(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ビーム制御器及びビーム制御方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/295 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G02F1/295
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500584
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2022093063
(87)【国際公開番号】W WO2023284399
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110801155.5
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007778
【氏名又は名称】無錫馭風智研科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Windsurf Technology (Wuxi) Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】鄭 學哲
(72)【発明者】
【氏名】李 晨蕾
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102AA28
2K102BA09
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC10
2K102BD09
2K102CA13
2K102DC08
2K102EA02
2K102EA05
2K102EB01
(57)【要約】
本発明は光フェーズドアレイベースのビーム制御器に関する。ビーム制御器は光フェーズドアレイ、自由空間収束領域及び共有光格子エミッタを含む。光フェーズドアレイは、ビームスプリッタと、ビームスプリッタに結合されたウェーブガイドアレイを含む。ビームスプリッタは初期ビームを複数のサブビームに等分するように構成される。ウェーブガイドアレイはサブビームに1対1に対応して配置された複数のウェーブガイドを含む。ウェーブガイドはサブビームを送受信するように構成される。複数のウェーブガイドの送信テール部分は扇形を呈して自由空間収束領域に集中する。自由空間収束領域は複数のサブビームを像面上に合成するように構成される。共有光格子エミッタは複数のサブビームを像面上に結合した合成ビームを回折して射出するように構成される。前記ビーム制御器は、合成ビームを制御して、大きな角度での射出を実現すると同時に高い走査出力効率を有するように制御できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光フェーズドアレイ、自由空間収束領域、及び共有光格子エミッタを含み、前記光フェーズドアレイが、ビームスプリッタ及び前記ビームスプリッタに結合されたウェーブガイドアレイを含み、
前記ビームスプリッタは、初期ビームを複数のサブビームに等分するように構成され、
前記ウェーブガイドアレイは、前記サブビームと1対1に対応して配置される複数のウェーブガイドを含み、前記ウェーブガイドは、前記サブビームを送受信するように構成され、
複数の前記ウェーブガイドの送信テール部分は、扇形を呈して前記自由空間収束領域に集中し、前記自由空間収束領域は、複数の前記サブビームを像面に合成させるように構成され、
共有光格子エミッタは、複数の前記サブビームを前記像面に合成する合成ビームを回折して発射するように構成されることを特徴とするビーム制御器。
【請求項2】
前記像面の基準面上の正投影形状は、曲率半径Rの円弧線を含み、
前記自由空間収束領域の前記基準面上の正投影形状は、半径2Rのローランド円を含み、前記ローランド円の中心は前記円弧線上に位置することを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項3】
隣接する2つの前記ウェーブガイドの出力端の間の距離は、前記初期ビームの波長よりも短いことを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項4】
各隣接する2つの前記ウェーブガイドの出力端の間の距離が等しいことを特徴とする請求項3に記載のビーム制御器。
【請求項5】
隣接する2つの前記ウェーブガイドの送信距離の差と前記ウェーブガイドの群屈折率との積が、前記初期ビームの波長の整数倍であることを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項6】
前記ビームスプリッタは、スターカプラを含み、前記ウェーブガイドは、順に接続された送信ヘッド部分、送信中間部分及び送信テール部分を含み、
複数の前記ウェーブガイドの送信ヘッド部分は、扇形を呈して前記スターカプラに集中し、
複数の前記ウェーブガイドの送信中間部分は、平行に配置され、隣接する2つの前記送信中間部分の間の距離は、第1閾値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項7】
前記ビームスプリッタは、カスケード接続された複数の1×2ウェーブガイドビームスプリッタを含み、
前記ウェーブガイドは、順次接続された送信ヘッド部分と送信テール部分を含み、複数の前記ウェーブガイドの送信ヘッド部分は、平行に配置され、隣接する2つの送信ヘッド部分の間の距離は、第2閾値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項8】
前記ウェーブガイドアレイは、各前記ウェーブガイド上に統合された可制御移相器をさらに備え、前記可制御移相器は、前記サブビームの位相を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項9】
前記可制御移相器は、各前記ウェーブガイド上に設置された金属加熱層を含むか、
又は、前記ウェーブガイドは、ドープウェーブガイドであり、前記可制御移相器は、前記ドープウェーブガイドに接続された金属電極を含むことを特徴とする請求項8に記載のビーム制御器。
【請求項10】
前記ウェーブガイドアレイは、各前記ウェーブガイドに統合された可変光減衰器をさらに備え、前記可変光減衰器は、前記ウェーブガイドの送信パワーを調整するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のビーム制御器。
【請求項11】
ビームスプリッタが初期ビームを複数のサブビームに等分し、1つの前記サブビームを1つのウェーブガイドに送信する工程と、
複数の前記ウェーブガイドがそれぞれ対応する前記サブビームを自由空間収束領域に送信する工程と、
複数の前記サブビームを前記自由空間収束領域内で像面上に合成する工程と、
共有光格子エミッタが複数の前記サブビームを前記像面上に合成した合成ビームを回折して射出する工程と、
を含むことを特徴とするビーム制御方法。
【請求項12】
前記ビーム制御方法は、
前記初期ビームの波長を調整し、前記合成ビームの走査角が第1方向に沿って変化させる工程と、
前記サブビームの位相を調整し、前記合成ビームの走査角を第2方向に沿って変化させる工程と、
をさらに含み、
前記第1方向は、前記第2方向と直交することを特徴とする請求項11に記載のビーム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信技術分野に関し、特にビーム制御器及びビーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビーム制御は、レーザーレーダ、自由空間光通信などの分野における重要な技術の1つであり、ホログラフィックディスプレイ、生物学的イメージングなどの分野にも応用できる。現在、シリコンベースのフォトニクス技術の発展に伴って、ビーム制御は光フェーズドアレイ(OPA)を使用して実現されており、小型、高速及び軽量等の利点を有することができる。
【0003】
例えば、光フェーズドアレイ(OPA)は、スターカプラ又はビームスプリッタと、スターカプラ又はビームスプリッタに結合されたウェーブガイドアレイとを含む。ウェーブガイドアレイは、平行且つ一列に配置されたN個のウェーブガイドで構成され、各ウェーブガイドは、可制御移相器と統合され、各ウェーブガイドは、更に2次線形光格子に結合される。複数の2次線形光格子が等間隔で配置されて、レーザー出力デバイスとして機能する1次元光アンテナアレイを構成する。
【0004】
但し、光フェーズドアレイ(OPA)は、通常、ミクロンスケールの波長範囲で動作する。2次線形格子によって射出されるビームの発散角をできるだけ小さくするために、通常、弱い光格子を使用して、比較的長い距離において、ウェーブガイドが伝送するビームをウェーブガイド表面に対して垂直に射出する必要がある。弱い光格子のサイズが大きいため、ビーム走査中に光格子のサイドローブが発生しないことを保証することを前提として、隣接する2次線形光格子の間の距離は比較的小さく、対応する平行に配置されたウェーブガイドの間で結合クロストークが発生し易くなる。また、ウェーブガイドの送信距離が長くなるほど、発生するクロストークは大きくなる。これにより、射出角度の減少、走査出力効率の低下など、光フェーズドアレイの光学性能に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、本発明の実施形態は、大きな角度の射出を実現すると同時に高い走査出力効率を有するように合成ビームを制御できるビーム制御器及びビーム制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、一方で、本発明の実施形態は、ビーム制御器を提供する。前記ビーム制御器は、光フェーズドアレイ、自由空間収束領域、及び共有光格子エミッタを含む。光フェーズドアレイは、ビームスプリッタ及びビームスプリッタに結合されたウェーブガイドアレイを含む。ビームスプリッタは、初期ビームを複数のサブビームに等分するように構成される。ウェーブガイドアレイは、サブビームと1対1に対応して配置された複数のウェーブガイドを含む。前記ウェーブガイドは、サブビームを送受信するように構成される。複数のウェーブガイドの送信テール部分は、扇形を呈して自由空間収束領域に集中している。自由空間収束領域は、複数のサブビームを像面上に合成させるように構成される。共有光格子エミッタは、複数のサブビームを像面上に合成した合成ビームを回折して発射するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態では、複数のサブビームの合成、及び合成ビームの射出が分けて独立して行われ、即ち、サブビームの合成は、自由空間収束領域内のフリーフォーカスによって完了され、対応する合成ビームの射出は、共有光格子エミッタの回折によって完了される。このようにして、共有光格子エミッタの構造は、合成ビームの射出要件のみについて設計すればよく、サブビーム合成の要求によって制限される必要がなく、即ち、複数のサブビームを合成ビームに集束させる機能と、合成ビームを回折して射出する機能を同時に兼ね備える必要がない。これにより、共有光格子エミッタは、より大きなビーム射出角度を有することができる。
【0008】
さらに、複数のウェーブガイドの送信テール部分は、扇形を呈して自由空間収束領域に集中し、ウェーブガイド内の主送信部分の送信効果に影響を与えることがない基礎に、ウェーブガイド送信テール部分の間の距離を徐々に減らすことができ、例えば、隣接する2つのウェーブガイドの出力端の間の距離は、初期ビームの波長よりも小さいか、初期ビームの波長の2分の1よりも小さくなる。ここで、ウェーブガイドの出力端は、即ち、送信テール部分と自由空間光合成領域との境界の端部である。これにより、複数のサブビームを集束させた後の合成ビームにおける光格子サイドローブの発生を効果的に抑制して、ビーム制御器の走査出力効率を確保又は向上させることができる。
【0009】
まとめると、本発明の実施形態が提供するビーム制御器は、合成ビームが大角度射出を実現すると同時に、高い走査出力効率を有するように制御することができる。
【0010】
一部の実施形態において、像面の基準面上の正投影形状は、曲率半径Rの円弧線を含む。自由空間収束領域の基準面上の正投影形状は、曲率半径2Rのローランド円を含み、ローランド円の中心は前記円弧線上に位置する。
【0011】
一部の実施形態において、隣接する2つのウェーブガイドの出力端の間の距離は、初期ビームの波長よりも短い。選択的に、各隣接する2つのウェーブガイドの出力端の間の距離が等しい。このように、ウェーブガイドアレイ中の複数のウェーブガイドに同じ出力距離をもたせることで、2つのウェーブガイドの間の送信距離の差値について容易に設計及び制御を行うことができる。
【0012】
一部の実施形態において、隣接する2つのウェーブガイドの送信距離の差とウェーブガイドの群屈折率との積が、初期ビームの波長の整数倍である。このように、複数のウェーブガイドが送信する複数のサブビームは、自由空間収束領域内で空間回折重ね合わせを容易に行い、焦点を合わせて合成ビームを像面に形成する。
【0013】
別の一部の実施形態において、ビームスプリッタは、カスケード接続された複数の1×2ウェーブガイドビームスプリッタを含む。ウェーブガイドは、順次接続された送信ヘッド部分と送信テール部分を含む。複数のウェーブガイドの送信ヘッド部分は、平行に配置され、隣接する2つの送信ヘッド部分の間の距離は、第2閾値よりも大きい。
【0014】
前記第1閾値及び第2閾値は、実際の必要に応じて選択して設定することができ、隣接する2つのウェーブガイドが平行に設置された送信部分の距離が、サブビームの送信に対して結合クロストークを生じないように制限される。
【0015】
一部の実施形態において、ウェーブガイドアレイは、各ウェーブガイド上に統合された可制御移相器をさらに備える。可制御移相器は、サブビームの位相を制御するように構成される。
【0016】
選択的に、可制御移相器は、各ウェーブガイド上に設置された金属加熱層を含む。
【0017】
選択的に、ウェーブガイドは、ドープウェーブガイドであり、可制御移相器は、ドープウェーブガイドに接続された金属電極を含む。
【0018】
一部の実施形態において、ウェーブガイドアレイは、各ウェーブガイドに統合された可変光減衰器をさらに備える。可変光減衰器は、ウェーブガイドの送信パワーを調整するように構成される。これにより、可変光減衰器を利用してサブビームの強度を制御し、任意の形式のビーム合成を実現することができる。
【0019】
一部の実施形態において、本発明の一部の実施形態は、上記一部の実施形態のビーム制御器に応用するビーム制御方法を提供している。前記ビーム制御方法が含む工程は、以下のとおりである。
ビームスプリッタが初期ビームを複数のサブビームに等分し、1つのサブビームを1つのウェーブガイドに送信する。
複数のウェーブガイドがそれぞれ対応するサブビームを自由空間収束領域に送信する。
複数のサブビームを自由空間収束領域内で像面上に合成する。
共有光格子エミッタが複数のサブビームを像面上に合成した合成ビームを回折して射出する。
【0020】
一部の実施形態において、前記ビーム制御方法は、以下の工程を更に含む。
初期ビームの波長を調整し、合成ビームの走査角が第1方向に沿って変化させる。サブビームの位相を調整し、合成ビームの走査角を第2方向に沿って変化させる。ここで、第1方向は、第2方向と直交する。
【0021】
本発明の実施形態が提供するビーム制御方法は、前記一部の実施形態のビーム制御器に適用される。前記ビーム制御器が実現できる技術効果は、前記ビーム制御方法によっても実現することができ、ここでは詳細に説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態が提供するビーム制御器の平面説明図である。
【
図2】一実施形態が提供する別のビーム制御器の平面説明図である。
【
図3】一実施形態が提供する自由空間収束領域の構造説明図である。
【
図4】一実施形態が提供する共有光格子エミッタの構造説明図である。
【
図5】一実施形態が提供するウェーブガイドアレイの構造説明図である。
【
図6】一実施形態が提供する初期ビームの合成光路と射出光路の説明図である。
【
図7】一実施形態が提供する別の初期ビームの合成光路と射出光路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を理解し易くするため、以下では、関連図面を参照して本発明に対してより全面的に説明する。図面において、本発明の実施形態を挙げている。但し、本発明は、多くの異なる形式で実現することができ、本文に記載する実施形態に限定するものではない。反対に、これら実施形態を提供する目的は、本発明の開示内容をより詳細に全面的にすることである。
【0024】
別途定義していない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明で使用される用語は、具体的な実施形態を説明することを目的とするのみであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0025】
なお、要素又は層が別の要素又は層の「上にある」、「に隣接する」、「に接続される」又は「に結合される」と称される場合、それは直接的に他の要素又は層の上にある、隣接する、接続される又は結合されていよく、又は、中間の要素又は層が存在していてもよい。これに対し、要素が他の要素又は層に「直接上にある」「に直接隣接する」、「に直接接続される」又は「に直接結合される」と称される場合は、中間の要素又は層が存在しない。
【0026】
なお、第1、第2、第3などの用語を用いて各種要素、部材、領域、層及び/又は部分を説明することができるが、これらの要素、部材、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部材、領域、層又は部分と別の要素、部材、領域、層又は部分とを区別するものに過ぎない。したがって、本発明の教示を逸脱しない場合、以下で説明する第1要素、部材、領域、層又は部分は、第2要素、部材、領域、層又は部分と表してもよいものである。
【0027】
例えば「~下」、「~下面」、「下面の」、「~の下」、「~の上」、「上面の」などの空間関係用語は、ここでは、図面に示される1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために使用され得る。なお、図に示されている向き以外に、空間関係用語は、使用及び操作中のデバイスの異なる向きも含む。例えば、図中のデバイスが反転する場合、「他の要素の下面」又は「その下」として記載された要素又は特徴は、他の要素又は特徴の「上」に向けられることになる。したがって、例示的な用語「~の下面」及び「~下」は、上と下の2つの向きを含み得る。また、デバイスは、別の向き(例えば、90度回転又は他の向き)であってもよく、ここで使用される空間用語は、それに応じて解釈される。
【0028】
使用される場合、単数形の「一」、「1つ」及び「前記/当該」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も同様に含むことができる。また、「備える/含む」又は「有する」などの用語は、記載された特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分、又はそれらの組み合わせの存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分又はそれらの組み合わせの存在又は添加を排除するものではない。同時に、本明細書において、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0029】
ここで、本発明の好適実施形態(及び中間構造)の説明図としての項断面図を参照し、本発明の実施形態を説明するが、例えば製造技術及び/又は公差によって示される形状の変化は、予期し得るものである。したがって、本発明の実施形態は、ここで示す領域の特定形状に限定するものではなく、例えば製造技術による形状の偏差を含むものである。図示される領域は、実質的に説明用であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0030】
図1及び
図2を参照し、本発明の一部の実施形態は、光フェーズドアレイベースのビーム制御器100を提供する。ビーム制御器100は、光フェーズドアレイ1、自由空間収束領域2、及び共有光格子エミッタ3を含む。光フェーズドアレイ1は、ビームスプリッタ11と、ビームスプリッタ11に結合されたウェーブガイドアレイ12とを含む。ビームスプリッタ11は、初期ビームを複数のサブビームに等分するように構成される。ウェーブガイドアレイ12は、サブビームに1対1に対応して配置された複数のウェーブガイド120を含む。ウェーブガイド120は、サブビームを送受信するように構成される。複数のウェーブガイド120の送信テール部分は、扇形を呈して自由空間光合成領域2に集中する。自由空間収束領域2は、像面S
0上に複数のサブビームを合成するように構成される。共有光格子エミッタ3は、複数のサブビームが像面S
0上に合成した合成ビームを回折して発射するように構成される。
【0031】
ビームスプリッタ11は、スターカプラであってよく、又は複数の1×2ウェーブガイドビームスプリッタがカスケード接続されて構成されてもよい。ビームスプリッタ11は、初期ビームを複数のサブビームに等分するように構成され、少なくとも1つの入力端及び複数の出力端を有する。ビームスプリッタ11の入力端は、光源に結合され、ビームスプリッタ11の一方の出力端は、1つのサブビームを対応して出力する。
【0032】
選択的に、光源は、レーザチップであり、光源によって放射される光ビームは、波長が950~1550nmの間である近赤外光ビームである。光源からビームスプリッタ11に送信される光ビームは、初期ビームであり、初期ビームの波長は、光源によって調整可能である。
【0033】
ウェーブガイドアレイ12内のウェーブガイド120の数は、ビームスプリッタ11の出力端の数に対応し、例えば、両者は同じである。ウェーブガイド120は、平面光ウェーブガイドである。ビームスプリッタ11及びウェーブガイドアレイ12は、二酸化ケイ素(SiO2)、ガラス、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、III-V族半導体化合物、シリコン・オン・インシュレータ(Silicon-on-Insulator,SOI/SIMOX)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、高分子ポリマー(Polymer)などの材料から作製することができる。
【0034】
ビームスプリッタ11の構造の違いに応じて、ウェーブガイド120の構造も異なる。
【0035】
一部の例では、
図1に示すように、ビームスプリッタ11は、スターカプラであり、ビームスプリッタ11の複数の出力端が円周に沿って分布している。ウェーブガイド120は、順に接続された送信ヘッド部分1210、送信中間部分1215及び送信テール部分1220を含む。複数のウェーブガイド120の送信ヘッド部分1210は、扇形を呈してスターカプラに集中し、1つのウェーブガイド120の送信ヘッド部分1210は、スターカプラの1つの出力端に対応して接続される。複数のウェーブガイド120の送信中間部分1215は、平行に配置され、隣接する2つの送信中間部分1215の間の距離D1は、第1閾値よりも大きい。複数のウェーブガイド120の送信テール部分は、扇形を呈して自由空間光合成領域2に集中する。
【0036】
別の例では、
図2に示すように、ビームスプリッタ11は、複数の1×2ウェーブガイド型ビームスプリッタ111をカスケード接続して構成され、ビームスプリッタ11の複数の出力端が平行に配置される。ウェーブガイド120は、順に接続された送信ヘッド部分1210と送信テール部分1220とを含む。複数のウェーブガイド120の送信ヘッド部分1210は、平行に配置され、且つ隣接する2つの送信ヘッド部分1210間の距離D2は、第2閾値よりも大きい。
【0037】
ここで、ウェーブガイド120の送信距離は通常長いが、ウェーブガイド120の主要送信部分を隣接するウェーブガイド120が平行に設置された送信部分、例えば、
図1における送信中間部分1215又は
図2における送信ヘッド部分1210とさせるために、ウェーブガイド120の送信テール部分1220の長さはできるだけ短く設定する必要があることが理解できる。これに基づいて、第1閾値及び第2閾値は、実際の必要に応じて選択及び設定することができ、隣接する2つのウェーブガイド120が平行に設置された送信部分の間隔がサブビームの送信に対して結合クロストークを引き起こさないように制限される。ウェーブガイド120の送信テール部分1220の長さが短いことにより、複数のウェーブガイド120の送信テール部分1220が扇形を呈して集中し、隣接する2つの送信テール部分1220の間の距離は徐々に狭くなっているが、隣接する2つの送信テール部分1220の間のサブビームの送信に対する結合クロストークを無視することができる。
【0038】
本発明の実施形態では、複数のウェーブガイド120の送信テール部分は、扇形を呈して自由空間収束領域2に集中し、ウェーブガイドアレイ12によって出力される複数のサブビームの合成は、自由空間収束領域2で完了することができ、例えば、複数のサブビームが像面S0をフォーカスさせ、像面S0は、複数のサブビームが自由空間収束領域2内でデフォーカスされた後の仮想結像面である。自由空間収束領域2は、自由伝播領域(Free Propagation Region、略称FPR)である。
【0039】
選択的に、
図3に示すように、像面S
0は円弧面であり、基準面上の像面S
0の正投影形状は、曲率半径Rの円弧線L
aを含む。これに対応して、自由空間収束領域2の基準面上の正投影形状は、半径が2Rのローランド円R
cを含み、前記ローランド円R
cの中心O
1は、前記円弧線L
a上に位置する。
【0040】
ここで、基準面とは、例えば、
図1、
図2、
図3に示す水平面など、ウェーブガイドアレイ12が配置される平面と平行な平面を指す。さらに、これに基づいて、複数のウェーブガイド120の送信テール部分は、扇形を呈して自由空間光合成領域2に集中しており、これは、複数のウェーブガイド120の出力端がローランドサークルR
cの円周に沿って分布していることを指す。
【0041】
本発明の実施形態では、共有光格子エミッタ3は、複数のサブビームを像面S
0上に合成した合成ビームを回折して発射するように構成され、同心の2段階光格子構造を採用することができる。例えば、
図4に示すように、共有光格子エミッタ3は、曲率中心O
3が同じ複数の円弧形歯31から構成される。本発明の実施形態では、合成光ビームが像面S
0から共有光格子エミッタ3内に直接放射され得る限り、円弧形歯31の数、曲率半径などを限定しない。
【0042】
選択的に、像面S
0は、円弧形歯31とその曲率中心O
3とによって囲まれた領域に位置する。例えば、
図3及び
図4と併せて、像面S
0の曲率中心O
2が円弧形歯31の曲率中心O
3と同じであることを理解されたい。或いは、別の例として、引き続き
図3及び
図4を参照し、像面S
0が、共有光格子エミッタ3において曲率半径が最も小さい円弧状歯31の内面と重なることを理解されたい。
【0043】
このように、複数のサブビームを像面S0に合成した合成ビームは、フォーカス方向に沿って共有光格子エミッタ3まで直線的に送信し、共有光格子エミッタ3で回折させて射出することができる。即ち、複数のサブビームが像面S0上にフォーカスされた合成ビームは、像面S0の周方向に垂直な光放射方向に沿って共有光格子エミッタ3に送信される。共有光格子エミッタ3は、波長選択機能を有し、合成ビームの波長が共有光格子エミッタ3の光格子方程式を満たす条件下では、合成ビームは、共有光格子エミッタ3を介して一定の角度の回折及び射出を実現することができる。さらに、初期ビームの波長及び位相が異なる場合、対応する合成ビームが像面S0にフォーカスする位置及び合成ビームの射出角度も異なる。共有光格子エミッタ3は、同心に配置された複数の円弧形歯31を採用し、像面S0を円弧形歯31とその曲率中心O3とで囲まれた領域に位置させることで、複数の円弧形歯31を1つの全体として、像面S0上の任意の位置の合成ビームに対して回折して射出することができる。
【0044】
また、共有光格子エミッタ3は、上記構造を採用することで、隣接する2つの円弧形歯31の間の間隔の大きさによって合成ビームの回折及び射出に結合クロストークを生じることがない。このように、ウェーブガイドアレイ12内のウェーブガイド120の数も、共有光格子エミッタ3のサイズが小さいため、極力減らす必要がなく、ビーム制御器100の送信パワーを向上させるのに有利である。
【0045】
要約すると、本発明の実施形態では、複数のサブビームの合成、及び合成ビームの射出が独立して行われ、即ち、複数のサブビームの合成は、自由空間収束領域2でのフリーフォーカスによって完了し、対応する合成ビームの射出が共有光格子エミッタ3によって回折されて完了する。このように、共有光格子エミッタ3の構造は、合成ビームの射出の必要に応じて設計することができ、もはやサブビーム合成の必要によって制限される必要はなく、即ち、複数のサブビームを合成ビームにフォーカスさせる機能、及び合成ビームを回折して射出する機能を同時に兼ね備える必要がない。したがって、共有光格子エミッタ3は、より大きなビーム射出角を有することができる。
【0046】
また、複数のウェーブガイド120の送信テール部分は扇形を呈して自由空間収束領域2に集中しているため、主要送信部分の送信効果に影響を与えることなく、ウェーブガイド120の送信テール部分1220の間の間隔を徐々に縮小することができ、例えば、隣接する2つのウェーブガイド120の出力端の間の距離を、初期ビームの波長よりも小さく、又は初期ビームの波長の半分よりも小さくする。ここで、ウェーブガイド120の出力端は、送信テール部分1220と自由空間光合成領域2との境界の端部である。したがって、複数のサブビームのフォーカス後の合成ビームにおける光格子サイドローブの発生を効果的に抑制して、ビーム制御器100の走査出力効率を確保又は向上させることができる。
【0047】
可能な一実施形態では、2つの隣接するウェーブガイド120の送信距離の差とウェーブガイド120の群屈折率との積は、初期ビームの波長の整数倍であることに留意されたい。このように、複数のウェーブガイド120によって送信される複数のサブビームは、容易に自由空間収束領域2内で空間的に回折して重畳され、像面S0上で合成ビームにフォーカスされる。
【0048】
この基礎において、選択的に、
図5に示すように、各隣接する2つのウェーブガイド120の出力端の間の距離D3は等しく、ウェーブガイドアレイ12内の複数のウェーブガイド120に同じ出力間隔をもたせることで、隣接する2つのウェーブガイド120の間の送信距離の差値に基づいて設計及び制御を行うことが容易になる。
【0049】
一部の実施形態では、引き続き
図5を参照し、ウェーブガイドアレイ12は、各ウェーブガイド120上に統合された可制御移相器(Phase Shifter)121をさらに含む。可制御移相器121は、サブビームの位相を制御するように構成される。このように、可制御移相器121を使用してサブビームの位相を調整することによって、ウェーブガイドアレイ12内の複数のサブビームの相対的な位相分布を制御することができる。
【0050】
可制御移相器121の構造は、実際の必要に応じて選択及び設定することができる。例えば、可制御移相器121は、各ウェーブガイド120上に配置された金属加熱層であり、このようにして、金属加熱層が提供する加熱温度によって対応するサブビームの位相を制御することができる。或いは、別の例として、ウェーブガイド120は、ドープウェーブガイドであり、可制御移相器121は、ウェーブガイド120に接続された金属電極であり、このようにして、金属電極が送信する電気信号によって対応するサブビームの位相を制御することができる。
【0051】
以上のことから、初期ビームの波長を調整することにより、合成ビームの射出角度を垂直面内で変化させ、合成ビームを第1方向(例えば垂直方向)に走査することができる。初期ビームの波長は、合成ビームの垂直方向の走査角度を決定することができる。可制御移相器121が対応するサブビームの位相変化を制御することによって、合成ビームを水平面内の像面S0の周方向に沿って異なる位置にフォーカスさせ、合成ビームの水平方向の走査を実現することができる。サブビームの位相は、複合ビームの第2方向(例えば水平方向)における走査角度を決定することができる。また、初期ビーム波長の調整、及びサブビーム位相の調整は、選択的に又は同時に実行することができる。
【0052】
異なる波長と異なる位相の合成ビームに対する影響をより明確に説明するために、
図6及び
図7に、2種の合成ビームの異なる波長と異なる位相制御下における光路をそれぞれ示す。
【0053】
図6に示すように、初期ビームの波長はλ
1であり、サブビームの位相制御は、第1制御方式を採用している。ウェーブガイドアレイ12によって自由空間収束領域2に送信された複数のサブビームは、自由空間内で回折及び重畳され、像面S
0のA点位置にフォーカスし(
図6の(a)に示す)、共有光格子エミッタ3の作用の下、挟み角α
1で水平面(即ち、ビーム制御器100の表面)から射出することができる(
図6の(b)に示す)。
【0054】
図7に示すように、初期ビームの波長はλ
2であり、サブビームの位相制御は、第2制御方式を採用し、ここで、λ
2≠λ
1であり、第1制御方式は第2制御方式とは異なる。ウェーブガイドアレイ12によって自由空間収束領域2に送信された複数のサブビームは、自由空間内で回折及び重畳され、像面S
0のB点位置にフォーカスすることができる(
図7の(a)に示す)、共有光格子エミッタ3の作用の下、挟み角α
2で水平面(即ち、ビーム制御器100の表面)から射出することができる(
図7の(b)に示す)。
【0055】
一部の実施形態では、引き続き
図5を参照し、ウェーブガイドアレイ12は、各ウェーブガイド120に統合された可変光減衰器(Variable Optical Attenuator、略称VOA)122をさらに含む。可変光減衰器122は、ウェーブガイド120の送信パワーを調整するように構成される。したがって、可変光減衰器122を使用してサブビームの強度を制御し、任意の形式のビーム合成を実現することができる。
【0056】
可変光減衰器122の構造は、実際の必要に応じて選択及び設定することができる。選択的に、可変光減衰器122は、マッハツェンダー干渉計(MZI)からなる。マッハツェンダー干渉計(MZI)を使用してサブビームの位相を調整することにより、任意の比率のパワー減衰を実現することができる。
【0057】
本発明の一部の実施形態は、上述した一部の実施形態におけるビーム制御器100に適用されるビーム制御方法を提供する。前記ビーム制御方法は、S100~S400を含む。
【0058】
S100では、ビームスプリッタ11は、初期ビームを複数のサブビームに等分し、各サブビームをウェーブガイド120に送信する。
【0059】
ここで、ビームスプリッタ11は、スターカプラであってよく、又は複数の1×2ウェーブガイドビームスプリッタをカスケード接続して構成されるものであってもよい。ビームスプリッタ11の入力端は、光源に結合され、ビームスプリッタ11の出力端は、ウェーブガイド120に結合される。
【0060】
また、光源は、例えば、レーザチップであり、光源が射出するビームは、波長が950~1550nmの間の近赤外光ビームであってよい。光源からビームスプリッタ11に送信されるビームは、初期ビームであり、初期ビームの波長は、光源によって調整可能である。
【0061】
S200において、複数のウェーブガイド120は、それぞれ対応するサブビームを自由空間収束領域2に送信する。
【0062】
ここで、複数のウェーブガイド120の送信テール部は、扇形を呈して自由空間光合成領域2内に集中している。
【0063】
また、ウェーブガイド120の送信距離は、通常比較的長いが、ウェーブガイド120における主要送信部分を隣接するウェーブガイド120と平行に設置された送信部分、例えば、
図1における送信中間部分1215又は
図2における送信ヘッド部分1210とさせるため、ウェーブガイド120の送信テール部分1220の長さは、できるだけ短く設定する必要があることが理解できる。これに基づいて、隣接するウェーブガイド120における平行な送信部分の間の間隔は、サブビームの送信に対して結合クロストークを引き起こさないように制限される。ウェーブガイド120の送信テール部分1220の長さは比較的短いため、複数のウェーブガイド120の送信テール部分1220が扇形を呈して集中し、隣接する2つの送信テール部分1220間の距離を徐々に減少させているが、隣接する2つの送信テール部分1220の間のサブビーム送信に対する結合クロストークを無視することができる。
【0064】
S300では、複数のサブビームが自由空間収束領域2内の像面S0上に合成される。
【0065】
複数のウェーブガイド120の送信テール部分は、扇形を呈して自由空間収束領域2に集中し、ウェーブガイドアレイ12によって出力される複数のサブビームの合成を自由空間収束領域2内で完了することができ、例えば、複数のサブビームを像面SO上にフォーカスさせ、像面S0は、複数のサブビームが自由空間収束領域2内にフォーカスした後の仮想結像面である。自由空間収束領域2は、自由伝播領域(FreePropagationRegion、略してFPR)である。
【0066】
S400では、共有光格子エミッタ3が複数のサブビームを像面S0上に合成した合成ビームを回折して射出する。
【0067】
複数のサブビームが像面S0に合成された合成ビームは、フォーカス方向に沿って共有光格子エミッタ3まで直線的に送信され、共有光格子エミッタ3によって回折して射出される。即ち、複数のサブビームによって像面S0にフォーカスされた合成ビームは、像面S0の周方向に垂直な光射出方向に沿って共有光格子エミッタ3に送信される。共有光格子エミッタ3は、波長選択機能を有しており、合成ビームの波長が共有光格子エミッタ3の光格子方程式を満たす条件下では、合成ビームは、共有光格子エミッタ3を介して一定の角度で回折して射出される。また、初期ビームの波長及び位相が異なる場合、合成光束が像面S0にフォーカスする位置及び合成ビームの射出角度も対応して異なる。
【0068】
本発明の実施形態が提供するビーム制御方法は、前述の一部の実施形態のビーム制御器に適用される。前述のビーム制御器によって実現可能な技術効果は、前記ビーム制御方法によっても実現することができるため、ここでは詳細に説明しない。
【0069】
一部の実施形態では、ビーム制御方法は、S500をさらに含む。
【0070】
S500では、初期ビームの波長を調整し、合成ビームの走査角度を第1方向に沿って変化させる。サブビームの位相を調整し、合成ビームの走査角度を第2方向に沿って変化させる。ここで、第1方向は、第2方向と直交する。
【0071】
ここで、初期ビームの波長は、光源を制御することによって調整することができる。
【0072】
サブビームの位相は、各ウェーブガイド120上に統合された可制御移相器(Phase Shifter)121によって実現することができる。例えば、可制御移相器121は、各ウェーブガイド120上に配置された金属加熱層であり、このように、金属加熱層が提供する加熱温度によって対応するサブビームの位相を制御することができる。或いは、別の例として、ウェーブガイド120はドープウェーブガイドであり、可制御移相器121は、各ウェーブガイド120に接続された金属電極であり、このように、金属電極が送信する電気信号によって対応するサブビームの位相を制御することができる。
【0073】
第1方向は、例えば、垂直方向であり、第2方向は、例えば、水平方向である。
【0074】
また、S500及びS300、S400の間で順序における必然的な制限はなく、即ち、何れが先に実行されてもよく、或いは、同時実行されてもよい。
【0075】
一部の実施形態では、ビーム制御方法は、S600をさらに含む。
【0076】
S600では、ウェーブガイドの送信パワーを調整してサブビームの強度を変更する。
【0077】
ここで、ウェーブガイドの送信パワーは、各ウェーブガイド120に統合された可変光減衰器122によって実現することができる。
【0078】
例えば、可変光減衰器122は、マッハツェンダー干渉計(MZI)により構成される。マッハツェンダー干渉計(MZI)を使用してサブビームの位相を調整することにより、任意の比率のパワー減衰を実現することができる。したがって、サブビームの強度を制御して、任意の形式のビーム合成を実現することができる。
【0079】
また、S600とS300、S400、S500との間で順序における必然的制限はなく、何れが先に実行されてもよく、同時実行されてもよい。
【0080】
上記実施形態の各技術特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするため、上記実施例における各技術特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾がない限り、何れも本明細書に記載の範囲であるとみなされるべきである。
【0081】
上記の実施形態は、本発明のいくつかの実施形態を表現しているのみであり、その説明は比較的具体的かつ詳細であるが、これが発明特許の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者にとって、本発明の概念から逸脱することなく幾らかの変形及び改良を行うことができ、これらは何れも本発明の保護範囲内に含まれることに留意されたい。したがって、本発明特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
100 ビーム制御器
1 光学フェーズドアレイ
2 自由空間収束領域
3 共有光格子エミッタ
11 ビームスプリッタ
12 ウェーブガイドアレイ
120 ウェーブガイド
1210 送信ヘッド部分
1215 送信中間部分
1220 送信テール部分
121 可制御移相器
122 可変光減衰器
31 円弧形歯
111 1×2ウェーブガイドビームスプリッタ
S0 像面
La 円弧線
Rc ローランド円
D1 隣接する送信中間部分の間の距離、
D2 隣接する送信ヘッド部分の間の距離
D3 隣接する出力端の間の距離
O1 ローランド円の中心
O2 像面の曲率中心
O3 円弧形歯の曲率中心
α1及びα2 異なる波長条件下での合成ビームの垂直方向の射出角度
A及びB 異なる位相条件下での合成ビームの水平方向のフォーカス位置
【国際調査報告】