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特表2024-524585ロッド移植片のための挿入装置システムおよび使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ロッド移植片のための挿入装置システムおよび使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61F9/007 170
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500503
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036295
(87)【国際公開番号】W WO2023283291
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/203,082
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホルバート, ジョシュア デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル, アンナ ルシア
(72)【発明者】
【氏名】アーノット, レイチェル ペイジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツ, アリエル エフライム
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング, ラッセル リチャード
(72)【発明者】
【氏名】デンダルク, ブルース ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】トリッグ, ローレンス エドワード
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、硝子体内など、患者内に医療移植片を送達するためのデバイスおよび方法である。1つの例示的な実装形態において、移植片送達デバイスは、細長の本体部、カニューレ、プランジャ、分注ボタン、およびプライムボタンを含む。カニューレは、ロッド形状の移植片を摺動可能に受容するようにサイズ決定および構成される。プランジャは、カニューレ内に摺動可能に受容される。送達デバイスは、ユーザが、プライムボタンを係止位置から係止解除位置へ移動させ、続いて、分注ボタンを延長位置から押下位置へ移動させ、以て、プランジャを後退位置から遠位延長位置へ移動させて、移植片をカニューレの遠位部分から吐出させることによって動作されるように構成される。本デバイスは、プライムボタンが係止位置にあるときキャップが装着位置から分離位置へ移動することを防ぐ連結機構をさらに含み得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片送達デバイスであって、
近位端および遠位端を有する細長の本体部と、
前記本体部によって保持され、前記本体部の前記遠位端から延びる遠位部分を有する、カニューレであって、中にロッド形状の移植片を摺動可能に受容するようにサイズ決定および構成される、カニューレと、
前記カニューレ内に摺動可能に受容されるプランジャであって、ロッド形状の移植片が前記カニューレの内側に保持される後退位置から、前記移植片が前記プランジャによって前記カニューレから吐出される遠位前進位置へ移動可能である、プランジャと、
前記プランジャが前記後退位置に留まる延長位置から、前記プランジャが前記遠位前進位置の方へ移動される押下位置へ移動可能である、分注ボタンと、
前記分注ボタンが前記押下位置へと移動することが防がれる係止位置から、前記分注ボタンが前記押下位置の方へ移動することが可能にされ得る係止解除位置へ移動可能である、プライムボタンと、を備え、
前記送達デバイスは、ユーザが、前記プライムボタンを前記係止位置から前記係止解除位置へ移動させ、続いて、前記分注ボタンを前記延長位置から前記押下位置へ移動させ、以て、前記プランジャを前記後退位置から前記遠位延長位置へ移動させて、前記移植片を前記カニューレの前記遠位部分から吐出させることによって動作されるように構成される、移植片送達デバイス。
【請求項2】
前記プライムボタンは、前記細長の本体部の前記近位端に位置し、前記係止位置から前記係止解除位置へ移動するとき前記本体部の前記遠位端の方へ移動する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記プライムボタンがユーザの親指によって動作され得るように構成される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記分注ボタンは、前記細長の本体部の上側面に位置し、前記延長位置から前記押下位置へ移動するとき径方向に内向きに概して移動する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、前記分注ボタンがユーザの人さし指または親指によって動作され得るように構成される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、キャップをさらに備え、前記キャップは、前記キャップが前記本体部の前記遠位端および前記カニューレの前記遠位部分をカバーしている装着位置から、前記キャップが前記本体部から切り離される分離位置へ移動可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、前記プライムボタンが前記係止位置にあるとき前記キャップが前記装着位置から前記分離位置へ移動することを防ぐ連結機構をさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、前記キャップが前記装着位置にあるとき前記分注ボタンが前記押下位置へ移動することを防ぐ連結機構をさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、前記本体部の一部分を通る状態窓をさらに備え、前記状態窓は、ユーザが、プライミング状態および移植片状態を表す前記本体部内の可動部の位置を見ることを可能にし、前記可動部は、係止位置、係止解除位置、および分注位置の間で移動可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記可動部の前記位置は、色の変化によって描写される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記色の変化は、前記可動部が前記係止位置にあるとき前記状態窓を通して見える赤色特徴部、前記可動部が前記係止解除位置にあるとき前記状態窓を通して見える黄色特徴部、および前記可動部が前記分注位置にあるとき前記状態窓を通して見える緑色特徴部を含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記可動部の前記位置は、文字または符号の変化によって描写される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記文字または符号の変化は、前記可動部が前記係止位置にあるとき前記状態窓を通して見えるL、前記可動部が前記係止解除位置にあるとき前記状態窓を通して見えるU、および前記可動部が前記分注位置にあるとき前記状態窓を通して見えるDを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、前記プライムボタンが前記係止解除位置へ完全に移動されない場合、前記プライムボタンを前記係止位置へ戻すように構成されるばねをさらに備え、前記デバイスは、前記プライムボタンが前記係止解除位置に移動されるとき触覚確認を提供するように構成され、以て、係止解除状態を確認する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、前記プライムボタンが前記係止解除位置に到達するとき、ソフトクリックを発するように構成される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記分注ボタンが前記押下位置へ完全に移動されない場合、前記分注ボタンを前記延長位置へ戻すように構成されるばねをさらに備え、前記デバイスは、前記分注ボタンが前記押下位置に移動されるとき触覚確認を提供するように構成され、以て、移植片が分注されたことを確認する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、前記分注ボタンが前記押下位置に到達するとき、ソフトクリックを発するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記カニューレには、前記移植片が前記プランジャにより押し出されるまで、ロッド形状の移植片を前記カニューレ内に解放可能に保持するように構成される保持特徴部が設けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記保持特徴部は、少なくとも5度の角度を有する前記カニューレ内の屈曲部を備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記保持特徴部は、屈曲部、くぎの頭、くぼみ、楕円、曲げ区域、接着剤、Sカーブ、エッチングされたスリーブ、およびワイヤからなる群内の1つまたは複数のアイテムを備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項21】
前記デバイスは、装填済みのロッド形状の移植片をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、ユーザが、前記装填済みの移植片を、それが前記デバイスによって分注される前に見ることを可能にする、前記細長の本体部を通る窓をさらに備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記デバイスは、前記プランジャに結合され、前記細長の本体部内で長手方向に移動するように構成される、プッシュバーをさらに備え、前記プッシュバーは、前記プライムボタンによって、係止位置と係止解除位置との間で遠位に移動されるように構成され、前記プッシュバーは、前記プランジャを前記カニューレ内で遠位に駆動し、移植片を前記カニューレの前記遠位部分から分注するために、前記分注ボタンによって、前記係止解除位置と分注位置との間でさらに遠位に移動されるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記プッシュバーには、前記プッシュバーが前記係止解除位置に到達するとき、前記本体部の前記遠位端上に位置付けられるキャップを係止解除するために、カム特徴部が設けられる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
ロッド形状の移植片を送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を有する細長の本体部と、
前記本体部によって保持され、前記本体部の前記遠位端から延びる遠位部分を有する、カニューレであって、中にロッド形状の移植片を摺動可能に受容するようにサイズ決定および構成される、カニューレと、
前記カニューレ内に摺動可能に受容されるプランジャであって、ロッド形状の移植片が前記カニューレの内側に保持される後退位置から、前記移植片が前記プランジャによって前記カニューレから吐出される遠位前進位置へ移動可能である、プランジャと、
前記細長の本体部の上側面に位置し、前記プランジャが前記後退位置に留まる延長位置から、前記プランジャが前記遠位前進位置の方へ移動される押下位置へ、径方向に内向きに概して移動可能である、分注ボタンと、
キャップであって、前記キャップが前記本体部の前記遠位端および前記カニューレの前記遠位部分をカバーしており、前記分注ボタンが前記押下位置へと移動することを防ぐ装着位置から、前記キャップが前記本体部から切り離され、前記分注ボタンが前記押下位置へと移動することを可能にする分離位置へ移動可能である、キャップと、
前記細長の本体部の前記近位端に位置し、前記キャップが前記分離位置へと移動することが防がれる係止位置から、前記キャップが前記分離位置へと移動することを可能にされる係止解除位置へ、前記本体部の前記遠位端の方へ移動可能なプライムボタンと、
前記プライムボタンが前記係止位置から前記係止解除位置へ移動したとき、および前記分注ボタンが前記分注位置へと移動したときを示すように構成される状態窓と、を備え、 前記送達デバイスは、ユーザが、前記プライムボタンを前記係止位置から前記係止解除位置へ移動させ、続いて、前記キャップを前記装着位置から前記分離位置へ移動させ、続いて、前記分注ボタンを前記延長位置から前記押下位置へ移動させ、以て、前記プランジャを前記後退位置から前記遠位延長位置へ移動させて、前記移植片を前記カニューレの前記遠位部分から吐出させることによって動作されるように構成される、ロッド形状の移植片を送達するためのデバイス。
【請求項26】
ロッド形状の移植片を送達する方法であって、
移植片送達デバイスを提供することであって、前記移植片送達デバイスは、
近位端および遠位端を有する細長の本体部と、
前記本体部によって保持され、前記本体部の前記遠位端から延びる遠位部分を有する、カニューレであって、中にロッド形状の移植片を保持する、カニューレと、
前記カニューレ内に摺動可能に受容されるプランジャと、
前記細長の本体部上に位置する分注ボタンと、
キャップであって、前記本体部の前記遠位端に除去可能に装着され、前記キャップが前記本体部に装着されるとき前記カニューレの前記遠位部分をカバーする、キャップと、
前記細長の本体部の前記近位端に位置するプライムボタンと、を備える、移植片送達デバイスを提供すること、
前記プライムボタンを係止位置から係止解除位置へ移動させ、以て、前記キャップを係止解除すること、
前記プライムボタンを移動させることによって前記キャップを係止解除した後、前記キャップを前記本体部から除去し、以て、前記分注ボタンを係止解除すること、
前記カニューレの遠位先端を患者内へ挿入すること、および
前記キャップを除去することによって前記分注ボタンを係止解除した後、前記分注ボタンを延長位置から押下位置へ移動させ、以て、前記プランジャを遠位に移動させて、前記移植片を前記カニューレの前記遠位部分から、および前記患者内へ、吐出させることを含む、方法。
【請求項27】
前記プライムボタンを移動させることは、親指を前記ボタンの上に置くこと、および前記ボタンを遠位方向に移動させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記分注ボタンを移動させることは、人さし指を前記ボタンの上に置くこと、および前記ボタンを径方向に内向き方向に移動させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ロッド形状の移植片は、硝子体内に分注される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記デバイスは、前記ロッド形状の移植片を硝子体内に分注するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本明細書で述べられるすべての刊行物、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照によってそれらの全体が同様に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、生体分解可能な移植片を含め、治療剤または活性剤を含有する移植片を、眼の硝子体内を含め、眼などの患者内の様々な場所へと導入するために使用され得る薬物送達システムおよび方法に関する。
【0003】
眼の病気を治療することにおける主な難点は、薬物または治療剤を眼の中に導入して、これらの薬物または薬剤を必要な持続時間にわたって眼の中に治療的に効果のある濃度で維持することができないことである。全身投与は、容認できないほど高いレベルの全身投薬が、しばしば、効果的な眼球内濃度を達成するために必要とされ、故に、薬物の容認できない副作用の発生率が増加することから、理想の解決策ではない場合がある。単純な点眼または眼への適用は、薬物が、涙が出ることによってすぐに洗い流され得るか、または別途眼から全身循環へと枯渇され得ることから、多くの場合、許容の代替案ではない。利用可能な方法は、適切な時間期間にわたって治療レベルの薬物を維持することを困難にする。
【0004】
この問題を解決しようとする試みが、制御された量の所望の薬物が数日、数週間、または数か月にもわたって絶えず放出され得るように眼に移植され得る、薬物送達デバイス、または移植片の開発につながった。多くのそのようなデバイスは、以前に報告されている。例えば、眼症状の治療のための眼の前区または後区への導入のための生体適合性移植片を開示する米国特許第4,853,224号を参照されたい。加えて、米国特許第5,164,188号は、眼の脈絡膜上腔または扁平部への目的の薬物を含む生体分解性移植片の導入により眼症状を治療する方法を開示する。また、米国特許第5,824,072号、第5,476,511号、第4,997,652号、第4,959,217号、第4,668,506号、および第4,144,317号も参照されたい。他の方法は、薬物を含有するプラグまたはタックを眼の強膜内へしっかりと固定することを含む(例えば、米国特許第5,466,233号を参照)。
【0005】
眼の硝子体、眼の前もしくは後眼房、または、網膜内、網膜下、脈絡膜内、脈絡膜上、強膜内、強膜上、結膜下、角膜間、もしくは角膜上の空間を含む、眼の他の領域など、薬物送達デバイスまたは移植片の移植のための様々な部位が眼には存在する。移植の所望の場所がどこであるにしても、移植の典型的な方法はすべて、比較的侵襲的な外科処置を必要とし、眼への過度の外傷の危険性があり、移植片の過度の取り扱いを必要とする。例えば、硝子体への配置のための典型的な方法においては、切開が強膜を通じて行われ、移植片は、鉗子または他の同様の手動把持デバイスを使用して、硝子体内の所望の場所へと挿入され、そこに置かれる。一旦置かれると、鉗子(または把持デバイス)は取り除かれ、切開は縫合して閉じられる。代替的に、切開は、強膜を通じて行われ得、トロカールが切開を通じて前進され得、次いで、移植片がトロカールを通じて送達され得る。同様の方法が、角膜内の切開を通じた前眼房内への移植など、移植片を他の場所へ送達するために用いられ得る。
【0006】
移植片送達のためのそのような技術には多数の欠点が存在する。これらの技術においては移植片の過度の取り扱いが必然的に生じ、移植片がプロセス中に損傷を受けるリスクを作り出す。多くの移植片は、高分子ベースであり、比較的壊れやすい。移植片の部分が損傷され、折れると、配置された後に移植片によって送達される効果的な治療薬量は、著しく変化される。加えて、これらの方法を使用して患者ごとに再現可能な配置を達成することは本質的に困難になる。追加的に、これらの技術のすべては、縫合を必要とするのに十分に大きい眼内の切開または穿刺を必要とする。故に、そのような技術は、典型的には、手術環境において実施される。
【0007】
多くの考慮事項が、移植片送達デバイスの設計および効能に影響を及ぼす。第一に、移植片が適用のたびに対象に一貫して送達されることを確実にすることが重要である。第二に、移植片治療が多くの場合、多数の適用を必要とすることから、移植片を提供する費用も検討されるべきである。
【0008】
前述に基づいて、移植片を眼および他の生体構造内へ送達するための、より簡易で、簡便で、侵襲性が低く、かつ外傷の少ない手段が必要とされている。加えて、移植片を送達するより制御された手段も必要とされている。本明細書に記載の技術革新は、これらの満たされていないニーズを解決し、追加の利点を提供する。
【発明の概要】
【0009】
本開示の態様によると、移植片送達デバイスには、細長の本体部、カニューレ、プランジャ、分注ボタン、およびプライムボタンが設けられ得る。いくつかの実施形態において、細長の本体部は、近位端および遠位端を有する。カニューレは、本体部によって保持され、本体部の遠位端から延びる遠位部分を有する。カニューレは、中にロッド形状の移植片を摺動可能に受容するようにサイズ決定および構成される。プランジャは、カニューレ内に摺動可能に受容され、ロッド形状の移植片がカニューレの内側に保持される後退位置から、移植片がプランジャによってカニューレから吐出される遠位前進位置へ移動可能である。分注ボタンは、プランジャが後退位置に留まる延長位置から、プランジャが遠位前進位置の方へ移動される押下位置へ移動可能である。プライムボタンは、分注ボタンが押下位置へと移動することが防がれる係止位置から、分注ボタンが押下位置の方へ移動することが可能にされ得る係止解除位置へ移動可能である。送達デバイスは、ユーザが、プライムボタンを係止位置から係止解除位置へ移動させ、続いて、分注ボタンを延長位置から押下位置へ移動させ、以て、プランジャを後退位置から遠位延長位置へと移動させて、移植片をカニューレの遠位部分から吐出させることによって動作されるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、プライムボタンは、細長の本体部の近位端に位置し、係止位置から係止解除位置へ移動するとき本体部の遠位端の方へ移動する。本デバイスは、プライムボタンがユーザの親指によって動作され得るように構成され得る。いくつかの実施形態において、分注ボタンは、細長の本体部の上側面に位置し、延長位置から押下位置へ移動するとき径方向に内向きに概して移動する。本デバイスは、分注ボタンがユーザの人さし指または親指によって動作され得るように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、本デバイスは、キャップをさらに備え、キャップは、キャップが本体部の遠位端およびカニューレの遠位部分をカバーしている装着位置から、キャップが本体部から切り離される分離位置へ移動可能である。本デバイスは、プライムボタンが係止位置にあるときキャップが装着位置から分離位置へ移動することを防ぐ連結機構をさらに備え得る。いくつかの実施形態において、本デバイスは、キャップが装着位置にあるとき分注ボタンが押下位置へ移動することを防ぐ連結機構をさらに備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、本デバイスは、本体部の一部分を通る状態窓をさらに備える。状態窓は、ユーザが、プライミング状態および移植片状態を表す本体部内の可動部の位置を見ることを可能にし、可動部は、係止位置、係止解除位置、および分注位置の間で移動可能である。可動部の位置は、色の変化によって描写され得る。いくつかの実施形態において、色の変化は、可動部が係止位置にあるとき状態窓を通して見える赤色特徴部、可動部が係止解除位置にあるとき状態窓を通して見える黄色特徴部、および可動部が分注位置にあるとき状態窓を通して見える緑色特徴部を含む。可動部の位置は、文字または符号の変化によって描写され得る。いくつかの実施形態において、文字または符号の変化は、可動部が係止位置にあるとき状態窓を通して見えるL、可動部が係止解除位置にあるとき状態窓を通して見えるU、および可動部が分注位置にあるとき状態窓を通して見えるDを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本デバイスは、プライムボタンが係止解除位置へ完全に移動されない場合、プライムボタンを係止位置へ戻すように構成されるばねをさらに備える。これらの実施形態において、本デバイスは、プライムボタンが係止解除位置に移動されるとき触覚確認を提供するように構成され、以て、係止解除状態を確認する。本デバイスは、プライムボタンが係止解除位置に到達するとき、ソフトクリックを発するように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、本デバイスは、分注ボタンが押下位置へ完全に移動されない場合、分注ボタンを延長位置へ戻すように構成されるばねをさらに備える。これらの実施形態において、本デバイスは、分注ボタンが押下位置に移動されるとき触覚確認を提供するように構成され、以て、移植片が分注されたことを確認する。本デバイスは、分注ボタンが押下位置に到達するとき、ソフトクリックを発するように構成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、カニューレには、移植片がプランジャにより押し出されるまで、ロッド形状の移植片をカニューレ内に解放可能に保持するように構成される保持特徴部が設けられる。保持特徴部は、少なくとも5度の角度を有するカニューレ内の屈曲部を備え得る。いくつかの実施形態において、保持特徴部は、屈曲部、くぎの頭、くぼみ、楕円、曲げ区域、接着剤、Sカーブ、エッチングされたスリーブ、およびワイヤからなる群内の1つまたは複数のアイテムを備える。本デバイスは、装填済みのロッド形状の移植片をさらに備え得る。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ユーザが、装填済みの移植片を、それがデバイスによって分注される前に見ることを可能にする、細長の本体部を通る窓をさらに備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、本デバイスは、プランジャに結合され、細長の本体部内で長手方向に移動するように構成される、プッシュバーをさらに備える。これらの実施形態において、プッシュバーは、プライムボタンによって、係止位置と係止解除位置との間で遠位に移動されるように構成される。プッシュバーは、プランジャをカニューレ内で遠位に駆動し、移植片をカニューレの遠位部分から分注するために、分注ボタンによって、係止解除位置と分注位置との間でさらに遠位に移動されるように構成される。プッシュバーには、プッシュバーが係止解除位置に到達するとき、本体部の遠位端上に位置付けられるキャップを係止解除するために、カム特徴部が設けられ得る。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ロッド形状の移植片を硝子体内に分注するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、ロッド形状の移植片を送達するためのデバイスには、細長の本体部、カニューレ、プランジャ、分注ボタン、キャップ、プライムボタン、および状態窓が設けられる。これらの実施形態において、細長の本体部は、近位端および遠位端を有する。カニューレは、本体部によって保持され、本体部の遠位端から延びる遠位部分を有する。カニューレは、中にロッド形状の移植片を摺動可能に受容するようにサイズ決定および構成される。プランジャは、カニューレ内に摺動可能に受容され、ロッド形状の移植片がカニューレの内側に保持される後退位置から、移植片がプランジャによってカニューレから吐出される遠位前進位置へ移動可能である。分注ボタンは、細長の本体部の上側面に位置し、プランジャが後退位置に留まる延長位置から、プランジャが遠位前進位置の方へ移動される押下位置へ、径方向に内向きに概して移動可能である。キャップは、キャップが本体部の遠位端およびカニューレの遠位部分をカバーしており、分注ボタンが押下位置へと移動することを防ぐ装着位置から、キャップが本体部から切り離され、分注ボタンが押下位置へと移動することを可能にする分離位置へ移動可能である。プライムボタンは、細長の本体部の近位端に位置し、キャップが分離位置へと移動することが防がれる係止位置から、キャップが分離位置へと移動することを可能にされる係止解除位置へ、本体部の遠位端の方へ移動可能である。状態窓は、プライムボタンが係止位置から係止解除位置へ移動したとき、および分注ボタンが分注位置へと移動したときを示すように構成される。送達デバイスは、ユーザが、プライムボタンを係止位置から係止解除位置へ移動させ、続いてキャップを装着位置から分離位置へ移動させ、続いて、分注ボタンを延長位置から押下位置へ移動させ、以て、プランジャを後退位置から遠位延長位置へと移動させて、移植片をカニューレの遠位部分から吐出させることによって動作されるように構成される。
【0018】
本開示の態様によると、ロッド形状の移植片を送達する方法は、移植片送達デバイスを提供するステップを含む。この方法において、移植片送達デバイスは、細長の本体部、カニューレ、プランジャ、分注ボタン、キャップ、およびプライムボタンを含む。細長の本体部は、近位端および遠位端を有する。カニューレは、本体部によって保持され、本体部の遠位端から延びる遠位部分を有する。カニューレは、中にロッド形状の移植片を保持し、プランジャは、カニューレ内に摺動可能に受容される。分注ボタンは、細長の本体部上に位置する。キャップは、本体部の遠位端に除去可能に装着され、キャップが本体部に装着されるときカニューレの遠位部分をカバーする。プライムボタンは、細長の本体部の近位端に位置する。本方法は、プライムボタンを係止位置から係止解除位置へ移動させ、以て、キャップを係止解除するステップをさらに含む。プライムボタンを移動させることによってキャップを係止解除した後、キャップは、本体部から除去され、以て、分注ボタンを係止解除する。本方法はまた、カニューレの遠位先端を患者内へ挿入するステップを含む。キャップを除去することによって分注ボタンを係止解除した後、分注ボタンは、延長位置から押下位置へ移動され、以て、プランジャを遠位に移動させて、移植片をカニューレの遠位部分から、および患者内へ、吐出させる。
【0019】
いくつかの実施形態において、プライムボタンを移動させるステップは、親指をボタンの上に置くこと、およびボタンを遠位方向に移動させることを含む。分注ボタンを移動させることは、人さし指をボタンの上に置くこと、およびボタンを径方向に内向き方向に移動させることを含み得る。いくつかの実施形態において、ロッド形状の移植片は、硝子体内に分注される。
【0020】
本開示の新規の特徴は、下に続くクレーム内に具体的に明記される。本開示の特徴および利点のより良好な理解は、本開示の原則が利用される例証的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および添付の図面への参照により得られるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の態様に従って構築および動作される移植片送達デバイスの例示的な実施形態の透視図である。
図2図1に示されるデバイスの展開図である。
図3図1に示されるデバイスキャップおよび分注ボタンの展開図である。
図4図1に示されるデバイスの内部機構および左側筺体の部分展開図である。
図5図4に示される内部機構の展開図である。
図6図1に示されるデバイスの側面断面図である。
図7A-7J】移植片保持特徴部の側面断面図である。
図8A-8H】針ストップ特徴部の側面断面図である。
図9】本開示の態様に従って構築および動作される移植片送達デバイスの第2の例示的な実施形態の前進機構の透視図である。
図10図9の前進機構の側面図である。
図11A-11D】例示的な動作シーケンスを例証する、図9の前進機構の一連の側面図である。
図12図9の前進機構を利用するプロトタイプデバイスを示す透視図である。
図13図12のデバイスの構成要素を示す展開平面図である。
図14図12のデバイスの構成要素を示す展開透視図である。
図15】本開示の態様に従って構築および動作される移植片送達デバイスの第3の例示的な実施形態の透視図である。
図16図15のデバイスの構成要素を示す展開平面図である。
図17図15のデバイスの例示的なラックピニオン機構を示す透視図である。
図18図15のデバイスの構成要素を示す展開透視図である。
図19】本開示の態様に従って構築および動作される移植片送達デバイスの第4の例示的な実施形態の透視図である。
図20A図19のデバイスの例示的な前進機構の透視図である。
図20B図19のデバイスの内部および外部構成要素を示す側面図である。
図20C図20Aの例示的な前進機構の側面図である。
図21A-21D】例示的な動作シーケンスを例証する、図20Aの前進機構の一連の側面図である。
図22図19のデバイスの内部構成要素を示す透視図である。
図23図19のデバイスの構成要素を示す展開透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に説明されるのは、ロッド形状の移植片を、皮下に、硝子体内に、筋肉内に、関節内に、血管内に、または他の生体構造内へ送達するための例示的なデバイスおよび方法である。いくつかの実施形態において、移植片分注ボタンおよびデバイスキャップは共に、デバイスの近位端におけるプライムボタンがボールペンのように「クリック」されるまで適所に係止される。一旦プライミングされると、キャップは係止解除されるが、分注ボタンは、キャップが除去されるまで係止されたままである。デバイスが完全にプライミングされたかどうか、および移植片がデバイスから患者内へ完全に分注されたかどうか、を医療従事者に示す様々な特徴が提供される。
【0023】
図1を参照すると、移植片送達デバイス100の例示的な実施形態が提供される。デバイス100は、その遠位端から延びる移植片分注針112およびその近位端から延びるプライムボタン114を有する細長の筺体110を含む。この例示的な実施形態において、分注ボタン116は、それがロッド形状の移植片をカニューレ112から分注するためにユーザの人さし指または親指によって押下され得るように、筺体110の上に位置する。キャップ118は、デバイス100が使用中ではないとき針112をカバーするために、筺体110の遠位端の上に摺動可能に受容されるように構成され得る。
【0024】
この例示的な実施形態において、筺体110は、右側面120および左側面122から形成される。筺体110の2つの側面は、筺体を通過してねじ込みインサート126に係合する5つの留め具124により一緒にまとめられる。キャップ118もまた、右側面128および左側面130から形成される。キャップ118の2つの側面は、スナップまたはくさびフィットにより左側面130の4つの凹部と係合する右側面128に形成される4つのピンにより一緒にまとめられ得る(図2および図3において最もよく分かる)。
【0025】
筺体110の上部には、後でより詳細に説明されるように、状態インジケータ窓132が設けられ得る。筺体110の遠位端の各側面には、凹部134が設けられ得、そのうちの1つが図1に示される。凹部134は、キャップ118の弾性アーム136を解放可能に受容するように構成される。アーム136は、後でより詳細に説明されるように、キャップがプライムボタン114によって係止解除されるまで、キャップ118を筺体110の遠位端の上で適所に係止するために凹部134と連携する。
【0026】
図2を参照すると、移植片送達デバイス100の部分展開図が提供される。様々な可動部を伴う内部機構138(時として、連結機構とも称される)が、プライムボタン114と針112との間に存在する。デバイス100が組み立てられるとき、内部機構138は、先に述べたように、5つのねじ込みインサート126に結合される5つの留め具124によって一緒にまとめられる筺体の右側面120と左側面122との間に挟まれる。デバイスキャップの右側面128および左側面130も示される。キャップの両側には、キャップが筺体上に置かれているとき筺体側面120および122の遠位端に当接するストップ140が設けられ得る。この配置は、針112がキャップによって保護されるがキャップと接触されないことを確実にするため、キャップ内に十分な空間を提供する。
【0027】
この例示的な実施形態において、移植片分注ボタン116は、分注ボタンレバー142の遠位端に取り付けられるか、または形成される。レバー142の近位端には、一対の横に突出するピン144が設けられる。筺体の右側面120および左側面122は各々、レバー142のピン144のうちの1つを受容するためにそれらの内表面上に枢軸凹部146を含む。デバイスが組み立てられるとき、レバー142は、分注ボタン116が筺体内へ概して下方の方向に移動することを可能にする。ねじりばね148が、分注ボタン116を筺体の外へ概して上方の方向に付勢するために提供され得る。
【0028】
図3を参照すると、移植片分注ボタン116に沿ったデバイスキャップ118の展開図が提供される。キャップ118の右側面128に見ることができるように、各弾性アーム136の自由端には、内向きに突出する返し150が設けられる。返し150は、示されるようにキャップ118に背を向ける傾斜面を含む。これらの傾斜面は、キャップがデバイスの遠位端上へ容易に摺動することを可能にする。弾性アーム136は、キャップ118がデバイスに装着されているとき、外向きに曲がる。返し150はまた、示されるように、キャップ内を向く返し付き表面を含む。キャップがデバイス上に完全に設置されるとき、弾性アーム136は、返し150を凹部134内へ強いて(図1および図2に示される)、これらの返し付き表面は、凹部134の遠位縁に引っかかる。後でより詳細に説明されるように、この配置は、キャップ118を、それが係止解除されるまで、デバイス上に保持する。
【0029】
キャップ118は、長手方向に延びる係止タブ152を含み得る。キャップ118が移植片分注デバイス上に設置されるとき、係止タブ152は、分注ボタン116内の凹部154内へ延びる。係止タブ152は、キャップ118が除去されるまで移植片分注ボタン116が押下されることを防ぐ。この配置では、移植片は、キャップが付いている間は、デバイスから不用意に吐出されることができない。
【0030】
図4図6を参照すると、内部機構138の構造および動作が説明される。図4は、図2に示される内部機構138および筺体の左側面122の拡大図であり、図5は、内部機構138の展開図であり、図6は、デバイス100の断面側面図である。内部機構138は、移植片分注ボタン116、ボタンレバー142、ねじりばね148、プッシャー156、一対のだぼ158、だぼ158の上に受容される一対の圧縮ばね160、プライムボタン114、プライムボタンラッチ162、ラッチ162に結合される圧縮ばね164、プランジャ保持器166、留め具168、ねじ込みインサート170、プランジャロッド172、針112、および針マウント174を含む。
【0031】
この例示的な実施形態において、内部機構138の主要構成要素は、時としてプッシュバーと称される、プッシャー156である。プッシャー156は、筺体の両側面のスロット178(図4では1つのスロット178が左筺体122内に示される)内に摺動可能に受容される横に突出する肋材176を含む。プッシャー156はまた、筺体の底縁の間に形成されるスロット182内に摺動可能に受容される下方に突出する肋材180を含む。この配置は、プッシャー156が、1)最も近位の係止位置(図6に示される)、2)中間の係止解除位置、および3)最も遠位の分注位置という3つの異なる位置の間で、筺体内で長手方向に摺動することを可能にする。文字L、U、およびDは、それらが各々、デバイスの状態をユーザに示すために連続して状態インジケータ窓132(図4および図6に示される)を通して見えるように、プッシャー156の上部フランジ表面184上に形成され得る。他の実施形態において、異なる色、符号、およびまたは他の文字もしくは特徴部が、デバイス状態を示すために使用され得る。例えば、プッシャー156の位置およびデバイスの状態は、色の変化によって描写され得、色の変化は、プッシャー156が係止位置にあるとき窓132を通して見える赤色特徴部、プッシャー156が係止解除位置にあるとき窓132を通して見える黄色特徴部、およびプッシャー156が分注位置にあるとき窓132を通して見える緑色特徴部を含む。
【0032】
プライムボタン114は、プッシャー156を係止位置から係止解除位置へ遠位に駆動するために使用され、移植片分注ボタン116は、プッシャー156を係止解除位置から分注位置へさらに遠位に駆動するために使用される。
【0033】
図4に最もよく描写されるように、各だぼ158は、デバイスが組み立てられるとき(図示されない)筺体側面のうちの一方に固定して位置し、だぼストップ186まで延びる。各ばね160は、ばねボックス188内でだぼ158の上に摺動可能に位置する。図5に示されるように、プライムボタン114の遠位端には、2つの横に突出するガイドチャネル190が設けられる。各ガイドチャネル190は、プライムボタン114が遠位に押下されると、だぼ158のうちの1つに沿って摺動し、ばね160のうちの1つを圧縮するように構成される。
【0034】
図6において最もよく分かるように、プライムボタン114の遠位端は、プッシャー156の近位端に当接してそれを遠位に駆動する。プライムボタンラッチ162は、それが、その近位端の近くに形成される一対の対向ピンの周りを枢動することができるように、筺体半体の間に枢動可能に取り付けられる(図5において最もよく分かる)。圧縮ばね164は、ラッチ162の遠位端をプッシャー156の底に対して上方に強いる。プライムボタン114がばね160の戻る力に対抗して遠位に押下されると、その遠位端の底における下方に延びる傾斜面は、ラッチ162の上面に沿って走り、ラッチ162の遠位端がばね164に対して下方に枢動することを強いる。プライムボタン114が係止解除位置に到達すると、ラッチ162の遠位端は、上方に枢動して係止面192と係合し、以て、プライムボタン114およびプッシャー156を係止解除位置にラッチし、それらが近位に戻ることを防ぐ。デバイスユーザが、プライムボタン114を、それが完全に押下される前に解放する場合、圧縮ばね160は、ボタンを、その完全延長位置へ戻し、デバイスが係止解除されていないことをユーザに知らせる。しかしながら、ユーザがプライムボタン114を完全に押下するとき、上に説明した配置は、可聴およびまたは触覚クリックを提供して、デバイスが係止解除されたことをデバイスユーザに知らせる。いくつかの実施形態において、クリックは、「ソフトクリック」であり、これは、デバイスユーザが聞くおよびまたは感じるには十分に強いが、不用意なツール移動を引き起こしてそれにより患者を動かすほどは強くないことを意味する。
【0035】
図5において最もよく分かるように、プッシャー156の遠位端は、上方に延びる係止面194を含む。図6に示されるように、プッシャー156が最も近位の係止位置にあるとき、係止面194は、分注ボタン116が下方に押下されることを防ぐ。プッシャー156が係止解除位置へと遠位に移動されるとき、係止面194は、ボタンレバー142の遠位端を通過し、以て、ボタン116を係止解除する。しかしながら、キャップがデバイス上に留まる場合、それは、図3を参照して以前に説明されるように、ボタン116が押下されることを防ぐ。
【0036】
図4において最もよく分かるように、プッシャー156の遠位端は、一対の横に突出するタブ196を含む(図4では1つのタブ196のみが示される)。タブ196は各々、傾斜前縁を有し、筺体側面の内表面上のスロット198内で摺動する(図4では1つのスロット198のみが示される)。プッシャー156が係止解除位置に到達するとき、タブ196は、筺体側面内の凹部134に隣接する。この位置では、タブ196は、キャップ118の弾性アーム136(図3に示される)の端における返し150を外向きに強いて、その結果として、それらは、凹部134を通過し、キャップがデバイスから除去されることを可能にする。
【0037】
図5において最もよく分かるように、プッシャー156の遠位端は、プランジャ保持器166を受容するように構成される凹部を含む。デバイスが組み立てられるとき、プランジャ172は、保持器166を通る孔にしっかりと固着される。ねじ込みインサート170は、凹部198にしっかりと固着されて、保持器166が留め具168によりプッシャー156に装着されることを可能にする。この配置では、プランジャ172は、プッシャー156にしっかりと固着され、そこから遠位に延び、それをもってデバイス内で長手方向に移動する。デバイスが組み立てられるとき、針112は、図4に示されるように、針マウント174を通る孔にしっかりと固着される。そして、針マウント174は、筺体の左側面122(示される)および右側面(図示されない)に形成される対向ポケット200内に存在する。この配置は、針112を筺体に対して固定位置に保持する。内部機構が組み立てられるとき、図4に示されるように、プランジャ172の遠位端は、針112の近位端内に摺動可能に受容される。プッシャー156が係止位置から係止解除位置へ、次いで分注位置へ遠位に移動されると、プランジャ172は、針112をさらに通って徐々に延びる。係止位置において、プランジャ172は、針112の長さの約15%まで延びる。ロッド形状の移植片(図示されない)は、プランジャ172の遠位端から遠位に位置する針の中心内腔内へ予め装填され得る。プッシャー156が係止解除位置へ移動されるとき、プランジャ172は、針112の長さの約50%を占有する。プッシャー156が分注位置へ移動されるとき、プランジャ172は、ロッド形状の移植片を針112の外へ、および患者内へ押す。この位置では、プランジャ172の遠位先端は、移植片が針から完全になくなることを確実にするために、針112の遠位端からわずかに延び得る。
【0038】
先に説明されるように、プライムボタン114は、プッシャー156を最も遠位の係止位置から中間の係止解除位置へ駆動するために使用される。一旦プッシャー156が係止解除位置に到達し、デバイスキャップ118が除去されると、分注ボタン116は、係止解除され、ユーザによって押下されて、プッシャー156を係止解除位置から、移植片が患者内へ送達される分注位置へ駆動し得る。図5および図6において最もよく分かるように、プッシャー156の遠位端には、上方および近位に向く傾斜面202が設けられ得、分注ボタンレバー142の遠位端には、嵌合する下方および遠位に向く傾斜面204が設けられ得る。プッシャー156が係止解除位置にあるとき、その傾斜面202は、分注ボタン116と関連付けられた傾斜面204の真下に位置付けられる。分注ボタン116が、ねじりばね148の戻る力に対抗して内向きに(下方に)押されると、傾斜面204は、傾斜面202に沿って下へ摺動し、プッシャー156を分注位置の方へ遠位に強いる。
【0039】
図5において最もよく分かるように、一対の弾性アーム206が、分注ボタンアーム142の両側に提供され得る。外向きに突出するくぼみ208が、各アーム142の遠位先端に提供され得る。図4において最もよく分かるように、筺体の左側面122(図示されないが、右側面も同様)には、内向きに突出するくぼみが底に位置する湾曲スロット210が設けられ得る。分注ボタン116が押下されると、くぼみ208が、スロット210に沿って進む。デバイスユーザが、ボタン116を、それが完全に押下される前に開放する場合、ねじりばね148は、ボタンをその完全延長位置へ戻し、移植片が完全に分注されていないことをユーザに知らせる。しかしながら、ユーザが分注ボタン116を完全に押下するとき、くぼみ208は、スロット210の底におけるくぼみを過ぎて進む。弾性アーム206は、くぼみがすれ違う際に一時的に内向きに曲がり、その後元に戻る。この配置は、可聴およびまたは触覚クリックを提供し、ボタン116を押下位置に係止して、移植片が完全に分注されたことをユーザに知らせる。いくつかの実施形態において、クリックは、「ソフトクリック」であり、これは、デバイスユーザが聞くおよびまたは感じるには十分に強いが、不用意なツール移動を引き起こしてそれにより患者を動かすほどは強くないことを意味する。
【0040】
再び図1を参照すると、デバイス100の動作の例示的な方法が要約される。デバイス100には、装填済みのロッド形状の移植片が設けられ得、予め殺菌され、密閉容器内に提供され得る。デバイスは、殺菌した容器から取り出され、係止状態のままである。文字Lは、デバイス100が係止状態にあることを示すために状態インジケータ窓132内に表示される。この係止状態において、移植片分注ボタン116は、外部(図3を参照して以前に説明されるように)および内部(図6を参照して以前に説明されるように)の両方から、押下されることが係止される。追加的に、キャップ118は、デバイス100が係止解除される前に主筺体110から除去されることはできない。
【0041】
患者が移植片を受け入れる準備が整った後、外科医または他の医療従事者は、プライムボタン114を押してデバイスを係止解除する。可聴およびまたは触覚クリックは、プライムボタン114が完全に押下されるときに提供され、ボタン114は、完全押下位置に係止されるようになる。これらはすべて、デバイス100が係止解除されたという医療従事者への合図である。追加的に、文字Uは、デバイス100が係止解除状態にあることを示すために状態インジケータ窓132内に表示される。
【0042】
一旦デバイス100が係止解除状態になると、キャップ118は、主筺体110から除去され得る。この時点で、移植片分注ボタン116は、完全に係止解除される。医療従事者は、次いで、皮下、硝子体内、筋肉内、関節内、血管内、または他の生体構造内など、患者内へ針112を挿入する。針112の遠位先端が移植片標的場所に位置するとき、医療従事者は、ボタン116を押して移植片を針112から分注する。可聴およびまたは触覚クリックは、分注ボタン116が完全に押下されるときに提供され、ボタン116は、完全押下位置に係止されるようになる。これらはすべて、移植片が分注されたという医療従事者への合図である。追加的に、文字Dは、移植片が分注されたことを示すために状態インジケータ窓132内に示される。
【0043】
移植片がデバイス100から患者内へ分注された後、デバイス100は、針112が患者から完全に撤退されるまで、近位に移動され得る。いくつかの実施形態において、デバイス100は、使い捨てデバイスである。キャップ118は、針112の上に再び置かれ得、およびまたはデバイス100は、廃棄され得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、筺体110の長さは、約156mm以下であり、高さは、約16mm以下であり、幅は、約8mm以上である。他の実施形態において(図示されない)、内部機構138は、それが、大きいペンの筺体など、略円筒状の筺体内へ適合するように、スリム化およびまたは再構成され得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、筺体の直径は、少なくとも約8mmおよび約16mm以下である。いくつかの実施形態において、直径は、約11.4mmである。いくつかの実施形態において、プライムボタン114は、それが延長状態にあるとき、筺体110から少なくとも19.5mm延びる。いくつかの実施形態において、分注ボタン116の遠位面は、筺体110の遠位端から30mmに位置し、筺体の上へ約12.7mm以下延びる。
【0045】
図7A図7Jを参照すると、1つまたは複数の特徴部は、移植片がそれがプランジャ172によって押し出されるまで針112内に留まるが、針内につかえない、または作動力に悪影響を及ぼさないことを確実にするために、針112およびまたはロッド形状の移植片220に追加され得る。窓222は、ユーザが装填済みの移植片220を見て、その場所およびまたは状態を、それが移植される前に確認することを可能にするため、図7F図7Jに示されるように提供され得る。
【0046】
図8A図8Hを参照すると、針ストップ730は、針の挿入深さを理解するため、およびまたはそれが患者内へ深く貫通しすぎることを防ぐため、針112の上に提供され得る。例えば、移植片分注デバイスが移植片を硝子体内に置くために使用されるとき、ストップ730は、その遠位先端が、針112の遠位先端が眼内の所望の深さに到達するとき結膜に接触するように構成され得る。針ストップ730のための様々な代替の構造が図8A図8Hに提供される。
【0047】
図9図14を参照すると、移植片送達デバイス300の第2の例示的な実施形態が提供される。デバイス300は、図1図8を参照して以前に説明されるデバイス100と同様の様式で構築および動作され得る。しかしながら、単一の移植片を分注する代わりに、デバイス300は、3つの移植片(ペレットとも称される)など、複数の移植片を分注するように構成される。デバイス300には、各移植片につき1つ、1、2、および3とラベル付けされた3つの分注ボタンが設けられる。3つのボタンすべてが、ピン10の周りの共通の枢動点を共有する(図10および図14においても最もよく分かる)。各ボタンは、リニアスライド12上の異なる傾斜面と係合して、スライドをさらに遠位に前進させる。スライド12は、プランジャ14(図14に示される)に接続され、このプランジャ14が、関連付けられたボタンが押下されるとき、各移植片を単一の針の外へ連続して押す。図11A図11Dは、ボタン1、2、および3を連続して順に押すことによって3つの移植片/ペレットを分注するシーケンスを示す、および説明する。
【0048】
図15図18を参照すると、移植片送達デバイス400の第3の例示的な実施形態が提供される。デバイス400は、図1図8を参照して以前に説明されるデバイス100と同様の様式で構築および動作され得る。デバイス400は、単一の移植片、または3つの移植片(ペレットとも称される)などの複数の移植片を分注するように構成され得る。デバイス400には、図17において最もよく分かるように、ラックピニオン機構410が設けられ得る。機構410は、固定ラック412、浮遊ラック414、および2つのラックの間に位置する可動ピニオン416を含む。固定ラック412は、デバイス筺体の内側に固着される。可動ピニオン416は、スライドボタン418に装着される。浮遊ラック414は、デバイス筺体の内側に摺動可能に取り付けられ、その遠位端に固着されるプランジャ420を有する。
【0049】
動作中、医療従事者は、ボタン418をその最も近位の位置から遠位に摺動させる。これが、ピニオン416を等しい距離だけ遠位方向に移動させる。ピニオン416が遠位に移動する際、それは、固定ラック412とのその歯車係合に起因して反時計回り方向に回転する。これが、浮遊ラック414およびプランジャ420も遠位に、しかしながらピニオンの2倍の率で、移動させる。言い換えると、ボタン418の遠位移動は、ラックピニオン機構410によって拡大される。1つまたは複数の戻り止めが、ボタン418およびまたは筺体に提供され得るため、医療従事者は、1つまたは複数の移植片の各々がデバイス400から分注されたときを知ることができる。
【0050】
図19図21を参照すると、移植片送達デバイス500の第4の例示的な実施形態が提供される。デバイス500は、図1図8を参照して以前に説明されるデバイス100と同様の様式で構築および動作され得る。デバイス500は、単一の移植片、または3つの移植片(ペレットとも称される)などの複数の移植片を分注するように構成され得る。デバイス500は、1つまたは複数の移植片を分注するために複数回押される単一のボタン510を用いる。図20Aに示されるように、デバイス500は、ボタン510が押されるたびにボタン510によってデバイスの遠位端の方へ駆動され、ボタン510が解放されるとき近位に戻るリニアスライド512を含む機構を利用する。プランジャ把持顎機構514は、プランジャ516が遠位に前進するが、リニアスライド512と共に近位に戻らないことを可能にする。この配置は、図20Bに示されるように、サイド押しボタンを有するシャープペンシルにおいてモデル化される。図20Cは、図20Aに示される構成要素の拡大断面図である。図21A図21Dは、図20Aの機構の往復運動を示し、説明する。図22は、移植片分注デバイス500のために特に適合される図20Aの機構を示し、図23は、デバイス500の他の構成要素を含む展開透視図である。図23に示されるように、戻りばね518は、ボタン510が解放された後スライド512を近位に戻すために、スライド512とデバイス筺体との間に結合され得る。歯止め520は、ラック522およびプランジャを遠位方向に駆動するためのスライド512に枢動可能に取り付けられ得る。スライド512が近位に戻るたびに、歯止め520の遠位端は、ラック522上のより近位に位置する切り込みと徐々に係合する。ラック522の最も遠位の切り込みは、デバイス500が係止されるとき歯止め520によって係合され得、次いで、デバイス500がプライミングされるとき3つの近接した切り込みのうちの最初のものまで移動する。図23に示される特定の配置では、3つの移植片は、デバイス500から連続して分注され得る。他の実施形態において、本機構は、3つの移植片よりも少ないまたは多い移植片を分注するために修正され得る。
【0051】
本開示の例示的な実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は例として提供されているに過ぎないことは当業者には明らかであろう。ここで、当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変化形、変更および置換に想到するであろう。本明細書に記載されている本開示の実施形態に対する様々な代替形態が、本開示を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の実施形態の多数の異なる組み合わせが可能であり、そのような組み合わせは本開示の一部と見なされる。さらに、本明細書の任意の1つの実施形態に関連して説明したすべての特徴は、本明細書の他の実施形態での使用に容易に適合させることができる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物を包含することが意図される。
【0052】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素「上」にあると言及される場合、それは、他の特徴または要素上に直接存在し得、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され」、「取り付けられ」または「結合され」と言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続され、取り付けられ、または結合されることも可能であり、または介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接取り付けられている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されている特徴および要素は、他の実施形態に適用し得る。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複するか、またはその下にある部分を有し得ることも当業者には理解されるであろう。
【0053】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することは意図されていない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略され得る。
【0054】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素または特徴と別の要素または図に示されている特徴との関係を説明するために本明細書において使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中の装置の異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図の装置が裏返されている場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として記述されている要素は、他の要素または特徴の「上」になる。したがって、「下」という例示的な用語は、上と下の双方の方向を包含し得る。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。同様に、「上向き(upwardly)」、「下向き(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、特に明記しない限り、説明の目的でのみ本明細書で使用される。
【0055】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用され得るが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、以下に記載される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に記載される第2の特徴/要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0056】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が方法および物品(例えば、組成物ならびに装置および方法を含む装置)において共同で使用され得ることを意味する。例えば、用語「備える(comprising)」は、ここに記されるいずれの要素またはステップを含むことを暗示するが、いずれの他の要素またはステップを除外することを暗示しない、と理解される。
【0057】
一般に、本明細書に記載の装置および/または方法のいずれも包括的であると理解されるべきであるが、構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットは、代替的に排他的であってもよく、様々な構成要素、ステップ、サブ構成要素またはサブステップ「からなる(consisting of)」または代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」として表現されてもよい。
【0058】
実施例で使用されるものを含め、ここで本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、特に明示的に指定されない限り、すべての数は、その用語が明示的に表示されない場合であっても、「約」または「およそ」という語で始まるかのように読まれ得る。「約」または「およそ」という句は、大きさおよび/または位置を説明するときに使用され、その結果、説明される値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すことができるようになる。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有することができる。本明細書に示された任意の数値はまた、文脈上別段の指示がない限り、その値をほぼまたはおよそ含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含むことを意図している。また、当業者が適切に理解するように、値が「以下」であると開示される場合、「値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、本特許出願全体で、データは多くの様々な形式で提供され、このデータは、終了点と開始点、およびデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それよりも小さい、それ以下、およびそれに等しいことが、10から15の間とともに開示されると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されることも理解される。例えば、10と15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0059】
様々な例示的な実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更を加えてもよい。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更され得、他の代替の実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全にスキップされ得る。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態には含めてもよく、他の実施形態には含めなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特徴が任意として記載されている場合、それは必ずしも任意として記載されていない他の特徴が必要であることを意味しない。
【0060】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示している。前述のように、他の実施形態を利用してそこから導き出してもよく、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行ってもよい。本発明の主題のそのような実施形態は、複数のものが実際に開示されている場合、単に便宜のために、そして本特許出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個別にまたは集合的に「発明」という用語によって言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書で例示および説明されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成は、示された特定の実施形態の代わりに使用され得る。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形を包含することを意図している。上記の実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討すると、当業者にとって明らかであろう。
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【国際調査報告】