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特表2024-524596カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤で皮膚癌を処置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤で皮膚癌を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240628BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240628BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240628BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61K31/711
A61K31/713
A61K31/7105
A61K45/00 101
A61K31/4745
A61K31/513
A61K31/5377
A61K31/4402
A61K39/395 N
A61K31/7048
A61K31/506
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/09 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500598
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022073436
(87)【国際公開番号】W WO2023283556
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,464
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ホロウィッツ、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】セムラウ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】アベカシス、ゴンサロ
(72)【発明者】
【氏名】サーストン、ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルゲンソン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】バラス、アリス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA20
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC43
4C086BC50
4C086BC73
4C086CB05
4C086EA11
4C086EA16
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、皮膚癌を有する対象を処置するまたは対象が皮膚癌を発症することを予防する方法、及び皮膚癌を発症する増加したリスクを有する対象を同定する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚癌を有する対象を処置するまたは対象が皮膚癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
非黒色腫皮膚癌を有する対象を処置するまたは対象が非黒色腫皮膚癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
基底細胞癌を有する対象を処置するまたは対象が基底細胞癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
扁平上皮癌を有する対象を処置するまたは対象が扁平上皮癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
黒色腫を有する対象を処置するまたは対象が黒色腫を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
メルケル細胞癌を有する対象を処置するまたは対象がメルケル細胞癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
隆起性皮膚線維肉腫を有する対象を処置するまたは対象が隆起性皮膚線維肉腫を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
脂腺癌を有する対象を処置するまたは対象が脂腺癌を発症することを予防する方法であって、前記方法は、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
前記CPVL阻害剤は、CPVL核酸分子にハイブリダイズする阻害性核酸分子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記阻害性核酸分子は、アンチセンス核酸分子、低分子干渉RNA(siRNA)、またはショートヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記CPVL阻害剤は、Casタンパク質及びCPVLゲノム核酸分子内のgRNA認識配列にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記Casタンパク質は、Cas9またはCpf1である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記gRNA認識配列は、配列番号1内に位置する、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が、前記gRNA認識配列の約2~約6ヌクレオチド下流にある、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記gRNAは、約17~約23ヌクレオチドを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記gRNA認識配列は、配列番号57~76のいずれか1つによるヌクレオチド配列を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の存在または非存在を検出することをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量で対象に投与することをさらに含み、前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、前記生物学的サンプルに非存在である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象に投与することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記CPVLの予測されるミスセンスバリアント核酸分子は、スプライス部位バリアント、ストップゲインバリアント、スタートロスバリアント、ストップロスバリアント、フレームシフトバリアント、もしくはインフレームインデルバリアント、または切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするバリアントである、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
皮膚癌を処置または阻害する治療剤で対象を処置する方法であって、前記対象は、皮膚癌を有し、または皮膚癌を予防する治療剤を投与することによって対象が皮膚癌を発症することを予防する方法であって、
前記対象が、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするカルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを、
前記対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと;及び
前記対象が前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子を含む遺伝子型を有するかどうかを決定するために前記生物学的サンプルについて配列分析を実施することまたは実施したこと
によって決定する工程;及び
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量でCPVL参照である対象に投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を前記対象に投与する工程;
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象に投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を前記対象に投与する工程;または
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象に投与する工程または投与を継続する工程;
を含み、前記CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する遺伝子型の存在は、前記対象が、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す、前記方法。
【請求項23】
前記対象は、CPVL参照であり、前記対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量で投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象は、CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合であり、前記対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、スプライス部位バリアント、ストップゲインバリアント、スタートロスバリアント、ストップロスバリアント、フレームシフトバリアント、もしくはインフレームインデルバリアント、または切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするバリアントである、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記CPVL阻害剤は、CPVL核酸分子にハイブリダイズする阻害性核酸分子を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記阻害性核酸分子は、アンチセンス核酸分子、低分子干渉RNA(siRNA)、またはショートヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記CPVL阻害剤は、Casタンパク質及びCPVLゲノム核酸分子内のgRNA認識配列にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記Casタンパク質は、Cas9またはCpf1である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記gRNA認識配列は、配列番号1内に位置する、請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が、前記gRNA認識配列の約2~約6ヌクレオチド下流にある、請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記gRNAは、約17~約23ヌクレオチドを含む、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記gRNA認識配列は、配列番号57~76のいずれか1つによるヌクレオチド配列を含む、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記皮膚癌は、基底細胞癌である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記皮膚癌は、黒色腫である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記皮膚癌は、脂腺癌である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記皮膚癌は、基底細胞癌であり、前記治療剤は、イミキモド、フルオロウラシル、セミプリマブ-rwlc、ソニデジブ、及びビスモデギブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌であり、前記治療剤は、セミプリマブ-rwlc及びペムブロリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記皮膚癌は、黒色腫であり、前記治療剤は、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、組換えインターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニボルマブ、ニボルマブ、ペギンテルフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、タリモジェンラヘルパレプベク、トラメチニブジメチルスルホキシド、及びベムラフェニブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌であり、前記治療剤は、アベルマブ、ペムブロリズマブ、及びエトポシド(VP16)、及びカルボプラチン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫であり、前記治療剤は、イマチニブである、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
皮膚癌を発症する増加したリスクを有する対象を同定する方法であって、前記方法は、
前記対象から得られた生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするカルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ミスセンスバリアント核酸分子の存在または非存在を決定することまたは決定したことを含み;
前記対象がCPVL参照である場合、そのときは前記対象は、皮膚癌を発症する増加したリスクを有し;
前記対象が前記CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合またはホモ接合である場合、そのときは前記対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有する、前記方法。
【請求項48】
前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、スプライス部位バリアント、ストップゲインバリアント、スタートロスバリアント、ストップロスバリアント、フレームシフトバリアント、もしくはインフレームインデルバリアント、または切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするバリアントである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記CPVLミスセンスバリアント核酸分子は、切断されたCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記対象は、CPVL参照であり、前記対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量で投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象は、CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合であり、前記対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記CPVL阻害剤は、CPVL核酸分子にハイブリダイズする阻害性核酸分子を含む、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記阻害性核酸分子は、アンチセンス核酸分子、低分子干渉RNA(siRNA)、またはショートヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記CPVL阻害剤は、Casタンパク質及びCPVLゲノム核酸分子内のgRNA認識配列にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)を含む、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記Casタンパク質は、Cas9またはCpf1である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記gRNA認識配列は、配列番号1内に位置する、請求項54または請求項55に記載の方法。
【請求項57】
プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が、前記gRNA認識配列の約2~約6ヌクレオチド下流にある、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記gRNAは、約17~約23ヌクレオチドを含む、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記gRNA認識配列は、配列番号57~76のいずれか1つによるヌクレオチド配列を含む、請求項53~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記皮膚癌は、基底細胞癌である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記皮膚癌は、黒色腫である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記皮膚癌は、脂腺癌である、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記皮膚癌は、基底細胞癌であり、前記治療剤は、イミキモド、フルオロウラシル、セミプリマブ-rwlc、ソニデジブ、及びビスモデギブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌であり、前記治療剤は、セミプリマブ-rwlc及びペムブロリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記皮膚癌は、黒色腫であり、前記治療剤は、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、組換えインターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニボルマブ、ニボルマブ、ペギンテルフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、タリモジェンラヘルパレプベク、トラメチニブジメチルスルホキシド、及びベムラフェニブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌であり、前記治療剤は、アベルマブ、ペムブロリズマブ、及びエトポシド(VP16)、及びカルボプラチン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫であり、前記治療剤は、イマチニブである、請求項47~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
対象における皮膚癌の処置及び/または予防において使用するための皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤であって、前記対象は、
a)カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;または
b)
i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;
ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;または
iii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子
についてヘテロ接合である、前記治療剤。
【請求項73】
前記皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項74】
前記皮膚癌は、基底細胞癌である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項75】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項76】
前記皮膚癌は、黒色腫である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項77】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項78】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項79】
前記皮膚癌は、脂腺癌である、請求項72に記載の治療剤。
【請求項80】
前記皮膚癌は、基底細胞癌であり、前記治療剤は、イミキモド、フルオロウラシル、セミプリマブ-rwlc、ソニデジブ、及びビスモデギブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項72に記載の治療剤。
【請求項81】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌であり、前記治療剤は、セミプリマブ-rwlc及びペムブロリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項72に記載の治療剤。
【請求項82】
前記皮膚癌は、黒色腫であり、前記治療剤は、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、組換えインターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニボルマブ、ニボルマブ、ペギンテルフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、タリモジェンラヘルパレプベク、トラメチニブジメチルスルホキシド、及びベムラフェニブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項72に記載の治療剤。
【請求項83】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌であり、前記治療剤は、アベルマブ、ペムブロリズマブ、及びエトポシド(VP16)、及びカルボプラチン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項72に記載の治療剤。
【請求項84】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫であり、前記治療剤は、イマチニブである、請求項72に記載の治療剤。
【請求項85】
対象における皮膚癌の処置及び/または予防において使用するためのカルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤であって、前記対象は、
a)CPVLゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;または
b)
i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;
ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;または
iii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子
についてヘテロ接合である、前記カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤。
【請求項86】
前記皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項87】
前記皮膚癌は、基底細胞癌である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項88】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項89】
前記皮膚癌は、黒色腫である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項90】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項91】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項92】
前記皮膚癌は、脂腺癌である、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項93】
前記皮膚癌は、基底細胞癌であり、前記治療剤は、イミキモド、フルオロウラシル、セミプリマブ-rwlc、ソニデジブ、及びビスモデギブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項94】
前記皮膚癌は、扁平上皮癌であり、前記治療剤は、セミプリマブ-rwlc及びペムブロリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項95】
前記皮膚癌は、黒色腫であり、前記治療剤は、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、組換えインターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニボルマブ、ニボルマブ、ペギンテルフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、タリモジェンラヘルパレプベク、トラメチニブジメチルスルホキシド、及びベムラフェニブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項96】
前記皮膚癌は、メルケル細胞癌であり、前記治療剤は、アベルマブ、ペムブロリズマブ、及びエトポシド(VP16)、及びカルボプラチン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項97】
前記皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫であり、前記治療剤は、イマチニブである、請求項85に記載のCPVL阻害剤。
【請求項98】
前記CPVL阻害剤は、CPVL核酸分子にハイブリダイズする阻害性核酸分子を含む、請求項85~97のいずれか1項に記載のCPVL阻害剤。
【請求項99】
前記阻害性核酸分子は、アンチセンス核酸分子、低分子干渉RNA(siRNA)、またはショートヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項98に記載のCPVL阻害剤。
【請求項100】
前記CPVL阻害剤は、Casタンパク質及びCPVLゲノム核酸分子内のgRNA認識配列にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)を含む、請求項85~97のいずれか1項に記載のCPVL阻害剤。
【請求項101】
前記Casタンパク質は、Cas9またはCpf1である、請求項100に記載のCPVL阻害剤。
【請求項102】
前記gRNA認識配列は、配列番号1内に位置する、請求項100または請求項101に記載のCPVL阻害剤。
【請求項103】
プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が、前記gRNA認識配列の約2~約6ヌクレオチド下流にある、請求項100または請求項101に記載のCPVL阻害剤。
【請求項104】
前記gRNAは、約17~約23ヌクレオチドを含む、請求項100~103のいずれか1項に記載のCPVL阻害剤。
【請求項105】
前記gRNA認識配列は、配列番号57~76のいずれか1つによるヌクレオチド配列を含む、請求項100~104のいずれか1項に記載のCPVL阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表に対する言及
本出願には、440キロバイトのサイズを有する、2022年7月2日に作成された18923807002SEQという名称のテキストファイルとして電子的に提出された配列表が含まれる。配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)阻害剤での皮膚癌を有する対象の処置、及び皮膚癌を発症する増加したリスクを有する対象を同定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚癌は、皮膚において発症するすべてのがんを指す。これらの比較的一般的ながんは、しばしば、患者によって非悪性皮膚異常と間違えられ、これは、疾患を処置する際の困難性及び致命的アウトカムにつながる検出の遅れをもたらし得る。皮膚癌の最も一般的なものは、基底細胞癌(BCC)であり、これは、すべての皮膚癌の約80%を占める。他のタイプの皮膚癌は、すべての皮膚癌のおよそ16%を占める扁平上皮癌(SCC)、及び約4%を占める黒色腫である。BCC及びSCCは、集合的に非黒色腫皮膚癌(NMSC)と称される。黒色腫は、表皮におけるメラノサイトから生じ、その多くは転移癌または死に至る癌腫である。2000年に、47,000人が新たな黒色腫を有すると同定され、そのうち7,700人が死亡したと報告された(非特許文献1。紫外線によって引き起こされる黒色腫は、紫外線への慢性曝露よりも、間欠的曝露、例えば、強い日焼けによって引き起こされる(非特許文献2)。進行性皮膚癌の別の希少な形態は、黒色腫に類似するメルケル細胞癌(MCC)である。
【0004】
カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)は、カルボキシペプチダーゼであり、セリンカルボキシペプチダーゼと強い配列類似性を保有する。カルボキシペプチダーゼは、タンパク質またはペプチドのカルボキシ末端から単一のアミノ酸を切断するように作用する大きなクラスのプロテアーゼである。しかしながら、このタンパク質の正確な機能は、解明されていない。CPVLは、リソソームにおける貪食された粒子の消化、炎症性プロテアーゼカスケードへの関与、及び抗原提示のためのペプチドのトリミングに関与し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Greenlee et al.,Cancer J.Clin.,2000,50,7-33
【非特許文献2】Gilchrest et al.,New Engl.J.Med.,1999,340,1341-1348
【発明の概要】
【0006】
本開示は、皮膚癌を有する対象を処置するまたは対象が皮膚癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0007】
本開示はまた、非黒色腫皮膚癌を有する対象を処置するまたは対象が非黒色腫皮膚癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
本開示はまた、基底細胞癌を有する対象を処置するまたは対象が基底細胞癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
本開示はまた、扁平上皮癌を有する対象を処置するまたは対象が扁平上皮癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVLを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
本開示はまた、黒色腫を有する対象を処置するまたは対象が黒色腫を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0011】
本開示はまた、メルケル細胞癌を有する対象を処置するまたは対象がメルケル細胞癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
本開示はまた、隆起性皮膚線維肉腫を有する対象を処置するまたは対象が隆起性皮膚線維肉腫を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
本開示はまた、脂腺癌を有する対象を処置するまたは対象が脂腺癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
本開示はまた、皮膚癌を処置または阻害する治療剤で対象を処置する方法であって、対象は、皮膚癌を有し、方法は、対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと;及び対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を含む遺伝子型を有するかどうかを決定するために生物学的サンプルについて配列分析を実施することまたは実施したことによって対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定する工程;及び:i)CPVL参照である対象に標準的な投薬量で皮膚癌を処置または阻害する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与する工程;ii)CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象に標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で皮膚癌を処置または阻害する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与する工程;またはiii)CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象に標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で皮膚癌を処置または阻害する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程を含み;CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する遺伝子型の存在は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す、方法を提供する。
【0015】
本開示はまた、皮膚癌を予防する治療剤で対象を処置する方法であって、方法は、対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと;及び対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を含む遺伝子型を有するかどうかを決定するために生物学的サンプルについて配列分析を実施することまたは実施したことによって対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定する工程;及び:i)CPVL参照である対象に標準的な投薬量で皮膚癌を予防する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与する工程;ii)CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象に標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で皮膚癌を予防する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与する工程;またはiii)CPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象に標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で皮膚癌を予防する治療剤を投与する工程または投与を継続する工程を含み;CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する遺伝子型の存在は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す、方法を提供する。
【0016】
本開示はまた、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する対象を同定する方法であって、方法は、対象から得られた生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の存在または非存在を決定することまたは決定したことを含み;対象がCPVL参照である場合、そのときは対象は、皮膚癌を発症する増加したリスクを有し;対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合またはホモ接合である場合、そのときは対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有する、方法を提供する。
【0017】
本開示はまた、対象における皮膚癌の処置または予防において使用するための皮膚癌を処置または阻害または予防する治療剤であって、対象は、a)CPVLゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、治療剤を提供する。
【0018】
本開示はまた、対象における皮膚癌の処置または予防において使用するためのCPVL阻害剤であって、対象は、a)CPVLゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、CPVL阻害剤を提供する。
【0019】
特許または出願ファイルは、カラーで作製された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面(複数可)を有する本特許または特許出願公開のコピーは、申請及び必要な手数料の支払いにより庁によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】黒色腫腫瘍のCPVL発現(回収された分子/細胞)を示している。
図2】基底細胞癌のCPVL発現(回収された分子/細胞)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の態様に関する様々な用語が本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。そのような用語には、別途示されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致した様式で解釈されるものとする。
【0022】
別途明示的に記述されない限り、本明細書において示される任意の方法または態様は、その工程が特定の順序で実施されることを要求するものとして解釈されるようには一切意図されない。したがって、方法の請求項が、工程が特定の順序に限定されるべきことを、特許請求の範囲または明細書において具体的に記述していない場合、いかなる点でも、順序が暗示されることはどのようにも意図されていない。これは、ステップもしくは動作フローの配置に関する論理の問題、文法構成もしくは句読点に由来する平明な意味、または本明細書中に記載される態様の数もしくは型を含めた解釈のためのあらゆる可能性のある表示されていない基準についても当てはまる。
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈が別途明らかに示さない限り複数の指示対象が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「約」は、記述される数値がおおよそであり、小さな変動が、開示される実施形態の実施に有意に影響を及ぼさないであろうことを意味する。数値が使用される場合、文脈によって別途示されない限り、用語「約」は、±10%変動し、開示される実施形態の範囲内にとどまり得る数値を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「含む」は、特定の実施形態では、所望により、「からなる」または「から本質的になる」で置き換えられ得る。
本明細書で使用される場合、核酸分子またはポリペプチドに関して、用語「単離された」は、核酸分子またはポリペプチドが、例えば、血液及び/または動物組織とは別として、そのネイティブ環境以外の状態にあることを意味する。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子またはポリペプチドは、他の核酸分子または他のポリペプチド、特に動物起源の他の核酸分子またはポリペプチドを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、核酸分子またはポリペプチドは、高度に精製された形態、すなわち、95%を超えて純粋または99%を超えて純粋であり得る。この文脈において使用される場合、用語「単離された」は、二量体または代替的にリン酸化もしくは誘導体化された形態等の、代替的な物理的形態の同じ核酸分子またはポリペプチドの存在を排除しない。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、または「オリゴヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含み得、DNA及び/またはRNAを含み得、一本鎖、二本鎖、または多重鎖であり得る。核酸の一方の鎖はまた、その相補体を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「対象」には、哺乳動物を含む任意の動物が含まれる。哺乳動物には、牧場動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ等)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ等)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)、及び非ヒト霊長類が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ヒトは、医師のケア下の患者である。
【0027】
CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子(これらのバリエーションは、特定の対象においてホモ接合またはヘテロ接合にかかわらない)は、皮膚癌を発症する低下したリスクに関連することが本開示に従って観察された。CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、黒色腫に関連しないと考えられる。その上、追加のバリアントと遺伝子負荷マスクとの間の関連性の本開示による同定は、CPVL自体(別の遺伝子におけるバリアントとの連鎖不平衡ではない)が、非黒色腫皮膚癌及び黒色腫における保護的効果を担うことを示している。
【0028】
そのため、CPVL参照またはCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象は、皮膚癌が阻害または予防されるように、その症状が低減または予防されるように、及び/または症状の発症が抑制または予防されるようにCPVL阻害剤で処置され得る。皮膚癌を有するそのような対象は、皮膚癌を処置または阻害する治療剤でさらに処置され得ることも考えられる。
【0029】
本開示の目的のため、任意の特定の対象、例えば、ヒトは、3つのCPVL遺伝子型:i)CPVL参照;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合のうちの1つを有するものとして分類され得る。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子のコピーを有しない場合、対象は、CPVL参照である。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の単一コピーを有する場合、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である。CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、部分的機能喪失、完全機能喪失、予測される部分的機能喪失、または予測される完全機能喪失を有するバリアントCPVLポリペプチドをコードする任意の核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、またはcDNA分子)である。部分的機能喪失(または予測される部分的機能喪失)を有するCPVLポリペプチドを有する対象は、CPVLについてハイポモルフィックである。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の2つのコピー(同じまたは異なる)を有する場合、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である。
【0030】
CPVL参照であるとジェノタイピングまたは決定された対象について、そのような対象は、皮膚癌、例えば、非黒色腫皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、メルケル細胞癌、隆起性皮膚線維肉腫、及び/または脂腺癌を発症する増加したリスクを有する。CPVL参照またはCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合のいずれかであるとジェノタイピングまたは決定された対象について、そのような対象または対象は、CPVL阻害剤で処置され得る。
【0031】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、CPVL阻害剤を投与することによって皮膚癌が予防される対象は、家族性または遺伝子的リスクを有する対象、高齢対象、欧州祖先を有する対象、及びより薄い皮膚色素沈着を有する対象を含むがこれらに限定されない皮膚癌を発症するリスクがある任意の者であり得る。また、いくつかの実施形態では、任意の対象は、皮膚癌を発症するリスクがあり得る。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤を投与することは、1つ以上の皮膚癌を既に有していた対象における追加の皮膚癌(複数可)の発症を予防するために行われ得る。
【0032】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、部分的機能喪失、完全機能喪失、予測される部分的機能喪失、または予測される完全機能喪失を有するCPVLバリアントポリペプチドをコードする任意の核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、またはcDNA分子等)であり得る。いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、参照CPVLと比較してCPVLリガンドに対する低減したin vitro反応に関連する。いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、ヒト参照ゲノム配列と比較してCPVLポリペプチドの早期切断をもたらす、またはもたらすことが予測されるCPVLバリアントである。いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、in vitro予測アルゴリズム、例えば、Polyphen、SIFT、または同様のアルゴリズムによって損傷すると予測されるバリアントである。いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、CPVLにおける非同義アミノ酸置換を引き起こす、または引き起こすことが予測され、かつ対象が選択される集団においてアレル頻度が1/100アレル未満であるバリアントである。いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子は、任意の希少なミスセンスバリアント(アレル頻度<0.1%;または1,000アレル中に1つ)、または任意のスプライス部位、ストップゲイン、スタートロス、ストップロス、フレームシフト、またはインフレームインデル、または他のフレームシフトCPVLバリアントである。
【0033】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドは、部分的機能喪失、完全機能喪失、予測される部分的機能喪失、または予測される完全機能喪失を有する任意のCPVLポリペプチドであり得る。
【0034】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子には、参照配列としてCPVL参照ゲノム核酸分子(配列番号1;GRCh38/hg38ヒトゲノムアセンブリにおけるENSG00000106066.15 chr7:28,995,637~29,195,276)のヌクレオチド配列を使用した7番染色体の位置でのバリエーションが含まれ得る。
【0035】
rs117744081(Tyr168His)、rs147771477(Arg464Gln)、及びrs138216401(Ser61Asn)を含むがこれらに限定されない、CPVLポリペプチド配列の後の変化を引き起こすCPVLにおける多数の遺伝子バリアントが存在する。
【0036】
対象が皮膚癌を発症する増加したリスクを有するかどうかを決定するために本明細書に記載の方法のいずれかの中でCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の任意の1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)が使用され得る。特定のバリアントの組み合わせは、CPVL及び皮膚癌を発症する増加したリスクの特定の相関関係の統計的分析のために使用されるマスクを形成し得る。
【0037】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌(皮膚扁平上皮癌を含む)、黒色腫、メルケル細胞癌、隆起性皮膚線維肉腫、及び/または脂腺癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、メルケル細胞癌である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、隆起性皮膚線維肉腫である。いくつかの実施形態では、皮膚癌は、脂腺癌である。
【0038】
基底細胞癌の症状には、個体の頭部、頸部または肩の日光に曝露された皮膚上の盛り上がった滑らかな真珠様の隆起が含まれるがこれらに限定されない。しばしば、小さな血管が腫瘍内で見られ得る。腫瘍のクラスタリング、及び出血が生じ得る。個人は時に、基底細胞癌を、治癒しない痛みと間違える。基底細胞癌は、皮膚癌の中で最も致死性が低い形態であり、しばしば適切な処置で完全に排除され得る。
【0039】
扁平上皮癌の症状には、個体の日光に曝露された皮膚上の赤い、鱗屑性の肥厚した斑点が含まれるがこれらに限定されない。扁平上皮癌のいくつかの形態は、硬い結節として及びドーム形状として現れる。結節の破断及び出血が生じ得る。未処置のままの場合、扁平上皮癌は、大きな塊に発展する可能性がある。扁平上皮癌は、皮膚癌の2番目に一般的な形態である。
【0040】
黒色腫の症状には、陰影または茶色から黒色の病変が含まれるがこれらに限定されない。ピンク色、赤色または肌色に見えるいくつかの黒色腫も存在し、これらは、メラニン欠乏性黒色腫と呼ばれる。メラニン欠乏性黒色腫は、黒色腫のより進行性の形態である。悪性黒色腫の警告的兆候の一部には、ほくろのサイズ、形状、色、隆起の変化、思春期から成人期への移行期間における新たなほくろの発生、掻痒、潰瘍または出血が含まれる可能性がある。黒色腫は、皮膚癌の最も致死性の形態である。
【0041】
メルケル細胞癌の症状には、通常は痛みも痒みもない急速成長する圧痛のない肌色から赤色/紫色の隆起が含まれるがこれらに限定されない。これらの隆起は、頭部、頸部及び腕の日光に非常に曝露された皮膚に現れる。個人はしばしば、メルケル細胞癌を嚢胞または他のタイプがんと間違える。
【0042】
隆起性皮膚線維肉腫の症状には、盛り上がった結節になり得る幅が1~5センチメートルの皮膚の小さな、わずかに盛り上がった赤色または紫色の斑点が含まれるがこれらに限定されず、いくつかの場合では、赤み、開口または出血を引き起こし得る。
【0043】
脂腺癌の症状には、まぶたにおけるゆっくりと成長する、時に黄色い痛みを伴わないしこりが含まれるがこれらに限定されない。まぶたとまつ毛の境目で、隆起は出血または滲出し得、肥厚性のまたは黄色もしくは赤みを帯びたかさぶたも有し得る。
【0044】
本開示は、皮膚癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、非黒色腫皮膚癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0045】
本開示はまた、基底細胞癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、扁平上皮癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0046】
本開示はまた、黒色腫を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、メルケル細胞癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0047】
本開示はまた、隆起性皮膚線維肉腫を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、脂腺癌を有する対象を処置する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0048】
本開示はまた、対象が皮膚癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、対象が非黒色腫皮膚癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
本開示はまた、対象が基底細胞癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、対象が扁平上皮癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVLを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0050】
本開示はまた、対象が黒色腫を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、対象がメルケル細胞癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0051】
本開示はまた、対象が隆起性皮膚線維肉腫を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
本開示はまた、対象が脂腺癌を発症することを予防する方法であって、方法は、CPVL阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、阻害性核酸分子を含む。阻害性核酸分子の例には、アンチセンス核酸分子、低分子干渉RNA(siRNA)、及びショートヘアピンRNA(shRNA)が含まれるがこれらに限定されない。そのような阻害性核酸分子は、CPVL核酸分子の任意の領域を標的とするように設計され得る。いくつかの実施形態では、アンチセンスRNA、siRNA、またはshRNAは、CPVLゲノム核酸分子またはmRNA分子内の配列にハイブリダイズし、対象における細胞におけるCPVLポリペプチドの発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、CPVLゲノム核酸分子またはmRNA分子内にハイブリダイズするアンチセンス分子を含み、対象における細胞におけるCPVLポリペプチドの発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、CPVLゲノム核酸分子またはmRNA分子内にハイブリダイズするsiRNAを含み、対象における細胞におけるCPVLポリペプチドの発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、CPVLゲノム核酸分子またはmRNA分子内にハイブリダイズするshRNAを含み、対象における細胞におけるCPVLポリペプチドの発現を減少させる。
【0053】
阻害性核酸分子は、RNA、DNA、またはRNA及びDNAの両方を含み得る。阻害性核酸分子はまた、ベクター等において、異種核酸配列に、または異種標識に連結または融合され得る。例えば、阻害性核酸分子は、阻害性核酸分子及び異種核酸配列を含むベクター内に、またはそれらを含む外来性ドナー配列として存在し得る。阻害性核酸分子はまた、異種標識に連結または融合され得る。標識は、直接的に検出可能であり(例えば、フルオロフォア等)、または間接的に検出可能であり得る(例えば、ハプテン、酵素、またはフルオロフォアクエンチャー等)。そのような標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって検出可能であり得る。そのような標識には、例えば、放射性標識、顔料、色素、クロモゲン、スピン標識、及び蛍光標識が含まれる。標識はまた、例えば、化学発光物質;金属含有物質;または酵素であり得、その場合、シグナルの酵素依存性の二次生成が生じる。用語「標識」はまた、コンジュゲートされた分子が、後に基質と共に添加された場合、検出可能なシグナルを生成するために使用されるようにコンジュゲートされた分子に選択的に結合し得る「タグ」またはハプテンを指し得る。例えば、ビオチンは、タグに結合するためのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)のアビジンコンジュゲートまたはストレプトアビジンコンジュゲートと共にタグとして使用され、比色測定基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB)等)または蛍光発生基質を使用して検査されて、HRPの存在が検出され得る。精製を容易化するためにタグとして使用され得る例示的な標識には、myc、HA、FLAGもしくは3XFLAG、6XHisもしくはポリヒスチジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、エピトープタグ、または免疫グロブリンのFc部分が含まれるがこれらに限定されない。多数の標識には、例えば、粒子、フルオロフォア、ハプテン、酵素ならびにそれらの熱量測定、蛍光及び化学発光基質及び他の標識が含まれる。
【0054】
阻害性核酸分子は、例えば、ヌクレオチドまたは非天然もしくは修飾ヌクレオチド、例えば、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換体を含み得る。そのようなヌクレオチドには、修飾された塩基、糖、またはリン酸基を含有する、またはその構造における非天然部位を組み込んでいるヌクレオチドが含まれる。非天然ヌクレオチドの例には、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化、アミノ化、脱アミノ化、アルキル化、ベンジル化、及びフルオロフォア標識ヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
阻害性核酸分子はまた、1つ以上のヌクレオチドアナログまたは置換を含み得る。ヌクレオチドアナログは、塩基、糖、またはリン酸部位のいずれかに対する修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部位に対する修飾には、A、C、G、及びT/Uの天然及び合成修飾、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基、例えば、シュードウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、及び2-アミノアデニン-9-イル等が含まれるがこれらに限定されない。修飾された塩基には、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば、5-ブロモ等)、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、及び3-デアザアデニンが含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
ヌクレオチドアナログにはまた、糖部位の修飾が含まれ得る。糖部位に対する修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然修飾ならびに合成修飾が含まれるがこれらに限定されない。糖修飾には、2’位における以下の修飾:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルが含まれるがこれらに限定されず、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換または非置換C1-10アルキルまたはC2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルであり得る。例示的な2’糖修飾にはまた、-O[(CHO]CH、-O(CHOCH、-O(CHNH、-O(CHCH、-O(CH-ONH、及び-O(CHON[(CHCH)](n及びmは、独立して、1~約10である)が含まれるがこれらに限定されない。2’位置における他の修飾には、C1-10アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有する他の置換基が含まれるがこれらに限定されない。同様の修飾はまた、糖上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合オリゴヌクレオチドにおける糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行われ得る。修飾された糖にはまた、CH及びS等の架橋環酸素での修飾を含有するものが含まれ得る。ヌクレオチド糖アナログはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部位等の糖模倣体を有し得る。
【0057】
ヌクレオチドアナログはまた、リン酸部位で修飾され得る。修飾されたリン酸部位には、2つのヌクレオチド間の結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート及び他のアルキルホスホネート(3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホロアミデート(3’-アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含む)、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェートを含有するように修飾され得るものが含まれるがこれらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸または修飾リン酸結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を介するものであり得、結合は、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’のような逆極性を含有し得る。様々な塩、混合された塩、及び遊離酸形態も含まれる。ヌクレオチド置換体にはまた、ペプチド核酸(PNA)が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、アンチセンス核酸分子はギャップマーであり、それによって5’末端及び3’末端の最初の1~7ヌクレオチドは、それぞれ2’-メトキシエチル(2’-MOE)修飾を有する。いくつかの実施形態では、5’及び3’末端における最初の5ヌクレオチドはそれぞれ、2’-MOE修飾を有する。いくつかの実施形態では、5’及び3’末端における最初の1~7ヌクレオチドは、RNAヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、5’及び3’末端における最初の5ヌクレオチドは、RNAヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド間の骨格結合の各々は、ホスホロチオエート結合である。
【0059】
いくつかの実施形態では、siRNA分子は、末端修飾を有する。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端は、リン酸化されている。いくつかの実施形態では、
加水分解することができない5’-リン酸アナログ、例えば、5’-(E)-ビニル-ホスホネートが使用される。
【0060】
いくつかの実施形態では、siRNA分子は、骨格修飾を有する。いくつかの実施形態では、連続的リボースヌクレオシドを連結させる修飾されたホスホジエステル基は、siRNAの安定性及びin vivoバイオアベイラビリティを向上させることが示されている。ホスホジエステル結合の非エステル基(-OH、=O)は、硫黄、ホウ素、またはアセテートで置き換えられて、ホスホロチオエート、ボラノホスフェート、及びホスホノアセテート結合が提供され得る。また、ホスホジエステル基をホスホトリエステルで置換することは、それらの負電荷を排除することによってsiRNAの細胞取り込み及び血清成分上での保持を容易化し得る。いくつかの実施形態では、siRNA分子は、糖修飾を有する。いくつかの実施形態では、糖は、脱プロトン化(エキソ及びエンドヌクレアーゼによって触媒される反応)され、これにより、2’-ヒドロキシルは、求核試薬として作用し、ホスホジエステル結合における隣接するリンを攻撃し得る。そのような代替物には、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル、及び2’-フルオロ修飾が含まれる。
【0061】
いくつかの実施形態では、siRNA分子は、塩基修飾を有する。いくつかの実施形態では、塩基は、修飾された塩基、例えば、シュードウリジン、5’-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン、イノシン、及びN7-メチルグアノシンで置換され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、siRNA分子は、脂質にコンジュゲートされる。脂質は、siRNAの5’または3’末端にコンジュゲートされて、血清リポタンパク質との会合を可能とすることによってそれらのin vivoバイオアベイラビリティを改善し得る。代表的な脂質には、コレステロール及びビタミンE、ならびに脂肪酸、例えば、パルミチン酸塩及びトコフェロールが含まれるがこれらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態では、代表的なsiRNAは、以下の式:
センス:mN*mN*/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/*mN*/32FN/
アンチセンス:/52FN/*/i2FN/*mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN/i2FN/mN*N*N
(式中、「N」は、塩基であり;「2F」は、2’-F修飾であり;「m」は、2’-O-メチル修飾であり、「I」は、内部塩基であり;「*」は、ホスホロチオエート骨格結合である)を有する。
【0064】
本開示はまた、阻害性核酸分子の任意の1つ以上を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、阻害性核酸分子の任意の1つ以上及び異種核酸を含む。ベクターは、核酸分子を輸送することが可能なウイルスまたは非ウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミドまたはコスミド(例えば、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNA等)である。いくつかの実施形態では、ベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノム内にライゲーションされ得るウイルスベクターである。発現ベクターには、プラスミド、コスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、例えば、カリフラワーモザイクウイルス及びタバコモザイクウイルス、酵母人工染色体(YAC)、エプスタイン・バー(EBV)由来エピソーム、及び当該技術分野で知られている他の発現ベクターが含まれるがこれらに限定されない。
【0065】
本開示はまた、阻害性核酸分子の任意の1つ以上を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、担体及び/または賦形剤を含む。担体の例には、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエート、及び脂質微小管が含まれるがこれらに限定されない。担体は、緩衝塩溶液、例えば、PBS、HBSS等を含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、認識配列(複数可)における1つ以上のニックもしくは二本鎖切断を誘導するヌクレアーゼ剤またはCPVLゲノム核酸分子内の認識配列に結合するDNA結合タンパク質を含む。認識配列は、CPVL遺伝子のコード領域内、またはその遺伝子の発現に影響を及ぼす制御性領域内に位置し得る。DNA結合タンパク質またはヌクレアーゼ剤の認識配列は、イントロン、エクソン、プロモーター、エンハンサー、制御性領域、または任意の非タンパク質コード領域に位置し得る。認識配列は、CPVL遺伝子の開始コドンを含み、またはそれに近い場合がある。例えば、認識配列は、開始コドンから約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、または約1,000ヌクレオチドに位置し得る。別の例として、開始コドンを含むかまたはそれに近いヌクレアーゼ認識配列を各々が標的とする2つ以上のヌクレアーゼ剤が使用され得る。別の例として、2つのヌクレアーゼ剤(1つは、開始コドンを含むか、またはそれに近いヌクレアーゼ認識配列を標的とし、1つは、終止コドンを含むか、またはそれに近いヌクレアーゼ認識配列を標的とする)が使用され得、ヌクレアーゼ剤による切断は、2つのヌクレアーゼ認識配列の間のコード領域の欠失をもたらし得る。所望の認識配列内にニックまたは二本鎖切断を誘導する任意のヌクレアーゼ剤が、本明細書に開示される方法及び組成物において使用され得る。所望の認識配列へ結合する任意のDNA結合タンパク質が、本明細書に開示される方法及び組成物において使用され得る。
【0067】
本明細書における使用のための好適なヌクレアーゼ剤及びDNA結合タンパク質には、ジンクフィンガータンパク質もしくはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)対、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質もしくは転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはクラスター化規則的散在型短パリンドロームリピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)システムが含まれるがこれらに限定されない。認識配列の長さは、様々であり得、それには、例えば、ジンクフィンガータンパク質またはZFN対の場合は約30~36bp、各ZFNの場合は約15~18bp、TALEタンパク質またはTALENの場合は約36bp、及びCRISPR/CasガイドRNAの場合は約20bpである認識配列が含まれる。
【0068】
いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、細胞内のCPVLゲノム核酸分子を修飾するために使用され得る。本明細書に開示される方法及び組成物は、CPVL核酸分子の部位特異的切断のためのCRISPR複合体(Casタンパク質に複合体化されたガイドRNA(gRNA)を含む)を利用することによるCRISPR-Casシステムを用い得る。
【0069】
Casタンパク質は通常、gRNAと相互作用し得る少なくとも1つのRNA認識または結合ドメインを含む。Casタンパク質はまた、ヌクレアーゼドメイン(例えば、DNaseまたはRNaseドメイン等)、DNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、二量体化ドメイン、及び他のドメインを含み得る。好適なCasタンパク質には、例えば、野生型Cas9タンパク質及び野生型Cpf1タンパク質(例えば、FnCpf1等)が含まれる。Casタンパク質は、CPVLゲノム核酸分子において二本鎖切断を生成するために十分な切断活性を有し得、またはCPVLゲノム核酸分子において一本鎖切断を生成するニッカーゼであり得る。Casタンパク質の追加の例には、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(CasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(Csn1またはCsx12)、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(CasA)、Cse2(CasB)、Cse3(CasE)、Cse4(CasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu1966、ならびにそれらのホモログまたは修飾バージョンが含まれるがこれらに限定されない。Casタンパク質はまた、融合タンパク質として異種ポリペプチドに機能可能に連結され得る。例えば、Casタンパク質は、切断ドメイン、エピジェネティック修飾ドメイン、転写活性化ドメイン、または転写リプレッサードメインに融合され得る。Casタンパク質は、任意の形態で提供され得る。例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合体化されたCasタンパク質等のタンパク質の形態で提供され得る。代替的には、Casタンパク質は、RNAまたはDNA等の、Casタンパク質をコードする核酸分子の形態で提供され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、CPVLゲノム核酸分子の標的とする遺伝子修飾は、細胞を、Casタンパク質及びCPVLゲノム核酸分子における標的ゲノム遺伝子座内の1つ以上のgRNA認識配列にハイブリダイズする1つ以上のgRNAと接触させることによって生成され得る。例えば、gRNA認識配列は、配列番号1の領域内に位置し得る。gRNA認識配列は、CPVLゲノム核酸分子の開始コドンまたはCPVLゲノム核酸分子の終止コドンを含み、またはそれに近い場合がある。例えば、gRNA認識配列は、開始コドンまたは終止コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、または約1,000ヌクレオチドから位置し得る。
【0071】
CPVLゲノム核酸分子における標的ゲノム遺伝子座内のgRNA認識配列は、Cas9ヌクレアーゼによって標的とされるDNA配列の直後の2~6塩基対のDNA配列であるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列の近くに位置する。標準的PAMは、配列5’-NGG-3’(式中、「N」は、任意の核酸塩基であり、その後に2つのグアニン(「G」)核酸塩基が続く)である。gRNAは、遺伝子編集のためにCas9をゲノム内のどこにでも輸送し得るが、Cas9がPAMを認識する部位以外の任意の部位では編集は生じ得ない。また、5’-NGA-3’は、ヒト細胞について非常に効率的な非標準的PAMであり得る。通常、PAMは、gRNAによって標的とされるDNA配列の約2~6ヌクレオチド下流にある。PAMは、gRNA認識配列に隣接し得る。いくつかの実施形態では、gRNA認識配列は、3’末端でPAMと隣接し得る。いくつかの実施形態では、gRNA認識配列は、5’末端でPAMと隣接し得る。例えば、Casタンパク質の切断部位は、PAM配列の約1~約10、約2~約5塩基対、または3塩基対上流または下流にあり得る。いくつかの実施形態(S.pyogenesからのCas9または密接に関連するCas9が使用された場合等)では、非相補鎖のPAM配列は、5’-NGG-3’(式中、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、標的DNAの非相補鎖のgRNA認識配列の直ぐ3’である)であり得る。このように、相補的鎖のPAM配列は、5’-CCN-3’(式中、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、標的DNAの相補的鎖のgRNA認識配列の直ぐ5’である)であろう。
【0072】
gRNAは、Casタンパク質に結合するRNA分子であり、CPVLゲノム核酸分子内の特定の位置にCasタンパク質を標的化する。例示的なgRNAは、Cas酵素がCPVLゲノム核酸分子に結合し、またはそれを切断するように誘導するために有効なgRNAであり、そのgRNAは、CPVLゲノム核酸分子内のgRNA認識配列にハイブリダイズするDNA標的化セグメントを含む。例示的なgRNAは、開始コドンまたは終止コドンを含む、またはそれに近いCPVLゲノム核酸分子内に存在するgRNA認識配列にハイブリダイズするDNA標的化セグメントを含む。例えば、gRNAは、開始コドンから約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約100、約200、約300、約400、約500、または約1,000ヌクレオチドに位置する、または終止コドンから約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約100、約200、約300、約400、約500、または約1,000ヌクレオチドに位置するgRNA認識配列にハイブリダイズするように選択され得る。好適なgRNAは、約17~約25ヌクレオチド、約17~約23ヌクレオチド、約18~約22ヌクレオチド、または約19~約21ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、gRNAは、20ヌクレオチドを含み得る。
【0073】
ヒトCPVL参照遺伝子内に位置する好適なgRNA認識配列の例は、配列番号57~76として表1に示されている。
【0074】
【表1】
【0075】
Casタンパク質及びgRNAは、複合体を形成し、Casタンパク質は、標的CPVLゲノム核酸分子を切断する。Casタンパク質は、gRNAのDNA標的化セグメントが結合することになる標的CPVLゲノム核酸分子に存在する核酸配列内または外の部位で核酸分子を切断し得る。例えば、CRISPR複合体の形成(gRNA認識配列にハイブリダイズされ、Casタンパク質と複合体化されるgRNAを含む)は、gRNAのDNA標的化セグメントが結合することになるCPVLゲノム核酸分子に存在する核酸配列内またはその近く(例えば、その核酸配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれを超える塩基対内等)で、一方または両方の鎖の切断をもたらし得る。
【0076】
そのような方法は、例えば、配列番号1の領域が破壊されている、開始コドンが破壊されている、終止コドンが破壊されている、またはコード配列が破壊もしくは欠失している、CPVLゲノム核酸分子をもたらし得る。任意に、細胞はさらに、CPVLゲノム核酸分子における標的ゲノム遺伝子座内の追加のgRNA認識配列にハイブリダイズする1つ以上の追加のgRNAと接触させられ得る。細胞を、1つ以上の追加のgRNA(例えば、第2のgRNA認識配列とハイブリダイズする第2のgRNA等)と接触させることによって、Casタンパク質による切断は、2つ以上の二本鎖切断または2つ以上の一本鎖切断を生成し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、処置及び/または予防の方法は、対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の存在または非存在を検出することをさらに含む。本開示を通して使用される場合、「CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子」は、部分的機能喪失、完全機能喪失、予測される部分的機能喪失、または予測される完全機能喪失を有するCPVLポリペプチドをコードする任意のCPVL核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、またはcDNA分子等)である。
【0078】
本開示はまた、皮膚がんを処置または阻害する治療剤で対象を処置する方法であって、対象は、皮膚癌を有する、方法を提供する。本開示はまた、皮膚癌を予防する治療剤を投与することによって対象が皮膚癌を発症することを予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと、及び対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を含む遺伝子型を有するかどうかを決定するために生物学的サンプルについて配列分析を実施することまたは実施したことによって対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量でCPVL参照である対象に投与することまたは投与を継続すること、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量でCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象に投与することまたは投与を継続すること、及び/またはCPVL阻害剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤を標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量でCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象に投与することまたは投与を継続することをさらに含む。CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する遺伝子型の存在は、対象が、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す。いくつかの実施形態では、対象は、CPVL参照である。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である。
【0079】
CPVL参照またはCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合のいずれかであるとジェノタイピングまたは決定された対象について、そのような対象は、本明細書に記載される。CPVL阻害剤が投与され得る。
【0080】
対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の存在または非存在を検出すること、及び/または対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定することは、本明細書に記載の方法のいずれかによって行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vitroで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in situで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vivoで行われ得る。これらの実施形態のいずれかでは、核酸分子は、対象から得られた細胞内に存在し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、対象がCPVL参照である場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で投与される。
【0082】
いくつかの実施形態では、処置及び/または予防方法は、対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドの存在または非存在を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有しない場合、対象はまた、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有する場合、対象はまた、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で投与される。
【0083】
本開示はまた、皮膚がんを処置または阻害する治療剤で対象を処置する方法であって、対象は、皮膚癌を有する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象が、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有するかどうかを、対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと、及び対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有するかどうかを決定するために生物学的サンプルについてアッセイを実施することまたは実施したことによって決定することを含む。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有しない場合、皮膚癌を処置または阻害する治療剤が標準的な投薬量で対象に投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が対象に投与される。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有する場合、皮膚癌を処置または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で対象に投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が対象に投与される。CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドの存在は、対象が、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有しない。
【0084】
本開示はまた、皮膚癌を予防する治療剤を投与することによって対象が皮膚癌を発症することを予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象が、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有するかどうかを、対象から生物学的サンプルを得ることまたは得たこと、及び対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有するかどうかを決定するために生物学的サンプルについてアッセイを実施することまたは実施したことによって決定することを含む。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有しない場合、皮膚癌を予防する治療剤が標準的な投薬量で対象に投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が対象に投与される。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有する場合、皮膚癌を予防する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で対象に投与され、または投与が継続され、及び/またはCPVL阻害剤が対象に投与される。CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドの存在は、対象が、皮膚癌を発症する低下したリスクを有することを示す。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有しない。
【0085】
対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドの存在または非存在を検出すること及び/または対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドを有するかどうかを決定することは、本明細書に記載の方法のいずれかによって行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vitroで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in situで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vivoで行われ得る。これらの実施形態のいずれかでは、ポリペプチドは、対象から得られた細胞内に存在し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、ヒドロキシメチル(N-メチルイミノジ酢酸)ボロネート(ヒドロキシメチル(MIDA)ボロネート)、アジドメチル(N-メチルイミノジ酢酸)ボロネート(アジドメチル(MIDA)ボロネート)、またはα-官能化アルキル(MIDA)ボロネート化合物である(Adachi et al.,Chem.Commun.,2015,51,3608-3611の表1を参照されたい。追加の阻害剤には、以下の化合物が含まれるがこれらに限定されない:
【0087】
【化1】
【0088】
いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、がん免疫剤または免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1剤、抗PD-L1剤、または抗CTLA-4剤である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1剤、例えば、KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ)、OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)、及びLIBTAYO(登録商標)(セミプリマブ)等である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LIBTAYO(登録商標)(セミプリマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、セミプリマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1剤、例えば、TECENTRIQ(登録商標)(アテゾリズマブ)、BAVENCIO(登録商標)(アベルマブ)、及びIMFINZI(登録商標)(デュルバルマブ)等である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、TECENTRIQ(登録商標)(アテゾリズマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、BAVENCIO(登録商標)(アベルマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アベルマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、IMFINZI(登録商標)(デュルバルマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4剤、例えば、YERVOY(登録商標)(イピリムマブ)及びトレメリムマブ等である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、YERVOY(登録商標)(イピリムマブ)またはトレメリムマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、YERVOY(登録商標)(イピリムマブ)である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブである。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、トレメリムマブである。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、本明細書に記載のCPVL阻害剤のいずれか及び本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤のいずれかの組み合わせである。いくつかの実施形態では、CPVL阻害剤は、本明細書に記載のCPVL阻害剤のいずれかならびに抗PD-1剤及び抗CTLA-4剤の組み合わせである。
【0089】
基底細胞癌を処置または阻害する治療剤の例には、イミキモド、フルオロウラシル、セミプリマブ-rwlc、ソニデジブ、及びビスモデギブ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療剤は、イミキモドである。いくつかの実施形態では、治療剤は、フルオロウラシルである。いくつかの実施形態では、治療剤は、セミプリマブ-rwlcである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ソニデジブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ビスモデギブである。
【0090】
扁平上皮癌を処置または阻害する治療剤の例には、セミプリマブ-rwlc及びペムブロリズマブ、またはそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療剤は、セミプリマブ-rwlcである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ペムブロリズマブである。
【0091】
黒色腫を処置または阻害する治療剤の例には、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、組換えインターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニボルマブ、ニボルマブ、ペギンテルフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、タリモジェンラヘルパレプベク、トラメチニブジメチルスルホキシド、及びベムラフェニブ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療剤は、アルデスロイキンである。いくつかの実施形態では、治療剤は、コビメチニブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ダブラフェニブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ダカルバジンである。いくつかの実施形態では、治療剤は、組換えインターフェロンアルファ-2bである。いくつかの実施形態では、治療剤は、イピリムマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ニボルマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ニボルマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ペギンテルフェロンアルファ-2bである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、タリモジェンラヘルパレプベクである。いくつかの実施形態では、治療剤は、トラメチニブジメチルスルホキシドである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ベムラフェニブである。
【0092】
メルケル細胞癌を処置または阻害する治療剤の例には、アベルマブ、ペムブロリズマブ、エトポシド(VP16)、及びカルボプラチン組み合わせレジメン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療剤は、アベルマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、治療剤は、エトポシド(VP16)である。いくつかの実施形態では、治療剤は、カルボプラチン組み合わせレジメンである。
【0093】
隆起性皮膚線維肉腫を処置または阻害する治療剤の例には、イマチニブが含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の用量は、CPVL参照である対象(標準的な投薬量を摂取し得る)と比較して、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象について約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%減少し得る(すなわち、標準的な投薬量よりも少ない)。いくつかの実施形態では、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の用量は、約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%減少し得る。また、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象は、CPVL参照である対象と比較して少ない頻度で投与され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の用量は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象と比較してCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象では約10%、約20%、約30%、約40%、約50%減少し得る。いくつかの実施形態では、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の用量は、約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%減少し得る。また、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である対象における皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の用量は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である対象と比較してより少ない頻度で投与され得る。
【0095】
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤及び/またはCPVL阻害剤の投与は、例えば、1日、2日、3日、5日、1週、2週、3週、1ヶ月、5週、6週、7週、8週、2ヶ月、または3ヶ月後に繰り返され得る。繰り返し投与は、同じ用量または異なる用量であり得る。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれを超えて繰り返され得る。例えば、所定の投薬レジメンに従って、対象は、長い期間、例えば、6ヶ月、1年、またはそれを超えて療法を受け得る。
【0096】
皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤及び/またはCPVL阻害剤の投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、または筋肉内を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路によって行われ得る。投与のための薬学的組成物は、望ましくは無菌であり、実質的に等張性であり、GMP条件下で製造される。薬学的組成物は、単位投薬形態(すなわち、単一投与のための投薬量)で提供され得る。薬学的組成物は、1つ以上の生理的に及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路に依存する。用語「薬学的に許容可能な」は、担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤が、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに実質的に有害でないことを意味する。
【0097】
用語「処置する」、「処置すること」、及び「処置」ならびに「予防する」、「予防すること」、及び「予防」は、本明細書で使用される場合は、所望の生物学的反応、例えば、治療的及び予防的効果を引き起こすことをそれぞれ指す。いくつかの実施形態では、治療効果は、薬剤または薬剤を含む組成物の投与後の皮膚癌の減少/低減、皮膚癌の重症度の減少/低減(例えば、皮膚癌の発症の低減または阻害等)、症状及び皮膚癌関連作用の減少/低減、症状及び皮膚癌関連作用の発生を遅延させること、皮膚癌関連作用の症状の重症度を低減すること、症状及び皮膚癌関連作用の数を低減すること、症状及び皮膚癌関連作用の潜伏期を低減すること、症状及び皮膚癌関連作用の改善、二次症状を低減すること、二次感染症を低減すること、皮膚癌の再燃を予防すること、再燃発病の数または頻度を減少させること、症候性発病間の潜伏期を増加させること、持続進行までの時間を増加させること、回復を加速させること、または代替的治療剤の有効性を増加させることまたは耐性を減少させること、及び/または罹患したホスト動物の増加した生存時間のうちの1つ以上を含む。予防的効果は、治療的プロトコルの投与後の、皮膚癌の発症/進行の完全もしくは部分的回避及び/または阻害もしくは遅延(例えば、完全もしくは部分的回避/阻害もしくは遅延等)、及び罹患した宿主動物の増加した生存時間を含み得る。皮膚癌の処置は、任意の臨床的段階または顕現で任意の形態の皮膚癌を有するものとして既に診断された対象の処置、または皮膚癌の症状もしくは兆候の発生もしくは進展もしくは悪化もしくは劣化の遅延、及び/または皮膚癌の重症度を予防及び/または低減することを包含する。
【0098】
本開示はまた、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する対象を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、CPVLポリペプチドをコードするCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、及び/またはcDNA分子)の存在または非存在を決定することまたは決定したことを含む。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を欠く(すなわち、対象がCPVL参照として遺伝子型的に分類される)場合、そのときは対象は、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する。対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する(すなわち、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合またはホモ接合である)場合、そのときは対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有する。
【0099】
CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の単一コピーを有することは、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子のコピーを有しない場合よりも対象が皮膚癌を発症することから保護する。作用の任意の特定の理論またはメカニズムに限定されることを意図するものではないが、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の単一コピー(すなわち、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合)は、対象が皮膚癌を発症することから保護すると考えられ、また、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の2つのコピーを有する(すなわち、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である)ことは、単一コピーを有する対象と比べて、対象が皮膚癌を発症することからより保護し得ると考えられる。よって、いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の単一コピーは、完全に保護しない場合があるが、代わりに、対象が皮膚癌を発症することから部分的にまたは不完全に保護する場合がある。いかなる特定の理論に縛られることを望むものではなく、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子の単一コピーを有する対象に依然として存在し、よって、皮膚癌の発症から完全に満たない保護をもたらす皮膚癌の発症に関与する追加の要素または分子が存在し得る。
【0100】
対象が、対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定すること、及び/または対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有するかどうかを決定することは、本明細書に記載の方法のいずれかによって行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vitroで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in situで行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの方法は、in vivoで行われ得る。これらの実施形態のいずれかでは、核酸分子は、対象から得られた細胞内に存在し得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、対象が、皮膚癌を発症する増加したリスクを有するものとして同定された場合、対象は、本明細書に記載される皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤、及び/またはCPVL阻害剤が投与される。例えば、対象がCPVL参照であり、そのため、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する場合、対象は、CPVL阻害剤が投与される。いくつかの実施形態では、そのような対象はまた、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で投与され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される。いくつかの実施形態では、そのような対象はまた、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、対象は、CPVL参照である。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかは、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子、及び/または皮膚癌を発症する低下したリスクに関連するCPVLの予測される機能喪失バリアントポリペプチドを有する対象の集合的負荷を決定することをさらに含み得る。集合的負荷は、CPVL遺伝子におけるすべてのバリアントの合計であり、これは皮膚癌との関連性分析において行われ得る。いくつかの実施形態では、対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクに関連するCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする1つ以上のCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてホモ接合である。いくつかの実施形態では、対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクに関連するCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする1つ以上のCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である。関連性分析の結果は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子が、皮膚癌を発症する低下したリスクに関連することを示唆している。対象がより低い集合的負荷を有する場合、対象は、皮膚癌を発症するより高いリスクがあり、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量で投与され、または投与が継続される。対象がより高い集合的負荷を有する場合、対象は、皮膚癌を発症するより低いリスクがあり、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない量で投与され、または投与が継続される。集合的負荷が高いほど、皮膚癌を発症するリスクが低い。集合的負荷分析において使用され得るCPVLバリアントには、表2における以下のうちの任意の1つ以上、または任意の組み合わせが含まれる:
【0103】
【表2-1】
【0104】
【表2-2】
【0105】
【表2-3】
【0106】
【表2-4】
【0107】
【表2-5】
【0108】
【表2-6】
【0109】
いくつかの実施形態では、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする任意の1つ以上のCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有する対象の集合的負荷は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする複数のCPVLミスセンスバリアント核酸分子のいずれかの重み付けされた合計を表す。いくつかの実施形態では、集合的負荷は、CPVL遺伝子に存在するまたはその周り(最大で10Mb)の少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約1,000、少なくとも約10,000、少なくとも約100,000、または少なくとも約または1,000,000超の遺伝子バリアントを使用して計算され、遺伝子負荷は、アレルの数に各アレルについての皮膚癌または関連アウトカムとの関連性推定値を乗じたもの(例えば、重み付けされた多遺伝子負荷スコア)である。これには、それらのゲノムアノテーションにかかわらず、遺伝子関連性分析において皮膚癌関連形質とのゼロではない関連性を示すCPVL遺伝子に近い(遺伝子の周りの最大で10Mb)任意の遺伝子バリアントが含まれ得る。いくつかの実施形態では、対象が所望の閾値スコアを超える集合的負荷を有する場合、対象は、皮膚癌を発症する低下したリスクを有する。いくつかの実施形態では、対象が所望の閾値スコアを下回る集合的負荷を有する場合、対象は、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、集合的負荷は、五分位、例えば、上位五分位、中間五分位、及び下位五分位に分けられ得、集合的負荷の上位五分位は、最低リスク群に対応し、集合的負荷の下位五分位は、最高リスク群に対応する。いくつかの実施形態では、より大きな集合的負荷を有する対象は、対象集団からの上位10%、上位20%、上位30%、上位40%、または上位50%の集合的負荷を含むがこれらに限定されない最高の重み付けされた集合的負荷を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子バリアントは、関連性について上位10%、上位20%、上位30%、上位40%、または上位50%のp値範囲で皮膚癌との関連性を有する遺伝子バリアントを含む。いくつかの実施形態では、同定された遺伝子バリアントの各々は、約10-2、約10-3、約10-4、約10-5、約10-6、約10-7、約10-8、約10-9、約10-10、約10-11、約10-12、約10-13、約10-14、約または10-15以下のp値を有する皮膚癌との関連性を有する遺伝子バリアントを含む。いくつかの実施形態では、同定された遺伝子バリアントは、5×10-8未満のp値を有する皮膚癌との関連性を有する遺伝子バリアントを含む。いくつかの実施形態では、同定された遺伝的バリアントは、オッズ比(OR)が、分布の上位20%については約1.5以上、約1.75以上、約2.0以上、もしくは約2.25以上;または約1.5以上、約1.75以上、約2.0以上、約2.25以上、約2.5以上、もしくは約2.75以上の参照集団の残りと比較して、高リスク対象における皮膚癌との関連性を有する遺伝的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、オッズ比(OR)は、約1.0~約1.5、約1.5~約2.0、約2.0~約2.5、約2.5~約3.0、約3.0~約3.5、約3.5~約4.0、約4.0~約4.5、約4.5~約5.0、約5.0~約5.5、約5.5~約6.0、約6.0~約6.5、約6.5~約7.0、または7.0を超える範囲であり得る。いくつかの実施形態では、高リスク対象は、参照集団において下位10分位、5分位、または3分位の集合的負荷を有する対象を含む。集合的負荷の閾値は、意図される実際の用途の性質及びその実際の用途にとって意味があると考えられるであろうリスク差に基づいて決定される。
【0111】
いくつかの実施形態では、対象が、皮膚癌を発症する増加したリスクを有するものとして同定された場合、対象は、本明細書に記載される皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤、及び/またはCPVL阻害剤がさらに投与される。例えば、対象がCPVL参照であり、そのため、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する場合、対象は、CPVL阻害剤が投与される。いくつかの実施形態では、そのような対象はまた、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象がCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が標準的な投薬量と同じまたはそれより少ない投薬量で投与され、及び/またはCPVL阻害剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象は、CPVL参照である。いくつかの実施形態では、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子についてヘテロ接合である。さらに、対象が、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有することについてより低い集合的負荷を有し、そのため、皮膚癌を発症する増加したリスクを有する場合、対象は、皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象が、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有することについてより低い集合的負荷を有する場合、対象は、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を有することについてより高い集合的負荷を有する対象に投与される標準的な投薬量と同じまたはそれを超える投薬量で皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤が投与される。
【0112】
本開示はまた、対象からの生物学的サンプルにおけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子(すなわち、ゲノム核酸分子、mRNA分子、またはmRNA分子から生成されたcDNA分子)の存在または非存在を検出する方法を提供する。集団内の遺伝子配列及びそのような遺伝子によってコードされるmRNA分子は、多型、例えば、単一ヌクレオチド多型により様々であり得ることが理解される。CPVLバリアントゲノム核酸分子、CPVLバリアントmRNA分子、及びCPVLバリアントcDNA分子のための本明細書で提供される配列は、例示的な配列にすぎない。CPVLバリアントゲノム核酸分子、バリアントmRNA分子、及びバリアントcDNA分子のための他の配列も可能である。
【0113】
生物学的サンプルは、対象からの任意の細胞、組織、または生物学的流体に由来し得る。生物学的サンプルは、任意の臨床的に関連のある組織、例えば、骨髄サンプル、腫瘍生検、微細針吸引物、または血液、歯肉溝滲出液、血漿、血清、リンパ液、腹水、嚢胞液、もしくは尿等の体液のサンプルを含み得る。いくつかの場合では、サンプルは、口腔内スワブを含む。本明細書に開示される方法において使用される生物学的サンプルは、アッセイフォーマット、検出方法の特質、及びサンプルとして使用される組織、細胞、または抽出物に基づいて様々であり得る。生物学的サンプルは、用いられているアッセイに応じて異なって処理され得る。例えば、CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードする任意のCPVLミスセンスバリアント核酸分子を検出する場合、ゲノムDNAのための生物学的サンプルを単離または濃縮するように設計された予備処理が用いられ得る。多様な技術がこの目的のために使用され得る。任意のCPVLバリアントmRNA分子のレベルを検出する場合、mRNA分子を有する生物学的サンプルを濃縮するために異なる技術が使用され得る。mRNA分子の存在もしくはレベルまたは特定のバリアントゲノムDNA遺伝子座の存在を検出するための様々な方法が使用され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、対象におけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子を検出することは、対象から得られた生物学的サンプルについて配列分析を実施して、生物学的サンプルにおけるCPVLゲノム核酸分子、及び/または生物学的サンプルにおけるCPVL mRNA分子、及び/または生物学的サンプルにおけるmRNA分子から生成されたCPVL cDNA分子が、機能喪失(部分的または完全)を引き起こすまたは機能喪失(部分的または完全)を引き起こすことが予測される1つ以上のバリエーションを含むかどうかを決定することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、対象におけるCPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアント核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、及び/またはmRNA分子から生成されたcDNA分子等)の存在または非存在を検出する方法は、対象から得られた生物学的サンプルについてアッセイを実施することを含む。アッセイは、生物学的サンプルにおける核酸分子が特定のヌクレオチド配列を含むかどうかを決定する。
【0116】
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、細胞または細胞ライセートを含む。そのような方法は、例えば、CPVLゲノム核酸分子またはmRNA分子を含む対象からの生物学的サンプルを得ること、及びmRNAの場合は、任意にmRNAをcDNAに逆転写することをさらに含み得る。そのようなアッセイは、例えば、特定のCPVL核酸分子のこれらの位置の同一性を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、in vitro方法である。
【0117】
いくつかの実施形態では、決定工程、検出工程、または配列分析は、生物学的サンプルにおけるCPVLゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNAのヌクレオチド配列の少なくとも一部分をシーケンシングすることを含み、シーケンシングされる部分は、機能喪失(部分的または完全)を引き起こす、または機能喪失(部分的または完全)を引き起こすことが予測される1つ以上のバリエーションを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、アッセイは、核酸分子全体をシーケンシングすることを含む。いくつかの実施形態では、CPVLゲノム核酸分子のみが分析される。いくつかの実施形態では、CPVL mRNAのみが分析される。いくつかの実施形態では、CPVL mRNAから得られたCPVL cDNAのみが分析される。
【0119】
変化特異的ポリメラーゼ連鎖反応技術が、核酸配列におけるSNP等の変異を検出するために使用され得る。変化特異的プライマーが使用され得るのは、鋳型とのミスマッチが存在する場合にDNAポリメラーゼが伸長しないからである。
【0120】
いくつかの実施形態では、サンプルにおける核酸分子は、mRNAであり、mRNAは、増幅工程の前にcDNAに逆転写される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、対象から得られた細胞内に存在する。
【0121】
いくつかの実施形態では、アッセイは、生物学的サンプルを、ストリンジェントな条件下で、CPVLバリアントゲノム配列、バリアントmRNA配列、またはバリアントcDNA配列に特異的にハイブリダイズし、対応するCPVL参照配列にはハイブリダイズしない変化特異的プライマーまたは変化特異的プローブ等のプライマーまたはプローブと接触させること、及びハイブリダイゼーションが生じたかどうかを決定することを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、決定工程、検出工程、または配列分析は、a)CPVLポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも一部分を増幅すること;b)増幅した核酸分子を検出可能な標識で標識すること;c)標識された核酸分子を変化特異的プローブを含む支持体と接触させること;及びd)検出可能な標識を検出することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、アッセイは、RNAシーケンシング(RNA-Seq)を含む。いくつかの実施形態では、アッセイはまた、例えば、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって、mRNAをcDNAに逆転写することを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、方法は、標的ヌクレオチド配列に結合し、CPVLバリアントゲノム核酸分子、バリアントmRNA分子、またはバリアントcDNA分子を含むポリヌクレオチドを特異的に検出及び/または同定するために十分なヌクレオチド長のプローブ及びプライマーを利用する。ハイブリダイゼーション条件または反応条件は、この結果を達成するためにオペレーターによって決定され得る。ヌクレオチド長は、本明細書において記載または例示される任意のアッセイを含む、選択された検出方法における使用のために十分な任意の長さであり得る。そのようなプローブ及びプライマーは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で標的ヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズし得る。プローブ及びプライマーは、標的ヌクレオチド配列内の連続ヌクレオチドの完全なヌクレオチド配列同一性を有し得るが、標的ヌクレオチド配列とは異なり、かつ標的ヌクレオチド配列を特異的に検出及び/または同定する能力を保持するプローブは、従来の方法によって設計され得る。プローブ及びプライマーは、標的核酸分子のヌクレオチド配列と約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%の配列同一性または相補性を有し得る。
【0125】
核酸シーケンシング技術の例示的な例には、チェーンターミネーター(サンガー)シーケンシング及びダイターミネーターシーケンシングが含まれるがこれらに限定されない。他の方法は、精製DNA、増幅DNA及び固定細胞調製物に仕向けられた標識プライマーまたは標識プローブを使用することを含む、シーケンシング以外の核酸ハイブリダイズ法(蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH))を伴う。いくつかの方法では、標的核酸分子は、検出の前にまたは検出と同時に増幅させられ得る。例核酸増幅技術の例示的なには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、及び核酸配列ベース増幅(NASBA)が含まれるがこれらに限定されない。他の方法には、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、及び好熱性SDA(tSDA)が含まれるがこれらに限定されない。
【0126】
ハイブリダイゼーション技術では、プローブまたはプライマーがその標的に特異的にハイブリダイズするようにストリンジェントな条件が用いられ得る。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下のポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、他の非標的配列よりも検出可能に高い程度で、例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、またはそれを超えて(バックグラウンドの10倍超を含む)、その標的配列とハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下のポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、他のヌクレオチド配列よりも検出可能に高い程度でその標的配列と少なくとも2倍ハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下のポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、他のヌクレオチド配列よりも検出可能に高い程度でその標的配列と少なくとも3倍ハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下のポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、他のヌクレオチド配列よりも検出可能に高い程度でその標的配列と少なくとも4倍ハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下のポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、他のヌクレオチド配列よりも検出可能に高い程度でその標的配列とバックグラウンドの10倍を超えてハイブリダイズすることになる。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況で異なることになる。
【0127】
DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件、例えば、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続いて50℃での2×SSCの洗浄が知られており、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6で見ることができる。典型的には、ハイブリダイゼーション及び検出のためのストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3で約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01~1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、10~50ヌクレオチド等)について少なくとも約30℃及びより長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド超等)について少なくとも約60℃であるものとなる。ストリンジェントな条件はまた、不安定化剤、例えば、ホルムアミドの添加によって達成され得る。任意に、洗浄緩衝液は、約0.1%~約1%のSDSを含み得る。ハイブリダイゼーションの継続時間は、概して約24時間未満、通常は約4~約12時間である。洗浄時間の継続時間は、少なくとも平衡に達するのに十分な時間の長さとなる。
【0128】
いくつかの実施形態では、そのような単離された核酸分子は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、または少なくとも約5000ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、そのような単離された核酸分子は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、または少なくとも約25ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、少なくとも約18ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、少なくとも約15ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24、または約18~約22ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、約18~約30ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、少なくとも約15ヌクレオチド~少なくとも約35ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。
【0129】
いくつかの実施形態では、そのような単離された核酸分子は、ストリンジェントな条件下でCPVLミスセンスバリアント核酸分子(例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、及び/またはcDNA分子)にハイブリダイズする。そのような核酸分子は、例えば、本明細書に記載または例示されるプローブ、プライマー、変化特異的プローブ、または変化特異的プライマーとして使用され得、それには、限定されないが、プライマー、プローブ、アンチセンスRNA、shRNA、及びsiRNAが含まれ、これらの各々は、本明細書における他の箇所でより詳細に記載されており、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて使用され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、CPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子、CPVLミスセンスバリアントmRNA分子、及び/またはCPVLミスセンスバリアントcDNA分子と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である核酸分子の少なくとも約15連続ヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、約15~約100ヌクレオチド、または約15~約35ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、約15~約100ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、単離された核酸分子は、約15~約35ヌクレオチドを含む、またはそれからなる。
【0131】
いくつかの実施形態では、変化特異的プローブ及び変化特異的プライマーは、DNAを含む。いくつかの実施形態では、変化特異的プローブ及び変化特異的プライマーは、RNAを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプローブ及びプライマー(変化特異的プローブ及び変化特異的プライマーを含む)は、本明細書に開示される核酸分子のいずれか、またはその相補体に特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、プローブ及びプライマーは、ストリンジェントな条件下で本明細書に開示される核酸分子のいずれかに特異的にハイブリダイズする。
【0133】
いくつかの実施形態では、変化特異的プライマーを含むプライマーは、第2世代シーケンシングまたはハイスループットシーケンシングにおいて使用され得る。いくつかの例では、変化特異的プライマーを含むプライマーは、修飾され得る。特に、プライマーは、例えば、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、及び454パイロシーケンシングの異なる工程で使用される様々な修飾を含み得る。修飾されたプライマーは、クローニング工程におけるビオチン化プライマー、ならびにビーズ負荷工程及び検出工程にて使用される蛍光標識プライマーを含めて、プロセスのうちのいくつかの工程で使用され得る。ポロニーシーケンシングは通常、DNA鋳型の各分子が約135bpの長さであるペアエンドタグライブラリーを使用して実施される。ビオチン化プライマーは、ビーズ負荷工程及びエマルションPCRで使用される。蛍光標識された縮重ノナマーオリゴヌクレオチドが検出工程で使用される。アダプターは、ストレプトアビジン被覆ビーズへのDNAライブラリの固定化のための5’-ビオチンタグを含有し得る。
【0134】
本明細書に記載のプローブ及びプライマーは、本明細書に開示されるCPVLバリアントミスセンスゲノム核酸分子、CPVLミスセンスバリアントmRNA分子、及び/またはCPVLミスセンスバリアントcDNA分子のいずれかにおけるヌクレオチドバリエーションを検出するために使用され得る。本明細書に記載のプライマーは、CPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子、CPVLミスセンスバリアントmRNA分子、またはCPVLミスセンスバリアントcDNA分子、またはその断片を増幅するために使用され得る。
【0135】
本開示の文脈において、「特異的にハイブリダイズする」は、プローブまたはプライマー(例えば、変化特異的プローブまたは変化特異的プライマー等)が、CPVL参照ゲノム核酸分子、CPVL参照mRNA分子、及び/またはCPVL参照cDNA分子をコードする核酸配列にハイブリダイズしないことを意味する。
【0136】
いくつかの実施形態では、プローブ(例えば、変化特異的プローブ等)は、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光標識、放射性標識、またはビオチンである。
本開示はまた、本明細書に開示されるプローブの任意の1つ以上が結合した基質を含む支持体を提供する。固体支持体は、本明細書に開示されるプローブのいずれか等の分子が会合し得る固体状態基質または支持体である。固体支持体の形態は、アレイである。固体支持体の別の形態は、アレイ検出器である。アレイ検出器は、複数の異なるプローブがアレイ、グリッド、または他の編成されたパターンでカップリングされた固体支持体である。固体状態基質のための形態は、マイクロタイターディッシュ、例えば、標準的な96ウェルタイプである。いくつかの実施形態において、通常1ウェル当たり1つのアレイを含有するマルチウェルスライドグラスが用いられ得る。
【0137】
CPVL参照ゲノム核酸分子のヌクレオチド配列は、配列番号1(GRCh38/hg38ヒトゲノムアセンブリにおけるchr7:28,995,637~29,195,276を包含するENSG00000106066.15)に示される。
【0138】
CPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号2に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号3に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号4に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号5に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号6に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号7に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号8に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号9に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号10に示される。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号11に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号12に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号13に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号14に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号15に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号16に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号17に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号18に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号19に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号20に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号21に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号22に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号23に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号24に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号25に示されている。別のCPVL参照mRNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号26に示されている。
【0139】
CPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号27に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号28に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号29に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号30に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号31に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号32に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号33に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号34に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号35に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号36に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号37に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号38に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号39に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号40に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号41に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号42に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号43に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号44に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号45に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号46に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号47に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号48に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号49に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号50に示されている。別のCPVL参照cDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号51に示されている。
【0140】
CPVL参照ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号52に示されており、長さが476アミノ酸である。別のCPVL参照ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号53に示されており、長さが406アミノ酸である。別のCPVL参照ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号54に示されており、長さが490アミノ酸である。別のCPVL参照ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号55に示されており、長さが298アミノ酸である。別のCPVL参照ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号56に示されており、長さが233アミノ酸である。
【0141】
ゲノム核酸分子、mRNA分子、及びcDNA分子は、任意の生物からのものであり得る。例えば、ゲノム核酸分子、mRNA分子、及びcDNA分子は、ヒトまたは別の生物、例えば、非ヒト哺乳動物、げっ歯類、マウス、またはラットからのオルソログであり得る。集団内の遺伝子配列は、多型、例えば、単一ヌクレオチド多型により様々であり得ることが理解される。本明細書で提供される例は、例示的な配列にすぎない。他の配列も可能である。
【0142】
また、本明細書では、開示される核酸分子と相互作用し得る機能性ポリヌクレオチドが提供される。機能性ポリヌクレオチドの例には、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重体形成分子、及び外部ガイド配列が含まれるがこれらに限定されない。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子によって保有される特定の活性のエフェクター、阻害剤、調節剤、及び刺激剤として作用し得、または機能性ポリヌクレオチドは、任意の他の分子とは無関係に新たな活性を保有し得る。
【0143】
本明細書に開示される単離された核酸分子は、RNA、DNA、またはRNA及びDNAの両方を含み得る。単離された核酸分子はまた、ベクター等において、異種核酸配列に、または異種標識に連結または融合され得る。例えば、本明細書に開示される単離された核酸分子は、単離された核酸分子及び異種核酸配列を含むベクター内に、またはそれらを含む外来性ドナー配列として存在し得る。単離された核酸分子はまた、異種標識に連結または融合され得る。標識は、直接的に検出可能であり(例えば、フルオロフォア等)、または間接的に検出可能であり得る(例えば、ハプテン、酵素、またはフルオロフォアクエンチャー等)。そのような標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって検出可能であり得る。そのような標識には、例えば、放射性標識、顔料、色素、クロモゲン、スピン標識、及び蛍光標識が含まれる。標識はまた、例えば、化学発光物質;金属含有物質;または酵素であり得、その場合、シグナルの酵素依存性の二次生成が生じる。用語「標識」はまた、コンジュゲートされた分子が、後に基質と共に添加された場合、検出可能なシグナルを生成するために使用されるようにコンジュゲートされた分子に選択的に結合し得る「タグ」またはハプテンを指し得る。例えば、ビオチンは、タグに結合するためのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)のアビジンコンジュゲートまたはストレプトアビジンコンジュゲートと共にタグとして使用され、比色測定基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB)等)または蛍光発生基質を使用して検査されて、HRPの存在が検出され得る。精製を容易化するためにタグとして使用され得る例示的な標識には、myc、HA、FLAGもしくは3XFLAG、6Xhisもしくはポリヒスチジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、エピトープタグ、または免疫グロブリンのFc部分が含まれるがこれらに限定されない。多数の標識には、例えば、粒子、フルオロフォア、ハプテン、酵素ならびにそれらの熱量測定、蛍光及び化学発光基質及び他の標識が含まれる。
【0144】
核酸分子内のヌクレオチド配列またはポリペプチド内のアミノ酸配列の特定伸長部間の同一率(または相補率)は、BLASTプログラム(基礎的ローカルアラインメント検索ツール)及びPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403-410;Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649-656)を使用して、またはSmith及びWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482-489)を使用するデフォルト設定を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)を使用することによって慣例的に決定され得る。本明細書において、配列同一率について言及する場合、配列同一性のより高いパーセンテージは、より低いものよりも好ましい。
【0145】
本明細書で使用される場合、「に対応する」という語句またはその文法的変形は、特定のヌクレオチドまたはヌクレオチドの配列もしくは位置の付番の文脈で使用される場合、その特定のヌクレオチドまたはヌクレオチド配列が参照配列(例えば、配列番号1等)と比較された場合の指定された参照配列の付番を指す。すなわち、特定のポリマーの残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸等)数または残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸等)位置は、その特定のヌクレオチドまたはヌクレオチド配列の範囲内でのその残基の実際の位置番号によってではなく、参照配列を基準として指定される。例えば、特定のヌクレオチド配列は、2つの配列間の残基の一致を最適化するためにギャップを導入することによって参照配列に対してアライメントされ得る。これらの場合では、ギャップは存在するが、特定のヌクレオチドまたはヌクレオチド配列における残基の付番は、それがアライメントされた参照配列に対して行われる。
【0146】
添付の配列表に列挙されるヌクレオチド及びアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基の場合は標準的な文字略称、及びアミノ酸の場合3文字のコードを使用して示される。ヌクレオチド配列は、配列の5’末端で開始し、3’末端へ前向きに進行する(すなわち各行における左から右へ)標準的な慣例に従う。各ヌクレオチド配列の1つの鎖のみが示されるが、提示された鎖に対する任意の参照によって相補鎖が包含されることが理解される。アミノ酸配列は、配列のアミノ末端で開始し、カルボキシ末端へ前向きに進行する(すなわち、各配列において左から右に)標準的な慣例に従う。
【0147】
本開示はまた、対象における皮膚癌の処置及び/または予防において使用するための皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤であって、対象は、a)カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、治療剤を提供する。本明細書に記載の皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤のいずれかは、これらの方法において使用され得る。
【0148】
本開示はまた、対象における皮膚癌を処置及び/または予防するための医薬品の調製において使用するための皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤の使用であって、対象は、a)カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、使用を提供する。本明細書に記載の皮膚癌を処置、予防、または阻害する治療剤のいずれかは、これらの方法において使用され得る。
【0149】
本開示はまた、対象における皮膚癌の処置及び/または予防において使用するためのCPVL阻害剤であって、対象は、a)カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、CPVL阻害剤を提供する。本明細書に記載のCPVL阻害剤のいずれかは、これらの方法において使用され得る。
【0150】
本開示はまた、対象における皮膚癌を処置及び/または予防するための医薬品の調製におけるCPVL阻害剤の使用であって、対象は、a)カルボキシペプチダーゼ卵黄形成様(CPVL)ゲノム核酸分子、CPVL mRNA分子、またはCPVL cDNA分子について参照である;またはb)i)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントゲノム核酸分子;ii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントmRNA分子;またはiii)CPVLの予測される機能喪失ポリペプチドをコードするCPVLミスセンスバリアントcDNA分子についてヘテロ接合である、使用を提供する。本明細書に記載のCPVL阻害剤のいずれかは、これらの方法において使用され得る。
【0151】
上または下で引用されるすべての特許文献、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号等は、各々の個別の項目が、参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、同じ程度までそれらの全体がすべての目的のために参照により組み込まれる。異なるバージョンの配列が、異なる時点でのアクセッション番号と関連している場合、本出願の有効出願日でのアクセッション番号と関連したバージョンを意味する。有効出願日は、該当する場合、そのアクセッション番号を言及する実際の出願日または優先権主張出願の出願日のうちの早い方を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイト等の異なるバージョンが異なる時点で公開される場合、別途示されない限り、本出願の有効出願日での最新の公開バージョンを意味する。本開示の任意の特徴、工程、要素、実施形態、または態様は、別途具体的に示されない限り、任意の他の特徴、工程、要素、実施形態、または態様と組み合わせて使用され得る。本開示は、明確性及び理解の目的のために、説明及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、所定の変化及び修飾が添付の特許請求の範囲内で実践され得ることが明らかとなる。
【0152】
以下の実施例は、実施形態をより詳細に説明するために提供される。それらは、請求された実施形態を限定するものではなく、説明することが意図されている。以下の実施例は、本明細書に記載の化合物、組成物、物品、デバイス及び/または方法がどのように作製及び評価されるかの開示及び説明を当業者に提供し、純粋に例示的であることが意図されており、任意の請求項の範囲を限定することは意図されていない。数値(例えば量、温度等)に関して正確性を確保するための試みがなされているが、ある程度の誤差及び偏差が考慮され得る。別途示されない限り、部は、重量部であり、温度は、℃または周囲温度であり、圧力は、大気圧または大気圧近傍である。
【実施例
【0153】
実施例1:GWASのメタ分析は、CPVLの保護的遺伝子負荷関連性を示す。
Regeneronは、現在までで最大のエクソームワイドのがん関連性分析を実施し、これはCPVLの同定をもたらした。UKB及びGHSコホートで行われたゲノムワイド関連性研究(GWAS)のメタ分析は、CPVL pLOF変異が、非黒色腫皮膚癌の低下したリスクに関連していたことを実証した(表3;表現型=NMSC;7番染色体、CPVLにおける位置28995771)。また、先行GWASにおける白斑に関連する遺伝子座のほとんどは、非黒色腫皮膚癌について保護的である(データは示されていない)。
【0154】
【表3】
【0155】
マスク定義:M3.5バリアントrs117744081は、CPVLペプチダーゼドメインにおけるミスセンスp.Tyr168をコードし;M3.1関連性は、同じ機能的ドメインにおけるp.Arg464Glnミスセンスによって誘導され;p.Ser61Asnは、ペプチダーゼドメインの外にあり、M3.1マスクに寄与する。
【0156】
その上、UKB及びGHSコホートで行われたGWASは、CPVL pLOF変異が、黒色腫の低下したリスクに関連することを示した(表4;表現型=黒色腫;7番染色体、CPVLにおける位置28995771)。
【0157】
【表4】
【0158】
実施例2:マクロファージにおけるCPVL発現
公共に利用可能なシングルセルRNA発現研究を分析して、CPVL発現の細胞タイプ特異性を定量した(表5、Jerby-Arnon et al.,Cell,2018,175,984-987;表6、Yost et al.,Nat.Med.,2019,25,1251-1259;及び表7、Hughes et al.,Immunity,2020,53,878-894を参照されたい)。
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
黒色腫腫瘍の腫瘍微小環境において、CPVLは、マクロファージによってほぼ独占的に発現することが認められた。がん関連線維芽細胞(CAF)及び内皮細胞のサブ集団もまた、その遺伝子を発現するようであった(図1を参照されたい)。また、基底細胞癌(BCC)データセットにおいて、CPVLは、マクロファージにおいて高度に発現し、メラノサイトにおいて軽度に発現することが認められた(図2を参照されたい;下側パネルは、背景についてYost et al.,Nat.Med.,2019,25,1251-1259からのものである)。
【0163】
本明細書に記載されるものに加えて、記載される主題の様々な修飾が、前述の記載から当業者に明らかとなる。そのような修飾もまた、添付の特許請求の範囲の範囲に入ることが意図される。本出願で引用される各参考文献(学術誌記事、米国及び米国以外の特許、特許出願公開、国際特許出願公開、遺伝子バンクアクセッション番号等を含むが、これらに限定されない)は、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
【配列表】
2024524596000001.xml
【国際調査報告】