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特表2024-524605クライネ-レヴィン症候群の治療における使用のためのベネジン、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩およびその誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】クライネ-レヴィン症候群の治療における使用のためのベネジン、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩およびその誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K31/445
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
A61P25/00
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500682
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022069188
(87)【国際公開番号】W WO2023281103
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21305946.2
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009015
【氏名又は名称】エヌエルエス、ファーマシューティクス、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】NLS Pharmaceutics AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】エリク、コノファル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
(57)【要約】
本発明は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、式(I)の化合物(式中、R=HまたはF、Cl、Br、Iからなる群から選択されるハロゲン原子である。)、または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物に関する。
[化1]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、式(I)
【化1】
(式中、R=HまたはF、Cl、Br、Iからなる群から選択されるハロゲン原子である)
の化合物、または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物。
【請求項2】
0.001mg/kg/日~5mg/kg/日、好ましくは0.005~0.05mg/kg/日である治療用量が、それを必要とする患者に投与される、請求項1に記載の使用のための式(I)の化合物。
【請求項3】
=Hである、請求項1または2のいずれか一項に記載の使用のための式(I)の化合物。
【請求項4】
クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物、ならびに薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項5】
0.125mg~6mg、好ましくは0.25mg~3mgの式(I)の化合物を含む、請求項4に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項6】
経口または非経口投与に好適な、請求項4または5に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項7】
注射可能な溶液のような溶液剤、もしくは錠剤もしくはカプセル剤の形態、または経皮送達システムである、請求項6に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療におけるベネジン(Benedin)、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩およびその誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過眠症の中枢性障害(CDH)は、病理学的な日中の眠気および/または不適切な覚醒状態により特徴付けられる。The International Classification of Sleep Disorders、第3版(ICSD-3)は、8個の異なる過眠症の中枢性障害:ナルコレプシー1型、ナルコレプシー2型、特発性過眠症、クライネ-レヴィン症候群、精神障害に関連する過眠症、医学的障害による過眠症、薬または物質による過眠症、および睡眠不全症候群に分類する
【0003】
これらの障害の基礎をなす病理生理学は、明らかではない。
【0004】
クライネ-レヴィン症候群(KLS)は、重度過眠症の再発性で再発寛解型エピソード、過剰な量の睡眠(すなわち1日当たり18~20時間)の必要性(過眠症);過剰な食物摂取(強迫性過食、むちゃ食い);ならびに、認知障害、無感情、現実感消失、気分変化、および異常に抑制されない性欲のような行動の変化で特徴付けられる希少疾患である
【0005】
500例未満のKLSが医学文献で報告されている。しかし、KLSの症例が多くの場合認識されていないので、本障害は、過少診断され、一般集団にその真の頻度を決定することが難しい
【0006】
本障害は、女性より3倍多く影響を受けるように見え、通常16歳ぐらいである青年男性に主に影響を及ぼす。起床時、影響を受けた個人は、易刺激性、エネルギー欠乏(嗜眠)、および/または情緒欠如(無感情)を呈す場合がある。彼らはまた、精神病状態を含む錯乱される(見当識を喪失される)幻覚経験を出現し得る
【0007】
KLSの症状は周期性である。影響を受けた個人は、症状を経験せずに数週間または数か月進行し得る。存在する場合、症状は、数日から数週間持続し得る。
【0008】
KLSの正確な原因は知られていない。しかし、研究者は、一部の場合では、遺伝性要因が原因で、一部の個体が本障害を発症する遺伝的素因を有するようになると考えている。KLSの症状が、睡眠、食欲、および体温のような機能を調節する助けとなる脳の一部(視床下部)の機能不全に関連し得ると考えられている3,4
【0009】
ムスカリン系は、睡眠、体温、摂食の調節で重要な役割を担う。
【0010】
ムスカリン受容体は、アセチルコリンの覚醒状態に関する効果の媒介において十分に文書化されている役割を有する5~7。シナプス前ムスカリンM受容体の活性化は、背外側被蓋(LDT)および脚橋(PPT)の末端からのアセチルコリン放出を促進し5,8,9、アセチルコリン放出およびEEG徐波ならびにマウスの前前頭皮質における紡錘体を調節する10
【0011】
より具体的に、PPTでのM受容体は、ムスカリンM受容体アンタゴニストが特定のM受容体アゴニスト(例えばカルバコール)により誘発される長期的なREM睡眠を遮断するため5,12、急速眼球運動(REM)睡眠の生成に寄与し8,11、カタプレキシーを低減する13。M受容体の遮断は、その潜伏期間を増加し、その百分率を低減することにより脱同期化された睡眠に拮抗し、徐波睡眠を低減し、覚醒状態を向上させ7,14、カタプレキシーを著しく増悪させる13
【0012】
徐波睡眠(SWS)での重要な低減を伴うKLS症例報告で観察される脱同期化された睡眠は、臨床症状の持続にもかかわらず、KLSの第2の半周期の間、正常に戻る進行性が常に存在する。REM睡眠は、エピソードの第1の半周期で正常を保つが、第2の半周期で軽減する15
【0013】
ムスカリン系は、食欲調節(例えば摂食の必要性を抑制する選択的Mアンタゴニスト受容体スコポラミン)18として、体温を調節すること16,17に関与する。
【0014】
強迫性過食、統合失調症様の精神症状を伴う異常に抑制されない性欲のような行動の変化は、KLSにおいて発作性過眠症に関連する。
【0015】
男性の性行動の調節でのコリン作動性の関与は、ムスカリン系を通して主に媒介され19、KLSにおいて男性が完全にではなくとも多くが影響される性的な出来事において、ムスカリン活性はこの役割においても原因となり得る。
【0016】
腰髄に存在するムスカリン受容体は、射精の過程に重要な影響を伴う雄のラットの性行動に促進効果を誘発する20
【0017】
(およびM)受容体の関与は、これらの効果の実行で決定要因であることが同定されている。
【0018】
以前、一部の研究者は、KLSがNT1として自己免疫障害であり得ると推測した
【0019】
遺伝学、炎症、および自己免疫起源が疑われるが、KLS機構は未だに知られていない。KLSは、(少なくとも神経病理学的な場合では、炎症マーカーが髄液内で存在しないが)多発性硬化症の再発寛解経過を共有し、炎症となる可能性があるからである。リチウム塩(強力な抗炎症薬として考えられる)および静脈内ステロイドは、制御された観察コホートにおいて部分的な利点を見出した。他方、いくつかの複雑な神経学的および精神医学的症候群は、現在、新たに同定された自己抗体により引き起こされた自己免疫脳炎として認識される21
【0020】
免疫系の調節におけるムスカリン受容体の影響力の強い役割は、コリン作動系の活性化が、免疫系を抑制させ、病原性感染症に対する罹患率を増大させ22、病原性感染症がまた、KLSの疾患の発症で認められている23と報告されている一方で、KLSの原因として推測されていない。
【0021】
ムスカリン受容体に対する抗体は、ランバートイートン筋無力症候群(LEMS)24および重症筋無力症25におけるM、シェーグレン症候群26~28におけるMおよびM、ならびにグレーブス病29,30におけるMを含む自己免疫疾患において記載された。
【0022】
ムスカリン受容体に対する抗体は、KLSにおいて文書化されていない。
【0023】
これらの疾患は、カテコールアミン作動性刺激剤(例えばアンフェタミン塩)に応答しない、または応答が鈍い疲労および自律神経機能異常31を含む慢性疲労症候群(CFS)との類似性を共有する。
【0024】
KLSでは、ナルコレプシーおよび特発性過眠症の症状の治療で見出されるものとは異なり、対症療法および予防的治療の有効性の欠如は、患者-対照試行を提供することができない。
【0025】
症例報告およびコホートのみに基づいて、アンフェタミン塩は、眠気を著しく改善したが、他の症状を改善せず32、カテコールアミン作動性系のみに作用する他の刺激剤(例えばメチルフェニデート、モダフィニル)は、短い症状の期間の後に効果的ではなかった33,34。抗うつ薬は、1つの症例を除いて、再発を予防する効果はないが、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(モクロベミド)が以前は使用された35。抗てんかん薬は、単一の症例では、カルバマゼピンが使用された場合、異常行動における改善を示した36
【0026】
相違して、炭酸リチウムは、異常行動の軽度の改善を含む再発の適度な軽減(エピソードの期間の短縮および再発の軽減)を生じるように見える37~39
【0027】
アマンタジンは、おそらく最も著しい応答を有し、刺激剤の残りと比較して、41%であること(KLSの頻回なエピソードの患者におけるエピソードの数を低減すること)を見出される3,40
【0028】
中でも、炭酸リチウムが非常に強い抗双極性および抗うつ剤として考えられる一方で、アマンタジンまたはリチウム塩の作用の別の機構がKLSでのこれらの所見を説明することができるとは推測されておらず、ムスカリンM受容体が気分障害に対する治療応答に遺伝的に関わるとも推測されていない41
【0029】
KLSでの炭酸リチウム治療は、症状の頻度ではなく重症度を軽減するのに最も効果的であると考えられるが、KLSの深い性質および気分障害のその関係性の問題が起こる42。長期的なリチウム治療がマウスモデルの皮質でのコリン作動性ニューロンの活性を低減し43、ラットの脳の一部の領域でのコリン作動性ニューロンの活性にも影響を及ぼし44,45、その全ては、リチウムがムスカリン受容体への影響を有し得ることを示唆する46一方で、ムスカリン系での長期的なリチウム治療の潜在的な活性に基づいた相補的な調査は行われていない。
【0030】
アマンタジンは、KLS症状で使用される別の薬剤である。KLS症状でのその推測される治療効果は、依然として明らかではなく、さらに、エピソードそれ自体の間ならびにエピソード間、その後のエピソードにおいて多くの場合失われる
【0031】
アマンタジンは、ドーパミン合成および放出を増大し、シナプス前ドーパミン再取込みを遮断し、低親和性の不適合NMDA受容体アンタゴニストとしてではなくNMDA受容体で作用する47。ムスカリン系の作用のその機構は、この強力な利点が提案されていないことが説明することができ、中でも、試験されたNMDA受容体アンタゴニストまさにそのものがKLS症状に作用することが報告されている。
【0032】
リラキシン-3は、Celera Discovery SystemおよびCelera Genomicsデータベース48においてリラキシン遺伝子の相同体を捜索することにより2001年に発見され、脳でのその優勢な発現により、その後神経ペプチドとして分類された。
【0033】
リラキシンファミリーペプチド受容体RXFP3は、インスリン/リラキシンスーパーファミリーに属する神経ペプチドであるリラキシン-3(INSL7としても知られる)の同族の受容体である。リラキシン-3/RXFP3系は、食物摂取、ストレス応答、ならびに海馬のシータ律動ならびに関連する学習および記憶を含む覚醒および探索行動の調節に関与する49
【0034】
in vitroでは、リラキシン-3はまた、その内因性リガンドが、例えば、過食に関与するDRD4であるリラキシンファミリーペプチド受容体RXFP1およびRXFP4を結合し、活性化することができ、肥満をもたらすことができる50
【0035】
DRD4遺伝子での多型は、ADHD症状、物質乱用および過剰な性行動を含む、様々な行動学的表現型に関連することが以前は示されており51、KLSにおける過眠症の期間にドーパミン作動性の減色に関与している52
【0036】
以前の研究がリラキシンファミリーペプチド受容体3(リラキシン/RXFP3)であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)が、ストレス応答、摂食および代謝、動機付けおよび報酬、ならびに性行動に関与することを以前に示唆している場合、リラキシン-3(RXFP3)およびKLSに基づいた証拠、刊行物または報告は存在しない。覚醒、ストレス、および摂食に関連した行動ならびに関連した神経基質およびシグナル伝達ネットワークへのリンクにおけるその神経解剖学的およびその推定上の役割を精査することによる神経内分泌軸の重要な「外因性」調節因子としてのリラキシン-3/RXFP3系53~55
【0037】
カロリー制限の期間、食欲調節で明らかになる役割を伴う結腸直腸で表されるリラキシン-4/RXFP4は、特定の食欲促進の役割を有する48,56
【0038】
ヒトリラキシン-3/RXFP3が、肥満にも関連し得るリラキシン-4/RXFP4を活性化することが見出されたので、KLS患者での食欲制御でのRXFP3の潜在的な役割は、潜在的に考えられることができる。
【0039】
現在の証拠は、神経内分泌障害および関連する行動機能不全の治療のための潜在的な治療標的としてRXFP3を同定するが53,57、リラキシン-3/RXFP3系およびKLSに基づく証拠は報告されていない。他の所見は、重要な視床下部および辺縁系回路でのリラキシン-3/RXFP3シグナル伝達が、食欲促進および目標指向(動機付けられた)の行動を担うネットワークを調節することにより、ストレス関連の外部および内部情報の統合を可能にすることを示唆している58
【0040】
概日リズムおよび覚醒では、一連の完了行動を促進するリラキシン-3/RXFP3シグナル伝達は、より広範に覚醒および動機付けられた行動を駆動するその主たる役割と直結している55,58,59
【0041】
ベネジンの薬理学的結合プロファイルは研究されていない。
【0042】
DATおよびNET再取込み阻害剤として、ムスカリンM1、M2およびM3アンタゴニスト、カッパ-オピオイド(KOP)、ミュー-オピオイド(opiod)(MOP)ならびにRXFP3部分アゴニストとして作用するベネジン、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩は、神経学的疾患および睡眠障害、過眠症の中枢性障害、好ましくはクライネ-レヴィン症候群の分野で関心がある強力な薬理学的薬剤である。
【発明の概要】
【0043】
発明の概要
本発明の目的は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、式(I)
【化1】
(式中、R=HまたはF、Cl、Br、Iからなる群から選択されるハロゲン原子である)
の化合物、または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物である。
【0044】
本発明の別の目的は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物、ならびに薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】試験のタイムスケジュール。
図2】識別指標(DI;平均±SEMおよび個々の値)でのドネペジル、ベネジンの効果。差対対照群:ns=有意差なし;p≦0.05;**p≦0.01。差対ドネペジル2群:対照群を除いて全ての場合で有意差なし(図示せず)。差対0:#p≦0.05;###p≦0.001;他方:有意差なし。
図3】新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F;平均±SEMおよび個々の値)でのドネペジル、ベネジンの効果。差対対照群:ns=有意差なし;p≦0.05;**p≦0.01。差対ドネペジル2群:対照群を除いて全ての場合で有意差なし(図示せず)。差対0:#p≦0.05;##p≦0.01;###p≦0.001;他方:有意差なし。
図4】サンプル試行の間の探索時間(ST;平均±SEMおよび個々の値)でのドネペジル、ベネジンの効果。比較対対照群。差対対照群:ns=有意差なし;**p≦0.01。
図5】サンプル試行の間の探索時間(ST;平均±SEMおよび個々の値)でのドネペジル、ベネジンの効果。比較対ドネペジル2群。差対ドネペジル2群:ns=有意差なし;p≦0.05;**p≦0.01;***p≦0.001。
図6】選択試行の間の探索時間(CT=N+F;平均±SEMおよび個々の値)でのドネペジル、ベネジンの効果。差対対照群:ns=有意差なし。差対ドネペジル2群:全ての場合で有意差なし(図示せず)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の詳細な説明
本発明の第1の主題は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、式(I)
【化2】
(式中、R=HまたはF、Cl、Br、Iからなる群から選択されるハロゲン原子、好ましくはR=Hである)
の化合物、または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物に関する。
【0047】
式(I)はキラル中心を有する。
【0048】
ゆえに、「異性体」とは、好ましくは「エナンチオマー」を意味する。
【0049】
本発明によると、別段指定されない場合、用語「式(I)の化合物」とは、そのラセミ体またはそのエナンチオマーの形態で式(I)の化合物を指す。
【0050】
「光学的に純粋な式(I)の化合物」とは、95%より高い、好ましくは96%より高い、より好ましくは97%より高い、さらにより好ましくは98%より高い、特に好ましくは99%より高いエナンチオマー過剰率でのエナンチオマーを意味する。
【0051】
=Hの場合、式(I)の化合物は、ベネジン、2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-ピペリジン、1:1のラセミ混合物ならびにそのR-およびS-エナンチオマー、それらの塩、特にそれらの塩酸塩である。
【0052】
式(I)の化合物は、好ましくは0.001mg/kg/日~0.5mg/kg/日、より好ましくは0.005~0.05mg/kg/日である、それを必要とする患者に投与される治療用量で使用される。
【0053】
本発明の第2の主題は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療の方法であって、上記に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法に関する。
【0054】
本発明の第3の主題は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療における使用のための、上記に定義される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその異性体、塩および/もしくは溶媒和物、ならびに薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物に関する。
【0055】
好ましくは、本発明による使用のための医薬組成物は、0.125mg~6mg、好ましくは0.25mg~3mgの式(I)の化合物を含む。
【0056】
好ましくは、本発明による使用のための医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、溶液剤、散剤の形態で、または非経口投与、例えば注射可能な溶液のような溶液剤の形態および経皮送達システム(TDS)に好適である。
【0057】
本発明の第4の主題は、クライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療の方法であって、上記に定義される医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法に関する。
【実施例
【0058】
実施例
ベネジンは、以下に示す通り、9工程で調製された。
【化3】
【0059】
ベネジンは、各標的に特異的な放射性標識されたリガンドの対照特異的結合の阻害%として計算された10-5Mで試験した。
【0060】
この結合プロファイルパネルは、ユーロフィン標準操作手順にしたがって細胞周期調節に関与する天然の動物組織、放射性リガンドおよび特異的な酵素を含む、大まかに等しい数の選択的な中心および末梢の治療に関連する標的で広く定義された。
【0061】
放射性リガンド結合実験に対して、半最大阻害濃度(IC50)および半最大有効濃度(EC50)値は、Hillの式の曲線適合を使用して競合曲線の非線形回帰分析により(コンピューターソフトウェアを介して)決定された。阻害定数(K)は、Cheng-Prusoff式(K=IC50/(1+(L/K))を使用して計算され、Lはアッセイにおける放射性リガンドの濃度であり、Kは受容体に対する放射性リガンドの親和性である60
【0062】
結果は、対照特異的結合%([実測特異的結合/対照特異的結合]×100)として、および試験化合物の存在下で得られる対照特異的結合(100-[(実測特異的結合/対照特異的結合)×100])の阻害%として表される。
【0063】
ベネジンは、ヒトA1、A2A、およびA3アデノシン受容体、α1-およびα2-アドレナリン作用性受容体、ヒトβ1-アドレナリン作用性受容体、ヒトAT1アンギオテンシン受容体、ベンゾジアゼピン受容体、ヒトブラジキニン受容体、ヒトCCK1コレシストキニン受容体、ヒトD1およびD2ドーパミン受容体、ヒトエンドセリン受容体A型、GABAA受容体、ヒトガラクトーストランスポーター、ヒトCXCケモカイン受容体、ヒトC-Cケモカイン受容体1型、H1およびH2ヒスタミン受容体、ヒトMC4メラノコルチン受容体、MT1メラトニン受容体、ヒトM1、M2、およびM3ムスカリンアセチルコリン受容体、ヒトNK1およびNK3ニューロキニン受容体、ヒトY1およびY2神経ペプチド受容体、ヒトNTS1ニューロテンシン受容体、ヒトμ-、δ-、およびκ-オピオイド受容体ならびにオピオイド様受容体、ヒト5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT3,5-HT5A、5-HT6、および5-HT7セロトニン受容体、ソマトスタチン受容体、ヒト血管作用性小腸ペプチド受容体、ヒトバソプレシン受容体、Ca2+チャネル、K+vチャネル、SK+Caチャネル、Na+チャネル、およびCl-チャネルを含んだCEREP(Eurofins、フランス)による放射性リガンド結合の阻害に対する一連の追加のアッセイで試験された。
【0064】
25%より低い阻害(または刺激)を示す結果は、有意であるとは考えられず、対照レベルぐらいのシグナルの変異性に大部分が起因する。低度から中程度の負の値は、現実の意味を有さず、対照レベルぐらいのシグナルの変異性に起因する。
【0065】
50%より高い阻害または刺激は、試験化合物の著しい効果と考えられ、25%~50%は、より大きな実験間の変異性が起こり得る範囲内である場合にさらに試験することにより確認されるべき軽度から中程度の効果を示している。
【0066】
50パーセントは、さらなる調査に対して通常のカットオフである(すなわち、濃度-応答曲線からIC50またはEC50値の決定)。
【0067】
これらの結合アッセイの主要で重要または適切な所見は、表1にベネジンに対してそれぞれ提示される。
【表1】
【0068】
これらの結合アッセイの主要な効果は、ベネジンが10-5Mの濃度でドーパミントランスポーター(DAT)およびノルエピネフリントランスポーター(NET)について認識可能な有効性を呈したことを確認した。また、ベネジンは、ムスカリンM1およびM2受容体アンタゴニスト活性を提示したが、これは10-5Mでそれぞれ75%および65%である(表1)。M2よりもM1受容体アンタゴニストは、認識要件を改善することを示しており、中でもM2アンタゴニストは、行動障害の治療に有用であり得、ならびに認知障害を標的化し得る。
【0069】
ベネジンは、RXFP4およびRXFP3受容体(試験FR095-0024749-Q Eurofins/leadHunter6/25/21;未公表データ)と弱く結合することが見出される(表2)。
【表2】
【0070】
これらのアッセイの化合物は、GPCRバイオセンサーアッセイを伴い、この設計に適しているアゴニストおよびアンタゴニスト様式で試験した。
【0071】
細胞操作
1. cAMP Hunter細胞株は、標準的な手順によりフリーザー保存液から拡張させた。
2. 細胞は、20μLの総体積で白色壁の384ウェルマイクロプレートに播種させ、試験前の適切な時間37℃でインキュベートさせた。
3. cAMP調節は、DiscoverX HitHunter cAMP XS+アッセイを使用して決定された。
【0072】
Gsアゴニストフォーマット
1. アゴニスト決定のために、細胞は、サンプルとインキュベートして、応答を誘発させた。
2. 媒体は細胞から吸引し、15μLの2:1HBSS/10mMのHepes:cAMP XS+Ab試薬で置き換えられた。
3. サンプルストックの中間希釈は行われ、アッセイ緩衝液において4×サンプルを生成させた。
4. 5μLの4×サンプルは細胞に添加され、37℃または室温で30または60分間インキュベートさせた。ビヒクル濃度は1%であった。
【0073】
Giアゴニストフォーマット
1. アゴニスト決定のために、細胞は、EC80フォルスコリンの存在でサンプルとインキュベートして、応答を誘発させた。
2. 媒体は細胞から吸引し、15μLの2:1HBSS/10mMのHepes:cAMP XS+Ab試薬で置き換えられた。
3. サンプルストックの中間希釈は行われ、4×EC80フォルスコリンを含有するアッセイ緩衝液において4×サンプルを生成させた。
4. 5μLの4×サンプルは細胞に添加され、37℃または室温で30または60分間インキュベートさせた。最終アッセイビヒクル濃度は1%であった。
【0074】
アロステリック調節フォーマット
1. アロステリック決定に対して、細胞は、サンプルで予めインキュベートされ、続いてEC20濃度でアゴニスト導入させた。
2. 媒体は細胞から吸引し、10μLの1:1HBSS/10mMのHepes:cAMP XS+Ab試薬で置き換えられた。
3. サンプルストックの中間希釈は行われ、アッセイ緩衝液において4×サンプルを生成させた。
4. 5μLの4×化合物は細胞に添加され、室温または37℃で30分間インキュベートさせた。
5. 5μLの4×EC20アゴニストは細胞に添加され、室温または37℃で30または60分間インキュベートさせた。Gi共役型GPCRのために、EC80フォルスコリンは含まれた。
【0075】
逆アゴニストフォーマット(Giのみ)
1. 逆アゴニスト決定のために、細胞は、EC20フォルスコリンの存在でサンプルと予めインキュベートさせた。
2. 媒体は細胞から吸引し、15μLの2:1HBSS/10mMのHepes:cAMP XS+Ab試薬で置き換えられた。
3. サンプルストックの中間希釈は行われ、4×EC20フォルスコリンを含有するアッセイ緩衝液において4×サンプルを生成させた。
4. 5μLの4×サンプルは細胞に添加され、37℃または室温で30または60分間インキュベートさせた。最終アッセイビヒクル濃度は1%であった。
【0076】
アンタゴニストフォーマット
1. アンタゴニスト決定に対して、細胞は、サンプルで予めインキュベートされ、続いてEC80濃度でアゴニスト攻撃させた。
2. 媒体は細胞から吸引し、10μLの1:1 HBSS/Hepes:cAMP XS+Ab試薬で置き換えられた。
3. 5μLの4×化合物は細胞に添加され、37℃または室温で30分間インキュベートさせた。
4. 5μLの4×EC80アゴニストは細胞に添加され、37℃または室温で30または60分間インキュベートさせた。Gi共役型GPCRのために、EC80フォルスコリンは含まれた。
【0077】
シグナル検出
1. 適切な化合物をインキュベートした後、アッセイシグナルは、20μLのcAMP XS+ED/CL溶解カクテルで1時間インキュベートし、続いて室温で3時間、20μLのcAMP XS+EA試薬でインキュベートしながら生成させた。
2. マイクロプレートは、化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer Envision(商標)装置とのシグナル生成に続いて読み出した。
【0078】
データ分析
1. 化合物活性は、CBISデータ分析スイート(ChemInnovation、CA)を使用して分析させた。
2. Gsアゴニスト様式アッセイのために、活性百分率は、以下の式:活性%=100%×(試験サンプルの平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)/(MAX対照の平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)を使用して計算される。
3. Gsの正のアロステリック様式アッセイのために、調節百分率は、以下の式:http://www.eurofinsdiscoveryservices.com Confidential 6/25/2021 5%の調節=100%×(試験サンプルの平均RLU-EC20対照の平均RLU)/(MAX対照の平均RLU-EC20の平均RLU)を使用して計算させる。
4. Gsアンタゴニストまたは負のアロステリック様式アッセイのために、阻害百分率は、以下の式:阻害%=100%×(1-(試験サンプルの平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)/(EC80対照の平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU))を使用して計算される。
5. Giアゴニスト様式アッセイのために、活性百分率は、以下の式:活性%=100%×(1-(試験サンプルの平均RLU-MAX対照の平均RLU)/(ビヒクル対照の平均RLU-MAX対照の平均RLU))を使用して計算される。
6. Giの正のアゴニスト様式アッセイのために、調節百分率は、以下の式:調節%=100%×(1-(試験サンプルの平均RLU-MAX対照の平均RLU)/(EC20対照の平均RLU-MAX対照の平均RLU))を使用して計算される。
7. Gi逆アゴニスト様式アッセイのために、活性百分率は、以下の式:逆アゴニスト活性%=100%×((試験サンプルの平均RLU-EC20の平均RLUフォルスコリン)/(フォルスコリンの陽性対照の平均RLU-EC20対照の平均RLU))を使用して計算される。
8. Giアンタゴニストまたは負のアロステリック様式アッセイのために、阻害百分率は、以下の式:阻害%=100%×(試験サンプルの平均RLU-EC80対照の平均RLU)/(フォルスコリンの陽性対照の平均RLU-EC80対照の平均RLU)を使用して計算される。
【0079】
これらのアッセイ(試験FR095-0024749-Q Eurofins/leadHunter6/25/21;未公表データ)では、化合物は、GPCRバイオセンサーアッセイと共にアゴニストおよびアンタゴニスト様式で試験させた。アゴニストおよびアンタゴニストアッセイのために、データは、対照リガンドおよびビヒクルの存在で観察された最大および最小の応答に正規化させた。
【0080】
Gi cAMPアッセイのために、以下のフォルスコリン濃度が使用された:
RXFP3 cAMP:20μMのフォルスコリン
RXFP4 cAMP:20μMのフォルスコリン
【0081】
以下のEC80濃度が使用された:
RXFP3 cAMP:0.0003μMのリラキシン-3
RXFP4 cAMP:0.01μMのリラキシン-3
【0082】
過眠症の症状への治療効果は、DATおよびNETに起因し得、これらの所見に対する著作者を認めないが、KLS症状の治療は、カテコールアミン(catacholamine)の作用のこの機構を限定することはできない。
【0083】
KLSの病理生理学におけるムスカリン系の関与およびKLSの治療におけるムスカリン受容体の効果に対する起源を主張する。
【0084】
完全または部分的なムスカリン受容体アンタゴニストがKLS症状、とりわけ
受容体アンタゴニスト:スコポラミン、プロピベリン、ベンズトロピン、ビペリデン、ピレンゼピン、テレンゼピン、VU 0255035、PIPE-359;
受容体アンタゴニスト:ヒンバシン、メトクトラミン、クロルプロマジン、ガラミン、ソラジン、トリミプラミン、トルテロジン、オキシブチニン、オテンゼパド、イプラトロピウム、ヒヨスチアミン、ジフェンヒドラミン、ジメチンデン、ジメンヒドリネート、ジシクロベリン、アトロピン、AF-DX 116、AF-DX 384、AQ-RA 741;
受容体アンタゴニスト:4-DAMP、DAU 5884、J 104129
を治療するのに有用で効果的であり得ると推測する。
【0085】
ベネジン、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩が、メチルフェニデートおよびアンフェタミン塩とは異なって標的化することができ、睡眠障害および/または過眠症の中枢性障害に関連する神経学的疾患、好ましくはクライネ-レヴィン症候群の予防および/または治療に潜在的に有用であると推測する。
【0086】
ベネジン、ピペリジン,2-ベンズヒドリル-3-ヒドロキシ-N-メチル-,塩酸塩は、ムスカリン系、好ましくはアンタゴニストとしてM、MおよびMムスカリン受容体を標的化するが、これは、NMDA受容体に間接的に作用し、行動および認知症状、ならびに性的脱抑制、強迫性摂食障害、自律神経異常症および睡眠変化の徴候を改善する助けとなる。
【0087】
急速眼球運動(REM)およびノンレム(NREM)睡眠は、睡眠の不安定化パターンが睡眠依存性長期記憶固定を障害する場合、記憶能力の改善に関連する。
【0088】
認知は、KLS患者の91%においてエピソードの間に重度に障害されるが、集中する困難さを有し、87%が、時間、および一部の場合では空間で失われる13,62~64。KLS患者は、寝たきりであり、読む、電話に応答する、または家事を行うことが不可能であり、最終的に、エピソードの間に部分的または完全な事象の逆行性健忘も有する13,62~64
【0089】
いくつかの脳機能の画像化研究は、無症状期間でさえ、KLS患者において異常な潅流を強調し4,65、無症状期間の認知障害および異常な脳機能が、簡単な患者の面接により期待されるものより頻度が高いことを確認した65。70%ものKLS患者は、代謝低下症を有し、多くが後連合皮質および海馬に影響を及ぼす
【0090】
遠隔の新規物体認識記憶は、符号化後の徐波睡眠の間の紡錘体活性に通常関連し、徐波睡眠の間のニューロンの記憶の再生が長期記憶の形成に寄与するという観点と一致する66~68。ますます、結果は、海馬が、以前は海馬非依存性と考えられていた記憶でさえ、睡眠中の長期的な固定に重要な役割を有することを示す67
【0091】
符号化後の睡眠紡錘体活性との長期的NOR能力の相関を示す最近の所見によると67、NORがベネジンを試験する助けとなり得、KLS症状を有する患者において認知障害を改善し得ることを推測する。
【0092】
マウスにおける新規物体認識(NOR)試験での長期記憶へのベネジンおよびドネペジルの効果
新規物体認識(NOR)試験は、げっ歯類における長期的なエピソード記憶を評価する多くの研究で使用されている69~75。ドネペジルは、軽度の認知変化の治療のために最も使用される化合物の1つであるが76、メマンチン(アマンタジンに近い)と比較して、ラットまたはマウスにおける長期的なエピソード記憶を改善することが示されている70,72,75。ドネペジルは、傾眠およびナルコレプシーで臨床的に試験するが77,78、KLS症状には行わない。
【0093】
本研究の目的は、ベネジンがマウスにおいて長期的なエピソード記憶を改善するか否かを試験することであった。ドネペジルは、陽性対照の薬物として使用された。
【0094】
概要
方法
ベネジン(0.1、0.5、1mg/kg)の記憶への効果は、ビヒクルおよびドネペジル(2mg/kg)のものと比較した。長期的なエピソード記憶は、習得セッション(いわゆるサンプル試行)と保持セッション(いわゆる選択試行)との間の3日間の間隔を使用した、NOR試験で試験された。本方法は、自然な忘却状態における記憶の改善を検出することを可能にする。
【0095】
結果
対照群は、見慣れた物体を認識しなかった。ドネペジル(2mg/kg)は、見慣れた物体の認識を改善した、すなわち、記憶を改善した。したがって、実験条件は、記憶の改善を検出するのに好適であった。
【0096】
ドネペジル(2mg/kg)はまた、治療の30分後の探索時間を短縮したが、治療の3日後では短縮しなかった。
【0097】
ベネジンは、見慣れた物体の認識を改善した、すなわち、記憶を改善した。この効果は、0.5mg/kgで著しく、ドネペジル(2mg/kg)のものとは著しく異なることはなかった。0.1および1mg/kgで有意差はなかった。
【0098】
ベネジン(0.1、0.5、1mg/kg)は、ドネペジル(2mg/kg)とは対照的に、治療の30分後、および治療の3日後の探索時間を著しく改変しなかった。
【0099】
結論
本試験の結果は、ベネジンが、著しく、ドネペジルにより誘発されるのと同程度である長期的な記憶改善を誘発したことを示唆する。試験した用量で、ベネジンは、ドネペジルとは対照的に、探索行動を軽減せず、ベネジンがドネペジルより小さい副作用を誘発することができることを示唆した。
【0100】
材料および方法
全体的な点
動物の操作は、最低でもストレスを軽減するために注意深く行った。全ての実験は、実験動物での実験に対するフランス農業省のガイドライン(法律2013-118)を準拠して行った。
【0101】
実験は、静かな状態(換気および実験で使用される装置により生じるもの以外のノイズはない)での人工灯を伴う標準的な条件(T°=22.0±1.5℃)で行った。
【0102】
実験は、盲検で行った。
【0103】
動物は、試験前に他の実験を施していない。
【0104】
動物
【表A】
【0105】
薬物
【表B】
【表C】
【0106】
新規物体認識(NOR)試験
材料
試験は、円形の箱(直径30cm、高さ40cm)で行った。識別すべき物体(L≒l≒h≒3~4cm)は、色および形状の両方で異なり、黄色duckおよび青色legoと呼ばれる。これらは、20cm離れた5cmの壁で箱の床に磁石で固定させた。明らかに、これらは、マウスに対して自然の有意性は有さず、強化に関連していない。物体に残る匂いの跡の可能性を排除し、したがって嗅覚的キューへのマウスの認識能力の依存性を排除するために、物体および箱の底面は、無臭の消毒剤(水で希釈したSanicid(登録商標))で洗浄し、各試行の間に乾燥させた。カムコーダーは、箱の上部の天井に固定させて、動物の活動を記録した。実験は、その後に盲検で分析した。
【0107】
手順
試験の前の週に、動物は、試験の時間にストレスを受けないように、実験を担当する実験者により扱われた。この目的のために、実験者は、少量の寝わらを置き、次いでその手でマウスを置いた。取扱いは約1~2分要し、マウスが操作に対してあらゆる恐れを示さなくなるまで、続けて4または5日間、毎日行った。
【0108】
NOR試験は、5日にわたって完了した(図1を参照):
- 1日目:習慣化試行。動物は、個別に、空の開放箱に15分間の自由な探索セッションに置かれた。
- 2日目:治療投与およびサンプル試行。マウスは、割り当てられた治療で投与された。これらは、個別に、2つの同一の物体(Duck、動物の50%、またはLego、動物の50%)を伴う装置での6分のセッションの30分後に置かれた。
- 3日目:選択試行。マウスは、個別に、2つの物体(DuckおよびLego)を伴う装置に6分セッション対して置かれたが、物体の1つは、サンプル試行(見慣れた物体と称す)および新規な物体(Lego、動物の50%、またはDuck、動物の50%)を提示した。
【0109】
サンプルおよび選択試行は、装置の上部に位置したカメラで記録された。物体を探索するのにマウスにより費やされた時間は、サンプル試行および選択試行の間に測定した。物体の探索は、以下の通り定義された:2cm以内の距離で物体に鼻を向けること、および/または鼻もしくは前肢で物体に触れること;物体の周りを回る、もしくは物体をかじること、または物体に座ることは、探索行動として考えられない。
【0110】
読み出し
記録したデータ:
- L=サンプル試行での左の物体の探索時間
- R=サンプル試行での右の物体の探索時間
- N=サンプル試行での新規な物体の探索時間
- F=サンプル試行での見慣れた物体の探索時間
【0111】
物体認識のタスク指標は、以下のパラメーターを含む:
- 探索指標:
○ ST=L+R=サンプル試行での探索時間(左の物体+右の物体)
○ CT=N+F=選択試行での探索時間(新規な物体+見慣れた物体)
- 2つの記憶指標:
○ N-F=選択試行での新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差
○ DI=識別指標=100×(N-F)/(N+F)
【0112】

動物(N=80)は、サンプル試行の30分前、以下の注射を受けた5群(N=16/群)に分割させた:
- G1-対照群:ビヒクル
- G2-ドネペジル2群:ドネペジル(2mg/kg)
- G3-ベネジン0.1群:ベネジン(0.1mg/kg)
- G4-ベネジン0.5群:ベネジン(0.5mg/kg)
- G5-ベネジン1群:ベネジン(1mg/kg)
【0113】
データ分析
統計学的分析は、GraphPad prism 9ソフトウェアを使用して行われた。
【0114】
データは、平均および平均の標準誤差(SEM)として表される。
【0115】
差は、p≦0.05で統計学的に有意であると考えられる。
【0116】
統計学的分析:
- 読み出し:DI、N-F、ST、CT、N、F
○ 非対応スチューデントt検定:ドネペジル2群対対照群。
○ 一元配置ANOVA、ダネット検定:
● ベネジン群対対照群。
● ベネジン群対ドネペジル2群。
- 読み出し:DIおよびN-F、全ての群に対して、対応スチューデントt検定、差対0。
- 体重:一元配置ANOVA。
【0117】
除外基準:劣った探索行動を提示した、すなわちサンプル試行および/または選択試行での2つの物体を探索するのに5秒未満しか費やさなかった動物は、DIおよびN-Fの分析から除外された。全ての動物は、STおよびCTに対する分析に含まれた。
【0118】
結果
最も有効な結果のみ、すなわち記憶指標(識別指標および新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差)ならびに探索指標(サンプルおよび選択試行の間の探索時間)での治療の効果は、下記に記載される。
【0119】
体重は、群間に著しい差はなかった(ANOVA:F(7;120)=0.9303;p=0.486;表6を参照)。
【0120】
対照群、ドネペジルの効果
結果は、表3に提示される。
【0121】
識別指標(DI、図2)および新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F;図3)は、対照(ontrol)群に対して0より著しく高くなかった。
【0122】
識別指標(DI、図2)および新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F;図3)は、0より著しく高かった。DIおよび「N-F」の両方は、対照群よりドネペジル2群で著しく高かった。
【0123】
概要。対照群は、見慣れた物体を認識しなかった。ドネペジル(2mg/kg)は、見慣れた物体の認識を改善した、すなわち、記憶を改善した。したがって、実験条件は、記憶の改善を検出するのに好適であった。
【0124】
ドネペジル(2mg/kg)は、サンプル試行の間の探索時間(ST;治療30分後;図4、エラー!:参照元が見つからない)を短縮し、選択試行の間の探索時間(CT;治療72時間後;図6)を著しく改変しなかった。
【0125】
概要。ドネペジル(2mg/kg)は、治療の30分後に探索時間を短縮したが、治療の3日後には短縮しなかった。
【0126】
表3.対照およびドネペジル2群。記憶の指標:識別指標(DI)および新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F)。探索の指標:サンプル試行の間の探索時間(ST)および選択試行の間の探索時間(CT)。結果は、平均およびSEMとして表される。統計学的分析:「p対無作為化」、差対0(対応スチューデントt検定);「p対G1-対照」、非対応スチューデントt検定。
【表3】
【0127】
ベネジンの効果
結果は、表4に提示される。
【0128】
識別指標(DI、図2):
- ベネジン0.1群:0からの著しい差はなく、対照群のものおよびドネペジル2群のものからの著しい差はなかった。
- ベネジン0.5群:0より著しく高く、対照群のものより著しく高く、ドネペジル2群のものから著しい差はなかった。
- ベネジン1群:0からの著しい差はなく、対照群のものおよびドネペジル2群のものからの著しい差はなかった。
【0129】
新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F;図3):
- ベネジン0.1群:0からの著しい差はなく、対照群のものおよびドネペジル2群のものからの著しい差はなかった。
- ベネジン0.5群:0より著しく高く、対照群のものより高い傾向があり、ドネペジル2群のものから著しい差はなかった。
- ベネジン1群:0からの著しい差はなく、対照群のものおよびドネペジル2群のものからの著しい差はなかった。
【0130】
概要。ベネジンは、見慣れた物体の認識を改善した、すなわち、記憶を改善した。この効果は、0.5mg/kgで著しく、ドネペジル(2mg/kg)のものとは著しく異なることはなかった。
【0131】
サンプル試行の間の探索時間(ST;治療30分後):
- ベネジン0.1群:対照群のものからの著しい差はなく(図4)、ドネペジル2群のものからの著しい差はなかった(図5)。
- ベネジン0.5群:対照群のものからの著しい差はなく(図4)、ドネペジル2群のものより高い傾向があった(図5)。
- ベネジン1群:対照群のものからの著しい差はなく(図4)、ドネペジル2群のものより著しく高かった(図5)。
【0132】
ベネジン0.1、0.5および1群に対して、選択試行の間の探索時間(CT;治療72時間後;図6)は、対照群のものからの著しい差はなく、ドネペジル2群のものからの著しい差はなかった。
【0133】
概要。ベネジン(0.1、0.5、1mg/kg)は、ドネペジル(2mg/kg)とは対照的に、治療の30分後、および治療の3日後に探索時間を著しく改変しなかった。
【0134】
表4.対照およびベネジン0.1、0.5および1群。記憶の指標:識別指標(DI)および新規な物体と見慣れた物体との間の探索時間の差(N-F)。探索の指標:サンプル試行の間の探索時間(ST)および選択試行の間の探索時間(CT)。結果は、平均およびSEMとして表される。統計学的分析:「p対無作為化」、差対0(対応スチューデントt検定;比較ベネジン(NLS-11)および対照群に対する、ならびに比較ベネジン(NLS-11)およびドネペジル2群に対する、一元配置ANOVA;「p対G1-対照」、ダネット検定(ドネペジル2群を除く:非対応スチューデントt検定);「p対G2-ドネペジル2」、ダネット検定。
【表4】
【0135】
追加の分析
表6.体重(BW)、新規な物体の探索時間(N)および見慣れた物体の探索時間(F)。統計学的分析:「p対無作為化」、差対N対F(対応スチューデントt検定;「p対G1-対照」;他の分析;表3~表5を参照のこと。
【表6】
【0136】
参考文献
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2. Trotti LM, Arnulf I. Idiopathic Hypersomnia and Other Hypersomnia Syndromes. Neurotherapeutics. Published online September 8, 2020. doi:10.1007/s13311-020-00919-1
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