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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】防火エンクロージャ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H01R13/52 B
H01R13/52 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500642
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069095
(87)【国際公開番号】W WO2023281066
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2109882.7
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008742
【氏名又は名称】ビリディアン・ソーラー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VIRIDIAN SOLAR LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】エルムズ,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】タン,コック トン
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ,トーマス
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL17
5E087MM05
5E087QQ03
5E087RR12
5E087RR13
5E087RR14
5E087RR34
(57)【要約】
太陽光発電用ソーラーパネルの直流接続のエンクロージャのための装置が提供され、該装置は、少なくとも2つの部品を有するハウジングを備え、前記少なくとも2つの部品は、互いに結合されると、空隙によって一対の嵌合型のDCコネクタを取り囲むためのチャンバを形成するように構成されており、前記ハウジングは、前記チャンバの中央部分に前記DCコネクタを配置するための少なくとも1つの支持構造体を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電用ソーラーパネルの直流接続のエンクロージャのための装置であって、
少なくとも2つの部品を有するハウジングを備え、
前記少なくとも2つの部品は、互いに結合されると、空隙によって一対の嵌合型のDCコネクタを取り囲むためのチャンバを形成するように構成されており、
前記ハウジングは、前記チャンバの中央部分に前記DCコネクタを配置するための少なくとも1つの支持構造体を備える、
装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持構造体は、前記チャンバの中央領域で前記DCコネクタを空中に浮かせるために、一方の前記DCコネクタに接続された少なくとも1つのケーブルに接触するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持構造体は、少なくとも一方向における前記DCコネクタの横方向の動きを規制するように構成されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記チャンバに面する内面を備え、
前記内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングから水を排出するための少なくとも1つの第1のポートを備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記チャンバに出入りする空気の流れのための少なくとも1つの第2のポートを備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、水の出口用、空気の入口用、及び/又は、空気の出口用の複雑に入り組んだ通路の出入り位置を提供する、
請求項5または請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、前記ハウジングの少なくとも一部の遠位端に位置する、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされた内面を備える、
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記DCコネクタを取り囲むように互いに係合する上側部分と下側部分とを備える、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、2つの開放端を有する管状部と、前記管状部の前記開放端を覆うように構成された2つの端部キャップとを備える、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、誘電体材料を含む、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記ハウジングの縁部に向けて水を導くように構成された少なくとも1つの外面を有する、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置と、外側ハウジングとを備え、
前記外側ハウジングは、前記外側ハウジングの内面によって画定される内部キャビティ内に前記装置を受け入れるように構成されている、
アセンブリ。
【請求項15】
前記外側ハウジングは、前記装置に設けられた少なくとも1つのポートを覆うように構成されている、
請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記外側ハウジングの内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされている、
請求項14または請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記外側ハウジングは、支持構造体に取り付け可能に構成されたブラケットを備える、
請求項14から請求項16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
少なくとも一方の前記DCコネクタに接続されたDCケーブルを受け入れるために前記外側ハウジング内に配置されるように構成された少なくとも1つの分割型のグロメットを更に備える、
請求項14から請求項17のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記外側ハウジングは、前記ハウジングの前記少なくとも2つの部品をまとめて保持するように構成されている、
請求項14から請求項18のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記外側ハウジングは、前記外側ハウジングの縁部に水を導くように構成された少なくとも1つの外面を有する、
請求項14から請求項19のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
製造業者によって定められた定格を有する一対の嵌合型のDCコネクタをさらに備え、
前記DCコネクタが前記定格以下で動作可能なように前記空隙の大きさが選択されている、
請求項14から請求項20のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、DCコネクタに関連する方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電(PV)システムの展開は、再生可能エネルギーの高い需要とこの技術の急速なコスト削減とにより、近年急激な成長を遂げている。
【0003】
太陽光発電モジュールは太陽エネルギーをDC電力に変換し、該DC電力は、直接利用されたり、下流での消費のためにACに変換されたりする。多くの場合、複数のPVモジュールがDCコネクタ(直流コネクタ)を介して直列または並列に電気的に接続される。例えば、MC4コネクタは、ソーラーパネルの接続に一般的に使用される単接点の電気コネクタである。
【0004】
アーク放電は、DCコネクタで発生し得る問題である。「アーク放電」という用語は、空隙における電位差によって生じる高温プラズマを通る電流の流れを指す。PV火災のリスクは、異なるメーカーのコネクタの接続やコネクタの不適切な設置態様など、不適切に製造されたコネクタや接続が不十分なコネクタに起因することが、多くの研究プロジェクトで結論付けられている。接続は劣化するため、時間の経過とともにアーク放電のリスクは増大する。アーク放電による高温により、DCコネクタ付近から火災が発生し得る。
【0005】
したがって、太陽光発電システムで使用されるDCコネクタは、アーク放電のリスクを最小限に抑えるように設計される。このことは、厳密な導体設計と、これに関連する埃や水の侵入に対する侵入保護(IP規格)(通常はIP68等級以下)とによって実現される。
【0006】
アーク放電による火災のリスクを最小限に抑えるために、いくつかの機構が開発されている。
【0007】
第1の例として、火災のリスクを最小限に抑えるために、さまざまな管轄区域においていくつかの業界規制規定が導入されている。本業界では、ロバストな取り付けのトレーニングプログラムを推進し、異なるメーカーの適合しないコネクタの使用を禁止することが一般的である。どちらのアプローチでも、DCアークに起因するPV火災の証拠が引き続き生じるため、問題を根絶することはできなかった。その結果、特定の地域では太陽光発電システムにアーク故障検出を義務付けており、最大電圧が80ボルトを超えるすべてのPVシステムはDCアーク故障回路遮断器によって保護される。この措置では、誤った不要なシャットダウンが発生し、ゆっくりと展開するアーク放電など、必ずしもすべての故障が検出されるとは限らない。
【0008】
別のアプローチは、DCコネクタを保護エンクロージャで囲うことである。これにより、DCアーク故障が発生した場合に、コネクタ自体への延焼を制限し、周囲の要素へのさらなる損傷を防ぐことができる。
【0009】
例えば、特許文献1(中国実用新案第201699384号明細書)において、Liu氏とWang氏は、DCコネクタが配置されるシェルを作成し、火災の延焼を防ぐためにシェルに細砂を充填するという解決策を提案した。
【0010】
同様に、特許文献2(中国特許出願公開第105811163号明細書)において、Cai氏らは、DCコネクタを収容キャビティ内に配置して耐火性フィラーで密封することを提案した。
【0011】
しかしながら、DCコネクタをカプセル化するこれらの解決策は、材料の不適合性や動作温度の上昇によってコネクタの完全性が損なわれ、熱事象が発生した場合に悪影響をもたらす可能性がある。特定の例として、一部のフィラーは、DCコネクタの材料に悪影響を及ぼし、劣化を早める可能性がある。カプセル化という面倒なプロセスも、実際の設置において現実的ではない。
【0012】
他のアプローチとして、アーク放電を最小限に抑えるために特別なキャビティ形状を提供することが検討されている。例えば、特許文献3(中国実用新案第208738495号明細書)において、Jiang氏らは、端部が開放したセラミック保護チューブ内にDCコネクタを配置し、当該チューブの両端を通って伸びる金属製の留め具(ピン)でケーブルを固定した。当該チューブはアーク放電温度に耐えることができるかもしれないが、端部が開放した当該チューブの内部において火災がどのように封じ込められ得るのかは疑問である。さらに、端部が開放したチューブによりコネクタ内に水の通路が生じ、アーク放電のリスクが高まる可能性がある。
【0013】
別のアプローチ例として、新しいケーブル接続機構が開発されている。例えば、特許文献4(中国実用新案第209747847号明細書)において、Liu氏と Wen氏は、耐火熱収縮性スリーブを利用してケーブルを保護して、2本のケーブルを互いに圧着してピンで固定する新しいケーブル接続方法を考案した。特許文献5(特開2020-137367号公報)において、宮本氏らは、火災の延焼を防ぐために耐熱テープを使用する同様の設計コンセプトを提案している。どちらの解決策も、太陽光発電パネルに現在取り付けられている一般的な標準DCコネクタ(太陽光発電の設置の受け入れ拡大に貢献した特徴)とは異なる。
【0014】
以上の解決策はすべて火災の延焼を封じ込めることで同じ問題を解決しようとしたものであるが、これらの発明は、コネクタへの通気が不十分であること、及び/又は、コネクタの周囲に水が蓄積しやすくなることにより、そもそもアーク放電のリスクを高める。動作温度の上昇と水の浸入のリスクとにより問題が悪化し、アーク放電につながる故障の可能性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】中国実用新案第201699384号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第105811163号明細書
【特許文献3】中国実用新案第208738495号明細書
【特許文献4】中国実用新案第209747847号明細書
【特許文献5】特開2020-137367号公報
【発明の概要】
【0016】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。 特定のより具体的な態様は、従属請求項によって定義される。
【0017】
第1の態様によれば、太陽光発電用ソーラーパネルの直流接続のエンクロージャのための装置が提供され、該装置は、少なくとも2つの部品を有するハウジングを備え、前記少なくとも2つの部品は、互いに結合されると、空隙によって一対の嵌合型のDCコネクタ(互いに嵌合される一対のDCコネクタ)を取り囲むためのチャンバを形成するように構成されており、前記ハウジングは、前記チャンバの中央部分に前記DCコネクタを配置するための少なくとも1つの支持構造体を備える。
【0018】
前記少なくとも1つの支持構造体は、前記チャンバの中央領域で前記DCコネクタを空中に浮かせるために、一方の前記DCコネクタに接続された少なくとも1つのケーブルに接触するように構成されてもよい。
【0019】
前記少なくとも1つの支持構造体は、少なくとも一方向における前記DCコネクタの横方向の動きを規制するように構成されてもよい。
【0020】
前記ハウジングは、前記チャンバに面する内面を備え、前記内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされてもよい。
【0021】
前記装置は、前記ハウジングから水を排出するための少なくとも1つの第1のポートを備えてもよい。
【0022】
前記装置は、前記チャンバに出入りする空気の流れのための少なくとも1つの第2のポートを備えてもよい。
【0023】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、水の出口用、空気の入口用、及び/又は、空気の出口用の複雑に入り組んだ通路の出入り位置を提供してもよい。
【0024】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、前記ハウジングの少なくとも一部の遠位端に位置してもよい。
【0025】
前記少なくとも1つの第1のポート、及び/又は、前記少なくとも1つの第2のポートは、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされた内面を備えてもよい。
【0026】
前記ハウジングは、前記DCコネクタを取り囲むように互いに係合する上側部分と下側部分とを備えてもよい。
【0027】
前記ハウジングは、2つの開放端を有する管状部と、前記管状部の前記開放端を覆うように構成された2つの端部キャップとを備えてもよい。
【0028】
前記ハウジングは、誘電体材料を含んでもよい。
【0029】
前記ハウジングは、前記ハウジングの縁部に向けて水を導くように構成された少なくとも1つの外面を有してもよい。
【0030】
第2の態様によれば、前記第1の態様におけるいずれかの装置を備えたアセンブリが提供され、該アセンブリは、外側ハウジングを備え、前記外側ハウジングは、前記外側ハウジングの内面によって画定される内部キャビティ内に前記装置を受け入れるように構成される。
【0031】
前記外側ハウジングは、前記装置に設けられた少なくとも1つのポートを覆うように構成されてもよい。
【0032】
前記外側ハウジングの内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされてもよい。
【0033】
前記外側ハウジングは、支持構造体に取り付け可能に構成されたブラケットを備えてもよい。
【0034】
前記アセンブリは、少なくとも一方の前記DCコネクタに接続されたDCケーブルを受け入れるために前記外側ハウジング内に配置されるように構成された少なくとも1つの分割型のグロメットを更に備えてもよい。
【0035】
前記外側ハウジングは、前記ハウジングの前記少なくとも2つの部品をまとめて保持するように構成されてもよい。
【0036】
前記外側ハウジングは、前記外側ハウジングの縁部に水を導くように構成された少なくとも1つの外面を有してもよい。
【0037】
前記アセンブリは、前記DCコネクタの製造業者によって定められた定格を有するDCコネクタをさらに備えてもよく、前記DCコネクタが前記定格以下で動作可能なように前記空隙の大きさが選択されてもよい。
【0038】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念を簡略化した形式で選択的に紹介するために提供されている。この概要は、特許請求の範囲における主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求の範囲における主題の範囲を制限するために使用されることを意図したものでもない。また、特許請求の範囲における主題は、背景技術の説明で述べられた欠点の一部または全てを解決する実施に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、以下の実施例および添付の図面を参照して、単なる例として、実施例がさらに詳細に説明される。
【0040】
図1A】第1の構成例の図を示す。
図1B】第1の構成例の図を示す。
図1C】第1の構成例の図を示す。
図2A】第2の構成例の図を示す。
図2B】第2の構成例の図を示す。
図2C】第2の構成例の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の構成は、上述の課題の少なくとも1つに対処することを目的としている。特に、以下の構成は、DCコネクタでのアーク放電から生じる火災を封じ込め、その結果としての周囲の材料への火災の延焼を防止するためのエンクロージャ(防火用の筐体)を提供することに関する。このことは、特に、太陽光発電システムにおけるアーク放電を抑制し、例えば屋根状(ルーフ型)の要素や隣接する太陽光発電システムへの延焼を防止するためのエンクロージャ(防火用の筐体)に適用される。本実施形態で開示されるシステムは、アーク放電の危険性を高めることなく、DCコネクタが通常の動作条件下で動作できるようにすることも目的としている。
【0042】
これらの課題は、以下でさらに説明されるように、嵌合型DCコネクタ(互いに嵌合される一対のDCコネクタ)の周囲に十分な空隙を維持しつつ、これらのDCコネクタを防火用(耐火性)のエンクロージャ(防火用の筐体)内に封入する装置によって対処され得る。この装置には、製造業者によって定められる最大動作温度未満にコネクタを保つために空気の流れを促進する通気開口部が設けられてもよい。このようなエンクロージャ(筐体)は、内側から外側への火災の延焼を防止し、囲まれた空間への水の浸入を抑制し、且つ/又は、エンクロージャ(筐体)内に湿気が溜まった場合に水の排水を可能にするのに役立ち得る。
【0043】
本実施形態で提供されるエンクロージャ(筐体)は、以下にさらに示されるように、内側ハウジングに関して説明される。この内側ハウジングに加えて、以下では、内側ハウジングと組み付けられたときにさらなる技術的利点を提供し得る外側ハウジングが開示される。内側ハウジング及び外側ハウジングについて、図1A図2Cに関連してより具体的な例が説明される前に、概略的に説明される。
【0044】
概して、以下では、嵌合型DCコネクタ(互いに嵌合される一対のDCコネクタ)が内部に配置され得る空気のチャンバ(キャビティ)を画定する内側ハウジングが開示される。画定されたチャンバは、嵌合型DCコネクタを包囲し得る。換言すれば、画定されたチャンバは、嵌合型DCコネクタのあらゆる面において、これらのDCコネクタを同時に取り囲み得る。このことは、内側ハウジングの開口端がないことを意味する。
【0045】
支持構造体としての少なくとも1つの支持部材がDCコネクタの近位に設けられている場合(後述参照)、嵌合型DCコネクタのバーの周りに少なくともxミリメートルの前記空隙があってもよく、該xは、動作中にDCコネクタから出力されると予想される熱量、および/または、内側ハウジングに設けられた通気口(ポート)の個数に応じて決められる。換言すれば、いくつかの構成例において、嵌合型DCコネクタからxミリメートル以内には、内側ハウジングの一部が存在しない。他の構成例において、嵌合型DCコネクタからxミリメートル以内における内側ハウジングの一部は、チャンバの中央領域内にDCコネクタを位置決めするための、且つ/又は、チャンバ内でのDCコネクタの横方向の動きを抑制するための、少なくとも1つの支持部材であってもよい。特定の例として、前記xは5ミリメートルであってもよい。
【0046】
内側ハウジングには、嵌合型DCコネクタを(特にチャンバ内での長手方向における)チャンバの中央領域内に位置決めするのに役立つ少なくとも1つの支持部材が設けられてもよい。該少なくとも1つの支持部材は、チャンバ内でのDCコネクタの横方向の動きを抑制し得る。該少なくとも1つの支持部材は、嵌合型DCコネクタに関連付けられたケーブルの少なくとも1つに接触することによって、該DCコネクタの位置決めを支援し得る。該少なくとも1つの支持部材は、ハウジングの遠位端に(すなわち、中央領域から離れて)配置されてもよい。該少なくとも1つの支持部材は、中央領域の近位側に配置されてもよい。複数の支持部材がある場合、これらの支持部材は、中央領域の近位側および遠位側の両方に配置されてもよい。
【0047】
この内側ハウジングは、流体が流れるための少なくとも1つのポートが存在するように構成されている。ポートは、接続部分の縁部の構成(形状)の結果として、内側ハウジングの部分が係合する場所の近位側に形成されてもよい。これに加えて、又は、これに代えて、ポートは、内側ハウジングを通って延びる穴またはチャネルとして構成されてもよい。
【0048】
(水の浸入があった場合は)これらのポートを介して内側ハウジングから水が排出されたり、これらのポートを通る空気の流れを介した放熱を支援するように通気(換気)が提供されたりし得る。これらのポートは、内側ハウジングから出入りする流体の流れが通る内面を有してもよく、この内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされている。(例えば、エンクロージャ内に火が存在する場合などの)加熱下において、前記膨張性材料は、ポートを塞ぐように膨張し得る。これにより、空気の流れが制限されるため、消火が支援され得る。同様の効果として、ポートの近位側にある内側ハウジングの領域が少なくとも部分的に膨張性材料でコーティングされ得る。
【0049】
ポートは、(例えば、内側ハウジングの別々の部分同士が交わる場所にポートが形成されるような)複数部分の接続形状によって、且つ/又は、これらの部分自体に位置する複数の穴によって画定され得る。ポートは、内側ハウジング内の少なくとも1つの遠位端に配置され得る。換言すれば、嵌合型DCコネクタがチャンバの中央領域に位置する場合、ポートはこの中央領域から比較的遠くに位置し得る。
【0050】
内側ハウジングは、火災の延焼を抑制するための少なくとも1つの材料で形成され得る。例えば、内側ハウジングは、エンクロージャ内の火災および対応する熱衝撃から生じる高温に耐え得る少なくとも1つの材料で作製され得る。換言すれば、内側ハウジングの材料は、エンクロージャ内の火災による熱衝撃の後に内側ハウジングが亀裂を生じにくいことを保証するように選択されてもよい。本明細書において、このような火にさらされても燃えないというこの特性は、耐火性、不燃性などと呼ばれるものとする。このことについては、セラミック材料に関連して以下でさらに説明される。
【0051】
内側ハウジングは、誘電体材料で設けられてもよい。内側ハウジングを誘電体材料で形成することにより、コネクタ本体が焼け落ちた場合に内側ハウジングを介してアーク放電が継続する可能性を最小限に抑えることができる。
【0052】
以下では、内側ハウジングの少なくとも一部を覆う外側ハウジングについても説明される。換言すれば、外側ハウジングは、内側ハウジングの外面を受け入れる少なくとも1つの内面を備えてもよい。外側ハウジングは、内側ハウジングの少なくとも2つの部分を一緒に(まとめて)保持可能である。これにより、内側ハウジングのこれらの部分間の追加の接続機構の必要性が回避される(ただし、場合によっては、追加の接続機構が設けられてもよい)。
【0053】
外側ハウジングは、水の浸入と火炎の漏出を阻止するために、内側ハウジングの少なくともポートを覆うように構成されてもよい。
【0054】
外側ハウジングは、内側ハウジングのポートと同様の目的のために、ポートを備えてもよい。外側ハウジングのポートは、内側ハウジングのポートと位置合わせされなくてもよい。互いに位置合わせされていないポートを備えることにより、流体の浸入および/または漏出のための複雑に入り組んだ経路が形成され、水の浸入および火炎の漏出を抑制するのに役立つ。内側ハウジングのポートと外側ハウジングのポートとは、嵌合型DCコネクタの周囲の温度を、これらのDCコネクタについての製造業者の定格内に維持するように構成されてもよい。
【0055】
内側ハウジングおよび外側ハウジングのうちの少なくとも一方における内面の少なくとも一部は、膨張性材料でコーティングされてもよい。膨張性材料は、アーク放電によって生じ得る火炎温度で膨張するように選択されてもよい。これにより、消火やポートの遮断が支援され、アーク放電発生時の炎の漏出のリスクが制限される。
【0056】
外側ハウジングは、ガスケットまたはグロメットなどのシールデバイスをさらに備えてもよい。該シールデバイスは、嵌合型DCコネクタのDCケーブルが外側ハウジングに入る場所における外側ハウジングへの水の浸入を抑制したり、火炎の漏出を防止したりするのに役立つ。
【0057】
図1A図2Cには、本明細書で説明される技術を実施し得る特定の実施例が示されている。
【0058】
図1A図1Cは、同じ実施例の装置およびアセンブリの様々な図を示す。図1Bはアセンブリの分解図を示し、図1Cはアセンブリの斜視図を示す。
【0059】
図1A図1Cは、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとが、対応するDCコネクタ8A,8Bを介して互いに接続されることを示す。DCコネクタ8A,8Bは、空隙(エアギャップ)に囲まれている。この空隙は、少なくとも5mm(5mm以上)であってもよい。第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとは、それぞれの端部において、DCコネクタ8A,8Bを取り囲む内側ハウジング1,2によって支持されている。この実施例において、内側ハウジング1,2は、(後述のように)組み立てを容易にするために2つの別個の部品を備える。また、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとは、それぞれの端部において、内側ハウジング1,2(例えば、下側部分2)に接続された追加の支持体(支持構造体)3A,3Bによっても支持されている。
【0060】
さらに、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとは、内側ハウジング1,2を取り囲む(収容する)外側ハウジング5,6内の対応する保持デバイス7A,7B(例えば、グロメットまたはガスケット)によって中央位置に支持される。保持デバイス7A,7Bはまた、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとが外側ハウジングに入る場所での水の浸入や火炎の漏出を抑制することによってシール機能を提供することもできる。また、内側ハウジングは、水の排出および空気の侵入を可能にする穴4A,4Bを備える。なお、これらの穴4A,4Bのすべてが図示されているわけではない。さらに、穴4A,4Bは、水の浸入や火炎の漏出を抑制するために、外側ハウジング5,6の外面まで複雑に入り組んだ態様で(迷路状に)延びるように構成されてもよい。外側ハウジング5,6は、屋根状(ルーフ型)の構造体11(又は、PVシステム用の任意の構造体11)に固定するためのブラケット17に、締結具10を介して取り付けられてもよい。構造体11は、例えば、木材の板材であってもよいし、スチール(鋼)若しくはアルミニウムなどの金属で作製され得る支持レールであってもよい。
【0061】
組み立て中、DCコネクタ8A,8Bは、いずれか一方の内側ハウジング1,2の部品上に配置される前に、互いに接続される。次に、他方の内側ハウジング1,2の部品を接続することによって、DCコネクタ8A,8Bを含むキャビティが形成される。外側ハウジング5,6の部品同士は、内側ハウジング1,2を完全に包囲(収容)するように内側ハウジング1,2を覆って、互いに接続される。外側ハウジング5,6の端部プレートには、外側ハウジング5,6の部品同士が接合されるときに第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとが所定の位置までスライド可能にするために、少なくとも1つのスロットが設けられてもよい。次に、外側ハウジング5,6は、ブラケット17および締結具10を介して構造体11に取り付けられる。ブラケット17は、外側ハウジング5,6の少なくとも一部と一体であってもよいし、外側ハウジング5,6から独立していてもよい。
【0062】
図2A図2Cは、本明細書で説明される技術に係る装置およびアセンブリの別の実施例を示す。図2Bはアセンブリの分解図を示し、図2Cはアセンブリの斜視図を示す。
【0063】
上側部分1および下側部分2の2つの部品からなる内側ハウジング1,2を示す図1A図1Cの実施例とは対照的に、図2は、管状部12および2つの端部キャップ(エンドキャップ)13を有する内側ハウジングを備えた実施例を示す。端部キャップ13は、管状部12の端部を覆うことによって、管状部12の端部から火炎が漏れるのを防止するように機能する。
【0064】
図2A図2Cは、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとが対応するDCコネクタ8A,8Bを介して互いに接続されることを示す。DCコネクタ8A,8Bは、空隙(エアギャップ)に囲まれている。この空隙は、少なくとも5mm(5mm以上)であってもよい。第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとは、それぞれの端部において端部キャップ13A,13Bによって支持されている。端部キャップ13A,13Bは、その支持部(支持構造体)14A,14Bにおいて第1のケーブル9Aまたは第2のケーブル9Bの一部に接触するが、DCコネクタ8A,8Bを取り囲まない。管状部12(不燃性材料/耐火性材料から作製されてもよい)は、その管形状のそれぞれの端部において両方の端部キャップ13A,13Bに接触する。管状部12は、使用時においてDCコネクタ8A,8Bを径方向に取り囲む。
【0065】
さらに、第1のケーブル9Aと第2のケーブル9Bとは、管状部12および端部キャップ13A,13Bを取り囲む(収容する)外側ハウジング16内の対応する保持デバイス7A,7B(例えば、グロメットまたはガスケット)によって中央位置に支持される。保持デバイス7A,7Bは、外側ハウジング16への水の浸入を抑制するのに役立つシールデバイス(密封デバイス)としても機能し得る。管状部12および/または端部キャップ13A,13Bはまた、水の排出および空気の侵入を可能にする少なくとも1つの穴15を備える(又は、少なくとも1つの出口ポートを提供するように構成される)。なお、これらの穴15のすべてが図示されているわけではない。さらに、穴(ポート)15は、水の浸入および火炎の漏出を抑制するために、外側ハウジング16の外面まで複雑に入り組んだ態様で(迷路状に)延びるように構成されてもよい。外側ハウジング16は、屋根状(ルーフ型)の構造体11(又は、PVシステム用の任意の構造体11)に固定するためのブラケット17に、締結具10を介して取り付けられてもよい。構造体11は、例えば、木材の板材であってもよいし、スチール(鋼)若しくはアルミニウムなどの金属で作製され得る支持レールであってもよい。
【0066】
組み立て中、第1のケーブル9A及び第2のケーブル9Bのうちの少なくとも一方は、対応する端部キャップ13A,13B内へスライドされて、対応するDCコネクタ8A,8Bが管状部12の他端から出現するように管状部12を通過されてもよい。次いで、DCコネクタ8A,8Bは、管状部12の中央内部領域に再配置される前に、互いに嵌合(接続)されてもよい。次に、残りの端部キャップ13A,13Bが、第1のケーブル9A及び第2のケーブル9Bのうちの残りのケーブル9A,9B上をスライドされて、管状部12の他端に取り付けられてもよい。
【0067】
次に、内側ハウジング(管状部12及び端部キャップ13A,13B)は、外側ハウジング16が内側ハウジングを部分的に取り囲むように外側ハウジング16内に配置される。外側ハウジング16の端部プレートには、第1のケーブル9A及び第2のケーブル9Bが外側ハウジング16に挿入されるときに所定の位置へスライド可能にするために、少なくとも1つのスロットを備えてもよい。次に、外側ハウジング16は、ブラケット17および締結具10を介して構造体11に取り付けられる。ブラケット17は、外側ハウジング16の少なくとも一部と一体であってもよいし、外側ハウジング16から独立していてもよい。
【0068】
以下、上記の両方の実施例に当てはまる特徴(構成)が説明される。なお、以下に説明される特徴は、内側ハウジングおよび外側ハウジングの他の構成例(例えば直方体構成など)にも適用可能である。すなわち、以下の開示は、当該2つの実施例に限定されるものではなく、単なる具体例を用いた説明に過ぎない。
【0069】
当該2つの実施例のいずれにおいても、DCコネクタの両端でケーブルを支持することにより、コネクタ自体とエンクロージャの材料との接触が回避される。この支持は、最大限の防火と通気のためにコネクタが中央位置に確実に保持されるような、ケーブル拘束としても機能する。さらに、この配置により、コネクタの製品寿命を損ない得る不適合材料との接触のリスクが軽減される。DCコネクタは、MC4コネクタ(マルチコンタクト)、又は同様コネクタであってもよい。
【0070】
図1および図2の両方の実施例は、内側ハウジングの一体部品であってもよい支持機構(支持構造体)3,14を提供するものである。これらの支持機構3,14は、ケーブル9A,9B(任意のグロメットを含む)のための隙間を介して外側ハウジングによって提供され得る支持体とは別のものである。支持機構3,14は、DCコネクタの周囲に5mm以上(少なくとも5mm)の空隙を確保する位置に配置されてもよい。支持機構3,14は、内側ハウジング内でのコネクタの横方向の移動を防止するように構成されてもよい。例えば、支持機構3は、DCコネクタ8A,8Bの縁部にほぼ当接(近接)するように製造されてもよい。
【0071】
内側ハウジング(1,2,12,13)は、高温およびこれに対応する熱衝撃に耐え得るセラミック材料で作製されてもよい。この目的は、10mmの壁厚で達成され得る。セラミック材料は、熱衝撃後にデバイスに亀裂が生じないように選択されてもよい。選択されるセラミック材料には誘電特性があり、アーク損傷によりコネクタが破壊されてデバイスに接触した場合に回路の連続性が妨げられる。
【0072】
上述の図1および図2の内側ハウジングは、アルミナセメント又はアルミン酸カルシウムなどの材料から製造されてもよい。より詳細には、図1の内側ハウジングは、耐火性材料から鋳造することによって作製されてもよい。さらに、図2A図2Cの管状部12は、押出成形により耐火性材料から製造されてもよく、2つの端部キャップは、緻密な機械加工可能なセラミックから鋳造または機械加工により製造されてもよい。ただし、構成要素の製造方法は、これに限定されるものでない。
【0073】
39アンペアの電流がコネクタを流れ、周囲条件が85度であるとき、内側ハウジングは、105度未満の温度に維持されように構成されてもよい。このことは、DCコネクタを取り囲む空隙と、内側ハウジングの通気ポートおよび/または排水ポートの個数および大きさとの間のトレードオフによって達成され得る。換言すれば、DCコネクタの定格電流および周囲温度におけるDCコネクタの定格最大動作温度未満にキャビティ内の温度を維持するように、内側ハウジングが構成されてもよい。
【0074】
内側ハウジング及び/又は外側ハウジングにおける少なくとも1つの外面は、水をはじき、ハウジングによって画定されるチャンバ(キャビティ)への水の浸入を阻止するような形状であってもよい。このことは、例えば、前記少なくとも1つの外面に入射(到達)する水を該少なくとも1つの外面の縁部(エッジ)に導くように該少なくとも1つの外面の輪郭を形成することの結果として実行されてもよい。この文脈において、縁部(エッジ)とは、重力の影響下で水が外側ハウジングおよび/または内側ハウジングから離れ得る場所である。
【0075】
全体として、エンクロージャには、エンクロージャの設置方向に関係なく、エンクロージャ内に蓄積し得る湿気を重力で排出できるように、十分な排水穴(排水ポート)4,15が設けられている。排水穴4,15は、内側ハウジングによって形成されるキャビティの中心においてアーク放電が最も発生しやすい位置から最も遠くなるように、エンクロージャの端部に放射状に配置されてもよい。
【0076】
外側ハウジング5,6,16は、DCコネクタ8A,8Bを収容可能な内部キャビティを形成することによって、内側ハウジングのすべての構成要素をまとめて保持し得る。外側ハウジングは、内側ハウジングの排水穴および通気穴の少なくとも一部と重なって(オーバラップして)いてもよい。これにより、複雑に入り組んだ(迷路のような)通路が作り出され、火炎の漏れを防止しつつ、通気を促進してDCコネクタを乾燥状態に確実に保つようにエンクロージャ内からの水と空気の移動が許容され得る。
【0077】
図1A図1Cに関して説明された外側ハウジングは、図2A図2Cのシステムにおける外側ハウジングとしても使用可能であり、その逆も同様である。
【0078】
アーク放電発生時に通気穴と排水穴を閉じるために、膨張性材料(すなわち、昇温で体積が増大するように膨張する材料)のコーティングが外側ハウジングの内面に適用(塗布)されてもよい。
【0079】
上述の2つの実施例の両方において、外側ハウジングには複数の保持デバイス7が設けられている。これらの保持デバイス7は、ケーブルの擦れを防止し、保持デバイス7が設けられない場合に比べて優れたシール性をケーブル入口の周囲に提供し得る。これらの保持デバイス7は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムから作られてもよい。これらの保持デバイス7(シールガスケット)は、ケーブルの端部にコネクタがすでに付いている場合でもケーブルを挿入し得る分割型のガスケットであってもよい。
【0080】
DCコネクタ8A,8Bおよびケーブル9A,9Bは、太陽光発電(PV)産業で一般的に使用される標準的な部品(コンポーネント)であってもよい。例えば、現行の仕様の場合、DCコネクタ8A,8Bおよびケーブル9A,9Bは、必要な電気規格(つまり IEC 60512-5-1及びIEC 62852)に準拠した最大動作温度を有し、4mmのDCケーブルにおいて、39アンペアの電流負荷および85度の周囲温度での最大動作温度は105度である。実際のコネクタ、ケーブル、および構成は、設置されるシステムに適用される特定の電気規格に準拠するように選択され得る。
【0081】
上記においては、図1A図2Cの特定の実施例に関して示されるより一般的な原理とともに、本発明がどのように実施され得るかについてのいくつかの特定の実施例が提供されている。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。以下、内側ハウジング、外側ハウジング、及び、これら2つのハウジング装置を含むアセンブリの一般的な開示が提供され、内側ハウジングは単に「ハウジング」とも呼ばれる。特定の実施例に関連する上述の特徴も、以下のより一般的な開示の一部を形成し得る。
【0082】
第1の態様として、太陽光発電ソーラーパネルの直流接続のエンクロージャのための装置が提供され、この装置は、内側ハウジングを備える。内側ハウジングは少なくとも2つの部品を備えており、これらの部品は、互いに結合されると、空隙(エアギャップ)によって嵌合型DCコネクタ(直流コネクタ)を取り囲むためのチャンバを形成する。
【0083】
ハウジングは、チャンバの中央部分にDCコネクタを配置するための少なくとも1つの支持構造体を備える。
【0084】
少なくとも1つの支持構造体は、DCコネクタをチャンバの中央領域で空中に浮かせるために、DCコネクタの1つに接続された少なくとも1つのケーブルに接触するように構成される。少なくとも1つの支持構造体は、少なくとも一方向におけるDCコネクタの横方向の動きを規制(阻止)するように構成されている。少なくとも1つの支持構造体は、少なくとも1つのケーブルに接触することによってDCコネクタの横方向の動きを規制(阻止)し得る。DCコネクタの動きを規制(阻止)することは、DCコネクタが製造業者の定格以下で動作するのに十分な空隙(エアギャップ)内にDCコネクタを保持するのに役立つ。DCコネクタが様々な製造業者の定格を有する場合、最も制限的な定格が適用される。
【0085】
ハウジングは、チャンバに面する内面を備え、この内面は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされてもよい。このコーティングは、(以下でさらに説明される)少なくとも1つのポートの近く(近位)に配置されてもよい。
【0086】
この装置は、耐火性のハウジングから水を排出するための少なくとも1つの第1のポートを備えてもよい。この装置は、チャンバに出入りする空気の流れのための少なくとも1つの第2のポートを備えてもよい。少なくとも1つの第1のポートおよび/または少なくとも1つの第2のポートは、ハウジングの部品同士の嵌合(合わせ面)の構成によって提供されてもよい。少なくとも1つの第1のポートおよび/または少なくとも1つの第2のポートは、ハウジングを貫通して延びるチャネルによって形成されてもよい。
【0087】
少なくとも1つの第1のポートおよび/または少なくとも1つの第2のポートは、水の出口用、空気の入口用、および/または空気の出口用の、複雑に入り組んだ(迷路のような)通路の出入り位置を提供し得る。少なくとも1つの第1のポートおよび/または少なくとも1つの第2のポートは、ハウジングの少なくとも一部の遠位端に配置されてもよい。少なくとも1つの第1のポートおよび/または少なくとも1つの第2のポートは、それぞれ内面を備えてもよく、少なくとも1つの内面は、膨張性材料で部分的にコーティングされてもよい。
【0088】
ハウジングは、嵌合型DCコネクタを取り囲むように互いに嵌合(係合)する上側部分と下側部分とを備えてもよい。この構成は、例えば、図1A図1Cを参照して説明された通りのものであってもよい。
【0089】
ハウジングは、2つの開放端を有する管状部と、管状部の開放端を覆うように構成された2つの端部キャップ(エンドキャップ)とを備えてもよい。この構成は、例えば、図2A図2Cを参照して説明された通りのものであってもよい。
【0090】
ハウジングは、誘電体材料を含んでもよい。誘電体材料はセラミック材料であってもよい。誘電体材料は、エンクロージャ内で発生した火災による熱衝撃による亀裂が発生しにくいように選択されてもよい。誘電体材料を使用することで、DCコネクタの本体が焼損した場合でもハウジングを介した電気的導通が防止される。
【0091】
ハウジングは、水をハウジングの縁部に導くように構成された少なくとも1つの外面を有してもよい。換言すれば、ハウジングは、その上に落ちた水をはじくように構成されてもよい。このことは、複数の方法のいずれかでハウジングの外面の輪郭を描くことによって達成され得る。
【0092】
上述のハウジング(内側ハウジング)は、外側ハウジングも備えたアセンブリ内に設けられてもよい。この場合、外側ハウジングは、外側ハウジングの内面によって画定される内部キャビティ内に装置を受け入れるように構成される。外側ハウジングは、ハウジング(内側ハウジング)の少なくとも2つの部分(部品)をまとめて保持するように構成されてもよい。換言すれば、外側ハウジングは、ハウジング(内側ハウジング)の部分(部品)をまとめて保持するための保持機構として機能するように構成されてもよい。
【0093】
外側ハウジングは、装置に設けられた少なくとも1つのポートを覆うように構成されてもよい。外側ハウジングには、外側ハウジングを貫通して延びる少なくとも1つのチャネルが設けられてもよく、該チャネルは、少なくとも1つの第3のポートを提供し得る。第3のポートの位置は、上述したように、外側ハウジングがハウジング(内側ハウジング)と組み付けられるときに、第1、第2、および第3のポートが位置合わせされないか、又は、部分的にしか位置合わせされないように(すなわち、これらのポートが完全に位置合わせされないように)選択されてもよい。このことは、水の浸入と火炎の漏出を防ぐのに役立つ。
【0094】
外側ハウジングの内面の少なくとも一部は、膨張性材料で少なくとも部分的にコーティングされてもよい。膨張性材料は、装置によって提供される少なくとも1つのポート(例えば、第1のポートおよび/または第2のポート)の近位にあってもよく、且つ/又は、第3のポートの近位にあってもよい。
【0095】
外側ハウジングは、支持構造体に取り付けるように構成されたブラケットを備えてもよい。
【0096】
アセンブリは、少なくとも1つの分割型のグロメットを備えてもよく、該グロメットは、嵌合型DCコネクタの少なくとも一方に接続されたDCケーブル(直流ケーブル)を受け入れるために外側ハウジング内に配置されるように構成される。
【0097】
外側ハウジングは、水を外側ハウジングの縁部に導くように構成された少なくとも1つの外面を有する。換言すれば、外側ハウジングは、その上に落ちた水をはじくように構成されてもよい。このことは、複数の方法のいずれかでハウジングの外面の輪郭を描くことによって達成され得る。
【0098】
アセンブリはさらに、嵌合型DCコネクタ(直流コネクタ)を備えてもよい。DCコネクタは、それぞれの製造業者の定格に関連付けられてもよい。空隙(エアギャップ)の大きさは、前記定格のうち最も制限的なもの以下でDCコネクタが動作できるように構成されてもよい。空隙は5mm以上(少なくとも5mm)であってもよい。
【0099】
本発明の主題は、構造的特徴および/または方法論的動作に特有の文言で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴または動作に限定されるべきでない。むしろ、上記の特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されたものである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
【国際調査報告】