型のドープ原材料、または低抵抗率n型のドープ原材料)を製造するためのシステムおよび方法の一実施形態の概略透視フロー図が提供されている。SiC原材料は、ドープされたSiOC前駆体および中間材料から得られる。ドープされたSiC原材料及び成形装入物は、好ましくは高純度(例えば、3-ナイン、4-ナイン、5-ナイン以上、好ましくは6-ナイン以上)である。前駆体および他の材料を含むシステムのライン、バルブおよび内部表面は、SiOC、誘導SiC、およびSiCの体積形状物を汚染しない、例えば、汚染物質の原材料を提供しない材料から作られるか、またはそのような材料でコーティングされる。
【0168】
p型ドーパント(すなわち、アクセプター原子の供給源となるドーパント)のみが使用される実施形態では、窒素などのドナー原子の供給源と見なされる、または供給源となる原材料の存在は、最小限に抑えられ、緩和され、排除されるべきである。(他の実施形態では、窒素はp型ドーパントよりも少ない量で存在してもよく、p型原材料、すなわち負のNcを有する結晶を成長させるように構成された原材料を得ることができることに留意されたい)。
【0169】
同様に、n型ドーパント(すなわち、ドナー原子の供給源となるドーパント)のみが使用される実施形態では、ホウ素やアルミニウムなどのアクセプター原子の供給源となる原材料の存在を最小限に抑え、緩和し、排除する必要がある。(他の実施形態では、ホウ素またはアルミニウムはn型ドーパントよりも少量で存在してもよく、n型原材料、すなわち正のNcを有する結晶を成長させるように構成された原材料を得ることができることに留意されたい)。
【0170】
貯蔵タンク150a、150bは液体ポリシロカーブ前駆体を貯蔵し、ドーパントは別の貯蔵タンク、ホッパー、またはビン150cに収容することができる。複数のドーパントが使用される場合は、複数のタンク、ホッパー、またはビンも存在し得る。ドーパントは、貯蔵タンクまたはミキサー152に添加することができる。この実施形態では、液体前駆体から汚染物質を取り除くために、前駆体の一方または両方を蒸留装置151aおよび蒸留装置151bに通すか、又はいずれの前駆体も通さないようにできる。ドーパントに損傷を与えたり、その特性に影響を与えたりしないように注意する必要がある。
【0171】
液体前駆体およびドーパントは、次に混合容器152に移され、そこで混合されてドープされた前駆体バッチ(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)が形成され、触媒される。次いで、前駆体バッチは、炉154に入れるために容器153(好ましくはクリーンルーム環境157a内)に注がれる。炉154は、スイープガス注入口161とオフガス取出しライン162を有することができる。通常、スイープガスはアルゴンなどの不活性ガスである。炉は、液体ポリシロカーブ材料を硬化させ、ドーパントをポリシロカーブ材料と反応させて、ドーパントを硬化したポリシロカーブ材料に結合させるか、またはポリシロカーブ材料の一部として結合させる。
【0172】
硬化された材料、すなわち固体のドープされたSiOC(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)は、次に、好ましくはクリーンルーム条件下で、1つ、好ましくは複数の熱分解炉155a、155b、155cに移され、そこでドープされたSiOCからドープされたSiC原材料(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)に変換される。(この実施形態では、SiOCセラミックは、例えば155aの炉でSiCに変換される際に形成される相であることに留意されたい)。炉は、スイープガス注入口158a、158b、158cをそれぞれ有し、2つのオフガス取出しライン159aと160a、159bと160b、159cと160cをそれぞれ有する。通常、スイープガスはアルゴンなどの不活性ガスである。オフガスは、システム内の様々なユニットからオフガスを収集する注入口164を有するオフガス処理アセンブリ163で処理、浄化、出発物質の回収が可能である。
【0173】
その結果、粉末であるドープされたSiC原材料(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)は、次に、好ましくはクリーンルーム条件下である体積形状物形成領域190に移送される。領域190において、ドープされたSiC材料は、混合装置173(例えば、ブレード、パドル、攪拌機など)を有する混合容器172に供給される。バインダータンク170からのバインダーが、ライン171を介して容器172に加えられる。混合容器172内でSiCはバインダーと混合され、スラリーまたはブレンドを形成する。スラリーの粘性は、後の成形作業を容易にするようなものでなければならない。次いで、SiC-バインダースラリーを成形装置175に移し、ここでスラリーを体積形状物、例えばペレット、ディスク、ブロックなどに成形し、好ましくはドープされた成形装入物原材料(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)に成形し、オーブン177に供給し、ここでバインダーを硬化させて体積形状物に所望の強度を与え、好ましくは熱分解させる。
【0174】
体積形状物は、その後、包装装置180に移送され、そこで包装されるようにもできる。好ましくは、これらの作業はクリーンルーム条件下で行われ、より好ましくは、別々のクリーンルーム、すなわちクリーンルーム領域190a、190b、190cで行われる。成形装入物は、ドープされたSiC結晶(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)を成長させるための蒸着装置(例えば、PVT)に直接供給することもできる。
【0175】
好ましくは、p型のドープされたSiC、低抵抗率p型のドープされたSiC、または低抵抗率n型のドープされたSiC原材料を製造する際に、好ましい実施形態では、ポリシロカーブ前駆体とドーパントとを、クリーンな空気中で、約1気圧で混合することができる。
【0176】
好ましくは、SiC、およびSiCの製造に使用する材料を製造する際に、ドープされた、好ましくは触媒化された前駆体材料の硬化は、約20℃~約150℃、約75℃~約125℃、および約80℃~約90℃の範囲の温度、ならびにこれらの温度のバリエーションおよび組み合わせ、ならびにこれらの温度の範囲内のすべての値で行われる。硬化は、好ましくは硬い硬化物が得られる時間にわたって行われる。硬化は空気中または不活性雰囲気中で行うことができ、好ましくは周囲圧力のアルゴン雰囲気中で行う。好ましくは、高純度材料の場合、硬化装置の炉、容器、ハンドリング装置、および他の構成要素は清浄であり、硬化材料にとって実質的に不純物または汚染物質とみなされるような元素または材料を含まず、またそれらに寄与しない。好ましい実施形態では、ドナー原子の供給源またはアクセプター原子の供給源は、成長する結晶の種類によっては、汚染物質とみなされる場合があることに留意されたい。
【0177】
好ましくは、ドープされたSiC原材料(例えば、p型、低抵抗率p型、または低抵抗率n型)の製造において、熱分解は、約800℃~約1300℃、約900℃~約1200℃、および約950℃~約1150℃の範囲の温度、ならびにこれらの温度の範囲内のすべての値で行われる。熱分解は、好ましくは、硬化したドープされたSiOC材料のp型のドープされたSiC原材料への完全な熱分解をもたらす時間にわたって実施される。好ましくは、熱分解は不活性ガス中、例えばアルゴン中で、より好ましくは大気圧程度の流動アルゴンガス中で行われる。ガスは、約1,200cc/分~約200cc/分、約800cc/分~約400cc/分、および約500cc/分、ならびにこれらの流れの範囲内のすべての値で流れるようにすることができる。好ましくは、処理炉の最初の真空排気は、少なくとも1×10-3Torr以下の減圧まで完了し、不活性ガス、例えばアルゴンで100Torr以上に再加圧される。より好ましくは、真空排気は、不活性ガスで再加圧する前に、1×10-5Torr未満の圧力までで完了する。真空排気プロセスは、0回から4回以上の何回でも行うことができる。好ましくは、高純度材料の場合、硬化装置の炉、容器、ハンドリング装置、および他の構成要素は、清浄であり、実質的に汚染物質がなく、熱分解材料にとって汚染物質とみなされるような元素または材料がなく、それらに寄与しない。
【0178】
熱分解は、要求温度と環境制御を維持する加熱装置であれば、どのようなものでも実施できる。例えば、圧力炉、箱型炉、管状炉、結晶成長炉、グラファイト箱型炉、アーク溶解炉、誘導炉、キルン、MoSi発熱体炉、カーボン炉、真空炉、ガス炉、電気炉、直接加熱、間接加熱、流動床、RF炉、キルン、トンネルキルン、箱型キルン、シャトルキルン、直接加熱、間接加熱、流動床、RF炉、キルン、トンネルキルン、ボックスキルン、シャトルキルン、コークス化装置、レーザー、マイクロ波、その他の電磁放射、および熱分解の要求温度を得ることができるこれらとその他の加熱装置およびシステムの組み合わせとバリエーション、などである。
【0179】
好ましくは、ドープされたSiC原材料の製造において、セラミックドープされたSiOCは、続けてまたは継続して熱分解または変換ステップにおいてSiCに変換される。ドープされたSiOCからの変換ステップは、例えば、ドープされたSiOC硬化物の熱分解の一部であってもよく、連続的であってもよく、又は時間、場所およびその両方において全く別のステップであってもよい。所望するドープされたSiCの種類に応じて、変換ステップ(SiOCからSiCへ)は、約1,200℃から約2,550℃、約1,300℃から1,700℃、およびこれらの温度の範囲内のすべての値で実施することができる。
【0180】
一般に、約1600°Cから1900°Cの温度では、経時的にβ型の形成が促進される。1900℃を超える温度では、α型の形成が経時的に促進される。好ましくは、変換は、不活性ガス、例えばアルゴン、より好ましくは大気圧程度の流動アルゴンガス中で行われる。ガスは、約600cc/分~約10cc/分、約300cc/分~約50cc/分、および約80cc/分~約40cc/分、ならびにこれらの流れの範囲内のすべての値で流すことができる。好ましくは、高純度材料の場合、硬化装置の炉、容器、ハンドリング装置、およびその他の構成部品は清浄であり、実質的にSiCにとって不純物または汚染物質とみなされる元素または材料を含まず、それらに寄与しない。
【0181】
ドープされたSiOC由来のドープされたSiCの続いての収率は、一般に約10%から50%、典型的には30%から40%であるが、これより高い範囲や低い範囲、またこれらのパーセンテージの範囲内のすべての値を得ることもできる。
【0182】
ドープされたSiOC前駆体材料中、例えばミキサー152中または硬化した固体SiOC中に存在すべきドーパントの量を抑止する際には、結晶成長中を含むプロセス全体を通してのドーパントの損失を考慮すべきであることがさらに理解される。したがって、所定のドーパントレベル、例えば、その原材料から成長される結晶、ひいてはその結晶から製造されるウェハー中の所定の電気的活性原子の量に達して、結晶およびウェハーの所定の意図された電気的特性および半導体特性を提供するために、SiCウェハー中に十分なドーパントが存在すべきである。
【0183】
ドープされた体積形状物原材料、例えば、ドープされた成形装入物原材料を形成するためのバインダーは、体積形状物の加工、硬化、および後の使用の間、SiCを所定の形状に保持するために使用される任意のバインダーであり得る。バインダーの実施形態は、好ましくは、酸素を含まないものとすることができる。バインダーの実施形態は、好ましくは、炭素および水素のみを有する材料で構成することができる。バインダーの実施形態は、酸素を有する材料から作ることができる。バインダーの実施形態は、SiCの焼結に使用される任意の焼結助剤であり得る。バインダーの実施形態は、溶融シリカとすることができる。バインダーの実施形態は、本明細書に記載の液体前駆体の全てを含む、ポリシロカーブ前駆体材料とすることができる。これらおよび他の材料の組み合わせおよび変形もバインダーとして使用することができる。バインダーはまた、ドーパントを含むことができ、このドーパントは、成形装入物を作るために使用されるSiC粉末中のドーパントと同じであっても異なっていてもよい。
【0184】
バインダーは、ポリシロカーブ前駆体の硬化に使用される条件下で、またはバインダーを体積形状物の形状を維持するのに十分な硬さ(例えば、強靭さ)の材料に変化させるのに必要な条件下で、必要な程度まで硬化させ、熱分解させることができる。したがって、硬化、硬質化、硬化、成形、またはセットアップは、場合によっては、バインダーの特性に基づいて行われるべきである。
【0185】
酸素を有しないバインダーの実施形態の例としては、ポリエチレン、金属シリコン、炭化水素ワックス、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせやバリエーションが挙げられる。
【0186】
炭素および水素のみを含むバインダーの実施形態の例としては、ポリエチレン、炭化水素ワックス、炭素またはカーボングラファイトの粉末、カーボンブラック、HDPE、LDPE、UHDPE、およびPP、ならびにこれらの組み合わせおよび変形が挙げられる。
【0187】
酸素を含むバインダーの実施形態の例としては、ホウ酸、酸化ホウ素、二酸化シリコン、ポリアルコール、ポリ乳酸、セルロース系材料、糖およびサッカリド、ポリエステル、エポキシ、シロキサン、シリケート、シラン、シルセスキオキサン、エチルビニルアセテート(EVA)のようなアセテート、PMMAのようなポリアクリレート、ポリマー由来セラミック前駆体、およびこれらの組み合わせおよび変形が挙げられる。
【0188】
焼結助剤であるバインダーの実施形態の例としては、シリコン、酸化ホウ素、ホウ酸、炭化ホウ素、シリコンおよび炭素粉末、シリカ、ケイ酸塩およびポリマー由来セラミック前駆体、ならびにこれらの組み合わせおよび変形が挙げられる。
【0189】
バインダーは、ドーパント、ドープされたSiC結晶の成長、ドープされたSiC結晶、およびウェハーの特性を妨害または阻害しないように選択されるべきである。
【0190】
バインダーの実施形態は、米国特許第9,815,943号、同第9,657,409号、同第10,322,936号、同第10,753,010号、同第11,014,819号、および同第11,091,370号、ならびに米国特許公開第2018/0290893号に開示され教示されている材料のような、触媒化および非触媒化の両方の前駆体組成物を含み、これらの各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらのバインダーを硬化させる方法は、これらの特許および公開公報に開示および教示されており、これらの各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
アシュビズ(Ashbys)触媒などは,アルミニウムをドープした前駆体組成物の影響をほとんど受けない。リンを含む前駆体組成物は、若干の触媒阻害を生じさせる可能性がある。ドーパントによる触媒阻害は、例えば、硬化プロセス中に熱エネルギーを補うことによって、無触媒手段(例えば、触媒がないにもかかわらず反応を促進する)によって克服することができる。
【0192】
好ましい実施形態において、ドープされた体積形状物、例えば、成形装入物、原材料(例えば、p型、低抵抗率p型、又は低抵抗率n型)は、前述の列挙された特許及び公開公報において開示され教示されたポリシロカーブ前駆体組成物の1つ又は複数を用いて製造される。バインダーはSiCに熱分解され、硬くて耐久性のあるドープされた成形装入物原材料を提供する。この成形装入物原材料のドーパントは固定されている。
【0193】
一実施形態では、バインダーは、ドーパントの有無にかかわらず、SiC原材料の製造に使用されたのと同じポリシロカーブ前駆体である。したがって、バインダー中に存在するドーパントの量は、0%から約50%までとすることができる。バインダー中のドーパントは、特定のドープされたSiC成形装入物原材料中に存在するドーパントの量を調整または微調整するために使用することができる。
【0194】
好ましいが、ドープされたSiC結晶およびブールは、成形装入物を使用せずに、例えば、ドープされたSiCポリマー由来の粉末装入物または出発材料から直接成長させることができることが理解される。さらに、ドープされたSiC成形装入物原材料を形成するために、あまり望ましくない形態のSiC粉末(例えば、ポリマー由来セラミックから作られていない)を使用することもできる。
【0195】
ドープされたSiC原材料粉末(例えば、ポリマー由来セラミックから作られたものではない)を作るのに必要な実質的に全ての構成要素、例えば、SiおよびCならびにドーパント、を有するドープされた液体材料、例えば、前駆体バッチ、から開始できることは、汚染を制御する上で、また、PVTプロセスおよび装置におけるフラックス形成および結晶成長を制御するためにドープされた原材料中のSi、C、およびドーパントの所定の配分を作る上で、大きな利点を提供する。また、蒸着装置およびp型結晶成長における本発明のポリマー由来のp型のドープされたSiCの性能に一部基づいて、ポリマー由来のSiCは、非ポリマー由来のSiC、および結晶成長プロセスにおける金属合金、金属ガス、またはその両方の先行使用とは異なることが理論化されている。従って、結晶成長及び純度、ウェハー歩留まり及びデバイス歩留まりにおける相乗的な利点は、さらに、嵩密度、粒径、ドープされたSiCの相(ベータ対アルファ)、化学量論、酸素含有量(非常に低いか全くない、また酸化物層がない)、高純度(例えば、99.999%純度)及び超高純度(99.9999%)を含む、ポリマー添加セラミック原材料の個々の利点の1つ又は複数の利点から生じる。

ドーパント材料-概要
【0196】
概して、ドーパントは、SiC原材料を形成するためのPDCプロセス(例えば、ポリシロカーブ材料をベースとするPDC)において使用することができて、PDCプロセスに干渉せずに、所定の原子不純物(例えば、ドナー原子、アクセプター原子、及びそれらの組み合わせ)をSiC原材料中に付与するような任意の材料又はそのような材料の組み合わせとすることができ、この原材料は、次に、これらの原子不純物を有するフラックスを製造し、そのフラックスから結晶を成長させる蒸気フラックスプロセスで使用され、結晶もまた、電気的に活性な原子不純物としてこれらの原子不純物を有するものである。
【0197】
p型の結晶、インゴット、ブール、およびウェハー、ならびにp型低抵抗の結晶、インゴット、ブール、およびウェハーでは、アルミニウムおよびホウ素が好ましい原子不純物であり、したがって、好ましいドーパントは、これらの原子不純物を提供できる材料である。
【0198】
例えば、原材料にアルミニウムを供給し、SiC結晶構造にアルミニウム原子の電気的に活性な不純物を供給することができるドーパント材料は、一般に、反応性アルミニウム材料、非反応性アルミニウム材料、および純粋なアルミナ材料である。
【0199】
典型的には、反応性アルミニウム材料は、液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加され、その後、硬化ステップ中にこれらの前駆体材料と化学反応する。反応性アルミニウム材料としては、例えば以下のものが挙げられる:
(i)アルミニウムアルコキシド:AL(OR) ここで、Rはアルキル基またはフェニル基である。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に次の通りである:2Al(OR) + 6SiH → 2Al-(O-Si~) + 6RH;(これらの反応で使用される「~Si」および「Si~」は、反応性Si官能基を表し、ポリマー骨格または配位子骨格のような大きな構造に結合していることに留意すべきである。)
(ii)水酸化アルミニウム(Rは水素)。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に次の通りである:2Al(OH) + 6SiH → 2Al-(O-Si~) + 3H
(iii)ボーキサイト、ギブサイト、ボーマイト、ダイアスポア。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は一般に、(ii)と同様に、これらの鉱物の水酸化物官能基を介して行われる。
(iv)トリメチルアルミニウム。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に次のとおりである:2(Al(Me)) + 3HO → Al + 6CH
【0200】
通常、非反応性アルミニウム材料は液体の前駆体材料(例えば「前駆体組成物」)に添加されるが、硬化材料、セラミックSiOC、SiC原材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することもできる。非反応性材料は、熱分解中にSiOCおよびSiCセラミック材料によって保持されるか、またはSiOCおよびSiCセラミック材料に組み込まれる。非反応性材料には、例えばアルミノシリケート材料が含まれる。そのような材料の例としては、以下が挙げられる:ムライト、カイヤナイト、シリマナイト、アンダルサイト、デュモルティエライトなどのネオケイ酸塩粉末、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、テクトケイ酸塩(長石)、ゼオライトなど。
【0201】
通常、純粋なアルミナ材料は、液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加されるが、硬化材料、セラミックSiOC、SiC原材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することもできる。純粋なアルミナ材料は、熱分解中にSiOCおよびSiCセラミック材料によって保持されるか、またはSiOCおよびSiCセラミック材料に組み込まれる。純粋なアルミナ材料には、例えばアルミナ粉末Alやコランダム(サファイア、ルビーなどを含む)が含まれる。
【0202】
前述のアルミニウムドーパント材料はすべて、合金としてではなく、例えばSiC原材料中のセラミック酸化物の形態でアルミニウムを提供する。
【0203】
例えば、原材料中にホウ素を供給し、SiC結晶構造中にホウ素原子電気活性不純物を供給することができるドーパント材料は、一般に、以下のものである:反応性ホウ素材料;非反応性ホウ素材料。
【0204】
典型的には、反応性ホウ素材料は液体の前駆体組成物(例えば、前駆体組成物(1))に添加され、その後、硬化ステップ中にそれらの前駆体材料と化学反応する。反応性ホウ素材料としては、例えば以下のものが挙げられる:
(i)ホウ酸B(OH)。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に、
2B(OH) + 6SiH → 2B-(O-Si~) + 3Hである;
(ii)ホウ砂(NA2-10HO)。SiOC前駆物質との反応は、一般に縮合反応である。
(iii)ボロン酸R-B(OH)。Rはビニル基などのアルケン基である。ポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に、縮合反応である、
(iv)ジビニルホウ素酸Vi-B(OH)-Viポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般的に
B-Vi + ~SiH → B-C-C-Si~である。
【0205】
通常、非反応性ホウ素材料は、液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加されるが、硬化材料、セラミックSiOC、SiC原材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することもできる。非反応性材料は、熱分解中にSiOCおよびSiCセラミック材料によって保持されるか、またはSiOCおよびSiCセラミック材料に組み込まれる。非反応性材料には、例えば以下のものが含まれる:ホウケイ酸ガラス、B、炭化ホウ素。
【0206】
n型の結晶、インゴット、ブール、およびウェハー、ならびにn型低抵抗の結晶、インゴット、ブール、およびウェハーの場合、窒素およびリンが好ましい原子不純物であり、リンが特に好ましい原子不純物であるため、好ましいドーパントは、これらの原子不純物を提供できる材料である。
【0207】
窒素を含有するまたは窒素を供給する材料を液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加することができる。このようなドーパントとしては、アミン;アミド;アゾ&ジアゾ;カルバメート;ウレタン;カルボイミド;CおよびNの複素環;尿素;イソシアネート;が、組み込む潜在的な候補官能基として挙げられる。ナイロンまたは他のN含有の炭素ベースのポリマーも、熱分解中に反応させるために組成物に加えることができる。しかし、あまりに多量の窒素を添加すると、結晶に望ましくない応力、積層欠陥、関連欠陥をもたらすことに注意すべきである。
【0208】
典型的には、反応性リン材料は液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加され、次いで硬化ステップ中にそれらの前駆体材料と化学反応する。反応性リン材料としては、例えば、以下が挙げられる。
【0209】
(i)以下に示すトリフェニルホスフィンオキシドを含む(R)-ホスフィンオキシド(R=アルキル基、フェニル基、スチレニル基)などのPの反応性酸化物
および以下に示す五酸化リンなどである。
これらのドーパントを用いたポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に以下のように行われる。
-P=0 + ~Si-H → ~Si-O-P-R
【0210】
(ii)反応性有機ホスフィン、例えば(R1)n(R2)3-n有機ホスフィン(ここで、R1=アルケン基、スチレニル基、R2=アルキル基、フェニル基)例えば、下記に示すジフェニルビニルホスフィン
以下に示すジビニルフェニルホスフィン
以下に示すジフェニルスチリルホスフィン
トリアリルホスフィン(n=3)。
これらのドーパントを用いたポリシロカーブ前駆体材料との反応は、一般に次のように行われる。
-P-C=C + ~Si-H → ~Si-C-C-P-R
【0211】
(iii)PH、PCl、PF、PBrなどのホスフィン類。
ポリシロカーブ前駆体材料とこれらのドーパントとの反応は、一般に、以下のとおりである。
PX + 3~SiH → P-(Si~) + HX、ここでXはハロゲン又は水素
【0212】
(iv)リン酸(H3PO4)を含む酸;ポリリン酸(CAS#8017-16-1);ポリリン酸アンモニウム(CAS#68333-79-9);(OR)、ここでRは任意のアルキル基、またはフェニル基、または水素であるP;O=P(OR)、ここでRが任意のアルキル基、またはフェニル基、または水素である;以下に示すトリイソプロピルホスファイト
【0213】
【0214】
以下に示すリン酸トリイソプロピル
【0215】
【0216】
ポリシロカーブ前駆体材料とこれらのドーパントとの反応は、一般に、以下の通りである。
【0217】
2(OH)P=O + 6~Si-H → 2(~Si-O)-P=O + 3H
【0218】
通常、非反応性リン材料は液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加されるが、硬化材料、セラミックSiOC、SiC原材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することもできる。非反応性材料は、熱分解中にSiOCおよびSiCセラミック材料によって保持されるか、またはSiOCおよびSiCセラミック材料に組み込まれる。非反応性材料としては、例えば、以下に示すようなリン酸化合物が挙げられる。
【0219】
【0220】
M+は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、アンモニウムなど。
【0221】
以下に示す五酸化リン
【0222】
【0223】
アパタイトグループ((Ca(POR、ここでRはF、ClまたはOH)のようなリン酸塩鉱物、である。)
【0224】
NとPの両方を含む無機ドーパントを使用することもできる。これらは液体の前駆体組成物(例えば、前駆体組成物(1))に添加されるが、硬化物、セラミックSiOC、SiC原材料、およびこれらの組み合わせやバリエーションに添加することもできる。無機材料は、熱分解中にSiOCおよびSiCセラミック材料によって保持されるか、またはSiOCおよびSiCセラミック材料に組み込まれる。これらの原材料は、単一のドーパント源からNとPの両方を供給する共ドープ能力を提供する。共ドーパントには、例えばストルバイト((NH)MgPO-8H0)、窒化リン、五炭窒化三リン(P)などがある。
【0225】
他の共ドーパント(NとPの供給源)は、シクロホスファゼン化合物、ポリホスファゼン化合物、ヘキサクロロトリホスファゼン化合物である。これらの共ドーパントは、液体の前駆体材料(例えば、前駆体組成物)に添加され、その後、硬化、熱分解またはその両方の工程で、これらの前駆体材料と化学反応する。
【0226】
さらに、前述のように、ドープされたSiC成形装入物原材料を形成するために使用されるバインダーに、前述のドーパントのいずれかを添加することができる。
【0227】
ドーパントは、約1%、約2%、約2.5%、約5%、2%から約10%、約1%から約10%、15%未満、10%未満、8%未満、および約2%から約8%の重量パーセントで、前駆体組成物に添加することができる。ドーパントは、約1%、約1%から約10%、約2%、約2.5%、約5%、約2%から約10%、15%未満、10%未満、8%未満、および約2%から約8%の重量パーセントでバインダーに添加することができる。
【0228】
硬化工程や各熱分解工程では、例えば歩留まり損失などの材料の損失が発生する。これらの歩留まり損失には、ドーパント材料の損失も含まれる。したがって、フラックス形成および結晶成長に使用するSiC原材料に必要な量のドーパント原子を供給するために、これらの歩留まり損失を考慮して十分な量のドーパントを添加する必要がある。

ドープ結晶成長-概要
【0229】
炭化シリコンは一般に液相を持たず、真空下で約1,700~1,800℃以上の温度で昇華する。一般に、工業用および商業用の用途では、昇華が約2,500°C以上の温度で起こるように条件が設定さている。炭化シリコンが昇華する際、通常、シリコンと炭素のいくつかの異なる種からなる蒸気を形成する。一般に、原材料(例えば成形装入物)の組成と形状、温度、圧力が、シリコン炭素蒸気中の気相成分の比率を決定すると理解されている。
【0230】
本発明は、特に、SiC原材料、例えば、蒸着結晶成長プロセスで使用する粉末中に存在するSiOC出発材料中のドーパント(例えば、SiCウェハーに特定の所定の特性を提供することを意図した添加剤、元素、化合物)の存在を予め決定し、予め選択し、制御することを提供する。
【0231】
炭化シリコンは昇華する際、例えばSi、C、SiC、SiC、SiCといった様々な種類のシリコンと炭素からなる蒸気を形成する。
【0232】
概して、本発明は、本願のp型結晶、低抵抗率p型結晶および低抵抗率n型結晶を成長させる目的で、当該技術分野でよく理解され公知であるPVT法およびPVT装置(例えば、米国特許第4,866,005号明細書(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる))を使用する。昇華結晶成長では、通常、シリコンと炭素からなる元素源またはSiC粉末を昇華させてSi原子とC原子の蒸気フラックスを生成し、この蒸気フラックスがシード結晶上に凝縮し、最終的に大きな結晶が形成される。SiC結晶の電気的特性(例えば、抵抗率/導電率)を制御するために、不純物原子が蒸気流に添加され、シリコン原子や炭素原子とともに結晶に取り込まれる。結晶中への不純物の取り込みは、シード温度、圧力、シード面(シリコンまたは炭素)、蒸気流中の炭素とシリコンの原子比率に影響される。蒸気流中の炭素とシリコンの比率は、原材料の設計、原材料の温度、および圧力に関連している。
【0233】
シリコンとアルミニウムの原子サイズは類似しており、その結果、アルミニウム不純物原子は主に結晶中のシリコンの位置(電気的に活性な原子不純物として)、または格子間に位置することになる。アルミニウム原子がシリコンの位置に存在する可能性を高めるには、炭素過剰の蒸気流が望ましい。
【0234】
従来の非PDC原材料を用いたSiCの典型的な昇華成長では、蒸気流は通常、炭素よりもシリコンの方が多い。その結果、アルミニウム原子はシリコンサイトを占有するためにシリコン原子と競合しなければならない。シリコン金属、グラファイト、SiC研磨材などの無機源に基づくSiC昇華成長のこの特性は、結晶から切り出されたウェハーの導電性が半導体デバイス製造に有用であるように、結晶に十分なアルミニウムを組み込むことを困難にする。
【0235】
本発明の実施形態は、特に、過剰な炭素を有する原材料を有する能力を有するようにし、且つドーパントが原材料に組み込まれて原材料によって保持されるようにすることによって、この問題を克服する。従って、これらのドープされたPDC原材料は、予想外に、SiC結晶中にp型ドーパントを高効率で取り込むための有利なフラックス条件を提供することができる。これにより、p型結晶の電気的特性が向上し、この結晶から切り出されたウェハーが、より高品質で優れた電気的特性を有し、特に半導体デバイス製造に商業的に有用なものとなる。
【0236】
実施形態では、PDC成形装入物原材料の使用から、フラックスのSi/C比に影響を与え、制御する能力が、結晶のC面上で成長する際に、結晶中へのp型ドーパント原子不純物の取り込みを促進する可能性がより高いSi/C比を作り出す能力を提供するという点で、予期しないことがある。シードにおけるフラックスのSi/C比は、時間の経過とともに低下する可能性はあるが、1の値以下に低下することはなく、p型ドーパントの取り込みが促進される。したがって、本発明の成形装入物原材料の実施形態は、C面またはSi面のシードを使用するPVTプロセスにおいてp型SiC結晶を成長させる能力を提供する。特に、p型結晶は、CまたはSi面、4Hまたは6Hシード上に成長させることができる。
【0237】
ブールの好ましい実施形態は単結晶であり、単一のポリタイプのみを有する。複数のポリタイプを有するブール、複数の結晶を有するブール、およびその両方を有するブールの実施形態も、本明細書によって想定されることが理解される。
【0238】
一実施形態では、液体のPDC出発材料、好ましくはポリシロカーブ前駆体、より好ましくは液体のポリシロカーブ前駆体は、SiC結晶に所定の特性を提供するために、所定のドーパントを添加するか又は含有する(例えば、化学結合、化学錯体、溶液中、ポリマーの骨格中、混合物中等)。
【0239】
ドーパントは、液体の出発材料中に存在させることが好ましいが、例えば、硬化したSiOC材料、セラミックSiOC材料、および成形装入物に添加する、組み合わせる、または混合することもできる。窒素のような状況によっては、SiC結晶成長プロセス中にドーパントを気体として添加することもできる。
【0240】
ドーパントは、例えば元素のような単一の材料とすることも、典型的には周期表の同じ列から選択される2つ、3つ又はそれ以上の元素とすることもできる。周期表の同じ列の異なる材料を組み合わせて使用することで、SiC結晶の応力が低減すると考えられる(したがって、電子価数構造は類似しているが、サイズはわずかに異なる)。その結果、より高品質で有用なブールとウェハーが得られる。
【0241】
p型のSiC結晶、ブール、およびウェハーを製造するための好ましいドーパントは、13族から選択される元素(ホウ素等)である。p型のSiC結晶、ブール、およびウェハーを製造するための好ましいドーパントは、アルミニウムである。
n型SiC結晶、ブールおよびウェハーを製造するための好ましいドーパントは、15族から選択される元素(窒素等)である。n型のSiC結晶、ブール、およびウェハーを製造するための好ましいドーパントは、窒素、リンおよびこれらの組み合わせである。
【0242】
(このましくは液体ポリシロカーブ材料内で)ドーパントとして、リン、および窒素とリンの組み合わせを使用することにより、抵抗率の低いSiCウェハーを提供することが可能となる。
【0243】
ドープ結晶(例えば、p型、低抵抗p型、低抵抗n型)のそれほど好ましくない実施形態では、ドーパントは結晶の長さにわたって均一ではない。この実施形態では、(電気的に活性な原子不純物としての)ドーパントの濃度は、シードボトム(結晶の成長が始まる側)からテールトップ(成長が終わる側)の側まで変化し、この変化は、結晶の直径を横切って放射状に変化し得(結晶の最小ドーパント濃度に対する最大ドーパント濃度の割合として)、それは約300%~5%の範囲である。
【0244】
好ましい実施形態においては、ドープされた成形装入物原材料の実施形態の使用は、テールからシード(すなわち、結晶の長さまたは高さ)および半径方向(結晶の直径にわたって)の両方について、これらの変動を、約100%~5%、200%未満、150%未満、100%未満、50%未満、および25%未満、および105%未満に低減する。このような変動の低減はさらに、PVT装置で成長した結晶の大部分、実質的にすべて(すなわち90%以上)が同じ低い変動を有するという一貫した方法で得ることができる。
【0245】
実施形態では、ドープされたSiC結晶(例えば、p型、低抵抗率p型、低抵抗率n型)は、結晶の構造全体にわたって実質的に均一なドーパントの分布を有し、これは、結晶へのドーパントの取り込みの均一性を提供する方法で成形装入物に分布されたドーパントを有する所定のドープされた成形装入物原材料を使用することによって得られる。したがって、結晶、インゴット、ブール、またはウェハーの実施形態における、長さ(例えば、テール側からシード側(「上下」))および半径方向(直径に沿って移動する横から横への測定値(「左右」))にわたるドーパント濃度または電気活性原子不純物濃度の変動は、約10%未満、約5%未満、約2%未満、および1%未満である。したがって、これらの結晶材料の全体は、意図された電気特性(例えば、p型電気的挙動、p型低抵抗率電気的挙動、n型低抵抗率電気的挙動)を示し、同じ程度である。これにより、結晶、例えばブールをSiCウェハーに変換することができ、意図した電気的挙動がウェハー全体に、特にウェハーの厚さ全体に存在する。ドーパントまたは電気的に活性な不純物が実質的に材料全体に均一に分布している(すなわち、上述したように、上下左右のばらつきが10%未満である)ようなこれらの材料を、本明細書では、「均一」または「一様に」ドープされたSiCウェハー、インゴット、結晶、またはブールと呼ぶ。
【0246】
したがって、実施形態では、p型SiCウェハーにはn型材料の層がない。さらに、好ましい実施形態では、このp型SiCウェハー(p型結晶およびp型ブールも)は、ウェハー(p型結晶およびp型ブールも)の全体にわたって、特にウェハーの厚さ全体にわたって分布した電気的に活性なドナー原子を有する。さらに、好ましい実施形態では、このp型SiCウェハー(p型結晶およびp型ブールも)は、ウェハー(p型結晶およびp型ブールも)の全体、特にウェハーの厚さ全体に分布した電気的に活性な原子不純物を有する。ドーパントまたは電気的に活性な不純物が材料全体に実質的に均一に分布している(すなわち、上記で一般的に説明したように、上下左右のばらつきが10%未満である)ようなこれらの材料を、本明細書では「均一なp型SiC」ウェハー、インゴット、結晶またはブールと呼ぶ。これらの均一なp型SiC結晶、インゴット、ブール、ウェハーには、p型およびp型も含まれる。
【0247】
低抵抗SiCウェハーには、n型とp型がある。好ましくは、n型低抵抗SiCウェハーでは、ドーパントはリン、またはリンと窒素の混合物である。好ましくは、低抵抗率の結晶、インゴット、ブール、及びウェハー中のドーパントは、100%未満、50%未満、25%未満のばらつきで、結晶マトリックス全体に分布しており、より好ましくは、均一な低抵抗率SiC材料である。
【0248】
本発明は、ブールの成長のための方法およびプロセス、例えば、p型SiCまたは低抵抗率p型またはn型SiCの単結晶ブールを形成するためのSiCの蒸着であって、非常に平坦な、例えば、ブールの面において限られた量の湾曲または円弧を有するブールの成長のための方法およびプロセスの実施形態を提供する。ブールの非常に平坦なプロファイルは、主に、蒸着装置内に配置される事前選択された形状のSiCパックを使用することによって達成される。予め選択された形状物、例えば成形装入物は、蒸着プロセス中、蒸気フラックスのエリアおよびそのエリア内の流れが、ブールの成長プロセス全体にわたって一定に保たれるように構成される。このようにして、ブールが成長する際にブールの表面に蒸着されるSiCの速度と量は、ブールの成長プロセス中、一貫して均一なままとなる。従って、例えば直径6インチのブールを成長させる場合、フラックスの流れるエリアは28.27インチとなり、そのエリアを流れるSiCの流量と量は、例えば長さ3インチのブールや長さ4インチのブールなどの、ブールの成長中にその面積全体にわたって均一となる。昇華に利用可能なSiCの量と位置が、プロセス中にパック内で変化しても、パックの形状は、例えば「方向性フラックス」と呼ばれるフラックスの流れを、ブールの面に直接隣接する領域全体で均一に保つ方法で、フラックスを誘導する。成形装入物およびSiC結晶を成長させるための装入物の使用は、米国特許公開公報2018/0290893号に開示および教示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0249】
一実施形態では、フラックスは成長プロセスを通じて一定に維持されない。従って、この実施形態では、ブールまたは成長面の領域の所定の成長を提供するために、成長面全体にわたるフラックスの速度、分布は、管理され、例えば、所定の方法で制御される。従って、例えば、成長の後期には、ブールの成長において生じた不均一性を補償するために、フラックスを所定の方法に向けることができる。この例では、成長の初期段階でフラックスが大きかったエリアは、成長の後期段階でフラックスが小さくなり、同様に、成長の初期段階でフラックスが小さかったエリアは、成長の後期段階でフラックスが大きくなる。このようにして、最終的なブール成長面は、ブール面の曲率を最小化、すなわち曲率半径を最大化する。
【0250】
一実施形態では、制御されたフラックス、より好ましくは方向性フラックスを使用することにより、シード端の上方に向けた場合に正の曲率半径を有するテール端によって画定される特徴的な形状を有する直径4~8インチのp型SiC又は低抵抗率SiCブールを提供することができる。この半径は通常、直径4~8インチのSiC結晶の場合、10~200インチの範囲である。
【0251】
実施形態において、テールの曲率半径(すなわち、曲率の逆数)は、少なくとも約6インチ、少なくとも約8インチ、少なくとも約20インチ、少なくとも約60インチ、および無限に近い(すなわち、平面)、ならびにこれらの値の範囲内のすべての値とすることができる。6インチのブールの一実施形態において、その曲率半径(すなわち、曲率の逆数)は、少なくとも約10インチ、少なくとも約15インチ、少なくとも約25インチ、少なくとも約60インチ、および無限(すなわち、平面)に近づくだけでなく、これらの値の範囲内のすべての値である。一実施形態では、ブール面の曲率半径は、ブール面の長さの少なくとも2倍、ブール面の長さの少なくとも5倍、ブール面の長さの少なくとも10倍、およびブール面の長さの少なくとも25倍、ならびにブール面が平面となるまで、およびこの範囲内のすべての値である。
【0252】
一実施形態では、PDC原材料の組成と構成に加えて、温度だけでなく圧力でもフラックスを操作することができる。所定の成長温度では、チャンバ圧力を上げることで成長を遅くすることができる。最も速い速度は、通常、「完全」真空下(例えば、真空ポンプがオンで、チャンバ圧力を可能な限り低く保つ)である。したがって、例として、400μm/hrでブールを成長させるには、P1の完全真空下で温度T1で成長させるか、または数mBarから数10mBarのアルゴン分圧(P2>P1)で温度T2>T1で成長させることができる。このようにして、フラックスと成長速度を「調整」することができる。
【0253】
実施形態では、ポリマー由来のドープされたSiCは、経時的により一貫したフラックス組成により、p型SiC又は低抵抗率SiCブールにおいてより優れたポリタイプ安定性を付与する。この実施形態、すなわち制御されたポリタイプの安定性は、ブール製造業者にとって貴重かつ重要である。なぜなら、成長途中でポリタイプがシフトすることは、ブールの一部のみが元のポリタイプであることを意味し、これは通常、そこから製造されるチップのデバイス性能に影響する電子特性に悪影響を及ぼすからである。
【0254】
図4には、p型、または低抵抗率のp型またはn型のSiC結晶および結晶構造を成長させる装置の概略断面図が示されている。気相成長装置およびプロセス、特にPDCSiC原材料を使用するPVT装置およびプロセスは、米国特許第10,753,010号および公開公報第2018/0290893号に開示されており、これらの各々の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。蒸着装置1800は、側壁1808、底部または底壁1809、および頂部または頂壁1810を有する容器である。壁1808、1809、1810はポート1806、1807、1805を有することができ、これらは開口、ノズル、バルブとすることができ、装置1800に出入りする気体の流れを制御または許可することができる。装置1800は、加熱要素1804に関連付けられている。加熱要素は、装置1800の内部に単一の温度ゾーン、または複数の温度ゾーンを提供するように構成されて動作することができる。装置1800の内部には、ドープされたSiC体積形状物(一実施形態では、ドーパントは、SiC体積形状物を作るために使用されるバインダーに組み込まれるか、またはバインダーの一部とすることができることに留意されたい)に一緒に形成されたドープされたSiC粒子から作られた成形装入物1801がある。
【0255】
成形装入物1801は、所定の多孔性および密度を有することができる。SiC粒子は、所定の多孔性および密度を有することができる。SiC粒子は、好ましくはバインダーによって、一緒に保持される。成形装入物1801は、炭素リッチ、炭素欠乏、または化学量論的であることができる。成形装入物1801は、炭素リッチ、炭素欠乏、または化学量論的であるゾーンまたは層を有することができる。好ましくは、SiC粒子は、SiOCポリマー由来のSiCである。非ポリマー由来のSiCも、成形装入物の一部または全部として使用することができる。成形装入物1801は、矢印1821で示す高さ、及び断面又は直径1820を有する。成形装入物1801は、上側面又は上面1823及び下面1824を有する。この実施形態において、成形装入物1801は、平坦な上部及び底部シリンダーとして示されるており、本明細書によって企図される体積形状物のいずれもが、装置1800において使用され得ることが理解される。
【0256】
装置1800の上部1810には、シード結晶1802があり、シード結晶は、シード結晶1802上に成長される結晶に見出されることが意図されるのと同じ種類および量のドーピングを有することができる。シード結晶1800は表面1802aを有する。シード結晶1802は、断面または直径1822および高さ1823を有する。いくつかの実施形態では、シード結晶は、表面1802aと表面1823との間の距離を調整するために、可動プラットフォーム1803に取り付けることができる。
【0257】
成形装入物1801の直径1820は、シード結晶1802の直径1822より大きくすることも、小さくすることも、同じにすることもできる。
【0258】
動作中、加熱要素1804は、SiCおよびドーパントが昇華する温度にまで成形装入物1801の温度を上昇させる。この昇華は、シリコンと炭素とドーパントの様々な種を有するガスの形成を生じさせる。このガス、すなわちフラックスは、表面1802aと1823との間のエリア1850に存在する。多孔性または他の要因によっては、フラックスは成形装入物1801内にも存在することがある。フラックスは、エリア1850を通ってデバイス1800内を上昇し、そこでp型SiCまたはn型、あるいはp型低抵抗率SiCを表面1802a上に堆積させる。表面1802aは、ガス状のシリコン炭素種およびドーパント原子不純物がドープされたSiC結晶を形成する表面上に析出するのに十分に冷たい温度に保たれなければならない。このようにして、シード結晶1802は、その表面上にポリタイプに一致した配向でドーパントを有する成長したSiCを連続的に加えることによって、p型、またはn型、またはp型の低抵抗率SiC結晶に成長する。したがって、装置1803(完全に引き込まれた位置に示されている)によって調整されなければ、ブールの成長中、表面1803は底部1809に向かって成長し、したがって、表面1802aと底部1809との間の距離は減少する。成形装入物の形状は、蒸着プロセス中に成形装入物内に所定の温度差を生じさせるために用いることができる。この所定の温度差は、蒸気の形成を減少させるかまたは防止するプロセス中に成形装入物内に種が蓄積する状態であるパッシベーションの有害な影響に対処し、それを低減および除去することができる。
【0259】
p型のドーパントのみが使用される実施形態では、窒素のようなドナー原子の供給源とみなされる、またはそうである原材料の存在は、最小限に抑えられ、最小限にされ、また排除されるべきである。(他の実施形態では、窒素はp型ドーパントよりも少ない量で存在してもよく、それでもp型原材料、すなわち負のNcを有する結晶を成長させるように構成された原材料を得ることができることに留意されたい)。
【0260】
昇華および堆積のプロセスは、原材料自体の体積形状物、例えば成形装入物の表面および内部で行われ、自然に生じる原材料中の熱勾配に従うか、またはその熱勾配は体積形状物の形状によって判断され得ることが理論化されている。実施形態において、結合材は、好ましくは、昇華温度の間、存在し続け、体積形状物の形状および完全性を維持し、従って、SiCの昇華温度以下では昇華しない。この熱勾配は、通常、外部から内部に向かって上方に向かう。材料は絶えず昇華し、隣接する粒子に再堆積し、このようにしてドーパントと同様にSi-C種の還流または固体状態の「分別蒸留」または「分別昇華」を受けると理論化されている。
【0261】
さらに、一実施形態では、体積形状物およびその所定の勾配により、一部の重い不純物が体積形状物の構造内の成長チャンバの底部に捕捉される一方で、軽い元素がSi-C蒸気とともに昇華してシードに運ばれる可能性があると理論化されている。これにより理論的には、ドーパントやその他の添加剤をプロセスや成長サイクルの所定のタイミングで放出させることができる。
【0262】
一実施形態では、成形装入物は、所与の温度に対してより一貫したフラックス形成速度を提供する。成形装入物の形状は、形状全体を通してより均一な温度を提供するように調整することができ、形状のより高い体積分率を一度に昇華させることを可能にし、標準的な粉末の山又は円筒形状の粉末よりも所与の温度でシード/蒸気界面においてより高いフラックス速度で動作する。従って、より低温の成長プロセスを必要とするポリタイプの成長が、結果としてより遅い成長速度に制限されない。
【0263】
昇華速度はグラム/時間で測定される。フラックスは、グラム/cm・hr(すなわち、あるエリアを通過する材料の速度)で与えられる。したがって、重要なエリアは、ブール成長面の瞬間的な表面積に対応するフラックスエリアであり、例えば、SiCが堆積しているブールの面である。通常、フラックスエリアとブール面のエリアはほぼ同じであり、これらのエリアは通常、蒸着装置の成長チャンバの断面積よりもわずかに小さい。
【0264】
計算とこの分析を目的として、計算を容易にするため、成長チャンバの断面積は、フラックスとブール面の面積と同じであると仮定する。したがって、ブールの成長速度(μm/hr)は、ブール面のエリア(cm)を通して、蒸気フラックス、またμm/hr→g/hr(完全に緻密なSiCの密度は3.21g/cc)と等しくすることができる。その場での測定は、X線イメージングまたはX線コンピュータ断層撮影(CT)によって行うことができる。また、成長前後のブールの重量を測定することで、平均成長速度を求めることもできる。
【0265】
典型的な商業的成長速度は200-500μm/hrの範囲である。本発明のプロセスおよび体積形状物の実施形態は、これらの既存の商業的速度をはるかに上回ると同時に、同等以上に優れた品質のブールを提供する。例えば、本発明の実施形態は、高温および低圧で、約550~約1,1000μm/hr、約800~約1,000μm/hr、約900~約1,100μm/hr、約700μm/hr、約800μm/hr、約900μm/hr、約1,000μm/hr、1,100μm/hrの成長速度を有することができる。より高い速度も考えられるが、より遅い速度も使用でき、またこれらの範囲内のすべての速度も使用できる。
【0266】
概して、成長速度は、1)温度、2)供給されるガス圧(Ar、Nなど)によって左右される。ガス圧が高いと、シードやブールの表面でシリコン炭素種の蒸気圧が希釈され、任意の温度での成長速度が遅くなる。従って、圧力は成長速度を「ダイヤルイン(dial-in)」するために使用することができる。
【0267】
したがって、一定の温度が与えられた体積形状物、例えば成形装入物の実施形態は、約4インチ~約10インチの直径、約6インチ~約8インチの直径、約4インチの直径、約6インチの直径、約8インチの直径、それよりも大きい直径、およびそれよりも小さい直径、ならびにこれらの値の範囲内のすべての直径を有するこのような結晶を含む、p型SiCまたは低抵抗率SiC結晶の成長の操作全体にわたって、一貫したフラックス生成速度、例えば一定を維持することができる。体積形状物の実施形態は、p型SiCまたは低抵抗率SiC結晶の成長プロセス全体の温度が一定である場合、フラックス生成速度、したがってブール成長速度を、一定速度、約0.001%未満の変化率、約0.01%未満の変化率、約1%未満の変化率、約5%未満の変化率、約20%未満の変化率、約0.001%から約15%までの変化率、約0.01%から約5%までの変化率、結晶成長中のこれらの組み合わせおよびバリエーション、ならびにこれらの値の範囲内のすべての値に維持することができる。実施形態では、一定温度において、フラックス形成速度は、その最大速度の約99.999%から約60%;その最大速度の約99%から約95%;その最大速度の約99.99%から約80%;その最大速度の約99%から約70%;その最大速度の約95%から約70%;その最大速度の約99%から約95%;およびブールの成長中のこれらの組み合わせおよびバリエーション、ならびにこれらの割合の範囲内のすべての値のままである。
【0268】
実施形態は、例えば、異なるタイプの粉末出発材料、異なるバインダー、およびこれらの組み合わせやバリエーションを有する、層、ゾーン、エリアなどの、形状全体にわたって粉末の異なる化学量論、異なるバインダー含有量、異なるドーパント含有量、およびそれらの全ての分布を提供する。異なる化学量論、異なるバインダー含有量、およびその両方のこの所定の分布は、以下を含むいくつかの利点を提供する。原材料が外側から内側へ消費されるにつれて昇華組成のカスタマイズが可能になり、成長サイクルの最初から最後までの組成のシフトが少なくなる。異なる化学量論、異なるバインダーの含有量、およびその両方の所定の分布は、蒸気の組成が一定であるため、ポリタイプの安定性を高めることもできる。
【0269】
本発明の実施形態には、エレクトロニクスおよび半導体用途への応用のためのp型SiCまたは低抵抗率SiCウェハーの製造におけるドープされたSiCの使用が含まれる。p型SiCまたは低抵抗率SiC結晶および後に使用するp型SiCまたは低抵抗率SiCウェハーを作製するための蒸着装置およびプロセスの両方において、ドープされた(好ましくは高純度の)SiCが必要とされる。
【0270】
本発明のポリシロカーブp型SiCまたは低抵抗率SiCの実施形態、およびポリシロカーブ由来SiCから作製されるp型SiCまたは低抵抗率SiCブール、p型SiCまたは低抵抗率SiCウェハー、およびその他の構造体は、多形性を示し、一般に多形性と呼ばれるポリタイプ性を示す。したがって、ポリシロカーブ由来のp型SiCまたは低抵抗率SiCは、多くの、理論的には無限の、異なるポリタイプで存在し得る。本明細書で使用する場合、明示的に別段の定めがない限り、ポリタイプ性、ポリタイプ、および類似のこのような用語は、可能な限り広い意味を与えられるべきであり、炭化シリコン四面体(SiC)が構成される様々な異なるフレーム、構造、または配置を含むものとする。一般に、これらのポリタイプは、α(アルファ)とβ(ベータ)の2つのカテゴリーに分類される。
【0271】
ポリシロカーブ由来のp型SiCまたは低抵抗率SiCのαカテゴリーの実施形態は、通常、六方晶(H)、菱面体晶(R)、三方晶(T)構造を含み、これらの組み合わせを含むことができる。βカテゴリーは、典型的には立方晶(C)または亜鉛閃石構造を含む。したがって、例えば、ポリシロカーブ由来のp型SiCまたは低抵抗率SiCのポリタイプには、以下が含まれる:ABCABC...の積層配列を持つ3C-SiC(β-SiCまたはβ3C-SiC);ABAB...の積層配列を持つ2H-SiC;ABCBABCB...の積層配列を持つ4H-SiC;およびABCACBABCACB...の積層配列を持つ6H-SiC(α化シリコンの一般的な形態、α6H-SiC)。α炭化シリコンの他の形態の例としては、8H、10H、16H、18H、19H、15R、21R、24H、33R、39R、27R、48H、51Rなどがある。
【0272】
ポリシロカーブ由来のp型SiCまたは低抵抗率SiCの実施形態は、多結晶であっても単結晶であってもよい。一般に、多結晶材料では、材料の2つの結晶粒または結晶子間の界面として粒界が存在する。これらの粒界は、異なる配向性を持つ同じ多結晶体間、または同じ配向性または異なる配向性を持つ異なる多結晶体間、およびこれらの組み合わせやバリエーションとすることができる。単結晶構造は、単一のポリタイプで構成され、実質的に粒界を持たない。好ましい実施形態では、p型SiCまたは低抵抗率SiCは単結晶である。
【0273】
本方法の実施形態により、ブール、好ましくはp型SiC単結晶または低抵抗率SiCブールが得られる。これらのブールは、約1/2インチから約5インチ、約1/2インチから約3インチ、約1インチから約2インチ、約1/2インチより大きい、約1インチより大きい、および約2インチより大きい長さを有することができる。より大きいサイズおよびより小さいサイズ、ならびにこれらのサイズの範囲内のすべての値が企図される。ブールは、約1/2インチから約9インチ、約2インチから約8インチ、約1インチから約6インチ、約1インチより大きい、約2インチより大きい、約4インチ、約6インチ、約8インチ、約12インチ、および約18インチの断面、例えば直径を有することができる。他のサイズ、ならびに、これらのサイズの範囲内のすべての値が、企図される。

p型ウェハーと低抵抗ウェハー-概要
【0274】
一般に、p型SiCまたは低抵抗率SiCブールから電子部品を製造するプロセスには、p型SiCまたは低抵抗率SiC単結晶ブールを薄いウェハーに切断することが含まれる。製造されたSiCウェハーが、SiCベースの半導体デバイス製造の出発点となる。SEMI(www.semi.org)は、150mmまでの様々な直径のSiCウェハーの仕様に関する規格を開発し、公表している。これらの規格は当業者によく知られ、理解されている。SiC業界では、p型SiC結晶およびウェハーの商業化が事前に制限されており、n型、窒素ドープされたSiC結晶およびウェハーしか商業化されていないため、半導体デバイスの製造に使用するのに適したSiCウェハーを製造するための最もよく知られた方法は、SiCn型ウェハーに基づいており、p型、n型低抵抗率、およびp型低抵抗率ウェハーの製造に使用することができる。
【0275】
本発明のドープされたウェハーの実施形態は、切断されたブールの直径を有し、典型的には約100μmから約500μmの厚さを有する。好ましくは、p型の電気特性または低抵抗特性は、ブールの全長またはウェハーの全厚さにわたって分布している。より好ましくは、p型の電気特性又は低抵抗率特性は、ブールの全長又はウェハーの全厚さにわたって均一に分布している。p型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCウェハーは、その後、片面または両面が研磨される。研磨されたウェハーは、マイクロエレクトロニクス半導体デバイスの製造用基板として使用される。このように、p型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCウェハーは、ウェハー上に構築されるマイクロエレクトロニクスデバイスの基板として機能する。これらのマイクロエレクトロニクスデバイスの製造には、エピタキシャル成長、ドーピングまたはイオン注入、エッチング、各種材料の蒸着、フォトリソグラフィによるパターン形成などの微細加工工程が含まれる。p型SiCウェハーまたは低抵抗SiCウェハーから製造されると、ウェハー、ひいては個々のマイクロ回路は、ダイシングとして知られるプロセスで、個々の半導体デバイスに分離される。これらのデバイスは、例えば様々な大型半導体デバイスや電子デバイスの製造に使用される。
【0276】
本発明の方法およびその結果得られるp型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCウェハーの実施形態には、特に、直径約2インチまたはそれ以下のウェハーおよびそれ以下、直径約3インチのウェハー、直径約4インチのウェハー、直径約5インチのウェハー、直径約6インチのウェハー、直径約7インチのウェハー、直径約12インチのウェハー、およびそれより大きい可能性のある直径約2インチから約8インチのウェハー、直径約4インチから約6インチのウェハー、正方形状、円形状、その他の形状のウェハー、一辺あたりの表面積が約1平方インチ、約4平方インチ、約8平方インチ、約10平方インチ、約12平方インチ、約30平方インチ、約50平方インチおよびより大きいか小さい表面積のウェハー、厚さ約100μm、厚さ約200μm、厚さ約300μm、厚さ約500μm、厚さ約700μm、厚さ約50μmから約800μm、厚さ約100μmから約700μm、厚さ約100μmから約400μm、厚さ約100μmから約300μm、厚さ約100μmから約200μm、およびそれ以上の厚さおよびそれ以下の厚さのウェハー、ならびにこれらの組み合わせおよび変形、ならびにこれらの寸法の範囲内のすべての値であるウェハーが含まれる。
【0277】
本方法の実施形態およびその結果得られる切断および研磨されたp型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCウェハーは、成長したブールの残りの部分が構造と一致するブールの成長を開始するために(すなわち、「シード」として)使用されることも含むことができる。p型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCウェハー、あるいはp型SiCウェハーまたは低抵抗率SiCシードは、特に、直径約2インチ以下のウェハー、直径約3インチ以下のウェハー、直径約4インチ以下のウェハー、直径約5インチ以下のウェハー、直径約6インチ以下のウェハー、直径約7インチ以下のウェハー、直径約12インチのウェハー、およびそれより大きいウェハー、直径約2インチから約8インチのウェハー、直径約4インチから約6インチのウェハー、正方形状、円形状、およびその他の形状のウェハー、一辺あたりの表面積が約4平方インチ、約8平方インチ、約12平方インチ、約30平方インチのウェハー、厚さ約100μm、厚さ約200μm、厚さ約300μm、厚さ約500μm、厚さ約1500μm、厚さ約2500μm、厚さ約50μmから約2000μm、厚さ約500μmから約1800μm、厚さ約800μmから約1500μm、厚さ約500μmから約1200μm、厚さ約200μmから約2000μm、厚さ約50μmから約2500μm、およびこれより大きい厚さと小さい厚さのウェハー、およびこれらの組み合わせと変形、ならびにこれらの寸法の範囲内のすべての値を有するウェハーとすることができる。
【0278】
本発明のp型SiCまたは低抵抗率SiCブール、p型SiCまたは低抵抗率SiCウェハー、およびこれらのウェハーから製造されるマイクロエレクトロニクスの実施形態は、特に、ダイオード、広帯域増幅器、軍事通信、レーダー、電気通信、データリンクおよび戦術的データリンク、衛星通信およびポイントツーポイント無線パワーエレクトロニクス、LED、レーザー、照明、ならびにセンサーへの応用および利用を見出すことができる。さらに、これらの実施形態は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)ベースのモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)やIGBTを含むHEMTなどのトランジスタへの応用や用途を見出すことができる。これらのトランジスタは、分散型(進行波型)増幅器設計アプローチを採用することができ、SiCのバンドギャップが大きいため、小さな実装面積で極めて広い帯域幅を実現することができる。したがって、本発明の実施形態には、本発明の方法、蒸着技術、ポリマー由来のSiC、SiCブール、SiCウェハー、およびこれらのウェハーから作製されるマイクロエレクトロニクスから作製されるか、またはそれらに基づく、これらのデバイスおよび物品が含まれる。
【0279】
ポリシロカーブ由来のp型SiCまたは低抵抗率SiC、特に高純度SiCの実施形態は、とりわけ、エレクトロニクス、太陽電池、および送電産業や用途での使用に有利で望ましい多くのユニークな特性を有する。高純度SiCは、非常に安定したp型または低抵抗の半導体材料として機能し、高出力、高周波、高温、腐食性の環境および用途を含む、いくつかの要求の厳しい用途に適している。ポリマー由来のp型SiCまたは低抵抗率SiCは、424GPaのヤング率を持つ非常に硬い材料である。
【0280】
一実施形態では、ドーパントを材料に添加する必要がある場合、ドーパントは前駆体によって添加することができ、したがって、ブールまたは他の構造への成長のために制御された態様および量で存在することができる。前駆体組成物の実施形態は、蒸着プロセス時にドーパントが利用可能で使用可能な形態となるように、ドーパント、またはドーパントをセラミックおよび変換されたSiCに運んで結合させる錯体を有することができる。
【0281】
さらに、ドーパント又は他の添加物は、ポリマー由来のSiCの実施形態から製造されるウェハー、層、および構造に、カスタム特性または所定の特性を提供する。これらの実施形態では、このような特性を向上させる添加剤は、最終製品に含まれることが意図され、最終製品に含まれることが必要であるため、不純物とはみなされない。特性を向上させる添加剤は、液体の前駆体材料に組み込むことができる。特性を向上させる添加剤の性質によっては、前駆体のバックボーンの一部であったり、液体前駆体に組み込むために錯体化されたり、錯体の一部であったり、あるいは残ることを可能にする(例えば、最終的な材料において意図したように機能させる形態である)他の形態で存在することができる。特性を向上させる添加剤は、SiCまたはSiOCの粉末材料にコーティングとして添加することもでき、加工中に蒸気またはガスとして添加することもでき、粉末状にしてポリマー由来のSiCまたはSiOC粒子と混合することもできる。一実施形態では、特性を向上させる添加剤は、体積形状物のバインダーを構成するか、またはバインダーの一部である。実施形態において、特性を向上させる添加剤は、体積形状物上のコーティングであり得る。さらに、特性を向上させる添加剤が存在する形態及び方法は、好ましくは、加工条件、加工時間、及び最終製品の品質に最小限の悪影響しか及ぼさない、より好ましくは、悪影響を全く及ぼさないようなものであるべきである。

p型デバイス-概要
【0282】
これらのp型SiCウェハーにより、以前はp型シリコンウェハーで設計されていた回路、半導体デバイス、チップを製造する能力が提供され、回路やチップの設計を書き直したり、作り直したりする必要性を最小限に抑えることができる。このように、一実施形態では、p型シリコン基板を使用して設計された回路やデバイスを直接構築し、代わりにSiCp型ウェハーで製造されたデバイスを使用することで、シリコンデバイスに基づく回路を修正したり、構成したり、適応させたりする必要がない。
【0283】
このように、本発明の実施形態は、低欠陥、抵抗率特性および基板直径を有する4H-SiCまたは6H-SiCのp型基板(例えば、ウェハー)を製造するための製造可能な方法を提供することによって、SiCデバイスを使用することから得られる利点をフルに活用する際に電力回路設計者が直面するギャップに対応し、これは以下のようなデバイスを製造するための現在の要件に合致する。ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、MOSFETなどのデバイス、ゲートターンオフトランジスタ(GTO)、集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのトランジスタ、およびこれらのトランジスタやデバイスの変形や他のタイプのデバイスを製造するための現在の要件と一致する低欠陥率特性および基板直径を有する6H-SiCp型基板(例えば、ウェハー)。本発明の実施形態は、n型SiC結晶から現在商業的に製造されているものと直径および抵抗率が一致し、好ましくはそれを超えるp型基板の製造を可能にする。本明細書で開示され、教示されるp型SiCウェハーにより、デバイス製造業者は、現在n型SiCで製造されているすべての電圧範囲、およびアンペア範囲のデバイスに、SiCの有用性をp型SiCに拡張する能力を提供することができ、その結果、デバイス製造業者は、SiCの有用性を拡張することができる。本明細書で開示され、考えられているp型ウェハーに基づけば、電源回路の設計者は、特に、すべての電圧範囲、電圧極性、およびアンペア数の回路設計について、SiCデバイスの利点をすべての電源管理用途に拡張できるようになる。
【0284】
本発明の実施形態は、本明細書の「前駆体および原材料-概要」、「ドーパント材料-概要」、「ドープ結晶成長-概要」、「p型および低抵抗型ウェハー-概要」、「p型デバイス-概要」の教示、ならびに実施例および図の実施形態、特徴、機能、パラメータ、構成要素、プロセス、またはシステムの1つ又は複数を有するか、または利用することができる。
【0285】
実施例
【0286】
以下の実施例は、本発明のシステム、プロセス、組成物、用途、および材料の様々な実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、例示を目的とするものであり、予言的なものであってもよいが、本発明の範囲を限定するものであってはならない。実施例で使用されるパーセンテージは、明示的に別段の定めがない限り、例えば、組成物、混合物、製品、または構造体全体の重量パーセンテージである。X/YまたはXYの用法は、別段の記載がない限り、組成物中のXの%とYの%を示す。X/Y/ZまたはXYZという用法は、別段の記載がない限り、組成物中のXの%、Yの%、およびZの%を示す。
【0287】
実施例1
【0288】
一実施形態では、5μmのムライト粉末(MU-101、MicronMetals社製)2.5wt%の分散液を、Ashbys触媒としてPtを30ppb添加した41%MHF59%TV配合の前駆体組成物に添加する。ドープされた前駆体組成物は硬化され、熱分解されてSiCとなる。このSiCパウダーは、ドープされた前駆体組成物を成形装入物バインダーとして使用して成形装入物とし、形状体に成形した後、硬化させてグリーン体とする。グリーン体は熱分解され、ドープされたSiC成形装入物原材料に変換される。さらなる詳細は、実施例1Aから1Dに記載されている。
【0289】
実施例1A
【0290】
p型SiC結晶の成長に使用するp型SiC原材料の製造に使用するための、表1に示す液体のAlドープ前駆体組成物。
前駆体組成物重量に対するムライトの重量比の目標は2.5%である。
直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHF)41wt%、テトラビニルシクロテトラシロキサン(TV)59wt%。
【0291】
実施例1B
【0292】
実施例1Aの硬化したAlドープ前駆体組成物を熱分解して、表2に示すAlドープされたSiC材料を提供する。
【0293】
実施例1C
【0294】
表3に示すように、実施例1BのセラミックAlドープされたSiC材料を体積形状物に成形し、硬化させる。ムライトは、体積形状物を形成する際にバインダーとともに添加される。
直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHF)41wt%、テトラビニルシクロテトラシロキサン(TV)59wt%。
【0295】
実施例1D
【0296】
実施例1Cの硬化した体積形状物を、表4に示すように熱分解して、p型SiC結晶のPVT成長に使用するための、AlドープされたSiC成形装入物原材料を提供する。
【0297】
実施例2
【0298】
アルミニウムドーパントの代わりに、トリアルキルホスフィンを液体加圧剤に添加し(前駆体組成物に対して1重量%~15重量%のトリアルキルホスフィン)、またバインダーと共に添加してもよい(PドープSiC粉末およびバインダーに対して1重量%~15重量%のトリアルキルホスフィン)以外は、実施例1A~1Dと同じ一般的な配合および手順に従い、硬化したPドープSiC体積形状物を形成し、これを熱分解してPドープSiC成形装入物原材料を形成する。PドープSiC成形装入物原材料は、低抵抗n型SiC結晶のPVT成長に使用される。
【0299】
実施例3
【0300】
図1に、直径約150mmのp型SiC結晶の写真を示す。この結晶は、PVTプロセスと装置を用い、実施例1DのタイプのAlドープSiC成形装入物原材料を用いて成長させた。p型結晶は70ppmのAlを有する。p型結晶は5.5×1018Al原子/ccを有する。結晶の長さは約23mmである。結晶の薄いスライスを作製し研磨したところ、透過法で見ると青紫色であった。ポリタイプが4Hから他のポリタイプに切り替わった形跡は観察されなかった。
【0301】
実施例4
【0302】
図2Aには、ドープされたSiCウェハー700の平面概略図が示されている。図2Bは、線B-Bに沿ったウェハー700の断面図である。ウェハー700はp型SiCウェハーとすることができ、ウェハー700は低抵抗率p型SiCウェハーとすることができ、またはウェハー700は低抵抗率n型SiCウェハーとすることができる。ウェハー700は、平坦部706を有する半円形705の円板状の結晶構造である。ウェハーは円形であってもよく、1つ又は複数の平坦部を有していてもよいことが理解される。ウェハー700は縁730を有する。ウェハー700は、上部または上面710、底部または底面711、および矢印712で示す厚さを有する。ウェハー700の上面および底面の両方、ならびに厚さ712の全体が、ドープされたSiC結晶である。一方の表面は典型的にはSiC結晶のC面であり、他方の表面はSiC結晶のSi面であることが理解される。一方の表面または両方の表面は、デバイス製造に使用するために研磨して仕上げることができる。ウェハー700の外縁730は、テーパー、面取り、面取り、正方形、円形などにすることができる。
【0303】
ウェハー700は、ウェハー700の厚さ712よりも著しく大きい長さ(例えば、10倍、20倍、50倍、70倍以上)を有するドープされたSiCブールから切り出される。
【0304】
したがって、ウェハー700は、異なる種類の材料の基板層上に成長または堆積され、その後基板層が取り除かれた薄いドープ型SiC層ではない。このような薄い、例えば1mm未満、0.5mm未満の、基板が取り除かれた基板成長ドープされたSiC層は、ドープされたSiCブールから切り出されたドープされたSiCウェハーとは電気的および物理的特性が大きく異なる。このような基板成長薄型のドープ層は、材料内に許容できない応力を有し、ワープや湾曲を示し、一般に、いかなる種類の半導体デバイス製造にも適さない。
【0305】
実施例5
【0306】
6インチ(150mm)のp型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.015-0.028Ω・cm。
【0307】
実施例6
【0308】
6インチ(150mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。ーSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0309】
実施例7
【0310】
6インチ(150mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。ーSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.015-0.028Ω・cm。
【0311】
実施例8
【0312】
6インチ(150mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。ーSBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0313】
実施例9
【0314】
6インチ(150mm)の低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0315】
実施例10
【0316】
6インチ(150mm)の低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0317】
実施例11
【0318】
図5には、p型SiCウェハーによるNチャネルE-MOSFETデバイス500の概略図が示されている。デバイス500は、ゲート512、金属電極505、金属酸化物層504を有する。デバイス500は、ソース509、ドレイン508、およびボディ510を有する。ソース509とボディ510の間には回路511が形成されている。ソース509は、金属電極を介してn型SiC502に接続されている。ドレイン508は、金属電極を介してn型SiC503に接続されている。デバイス500は、p型ブールから切り出されたp型ウェハーから作られたp型基板501を有する。金属酸化物層507がp型基板501に隣接している。ボディ510は、電極507を介してp型基板501に接続されている。
【0319】
実施例12
【0320】
図6には、p型SiCウェハーを用いたPチャネルE-MOSFETデバイス600の概略図が示されている。デバイス600は、ゲート612、金属電極605、金属酸化物層604を有する。デバイス600は、ソース609、ドレイン608、およびボディ610を有する。ソース609とボディ610の間には回路611が形成されている。ソース609は、金属電極を介してp型SiC602に接続されている。ドレイン608は、金属電極を介してp型SiC603に接続されている。p型SiC602、603は、p型ブールから切り出されたp型ウェハーから作られる。デバイス600は、n型基板601を有する。金属酸化物層607がn型基板601に隣接している。ボディ610は、電極607を介してn型基板601に接続されている。
【0321】
実施例13
【0322】
図7には、p型SiCウェハーを用いたNチャネルD-MOSFETデバイス750の概略図が示されている。デバイス750は、ゲート762、金属電極755、金属酸化物層754を有する。デバイス750は、ソース759、ドレイン758、およびボディ760を有する。ソース759とボディ760の間には回路761が形成されている。ソース759は、金属電極を介してn型SiC752に接続されている。ドレイン758は、金属電極を介してn型SiC753に接続されている。デバイス750は、矢印764で示すようなチャネル長を有するNチャネル751を有する。デバイス750は、p型ウェハーから切り出されたp型基板763を有する。金属酸化物層756は、p型基板763およびNチャネル751の一部に隣接している。ボディ760は、電極757を介してp型基板763に接続されている。
【0323】
実施例14
【0324】
図8には、p型SiCウェハーを用いたPチャネルD-MOSFETデバイス800の概略図が示されている。デバイス800は、ゲート812、金属電極805、金属酸化物層804を有する。デバイス800は、ソース809、ドレイン808、およびボディ810を有する。ソース809とボディ810との間には回路811が形成されている。ソース809は、金属電極を介してp型SiC802に接続され、ドレイン808は、金属電極を介してp型SiC803に接続される。p型SiC802および803は、p型ブールから切り出されたp型ウェハーから作製される。デバイス800は、p型ブールから切り出されたp型ウェハーから作られたPチャネル801を有する。矢印814はチャネル長を示す。デバイス800はn型基板813を有する。金属酸化物層806は、n型基板813およびPチャネル801の一部に隣接している。ベース810は、電極807を介してn型基板813に接続されている。
【0325】
実施例15
【0326】
図9には、SiC IGBTデバイス900の断面概略図が示されている。デバイス900は、デバイス900の多層構造における他のp型材料と同様に、層901を形成するp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。デバイスの他の層は、PDCn型SiCウェハーを基礎としてもよい。
【0327】
実施例16
【0328】
図10には、SiC横拡散MOSFET(LDMOS)デバイス1000の断面概略図が示されている。デバイス1000は、デバイス1000の多層構造における他のp型材料と同様に、層1001を形成する、p型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としてもよい。デバイスの他の層は、PDCn型SiCウェハーを基礎としてもよい。
【0329】
実施例17
【0330】
図11には、デバイス1100の断面概略図が示されている。デバイス1100は、デバイス1100の多層構造のp型材料を形成するp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。デバイスの他の層も、PDCn型SiCウェハーを基礎とすることができる。
【0331】
実施例18
【0332】
図12には、SiC UMOS MOSFETデバイス1200の断面概略図が示されている。デバイス1200は、デバイス1200の多層構造のp型材料を形成するp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。デバイスの他の層も、PDCn型SiCウェハーを基礎とすることができる。
【0333】
実施例19
【0334】
図13には、SiC IGBTデバイス1300の断面概略図が示されている。デバイス1000は、デバイス1300の多層構造における他のp型材料と同様に、p基板層を形成するp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。デバイスの他の層は、PDCn型SiCウェハーを基礎としてもよい。
【0335】
実施例20
【0336】
図14には、SiC CMOS化合物デバイス1400の断面概略図が示されている。このデバイス1400は、デバイス1400の多層構造および部品構造におけるp基板層を形成するp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。ここでは、PMOSデバイスとNMOSデバイスが、p型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎とした共通のp型基板上に構築されている。シャロートレンチ・アイソレーション(ST)は、これらのデバイス間を電気的に絶縁する。デバイスを相互接続するために複数レベルの金属線が配線され、チップ上に回路が形成される。コンデンサ、抵抗器、インダクタも複合デバイス1400に組み込むことができる。
【0337】
実施例21
【0338】
図15には、SiCフラッシュメモリデバイス1500の断面概略図が示されている。本発明以前は、SiCからフラッシュメモリデバイスを作製することはできなかったと考えられる。SiCフラッシュメモリデバイス1500は、ラインソース1501、ビットライン1502、ワールドラインコントロールゲート1503、フロートゲート1504、n型SiCコンポーネント1505、第2のn型SiCコンポーネント1506、およびp型層1507を有し、この層はp型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎としている。
【0339】
実施例22
【0340】
図16には、SiC CMOS複合デバイス1600のー実施形態が示されている。このようなデバイスは、アナログおよび混合信号デバイスとして機能する。このデバイスは、p型ブールから切り出されたp型ウェハーを基礎とするp型基板層を有する。
【0341】
実施例23
【0342】
抵抗率の低いSiCウェハーは、デバイスを製造する際に、例えばSiC基板を研磨したり薄くしたりするようなコストのかかる処理工程が不要になると同時に、回路の設計変更を最小限に抑え、できれば一切必要としないという大きな利点をもたらす。
【0343】
実施例24
【0344】
1~5ミリオーム・cmの抵抗率を有する、より低抵抗のSiCウェハー。
【0345】
実施例25
【0346】
窒素はシリコンよりかなり小さい。そのため、より小さな不純物原子は結晶中の炭素サイトを、より大きな不純物原子はシリコンサイトを占める可能性が高いと理論化されている。SiC結晶成長中、窒素は結晶中のSiまたはCサイトのどちらか、あるいは両方を占めることができる。
【0347】
通常、ドープされたSiCウェハーには、100~1,000ppmの窒素ドーパントが含まれる。成長中に供給される窒素原子の100個のうち1個だけが結晶に吸収され、電気的に活性な原子不純物になるという理論がある。従って、供給源は望ましいドーパントレベルよりはるかに高くなければならない。(ドーパントが格子に「吸収」されることは、サイト競合として知られている)。しかし、結晶に入れられる窒素の量には限度があり、多すぎると結晶が歪んで応力が生じる。過去には、抵抗率を下げるために高濃度の窒素をドーピングした結果、多数の積層欠陥やその他の結晶品質の欠陥が発生し、エピタキシーやデバイスの性能に悪影響を与えたことがある。リンはシリコン原子に非常に近いサイズである。したがって、SiC結晶格子内では、(窒素が炭素に置き換わるのと対照的に)リンがシリコンに置き換わり、導入される応力が大幅に減少する(また、欠陥の形成は結晶内の応力によって引き起こされるため、欠陥も減少する)と理論化されている。従って、必要なドーパントに基づいて、好ましいリン系ドーパントの量は、リン系ドープn型SiCウェハーを製造するための原材料に必要な窒素系ドーパントの10%未満であると理論化されている。好ましい実施形態では、このプロセスにより、原材料から1%超のリンが、電気的に活性な原子不純物としてSiC結晶に導入される。
【0348】
実施例26
【0349】
SiC結晶を成長させる昇華プロセスでは、通常、Si蒸気の方がC蒸気よりも多いため、窒素を取り込みやすいが、同時にSi蒸気濃度が高いため、p型材料を作るためのアルミニウムやホウ素の取り込みには適していない。窒素やリンは100個の原子のうち1個がドーパントとして組み込まれるのに対し、ホウ素やアルミニウムは1,000個の原子のうち1個しか組み込まれないと言われている。
【0350】
従って、効果的な取り込みのためには、ドーピング源はシリコンと同等かそれ以上の蒸気圧を持つことが望ましいと考えられている。アルミニウムはシリコンよりも蒸気圧が高いため、p型ウェハーに適したドーパントである。アルミニウムとシリコンは周期表で隣り合っている(実質的に同じ大きさの原子である)。
【0351】
実施例27
【0352】
従来の4H炭化シリコンp型材料は、基板(典型的にはn型SiC)上にエピタキシャル層として成長させたものであり、nチャネルIGBTを製造するために利用可能であったが、一般に、IGBTで良好に動作するための品質と導電性の両方を欠いており、特に、商業的に許容されるIGBTとして動作するための品質と導電性の両方を欠いていた。本発明は、特に、p型SiCブールから切り出されるp型SiCウェハーを提供することにより、この問題に対処し、解決するものであり、このウェハーにより、商業的に受け入れられ、動作可能なSiC IGBTデバイスを製造する能力が得られる。
【0353】
実施例28
【0354】
SiCのLDMOSFETS(横型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ)に対するニーズは長年続いている。これらのデバイスは、セルラーやUHF放送伝送などの大電力用途向けにシリコンで開発されたもので、その必要性はますます高まっている。シリコンLDMOSFETは、バイポーラ・デバイスよりも高い利得と優れた直線性を提供するからである。しかし、本発明以前は、n型SiC基板しか存在せず、歴史的にp型エピタキシャル成形されたSiC基板はシリコンに比べて抵抗率が高すぎ、望ましくないLDMOSFETデバイス性能につながるため、この設計またはタイプのデバイスをSiCで、またはSiCをベースにして製造することはできなかった。本発明は、特に、p型SiCブールから切り出されるp型SiCウェハーを提供することにより、この問題に対処し、解決するものであり、このウェハーにより、商業的に受け入れられ、動作可能なSiC LDMOSFETデバイスを製造する能力が提供される。
【0355】
実施例29
【0356】
所定量のアクセプター不純物原子及び所定量のドナー不純物原子を有する1つ又は複数のドーパントを有するポリシロカーブ前駆体組成物。SiC原材料は、所定量のアクセプター原子とドナー不純物原子を有し、したがって、アクセプター原子とドナー不純物原子の所定の比率を有する。この所定の比率は、その原材料から成長したドープされたSiCに所定のNc値を与える。
【0357】
実施例30
【0358】
ポリシロカーブ前駆体の実施形態では、Si-OH官能性シロキサンおよびシランは、水素を発生させることなく、Al-OH、P-OH、またはB-OH官能基を組み込むために活用される。例示的な反応を以下に示す。
【0359】
~Si-OH + ~B-OH → ~Si-O-B~ + H
【0360】
実施例31
【0361】
10kV以上、100kV以上の耐電圧を有するSiC IGBT。
【0362】
実施例32
【0363】
約2kVの耐電圧を持つ中電圧SiC IGBT。
【0364】
実施例33
【0365】
4インチ(100mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.015-0.028Ω・cm。
【0366】
実施例34
【0367】
4インチ(100mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0368】
実施例35
【0369】
6インチ(150mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.015-0.028Ω・cm。
【0370】
実施例36
【0371】
6インチ(150mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0372】
実施例37
【0373】
4インチ(100mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。ウェハーのNは1018/cmから約1019/cm
【0374】
実施例38
【0375】
6インチ(150mm)のp型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。ウェハーのNは1018/cmから約1019/cm
【0376】
実施例39
【0377】
6インチ(150mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。ウェハーのNは1018/cmから約1019/cm
【0378】
実施例40
【0379】
4インチ(100mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。ウェハーN1018/cm~約1019/cm
【0380】
実施例41
【0381】
4インチ(100mm)p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントAl。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。ウェハーのNは1018/cmから約1019/cm
【0382】
実施例42
【0383】
4インチ(100mm)低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0384】
実施例43
【0385】
4インチ(100mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mmの平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0386】
実施例44
【0387】
6インチ(150mm)の低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0388】
実施例45
【0389】
6インチ(150mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0390】
実施例46
【0391】
4インチ(100mm)低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0392】
実施例47
【0393】
4インチ(100mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントp。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0394】
実施例48
【0395】
6インチ(150mm)の低抵抗n型SiCウェハー。ポリタイプ4H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。
【0396】
実施例49
【0397】
6インチ(150mm)の低抵抗p型SiCウェハー。ポリタイプ6H。ドーパントP。配向<0001>+/-0.5度。厚さ325-500μm。ボウ<40μm。ワープ<60μm。TTV<15μm。SBIR(LTV)(10mm×10mm平均)<4μm。MPD(マイクロパイプ)<0.2cm-2。TSD(貫通らせん転位密度)<500cm-2。BPD(基底面転位)<500cm-2。抵抗率0.010-0.003Ω・cm。

見出しと実施形態
【0398】
本明細書における見出しの使用は、明瞭性を目的としたものであり、いかなる意味においても限定的なものではないことを理解されたい。したがって、見出しの下に記載されたプロセスおよび開示は、様々な実施例を含む本明細書の全体との関連において読まれるべきである。本明細書における見出しの使用は、本発明を保護する範囲を制限すべきではない。
【0399】
本発明の実施形態の対象である、または関連する、新規かつ画期的なプロセス、材料、性能、またはその他の有益な特徴および特性の基礎となる理論を提供または対処する必要はないことに留意されたい。それにもかかわらず、本明細書では、このエリアの技術をさらに前進させるために、様々な理論を提供している。本明細書において提示されるこれらの理論は、明示的に別段の記載がない限り、特許請求の範囲に記載された発明に与えられる保護の範囲を決して限定、制限または狭めるものではない。これらの理論は、本発明を利用するために必要とされるものでも、実施されるものでもない。さらに、本発明は、本発明の方法、物品、材料、装置およびシステムの実施形態の機能-特徴を説明するための新たな、これまで知られていなかった理論につながる可能性があり、そのような後に開発された理論は、本発明に与えられる保護の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【0400】
本明細書に記載された配合物、組成物、成形品、プラスチック、セラミック、材料、部品、ウェハー、ブール、体積構造物、用途、応用、装置、方法、活動、及び動作の様々な実施例は、他の様々な分野、及び他の様々な活動、用途、及び実施例に使用することができる。さらに、これらの実施例は、既存のシステム、成形品、組成物、材料、動作又は活動と共に使用されてもよく、将来開発される可能性のあるシステム、成形品、組成物、材料の動作又は活動と共に使用されてもよく、本明細書の教示に基づいて部分的に変更される可能性のあるそのようなシステム、成形品、組成物、材料、動作又は活動と共に使用されてもよい。さらに、本明細書に記載された様々な実施形態及び実施例は、その全部又は一部、及び異なる様々な組み合わせで、互いに使用することができる。従って、実施例については、本明細書の様々な実施形態で提供される構成は、互いに併用することができる。実施例については、A、A’およびBを有する実施例の構成要素、ならびにA”、CおよびDを有する実施例の構成要素は、本明細書の教示に従って、例えば、A、C、D、およびA、A”、CおよびDなど、様々な組み合わせで互いに使用することができる。したがって、本発明に与えられる保護範囲は、特定の実施形態、実施例、または特定の図の実施形態に規定される特定の実施形態、構成、または配置に限定されるべきではない。
【0401】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に開示した以外の形態で具体化することができる。記載された実施形態は、すべての点で例示としてのみ考慮され、制限的なものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】